(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エネルギーフロー算定ステップでは、更に、前記複数の設備それぞれについてのエネルギー使用量及びエネルギーロス量に基づいて、前記複数の設備それぞれのエネルギーの有効率を算定し、算定した前記有効率を、前記エネルギーフロー図において強調表示する請求項1又は2記載のプログラム。
前記エネルギーフロー算定ステップでは、更に、複数の設備それぞれについてのエネルギー使用量及びエネルギーロス量に基づいて、前記複数の設備の省エネ効果を算定し、算定した前記複数の設備の省エネ効果を前記表示手段に表示する請求項1乃至3何れか1項記載のプログラム。
前記省エネ効果計算ステップでは、更に、前記省エネ量及び省エネ率を、前記表示手段に表示された前記複数の設備の省エネ効果に反映させる請求項4記載のプログラム。
前記省エネ効果計算ステップでは、更に、前記省エネ量及び省エネ率が反映される前の前記複数の設備の省エネ効果と、前記省エネ量及び省エネ率が反映された後の前記複数の設備の省エネ効果と、に基づいて、前記複数の設備で使用されるエネルギーの削減率を取得し、前記表示手段に表示する請求項5記載のプログラム。
前記エネルギーフロー算定ステップでは、複数の設備それぞれについてのエネルギー使用量と、エネルギーロス量と、マテリアルの投入量と、マテリアルの歩留りと、に基づいて、マテリアルの流れに対応付けられたエネルギーの流れを示すエネルギーフローを算定し、算定した前記エネルギーフローを示すエネルギーフロー図を表示手段に表示する請求項1乃至6何れか1項記載のプログラム。
前記複数の設備に含まれる設備に対応する省エネ要素の改善案を含む省エネ改善項目選択画面を前記表示手段に表示し、前記省エネ改善項目選択画面を介して、選択された改善案を含む省エネ計画表を生成する生成ステップを更に前記コンピュータに実行させるための請求項1乃至9何れか1項記載のプログラム。
複数の設備それぞれについてのエネルギー使用量及びエネルギーロス量に基づいて、エネルギーフローを算定し、算定した前記エネルギーフローを表示手段に表示するエネルギーフロー算定手段と、
前記複数の設備に含まれる設備の省エネ要素を一覧表示する第1の画面を前記表示手段に表示する省エネ要素リストアップ手段と、
前記省エネ要素リストアップ手段により表示された前記第1の画面を介して省エネ要素が選択された場合、前記省エネ要素の設定値の指定に用いられる第2の画面であって、前記省エネ要素の現状の設定値の情報と前記省エネ要素に係る省エネ量及び省エネ率の計算に用いられる項目の情報とを含む前記第2の画面を前記表示手段に表示し、前記第2の画面に対して前記省エネ要素の設定値が指定された場合、指定された前記設定値に応じた省エネ量及び省エネ率を計算し、計算した前記省エネ量及び省エネ率を前記表示手段に表示する省エネ効果計算手段と、
を有する情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0009】
<実施形態1>
本実施形態の処理の主体は、情報処理装置100である。情報処理装置100は、コンピュータやサーバ装置等である。本実施形態では、情報処理装置100は、施設内の設備について、処理を行う。施設には、工場、ビル、病院、公共施設等がある。
図1は、情報処理装置100のハードウェア構成等の一例を示す図である。情報処理装置100は、CPU101、主記憶装置102、補助記憶装置103、入力I/F104、出力I/F105を含む。CPU101、主記憶装置102、補助記憶装置103、入力I/F104、出力I/F105は、システムバス106を介して、互いに接続されている。
CPU101は、情報処理装置100の処理を制御する中央演算装置である。主記憶装置102は、CPU101のワークエリアや種々のデータの記憶領域として機能する記憶装置である。補助記憶装置103は、各種プログラム、各種閾値等の設定値、各種入力シート、各種管理標準シート、各種省エネ効果計算シート等を格納する。CPU101は、入力I/F104を介して、入力装置107から入力された入力データを受け付ける。CPU101は、出力I/F105を介して、表示装置108に表示画面のデータを出力する。
【0010】
CPU101が、補助記憶装置103等に記録されたプログラムに基づき処理を実行することによって、後述する情報処理装置100の機能、後述するフローチャートの処理が実現される。
入力装置107は、入力I/F104を介して、情報処理装置100に入力を行う入力装置であり、マウスやキーボード等で構成される。表示装置108は、出力I/F105を介して、情報処理装置100から出力された画像データに係る画像を表示する表示装置であり、ディスプレイ等で構成される。
【0011】
図2は、情報処理装置100の処理の概要を示す図である。本実施形態では、情報処理装置100は、設備毎にエネルギー収支を求め、エネルギーフロー図を生成する。
設備には、工程設備、ユーティリティー設備等のものがある。工程設備とは、資材や原料等のマテリアルを投入され、投入されたマテリアルに何らかの処理を施し、処理を施したマテリアルを次の工程設備に送る設備である。ユーティリティー設備とは、ボイラ設備や圧空設備等のように、投入されたエネルギーを熱、空調、照明等に変換する設備である。
【0012】
エネルギーフロー算定部201、管理標準管理支援部202、省エネ効果計算部203等は、情報処理装置100の機能構成要素である。
エネルギーフロー算定部201は、複数の設備それぞれについてのエネルギー使用量及びエネルギーロス量に基づいて、エネルギー収支を算定する。エネルギーロスの原因には、工程設備におけるマテリアルの廃棄、設備での放熱、排ガスの排出等がある。エネルギー収支とは、設備に関するエネルギーの入出力の情報である。エネルギー収支は、設備毎の投入されるエネルギー、エネルギーロス、有効に利用されたエネルギー等の情報を含む。そして、エネルギーフロー算定部201は、算定したエネルギー収支を示すエネルギーフロー図を、出力I/F105を介して、表示装置108に表示する。エネルギーフロー表示204は、表示されるエネルギーフロー図の中の工程設備に関する部分の一例である。
ユーザは、表示装置108に表示されたエネルギーフロー図を見ることで、どの設備で、エネルギーロスが大きいか、入力エネルギーに対するエネルギーロスの割合が大きいか、等を判断することができる。
【0013】
管理標準管理支援部202は、エネルギーフロー図内の設備の表示領域が選択等された場合、選択等された設備に対応する管理標準シートを、出力I/F105を介して、表示装置108に表示する。
管理標準シートは、対応する設備についての省エネ要素の一覧を含む。省エネ要素は、設備に現在設定されている設定値のうち、エネルギー消費に関連があり、変更可能な設定値である。
図2の管理標準シート205は、パルパー工程設備に対応する管理標準シートである。管理標準シート205に含まれる省エネ要素は、冷水出口温度、冷却水温度等である。
【0014】
省エネ効果計算部203は、管理標準シート内の省エネ要素の表示が選択等された場合、選択等された省エネ要素に対応する省エネ効果計算シートを、出力I/F105を介して、表示装置108に表示する。
図2の省エネ効果計算シート206は、ボイラ設備の省エネ要素「空気比」に対応する省エネ効果計算シートである。
省エネ効果計算部203は、例えば、省エネ効果計算シート206内の「空気比(改善後)」に、入力装置107を介したユーザの操作に基づいて、新たな値が指定された場合、指定された値に基づいて、燃料削減率等を計算する。計算に利用される関数等の計算ツールは、省エネ効果計算シートと対応付けられて、補助記憶装置103等に保管されている。
【0015】
省エネ効果計算部203は、省エネ効果計算シート206に対応付けられた関数等の計算ツールを利用して、例えば、「空気比(改善後)」に指定された空気比の値に基づいて、燃料削減率等を計算する。そして、省エネ効果計算部203は、計算した燃料削減率等を、省エネ効果計算シート206に表示する。ユーザは、省エネ効果計算シート206に表示された燃料削減率等の計算結果を見ることで、省エネ要素を変更した場合の省エネ効果を視覚的に認識できるようになる。省エネ効果とは、設備におけるエネルギーの使用状況、省エネ要素を変更した場合の使用エネルギー削減量、使用エネルギー削減率、有効に使用されたエネルギーの割合である有効率、使用燃料削減量、燃料削減率等の省エネに関する情報である。
以上の処理により、情報処理装置100は、ユーザに対して、省エネのために、どの設備のどの設定値をどの程度変更すればよいかの情報を提供することができるようになる。
【0016】
工程設備について投入されるマテリアル量、廃棄されるマテリアル量を考慮したエネルギー収支を分析する手法には、マテリアルフローコスト会計(Material Flow Cost Accounting、以下ではMFCA)がある。MFCAは、製造工程における資源ロスや資源ロスに関するエネルギーロス等に着目し、その資源ロスに投入した材料費、加工費、設備償却費等を「負の製品のコスト」として、総合的にコスト評価を行なう分析手法である。
図3(A)は、MFCAに基づいた工程設備についてのエネルギーフロー図の概要を示す図である。
図3(A)のエネルギーフロー図は、各工程設備に投入されたエネルギーのうち、投入されたマテリアルに占める廃棄物となったマテリアルの割合分のエネルギーが廃棄物と共に放出された状況を示している。工程設備では、廃棄されるマテリアルに伴うエネルギーロス以外にも、放熱等のエネルギーロスが生じている。しかし、MFCAによる工程設備のエネルギーフロー図は、放熱等のエネルギーロスを表現することができない。
【0017】
対して、本実施形態のエネルギーフロー算定部201は、工程設備について、投入されたエネルギー、投入されたマテリアル量、廃棄されるマテリアル量、発生したエネルギーロスを考慮したエネルギーフローを算定する。エネルギーフロー算定部201は、各工程設備で生じたエネルギーロスを考慮することにより、MFCAを利用する場合よりも、より現実に近いエネルギーフローを算定できる。
図3(B)は、本実施形態でエネルギーフロー算定部201により算定される工程設備についてのエネルギーフローを示すエネルギーフロー図の概要を示す図である。
図3(B)のエネルギーフロー図は、
図3(A)と同様に、廃棄物と共にエネルギーロスが発生した状況を示している。
図3(B)のエネルギーフロー図は、更に、各工程設備から大気へ放熱したことによるエネルギーロスが発生している状況を示している。
例えば、設備がモーターであれば、設備で生じたエネルギーロスは、熱となりモーター外に放出されるモーター効率のロス分である。また、設備が加熱炉であれば、設備で生じたエネルギーロスは、加熱炉の壁面から放出される熱や、大気へ放散される加熱炉内のバーナーの効率のロス分である。
また、ユーティリティー設備は、マテリアルのフローはないので、MFCAではユーティリティー設備を扱うことができない。しかし、本実施形態の処理により、情報処理装置100は、ユーティリティー設備でのエネルギーフローとロスを正確に把握できる。工場やビルでは、ユーティリティー設備が必ずあるので、本実施形態の処理は、非常に有効である。
MFCAは、専ら、生産工程での製品の廃棄ロスに注目した分析手法であるので、エネルギーの扱いに関しては機能が不十分である。そのことについての詳細は、実施形態2で後述する。
【0018】
図4は、情報処理装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
S301において、エネルギーフロー算定部201は、各設備についてエネルギーフローを算定する。より具体的には、エネルギーフロー算定部201は、以下のような処理を行う。
まず、エネルギーフロー算定部201は、投入エネルギー入力シートを出力I/F105を介して、表示装置108に表示する。投入エネルギー入力シートは、各設備の投入エネルギーの値の入力に利用される入力シートである。
図5は、投入エネルギー入力シートの一例を示す図である。
図5の投入エネルギー入力シートは、電気、重油、灯油、LPG等のエネルギーの種類毎に投入されるエネルギーの値を指定可能となっている。ユーザは、入力装置107を介して、表示装置108に表示された投入エネルギー入力シートに設備毎の投入エネルギーの値を指定する。
図5の例は、パルパー工程設備に投入されるA重油関係のエネルギーとして、A重油122kL分のエネルギー4770GJ(価格換算で11126000円)が指定されている。エネルギーフロー算定部201は、投入エネルギー入力シートから、設備毎の投入エネルギーの値を取得する。
エネルギーフロー算定部201は、投入エネルギーシート内のエネルギー表示を、エネルギーの種類に関わらず、J(ジュール)単位で表している。それにより、ユーザは、どこの工程設備でエネルギーの使用量が多いか、投入エネルギーを削減した場合の全体への影響等を直感的に把握できるようになる。
【0019】
そして、エネルギーフロー算定部201は、エネルギーロス入力シートを出力I/F105を介して、表示装置108に表示する。エネルギーロス入力シートは、各設備におけるエネルギーロスの値の入力に利用される入力シートである。
図6は、エネルギーロス入力シートの一例を示す図である。
図6の投入エネルギー入力シートは、重油、灯油、都市ガス等のエネルギーの形式毎のエネルギーロスの値を指定可能となっている。ユーザは、入力装置107を介して、表示装置108に表示されたエネルギーロス入力シートに設備毎のエネルギーロスの値を指定する。
図6の例は、パルパー工程設備で、重油関係の排ガスによるエネルギーロスとして、448GJが指定されている。エネルギーフロー算定部201は、エネルギーロス入力シートから、設備毎のエネルギーロスの値を取得する。
【0020】
次に、エネルギーフロー算定部201は、マテリアル入力シートを出力I/F105を介して、表示装置108に表示する。マテリアル入力シートは、工程設備毎のマテリアルの入力量と歩留りとの値の入力に利用される入力シートである。
図7は、マテリアル入力シートの一例を示す図である。ユーザは、入力装置107を介して、表示装置108に表示されたマテリアル入力シートに工程設備毎のマテリアルの入力量と歩留りの値を指定する。
図6の例は、パルパー工程設備で、歩留りが74.9%として指定されている。エネルギーフロー算定部201は、マテリアル入力シートから、工程設備毎のマテリアルの歩留りの値を取得する。
また、エネルギーフロー算定部201は、マテリアル入力シートから取得した工程設備それぞれについてのマテリアルの歩留りから、工程設備それぞれについての歩留り落ちしたマテリアルの割合の値を取得する。エネルギーフロー算定部201は、工程設備に投入されたエネルギーのうち、歩留り落ちしたマテリアルの割合の分のエネルギーが、歩留り落ちしたマテリアルとともに発生したエネルギーロスとして取得する。
【0021】
エネルギーフロー算定部201は、設備毎に取得した投入エネルギーと、エネルギーロスと、歩留り落ちしたマテリアルとともに発生したエネルギーロスと、に基づいて、設備のエネルギーフローを示すエネルギーフロー図を生成する。そして、エネルギーフロー算定部201は、生成したエネルギーフロー図を出力I/F105を介して、表示装置108に表示する。
図8は、エネルギーフロー算定部201により生成されたエネルギーフロー図内の工程設備についてのエネルギーフローの一例を示す図である。
図8のエネルギーフローは、紙の製造に係る工程設備についてのエネルギー収支を示している。紙の製造に係る工程設備には、パルパー工程設備、クリーナ工程設備、プレス・ドライヤー工程設備、貼り合せ工程設備等がある。
【0022】
紙の製造工程は、パルプが溶けている液を、紙すきのように薄い状態にし、その後、加熱されたローラーを通して水分を蒸発させて最終的に紙にするという工程である。この工程は、段ボールやトイレットペーパーの製造においても同様である。
また、プレス・ドライヤー工程設備は、直径3−5m程度の大きなローラー一つだけを備える乾燥装置を含み、紙を乾燥させるものと、2m程度の多数のローラーを備える乾燥装置を含み、紙を乾燥させるものとがある。ローラーの内部には、ユーティリー設備で生成された高温の蒸気が導入され、加熱される。プレス・ドライヤー工程設備には、エネルギーが蒸気の形で投入される。プレス・ドライヤー工程設備に投入されたエネルギーは、紙の乾燥エネルギーと、ドライヤーから大気へ放散される熱、ドライヤーでの歩留まり落ちした紙への熱となって分散される。
【0023】
図8に示されているパルパー工程設備についてのエネルギー収支について説明する。
表示領域701は、パルパー工程設備に投入されるエネルギー等を示す表示領域である。表示領域701の下段には、投入エネルギー入力シートでパルパー工程設備に投入するエネルギーとして指定された値が表示される。
図8の例では、パルパー工程設備に投入されるエネルギーは、6766GJとなる。
【0024】
表示領域702は、パルパー工程設備内で有効に活用されるエネルギー等を示す表示領域である。表示領域702の下段には、パルパー工程設備内で有効に活用されるエネルギーが表示される。エネルギーフロー算定部201は、設備で有効に活用されるエネルギーの値を、設備に投入されたエネルギーの値から、設備でのエネルギーロスの値を引くことで求める。
図8の例では、パルパー工程設備において投入されたエネルギーは、6766GJである。また、歩留り落ちしたマテリアルと共にエネルギーロスは、1701GJであり、その他のエネルギーロスは、406GJである。そのため、パルパー工程設備に投入されたエネルギーのうち、パルパー工程設備内で有効に活用されたエネルギーは、6766−1701−406=4659GJとなる。
工程設備内において有効に活用されたエネルギーは、次の工程設備に対して、マテリアルと共に投入されることとなる。そのため、例えば、クリーナ工程設備に投入されるエネルギーは、投入エネルギー入力シートに指定された値とパルパー工程設備内で有効に活用されたエネルギーとの合計となる。
図8の例では、クリーナ工程設備に投入されるエネルギーは、投入エネルギー入力シートにクリーナ工程設備への投入エネルギーとして指定された1497GJと、パルパー工程設備からマテリアルと共に投入された4659GJと、の合計の6156GJとなる。
【0025】
また、エネルギーフロー算定部201は、マテリアル入力シートから、工程設備毎に、投入されるマテリアルの量を取得することができる。エネルギーフロー算定部201は、マテリアル入力シートから投入設備毎に取得した投入されるマテリアルの量及び歩留りに基づいて、以下の処理を行うことができる。即ち、エネルギーフロー算定部201は、工程設備毎に、新たに投入されるマテリアルの量と、次の工程設備へ受け渡すマテリアルの量と、歩留り落ちしたマテリアルの量と、を取得することができる。
例えば、エネルギーフロー算定部201は、マテリアル入力シートから取得した工程設備に投入されるマテリアルの量を、工程設備に新たに投入されるマテリアルの量として取得する。エネルギーフロー算定部201は、マテリアル入力シートから取得した工程設備に投入されるマテリアルの量と、マテリアル入力シートから取得した歩留りと、の積を、次の工程設備へ受け渡すマテリアルの量として取得する。エネルギーフロー算定部201は、マテリアル入力シートから取得した工程設備に投入されるマテリアルの量から、次の工程設備へ受け渡すマテリアルの量を引いた値を、歩留り落ちしたマテリアルの量として取得する。
【0026】
エネルギーフロー算定部201は、投入されるマテリアルの量、次の工程設備へ受け渡すマテリアルの量、をそれぞれ、投入されるエネルギー、工程設備内で有効に活用されるエネルギーと対応付けて、エネルギーフロー図内に表示することができる。また、エネルギーフロー算定部201は、歩留り落ちしたマテリアルの量を歩留り落ちにより発生したエネルギーロスと対応付けて、エネルギーフロー図内に表示することができる。
表示領域701の上段は、パルパー工程設備に投入されるマテリアルの量を示している。表示領域702の中段は、パルパー工程設備で有効に利用され、次のクリーナ工程設備に投入されるマテリアルの量を示している。表示領域703の上段は、パルパー工程設備で歩留り落ちしたマテリアルの量を示している。
以上のように、エネルギーフロー算定部201は、それぞれの設備毎のエネルギー収支と対応付けて、工程設備間のマテリアルの流れをエネルギーフロー図内に表示することができる。それにより、ユーザは、工程設備間でのマテリアルの流れとエネルギー使用量との関係を容易に把握することができる。
【0027】
表示領域703は、パルパー工程設備で歩留り落ちしたマテリアルと共に発生したエネルギーロス等を示す表示領域である。表示領域703の下段には、歩留り落ちしたマテリアルと共に発生したエネルギーロスの値が表示される。
図8の例では、パルパー工程設備で歩留り落ちしたマテリアルと共に発生したエネルギーロスは、1701GJとなる。
表示領域704は、パルパー工程設備でのエネルギーロス等を示す表示領域である。表示領域701の上段には、エネルギーロス入力シートでパルパー工程設備でのエネルギーロスとして指定された値が表示される。
図8の例では、パルパー工程設備でのエネルギーロスは、406GJとなる。
S301の処理により、エネルギーフロー算定部201は、ユーザによる各設備でのエネルギー収支の把握を容易にすることができる。ユーザは、どの設備でエネルギーロスが多いか、どの設備が投入エネルギーに対してエネルギーロスの割合が多いか、等を容易に把握できるようになる。
【0028】
S302において、管理標準管理支援部202は、ユーザによる入力装置107を介した操作に基づいて、S301で表示されたエネルギーフロー図内の設備の表示領域が選択された場合、選択された設備の管理標準シートを、表示装置108に表示する。本実施形態では、設備それぞれについての管理標準シートは、補助記憶装置103に保管されている。
図9は、S302でボイラ設備が選択された場合に表示装置108に表示されるボイラ設備の管理標準シートの一例を示す図である。
図9の管理標準シートには、管理対象の項目と、管理対象の項目に対応する省エネ要素がリストアップされている。管理対象の項目は、「燃料の燃焼」、「加熱及び冷却」等、設備内で発生するエネルギーを消費する現象である。管理対象の項目「燃料の燃焼」に対応する省エネ要素には、「空気比」、「燃焼装置及び排ガス設定」等がある。
図9の管理標準シートの管理基準は、対応する省エネ要素の標準的な設定値を例示している。
【0029】
「空気比」とは、ガス等が燃焼する際に必要な理論的な空気量に対して、実際に利用される空気量が何倍かであるかを示す指標である。「空気比」の値が低い方が、ボイラ設備は、無駄な空気を加熱せずに済み、その分消費するエネルギーを抑えることができる。そのため、「空気比」は、低い方が望ましいが、失火のおそれもあるため、理論的に必要な量よりも高い値にセットされている場合がある。
管理標準管理支援部202は、S302で、予め管理すべき項目及び管理すべき項目に対応する省エネ要素がリストアップされている管理標準シートを表示する。それにより、ユーザは、考慮すべき管理対象の項目及び省エネ要素を漏れなく把握することができるようになる。
【0030】
省エネ法では、設備毎に省エネに関する項目を抜き出し、抜き出した項目ごとに省エネの管理を規定することを求めている。
省エネ法で規定されている省エネに関する項目は、(1)燃料の燃焼、(2)加熱及び冷却、(3)廃熱の回収利用、(4)熱の動力への変換、(5)エネルギー損失の防止、(6)電気への動力・熱への変換の合理化、の六つである。
しかし、設備毎にこのような要素を的確に抜き出すことは、エネルギーの管理者にとって容易ではない。
【0031】
例えば、エネルギーの管理者は、ボイラ設備ではガスの燃焼が行われるので、ボイラ設備から(1)燃料の燃焼という項目を抜き出す必要がある。さらに、エネルギーの管理者は、(1)燃料の燃焼の項目に対応して、空気比の最適化や熱効率の向上という観点から、省エネ要素を規定することが求められる。そのため、エネルギーの管理者が、ボイラ設備の構造やメカニズムを理解していないと、省エネ法に関する項目の抽出及び省エネに関する項目に対応する省エネ要素の規定は、困難である。
管理標準管理支援部202は、予め設備毎に抽出された省エネ法に関する項目及び抽出された項目に対して規定された省エネ要素を含む管理標準シートを、表示装置108に表示することができる。それにより、エネルギーの管理者は、省エネ法に関する項目の抽出及び省エネに関する項目に対応する省エネ要素の規定をすることなく、省エネ法に関する項目及び省エネに関する項目に対応する省エネ要素を把握できる。
【0032】
S302の処理により、管理標準管理支援部202は、ユーザによる各設備についての設定値を変更する省エネ要素の把握を容易にすることができる。S302の処理は、省エネ要素リストアップ処理の一例である。
ユーザは、設備に関する省エネ要素の一覧を見ることで、どのような省エネ要素があるのかを把握し、省エネ要素のうちどれを変更するかの決定を容易にすることができる。
【0033】
S303において、省エネ効果計算部203は、ユーザによる入力装置107を介した操作に基づいて、S302で表示された管理標準シート内の省エネ要素が選択された場合、選択された省エネ要素に応じた省エネ効果計算シートを、表示装置108に表示する。本実施形態では、各省エネ要素に応じた省エネ効果計算シートは、補助記憶装置103に保管されている。
図10は、S303で省エネ要素「空気比」が選択された場合に表示装置108に表示される省エネ効果計算シートの一例を示す図である。
図10の省エネ効果計算シートは、現在の燃料使用量、現在の空気比の設定値、改善後の空気比の値を指定する指定欄(
図10の省エネ効果計算シート中の「空気比(改善後)」の欄)、を含む。ユーザは、入力装置107を介して、「空気比(改善後)」の欄に、設定したい値を指定する。
【0034】
省エネ効果計算部203は、「空気比(改善後)」の欄に値が指定された場合、省エネ効果計算シートに対応する計算ツールに基づいて、以下の処理を行う。即ち、省エネ効果計算部203は、改善後の燃料使用量、現在の燃料使用量からの燃料削減量、現在の燃料使用量を基準とした燃料削減率等の省エネ効果を取得する。現在の燃料使用量からの燃料削減量等のエネルギーの削減量は、省エネ量の一例である。燃料削減率等の現在のエネルギー使用量を基準としたエネルギー削減率は、省エネ率の一例である。
本実施形態では、空気比等の入力から燃料使用量等を計算するロジックが実装された計算ツールのデータが省エネ効果計算シートと対応付けて補助記憶装置103に保管されている。省エネ効果計算部203は、指定された改善後の空気比の値等を、
図10の省エネ効果計算シートに対応する計算ツールに入力し、その計算ツールから出力を取得することで、空気比改善後の燃料使用量、燃料削減量、燃料削減率等の省エネ効果を取得する。それにより、ユーザは、燃料使用量等の計算方法を知らなくても、空気比改善後の燃料使用量、燃料削減量、燃料削減率等の省エネ効果を取得することができるようになる。
【0035】
本実施形態の省エネ効果計算シートに対応付けられている計算ツールは、理論計算のロジックだけでなく、設備の経年劣化の度合いを考慮した計算のロジックを実装したものであってもよい。更に、省エネ効果計算シートに対応付けられている計算ツールは、空気取り入れ口のフィルタの清掃、熱交換器の清掃等のメンテナンス情報を考慮した計算のロジックが実装されていてもよい。それにより、省エネ効果計算部203は、理論値よりも実際の値に近い省エネ効果を計算できるようになる。設備の経年劣化の度合い、メンテナンス情報等は、管理情報の一例である。
図10の例は、空気比を現状の1.30から1.20に低減した場合の省エネ効果を示している。空気比の改善後の燃料削減率は、0.7%である。ボイラ設備の年間燃料消費量が200kLの場合、燃料の削減量は、1.48kLである。また、削減費用は、13.5万円という結果になっている。
【0036】
ボイラ設備の「空気比」の省エネ要素は、ボイラ設備内のバーナーに関する省エネ要素である。冷温水機設備、加熱炉設備等の設備も、ボイラ設備と同様にバーナーを含み、省エネ要素として「空気比」を設定可能である。ボイラ設備の省エネ要素「空気比」についての省エネ効果の算定と、他の設備の省エネ要素「空気比」についての省エネ効果の算定とは、共にバーナーに関する省エネ要素についての省エネ効果の計算であるため、共通の計算ロジックで計算される。
そのため、ボイラ設備の省エネ要素「空気比」に対応する省エネ効果計算シートと、他の設備の省エネ要素「空気比」に対応する省エネ効果計算シートと、は、それぞれ個別の計算ツールと対応付けられているわけでなく、共通の計算ツールと対応付けられている。それにより、情報処理装置100は、不要な計算ツールを保管する必要をなくすことができる。
【0037】
以上、S303の処理により、省エネ効果計算部203は、省エネ要素の設定値を変更した場合の省エネ効果を算出し、表示することができる。それにより、ユーザは、省エネ要素をどの程度変更すると、どの程度の省エネ効果があるのかを容易に把握することができるようになる。
また、本実施形態では、省エネ効果計算部203は、計算した燃料削減量等の省エネ効果を示す情報を、省エネ効果計算シート上に表示することとした。しかし、省エネ効果計算部203は、計算した燃料削減量等の省エネ効果を示す情報を、S301で表示されたエネルギーフロー図の表示に反映することもできる。
【0038】
例えば、省エネ効果計算部203は、ボイラ設備の「空気比」についての省エネ効果計算シート上で空気比を改善した場合の改善後の燃料削減率等の省エネ効果を計算する。エネルギーフロー算定部201は、計算された省エネ効果を反映した設備毎のエネルギー収支を算定し、算定したエネルギー収支を示すエネルギーフロー図を表示することができる。エネルギーフロー算定部201は、計算された省エネ効果に基づいて、ボイラ設備についてのエネルギー投入量、エネルギーロス等を算出し、エネルギーフロー図内に表示することとなる。例えば、エネルギーフロー算定部201は、ボイラ設備への投入エネルギーから、「空気比」改善後の燃料削減率分を差し引いた値を、新たに、ボイラ設備への投入エネルギーとして、ボイラ設備のエネルギー収支を算定する。そして、エネルギーフロー算定部201は、算定したエネルギー収支を示すエネルギーフロー図を、表示装置108に表示することができる。それにより、ユーザは、省エネ要素改善前のエネルギーフロー図と改善後のエネルギーフロー図とを見比べて、省エネ要素の設定値を変更することで、設備全体でどの程度省エネ効果があるのかを把握することができるようになる。
【0039】
以上、本実施形態の処理により、情報処理装置100は、省エネのために、どの設備のどの設定値をどの程度変更すればよいかの情報をユーザに提供することができる。
エネルギーマネジメントシステムの規格であるISO50001には、省エネのステップとして、“データ収集”、“著しい領域の特定”、“改善の機会の特定”を行うべきという条項がある。本実施形態の処理により、情報処理装置100は、ISO50001の条項を満たすことができる。
【0040】
<実施形態2>
実施形態1では、エネルギーフロー算定部201によるエネルギーフロー算定処理の例として、工程設備のエネルギーフローを算定する処理を説明した。本実施形態では、重油、電力、都市ガス、石炭等の一次エネルギーを蒸気、圧縮空気、冷水等の二次エネルギーに変換して工程設備に供給する設備等のユーティリティー設備についてのエネルギーフロー算定処理について説明する。
ユーティリティー設備におけるエネルギー変換及び供給の際に発生したエネルギーロスは、施設全体のエネルギーロスの中で大きな割合を占めている。ユーティリティー設備は、マテリアルの入出力がないため、投入エネルギー量とエネルギーの変換ロス量との二つに基づいて、エネルギーの使用状況が把握できる。
MFCAでは、資源ロスに関するエネルギーロスのみを考慮することができ、ユーティリティー設備で発生したエネルギーロスを考慮することができないため、ユーティリティー設備についてのエネルギーフローを求めることができない。対して、本実施形態では、エネルギーフロー算定部201は、ユーティリティー設備で発生したエネルギーロスを考慮することができるため、ユーティリティー設備についてのエネルギーフローを求めることができる。
【0041】
本実施形態における処理の主体は、実施形態1と同様に情報処理装置100である。本実施形態の処理のうち実施形態1と異なる点について説明する。
S301において、エネルギーフロー算定部201は、以下のような処理を行う。
まず、エネルギーフロー算定部201は、投入エネルギー入力シートを出力I/F105を介して、表示装置108に表示する。ユーザは、入力装置107を介して、表示装置108に表示された投入エネルギー入力シートにユーティリティー設備毎の投入エネルギーの値を指定する。エネルギーフロー算定部201は、投入エネルギー入力シートから、ユーティリティー設備毎の投入エネルギーの値を取得する。
そして、エネルギーフロー算定部201は、エネルギーロス入力シートを出力I/F105を介して、表示装置108に表示する。ユーザは、入力装置107を介して、表示装置108に表示されたエネルギーロス入力シートにユーティリティー設備毎のエネルギーロスの値を指定する。エネルギーフロー算定部201は、エネルギーロス入力シートから、ユーティリティー設備毎のエネルギーロスの値を取得する。
【0042】
エネルギーフロー算定部201は、取得したユーティリティー設備毎の投入エネルギーの値と、ユーティリティー設備毎のエネルギーロスの値と、に基づいて、ユーティリティー設備毎のエネルギーフローを算定する。そして、エネルギーフロー算定部201は、算定したエネルギーフローを示すエネルギーフロー図を、出力I/F105を介して、表示装置108に表示する。
エネルギーフロー算定部201が表示するエネルギーフロー図は、ユーティリティー設備に投入されるエネルギーと、ユーティリティー設備から放出されるエネルギーロスと、を表示するエネルギーフロー図であってもよい。また、エネルギーフロー算定部201は、ユーティリティー設備に投入されるエネルギーのうち、ユーティリティー設備から放出されるエネルギーロスを除いたエネルギーの割合を示す有効率を算出してもよい。その場合、エネルギーフロー算定部201が表示するエネルギーフロー図は、ユーティリティー設備に投入されるエネルギーと、算出した有効率と、を表示するエネルギーフロー図となる。
図11の表示画面1000は、ユーティリティー設備に投入されるエネルギーと、算出した有効率と、を表示するエネルギーフロー図の一例である。
【0043】
以上、本実施形態の処理により、エネルギーフロー算定部201は、ユーティリティー設備のエネルギーフローを示すエネルギーフロー図を表示することができる。それにより、ユーザは、ユーティリティー設備でのエネルギー収支を容易に把握することができる。
【0044】
<実施形態3>
実施形態1では、エネルギーフロー算定部201は、設備毎の投入エネルギー及びエネルギーロスを、エネルギーフロー図内に表示することとした。本実施形態では、エネルギーフロー算定部201は、設備毎の投入エネルギー及びエネルギーロスに基づいて、投入されたエネルギーのうち設備内で有効に利用されたエネルギーの割合である有効率をエネルギーフロー図内に表示する。
本実施形態における処理の主体は、実施形態1と同様に情報処理装置100である。本実施形態の処理のうち実施形態1と異なる点について説明する。
S301において、エネルギーフロー算定部201は、実施形態1と同様に、設備毎に、投入エネルギー及びエネルギーロスを取得する。そして、エネルギーフロー算定部201は、設備毎に、投入されたエネルギーからエネルギーロスを差し引いた分を有効エネルギーとして、投入されたエネルギーのうち有効エネルギーの割合を求めることで、投入されたエネルギーの有効率を求める。エネルギーフロー算定部201は、設備毎に求めた投入されたエネルギーの有効率を示す図形を含むエネルギーフロー図を、出力I/F105を介して、表示装置108に表示する。
【0045】
図11は、エネルギー有効率表示の一例を占めす図である。
図11の例では、エネルギーフロー算定部201は、設備毎に、投入エネルギーの有効率を示すメータオブジェクトを含むエネルギーフロー図の表示画面1000を表示装置108に表示している。メータオブジェクト1001は、圧空設備についての投入エネルギーの有効率を示すオブジェクトである。
図11の例では、圧空設備における投入エネルギーの有効率は、48.6%となっている。エネルギーフロー算定部201は、メータオブジェクト1001内の表示針が48.6%を示すように表示することで、ユーザによる視覚を通じた有効率の把握を容易にしている。
本実施形態では、エネルギーフロー算定部201は、投入エネルギーの有効率を示すオブジェクトとしてメータ表示のメータオブジェクトを表示することで、投入エネルギーの有効率を強調表示することとした。しかし、エネルギーフロー算定部201は、投入エネルギーの有効率を、他の文字よりも大きい文字で表示することで、投入エネルギーの有効率の強調表示を行うこととしてもよい。また、エネルギーフロー算定部201は、投入エネルギーの有効率を他の文字と色の異なる文字で表示することで投入エネルギーの有効率の強調表示を行うこととしてもよい。
【0046】
S302において、管理標準管理支援部202は、ユーザによる入力装置107を介した操作に基づいて、S301で表示されたエネルギーフロー図内の圧空設備の表示領域が選択された場合、圧空設備の管理標準シート1002を表示装置108に表示する。
S303において、省エネ効果計算部203は、ユーザによる入力装置107を介した操作に基づいて、圧空設備の管理標準シート1002内の省エネ要素1003(吸込み空気の温度管理)が選択されたものとして、以下の処理を行う。即ち、省エネ効果計算部203は、省エネ要素1003に対応する省エネ効果計算シート1004を、表示装置108に表示する。
【0047】
省エネ効果計算部203は、「吸込み空気温度(改善)」の欄に「25℃」が指定されたとして、省エネ効果計算シート1004に対応する計算ツールに基づいて、以下の処理を行う。即ち、省エネ効果計算部203は、現状の消費エネルギー、稼働条件、改善後の条件等を計算ツールに入力し、吸込み空気温度を25℃に変更した場合の省エネ効果量、率、投資金額を算出する。省エネ効果計算部203は、削減金額として84千円/年、削減電力量として4452kWh/年等を算出する。
エネルギーフロー算定部201は、算出された削減電力量等をS301で表示されたエネルギーフロー図に反映することができる。エネルギーフロー算定部201は、算出した削減電力量等に基づいて、圧空設備の投入エネルギー、投入エネルギーの有効率等を取得する。そして、エネルギーフロー算定部201は、取得した圧空設備の投入エネルギー、投入エネルギーの有効率等の表示を含むエネルギーフロー図を表示装置108に表示する。
【0048】
メータオブジェクト1005は、吸込み空気温度が改善された場合の圧空設備についての投入エネルギーの有効率を示すオブジェクトである。改善後の圧空設備における投入エネルギーの有効率は、56.1%となっている。エネルギーフロー算定部201は、メータオブジェクト1005内の表示針が56.1%を示すように表示する。
ユーザは、改善前のエネルギーフロー図と改善後のエネルギーフロー図とを見比べて、圧空設備の投入エネルギーの有効率が48.6%から56.1%へ変化するのを視覚的に容易に把握することができるようになる。
【0049】
<実施形態4>
実施形態1、2では、エネルギーフロー算定部201は、設備毎のエネルギー収支を、エネルギーフロー図内に表示することとした。本実施形態では、エネルギーフロー算定部201は、設備毎のエネルギー収支に加えて、設備全体でのエネルギー収支を、エネルギーフロー図に表示する。
本実施形態における処理の主体は、実施形態1、2と同様に情報処理装置100である。本実施形態の処理のうち実施形態1と異なる点について説明する。
S301において、エネルギーフロー算定部201は、実施形態1と同様に、設備毎に、投入エネルギー及びエネルギーロスを取得する。そして、エネルギーフロー算定部201は、それぞれの設備に投入されたエネルギーを合計し、全ての設備に投入されたエネルギーを取得する。また、エネルギーフロー算定部201は、それぞれの設備に投入されたエネルギーロスを合計し、全ての設備のエネルギーロスを取得する。エネルギーフロー算定部201は、取得した全ての設備に投入されたエネルギー及び全ての設備のエネルギーロスを全ての設備についてのエネルギー収支として決定する。
【0050】
エネルギーフロー算定部201は、設備毎のエネルギー収支と全ての設備についてのエネルギー収支とに基づいて、全ての設備についてのエネルギー収支情報を含むエネルギーフロー図を生成する。エネルギーフロー算定部201は、生成したエネルギーフロー図を、出力I/F105を介して、表示装置108に表示する。
図12は、本実施形態で表示されるエネルギーフロー図の一例を示す図である。表示領域1105は、全ての設備の省エネ効果の情報を示す表示領域である。省エネ効果の情報は、投入されるエネルギー、エネルギーロス、ロス率、改善率を含む。エネルギーフロー算定部201は、表示領域1105内に、全ての設備に投入されたエネルギー及び全ての設備のエネルギーロスを表示する。それにより、ユーザは、設備全体でのエネルギー収支の状況を容易に把握することができるようになる。
また、エネルギーフロー算定部201は、S303で、省エネ要素を改善後の省エネ効果を計算した場合、計算した結果を、エネルギーフロー図の表示領域1105の内容に反映することができる。エネルギーフロー算定部201は、もともとの投入エネルギーと比べて改善が反映された後の投入エネルギーがどれほど減少したかを示す投入エネルギーの削減率(改善率)を取得する。そして、エネルギーフロー算定部201は、表示領域1105内に取得した改善率を含むエネルギーフロー図を表示装置108に表示する。それにより、ユーザは、省エネ要素の設定値を変更することで、設備全体でのエネルギー収支にどのような影響が出るかを把握することができるようになる。
【0051】
<実施形態5>
実施形態1〜3では、情報処理装置100は、エネルギー収支を示すエネルギーフロー図を表示することで、省エネのために、どの設備のどの設定値をどの程度変更すればよいかの情報をユーザに提供することとした。本実施形態では、情報処理装置100は、省エネのために、どの設備のどの設定値をどの程度変更すればよいかの情報をユーザに提供するとともに、省エネ計画表を生成する。省エネ計画表とは、実行することを決定された省エネ項目をリストアップした表であり、省エネ計画の結果物として生成されるものである。
本実施形態における処理の主体は、実施形態1、2と同様に情報処理装置100である。本実施形態の処理のうち実施形態1と異なる点について説明する。
本実施形態では、除法処理装置は、機能構成として機能構成要素201〜203に加え、目標設定支援部を含む。
【0052】
S301の処理は、
図4と同様である。目標設定支援部は、ユーザによる入力装置107を介した操作に基づいて、S301で表示されたエネルギーフロー図内の設備の表示領域を選択した場合、以下の処理を行う。即ち、目標設定支援部は、選択した設備に対応する省エネ改善項目選択画面を、出力I/F105を介して、表示装置108に表示する。
図13(A)は、ボイラ設備が選択された場合に表示されるボイラ設備に対応する省エネ改善項目選択画面の一例を示す図である。
図13(A)の省エネ改善項目選択画面は、採用可否の項目と、ボイラ設備に対応する省エネ要素の改善案を示す改善項目と、改善項目に対応する効果の項目と、を含む。
目標設定支援部は、省エネ改善項目の何れかが選択等されて選択された場合、選択された省エネ改善項目に関する省エネ要素に対応する省エネ効果計算シートを、表示装置108に表示する。省エネ効果計算部203は、省エネ効果計算シートで、省エネ要素の改善後の設定値が指定された場合、燃料削減量等の省エネ効果を計算する。目標設定支援部は、省エネ効果計算部203により計算された省エネ効果を取得し、省エネ改善項目選択画面の効果の項目に取得した省エネ効果の値を表示する。
【0053】
目標設定支援部は、ユーザによる入力装置107を介した操作に基づいて、省エネ改善項目選択画面の採用可否の項目に採用が指定された場合、採用を指定された省エネ改善項目を省エネ計画に含む項目として決定する。
図13(A)の例では、目標設定支援部は、「空気比低減による燃料消費量の削減(A重油)」の項目に採用を指定している。目標設定支援部は、省エネ計画に含むことを決定した省エネ改善項目及びそれに対応する効果を含む省エネ計画表を生成する。
図14は、省エネ計画表の一例を示す図である。
図13(A)の例で採用を指定された「空気比低減による燃料消費量の削減(A重油)」の項目及び効果が入力されている。
【0054】
以上、本実施形態の処理により、目標設定支援部は、省エネ改善項目選択画面を介して採用された項目を含む省エネ計画表を生成する。それにより、目標設定支援部は、ユーザによる省エネ計画表の生成の手間を軽減することができる。
本実施形態では、目標設定支援部は、採用可否の項目と、選択された設備に対応する省エネ要素の改善案を示す改善項目と、改善項目に対応する効果の項目と、を含む省エネ改善項目選択画面を表示することとした。しかし、目標設定支援部は、
図13(B)に示すような歩留り改善計画の採用の可否を決定するための省エネ改善項目選択画面を表示することとしてもよい。
【0055】
図13(B)の省エネ改善項目選択画面は、工程設備名称、現状歩留り、歩留り改善率、改善後歩留り、投入エネルギー、歩留り落ちした製品に係るエネルギー、等の項目を含む。
図13(B)の省エネ改善項目選択画面の各行は、対応する工程設備に関する歩留り改善案を示す。例えば、
図13(B)の省エネ改善項目選択画面の一行目は、パルパー工程設備に関する歩留り改善案を示し、10%の歩留り改善を目標とすることを示す。
目標設定支援部は、ユーザによる入力装置107を介した操作に基づいて、省エネ改善項目選択画面の採用可否の項目に採用が指定された場合、採用を指定された歩留り改善案を省エネ計画に含む項目として決定する。そして、目標設定支援部は、省エネ計画に含むことを決定した省エネ改善項目及びそれに対応する効果を含む省エネ計画表を生成する。
それにより、目標設定支援部は、歩留り改善に関する省エネ計画表を生成できることとなる。
以上のように、設備全体でのエネルギーの使用量は、設備の省エネ要素の改善だけでなく、各工程設備での製品歩留まり向上によっても削減する。そのため、情報処理装置100は、
図12のように改善率と歩留まりの変化との対応を視覚化したエネルギーフロー図を表示することにより、工程設備の操業者に歩留まりの効果を認識させ、操業担当の機器に関する省エネの意識を向上させることができる。
【0056】
<その他の実施形態>
実施形態1〜4では、情報処理装置100は、施設内の設備について、それぞれの実施形態の処理を行うこととした。情報処理装置100は、工場等の施設よりも含まれる設備の少ないビル等の施設について、それぞれの実施形態の処理を行う場合、以下の効果を奏することができる。ビル等には一般に工程設備が含まれないため、情報処理装置100は、マテリアルの収支を取得、表示する必要がなく、工程設備を含む工場等の場合と比べて簡易なエネルギーフロー図を生成できる。そのため、ユーザは、工場等の場合と比べて、より容易に省エネ要素を改善するべき設備を特定することができる。
省エネ法は、事業者に毎年1%のエネルギー削減を要望している。実施形態1〜4の処理により、エネルギーの管理者は、省エネ法で要望されている目標を達成するために各設定値を変更することを繰り返し、目標達成の定量的な手段を得ることができる。