特許第6594470号(P6594470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6594470PAM4分離回路及びPAM4分離方法とサンプリングオシロスコープ及びサンプリング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594470
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】PAM4分離回路及びPAM4分離方法とサンプリングオシロスコープ及びサンプリング方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 13/00 20060101AFI20191010BHJP
【FI】
   G01R13/00 Z
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-44205(P2018-44205)
(22)【出願日】2018年3月12日
(65)【公開番号】特開2019-158511(P2019-158511A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2018年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】村上 崇
【審査官】 永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−103754(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/189920(WO,A1)
【文献】 特開昭64−12733(JP,A)
【文献】 特開昭52−75965(JP,A)
【文献】 米国特許第9237047(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 13/00
G01R 29/02
G01R 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定信号としてのPAM4信号のサンプルデータのシンボルパターンの遷移状態を識別するシンボルパターン識別手段(4a)と、
前記シンボルパターン識別手段にて識別されたシンボルパターンの遷移状態に応じた6種類の振幅のレベルからなるNRZ信号の重ね合わせとして前記PAM4信号を分離し、前記NRZ信号を選択的に表示する表示制御手段(4b)とを備えたことを特徴とするPAM4分離回路。
【請求項2】
前記NRZ信号を種類ごとにレイヤ分けして保存する記憶手段(4d)を備えたことを特徴とする請求項1記載のPAM4分離回路。
【請求項3】
前記記憶手段(4d)にレイヤ分けして保存されたNRZ信号から表示対象のレイヤを選択指示する操作手段(4c)を備えたことを特徴とする請求項2記載のPAM4分離回路。
【請求項4】
被測定信号としてのPAM4信号のサンプルデータのシンボルパターンの遷移状態を識別するステップと、
前記識別されたシンボルパターンの遷移状態に応じた6種類の振幅のレベルからなるNRZ信号の重ね合わせとして前記PAM4信号を分離し、前記NRZ信号を選択的に表示するステップとを含むことを特徴とするPAM4分離方法。
【請求項5】
前記NRZ信号を種類ごとにレイヤ分けして保存するステップを含むことを特徴とする請求項4記載のPAM4分離方法。
【請求項6】
前記レイヤ分けして保存されたNRZ信号から表示対象のレイヤを選択指示するステップを含むことを特徴とする請求項5記載のPAM4分離方法。
【請求項7】
請求項1〜3の何れかのPAM4分離回路(4)を備えたことを特徴とするサンプリングオシロスコープ。
【請求項8】
請求項4〜6の何れかのPAM4分離方法を用いたことを特徴とするサンプリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NRZ信号の重ね合わせとしてPAM4信号を分離するPAM4分離回路及びPAM4分離方法と、NRZ信号と同じ指標でPAM4信号の信号評価が可能なサンプリングオシロスコープ及びサンプリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、時間の経過とともに電気信号が変化していく様子を観測できる波形測定器として、例えば下記特許文献1などに開示されるようなデジタルオシロスコープが一般的に知られている。
【0003】
ところで、近年、光通信で導入が盛んな変調フォーマットであるPAM4信号に対し、被測定信号の性能を表す指標として各レベルにおける振幅や、各アイ開口といったものが定義されてきている。このため、上述した波形測定器などを製造・販売する計測器メーカは、PAM4解析用ソフトを開発してPAM4信号の解析に貢献している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−162419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、計測器メーカは、PAM4解析用ソフトを開発するにあたって、従来技術を応用するにしても新規開発としての対応を余儀なくされている。また、ユーザもこれまで使用してきたNRZ信号とは異なる表現の測定値として表現されるため、信号の良し悪しを判断するのにNRZ信号のパラメータを比較して表現することが困難であった。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、NRZ信号の重ね合わせとしてPAM4信号を分離することができるPAM4分離回路及びPAM4分離方法と、NRZ信号と同じ指標でPAM4信号の信号評価が可能なサンプリングオシロスコープ及びサンプリング方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載されたPAM4分離回路は、被測定信号としてのPAM4信号のサンプルデータのシンボルパターンの遷移状態を識別するシンボルパターン識別手段4aと、
前記シンボルパターン識別手段にて識別されたシンボルパターンの遷移状態に応じた6種類の振幅のレベルからなるNRZ信号の重ね合わせとして前記PAM4信号を分離し、前記NRZ信号を選択的に表示する表示制御手段4bとを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載されたPAM4分離回路は、請求項1のPAM4分離回路において、
前記NRZ信号を種類ごとにレイヤ分けして保存する記憶手段4dを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載されたPAM4分離回路は、請求項2のPAM4分離回路において、
前記記憶手段4dにレイヤ分けして保存されたNRZ信号から表示対象のレイヤを選択指示する操作手段4cを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載されたPAM4分離方法は、被測定信号としてのPAM4信号のサンプルデータのシンボルパターンの遷移状態を識別するステップと、
前記識別されたシンボルパターンの遷移状態に応じた6種類の振幅のレベルからなるNRZ信号の重ね合わせとして前記PAM4信号を分離し、前記NRZ信号を選択的に表示するステップとを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載されたPAM4分離方法は、請求項4のPAM4分離方法において、
前記NRZ信号を種類ごとにレイヤ分けして保存するステップを含むことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載されたPAM4分離方法は、請求項5のPAM4分離方法において、
前記レイヤ分けして保存されたNRZ信号から表示対象のレイヤを選択指示するステップを含むことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載されたサンプリングオシロスコープは、請求項1〜3の何れかのPAM4分離回路4を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載されたサンプリング方法は、請求項4〜6の何れかのPAM4分離方法を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シンボルパターンの遷移状態に応じた6種類の振幅のレベルからなるNRZ信号の重ね合わせとしてPAM4信号を分離することができ、PAM4信号の専用解析手法以外に、従来より使用されているNRZ信号の解析方法をPAM4信号に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るPAM4分離回路を含むサンプリングオシロスコープの概略構成を示すブロック図である。
図2図1におけるトリガ生成回路の内部構成の一例を示すブロック図である。
図3】(a)PAM4信号の概略図であり、(b)〜(g)シンボルパターンの遷移状態に応じた6種類の振幅のレベルからなるNRZ信号の概略図である。
図4】パターンロック機能の説明図である。
図5】本発明に係るサンプリングオシロスコープにおけるPAM4分離方法のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
[本発明の概要について]
情報信号の振幅をパルス信号の系列で符号化したパルス振幅変調信号として、論理「0」および「1」から構成されるビット列を、4つの電圧レベルまたは光電力のパルス信号として変調して伝送するPAM4方式が知られている。このPAM4方式によるPAM4信号は、振幅がシンボルごとに4種類に分けられ、図3(a)に示すように、4つの異なる振幅レベルL0,L1,L2,L3を有し、全体の振幅範囲Hが振幅レベルの低い方(振幅レベルL0)から低振幅範囲H1、中振幅範囲H2、高振幅範囲H3に分けられ、3つのアイパターン開口部による連続した範囲からなる。
【0019】
PAM4信号は、新たな変調フォーマットではあるものの、強度変調の一種であるため、NRZ信号の重ね合わせとして捉えることができる。すなわち、論理レベルで考えれば、図3(b)〜(g)に示すように、L3/L2、L2/L1、L1/L0、L3/L1、L2/L0、L3/L0の振幅レベルからなる6種類のNRZ信号の重ね合わせである。
【0020】
従って、被測定信号の論理パターンがどの振幅のレベルに該当するかが分かれば、NRZ信号の重ね合わせとしてPAM4信号を分離することが可能となる。
【0021】
そこで、本発明では、サンプリングオシロスコープのパターンロック機能を用いることにより、被測定信号としてのPAM4信号の論理パターンが6種類のNRZ信号のどの振幅レベルに該当するか識別し、識別した結果から6種類のNRZ信号の重ね合わせとしてPAM4信号を分離する。これにより、PAM信号に対し、従来のNRZ信号に対する解析を用いることを可能にした。
【0022】
[サンプリングオシロスコープの構成について]
図1に示すように、本実施の形態のサンプリングオシロスコープ1は、トリガ生成回路2、サンプラ3、PAM4分離回路4を備えて概略構成される。
【0023】
トリガ生成回路2は、サンプラ3が動作するサンプリングタイミングとして用いられるストローブ信号を生成する。
【0024】
さらに説明すると、トリガ生成回路2は、図2に示すように、周波数変換部11、ダイレクト・デジタル・シンセサイザ(以下、DDSと略称する)12、バンドパスフィルタ(以下、BPFと略称する)13、増幅器14、可変分周器15を含んで構成される。
【0025】
周波数変換部11は、トリガ生成回路2の初段に位置し、可変分周器11aと周波数逓倍回路11bを備え、次段に位置するDDS12が動作可能な入力周波数範囲(1.25GHz〜2.5GHzのオクターブ(2倍)の範囲)に外部から供給されるトリガクロック(例えば矩形波や正弦波)の周波数を変換する。
【0026】
尚、周波数変換部11は、DDS12の動作周波数範囲がオクターブ(2倍)の範囲であれば、可変分周器11aの分周比及び周波数逓倍回路11bの逓倍比が2のべき乗で対応可能となる。また、周波数変換部11は、DDS12が動作可能な入力周波数範囲のトリガクロックが外部から入力される場合には省略することができる。この場合、外部からトリガクロックがDDS12に直接入力される。
【0027】
DDS12は、周波数変換部11の次段に接続され、リファレンスクロック発生器、位相アキュムレータ、波形データを記憶するROM、DAC(デジタル−アナログ変換回路)を備えて構成される。
【0028】
DDS12は、周波数変換部11にて動作周波数範囲に入力周波数が調整され、周波数変換部11にて周波数変換されたトリガクロックから、任意の波形や周波数(出力周波数)をデジタル的に生成する。
【0029】
BPF13は、DDS12の次段に接続され、スプリアスを除去するため、DDS12から出力されるトリガクロックの通過帯域を制限する。
【0030】
増幅器14は、例えばローノイズアンプで構成され、BPF13にて帯域制限されたトリガクロックの振幅を増幅する。
【0031】
可変分周器15は、増幅器14の次段に接続され、分周比が可変設定可能(例えば2〜1/231)であり、サンプラ4のサンプリングタイミングを生成するためにトリガ生成回路2の最終段に設けられる。可変分周器15は、BPF13を通過して増幅器14にて増幅されたトリガクロックの周波数を、サンプラ4が動作可能な周波数範囲に調整する。
【0032】
ここで、サンプラ4が駆動可能なサンプリングタイミングの周期(ストローブ周期)は一般的にkHzオーダとなり、DDS12とBPF13の出力周波数にてサンプラ4を直接駆動することは現実的ではない。そのため、最終段の可変分周器15は、BPF13を通過したトリガクロックをサンプラ4が駆動可能な周波数まで周波数を分周し、サンプラ4のサンプリングタイミングとなるストローブ信号を出力する。
【0033】
サンプラ3は、トリガ生成回路2にて生成されるストローブ信号をサンプリングタイミングとして例えば数百kHzでスイッチング動作(閉状態:例えば10〜100psec)し、外部から入力される被測定信号としてのPAM4信号をサンプリングする。
【0034】
PAM4分離回路4は、パターンロック機能により、図3(b)〜(g)の6種類のNRZ信号の重ね合わせとして図3(a)のPAM4信号を分離する。
【0035】
パターンロック機能は、被測定信号としてのPAM4信号(データ)をサンプリングするトリガイベントの発生位置を入力パターン長に同期させてサンプリングオシロスコープ1が持つシーケンシャル遅延機と組み合わせて時系列波形を表示するトリガ手法である。例えば、図4に示すように、PAM4信号の周期波形の特定の位置を基準としてトリガイベントの位相がΔtずつ徐々にずれていくため、波形を復元することができる。このパターンロック機能を用いることにより、観測しているPAM4信号のシンボルパターン(ビットパターン列)が識別可能となる。
【0036】
なお、図4では時系列データとして表示しているが、表示形態を変えて2UIで折り返して表示すれば、シンボルパターンを識別しながらアイ波形を描くことができる。
【0037】
PAM4分離回路4は、上述したパターンロック機能を用いて6種類の振幅レベルからなるNRZ信号の重ね合わせとしてPAM4信号を分離し、分離されたNRZ信号を選択的に表示するため、シンボルパターン識別手段4a、表示制御手段4b、操作手段4c、記憶手段4d、表示手段4eを備える。
【0038】
シンボルパターン識別手段4aは、サンプラ3にてサンプリングされたPAM4信号のサンプルデータのシンボルパターン(ビットパターン列)の遷移状態(例えば図3においてL0からL1に遷移、L0からL2に遷移など)を識別する。
【0039】
表示制御手段4bは、シンボルパターン識別手段4aにて識別したシンボルパターンの遷移状態に応じたレベルのNRZ信号(図3(b)〜(g)の6種類のNRZ信号)の重ね合わせとしてPAM4信号を分離する。
【0040】
そして、表示制御手段4bは、PAM4信号を分離して得られるNRZ信号を操作手段4cの指示に従って表示手段4eの表示画面に表示制御する。すなわち、表示制御手段4bは、操作手段4cから全てのNRZ信号を重ね合わせて表示する指示が入力されると、全てのNRZ信号を重ね合わせて表示手段4eの表示画面に表示制御する。また、表示制御手段4bは、操作手段4cから一つのNRZ信号のレイヤを指定して表示する指示が入力されると、指定されたレイヤのNRZ信号のみを表示手段4eの表示画面に表示制御する。
【0041】
操作手段4cは、例えば表示手段4eの表示画面上のソフトキー、カーソル、マーカーや装置本体に設けられるキー、スイッチ、ボタンなどを含み、波形データやデータ解析結果を表示手段4eの表示画面に表示するための各種設定情報を設定する際に操作される。
【0042】
また、操作手段4cは、6種類のNRZ信号の重ね合わせとしてPAM4信号を分離した際に、全てのNRZ信号を重ね合わせて表示手段4eの表示画面に表示するか、一つのNRZ信号のレイヤを選択指定して表示手段4e7の表示画面に表示するかを表示制御手段4bに指示する際に操作される。
【0043】
記憶手段4dは、PAM4信号を分離して得られるNRZ信号を種類ごとにレイヤ分けして保存する。例えば図3(b)のNRZ信号をレイヤ1、図3(c)のNRZ信号をレイヤ2、図3(d)のNRZ信号をレイヤ3、図3(d)のNRZ信号をレイヤ4、図3(d)のNRZ信号をレイヤ5、図3(d)のNRZ信号をレイヤ6といったように、6種類のNRZ信号をそれぞれ異なるレイヤに分けて記憶手段4dに保存する。
【0044】
表示手段4eは、例えば装置本体に設けられる液晶表示器などの表示器で構成され、表示制御手段4bの制御により、PAM4信号を分離して得られるNRZ信号の波形データや解析結果を表示画面に表示する。
【0045】
次に、上記のように構成されるサンプリングオシロスコープ1におけるPAM4分離方法について図5を参照しながら説明する。このサンプリングオシロスコープ1では、被測定信号としてのPAM4信号がサンプラ3に入力されると、トリガ生成回路2にて生成されるストローブ信号のタイミングでPAM4信号がサンプリングされる(ST1)。
【0046】
次に、サンプラ3にてサンプリングされたPAM4信号のサンプルデータは、PAM4分離回路4のシンボルパターン識別手段4aにてシンボルパターンの遷移状態が識別される(ST2)。
【0047】
そして、表示制御手段4bは、シンボルパターン識別手段4aによる識別結果に基づいて図3(b)〜(g)に示す6種類のNRZ信号の重ね合わせとして図3(a)に示すPAM4信号を分離し(ST3)、この分離によって得られるNRZ信号を選択的に表示手段4eの表示画面に表示制御する(ST4)。具体的には、分離によって得られるNRZ信号を操作手段4cの指示に従って表示手段4eの表示画面にレイヤ別又は全て重ね合わせて表示制御する。その際、PAM4分離回路4にてNRZ信号の重ね合わせとしてPAM4信号を分離した際のデータは、NRZ信号の種類ごとにレイヤ分けされて記憶手段4dに保存される。
【0048】
このように、本実施の形態によれば、パターンロック機能を用いることにより、シンボルパターンの遷移状態に応じた6種類の振幅レベルからなるNRZ信号の重ね合わせとしてPAM4信号を分離することができるので、PAM4信号の専用解析手法以外に、従来より使用されているRise/Fall Time(立上がり時間/立下り時間)といったNRZ信号の解析方法をPAM4信号に対して適応可能となる。
【0049】
具体的には、例えばアイ開口や、クロスポイントにおけるジッタ、Rise/Fall Timeといったアイの基本的なパラメータが容易にユーザに提供可能となる。これにより、計測器メーカは、新規開発にかかるコストを削減できる。また、使用ユーザは、必要に応じてNRZ信号と同じ指標で信号評価が可能となり従来の知見を活かせるようになる。
【0050】
また、PAM4信号のサンプルデータのシンボルパターンが識別できるため、PAM4信号の分離後に該当するNRZ信号を表示の際に識別することができ、分離後のNRZ信号のデータを種類ごとにレイヤ分けして記憶手段4dに保持しておけば必要に応じてその部分だけ解析することが可能となる。
【0051】
そして、PAM4信号の一つ一つのアイはNRZ信号となるため、従来の妥当性判定等の知見を活かすことが可能となり、アイがどのくらい開いているかを示すマスクマージンを測定してアイパターンの解析を行なうこともできる。
【0052】
以上、本発明に係るPAM4分離回路及びPAM4分離方法とサンプリングオシロスコープ及びサンプリング方法の最良の形態について説明したが、この形態による記述及び図面により本発明が限定されることはない。すなわち、この形態に基づいて当業者等によりなされる他の形態、実施例及び運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
1 サンプリングオシロスコープ
2 トリガ生成回路
3 サンプラ
4 PAM4分離回路
4a シンボルパターン識別手段
4b 表示制御手段
4c 操作手段
4d 記憶手段
4e 表示手段
11 周波数変換部
11a 可変分周器
11b 周波数逓倍回路
12 DDS(ダイレクト・デジタル・シンセサイザ)
13 BPF(バンドパスフィルタ)
14 増幅器
15 可変分周器
図1
図2
図3
図4
図5