特許第6594469号(P6594469)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フオルクスヴアーゲン アクチエンゲゼルシヤフトの特許一覧

特許6594469モバイルデバイスのための装置、方法およびコンピュータプログラム
<>
  • 特許6594469-モバイルデバイスのための装置、方法およびコンピュータプログラム 図000002
  • 特許6594469-モバイルデバイスのための装置、方法およびコンピュータプログラム 図000003
  • 特許6594469-モバイルデバイスのための装置、方法およびコンピュータプログラム 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594469
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】モバイルデバイスのための装置、方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 88/06 20090101AFI20191010BHJP
   H04W 48/16 20090101ALI20191010BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20191010BHJP
   H04W 4/40 20180101ALI20191010BHJP
【FI】
   H04W88/06
   H04W48/16 130
   H04M1/00 R
   H04W4/40
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-35244(P2018-35244)
(22)【出願日】2018年2月28日
(65)【公開番号】特開2018-148559(P2018-148559A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2018年2月28日
(31)【優先権主張番号】10 2017 203 358.4
(32)【優先日】2017年3月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フォルクスヴァーゲン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ザシャ ユアテ
【審査官】 新井 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−166355(JP,A)
【文献】 特開2006−279926(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/112599(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0273486(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0370843(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイルデバイス(100)のための装置(10)であって、前記装置は、
第1の移動通信システム内および第2の移動通信システム内において通信するように構成された送受信機モジュール(12)と、
コントロールモジュール(14)と、
を含み、前記コントロールモジュール(14)は、
前記モバイルデバイス(100)の次の貯蔵エネルギー補充予測時点までの期間が時間閾値よりも長いか否かを判定し、さらに、
前記モバイルデバイス(100)が、前記次の貯蔵エネルギー補充予測時点に、前記第2の移動通信システムのカバーエリア内に位置している確率が確率閾値よりも小さいか否かを判定するように構成されており、
前記コントロールモジュール(14)は、
前記期間が前記時間閾値よりも長い場合、および/または、前記確率が前記確率閾値よりも小さい場合には、データ伝送のために前記第1の移動通信システムを使用し、
前記期間が前記時間閾値以下であり、かつ、前記確率が前記確率閾値以上である場合には、前記モバイルデバイス(100)の次の貯蔵エネルギー補充時点において、または、前記モバイルデバイス(100)の次の貯蔵エネルギー補充時点よりも前に、前記第2の移動通信システムとのコネクションが使用可能であれば、データ伝送のために前記第2の移動通信システムを使用する、
ように構成されている、
モバイルデバイス(100)のための装置(10)。
【請求項2】
前記コントロールモジュール(14)は、前記モバイルデバイス(100)のポジションを特定するように構成されており、前記コントロールモジュール(14)は、前記モバイルデバイス(100)のポジションに基づき、前記モバイルデバイス(100)の次の貯蔵エネルギー補充予測時点までの前記期間が前記時間閾値よりも長いか否かを判定するように構成されており
および/または、
前記コントロールモジュール(14)は、前記モバイルデバイス(100)のエネルギー消費量に基づき、前記モバイルデバイス(100)の次の貯蔵エネルギー補充予測時点までの前記期間が前記時間閾値よりも長いか否かを判定するように構成されている、
請求項1記載の装置(10)。
【請求項3】
前記モバイルデバイス(100)の貯蔵エネルギーの補充は、電気エネルギー、液体燃料、ガソリン、ディーゼル、天然ガス、液化石油ガス、または、水素による貯蔵エネルギーの補充に相当する、
請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記モバイルデバイス(100)は、車両に相当し、
または、
前記モバイルデバイス(100)は、移動電話、プログラミング可能な移動電話、プログラミング可能な時計、または、タブレットコンピュータに相当する、
請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
モバイルデバイス(100)のための装置(10)であって、前記装置は、
第1の移動通信システム内および第2の移動通信システム内において通信するように構成された送受信機モジュール(12)と、
コントロールモジュール(14)と、
を含み、前記コントロールモジュール(14)は、
前記モバイルデバイス(100)の次の貯蔵エネルギー補充予測時点までの期間が時間閾値よりも長いか否かを判定し、さらに、
前記モバイルデバイス(100)において見込まれる次点検までの別の期間が前記時間閾値よりも長いか否かを判定するように構成されており、
前記コントロールモジュール(14)は、
前記期間および前記別の期間が前記時間閾値よりも長い場合には、データ伝送のために前記第1の移動通信システムを使用し、
前記期間または前記別の期間が前記時間閾値以下である場合には、前記モバイルデバイス(100)の次の貯蔵エネルギー補充時点において、または、前記モバイルデバイス(100)の次の貯蔵エネルギー補充時点よりも前に、前記第2の移動通信システムとのコネクションが使用可能であれば、データ伝送のために前記第2の移動通信システムを使用する
ように構成されている、
モバイルデバイス(100)のための装置(10)
【請求項6】
前記第1の移動通信システムは、セルラ移動無線システムに相当し、前記第2の移動通信システムは、ワイヤレスローカルネットワークに相当し、
および/または、
前記第1の移動通信システムは、比較的長い第1の到達距離を有する移動通信システムに相当し、前記第2の移動通信システムは、比較的短い第2の到達距離を有する移動通信システムに相当する、
請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記データ伝送は、50Mbyteよりも大きいデータ容量を有するデータの伝送に相当し、
および/または、
前記データ伝送は、地図データ、前記モバイルデバイス(100)のコンピュータプログラムのプログラムアップデート、前記モバイルデバイス(100)のオペレーティングシステムのアップデート、ビッグデータ、および/または、メディアデータの伝送に相当する、
請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
モバイルデバイス(100)のための方法であって、前記方法は、
前記モバイルデバイス(100)の次の貯蔵エネルギー補充予測時点までの期間が時間閾値よりも短いか否かを判定すること(110)と、
前記期間が前記時間閾値よりも長い場合には、データ伝送のために第1の移動通信システムを使用すること(120)と、
前記期間が前記時間閾値以下である場合には、前記モバイルデバイス(100)の次の貯蔵エネルギー補充時点において、または、前記モバイルデバイス(100)の次の貯蔵エネルギー補充時点よりも前に、第2の移動通信システムとのコネクションが使用可能であれば、データ伝送のために前記第2の移動通信システムを使用すること(130)と、
を含み、さらに、
前記次の貯蔵エネルギー補充予測時点に、前記第2の移動通信システムのカバーエリア内に位置している確率が確率閾値よりも小さいか否かを判定することと、
前記確率が前記確率閾値よりも小さければ、データ伝送のために前記第1の移動通信システムを使用することと、
を含む、
モバイルデバイス(100)のための方法。
【請求項9】
コンピュータ、プロセッサ、コントロールモジュール、または、プログラミング可能なハードウェア構成部品において実行されるときに、請求項8記載の方法を実施するためのプログラムコードを含むプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施例は、モバイルデバイスのための装置、方法およびコンピュータプログラムに関するものであり、さらに詳しくは、ただし、以下に限られるものではないが、データ伝送のために第1の移動通信システムまたは第2の移動通信システムの使用を制御する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大量のデータをモバイルデバイスへまたはモバイルデバイスから伝送することは、ユーザおよび開発者にとってジレンマとなることが多い。データ伝送を多くの場所で実施するために、たとえばLong Term Evolution(LTE)またはUniversal Mobile Telecommunication System(UMTS)などのようなセルラ移動無線システムを利用することができる一方で、これらのセルラ移動無線システムの多くは、限られた数の通信リソースを多数のユーザがシェアするように構想されており、その結果として、個々のユーザにとっては、この種の移動無線システムの伝送容量が低減される可能性がある。さらに、この種の移動無線システムを介して大量のデータを伝送するためには、しばしば高いコストがかかる。この代替として、たとえばワイヤレスローカルネットワーク(英語では、Wireless Local Access Networks,WLANとも称する)を利用することもできるが、このネットワークの可用性は局所的に制限されている可能性がある。
【0003】
米国特許出願公開第2010/0273486号明細書(2010/0273486A1)には、第1の移動通信システム(たとえば基地局)と第2の移動通信システム(たとえばワイヤレスアクセスポイント、英語では、Wireless Access Pointとも称する)とにおいて通信を行い、個々の通信のために残存バッテリ有効時間を算出するように構成されたモバイルデバイスが示されている。デバイスのユーザは、この予測に基づき、いずれの移動通信システムを通信に利用すべきであるのか判定することができる。しかしながら、この出願には、次の貯蔵エネルギー補充予測時点を特定して、次の充電予測時点に基づきデータ伝送を実施することは、開示されていない。
【0004】
独国特許出願公開第102010030224号明細書(DE102010030224A1)には、たとえば移動無線コネクションまたはワイヤレスアクセスポイントを介して、通信ユニットと車両との間でデータ伝送を行う装置が開示されている。このようなデータ交換において、データ交換をプラニングする目的で、通信インタフェースたとえばモバイルデバイスのたとえばエネルギー状態を考慮することができる。しかしながら、この出願には、通信インタフェースまたは車両の次の充電予測時点に基づきデータ伝送を実施することは、開示されていない。
【0005】
独国特許出願公開第102015204373号明細書(DE102015204373A1)には、自動車に液体燃料を補給する方法が開示されている。この方法によれば、液体燃料に加えて、車両と充電スタンドとの間のワイヤレス通信が形成される。
【0006】
米国特許出願公開第2012/0106672号明細書(2012/0106672A1)には、ネットワークコネクションポイント(たとえば電気自動車用の充電ステーション)を含むネットワークを介して、エネルギーサービスを提供する方法および充電アダプタが開示されている。充電ステーションにおける電気自動車のログインは、ワイヤレスネットワークを介して実施され、このことによって、送出されるエネルギーの引き替えとして電気自動車所有者の口座に借方記入することができる、ということが保証される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0273486号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102010030224号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102015204373号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2012/0106672号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
モバイルデバイスによるデータ伝送のために、改善されたコンセプトが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この要求は、独立請求項により考慮される。
【0010】
実施例によれば、モバイルデバイスのための装置、方法およびコンピュータプログラムが提供される。たとえばモバイルデバイスを、車両、たとえば自動車またはオートバイとすることができ、あるいは、たとえば(プログラミング可能な)移動電話(英語ではSmartphoneとも称する)またはタブレットコンピュータとすることができる。この装置を、モバイルデバイスの貯蔵エネルギーに基づいて、たとえば、補給所または家において充電ケーブルで貯蔵エネルギーがまもなく充填される見込みであるか否かを判定するように構成することができる。まもなく充填されるのであれば、データ伝送を延期して、その後、貯蔵エネルギーを補充する前に、または、補充するときに、ワイヤレスローカルネットワークを介して実施するように、装置を構成することができる。次の貯蔵エネルギー補充時点がまだずっと先のことであるならば、セルラ移動無線システム、たとえばLTEまたはUMTSなどを介してデータ伝送を実施するように、装置を構成することができる。
【0011】
実施例によれば、モバイルデバイスのための装置が提供される。この装置は、送受信機モジュールを含んでおり、このモジュールは、第1の移動通信システム内および第2の移動通信システム内において通信するように構成されている。この装置は、さらにコントロールモジュールを含んでおり、このモジュールは、モバイルデバイスの次の貯蔵エネルギー補充予測時点までの期間が時間閾値よりも長いか否かを判定するように構成されている。コントロールモジュールはさらに、この期間が時間閾値よりも長ければ、データ伝送のために第1の移動通信システムを使用し、モバイルデバイスの次の貯蔵エネルギー補充時点において、またはその時点よりも前に、第2の移動通信システムとのコネクションを使用できるのであれば、データ伝送のために第2の移動通信システムを使用するように、構成されている。
【0012】
この装置によって、モバイルデバイスが是認できる期間内に第2の移動通信システムのカバーエリア内に位置しているか否かを考量して判定を下すことができる。つまり、このことを予期できないかぎりは、すぐに第1の移動通信システムを介してデータ伝送を実施することができ、さもなければコストを節約して、たとえば貯蔵エネルギー補充時などに第2の移動通信システムが使用可能になるのを待つことができる。
【0013】
たとえば、モバイルデバイスが次の貯蔵エネルギー補充予測時点に第2の移動通信システムのカバーエリア内に位置している確率が、確率閾値よりも小さいか否かを判定するように、コントロールモジュールをさらに構成することができる。この確率が確率閾値よりも小さければ、データ伝送のために第1の移動通信システムを使用するように、コントロールモジュールをさらに構成することができる。確率関数によってさらに、モバイルデバイスが貯蔵エネルギー補充時に第2の移動通信システムのカバーエリア内に位置している確率を、算入することができる。
【0014】
たとえば、モバイルデバイスのポジションを特定するように、コントロールモジュールを構成することができる。その際にモバイルデバイスのポジションに基づき、モバイルデバイスの次の貯蔵エネルギー補充予測時点までの期間が時間閾値よりも長いか否かを判定するように、コントロールモジュールを構成することができる。たとえば、モバイルデバイスがこのモバイルデバイスのエネルギー補充のために好ましい場所の近くまたはその場所へ向かう途上に位置しているか否かを確認するように、コントロールモジュールを構成することができる。
【0015】
たとえば、モバイルデバイスの最後の貯蔵エネルギー補充時点以降の別の期間に基づき、モバイルデバイスの次の貯蔵エネルギー補充予測時点までの期間が時間閾値よりも長いか否かを判定するように、コントロールモジュールを構成することができる。したがって、たとえば、補充履歴に基づき、次の貯蔵エネルギー補充予測時点が(見込みでは)いつになるのかを推定するように、コントロールモジュールを構成することができる。
【0016】
たとえば、モバイルデバイスのエネルギー消費量に基づいて、モバイルデバイスの次の貯蔵エネルギー補充予測時点までの期間が時間閾値よりも長いか否かを判定するように、コントロールモジュールを構成することができる。たとえば、エネルギー消費量に基づいて、および、貯蔵エネルギーに基づいて、次の貯蔵エネルギー補充予測時点が(見込みでは)いつになるのかを推定するように、コントロールモジュールを構成することができる。
【0017】
たとえば、モバイルデバイスの貯蔵エネルギーの補充を、電気エネルギー、ガソリン/ディーゼル、天然ガス、液化石油ガス、または、水素による貯蔵エネルギーの補充に相当するものとすることができる。
【0018】
たとえば、モバイルデバイスを、車両に相当するものとすることができる。車両の場合には、第2の移動通信システムが使用可能であるときに、または、期間が長すぎるならば、第1の移動通信システムを介して、たとえば走行中または駐車状態中に、たとえばオペレーティングシステムのアップデートまたは地図データをデータ伝送として実施することができる。
【0019】
たとえば、車両において見込まれる次の車両点検までの別の期間が時間閾値よりも長いか否かを判定するように、コントロールモジュールをさらに構成することができる。前述の期間およびこの別の期間が時間閾値よりも長ければ、データ伝送のために第1の移動通信システムを使用するように、コントロールモジュールを構成することができる。したがって、たとえば、点検のために車両の滞留が予定されているならば、データ伝送を延期することができる。
【0020】
別の選択肢として、モバイルデバイスを移動電話、プログラミング可能な移動電話、プログラミング可能な時計、または、タブレットコンピュータに相当するものとすることができる。移動電話を充電するときには、移動電話ユーザのワイヤレスホームネットワーク(WLAN)のカバーエリア内にその移動電話が位置していることが多い。
【0021】
たとえば、第1の移動通信システムを、セルラ移動無線システムに相当するものとすることができる。第2の移動通信システムを、ワイヤレスローカルネットワークに相当するものとすることができる。たとえば、ワイヤレスローカルネットワークを介したデータ伝送によって、第1の移動無線システムの課金を低減することができ、いっそう高速なデータ伝送を実現することができ、データ伝送にかかるコストを削減することができる。
【0022】
たとえば、第1の移動通信システムを、比較的長い第1の到達距離を有する移動通信システムに相当するものとすることができ、第2の移動通信システムを、比較的短い第2の到達距離を有する移動通信システムに相当するものとすることができる。
【0023】
たとえば、データ伝送を、50Mbyteよりも大きいデータ容量を有するデータの伝送に相当するものとすることができる。データ容量の大きいデータ伝送を第2の移動通信システムを介して、たとえば、いっそう高い信頼性を伴っていっそう高速に実施することができる。
【0024】
たとえば、データ伝送を、地図データ、モバイルデバイスのコンピュータプログラムのプログラムアップデート、モバイルデバイスのオペレーティングシステムのアップデート、ビッグデータ、および/または、メディアデータに相当するものとすることができる。
この種のデータ伝送は、大きいデータ容量を有することが多い。
【0025】
実施例によればさらに、モバイルデバイスのための方法が提供される。この方法は、モバイルデバイスの次の貯蔵エネルギー補充予測時点までの期間が時間閾値よりも短いか否かを判定することを含んでいる。この方法はさらに、この期間が時間閾値よりも長ければ、データ伝送のために第1の移動通信システムを使用することを含んでいる。この方法はさらに、モバイルデバイスの次の貯蔵エネルギー補充時点において、または、その時点よりも前に、第2の移動通信システムとのコネクションを使用できるのであれば、データ伝送のために第2の移動通信システムを使用することを含んでいる。
【0026】
実施例によればさらに、コンピュータ、プロセッサ、コントロールモジュール、または、プログラミング可能なハードウェア構成部品において実行されると既述の方法を実施するプログラムコードを含むプログラムが提供される。
【0027】
以下では、図面に描かれた実施例に基づき、さらに別の有利な態様について詳しく説明する。ただし、実施例が全般的にそれらの実施例にそのまま限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】モバイルデバイスのための装置を示すブロック図である。
図1a】モバイルデバイスのための対応する方法を示すフローチャートである。
図2】車両のための例示的な装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、いくつかの実施例が描かれた添付の図面を参照しながら、種々の実施例について詳しく説明する。図中、線、層および/または領域の幅の寸法は、わかりやすくするため誇張して描かれている場合もある。
【0030】
また、いくつかの例示的な実施例だけを示したにすぎない添付の図面を以下で説明するにあたり、同一の構成部品または同等の構成部品には同一の参照符号が付されている場合もある。さらに、1つの実施例中または1つの図面中に何度も現れるが、1つまたは複数の特徴について共通に説明する構成部品および対象物には、1つのまとまったグループであることを示す参照符号を用いている場合もある。さらに、同一の参照符号または1つのまとまったグループであることを示す参照符号を用いて説明する構成部品または対象物を、単独の特徴または複数の特徴あるいはすべての特徴に関して、たとえばそれらの仕様に関して、同じように構成することもできるが、何らかの別の趣旨が明示的または暗黙的に明細書から読み取れないかぎり、必要に応じてそれぞれ異なるように構成してもよい。
【0031】
また、実施例を様々な態様で修正および変更することができるけれども、図面には具体例として実施例が描かれており、本明細書ではそれらの実施例について詳しく説明する。ただし、ここで明確に述べておくと、実施例をそれぞれ開示された形態に限定することは意図されておらず、実施例はむしろ、本発明の範囲に入るすべての機能的変更および/または構造的変更、等価物、代替物をカバーしようというものである。同一の参照符号は、図面の説明全体において同じまたは同等の要素を表す。
【0032】
ここで留意したいのは、他の要素と「接続されている」または「結合されている」と表されたある要素は、他の要素と直接的に接続または結合されている場合もあるし、またはそれらの間に要素が存在している場合もある、ということである。これに対して、ある要素が他の要素と「直接的に接続されている」または「直接的に結合されている」と表されるときには、それらの間にいかなる要素も存在していない。要素と要素との間の関係を記述するために用いられる別の概念であっても、同様に解釈されたい(たとえば「の間に」と「直接的にそれらの間に」との対比、「に隣接して」と「直接的に隣接して」との対比など)。
【0033】
本明細書において用いられる用語は、特定の実施例を説明する役割を果たすだけであり、それらの用語によって実施例が限定されるものではない。本明細書で用いられているように、単数形の不定冠詞(「1つの」)および定冠詞(「この」)は、文脈から他のことが明確に表されないかぎり、複数形も含むことになる。さらにここで明確に述べておくと、本明細書で用いられるたとえば「含む」、「含んでいる」、「有する」、「含有する」、「含有している」、および/または、「有している」などのような表現は、挙げられた特徴、整数、ステップ、ワークフロー、要素および/または構成部品が存在していることを表しているけれども、1つまたは複数の特徴、整数、ステップ、ワークフロー、要素、構成部品および/またはこれらから成るグループの存在または追加を排除するものではない。
【0034】
また、別途定義されていないかぎり、本明細書で用いられるすべての概念は(技術的および学術的な概念を含め)、実施例に属する分野の当業者がそれらに認めているのと同じ意味をもつものである。さらにここで明確に述べておくと、たとえば、一般的に用いられている辞書において定義されている表現は、当該技術の文脈におけるそれらの意味と矛盾することのない意味を有するかのように解釈されるべきであり、本明細書で明確に定義されていないかぎり、理想化されたまたは過剰に形式的な意味合いで解釈されるべきではない。
【0035】
図1には、モバイルデバイス100のための装置10のブロック図が示されている。この装置は送受信機モジュール12を含んでおり、このモジュールは、第1の移動通信システム内および第2の移動通信システム内において通信するように構成されている。装置10はさらにコントロールモジュール14を含んでおり、このモジュールは、モバイルデバイス100の次の貯蔵エネルギー補充予測時点までの期間が時間閾値よりも長いか否かを判定するように構成されている。コントロールモジュール14はさらに、この期間が時間閾値よりも長ければ、(第1の送受信機モジュール12を介した)データ伝送のために第1の移動通信システムを使用し、モバイルデバイス100の次の貯蔵エネルギー補充時点においてまたはその時点よりも前に、第2の移動通信システムとのコネクションを使用できるのであれば、データ伝送のために第2の移動通信システムを使用するように、構成されている。
【0036】
図1aには、モバイルデバイス110のための対応する方法のフローチャートが示されている。この方法は、モバイルデバイス100の次の貯蔵エネルギー補充予測時点までの期間が時間閾値よりも短いか否かを判定すること110を含んでいる。この方法はさらに、この期間が時間閾値よりも長ければ、データ伝送のために第1の移動通信システムを使用すること120を含んでいる。この方法はさらに、モバイルデバイス100の次の貯蔵エネルギー補充時点においてまたはその時点よりも前に、第2の移動通信システムとのコネクションを使用できるのであれば、データ伝送のために第2の移動通信システムを使用すること130を含んでいる。以下の説明は、装置10にもモバイルデバイス100のための対応する方法にも適用可能である。
【0037】
たとえば、モバイルデバイス100を、車両(または車両の情報システム)、移動電話、プログラミング可能な移動電話、プログラミング可能な時計、または、タブレットコンピュータに相当するものとすることができる。
【0038】
たとえば、第1の移動通信システムを、比較的長い第1の到達距離を有する移動通信システムに相当するものとすることができる。たとえば、第1の移動通信システムは、100mよりも長い(または200mよりも長い、500mよりも長い、1kmよりも長い)半径の(第1の移動通信システムの1つのセルの)カバーエリアを有することができる。第2の移動通信システムを、比較的短い第2の到達距離を有する移動通信システムに相当するものとすることができる。たとえば、第2の移動通信システムを、100mよりも短い(または50mよりも短い、20mよりも短い)半径の(第2の移動通信システムの1つのアクセスポイントの)1つのカバーエリアに相当するものとすることができる。たとえば、1つのカバーエリアを、1つの移動通信システムの1つの基地局周囲のエリアに相当するものとすることができ、このエリア内では基地局の信号強度によって、モバイルデバイス100への伝送時に基地局の最大データ伝送速度の少なくとも10%を実現させることができる。
【0039】
たとえば、第1の移動通信システムを、セルラ移動無線システムに相当するものとすることができる。たとえば、第1の移動通信システムを、Global System for Mobile telecommunications(GSM),General Packet Radio Service(GPRS),Enhanced Data rates for GSM Evolution(EDGE),Universal Mobile Telecommunication System(UMTS),Long Term Evolution、第5世代(5G)移動無線システム、および、将来の標準に準拠した移動無線システムから成るグループのセルラ移動通信システムに相当するものとすることができる。さらに、送受信機モジュール12を、Global System for Mobile telecommunications(GSM),General Packet Radio Service(GPRS),Enhanced Data rates for GSM Evolution(EDGE),Universal Mobile Telecommunication System(UMTS), Long Term Evolution、第5世代(5G)移動無線システム、および、将来の標準に準拠した移動無線システムから成るグループの少なくとも1つのセルラ移動通信システム内で通信するように、構成することができる。
【0040】
第2の移動通信システムを、ワイヤレスローカルネットワーク(英語では、Wireless Local Area Network,WLANとも称する)、パーソナルネットワーク(英語では、Personal Area Network,PANとも称し、WLANよりも小さい)、メトロポリタンエリアネットワーク(英語では、Metropolitan Area Network,MANとも称し、WLANよりも大きい)、モノのインターネットネットワーク(英語では、Internet of Things,IoTとも称する)、または、マイクロ波ベースの移動通信システム、たとえばWiMAXシステム(Worldwide Interoperability for Microwave Access)に相当するものとすることができる。
【0041】
たとえば、第1の移動通信システムおよび第2の移動通信システムとの通信は、データ(たとえばデータパケット)の受信およびデータの送信を含むことができる。データ伝送は通信に含まれている。たとえば、データ伝送を、データ受信(英語ではDownloadとも称する)、または、データ送信(英語ではUploadとも称する)に相当するものとすることができる。たとえば、データ伝送を、50Mbyteよりも大きい(または100Mbyteよりも大きい、200Mbyteよりも大きい、500Mbyteよりも大きい、1Gbyteよりも大きい)データ容量を有するデータの伝送に相当するものとすることができる。たとえば、データ伝送を、地図データ、モバイルデバイス100のコンピュータプログラムのプログラムアップデート、モバイルデバイス100のオペレーティングシステムのアップデート、ビッグデータ(たとえば、センサデータ、あるいは、モバイルデバイスにより検出または計算されたデータ)、および/または、メディアデータの伝送に相当するものとすることができる。たとえば、時間閾値を、データ伝送のデータ容量に依存させることができる。たとえば、時間閾値を、比較的大きい第1のデータ容量のときには比較的長い第1の時間閾値に相当するものとすることができ、比較的小さい第2のデータ容量のときには、比較的短い第2の時間閾値に相当するものとすることができる。
【0042】
たとえば、モバイルデバイス100の現在の貯蔵エネルギーに基づいて、次の貯蔵エネルギー補充予測時点を計算するように、コントロールモジュール14を構成することができる。別の選択肢として、または、これに加えて、次の貯蔵エネルギー補充予測時点までの(見込まれる)期間を計算するように、コントロールモジュール14を構成することができ、たとえば1つの期間として、考えられる複数の期間から成るグループの選択として(たとえば1時間よりも短い、1日よりも短い、2日よりも短い、5日よりも短いなど)、または2値判定で(時間閾値を超えたまたは超えていない)計算するように、コントロールモジュール14を構成することができる。時間閾値をたとえば、絶対的な日付および/または絶対的な時刻とすることができる。別の選択肢として、時間閾値は相対的持続時間を定義することができ、たとえば、コントロールモジュール14がデータ伝送に関する問い合わせを受け取った時点以降の相対的持続時間を定義することができる。次の貯蔵エネルギー補充予測時点までの期間が時間閾値を超える可能性があるのは、期間が相対的持続時間よりも長い場合であり、または、期間が絶対的な日付/絶対的な時刻よりも後の時点で終わることになる場合である。
【0043】
たとえば、モバイルデバイス100のポジションを特定するように、コントロールモジュール14を構成することができる。たとえば、装置は、ポジション特定モジュール、たとえば衛星ナビゲーションポジション特定モジュールを含むことができる。ポジション特定モジュールを介してモバイルデバイスのポジションを特定するように、コントロールモジュール14を構成することができる。別の選択肢として、または、これに加えて、たとえば、第1の移動通信システムおよび/または第2の移動通信システムの2つまたはそれよりも多くの基地局までの距離に基づいて、送受信機モジュール12を介してモバイルデバイスのポジションを特定するように、コントロールモジュール14を構成することができる。モバイルデバイス100のポジションに基づき、モバイルデバイス100の次の貯蔵エネルギー補充予測時点までの期間が時間閾値よりも長いか否かを判定するように、コントロールモジュール14を構成することができる。たとえば、モバイルデバイスのポジションに基づいて次の貯蔵エネルギー補充予測時点を計算するように、コントロールモジュール14を構成することができる。たとえば、モバイルデバイスが貯蔵エネルギー補充のために使用される場所の近くに位置しているのか否かに基づき、または、その場所に向かう途上に位置しているのか否かに基づき、次の貯蔵エネルギー補充予測時点を決定するように、コントロールモジュール14を構成することができる。
【0044】
たとえば、モバイルデバイスの最後の貯蔵エネルギー補充時点以降の別の期間に基づき、モバイルデバイス100の次の貯蔵エネルギー補充予測時点までの期間が時間閾値よりも長いか否かを判定するように、コントロールモジュール14を構成することができる。たとえば、最後の補充時点以降の上述の別の期間に基づいて、次の貯蔵エネルギー補充予測時点を計算するように、コントロールモジュール14を構成することができる。たとえば、貯蔵エネルギーの補充を記録するように、コントロールモジュール14を構成することができる。たとえば、時点、頻度、および/または、相前後する補充プロセス間の持続時間を記録するように、コントロールモジュール14を構成することができる。たとえば、相前後する2つの補充プロセス間の予測持続時間を(たとえば上述の記録に基づき、または補充プロセスに関する統計に基づき)計算するように、コントロールモジュール14を構成することができる。予測持続時間に基づいて次の貯蔵エネルギー補充予測時点を決定するように、コントロールモジュール14を構成することができる。予測持続時間に基づき、モバイルデバイス100の次の貯蔵エネルギー補充予測時点までの期間が時間閾値よりも長いか否かを判定するように、コントロールモジュール14を構成することができる。たとえば、補充時の平均残余貯蔵エネルギーに基づいて、次の貯蔵エネルギー補充予測時点を計算するように、コントロールモジュール14を構成することができる。たとえば、補充時の平均残余貯蔵エネルギーに基づいて、モバイルデバイス100の次の貯蔵エネルギー補充予測時点までの期間が時間閾値よりも長いか否かを判定するように、コントロールモジュール14を構成することができる。
【0045】
たとえば、モバイルデバイス100のエネルギー消費量に基づいて、モバイルデバイス100の次の貯蔵エネルギー補充予測時点までの期間が時間閾値よりも長いか否かを判定するように、コントロールモジュール14を構成することができる。たとえば、モバイルデバイス100のエネルギー消費量に基づいて次の貯蔵エネルギー補充予測時点を決定するように、コントロールモジュール14を構成することができる。たとえば、エネルギー消費量を、単位時間あたりのエネルギー消費量(または距離あたりのエネルギー消費量)に相当するものとすることができる。たとえば、時間閾値までの予測エネルギー消費量を特定し(推定し)、この予測エネルギー消費量に基づき、モバイルデバイス100の次の貯蔵エネルギー補充予測時点までの期間が時間閾値よりも長いか否かを判定するように、コントロールモジュール14を構成することができる。
【0046】
たとえば、期間が時間閾値よりも長ければ、第1の移動通信システムを介してデータ伝送を開始するように(さらにたとえば第2の移動通信システムとのコネクションを使用できるときには、第2の移動通信システムを介して継続するように)、コントロールモジュール14を構成することができる。たとえば、期間が時間閾値よりも長ければ、データ伝送のデータを第1の移動通信システムを介して伝送するように、コントロールモジュール14を構成することができる。たとえば、データ伝送中に周期的に、データ伝送のために第2の移動通信システムが使用可能であるかに否かについてチェックし、データ伝送のために第2の移動通信システムが使用可能であるならば、第2の移動通信システムを介してデータ伝送を継続するように、コントロールモジュール14を構成することができる。
【0047】
たとえば、期間が時間閾値よりも短い場合には、データ伝送を延期するように、たとえば、次の貯蔵エネルギー補充まで、第2の移動通信システムとのコネクションが次に使用可能になるまで、または、時間閾値により定義された時点まで延期するように、コントロールモジュール14を構成することができる。
【0048】
たとえば、モバイルデバイス100が第2の移動通信システムのカバーエリア内に位置していれば、第2の移動通信システムとのコネクションを使用することができる。たとえば、データ伝送の発生と時間閾値により定義される時点との間で、第2の移動通信システムとのコネクションが使用可能であれば、データ伝送のために第2の移動通信システムを使用するように、コントロールモジュールを構成することができる。たとえば、第2の移動通信システムとのコネクションが使用可能であるか否かについて/モバイルデバイス100が第2の移動通信システムのカバーエリア内に位置しているか否かについて、周期的にまたはイベントベースでチェックするように、コントロールモジュール14を構成することができる。たとえば、第2の移動通信システムとのコネクションが使用可能であれば/モバイルデバイスが第2の移動通信システムのカバーエリア内に位置していれば、データ伝送を実施するように、コントロールモジュール14を構成することができる。モバイルデバイス100が、時間閾値により定義された時点まで第2の移動通信システムのカバーエリア内に位置していなければ(時間閾値により定義された時点まで第2の移動通信システムとのコネクションが使用可能でなければ)、データ伝送のために第1の移動通信システムを使用するように、コントロールモジュール14を構成することができる。
【0049】
たとえば、モバイルデバイス100が次の貯蔵エネルギー補充予測時点に第2の移動通信システムのカバーエリア内に位置している確率が、確率閾値よりも小さいか否かを判定するように、コントロールモジュール14をさらに構成することができる。たとえば、モバイルデバイス100が次の貯蔵エネルギー補充予測時点に第2の移動通信システムのカバーエリア内に位置している確率を計算するように、コントロールモジュール14を構成することができる。たとえば、貯蔵エネルギー補充時に(そのたびに)、モバイルデバイス100が第2の移動通信システムのカバーエリア内に位置しているか否かをチェックおよび/または記録するように、コントロールモジュール14を構成することができる。たとえば、モバイルデバイス100が次の補充プロセスのときに第2の移動通信システムのカバーエリア内に位置している、ということについて、(たとえば先行するすべての補充プロセスに基づき、ある期間内の補充プロセスに基づき、または予め定められた量の先行する補充プロセスに基づき)、平滑化確率を計算するように、コントロールモジュール14を構成することができる。たとえば、モバイルデバイス100が次の貯蔵エネルギー補充予測時点に第2の移動通信システムのカバーエリア内に位置している確率が、確率閾値よりも小さいか否かを、モバイルデバイスのポジションに基づき判定するように、コントロールモジュール14をさらに構成することができる。たとえば、この確率が確率閾値よりも小さければ、データ伝送のために第1の移動通信システムを使用するように、コントロールモジュールをさらに構成することができる。たとえば、第1の移動通信システムを介して、または第2の移動通信システムを介して、データ伝送が実施または開始されるのかを、確率に基づきおよび期間に基づき判定するように、コントロールモジュール14をさらに構成することができる。たとえば、期間が時間閾値よりも長ければ、および/または、確率が確率閾値よりも小さければ、データ伝送のために第1の移動通信システムを使用するように、コントロールモジュール14を構成することができる。たとえば、確率閾値を割合に応じた確率に相当するものとすることができ、たとえば70%または0.7に相当するものとすることができる。
【0050】
相当数の実施例によれば、モバイルデバイスをたとえば乗物に相当するものとすることができ、たとえば、自動車、トラック、オートバイ、船舶、列車、または、自律走行車両に相当するものとすることができる。たとえば、モバイルデバイス100の貯蔵エネルギーの補充を、電気エネルギー、液体燃料、ガソリン、ディーゼル、天然ガス、液化石油ガス、または、水素による貯蔵エネルギーの補充に相当するものとすることができる。
【0051】
たとえば、車両において見込まれる次の車両点検インターバルまでの別の期間が時間閾値よりも長いか否かを判定するように、コントロールモジュール14をさらに構成することができる。たとえば、エラー状態に基づき、保守状態に基づき、またはモバイルデバイス100の点検インターバルに基づき、この別の期間を計算するように、コントロールモジュール14を構成することができる。たとえば、前述の期間およびこの別の期間が時間閾値よりも長ければ、データ伝送のために第1の移動通信システムを使用するように、コントロールモジュール14を構成することができる。
【0052】
別の選択肢として、モバイルデバイス100を移動電話、プログラミング可能な移動電話(たとえばスマートフォン)、プログラミング可能な時計、または、タブレットコンピュータに相当するものとすることができる。たとえばモバイルデバイス100の貯蔵エネルギーの補充を、電気エネルギーによる貯蔵エネルギーの補充に相当するものとすることができる。たとえば貯蔵エネルギーの補充を、充電電源へのモバイルデバイスの接続に相当するものとすることができる。たとえば貯蔵エネルギーの補充を、ワイヤレス充電プロセスに相当するものとすることができる。
【0053】
実施例によれば、モバイルデバイス100のための装置を含むモバイルデバイス100が提供される。コントロールモジュール14は、送受信機モジュール12と接続されている。実施例によれば、送受信機モジュール12は、一般的な送信機構成部品または受信機構成部品を含むことができる。そのような構成部品には、たとえば、1つまたは複数のアンテナ、1つまたは複数のフィルタ、1つまたは複数のミキサ、1つまたは複数のアンプ、1つまたは複数のダイプレクサ、1つまたは複数のデュプレクサ等を含めることができる。実施例によれば、コントロールモジュール14を、任意のコントローラまたはプロセッサ、または、プログラミング可能なハードウェア構成部品に相当するものとすることができる。たとえば、送受信機モジュール12は、2つの別個の送受信機サブモジュールを含むことができ、たとえば、第1の移動通信システムと通信するための第1の送受信機サブモジュールと、第2の移動通信システムと通信するための第2の送受信機サブモジュールとを含むことができる。たとえば、コントロールモジュール14を、相応のハードウェア構成部品のためにプログラミングされたソフトウェアとして実現することもできる。この点ではコントロールモジュール14を、相応に整合されたソフトウェアを含むプログラミング可能なハードウェアとして実装することができる。その際に、ディジタル信号プロセッサ(DSP)のような任意のプロセッサを使用することができる。この場合、実施例は特定のタイプのプロセッサに限定されない。コントロールモジュール14を実装するために、任意のプロセッサを想定することができ、または、複数のプロセッサを想定することもできる。
【0054】
実施例によれば、たとえば、貯蔵燃料に依存してデータコネクションを優先順位付けするシステムおよび方法が提供される。
【0055】
車両におけるモバイルデータに対する要求は、今後もいっそう大きくなっていくであろう。ただし、移動無線ネットワークを介したモバイルデータコネクションの欠点は、他のデータサービス(たとえば一般に「一律に」(使用量に左右されずに)決済される屋内のインターネット接続)と対比すると比較的高価なことである。それにもかかわらず、自動車を取り巻く環境では移動無線支援型データサービスにときには頼らざるを得ない。
【0056】
少なくとも相当数の実施例によって述べられているシステムおよび方法は、移動無線支援型データサービスに頼るのを、貯蔵燃料に依存して延期し、いっそう安価なデータコネクションを使用できる確率を高めている。
【0057】
少なくとも相当数のシステムは、高価な移動無線データコネクションを回避するために、他のデータサービス一般にはWLANに頼る手法を用いている。安価なWLANコネクションがいつ使用可能になるのかが、事前には必ずしもわかっていないことが多い。少なくとも相当数の実施例は、WLANに頼ることに基づいている。別の選択肢として、相当数のシステムによれば、高価なデータコネクションの使用を、それよりも安価なデータコネクションが一時的に使用可能になることに望みを託して、高価なデータコネクションの使用が不可避になるまでの間、延期することができる。高価なデータコネクションの使用を延期する際に、もっと安価なデータコネクションが使用可能であるのか否か、および、それがいつ使用可能であるのか、を予想できないことが多い。使用可能なケースに一度も至らないとしたならば、多くの場合には無駄に時間を浪費したことになる。別の選択肢として、移動無線プロバイダがデータ利用のためにいっそう安価な条件を提供する時点まで、たとえば夜間まで、データ伝送を延期することができる。しかしながら、移動無線プロバイダが実際にはどのようなケースでも夜間にいっそう安価な料金を提供する、とは言っていないことも多い。しかも、予測可能な時間内に無料のデータコネクションが高い確率で使用可能になる、ということが保証されているならば、いっそう安価なコストさえもが放棄される可能性すらある。
【0058】
少なくとも相当数の実施例によれば、多数の補給所において、将来は車両が利用可能なWLANネットワークが使用できるようになる可能性もある。
【0059】
図2には、WLAN送受信モジュール(WLAN送受信機220)を含むデータ通信装置220と、移動無線(2G,3G,LTEなど)のための送受信装置(移動無線送受信機230)を含むデータ通信装置230とを備えた装置のブロック図が示されている。少なくとも移動無線送受信機230を、バックエンド240(たとえば車両メーカのサーバまたはコンピュータセンタ)と通信するように、構成することができる。たとえば、図1の送受信機モジュール12は、データ通信装置220;230を含むことができ、または、それらを実装することができる。この装置はさらに、燃料充填レベル用のセンサ270と、両方のシステムと接続された計算ユニットおよび記憶ユニット(210;260、たとえばコントロールモジュール14)とを含むことができる。車両バス250を介して、データコネクションを使用する必要のあるさらに別の制御装置を、計算ユニット210と接続することができる。
【0060】
燃料充填レベルが正に変化すると(=車両が補給されると)(たとえば即座に)、同時にまたは短時間の間隔をおいてWLANコネクションが存在するか否かをチェックするように、計算ユニットを構成することができる。WLANコネクションが存在するのであれば、記憶ユニット内の(WLANコネクションの存在に関する)「確率指標」を10だけ上昇させることができ、これはたとえばこの指標が100に達しないかぎり行われる。補給プロセス中、WLANコネクションが近くになければ、記憶ユニット内の「確率指標」を10だけ低減することができ、これはこの指標が0に達しないかぎり行われる。少なくとも10回の補給プロセス後、過去の補給プロセスにおいて何パーセントのケースでWLANデータコネクションが使用可能であったのか、という統計を出すことができる。たとえば、直前の10回の補給プロセスの時点を記憶ユニットに格納して、2つの補給プロセス間の平均時間を記録することができる。
【0061】
たとえば、データのアップロードまたはダウンロード(車両からサーバへのデータ伝送またはサーバから車両へのデータ伝送)の要求を、たとえば、車両自体から行うことができ、または、移動無線コネクションを介してバックエンドからトリガすることができる。
【0062】
車両において、比較的大きいデータ量のアップロードまたはダウンロードに対する要求がある場合、燃料充填レベルと、2つの補給プロセス間の平均時間(つまりは次の補給プロセスまでに予期される時間)と、補給プロセス中にWLANデータコネクションが使用可能である確率とに依存して、規定された時間内に再びWLANデータコネクションを使用できる確率がどのくらい高いのかを、計算ユニット(たとえば図1のコントロールモジュール14)が高精度に予測することができる(計算ユニットをそのように構成することができる)。この情報を、アップロードおよびダウンロードのアクティビティのプラニングに役立たせることができ、多くのケースにおいて、コストのかかる移動無線データコネクションを回避するのに役立たせることができる。
【0063】
「貯蔵燃料」(または貯蔵エネルギー)はたとえば、ガソリン、ディーゼル、天然ガス、液化石油ガス(LPG)のような古典的な(化石)燃料または水素を指すことができるだけでなく、トラクションバッテリの充電状態を指すこともできる。補給中にWLANデータコネクションが使用可能である確率に対する計算式が、ここでは例示的に選択されており、任意に複雑にも大雑把にも簡略化することもできる。同様に、次の補給プロセスまでに必要とされるであろう時間に対する計算式も、ここでは例示的になされているにすぎず、必要に応じて別のセンサデータを用いることで、精度を高めることができる。たとえば、WLANが高い確率で使用可能になるであろう特定のポイントに車両が向かうことになる他の時点も、考慮に入れることができる。これについての具体例を挙げるとすれば、予定されている保守インターバルであり、または、高い確率でまもなく工場に向かわなければならないような故障の検出である。
【0064】
この場合、(どのような種類であれ)燃料の供給は、今後も、比較的安定したインターバルで、車両の日常において必要とされるプロセスであり続ける可能性があり、たとえばそれを、データ伝送を(同時に)実施するために利用することができる。これと同時に、多くの人々は、補給所またはブランドに忠実で変えることがないので、補給プロセスxにおいて、WLANネットワークが使用可能であるならば、補給プロセスx+1においてもWLANネットワークが使用可能になる確率が高い、ということを前提とすることができる。
【0065】
少なくとも相当数の実施例によれば、高度な予測性を実現することができ、それによって車両を取り巻く環境において予定されているアップロードまたはダウンロードのアクティビティの良好なプラニングを実現することができる。少なくとも相当数の実施例によれば、コストがいっそう安価な移動無線の時間にやむを得ず振り替える代わりに、WLANの可用性に基づくプラニングによって、コストがいっそう安価なデータコネクションを実現することができる。
【0066】
これまで(たとえば図1および図1aを参照しながら)説明してきたコンセプトまたは具体例と関連させて、システム、装置および方法のさらに詳細な点および態様を挙げておく。システム、装置および/または方法は、任意選択肢となる1つまたは複数の付加的な特徴を含むことができ、それらの特徴は、これまで説明してきたような、またはこれから説明するような、提案したコンセプトまたは既述の具体例の1つまたは複数の態様に対応するものである。
【0067】
1つの別の実施例はコンピュータプログラムであり、このコンピュータプログラムは、これがコンピュータ、プロセッサまたはプログラミング可能なハードウェア構成部品において実行されるときに、上述の方法のうち少なくとも1つの方法を実施する。さらに別の実施例はディジタル記憶媒体でもあり、これは、機械読み取り可能またはコンピュータ読み取り可能であって、電子的に読み取り可能な制御信号を有しており、上述の方法のうち1つの方法が実施されるように、プログラミング可能なハードウェア構成部品と共働可能である。
【0068】
これまで述べてきた説明、以下に記載する特許請求の範囲、および、添付の図面に開示された特徴は、単独でも、また、それらの様々な形態で1つの実施例を実現するために任意の組みあわせであっても、重要なものとなり得るし、実現可能なものである。
【0069】
多くの態様を装置と関連させて説明してきたが、自明のとおり、それらの態様は対応する方法の説明を意味するものでもあり、したがって、ある装置の1つのブロックまたは1つの構成要素は対応する方法の1つのステップまたは方法の1つのステップの特徴として理解することもできる。これと同様に、方法の1つのステップと関連させて、または、方法の1つのステップとして説明した態様は、対応する装置の対応する1つのブロックまたは細部または特徴の説明を意味するものでもある。
【0070】
特定の実装要求に応じて、本発明の実施例をハードウェアとしてもソフトウェアとしても実装することができる。この場合、実装を、ディジタル記憶媒体たとえばフロッピーディスク、DVD、ブルーレイディスク、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROMまたはフラッシュメモリ、ハードディスクまたは他の磁気記憶装置または光学記憶装置を用いて実施することができ、この媒体には電子的に読み取り可能な制御信号が記憶されていて、この制御信号は、個々の方法が実施されるように、プログラミング可能なハードウェア構成部品と共働可能でありまたは共働する。
【0071】
プログラミング可能なハードウェア構成部品を、プロセッサ、コンピュータプロセッサ(CPU=Central Processing Unit)、グラフィックプロセッサ(GPU=Graphics Processing Unit)、コンピュータ、コンピュータシステム、特定用途向け集積回路(ASIC=Application−Specific Integrated Circuit)、集積回路(IC=Integrated Circuit)、ワンチップシステム(SOC=System on Chip)、プログラマブルロジック素子またはマイクロプロセッサを備えたフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA=Field Programmable Gate Array)によって形成することができる。
【0072】
よって、ディジタル記憶媒体を、機械読み取り可能またはコンピュータ読み取り可能とすることができる。したがって、相当数の実施例は、電子的に読み取り可能な制御信号を有するデータ担体を含んでおり、それらの制御信号は、本明細書で説明した方法のうちの1つが実施されるように、プログラミング可能なコンピュータシステムまたはプログラミング可能なハードウェア構成部品と共働することができる。このため1つの実施例は、本明細書で説明した方法のうち1つの方法を実施するプログラムが記録されているデータ担体(またはディジタル記憶媒体またはコンピュータ可読媒体)である。
【0073】
一般的には本発明の実施例を、プログラムコードを含むプログラム、ファームウェア、コンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品として、あるいは、データとして、実現可能であり、その際、プログラムコードまたはデータは、プログラムがプロセッサまたはプログラミング可能なハードウェア構成部品において実行されると、既述の方法のうち1つの方法を実施するように動作する。プログラムコードまたはデータを、たとえば、機械可読担体またはデータ担体に記憶させておくこともできる。プログラムコードまたはデータを、特にソースコード、機械コードまたはバイトコードとして、および、他の中間コードとして、存在させることができる。
【0074】
1つの別の実施例はさらに、本明細書で説明した方法のうち1つの方法を実施するプログラムを表現するデータストリーム、信号列または信号シーケンスである。データストリーム、信号列または信号シーケンスをたとえば、データ通信コネクションを介して、たとえば、インターネットまたは他のネットワークを介して転送されるように、構成することができる。したがって、実施例はデータを表す信号列でもあり、これらの信号列は、ネットワークまたはデータ通信コネクションを介して伝送するのに適しており、この場合、データはプログラムを表現している。
【0075】
1つの実施例によるプログラムは、既述の方法のうち1つの方法をその実施中にたとえば以下のようにして実装することができる。すなわち、このプログラムはメモリロケーションを読み出し、または、メモリロケーションに1つまたは複数のデータを書き込み、それにより必要に応じてスイッチングプロセスまたはその他のプロセスが、トランジスタ構造、増幅器構造、または、その他の電気的、光学的、磁気的、または、他の機能原理に従い動作する構成素子において引き起こされる。これに応じてメモリロケーションの読み出しにより、データ、値、センサ値、または他の情報を、プログラムによって捕捉、検出または測定することができる。したがって、プログラムは、1つまたは複数のメモリロケーションの読み出しによって、量、値、測定量および他の情報を捕捉、検出または測定することができ、1つまたは複数のメモリロケーションへの書き込みによって、あるアクションを生じさせる、引き起こす、または実施することができ、さらには別のデバイス、機械および構成部品の動作を制御することができる。
【0076】
上述の実施例は、本発明の基本原理を具体的に示したにすぎない。自明のとおり、本明細書で説明した装置構成および細部の修正および変形について、他の当業者は十分に理解できる。よって、ここで意図しているのは、本発明は以下に記載する特許請求の範囲の権利範囲によってのみ限定されるものであって、実施例の記載および説明に基づき本明細書で呈示した特定の細部によって限定されるものではない、ということである。
【符号の説明】
【0077】
10 装置
12 送受信機モジュール
14 コントロールモジュール
100 モバイルデバイス
110 期間が時間閾値よりも短いか否かを判定すること
120 第1の移動通信システムを使用すること
130 第2の移動通信システムを使用すること
210 計算ユニット
220 WLAN送受信機
230 移動無線送受信機
240 バックエンド
250 車両バス
260 記憶ユニット
270 貯蔵燃料用センサ
図1
図1a
図2