【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を備えた装置、およびその種の装置を備えたハイドロリックリフティング装置によって解決される。本発明の有利な実施の形態は、従属請求項に規定されている。
【0006】
この課題は、本発明によれば、制御部が、運転モードを有しており、この運転モード中に、モバイル制御モジュールにおいて、リフティング装置の別の位置に関するパラメータおよび/またはリフティング装置によって引き上げられたもしくは引き上げられるべき吊り荷に関するパラメータを入力することができ、かつ、それらのパラメータおよび格納されているデータから、別の位置および/またはリフティング装置によって引き上げられたもしくは引き上げられるべき吊り荷に固有の第2の情報が算出され、また第1の情報と比較され、この算出および比較が、制御部のプロセッサによって行われ、かつ、モバイル制御モジュールおよび制御部が、無線式および/または有線式に相互に通信する、ことによって解決される。
【0007】
モバイル制御部ないしモバイル制御モジュールとは、独立した(場合によっては携帯可能な)操作ユニットであると解され、この操作ユニットによって、ユーザはクレーンないしハイドロリックリフティング装置のある程度の範囲の周囲において実質的に自由に移動することができる。もちろん、その種のモバイル制御モジュールと(特に固有の制御部を備えている)クレーンないしハイドロリックリフティング装置との間で、データないし情報を交換することができる。
【0008】
ハイドロリックリフティング装置に配置されたまたは配置されるべき据え付けの制御部においてセンサデータを処理および解釈することによって、高い計算能力を有するプロセッサを利用することができ、その際、プロセッサの電力消費量を見掛け上考慮する必要はない。
【0009】
センサデータは、リフティング装置の一部に、例えばハイドロリックシリンダ、回動ジョイント、屈曲ジョイント、フレーム部またはスライディングアームにそれぞれ配置されている、例えば圧力センサ、ロータリエンコーダ、ひずみゲージ、変位センサ、傾斜計またはスイッチに由来するものであってよい。
【0010】
リフティング装置の位置に固有の第1の情報は、例えば、リフティング装置の現在の支持状況、ジオメトリまたは装備、ならびに引き上げられたもしくは引き上げられるべき荷重による負荷を含むことができる。したがって、第1の情報は、現在の位置、現在の吊り荷状況および/またはリフティング装置における作業プロセスの許容性を、所与の現在の吊り荷も含めて特徴付けることができる。第1の情報の算出のために、メモリに格納されている、リフティング装置の詳細な構成に特有のデータ、例えばリフティング装置の運転パラメータに関する限界値も含むデータを考慮することができる。
【0011】
適切な入力手段を介して、モバイル制御モジュールにおいて、リフティング装置の別の位置に関するパラメータおよび/またはリフティング装置によって引き上げられたもしくは引き上げられるべき吊り荷に関するパラメータを入力することができ、ここで、入力されたパラメータは、ユーザが所望するリフティング装置の位置および/またはリフティング装置によって引き上げられたもしくは引き上げられるべき所望の吊り荷重を表すことができる。
【0012】
制御部のこれに適した運転モードにおいては、モバイル制御モジュールにおいて入力されたパラメータを制御部に伝送することができる。伝送されたそれらのパラメータに基づいて、制御部のプロセッサによって、また制御部のメモリに格納されている、リフティング装置に特有のデータによって、第2の情報を算出することができる。第1の情報と同様に、それらの第2の情報も、入力されたパラメータによって特徴付けられた位置、および/または、リフティング装置によって引き上げられたもしくは引き上げられるべき吊り荷に固有である。第2の情報を、その許容性に関して、固有のデータに含まれている、リフティング装置に対して有効な限界値の意味において判定することができる。さらに、リフティング装置の第1の位置を起点として、別の位置に到達可能であるか否かを判定するために、この第2の情報を第1の情報と比較することができる。続いて、比較の評価をモバイル制御モジュールに伝送することができる。
【0013】
モバイル制御モジュールと制御部との間のデータの伝送を、その都度、無線式および/または有線式に行うことができる。情報の有線式の伝送は、例えば、ユーザがハイドロリックリフティング装置に配置されたまたは配置されるべき制御部のある程度の範囲の周囲にいるときに行うことができる。特にセキュリティが重要な制御プロセスでは、このことは、ユーザからモバイル制御モジュールを介して出力された制御命令の許容性についての必要条件であってもよい。
【0014】
ここで、リフティング装置は、クレーン、例えば車両に配置することができるローダクレーンであってよく、また、高所作業台であってもよい。
【0015】
モバイル制御モジュールが、ユーザによって操作することができる、運転モードをアクティブ化するためのアクティブ化手段を有していることは有利であると分かった。これによって、運転モードを、例えばユーザによって、所望の時点において、または所望の期間にわたりアクティブ化することができる。
【0016】
さらに、モバイル制御モジュールはエネルギ蓄積部を有することができ、また運転モードのアクティブ化を、エネルギ蓄積部の最小充電状態においてのみ行うことができる。これによって、運転モードへの切り替えによって、また場合によってはその切り替えに関連してエネルギ消費量が高まることによって、例えばエネルギ蓄積部の充電状態が既に低いときに、別の急速な放電によってモバイル制御モジュールが動作不能になることを阻止することができる。
【0017】
さらに有利には、比較が、ハイドロリックリフティング装置の、入力されたパラメータによって特徴付けられた別の位置への移動の実行可能性に関する情報および/または引き上げられたもしくは引き上げられるべき吊り荷に関する情報を含んでいる。この場合、制御部のプロセッサによって、リフティング装置に対して有効な運転パラメータに関する限界値を順守した場合に、またリフティング装置の装備を考慮して、別の位置に到達できるか否かを求めることができる。このことは、現在の位置を起点として別の位置に到達可能であるか否か、また現在の負荷を基準にしてさらなる負荷を達成できるか否かの判定も含むことができる。
【0018】
さらに、運転モードをアクティブ化した際に、第1の情報がモバイル制御モジュールに伝送されることは有利であると考えられる。その後、この第1の情報は、別の位置に関して入力されるパラメータの基礎として使用することができ、またユーザは、例えば表示部を用いて、この第1の情報にアクセスすることができる。
【0019】
モバイル制御モジュールのプロセッサは、比較および/または第1の情報から、表示用のグラフィックデータを算出することができ、このグラフィックデータを、表示ユニットを介して、ユーザに表示することができる。この算出は、例えば制御モジュールに格納されているシンボルまたはグラフィックのスケーリング、選択および/または作成もしくは算出されたグラフィックデータの、格納されているバックグラウンドグラフィックへの統合を含むことができる。表示ユニットは、例えば液晶ディスプレイ、LEDディスプレイまたはOLEDディスプレイの形態のディスプレイを有することができる。第1の情報を表示する際に、ユーザには、リフティング装置の現在の位置、また場合によっては現在引き上げられた吊り荷重を表示することができる。比較を表示する際に、ユーザには、別の位置の判定および/またはリフティング装置の別の位置への移動の実行可能性の判定を表示することができる。
【0020】
この際、表示を信号表示、ピクトグラムまたはテキスト出力の形態で行うことは有利であると考えられる。つまり、表示を直観的に理解できるように、またわずかな手間で行うことができる。
【0021】
さらに、パラメータの入力を、モバイル制御モジュールにおいて、入力フィールドを備えたマスクを介して行うことができる。つまり、入力を簡単に行うことができ、またパラメータを、時間を節約して入力することができる。
【0022】
パラメータは、吊り上げ高さ、到達距離、および、現在のまたは自由に選択可能な吊り荷重を含むことができる。ここで吊り上げ高さとは、所定の旋回角度での、クレーンの基準面から、例えばクレーンベースの下縁から、クレーンの先端までの、すなわちクレーンアームの最端部またはクレーンアームに配置されている延長部の最端部までの垂直方向の距離、またはクレーンによって引き上げられたもしくは引き上げられるべき吊り荷までの垂直方向の距離であると解することができる。これとは異なり、吊り上げ高さのパラメータは、現在のクレーン位置または吊り荷の位置に対して相対的な、クレーンの先端または吊り荷の垂直方向の距離を特徴付けることができる。これと同様に、到達距離のパラメータは、所定の旋回角度での、旋回軸線から、より正確にはクレーンベースにおけるクレーン柱の実質的に垂直に支承されている旋回軸線から、クレーンの先端までの水平方向の距離、またはクレーンによって引き上げられたもしくは引き上げられるべき吊り荷までの水平方向の距離を特徴付けることができるか、またはこれとは異なり、現在のクレーン位置または吊り荷の位置に対して相対的なクレーンの先端または吊り荷の水平方向の距離を特徴付けることができる。またパラメータが空間座標系または平面座標系、例えば球面座標系、円柱座標系またはデカルト座標系での座標セットを含むことも考えられる。到達距離の特徴付けを、吊り上げ高さの特徴付けとは別個に行うこともできる。クレーンの先端または吊り荷のGPS座標の入力および/または検出も同様に考えられる。さらには、パラメータがクレーンの一部ないし構造ユニットの位置、例えばテレスコピック式に伸縮可能なクレーンアーム延長部の伸縮位置またはクレーンアームの回動角度位置ないし屈曲角度位置を特徴付けることが考えられる。そのようなパラメータセットによって、リフティング装置の所望の位置を正確に、またユーザが容易にアクセスできるように特徴付けることができる。
【0023】
さらに好適には、制御部が別の運転モードを有しており、この別の運転モード中に、制御部のプロセッサによって、ハイドロリックリフティング装置を、入力されたパラメータによって特徴付けられた位置に移動させるための一連の制御命令が算出される。この際、プロセッサによって制御命令のセットを作成することができ、また必要に応じてメモリに格納することができ、この制御命令のセットによってリフティング装置を別の位置に動かすことができる。この場合、現在の位置を出発位置として使用することができる。移動は、ジオメトリの変化、吊り上げプロセスまたはそれらの組合せであってよい。
【0024】
有利には、モバイル制御モジュールが、ユーザによって操作することができる、制御命令の算出をアクティブ化するための別のアクティブ化手段を有することができる。つまり、ユーザが所望する時点に算出を行うことができ、またプロセッサの不必要な計算時間を要求しなくてすむ。
【0025】
さらには、モバイル制御モジュールが、ハイドロリックリフティング装置を、入力されたパラメータによって特徴付けられた位置に移動させるための制御命令の出力を制御するための、ユーザによって操作することができる操作手段、特に操作レバーを有することができる。この操作手段を、例えばボタンまたはオートリセット型の操作レバーの形態で実施することができ、その操作時には、リフティング装置の種々の部分に該当することができる一連の制御命令が制御部から出力される。これによって、制御部の操作を大幅に簡略化することができる。
【0026】
第1の情報に従って許容されるリフティング装置の位置までしか移動を行うことができないことは有利であると考えられる。つまり、リフティング装置が移動によって、限界値の枠内では許容されない状態には達しないことを保証することができる。つまり例えば、実際は許容されない別の位置への接近を、運転パラメータに関して有効な限界値の枠内で容認される範囲で行うことができる。
【0027】
ここでさらに有利には、操作手段によって、特に操作レバーによって、ハイドロリックリフティング装置の、入力されたパラメータによって特徴付けられた位置への移動の速度を制御することができる。これによって、ユーザは、制御命令の出力の割合、つまりリフティング装置のジオメトリの変化の速度も制御することができる。
【0028】
上記において述べたような装置を備えた、ハイドロリックリフティング装置、特に車両用のローダクレーン、特に好適にはジブクレーン、または、高所作業台についても保護が望まれる。
【0029】
本発明の実施例を図面に基づき考察する。