(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のサンプリング出力信号の1つを選択するためのマルチプレクサ(1553)であって、前記アナログデジタル変換制御回路(1452)によって制御されるように構成されるマルチプレクサ(1553)をさらに備える、
請求項14または15に記載のADC変換システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
記載および議論されている実施形態は、単に、開示を実施および使用する特定の方法を示し、範囲を制限するために理解されるべきではない。
【0010】
それらの特徴に応じて使用可能な異なるタイプのADCが存在する。SAR原則(逐次比較レジスタ)に基づくADCは、入力電圧を取得するサンプルホールド回路、逐次比較レジスタ、デジタルアナログ変換器(DAC)および比較器を備えてもよい。従来のSAR−ADCは、サンプルホールド段およびアナログデジタル変換段のための同じタイミングを有することによって実施される。SAR−ADC実施は、例えば、変換のための容量アレイを用いてもよい。この容量アレイは、変換フェーズが開始できる前に、(サンプリングフェーズにおいて)入力電圧信号のレベルまで充電されなければならないサンプルホールド回路のように作用する。
【0011】
SAR−ADCは、例えば、1つの入力信号またはそれぞれのチャネルを一群の潜在的入力信号から選択する入力マルチプレクサを用いて、複数の入力をサポートしてもよい。米国特許第7,492,298号明細書(US7,492,298B2)は、容量アレイ内でサンプリングされ、変換される1つの入力信号を選択するために、入力マルチプレクサを含む構造を開示する。
【0012】
図1は、一例として、アナログデジタル変換システムのブロック図を示す。アナログ入力信号INは、サンプルホールド・モジュール(S&H)101によって受信され、サンプルホールド・モジュール(S&H)101は、サンプリング時間の間、アナログ入力信号INをサンプリングすることによって、サンプリング出力信号SINを生成する。サンプリング時間は、サンプル値SINが入力信号INを十分に正確に表すことを確実にするのに十分長くなければならない。入力サンプリング時間があまりに短い場合、サンプリング時間の終了でのサンプル値SINと入力値との差は、さらなる処理のためにあまりに大きくなりうる。
【0013】
サンプルホールド・モジュール(S&H)101は、要求ユニットによって専用の制御信号SMPを介して制御されてもよい。要求ユニットは、タイマ・モジュールでもよい。制御信号SMPは、サンプリング要求信号として機能してもよく、対応するサンプリング時間の間、アクティブでもよい、すなわち、論理0または1に設定されてもよい。
【0014】
要求ユニットは、変換要求信号REQをアナログデジタル変換器(ADC)150にさらに提供する。変換要求信号REQは、ADC制御回路152によって受信され、ADC制御回路152は、ADC150の一部であり、アナログデジタル変換モジュール(ADCM)151によって実行される実際の変換を制御し、アナログデジタル変換モジュール(ADCM)151は、アナログデジタル変換器(ADC)150の一部を形成する。
【0015】
サンプルホールド・モジュール101によって生成されるサンプリング出力信号SINは、アナログデジタル変換モジュール151によって受信される。ADC制御回路152およびADC変換モジュール151は、専用の制御信号、例えば変換の開始(SOC)信号および変換の終了(EOC)信号によって結合されてもよい。
【0016】
通常動作モードでは、アナログデジタル変換は、要求ユニットによって要求される。要求は、サンプリング要求信号SMPおよび変換要求信号REQに分割されてもよい。ADC制御回路152は、変換要求信号を受信し、ADC変換モジュール151が利用できるか、すなわち、他の進行中のアナログデジタル変換でビジーではないかを調べる。
【0017】
ADC変換モジュール151が、衝突が存在しないこと、すなわち、他の変換が進行中ではないことを示す場合、ADC制御回路152は、SOC信号を起動してもよい。結果として、ADC変換モジュール151は、サンプリング出力信号SINを読み出し、サンプリング出力信号SINを数値的な出力値SOUTに変換する。アナログデジタル変換が完了した場合、ADCM151は、EOC信号を起動してもよい。
【0018】
図2は、さらなる周知の例示的なアナログデジタル変換システムを示す。
図1とは対照的に、要求ユニットは、変換要求信号REQのみを生成する。ADC250は、REQ信号を受信し、サンプルホールド・モジュール201のためのサンプリング要求信号SMPを自分自身で生成する。サンプリング要求がADC自身によって生成される場合、ADCの内部タイミングは、S&H段のタイミングに影響する。これは、多くの場合不利である。
【0019】
各種実施形態では、S&H段および対応するADCの独立タイミングを可能にするADC変換の概念が提供されてもよい。
【0020】
各種実施形態では、対応するサンプリングプロセスが適当なデータを生成した場合にのみ、アナログデジタル変換要求を生成してもよいADCシステムが提供される。
【0021】
図3は、アナログデジタル変換システムに関連して典型的に用いられる制御信号のタイミング図を示す。要求ユニットがサンプリング・トリガ信号TRGを提供した後、関連付けられたアナログ入力信号のサンプリングが開始する。
【0022】
サンプリングプロセスがサンプリング・トリガ信号の立ち上がりエッジから開始することに留意されたい。しかしながら、サンプリングプロセスは、トリガパルスの立ち下がりエッジによってトリガされることもできる。
【0023】
サンプリングフェーズは、信号SMPによって制御され、すなわち、サンプリング時間は、信号SMPの立ち上がりエッジとSMPの立ち下がりエッジとの間の時間によって定義される。
図3では、サンプリング時間は、信号SMPの斜線領域によってマークされる。
【0024】
サンプリングが信号SMPの立ち下がりエッジによってトリガされてもよいし、サンプリング時間が信号SMPの立ち下がりエッジと立ち上がりエッジとの間の時間として定義されてもよいことに留意されたい。
【0025】
アナログ入力信号のサンプリングプロセスが完了した後、すなわち、例えばSMPの立ち下がりエッジの後、変換要求信号REQは起動され、このことは、信号REQがそのレベルを論理0から論理1に変えることを意味する。この例の起動は、レベルを0から1に変えることによって定義されるが、REQがそのレベルを1から0に変えることによって起動されてもよいことに留意されたい。
【0026】
変換要求信号REQが起動された後、SOC制御信号は、サンプリング入力の実際のアナログデジタル変換を開始する。ADCによって実行される変換フェーズは、ビジー信号BUSYによって示され、すなわち、BUSY信号がアクティブな間、実際の変換が行われている。ADCによって必要な変換時間はTでもよい。変換が完了するとすぐに、変換の終了は、信号EOCによって示される。しばらくして、システム全体は、次のサンプリング・トリガ信号TRGを受信する用意ができ、次の入力信号をサンプリングおよび変換する用意ができる。
【0027】
ADC150は、SAR−ADC(逐次比較レジスタ)またはシグマデルタADCまたは任意の他のタイプのADCでもよい。ADCM151の出力は、数値SOUT、例えばアナログ入力INを表すデジタル値である。
【0028】
図4は、サンプリングの時間に集中する適用例を示す。スイッチモードの電源のこの例では、トランジスタTRSがオン状態からオフ状態にスイッチングされるとき、入力信号INが正確にサンプリングされることが非常に重要である。
【0029】
トランジスタは、ゲートドライバを介してタイマ・モジュールによって制御され、タイマ・モジュールは、要求ユニットとしてサンプリング・トリガ信号TRGをサンプルホールド・モジュール401に生成する。サンプルホールド・モジュール401は、サンプリング制御回路(SCC)420を備え、サンプリング制御回路(SCC)420は、サンプルホールド段(SHS)410が必要な時間枠の間正確に入力信号INをサンプリングする方法でサンプリング要求信号SMPを生成する。サンプリング出力信号SINは、その後、実際の変換のためにADC450に提供される。
【0030】
図5は、サンプルホールド段(SHS)のための例示的な周知の実施態様を示す。SHSは、スイッチSを含み、スイッチSは、サンプリング要求信号SMPによって制御される。サンプリングフェーズの間、スイッチは閉成し、コンデンサCINは、レジスタRINを通って流れる電流によって充電される。コンデンサを適切な電圧レベルに充電した後、SINは、入力信号INを十分に正確に表す。スイッチは、最小のサンプリング時間の間閉成され、コンデンサが適切に充電されることを確実にするべきである。サンプルホールド段は、2つの動作モードを有する。スイッチが閉成する場合、段はサンプリングモードにある。サンプリングモードでは、出力値は、RINのような寄生要素のためのローパス作用について、入力値に従う。スイッチが開成する場合、段はホールドモードにある。ホールドモードでは、出力は入力から切り離される。
【0031】
S&H段のRCローパスフィルタ効果を最小化するために、サンプリング制御信号SMPは、最小のサンプリング時間の間アクティブであり、出力信号SINが入力信号INに十分に近いことを確実にするべきである。サンプリングスイッチの起動がより短いと、さらなるエラーにつながるため、回避するべきである。変換結果の処理に注目するとき、最小のサンプリング時間のサンプリング基準が満たされなかった場合、入力信号の変換をスキップする方がよい場合もある。誤った変換結果を後に放棄することは、非常に困難である。
【0032】
図6は、各種実施形態に従って、アナログデジタル変換器によって変換される第1のサンプリング出力を提供するためのサンプルホールド・モジュール601を備えるデバイスを示す。
【0033】
図6に示すように、サンプルホールド・モジュール601は、第1のサンプリング制御回路(SCC)620および第1のサンプルホールド段(SHS)610を含む。第1のSCC620および第1のSHS610は、サンプル制御信号SMPxによって結合される。結合に用いられる他の信号が同様に存在してもよいことに留意されたい。
【0034】
SCC620は、第1のトリガ情報(TRGx)を受信し、第1のアナログ入力(INx)のサンプリングをトリガするように構成される。トリガ情報は、特定のメモリ位置、例えばSCC内部のレジスタを用いて、または、専用の信号を用いてSCCに通信されてもよい。SCC620は、要求ユニットによって生成されてもよい第1のサンプリング・トリガ信号TRGxを受信してもよい。
【0035】
要求ユニットは、タイマ・モジュールまたはセンサまたはアナログ値のデジタル値への変換を必要とする任意の他の測定要素でもよい。トリガ信号TRGxは、その立ち上がりエッジによってまたはその立ち下がりエッジによって、サンプリングの要求を示してもよい。
【0036】
第1のSCC620は、第1の衝突検出情報をアナログデジタル変換器(ADC)から受信し、衝突を検出するようにさらに構成される。衝突検出情報は、特定のメモリ位置、例えばSCC内部のレジスタを用いて、または、専用の信号、例えば衝突検出信号CDxを用いて、SCCに通信されてもよい。検出情報は、関連するまたは関連付けられたADCが変換の用意ができている、すなわち、要求された変換を開始するのに利用でき、変換モードに入ることを意味することを示してもよい。ADCが以前にサンプリングされた入力値SINxの変換でビジーな場合、SINxの値は、できるだけ一定に保たれ、変換結果の破損を回避しなければならない。これは、ADCがまだSINxを変換している間、新しいサンプリングフェーズが開始してはならないことを意味する。
【0037】
第1のサンプルホールド・モジュール601は、第1のサンプルホールド段(SHS)610をさらに備え、第1のサンプルホールド段(SHS)610は、第1のサンプリング制御回路(SCC)620に結合され、衝突が第1のSCC620によって検出されなかった場合にのみ、第1のアナログ入力をサンプリングするように構成される。それゆえ、サンプル値を変換するための対応するADCの利用可能性の情報は、SCC620からSHS610に通信される。SHS610は、ADCの用意についての情報を用いて、サンプリングプロセスが開始するべきかを決定する。
【0038】
第1のSCC(620)は、所定の第1のサンプリング基準を調べ、所定の第1のサンプリング基準が満たされる場合にのみ、第1の変換要求をアナログデジタル変換器に出力するようにさらに構成される。
【0039】
対応するまたは関連付けられたADCがまだビジーである(すなわち、変換の用意ができていない)、換言すれば、ADCがまだ以前にサンプリングされた入力を変換している途中である場合、第1のSCC620は、サンプリング要求信号SMPxを提供しなくてもよい。
【0040】
それゆえ、第1のサンプリング制御回路(SCC)620は、衝突が決定されない場合、サンプリング要求を例えば信号SMPxの形で起動するように構成される。サンプリング要求がADC内部のレジスタを用いて、または、ADCによって制御される他の任意のメモリ位置を用いて通信されてもよいことに留意されたい。
【0041】
第1のサンプリングホールド段610が所定のサンプリング基準を満たす第1のサンプリング信号を提供する場合にのみ、第1のサンプリング制御回路620は、変換要求を例えば信号REQxの形で生成するようにさらに構成される。変換要求がADCに特定のメモリ位置を用いて、例えばADC内部のレジスタを用いて、または、専用の信号を用いて通信されてもよいことに留意されたい
【0042】
第1のサンプルホールド段(SHS)610は、第1のサンプリング時間の間、入力信号INxをサンプリングするように構成され、例えば、SHS610は、アナログ入力信号INxを受信し、この入力信号をサンプル制御信号SMPxによって定義された時間枠の間サンプリングする。
【0043】
時間枠は、SMPxの立ち上がりまたは立ち下がりエッジの間、または、SMPxの2つの立ち上がりエッジの間、または、SMPxの2つの立ち下がりエッジの間の時間によって定義されてもよい。
【0044】
サンプリングプロセスは、所定の第1のサンプリング基準が満たされる場合にのみ、サンプリングデータSINxを提供する。所定の第1のサンプリング基準は、最小のサンプリング時間および/またはサンプリングプロセスのための有効な時間窓および/またはサンプリング・トリガ信号またはアナログ入力信号に関連する他の特徴を含む。
【0045】
サンプリングプロセスが有効なサンプリングデータを生成する場合、すなわち、所定の第1のサンプリング基準が例えば最小のサンプリング時間を用いて満たされた場合、第1のSHS610は、サンプリング信号SINxを提供し、第1のサンプリング制御回路SCC620は、例えば信号REQxを提供することによって変換要求を提供する。
【0046】
アナログ入力信号のサンプリングは、サンプリング時間が最小閾値を超える場合にのみ、さらに処理および提供される結果を提供する。サンプリング時間があまりに短い場合、サンプリングプロセスの結果は放棄される。サンプリング窓の終了は、サンプリング制御信号SMPxによって定義される。サンプルホールド・モジュール601のタイミングは、対応するADCのタイミングから完全に独立している。サンプルホールド・モジュール601は、所定のサンプリング条件が満たされる場合にのみ、例えば信号REQxによる変換要求およびサンプリング信号SINxを提供する。上述したように、これらのサンプリング条件は、例えば最小のサンプリング時間を含んでもよい。
【0047】
各種実施形態では、所定のサンプリング基準は、有効な時間窓、すなわちサンプリング窓のための時間枠を含んでもよい。要求ユニットは、例えば、サンプリングの可能な開始を、関連付けられたTRGx信号の立ち下がりまたは立ち上がりエッジによって示してもよい。しかしながら、サンプリング・トリガ信号TRGxと、サンプリング制御信号SMPxによって制御されるサンプリングプロセスの実際の開始と、の間に最大の所定の遅延が存在する場合がある。一例では、対応するADCが、まだそれぞれのチャネルのための以前のサンプリング入力のアナログデジタル変換の途中であるので、サンプリングプロセスは開始できない。
【0048】
サンプリング・トリガとサンプリングの開始との間の遅延が所定の閾値を超える場合、この特定のサンプリング基準は満たされず、サンプルホールド・モジュール601は、いかなる変換要求信号またはサンプリング入力信号も提供してはいけない。
【0049】
各種実施形態では、第1のサンプリング制御回路620は、サンプリングの時間を示す第1のタイムスタンプを提供するようにさらに構成される。この情報は、所定のサンプリング基準として定義されてもよく、すなわち、タイムスタンプが特定の制限を超える場合、サンプリング出力値が有効ではない、すなわち期限切れであり、このことは、さらなる処理のためにあまりに古いということを意味する。
【0050】
図7は、アナログデジタル変換器(ADC)の機能を
図6のサンプルホールド・モジュール(S&H)に追加するさらなる例示的実施形態を示す。各種実施形態では、ADC変換システム700は、サンプルホールド・モジュール701および対応するADC750を含んでもよい。サンプルホールド・モジュール701は、所定のサンプリング基準が満たされる場合、要素601の記載された機能を実施してもよい、すなわち、サンプリング出力信号SINxおよび対応する変換要求のスマートな生成を、例えば信号REQxを提供することによって実施してもよい。これらの信号は、ADC750によって受信される。
【0051】
それゆえ、ADC750は、サンプリング出力信号SINxを受信するように構成され、変換が要求される場合、サンプリング出力信号SINxを出力値SOUTに変換するようにさらに構成される。サンプリングされたが、まだアナログの入力をデジタル値に変換するための要求は、受信された変換要求によって、例えば信号REQxを用いることによって示される。
【0052】
ADC750は、ADC制御回路(ACC)752およびADC変換モジュール(ADCM)751を含む。ACC752は、変換要求信号REQxを受信し、ADC状態情報を衝突検出信号CDxの形で提供し、SCC720にADC750の動作状態を知らせる。
【0053】
それゆえ、ADC制御回路752は、変換要求信号REQxを受信するように構成され、衝突検出信号CDxを提供し、衝突が検出されるかを示すようにさらに構成される。衝突は、ADCが以前にサンプリングされた入力の変換で現在ビジーであることを意味する。それゆえ、衝突検出信号CDxは、ADCが変換モードにあるかを示す。
【0054】
変換モジュールADCM751がサンプリング出力信号を出力値SOUTに変換する段階にある場合、すなわち、ADCがまだビジーである場合、衝突検出信号CDxは、アクティブである。アクティブなCDx信号が論理0または論理1によって表されてもよいことに留意されたい。衝突検出信号CDxは、サンプルホールド・モジュール701に、ADCが現在ビジーであること、すなわち、アナログデジタル変換プロセスがまだ進行中であることを示す。この情報は、サンプリング制御回路720により用いられる。なぜなら、対応するADCが関連付けられたチャネルでビジーである限り、起動されるサンプリング要求信号SMPxが存在しないからである。
【0055】
ADC制御回路752およびADC変換モジュール751は、複数の制御信号CTRによって結合され、複数の制御信号CTRを用いて、状態メッセージを交換することができる。CTRは、アナログデジタル変換を開始する、または、処理された変換の終了を示すためのトリガを含んでもよい。従来のシステムでは、いくつかの機能ユニット、例えばタイマ、デジタル入力段または他のADCは、それぞれ、入力信号または特定のチャネルの変換を要求しうる。結果として、ADCは、異なる要求元から来る複数の要求に対処するためのメカニズムを含み、入力を選択し、次に変換を開始しなければならない。
【0056】
図8は、電気モータ制御システムの適用例を示す。モータMは、3つの電流およびそれらの関連する複雑な相によって基本的に制御される。モータ特性のデジタル制御は、典型的には、アナログデジタル変換器システムを用いて処理されている。この種のADCシステムでは、3つすべての電流は、基本的に同時に変換されなければならない。3つのシャント抵抗Rxは、相流iA、iBおよびiCを測定するのに用いられる。パワーインバータ段のスイッチおよびゲートドライバは、ローサイドスイッチのためにTLA、TLBおよびTLCとラベル付けされ、ハイサイドスイッチのためにTHA、THBおよびTHCとラベル付けされる。この例では、1つの要求ユニットは、3つのサンプリング・トリガ信号をADCシステムに提供する。ADCシステムは、3つすべての入力チャネルの変換を基本的に同時に処理するべき1つのアナログデジタル変換モジュールのみを含んでもよい。
【0057】
1つのADCのみを用いて複数の変換要求を処理する一例は、調停部の展開である。一般的に、変換のためのすべての可能な要求元は、ADCの一部でもよい調停部によって処理されなければならない。これは、特に要求元が複数の入力信号またはチャネルの並列サンプリングを要求する場合、ADCにおける多大な労力につながり、複雑さが増加する。
【0058】
複数の変換要求の場合には、複数のS&H段の展開が可能である。複数のS&H段が用いられる場合、これらの段の各々は、ADCの内部タイミングに同期され、入力信号のための同じサンプリング・タイミングを達成しなければならない。これは、ADCの構築における設計労力および複雑さが増加する。これらの構造の欠点は、ADC内部タイミングが入力信号のサンプリング・タイミングを定義するということである。
【0059】
図9は、例えばさらなる実施形態を示す。各種実施形態では、ADCシステム900は、複数の入力、例えば2つの入力信号(INx、INy)と、対応するサンプリング・トリガ、例えばトリガ信号(TRGx、TRGy)と、を複数の関連付けられた要求ユニットから受信してもよい。複数のサンプリング・トリガ信号および/または対応する入力信号をADCシステムに提供する単一の要求ユニットが存在してもよいことに留意されたい。
【0060】
システム900は、2つのサンプルホールド・モジュール901および902を含むが、サンプルホールド・モジュールは、
図6のサンプルホールド・モジュールとして実施されてもよい。これらのモジュールの各々は、対応するサンプリング要求信号(SMPxまたはSMPy)によって結合されるサンプリング制御回路(920または921)およびサンプルホールド段(910または911)を備える。
【0061】
サンプルホールド・モジュール(901、902)は、対応する入力およびサンプリング・トリガ信号を受信し、それぞれ、関連付けられた変換要求信号REQxまたはREQyを提供する。これらの変換要求信号を提供する機能は、
図6に記載されたのと同じである。
【0062】
ADC変換システム900は、第1のサンプルホールド・モジュール901および第2のサンプルホールド・モジュール902を含む。第2のサンプルホールド・モジュールは、アナログデジタル変換器によってデジタル値に変換される第2のサンプリング出力SINyを提供する。第2のサンプルホールド・モジュールは、第2のサンプリング制御回路921をさらに備え、第2のサンプリング制御回路921は、第2のトリガ情報を、例えば信号TRGyによって受信し、第2のアナログ入力INyのサンプリングをトリガするように構成される。第2のサンプルホールド・モジュールは、第2の衝突検出情報を例えば信号CDyによって対応するアナログデジタル変換器から受信し、衝突を検出するようにさらに構成される。
【0063】
第2のサンプルホールド・モジュールは、第2のサンプリング制御回路921に結合される第2のサンプルホールド段911をさらに含み、第2のアナログ入力をサンプリングするようにさらに構成される。しかしながら、サンプリングは、衝突が第2のサンプリング制御回路によって検出されなかった場合にのみ、実行される。同じチャネルの入力の変換が進行中である場合、衝突が発生しうる。
【0064】
第2のサンプリング制御回路921は、所定の第2のサンプリング基準を調べ、所定の第2のサンプリング基準が満たされる場合にのみ、第2の変換要求をアナログデジタル変換器に出力するようにさらに構成される。所定のサンプリング基準が満たされない場合、例えば信号REQyの形の変換要求は発行されない。
【0065】
アナログデジタル変換器(ADC)は、アナログデジタル変換モジュール951を備えてもよく、アナログデジタル変換モジュール951は、選択されたサンプリング出力をデジタル値に変換するように構成される。選択されたサンプリング出力は、サンプリング出力SINxまたはSINyの1つでもよい。
【0066】
ADCは、アナログデジタル変換制御回路952をさらに備え、アナログデジタル変換制御回路952は、第1の変換要求を受信するように構成されてもよく、第1の衝突検出情報を提供し、衝突が検出されるかを示すようにさらに構成されてもよい。
【0067】
アナログデジタル変換制御回路952は、第2の変換要求を受信し、第2の衝突検出情報を提供し、第1および第2の変換要求の1つを所定の調停方式に従って選択するようにさらに構成される。
【0068】
ADC制御回路952は、調停部の機能を提供してもよい。一実施形態では、ADC制御回路952は、両方の変換要求信号を受信し、所定の調停基準に従って調停する。これらの基準は、固定の優先順位方式を含むことができ、固定の優先順位方式は、要求信号の各々が所定の優先順位に対応することを意味する。
【0069】
さらなる例では、ADC制御回路952はラウンドロビン調停メカニズムに従う調停方式を用いてもよく、ラウンドロビン調停メカニズムは、対応する要求信号が順次処理されることを意味する。
【0070】
図10は、2つの要求ユニットが、それぞれのサンプリング・トリガ信号(TRGxおよびTRGy)を提供し、それらのそれぞれの入力またはチャネルのアナログデジタル変換を要求する場合のタイミング図を示す。上述した例のように、対応するサンプリング制御信号SMPxおよびSMPyは、それぞれのチャネルxまたはyのサンプリング要求を示す。
【0071】
SMPxの立ち下がりエッジによって示されるサンプリングが完了し、有効なサンプリング入力が生成された後、変換要求信号REQxは起動され、チャネルxのアナログデジタル変換が実行されている。変換時間はTxによって示され、REQx信号がそのレベルをもとの論理0に変化するまでの時間を表す。
【0072】
変換要求信号REQxは、所定のサンプリング基準またはサンプリング条件が満たされる場合にのみ生成されることに留意されたい。これらのサンプリング条件は、最小のサンプリング時間、サンプリングのための有効な時間窓、または、サンプリングプロセスが有効なデータを生成したかを決定するために予め定義されていた任意の他の基準を含んでもよい。
【0073】
有効な時間窓は、2つの専用の時点によって定義されてもよい。アナログ入力信号をサンプリングした後またはサンプリングする間、これらの所定の時点の間にサンプリングが発生したかまたは発生しているかを調べることができる。
【0074】
図10では、変換は、有効なサンプリング入力を提供した後に、REQxの立ち上がりエッジによって要求される。チャネルxのそれぞれの入力の変換の間、他の要求ユニットの入力はサンプリングされていて、これは、サンプリング要求信号SMPyによって示される。
【0075】
第2のチャネル、すなわちチャネルyのサンプリングの後に、対応する変換要求信号REQyが起動され、サンプリングされたチャネルyの入力信号は、時間枠Tyの間変換されている。
【0076】
チャネルyの変換がまだ進行中である間、チャネルxからの他のサンプリング・トリガ信号TRGxが受信され、SMPxによって示されるチャネルxの入力をサンプリングする対応するサンプリングプロセスは開始する。
【0077】
新しくサンプリングされたチャネルxの関連する入力の実際のアナログデジタル変換は、REQxの変換要求信号の立ち上がりエッジから開始する。以前の変換が完了し、対応するADC変換モジュールがチャネルyの入力の変換でもはやビジーではないので、変換を実際に実行していることができる。
【0078】
図11は、2つのサンプリング・トリガ信号が同時に現れ、入力の衝突と呼ばれうる場合のためのタイミング図を示す。第1のチャネルxのサンプリング・トリガ信号TRGxを用いて、サンプリングプロセスは、SMPxの立ち上がりエッジによって示されるように開始する。同じ機能は、チャネルyからの第2のサンプリング・トリガ信号TRGyのために発生する。対応するチャネルyからの入力信号をサンプリングするサンプリングプロセスは、サンプリング制御信号SMPyによって示されるように開始する。
【0079】
サンプリング条件が両方のチャネルのために満たされる場合、対応する変換要求信号REQxおよびREQyは起動される。しかしながら、1つのADCMは、同時に1つの入力しか変換できないので、調停機能が提供され、2つの要求信号の間で調停しなければならない。
【0080】
図11の例では、チャネルxがより高い優先順位を割り当てられたので、チャネルxが最初に処理される、すなわち、時間枠Txの間、チャネルxからのサンプリング入力SINxが変換される。変換が完了するとすぐに、チャネルyが処理される、すなわち、時間Tyの間、チャネルyの入力がADCMによって変換される。チャネルxおよびyの入力がADCによって処理された後、システム全体は、さらなるサンプリング・トリガ信号を処理し、チャネルxまたはyからの次の対応する入力を変換する用意ができる。
【0081】
図12は、他の衝突例に従うさらなる実施形態のタイミング図を示す。再び、チャネルxおよびチャネルyの2つの同時の変換要求が同時に発生する。所定のサンプリング条件が両方のチャネルのために満たされるので、対応するアナログ入力信号は、サンプリングされていて、対応する変換要求信号REQxおよびREQyが発生している。
【0082】
所定のサンプリング条件が複数のチャネルのために異なってもよく、すなわちサンプリング条件は、チャネルに特有でもよいことに留意されたい。1つのサンプリング条件は、最小のサンプリング時間を含んでもよい。この最小のサンプリング時間は、チャネルxおよびチャネルyのために異なりうる。さらなるサンプリング条件は、サンプリングのための有効な時間窓を含んでもよく、有効な時間窓は異なりうる、すなわち特定のチャネル専用でありうる。
【0083】
チャネルxに関連付けられたアナログ入力のアナログデジタル変換がTx後に完了した場合、チャネルyに関連付けられたアナログ入力の変換は、Tyの間に開始する。一般的には変換時間は同一であるが、変換時間TxおよびTyは異なってもよい。
【0084】
時間Tyのチャネルyの変換の間、すなわちADC変換が進行中である間、チャネルyのための第2のサンプリング・トリガパルス(1260)は、発生する。チャネルyのこの追加のサンプリング・トリガ1260は、その関連付けられた入力チャネルyの新しいサンプリングプロセスを直ちには開始しない。なぜなら、ADCは、チャネルyの以前のサンプリング入力をサービスすることでまだビジーであり、すなわち、ADC衝突が発生したからである。
【0085】
ADCまたはADCMのそれぞれで検出された衝突のため、チャネルyのサンプリングは遅延されている。信号REQyの立ち下がりエッジによって示される、チャネルyの変換が完了した後、信号SMPyの立ち上がりエッジによって示される、チャネルyのアナログ入力信号INyのサンプリングプロセスが開始する。
【0086】
チャネルyのサンプリングが成功する場合、すなわち、所定のサンプリング基準が満たされる場合、変換要求信号REQyは再び起動されている。現在、変換がチャネルyのために進行中ではないので、チャネルyの変換が現在実行されている。
【0087】
チャネルyのサンプリングの間、すなわちそれぞれの入力信号のサンプリングの間、チャネルxのさらなるサンプリング・トリガパルス(1261)が受信されている。チャネルyの変換が進行中である間、チャネルxは並列にサンプリングされている。第1のチャネルの変換が第2のチャネルのサンプリングに並列に実行可能であることに留意されたい。
【0088】
チャネルxのサンプリングが有効なサンプリング入力を提供する場合、対応する変換要求信号REQxは再び起動される。しかしながら、入力チャネルyの変換がまだ進行中であるので、チャネルxの変換は直ちには開始できない。チャネルyの変換が完了した後、サンプリング入力SINxは変換可能である。
【0089】
図13は、他の衝突例に従うさらなる実施形態のタイミング図を示す。
図12と同様に、2つのチャネルは、変換要求信号を提供し、それらの関連付けられた入力は、その後変換される。チャネルyの以前の入力が変換されている間、すなわち、期間Tyの間、チャネルyの第2のサンプリング・トリガ信号TRGy1360が発生する。
【0090】
チャネルyの変換が完了した後にのみ、チャネルyのサンプリングが可能であるので、チャネルyの新しい入力をサンプリングする最先の時点は、変換要求信号REQyの立ち下がりエッジによって示されるときであろう。
図13の場合、サンプリング・トリガ1360とREQyの立ち下がりエッジとの間の遅延は、あまりに大きいので、サンプリング要求信号SMPyは生成されない。換言すれば、チャネルyのための対応するサンプリング基準は満たされない。サンプリング基準は、例えば、サンプリング・トリガ信号と、関連付けられたアナログ入力信号のためのサンプリングの開始と、の間の最大の遅延である。上述した遅延のための関連するサンプリング・トリガがサンプリング・トリガ信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジでもよいことに留意されたい。
図13では、チャネルyのためのサンプリング基準は、有効なサンプリング入力を提供しない。
【0091】
図14は、さらなる実施形態のブロック図を示す。各種実施形態では、ADC変換システム1400は、2つのサンプルホールド・モジュール(S&Hx、S&Hy)および1つのアナログデジタル変換器(ADC)を含んでもよい。サンプルホールド・モジュールの各々は、専用の変換要求信号およびサンプリング出力信号(SINx、SINy)をADCに提供する。
【0092】
対応するサンプリングプロセスが有効なサンプリングデータを提供する場合にのみ、サンプルホールド・モジュールが変換要求を例えば信号の形で提供することに留意されたい。無効なサンプリング出力が存在する場合、例えば、所定のサンプリング基準を満たさない場合、変換要求は発行されない。
【0093】
サンプリングデータおよび/またはサンプリングプロセスの有効性は、所定のサンプリング基準によって定義される。サンプリング基準は、最小のサンプリング時間のための閾値、サンプリングプロセスのための有効な時間窓、入力信号に割り当てられる任意の特性(例えば最大周波数)、サンプルホールド段の特性(例えば充電されたコンデンサの電圧レベル)、サンプリング・トリガ信号の特性(例えば傾き特性)、サンプリング制御回路の特性またはサンプルホールド・モジュールに関連する任意の他の特性を含んでもよい。
【0094】
所定のサンプリング基準が最初に予め定義されているという意味で予め定義されていることに留意されたい。動作の間、所定のサンプリング基準は、例えば内部または外部の事象または測定データの特性に従って更新または訂正されてもよい。一実施形態では、無効なデータの数が増加する場合、最小の必要なサンプリング時間は減少してもよく、逆もまた同じである。
【0095】
ADC1450は、ADC制御回路(ACC)1452およびADC変換モジュール(ADCM)1451を含む。ACC1452は、サンプルホールド段からのサンプリング入力データ(SINx、SINy)および対応する変換要求信号(REQx、REQy)を受信する。ACC1452は、対応する衝突検出信号(CDx、CDy)をサンプルホールド段に提供する。ADC1450がそれぞれのチャネルのサンプリング入力データを変換している途中である場合、対応するチャネルxまたはyに関連する衝突検出信号(CDxまたはCDy)は設定されている。衝突検出信号は、新しく到着した入力データのサンプリングプロセスがこのそれぞれのチャネルのために開始可能かの情報をサンプルホールド段に提供する。第2のチャネル(例えばチャネルy)が変換されている間、第1のチャネル(例えばチャネルx)がサンプリング可能であることに留意されたい。
【0096】
ACC1452は、調停メカニズムを実施し、選択されたサンプリング入力SINをADCM1451に実際の変換のために提供する。さらに、ACC1452は、変換の開始信号SOCをADCM1451に提供し、実際のアナログデジタル変換を開始する。
【0097】
ADCM1451は、実際のアナログデジタル変換を実施し、変換出力値SOUTと、変換が信号EOCを用いて完了したという印と、を提供する。ADCM1451は、SAR−ADC回路、シグマデルタADC回路または任意の他の種類のアナログデジタル変換回路によって実施されてもよい。
【0098】
サンプルホールドユニット(S&Hx、S&Hy)の各々は、対応するサンプリング制御回路(SCCx、SCCy)およびサンプルホールド段(SHSx、SHSy)を含む。サンプリング制御回路は、衝突情報(CDx、CDy)をACC1452から受信する。
【0099】
独立したS&H段を有するトポロジの1つの主要な利点は、S&HタイミングおよびADC変換タイミングが完全に切り離される、すなわち異なるクロックネットに関連するという事実によって与えられる。
【0100】
サンプリング制御回路(SCCx、SCCy)は、最小のサンプリング時間が尊重される(信号SMPxおよびSMPyがサンプリングフェーズの長さを示す)ということを確実にしてもよい。1つの動作モードでは、サンプリング・トリガ信号(TRGx)は、所定の時間間隔の間、サンプリングスイッチを起動するタイマを開始することができる。サンプリングフェーズ終了後、アナログデジタル変換が要求され、開始することができる(SOC=変換の開始)。
【0101】
要求された変換が終了し(EOC=変換の終了)、CDxによって信号が返信された後、変換要求はキャンセルされてもよい。
【0102】
図14の実施形態が非常に単純なハンドシェイク方式を示すことに留意されたい。本実施形態では、ADCの関連するチャネルが実際に変換される間、衝突検出信号はアサートされる(すなわち起動または設定される)。他の信号送信方式も可能である。
【0103】
サンプリング・トリガ信号に加えて、サンプリング制御回路の各々は、対応する時間信号(TIMEx、TIMEy)を受信する。これらの時間信号は、対応するチャネルのための時間基準を定義してもよい。時間信号はまた、時間窓を定義してもよく、時間窓は、SCCにサンプリングのための有効な時間枠を知らせるのに用いられている。例えば、時間信号は、設定またはアサートされ、有効な時間窓の開始をマークすることができるとともに、時間信号の立ち下がりエッジは、有効な時間窓の終了をマークしてもよい。
【0104】
図15は、ADC変換システムの他の実施形態を示す。システム1500は、2つのサンプリング制御回路(1520、1521)を備え、第1のサンプリング制御回路(1520)は、第1のタイムスタンプ(TSTMPx)を提供するようにさらに構成され、第2のサンプリング制御回路(1521)は、第2のタイムスタンプ(TSTMPy)を提供するようにさらに構成される。システム1500はまた、アナログデジタル変換制御回路1552を含んでもよく、アナログデジタル変換制御回路1552は、第1および第2のタイムスタンプをさらなる処理のために受信するように構成される。
【0105】
これらのタイムスタンプ信号を用いて、各サンプリングプロセスは、サンプリングの時間を定義するタイミング情報でマークされる。タイムスタンプは、サンプリング窓の真の終了点についての情報を含んでもよく、異なるサンプルホールド段からの関連するサンプルを組み合わせることを可能にする。
【0106】
ADC変換モジュール(ADCM)1551は、サンプリングプロセスについてのいかなる情報も有さない。ADC制御回路(ACC)1552は、これらのタイムスタンプ信号を受信し、サンプリングプロセスについての時間情報を格納してもよい。アナログデジタル変換器ADCは、タイムスタンプを、生成された出力値SOUTに加えて添付することができる。
【0107】
図15の例では、ACC1552は、選択信号SELを提供し、選択信号SELは、マルチプレクサMUXに供給される。この選択信号SELは、接続されているどちらのサンプルホールド・モジュールが変換のために選択されているのかを識別する。換言すれば、調停方式(例えば定義済みの優先順位、ラウンドロビン)に従って、選択信号はアサートされる。この選択信号は、サンプリング入力信号(SINxおよびSINy)をそれぞれのサンプルホールド・モジュール(S&HxおよびS&Hy)から受信するマルチプレクサMUXを制御する。マルチプレクサMUXの出力は、選択されたサンプリング出力信号SINであり、サンプリング出力信号SINは、変換モジュール(ADCM)1551によってデジタル出力値SOUTに実際に変換される。
【0108】
図16は、さらなる実施形態に関連するタイミング図を示す。上述した例のように、サンプリング・トリガパルス1661は、チャネルyのために受信されている。対応するサンプリングプロセスは、サンプリング制御信号SMPyの立ち上がりエッジから開始する。上述した例とは対照的に、サンプリング窓の終了点は、ここでは、サンプリング・トリガパルス1661の立ち下がりエッジによってトリガされる。
【0109】
図に示すように、パルス1661が十分に長いので、言い換えると、チャネルyのための最小のサンプリング時間を定義する斜線領域を超えるので、第1の入力のサンプリングは、有効なサンプリング入力として提供する。結果として、変換要求信号REQyの立ち上がりエッジは、時間Tyの間この有効にサンプリングされた入力のその後の変換を示す。
【0110】
チャネルyでの新しい入力値のサンプリングは、次のサンプリング・トリガパルス1662によってトリガされる。それぞれの入力チャネルのサンプリングは、以前のチャネルyの入力の変換プロセスが完了した直後に開始する。再び、サンプリング・トリガパルス1662の立ち下がりエッジは、対応するサンプリング窓の終了をマークする。
図16において斜線領域により示すように、両方のサンプリング・トリガパルス(1661および1662)の長さは、必要な最小のサンプリング時間より長い。
【0111】
第2の入力データが変換される間、チャネルyの第3のサンプリング・トリガパルス1663は受信される。以前のサンプリング入力の変換がまだ進行中であるので、第3のそれぞれの入力のサンプリングは、REQyの立ち下がりエッジからのみ開始することができる。最小のサンプリング時間のため、斜線領域は、サンプリング・トリガパルスの立ち下がりエッジを超える。サンプリングの遅い開始のため、パルス1663の立ち下がりエッジが受信されるとき、サンプリング窓はまだ閉じていない。この場合、サンプリング時間はあまりに短い。変換要求信号REQyは、アサートされないかまたは起動されない。
【0112】
類似の状況は、第4のサンプリング・トリガパルス1664によって発生する。最小のサンプリング時間が経過する前に、立ち下がりエッジは発生する。それゆえ、サンプリング時間はあまりに短い、言い換えると、サンプリング・トリガパルスはあまりに短い。結果として、変換要求信号は、トリガパルス1664に関して生成されない。
【0113】
図17は、さらなる実施形態のタイミング図を示す。この例では、2つのチャネルまたはそれぞれの要求ユニットは、サンプリング・トリガ信号(TRGxおよびTRGy)を提供する。第1のチャネルxは、サンプリング・トリガパルス1761の立ち上がりエッジを展開し、サンプリングを開始し、その後、対応するサンプリングプロセスが完了したらすぐに(SMPxの立ち下がりエッジによって示される)、対応する変換要求信号REQxを提供する。
【0114】
第1のチャネルxとは対照的に、第2のチャネルyは、サンプリング・トリガ信号TRGyの立ち下がりエッジがサンプリング窓の終了を定義するメカニズムを実施する。チャネルyのためのサンプリングプロセスは直ちに開始する(SMPyの立ち上がりエッジによって示される)。変換要求信号REQyは、パルス1763の立ち下がりエッジによって起動されている。
【0115】
チャネルxの変換が時間Txの間まだ進行中であるので、要求信号REQyが起動されたにもかかわらず、チャネルyの変換は可能ではない。チャネルxの変換の間、第2のサンプリング・トリガパルス1764が受信され、サンプリングプロセスは直ちに開始する。このサンプリング・トリガパルス1764が停止する場合、言い換えると、パルス1764の対応する立ち下がりエッジが受信されると、チャネルyの変換は開始する。
【0116】
図17では、パルス1764のパルス長さはSMPyの斜線領域より長いこと、すなわち、サンプリング時間の基準はこの場合満たされることが分かる。次に、チャネルyに対応する入力は、Tyによって示される時間窓の間変換される。このように、常に、最新の正しくサンプリングされた値が変換されてもよい。
【0117】
図18は、各種実施形態に従う、変換要求信号を生成する方法のプロセスフロー1800を示す。
【0118】
各種実施形態では、方法は、(1801において)サンプリング・トリガ情報を受信し、サンプリング出力を生成するように構成されるサンプルホールド段によって実行されるサンプリングをトリガするステップと、(1802において)状態情報を受信し、対応するアナログデジタル変換器がサンプリング出力を変換する用意ができているかを決定するステップと、を含む。対応するアナログデジタル変換器がサンプリング出力を変換する用意ができていることを状態情報が示す場合にのみ、方法は、(1804において)サンプリング時間の間、アナログ入力をサンプルホールド段によってサンプリングするステップをさらに含む。このサンプリングプロセスが所定のサンプリング基準を満たす場合にのみ、(1806において)アナログデジタル変換器によって実行される数値への変換が要求される。
【0119】
変換の用意は、衝突検出信号によって示されてもよい。各種実施形態では、対応するADCが利用できる場合にのみ、すなわち、サンプリングの後、関連付けられた変換が可能である場合にのみ、サンプリングは開始する。これはまた、ADCが以前のサンプルの変換でビジーではなく、新しいサンプリングフェーズが開始されてもよいことを示す。
【0120】
各種実施形態では、サンプリング基準は、サンプリングデータが有効なデータであるかを定義する。例えば、サンプリング時間が所定の閾値より短い場合、サンプリングデータは有効ではない。結果として、その後の変換は存在しない。
【0121】
各種実施形態では、サンプリング基準は、サンプリングのための特定の時間枠に基づく。
【0122】
所定のサンプリング基準は、最小のサンプリング時間と、サンプリングを実行するための有効な時間窓または時間枠と、の組み合わせを含んでもよいし、サンプリング入力値を有効と示すのに使用可能な任意の他の基準を含んでもよい。
【0123】
各種実施形態では、開示された方法は、サンプリングプロセスが成功している場合にのみ、変換要求を提供する。なんらかの理由によりサンプリングプロセスが成功していない場合、アナログデジタル変換は要求されない。
【0124】
各種実施形態では、方法は、サンプルホールドタイミング領域とADC変換タイミング領域とを分離する。
【0125】
各種実施形態では、方法は、ADC変換のプロセスが時間的に分離される間、正確なサンプリングの制御を可能にする。
【0126】
各種実施形態では、サンプリング基準の満足は、外部信号によって示される。例えば、専用の信号が無効なサンプリングデータを示す場合、サンプリング基準が満たされないとみなされる。
【0127】
アナログデジタル変換器(ADC)が複数のチャネルを処理する場合、ビジーなADCまたは変換の用意ができていないADCは、同じチャネルに関する限り、ブロッキング作用によって特徴付けられる。それゆえ、例えば、チャネルxの変換が要求され、ADCがチャネルyを現在変換している場合、ADCは、ビジーであるとはみなされない、すなわち、ADCは、それぞれ変換の用意ができている。
【0128】
1つまたは複数の例では、本願明細書に記載されている機能は、少なくとも部分的にハードウェア、例えば特定のハードウェアコンポーネントまたはプロセッサにおいて実施されてもよい。より一般的には、技術は、ハードウェア、プロセッサ、ソフトウェア、ファームウェアまたはそれらの任意の組み合わせにおいて実施されてもよい。ソフトウェアにおいて実施される場合、機能は、1つまたは複数の命令またはコードとしてコンピュータ可読媒体上に格納されてもよいし、コンピュータ可読媒体に伝送されてもよいし、ハードウェアベースの処理ユニットによって実行されてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読記憶媒体を含んでもよく、コンピュータ可読記憶媒体は、有形の媒体、例えばデータ記憶媒体または通信媒体に対応し、コンピュータプログラムをある場所から他の場所に、例えば通信プロトコルに従って転送するのを容易にする任意の媒体を含む。
【0129】
このように、コンピュータ可読媒体は、一般的に、(1)非一時的である有形のコンピュータ可読記憶媒体、または、(2)信号または搬送波のような通信媒体に対応してもよい。データ記憶媒体は、この開示に記載されている技術の実施のための命令、コードおよび/またはデータ構造を読み出す1つまたは複数のコンピュータまたは1つまたは複数のプロセッサによってアクセス可能な任意の利用できる媒体でもよい。コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読媒体を含んでもよい。
【0130】
この開示の技術は、集積回路(IC)またはICのセット(例えば、チップセット)を含む多種多様なデバイスまたは装置において実施されてもよい。さまざまなコンポーネント、モジュールまたはユニットは、この開示に記載され、開示された技術を実行するように構成されるデバイスの機能的な態様を強調するが、異なるハードウェアユニットによる実現を必ずしも必要とするわけではない。むしろ、上述したように、さまざまなユニットは、単一のハードウェアユニットに組み込まれてもよいし、または、術中(intraoperative)ハードウェアユニットの集合によって提供されてもよく、上述したように、1つまたは複数のプロセッサを適切なソフトウェアおよび/またはファームウェアとともに含む。