特許第6594651号(P6594651)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594651
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】心電図検査装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0402 20060101AFI20191010BHJP
   A61B 5/0452 20060101ALI20191010BHJP
   A61B 5/044 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   A61B5/04 310M
   A61B5/04 312C
   A61B5/04 314G
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-92210(P2015-92210)
(22)【出願日】2015年4月28日
(65)【公開番号】特開2016-209010(P2016-209010A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年4月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】山来 貴
【審査官】 門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−188438(JP,A)
【文献】 特開2008−237882(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0245475(US,A1)
【文献】 特表2009−537252(JP,A)
【文献】 特開2009−178306(JP,A)
【文献】 特表2001−510356(JP,A)
【文献】 米国特許第05891045(US,A)
【文献】 特開2001−008914(JP,A)
【文献】 米国特許第06447458(US,B1)
【文献】 国際公開第2015/022604(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/0402 − 5/0472
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極カテーテルにおける異なる位置の電極電位を基に取得された、複数箇所の心内心電図を周波数成分解析する周波数成分解析部と、
前記複数箇所の心内心電図を同時に表示し、かつ、各箇所の心内心電図の時間方向に沿って延在するカラーバーを表示し、かつ、前記カラーバーに前記周波数解析部による解析結果に応じた色を付加して表示する表示部と、
を具備する心電図検査装置。
【請求項2】
前記カラーバーに付加される前記色は、各箇所の心内心電図のドミナント周波数に応じた色である
請求項1に記載の心電図検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心電図検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、心室頻拍(VT)や多発する心室期外収縮(VPC)等の頻脈性不整脈に対して、心筋を焼灼(アブレーション)して頻脈性不整脈の発生を抑えるという治療が行われている。アブレーションを行う部位(つまり不整脈の誘発部位)を特定するにあたっては、心電図が用いられる。医師は、心電図を基にアブレーションを行う部位を特定する。
【0003】
ところで、アブレーションを行う部位をより容易かつ適切に判断できるようにするために、心電図を周波数解析する手法が提案されている(例えば特許文献1参照)。この手法では、心電図に対してFFTなどの処理を施すことにより、心電図のパワースペクトラムを得て、これを表示するようになっている。そして、医師は、このパワースペクトラムのピーク周波数などを観察することにより、アブレーションを行う部位を特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2014−500045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1では、心電図の周波数解析した後に、その周波数特性を心臓の3Dマップ上に色分けして表示するようになっている。
【0006】
しかしながら、3Dマップ上に周波数特性を表示するためには、処理量が増加したり、処理時間が増加する欠点がある。
【0007】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、少ない処理量で、心臓の異常部位を容易に特定できる心電図検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の心電図検査装置の一つの態様は、
電極カテーテルにおける異なる位置の電極電位を基に取得された、複数箇所の心内心電図を周波数成分解析する周波数成分解析部と、
前記複数箇所の心内心電図を同時に表示し、かつ、各箇所の心内心電図の時間方向に沿って延在するカラーバーを表示し、かつ、前記カラーバーに前記周波数解析部による解析結果に応じた色を付加して表示する表示部と、
を具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数箇所の心内心電図を同時に表示すると共に、各箇所の心内心電図に各箇所の周波数成分解析結果に応じた色を付加することで、複数の心内心電図の周波数成分解析結果を識別可能に表示するようにしたことにより、医師などの医療従事者は、3Dマップが無くても、異なる箇所の周波数成分解析結果を相対的に比較しながら、心臓の異常部位を容易に特定できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係るポリグラフの全体構成を示す概略図
図2】電極カテーテル先端の一例を示す図
図3】実施の形態の表示例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
<ポリグラフの全体構成>
図1は、本実施の形態によるポリグラフ100の全体構成を示す外観図である。本実施の形態のポリグラフ100は、心臓カテーテル用検査装置として用いられるポリグラフである。また、ポリグラフ100は、体表面心電図及び心内心電図を計測及び解析する機能を有する。このため、ポリグラフ100は心電図検査装置と呼ぶこともできる。
【0013】
ポリグラフ100は、本体ユニット200と、インターフェースユニット300と、EPS(Electrophysiological Study:電気生理学的検査)ユニット400と、を有する。本体ユニット200とインターフェースユニット300はケーブルL1によって接続されており、インターフェースユニット300とEPSユニット400はケーブルL2によって接続されている。なお、図では、インターフェースユニット300を介して本体ユニット200とEPSユニット400を接続した例を示しているが、本体ユニット200とEPSユニット400をケーブルL2によって直接接続してもよい。
【0014】
本体ユニット200には、専用キーボード11、キーボード12、マウス13等の入力装置10と、複数のディスプレイ20(21、22、23)と、サーマルレコーダ30等の記録装置と、が接続されている。また、本体ユニット200には、インターフェースユニット300が接続されている。本体ユニット200は、ポリグラフ100の中央処理ユニットとしての機能を有する。本体ユニット200は、インターフェースユニット300を介して入力した各生体情報に対してプログラムに従った演算処理や解析処理を施すことにより、各生体情報を所望の表示形態でディスプレイ20に表示する。また、本体ユニット200は、入力装置10から入力された操作信号に基づいて、各生体情報の表示形態や、インターフェースユニット300及びEPSユニット400、並びにそれらに接続される各装置の動作を制御するようになっている。
【0015】
インターフェースユニット300は、体表面心電図用入力端子、非観血血圧用入力端子、SpO用入力端子及び体温用入力端子などからなる生体情報入力端子群310を有する。また、インターフェースユニット300は、体表面心電図用出力端子311及び観血血圧用出力端子312を有する。また、インターフェースユニット300は、専用キーボードを接続するための入力端子313等を有する。
【0016】
インターフェースユニット300には、アンプが内蔵されており、生体情報入力端子群310から入力された所定の信号はアンプによって増幅された後に本体ユニット200に出力される。
【0017】
EPSユニット400は、刺激用のケーブルが接続される端子411、アブレーター用のケーブルが接続される端子412を有し、EPSユニット400は、これらの端子411、412を介して刺激装置(図示せず)及びアブレーター装置(図示せず)と接続される。また、EPSユニット400は、体表面心電図用入力端子413を有し、この端子413には被検者の体表に装着された電極が接続される。これにより、刺激装置によって心臓の所定部位に刺激を与えたときの体表面心電図を得ることができる。本実施の形態の場合には、体表面心電図用入力端子413には12誘導心電図を得るための電極が接続される。
【0018】
さらに、EPSユニット400は、中継ボックス500、510が接続される端子414、415を有する。各中継ボックス500、510には、電極カテーテルに設けられた各電極に対応する端子を接続するための多数の端子600が設けられている。
【0019】
本実施の形態の場合には、1つの中継ボックス500(510、520、530)に双極で40チャネル(つまり80個の端子600)が設けられている。EPSユニット400は2つの中継ボックス500、510を接続できるようになっており、従ってEPSユニット400は80(=2×40)チャネル分の心内心電図を入力可能とされている。
【0020】
さらに、EPSユニット400には、拡張用のEPSユニット410が接続可能とされている。拡張用EPSユニット410も2つの中継ボックス520、530を接続できるようになっており、従ってEPSユニット400は拡張用EPSユニット410を接続すれば、160(=4×40)チャネル分の心内心電図の信号を入力することができる。
【0021】
EPSユニット400および拡張用のEPSユニット410には、アンプが内蔵されており、中継ボックス500、510、520、530から入力された心内心電図はアンプによって増幅された後、インターフェースユニット300を介して本体ユニット200に送出される。また、刺激用のケーブルが接続される端子411から入力された刺激装置(図示せず)からの刺激信号は中継ボックス500(510、520、530)を介して電極カテーテル(図示せず)に出力される。さらに、電極カテーテルから心臓へと実際に与えられた刺激信号に基づく刺激波形は、心内心電図と共にEPSユニット400および拡張用のEPSユニット410のアンプによって増幅された後、インターフェースユニット300を介して本体ユニット200に送出される。また、EPSユニット400は、体表面心電図用出力端子416、スピーカ417を有する。
【0022】
<本実施の形態による表示>
図2は、電極カテーテル先端の一例を示す図である。図2に示す電極カテーテル40には、心内心電図を計測するための複数の電極T1〜T8が所定の位置に設けられている。電極カテーテル40の各電極T1〜T8が心臓内壁に接触することで、心臓内の心電位が計測される。なお、図2の例では、8個の電極T1〜T8が設けられているが、その数や位置はこれに限らない。
【0023】
図3は、本実施の形態の表示例である。図3の例では、最上段に体表面心電図のII誘導とV1誘導が表示され、続いて心内心電図が表示されている。心内心電図として、上段から順に、T1−T2間の心電位に基づく心内心電図、T2−T3間の心電位に基づく心内心電図、T3−T4間の心電位に基づく心内心電図が表示されている。また、これら複数の心内心電図が周波数成分解析されて、その周波数成分解析結果が各心内心電図の下方にカラーバーにて表示される。
【0024】
例えば、ドミナント周波数が5Hz以上の期間は赤色、5Hz未満の期間は緑色といったように色分けしたカラーバーを各心内心電図に付加する。このようにすることで、医療従事者は、どの電極に相当する部分で高周波つまり異常部位が検出されているかを一目で確認できるようになる。
【0025】
このような周波数成分解析及びカラーバーの付加は、本体ユニット200に、FFT(Fast Fourier Transform)などの周波数成分解析部を設けると共に、その解析結果に応じたカラーバーを表示する表示制御部を設けることによって実現できる。
【0026】
以上説明したように、本実施の形態によれば、複数箇所の心内心電図を同時に表示すると共に、複数箇所の心内心電図の周波数成分解析結果を用いて、前記同時に表示した複数の心内心電図にドミナント周波数に応じた色を付加することで、複数の心内心電図のドミナント周波数を識別可能に表示したことにより、心臓の異常部位を容易に特定できる心電図検査装置を実現できるようになる。
【0027】
なお、上述の実施の形態では、ドミナント周波数に応じた色を付加する場合について述べたが、色分けの指標はドミナント周波数に限らない。例えば周波数成分解析結果(つまりFFT後のパワースペクトラム)において、閾値以上のピークが最も多い周波数帯域に対応した色を付加してもよい。要は、各箇所の心内心電図に各箇所の周波数成分解析結果に応じた色を付加すればよい。
【0028】
また、上述の実施の形態では、各心内心電図の周波数成分解析結果(実施の形態の場合にはドミナント周波数)をカラーバーで識別可能に表示した場合について述べたが、本発明はこれに限らない。例えば、ドミナント周波数に応じて心電図自体の色を変えてもよく、背景色を変えてもよい。
【0029】
また、上述の実施の形態では、本発明の心電図検査装置における表示方法をポリグラフ100に適用した場合について述べたが、ポリグラフ100以外の心電図検査装置にも広く適用可能である。
【0030】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することの無い範囲で、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、心電図の周波数解析結果に基づいて心臓の異常部位を特定可能とする心電図検査装置に適用し得る。
【符号の説明】
【0032】
10 入力装置
20 ディスプレイ
40 電極カテーテル
100 ポリグラフ
200 本体ユニット
300 インターフェースユニット
400 EPS(Electrophysiological Study:電気生理学的検査)ユニット
500、510、520、530 中継ボックス
図1
図2
図3