(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594525
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】部分的にシールされた半径方向通路を備える流れ押退け特徴を有するタービン翼
(51)【国際特許分類】
F01D 5/18 20060101AFI20191010BHJP
F01D 9/02 20060101ALI20191010BHJP
F02C 7/18 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
F01D5/18
F01D9/02 102
F02C7/18 A
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-510936(P2018-510936)
(86)(22)【出願日】2015年8月28日
(65)【公表番号】特表2018-529043(P2018-529043A)
(43)【公表日】2018年10月4日
(86)【国際出願番号】US2015047335
(87)【国際公開番号】WO2017039572
(87)【国際公開日】20170309
【審査請求日】2018年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】517291346
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジャン エイチ. マーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ポール エイ. サンダーズ
【審査官】
高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0054915(US,A1)
【文献】
特開2015−127540(JP,A)
【文献】
特開昭50−036817(JP,A)
【文献】
特開平11−002103(JP,A)
【文献】
特開昭62−271902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/18
F01D 9/02
F02C 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン翼(10)であって、
半径方向に沿って翼幅方向に延びる外壁(14)によって形成された略中空の翼ボディ(12)であって、前記外壁(14)は、前縁(20)および後縁(22)で接続された正圧面壁部(16)および負圧面壁部(18)を有し、前記正圧面壁部(16)と前記負圧面壁部(18)との間の略中央に延びる翼弦軸線(30)が規定されている、略中空の翼ボディ(12)と、
前記翼ボディ(12)の内部(11)に配置されかつ前記正圧面壁部(16)と前記負圧面壁部(18)とを接続する複数の半径方向に延びる隔壁(24)であって、前記翼弦軸線(30)に沿って離間している、複数の半径方向に延びる隔壁(24)と、
一対の隣接する前記隔壁(24)の間の空間に配置された流れ押退け要素(26A−26B,26A’−26B’)であって、前記正圧面壁部(16)および前記負圧面壁部(18)から離間しかつ前記隣接する隔壁(24)のうちの一方または両方から離間した、半径方向に延びる延在した本体(28)を有し、該本体(28)と前記正圧面壁部(16)との間に第1の壁近傍通路(72)が画成されており、前記本体(28)と前記負圧面壁部(18)との間に第2の壁近傍通路(74)が画成されており、前記本体(28)と、前記隣接する隔壁(24)のそれぞれとの間に中央チャネル(76)が画成されており、該中央チャネル(76)は、半径方向範囲に沿って前記第1の壁近傍通路(72)および前記第2の壁近傍通路(74)に接続されている、流れ押退け要素(26A−26B,26A’−26B’)と、を備え、
前記本体(28)とそれぞれの前記隣接する隔壁(24)との間で部分的に前記中央チャネル(76)を横切って延びる1つまたは複数の半径方向リブ(64)が、前記中央チャネル(76)に配置されている、
タービン翼(10)。
【請求項2】
前記1つまたは複数の半径方向リブ(64)のうちの少なくとも1つは、半径方向範囲に沿って前記本体(28)に接続されておりかつそれぞれの前記隣接する隔壁(24)から離間している、請求項1記載のタービン翼(10)。
【請求項3】
前記1つまたは複数の半径方向リブ(64)のうちの少なくとも1つは、半径方向範囲に沿ってそれぞれの前記隣接する隔壁(24)に接続されておりかつ前記本体(28)から離間している、請求項1または2記載のタービン翼(10)。
【請求項4】
前記1つまたは複数の半径方向リブ(64)は、前記中央チャネル(76)の長さ方向で離間した複数の半径方向リブ(64)を有し、連続する前記半径方向リブ(64)は、前記本体(28)またはそれぞれの前記隣接する隔壁(24)に交互に接続されており、前記連続する半径方向リブ(64)は、前記中央チャネル(76)の幅方向に沿って部分的に重なり合っている、請求項1から3までのいずれか1項記載のタービン翼(10)。
【請求項5】
前記1つまたは複数の半径方向リブ(64)は、実質的に前記中央チャネル(76)の半径方向範囲全体に沿って延びている、請求項1から4までのいずれか1項記載のタービン翼(10)。
【請求項6】
流れ妨害要素(66)が、前記1つまたは複数の半径方向リブ(64)の半径方向端部(92,94)で前記中央チャネル(76)をカバーするように配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のタービン翼(10)。
【請求項7】
前記流れ妨害要素(66)は、複数の重なり合う部分(66a,66b)を有し、該複数の重なり合う部分(66a,66b)は、組み合わさって、前記半径方向端部(92,94)で前記中央チャネル(76)の流れ横断面を横切って延びている、請求項6記載のタービン翼(10)。
【請求項8】
前記流れ妨害要素(66)は、冷却流体流を前記壁近傍通路(72,74)に向かって案内するように、前記翼弦軸線(30)に対して横方向の前記中央チャネル(76)の長さに沿った方向で輪郭付けられている、請求項7記載のタービン翼(10)。
【請求項9】
前記本体(28)を前記正圧面壁部(16)および前記負圧面壁部(18)にそれぞれ接続する第1のコネクタリブ(32)および第2のコネクタリブ(34)をさらに有し、
前記流れ押退け要素(26A−26B,26A’−26B’)の翼弦方向で反対の側に、一対の隣接する半径方向キャビティ(43−44,45−46)が画成されており、
前記各半径方向キャビティ(43−46)は、それぞれの前記第1の壁近傍通路(72)と、前記第2の壁近傍通路(74)と、それぞれの前記第1の壁近傍通路(72)と前記第2の壁近傍通路(74)とを接続するそれぞれの中央チャネル(76)とによって形成されており、該それぞれの中央チャネル(76)は、該それぞれの中央チャネルに配置された前記1つまたは複数の半径方向リブ(64)のうちの少なくとも1つを有する、請求項1から8までのいずれか1項記載のタービン翼(10)。
【請求項10】
前記一対の前記隣接する半径方向キャビティ(43−44,45−46)は、前記流れ押退け要素(26A−26B,26A’−26B’)と前記翼ボディ(12)の半径方向端面(52)との間の間隙(50)によって画成された翼弦方向コネクタ通路によって流体接続されている、請求項9記載のタービン翼(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にタービン翼に関し、より詳細には、翼を通って冷却流体を導くための内部冷却チャネルを有するタービン翼に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンなどのターボ機械では、空気は、圧縮機セクションにおいて加圧され、次いで、燃料と混合され、燃焼器セクションにおいて燃焼し、高温燃焼ガスを生成する。高温燃焼ガスは、エンジンのタービンセクション内で膨張し、タービンセクションにおいてエネルギが抽出され、これにより、圧縮機セクションに動力を与え、電気を発生するために発電機を回転させるなどの有効仕事を提供する。高温燃焼ガスは、タービンセクション内の一連のタービン段を通過する。タービン段は、固定翼、すなわちベーンの列と、それに続く、回転翼、すなわちタービンブレードの列とを有していてもよく、タービンブレードは、出力を提供するために高温燃焼ガスからエネルギを抽出する。翼、すなわちベーンおよびタービンブレードは高温燃焼ガスに直接的に曝されるので、翼には、典型的には、翼を通って圧縮機抽気などの冷却流体を導く内部冷却チャネルが設けられている。
【0003】
1つのタイプの翼は、根元端部における半径方向内側プラットフォームから翼の半径方向外側部分まで延びており、互いに反対側の正圧面壁部および負圧面壁部を有する。正圧面壁部および負圧面壁部は、半径方向に沿って翼幅方向に延びており、翼の前縁から後縁まで軸方向に延びている。冷却チャネルは、翼内に正圧面壁部と負圧面壁部との間に延びており、翼を通って半径方向に冷却流体を導いてもよい。冷却チャネルは、正圧面壁部および負圧面壁部から熱を除去し、これによって、これらの部分の過熱を回避する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
簡単に言えば、本発明の態様は、部分的にシールされた半径方向通路を備える流れ押退け特徴を有する、内部で冷却されるタービン翼を提供する。
【0005】
本発明の実施の形態は、半径方向に沿って翼幅方向に延びる外壁によって形成された、略中空の翼ボディを有するタービン翼を提供する。外壁は、前縁および後縁で接続された、正圧面壁部および負圧面壁部を含む。正圧面壁部と負圧面壁部との間の略中央に延びる翼弦軸線が規定されている。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、タービン翼は、正圧面壁部と負圧面壁部とを接続する、翼ボディの内部に配置された複数の半径方向に延びる隔壁を有する。隔壁は、翼弦軸線に沿って離間している。流れ押退け要素が、一対の隣接する隔壁の間の空間に配置されている。流れ押退け要素は、正圧面壁部および負圧面壁部から離間しかつさらに隣接する隔壁のうちの一方または両方から離間した、半径方向に延びる細長い本体を有し、第1の壁近傍通路が、本体と正圧面壁部との間に形成されており、第2の壁近傍通路が、本体と負圧面壁部との間に形成されており、中央通路が、本体と、隣接する隔壁のそれぞれ1つとの間に形成されている。中央チャネルが、半径方向範囲に沿って第1および第2の壁近傍通路に接続されている。1つまたは複数の半径方向リブが、中央チャネルに配置されており、本体と、それぞれの隣接する隔壁との間で中央チャネルを部分的に横切って延びている。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、タービン翼は、翼ボディの内部に形成された複数の半径方向に延びる冷却材通路を有する。少なくとも1つの冷却材通路が、正圧面壁部に隣接した第1の壁近傍通路と、負圧面壁部に隣接した第2の壁近傍通路と、翼弦軸線に対して横方向に延びかつ半径方向範囲に沿って第1および第2の壁近傍通路に接続された中央チャネルとから形成されている。翼弦軸線に沿った中央チャネルの幅が、半径方向範囲に沿って部分的にシールされている。
【0008】
本発明は、図面の助けを借りてさらに詳細に示されている。図面は好適な構成を示しており、本発明の範囲を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】壁近傍冷却通路を備えるタービン翼の断面図である。
【
図2】1つの実施の形態によるタービン翼の一例の斜視図である。
【
図3】第1の実施の形態による、
図2の断面III−IIIに沿ったタービン翼の断面図である。
【
図4】
図3における断面線IV−IVに沿った断面図である。
【
図5】
図3における断面線V−Vに沿った断面図である。
【
図6】第2の実施の形態によるタービン翼の断面図である
【発明を実施するための形態】
【0010】
好適な実施の形態の以下の詳細な説明において、その一部を形成する添付の図面が参照され、図面には、例として、限定としてではなく、本発明を実施可能な特定の実施の形態が示されている。本発明の思想および範囲から逸脱することなく、他の実施の形態が使用されてもよく、変更がなされてもよいことが理解されるべきである。
【0011】
本発明の態様は、内部で冷却されるタービン翼に関する。ガスタービンエンジンでは、タービン翼内の内部冷却通路に供給される冷却材は、しばしば、圧縮機セクションから逸らされた空気を含む。多くのタービン翼において、冷却通路は、正圧面壁部と負圧面壁部との間で翼内に延びており、翼を通って半径方向で交互に冷却材空気を導いて、蛇行した冷却経路を形成する。熱伝達率に基づいて高い冷却効率を達成することは、冷却のために圧縮機から逸らされる冷却材空気の体積を最小限にするために、重要な設計上の考慮事項である。利用できる冷却材空気が減ると、翼を冷却することが著しく困難になり得る。例えば、翼から除去することができる熱が少なくなることに加え、冷却材流が少ないと、冷却要求を満たすための高い十分な内部マッハ数を生じさせることも困難にし得る。
図1に示すように、この問題を解決する1つの方法は、冷却材流を翼の中央から高温の正圧面壁部および負圧面壁部PSおよびSSに向かって押し退ける1つまたは複数の流れ押退け(flow displacement)要素Fを提供し、高温の正圧面壁部および負圧面壁部PSおよびSSに隣接したそれぞれの壁近傍冷却通路NPおよびNSを形成することによって、半径方向冷却通路の流れ横断面を減らすことである。高い熱応力を回避するために、壁近傍冷却通路NPおよびNSは、それぞれの接続通路Rによって、半径方向範囲に沿って接続されていてもよい。本願発明者らは、特に回転中のタービンブレードの場合、冷却材流が、接続通路Rを介して負圧面SSから正圧面PSへ移動することがあり、流れの不均一な分配を生じるということに注目した。さらに、回転ブレードおよび固定ベーンを備えるあらゆるタービン翼において、接続通路Rを通って半径方向に流れる冷却材は、ほとんどが、高温ガスに曝されない、実質的な冷却を必要としない壁部において無駄に利用されることがあり、これは、特に低冷却材流設計においては好ましくないことがある。本発明の実施の形態は、上述の条件のうちの1つまたは複数を軽減しつつ、高い熱応力をも回避し得る翼設計を提供する。
【0012】
ここで
図2を参照すると、1つの実施の形態によるタービン翼10が示されている。図示のように、翼10は、ガスタービンエンジン用のタービンブレードである。しかしながら、本発明の態様は、加えて、ガスタービンエンジン内の固定ベーンに組み込むことができる点に留意すべきである。タービン翼10は、例えば、軸流ガスタービンエンジンの高圧段において使用するように適応された、外壁14から形成された全体として細長い中空の翼ボディ12を有していてもよい。外壁14は、タービンエンジンの半径方向に沿って翼幅方向に延びており、略凹面状の正圧面壁部16と、略凸面状の負圧面壁部18とを有する。正圧面壁部16および負圧面壁部18は、前縁20および後縁22で接続されている。図示のように、全体として細長い中空の翼ボディ12は、プラットフォーム58において根元部56に接続されていてもよい。根元部56は、タービン翼10をタービンエンジンのディスク(図示せず)に接続していてもよい。中空の翼ボディ12は、半径方向で、半径方向外側の端面または翼先端52と、プラットフォーム58に接続された半径方向内側の端面54とによって画成されている。他の実施の形態では、タービン翼10は、タービンエンジンのタービンセクションの内径に接続された半径方向内側の端面と、タービンエンジンのタービンセクションの外径に接続された半径方向外側の端面とを備える、固定のタービンベーンであってもよい。当業者に知られているように、高温ガスに曝されるタービン翼10の外面に、サーマルバリヤコーティング(TBC)が設けられてもよい。
【0013】
図3を参照すると、正圧面壁部16と負圧面壁部18との間の略中央に延びる翼弦軸線30が規定されている。図示のように、中空の細長い翼ボディ12は、内部11を有し、この内部11には、翼弦方向、すなわち翼弦軸線30に沿って離間して複数の隔壁24が配置されている。隔壁24は、半径方向に延びており、さらに、翼弦軸線30を横切って直線に延びて、正圧面壁部16と負圧面壁部18とを接続してもよく、内部冷却通路を形成する半径方向キャビティ41〜48を画成している。圧縮機セクション(図示せず)からの空気などの冷却流体は、内部冷却通路41〜48を通流し、前縁20および後縁22のそれぞれに沿って配置された排出口27および29を介して翼ボディ12から出る(
図2参照)。排出口27は、前縁20に沿ってフィルム冷却を提供する。図示されていないが、フィルム冷却口は、正圧面壁部16、負圧面壁部18、前縁20および翼先端52におけるあらゆるところを含む複数の位置に設けられてもよい。しかしながら、本発明の実施の形態は、少ない冷却材流を利用して改善された熱伝達係数を提供し、これは、
図2に示したように前縁20のみにフィルム冷却を限定することを可能にする。
【0014】
例示された実施の形態によれば、1つまたは複数の流れ押退け要素26A,26Bが設けられており、各流れ押退け要素は、一対の隣接する隔壁24の間の空間に配置されている。各流れ押退け要素26A,26Bは本体28を有する。本体28は、正圧面壁部16および負圧面壁部18から離間しており、さらに、隣接する隔壁24から離間している。例示された実施の形態では、本体28は、中空で、半径方向に沿って延在しており(
図4参照)、これにより、本体28内にそれぞれの延在した半径方向キャビティT1,T2を形成している。例示された実施の形態では、各キャビティT1,T2は非活動キャビティである。非活動キャビティは、冷却流体を導かないが、翼の中央における流れ横断面の一部を占めるように機能し、冷却材流を第1および第2の壁近傍通路72,74に向かって押し退ける。この例では、各非活動キャビティT1,T2は、第1の端部から第2の端部へ半径方向に延びている。第1の端部(図示せず)は、例えば根元部56に配置されていてもよいし閉鎖されていてもよいが、第2の端部は、翼ボディ12の内部11に配置されていてもよく、間隙50を画成するように翼先端52に到達せずに終わっている(
図4参照)。図示した例では、第2の端部は先端キャップ39によって閉鎖されている。別の例では、例えば固定のタービンベーンの場合、非活動キャビティを有するのと対照的に、中空の延在した本体28のうちの1つまたは複数が、二次的な冷却通路を画成してもよく、この二次的な冷却通路は、隣接する半径方向キャビティ43−46と流体連通しないように隔離されている。二次的な冷却通路は、例えば、タービンエンジンのタービンセクションの内径と外径との間に冷却流体を導いてもよい。さらに他の実施の形態では、流れ押退け要素26A,26Bのうちの1つまたは複数は、いかなるキャビティも備えない中実体構造を有する本体28を有していてもよい。本体28の中空構造は、中実体構造と比較して、より小さい熱応力を提供することができる。
【0015】
第1の壁近傍通路72は、半径方向に延びており、本体28と正圧面壁部16との間に画成されている。第2の壁近傍通路74は、半径方向に延びており、本体28と負圧面壁部18との間に画成されている。第1および第2の壁近傍通路72,74は、半径方向範囲に沿って、それぞれの中央チャネル76によって接続されている。中央チャネル76は、半径方向に延びており、本体28と、隣接する隔壁24のそれぞれ1つとの間に画成されている。半径方向流れ断面において、第1および第2の壁近傍通路72,74は、正圧面壁部16に沿っておよび負圧面壁部18に沿ってそれぞれ略長さ方向に延びており、また、本体28と、正圧面壁部16および負圧面壁部18それぞれとの間に幅方向に延びている。図示の例では、壁近傍通路72,74の長さ方向は、翼弦軸線30に対して略平行に延びていてもよく、これに対して、壁近傍通路72,74の幅方向は、翼弦軸線30に対して略垂直に延びていてもよい。半径方向流れ断面において、中央チャネル76は、第1の壁近傍通路72から第2の壁近傍通路74まで延びる長さ方向と、本体28からそれぞれの隣接する隔壁24まで延びる幅方向とを有する。図示の例では、中央チャネル76の長さ方向は翼弦軸線30に対して横方向であるのに対し、中央チャネル76の幅方向は、翼弦軸線30に対して略平行である。高温の外壁14の有効な壁近傍冷却を提供しながら低い冷却材流を達成するために、第1の壁近傍通路72、第2の壁近傍通路74および中央チャネル76のうちの1つまたは複数は、幅方向寸法よりも大きな長さ方向寸法を有する、細長い形状であってもよい。
【0016】
図1と対照的に、
図3に示す実施の形態では、1つまたは複数の半径方向リブ64が中央チャネル76に配置されていてもよい。半径方向リブ64は、本体28と、それぞれの隣接する隔壁24との間で中央チャネル76の幅を部分的に横切って延びている。半径方向リブ64のうちの1つまたは複数は、半径方向範囲に沿って本体28に接続され、それぞれの隣接する隔壁24から離間していてもよい。代替的にまたは付加的に、半径方向リブ64のうちの1つまたは複数は、半径方向範囲に沿ってそれぞれの隣接する隔壁24に接続され、本体28から離間していてもよい。
図3に示す実施の形態では、複数の半径方向リブ64は、各中央チャネル76に配置されており、それぞれの中央チャネル76の長さ方向に離間しており、この長さ方向は、この場合、翼弦軸線30に対して横方向である。半径方向リブ64は、中央チャネル76の幅方向に延びている。幅方向は、この場合、翼弦軸線30に対して略平行である。半径方向リブ64は、半径方向にさらに、例えば、中央チャネル76の実質的に半径方向範囲全体に沿って延びていてもよい(
図4参照)。図示した実施の形態では、連続する半径方向リブ64が、本体28またはそれぞれの隣接する隔壁24に交互に接続されているが、双方には接続されていない。連続する半径方向リブ64は、中央チャネル76の長さに沿って互い違いに配置されており、中央チャネル76の幅方向で部分的に重なり合っている。この場合、重なり合いは、翼弦軸線30に対して略平行な方向であってもよい。これにより、あいじゃくりシーリング構成が実現されてもよい。この構成では、中央チャネル76は、それぞれの中央チャネル76の幅を横切る各半径方向リブ64の部分的延在により、完全にはブロックされていない。すなわち、冷却流体は、中央チャネル76および壁近傍通路72,74を通って半径方向に通過させられる。しかしながら、この構成は、中央チャネル76を介して第1および第2の壁近傍通路72,74へのおよび第1および第2の壁近傍通路72,74からの冷却流体の移動の可能性を低減する。このような移動は、さもなければ、例えば、回転中のタービンブレードにおいて生じ得る。これは、意図したところに冷却流体がとどまることを保証するための設計のロバスト性を高める。
【0017】
各半径方向リブ64が、第1の端部92から第2の端部94まで延びていてもよく、これらの端部は、それぞれの中央チャネル76の半径方向内側および外側の端部とそれぞれ整列していてもよい。別の特徴として、
図4に示すように、流れ妨害(flow blocking)要素66が、半径方向リブ64の端部92,94のうちの一方または両方において、特に、
図4に示すように冷却材流60に関してそれぞれの中央チャネル76の上流端部において、中央チャネル76をカバーするように配置されていてもよい。流れ妨害要素66は、1つまたは複数の半径方向リブ64のそれぞれの半径方向端部92,94において中央チャネル76の流れ横断面を実質的にまたは完全に横切って延びていてもよい。流れ妨害要素66は、例えば、半径方向端部92,94において中央チャネル76の幅を完全にまたは部分的に横切って延びかつさらに中央チャネル76の長さ方向に延びる流れ妨害リブから形成されていてもよい。本発明の1つの実施の形態によれば、異なる熱膨張による熱応力を回避するために、流れ妨害要素66は、本体28および隣接する隔壁24の両方に接続された1つのリブを有するのではなく、組み合わさることにより半径方向端部92,94において中央チャネル76の全幅を横切って延びる複数の重なり合うリブを有していてもよい。
図4に示す典型的な実施の形態では、各流れ妨害要素66は、中央チャネル76の幅Wを部分的に横切って個々に延びる、半径方向に互い違いに配置された一対の重なり合うリブ66a,66bを構成している。リブ66aは、本体28に接続されており、それぞれの隣接する隔壁24から離間しており、狭い間隙を形成しているのに対し、リブ66bは、それぞれの隣接する隔壁24に接続されており、本体28から離間しており、狭い間隙を形成している。重なり合うリブ66a,66bは、組み合わさって、端部92または94において中央チャネル76をカバーするように、中央チャネルの全幅Wを横切って延びていてもよい。他の実施の形態では、リブ66aまたは66bのうちの一方のみを流れ妨害要素66として使用することが可能である。この流れ妨害要素66は、本体28またはそれぞれの隣接する隔壁24のいずれかに接続されており、他方と狭い間隙を形成する。さらに、
図5に示すように、流れ妨害要素66(またはリブ66a,66b)は、中央チャネル76の長さLの全体または一部を横切って中央チャネル76の長さ方向に延びていてもよく、この長さ方向は、この場合、翼弦軸線30に対して横方向である。流れ妨害要素66が複数の部分から形成されるように構成することも可能である。複数の部分が、中央チャネル76の長さ方向に沿って重なり合い、組み合わさって中央チャネル76の全長Lをカバーしてもよい。
図4に示したように、冷却流体60は、流れ妨害要素66により、半径方向内側または外側端部からそれぞれの中央チャネル76に進入することを防止されてもよく、これにより、点線の矢印60によって概略的に示されているように、冷却流体のほとんど全体を第1および第2の壁近傍通路72,74に向かって有効に押し退ける。冷却流体が第1および第2の壁近傍通路72,74に入ると、半径方向リブ64は、第1および第2の壁近傍通路72,74へのおよび第1および第2の壁近傍通路72,74からの冷却流体の移動を防止する。冷却流体を、意図した領域、すなわち正圧面壁部および負圧面壁部16,18に向かって完全にまたは少なくとも著しく押し退け、冷却があまり必要とされない領域を回避するという能力は、冷却材流をさらに減少させる。
図5を参照すると、別の変化態様として、流れ妨害要素66は、点線によって示されているように、中央チャネル76の長さに沿った方向で、冷却流体を中央チャネル76から離れるようにかつ壁近傍通路72,74に向かって特に案内するように輪郭付けられていてもよい。
【0018】
再び
図3を参照すると、各流れ押退け要素26A,26Bの本体28は、翼弦軸線30を横切って延びていてもよく、これにより、第1および第2の壁近傍通路72,74は翼弦軸線30の互いに反対の側に配置されている。例示された実施の形態では、本体28は、それぞれ正圧面壁部および負圧面壁部16,18に面した、互いに反対側の第1および第2の側壁82,84を有する。第1および第2の側壁82,84は、翼弦軸線30に対して略垂直な方向で離間していてもよい。図示された実施の形態では、第1の側壁82は、正圧面壁部16に対して略平行であり、第2の側壁84は、負圧面壁部18に対して略平行である。本体28は、さらに、第1および第2の側壁82,84の間に延び、かつ翼弦軸線30に沿って離間していてもよい、前方および後方の端壁86,88を有する。図示したように、コネクタリブ32,34はそれぞれ、第1および第2の側壁82,84に接続されていてもよい。各半径方向リブ64は、本体28の前方または後方の端壁86,88と、それぞれの隣接する隔壁24との間で中央チャネル76を部分的に横切って延びている。代替的な実施の形態では、本体28は、例えば、三角形、円形、楕円形、長円形、多角形またはあらゆる他の形状または外輪郭を有していてもよい。
【0019】
例示された実施の形態では、一対のコネクタリブ32,34はそれぞれ、本体28を正圧面壁部16および負圧面壁部18に接続している。その結果、一対の隣接する半径方向キャビティ43−44,45−46は、各流れ押退け要素26A,26Bの翼弦方向で反対の側に、画成されている。この例では、隣接する半径方向キャビティ43−44の第1の対は、第1の流れ押退け要素26Aの翼弦方向で互いに反対の側に画成されている。同様に、隣接する半径方向キャビティ45−46の第2の対は、第2の流れ押退け要素26Bの翼弦方向で互いに反対の側に画成されている。各半径方向キャビティ43−46は、それぞれの第1および第2の壁近傍通路72,74と、それぞれの第1および第2の壁近傍通路72,74を接続するそれぞれの中央チャネル76とによって形成されている。各中央チャネル76は、前述のように1つまたは複数の半径方向リブ64によって部分的にシールされていてもよい。
【0020】
図示のように、各半径方向キャビティ43−46は、それぞれの壁近傍通路72,74の対と、それぞれの中央チャネル76とによって画成されたC字形の流れ横断面を有する。さらに、図示のように、各流れ押退け要素26A,26Bの翼弦方向で互いに反対の側における一対の隣接する半径方向キャビティは、対称的に対向した流れ横断面を有する。図示の例では、隣接する半径方向キャビティ43,44の第1の対はそれぞれ、対称的に対向した構成のC字形の流れ横断面を有する。すなわち、半径方向キャビティ44の流れ横断面は、翼弦軸線30に対して略垂直な鏡像軸線に関して、半径方向キャビティ43の流れ横断面の鏡像に対応する。同じ説明が、隣接する半径方向キャビティ45,46の第2の対にも当てはまる。この文脈における「対称的に対向」という用語は、特に精密な輪郭の翼においてはしばしば達成することができない、流れ横断面の正確な寸法対称性に限定されることを意味するのではないことに留意すべきである。その代わり、「対称的に対向」という用語は、本明細書で用いられる場合、流れ横断面を形成する要素(すなわち、この例では壁近傍通路72,74および中央チャネル76)の対称的に対向した相対的な幾何形状をいう。
【0021】
対称的に対向した流れ横断面を有する対の隣接する半径方向キャビティ43−44,45−46は、冷却流体を互いに反対の半径方向へ導いてもよく、蛇行した冷却経路を形成するようにそれぞれの翼弦方向コネクタ通路を介して流体接続されていてもよい。この例では、
図4に示したように、隣接する半径方向キャビティ43−45の間の翼弦方向コネクタ通路は、流れ押退け要素26Aと、翼ボディ12の半径方向端面、この場合は翼先端52との間の間隙50によって画成されていてもよい。同様に、隣接する半径方向キャビティ45−46の間の翼弦方向コネクタ通路は、第2の流れ押退け要素26Bと、翼ボディ12の半径方向端面52,54のうちの一方との間の間隙によって画成されていてもよい。中空の翼ボディ12の内部11における間隙50は、隣接する半径方向キャビティ43−44または45−46の対の対称的に対向した流れ横断面と共同で、それぞれの蛇行した冷却経路において、上流の半径方向キャビティから下流の半径方向キャビティへ翼弦方向コネクタ通路内で均一な流れの方向転換を保証する。間隙50は、比較的高温の正圧面壁部16および負圧面壁部18に対する熱膨張率の差に起因して流れ押退け要素26A,26Bが受ける応力も減らし、さらに、翼ボディ12の半径方向端面52の対流シェルフ冷却を提供する。
【0022】
例示された実施の形態は、様々な異なる冷却方式と併せて使用されてもよい。例えば、1つの実施の形態では、隣接する半径方向キャビティ43−44の第1の対は、翼の前方へ延びる第1の蛇行した冷却経路の一部を形成してもよく、さらに、隣接する半径方向キャビティ45−46の第2の対は、翼の後方へ延びる第2の蛇行した冷却経路の一部を形成してもよい。代替的な実施の形態では、半径方向キャビティ43−46は、それぞれの翼弦方向コネクタ通路によって直列に接続されて、翼の前方または後方のいずれかへ延びる1つの蛇行した冷却経路を形成してもよい。さらに別の実施の形態では、前述の蛇行した冷却方式は、最終的に冷却流体を前縁および/または後縁の半径方向キャビティ41および48にそれぞれ導くために、インピンジメント冷却などの他の冷却方式と組み合わされてもよい。冷却流体は、半径方向キャビティ41および48から、翼ボディ12の前縁および後縁20,22に沿って配置されたオリフィス27および29を介して翼ボディ12から排出されてもよい(
図2参照)。しかしながら、使用される特定の冷却方式は、本発明の態様にとって重要ではないことに留意すべきである。
【0023】
図6を参照すると、本発明の態様は、例えば、上述の蛇行冷却方式の全部ではないとしても、少なくとも一部を置換することができる、内部インピンジメント冷却特徴を有する代替的な構成に適用されてもよい。例示された構成は、最も冷却を必要とする領域、すなわち正圧面壁部16および負圧面壁部18に冷却流体の目標を定められた衝突を提供するインピンジメント構造として具体化された、1つまたは複数の流れ押退け要素26A’,26B’を有していてもよい。流れ押退け要素26A’,26B’の構造的特徴およびその結果としての半径方向キャビティ43−46の形状は、
図3に示した流れ押退け要素26A,26Bとほとんど同じであってもよく、さらに説明しない。しかしながら、
図3の実施の形態とは対照的に、この実施の形態の中空の細長い流れ押退け要素26A’,26B’は、これらの流れ押退け要素内に、冷却材流体を受け入れるそれぞれの冷却材キャビティC1,C2を形成している。この場合、冷却材キャビティC1,C2は、圧縮機セクション(図示せず)から逸らされた空気を提供する冷却流体供給通路を介して冷却流体を受け取るために、例えば根元部56で開放していてもよい。冷却材キャビティC1,C2の反対側の半径方向端部は、翼ボディ12の内部11に配置されていてもよいし閉鎖されていてもよい。図示したように、それぞれの冷却材キャビティC1,C2を第1および第2の壁近傍通路72および74に接続する複数のインピンジメント開口25が、各本体28を貫通して形成されていてもよい。インピンジメント開口25は、正圧面壁部16および負圧面壁部18に衝突するように、冷却材キャビティ64内を流れる冷却流体を方向付ける。特に、インピンジメント開口は、それぞれ正圧面壁部16および負圧面壁部18に面する本体の第1および第2の反対側の側壁82,84に形成されていてもよい。インピンジメント開口25は、各側壁82,84にインピンジメント配列を形成するために、翼弦方向および半径方向で離間していてもよい。
【0024】
作動中、冷却流体60は、冷却材キャビティC1,C2を通って半径方向に流れ、インピンジメント開口25を通って排出され、高温の正圧面壁部および負圧面壁部16および18の内面に特に衝突して、これらの面にインピンジメント冷却を提供する。衝突後、冷却流体は、隣接するC字形の半径方向キャビティ43−44または45−46を通流し、正圧面壁部および負圧面壁部16および18のみならず、隔壁24をも含む隣接する高温壁の対流冷却を提供する。特に、本体28は、冷却流体を、翼の中央から、半径方向キャビティ43−44および45−46の壁近傍通路72および74に向かって移動させる。1つまたは複数の半径方向リブ64が、前に説明した形式で中央チャネルを部分的にシールするために中央チャネル76に配置されていてもよい。半径方向リブを有することで、中央チャネル76を介した第1および第2の壁近傍通路72,74へのおよび第1および第2の壁近傍通路72,74からの冷却流体の移動を防止する。このような移動は、例えば、回転中のタービンブレードにおいて生じ得る。加えて、各中央チャネル76は、冷却流体が半径方向内側および/または外側の端部からそれぞれの中央チャネル76に進入することを防止するために、前に説明した形式でそれぞれの流れ妨害要素66によってリブ64の一方または両方の半径方向端部でカバーされていてもよい。
【0025】
C字形の半径方向キャビティ43−44および45−46は、それぞれの冷却材キャビティC1,C2と翼先端52との間の間隙によって画成されたそれぞれ翼弦方向コネクタ通路を介して、流体接続されていてもよい。翼先端52には排出口が設けられていてもよく、これらの排出口を介して、冷却材流体が翼10から排出されて、高温ガスに曝される翼先端52の外面にフィルム冷却を提供してもよい。前述のインピンジメント冷却特徴は、最終的に冷却流体を前縁および後縁の半径方向キャビティ41および48にそれぞれ導くために、他の蛇行冷却方式および/またはインピンジメント冷却方式および/またはあらゆる他の冷却方式と組み合わされてもよい。冷却流体は、半径方向キャビティ41および48から、翼ボディ12の前縁および後縁20,22に沿って配置されたオリフィス27および29を介して翼ボディ12から排出されてもよい(
図2参照)。ここでも、使用される特定の冷却方式は、本発明の態様にとって重要ではない。
【0026】
好適な実施の形態では、流れ押退け要素26A,26Bまたは26A’,26B’および半径方向リブ64は、インサートの場合のように製造後組立てを必要としないあらゆる製造技術を用いて翼ボディ12と一体に製造されてもよい。1つの例では、流れ押退け要素26は、例えばセラミック成形コアから、翼ボディ12と一体に成形されてもよい。他の製造技術は、例えば、3Dプリンティングなどの付加製造法を含んでもよい。これは、本発明の設計が、3Dで輪郭付けられたブレードおよびベーンを含む、精密に輪郭付けられた翼のために利用されることを可能にする。
【0027】
特定の実施の形態を詳細に説明してきたが、全体的な開示内容を考慮して、これらの詳細に対する様々な変更および代用を開発することができることを当業者は認識するであろう。したがって、開示された特定の配列は、例示的でしかなく、本発明の範囲を制限するものではないことを意味しており、添付の請求項およびそのあらゆる全ての均等物の全範囲が与えられるべきである。