(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ストリップライン伝送線路のまわりに実現される誘電体をさらに備え、前記誘電体は誘電率を有し、各ストリップライン伝送線路は、前記誘電体の前記誘電率の平方根分の1に比例する物理的な長さを有する、請求項10に記載のサーキュレータ。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
要約
多数の実現例に従うと、本開示は、十二面体部位、八面体部位、および四面体部位を含む構造を有する材料に関する。ビスマス(Bi)が十二面体部位の少なくともいくつかを占め、アルミニウム(Al)が四面体部位の少なくともいくつかを占める。
【0005】
いくつかの実施の形態では、八面体部位は実質的にアルミニウムを含まないものであり得る。いくつかの実施の形態では、材料は、少なくとも25である誘電率値を有することができる。いくつかの実施の形態では、材料は、50エルステッド未満である3dbのフェリ磁性共鳴線幅値を有することができる。いくつかの実施の形態では、材料は400〜1000ガウスの範囲において飽和磁化値を有することができる。
【0006】
いくつかの実施の形態では、材料は式Y
3−x−2y−zBi
xCa
2y+zFe
5−y−z−aV
yZr
zAl
aO
12によって表される合成ガーネット材料であり得、式中、Y、Bi、Ca、Fe、V、Zr、AlおよびOは、イットリウム、ビスマス、カルシウム、鉄、バナジウム、ジルコニウム、アルミニウムおよび酸素をそれぞれ表す。量xは1.4以下であり得る。量yは0.7以下であり得る。量zは0.7以下であり得る。量aは0.75以下であり得る。
【0007】
いくつかの教示に従うと、本開示は、十二面体部位、八面体部位、および四面体部位を有する合成ガーネット材料を作製するための方法に関する。この方法は、十二面体部位の少なくともいくつかにビスマス(Bi)を導入することを含む。この方法は、さらに、四面体部位の少なくともいくつかにアルミニウム(Al)を導入することを含む。
【0008】
いくつかの実現例では、本開示は、複数の信号ポートを有する導体と、磁界を与えるように構成される1つ以上の磁石とを含むサーキュレータに関する。サーキュレータは、磁界により無線周波数(RF)信号が信号ポートの間を選択的に経路設定されるように導体および1つ以上の磁石に対して実現される1つ以上のフェライトディスクをさらに含む。1つ以上のフェライトディスクの各々は、十二面体部位、八面体部位および四面体部位を有する合成ガーネット材料を含み、ビスマス(Bi)が十二面体部位の少なくともいくつかを占め、アルミニウム(Al)が四面体部位の少なくともいくつかを占める。
【0009】
いくつかの実施の形態では、ガーネット材料は式Y
3−x−2y−zBi
xCa
2y+zFe
5−y−z−aV
yZr
zAl
aO
12によって表される合成ガーネット材料であり得、式中、Y、Bi、Ca、Fe、V、Zr、AlおよびOは、イットリウム、ビスマス、カルシウム、鉄、バナジウム、ジルコニウム、アルミニウムおよび酸素をそれぞれ表す。いくつかの実施の形態では、アルミニウムの実質的にすべてが、ある数の四面体部位を占めることができ、その数は量aに対応する。量aは0.75以下であり得る。
【0010】
いくつかの実施の形態では、導体は、複数の信号ポートに対応する複数のインピーダンス変成器を含むことができ、各インピーダンス変成器はストリップライン伝送線路を含む。いくつかの実施の形態では、サーキュレータは、ストリップライン伝送線路のまわりで実現される誘電体をさらに含むことができる。誘電体は誘電率を含むことができ、各ストリップライン伝送線路は、誘電体の誘電率の平方根分の1に比例する物理的な長さを有することができる。いくつかの実施の形態では、誘電体は30〜50の範囲に誘電率を有することができる。
【0011】
いくつかの実施の形態では、各フェライトディスクは円形のディスクであり得る。各フェライトディスクは、少なくとも25である誘電率値を有することができる。各フェライトディスクは、50エルステッド未満である3dbのフェリ磁性共鳴線幅値を有することができる。各フェライトディスクは400〜1000ガウスの範囲において飽和磁化値を有することができる。
【0012】
いくつかの実施の形態では、サーキュレータは共鳴下装置であり得る。いくつかの実施の形態では、サーキュレータはオクターブ帯域幅装置であり得る。
【0013】
いくつかの実現例に従うと、本開示は、その上に1つ以上の構成要素を受けるように構成される実装プラットフォームを含むパッケージ化されたサーキュレータモジュールに関する。パッケージ化されたサーキュレータモジュールは、実装プラットフォーム上に実装されるサーキュレータ装置をさらに含む。サーキュレータ装置は複数の信号ポートを有する導体を含む。サーキュレータ装置は、磁界を与えるように構成される1つ以上の磁石をさらに含む。サーキュレータ装置は、磁界により無線周波数(RF)信号が信号ポートの間を選択的に経路設定されるように導体および1つ以上の磁石に対して配設される1つ以上のフェライトディスクをさらに含む。1つ以上のフェライトディスクの各々は、十二面体部位、八面体部位および四面体部位を有する合成ガーネット材料を含み、ビスマス(Bi)が十二面体部位の少なくともいくつかを占め、アルミニウム(Al)が四面体部位の少なくともいくつかを占める。パッケージ化されたサーキュレータモジュールは、実装プラットフォーム上に実装され、サーキュレータ装置を実質的に囲みかつ保護するように寸法決めされる筺体をさらに含む。
【0014】
いくつかの実現例に従うと、本開示は、複数の構成要素を受けるように構成される回路基板を含む無線周波数(RF)回路板に関する。RF回路板は、回路基板上に実現され、RF信号を処理するように構成される複数の回路をさらに含む。RF回路板は、回路基板上に実現され、回路のうち少なくともいくつかと相互接続されるサーキュレータ装置をさらに含む。サーキュレータ装置は複数の信号ポートを有する導体を含む。サーキュレータ装置は、磁界を与えるように構成される1つ以上の磁石をさらに含む。サーキュレータ装置は、磁界により無線周波数(RF)信号が信号ポートの間を選択的に経路設定されるように導体および1つ以上の磁石に対して配設される1つ以上のフェライトディスクをさらに含む。1つ以上のフェライトディスクの各々は、十二面体部位、八面体部位および四面体部位を有する合成ガーネット材料を含み、ビスマス(Bi)が十二面体部位の少なくともいくつかを占め、アルミニウム(Al)が四面体部位の少なくともいくつかを占める。RF回路板は、RF回路板へのおよびRF回路板からのRF信号の通過を容易にするように構成される複数の接続特徴をさらに含む。
【0015】
いくつかの実現例では、本開示は、RF信号の送信および受信を容易にするように構成されるアンテナアセンブリを含む無線周波数(RF)システムに関する。RFシステムは、アンテナアセンブリに相互接続され、アンテナアセンブリによる送信のための送信信号を生成し、かつアンテナアセンブリからの受信信号を処理するように構成されるトランシーバをさらに含む。RFシステムは、送信信号および受信信号の経路設定を容易にするように構成されるフロントエンドモジュールをさらに含む。フロントエンドモジュールは1つ以上のサーキュレータを含む。各サーキュレータは複数の信号ポートを有する導体を含む。サーキュレータは、磁界を与えるように構成される1つ以上の磁石をさらに含む。サーキュレータは、磁界によりRF信号の少なくともいくつかが信号ポートの間を選択的に経路設定されるように導体および1つ以上の磁石に対して配設される1つ以上のフェライトディスクをさらに含む。1つ以上のフェライトディスクの各々は、十二面体部位、八面体部位および四面体部位を有する合成ガーネット材料を含み、ビスマス(Bi)が十二面体部位の少なくともいくつかを占め、アルミニウム(Al)が四面体部位の少なくともいくつかを占める。
【0016】
いくつかの実施の形態では、サーキュレータは共鳴下領域で動作するよう構成され得る。いくつかの実施の形態では、サーキュレータはオクターブ帯域幅で動作するよう構成され得る。いくつかの実施の形態では、RFシステムは、セル方式基地局のような基地局において実現することができる。いくつかの実施の形態では、RFシステムは、携帯型無線装置において実現することができる。
【0017】
開示を要約する目的のために、この発明のある局面、利点および新規な特徴が本明細書中に記載されている。そのような利点の必ずしもすべてがこの発明の任意の特定の実施の形態に従って達成されなくてもよいことが理解される。したがって、この発明は、本明細書中に教示されるような1つの利点または利点の群を、本明細書中に教示または示唆されるかもしれないような他の利点を必ずしも達成することなく、達成または最適化する態様で、実施または実行されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0019】
いくつかの実施の形態の詳細な記載
本明細書中に付与する見出しがある場合、それは便宜上のみのものであり、請求する発明の範囲または意味に必ずしも影響を及ぼすものではない。
【0020】
たとえば無線周波数(RF)適用例において利用することができる、1つ以上の望ましい特徴を有する、イットリウム鉄ガーネット(YIG)のような合成ガーネット組成に関する材料、装置および方法が本明細書中に開示される。そのような望ましい特徴は、高誘電率、低い線幅(たとえば3dB線幅)、および低い飽和磁化を含むことができるが、それらに限定はされない。
【0021】
いくつかの実施の形態では、そのような特徴を有する材料は、低減された寸法および相対的に高い帯域幅(たとえばオクターブ帯域幅)を有する共鳴下装置において実現することができる。そのような装置の例が本明細書中によりさらに詳しく記載される。共鳴下装置のそのような文脈で記載されるが、この開示の1つ以上の特徴を他の種類の装置においても実現することができることが理解される。
【0022】
オクターブ帯域幅共鳴下装置のような従来の共鳴下装置は、典型的には大きく、したがって、セルラー送受信機のような適用例においては用いられない。共鳴下装置は、典型的にはサイズに寄与するさまざまな構成要素を含む。たとえば、フェライト材料は、等価な直交磁気(TM)モード共振器の波長によって判断されるフェライト素子サイズを与え得る。別の例では、インピーダンス変成器(たとえば4分の1波長)は、ストリップライン伝送線路のまわりの材料の誘電率の平方根分の1によって判断される物理的な長さを有することができる。
【0023】
いくつかの実施の形態では、そのようなインピーダンス変成器の長さは、たとえば、従来の共鳴下装置において現在利用される典型的な値(たとえば約16)よりはるかに高い誘電率を有する材料の使用によって低減することができる。たとえば、20〜50の範囲およびそれより高い誘電率値を有する材料を利用することができる。非限定的な例として、そのような材料は、Trans-Techのチタン酸マグネシウムカルシウムシリーズの材料(例たとえばMCT−20〜MCT−50+)、Trans-Techのバリウムテトラチタネート/ナノチタネート系シリーズの材料(たとえば8812および置換された8300シリーズ)、およびTrans-TechのアルファPbO構造系4500/4300材料を含み得る。他の誘電率値も利用することができる。
【0024】
いくつかの実施の形態では、前述のフェライト素子サイズは「RARE EARTH REDUCED GARNET SYSTEMS AND RELATED MICROWAVE APPLICATIONS(希土類低減ガーネット系および関連のマイクロ波適用例)」と題される米国出願公開第2013/0050041号に記載される1つ以上の技術の利用によって低減することができ、その全体を本明細書中に引用により明示的に援用し、その開示はこの出願の明細書の一部として考慮される。そのような技術は、低減されたサイズを有するフェライト素子を与えることができる。たとえば、固定された周波数および磁気バイアスで動作するディスク形状のフェライト素子では、ディスクの半径はフェライトの誘電率の平方根に反比例する。したがって、高誘電率(たとえば少なくとも21)が、フェライトについて、低減された寸法を与えることができる。
【0025】
前述の技術は、さらに、相対的に低いフェリ磁性共鳴線幅値を有するフェライト素子を与えることができる。たとえば、12エルステッド未満である線幅値を得ることができる。低減された線幅を有するそのような低減されたサイズのフェライト素子を共鳴下領域においてどのように実現することができるかの例が、本明細書中に記載される。たとえば、高誘電率および低い線幅特徴に加えて、相対的に低い飽和磁化が共鳴下動作のために望ましくあり得る。
【0026】
図1は、ガーネット構造および化学的性質、ならびにしたがって複数の十二面体構造、八面体構造、および四面体構造を有するフェライト素子100を示す。素子100は、そのような十二面体、八面体、および四面体構造から形成されるガーネット構造(たとえば、ガーネット構造110)を含むことができる。本明細書中には、十二面体部位102、八面体部位104、および四面体部位106が、どのようにして、選択されたイオンで充填または置換されてフェライト素子100について1つ以上の望ましい特性を生じ得るかのさまざまな例を開示する。そのような特性は、高いかまたは増大された誘電率、低いかまたは低減された飽和磁化、および低いかまたは低減された線幅を含むことができるが、それらに限定はされない。
【0027】
いくつかの実施の形態では、共鳴下装置のために望ましい前述の特性のいくつかまたはすべては、式
Y
3−x−2y−zBi
xCa
2y+zFe
5−y−z−aV
yZr
zAl
aO
12 (1)
によって表すことができる修正された合成ガーネット組成によって実現することができ、式中、Y、Bi、Ca、Fe、V、Zr、AlおよびOは、イットリウム、ビスマス、カルシウム、鉄、バナジウム、ジルコニウム、アルミニウムおよび酸素をそれぞれ表す。いくつかの実施の形態では、xは1.4以下であり得、yは0.7以下であり得、zは0.7以下であり得、aは0.75以下であり得る。前述の式のより具体的な例が、本明細書中によりさらに詳しく記載される。
【0028】
前述のガーネットは、さまざまな置換が、十二面体(
図1の102)部位、八面体(104)部位および四面体(106)部位でなされる、イットリウム鉄ガーネット(Y
3Fe
2Fe
3O
12の一般式を伴うYIG)の例である。未修正のYIG(Y
3Fe
2Fe
3O
12)例では、単位格子に8つの部位(3つの十二面体部位、2つの八面体部位および3つの四面体部位)があり、イットリウムは3つの十二面体部位を占め、鉄は2つの八面体部位および3つの四面体部位を占める。
【0029】
ビスマス、カルシウム、バナジウムおよびジルコニウムがさまざまな部位でどのようにイットリウムおよび鉄を置換することができるかのさまざまな例は、たとえば上記の参照された米国出願公開US2013/0050041において見出すことができる。たとえば、未修正のYIGにおいて置換されていないイットリウムは、3の式単位(つまりY
3)を有する。ビスマスは、十二面体部位においてイットリウムのいくらかまたはすべてを置換して、たとえば、イットリウム含有量を低減するかもしくは実質的に除去し、および/または材料の誘電率を増大することができる。ビスマスがxの式単位(つまりBi
x)を置換するような置換で、イットリウムの式単位は3−x(たとえばY
3−x)に減少し得る。
【0030】
別の例では、zの式単位のジルコニウムが八面体部位において鉄のいくらかを置換して、たとえば、材料の線幅を低減することができる。そのような置換で、鉄の合計式単位の5(2八面体および3四面体)は、5−z(たとえばFe
5−z)に減少し得る。さらに別の例では、yの式単位のバナジウムが四面体部位において鉄のいくらかを置換して、たとえば、飽和磁化を低減し、および/または材料の線幅を低減し得る。ジルコニウムとの前述の置換を仮定すると、バナジウムとのそのような置換の結果、鉄の式単位は5−y−z(たとえばFe
5−y−z)に減少し得る。いくつかの実施の形態において、および本明細書中に記載されるように、aの式単位のアルミニウムが四面体部位において鉄のいくらかを置換して、たとえば、材料の共鳴下実現例について望ましい特徴の組合せを与え得る。ジルコニウムおよびバナジウムとの前述の置換を仮定して、アルミニウムとのそのような置換の結果、鉄の式単位は5−y−z−a(たとえば、Fe
5−y−z−a)に減少され得る。
【0031】
ジルコニウムおよびバナジウムとの前述の例示的な置換において、そのようなより高い原子価イオン(ジルコニウムに対して4+、およびバナジウムに対して5+)から結果として生じる原子価不均衡は、カルシウム(+2の原子価)を十二面体部位のいくつかに導入することによって補償することができる。そのような原子価補償は、さらに、十二面体部位におけるイットリウムの、カルシウムとの置換によって、材料のイットリウム含有量をさらに低減し得る。たとえば、八面体または四面体部位に導入される各4+イオン(たとえばZr
4+)(たとえば八面体部位におけるジルコニウム)毎に、1つのY
3+イオンを1つのCa
2+イオンで置換することができる。各5+イオン(たとえば四面体部位におけるV
5+)毎に、2つのY
3+イオンを2つのCa
2+イオンと置換することができる。各6+イオン毎に、3つのY
3+イオンを3つのCa
2+イオンと置換することができる。したがって、式(1)の前述の例では、V
yZr
zとの置換は、2y+zのカルシウム含有量(たとえばCa
2y+z)で原子価補償することができる。したがって、および本明細書中に記載されるようなビスマスとの置換を仮定すると、カルシウムとの置換は、イットリウムの式単位を3−x―(2y+z)(たとえばY
3−x−2y−z)に減少させることができる。
【0032】
YIGの四面体部位での非磁性イオンは、八面体部位に対する四面体部位の影響を低減することによって、全体的な磁化を低減することができる。アルミニウム、ガリウムおよびバナジウムのような金属は、そのような非磁性イオンを四面体部位において与えるために利用することができる材料の例である。
【0033】
アルミニウムの例の文脈では、四面体部位におけるアルミニウムの導入は、YIGにおける磁化を、約1,780ガウスのその値(未修正のYIG)から低減することができる。磁化におけるそのような減少は、アルミニウム含有量が増大するにつれて、おおよそ線形であり得る。なんらかの閾値の後、アルミニウムは八面体部位内に漏出し得る。そのような閾値において、またはその閾値付近では、アルミニウム含有量が増大し続けるにつれて、磁化における減少率は変化し得る(たとえば減少する)。アルミニウムが導入される未修正のYIGの文脈では、そのような閾値は、典型的には、四面体部位における約35%の鉄にある。全体的な鉄の式単位の5(2八面体および3四面体)に対して、そのような閾値は、典型的には約0.175の式単位にある。
【0034】
本明細書中に記載されるように、式(1)(Y
3−x−2y−zBi
xCa
2y+zFe
5−y−z−aV
yZr
zAl
aO
12)の例のような修正された合成ガーネット組成は、アルミニウムのような非磁性イオンを、四面体部位において、(たとえばビスマス非含有ガーネット材料の)前述の0.175の式単位よりはるかに高いレベルで、八面体部位への漏出を伴わずに、受入れるよう構成することができる。さらに本明細書中に記載されるように、四面体部位におけるそのような高いアルミニウム含有量を利用して、修正された合成ガーネットの共鳴下実現例のために望ましい特徴を得ることができる。たとえば約0.5GHz〜10GHzまたはそれ以上の周波数範囲で動作するように構成される共鳴下装置においては、300ガウスまたはそれ以下から1,800ガウスまたはそれ以上の範囲における磁化(4PiMs)の連続分布(たとえば実質的に線形分布)が、必要とされるかまたは所望される。本明細書中に記載されるように、そのような望ましい4PiMs分布は、共鳴下動作に関して、四面体部位におけるアルミニウムとの置換によって達成することができる。
【0035】
図2〜
図4は、式(1)(Y
3−x−2y−zBi
xCa
2y+zFe
5−y−z−aV
yZr
zAl
aO
12)の修正された合成ガーネット組成の例示的な構成に関して、測定された飽和磁化、キュリー温度および3dbの線幅のグラフを示す。例示的な構成においては、式は、Y
0.03Bi
1.4Ca
1.57Fe
3.955−aV
0.525Zr
0.52Al
aO
11.97となるように、x=1.4、y=0.525およびz=0.52であり、式単位「a」は可変である。表1は、
図2〜
図4に示されるデータ点と関連付けられる近似値をリスト化する。
【0037】
図2では、飽和磁化値は、0〜0.6の範囲のさまざまな式単位「a」値に関してグラフ化される。線形回帰あてはめ(実線)は、(「a」が増大するにつれての)飽和磁化における減少が、0.9971の決定係数(R
2)で、少なくともa=0.6まで、非常に線形であることを示す。そのような線形趨勢はたとえば値「a」の0.65、0.7、0.75または恐らくそれよりさらに高い値にまで続くことができると考えられる。本明細書中に記載されるように、そのような線形趨勢は、四面体部位がアルミニウムで置換されることを表現することができる。さらに、
図2に示される例では、八面体部位へのアルミニウムの漏出を示すものはない。
【0038】
図3では、キュリー温度値が、0〜0.6の範囲のさまざまな式単位「a」値に関してグラフ化される。(「a」が増大するにつれての)キュリー温度における減少は、少なくともa=0.6まで、概ね線形である。共鳴下動作の文脈では、たとえば少なくとも100℃以上のキュリー温度が望ましくあり得る。
【0039】
図4では、3dbの線幅値が、0〜0.6の範囲のさまざまな式単位「a」値に関してグラフ化される。線幅は、0.4およびそれより低い値の「a」に関して、40エルステッドより下のままであることが分かる。a=0.4については、2つの線幅値を平均すると39エルステッドになり、それは40より下である。a>0.4については、線幅値は「a」とともに単調に増大する。
【0040】
共鳴下動作の文脈では、たとえば50エルステッド以下の3dbの線幅が望ましくあり得る。そのような例に関して、
図4は、例示的な組成Y
0.03Bi
1.4Ca
1.57Fe
3.955−aV
0.525Zr
0.52Al
aO
11.97は、約0.4までの式単位「a」について、所望の3dbの線幅性能を与えることができることを示す。いくつかの適用例では、磁化(4PiMs)が約1,000ガウス未満であるとき、3dbの線幅に関して、約50の上限が受入可能であり得る。1,000ガウス以上の値については、より高い値の3dbの線幅が許容可能であってもよい。そのような構成については、Gd+3のようなランタニド系列イオンが十二面体部位内に置換され得る。そのような十二面体置換は、たとえば弱いスピン格子結合または緩和を与えて、非等方性、したがって磁気損失を最小限にするかまたは低減することができる。
【0041】
本明細書中に記載されるように、式(1)の例のような修正された合成ガーネット組成は、共鳴下フェライト素子において実現することができる。
図5は、いくつかの実施の形態で、そのようなフェライト素子をサーキュレータにおいて実現することができることを示し;そのようなサーキュレータは、共鳴下動作に対応する領域134において磁界を与えるよう構成することができる。そのような領域は、典型的には、低磁界損失領域132と吸収ピーク130がある共鳴領域136との間にある。
【0042】
前述の共鳴下動作に関して、サーキュレータのフェライト素子は以下の特性を有することができる。いくつかの実施の形態では、フェライト素子の誘電率は、たとえば少なくとも21、または25〜32の範囲における値を有することができる。そのような高誘電率値を有するフェライトの例は、たとえば上記の参照された米国出願公開2013/0050041において見出すことができる。
【0043】
いくつかの実施の形態では、高誘電率値を有するそのようなフェライトは、十二面体部位を含み、ビスマスが十二面体部位の少なくともいくつかを占める構造を有する、合成ガーネット材料として実現することができる。そのようなガーネット材料は、少なくとも21の誘電率値を有することができる。いくつかの実現例では、誘電率値は25〜32の範囲に入り得る。いくつかの実施の形態では、ガーネットは、式Bi
3−s(REまたはCa)
sFe
2−t(Me)
tFe
3−u(Me’)
uO
12によって表すことができる材料を含むか、および/またはそれに基づき得、sは、1.6以上および2.0以下であり、REは希土類元素を表し、MeおよびMe’の各々は金属元素を表す。sの値はたとえば約1.6であり得る。金属元素MeはZrを含むことができ、tの値は0.35以上0.75以下であり得る。tの値はたとえば約0.55であり得る。金属元素Me’はVを含むことができ、uの値は0以上0.525以下であり得る。zの値は、たとえば、約0.525であり得、ガーネットは希土類を実質的に含まず、式はBi
1.4Ca
1.6Zr
0.55V
0.525Fe
3.925O
12である。そのような例示的な組成に関して、誘電率値は約27であり得る。いくつかの実施の形態では、ガーネット材料は、たとえば12エルステッド未満であるフェリ磁性共鳴線幅値を有することができる。他の線幅値も実現することができる。
【0044】
高誘電率を有する前述の合成ガーネット材料は、十二面体部位、八面体部位および四面体部位を含むことができる。そのようなガーネット材料は、十二面体部位のたとえば少なくともいくつかにビスマスを導入し、八面体部位および十二面体部位のいずれかまたは両方の少なくともいくつかに高分極イオンを導入して、少なくとも21の誘電率値を生じさせることによって、製造することができる。いくつかの実現例では、そのような高分極イオンはたとえば非磁性イオンを含むことができる。そのような非磁性イオンは、低い磁気共鳴線幅を維持するように選択される濃度でジルコニウムを八面体部位に含むことができる。磁気共鳴線幅はたとえば12エルステッド以下であり得る。他の線幅値も実現することができる。いくつかの実施の形態では、非磁性イオンは四面体部位においてバナジウムを含むことができる。
【0045】
いくつかの実施の形態では、フェライト素子の飽和磁化は、たとえば400〜1150ガウス、400〜1100ガウス、400〜1000ガウス、400〜900ガウス、400〜800ガウスまたは400〜600ガウスの値を有することができる。いくつかの実施の形態では、そのような低減された飽和磁化は、アルミニウムが、鉄を、八面体部位においてではなく四面体部位において、0と0.75との間、0と0.70との間、0と0.65との間、または0と0.60との間の式単位によって置換することによって、得ることができる。そのような置換および結果として生じる低減された飽和磁化の例が、
図2を参照して本明細書中に記載される。
【0046】
いくつかの実施の形態では、フェライト素子の(フェリ磁性共鳴の)3dbの線幅は、たとえば50エルステッド以下または40エルステッド以下の値を有することができる。いくつかの実施の形態では、そのような相対的に低い線幅は、アルミニウムが、鉄を、四面体部位において、0と0.40との間の式単位によって置換することによって得られるかまたは維持され得る。そのような置換および結果として生じる線幅性能の例が、
図4を参照して本明細書中に記載される。
【0047】
図6は、共鳴下動作のために構成され、誘電率、飽和磁化およびフェリ磁性の線幅についての前述の特性を有するサーキュレータが、f2−f1の実効帯域幅を有することができることを示す。そのような帯域幅は周波数応答曲線140の範囲に基くことができ、下側および上側周波数f1、f2は、(典型的には中心周波数における)ピーク振幅から「b」dB(たとえば3dB)のレベルにある。
【0048】
いくつかの実施の形態では、本明細書中に記載されるような1つ以上の特徴を有するサーキュレータは、f1の少なくとも1.2倍、f1の少なくとも1.5倍、f1の少なくとも1.7倍、f1の少なくとも1.8倍、f1の少なくとも1.9倍、またはf1の少なくとも2倍(たとえばオクターブ帯域幅)であるf2を有することができる。他の帯域幅構成も共鳴下動作に対して実現することができる。
【0049】
本明細書中に記載されるように、サーキュレータにおける共鳴下実現例に対して好適なフェライト素子は、低減された寸法を有するように構成することができる。
図7Aは、そのようなフェライト素子(100)が円筒形のディスク形状を直径Dおよび厚みtで有する例を示す。いくつかの実施の形態では、直径および厚みのいずれかまたは両方は、本明細書中に記載されるような1つ以上の特徴を有するフェライト素子の使用によって低減することができる。
【0050】
図7Bは、本明細書中に記載されるような1つ以上の特徴を有するフェライト素子を他の形状においても実現することができることを示す。たとえば、Sの低減された辺寸法およびdの厚みを有する三角形状のフェライトディスクを実現することができる。いくつかの実施の形態では、辺および厚み寸法のいずれかまたは両方は、本明細書中に記載されるような1つ以上の特徴を有するフェライト素子の使用によって低減することができる。
【0051】
図8は、本明細書中に記載されるような1つ以上の特徴からの恩恵に浴するように構成することができるサーキュレータ装置200の平面図を示す。例示的なサーキュレータ200は3つのポート204、206、208の文脈において記載される。しかしながら、サーキュレータは他の数のポートを有することができることが理解される。ポート204、206、208は、それらのそれぞれのストリップライン伝送線路210、212、214を介して接合部に結合されるよう示される。ストリップライン伝送線路210、212、214のまわりの誘電体202(たとえば、直径D1を有する)は、所望のインピーダンス変換機能性を与えるよう構成することができる。本明細書中に記載されるように、相対的に高い誘電率(たとえば30〜50)を有するそのような誘電体は直径寸法D1を低減するように利用することができる。
【0052】
いくつかの実施の形態では、本明細書中に記載されるような1つ以上の特徴を有するフェライトディスク100は、所望のサーキュレータ機能性を与えるために接合部に位置決めすることができる。本明細書中に記載されるように、そのようなフェライトディスクは、低減された直径寸法D2を含む、ある数の望ましい特徴を含むように構成することができる。3つのポートと関連付けられるインピーダンス変成器の前述の構成と組み合わせて、結果として生じるサーキュレータ装置200は、たとえば共鳴下動作では動作するように構成されながら、低減された寸法を(たとえば寸法a1およびa2を伴う矩形の形式で)有することができる。
【0053】
いくつかの実施の形態では、本明細書中に記載されるような1つ以上の特徴を有するフェライト系サーキュレータ装置を、パッケージ化されたモジュール式装置として実現可能である。
図9は、パッケージ化プラットフォーム304上に実装されかつ筺体構造302で囲まれるサーキュレータ装置200を有する例示的なパッケージ化された装置300を示す。例示的なプラットフォーム304は、パッケージ化された装置300の実装を可能にするように寸法決めされた複数の穴308を含むものとして描かれる。例示的なパッケージ化された装置300は、電気的接続を容易にするように構成される例示的な端子306a〜306cをさらに含むように示される。
【0054】
いくつかの実施の形態では、
図9の例などのパッケージ化されたサーキュレータ/アイソレータを回路板またはモジュールにおいて実現可能である。そのような回路板は、1つ以上の無線周波数(RF)関連動作を行なうように構成される複数の回路を含むことができる。回路板は、回路板と回路板の外部の構成要素との間のRF信号および電力の転送を可能にするように構成される、ある数の接続特徴も含むことができる。
【0055】
いくつかの実施の形態では、前述の例示的な回路板は、RF装置のフロントエンドモジュールと関連付けられるRF回路を含むことができる。
図10に示すように、そのようなRF装置は、RF信号の送信および/または受信を容易にするように構成されるアンテナ312を含むことができる。そのような信号は、トランシーバ314で生成および/または処理することができる。送信のため、トランシーバ314は送信信号を生成することができ、これは、アンテナ312による送信のために、電力増幅器(PA)によって増幅され、フィルタリングされる(Txフィルタ)。受信のため、アンテナ312から受信した信号は、トランシーバ314に渡される前にフィルタリングされ(Rxフィルタ)、かつ低雑音増幅器(LNA)によって増幅されることができる。そのようなTxおよびRx経路の例示的な文脈では、本明細書中に記載されるような1つ以上の特徴を有するサーキュレータおよび/またはアイソレータ300は、たとえばPA回路およびLNA回路において、またはこれと関連して、実現可能である。
【0056】
いくつかの実施の形態では、本明細書中に記載されるような1つ以上の特徴を有する回路および装置は、無線基地局などのRF適用例で実現可能である。そのような無線基地局は、RF信号の送信および/または受信を容易にするように構成される、
図10を参照して記載される例などのような、1つ以上のアンテナ312を含むことができる。そのようなアンテナを、本明細書中に記載されるような1つ以上のサーキュレータ/アイソレータを有する回路および装置に結合することができる。無線基地局の文脈において記載されたが、この開示の1つ以上の特徴を携帯型無線装置において実現することができることが理解される。いくつかの実施の形態では、そのような携帯型無線装置は
図10の例と同様のアーキテクチャを有することができる。
【0057】
本明細書中に記載のように、「サーキュレータ」および「アイソレータ」という用語は、一般的に理解されるような適用例に依存して、相互に交換可能に、または別々に用いることができる。たとえば、サーキュレータは、RF適用例で利用されて、アンテナと、送信機と、受信機との間でRF信号を選択的に経路設定する受動的装置であり得る。送信機とアンテナとの間で信号の経路設定をする場合、受信機は好ましくは分離すべきである。したがって、そのようなサーキュレータも時にはアイソレータと呼ばれ;そのような分離性能は、サーキュレータの性能を表すことができる。
【0058】
図11〜
図16は、本明細書中に記載されるような1つ以上の特徴を有するフェライト素子をどのように作製することができるかの例を示す。
図11は、前述の特性のうち1つ以上を有するセラミック材料を作製するように実現可能なプロセス20を示す。ブロック21で、粉末を調製することができる。ブロック22で、調製された粉末から、形状化された物体を形成することができる。ブロック23で、形成された物体を焼結することができる。ブロック24で、焼結体を仕上げて、1つ以上の望ましい特性を有する完成したセラミック体を生産することができる。
【0059】
完成したセラミック体が装置の一部である実現例では、ブロック25で装置を組立てることができる。装置または完成したセラミック体が製品の一部である実現例では、ブロック26で製品を組立てることができる。
【0060】
図11は、例示的なプロセス20のステップのいくつかまたはすべてを、ブロック27によって示されるように、設計、仕様などに基づかせることができることをさらに示す。同様に、ステップのうちいくつかまたはすべては、ブロック28によって示されるように、テスト、品質管理などを含むか、またはこれらを経ることができる。
【0061】
図12は、本明細書中に記載された1つ以上の特徴を有する粉末を調製する(たとえば
図11のブロック21)ように実施することができるプロセス30を示す。そのような粉末は、そのまま用いることができるか、または、本明細書中に記載されるような所望される形状に形成することができる。ブロック31で、原料を与えることができる。そのような原料は、調製された粉末の1つ以上の所望の特性、そのような粉末から形成された物体、および/またはそのような形成された物体の焼結から結果として生じるセラミック物体を生じさせるように選択することができる。
【0062】
ブロック32で、原料は乾燥した粒状の混合物を与えるよう配合することができる。そのような配合は多数の態様で達成できる。たとえば、Eirich配合方法またはCowles配合方法を利用することができる。
【0063】
ブロック33で、粒状の混合物を予焼結して、予焼結材料を与えることができる。記載の目的で、そのような予焼結は、そのような予焼結材料が別の焼結プロセスのための形状に形成される実現例を含むことができることが理解される。そのような予焼結材料が形状に形成されない、またはそのような予焼結材料から形成された形状が別の焼結プロセスを経ない実現例では、粒状の混合物の予焼結は、結果として生じる材料が本明細書中に記載されるような1つ以上の所望の特性を有するように構成されることができる。
【0064】
ブロック34で、予焼結材料を粉砕して、低減された粒子サイズの予焼結材料を与えることができる。そのような粉砕プロセスは、予焼結材料から精製され調整された粒子を与えることができる。
【0065】
ブロック35で、粉砕された材料を乾燥させることができる。いくつかの実現例では、そのような乾燥プロセスは噴霧乾燥プロセスを含むことができる。いくつかの実現例では、噴霧乾燥プロセスは、成形プロセスに対して好適な自由に流動する粉末を生成するために用いることができる。本明細書中に記載されるような粉砕された材料は、スラリーを形成するためにタンクにおいてバインダ材料と混合され得る。結果として生じる混合物を、微細な網状のスクリーンを通して注いで、サイズが大きすぎる粒子を使用可能な粒子から分離する。次に、ふるい分けされたスラリーを、ポンプで、乾燥機チャンバに、パイプおよびノズルを介して、チャンバの底部に、またはその近くに送り込んで、泉状の噴霧を形成することができる。流動可能な粉末の形成は、乾燥機チャンバでスラリーの上向きの噴霧に遭遇し、小さな球状の乾燥粒子を形成する、下方へ流れる加熱された空気の作用を介して生じ得る。より粗い粒子はより下側収集チャンバに落ち得、より微細な粒子は上側低気圧収集チャンバで収集することができる。いくつかの実現例では、噴霧で乾燥された粒子のサイズはノズルのオリフィスサイズの交換および供給空気流比の制御によって調整することができる。前述の態様における噴霧乾燥の後、乾燥した粉末は、ふるい分けのために収集することができる。
【0066】
ブロック36で、噴霧乾燥された粉末材料を、1つ以上の群の粒子サイズ範囲に分離して、所望の範囲の粒子サイズを有する1つ以上の粉末を与えることができる。いくつかの実現例では、そのような分離プロセスは、振動エネルギ分離器のような分離器によって達成することができる。噴霧乾燥された材料を前述の態様において異なる群の匹敵するサイズに分離することは、所望の範囲においてサイズを有する粒子の収集を可能にすることができる。
【0067】
ブロック37で、品質管理(QC)テストを、選択された群の噴霧乾燥された粉末(たとえば所望の範囲において粒子サイズを有する群)において行うことができる。QCテストが判断ブロック38において合格した場合には、プロセス30はブロック39に進むことができ、粉末は、さらなる処理または使用に対して保存することができる。QCテストが不合格である場合には、プロセス30はブロック40に進み得、1つ以上の診断および/または是正措置を実行することができる。
【0068】
いくつかの実現例では、本明細書中に記載のように調製された粉末を、異なる形成技術によって異なる形状に形成することができる。一例として、
図13は、本明細書中に記載のように調製された粉末材料から、形状化された物体をプレス成形するように実現可能なプロセス50を示す。ブロック52で、形状化されたダイに所望の量の粉末を充填することができる。
図14で、構成60は、粉末63を受けかつそのような粉末63をプレスできるようにするように寸法決めされる容積62を規定する形状化されたダイを61として示す。ブロック53で、ダイ中の粉末を圧縮して、形状化された物体を形成することができる。構成64は、ダイ61が規定する容積62の中にピストン65が押圧されるにつれて(矢印66)中間成形形態67にされた粉末を示す。ブロック54で、ダイから圧力を除去することができる。ブロック55で、ピストン(65)をダイ(61)から除去して容積(62)を開くことができる。構成68は、ダイ(61)の開いた容積(62)を示し、これにより、形成された物体69をダイから取り外すことが可能になる。ブロック56で、形成された物体(69)をダイ(61)から取り外すことができる。ブロック57で、形成された物体を以降の処理のために保管することができる。
【0069】
いくつかの実現例では、本明細書中に記載のように作製された、形成された物体を焼結して、セラミック装置としての望ましい物性を生じさせることができる。
図15は、そのような形成された物体を焼結するように実現可能なプロセス70を示す。ブロック71で、形成された物体を提供することができる。ブロック72で、形成された物体を窯の中に入れることができる。
図16で、複数の形成された物体69が、焼結トレイ80の中に搬入されて示される。例示的なトレイ80は、形成された物体69の上側部分よりもトレイの上側端縁が高くなるように、形成された物体69を表面82上に保持するように寸法決めされる凹部81を規定するように示される。そのような構成により、搬入されたトレイを、焼結プロセスの間に積み重ねることが可能となる。例示的なトレイ80は、トレイがともに積み重ねられるときですら凹部81内での熱い気体の改善された循環を可能にするように、側壁に切抜き83を規定するようにさらに示される。
図16は、複数の搬入されたトレイ80の積み重ね84をさらに示す。一番上のトレイに搬入された物体が全般的に下方のトレイと同様の焼結条件を経るように、頂部カバー85を設けることができる。
【0070】
ブロック73で、形成された物体に熱を加えて焼結体を生じさせることができる。そのような熱の適用は、窯を用いることによって達成可能である。ブロック74で、焼結体を窯から出すことができる。
図16では、複数の搬入されたトレイを有する積み重ね84が窯87に入れられて描かれる(段階86a)。所望の時間および温度プロファイルに基づいて、そのような積み重ねを窯を通して移動させることができる(段階86b、86c)。段階86dで、積み重ね84は、窯から出されて冷却されるように描かれる。
【0071】
ブロック75で、焼結体を冷却することができる。そのような冷却は、所望の時間および温度プロファイルに基づくことができる。ブロック76で、冷却された物体は1つ以上の仕上げ作業を受けることができる。ブロック77で、1つ以上のテストを行なうことができる。
【0072】
さまざまな形態の粉末およびさまざまな形態の形状化された物体の熱処理を、か焼、焼成、アニール、および/または焼結として本明細書中で記載する。そのような用語は、いくつかの適切な状況で、文脈固有の態様で、またはその何らかの組合せにおいて相互交換可能に用いてもよいことが理解されるであろう。
【0073】
文脈が明確にそうでないことを要件としていなければ、記載および請求項を通して、「備える」、「備えている」などの語は、排他的または網羅的な意味とは反対に、包括的な意味、すなわち「含むが限定されない」という意味に解釈されるべきである。本明細書中で一般的に用いるような「結合される」という語は、直接に接続されるかまたは1つ以上の中間要素を介して接続されることがある2つ以上の要素を指す。加えて、「本明細書中で」、「上記」、「以下」という語および同様の趣旨の語は、この出願で用いる場合は、この出願の任意の特定の部分ではなくこの出願全体を指すものとする。文脈が許す場合は、単数または複数の数を用いる上記詳細な説明における語は、それぞれ複数または単数も含むことがある。2つ以上の項目の列挙を参照する「または」という語は、この語は、語の以下の解釈のすべて、すなわち、列挙中の項目の任意のもの、列挙中の項目のすべて、および列挙中の項目の任意の組合せをカバーする。
【0074】
発明の実施の形態の以上の詳細な説明は、網羅的になることまたは発明を以上開示した正確な形態に限定することを意図するものではない。発明の具体的な実施の形態およびそのための例を例示の目的のために上述したが、当業者が認識するように、発明の範囲内でさまざまな均等の修正例が可能である。たとえば、プロセスまたはブロックを所与の順序で提示しているが、代替的な実施の形態は、異なる順序でステップを有するルーチンを行なってもよく、またはブロックを有するシステムを用いてもよく、いくつかのプロセスもしくはブロックを削除、移動、追加、細分、組合せ、および/もしくは修正してもよい。これらのプロセスまたはブロックの各々をさまざまな異なる態様で実現してもよい。また、プロセスまたはブロックを、時には連続して行なうものとして示すが、代わりに、これらのプロセスまたはブロックを並列に行なってもよく、または異なる時期に行なってもよい。
【0075】
本明細書中に提供する発明の教示は、必ずしも上述したシステムではなく他のシステムに適用可能である。上述のさまざまな実施の形態の要素および行為は、さらなる実施の形態を提供するように組合せ可能である。
【0076】
この発明のある実施の形態を記載したが、これらの実施の形態は例示のためにのみ提示され、開示の範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書中に記載の新規の方法およびシステムをさまざまな他の形態で具体化してもよい。さらに、開示の精神から逸脱することなく、本明細書中に記載の方法およびシステムの形態におけるさまざまな省略、置換、および変更を行なってもよい。特許請求の範囲およびそれらの均等物は、開示の範囲および精神の範囲内に入るであろうようなそのような形態または修正例をカバーすることが意図される。