特許第6594564号(P6594564)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594564
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】車両の制御装置及び車両の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/04 20060101AFI20191010BHJP
   B60W 10/11 20120101ALI20191010BHJP
   F02D 29/00 20060101ALI20191010BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20191010BHJP
   F16H 63/34 20060101ALI20191010BHJP
   F16H 59/08 20060101ALI20191010BHJP
   F16H 61/22 20060101ALI20191010BHJP
   F16H 63/50 20060101ALI20191010BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   B60W10/00 108
   F02D29/00 C
   F02D29/00 G
   B60W10/06
   B60W10/11
   F16H63/34
   F16H59/08
   F16H61/22
   F16H63/50
   B60T7/12 A
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-550137(P2018-550137)
(86)(22)【出願日】2017年10月26日
(86)【国際出願番号】JP2017038811
(87)【国際公開番号】WO2018088233
(87)【国際公開日】20180517
【審査請求日】2019年2月6日
(31)【優先権主張番号】特願2016-219872(P2016-219872)
(32)【優先日】2016年11月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河口 高輝
(72)【発明者】
【氏名】永島 史貴
(72)【発明者】
【氏名】山本 英晴
【審査官】 平井 功
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−126474(JP,A)
【文献】 特開2007−303611(JP,A)
【文献】 特開2002−295657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00−10/30
B60W 30/00−50/16
F02D 29/00−29/06
F16H 59/00−61/12
F16H 61/16−61/24
F16H 61/66−61/70
F16H 63/40−63/50
B60T 7/12− 8/1769
B60T 8/32− 8/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源と、出力軸を回転不能にロックするパークロック機構及び発進時に締結される締結要素を有し、前記駆動源の出力回転が入力される自動変速機と、を備えた車両の制御装置であって、
駐車レンジから走行レンジへの変更指示があった場合に、前記パークロック機構によるロックの解除が完了するまで、前記駆動源のトルクを制限する制御部を有する、
車両の制御装置。
【請求項2】
駆動源と、出力軸を回転不能にロックするパークロック機構及び発進時に締結される締結要素を有し、前記駆動源の出力回転が入力される自動変速機と、を備えた車両の制御装置であって、
駐車レンジから走行レンジへの変更指示があった場合に、前記パークロック機構によるロックの解除及び前記締結要素の締結が完了するまで、前記駆動源のトルクを制限する制御部を有する、
車両の制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両の制御装置であって、
前記制御部は、前記パークロック機構によるロックの解除及び前記締結要素の締結の完了後において、アクセルONの場合は、前記駆動源のトルクを漸増させる、
車両の制御装置。
【請求項4】
駆動源と、出力軸を回転不能にロックするパークロック機構及び発進時に締結される締結要素を有し、前記駆動源の出力回転が入力される自動変速機と、を備えた車両の制御方法であって、
駐車レンジから走行レンジへの変更指示があった場合に、前記パークロック機構によるロックの解除が完了するまで、前記駆動源のトルクを制限する、
車両の制御方法。
【請求項5】
駆動源と、出力軸を回転不能にロックするパークロック機構及び発進時に締結される締結要素を有し、前記駆動源の出力回転が入力される自動変速機と、を備えた車両の制御方法であって、
駐車レンジから走行レンジへの変更指示があった場合に、前記パークロック機構によるロックの解除及び前記締結要素の締結が完了するまで、前記駆動源のトルクを制限する、
車両の制御方法。
【請求項6】
請求項1に記載の車両の制御装置であって、
前記制御部は、前記駐車レンジから前記走行レンジへの変更指示があった後から前記パークロック機構によるロックの解除が完了するまで、前記駆動源のトルクを制限する、
車両の制御装置。
【請求項7】
請求項2に記載の車両の制御装置であって、
前記制御部は、前記駐車レンジから前記走行レンジへの変更指示があった後から前記パークロック機構によるロックの解除及び前記締結要素の締結が完了するまで、前記駆動源のトルクを制限する、
車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制御装置及び車両の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シフトレバー、シフトスイッチ等のシフターと自動変速機の出力軸を回転不能にロックするパークロック機構との間に機械的なリンケージを有さず、シフターの動きに応じた電気信号をアクチュエータに出力し、アクチュエータによってパークロック機構等を動作させるパークバイワイヤ方式の自動変速機が知られている(JP2008−128444A参照)。
【0003】
パークバイワイヤ方式の自動変速機では、運転者がシフターを駐車レンジに操作すると、制御装置からアクチュエータに信号が出力されてパークロック機構が動作し、出力軸が回転不能にロックされる(パークロックON)。また、運転者がシフターを駐車レンジから駐車レンジ以外のレンジに操作すると、パークロック機構による出力軸のロックが解除される(パークロックOFF)。
【発明の概要】
【0004】
パークロック機構のロック解除に要する時間は、パークロック機構の噛合負荷に応じて変化する。例えば、坂道停車中や、車両がボート等を牽引しているトーイング中においては、パークロック機構の噛合負荷が大きくなるので、パークロック機構のロック解除に遅れが生じることがある。
【0005】
このような状態では、運転者がシフターを駐車レンジから走行レンジに操作した際に、自動変速機の締結要素が締結されるタイミングとパークロックOFFになるタイミングとを合わせることが難しく、締結要素が先に締結されると、パークロック機構にかかる負荷がさらに大きくなるという問題がある。
【0006】
本発明は、パークロックOFFになる前に締結要素が締結されたとしても、パークロック機構にかかる負荷を抑制できるようにすることを目的とする。
【0007】
本発明のある態様によれば、駆動源と、出力軸を回転不能にロックするパークロック機構及び発進時に締結される締結要素を有し、前記駆動源の出力回転が入力される自動変速機と、を備えた車両の制御装置であって、駐車レンジから走行レンジへの変更指示があった場合に、前記パークロック機構によるロックの解除が完了するまで、前記駆動源のトルクを制限する制御部を有する、車両の制御装置が提供される。
【0008】
また、本発明の別の態様によれば、駆動源と、出力軸を回転不能にロックするパークロック機構及び発進時に締結される締結要素を有し、前記駆動源の出力回転が入力される自動変速機と、を備えた車両の制御装置であって、駐車レンジから走行レンジへの変更指示があった場合に、前記パークロック機構によるロックの解除及び前記締結要素の締結が完了するまで、前記駆動源のトルクを制限する制御部を有する、車両の制御装置が提供される。
【0009】
また、本発明の別の態様によれば、駆動源と、出力軸を回転不能にロックするパークロック機構及び発進時に締結される締結要素を有し、前記駆動源の出力回転が入力される自動変速機と、を備えた車両の制御方法であって、駐車レンジから走行レンジへの変更指示があった場合に、前記パークロック機構によるロックの解除が完了するまで、前記駆動源のトルクを制限する、車両の制御方法が提供される。
【0010】
また、本発明の別の態様によれば、駆動源と、出力軸を回転不能にロックするパークロック機構及び発進時に締結される締結要素を有し、前記駆動源の出力回転が入力される自動変速機と、を備えた車両の制御方法であって、駐車レンジから走行レンジへの変更指示があった場合に、前記パークロック機構によるロックの解除及び前記締結要素の締結が完了するまで、前記駆動源のトルクを制限する、車両の制御方法が提供される。
【0011】
これらの態様によれば、パークロック機構によるロックの解除及び締結要素の締結が完了するまで、駆動源のトルクが制限される。よって、パークロックOFFになる前に締結要素が締結されたとしても、パークロック機構にかかる負荷を抑制できる。また、パークロック機構のロック解除に遅れが生じた場合でも、車両が急発進することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態に係る車両の概略構成図である。
図2図2は、ATCUが実行する制御の内容を説明するためのフローチャートである。
図3図3は、車両が発進する様子を説明するためのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0014】
図1は、車両100の概略構成図である。車両100は、駆動源としてのエンジン1を備える。エンジン1の出力回転は、自動変速機TM、差動装置4を介して、駆動輪5へと伝達される。
【0015】
自動変速機TMは、トルクコンバータ2と変速機構3とで構成される。自動変速機TMは、レンジとして、ドライブ(D)レンジ、リバース(R)レンジ、ニュートラル(N)レンジ、駐車(P)レンジ等を有し、そのいずれか一つを設定レンジとして設定することができる。DレンジとRレンジとは走行レンジを構成し、NレンジとPレンジとは非走行レンジを構成する。
【0016】
自動変速機TMの設定レンジは、運転者がシフター6を操作することによって設定される。シフター6は、例えば、操作後に中立位置に自動的に復帰するモーメンタリ式のシフトレバーであるが、ボタン式のシフトスイッチや、シフトレバーの位置に応じて設定レンジが変更される一般的なシフター等であってもよい。シフター6によってどのレンジが選択されたかは、シフター位置センサ21によって検出される。
【0017】
変速機構3は、有段の自動変速機構であり、遊星歯車機構と、複数の締結要素33(クラッチ、ブレーキ)とを有して構成される。変速機構3は、複数の締結要素33の締結状態を変更することで変速段(ギヤ比)及び前進後進を切り換えることができる。
【0018】
変速機構3は、コントロールバルブ部31と、パークロック機構32と、をさらに有する。
【0019】
コントロールバルブ部31は、変速機構3の複数の締結要素33の作動油圧を制御する複数のソレノイドを有して構成される。
【0020】
パークロック機構32は、駐車時に自動変速機TMの出力軸34を回転不能にロックする。自動変速機TMの設定レンジがPレンジに設定された場合は、アクチュエータ32aによってパークロッド32bがロック位置に駆動される。これにより、係合爪(図示せず)が自動変速機TMの出力軸34に設けられたパークギヤ(図示せず)に係合し、自動変速機TMの出力軸34が機械的にロックされる(パークロックON)。これに対し、自動変速機TMの設定レンジがPレンジ以外のレンジに設定された場合は、アクチュエータ32aによってパークロッド32bがロック解除位置に駆動される。これにより、係合爪とパークギヤとの係合が解かれ、出力軸34のロックが解除される(パークロックOFF)。
【0021】
駆動輪5及び図示しない従動輪には油圧式のブレーキ装置7が設けられている。ブレーキ装置7から車両100に作用するブレーキ力は運転者によるブレーキペダルの踏み込み量に応じて調整される他、後述するBCU60からの信号を受けて任意のタイミングでブレーキ力を車両100に作用させることができる。
【0022】
ATCU10は、制御部としての自動変速機コントロールユニットであり、自動変速機TMの制御を行う。ATCU10には、アクセルペダルの操作量であるアクセル開度APOを検出するアクセル開度センサ11、車速VSPを検出する車速センサ12、パークロック機構32のパークロッド32bの位置を検出するパーキングポジションセンサ13、ブレーキペダルの踏み込みの有無を検出するブレーキスイッチ14等からの信号が入力される。
【0023】
ATCU10は、CAN70を介してSCU20、ECU30、BCU60と相互通信可能に接続される。
【0024】
SCU20は、シフトコントロールユニットである。SCU20は、シフター位置センサ21からの信号に基づき、シフター6によって選択されたレンジに対応する要求レンジ信号を生成してATCU10に出力する。
【0025】
ATCU10は、SCU20からの要求レンジ信号に基づき、自動変速機TMの設定レンジを設定する。ATCU10は、自動変速機TMの設定レンジに応じて、次に説明するように制御指令値をコントロールバルブ部31に出力する。
【0026】
自動変速機TMのレンジをDレンジに設定した場合、ATCU10は、車速VSP、アクセル開度APOに基づき、変速マップを参照して目標変速段を決定し、目標変速段を達成するための制御指令値をコントロールバルブ部31に出力する。これにより、複数のソレノイドが制御指令値に応じて制御され、複数の締結要素33の作動油圧が調整され、目標変速段が達成される。
【0027】
自動変速機TMの設定レンジをRレンジに設定した場合、ATCU10は、目標変速段を後進段に決定し、目標変速段を達成するための制御指令値をコントロールバルブ部31に出力する。この場合、後進段を達成するように複数のソレノイドが制御される。
【0028】
自動変速機TMの設定レンジをPレンジ又はNレンジに設定した場合、ATCU10は、複数の締結要素33を解放させるための制御指令値をコントロールバルブ部31に出力する。
【0029】
ここで、ATCU10は、設定レンジがPレンジとPレンジ以外のレンジとの間で変更された場合に、パークロック機構32を制御する。これにより、パークロックが実行され、又はパークロック状態が解除される。
【0030】
ECU30は、エンジンコントロールユニットであり、エンジン1を制御する。ECU30は、エンジン1の回転速度NE、スロットル開度TVO等をATCU10に出力する。
【0031】
BCU60は、ブレーキコントロールモジュールであり、ブレーキ装置7によるブレーキ力を制御する。
【0032】
本実施形態では、ATCU10、SCU20、ECU30、及びBCU60によって車両100の制御装置が構成される。なお、車両100の制御装置は、他のコントロールユニットを有していてもよい。また、各コントロールユニットの機能分担を適宜変更してもよいし、いくつかの機能を統合した統合コントロールユニットを設けてもよい。
【0033】
各コントロールユニットは、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インターフェース(I/Oインターフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成することが可能である。各コントロールユニットをそれぞれ複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。
【0034】
ところで、パークロック機構32のロック解除に要する時間は、パークロック機構32の係合爪とパークギヤとの噛合負荷に応じて変化する。例えば、坂道停車中や、車両100がボート等を牽引しているトーイング中においては、係合爪とパークギヤとの噛合負荷が大きくなるので、パークロック機構32のロック解除に遅れが生じることがある。
【0035】
このような状態では、運転者がシフター6をPレンジからDレンジに操作した際に、締結要素33が締結されるタイミングとパークロックOFFになるタイミングとを合わせることが難しく、締結要素33が先に締結されると、パークロック機構32にかかる負荷がさらに大きくなるという問題がある
【0036】
このため、本実施形態のATCU10は、シフター6がPレンジからDレンジに操作された場合に、図2のフローチャートに示すトルク制限制御を実行することで、パークロックOFFになる前に締結要素33が締結されたとしても、パークロック機構32にかかる負荷を抑制できるようにしている。
【0037】
以下、ATCU10が実行するトルク制限制御の内容について、図2を参照しながら詳しく説明する。
【0038】
ATCU10は、選択レンジがPレンジからDレンジに変更されると、発進処理を開始する(ステップS11)。
【0039】
発進処理では、ATCU10は、パークロック機構32のロックを解除するための信号をアクチュエータ32aに出力する。また、複数の締結要素33のうち、車両100の発進時に締結される締結要素33を締結するための制御指令値をコントロールバルブ部31に出力する。
【0040】
ステップS12では、ATCU10は、エンジン1のトルク制限を開始する。具体的には、ATCU10は、エンジン1のトルクを制限するための信号をECU30に出力する。
【0041】
これにより、エンジン1のトルクが、例えば、車両100が発進する際の移動量が所謂クリープ現象により走行する程度となるように制限される。
【0042】
ステップS13では、ATCU10は、パークロックONか判定する。
【0043】
ステップS13の判定は、パークロッド32bの位置を検出するパーキングポジションセンサ13からの信号に基づいて行われる。
【0044】
ATCU10は、パークロックONと判定すると、処理をステップS14に移行する。また、パークロックOFFと判定すると、処理をステップS19に移行する。
【0045】
ステップS14では、ATCU10は、車両100の発進時に締結される締結要素33に供給される油圧Psが締結圧以上になったか、つまり、車両100の発進時に締結される締結要素33の締結が完了したか判定する。
【0046】
ステップS14の判定は、油圧Psを検出する油圧センサ(図示せず)からの信号に基づいて行われる。
【0047】
ATCU10は、油圧Psが締結圧以上になったと判定すると、処理をステップS15に移行する。また、油圧Psが締結圧以上になっていないと判定すると、ステップS14の処理を繰り返し行う。
【0048】
ステップS15では、ATCU10は、エンジン1のトルク制限を継続する。
【0049】
ステップS16では、ATCU10は、内蔵されたカウンタをインクリメントする。
【0050】
ステップS17では、ATCU10は、カウンタのカウント数が所定値以上になったか判定する。
【0051】
ATCU10は、カウント数が所定値以上になったと判定すると、処理をステップS18に移行する。また、カウント数が所定値以上になっていないと判定すると、処理をステップS13に移行する。
【0052】
カウント数が所定値以上になったということは、パークロック機構32のロックを解除するための信号をアクチュエータ32aに出力しているにも関わらず、パークロックONの状態が所定時間継続しているということである。この場合は、ロック解除に遅れが発生しているのではなく、何らかの故障等によりパークロック機構32によるロックが解除されない状態になっている可能性がある。
【0053】
このため、ATCU10は、カウント数が所定値以上になった場合(パークロック機構32によるロックが解除されない状態が所定時間継続した場合)は、パークロック機構32をロック状態にするための信号をアクチュエータ32aに出力してパークロックONの状態を継続させる。
【0054】
ステップS19では、ATCU10は、アクセルONか判定する。
【0055】
ATCU10は、アクセルONと判定すると、処理をステップS21に移行する。また、アクセルONでない(アクセルOFF)と判定すると、処理をステップS20に移行する。
【0056】
アクセルOFFの場合は、運転者が車両100を加速させる意図を有していないと考えられる。よって、この場合は、ATCU10は、エンジン1のトルク制限を継続し(ステップS20)、処理をステップS19に移行する。
【0057】
ステップS21では、ATCU10は、エンジン1のトルクを漸増させる。具体的には、ATCU10は、エンジン1のトルクを漸増させるための信号をECU30に出力する。これにより、エンジン1のトルクが徐々に上昇する。
【0058】
つまり、ATCU10は、エンジン1のトルクを、アクセル開度APOに関わらず、所定の傾きより小さな傾きで漸増させる。一方、トルク制限を行っていない場合で且つアクセル開度APOが所定以上の場合は、前記所定の傾きより大きな傾きでエンジン1のトルクが増加することになる。
【0059】
以上述べたように、本実施形態では、シフター6がPレンジからDレンジに操作された場合に、パークロック機構32によるロックの解除及び締結要素33の締結が完了するまで、エンジン1のトルクが制限される。
【0060】
このため、パークロックOFFになる前に車両100の発進時に締結される締結要素33が締結されたとしても、パークロック機構32にかかる負荷を抑制できる。
【0061】
また、パークロック機構32によるロックが解除されなければ、運転者がアクセルを踏み込んでも車両100は発進しない。このため、パークロック機構32のロック解除に遅れが生じると、ロックが解除される前に運転者がさらにアクセルを踏み込んでしまうことが考えられる。
【0062】
このような場合は、パークロック機構32によるロックの解除及び締結要素33の締結が完了した後すぐにアクセル開度APOに応じてエンジン1のトルクを上昇させると、車両100が急発進する可能性がある。
【0063】
これに対して、本実施形態では、パークロック機構32によるロックの解除及び締結要素33の締結が完了した後は、アクセルONであってもエンジン1のトルクを漸増させるようになっている。
【0064】
よって、パークロック機構32のロック解除に遅れが生じて運転者がアクセルを大きく踏み込んだ状態でパークロックOFFになったとしても、車両100が急発進することを防止できる。
【0065】
続いて、図3のタイムチャートを参照しながら、車両100が発進する様子について説明する。図3では、パークロック機構32のロック解除が時刻t4まで遅れている。なお、車速VSP(点線)は、トルク制限制御を行わない場合の車速VSPの変化を比較例として示したものであり、エンジントルク(点線)も同様である。
【0066】
時刻t1で設定レンジがPレンジからDレンジに変更されると、トルク制限によりエンジン1のトルクが低下する。また、発進時に締結される締結要素33に供給される油圧Psが上昇する。ATCU10は、パークロック機構32のロックを解除するための信号をこの時点でアクチュエータ32aに出力する。
【0067】
時刻t2では、油圧Psが締結圧になり、締結要素33の締結が完了する。
【0068】
時刻t3では、運転者がアクセルを踏み込むことでアクセル開度APOが増加する。しかしながら、この時点ではパークロックONの状態であり、車両100は発進しない(車速VSP=0)。図3では、その後も運転者がアクセルをさらに踏み込むことで、アクセル開度APOがさらに増加している。
【0069】
そして、時刻t4でパークロックOFFになり、車両100が発進する。
【0070】
本実施形態では、上述したように、パークロック機構32によるロックの解除及び締結要素33の締結が完了した後は、アクセルONであってもエンジン1のトルクを漸増させるようになっている。
【0071】
このため、時刻t4以降は、エンジントルクが漸増し、これに応じて車速VSPが徐々に高くなる。つまり、車両100が急発進しないようになっている。
【0072】
一方、本実施形態のトルク制限制御を行わない場合は、時刻t2で油圧Psが締結圧になると、パークロックONの状態であってもエンジン1のトルク制限が解除される。
【0073】
この場合は、時刻t2から時刻t4までの間、特に、アクセル開度APOに応じてエンジン1のトルクが上昇する時刻t3から時刻t4の間は、パークロック機構32にかかる負荷が大きくなる。
【0074】
また、時刻t3以降では、アクセル開度APOに応じてエンジン1のトルクが上昇することから、時刻t4でパークロックOFFになると、車両100が急発進することになる。
【0075】
なお、時刻t4以降に一点鎖線で示すエンジントルクは、時刻t4以降にトルクを漸増させる処理を行わない場合、つまり、時刻t4でトルク制限を完全に解除した場合のエンジントルクの変化を示している。
【0076】
このように、時刻t4でエンジン1のトルク制限を解除した場合でも、時刻t4でパークロックOFFになった時点でのトルクは制限されているので、車両100が急発進することを防止できる。
【0077】
以上述べたように、本実施形態のATCU10は、PレンジからDレンジへの変更指示があった場合に、パークロック機構32によるロックの解除及び発進時に締結される締結要素33の締結が完了するまで、エンジン1のトルクを制限する。
【0078】
これによれば、エンジン1のトルクが制限されているので、パークロックONの状態で締結要素33が先に締結されたとしても、パークロック機構32にかかる負荷を抑制できる。また、パークロック機構32のロック解除に遅れが生じた場合でも、車両100が急発進することを防止できる。
【0079】
また、ATCU10は、パークロック機構32によるロックの解除及び締結要素33の締結の完了後において、アクセルONの場合は、エンジン1のトルクを漸増させる。
【0080】
これによれば、パークロック機構32のロック解除の遅れが生じた場合でも、車両100が急発進することを防止できる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0082】
例えば、上記実施形態では、運転者がシフター6をPレンジからDレンジに操作した場合に対して本発明を適用している。しかしながら、運転者がシフター6をPレンジからRレンジに操作した場合に対して本発明を適用してもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、パークロック機構32によるロックが解除されない状態が所定時間継続したか否かを、パークロックONの判定回数(カウント数)により判定しているが(図2参照)、所定時間継続したか否かの判定方法は、この方法に限られない。
【0084】
また、自動変速機TMを構成する変速機構3は、有段変速機構である必要はなく、無段変速機構であってもよい。
【0085】
本願は2016年11月10日に日本国特許庁に出願された特願2016−219872に基づく優先権を主張し、この出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3