特許第6594604号(P6594604)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎総業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6594604-ヘッドアップディスプレイ装置 図000002
  • 特許6594604-ヘッドアップディスプレイ装置 図000003
  • 特許6594604-ヘッドアップディスプレイ装置 図000004
  • 特許6594604-ヘッドアップディスプレイ装置 図000005
  • 特許6594604-ヘッドアップディスプレイ装置 図000006
  • 特許6594604-ヘッドアップディスプレイ装置 図000007
  • 特許6594604-ヘッドアップディスプレイ装置 図000008
  • 特許6594604-ヘッドアップディスプレイ装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594604
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20191010BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20191010BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   G02B27/01
   B60K35/00 A
   H04N5/66 Z
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-193300(P2013-193300)
(22)【出願日】2013年9月18日
(65)【公開番号】特開2015-60054(P2015-60054A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年8月8日
【審判番号】不服2018-1537(P2018-1537/J1)
【審判請求日】2018年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】三上 博文
(72)【発明者】
【氏名】安藤 正明
(72)【発明者】
【氏名】新宮 祐二
【合議体】
【審判長】 瀬川 勝久
【審判官】 近藤 幸浩
【審判官】 星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−254707(JP,A)
【文献】 特開2005−199834(JP,A)
【文献】 特開2012−61987(JP,A)
【文献】 特開平9−315182(JP,A)
【文献】 実開平5−2289(JP,U)
【文献】 実開平4−10378(JP,U)
【文献】 実開昭63−145726(JP,U)
【文献】 米国特許第4854632(US,A)
【文献】 特開2013−120094(JP,A)
【文献】 特開平6−202035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B27/01 - 27/02
B60K35/00
H04N5/66
G09G3/20
H05K5/00 - 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示器と、前記表示器から射出される表示光が入射するとともに虚像を表示するコンバイナと、前記コンバイナを移動させるコンバイナ駆動機構と、上面に開口部が形成されるとともに前記表示器が収容される筺体と、前記開口部を塞ぐためのシャッタ機構と、前記筺体に収容されるライトバッフルと、前記ライトバッフルを回動させるライトバッフル回動用のモータとを備え、
前記コンバイナは、前記開口部から前記コンバイナが突出するように立ち上る立上位置と、前記筺体の内部に前記コンバイナが収容される収容位置との間で移動可能となっており、
前記コンバイナ駆動機構は、コンバイナ駆動用のモータを備えるとともに、前記立上位置と前記収容位置との間で前記コンバイナを移動させ、
前記シャッタ機構は、ベルトと、前記ベルトをその長手方向へ移動させるベルト駆動機構と、前記開口部を塞ぐ複数のシャッタ板とを備え、
複数の前記シャッタ板は、前記ベルトの長手方向に直交する方向を長手方向とする略長方形の板状に形成され、前記ベルトの長手方向において互いに隣り合うように前記ベルトに固定され、
前記表示器は、前記筐体の内部の下面側に固定され、
前記ライトバッフルは、前記立上位置にある前記コンバイナの下側に配置されるとともに、前記コンバイナが前記立上位置にあるときに前記コンバイナと前記表示器との間に配置され、
前記ベルトの移動に連動して、前記コンバイナ駆動用のモータが回転して前記立上位置と前記収容位置との間で前記コンバイナを移動させるとともに、前記ライトバッフル回動用のモータが回転して前記ライトバッフルを回動させることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
前記シャッタ機構は、前記筺体の内部の、前記ベルトの長手方向に直交する方向における両端側に配置される2個の前記ベルトを備え、
前記ベルトは、環状に形成される無端ベルトであり、
前記シャッタ板の長手方向における両端側のそれぞれが2個の前記ベルトのそれぞれに固定されていることを特徴とする請求項1記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
前記ベルト駆動機構は、前記ベルトが架け渡される3個以上のプーリを備えることを特徴とする請求項2記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項4】
複数の前記シャッタ板が前記開口部を塞いでいるときに、前記ベルトの長手方向において互いに隣り合う前記シャッタ板同士は密着していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイナを用いて情報を表示するヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバイナを用いて情報を表示するヘッドアップディスプレイ装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のヘッドアップディスプレイ装置は、上面に開口部を有する中空状の本体と、本体内に収容される表示器と、本体の上面から突出するように立ち上る位置と本体内に収容される位置との間で移動可能なコンバイナと、本体の開口部を塞ぐ蓋体とを備えている。蓋体は、開口部の後方側の半分を塞ぐ第1蓋部と、開口部の前方側の半分を塞ぐ第2蓋部とによって構成されている。
【0003】
特許文献1に記載のヘッドアップディスプレイ装置では、第1蓋部は、第1蓋部の幅方向の両側に配置される一対の第1アーム部を備えている。第1アーム部は、本体の後方側に配置される軸を中心に回動可能となっている。第1蓋部が開口部の後方側の半分を塞いでいる状態で、第1アーム部がこの軸を中心に回動して第1蓋部が本体の後方側へ移動すると、開口部の後方側の半分が開放される。また、第2蓋部も、第2蓋部の幅方向の両側に配置される一対の第2アーム部を備えており、第2アーム部は、本体の前方側に配置される軸を中心に回動可能となっている。第2蓋部が開口部の前方側の半分を塞いでいる状態で、第2アーム部がこの軸を中心に回動して第2蓋部が本体の前方側へ移動すると、開口部の前方側の半分が開放される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−254707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のヘッドアップディスプレイ装置では、第1蓋部と第2蓋部との2個の蓋部によって本体の開口部を塞ぐ蓋体が構成されている。また、このヘッドアップディスプレイ装置では、第1蓋部に一対の第1アーム部が形成され、第2蓋部に一対の第2アーム部が形成されている。そのため、このヘッドアップディスプレイ装置では、第1蓋部および第2蓋部の大きさが大きくなる。したがって、このヘッドアップディスプレイ装置では、開口部の後方側の半分を開放しているときに本体の後方側に配置される第1蓋部の配置スペースとして大きなスペースが必要になるとともに、開口部の前方側の半分を開放しているときに本体の前方側に配置される第2蓋部の配置スペースとして大きなスペースが必要になる。その結果、このヘッドアップディスプレイ装置では、装置が大型化する。
【0006】
そこで、本発明の課題は、筺体に形成される開口部を塞ぐシャッタ機構が設置されていても、装置を小型化することが可能なヘッドアップディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のヘッドアップディスプレイ装置は、表示器と、表示器から射出される表示光が入射するとともに虚像を表示するコンバイナと、コンバイナを移動させるコンバイナ駆動機構と、上面に開口部が形成されるとともに表示器が収容される筺体と、開口部を塞ぐためのシャッタ機構と、筺体に収容されるライトバッフルと、ライトバッフルを回動させるライトバッフル回動用のモータとを備え、コンバイナは、開口部からコンバイナが突出するように立ち上る立上位置と、筺体の内部にコンバイナが収容される収容位置との間で移動可能となっており、コンバイナ駆動機構は、コンバイナ駆動用のモータを備えるとともに、立上位置と収容位置との間でコンバイナを移動させ、シャッタ機構は、ベルトと、ベルトをその長手方向へ移動させるベルト駆動機構と、開口部を塞ぐ複数のシャッタ板とを備え、複数のシャッタ板は、ベルトの長手方向に直交する方向を長手方向とする略長方形の板状に形成され、ベルトの長手方向において互いに隣り合うようにベルトに固定され、表示器は、筐体の内部の下面側に固定され、ライトバッフルは、立上位置にあるコンバイナの下側に配置されるとともに、コンバイナが立上位置にあるときにコンバイナと表示器との間に配置され、ベルトの移動に連動して、コンバイナ駆動用のモータが回転して立上位置と収容位置との間でコンバイナを移動させるとともに、ライトバッフル回動用のモータが回転してライトバッフルを回動させることを特徴とする。
【0008】
本発明のヘッドアップディスプレイ装置では、筺体の上面に形成される開口部を塞ぐためのシャッタ機構は、ベルトと、開口部を塞ぐ複数のシャッタ板とを備えている。また、本発明では、複数のシャッタ板は、ベルトの長手方向に直交する方向を長手方向とする略長方形の板状に形成され、ベルトの長手方向において互いに隣り合うようにベルトに固定されている。そのため、本発明では、シャッタ板の短手方向の幅を所定の幅に設定することで、個々のシャッタ板と筺体との干渉を防止しつつ、ベルトを用いて個々のシャッタ板を筺体内の狭いスペースへ移動させて、この狭いスペースに複数のシャッタ板を収容することが可能になる。したがって、本発明では、筺体の上面に形成される開口部を塞ぐシャッタ機構がヘッドアップディスプレイ装置に設置されていても、ヘッドアップディスプレイ装置を小型化することが可能になる。また、本発明では、筺体の内部へ複数のシャッタ板を収容することが可能になるため、シャッタ板が開口部を開放している際のヘッドアップディスプレイ装置の見栄えが良くなる。
【0009】
本発明において、シャッタ機構は、筺体の内部の、ベルトの長手方向に直交する方向における両端側に配置される2個のベルトを備え、ベルトは、環状に形成される無端ベルトであり、シャッタ板の長手方向における両端側のそれぞれが2個のベルトのそれぞれに固定されていることが好ましい。このように構成すると、ベルトを用いて筺体内の狭いスペースへシャッタ板を移動させる際のシャッタ板のがたつきを防止することが可能になる。したがって、筺体内の狭いスペースへシャッタ板を円滑に移動させることが可能になる。
【0010】
本発明において、ベルト駆動機構は、ベルトが架け渡される3個以上のプーリを備えることが好ましい。このように構成すると、筺体内のシャッタ板が収容されるスペースが入り組んでいても、この入り組んだスペースに沿ってベルトを配置することが可能になる。したがって、筺体内のシャッタ板の収容スペースが入り組んでいても、この入り組んだスペースにシャッタ板を移動させて収容することが可能になる。
【0012】
発明において、たとえば、複数のシャッタ板が開口部を塞いでいるときに、ベルトの長手方向において互いに隣り合うシャッタ板同士は密着している。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明では、筺体に形成される開口部を塞ぐシャッタ機構がヘッドアップディスプレイ装置に設置されていても、ヘッドアップディスプレイ装置を小型化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態にかかるヘッドアップディスプレイ装置の斜視図であり、(A)はコンバイナが立ち上がっている状態を示す図、(B)はコンバイナが筺体に収容されている状態を示す図である。
図2図1に示すヘッドアップディスプレイ装置の内部構造を説明するための側面図である。
図3図2に示すヘッドアップディスプレイ装置の主要部分の斜視図である。
図4図3に示すヘッドアップディスプレイ装置の主要部分を別方向から示す斜視図である。
図5図3に示すベルト、プーリおよびシャッタ板を抜き出して示す斜視図である。
図6図2に示すコンバイナが立上位置と収容位置との間を移動する際の、ヘッドアップディスプレイ装置の状態を説明するための側面図である。
図7図2に示すコンバイナが立上位置と収容位置との間を移動する際の、ヘッドアップディスプレイ装置の状態を説明するための側面図である。
図8図2に示すコンバイナが収容位置にあるときのヘッドアップディスプレイ装置の状態を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
(ヘッドアップディスプレイ装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるヘッドアップディスプレイ装置1の斜視図であり、(A)はコンバイナ2が立ち上がっている状態を示す図、(B)はコンバイナ2が筺体8に収容されている状態を示す図である。図2は、図1に示すヘッドアップディスプレイ装置1の内部構造を説明するための側面図である。図3は、図2に示すヘッドアップディスプレイ装置1の主要部分の斜視図である。図4は、図3に示すヘッドアップディスプレイ装置1の主要部分を別方向から示す斜視図である。図5は、図3に示すベルト35、36、プーリ39〜50およびシャッタ板38を抜き出して示す斜視図である。
【0017】
なお、以下の説明では、図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を「左右方向」、Y方向を「前後方向」、Z方向を「上下方向」とする。また、X1方向側を「右」側、X2方向側を「左」側、Y1方向側を「後(後ろ)」側、Y2方向側を「前」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0018】
本形態のヘッドアップディスプレイ装置1(以下、「HUD装置1」とする)は、コンバイナ2を用いて、運転者に対して情報を表示するための装置であり、たとえば、自動車のインストルメントパネル(ダッシュボード)に形成される凹部に埋め込まれるように設置されて使用される。本形態では、後ろ側(Y1方向側)は、自動車の前方側であり、前側(Y2方向側)は、運転者側である。
【0019】
HUD装置1は、コンバイナ2に加えて、図2に示すように、表示器3と、反射ミラー4と、レンズ5と、ライトバッフル6とを備えている。表示器3、反射ミラー4、レンズ5およびライトバッフル6は、筺体8に収容されている。また、筺体8の上面には、開口部8aが形成されており、HUD装置1は、開口部8aを塞ぐためのシャッタ機構10を備えている。さらに、コンバイナ2は、開口部8aからコンバイナ2が突出するように立ち上る立上位置2A(図2参照)と、筺体8にコンバイナ2が収容される収容位置2B(図8参照)との間で移動可能となっており、HUD装置1は、立上位置2Aと収容位置2Bとの間でコンバイナ2を移動させるコンバイナ駆動機構11を備えている。また、HUD装置1は、立上位置2Aにあるコンバイナ2の角度を調整するための角度調整機構12を備えている。
【0020】
筺体8は、上下方向に分割される上筺体15と下筺体16とから構成されている。開口部8aは、上筺体15の上面部分を貫通するように形成されている。この開口部8aは、略長方形状に形成されている。具体的には、開口部8aは、左右方向を長手方向とし、前後方向を短手方向とする略長方形状に形成されている。
【0021】
表示器3は、たとえば、液晶表示器であり、HUD装置1の使用時に光(表示光)を射出する。この表示器3は、筺体8の内部の下面側かつ後面側に固定されており、前方に向かって表示光を射出する。反射ミラー4は、筺体8の内部の下面側かつ前面側に固定されている。この反射ミラー4は、表示器3から射出された光を斜め後ろ上方に反射する。
【0022】
レンズ5は、反射ミラー4で反射された光が通過する位置に設置されている。すなわち、レンズ5は、筺体8の内部の、反射ミラー4の斜め後ろ上側に固定されている。また、レンズ5は、上側に向かうにしたがって前側へ傾斜するように設置されている。HUD装置1の使用時には、レンズ5によって、コンバイナ2に虚像が結像される。
【0023】
ライトバッフル6は、左右方向を長手方向とする略長方形の平板状に形成されている。ライトバッフル6の短手方向における一端には、左右方向を軸方向として配置される回転軸(図示省略)が固定されている。この回転軸は、筺体8の内部の右端側に固定される右側板(図示省略)と、筺体8の内部の左端側に固定される左側板(図示省略)とに回転可能に支持されている。また、回転軸は、レンズ5の下端の斜め後ろ上側に配置されている。
【0024】
この回転軸には、カップリング18を介してモータ19が連結されている。モータ19は、ステッピングモータである。ライトバッフル6は、モータ19の動力で回転軸を中心に回動する。本形態では、コンバイナ2が立上位置2Aにあるときには、ライトバッフル6は、図2に示すように、コンバイナ2の下側に配置されている。また、このときには、ライトバッフル6は、上側に向かうにしたがって後ろ側へ傾斜している。一方、コンバイナ2が収容位置2Bにあるときには、ライトバッフル6は、レンズ5と略平行に配置されている。なお、モータ19は、ステッピングモータ以外のモータであっても良い。
【0025】
コンバイナ2は、全体として左右方向を長手方向とする略長方形の曲板状に形成されている。また、コンバイナ2は、立上位置2Aにコンバイナ2があるときに運転者側を向く表示面2aが凹曲面となる曲板状に形成されている。表示面2aが形成される表示部は、たとえば、ハーフミラーによって構成されている。立上位置2Aにあるコンバイナ2には、表示器3からの表示光が反射ミラー4およびレンズ5を介して入射する。また、立上位置2Aにあるコンバイナ2は、表示器3からの表示光に基づく虚像を表示する。自動車の運転者は、コンバイナ2に表示される虚像を自動車の前方の景色と重ねて視認することができる。
【0026】
コンバイナ駆動機構11は、コンバイナ2の左下端に連結されている。このコンバイナ駆動機構11は、図4に示すように、メネジが形成されるメネジ部22aを有する連結部材22と、連結部材22に形成されるメネジに係合するリードスクリュー23と、リードスクリュー23の一端が連結されるモータ24と、リードスクリュー23の軸方向へ連結部材22を案内するガイド軸25とを備えている。モータ24は、ステッピングモータである。モータ24およびガイド軸25は、ブラケット26に固定されている。また、リードスクリュー23の他端側は、ブラケット26に回転可能に支持されている。ブラケット26は、筺体8に固定される左側板に固定されている。なお、モータ24は、ステッピングモータ以外のモータであっても良い。
【0027】
連結部材22は、メネジ部22aに加えて、メネジ部22aから斜め後ろ上方に向かって立ち上る連結部22bを備えている(図4参照)。メネジ部22aには、メネジに加えて、ガイド軸25が挿通される貫通孔が形成されている。連結部22bの上端側には、左右方向に貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔には、コンバイナ2の左下端に固定される固定軸27が挿通されている。固定軸27は、左右方向を軸方向としてコンバイナ2の左下端に固定されており、コンバイナ2から左側へ突出している。この固定軸27は、連結部22bに対して相対回動可能となっている。なお、固定軸27は、コンバイナ2と一体で形成されても良い。
【0028】
リードスクリュー23およびガイド軸25は、その軸方向が上側に向かうにしたがって前側へ緩やかに傾斜するように設置されている。また、リードスクリュー23とガイド軸25とは、左右方向と隣り合うように設置されている。モータ24が回転してリードスクリュー23が回転すると、連結部材22がリードスクリュー23およびガイド軸25に沿って移動する。連結部材22がリードスクリュー23およびガイド軸25に沿って移動すると、連結部22bの貫通孔に挿通された固定軸27と一緒にコンバイナ2が移動する。なお、連結部材22がリードスクリュー23およびガイド軸25に沿って移動するときには、角度調整機構12を構成する後述のモータ30が回転して、固定軸27を中心にコンバイナ2が連結部22bに対して相対回動する。
【0029】
本形態では、立上位置2Aにあるときのコンバイナ2は、上側に向かうにしたがって前側へ傾斜するように配置されている(図2参照)。また、収容位置2Bにあるときのコンバイナ2は、立上位置2Aにあるときのコンバイナ2よりも前側へ倒れた状態となっており、上側に向かうにしたがって前側へ緩やかに傾斜するように配置されている(図8参照)。また、本形態では、立上位置2Aにコンバイナ2があるときに、連結部材22のメネジ部22aは、リードスクリュー23およびガイド軸25の斜め前上側に係合しており、この状態からモータ24の動力によって、連結部材22がリードスクリュー23およびガイド軸25に沿って斜め後ろ下方へ移動すると、立上位置2Aにあるコンバイナ2が収容位置2Bへ移動する。また、収容位置2Bにコンバイナ2があるときに、メネジ部22aは、リードスクリュー23およびガイド軸25の斜め後ろ下側に係合しており、この状態からモータ24の動力によって、連結部材22がリードスクリュー23およびガイド軸25に沿って斜め前上方へ移動すると、収容位置2Bにあるコンバイナ2が立上位置2Aへ移動する。
【0030】
このように、コンバイナ2は、モータ24の動力で、立上位置2Aと収容位置2Bとの間を移動する。なお、本形態のHUD装置1は、立上位置2Aと収容位置2Bとの間でコンバイナ2を案内するためのガイド部材(図示省略)を備えている。
【0031】
角度調整機構12は、コンバイナ2の右下端に連結されている。この角度調整機構12は、モータ30を備えている。モータ30は、ステッピングモータである。このモータ30は、ブラケット31に固定されている。また、モータ30は、歯車列を介して、コンバイナ2の右下端に固定される固定軸32(図2参照)に連結されている。固定軸32は、左右方向を軸方向としてコンバイナ2の右下端に固定されており、コンバイナ2から右側へ突出している。また、固定軸32は、コンバイナ2の左下端に固定される固定軸27と同軸上に配置されている。固定軸32の右端側は、ブラケット31に相対回動可能に取り付けられている。モータ30が回転すると、固定軸32と一緒にコンバイナ2が回動して、立上位置2Aにあるコンバイナ2の角度が調整される。なお、上述のように、連結部材22がリードスクリュー23およびガイド軸25に沿って移動するときにも、モータ30が回転する。また、固定軸32は、コンバイナ2と一体で形成されても良い。また、モータ30は、ステッピングモータ以外のモータであっても良い。
【0032】
シャッタ機構10は、ベルト35、36と、ベルト35、36をその長手方向へ移動させるベルト駆動機構37と、開口部8aを塞ぐ複数のシャッタ板38とを備えている。本形態のシャッタ機構10は、2個のベルト35、36を備えている。また、シャッタ機構10は、たとえば、8枚のシャッタ板38を備えている。ベルト35、36およびベルト駆動機構37は、筺体8の内部に収容されている。
【0033】
ベルト35、36は、環状に形成される無端ベルトである。また、ベルト35、36は、歯付きベルトであり、ベルト35、36の一方の面には、複数の歯が形成されている。ベルト35は、筺体8の内部の右端側に配置され、ベルト36は、筺体8の内部の左端側に配置されている。また、ベルト35、36は、筺体8の開口部8aよりも左右方向の外側に配置されている。
【0034】
ベルト駆動機構37は、ベルト35が架け渡される複数のプーリ39〜44と、ベルト36が架け渡される複数のプーリ45〜50と、モータ53と、モータ53の動力をベルト35、36に伝達するための歯車列54とを備えている。本形態では、6個のプーリ39〜44にベルト35が架け渡され、6個のプーリ45〜50にベルト36が架け渡されている。
【0035】
プーリ39〜50は、左右方向を回転の軸方向として回転するように配置されている。プーリ39、45は、筺体8の内部の前上面側に配置されている。プーリ40、46は、プーリ39、45の斜め後ろ上側に配置されている。プーリ42、48は、筺体8の内部の後ろ上面側に配置されている。プーリ41、47は、プーリ42、48の斜め前上側に配置されている。プーリ43、49は、前後方向においてプーリ39、45とプーリ42、48との間に配置されている。プーリ44、50は、プーリ43、49の略下側に配置されている。
【0036】
プーリ39、45は、左右方向を軸方向として配置される回転軸55の両端側のそれぞれに固定されている。回転軸55の両端側は、筺体8の内部に固定される右側板および左側板のそれぞれに回転可能に支持されている。プーリ41、47は、左右方向を軸方向として配置される回転軸56の両端側のそれぞれに固定されている。回転軸56の両端側は、筺体8の内部に固定される右側板および左側板のそれぞれに回転可能に支持されている。プーリ40、42、44は、筺体8の内部の右側板に左右方向を軸方向として固定される固定軸57に回転可能に支持され、プーリ46、48、50は、筺体8の内部の左側板に左右方向を軸方向として固定される固定軸58に回転可能に支持されている。プーリ43、49は、固定軸59に回転可能に支持されている。固定軸59は、ベルト35、36の張力を調整するための張力調整機構(図示省略)に連結されている。
【0037】
ベルト35は、プーリ39〜44にこの順番で架け渡されている。ベルト36は、プーリ45〜50にこの順番で架け渡されている。また、ベルト35は、複数の歯が形成された一方の面が内周側を向くように、プーリ39〜44に架け渡され、ベルト36は、複数の歯が形成された一方の面が内周側を向くように、プーリ45〜50に架け渡されている。プーリ39〜42、44〜48、50は、外周面に歯が形成された歯付きプーリであり、プーリ39〜42、44〜48、50の外周面には、ベルト35、36の一方の面が接触している。一方、プーリ43、49は、外周面に歯が形成されていない平ベルト用のプーリであり、プーリ43、49の外周面には、ベルト35、36の他方の面が接触している。
【0038】
モータ53は、ステッピングモータである。このモータ53は、筺体8の内部に固定される左側板に固定されている。歯車列54は、減速歯車列であり、図3に示すように、プーリ45の右側で回転軸55に固定される歯車62を備えている。歯車列54を構成する他の歯車は、モータ53と歯車62とを連結している。モータ53が回転すると、歯車列54を介してモータ53の動力が回転軸55に伝達されて、プーリ39、45が回転する。プーリ39、45が回転すると、ベルト35、36も回転する。すなわち、プーリ39、45が回転すると、ベルト35、36は、その長手方向へ移動する。また、プーリ39、45が回転すると、残りのプーリ40〜44、46〜50も回転する。なお、モータ53は、ステッピングモータ以外のモータであっても良い。また、本形態では、左右方向は、ベルト35、36の移動方向(すなわち、ベルト35、36の長手方向)に直交する方向である。
【0039】
シャッタ板38は、左右方向を長手方向とする略長方形の平板状に形成されている。シャッタ板38の左右方向の両端には、図5に示すように、左右方向の外側へ突出する突起38aが形成されている。突起38aは、ベルト35、36の他方の面(歯が形成されていない面)に固定されるシャッタ固定部材64に固定されている。すなわち、シャッタ板38の左右方向の両端側のそれぞれは、2個のベルト35、36のそれぞれに固定されている。なお、シャッタ固定部材64は、ベルト35、36と一体で形成されても良い。
【0040】
また、8枚のシャッタ部材38は、ベルト35、36の長手方向において互いに隣り合うようにベルト35、36に固定されている。具体的には、図1(B)に示すように、8枚のシャッタ板38が開口部8aを隙間なく塞ぐように、8枚のシャッタ部材38は、ベルト35、36の長手方向において互いに隣り合うようにベルト35、36に固定されている。すなわち、8枚のシャッタ板38が開口部8aを塞いでいるときに、ベルト35、36の長手方向において互いに隣り合うシャッタ板38同士が密着するように、8枚のシャッタ部材38は、ベルト35、36の長手方向において互いに隣り合うようにベルト35、36に固定されている。
【0041】
8枚のシャッタ板38は、開口部8aが開放されているときには、筺体8の内部に収容されている。シャッタ板38の短手方向の幅は、筺体8内に収容されるシャッタ板38が筺体8と干渉しないように設定されている。本形態では、8枚のシャッタ板38は、開口部8aが開放されているときに、筺体8の内部の後面側に収容されている。具体的には、開口部8aが開放されているときには、8枚のシャッタ板38が開口部8aを塞いでいる状態で最も前側に配置されるシャッタ板38は、図2に示すように、プーリ41、47の外周面に沿うようにプーリ41、47の上端側に配置され、このシャッタ板38と隣り合う3枚のシャッタ板38は、プーリ41、47とプーリ42、48との間に互いに密着するように配置され、この3枚のシャッタ板38と隣り合う2枚のシャッタ板38は、プーリ42、48の外周面に沿うようにプーリ42、48の後端側および下端側のそれぞれに配置され、残りの2枚のシャッタ板38は、プーリ42、48とプーリ43、49との間に互いに密着するように配置されている。なお、本形態では、8枚のシャッタ板38が開口部8aを塞いでいる状態で最も前側に配置されるシャッタ板38の、ベルト35、36の長手方向における幅は、他のシャッタ板38の、ベルト35、36の長手方向における幅よりも広くなっている。
【0042】
(ヘッドアップディスプレイ装置の動作)
図6図7は、図2に示すコンバイナ2が立上位置2Aと収容位置2Bとの間を移動する際の、ヘッドアップディスプレイ装置1の状態を説明するための側面図である。図8は、図2に示すコンバイナ2が収容位置2Bにあるときのヘッドアップディスプレイ装置1の状態を説明するための側面図である。なお、以下の説明では、図2の時計回りの方向を「時計方向」とし、図2の反時計回りの方向を「反時計方向」とする。
【0043】
以上のように構成されたHUD装置1では、コンバイナ2は、シャッタ板38の移動に連動して、立上位置2Aと収容位置2Bとの間を移動する。すなわち、コンバイナ駆動機構11は、ベルト35、36の移動に連動して、立上位置2Aと収容位置2Bとの間で、コンバイナ2を移動させる。具体的には、モータ53の回転に連動するように、モータ24およびモータ30が回転して、立上位置2Aと収容位置2Bとの間でコンバイナ2が移動する。また、ライトバッフル6も、コンバイナ2およびシャッタ板38の移動に連動して回動する。具体的には、モータ24、30、53の回転に連動するように、モータ19が回転する。なお、本形態では、モータ19、24、30、53がステッピングモータであるため、ステッピングモータのシンプルな動作を制御して組み合わせることで、コンバイナ2の動作とシャッタ板38の動作とライトバッフル6の動作とを連動させることができる。
【0044】
コンバイナ2が立上位置2Aにあるときには、8枚のシャッタ板38は、筺体8の開口部8aを開放し、ライトバッフル6は、コンバイナ2の下側に配置されている(図2参照)。また、コンバイナ2が収容位置2Bにあるときには、8枚のシャッタ板38は、開口部8aを塞ぎ、ライトバッフル6は、レンズ5と略平行に配置されている(図8参照)。
【0045】
コンバイナ2が立上位置2Aから収容位置2Bに移動するときには、コンバイナ2、ライトバッフル6およびシャッタ板38は、図2図6図7および図8に示すように順次、移動する。すなわち、コンバイナ2は前側に向かって倒れ、ライトバッフル6は反時計方向へ回動し、ベルト35、36が反時計方向に移動して8枚のシャッタ板38は開口部8aを塞ぐように上側かつ前側へ移動する。
【0046】
また、コンバイナ2が収容位置2Bから立上位置2Aに移動するときには、コンバイナ2、ライトバッフル6およびシャッタ板38は、図8図7図6および図2に示すように順次、移動する。すなわち、コンバイナ2は後ろ側に向かって立ち上り、ライトバッフル6は時計方向へ回動し、ベルト35、36が時計方向に移動して8枚のシャッタ板38が開口部8aを開放するように下側かつ後ろ側へ移動する。
【0047】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、筺体8の上面に形成される開口部8aを塞ぐ複数のシャッタ板38は、左右方向を長手方向とする略長方形の平板状に形成されている。また、本形態では、複数のシャッタ部材38は、ベルト35、36の長手方向において互いに隣り合うようにベルト35、36に固定されている。さらに、本形態では、シャッタ板38の短手方向の幅は、筺体8内に収容されるシャッタ板38が筺体8と干渉しないように設定されている。そのため、本形態では、個々のシャッタ板38と筺体8との干渉を防止しつつ、ベルト35、36を用いて個々のシャッタ板38を筺体8内の狭いスペースへ移動させて、この狭いスペースに複数のシャッタ板38を収容することが可能になる。したがって、本形態では、開口部8aを塞ぐシャッタ機構10がHUD装置1に設置されていても、HUD装置1を小型化することが可能になる。また、本形態では、筺体8の内部へ複数のシャッタ板38を収容することができるため、シャッタ板38が開口部8aを開放している際のHUD装置1の見栄えが良くなる。
【0048】
本形態では、シャッタ板38の左右方向の両端側のそれぞれが、2個のベルト35、36のそれぞれに固定されている。そのため、本形態では、ベルト35、36を用いて筺体8内の狭いスペースへシャッタ板38を移動させる際のシャッタ板38のがたつきを防止することが可能になる。したがって、本形態では、筺体8内の狭いスペースへシャッタ板38を円滑に移動させることが可能になる。
【0049】
本形態では、6個のプーリ39〜44にベルト35が架け渡され、6個のプーリ45〜50にベルト36が架け渡されている。そのため、本形態では、筺体8内のシャッタ板38が収容されるスペースが入り組んでいても、この入り組んだスペースに沿ってベルト35、36を配置することが可能になる。したがって、本形態では、シャッタ板38の収容スペースが入り組んでいても、この入り組んだスペースにシャッタ板38を移動させて収容することが可能になる。
【0050】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0051】
上述した形態では、ベルト35は、6個のプーリ39〜44に架け渡され、ベルト36は、6個のプーリ45〜50に架け渡されている。この他にもたとえば、ベルト35、36は、2個〜5個のプーリに架け渡されても良いし、7個以上のプーリに架け渡されても良い。ただし、筺体8内のシャッタ板38が収容されるスペースが入り組んでいる場合には、ベルト35、36が架け渡されるプーリの数は多い方が好ましい。
【0052】
上述した形態では、シャッタ機構10は、8枚のシャッタ板38を備えているが、シャッタ機構10が備えるシャッタ板38の枚数は、2枚〜7枚であっても良いし、9枚以上であっても良い。ただし、筺体8内のシャッタ板38が収容されるスペースが狭かったり、入り組んでいたりする場合には、シャッタ板38の短手方向の幅が狭くなるように、シャッタ機構10が備えるシャッタ板38の枚数は多い方が好ましい。
【0053】
上述した形態では、ベルト35、36は、無端ベルトであるが、ベルト35、36は、その長手方向に両端部を有する有端ベルトであっても良い。また、上述した形態では、ベルト35、36は、歯付きベルトであるが、ベルト35、36は、平ベルトであっても良い。この場合には、プーリ39〜42、44〜48、50は、外周面に歯が形成されていない平ベルト用のプーリとなる。また、上述した形態では、シャッタ機構10は、2個のベルト35、36を備えているが、シャッタ機構10が備えるベルトの数は、1個であっても良いし、3個以上であっても良い。
【0054】
上述した形態では、コンバイナ2は、シャッタ板38の移動に連動して、立上位置2Aと収容位置2Bとの間を移動する。この他にもたとえば、コンバイナ2は、シャッタ板38が開口部8aを開放した後に、収容位置2Bから立上位置2Aまで移動しても良い。また、シャッタ板38は、コンバイナ2が立上位置2Aから収容位置2Bまで移動した後に開口部8aを塞いでも良い。また、上述した形態では、ライトバッフル6は、コンバイナ2およびシャッタ板38の移動に連動して回動するが、コンバイナ2やシャッタ板38の移動とは別にライトバッフル6が回動しても良い。
【符号の説明】
【0055】
1 HUD装置(ヘッドアップディスプレイ装置)
2 コンバイナ
2A 立上位置
2B 収容位置
3 表示器
6 ライトバッフル
8 筺体
8a 開口部
10 シャッタ機構
11 コンバイナ駆動機構
19 モータ
35、36 ベルト
37 ベルト駆動機構
38 シャッタ板
39〜50 プーリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8