特許第6594701号(P6594701)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594701
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】車体後部の補強構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20191010BHJP
【FI】
   B62D25/08 K
【請求項の数】12
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-162152(P2015-162152)
(22)【出願日】2015年8月19日
(65)【公開番号】特開2016-222223(P2016-222223A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年6月4日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0074278
(32)【優先日】2015年5月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】アン、ヨン、ドク
(72)【発明者】
【氏名】キム、テ、スン
(72)【発明者】
【氏名】チャ、ムン、ス
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−084171(JP,A)
【文献】 特開2010−247612(JP,A)
【文献】 特開2010−247610(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2007−0049408(KR,A)
【文献】 特開平11−291947(JP,A)
【文献】 特開2010−285019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00−25/08
B62D 25/14−29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体リアドア開口部の周辺に配置されて、車体後部に結合されるリア補強メンバを含み、
前記リア補強メンバは、車両の高さ方向の上方に開口されるように形成され、
前記車体後部は、
車両の長手方向に沿って延びるように形成され、車両の幅方向に沿って左右両側に配置された左右両側のリアサイドメンバと、
前記左右両側のリアサイドメンバの車両の高さ方向に沿った上面に結合された左右両側のリアショックアブソーバマウンティング補強メンバと、
前記左右両側のリアサイドメンバを車両の幅方向に連結するリアクロスローワー補強メンバと、
前記左右両側のリアショックアブソーバマウンティング補強メンバに一端が結合され、他端は、車両の高さ方向に沿って延びるように形成されて、車両の幅方向に沿って左右両側に配置されたセンタフィラーに結合された、左右両側のクォーターセンタ補強メンバと、
前記左右両側のリアショックアブソーバマウンティング補強メンバに一端が結合され、他端は、車両の長手方向に沿って延びるように形成されて、車両の幅方向に沿って左右両側に配置されたルーフサイドレールメンバに結合された、左右両側のクォーターアッパフィラーメンバと、
前記左右両側のクォーターアッパフィラーメンバを連結するリアクロスアッパ補強メンバと、
を含む、車体後部の補強構造。
【請求項2】
前記リア補強メンバは、車両の高さ方向の上方に開口された「U」字形状に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の車体後部の補強構造。
【請求項3】
前記リアクロスアッパ補強メンバ、前記左右両側のクォーターアッパフィラーメンバ、及び前記左右両側のリアサイドメンバにより、前記車体リアドア開口部が形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の車体後部の補強構造。
【請求項4】
前記リア補強メンバは、その長手方向に沿った両端が前記リアクロスアッパ補強メンバに結合されて、環状構造が形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の車体後部の補強構造。
【請求項5】
前記リア補強メンバの長手方向に沿って所定部位には、2つの第1延長メンバが突出するように形成され、前記2つの第1延長メンバは、前記左右両側のリアショックアブソーバマウンティング補強メンバに結合されることを特徴とする、請求項に記載の車体後部の補強構造。
【請求項6】
前記リア補強メンバの幅方向に沿った左右両側部位に、2つの第2延長メンバが一体に突出して延びるように形成され、前記2つの第2延長メンバは、前記左右両側のリアサイドメンバの車両の長手方向に沿った後方先端部の上面にそれぞれ結合されることを特徴とする、請求項に記載の車体後部の補強構造。
【請求項7】
前記2つの第2延長メンバは、前記2つの第1延長メンバより車両の高さ方向に沿った下部に配置されることを特徴とする、請求項に記載の車体後部の補強構造。
【請求項8】
前記リア補強メンバの幅方向に沿った中央部位には、第3延長メンバが突出して延びるように形成され、前記第3延長メンバは、前記リアクロスローワー補強メンバと連結されることを特徴とする、請求項に記載の車体後部の補強構造。
【請求項9】
前記第1延長メンバ、前記第2延長メンバ、及び前記第3延長メンバは、それぞれ車両の長手方向に沿った前方に突出して形成されることを特徴とする、請求項に記載の車体後部の補強構造。
【請求項10】
前記リア補強メンバの車両の幅方向に沿った中央部位に、第4延長メンバが車両の長手方向に沿った後方に突出するように延びて形成され、前記第4延長メンバにテールゲートラッチが設置されることを特徴とする、請求項に記載の車体後部の補強構造。
【請求項11】
前記第4延長メンバは、前記第3延長メンバと車両の長手方向に沿って同一線上に配置されることを特徴とする、請求項10に記載の車体後部の補強構造。
【請求項12】
前記リア補強メンバは、円形パイプで製作されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の車体後部の補強構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車体後部の補強構造に係わり、より詳しくは、ハッチバックタイプのスペースフレーム車体において、テールゲートが開閉する車体リアドア開口部を補強する、車体後部の補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フレームタイプの車体メンバを互いに連結して車体を構成した、いわゆる、スペースフレーム車体は、車両の長手方向に沿って前方に位置して、エンジンルームを構成する車体前部と、車両の長手方向に沿って中央に位置して、乗客室を構成する車体中央と、車両の長手方向に沿って後方に位置して、トランクルームを構成する車体後部とを含む。
【0003】
エンジンルームが車両の長手方向に沿って後方に位置するミドシップ(midship)車両の車体後部は、車両の長手方向に沿って延びて、車両の幅方向に沿って左右両側に配置されたリアサイドメンバと、車両のルーフ間の空間に多数の車体フレームをトラス構造に連結する形態を取り、前記トラス構造の一部車体フレームは、リアショックアブソーバと連結されている。
【0004】
このようなスペースフレーム車両の車体後部構造において、ハッチバック(hatchback)タイプの場合には、テールゲートが開閉する車体リアドア開口部が備えられるが、この車体リアドア開口部の剛性を適切に補強できる補強構造の開発が必要となった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、スペースフレームタイプの車体後部構造において、テールゲートが開閉する車体リアドア開口部の周辺剛性を適切に補強することにより、テールゲートの円滑な開閉動作、及びテールゲートの安定した閉鎖姿勢を維持できるようにした、車体後部の補強構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態による車体後部の補強構造は、車体リアドア開口部の周辺に配置されて、車体後部に結合されるリア補強メンバを含み、前記リア補強メンバは、車両の高さ方向の上方に開口されるように形成されることができる。
【0007】
前記リア補強メンバは、車両の高さ方向の上方に開口された「U」字形状に形成されることができる。
【0008】
前記車体後部は、車両の長手方向に沿って延びるように形成され、車両の幅方向に沿って左右両側に配置された左右両側のリアサイドメンバと、前記左右両側のリアサイドメンバの車両の高さ方向に沿った上面に結合された左右両側のリアショックアブソーバマウンティング補強メンバと、前記左右両側のリアサイドメンバを車両の幅方向に連結するリアクロスローワー補強メンバと、前記左右両側のリアショックアブソーバマウンティング補強メンバに一端が結合され、他端は、車両の高さ方向に沿って延びるように形成されて、車両の幅方向に沿って左右両側に配置されたセンタフィラーに結合された、左右両側のクォーターセンタ補強メンバと、前記左右両側のリアショックアブソーバマウンティング補強メンバに一端が結合され、他端は、車両の長手方向に沿って延びるように形成されて、車両の幅方向に沿って左右両側に配置されたルーフサイドレールメンバに結合された、左右両側のクォーターアッパフィラーメンバと、前記左右両側のクォーターアッパフィラーメンバを連結するリアクロスアッパ補強メンバとを含むことができる。
【0009】
前記リアクロスアッパ補強メンバ、前記左右両側のクォーターアッパフィラーメンバ、及び前記左右両側のリアサイドメンバにより、前記車体リアドア開口部が形成されることができる。
【0010】
前記リア補強メンバは、その長手方向に沿った両端が前記リアクロスアッパ補強メンバに結合されて、環状構造が形成されることができる。
【0011】
前記リア補強メンバの長手方向に沿って所定部位には、2つの第1延長メンバが突出するように形成され、前記2つの第1延長メンバは、前記左右両側のリアショックアブソーバマウンティング補強メンバに結合されることができる。
【0012】
前記リア補強メンバの幅方向に沿った左右両側部位に、2つの第2延長メンバが一体に突出して延びるように形成され、前記2つの第2延長メンバは、前記左右両側のリアサイドメンバの車両の長手方向に沿った後方先端部の上面にそれぞれ結合されることができる。
【0013】
前記2つの第2延長メンバは、前記2つの第1延長メンバより車両の高さ方向に沿った下部に配置されることができる。
【0014】
前記リア補強メンバの幅方向に沿った中央部位には、第3延長メンバが突出して延びるように形成され、前記第3延長メンバは、前記リアクロスローワー補強メンバと連結されることができる。
【0015】
前記第1延長メンバ、前記第2延長メンバ、及び前記第3延長メンバは、それぞれ車両の長手方向に沿った前方に突出して形成されることができる。
【0016】
前記リア補強メンバの車両の幅方向に沿った中央部位に、第4延長メンバが車両の長手方向に沿った後方に突出するように延びて形成され、前記第4延長メンバにテールゲートラッチが設置されることができる。
【0017】
前記第4延長メンバは、前記第3延長メンバと車両の長手方向に沿って同一線上に配置されることができる。
【0018】
前記リア補強メンバは、円形パイプで製作されることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実施形態による車体後部の補強構造によれば、ほぼ「U」字形状を有するリア補強メンバが、車両の高さ方向に沿って上部に位置して、車両の幅方向に沿って延びたリアクロスアッパ補強メンバと、車両の長手方向に沿って延びるように形成されて、車両の幅方向に沿って左右両側に配置された左右両側のリアサイドメンバを、車両の幅方向に連結するリアクロスローワー補強メンバと、リアショックアブソーバの装着剛性を補強するリアショックアブソーバマウンティング補強メンバとにそれぞれ連結されて、前記リア補強メンバとリアクロスアッパ補強メンバが共に環状構造を形成することにより、車体後部の構造的な剛性を効果的に増大させることができる。
【0020】
また、前記環状構造の内部に、テールゲートが開閉する車体リアドア開口部が備えられて、車体リアドア開口部の周辺が前記環状構造によって補強されることにより、車体リアドア開口部の周辺剛性が増大して、テールゲートの開閉動作が円滑に行われ、テールゲートが安定した閉鎖姿勢を維持することができる。
【0021】
これと同時に、前記リア補強メンバは、円形パイプで形成されて、3次元形状などの形状製作が容易であり、低い製作費用で車体後部を容易に補強することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態による車体後部の補強構造の斜視図である。
図2】本発明の実施形態による車体後部の補強構造の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、添付された例示図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
図1を参照すれば、本発明の実施形態による補強構造が適用される車体後部は、車体フレームメンバが互いに連結されたフレームタイプであって、車両の長手方向に沿って延びるように形成されて、車両の幅方向に沿って左右両側に配置されたリアサイドメンバ10を含むことができる。
【0025】
左右両側のリアサイドメンバ10の車両の高さ方向に沿った各上面には、左右両側のリアショックアブソーバマウンティング補強メンバ30が取り付けられ、左右両側のリアショックアブソーバマウンティング補強メンバ30にはクォーターセンタ補強メンバ40の一端が結合され、クォーターセンタ補強メンバ40の他端は、車両の高さ方向に沿って延びるように形成されて、車両の幅方向に沿って左右両側に配置されたセンタフィラー50に結合される。
【0026】
また、リアショックアブソーバマウンティング補強メンバ30にはクォーターアッパフィラーメンバ60の一端が結合され、クォーターアッパフィラーメンバ60の他端は、ルーフサイドレールメンバ70に結合される。
【0027】
左右両側のリアサイドメンバ10をリアクロスローワー補強メンバ80が連結して、車体後部の構造的な剛性を増大させ、左右両側のクォーターアッパフィラーメンバ60をリアクロスアッパ補強メンバ90が連結して、車体後部の構造的な剛性を増大させるようになる。
【0028】
リアクロスアッパ補強メンバ90、左右両側のクォーターアッパフィラーメンバ60、左右両側のリアサイドメンバ10によって取り囲まれた開口部は、図示されていないテールゲートが開閉する車体リアドア開口部100を形成するようになる。
【0029】
車体リアドア開口部100の周辺部を補強して、車体後部の構造的な剛性を増大させる本発明の実施形態による車体後部の補強構造は、車体リアドア開口部100の周辺部に配置されたリア補強メンバ110を含むことができる。
【0030】
リア補強メンバ110は、一側辺が開口されたほぼ「U」字形状に形成されてもよい。
【0031】
リア補強メンバ110の両端は、リアクロスアッパ補強メンバ90にそれぞれ結合され、リア補強メンバ110の長手方向に沿って所定部位には、2つの第1延長メンバ112が突出するように形成されることができる。
【0032】
2つの第1延長メンバ112は、リアショックアブソーバマウンティング補強メンバ30に結合され、リア補強メンバ110が2つの延長メンバ112を通じてリアショックアブソーバマウンティング補強メンバ30に連結されることができる。
【0033】
2つの第1延長メンバ112は、幅方向に沿った左右両側で対称するように配置され、リア補強メンバ110と共に鋭角を成すように延びて形成されることができる。
【0034】
また、リア補強メンバ110の幅方向に沿って所定部位、すなわち、前記第1延長メンバ112より車両の高さ方向に沿った下部で、幅方向に沿った左右両側部位に2つの第2延長メンバ114が一体に突出して延びるように形成され、2つの第2延長メンバ114は、リアサイドメンバ10の車両の長手方向に沿った後方先端部の上面にそれぞれ結合されることができる。
【0035】
これと共に、リア補強メンバ110の幅方向に沿ったほぼ中央部位には、第3延長メンバ116が突出して延びるように形成されて、リアクロスローワー補強メンバ80と連結されることができる。
【0036】
第1延長メンバ112、第2延長メンバ114、及び第3延長メンバ116は、それぞれ車体後部を構成する各メンバと連結されて、車体後部の車体リアドア開口部100の周辺を補強するようになる。
【0037】
第1延長メンバ112、第2延長メンバ114、及び第3延長メンバ116は、それぞれ車両の長手方向に沿った前方に突出して形成される。
【0038】
第4延長メンバ118は、幅方向に沿ったほぼ中央部位から、車両の長手方向に沿った後方に突出するように延びて形成されることができる。
【0039】
第4延長メンバ118は、第3延長メンバ116と車両の長手方向に沿ったほぼ同一線上に配置されることができる。
【0040】
第4延長メンバ118は、図示されていないテールゲートラッチを装着して支持できるので、テールゲートラッチの装着剛性を増大させて、テールゲートの安定した閉鎖姿勢を維持するのが可能である。
【0041】
リア補強メンバ110は、断面がほぼ円形になる円形パイプで製作できる。
【0042】
リア補強メンバ110を円形パイプで製作すれば、ベンディング工法等による3次元形状の製作が容易になるので、低コストで製作できるという利点がある。
【0043】
以上、本発明は、限定された実施形態と図面を通して説明されたが、本発明はこれに限定されない。本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 リアサイドメンバ
30 リアショックアブソーバマウンティング補強メンバ
40 クォーターセンタレーンポスメンバ
50 センタフィラー
60 クォーターアッパフィラーメンバ
70 ルーフサイドレールメンバ
80 リアクロスローワー補強メンバ
90 リアクロスアッパ補強メンバ
100 車体リアドア開口部
110 リア補強メンバ
図1
図2