特許第6594530号(P6594530)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594530
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】音響装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/28 20060101AFI20191010BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20191010BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20191010BHJP
   H04R 5/033 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   H04R1/28 310Z
   H04R1/00 318Z
   H04R1/02 101Z
   H04R5/033 Z
【請求項の数】22
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-514357(P2018-514357)
(86)(22)【出願日】2016年9月15日
(65)【公表番号】特表2018-534815(P2018-534815A)
(43)【公表日】2018年11月22日
(86)【国際出願番号】US2016051923
(87)【国際公開番号】WO2017048943
(87)【国際公開日】20170323
【審査請求日】2018年5月15日
(31)【優先権主張番号】14/857,287
(32)【優先日】2015年9月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ローマン・エヌ・リトフスキー
(72)【発明者】
【氏名】ボージャン・リップ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・エム・ガイガー
(72)【発明者】
【氏名】チェスター・スミス・ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】ペラム・ノーヴィル
【審査官】 堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−178384(JP,A)
【文献】 特表平08−511151(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02517486(GB,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0126760(US,A1)
【文献】 特表2014−511081(JP,A)
【文献】 特表2000−509226(JP,A)
【文献】 特表平11−506877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/28
H04R 1/00
H04R 1/02
H04R 5/033
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響装置であって、
ユーザの少なくとも頸部の周りに装着されるように構成及び配置されるとともにハウジングを備えるネックループと、
前記ネックループから延在している保持部材であって、前記ユーザの前記頸部又は胴体との接触によって該音響装置を安定化させるような大きさで構成されている前記保持部材と、
1の音響ドライバと、
2の音響ドライバと、
前記ネックループ内にあって第1の音出口開口部を備える第1の音響導波路と、
前記ネックループ内にあって第2の音出口開口部を備える第2の音響導波路と
を備え、
前記第1の音響ドライバは、前記第1の音響導波路内に、かつ前記第1の音出口開口部を通して前記ネックループから外方に、音を発する一方、前記第2の音響導波路内へは音を発しないよう構成及び配置されており、
前記第2の音響ドライバは、前記第2の音響導波路内に、かつ前記第2の音出口開口部を通して前記ネックループから外方に、音を発する一方、前記第1の音響導波路内へは音を発しないよう構成及び配置されており、
前記第1の音出口開口部は前記第2の音響ドライバの近傍に配置されており、かつ、前記第2の音出口開口部は前記第1の音響ドライバの近傍に配置されてなる、音響装置。
【請求項2】
前記第1の音響ドライバ及び前記第2の音響ドライバが、前記第1の音響ドライバ及び前記第2の音響ドライバが互いに異なる位相の音を発するように駆動される、請求項1に記載の音響装置。
【請求項3】
前記第1の音響ドライバが、前記ハウジングの内部に埋設されており、前記ユーザの一方の耳の予測位置に概略的に向けられている第1の音軸を有しており、
前記第2の音響ドライバが、前記ハウジングの内部に埋設されており、前記ユーザの他方の耳の予測位置に概略的に向けられている第2の音軸を有している、請求項1に記載の音響装置。
【請求項4】
前記第1の音出口開口部が、前記第2の音響ドライバの近傍に配置されており、
前記第2の音出口開口部が、前記第1の音響ドライバの近傍に配置されている、請求項に記載の音響装置。
【請求項5】
前記第1の音響導波路及び前記第2の音響導波路それぞれが、一方の端部及び他方の端部を有しており、
前記一方の端部が、前記ユーザの頭部の一方の側に及び一方の隣接する耳の近傍且つ下方に配置されている、その対応する音響ドライバを備えており、
前記他方の端部が、前記ユーザの前記頭部の他方の側に及び他方の隣接する耳の近傍且つ下方に配置されている、その音出口開口部に通じている、請求項に記載の音響装置。
【請求項6】
前記ハウジングが、外壁を有しており、
前記第1の音出口開口部が、前記ハウジングの前記外壁に形成されており、
前記第2の音出口開口部が、前記ハウジングの前記外壁に形成されている、請求項に記載の音響装置。
【請求項7】
前記第1の音響導波路及び前記第2の音響導波路が共に、前記ハウジングの前記外壁及び前記ハウジングの内壁によって形成されている、請求項に記載の音響装置。
【請求項8】
前記ハウジングの前記内壁が、前記内壁の長さに沿って180°捩れている長手方向軸線に沿って位置している、請求項に記載の音響装置。
【請求項9】
前記ネックループが、中央部分と第1のレッグ部分及び第2のレッグ部分とを具備する略U字状に形成されており、
前記第1のレッグ部分及び前記第2のレッグ部分が、前記中央部分から懸架されており、前記ネックループの開端部を形成するように離隔している遠位端部を有しており、
前記ハウジングの前記内壁の捩れが、前記ネックループの前記中央部分に位置している、請求項に記載の音響装置。
【請求項10】
前記ハウジングの前記内壁が、略平坦とされ、前記第1の音出口開口部及び前記第2の音出口開口部の下方に配置されている、請求項に記載の音響装置。
【請求項11】
前記ハウジングの前記内壁が、前記第1の音出口開口部及び前記第2の音出口開口部それぞれの下方に、隆起した音ダイバータを備えている、請求項10に記載の音響装置。
【請求項12】
前記ハウジングが、前記ユーザによって装着された場合に該ユーザの耳に面する頂面を有しており、
前記第1の音出口開口部が、前記ハウジングの前記頂面に形成されており、且つ、前記第2の音出口開口部が、前記ハウジングの前記頂面に形成されている、請求項に記載の音響装置。
【請求項13】
前記ハウジングが、前記ユーザによって装着された場合に該ユーザの耳に最接近する頂部分と、前記ユーザによって装着された場合に胴体に最接近する底部分とを有しており、
前記第1の音響導波路及び前記第2の音響導波路それぞれが、前記ハウジングの前記頂部分に部分的に位置しており、且つ、前記ハウジングの前記底部分に部分的に位置している、請求項に記載の音響装置。
【請求項14】
前記ネックループが、中央部分と第1のレッグ部分及び第2のレッグ部分とを具備する略U字状に形成されており、前記第1のレッグ部分及び前記第2のレッグ部分が、前記中央部分から懸架されており、前記ネックループの開端部を形成するように離隔している遠位端部を有しており、前記第1の音響導波路及び前記第2の音響導波路が共に、前記ハウジングの外壁及び前記ハウジングの内壁によって形成されており、前記ハウジングの前記内壁が、前記内壁の長さに沿って捩れている長手方向軸線に沿って位置しており、前記ハウジングの前記内壁の捩れが、前記ネックループの前記中央部分に位置しており、
前記第1の音響ドライバが、前記ネックループの前記第1のレッグ部分に配置されており、前記第2の音響ドライバが、前記ネックループの前記第2のレッグ部分に配置されており、
前記第1の音響導波路が、前記第1の音響ドライバの下方から前記ネックループの前記第1のレッグ部分の前記遠位端部に至るまで、前記ハウジングの前記頂部分に沿って延在しており、前記第1の音響導波路が、前記ネックループの前記第1のレッグ部分の前記遠位端部において、前記ハウジングの前記底部分に向かって回頭し、前記ネックループの前記中央部分の内部において前記第1のレッグ部分に沿って延在しており、前記第1の音響導波路が、前記ネックループの前記中央部分において、前記ハウジングの前記頂部分に向かって回頭し、前記第2のレッグ部分の内部において前記第1の音出口開口部に至るまで延在しており、
前記第2の音響導波路が、前記第2の音響ドライバの下方から前記ネックループの前記第2のレッグ部分の前記遠位端部に至るまで、前記ハウジングの前記頂部分に沿って延在しており、前記第2の音響導波路が、前記ネックループの前記第2のレッグ部分の前記遠位端部において、前記ハウジングの前記底部分に向かって回頭し、前記ネックループの前記中央部分の内部において前記第2のレッグ部分に沿って延在しており、前記第2の音響導波路が、前記ネックループの前記中央部分において、前記ハウジングの前記頂部分に向かって回頭し、前記第1のレッグ部分の内部において前記第2の音出口開口部に至るまで延在している、請求項13に記載の音響装置。
【請求項15】
前記第1の音響ドライバは前記ハウジングの第1の遠位端部の近傍に位置している、請求項に記載の音響装置。
【請求項16】
前記第2の音響ドライバは前記ハウジングの第2の遠位端部の近傍に位置している、請求項15に記載の音響装置。
【請求項17】
前記ネックループが、中央部分と、第1のレッグ部分及び第2のレッグ部分とを有し、前記第1のレッグ部分及び前記第2のレッグ部分が、前記中央部分から懸架されておりかつ前記ネックループの開端部を形成するように離隔している遠位端部を有しており、前記第1の音響ドライバが前記第1のレッグ部分に配置され、かつ前記第2の音響ドライバが前記第2のレッグ部分に配置されてなる、請求項1に記載の音響装置。
【請求項18】
音響装置であって、
ユーザの少なくとも頸部の周りに装着されるように構成及び配置されているネックループであって、第1の音出口開口部を具備する第1の音響導波路と第2の音出口開口部を具備する第2の音響導波路とを有している、ハウジングを備えている前記ネックループと、
前記第1の音響導波路に音響的に結合されている第1の後面開放型音響ドライバであって、音を前記第1の音響導波路内に発するが前記第2の音響導波路内には発しないよう構成された前記第1の後面開放型音響ドライバと、
前記第2の音響導波路に音響的に結合されている第2の後面開放型音響ドライバであって、音を前記第2の音響導波路内に発するが前記第1の音響導波路内には発しないよう構成された前記第2の後面開放型音響ドライバと、
前記ネックループの前記ハウジングから延在している保持部材であって、前記ユーザの前記頸部又は胴体との接触によって前記音響装置を安定化させるような大きさで構成されている前記保持部材と、
を備えている前記音響装置において、
前記第1の音出口開口部が、前記第2の後面開放型音響ドライバの近傍に配置されており、且つ、前記第2の音出口開口部が、前記第1の後面開放型音響ドライバの近傍に配置されており、
記第1の後面開放型音響ドライバ及び前記第2の後面開放型音響ドライバが互いに異なる位相の音を発するように駆動される、音響装置。
【請求項19】
前記第1の音響導波路及び前記第2の音響導波路が共に、前記ハウジングの外壁及び前記ハウジングの内壁によって形成されており、
前記ハウジングの前記内壁が、前記内壁の長さに沿って捩れている長手方向軸線に沿って位置している、請求項18に記載の音響装置。
【請求項20】
前記ネックループが、中央部分と第1のレッグ部分及び第2のレッグ部分とを具備する略U字状に形成されており、前記第1のレッグ部分及び前記第2のレッグ部分が、前記中央部分から懸架されており、前記ネックループの開端部を形成するように離隔している遠位端部を有しており、前記ハウジングの前記内壁の捩れが、前記ネックループの前記中央部分に位置している、請求項19に記載の音響装置。
【請求項21】
前記ハウジングが、前記ユーザによって装着された場合に該ユーザの耳に最接近する頂部分と、前記ユーザによって装着された場合に胴体に最接近する底部分とを有しており、
前記第1の音響導波路及び前記第2の音響導波路それぞれが、前記ハウジングの前記頂部分に部分的に位置しており、且つ、前記ハウジングの前記底部分に部分的に位置している、請求項20に記載の音響装置。
【請求項22】
音響装置であって、
ユーザの頸部の周りに装着されるように構成及び配置されているネックループであって、前記ネックループが、第1の音出口開口部を具備する第1の音響導波路と第2の音出口開口部を具備する第2の音響導波路とを有している、ハウジングを備えており、前記第1の音響導波路及び前記第2の音響導波路が共に、前記ハウジングの外壁及び前記ハウジングの内壁によって形成されており、前記ハウジングの前記内壁が、前記内壁の長さに沿って180°捩れている長手方向軸線に沿って位置しており、
前記ネックループが、中央部分と第1のレッグ部分及び第2のレッグ部分とを具備する略U字状に形成されており、前記第1のレッグ部分及び前記第2のレッグ部分が、前記中央部分から懸架されており、前記ネックループの開端部を形成するように離隔している遠位端部を有しており、前記ハウジングの前記内壁の捩れが、前記ネックループの前記中央部分に位置しており、前記ハウジングが、前記ユーザによって装着された場合に前記ユーザの耳に最接近する頂部分と、前記ユーザによって装着された場合に胴体に最接近する底部分とを有しており、前記第1の音響導波路及び前記第2の音響導波路それぞれが、前記ハウジングの前記頂部分に部分的に位置しており、且つ、前記ハウジングの前記底部分に部分的に位置しており、前記ネックループが、前記ユーザの前記頸部又は胴体との接触によって前記音響装置を安定化させるような大きさで構成されている保持部材を備えている、前記ネックループと、
前記第1の音響導波路に音響的に結合されている第1の後面開放型音響ドライバであって、前記ネックループの前記第1のレッグ部分に配置されている前記第1の後面開放型音響ドライバと、
前記第2の音響導波路に音響的に結合されている第2の後面開放型音響ドライバであって、前記ネックループの前記第2のレッグ部分に配置されている前記第2の後面開放型音響ドライバと、
を備えている前記音響装置において、
前記第1の後面開放型音響ドライバ及び前記第2の後面開放型音響ドライバが、前記第1の後面開放型音響ドライバ及び前記第2の後面開放型音響ドライバが互いに異なる位相の音を発するように駆動され、かつ
前記第1の音出口開口部が前記第2の後面開放型音響ドライバの近傍に配置され、かつ前記第2の音出口開口部が前記第1の後面開放型音響ドライバの近傍に配置されている、
響装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2014年7月18日に出願した米国仮特許出願第62/026,237号の利益を主張する2015年7月14日に出願した米国特許出願第14/799,265号の一部継続出願であり、これらの全体の内容が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
この開示は、音響装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ヘッドセットは、耳の上に、耳を覆って又は耳の中に設置される音響ドライバを有する。ヘッドセットは、このように装着することがいくらか目障りであり、周囲の音を聞くユーザの能力を妨げる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
下記に述べるすべての例及び特徴を、いずれかの技術的に可能な方法と組み合わせることができる。
【0005】
本音響装置は、耳の上の、耳を覆う又は耳の中の音響ドライバを用いずに各耳への高品質な音を指向する。音響装置は、頸部の周りに装着されるように設計される。音響装置は、ハウジングを有するネックループを含むことができる。ネックループは、鎖骨の上方に又は近くに置かれる2つのレッグ及び頸部の後ろに置かれる湾曲した中央部分を有する「馬蹄形」状又は一般的に「U字」形状を有することができる。音響装置は、ハウジングの各レッグに1つの2つの音響ドライバを有することができる。ドライバは、ドライバの音響軸が耳のところに向いた状態で、ユーザの耳の予測位置の下方に位置することができる。音響装置は、ハウジング内に2つの導波路をさらに含むことができ、各々の導波路が耳の下方でドライバの近くに出口を有する。一方のドライバの後ろ側を、一方の導波路の入口に音響的に結合することができ、他方のドライバの後ろ側を、他方の導波路の入口に音響的に結合することができる。各導波路は、それぞれ、一方の耳(左又は右)の下方に位置し音を供給するドライバを有する一方の端部、及び他方の耳(右又は左)の下方に位置する他方の端部(開端部)を有することができる。
【0006】
導波路は、ハウジング内で相互に折れ重なることができる。各導波路の入口及び出口がハウジングの頂面側のところに位置するように、導波路を構成し配置することができる。各導波路が導波路の長さに沿って全体として終始同じ断面積を有するように、導波路を構成し配置することができる。各導波路が、一方のドライバの直後で始まり、レッグの端部までネックループの隣接するレッグ内のハウジングの頂部分に沿って下に延び、ハウジングの底部分へと下に曲がり、レッグを上に戻って延びるように180度曲がり、次いで中央部分を横切り、他方のドライバの直後に位置する出口まで他方のレッグの頂部分を下って戻るように、導波路を構成し配置することができる。各導波路は、ネックループの中央部分内でハウジングの底部から頂部分へと位置をひっくり返すことができる。
【0007】
一態様では、音響装置は、頸部の周りに装着されるように構成され且つ配置されるネックループを含む。ネックループは、第1の音出口開口部を有する第1の音響導波路及び第2の音出口開口部を有する第2の音響導波路を備えるハウジングを含む。第1の音響導波路に音響的に結合された第1の後面開放型音響ドライバ及び第2の音響導波路に音響的に結合された第2の後面開放型音響ドライバがある。
【0008】
実施形態は、下記の特徴のうち一の特徴、又は当該特徴の任意の組合せを含むことができる。第1及び第2の音響ドライバを、第1及び第2の音響ドライバがスペクトルの少なくとも一部にわたり異相である音を発するように駆動することができる。第1の後面開放型音響ドライバを、ハウジングにより保持することができ、この音響ドライバはユーザの一方の耳の予測位置のところに全体として向けられる第1の音軸を有することができ、第2の後面開放型音響ドライバを、やはりハウジングにより保持することができ、この音響ドライバはユーザの他方の耳の予測位置のところに全体として向けられる第2の音軸を有することができる。第1の音出口開口部は、第2の音響ドライバに近接して位置することができ、第2の音出口開口部は、第1の音響ドライバに近接して位置することができる。各導波路は、頭部の一方の側のところで且つ隣接する耳に近接し下方に位置する対応する音響ドライバを含む一方の端部、及び頭部の他方の側のところで且つ他方の隣接する耳に近接し下方に位置する導波路の音出口開口部に通じるもう一方の端部を有することができる。
【0009】
実施形態は、上記又は下記の特徴のうち一の特徴、又は当該特徴の任意の組合せを含むことができる。ハウジングは外壁を有することができ、第1及び第2の音出口開口部を、ハウジングの外壁内に画定することができる。導波路を、ハウジングの外壁及びハウジングの内壁により両者とも画定することができる。ハウジングの内壁は、長手方向軸線の長さに沿って180°捩れる長手方向軸線に沿って置かれることがある。ネックループを、中央部分、並びに中央部分から垂れ下がり、且つネックループの開端部を画定するように間隔を空けて離れる遠位端部を有する第1及び第2のレッグ部分を有し、全体として「U字」形状にすることができ、ハウジング内壁内の捩れ部が、ネックループの中央部分内に位置する。ハウジングの内壁は、全体として平坦であり、両方の音出口開口部の下に置かれる。ハウジングの内壁は、音出口開口部の各々のすぐ下に立ち上がった音ダイバータを備えることができる。ハウジングは、ユーザにより装着されたときに耳に面する頂面を有することができ、第1及び第2の音出口開口部は、ハウジングの頂面内に画定される。
【0010】
実施形態は、上記又は下記の特徴のうち一の特徴、又は当該特徴の任意の組合せを含むことができる。ハウジングは、ユーザにより装着されたときに耳に最も近い頂部分及びユーザにより装着されたときに胴体に最も近い底部分を有することができ、各導波路は、ハウジングの頂部分内に一部が及びハウジングの底部分内に一部が置かれることがある。ネックループを、中央部分、並びに中央部分から垂れ下がり、且つネックループの開端部を画定するように間隔を空けて離れる遠位端部を有する第1及び第2のレッグ部分を含み、全体として「U字」形状にすることができる。ハウジング内壁内の捩れ部は、ネックループの中央部分内に位置することができる。第1の音響ドライバは、ネックループの第1のレッグ部分内に位置することができ、第2の音響ドライバは、ネックループの第2のレッグ部分内に位置することができる。第1の音響導波路は、第1の音響ドライバのすぐ下で始まることができ、ネックループの第1のレッグ部分の遠位端部までハウジングの頂部分に沿って延在することができ、ハウジングの底部分へと曲がり、第1の音響導波路がハウジングの頂部分へと曲がり且つ第1の音出口開口部まで第2のレッグ部分へと延在するネックループの中央部分へと第1のレッグ部分に沿って延在することができる。第2の音響導波路は、第2の音響ドライバのすぐ下で始まることができ、第2の音響導波路がハウジングの底部分へと曲がるネックループの第2のレッグ部分の遠位端部までハウジングの頂部分に沿って延在することができ、第2の音響導波路がハウジングの頂部分へと曲がり且つ第2の音出口開口部まで第1のレッグ部分へと延在するネックループの中央部分へと第2のレッグ部分に沿って延在することができる。
【0011】
別の一態様では、音響装置は、頸部の周りに装着されるように構成され且つ配置されるネックループであって、ネックループが第1の音出口開口部を有する第1の音響導波路及び第2の音出口開口部を有する第2の音響導波路を含むハウジングを備える、ネックループと、第1の音響導波路に音響的に結合された第1の後面開放型音響ドライバであって、第1の後面開放型音響ドライバがハウジングによって保持され、且つユーザの一方の耳の予測位置のところに全体として向けられる第1の音軸を有する、第1の後面開放型音響ドライバと、第2の音響導波路に音響的に結合された第2の後面開放型音響ドライバであって、第2の後面開放型音響ドライバがハウジングによって保持され、且つユーザの他方の耳の予測位置のところに全体として向けられる第2の音軸を有する、第2の後面開放型音響ドライバと、を含み、第1の音出口開口部は、第2の音響ドライバに近接して位置し、第2の音出口開口部は、第1の音響ドライバに近接して位置し、第1及び第2の音響ドライバは、第1及び第2の音響ドライバが異相である音を発するように駆動される。
【0012】
実施形態は、下記の特徴のうち一の特徴又は当該特徴の任意の組合せを含むことができる。導波路を、ハウジングの外壁及びハウジングの内壁により両者とも画定することができ、ハウジングの内壁は、長手方向軸線の長さに沿って180°捩れる長手方向軸線に沿って置かれる。ネックループを、中央部分、並びに中央部分から垂れ下がり、且つネックループの開端部を画定するように間隔を空けて離れる遠位端部を有する第1及び第2のレッグ部分を含み、全体として「U字」形状にすることができ、ハウジング内壁内の捩れ部が、ネックループの中央部分内に位置する。ハウジングは、ユーザにより装着されたときに耳に最も近い頂部分及びユーザにより装着されたときに胴体に最も近い底部分を有することができ、各導波路は、ハウジングの頂部分内に一部が及びハウジングの底部分内に一部が置かれる。
【0013】
別の一態様では、音響装置は、頸部の周りに装着されるように構成され且つ配置されるネックループであって、ネックループが第1の音出口開口部を有する第1の音響導波路及び第2の音出口開口部を有する第2の音響導波路を含むハウジングを備え、導波路は、ハウジングの外壁及びハウジングの内壁により両者とも画定され、ハウジングの内壁は、長手方向軸線の長さに沿って180°捩れる長手方向軸線に沿って置かれ、ネックループは、中央部分、並びに中央部分から垂れ下がり、且つネックループの開端部を画定するように間隔を空けて離れる遠位端部を有する第1及び第2のレッグ部分を含み、全体として「U字」形状であり、ハウジング内壁内の捩れ部は、ネックループの中央部分内に位置し、ハウジングは、ユーザにより装着されたときに耳に最も近い頂部分及びユーザにより装着されたときに胴体に最も近い底部分を有し、各導波路は、ハウジングの頂部分内に一部が及びハウジングの底部分内に一部が置かれる、ネックループを含む。第1の音響導波路に音響的に結合された第1の後面開放型音響ドライバがあり、第1の後面開放型音響ドライバは、ネックループの第1のレッグ部分内に位置し、且つユーザの一方の耳の予測位置のところに全体として向けられる第1の音軸を有する。第2の音響導波路に音響的に結合された第2の後面開放型音響ドライバがあり、第2の後面開放型音響ドライバは、ネックループの第2のレッグ部分内に位置し、且つユーザの他方の耳の予測位置のところに全体として向けられる第2の音軸を有する。第1及び第2の音響ドライバは、第1及び第2の音響ドライバが異相である音を発するように駆動される。第1の音出口開口部は、第2の音響ドライバに近接して位置し、第2の音出口開口部は、第1の音響ドライバに近接して位置する。第1の音響導波路は、第1の音響ドライバのすぐ下で始まり、第1の音響導波路がハウジングの底部分へと曲がるネックループの第1のレッグ部分の遠位端部までハウジングの頂部分に沿って延在し、第1の音響導波路がハウジングの頂部分へと曲がり且つ第1の音出口開口部まで第2のレッグ部分へと延在するネックループの中央部分へと第1のレッグ部分に沿って延在し、第2の音響導波路は、第2の音響ドライバのすぐ下で始まり、第2の音響導波路がハウジングの底部分へと曲がるネックループの第2のレッグ部分の遠位端部までハウジングの頂部分に沿って延在し、第2の音響導波路がハウジングの頂部分へと曲がり且つ第2の音出口開口部まで第1のレッグ部分へと延在するネックループの中央部分へと第2のレッグ部分に沿って延在する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】音響装置の頂面斜視図である。
図2】ユーザにより装着される音響装置の頂面斜視図である。
図3】音響装置の右側面図である。
図4】音響装置の前面図である。
図5】音響装置の背面図である。
図6】音響装置のハウジングの内部隔壁又は壁の頂面斜視図である。
図7図1の線7−7に沿って取った音響装置の第1の断面図である。
図8図1の線8−8に沿って取った音響装置の第2の断面図である。
図9図1の線9−9に沿って取った音響装置の第3の断面図である。
図10】音響装置用の電子部品の模式的ブロック図である。
図11】音響装置のドライバが同相及び異相の両方で駆動される状態で、ダミーヘッドの耳のところでの音圧レベルのプロットである。
図12A】ユーザにより装着される様々な安定化素子を含む音響装置の頂面斜視図である。
図12B】ユーザにより装着される様々な安定化素子を含む音響装置の頂面斜視図である。
図12C】ユーザにより装着される様々な安定化素子を含む音響装置の頂面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
音響装置は、耳と直接接触せず且つ周囲の音を遮らず耳への高品質な音を指向する。音響装置は、目障りではなく、(衣服が十分に音響的に透明である場合には)衣服の下に、又は衣服の上に装着することができる。
【0016】
一態様では、音響装置は、頸部の周りに装着されるように構成され配置される。音響装置は、ハウジングを含むネックループを有する。ネックループは、頸部の両側の胴体の頂面を覆って設置される2つのレッグ及び頸部の後方に設置される湾曲した中央部分を含む馬蹄形状の形状を有する。装置は、ハウジングの各レッグに1つずつ2つの音響ドライバを有する。ドライバは、ドライバの音響軸が耳に向いた状態でユーザの耳の予測位置の下方に位置する。音響装置はまた、ハウジング内に2つの導波路を有し、各導波路が耳の下方でドライバの近くに出口を有する。一方のドライバの裏側を、一方の導波路への入口に音響的に結合し、他方のドライバの裏側を、他方の導波路への入口に音響的に結合する。各導波路は、それぞれ、一方の耳(左又は右)の下方に位置し音を供給するドライバを有する一方の端部、及び他方の耳(右又は左)の下方に位置する他方の端部(開端部)を有する。
【0017】
音響装置の非限定的な例を図面に示す。これはしかし主題の音響装置を図示するはずの多くの可能性のある例のうち一の例である。発明の範囲は、例によっては限定されず、むしろ例によりサポートされる。
【0018】
音響装置10(図1図9)は、馬蹄形の形状の(又は、おそらく一般的に「U字」形状の)ネックループ12を含み、例えば、図2に示したように、ネックループを人の頸部の周りに装着できるようにネックループを成形し、構成しそして配置する。ネックループ12は、頸部“N”の首すじのところに設置される湾曲した中央部分24、並びにそれぞれ、中央部分24から垂れ下がり、一般に鎖骨「C」の上方又は近くに頸部の両側で胴体の上部にもたれかかるように構成され配置される右及び左レッグ20及び22を有する。図3図5は、音響装置10が頸部及び胸の上部領域に心地良くもたれかかり設置されることに役立つ全体の形を図示している。
【0019】
ネックループ12は、ハウジング13を含み、ハウジングは本質的に、閉じた遠位端部27及び28を有する細長い(硬い又は柔軟な)大部分が中空の硬いプラスチック管(音のインレット及びアウトレット開口部を除く)である。いくつかの例では、ハウジング13は、一体型の壁(隔壁)102により内部を分割される。1つの非限定的な例では、2つの内部導波路を、ハウジングの外壁と隔壁102とによって画定する。ハウジング13は、音が導波路を通るときに実質的に劣化しないように十分に硬いはずである。右及び左ネックループレッグ20及び22の端部27及び28間の横方向距離”D”が典型的な人間の頸部の幅よりも狭いこの非限定的な例では、装置10を身に着け取り外すときに端部27及び28が離れ、しかも図面に示した静止形状に戻るように、ネックループはやはり十分に柔軟である必要がある。適切な物理的特性を有する多くの可能性のある材料のうち一の材料は、ポリウレタンである。他の材料を使用できるはずである。また、装置を他の方式でも構成できるはずである。例えば、装置ハウジングを、例えば、留め具及び/又は接着剤を使用して一緒に結合される多数の別々の部分から作ることができるはずである。そして、レッグが胸の上部にもたれかかった状態で装置が頸部の後ろに置かれるときにネックループレッグが離れなければならないように、ネックループレッグを配置する必要がない。
【0020】
ハウジング13は、右及び左の音響ドライバ14及び16を保持する。ドライバは、ハウジング13の上表面30のところで、耳”E”の予測位置の下方に位置する。図2参照。ハウジング13は、下側表面31を有する。(図面には示されていない)ドライバの音響軸を全体として装着者/ユーザの耳の予測位置のところに向ける必要があるので、ドライバを示したように後ろに向かって(後方に)傾ける又は角度を付けることができる。ドライバは、耳の予測位置のところに向いた音響軸を有することができる。各ドライバは、最も近い耳の予測位置から約10cmで、他方の耳の予測位置から約26cm(この距離を最も遠くの耳に至るまであごの下を通る柔軟なテープで測定した)であってもよい。ドライバ間の横方向の距離は、約15.5cmである。この配置は、近い方の耳のところで他方の耳よりも約3倍大きいドライバからの音圧レベル(SPL)という結果をもたらし、これがチャネル分離を維持するために役立つ。
【0021】
ドライバの近くですぐ後方でありハウジング13の上部外壁30に位置するものは、導波路アウトレット40及び50である。アウトレット50は、右側ドライバ14の後ろのところに入口を有する導波路110用のアウトレットである。アウトレット40は、左側ドライバ16の後ろのところに入口を有する導波路160用のアウトレットである。図7図9参照。従って、各耳は、一方のドライバの前からの出力及び他方のドライバの後ろからの出力を直接受け取る。ドライバが異相で駆動される場合には、各耳によって受け取られる2つの音響信号は、基本導波路4分の1共鳴周波数の下では事実上同相であり、本非限定的例では、約130〜360Hzである。これが、各ドライバからであり同じ側の対応する導波路アウトレットからの低周波数放射が同相であり且つ相互に打ち消さないことを確実にする。同時に、反対側のドライバからであり対応する導波路からの放射は、異相であるので、ファーフィールドキャンセル(far field cancellation)を行う。これが音響装置から近くにいる他人への音漏れを減少させる。
【0022】
音響装置10は、右及び左のボタンソックス(button socks)又は部分ハウジングカバー60及び62を含み、ボタンソックスは、音量ボタン68、電源ボタン74、制御ボタン76、及びマイクロフォンを露出させる開口部72などの装置のユーザインターフェースの態様を規定できる又はサポートできるスリーブである。存在するときには、マイクロフォンは、(ハンドセットのように)通話を行うために装置を使用することを可能にする。他のボタン、スライダ及び類似の制御部を、望むように含むことができる。ユーザインターフェースを、ユーザによる操作を容易にするように、構成し設置することができる。ボタンを見ずに認識できるように、個々のボタンを固有の形状にし、設置することができる。電子部品カバーは、ボタンソックスの下方に位置する。装置10の機能のために必要なハードウェアを保持するプリント回路基板及び電池は、カバーの下方に位置する。
【0023】
ハウジング13は、2つの導波路110及び160を含む。図7図9参照。音は、ドライバのすぐ後ろ/すぐ下の各導波路に入り、ドライバがレッグの端部まで上に位置するネックループレッグの頂面側を下って延び、レッグの端部のところで180°向きを変え、ハウジングの底部側まで下り、そして次いでハウジングの底部側に沿ってレッグを上へ戻って延びる。導波路は、ネックループの中央部分の第1の部分の底部側に沿って続く。導波路は、次いで、ネックループの中央部分の端部のところで又は近くで導波路がハウジングの頂面側に戻るように捩れる。導波路は、ネックループの他方のレッグの頂面に位置するアウトレット開口部のところで他方のドライバの近くで終わる。導波路は、ハウジングの外壁と内部一体型隔壁又は壁102との間の空間によって形成される。(ハウジングから離れて図6に示した)隔壁102は、右レッグ130、左レッグ138、右端部118、左端部140、及び中央の180°捩れ部134を有する一般に平坦な一体型の内部ハウジング壁である。隔壁102はやはり、ハウジング軸にほぼ平行に延びる導波路からダイバータの上方のハウジングの上部壁内にあるアウトレット開口部に至るまで音を向ける湾曲した角度付きダイバータ132及び136も有し、その結果、音が、全体として一方の耳に方に向けられる。
【0024】
導波路110の第1の部分を図7に示す。導波路入口114は、右耳の予測位置の方を向いている表側14bを有する音響ドライバ14の裏面14aの直後に位置する。導波路110の下向レッグ116は、ハウジングの隔壁102の上方で上部壁/頂面30の下方に位置する。折り返し部120が、隔壁102の端部118とハウジング12の閉じた丸まった端部27との間に画定される。導波路110は、次いで隔壁102の下方で導波路110の上向部分122に続く。導波路110は、次いで隔壁102の一部であるダイバータ132(導波路部分124参照)の下に延び、そこでは導波路が中央ハウジング部分24へと延びるように曲がる。図8及び図9は、2つの同じ導波路110及び160が、ハウジングの中央部分内で折り重なり相互にひっくり返るハウジングの中央部分に沿ってどのようにして延びるか、その結果、各導波路がハウジングの頂部分内でどのようにして始まり、終わるかを図示する。これは、各導波路がネックループの一方のレッグ内で一方のドライバの後ろに結合され、他方のドライバの近くで他方のレッグ内のハウジングの頂面に導波路のアウトレットを有することを可能にする。図8及び図9はやはり、隔壁102の第2の端部140、及びドライバ16の後ろで始まり、導波路がレッグ22の底部へ曲がり、中央部分24へとレッグ22を上って延びるレッグ22の上部まで下って延びる導波路160の配置も示している。導波路110及び160は、基本的に相互に鏡像である。
【0025】
1つの非限定的な例では、各導波路は、一般に環状のアウトレット開口部を含め導波路の全長さに沿って、約2cmの一般に終始同じ断面積を有する。1つの非限定的な例では、各導波路は、約22〜44cmの範囲内の、1つの特定の例では43cmに極めて近い総合的な長さを有する。1つの非限定的な例では、導波路は、約150Hzのところで共鳴を起こすように十分に長い。より一般的に、音響装置の主要寸法(例えば、導波路長さ及び断面積)は、人間工学により主として規定され、一方で適正な音響共鳴及び機能を、適正なオーディオ信号処理により確実にする。他の導波路配置、形状、サイズ、及び長さが、本開示の範囲内であると想定される。
【0026】
音響装置用の電子部品の例示的であるが非限定的な例を図10に示す。この例では、装置は、スマートフォン又は別の音源にワイアレスでつなげることができるワイアレスヘッドセットとして機能する。PCB103は、マイクロフォン164及びマイク処理部を保持する。アンテナは、別の装置からオーディオ信号(例えば、音楽)を受信する。Bluetooth(登録商標)無線通信プロトコル(及び/又は他の無線プロトコル)をサポートする。ユーザインターフェースを、PCB103及びPCB104の両者の一部として保持することができるが、必ずしも必要ではない。システムオンチップは、増幅されそしてPCB104上のL及びRオーディオ増幅器に与えられるオーディオ信号を発生する。増幅した信号を、上に説明したように後面開放型音響ドライバである左及び右のトランスデューサ(ドライバ)16及び14へ送る。音響ドライバは、40mmの直径及び10mmの深さを有することができるが、必ずしもこれらの寸法を有する必要はない。PCB104は、音響装置に関するすべての電力を供給する充電可能電池106とインターフェースする電池充電回路をやはり保持する。
【0027】
図11は、上に説明した音響装置を用いた一方の耳のところのSPLを図示する。プロット196は、異相で駆動されたドライバを用いたものであり、プロット198は同相で駆動されたドライバを用いたものである。約150Hzよりも下では、異相SPLは、同相駆動法よりも高い。異相駆動法の利点は、60〜70Hzの最低周波数において15dBまでである。同じ効果が、約400から約950Hzまでの周波数範囲内で生じる。150〜400Hzの周波数範囲内では、同相SPLは、異相SPLよりも高く、この周波数範囲内で最高のドライバ性能を得るために、左及び右チャネル間の位相差を、ひっくり返してゼロに戻すはずである。1つの非限定的な例では、チャネル間の位相差は、限定された位相変化スロープを有するいわゆるオールパスフィルタを使用して実現される。これらは、音再生に有害な効果を有することがある急峻な位相変化よりもむしろゆっくりとした位相変化を与える。これが、音響装置のパワー効率を保証しながら適正な位相選択の利点を可能にする。約1KHzよりも上では、左及び右チャネル間の位相差は、より高い周波数のところではチャネル間の相関の欠如のために、SPLへの影響は、はるかに小さい。
【0028】
図12Aから図12Cは、装置を装着しているユーザに対する追加の支持及び保定を提供する安定化素子をさらに含む音響装置10の3つの非限定的な例を描いている。安定化素子は、例えば、ランニング、ジョギング、スキー、マウンテンバイキング、及びウェイトトレーニングなどの激しい運動中の使用のため所定の場所に音響装置10を保つように機能する。
【0029】
図1図9に関して上に説明したように、図12Aから図12Cの音響装置10は、ネックループ12(図1)、頸部“N”(図2)の首すじのところに設置される湾曲した中央部分24(図1)、並びにそれぞれ中央部分24から垂れ下がり、全体として鎖骨「C」(図2)の上方又は近くで頸部の両側の胴体上部にもたれかかるように構成され且つ配置される右及び左レッグ20及び22を含む。図12Aから図12Cの音響装置10は、1つ又は複数のドライバ(図示せず)を含む。ドライバは、音響装置10のハウジングの表面上又はその下方に、一般にそれぞれ右及び左レッグ20及び22内で耳”E”(図2)の予測位置の下方に設置されることがある。前に説明したように、ドライバは、全体としてユーザの耳の予測位置のところにドライバの音響軸を向けるように角度を付けられることがある。各ドライバは、最も近い耳の予測位置から約10cmで、他方の耳の予測位置から約26cm(この距離を最も遠くの耳に至るまであごの下を通る柔軟なテープで測定した)であってもよい。ドライバ間の横方向の距離は、約15.5cmである。図12Aから図12Cの音響装置10はまた、それぞれ右及び左レッグ20及び22に沿ってドライバの近くで且つすぐ後ろに位置する導波路アウトレット(図示せず)であってもよい。
【0030】
図12Aは、音響装置10に取り付けられたストラップ200及び離脱可能留め具202を含み、これらは一緒に、ユーザが激しい運動中の使用のために胴体に装置を離脱可能に固定することを可能にすることによりさらなる安定性を提供する音響装置10を示す。図12Bは、ユーザの頸部の後ろ及び横に接触する又は少なくとも部分的に接触するように設計され、大きさを決められ且つ構成される安定化カラー204を含む音響装置10を示す。安定化カラー204は、上に説明した運動中に音響装置10を使用するためのさらなる安定性を提供する。図12Cは、上に説明した運動中に音響装置10の使用のためのさらなる安定性を与えるための膨張式チャンバ206を含む音響装置10を示す。チャンバ206は、ユーザの頸部の後ろ及び横に接触するように設計され、大きさを決められ且つ構成される。この例では、チャンバ206を、ユーザにとって十分な安定性及び心地良さを与える圧力レベルまで空気又は他の適切なガスで膨張させることができる。チャンバ206の内側の圧力レベルを、特定のユーザにとって又は特定の運動中の使用にとって適切なレベルに調節することができる。チャンバ206は、当業者なら理解するように空気の加圧又は解放を容易にするための圧力弁(図示せず)を含むことができる。1つの非限定的な例では、チャンバ206は、チャンバが膨張するにつれてユーザの頸部に対して所定の形状又は圧力の方向を与えるために多数のサブチャンバ又はセグメントを含むことができる。
【0031】
音響装置10のハウジングは、装置ハウジングの一部分又はすべてを取り囲む外板又はカバーを含むことができる。1つの例では、カバーが音響装置10のそれぞれ右及び左レッグ20及び22内のドライバ及び/又は導波路アウトレットにかぶさる位置に、カバーは、音響的に透明な領域を含む。いくつかの例では、カバーは、音響装置10を引っかき傷又は擦り傷から保護するように、音響装置10を装着している間にユーザにさらなる心地良さを提供するように働き、並びに/又は装置10の外観のカスタマイゼーションを可能にすることができる。外板は、音響装置10に脱着可能に又は恒久的に取り付けられてもよい。
【0032】
上に説明したシステム及び方法の実施形態は、当業者には明らかであろうコンピュータ部品及びコンピュータに実装されるステップを含む。例えば、コンピュータに実装されるステップを、例えば、フロッピディスク、ハードディスク、光ディスク、フラッシュROM、不揮発性ROM、及びRAMなどのコンピュータ可読媒体上にコンピュータ実行可能な命令として記憶できることを当業者なら理解するはずである。さらにその上、コンピュータ実行可能な命令を、例えば、マイクロプロセッサ、ディジタル信号プロセッサ、ゲートアレイ、等などの様々なプロセッサ上で実行できることを当業者なら理解するはずである。解説を容易にするために、上に説明したシステム及び方法のステップ又は要素のすべてではないが、本明細書においてはコンピュータシステムの一部として説明するが、各ステップ又は要素が、対応するコンピュータシステム又はソフトウェア構成要素を有することがあることを、当業者なら認識するであろう。このようなコンピュータシステム及び/又はソフトウェア構成要素を、従ってこれらの対応するステップ又は要素(すなわち、これらの機能)を説明することによって有効にすることができ、開示の範囲内である。
【0033】
多くの実装形態を説明してきている。それにも拘らず、追加の修正を、本明細書において説明した発明の概念の範囲から逸脱せずに行うことができ、従って、他の実施形態が別記の特許請求の範囲の範囲内であることが、理解されるであろう。
【符号の説明】
【0034】
10 音響装置
12 ネックループ
12 ハウジング
13 ハウジング
14 音響ドライバ
14a 裏面
14b 表側
16 音響ドライバ
20 レッグ
22 レッグ
24 中央部分
27 閉じた丸まった端部
28 端部
30 外壁
31 下側表面
40 アウトレット
50 アウトレット
60 ハウジングカバー
62 ハウジングカバー
68 音量ボタン
72 開口部
74 電源ボタン
76 制御ボタン
102 隔壁
103 PCB
104 PCB
106 充電可能電池
110 導波路
114 導波路入口
116 下向レッグ
118 端部
120 折り返し部
122 上向部分
124 導波路部分
130 右レッグ
132 ダイバータ
134 捩れ部
136 ダイバータ
138 左レッグ
140 左端部
160 導波路
164 マイクロフォン
196 プロット
198 プロット
200 ストラップ
202 離脱可能留め具
204 安定化カラー
206 膨張式チャンバ
C 鎖骨
D 横方向距離
E 耳
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C