(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記医療手順は、少なくとも1つの造影剤及び生理食塩水の注入を伴う注入手順を含み、前記医療装置は、注入システムを含む、請求項1に記載のプロトコール作成クライアント。
前記医療手順は、コントラストの協調された撮像手順を含み、前記医療装置は、注入システム及び撮像システムのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のプロトコール作成クライアント。
前記データベースは、複数の情報源と電子通信し、前記複数の情報源は、医療手順についての客観的情報及び前記医療手順の前記結果の主観的評価を前記データベースに提供するように構成される、、請求項1に記載のプロトコール作成クライアント。
前記情報源は、前記医療手順の1つに関連付けられたデジタル化された画像又は文書を含む少なくとも1つの医療記録システムを含む、請求項5に記載のプロトコール作成クライアント。
前記手順記録の少なくとも一部について、前記医療手順についての前記客観的情報及び前記医療手順の前記結果の前記主観的評価が収集される前記情報源は異なる、請求項5に記載のプロトコール作成クライアント。
前記手順記録の少なくとも一部について、前記医療手順についての前記客観的情報及び前記医療手順の前記結果の前記主観的評価が収集される前記情報源は同じである、請求項5に記載のプロトコール作成クライアント。
前記情報源の少なくとも1つは医療撮像装置であり、前記医療撮像装置は、医療撮像手順を実行し、前記医療撮像手順の電子リポートを生成し、前記医療撮像手順の前記結果の前記主観的評価は、前記電子リポートに入力され、前記電子リポートの部分として記録される、請求項5に記載のプロトコール作成クライアント。
前記プロトコール作成クライアントは、前記医療装置を含むと共に、前記医療装置を使用して前記被験患者に対して実行された前記医療手順の電子リポートを生成して、前記被験患者に対して実行された前記医療手順の前記結果の前記主観的評価が、前記電子リポートの部分として入力され、前記電子リポートの部分として記録されるようにする、請求項1に記載のプロトコール作成クライアント。
前記プロトコール作成クライアントの前記ユーザインタフェースは、前記被験患者に対して実行された前記医療手順の前記結果の前記主観的評価を前記電子リポートに入力するために使用される、請求項12に記載のプロトコール作成クライアント。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
要約すると、従来技術の行為及び現在の行為が提供に失敗しているのは、日々の行為から生じる増分的な種類の変化である、継続して発展する薬剤の進歩に適宜迅速に適応するシステム及び方法論である。増分的な進歩及び成功結果を医学専門家での他の施術者と共有して、特に医療のケア及び品質をより迅速に進めることができるメカニズムはほとんどない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一態様では、医療撮像手順に関連する情報を収集し管理する方法が提供される。方法は、複数の医療撮像手順についての情報を複数の情報源から収集することを含むことができる。医療撮像手順のそれぞれについて収集される情報は、医療撮像手順についての客観的情報と、医療撮像手順の結果の主観的評価とを含むことができる。客観的情報は、少なくとも、医療撮像手順のパラメータについての情報及び医療撮像手順を受けた患者についての情報を含むことができる。方法は、複数の手順記録を形成することを更に含むことができ、手順記録のそれぞれは、医療撮像手順の1つに対応し、手順記録のそれぞれは、少なくとも、医療撮像手順についての客観的情報及び医療撮像手順の結果の主観的評価を含む。加えて、方法は、手順記録をデータベースに記憶することができ、データベースは、情報源の少なくとも一部と電子通信する。
【0013】
特定の非限定的な実施形態では、情報源は複数の医療撮像装置を含むことができる。情報源は、医療撮像手順の1つに関連付けられたデジタル化された画像又は文書を含む少なくとも1つの医療記録システムを含むことができる。いくつかの非限定的な実施形態では、情報源は、複数の医療撮像装置と、少なくとも1つの医療記録システムとを含むことができる。
【0014】
特定の非限定的な実施形態では、医療記録システムから情報を収集することは、光学文字認識処理及び自然言語処理のうちの少なくとも一方を使用して画像から情報を抽出することを含むことができる。特定の非限定的な実施形態では、光学文字認識は、フォントデータベースを備える光学文字認識エンジンを使用して実行され、フォントデータベースは、画像と併用されるように特に構成されたフォント文字情報を含む。光学文字認識は、残余誤差修正プロセスを含むことができ、残余誤差修正プロセスでは、光学文字認識中に生じた1つ又は複数の誤差が検出され修正され、誤差についての情報がフォントデータベースに転送される。
【0015】
いくつかの非限定的な実施形態では、自然言語処理を使用して、医療撮像手順の結果の主観的評価を示す画像内の言葉を識別することができる。
【0016】
特定の非限定的な実施形態では、方法は、データベースに記憶された情報をデータ報告・解析アプリケーションに転送することを更に含むことができ、データ報告・解析アプリケーションは、データベースに記憶された情報に基づいて1つ又は複数のリポートを生成する。
【0017】
特定の非限定的な実施形態では、医療撮像手順の結果の主観的評価は、医療撮像手順の結果の品質に関連する個人の意見である。
【0018】
特定の非限定的な実施形態では、手順記録の少なくとも一部について、医療撮像手順についての客観的情報及び医療撮像手順の結果の主観的評価が収集される情報源は異なる。
【0019】
特定の非限定的な実施形態では、手順記録の少なくとも一部について、医療撮像手順についての客観的情報及び医療撮像手順の結果の主観的評価が収集される情報源は同じである。
【0020】
特定の非限定的な実施形態では、情報源の少なくとも1つは医療撮像装置であり、医療撮像装置は、医療撮像手順を実行し、医療撮像手順の電子リポートを生成し、医療撮像手順の結果の主観的評価は、電子リポートに入力され、電子リポートの部分として記録される。いくつかの実施形態では、主観的評価は、医療撮像装置に関連付けられたユーザインタフェースにおいて電子リポートに入力することができる。いくつかの実施形態では、主観的評価は、コンピュータワークステーションにおいて前記電子リポートに入力することができる。特定の実施形態では、電子リポートは、予め定義される属性フィールドのセットを含むように構造化することができ、主観的評価は、予め定義されるフィールドの1つに入力される。
【0021】
別の態様では、被験患者に対して実行する医療撮像手順において使用されるプロトコールを決定する方法が提供される。方法は、被験患者についての情報を受信することを含むことができる。方法は、複数の手順記録を含むデータベースにアクセスすることを更に含むことができ、手順記録のそれぞれは、前に実行された撮像手順に対応し、手順記録のそれぞれは、撮像手順についての客観的情報と、撮像手順の結果の主観的評価とを含み、客観的情報は、少なくとも、撮像手順を受けた患者についての情報と、撮像手順に使用されたプロトコールについての情報とを含む。方法は、推奨プロトコールを決定することを更に含むことができ、推奨プロトコールは、被験患者の情報と、データベースに含まれる客観的情報及び主観的評価との検討に基づいて決定される。加えて、方法は、推奨プロトコールを視覚的に知覚可能な形態で提示することを含むことができる。
【0022】
特定の非限定的な実施形態では、方法は、推奨プロトコールを変更することを含むことができる。
【0023】
別の態様では、複数の医療撮像手順についての情報を収集し利用する方法が提供される。方法は、医療撮像手順を実行すべき被験患者についての情報を受信することを含むことができる。方法は、複数の手順記録を含むデータベースにアクセスすることを更に含むことができ、手順記録のそれぞれは、過去の撮像手順に対応し、手順記録のそれぞれは、過去の撮像手順についての客観的情報と、過去の撮像手順の結果の主観的評価とを含み、客観的情報は、少なくとも、過去の撮像手順を受けた患者についての情報と、過去の撮像手順に使用されたプロトコールについての情報とを含む。方法は、推奨プロトコールを決定することを更に含むことができ、推奨プロトコールは、被験患者についての情報と、複数の記録に含まれる客観的情報及び主観的評価との検討に基づいて決定される。方法は、推奨プロトコールを視覚的に知覚可能な形態で提示することを更に含むことができる。方法は、推奨プロトコール及び推奨プロトコールの変更のうちの一方に従って、被験患者に対して医療撮像手順を実行することを含むこともできる。加えて、方法は、被験患者に対して実行された医療撮像手順の結果の主観的評価を提供することと、被験患者に対して実行された医療撮像手順についての客観的情報と、被験患者に対して実行された医療撮像手順の結果の主観的評価とを収集することと、被験患者に対して実行された医療撮像手順についての客観的情報と、被験患者に対して実行された医療撮像手順の結果の主観的評価とを含む被験患者手順記録を形成することと、被験患者手順記録をデータベースに記憶することとを含むことができる。
【0024】
一実施形態では、方法は、医療撮像手順を実行すべき第2の被験患者についての情報を受信することと、データベースにアクセスすることであって、データベースは被験患者手順記録を更に含む、アクセスすることと、第2の推奨プロトコールを決定することであって、第2の推奨プロトコールは、前記第2の被験患者の情報と、被験患者手順記録に含まれる客観的情報及び主観的評価を含む、複数の手順記録に含まれる客観的情報及び主観的評価との検討に基づいて決定される、決定することとを更に含むことができる。
【0025】
さらに別の態様では、医療撮像システムが提供される。医療撮像システムは、それぞれが、医療撮像装置に提供される撮像プロトコールに従って医療撮像手順を実行するように構成される複数の医療撮像装置を含むことができる。システムは、1つ又は複数のプロトコール管理アプリケーションを更に含むことができ、プロトコール管理アプリケーションのそれぞれは、医療撮像装置の1つ又は複数と電子通信し、撮像プロトコールを医療撮像装置に送るように構成される。加えて、システムは、プロトコール管理アプリケーションのそれぞれと電子通信するデータベースを含むことができ、データベースは複数の手順記録を含み、手順記録のそれぞれは、過去の医療撮像手順についての客観的情報と、過去の医療撮像手順の結果の主観的評価とを含む。客観的情報は、少なくとも、過去の医療撮像手順で使用されたパラメータについての情報と、過去の医療撮像手順の被験者であった患者についての情報とを含む。データベースは複数の情報源と電子通信し、複数の情報源は、医療撮像手順についての客観的情報及び医療撮像手順の結果の主観的評価をデータベースに提供するように構成される。
【0026】
特定の非限定的な実施形態では、情報源は少なくとも1つの医療記録システムを含むことができる。
【0027】
別の態様では、被験患者に対して実行すべき医療撮像手順で使用されるプロトコールを決定する分散システムが提供される。分散システムは、データベースへのアクセスを有するサーバを含むことができ、データベースは複数の手順記録を含み、手順記録のそれぞれは、過去の撮像手順に対応し、手順記録のそれぞれは、過去の撮像手順についての客観的情報と、過去の撮像手順の結果の主観的評価とを含み、客観的情報は、少なくとも、過去の撮像手順を受けた患者についての情報と、過去の撮像手順に使用されたプロトコールについての情報とを含む。システムは、それぞれがサーバと電子通信する1つ又は複数のクライアントを更に含むことができ、クライアントは、医療撮像装置と電子通信するプロトコール管理アプリケーションを実行するように構成される。クライアントのそれぞれについて、プロトコール管理アプリケーションは、医療撮像手順を実行すべき被験患者についての情報をクライアントから受信することと、クライアントから受信される被験患者の情報と、データベースからアクセスされる複数の記録に含まれる客観的情報及び主観的評価との検討に基づいて、推奨プロトコールを決定することと、推奨プロトコールを医療撮像装置に送り、それにより、クライアントのオペレータが、推奨プロトコール及び推奨プロトコールの変更のうちの一方に従って医療撮像手順を被験患者に対して実行できるようにすることとを実行するように構成される。
【0028】
システムの特定の非限定的な実施形態では、プロトコール管理アプリケーションは、クライアントのそれぞれについて、オペレータが、被験患者に対して実行された医療撮像手順の結果の主観的評価を行えるようにすることと、被験患者に対して実行された医療撮像手順についての客観的情報を収集することと、被験患者手順記録を形成することであって、複数の被験患者手順記録は、被験患者に対して実行された医療撮像手順についての客観的情報と、被験患者に対して実行された医療撮像手順の結果の主観的評価とを含む、形成することと、被験者患者手順記録をデータベースに記録することとを実行するように更に構成される。
【0029】
上記例示的な実施形態及び他の実施形態は、その属性及び不随する利点は、添付図面と併せて解釈される以下の詳細な説明に鑑みて最もよく認識され理解される。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1〜
図3は、本開示によるシステム10のいくつかの実施形態を示す。システム10は、様々な情報源30からの医療診断手順に関する情報を収集し記憶するデータベース20を含むことができる。データベース20は、単一のユニットとして表されるが、互いに電子通信する一連のユニットで構成することもできる。データベース20は、様々な異なる情報源30から追加することができ、各情報源は、データベース20及び/又は互いと電子通信し得る。本明細書に記載のように、これらの情報源は、医療装置、医療記録システム、コンピュータワークステーション、並びに通常、手順についての情報及び患者についての情報を含め、医療診断手順に関連する情報の寄せ集め、収集、及び/又は記憶に関わる他の情報源を含むことができる。これらの情報源30は、医療撮像スキャナ及び造影剤を患者に投与する注入システムの動作パラメータ等の患者又は手順自体についての客観的、すなわち定量的情報と、得られた結果の品質のいくらか主観的な評価を含むことができる手順の結果についての情報とを提供することができる。さらに、撮像手順での吸収、等価、実効臓器放射線線量及び実効放射線線量等の特定の情報の推定値を、手順情報及び患者固有の情報に基づいて計算し得る。各手順の記録がこの情報から作成することができ、記録はデータベース20に記憶することができる。
【0032】
システム10は、1つ若しくは複数の医療診断手順の実行又はデータベース20に記憶された情報の解析と併せて、データベース20からの情報を直接又は間接的に利用する1つ又は複数の構成要素を含むこともできる。例えば、システム10は、1つ又は複数の医療装置がデータベース20に記憶された情報を利用して、医療診断手順を実行することができるように構成し得る。そのような医療装置は、いくつかの非限定的な実施形態では、医療装置によって実行すべき手順のパラメータ群を提供可能な1つ又は複数のプロトコール管理アプリケ−ションと併せて機能する。プロトコール管理アプリケーションは、データベース20と電子通信することができ、医療装置に適用する適切なプロトコールを決定する際にデータベース20内の情報を利用する。システム10は、1つ又は複数のデータ解析・報告アプリケーションを含むこともでき、このアプリケーションは、データベース20に記憶された情報を解析し、そこからリポートを生成することができる。データベース20からの情報を利用する構成要素も同様に情報源30であり得る。この意味では、システム10は「閉ループ」構成を形成することができ、この構成では、前に収集された情報を使用して、新しい情報を作成し、次に、新しい情報が収集され、更なる追加の情報の生成に使用される。
図4は、閉ループ構成の特定の態様の代表的な実施形態を示す。例えば、
図4に示されるように、放射線技師は、データベース20と通信するプロトコール作成クライアントを用いてプロトコールを作成することができ、次に、作成されたプロトコールに従って手順を適用することができ、技師及び/又は放射線技師は次に、手順の結果を検討し、結果を格付けすることができ、次に、結果は医療記録システムに送信され、最終的にデータベース20に提供することができる。
【0033】
いくつかの非限定的な実施形態では、システム10は、少なくとも1つのサーバ及び複数のクライアントを含む分散システムとして構成することができる。例えば、システム10は、データベース20へのアクセスを有するサーバと、サーバと通信可能な1つ又は複数のクライアントとを含むように構成することができる。クライアントは、情報源30及び情報源30としても機能してもよく、又は機能しなくてもよい医療装置、データ報告・解析アプリケーション、プロトコール管理アプリケーション等システムの構成要素を含め、データベース20へのアクセスから恩恵を受け得るシステムの構成要素を含むことができる。
【0034】
この説明全体を通して、ある構成要素から別の構成要素への通信リンクについて考察し説明する。明確にするために、矢印は通信の方向を示す。矢印は、別個の単方向通信リンクを示すものとして理解し得る。代替的には、矢印は、双方向通信に役立つ単一の通信リンクを示し得る。当業者には理解されるように、通信リンクは、特に、電話回線、無線通信リンク、又はインターネットとし得る。ある構成要素から別の構成要素に通信されるデータは、1つ又は複数のノードを通過することもでき、ノードは、「記憶及び転送」並びに他の低レベルデータ収集機能、処理機能、及び通信機能等のネットワーク化されたシステムに一般に関連付けられる機能を実行するローカルデータ収集・通信モジュールとして機能することができる。
【0035】
以下は、システムで有用であり得る情報の例示的なタイプと、その情報を収集する例示的な技法及び方法と、その情報の例示的な使用との説明である。広範囲に及ぶ適用可能性により、理解を促すために、以下の考察は主に、医療撮像、特に電離放射線の使用を含む医療撮像への本発明の適用に焦点を合わせ、電離放射線の非限定的な例としては、コンピュータ断層撮像法(CT)、X線、血管造影法、核医学、コンピュータX線撮影法(CR)、直接撮影法(DR)、及びマンモグラフィが挙げられる。しかし、本開示の範囲は、明記されない限りそのように限定されることに意図されない。
【0036】
上述したように、システム10は、特定の医療撮像手順又は医療撮像手順セットについての客観的情報及び主観的情報の両方を収集し利用するように設計される。本開示では、客観的な情報は、手順自体又はその結果に関する定量可能な値である情報に関する。これは、例えば、患者の人口統計、医療装置の性能の定義に使用される研究又はプロトコールパラメータ、手順中に医療装置によって寄せ集められる動作データ、及び手順についての他の定量可能な情報を含む。客観的情報は、システム10が手順に関わる特定の医療装置について蓄積した知識を含むこともできる。パラメータは、DICOM適合性宣言等の医療装置から抽出された情報を含むことができ、この情報は、撮像手順中に集められない装置の性能及び/又は制限への洞察を提供し得る。この点を更に示すために、CT撮像手順に関連する客観的な情報の例は、研究又は手順の名称、研究UID、使用される造影剤量、使用される生理食塩水量、造影剤のブランド名、造影剤の濃度、管の電圧、注入流量、注入部位、ボーラス投与タイミング、注射器タイプ、スキャン遅延、スキャン領域、患者の位置、プロトコール名、スキャナの型番及び製造業者、スキャナのソフトウェア、CTDI(CD線量指標)及び線積分線量(DLP)又は面積線量積(DAP)の並べ替え等の放射線量指標パラメータ、スライス厚、回転時間、画像解像度行列、maS指標等の取得パラメータ、及び患者の年齢、性別、身長、体重、利用状態、心拍数等についての情報等の情報を含むことができる。本開示では、特定の医療撮像手順についての主観的情報は、特定の手順の結果又は成果の品質の主観的な、すなわち品質的な評価に関する。そのような情報は、例えば、撮像手順から生じた画像の品質についての検討技師又は医師の意見の形態をとることができる。これは、本開示は、特定の撮像手順中に達成される造影増強レベルを通してなど、品質的評価が実行可能なことを意図するため、品質的評価をコンピュータ生成又はコンピュータ支援することができないと言っているわけではない。しかし、全体を通して考察される主観的情報は、これらの結果の達成にどの動作パラメータが使用されたかではなく、結果がいかに「良好」かにより焦点を合わせている。
【0037】
情報源30は、上述した手順を実行する際に使用される装置等の1つ又は複数の従来の医療撮像装置を含むことができる。本開示では、医療撮像装置は、造影剤注入システム、スキャナシステム、又はそれらの組み合わせと、様々な構成要素の操作に使用される関連するソフトウェア及びユーザインタフェースとを含むことができる。特定の非限定的な実施形態では、システム10は、2つ以上の医療撮像装置、2つ以上のタイプの医療撮像装置、及び/又は異なる製造業者製の医療撮像装置を含むことができる。異なる製造業者製の医療撮像装置、さらには同じ製造業者からであるが、異なる世代の医療撮像装置は、異なる報告性能を有することが多いため、システムは、異なる装置にわたる報告性能のそのような差を把握するように医療撮像装置から情報を収集する複数の手段を含むことができる。
【0038】
撮像手順についての情報は、様々な技法に従って医療撮像装置から収集することができる。例えば、医療撮像装置が、撮像手順についての情報を生成し捕捉することが可能なことがよく知られている。例として、装置の使用前、使用中、又は使用後に生成された動作情報を、装置によって捕捉し、且つ/又は記憶することができる。例えば、動作情報は、動作中に生成され、手順中にリアルタイム又は定期的に捕捉される撮像装置の動作に関するデータを含むことができる。医療撮像装置は、医療撮像装置の性能の定義に使用される研究又はプロトコールパラメータと、患者人口統計とについての情報を、この情報が医療撮像装置に提供されているか、又は他の様式で医療撮像装置に知らされる範囲で、捕捉することもできる。医療装置から情報を収集し、管理し、広める技法は、Uber等に付与された米国特許第7,996,381号明細書において考察されているものを含み、この特許を参照により本明細書に明示的に援用する。いくつかの非限定的な実施形態では、医療撮像装置からの情報は、電子通信リンクを通してデータベース20に直接転送される。他の非限定的な実施形態では、装置からの情報はまず、医療記録システム等の他のどこかに送信されてから、データベース20に転送される。装置からの情報は、複数のロケーションに同時に送信することもでき、造影剤の使用又は放射線線量の使用等のいくつかの種類の情報をあるロケーションに転送することができ、一方、スキャン遅延又は注入パラメータ等の情報は他のロケーションに行く。
【0039】
医療撮像装置は、手順中に生成される未処理のデータに基づいて電子研究リポートを作成するように構成することもできる。次に、医療撮像装置によって捕捉された情報は電子研究リポートに記憶することができる。1つ又は複数の業界規格フォーマットに準拠する電子研究リポートの使用は、医療撮像では一般的である。電子研究リポートの非限定的な例としては、DICOM二次捕捉画像及びDICOM構造リポート、放射線線量又は造影剤投与量リポートが挙げられる。
【0040】
情報源30は、医療撮像に一般に関連するレジストリ、リポジトリ、及び報告システムを含むこともできる。これらは、医療画像保存通信システム(PACS)、放射線科情報システム(RIS)、病院情報システム(HIS)、電子健康記録(EHR)、並びに同様のシステム及びデータリポジトリを含む。これらのソースは通常、画像、撮像リポート、患者人口統計、患者病歴等の形態で情報を含む。本開示では、これらは医療記録システムと呼ばれる。医療撮像装置と併せて上述した技法を含め、当分野において既知の技法を使用して、情報をこれらのソースからデータベース20に転送することができる。
【0041】
情報源30は、例えば、技師若しくは医師のオフィス、待合室、又は現場若しくは現場以外の任意の他の場所に配置されるワークステーションを含むこともできる。ワークステーションは通常、ネットワークを通してデータの受信及び転送を行うことが可能であり、指定のタスクを実行するために実行可能なソフトウェアをインストールしたコンピュータ装置を含む。ワークステーションは、医療撮像装置、医療記録システム、又はデータベース20を含め、システム10の任意の構成要素からデータを受信し、オペレータがデータの検討及び/又は更新を行い、次に、更新されたデータをシステム10の任意の構成要素に転送可能にするように構成することができる。ワークステーションを使用して、例えば、医療撮像装置から電子研究リポートを受信し、研究の結果についての主観的評価等の追加の情報を研究リポートに入力し、次に、更新された研究リポート、医療記録システム又はデータベース20等のシステムの別の構成要素に転送することができる。
【0042】
システム10は、各情報源30を処理して、データをデータベース20に同時に提供するように設計される。情報は、ネットワークの構成要素間でデータを転送するのに当分野で既知の任意の技法を使用してデータベース20に転送することができる。情報は、特定の情報についての要求を用いて情報源30に問い合わせ、この要求に応答して情報源に情報を送らせることによってデータベース20によって得ることができる。情報は同様に、又は追加として、情報が生成される際にリアルタイムで、又はバッチ動作で定期的に情報源30から「プッシュ」することができる。情報が、自動的にプッシュされるか、それとも要求された場合のみ送信されるか否かは、いくつかのタイプの情報を自動的に送信し得、一方、他のタイプの情報を、要求があった場合のみ送信し得るという意味で、情報に依存することができる。情報の転送を支配するルールは、システム10の特定のニーズに基づいてシステム管理者によって決定することができ、適切なロケーションでシステム10にプログラムすることができる。
【0043】
各情報源30からの情報は、情報源からデータベース20に直接転送することもでき、又は1つ若しくは複数の他の情報源30若しくはデータベースを通すことを含め、1つ又は複数の中間ロケーションを通して間接的にデータベース20に転送することもでき、又はそれらの何らかの組み合わせで転送することができる。例えば、特定の医療撮像手順に関連する医療撮像装置から得られる特定の情報は、PACS又はRIS等の医療記録システムにまず転送することができ、そこで処理され、ある時間量にわたって記憶されてから、データベース20に転送され、一方、同じ医療撮像手順に関連する医療撮像装置から得られる他の情報は、データベース20に直接送信することができる。
【0044】
様々な情報源30から収集された同じ手順についての情報は、情報がどの手順に対応するかの判断を支援する、情報に関連する研究識別値を使用して結合して、手順記録を形成することができる。例えば、研究Aについての特定の情報は、医療撮像装置から収集することができ、一方、研究Aについての他の情報は、医療記録システムから収集することができる。研究Aについての手順記録を作成することができ、記録は両情報源からの情報を含むことができる。医療撮像装置からの情報に関連する研究識別値を、医療記録システムに関連する研究識別値と照合して、記録の形成に役立てることができる。
【0045】
いくつかの非限定的な実施形態では、プリプロセッサモジュールに情報源出力を通すことにより、追加の情報を情報源の出力に追加することができ、このモジュールはノードに含み得る。例えば、プリプロセッサモジュールを使用して、サイトタグ又はジオロケーションタグを含むロケーションコンテキスト及び特定のロケーションで使用される特定の手順の非公式名等の任意の他の所望のユーザ定義データ等の情報源30によって通常は生成されない情報を追加することができる。例えば、病院が腹部のCTスキャンを「CT腹部」と呼ぶ場合、プリプロセッサはこのフィールドを医療装置の出力に追加することができる。同様に、プリプロセッサは、本発明を用いない場合なら情報源30から出力される情報の一部ではないことがあるロケーション情報(例えば、スキャン室の番号)を追加することができる。システム10は、データベース20に転送する前に、情報源30からの情報を1つ又は複数の好ましいフォーマットに変換する他の中間処理構成要素を含むこともできる。代替的には、必要なフォーマットのいくつか又は全ては、データベース20で行うこともでき、又は情報源30自体で行うこともできる。
【0046】
データベース20は、同じ病院内のシステム又は地方、地域、国、若しくは国際レベルで他の病院のシステムを含め、他の同様のシステムと通信することもできる。いくつかの非限定的な実施形態では、データベース20はクラウド計算プラットフォームで実行することができる。
図5は、通信を行うことができる様々なレベルを示し、最低レベルは単一の病院として表され、中間レベルは病院の集まり(集合的にIDN、すなわち総合ネットワークと呼ばれる)で表され、最高レベルは、それぞれを複数の病院で構成することができる一連のIDNで表される。
【0047】
上述したように、本発明は、特定の撮像手順についての客観的情報及び撮像手順の結果の品質の何らかの測定値の両方を収集し編纂するように設計される。この情報を収集する様々な技法が考えられる。これらは、Uberに付与された米国特許第7,996,381号明細書において考察される技法を含め、当分野で既知の情報収集技法を含み、この特許を明示的に参照により本明細書に援用する。所望の目標は、過去の撮像手順で達成される結果の検討及び解析を通して、全体的な画質の向上の支援を提供するために使用可能な主要情報を含むロバストなデータセットを開発することである。
【0048】
いくつかの非限定的な実施形態では、情報収集プロセスは、情報源30から利用可能なデータからの特定の情報の抽出、「マイニング」、又は「収穫」を含む。次に、抽出された情報を使用して、手順の記録を作成することができ、記録はデータベース20に記憶することができる。データ抽出は、データセットをパーズして、関心のある情報を見つけることと、その情報を抽出することと、抽出された情報を特定のロケーションに転送することと、その情報をそのロケーションに記憶することとを含むことができる。本明細書に記載のシステムに関して、データ抽出は、データ抽出技法を実行するために必要なハードウェア及びソフトウェアを備え得る、情報源30又はデータベース20自体及び情報源30とデータベース20との間に配置されるか、又は2つの情報源30の間に配置される中間構成要素を含め、システム10内の任意のポイントで行うことができる。
【0049】
データ抽出技法は、情報が通常、情報源30によって提供される様々な構成に対処するように構成することができる。これは、情報の典型的な構造及び/又は内容(例えば、DICOM線量リポート二次捕捉、MPPS、デジタルラジオグラフィ線量リポート、テキスト、スピーチ等)、内部に通常含まれる情報のタイプ(例えば、手順パラメータ、品質評価、スキャン画像、線量リポート等)、又はデータソース(例えば、特定の製造業者によるスキャナ、手書きのリポート等)を考慮するデータ抽出技法を開発することを含むことができる。最も幅広い数の潜在的なフォーマット及びソースにわたって動作可能なデータ抽出技法が好まれる。例えば、DICOM、HL7等の業界標準、及び医療撮像手順での情報の処理、記憶、プリント、及び送信に一般に使用される他の標準と協働するように構成された抽出技法が、特に有用である。例として、DICOM標準に従って動作する医療撮像装置は、モダリティ実施済手続きステップ(MPPS)のオブジェクトに、情報の中でも特に、取得された画像についてのデータ、開始時刻、終了時刻、及び研究の継続時間、並びに総被爆線量を記録するように構成することができる。このデータは、MPPSオブジェクト内の標的とする情報のファイルフォーマット及びロケーションとの親密性に基づくデータ抽出技法を使用して抽出することができる。別の例として、放射線量データを含むDICOM構造化リポートのオブジェクトに記憶される情報は、既知のデータ収集ソフトウェアを使用して構造化リポートの内容をパーズすることによって抽出することができる。当分野で既知の、DICOMオブジェクトから情報をパーズし抽出する他の技法も同様に存在し、これらの技法を本明細書に援用し得る。異なる製造業者からの装置又は同じ製造業者からの異なるバージョンの装置を含む幅広い様々な医療装置にわたり機能するように構成可能なデータ抽出技法も好まれる。
【0050】
1つの特定のデータ抽出技法は、光学文字認識(OCR)を含む。OCR技法を使用して、ビットマップ画像等のデジタル化された画像又は文書内に含まれるテキスト又は他の情報を機械認識可能なフォーマットに変換し、情報の検討、解析、及び潜在的な抽出を可能にすることができる。OCR技法は、本発明に関して、例えば、医療撮像手順中に生成され、PACS又はRIS等の医療記録システムにデジタル画像として記憶された電子研究リポートから情報を抽出するために有用であり得る。例えば、多くの医療撮像装置は静的な研究リポートを作成することができ、このリポートは、デジタル画像としてPACSに通常送信される二次捕捉オブジェクトの形態であり得る。画像は、手順に使用されるパラメータを含む手順自体についての情報を含み得る。例えば、CT手順では、特にX線管設定、CTDIvol、及びDLPについての情報をリポートに含み得る。OCR技法を使用してリポートに焼き付けられた静的データを抽出する技法が開発されている。これらの手法は、特定の情報源によって生成されるか、又は特定の情報源に記憶された画像から情報を抽出するために、本システムで実施することもできる。OCR技法の実行を担当する1つ又は複数のOCRエンジンを利用し得る。OCRエンジンは、ハードウェア及びソフトウェアの形態で実施することができ、システム10内の情報フロー経路に沿って任意の場所に配置することができる。本システムは、異なるOCRエンジンをソフトウェアに組み込み、異なるOCR技法を実行し得るように構成することもできる。Wang S、Pavlicek W、Roberts C、Langer S、Zhang M、Hu M等「An Automated DICOM Database Capable of Arbitrary Data Mining (Including Radiation Dose Indicators)for Quality Monitoring」Journal of Digital Imaging(2010年9月)において教示される技法を使用して、PACSのような医療記録システムに画像で保持されるメタデータから放射線量データを「マイニング」することもでき、この文献を参照により本明細書に明示的に援用する。
【0051】
解析される特定の画像又は特定のタイプの画像に最適化されたOCR技法を実施することもできる。例えば、医療撮像手順に関連して生成される電子研究リポート並びに他の文書及び画像は通常、共通フォーマットの文字セットを有し、この文字セットは、同じ医療撮像装置によって生成されるか、又は同じ機関で生成されるリポート、文書、及び/又は画像で共用される。例えば、同じ企業によって製造されたスキャナは、共通のレイアウトを有するリポートを生成し、同じ文字フォント又はフォントセットを利用することが多い。同様に、同じ病院又は他の機関内で生成されるリポートは、共通のレイアウトを有し、共通のフォントセットを使用することが多い。装置固有又は現場固有のテキスト処理及び抽出ルールを適用して、特定のソースに由来する画像を解析するOCRエンジンを開発することができる。例えば、OCRエンジンは、特定のスキャナ製造業者又は特定の病院によって生成されるリポートで使用される特定の文字セットを認識可能なように設計することができる。このように設計されたOCRエンジンが、人間の介入があるとしてもごくわずかな状態で、100%に近い正確性レベルで動作可能であると考えられる。
【0052】
上記によるOCRエンジンはフォントデータベースを含むことができ、フォントデータベースは確認済みの文字セットを含み、確認済み文字セットは、画像内に含まれると予想される正確な予め定義された文字セットを含む。確認済み文字セットは、1つ又は複数のOCRエンジンによって自動的に準備することができ、且つ/又は手動で入力することができる。確認済み文字セットは、含まれる文字の識別情報が正確であることを保証するために、あるレベルの人間の監視を有する。OCRエンジンを実施する前に、例示的な画像を用いて1つ又は複数のトレーニングパスを行い、適切なカバレッジ及び正確性を保証するとともに、必要に応じて初期確認済み文字セットを拡大又は修正することができる。フォントデータベースも定期的に更新して、新しい文字を追加するか、又は例えば、OCRエンジンの過去の性能又は入力画像に使用されている文字への変更に基づいて既存のエントリを修正することができる。いくつかの非限定的な実施形態では、更新は、後述するように、フィードバックプロセスを通して自動的に行うことができる。フォントデータベースに含まれる確認済み文字セットは、OCRエンジンが通常、直面する1つ又は複数の情報源に含まれ得る任意の画像に固有であるべきである。例えば、OCRエンジンを使用して、Seimens製のスキャナによって生成される画像又はリポートを解析する場合、フォントデータベースは、少なくとも、Seimensスキャナが通常使用する確認済み文字セットを含むべきである。別の例として、OCRエンジンを使用して、病院Xからの画像又はリポートを解析している場合、フォントデータベースは、少なくとも、病院Xによって通常使用される確認済み文字セットを含むべきである。フォントデータベースは、2つ以上の確認済み文字セットを含むことができ、OCRエンジンも2つ以上のフォントデータベースと併せて機能することができる。
【0053】
フォントデータベースが所定位置に配置されると、OCRエンジンを使用して、フォントデータベースに含まれる情報に基づいて、画像内の文字を検出して識別することにより、特定の画像又は文書を解析することができる。非限定的な一実施形態では、掃引アルゴリズムを使用し、最も広く最も高い文字から始まって画像内の最小セルに続いていく文字ラスタビットマップパターンを使用して文字を識別する。
【0054】
OCRエンジンは、1つ又は複数の品質モニタ及び/又は誤差修正技法を利用することもでき、この技法は、不完全なエリアを含む解析済み画像内の潜在的な誤差を識別し、次に、適応修正及び残差誤差修正技法の使用を通すことを含め、それらの誤差を修正する適切なステップをとることができる。使用することができる一種の残差誤差修正はサブトラクティブマスキング(subtractive masking)である。サブトラクティブマスキングは、識別された文字が、例えば、文字を画像の背景色で置き換えることによって画像から「除去」されるプロセスを含む。例えば、画像が、黒色背景で白色文字を含む場合、OCRプロセスを通して識別された文字は、白色文字を、等しいサイズ及び形状の黒色文字で置き換えることによって「除去」することができる。OCRを通して特定されなかった文字は、サブトラクティブマスキングプロセス後でも可視のままである。サブトラクティブマスキングの非限定的な例を
図6に示し、
図6は、サブトラクティブマスキングプロセスの結果を示す。
図6では、フォントデータベースは、完全ではなく、サブトラクティブマスキングにより、左側の画像から右側の画像が生成される。認識されない文字は以下である:"():x/.である。次に、右側の画像を残差誤差修正アルゴリズムに通して送ることができる。次に、残差文字を抽出することができ、残差文字は、1つ若しくは複数の他のOCRエンジンを通して、又は残差文字が人間に送られ、人間が次に、問題となっている文字を識別することができるプロセスを含むあるレベルの人間の見直しを通して識別することができる。残差文字が誤差修正プロセスを通して識別されると、画像を更新することができ、更新された画像は再び、サブトラクティブマスキングを受けて、残差文字が一切残っていないかどうかを確認することができる。加えて、このプロセスを通して識別される文字は、フォントデータベースに追加することができ、それにより、それと同じ文字が将来に直面する場合、フォントデータベースは、この新たに入力された値に基づいて文字を正確に識別することが可能である。したがって、OCRエンジンは、前の結果に基づいて構成することができる。
図7は、誤差修正技法の非限定的な例を示し、左側の画像は、「除去」されなかったいくつかの認識されなかった文字を示し、右側の画像は、認識されなかった文字が識別され、フォントデータベースに追加され、画像が再び見直された後のサブトラクティブマスキングの結果を示す。
【0055】
OCRエンジンを利用して、誤差修正又はフォントデータベース更新を目的としてメカニカルタークエージェントを利用することもできる。メカニカルタークの概念は、人間の知性の使用を調整して、コンピュータが行うことができないタスクを実行することを含む。文字認識の分野では、これは、人間又は1組の人間に、コンピュータによって認識されなかった1つ又は複数の文字を提示することを含むことができる。1人又は複数の人間は次に、文字を認識し、この識別の結果は次に、コンピュータに返し、将来の解析に使用することができる。メカニカルタークには、それぞれがタスクを実行し、要求された情報を返す人々のグループにタスクをアウトソーシングすることを含むという意味で、「クラウドソーシング」の概念に関連付けられることがある。上述したOCRエンジンは、メカニカルタークエージェントを使用し、誤差修正後に残る残差文字を含むフォントデータベースの部分ではない文字を、識別のために人間又は1組の人間に提示するプロセスを通して、フォントデータベースを埋めることができる。次に、これらの文字の人間識別の結果をフォントデータベースに入力することができる。
【0056】
図8は、上述したOCR技法の一実施形態の代表的なワークフローを表す。
【0057】
OCRエンジンは、画像に含まれる文字に加えて、特定のタイプの情報が画像内の配置される場所を含む画像の構造を認識するように構成することもできる。OCRエンジンに関連付けられた画像テンプレート及びフォーマットルールの使用を通して、ロケーションコンテキスト及び画像に含まれる認識された文字についての他の情報は、解析された画像に添付することができる。例えば、医療診断手順の完成後に、特定の形態の文書を完成するために特定の洞察が必要であり得る。次に、これらの形態をデジタルフォーマット(例えば、スキャンにより)、画像リポジトリに記憶し得る。これらの形態は、それらの性質により、要求された情報をその形態に含み得、この情報をその形態の所定のロケーションに配置し得る。例として、デジタルフォーマットに変換され、病院データベースに記憶された撮像手順の完成後に準備される手書きの病院調査リポートは、その手順の放射線線量を識別するテキストのセグメントを含み得、このテキストは、リポートの上部から4インチのリポートの右マージンに配置されるテキストボックスに配置し得る。このリポートのテンプレートを作成することができ、テンプレートを使用して、特定の情報のロケーション(例えば、文書の上部から4インチの右側マージング)と、この情報の概念(例えば、このテキストは放射線線量を表す)とを識別する。次に、OCRエンジンは、フォントデータベースと同じであってもよく、又は異なってもよいテンプレートデータベースからのこのテンプレートにアクセスし、テンプレートを使用して、特定の情報のロケーションを識別し、フォーマットルールセットを適用して、追加の情報を解析された画像に添付することができる。そのような情報を単独で、又は本明細書において考察される1つ又は複数のデータ抽出技法と組み合わせて使用して、添付された手順についての情報を用いて手順の記録を作成することができる。OCRを使用して抽出された情報は、データベース20に転送し、データベース20に記憶することができる手順の記録の作成に使用することができる。
【0058】
自然言語処理(NLP)技法を利用して、特定のデジタル画像又は文書に含まれ得る特定の語句及び言語を検索することもでき、そのような言語の有無に基づいて、1つ若しくは複数のデータ抽出又は情報寄せ集めプロセスを実行することができる。NLPは、情報源の中でも、電子研究リポート、画像、又は他の文書若しくは音声記録に適用することができる。加えて、NLPは、上述したOCR技法のうちの1つ又は複数をまず受けた画像に適用することができる。システム10は、1つ又は複数のNLPアルゴリズムを含むNLPエンジンと、関心のある様々な語句を識別するNLPデータベースとを含むことができる。NLPエンジンは、特定の語句が特定のリポート、記録、画像等に存在する(又は存在しない)と判断される場合に何らかの動作の実行に使用されるデータ処理ルールを含むように構成することもできる。
【0059】
NLP技法の例示的な一用途は、特定の手順についての調査リポートが、手順の結果の品質を示す言語を含むか否かを判断することである。例えば、調査リポート内の「非効率」、「不首尾」、又は「不確定」等の語句の存在は、最適未満の結果を生成した手順を示し得る。他方、「有益」、「成功」、又は「理想的」は、最適な結果を生成した手順を示し得る。NLPエンジンは、これらの語句のうちの1つ又は複数の存在を判断し、存在する場合、データ処理ルールをリポートに適用することができる。そのようなリポートの言語のこのようなパーズにより、不良な結果又は良好な結果を有する手順を見つけることができ、結果及び対応する手順をそれに従ってラベル付け、それにより、結果及び対応する手順をより容易に見つけることができる。結果の品質を示す情報は、データベース20に記憶することができる手順の記録を作成する際にも使用することができる。NLP技法は、他の情報を標的とし抽出するために使用することもできる。例えば、手順についての客観的なパラメータ情報を識別する情報は、上述したように、NLP技法を使用して見つけて抽出することができる。
【0060】
上述したデータ抽出技法及びNLP技法によって寄せ集められた知識を使用して、手順に関連する集計総合情報を拡充することもできる。次に拡充されたデータは、他の追加の潜在的な新しいデータ抽出及びNLPプロセスへの入力として利用可能になる。例えば、CTスイート効率(スループット)の概念は、データ解析プロセスを通して学習することができ、次に、ソースデータのラベル付けに使用することができる。次に、効率の概念は、オペレータ名及び/又はシフト番号の文脈の中で解析して、追加の洞察を導出することができる−この追加の洞察はここでも、潜在的に、ソースデータを拡充し、ここでも、新しい洞察発見に提供される。
【0061】
NLP技法及びOCR技法並びに音声認識技法を使用して、音声記録から情報を識別し抽出することもできる。
【0062】
上述したように、別の態様は、医療診断手順の結果の品質の主観的評価に関する情報を収集することも含む。この情報は、上述したNLP技法を通すことを含め、様々な方法で収集することができる。主観的評価情報は、手順と併せて使用されている医療装置に関連するユーザインタフェース等のケアポイントで直接入力することができる。代替的には、主観的情報は、ワークステーション、待合室、さらにはホームオフィス等のケアポイント以外のロケーションで入力することができる。さらに、主観的情報は、リポジトリに記憶された既存の調査リポート又は画像の解析を通して計算することができる。
【0063】
主観的情報がいかに収集されるかに関係なく、この情報は、手順についての客観的情報を含め、手順に関する他の情報にリンクして、手順についての客観的情報と、その結果の主観的評価との両方を含む手順の記録を作成することができる。
【0064】
非限定的な一実施形態では、主観的評価情報は、手順完了時又は手順が完了して少ししてから、医療撮像装置に関連するユーザインタフェース等のケアポイントで入力することができる。そのような情報の入力が可能なユーザインタフェースのレイアウトの非限定的な例を
図9に示す。これは、特定の手順の客観的側面及び主観的側面の両方に関する情報をリアルタイム又は準リアルタイムで編纂可能であるという点で有利である。主観的評価が即座に行われる場合、手順がまだ技師及び/又は医師に鮮明に残っている間に完成する可能性がより高い。他の非限定的な実施形態では、主観的評価情報は後に入力することができ、次に、研究識別値又は特定の手順に関連する他の追跡情報の使用を通して、1つ又は複数のロケーションに既に記憶されていることがある手順についての他の情報にリンクすることができる。例えば、医師は、自身のワークステーション又はオフィスで、指定された時間期間にわたって行われた1つ又は複数の撮像手順の結果を受信することができる。次に、医師は結果を検討し、各結果の自身の主観的評価を入力し評価をリアルタイム又はバッチモードで、医師のワークステーション又はオフィスと電子通信することができるデータベース20等のシステム10の適切なロケーションに送信する。この実施形態は、結果をどこでいつ検討し評価することができるかについてより大きな柔軟性を提供するに当たり有利である。この実施形態は、撮像手順が実行されていたときに存在しなかった誰かに、その手順の結果について介入する機会が与えられるという利点も提供する。異なる人物又は異なる時間での同じ人物による同じ結果の複数の検討を、手順記録に含むことができ、複数の検討は、平均として提示することもでき、又は各検討者に関連する別個の値として保持することもできる。
【0065】
主観的評価を記録に入力することができる様式は、技師、医師、又は他の検討者に撮像手順についての自身の1つ又は複数の意見を表現する方法が提供される限り、決して限定ではない。非限定的な一例では、特定の医療撮像手順の結果を検討し、次に、結果の品質についての検討者の主観的信念に従って「格付け」するか、又は「スコア付け」することができる。例えば、検討者に、結果に1〜5又は1〜10のスコアを割り当てるように促すことができるか、検討が完成されつつある特定の機関又は基準設定団体によって開発し得る、リッカート尺度等の別の尺度を使用することができる。検討者は、コントラスト品質及び/又は画質等の同じ手順の異なる側面をスコア付けるように求めることもできる。代替又は追加として、結果には、「最適」若しくは「理想的な結果」等のラベルで、又は技師及び/又は医師が、結果が特に注目すべきものであることが分かる場合、そのような結果を表すものとして理解されるデータで「タグ付け」することができる。いずれの場合でも、特定の手順の品質評価は、結果の取得に使用されたパラメータに結果を関連付けることができるように、手順についての他の情報と共に記憶することができる。時間の経過に伴い、高く格付けされるか、又はタグ付けされる結果についてのデータを蓄積することができ、結果のみならず、実行された研究のタイプ、手順プロトコール、患者の人口統計等の、それらの結果がいかに達成されたかについての他の重要な臨床/診断データも提供する。いくつかの非限定的な実施形態では、高い格付けの結果を達成した手順の手順記録は、専用の「最良実施」データベースに転送して記憶することができる。
【0066】
収集された主観的評価情報をより良く定義し正規化するセンチメント解析技法を使用することもできる。センチメント解析は、話し手又は書き手の態度を理解しようと試みる自然言語処理又は機械学習技法である。センチメント解析は、研究の検討が判定を表現しているため、特に有用であることができる。例えば、これはCT肺塞栓解釈からの陳述である「これは、肺塞栓の評価についての限られた品質研究である」。人は、この検討者がこの研究結果に最高品質の測定値を供給しないと思うだろう。別の例は、「腋窩リンパ節腫脹は認められない」であり得る。通常、マイナスのレビューに関連付けられる言葉が使用されるが、これは、腋窩リンパ節の腫れが観測されなかったという点で、実際にはプラスの陳述である。
【0067】
システムは、異なる入力(テキスト、スピーチ、スキャン文書を含む)にセンチメント解析を実行して、解析下の臨床コーパスに存在する属性をより良く特定するように構成することができる。臨床コーパスの背後にある基本的な属性及び感情的内容の特定は、本明細書に記載の主観的画質解析技法の系解析及びクロスチェックである。例えば、センチメント解析により、全体的に負のセンチメント極性が明らかになるが、格付けが高かった場合、これにより、システムは格付けに疑いありとフラグ付けることができる。
【0068】
加えて、センチメント解析は、非常に大きなデータセットに対して行われる場合、ケアの品質を向上させる有用な情報を提供し得る。例えば、センチメント解析により、大きな読み手群が有し得るか、広く保持されているが、正確ではない可能性があるか、又は修正が可能であり得る、隠れた信念、意見、又はバイアスを明らかにし得る。
【0069】
いくつかの非限定的な実施形態では、主観的評価情報は、医療撮像装置によって生成された電子研究リポートに入力することができる。いくつかの非限定的な例では、主観的評価情報は、そのリポートの既存のフォーマットを変更せずに、電子研究リポートに入力することができる。これは、既存のワークフローの中断が最小の状態で、主観的評価情報収集を既存のシステムに容易に統合可能であるという点で利点を提供する。主観的評価収集は、システムに既に存在し得るソフトウェアと併せて機能するプラグ可能な及び/又はベンダーの自然なソフトウェア解決策を使用してさえも実行することが可能である。さらに、認識されたファイルフォーマットへの準拠継続は、同じシステムの複数の構成要素又は異なるシステムにわたる互換性の保証に役立つ。
【0070】
非限定的な一実施形態では、主観的評価情報は、電子研究リポート内の1つ又は複数の属性フィールドに組み込むことができる。例えば、検討者は、DICOM規格に準拠する特定の画像を検討中であり、画像を注目すべきものとしてタグ付けしたい場合、DICOM内のキーオブジェクト選択(KOS)等のDICOMフォーマット内の特定のオブジェクトを使用してタグ付けすることができる。このようにして、キーオブジェクト選択は、デジタル「付箋(Post It)」として機能するものと見なすことができる。キーオブジェクト選択テンプレートは、1つ又は複数の有意な画像、波形、又は他の複合サービスオブジェクトペアインスタンスへのフラグ付けを意図される。キーオブジェクト選択は、キーオブジェクト選択において参照されるオブジェクトの有意性の理由を記述する符号化文書タイトルと、明示的に識別される言語での任意選択的な自由形式テキストコメントと、キーオブジェクト選択を作成した観測者(装置又は人物)の任意選択的な識別情報とを含むことができる。
【0071】
上記概念について、限定を意図しない以下の例を参照することによって更に説明する。
図10及び
図11を参照して、該当する診断手順が患者AへのCTスキャンであるこの例の実施形態のワークフロー及びフローチャートを示す。注入が患者Aに対して実行され、患者Aの臨床状況が、HIS等の医療記録システムから得られ、研究状況が得られる。造影剤投与量リポート及び二次画像捕捉が、両方ともDICOMフォーマットで作成され、送信され、スキャナ/注入器に関連付けられたソフトウェアに記憶される。次に、放射線技師は、自身のワークステーション又は他の場所で、PACSから患者Aの手順の結果にアクセスする。結果に感銘を受ける場合、放射線技師は、自身のワークステーションにインストールされたソフトウェアを使用して、リポート及び/又は二次捕捉画像を「キー画像」として「タグ付け」し、「関心あり」、「教授用」、「研究用」、「セット内で最良」等の特定の文書タイトルを有するキーオブジェクト文書オブジェクトを作成する。これらの文字列は、DICOM規格パート16下のコンテキストグループCID7010において定義することができる。代替的には、タグは、CTスキャナ及び/又は注入器に関連付けられたユーザインタフェースを通してケアポイントで割り当てることができ、キーオブジェクト文書オブジェクトの作成に使用することができる。
【0072】
作成されたキーオブジェクトDICOM文書は、リポート又は二次捕捉画像と呼ぶことができ、PACS、データベース20、又は特に望ましい結果を有することがわかった手順の記録を収集し記憶するのに専用の別個のデータベースに記憶される。キーオブジェクトインスタンスについてのPACS又は他のソースの続くクエリは、この記録を導き、記録から、記録に記憶される注入プロトコールパラメータ、放射線線量パラメータ、並びに患者固有の臨床情報及び人口統計情報を含め、この好ましい結果に繋がった手順についての情報を得ることができる。例えば、データベース20は、これらの手順についての情報を収集するために、全てのキーオブジェクトインスタンスについてPACSを問い合わせることができる。次に、そのような情報は、手順の客観的側面及び主観的側面についての情報を含み、データベース20に転送することができる。キープラクティスプロトコールパラメータ等のキープラスクティスオブジェクトについての情報は、ウェブを通してアクセス可能な中央のセキュア化ロケーションに提出することもできる。
【0073】
上記例はPACSでのキーオブジェクト選択の使用に関連するが、主観的評価情報が、特定のシステムで既に使用されている既存のデータフォーマット構造内に記憶される他の同様の解決策を考えることが可能である。
【0074】
いくつかの実施形態では、システム10は、撮像処理の一環として得られた画像から直接、品質評価特定を行うこともできる。そのような画像は、PACS等の医療記録システムに記憶された画像を含むことができる。標準のDICOMサービスを使用して、これらの画像に問い合わせ、調査画像のコピー及び情報をソフトウェアモジュールに移すことができる。ソフトウェアは、自動画像解析及び様々な解剖学的構造の識別を実行するとともに、パワースペクトル密度、画像のセクション内のノイズの標準偏差、及び他の周知の測定値等のデータセットに固有の画質及びノイズの局所的特徴及び大域的特徴の識別を実行するように構成することができる。定量的な造影剤の混濁度及び強化を評価する特に有用な処理ステップは、種子成長、レベルセット、及び勾配降下法等の等の周知の画像セグメント化及び識別方法並びに米国特許第8,315,449号明細書として発行される、Kemper等に付与された米国特許出願第2009/0316970号明細書に開示される方法を利用して、画像データセット内の様々な解剖学的構造、例えば、下行大動脈を分離し、この特許は参照により本明細書に明示的に援用される。解剖学的構造の造影剤混濁度のレベルは、外因性造影剤を患者に導入する場合、スキャナパラメータ及び注入パラメータに依存するため、個々の患者及び患者母集団にわたってスキャン及び造影剤投与パラメータを最適化し個人化する様々な戦略の成功を確実にする場合、実際の造影剤混濁度の測定が極めて重要である。造影剤混濁度を抽出するこれらの方法は、画像セットに適用することができる。例えば、大動脈内の造影剤混濁度を評価する場合、セグメント化・抽出ソフトウェアモジュールは、大動脈の中央にある中心線に沿った平均増強剤増強を計算することができる。中心線ポイント周囲にあり、血管に沿って線形に(例えば、5mm毎に)増大する、血管腔の境界に延びる関心領域内の平均造影剤混濁度の計算を実行することができる。これらの自動計算の結果は、造影剤増強値のベクトルであり、ベクトルの次元は血管に沿った増分の数によって決まる。混濁度ポイントのこのベクトルは、データベース20に記憶され、患者及び手順に関連付けることができる。
【0075】
続けて、スキャナ及び注入パラメータと患者及び検査制限の関係を特定する場合に混濁度ベクトルが使用される。例えば、CT血管影法では、血塊と、狭窄と、血管腔とを適宜区別することを保証するために、大動脈等の血管構造の造影剤混濁度を少なくとも250HUにしなければならないことがよく理解される。胸部の十分に造影剤増強されたCT血管造影図は、撮像設備において臨床医によって定義することができ、研究の結果が比較される主観的測定値として機能し、本明細書での説明により結果の主観的評価を提供する。適用可能な品質パラメータのそのような一例は、「取得中、大動脈の全空間長にわたり250HUよりも高い造影剤混濁度」である。品質メトリック又は主要性能指標は、メトリックの分母が大動脈の空間的広がり(cm又はmm単位)であるように定義し得る。分子値は、造影剤混濁度が250HUよりも大きいベクトルデータ点の数とすることができ、比率が大きいほど、研究は良好である。多くの患者にわたり、このパラメータの記述的統計をとり、定義された主観的品質パラメータ、大動脈造影剤混濁度に従って、CT胸部研究のうち何割が、「十分」であるかを理解し得る。自動造影剤強化特定技法の開示される実施形態を更に示す代表的なワークフローを
図12として提供する。
【0076】
客観的情報及び主観的情報に関連する情報を収集する上記技法は、例示を目的とし、当業者は他の技法を理解し得る。上述したように、目標は、客観的パラメータについての情報及び特定の撮像手順に関連する他の情報を用いるのみならず、その手順の結果の品質の主観的評価を用いてデータベース20を埋めることである。情報収集の任意の上記手順を任意の組み合わせで使用して、実行された手順についての関連情報を含み、データベース20に記憶することができる手順記録を定式化することができる。
【0077】
収集されると、データベース20に記憶された情報を様々な目的で使用して、医療撮像プロセスの理解及び向上に役立つことができる。システムは、データベース20からの情報を1つ又は複数のロケーションから同時に問い合わせることができるように構成することができる。システムは、許可に基づくように構成することもでき、それにより、特定のユーザのみがデータベース20にアクセスし、且つ/又はデータベース内の情報を更新することができる。データベースに記憶された情報又はその任意の部分は、クラウド記憶システムを含め、アクセス可能な任意のロケーションにオフロードすることもできる。
【0078】
いくつかの非限定的な実施形態では、データベース20に収集された情報は、システム内の他の構成要素、他の同様のシステム、及び収集された情報へのアクセスを得ることに関心を有し得る職能団体又は政府機関によってセットアップされる内部レジストリ又は外部レジストリに提供される。データベース20からの情報は、「クラウド内」でホストして、アクセスの容易さを向上させることもできる。そのような場合、患者固有のデータを匿名化して、患者のプライバシーを保護し得る。解析アプリケーションを使用して、データベース情報にアクセスし、患者固有の研究及び患者非固有の研究の両方を含め、様々な研究をデータセットに対して行うことができる。例としては、患者毎の線量測定追跡、品質解析、及び傾向特定が挙げられる。情報は、線量指標値が予め定義された閾値を超える場合、警告を生成するために使用することもできる。データベース情報は、病院記録又は患者記録を含むデータベース等の特定の患者情報データベースと対話して、患者固有の線量指標及び線量測定リポートを生成することができる。例えば、この解析は、Uber等に付与された米国特許第7,996,381号明細書、Evans,III等に付与された米国特許第6,442,418号明細書、及びReinerに付与された米国特許第7,933,782号明細書に記載の技法に従って達成することができ、これらの特許は参照により本明細書に明示的に援用される。
【0079】
これらの以前の研究の結果は、容易に閲覧し、且つ/又は関心のあるパラメータに基づいてフィルタリングすることができるように提示することができる。
【0080】
いくつかの非限定的な実施形態では、データベース20からの情報は、データ報告・解析アプリケーションのソースデータとして機能することができる。データ報告・解析アプリケーションは、コンピュータを使用してアクセスすることができ、コンピュータに存在するソフトウェアの形態とすることができるが、同様に、中央サーバ又は中央化されたクラウドロケーションに存在し、ウェブを通してアクセス可能にすることもできる。データベース20からの情報は、データ報告・解析アプリケーションにインポートすることができ、次に、アプリケーションを使用して、この情報をパーズし、構成し、ユーザがより容易に理解可能な形態でこの情報を提示するとともに、この情報に基づいてリポートを生成することができる。例えば、アプリケーションは、データベース20から受信した情報をパーズし、ユーザによって予め定義された複数のフィールドを埋めることができる。次に、アプリケーションを使用して、ユーザによって要求される様式でこの情報をソートし、フィルタリングし、提示し、且つ/又は解析して、収集されデータベース20に記憶された情報に追加の洞察をユーザに提供し、追加の動作がない場合には、知ることができないか、又は理解することができない情報内の結び付きを発見できるようにすることができる。非限定的な一実施形態では、データ報告・解析アプリケーションは、マクロ対応Microsoft Excelファイル又は同様のスプレッドシート若しくはデータベース解析プログラムからのファイルを使用して実施することができる。
【0081】
アプリケーションは、1つ又は複数の医療装置によって実行された一連の診断手順に関して収集された客観的情報の解析及び編成において特に有用である。上述したように、客観的情報は、医療装置に入力されるパラメータ及びプロトコール情報並びに手順の実行中に生成される動作情報を含め、特定の手順についての定量的情報を含むことができる。
【0082】
データ報告・解析アプリケーションは、任意のタイプの医療診断手順に関連する情報と共に機能するように構成することができるが、以下の考察は、非限定的な例としてCT撮像を参照する。
【0083】
CT撮像の場合、手順アプリケーションを使用して、表又はグラフィカルな図で、例えば、投与される造影剤又は生理食塩水の量、無駄になった造影剤又は生理食塩水の量、及び装置毎又はある範囲の装置にわたって使用された注射器キットの数等の手順についての基本メトリックを提示することができる。次に、この情報を使用して計算を実行して、例えば、特定の装置又は機関全体によって注入されたか、又は無駄になった造影剤の総量及びコスト等の利用率情報又はコスト情報を提供することができる。
図13は、この情報を提示することができ、表形態及びグラフィカル形態両方での代表的なフォーマットを示す。データベース20に記憶された略あらゆるタイプの情報を同様にしてアプリケーションにより提示することができる。
【0084】
アプリケーションを使用して、ソース情報から様々なインテリジェンスリポートを作成することもできる。例えば、アプリケーションを使用して、異なる手順に関連する情報を横に並べて比較して、手順の結果を含め、手順間の差をより容易に理解することができる。このアプリケーションを使用して、異なるプロトコールに関連付けられた平均手順メトリックの比較を含め、異なるプロトコール間の差を評価することもできる。リポートに含み得る情報は、プロトコールが使用された回数、造影剤の平均使用量、無駄になる造影剤の平均量、及び流体注入の平均流量として、そのような客観的な情報を含むことができる。加えて、結果の主観的評価を含め、手順の結果についての情報も同様に提示することができる。
図14は、このリポートを提示することができる代表的なフォーマットを示す。
【0085】
別の例として、アプリケーションを使用して、同じ手順が同じ患者に対して複数回実行されるか、又は少なくとも開始された度合いを特定することもできる。そのような反復手順の詳細への洞察を得ることは、これが行われる頻度を制限することにおいて重要なステップであることができる。例えば、反復手順の発生が識別される場合、ユーザは、何が原因でこれが必要になったかを識別し、将来に再びそれが生じないことを保証する方向に向けて適切なステップをとることができる。CT研究の状況では、反復注入解析リポートにより、どのCT研究が注入手順を複数回実行させたかを識別することができる。リポートは、データベース20から提供される客観的情報の解析に基づいて、どの注入が同じ研究識別値を共有するかを特定することによって生成することができる。次に、アプリケーションはリポートを生成し、このリポートは、その研究に関連付けられた各注入の項目化されたリスト、注入開始日時、注入終了状態、投与された流体量、ピーク圧、研究の説明、患者ID、受入番号、患者氏名、スイート名、研究に使用された注射器数、又は任意の同様の情報を含め、これらの反復手順についての主要情報を視覚的に知覚可能な形態でユーザに提供する。リポート内の情報は、データベース20からアプリケーションに提供することができ、アプリケーションにおいて、情報をパーズし、リポートの適切なフィールドに入れることができる。
図15は、この情報を提示することができる代表的なフォーマットを示す。
【0086】
別の例として、アプリケーションを使用して、様々な相補的なプロトコールについての情報を比較することができる。例えば、CT撮像手順は通常、スキャンプロトコール及び相補的な注入プロトコールの両方を含む。データベース20に記憶された様々な手順についての情報に基づいて、アプリケーションはこの情報を解析し、例えば、どの注入プロトコールが、特定のスキャンプロトコールで最も頻繁に使用されたか、又はその逆を示すように結果を提示することができる。これから、ユーザは、どのプロトコールが特定の研究タイプに最も一般に使用されるかについての理解を得ることができる。それにより、ユーザは、注入とスキャナプロトコールとのミスマッチを発見することもできる。
図16は、この情報を提示することができる代表的なフォーマットを示す。
図17は、本明細書に教示されるように、情報の収集、持続、及び配信を可能にする情報サービス、技術、及びソフトウェアシステムの代表的なスタックを示す。
【0087】
本発明の別の態様では、造影剤投与システムに動作可能に通信するユーザディスプレイ及びインタフェースを使用して、スキャンを用いての任意の問題があったか否か、任意の副作用があったか否か、患者が、選択可能な時間期間にわたり造影剤及び電離放射線に総合してどれくらい露出されたか等の患者の以前の検査についてスキャナオペレータに通知し得る。この情報を使用して、今回の検査での患者に最適な撮像データセットを決定する方法を変更し得る。
図18に示される表示の非限定的な実施形態において例示されるように、撮像・注入システムのオペレータは、患者のアレルギー、以前の撮像プロトコールを素早く見直すとともに、Microsoft CorporationのLync技術又はGoogle Corporationsのトーク技術等のメッセージングシステムを通して造影剤注入システムの通信システムにリンクし得る、待機している放射線技師からの支援を求め得る。
【0088】
図19は、本明細書に記載のシステムによって収集された集計された客観的情報(例えば、動作情報)及び主観的評価を提示することができる表示の代表的な例を表す。表示は、地方又は国の集計値と相対して性能メトリックを表示する機能を含むこともできる。これらのデータを使用して、ある時間期間にわたるとともに、外部ベンチマークと比較して部門、施設、及びヘルスシステムの性能を理解することができる。
【0089】
他の非限定的な実施形態では、収集された情報を更に解析して、手順についての特定の客観的パラメータが手順結果の主観的品質のいかに影響するかを理解し、修正することができる。本明細書に記載の方法及び技法による手順の客観的側面及び主観的側面についての情報を収集し記憶することにより、システムは、最高品質の結果に繋がる客観的情報を連続して監視し解析することにより、手順結果の品質を連続して向上させることができる。
【0090】
非限定的な一実施形態は、異なる撮像手順の結果の品質へのスキャン遅延の影響の計算に関する。
【0091】
造影剤ボーラスが注入される撮像モダリティでは、ボーラスの注入(開始及び終了の両方)間の遅延は、生理学的機能、疾病状態、及び血管構造を可視化する(CTモダリティ、MRIモダリティ、超音波モダリティ、核医学モダリティ)最適な時間窓の決定に極めて重要なパラメータである。造影剤ボーラスはトレーサーとして使用されて、実際には、疾病有機体又は健康な有機体の属性を特定する。スキャンの開始が早すぎる場合、誤った診断情報が生成されるおそれがあり、スキャン遅延が長すぎる場合も同様である。より単純な場合、スキャン取得に相対して不適切なボーラスのタイミングにより、中断不可能なデータセットが生成されるおそれがある。現在の医療撮像実施への更なる難問は、スキャナシステム技術の進化が、完全な診断データセットを取得するために必要な時間を短縮したことである。これは通常、全ての撮像モビリティ−MRI撮像、超音波撮像、核撮像、特にCTスキャンに対して当てはまる。最新のCTスキャンを用いて、1秒未満に完全な撮像データセットを取得することは珍しくない。これらの非常に短いスキャン取得時間は、造影剤ボーラスの体への到着、通過、及び体への分散とのスキャンのタイミングの重要性を際立たせる。心臓の電子機械サイクル等の何らかの生理学的イベントに相対してスキャナをゲーティングしトリガーする複数の手段を提供する進歩により、順次スキャンされた2人の患者が劇的に異なるスキャン遅延及びタイミング制約を有し得ることが可能になる。
【0092】
以下の方法を使用して、画像データ、注入システムの動作パラメータ、同期時間ベースを使用することにより、遅延を計算し得る。注入システム及び撮像システムが、TCP/IPネットワーク上の時間サーバの使用により(NTPプロトコール又はNNTPプロトコールを使用することにより)達成可能なように、共通の時間ベースを共有すると仮定すると、注入システムの注入開始時間及び注入停止時間についての情報を注入システムにおいて収集することができ、研究の完了時、これらのシステム及びこれらの値をデータベース20に送信することができる。ソフトウェアエージェントも、画像がPACS等の医療記録システムに首尾良く送信される場合、患者の研究の画像を問い合わせることができる。ソフトウェアエージェントは、取得された画像から研究データをトラバースすることができる。好ましくは、ソフトウェアエージェントは、画像の任意の非一次又は「二次」シリーズを除外することができる。スキャン取得についての情報は多くの場合、画像の属性フィールドに記憶される。例えば、DICOM規格では、「スキャン取得」を各一次診断データセットのメタデータに含める必要がある(DICOM属性タグ(0008 0032))。次に、この情報を使用して、ソフトウェアは、画像の取得時間と、造影剤注入の開始時刻及び停止時刻との差を計算することができ、この情報をデータベースに記憶することができる。一連のそれぞれの画像に計算されたスキャン遅延は次に、データベースに記憶することができ、レトロスペクティブ解析がデータに対して行われて、手順の結果の品質を特定する場合に参照することができる。例えば、研究が芳しくないと思われる場合、放射線技師に、どのスキャン遅延を使用したかを考慮するように求め得る。次に、この知識は、集計して使用して、ベストプラクティスを決定するとともに、システムに記憶され、システムを通してアクセス可能である過去の複数の研究を有し得る患者の将来の手順のプロトコール又は理想的なスキャン及び注入パラメータを確立することができる。スキャン遅延を計算する概念の更なる例示を
図20及び
図21に示す。
【0093】
他の非限定的な実施形態では、収集された情報を使用して、将来の撮像手順に使用するパラメータの作成を助けることができる。例えば、特定の患者の撮像プロトコールの作成に関心のある医師は、データベース20にアクセスして、同様の診断の患者が関わり、高品質の結果を示した他の手順についての情報を検索し得る。次に、医師は、差し迫った研究に好ましいプロトコールパラメータを決定するにあたり、これらの過去の研究についての情報を、これらの過去の研究が最適な画質に繋がったことの知識と共に使用することができる。この推奨プロトコールは、過去の結果に基づいて、例えば、後述するモデル化技法を含め、他の利用可能なプロトコール生成技法を使用して変更することもできる。データベース20は、中央プロトコール管理アプリケーションとしても機能することができ、又は中央プロトコール管理アプリケーションに統合することもでき、このアプリケーションには、機関内の複数の装置及び機関にわたる複数の装置の手順プロトコールが記憶され、ラベル付けられ、構成され、次に、これらのプロトコールに登録する任意の装置に送られる。
【0094】
例えば、医師は、特定の人口統計を有する患者についての情報についてデータベース20に取り合わせ、特に、高品質の画像が達成された手順についての情報のみを要求し得る。非限定的な一実施形態では、このクエリは、上述したキーオブジェクト選択技法若しくは同様の技法を使用して、「キープラクティス」としてマークされた研究のみを要求することができるか、又はクエリを、ある閾値品質測定値を達成した手順の記録のみで埋められた「キープラクティス」データベースに向けることができる。次に、医師は、このクエリに応答して、同様の患者が関わり、最適な結果を生成した手順についての情報を受信する。この情報は、最良の手順パラメータについて医師に通知するとともに、より効率的なプロトコールの作成を支援するように機能することができ、それにより、手順を繰り返す必要がある機会を低減する。医師は、問題となっている患者に適切なプロトコールを作成するにあたり、この指針を使用することができる。
【0095】
いくつかの非限定的な実施形態では、システム10は、既知のプロトコール予測モデル化ソフトウェアと併せて使用することができ、このソフトウェアは、プロトコール管理アプリケーションで実行して、潜在的な造影剤増強結果と、その患者の画像及び結果増強に対するスキャンタイミング及び他の客観的パラメータの影響とをシミュレートし得る。そのような他のモデルは、Baeによって開発され、K.T.Bae、J.P.Heiken、及びJ.A.Brink「Aortic and hepatic contrast medium enhancement at CT.Part I.Prediction with a computer model」Radiology、vol.207、pp.647−55(1998)、K.T.Bae、「Peak contrast enhancement in CT and MR angiography:when does it occur and why?Pharmacokinetic study in a porcine model」Radiology、vol.227、pp.809−16(2003)、K.T.Bae et al.,「Multiphasic Injection.Method for Uniform Prolonged Vascular Enhancement at CT Angiography:Pharmacokinetic Analysis and ExperimentalPorcine Method」Radiology、vol.216、pp.872−880(2000)、米国特許第5,583,902号明細書、同第5,687,208号明細書、同第6,055,985号明細書、同第6,470,889号明細書、及び同第6,635,030号明細書に記載されるモデル化技法を含み、これらを参照により本明細書に援用し、同様に、他のモデルは、Kalafut等に付与された米国特許第7,925,330号明細書、Kalafut等に付与された米国特許出願第2007/0213662号明細書、Kalafut等に付与された同第2007/0255135号明細書、Kalafut等に付与された同第2008/0097197号明細書、Kalafutに付与された同第2010/0030073号明細書、Kalafut等に付与された同第2010/0113887号明細書、Kalafutに付与された同第2010/0204572号明細書、及びKalafut等に付与された公開されたPCT出願番号国際公開第2006/058280号パンフレット、Kalfut等に付与された同第2008/085421号パンフレット、及びKalafut等に付与される同第2006/055813号パンフレットに記載されるモデル化技法も含み、これらは参照により本明細書に援用され、本発明の一部をなす。システムは、管電圧、maS(雑音指数と組み合わせて)、スライス厚、及び装置の他の属性等の装置パラメータを使用して、「what−if(仮定)」シナリオに基づいた画像増強の計画及びシミュレーションを可能にすることもできる。技師は、自身が妥当だと思うようにパラメータを変えるか、又は改めることができるが、少なくとも部分的に本システムにおいて収集される情報により可能になるモデル化は、良好なベースラインとして機能する。
【0096】
次に、続く手順についての情報は、手順についての客観的情報及びその結果についての主観的情報を含め、システムへの入力として機能することができ、将来の研究に更に情報提供する。この概念は、上記の特定の態様において説明され、本発明によりデータベース20に含まれ得る情報を使用して閉ループシステムのワークフローを説明する以下の非限定的な例を参照して更に示される。
【0097】
実施例
撮像臨床医が一貫して実行することが特に難問であることが証明されている1つの医療撮像手順は、血栓又は血塊の有無を線引きするための、ヨード造影剤の注入後の肺動脈のCT撮像である。画像取得は、理想的には、造影剤ボーラスが肺動脈を最初に通過する間に行われるべきであり、したがって、造影剤の投与開始からスキャン取得までには数秒しかない。スキャナのオペレータがスキャンまでに長く待ちすぎる場合、造影剤ボーラスは肺動脈から出て移動し、その結果生成される画像は、診断を下すために必要な不十分なコントラストを有することになる。オペレータのスキャンが早すぎる場合、造影剤ボーラスはまだ周辺の血管内にある。肺血管を通る造影剤の輸送に影響する因子としては、患者の心機能、患者の年齢、肺機能不全、及び他の病態生理学的患者因子が挙げられる。CTを受けて、血塊についてテストする多くの患者について多くの研究がある。個々の患者への適切なスキャナ及び注入プロトコールの決定を担当する放射線技師は、本発明の方法を使用して、過去の検査の過去の主観的メトリック及び客観的メトリックを想起し得る。仮に患者について、以前の撮像検査での研究結果が極めて不良である場合、不良な品質の研究に関連付けられた因子の解析を、システム又は放射線技師による手動介入によって行い得る。放射線技師は、例えば、患者が非常に低い心機能を有するため、差し迫った検査で、技師が、造影剤のテストボーラス注入を実行して、患者の肺動脈への造影剤の実際の伝播時間を特定すべきであることに気付き得る。放射線技師は、患者が過去12ヶ月にわたり10のCT研究を有したため、患者を最小量の放射線に曝すスキャナプロトコールを禁止することもできる。これらの注記は、スキャナを実行する技師が見直すことができる指示書に入れられる。実行中のスキャンの任意の結果を含め、この場合に放射線技師によって使用される全ての情報及び判断プロセスは、将来見直すため、且つ本明細書に記載の情報収集方法を通して改良するためにシステムに存在し続ける。
【0098】
別の難しい医療撮像検査は、肝臓癌の検出、病期診断、及び評価である。CT及びMRIの両方において、良性嚢腫又は他の構造から様々なタイプの腫瘍を確定し区別するために、複数のスキャンセットの取得が必要である。造影剤の疾病組織及び健康な組織への分散及び吸収が、血管及び臓器を通って循環する造影剤の様々なサイクルにわたって変化するため、これらの検査はマルチフェーズと呼ばれ、時には「動的」研究と呼ばれる。造影剤ボーラスの到達前に、肝臓及び他の臓器のスキャンが行われることが多い。この取得に続き、いわゆる動脈相中の造影剤の「最初の通過」中にデータセットが収集される。後に、造影剤が門脈を介して肝臓内に輸送される時間期間(いわゆる「門脈優位相」)中にスキャンが行われる。最後に、1つ又は複数のスキャンを行うことができ、数分後、造影剤がいかに分散するかを特定する。特定の腫瘍型は、これらの循環相で別様に減衰する−例えば、動脈相及び門脈優位相での実質組織の背景に関して低強度又は高強度として現れる。スキャンが遅すぎるか、又は早すぎる場合、腫瘍の外観は確認が難しいことがある。さらに、定量的方法を使用して、WHO基準及びRECIST基準を使用して組織の面積又は容積を特定する場合、腫瘍及び周囲組織での造影剤混濁度パターンが一貫せず、信頼できないとき、系統的誤差がこれらのメトリックに導入されるおそれがある。本明細書において教示される方法は、これらの場合に使用して、造影剤の注入、スキャナの設定、及び患者の属性に相対してスキャン取得の追跡、計画、及び最適化をより良好にすることができ、学習された情報は、将来使用するためにデータベース20に追加することができる。
【0099】
MRI肝臓撮像では、例えば、キレートされたガドリニウム原子に結合し、肝細胞に優先的に結合するガドキセト酸の使用が臨床的な慣行になりつつある。しかし、注入プロトコール、使用されるパルスシーケンス、そして最も重要なことに、患者の属性に応じて、これらの造影剤を使用する造影増強パターンに多様性があることがよく知られている。患者の特定の遺伝子の多様性(特に、肝臓内の有機アニオン輸送メカニズムの機能に影響するタンパク質)が、疾病を有する患者及び健康な患者で非常に異なる増強パターンを生じさせる可能性があると考えられる。本明細書において教示される過去の撮像結果と、それらの結果の品質についての情報とのデータベースを使用して、これらの患者に対してより良好な撮像戦略を解明することを支援することができる。ゲノム情報システム及びプロテオーム情報システムからのデータフィードがある場合、これらのデータは、患者のプロトコール作成する放射線技師に、これらの造影剤が禁止されているときを通知するのに役立つことができる。さらに、そのような研究の結果から学習された情報を次に、データベース20に追加して、将来の患者により良好な撮像戦略の解明を支援することができる。
【0100】
本発明を上記実施形態及び/又は実施例と併せて詳細に説明したが、そのような詳細が限定ではなく例示であり、本発明から逸脱せずに、当業者が変形を行うことが可能なことを理解されたい。本発明の範囲は、上記説明ではなく以下の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の均等物の意味及び範囲内にある全ての変更及び変形は、特許請求の範囲内に包含されるべきである。