特許第6594687号(P6594687)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594687
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】風力発電装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 21/22 20060101AFI20191010BHJP
   F16C 32/04 20060101ALI20191010BHJP
   F03D 3/06 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   H02K21/22 F
   F16C32/04 Z
   F03D3/06 C
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-141165(P2015-141165)
(22)【出願日】2015年7月15日
(65)【公開番号】特開2017-20479(P2017-20479A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2017年10月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】515194203
【氏名又は名称】伊良波 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(74)【代理人】
【識別番号】100069578
【弁理士】
【氏名又は名称】藤川 忠司
(72)【発明者】
【氏名】伊良波 達也
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−154780(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0322095(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 21/22
F03D 3/06
F16C 32/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に沿って延びる中心軸が軸芯となるように固定され、前記中心軸から外周部に向けて放射状となるように巻線コイル又は発電用磁石が配置された固定部材と、
前記固定部材の周囲に前記中心軸が軸芯となるように回転自在に設けられ、前記巻線コイル又は前記発電用磁石に対向するように発電用磁石又は巻線コイルが配置された回転部材と、
前記固定部材の外周部及び前記回転部材の内周部にそれぞれ同極となるように対向して設けられ、前記回転部材を前記固定部材に対して磁気反発力によって浮上させる浮上用磁石と、
前記回転部材の外周部に設けられ、風力を受けることによって前記回転部材を前記固定部材に対して周方向に回転させる羽根部材と、を備え
前記固定部材は、
前記中心軸が軸芯となるように固定される軸部と、
前記軸部の軸方向の中央部に装着固定され前記巻線コイル又は前記発電用磁石が固定される第1固定部と、
前記軸部の軸方向に沿う上端部に固定された第1円板部と、
前記第1円板部の下面側の外縁部から下方に突出する第1円筒部と、
前記軸部の軸方向に沿う下端部に固定された第2円板部と、
前記第2円板部の上面側の外縁部から上方に突出する第2円筒部と、を有し、
前記回転部材は、
前記固定部材の周囲を取り囲むように設けられる筒状部と、
前記第1円板部と対向配置するように、前記筒状部の軸方向に沿う上端部を閉塞する第1蓋部と、
前記第2円板部と対向配置するように、前記筒状部の軸方向に沿う下端部を閉塞する第2蓋部と、を有し、
前記浮上用磁石は、前記第1円板部の外周部及び前記第1蓋部の内周部にそれぞれ同極となるように対向して設けられ、さらに、これらの全てと別体で設けられると共に、前記第2円板部の外周部及び前記第2蓋部の内周部にそれぞれ同極となるように対向して設けられ、さらに、これらの全てと別体で設けられると共に、前記第1円筒部の外周部及び前記筒状部の内周部にそれぞれ同極となるように対向して設けられ、そしてさらに、これらの全てと別体で設けられると共に、前記第2円筒部の外周部及び前記筒状部の内周部にそれぞれ同極となるように対向して設けられてなる風力発電装置。
【請求項2】
前記浮上用磁石の磁力は、前記発電用磁石の磁力よりも小さい請求項に記載の風力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力を利用して発電する風力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の風力発電装置は、鉛直方向に沿って設けられた回転軸と、回転軸の周方向に複数枚取り付けられた羽根とを備え、回転軸の下部には発電機の軸部が一体回転可能に連結されている(特許文献1参照)。この種の風力発電装置では、羽根が風力を受けることによって回転軸が回転し、回転軸の回転に連動して発電機の軸部が回転することによって発電している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−2962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の風力発電装置では、回転軸がボールベアリング等の軸受によって支持されているため、例えば、回転軸が長時間にわたって高速に回転すると、軸受の発熱や摩耗によって、軸受の回転性能が低下することがある。軸受の回転性能が低下すると、回転軸のスムーズな回転が阻害されるため、回転軸の単位時間当たりの回転数が減少し、発電効率が低下するといった問題があった。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みて、発電効率の低下を可及的に抑えることができる風力発電装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための手段を図面の参照符号を付して示せば、請求項1の発明に係る風力発電装置1は、所定の方向に沿って延びる中心軸Cが軸芯となるように固定され中心軸Cから外周部に向けて放射状となるように巻線コイル6又は発電用磁石が配置された固定部材2と、固定部材2の周囲に中心軸Cが軸芯となるように回転自在に設けられ巻線コイル6又は発電用磁石に対向するように発電用磁石7又は巻線コイルが配置された回転部材3と、固定部材2の外周部及び回転部材3の内周部にそれぞれ同極となるように対向して設けられ回転部材3を固定部材2に対して磁気反発力によって浮上させる浮上用磁石4a〜4hと、回転部材3の外周部に設けられ風力を受けることによって回転部材3を固定部材2に対して周方向に回転させる羽根部材5と、を備え
前記固定部材2は、
前記中心軸が軸芯となるように固定される軸部2aと、
前記軸部2aの軸方向の中央部に装着固定され前記巻線コイル又は前記発電用磁石が固定される第1固定部2bと、
前記軸部2aの軸方向に沿う上端部に固定された第1円板部2c1と、
前記第1円板部2c1の下面側の外縁部から下方に突出する第1円筒部2c2と、
前記軸部2aの軸方向に沿う下端部に固定された第2円板部2d1と、
前記第2円板部2d1の上面側の外縁部から上方に突出する第2円筒部2d2と、を有し、
前記回転部材3は、
前記固定部材2の周囲を取り囲むように設けられる筒状部3aと、
前記第1円板部2c1と対向配置するように、前記筒状部3aの軸方向に沿う上端部を閉塞する第1蓋部3bと、
前記第2円板部2d1と対向配置するように、前記筒状部3aの軸方向に沿う下端部を閉塞する第2蓋部3cと、を有し、
前記浮上用磁石は、前記第1円板部2c1の外周部及び前記第1蓋部3bの内周部にそれぞれ同極となるように対向して設けられ(4a,4e参照)、さらに、これらの全てと別体で設けられると共に、前記第2円板部2d1の外周部及び前記第2蓋部3cの内周部にそれぞれ同極となるように対向して設けられ(4c,4g参照)、さらに、これらの全てと別体で設けられると共に、前記第1円筒部2c2の外周部及び前記筒状部3aの内周部にそれぞれ同極となるように対向して設けられ(4b,4f参照)、そしてさらに、これらの全てと別体で設けられると共に、前記第2円筒部2d2の外周部及び前記筒状部3aの内周部にそれぞれ同極となるように対向して設けられ(4d,4h参照)てなることを特徴としている。
【0009】
請求項の発明は、上記請求項1の風力発電装置1において、浮上用磁石4a〜4hの磁力は、発電用磁石7の磁力よりも小さい。
【発明の効果】
【0010】
以下に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。まず、請求項1の発明に係る風力発電装置1では、羽根部材5が風力を受けることによって回転部材3が固定部材2に対して周方向に回転し、回転部材3に配置された発電用磁石7が固定部材2に配置された巻線コイル6に対して回転し、巻線コイル6の磁束が変動することによって巻線コイル6に誘導電流を発生させて発電することができる。さらに、請求項1の発明に係る風力発電装置1は、回転部材3を固定部材2に対して磁気反発力によって浮上させる浮上用磁石4a〜4hを有している。浮上用磁石4a〜4hは、第1円板部2c1の外周部及び第1蓋部3bの内周部にそれぞれ同極となるように対向して設けられ(4a,4e参照)、さらに、これらの全てと別体で設けられると共に、第2円板部2d1の外周部及び第2蓋部3cの内周部にそれぞれ同極となるように対向して設けられ(4c,4g参照)、さらに、これらの全てと別体で設けられると共に、第1円筒部2c2の外周部及び筒状部3aの内周部にそれぞれ同極となるように対向して設けられ(4b,4f参照)、そしてさらに、これらの全てと別体で設けられると共に、第2円筒部2d2の外周部及び筒状部3aの内周部にそれぞれ同極となるように対向して設けられ(4d,4h参照)ている。これにより、回転部材3が固定部材2に対して確実に接触することなく回転する。したがって、回転部材3が長時間にわたって高速に回転したとしても、回転部材3の回転性能を維持できるから、発電効率の低下を可及的に抑えることができる。
さらに、請求項1の発明に係る風力発電装置1は、巻線コイル6が軸部2aの中央部に装着固定される第1固定部2bに固定され、浮上用磁石4a〜4hが、軸部2aの上端部に固定される第1円板部2c1,第1円筒部2c2に固定され、軸部2aの下端部に固定される第2円板部2d1,第2円筒部2d2に固定されるから、浮上用磁石4a〜4hと巻線コイル6とが離間して配置される。したがって、浮上用磁石4a〜4hが巻線コイル6の磁束の変動に影響を及ぼすことがないから、発電効率の低下をさらに抑えることができる。
【0013】
請求項の発明によれば、浮上用磁石4a〜4hの磁力が発電用磁石7の磁力よりも小さいから、浮上用磁石4a〜4hが発電用磁石7の磁束に影響を及ぼすことがなくなり、このため、発電効率の低下をさらに確実に抑えることができる。



【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る風力発電装置を例示する縦断側面図である。
図2】同風力発電装置を例示するA−A断面図である。
図3】同風力発電装置を例示するB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る風力発電装置1の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0016】
風力発電装置1は、図1及び図2に示すように、風力を利用して発電する風力発電装置であって、鉛直方向(図1の上下方向、図2の紙面直交方向)に沿って延びる中心軸Cが軸芯となるように図示しない基台に固定され中心軸Cから外周部に向けて水平方向(図1の左右方向、図2の面方向)に放射状となるように巻線コイル6が配置された固定部材2と、固定部材2の周囲に中心軸Cが軸芯となるように回転自在に設けられ巻線コイル6に対向するように発電用磁石7が配置された回転部材3と、固定部材2の外周部及び回転部材3の内周部にそれぞれ同極となるように対向して設けられ回転部材3を固定部材2に対して磁気反発力によって浮上させる浮上用磁石4a〜4hと、回転部材3の外周部に設けられ風力を受けることによって回転部材3を固定部材2に対して周方向に回転させる羽根部材5と、を備える。
【0017】
固定部材2は、図1に示すように、中心軸Cが軸芯となるように基台に固定される軸部2aと、軸部2aの軸方向の中央部に装着固定され巻線コイル6が固定される第1固定部2bと、軸部2aの軸方向に沿う両端部にそれぞれ装着固定され浮上用磁石4a〜4dが固定される第2,第3固定部2c,2dと、を有する。固定部材2は、金属又は合成樹脂の非磁性体からなる部材である。軸部2aは、内部が中空となる筒状の部材であって、基台に対して垂直に立設している。
【0018】
第1固定部2bは、図1及び図2に示すように、軸部2aと別体で設けられ、軸部2aの軸方向の中央部に、例えば、セレーション結合等の固定手段によって相対移動不能に固定されている。第1固定部2bは、軸部2aの周囲に挿通固定される貫通孔2b1aを中央部に有する円柱状の柱状部2b1と、柱状部2b1の外周面から外方に向けて水平方向に中心軸Cを基準として放射状に複数方向(図2では、8方向)に延びる棒状部2b2と、棒状部2b2の先端部に棒状部2b2の外形よりも大きい外形を有するフランジ部2b3と、を有する。柱状部2bは、中心軸Cが軸芯となるように形成され、貫通孔2b1aの内径が軸部2aの外径と実質的に同一になるように形成された円柱状の部材である。棒状部2b2は、外周部に巻線コイル6が巻回される複数(図2では、8つ)の棒状部材からなる部材であって、それぞれが柱状部2b1の周方向に等配されている。フランジ部2b3は、図1及び図2に示すように、発電用磁石7が対向するように配置され、棒状部2b2に巻回された巻線コイル6の巻端として機能するものである。巻線コイル6は、導電性を有する金属製の線材を棒状部2b2に螺旋状に巻回することにより、中心軸Cから外周部に向けて放射状となるように配置される。また、図示しない電流取出端子に電気的に接続される巻線コイル6の2つの端部を除いて、隣り合う棒状部2b2に巻回された巻線コイル6の端部同士が電気的に接続されている。
【0019】
第2固定部2cは、図1に示すように、軸部2aと別体で設けられ、軸部2aの上端部に、例えば、セレーション結合等の固定手段によって相対移動不能に固定されている。第2固定部2cは、図1に示すように、下面側の中央部が円形に凹むように形成され軸部2aの上端部が固定される凹部2c1aを有する円板部2c1(図3も参照)と、円板部2c1の下面側の外縁部から下方に突出する円筒部2c2(図3も参照)と、を有する。円板部2c1の上面には、図1に示すように、浮上用磁石4aを埋設固定する環状溝2c3が形成され、円筒部2c2の外周面には、浮上用磁石4bを埋設固定する環状溝2c4が形成されている。
【0020】
第3固定部2dは、図1に示すように、軸部2aと別体で設けられ、軸部2aの下端部に、例えば、セレーション結合等の固定手段によって相対移動不能に固定されている。第3固定部2dは、中央部が円形に貫通するように形成され軸部2aの下端部が挿通固定される貫通孔2d1aを有する円板部2d1と、円板部2d1の上面側の外縁部から上方に突出する円筒部2d2と、を有する。円板部2d1の下面には、浮上用磁石4cを埋設固定する環状溝2d3が形成され、円筒部2d2の外周面には、浮上用磁石4dを埋設固定する環状溝2d4が形成されている。
【0021】
回転部材3は、図1に示すように、固定部材2の周囲に設けられる円筒状の筒状部3aと、筒状部3aの軸方向に沿う両端部をそれぞれ閉塞する円板状の第1,第2蓋部3b,3cとを有する。回転部材3は、筒状部3aと第1蓋部3bとが一体成形された有底筒状部材の下面と、第2蓋部3c単体からなる円板部材の上面とが、図示しないねじ結合等の固定手段によって固定され、上面及び下面が閉塞された円筒状部材で構成される。回転部材3は、金属又は合成樹脂の非磁性体からなる部材である。回転部材3は、固定部材2の周囲に中心軸Cが軸芯となるように回転自在に設けられる。
【0022】
筒状部3aは、図1及び図2に示すように、内周部の上下方向の中央部において、第1固定部2bの棒状部2b2に巻回された巻線コイル6の巻端である第1固定部2bのフランジ部2b3に対向するように配置され、内周部の周方向全体に等配された12個の発電用磁石7が固定されている。発電用磁石7は、フェライト磁石、ネオジウム磁石等の板状の永久磁石であって、それぞれの磁極の向きが対向する巻線コイル6の方向に向くように配置されている。また、発電用磁石7は、図2に示すように、隣り合う発電用磁石7の磁極が異なるように配置されている。なお、本実施形態では、複数個(図2では、12個)の発電用磁石7を設けたが、隣り合う発電用磁石7の磁極が異なるように配置すれば、発電用磁石7の数は、これに限定されるものではない。また、本実施形態では、回転部材3の筒状部3aに発電用磁石7を設け、固定部材2の第1固定部2bに巻線コイル6を設けていたが、回転部材3の筒状部3aに巻線コイルを設け、固定部材2の第1固定部2bに発電用磁石を設ける構成にしてもよい。この場合には、固定部材2の軸部2aと、回転部材3の筒状部3aとの間にスリップリングを設け、筒状部3aに設けられた巻線コイルから電流を取り出す構成にしてもよい。
【0023】
筒状部3aは、図1に示すように、内周部の上部において、第2固定部2cの円筒部2c2の外周面の環状溝2c4に埋設固定された浮上用磁石4bに対向する位置に、磁極が浮上用磁石4bの磁極と同一になる浮上用磁石4fを埋設固定するための環状溝3a1が形成されている。筒状部3aは、内周部の下部において、第3固定部2dの円筒部2d2の外周面の環状溝2d4に埋設固定された浮上用磁石4dに対向する位置に、磁極が浮上用磁石4dの磁極と同一になる浮上用磁石4hを埋設固定するための環状溝3a2が形成されている。
【0024】
第1蓋部3bは、図1に示すように、下端部が筒状部3aの上端部と一体成形され、第1蓋部3bの下面において、円板部2c1の上面に形成された環状溝2c3に埋設固定された浮上用磁石4aに対向する位置に、磁極が浮上用磁石4aの磁極と同一になる浮上用磁石4eを埋設固定するための環状溝3b1が形成されている。第2蓋部3cは、図1に示すように、筒状部3a及び第1蓋部3bと別体で形成され、中央部に形成された貫通孔3c2が軸部2aに挿通された状態で上端部が筒状部3aの下端部が固定され、第2蓋部3cの上面において、円板部2d1の下面に形成された環状溝2d3に埋設固定された浮上用磁石4cに対向する位置に、磁極が浮上用磁石4cの磁極と同一になる浮上用磁石4gを埋設固定するための環状溝3c1が形成されている。
【0025】
浮上用磁石4a〜4hは、図1に示すように、フェライト磁石、ネオジウム磁石等の環状の永久磁石であって、具体的には、浮上用磁石4a(図3参照),4c,4e,4gは、板状の永久磁石であり、浮上用磁石4b(図3参照),4d,4f(図3参照),4hは、円筒状の永久磁石である。また、浮上用磁石4a〜4hの磁力は、発電用磁石7の磁力よりも小さくなっている。具体的には、浮上用磁石4a〜4hの磁束密度が、発電用磁石7の磁束密度よりも小さくなっている。これらの磁束密度は、例えば、テスラメータにより測定できる。本実施形態では、浮上用磁石4a〜4hの磁力が発電用磁石7の磁力よりも小さいから、浮上用磁石4a〜4hが発電用磁石7の磁束に影響を及ぼすことがなくなり、このため、発電効率の低下をさらに確実に抑えることができる。なお、浮上用磁石4a〜4hは、永久磁石に限定されるものではなく、励磁コイルに電流を流すことによって磁力が発生する電磁石であってもよい。
【0026】
浮上用磁石4a〜4hは、固定部材2の外周部及び筒状部3aの内周部にそれぞれ同極となるように対向して設けられるとともに、固定部材2の軸方向に沿う外側面及び第1,第2蓋部3b,3cの軸方向に沿う内側面にそれぞれ同極となるように対向して設けられる。浮上用磁石4aは、例えば、磁極が上側に向かってN極であり、浮上用磁石4eは、磁極が下側に向かってN極であって、このため、浮上用磁石4aと浮上用磁石4eとは同極であるから、磁気反発力によって、第1蓋部3bが第2固定部2cに対して上方に浮上する。浮上用磁石4bは、磁極が外周側に向かってN極であり、浮上用磁石4fは、磁極が内周側に向かってN極であって、このため、浮上用磁石4bと浮上用磁石4fとは同極であるから、磁気反発力によって、筒状部3aが第1固定部2bに対して外方に浮上する。浮上用磁石4cは、磁極が下側に向かってN極であり、浮上用磁石4gは、磁極が上側に向かってN極であって、このため、浮上用磁石4cと浮上用磁石4gとは同極であるから、磁気反発力によって、第2蓋部3cが第3固定部2dに対して下方に浮上する。浮上用磁石4dは、磁極が外周側に向かってN極であり、浮上用磁石4hは、磁極が内周側に向かってN極であって、このため、浮上用磁石4dと浮上用磁石4hとは同極であるから、磁気反発力によって、筒状部3aが第3固定部2dに対して外方に浮上する。したがって、浮上用磁石4a〜4hによって、回転部材3が固定部材2に対して浮上する。
【0027】
羽根部材5は、回転部材3の筒状部3aの外周部に筒状部3aと一体成形され、風力を受けることによって回転部材3を固定部材2に対して周方向に回転させる部材である。羽根部材5は、図2及び図3に示すように、水平方向の断面が円弧状となる板状部材であって、複数個(図2では、8個)の板状部材が風力を受ける円弧の向きが同一方向(例えば、平面視で反時計まわりの方向)に向くように周方向に等配される。
【0028】
本発明の風力発電装置1では、羽根部材5が風力を受けることによって回転部材3が固定部材2に対して周方向に平面視で反時計まわりの方向に回転し、回転部材3に配置された発電用磁石7が固定部材2に配置された巻線コイル6に対して回転し、巻線コイル6の磁束が変動することによって巻線コイル6に誘導電流を発生させて発電する。
【0029】
しかして、本発明によれば、上述した実施形態に記載されるように、風力発電装置1は、回転部材3を固定部材2に対して磁気反発力によって浮上させる浮上用磁石4a〜4hを有しているから、回転部材3が固定部材2に対して接触することなく回転する。したがって、回転部材3が長時間にわたって高速に回転したとしても、回転部材3の回転性能を維持できるから、発電効率の低下を可及的に抑えることができる。
【0030】
なお、本発明の風力発電装置1は、風力を受けることが可能な屋内又は屋外に設置され、例えば、家屋、ビル等の屋上に設置されることが好ましい。また、本発明の風力発電装置1は、自動車、二輪車、列車、航空機、船舶等の移動体に設置してもよく、移動体の移動によって発生する風力を受ける構成にしてもよい。さらに、本発明の風力発電装置1により発電した電力は、各種の電気製品を駆動する主電力又は補助電力として使用できる。
【符号の説明】
【0031】
1 風力発電装置
2 固定部材
2a 軸部
2b 第1固定部
2b1 柱状部
2b1a 貫通孔
2b2 棒状部
2b3 フランジ部
2c 第2固定部
2c1 円板部
2c1a 凹部
2c2 円筒部
2c3,2c4 環状溝
2d 第3固定部
2d1 円板部
2d1a 貫通孔
2d2 円筒部
2d3,2d4 環状溝
3 回転部材
3a 筒状部
3a1,3a2 環状溝
3b 第1蓋部
3b1 環状溝
3c 第2蓋部
3c1 環状溝
3c2 貫通孔
4a〜4h 浮上用磁石
5 羽根部材
6 巻線コイル
7 発電用磁石
C 中心軸
図1
図2
図3