(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般に、カーエアコン等を構成するヒートポンプシステム200は、
図11に例示される如くに、圧縮機210、室外熱交換器220、室内熱交換器230、膨張弁260、四方切換弁240等に加えて、アキュームレータ250を備えている。
【0003】
かかるシステム200においては、冷房運転と暖房運転の切り換え(流路切換)を四方切換弁240で行うようにされ、冷房運転時には、
図11(A)に示される如くのサイクルで冷媒が循環され、このときは室外熱交換器220が凝縮器として働くとともに、室内熱交換器230が蒸発器として働く。一方、暖房運転時には、
図11(B)に示される如くのサイクルで冷媒が循環され、このときは室外熱交換器220が蒸発器として働くとともに、室内熱交換器230が凝縮器として働く。どちらの運転時にも、アキュームレータ250には、蒸発器(室内熱交換器230又は室外熱交換器220)から低温低圧の気液混成状態の冷媒が四方切換弁240を介して導入される。
【0004】
アキュームレータ250としては、例えば特許文献1等に所載のように、流入口及び流出口が設けられた蓋部材によりその上面開口が気密的に閉塞された有底円筒状のタンク、このタンクの内径より小径の笠状ないし逆立薄鉢状の気液分離体、上端部が流出口に連結されて垂下されたインナーパイプとアウターパイプからなる二重管構造の流出管、この流出管(のアウターパイプ)の底部付近に設けられた、液相冷媒及びそれに混入されたオイル(冷凍機油)に含まれる異物を捕捉・除去するためのストレーナ等を有するものが知られている。
【0005】
このアキュームレータ250に導入された冷媒は、前記気液分離体に衝突して放射状に拡散されて液相冷媒と気相冷媒とに分離され、液相冷媒(オイルを含む)はタンク内周面を伝うように流下してタンク下部に溜まるとともに、気相冷媒は流出管におけるインナーパイプとアウターパイプとの間に形成される空間(気相冷媒下送流路)を下降し、インナーパイプ内空間を上昇して圧縮機210の吸入側に吸入されて循環せしめられる。
【0006】
また、液相冷媒と共にタンク下部に溜まるオイルは、液相冷媒との比重や性状の相違等によりタンク底部側に移動していき、流出管を介して圧縮機吸入側に吸入される気相冷媒に吸引されて、ストレーナ(の網目フィルタ)→流出管(アウターパイプ)の底部に形成されたオイル戻し孔→流出管のインナーパイプ内空間を通って気相冷媒と共に圧縮機吸入側に戻されて循環せしめられる。網目フィルタを通る際にはスラッジ等の異物が捕捉され、異物は、循環する冷媒(オイルを含む)から除去される。
【0007】
このように、ストレーナにより異物を捕捉・除去することにより、システムを構成する機器類(圧縮機、四方切換弁、膨張弁等)における摺動部材間に形成される隙間やオリフィス(小孔)等の異物による詰まりなどを防止でき、それによって、作動不良、故障等の発生を抑えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記した如くのアキュームレータにおいては、何らかの要因で、流出管の上部からインナーパイプとアウターパイプとの間に形成される空間(気相冷媒下送流路)に液相冷媒が直接流れ込むことがあり、この場合には、循環する冷媒に異物が混入してしまうおそれがある。
【0010】
上記液相冷媒の流出管への流れ込み(量・頻度)は、液相冷媒の液面高さ位置とアウターパイプの上端(開口)位置との高低差が小さい程多くなる傾向がある。したがって、例えば流出管やタンク等の全高を高くしてアウターパイプの上端(開口)位置を高くすれば、前記液相冷媒の流出管への流れ込み(量・頻度)を低減することができる。しかしながら、その場合には、アキュームレータの(特に全高の)大型化を招いてしまうという問題がある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、流出管内に液相冷媒が流れ込んでも、該液相冷媒に混じる異物を捕捉・除去することができ、もって、大型化を招くことなく循環する冷媒中の異物を可及的に低減できるようにされたアキュームレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成すべく、本発明に係るアキュームレータは、基本的には、流入口及び流出口が設けられたタンクと、前記流出口に連結されて前記タンク内に垂下されたインナーパイプ及び該インナーパイプの外周に配在されたアウターパイプからなる二重管構造の流出管と、該流出管の下端部付近に設けられた、網目フィルタを有するストレーナと、
前記網目フィルタの外端部が結合された円筒状の胴部と、該胴部の下端部に設けられて前記胴部より大径の底板部とを有するストレーナケースと、を備え、
前記ストレーナケースの前記胴部の上部に前記インナーパイプの下端部が連結されるとともに、前記底板部の外周に前記アウターパイプの下端部が連結されることにより、前記インナーパイプと前記アウターパイプとの間に形成される
第1空間と
前記インナーパイプ内
の第2空間との間に前記網目フィルタ
を配在
するとともに、
前記アウターパイプの下端部の開口を前記底板部で覆い、前記ストレーナ
ケース
の前記網目フィルタよりも前記第1空間側に、前記
第1空間と前記タンクの下部空間とを連通させる連通孔が形成されていることを特徴としている。
【0013】
この場合、
好ましくは、
前記連通孔が前記底板部における前記胴部と前記アウターパイプとの間に形成される。
【0014】
更に好ましい形態では、前記ストレーナ
ケースは、前記底板部をタンク底部から浮かせるための台部もしくは支柱部を更に有する。
【0015】
また、
好ましくは、
前記連通孔が前記アウターパイプの側部に形成される。
【0016】
更に好ましい形態では、前記アウターパイプの下端部がタンク底部に載せ置かれる。
【0017】
他の好ましい態様では、前記連通孔の形成部分を外側から覆うように、第二の網目フィルタが配在される。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るアキュームレータでは、流出管の下端部付近に設けられた特定形態のストレーナにより、タンクの下部空間に溜まるオイルを含んだ液相冷媒に混じる異物に加えて、流出管の上部からインナーパイプとアウターパイプとの間に形成される空間に流れ込んだ液相冷媒に混じる異物も捕捉・除去することができるので、アキュームレータの(特に全高の)大型化を招くことなく、循環する冷媒中の異物を効果的に低減することができる。その結果、ヒートポンプシステムを構成する機器類(圧縮機、四方切換弁、膨張弁等)の作動不良、故障等を確実に抑えることができる。
【0019】
また、前記連通孔の形成部分を外側から覆うように、第二の網目フィルタが配在されることにより、タンクの下部空間に溜まるオイルを含んだ液相冷媒に混じる異物を捕捉・除去できるので、前記連通孔の目詰まりを確実に防止できるという効果も得られる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0022】
[第1実施形態]
図1は、本発明に係るアキュームレータの第1実施形態を示す部分切欠正面図、
図3は、第1実施形態のアキュームレータにおけるストレーナ周りを示す要部拡大半断面図である。
【0023】
図示第1実施形態のアキュームレータ1は、前述した
図11に示される如くの、例えば電気自動車用カーエアコンを構成するヒートポンプシステム200におけるアキュームレータ250として用いられるもので、ステンレスあるいはアルミ合金等の金属製の有底円筒状のタンク10を有し、このタンク10の上面開口は、同じ金属製の蓋部材12により気密的に閉塞されている。なお、本実施形態のアキュームレータ1は、例えば、図示のように縦置き、つまり、蓋部材12を上(天)側、タンク10の底部を下(地)側にして設置される。
【0024】
蓋部材12には、流入口15と段付きの流出口16とが並設され、蓋部材12の下側に、タンク10の内径より小径の笠状ないし逆立薄鉢状の気液分離体18が配在され、前記流出口16に流出管30が連結され、流出管30の下端部付近にストレーナ40が設けられている。
【0025】
前記流出管30は、合成樹脂製のインナーパイプ31と、該インナーパイプ31の外周に配在された金属製のアウターパイプ32とからなる二重管構造となっている。
【0026】
インナーパイプ31は、当該アキュームレータ1を組み立てる際(該インナーパイプ31を圧入固定する際)の便宜等を図るべく、上端部が大径とされた段付きの上側薄肉部31aと下側薄肉部31bとを有し、流出口16の段付き下部に、上側薄肉部31aが内嵌固定されて垂下されるとともに、その下側薄肉部31bが、後述するストレーナ40のケース42の胴部42Aにおける内周段差付き上部42aに圧入等により内嵌固定されている。
【0027】
インナーパイプ31における上下の薄肉部31a、31bを除く厚肉部分31cには、
図2にその断面が示されているように、複数(図示例では、等角度間隔で3個)の板状リブ36が半径方向外方に向けて突設されており、この板状リブ36にアウターパイプ32が圧入気味に外挿固定されている。アウターパイプ32の上端は、インナーパイプ31の厚肉部分31cの上端付近に位置せしめられ、板状リブ36の上部は、厚肉部分31cより上方に延設されている。
【0028】
蓋部材12に気液分離体18及びインナーパイプ31を組み付けるにあたっては、インナーパイプ31の上側薄肉部31aを、その弾性を利用して若干窄ませた状態で気液分離体18に設けられた通し穴19に通すと共に流出口16の段付き下部に下側から通して、該上側薄肉部31aを流出口16の段付き下部に圧入気味に内嵌固定する。これにより、前記気液分離体18が前記板状リブ36の上端面と蓋部材12の下端面とに挟持されるようにして保持固定される。
【0029】
一方、前記ストレーナ40は、
図3、
図4を参照すればよくわかるように、合成樹脂製の鍔状部付き有底円筒状のケース42と該ケース42にインサート成形により一体化された円筒状の網目フィルタ45とを有している。網目フィルタ45は、例えば、金網や合成樹脂製のメッシュ材等から作製される。
【0030】
ケース42は、円筒状の胴部42Aと、アウターパイプ32の薄肉下端部がかしめ等により固定された、前記胴部42Aより大径の円形の底板部42Bと、該底板部42Bの下面側中央に下向きに突設された、底板部42Bをタンク底部13から所定高さ位置まで浮かせておくための十字形の台部42Cとを有する。
【0031】
前記円筒状の胴部42Aは、インナーパイプ31の下側薄肉部31bが内嵌固定された内周段差付き上部42aと、この上部42aと底板部42Bとの間に等角度間隔で立設された4本の柱状部42bと、この柱状部42bの上端部と下端部とを含む、所定の肉厚及び帯幅を有する円環帯状の網端埋込部42d、42dとを有している。この上下の網端埋込部42d、42dに、金網等からなる網目フィルタ45の上下の端部がインサート成形時に一体化されて封止され、また、網目フィルタ45における柱状部42b部分もインサート成形時に当該柱状部42bに一体化されて封止されている。言い換えれば、4本の柱状部42bと上下の網端埋込部42d、42dとにより側面視矩形の4つの窓44が画成され、この各窓44部分に網目フィルタ45が張られている。
【0032】
したがって、本実施形態のアキュームレータ1では、インナーパイプ31とアウターパイプ32との間に形成される空間(気相冷媒下送流路)Jとインナーパイプ内空間Iとの間に前記網目フィルタ45が配在されていることになる。
【0033】
そして、ストレーナ40の底板部42Bにおける胴部42Aとアウターパイプ32との間に、インナーパイプ31とアウターパイプ32との間に形成される空間Jとタンク10の下部空間Sとを連通させる連通孔46が形成されている。連通孔46は、前述した従来のアキュームレータにおけるオイル戻し孔に相当し、その孔径はここでは例えば1mm前後に設定されている。
【0034】
このような構成とされたアキュームレータ1においては、従来のものと同様に、蒸発器からの低温低圧の気液混在状態の冷媒が流入口15を介してタンク10内に導入され、導入された冷媒は、気液分離体18に衝突して放射状に拡散されて液相冷媒と気相冷媒とに分離され、液相冷媒(オイルを含む)はタンク10の内周面を伝うように流下してタンク10の下部空間Sに溜まるとともに、気相冷媒は流出管30におけるインナーパイプ31とアウターパイプ32との間に形成される空間J→ストレーナ40の網目フィルタ45→インナーパイプ内空間Iを介して圧縮機210の吸入側に吸入されて循環せしめられる。
【0035】
また、液相冷媒と共にタンク10の下部空間Sに溜まるオイルは、液相冷媒との比重や性状の相違等によりタンク10の底部13側に移動していき、流出管30を介して圧縮機吸入側に吸入される気相冷媒に吸引されて、底板部42Bに設けられた連通孔46→ストレーナ40の網目フィルタ45→インナーパイプ内空間Iを通って気相冷媒と共に圧縮機吸入側に戻されて循環せしめられる。網目フィルタ45を通る際にはスラッジ等の異物が捕捉され、異物は、循環する冷媒(オイルを含む)から取り除かれる。
【0036】
一方、何らかの要因で、液相冷媒が流出管30の上部からインナーパイプ31とアウターパイプ32との間に形成される空間Jに流れ込んだ場合でも、該液相冷媒は、気相冷媒と共に、空間J→ストレーナ40の網目フィルタ45→インナーパイプ内空間Iを介して圧縮機210の吸入側に吸入されて循環せしめられる。そのため、空間Jに流れ込んだ液相冷媒に異物が混じっていても、該異物は網目フィルタ45を通る際に捕捉され、循環する冷媒(オイルを含む)から取り除かれる。
【0037】
このように本実施形態のアキュームレータ1では、流出管30の下端部付近に設けられたストレーナ40により、タンク10の下部空間Sに溜まるオイルを含んだ液相冷媒に混じる異物に加えて、流出管30の上部からインナーパイプ31とアウターパイプ32との間に形成される空間Jに流れ込んだ液相冷媒に混じる異物も捕捉・除去することができるので、アキュームレータの(特に全高の)大型化を招くことなく、循環する冷媒中の異物を効果的に低減することができる。その結果、ヒートポンプシステムを構成する機器類(圧縮機、四方切換弁、膨張弁等)の作動不良、故障等を確実に抑えることができる。
【0038】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態のアキュームレータ2におけるストレーナ周りを示す要部拡大半断面図、
図6は、
図5のV−V矢視線に従う断面図である。
図5、
図6は、第1実施形態のアキュームレータ1の要部を示す
図3、
図4に対応しており、本第2実施形態のアキュームレータ2を示す
図5、
図6には、第1実施形態のアキュームレータ1の各部に対応する部分に共通の符号ないし関連した符号(「’」付き等)が付されている。なお、第2実施形態、及び、後で述べる第3、第4実施形態のアキュームレータ2、3、4における、図示されていない上部の構成は、第1実施形態のアキュームレータ1と基本的には同じである。
【0039】
以下、第1実施形態との相違点を重点的に説明する。
【0040】
図示第2実施形態のアキュームレータ2では、第1実施形態と同様に、インナーパイプ31とアウターパイプ32との間に形成される空間Jとインナーパイプ内空間Iとの間に網目フィルタ45が配在されるとともに、ストレーナ40の底板部42Bにおける胴部42Aとアウターパイプ32との間に、インナーパイプ31とアウターパイプ32との間に形成される空間Jとタンク10の下部空間Sとを連通させる連通孔46’が形成されている。それに加えて、本第2実施形態では、底板部42Cの下面側全面を覆うように、第二の(網目フィルタ45とは別の)網目フィルタ55が配在されている。
【0041】
より詳細には、網目フィルタ55は、従来のアキュームレータにおけるストレーナの役目を担うもので、例えば前記ストレーナ40の網目フィルタ45と同様の素材(金属や合成樹脂等)から作製されて、球冠状に成形されている。底板部42Cの下面側中央には、網目フィルタ55の形状保持用兼底板部42B浮かせ用の十字形の支柱部42D(第1実施形態における台部42Cより小さい)が下向きに突設されている。網目フィルタ55の外周端部と底板部42Bの外周端部とは、アウターパイプ32の薄肉下端部でかしめにより共締め固定されている。
【0042】
なお、網目フィルタ55及び底板部42Bは、それぞれが樹脂で作製されている場合にはこれらの外周端部同士を溶着や接着にて、あるいは、それぞれが金属で作製されている場合にはこれらの外周端部同士を溶接(スポット溶接)にて、予め一体化しておくと、アウターパイプ32の薄肉下端部におけるこれらのかしめ固定を容易に行うことができる。
【0043】
もちろん、網目フィルタ55及び底板部42Bを予め一体的に成型しても良い。この場合、網目フィルタ55及び底板部42Bの一方を金属とし、他方を合成樹脂として、インサート成形等を利用して一体化することも可能である。
【0044】
また、網目フィルタ55の下端部(頂部)は、タンク底部13に当接又はタンク底部13から若干離れた状態でアウターパイプ32に固定されているが、該タンク底部13に圧接気味に載せ置かれて固定されても良い。
【0045】
このような構成とされた第2実施形態のアキュームレータ2においては、オイルを含んだタンク底部13側の液相冷媒は、流出管30を介して圧縮機吸入側に吸入される気相冷媒に吸引されて、まず、第二の網目フィルタ55によりそれに含まれる異物が捕捉・除去された後に、底板部42Bに設けられた連通孔46’→ストレーナ40の網目フィルタ45→インナーパイプ内空間Iを通って気相冷媒と共に圧縮機吸入側に戻されて循環せしめられる。
【0046】
このように、第二の網目フィルタ55が配在されることにより、タンク10の下部空間Sに溜まるオイルを含んだ液相冷媒に混じる異物を捕捉・除去できるので、第1実施形態のアキュームレータ1と略同様な作用効果が得られることに加えて、前記連通孔46’の目詰まりを確実に防止できるという効果も得られる。
【0047】
[第3実施形態]
図7は、第3実施形態のアキュームレータ3におけるストレーナ周りを示す要部拡大半断面図、
図8は、
図7のV−V矢視線に従う断面図である。
図7、
図8は、第1実施形態のアキュームレータ1の要部を示す
図3、
図4に対応しており、本第3実施形態のアキュームレータ3を示す
図7、
図8には、第1実施形態のアキュームレータ1の各部に対応する部分に共通の符号ないし関連した符号(「’’」付き等)が付されている。
【0048】
以下、第1実施形態との相違点を重点的に説明する。
【0049】
図示第3実施形態のアキュームレータ3では、第1実施形態と同様に、インナーパイプ31とアウターパイプ32との間に形成される空間Jとインナーパイプ内空間Iとの間に網目フィルタ45が配在されているが、連通孔の形成位置が第1実施形態のものと異なる。
【0050】
すなわち、本実施形態のアキュームレータ3では、インナーパイプ31とアウターパイプ32との間に形成される空間Jとタンク10の下部空間Sとを連通させる連通孔46’’が、アウターパイプ32の下端部近くの側部に形成され、それに伴い、第1実施形態では存在した台部42Cが無くされており、アウターパイプ32の薄肉下端部(かしめ部)がタンク底部13に当接又はタンク底部13から若干離れた状態で固定されている。ただし、アウターパイプ32の薄肉下端部(かしめ部)は、タンク底部13に圧接気味に載せ置かれて固定されても良い。
【0051】
このような構成とされた第3実施形態のアキュームレータ3においても、第1実施形態のアキュームレータ1と略同様な作用効果が得られる。なお、第3実施形態のアキュームレータ3において、少なくとも前記連通孔46’’部分を覆うように第二の網目フィルタ(ストレーナ)を配在すれば、第2実施形態と同様に、当該連通孔46’’の目詰まりを確実に防止できるという効果も得られる。
【0052】
[第4実施形態]
図9は、第4実施形態のアキュームレータ4におけるストレーナ周りを示す要部拡大半断面図、
図10は、
図9のV−V矢視線に従う断面図である。
図9、
図10は、第2実施形態のアキュームレータ2の要部を示す
図5、
図6に対応しており、本第4実施形態のアキュームレータ4を示す
図9、
図10には、第2実施形態のアキュームレータ2の各部に対応する部分に共通の符号ないし関連した符号(「’」付き等)が付されている。
【0053】
以下、第2実施形態との相違点を重点的に説明する。
【0054】
図示第4実施形態のアキュームレータ4では、ストレーナとアウターパイプの構成が第2実施形態のものとは異なる。すなわち、本第4実施形態のストレーナ40’は、短円筒状あるいは円形枠状のケース42’と、該ケース42’にインサート成形により一体化された円形板状の網目フィルタ45’とからなっている。詳細には、ケース42’は、インナーパイプ31の下側薄肉部31bが内嵌固定された内周段差付き上部42aと、上記円板状の網目フィルタ45’の外周端部がインサート成形時に埋め込まれて封止された胴部42A’とからなっている。
【0055】
また、アウターパイプ32の下端部には、第2実施形態のストレーナ40に備えられていたものと基本的には同じ構成の、やや中央寄りの位置に連通孔46’が形成されるとともに、支柱部42Dが突設された底板部42Bと第二の網目フィルタ55とからなる底部構造体が組み付けられている。詳細には、網目フィルタ55の外周端部と底板部42Bの外周端部とは、アウターパイプ32の薄肉下端部でかしめにより共締め固定されている。なお、アウターパイプ32を合成樹脂製として、底板部42Bを一体成形する(有底のアウターパイプとする)ようにしてもよく、その場合には、前記連通孔46’は有底のアウターパイプ32の底部に形成されることとなる。
【0056】
なお、網目フィルタ55及び底板部42Bはそれぞれ同一の素材(金属や合成樹脂等)で形成されても良いし、異なる素材で形成されても良い。
【0057】
また、網目フィルタ55及び底板部42Bは、それぞれが樹脂で作製されている場合にはこれらの外周端部同士を溶着や接着にて、あるいは、それぞれが金属で作製されている場合にはこれらの外周端部同士を溶接(スポット溶接)にて、予め一体化しておくと、アウターパイプ32の薄肉下端部におけるこれらのかしめ固定を容易に行うことができる。
【0058】
もちろん、網目フィルタ55及び底板部42Bを予め一体的に成型しても良い。この場合、網目フィルタ55及び底板部42Bの一方を金属とし、他方を合成樹脂として、インサート成形等を利用して一体化することも可能である。
【0059】
したがって、本第4実施形態のアキュームレータ4においても、第2実施形態のものと同様に、インナーパイプ31とアウターパイプ32との間に形成される空間Jとインナーパイプ内空間Iとの間に網目フィルタ45’が配在されるとともに、ストレーナ40’の底板部42Bに、インナーパイプ31とアウターパイプ32との間に形成される空間Jとタンク10の下部空間Sとを連通させる連通孔46’が形成されている。それに加えて、前記連通孔46’を外側から覆うように、第二の網目フィルタ55が配在されていることになる。
【0060】
このような構成とされた第4実施形態のアキュームレータ4においても、オイルを含んだタンク底部13側の液相冷媒は、流出管30を介して圧縮機吸入側に吸入される気相冷媒に吸引されて、まず、第二の網目フィルタ55によりそれに含まれる異物が捕捉・除去された後に、底板部42Bに設けられた連通孔46’→円形板状の網目フィルタ45’→インナーパイプ内空間Iを通って気相冷媒と共に圧縮機吸入側に戻されて循環せしめられる。第二の網目フィルタ55を通る際にはスラッジ等の異物が捕捉され、異物は、循環する冷媒(オイルを含む)から取り除かれる。
【0061】
このように、第二の網目フィルタ55が配在されることにより、タンク10の下部空間Sに溜まるオイルを含んだ液相冷媒に混じる異物を捕捉・除去できるので、前記連通孔46’の目詰まりを確実に防止できる。
【0062】
一方、何らかの要因で、液相冷媒が流出管30の上部からインナーパイプ31とアウターパイプ32との間に形成される空間Jに流れ込んだ場合でも、該液相冷媒は、気相冷媒と共に、空間J→円形板状の網目フィルタ45’→インナーパイプ内空間Iを介して圧縮機210の吸入側に吸入されて循環せしめられる。そのため、空間Jに流れ込んだ液相冷媒に異物が混じっていても、該異物は円形板状の網目フィルタ45’を通る際に捕捉され、循環する冷媒(オイルを含む)から取り除かれる。
【0063】
したがって、上記した第1〜第3実施形態と同様な効果が得られる。