【実施例】
【0029】
以下に示す方法で、本発明の粘着テープを作製し、評価を行った。本実施例で用いた、基材層の組成、基材の厚み、引張破断強度、延伸倍率等は、表1〜4に示すとおりである。
粘着剤層は、粘着剤と架橋剤を100:3(質量)の割合で混合した溶液をコンマコーターにて基材層に塗工後、40℃の温度雰囲気下に3日間放置してエージングすることにより形成した。
剥離剤層は、剥離剤をトルエンに溶解させて濃度2%の溶液を調製し、グラビア方式で前記基材層の他方の面に塗布し、70℃にて1分間乾燥することで形成した。
【0030】
基材層、粘着層及び剥離層は、以下の材料を用いた。
【0031】
<基材層>
基材層は、以下の単層フィルムと、それら単層フィルムにOPPフィルムを積層した積層フィルムを用いた。なお、表1〜4において、基材フィルム1のみに記載しているフィルムは単層であり、基材フィルム1、2の両方を記載しているフィルムは、積層フィルムである。また、表1〜4における基材フィルム1のLDPE/HDPEは、LDPE/HDPEのブレンドの比率を示す。
(単層フィルム)
・PPフィルム(東洋紡製、パイレン(登録商標)OT−P4748、70μm)
・HDPEフィルム
:HDPE(日本ポリエチレン製、ノバテック(登録商標)HD HF560、Tm:127〜134℃)を押出機に供給、溶融し、200℃のフィルムダイを通して押し出し、ロールで40℃まで冷却することにより、未延伸シートを成形した。この未延伸シートを120℃のテンター内で表1〜4に示す倍率で延伸し、基材層を得た。
・HDPEとLDPEの混合物のフィルム
:HDPE(日本ポリエチレン製、ノバテック(登録商標)HD HF560)とLDPE(日本ポリエチレン製、ノバテック(登録商標)LD LF128、Tm:108〜122℃)を表1〜4に示す割合でドライブレンドし、押出機に供給、溶融し、190℃のフィルムダイを通して押し出し、ロールで40℃まで冷却することにより、未延伸シートを成形した。この未延伸シートを120℃のテンター内で表1〜4に示す倍率で延伸し、基材を得た。
(積層フィルム)
積層フィルムは、サンドラミネート法により得た。リード基材(OPPフィルム)に、320℃に溶融した接着層(LDPE(日本ポリエチレン株式会社 ノバテックLDLC650Y))を塗工後、HDPEフィルムを積層、冷却することにより、積層フィルムを得た。なお、接着層の厚みは13μmであった。
【0032】
<粘着剤層>
粘着剤層を構成する粘着剤、架橋剤は以下のものを用いた。
(粘着剤)
・アクリル系粘着剤(日本合成化学工業製、コーポニール(登録商標)N3440、重量平均分子量55万、固形分濃度50%)。
・特開2016−124936号公報等に記載の公知の方法により得られる、重量平均子量10万、20万、65万、100万、110万(いずれも固形分濃度50%のアクリル系粘着剤)。
なお、重量平均分子量は下記のGPC測定装置、及び条件で測定した。
装置名:HLC(登録商標)−8220GPC(東ソー製)
カラム:Shodex(登録商標)GPCKF−404(昭和電工製)を直列に4本接続
温度:40℃
検出:示差屈折率
溶媒:テトラヒドロフラン
濃度:2重量%
検量線:標準ポリスチレン(VARIAN社製)を用いて作製し、重量平均分子量はポリスチレン換算値で表した。
(架橋剤)
・アルミキレート系(金属系)(日本合成化学工業製、コーポニール(登録商標)N2128、固形分濃度5%)
・チタンキレート系(金属系)(マツモトファインケミカル製、TC−100、固形分濃度75%)
・イソシアネート系(非金属系)(東ソー製、コロネート(登録商標)L55、固形分濃度55%)
・エポキシ系(非金属系)(綜研化学製、E−AX、固形分濃度5%)
・アジリジン系(非金属系)(日本触媒製、ケミタイト(登録商標)PZ−33、固形分濃度5%)
【0033】
<剥離剤>
・長鎖アルキル系(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ製、ピーロイル(登録商標)1010)
・シリコーン系(信越シリコーン製、KS−847)
【0034】
実施例・比較例の粘着テープについて、以下に示す評価を行った。
<手切れ性評価>
手切れ性評価は、TD方向80mm、MD方向150mmの粘着テープをTD方向に10回引き裂き、ストレスなく切れ、かつ切断端が直線であった個数により下記の評価とした。
◎:10回
○:9回
×:8回以下
【0035】
<MD方向の引張破断強度>
基材層のMD方向の引張破断強度は、TD方向の長さ25mm、MD方向の長さ150mmの短冊状サンプルをJISZ0237 8.引張強さ及び伸びに準じて、チャック間100mm、300mm/minで引っ張った時の破断強度である。
【0036】
<TD方向の延伸倍率>
未延伸シートを120℃に予熱して、テンター内でTD方向に延伸した倍率である。
【0037】
<ヘーズ>
JISK7136に記載される方法を用いて、粘着テープのヘーズを測定した。ヘーズ値は50%以下を合格とした。測定装置は日本電色工業株式会社製のヘーズメーターNDH−7000を用いた。
【0038】
<粘着力>
「JISZ0237 10.粘着力」に準じて粘着テープの粘着力を測定した。
SUS板に対する粘着力が5N/cm以上を合格レベルとした。
【0039】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0040】
比較例1は、基材層の厚みと破断強度が低いため、粘着テープを手で切る際に基材が伸び、手切れ性が悪かった。また、基材層の断裁したため、粘着力の測定をできなかった。
【0041】
比較例2は、剥離剤層が長鎖アルキル系でないため、剥離剤が粘着剤面へ移行し、粘着力が低かった。
【0042】
比較例3は、基材層の厚みと粘着剤の分子量が上限を超えているため、粘着テープの手切れ性が悪く、ヘーズが高かった。
【0043】
比較例4は、基材層のTD方向の延伸倍率が2倍を下回っているため、粘着テープの手切れ性が悪かった。
【0044】
比較例5は、基材層のTD方向の延伸倍率が上限の16倍を超えているため、延伸時にテンター内で切れてしまい、フィルムが得られなかった。
【0045】
比較例6は、粘着剤層の分子量が下限を下回っているため、粘着剤が柔らかすぎて粘着剤層自体が引き裂かれて、粘着力が低かった。
【0046】
比較例7は、粘着剤層の分子量が上限を超えるため、粘着剤が硬すぎて粘着剤層とSUS板との界面剥離が発生し、粘着力が低かった。
【0047】
比較例8は、使用した架橋剤がイソシアネート系であるために、架橋が進みすぎて、粘着テープの粘着力が低かった。
【0048】
比較例9は、使用した架橋剤がエポキシ系であるために、架橋が進みすぎて、粘着テープの粘着力が低かった。
【0049】
比較例10は、使用した架橋剤がアジリジン系であるため、架橋が進みすぎて、粘着テープの粘着力が低かった。
【0050】
比較例11は、粘着剤層の厚みが下限を下回っているため、粘着力が低かった。
【0051】
比較例12は、粘着剤層の厚みが上限を上回っているため、粘着力測定の際、基材切れやSUS板に糊残りが発生したため、測定ができなかった。
【0052】
(考察)
全ての実施例では、手切れ性、引張強さ、ヘーズ、粘着力が優れた結果を示し、全ての比較例では、何れかの項目について結果が悪かった。