(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の高濃度ドレイン領域及び前記第2の高濃度ドレイン領域及び前記第1の低濃度ドレイン領域の一部を含む領域に、前記第1の低濃度ドレイン領域よりも深い位置まで形成された第2の低濃度ドレイン領域を有することを特徴とする請求項1記載の半導体不揮発性メモリ素子。
前記第1のゲート絶縁膜と前記第2のゲート絶縁膜の間であって、前記第1の低濃度ドレイン領域の一部を含む領域の上に、前記第1のゲート絶縁膜及び前記第2のゲート絶縁膜より厚い膜厚を有する絶縁膜を、さらに有することを特徴とする請求項2記載の半導体不揮発性メモリ素子。
前記P型ウェル領域形成工程は、前記ドレイン形成予定領域に前記第1のN型低濃度不純物領域よりも深く拡散された第2のN型低濃度領域を形成する工程を含むことを特徴とする請求項11記載の半導体不揮発性メモリ素子の製造方法。
前記ゲート絶縁膜形成工程は、前記第1のゲート絶縁膜と前記第2のゲート絶縁膜を同時に形成する工程を含む請求項11から14のいずれか1項記載の半導体不揮発性メモリ素子の製造方法。
前記ゲート絶縁膜形成工程は、100から400Åの厚さの多結晶シリコン層を形成し、前記チャネル形成予定領域上の前記多結晶シリコン層のみ除去し、除去されずに残った前記多結晶シリコン層を完全にシリコン酸化膜に変換することで前記第2のゲート絶縁膜を形成する工程を含む請求項11から14のいずれか1項記載の半導体不揮発性メモリ素子の製造方法。
前記ゲート絶縁膜形成工程は、100から1000Åの厚さのシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜を熱酸化法で形成し、前記チャネル形成予定領域上の前記ゲート絶縁膜のみ除去することで前記第2のゲート絶縁膜を形成し、
次に、30から100Åの厚さのシリコン酸化膜を熱酸化法で形成し、前記30から100Åの厚さのシリコン酸化膜の下に1Åから20Åのシリコン窒化膜を、アンモニア雰囲気中において1000℃以上で熱処理する熱窒化法で形成することで前記第1のゲート絶縁膜を形成する工程を含む請求項11から14のいずれか1項記載の半導体不揮発性メモリ素子の製造方法。
前記P型ウェル領域形成工程は、前記ドレイン形成予定領域に前記第1のN型低濃度不純物領域よりも深く拡散された第2のN型低濃度領域を形成する工程を含むことを特徴とする請求項19記載の半導体不揮発性メモリ素子の製造方法。
【背景技術】
【0002】
電子機器に用いられる電子回路は電池などの電源により駆動されるが、この電源の電圧が変動すると電子回路の誤動作や様々な異常現象を引き起こす可能性があるので、電圧を調整し一定電圧を出力したり、電源の変動をモニタリングしたりするようなパワーマネジメントICを電子回路と電源との間に設置し、安定動作を図るのが一般的である。特に近年低電圧化が進むマイコンやCPUなどの半導体集積回路においては、パワーマネジメントICに対し、出力される一定電圧の定電圧性やモニタリングする電圧値などへの高精度化の要求が厳しくなってきている。
【0003】
電源から一定電圧を電気回路に出力するパワーマネジメントICとして、例えば
図3に示す降圧型シリーズレギュレータが挙げられる。
この半導体集積回路においては、グランド端子105と電源端子106の間に印加される電源電圧をPMOS出力素子104及び、抵抗素子102からなる分圧回路103で分圧している。抵抗素子102で分圧した電圧をエラーアンプ101の一入力端子に入力し、基準電圧回路100から生成される一定の基準電圧値と比較してその大小に応じてエラーアンプ101によりPMOS出力素子104の入力電圧を制御し、PMOS出力素子104のソース/ドレイン抵抗を変化させている。結果として出力端子107には、基準電圧回路100の基準電圧値と、分圧回路103の抵抗分圧比に応じた電源電圧依存性のない一定の出力電圧を出力する機能をもつ。この出力電圧は以下の式(1)により計算される。
【0004】
出力電圧=基準電圧値×分圧回路抵抗分圧比 (1)
この出力電圧の調整には抵抗素子102の抵抗値を後に述べる方法で変化させることで分圧回路103の分圧比を変化させ、式(1)に基づいて所望の出力電圧値に設定する。そのため、ターゲットとする出力電圧毎に半導体集積回路の分圧回路に加工・修正が必要となる。
【0005】
また
図4のような、電源電圧が一定電圧になったときに信号を出力する機能をもつ電圧検出器もパワーマネジメントICの1つである。
この半導体集積回路においては、電源端子106から入力される電源電圧を抵抗素子102からなる分圧回路103で分圧した電圧に変換し、基準電圧回路100の基準電圧値とコンパレータ108によって比較し、その大小によって出力端子107から電圧信号を出力するというものである。このような機構により電源電圧を監視し、ある一定の電圧以上もしくは以下になった場合にしかるべき処理を行うために信号を出力するような機能の電圧検出器を実現している。
【0006】
この
図4の例でも抵抗素子102を変化させることで分圧回路103の分圧比を変化させ、(1)式に基づき所望の電圧検出値を設定する。そのため、ターゲットとする出力電圧毎に半導体集積回路の分圧回路に加工・修正が必要となる。
【0007】
半導体集積回路の分圧回路に用いられる抵抗素子には、単結晶シリコン半導体基板に半導体基板と逆導電型の不純物を注入した拡散抵抗や、不純物を注入した多結晶シリコンからなる抵抗などが用いられる。分圧回路の設計においては、抵抗体を複数使用する場合、その長さ・幅・抵抗率は全て同一に設定する。そうする事で形状を決定するエッチング加工プロセス時の形状ばらつきや、不純物注入ばらつきをそれぞれの抵抗素子が等しく受ける事になり、抵抗素子の絶対値はばらついたとしても、抵抗素子同士の抵抗比率を一定に保つ事が出来るためである。
【0008】
図5はこの一定形状・一定抵抗率に基づく一定の抵抗値をもつ抵抗素子を分圧回路内で使用する場合を示している。
図5の201から204の抵抗群のように、単位抵抗素子200を直列接続や並列接続することで様々な抵抗値を実現している。この単位抵抗素子200は先に述べたように、同一形状・同一抵抗率の抵抗素子なので、この抵抗比率の高い単位抵抗素子からなる抵抗群の抵抗比も高精度に保つことができる。
【0009】
また201から204の抵抗群に対しては並列に、例えば多結晶シリコンからなるヒューズ301から304を設置し、外部からレーザー照射によって切断できるようにしている。そしてこのレーザー照射によるヒューズのカット・未カットに応じ、109端子Aから110端子Bの間の抵抗値を必要に応じ変えることができるようにしている。そして110端子Bから111端子Cの間に形成している固定抵抗との分圧比を110端子Bから出力している。
【0010】
以上のように高精度な抵抗比をもつ分圧回路において、多結晶シリコンヒューズをレーザーカットすることにより所望の分圧比を高精度に得ることができ、同一の半導体集積回路を用いながら様々なターゲットの出力電圧をもつ製品を生み出すことが可能となっている。
【0011】
一般的な出力電圧の調整方法は
図2のようになる。
まず、最初に半導体加工工場で仕上がった製品の出力電圧をそのまま測定する(
図2(1))。次にその出力電圧に応じてあらかじめ用意された計算式もしくはデータベースに基づき、分圧回路に設置されている多結晶シリコンヒューズをレーザーで加工し出力電圧のトリミングを行う(
図2(2))。最後に加工した製品の出力電圧を再度測定し、所望の仕様規格に入っているかどうかを確認する(
図2(3))。ここで仕様規格に入っていない製品は出荷しにこととする。これ以外にも、出力電圧をモニタリングしながら抵抗体を徐々に加工していき、所望の出力電圧に達すると加工をやめるオンライントリミング法もある。
図2の方法はオンライントリミング法に対比してオフライントリミング法と呼ぶ。
【0012】
次に
図3、4で同様に使用する基準電圧回路について
図6(1)、(2)を基に説明する。
基準電圧回路は従来最も基本的な回路では、デプレッション型NMOSトランジスタ402とエンハンス型NMOSトランジスタ401から構成される。
図6(1)に示すように、それぞれのトランジスタは、半導体基板1内のP型ウェル領域5上に形成し、ゲート電極6、ゲート絶縁膜9、N型ソース/ドレイン領域12とからなり、それぞれの違いは、ゲート絶縁膜9下に形成する閾値電圧を決定するための不純物領域において、デプレッション型NMOSトランジスタ402においてはN型チャネル不純物領域10が、エンハンス型NMOSトランジスタ401においてはP型チャネル不純物領域11が形成されているという部分である。そしてそれぞれトランジスタ動作を制御するためのドレイン端子2、ソース端子3、P型ウェル領域の電位を固定するためのボディ端子4を有している。
【0013】
このようなデプレッション型NMOSトランジスタ402とエンハンス型NMOSトランジスタ401を
図6(2)のように、電源端子403とグラウンド端子404間に直列に接続し、電流源であるデプレッション型NMOSトランジスタ402から一定電流を出力し、負荷素子となるエンハンス型NMOSトランジスタ401のドレイン端子2に入力することで、エンハンス型NMOSトランジスタ401のドレイン端子に発生する電圧を一定電圧として基準電圧出力端子405に出力する。(例えば、特許文献1参照)
このときの基準電圧回路から出力される一定電圧は、デプレッション型NMOSトランジスタの閾値電圧及びトランスコンダクタンスをVtd、Ktd、エンハンス型NMOSトランジスタの閾値電圧及びトランスコンダクタンスをVte,Kteとすると下式(2)のようになる。
【0014】
基準電圧回路定電圧=√(Ktd/Kte)×|Vtd| + Vte (2)
すなわち、式(1)の出力電圧に生ずるばらつきは、基準電圧回路から出力される定電圧を決定する各パラメータがばらつくことに起因している。そして、分圧回路の抵抗分圧比の調整によりこのばらつきを吸収している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下にこの発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、
図8、
図9により、上記
図3、
図4に示した従来の半導体集積回路に本発明を適用した実施例を示す。
図8、
図9に示すように、基準電圧回路100に外部から印加電圧・電流を入力できる調整入力端子112を加えた。この基準電圧回路内の特定素子を半導体不揮発性メモリ素子に置き換え、この半導体不揮発性メモリ素子は、調整入力端子112への外部からの入力電圧・電流に従い、閾値電圧を変化させることができる。
【0022】
そこで、次に出力電圧を調整する方法を、
図1を用いて説明する。
まず半導体加工工場で仕上がった製品の出力電圧をそのまま測定する(
図1(1)の工程)。
【0023】
次に基準電圧回路内の半導体不揮発性メモリ素子へ調整入力端子を介して電圧・電流を印加し、半導体不揮発性メモリ素子の閾値電圧を変化させる(
図1(2)の工程)。
図8、
図9のような構成の半導体集積回路では、基準電圧回路から出力する基準電圧値が変化すれば(1)式に従い出力電圧も比例して変化するので、調整入力端子への電圧・電流印加量と出力電圧量は比例する。
【0024】
その後出力電圧を測定し、その出力電圧が製品に求められる公差仕様規格外であれば
図1(2)の工程に戻り、半導体不揮発性メモリ素子への電圧・電流印加を再開する。この際、初期の出力電圧値をあらかじめ仕様規格外になるよう基準電圧回路の基準電圧値を設定し、半導体不揮発性メモリ素子へ徐々に電圧・電流を+あるいは−の一方向へ印加することで仕様規格に近づける方法が調整しやすく好ましい。
【0025】
図1(2)の工程、
図1(3)の工程を繰り返し、出力電圧値が仕様規格内に入った時点で、一連の処理を終える(
図1(4)の工程)。この
図1(2)の工程と(3)の工程は実際には断続的ではなく電気的に連続処理で行えるので、プログラムソフトを作成し自動制御を行えば、仕様規格外の製品を仕様規格内に合わせ込むのは非常に短時間に終えることができる。
【0026】
このような方法を取ることで、従来のような
図2(1)の工程から(3)の工程のようなやり直しの効かない3ステップの工程を、一度の電気的処理で終えることができ、出力電圧の調整方法が簡素化し、大幅な工期短縮を実現することが出来る。さらに、出力電圧を確認しながらのオンライントリミング調整なので、仕様規格外の不良発生を抑制し、歩留まりの向上が期待できる。
【0027】
また従来のレーザーを用いた抵抗加工によるオンライントリミングのような高熱の影響(抵抗の温度係数、再結晶化)を排除することが出来るので、出力電圧誤差やその再調整を懸念する必要がなく、安定的な出力電圧を維持できる。
【0028】
また、この調整方法は製品形態(ウェハー、パッケージ)を問わない電気的な処理なので、仮に製品形態が変わってその影響により特性変動があったとしても、端子を通じて電気的に再調整が可能である。例えば、ウェハー状態で調整した出力電圧が、パッケージ実装後に熱履歴や樹脂応力などの影響で変化し仕様規格外に外れた場合に、パッケージ状態で再度調整し仕様規格内に合わせこむことが可能である。または最終形態のときのみ出力電圧調整を行い、ウェハー状態での調査を省く事で、さらなるテスト頻度の短縮及び工程短縮を行うことも可能である。
また、上記のようなテスト頻度の緩和と共に、レーザートリミング工程も必要としないので、測定装置やレーザー装置などの装置投資抑制効果も高い。
【0029】
さらに、
図8、9の中の抵抗素子102を含む分圧回路103はあえて高精度化する必要はなく、精度が悪くてもそれを含めた形で本発明の方法で出力電圧値を合わせこむことができるので、従来例のような、均一化した複数の抵抗素子の用意や、そのパターンレイアウトの工夫も必要がなく、ヒューズ素子も不要となるので、チップサイズの縮小やレイアウト負荷の減少が見込めるという利点がある。
【0030】
次に本発明を実現する基準電圧回路について
図7(1)、(2)を元に説明する。
図7(2)に示すように基準電圧回路は、入力調整端子406とグラウンド端子404間に直列にデプレッション型NMOSトランジスタ402とエンハンス型NMOSトランジスタ401を接続し、電流源であるデプレッション型NMOSトランジスタ402から一定電流を出力し、負荷素子となるエンハンス型NMOSトランジスタ401のドレイン端子に発生する電圧を一定電圧として基準電圧出力端子405に出力する。
【0031】
ただここでは
図7(1)に示すように、本発明で使用するデプレッション型NMOSトランジスタ402については多結晶シリコンゲート電極を積層し、上層を電圧制御するコントロールゲート電極8、下層は電荷を注入・蓄積するフローティングゲート電極7という構造をとっている。
【0032】
図7(2)のこの回路構成例で入力端子406の電圧を上昇させると、基準電圧出力端子405とグラウンド端子404の間の電圧は常に一定値に固定されるので、その電圧上昇分は入力調整端子406と基準電圧出力端子405の間で負担される。そのため入力端子406の印加電圧上昇に伴いデプレッション型NMOSトランジスタ402のドレイン/ソース間電圧が上昇し、後に述べる方法で電荷をもつキャリア、ここではゲート絶縁膜を介してホールを、電位の低いフローティングゲート電極7に注入し、フローティングゲート電極を正側に帯電させることができる。これはコントロールゲート電極側から見ると、このデプレッション型NMOSトランジスタの閾値電圧が下がることと同等である。その影響でデプレッション型NMOSトランジスタの電流が上昇し、それに合わせて基準電圧出力端子405の電位も上昇する。
【0033】
基準電圧回路の基準電圧値が上昇すると、(1)式に従い、
図8の降圧型シリーズレギュレータの出力電圧が上昇する。すなわち、基準電圧回路入力端子の電圧をコントロールすることにより、降圧型シリーズレギュレータ回路の出力電圧を任意に変更することができる。なお、この例では調整入力端子112は
図6の入力調整端子406に対応している。
【0034】
この場合、半導体不揮発性メモリ素子の閾値電圧は入力調整端子を介した電圧調整によって、マイナス方向に変化するので、(2)式に従い元々マイナス値であるVtdがさらにマイナス側に変化し、その絶対値である|Vtd|の値は大きくなり、基準電圧回路から出力する基準電圧は高くなる方向に変化する。そしてそれに応じて降圧型シリーズレギュレータ回路の出力電圧も高くなる方向に変化させることになるので、入力調整端子による調整前に、本発明の降圧型シリーズレギュレータの出力電圧を要求仕様より低い値になるよう設計しておけば、この入力調整端子による出力電圧調整により、広い範囲の出力電圧要求仕様に対応することができる。
また、この方法で所定のターゲット電圧値への合わせこみが、レーザートリミング工程を介すことなく、電気的制御のみで高精度に行うことができる。
【0035】
図19を基にその具体例を説明する。
図19(1)、(2)で示すグラフにおいて、横軸の値が
図7のような基準電圧回路の入力調整端子406に入力する電圧、縦軸の値がその基準電圧回路を含む
図8のような降圧型シリーズレギュレータの出力端子107から出力される電圧であり、
図19(1)は入力調整端子による調整前の出力電圧特性であり、
図19(2)は調整後の出力電圧特性である。
【0036】
まず入力調整前においては、
図19(1)に示すように、基準電圧回路入力電圧を増加させていくと、基準電圧回路が正常に動作する電圧(a)点までは、入力電圧の増加に応じて出力電圧が上昇し、出力電圧が(1)式で計算される電圧まで達するとその出力電圧は入力電圧(b)点までは一定値に安定化する。ここまでは従来の降圧型シリーズレギュレータと全く変わらない電気的特性である。
【0037】
その後、入力電圧が半導体不揮発性メモリ素子のフローティングゲート電極にキャリアが注入されるに足る充分に高い入力電圧(b)まで達すると、半導体不揮発性メモリ素子へのキャリアの注入が始まり、同時にその半導体不揮発性メモリ素子の閾値電圧が変化する。そのためキャリアの注入量に従い、出力電圧が再び上昇を始める。そして所望の出力電圧(c)点に達した時点で、それ以上の入力電圧印加を止めると、半導体不揮発性メモリ素子へのキャリア注入が停止し、そのキャリアはフローティングゲート電極へ保存される。そして以上の行為を行ったあとの電気特性は
図19(2)のようになる。
【0038】
すなわち、半導体不揮発性メモリ素子へ注入したキャリアの量に応じて、半導体不揮発性メモリ素子の閾値電圧が変化するので、(2)式に従い|Vtd|が高くなり、基準電圧回路定電圧及び(1)式に基づく安定化した出力電圧も(c)の高い値に推移している。この出力電圧も、入力調整端子に(b)点以上の電圧を印加すると再び半導体不揮発性メモリ素子へのキャリア注入が始まり、出力電圧はまた上昇を始める。
【0039】
ここで注意すべき点は、第1に
図19(1)のような出力電圧の調整を可能とするために、入力電圧が(c)に達しても半導体不揮発性メモリ素子が破壊しないよう、充分高いドレイン破壊電圧となるよう素子設計をすることである。
【0040】
また、第2に出力電圧を所望の値に調整した後、実際に製品として使用する際の入力電圧最大値を(b)点よりも充分低い電圧にし、製品使用中に出力電圧が再キャリア注入により変化しないようにすることである。つまり本発明を使用する半導体集積回路装置の動作電圧は必ず(b)点以下の製品仕様とすることが必要である。そのため、個々の製品仕様に合わせた特性の半導体不揮発性メモリ素子を予め用意しておく。
【0041】
同じように
図4の電圧検出回路における基準電圧回路も同様回路で実現することにより、各々の半導体集積回路装置の出力電圧を、基準電圧回路に付属した入力調整端子の電圧コントロールで同様に制御・設定することが可能である。
【0042】
また基準電圧回路においては、電流源となる素子と、負荷となる素子の、上記のような組み合わせを基本動作とするものであれば、どのような構成の回路であっても本発明を応用し適用することが可能であることはいうまでもない。
【0043】
またここで述べている半導体不揮発性メモリ素子とは、ホットキャリア注入によるフローティングゲート電極への電荷の注入、ゲート絶縁膜を介したFNトンネル電流によるキャリアの注入、絶縁膜中に存在する準位にキャリアをトラップさせる方法でなど、キャリアの注入による閾値電圧のシフトが実現できる素子全般を指している。
【0044】
次に本発明に用いる半導体不揮発性メモリ素子の詳細について説明する。
本発明の第1の実施例を示す半導体不揮発性メモリ素子の断面図を
図10に示す。
図10に示された素子は半導体基板1上に形成した7×10
15/cm
3から7×10
16/cm
3程度の不純物濃度のホウ素を含んだP型ウェル領域5内に形成する。そして素子分離として使う数1000Åから2umまでの厚さのLOCOS酸化膜13で囲まれる領域にN型ソース/ドレイン電極とN型チャネル不純物領域とゲート絶縁膜及びゲート電極でデプレッション型NMOSトランジスタを構成している。
【0045】
特徴的なのは、ゲート電極を多結晶シリコンからなるフローティングゲート電極7とコントロールゲート電極8の積層構造にしており、コントロールゲート電極は図示しないが金属配線などによりこのデプレッション型NMOSトランジスタのソース端子と接続し、フローティングゲート電極は、第1のゲート絶縁膜9と第2のゲート絶縁膜14、及び第3のゲート絶縁膜15に囲まれ、電気的な接続を持たない状態になっていることである。
【0046】
このフローティングゲート電極7には、電子やホールなどのキャリアをドレイン端子より第2のゲート絶縁膜14を介して注入する。フローティングゲート電極7にプラスもしくはマイナスのキャリアが注入されると、通常のMOSFETにおけるゲート電極/チャネル領域間に存在する固定電荷と同様、その注入量に応じてこのデプレッション型NMOSトランジスタの閾値電圧が変化する。
【0047】
そしてその注入したキャリアは通常動作時の熱や電気的ストレスでは逃げないような構造条件の下に保持されることで、このデプレッション型NMOSトランジスタの閾値電圧を所望の値に調整し維持することができる。
【0048】
このフローティングゲート電極7にキャリアが注入されてない状態においての閾値電圧はN型チャネル不純物領域10の不純物量に従い、マイナスのある値になるように設定し、ゲート/ソース間電圧が0Vでもドレイン/ソース間に電圧が印加されれば電流が流れるノーマリーオンの状態になるようにしておく。
【0049】
N型ソース/ドレイン領域は12は、1×10
20/cm
3以上のAsやPのN型不純物を注入し低抵抗にすることでソース・ドレイン端子として機能するが、ドレイン端子側は、さらにチャネル不純物領域10との間に、5×10
18/cm
3以上のAsやPのN型不純物を含むN型高濃度不純物領域17と、1×10
17/cm
3以上1×10
18/cm
3以下のAsやPのN型不純物からなる第1のN型低濃度領域18とを有している。
【0050】
この第1のN型低濃度領域18は、ドレイン電圧印加時のドレイン側空乏層伸張による電解緩和とそれによる高耐圧化の役割を担い、N型高濃度不純物領域17はフローティングゲート電極7にキャリアを注入するときの下部電極として利用する。
【0051】
また、N型高濃度不純物領域17の不純物濃度を5×10
18/cm
3にする第1の理由は、フローティングゲート電極へキャリアとしてホールを注入する際、プラスの電圧を印加するN型高濃度領域表面が空乏化し、フローティングゲート電極/N型高濃度領域間の電界が緩和されて注入効率が低下してしまう事を防ぐためである。
【0052】
第2の理由は、同じくフローティングゲート電極へキャリアとしてホールを注入するためにN型高濃度不純物領域に高電圧を印加した際に、N型低濃度領域18からドレイン側に広がってくるドレイン/ウェル間空乏層の伸張を防ぎ、キャリアの注入効率低下を防ぐことである。
【0053】
ところで、N型高濃度不純物領域17とフローティングゲート電極7とは重なり部分16を有しており、その重なり部分に存在する第2のゲート絶縁膜14は、N型チャネル不純物領域10上のゲート絶縁膜9とは異なる厚さを有している。一般的にゲート絶縁膜は、そのMOSFETを含む半導体集積回路の動作電圧に応じて長期信頼性の観点から所定の厚さに設定する。ただ本半導体不揮発性メモリ素子における第2のゲート絶縁膜14はここからフローティングゲート電極にキャリアを注入するのに適した条件で決め、なおかつ動作電圧範囲内において電荷が逃げる事を避けるため、上記の動作電圧における長期信頼性で決まる膜厚以上の厚さを採用する。
そのため、本実施例では、第2のゲート絶縁膜14は、N型チャネル不純物領域10上のゲート絶縁膜9よりも厚さが厚くなっている。
【0054】
また本発明の半導体不揮発性メモリ素子の別の特徴は、半導体不揮発性メモリ素子やそれを含む半導体集積回路装置の特性のアナログ的な調整に特化しており、従来のある一部の素子を置き換えることためのものである。そのため、情報蓄積のためにメモリアレイを構成する事は想定しておらず、メモリアレイ構成時に必要となるアドレスを特定するためのセレクトゲートなどの構造は必要としない。
【0055】
次に本発明の電気的動作の詳細を説明する。
例えば、フローティングゲート電極7の電位は、マイナスの電荷をもつ電子を注入するとマイナス電位に変化する。その場合、このマイナスの電荷に呼応してチャネル領域にプラスの電荷が誘起され、あるいはN型チャネル不純物領域10の電子が減少し、このNチャネル型MOSFETの閾値電圧はプラス側に変化する。
【0056】
一方、フローティング電極7にプラスの電荷をもつホールを注入すると、フローティングゲート電極の電位はプラス側にシフトし、N型チャネル不純物領域10の電子濃度がより濃くなるような状態に変化し、結果としてこのNチャネル型MOSFETの閾値電圧はマイナス側に変化する。
【0057】
本発明の構成はN型チャネル不純物10の存在により、キャリアが注入されてない状態で閾値電圧がマイナスの値を取るデプレッション型NMOSトランジスタであるので、フローティングゲート電極7にドレイン端子にプラス電位を印加し、N型高濃度不純物領域17側からキャリアとしてホールを注入することで、マイナスの閾値電圧をよりマイナスの方向に変化させ、高精度にその閾値電圧を制御する。
【0058】
一般的な半導体不揮発性メモリ素子は、例えば閾値電圧を0V以上もしくは0V以下とするような2値で制御し、その素子を複数組み合わせることで、必要な情報をデジタル的に保持するために用いられる。本発明は、1つの素子のみを用い、フローティング内のキャリアの量でアナログ的に情報を決定し、保持し続ける事が従来の利用方法と異なっている。
【0059】
本発明ではこのような閾値電圧変更機能と、不揮発性の特徴を生かし、顧客への出荷前に本半導体不揮発性メモリ素子に予めキャリアを注入して半導体不揮発性メモリ素子の閾値電圧を調整してその半導体不揮発性メモリ素子を含む半導体集積回路装置の回路特性を所望の値に調整するが、以後、以後顧客での使用動作中にキャリアの出し入れをすることはなく、繰り返し書き換えのための高度な信頼性は第2のゲート絶縁膜には必要としない。
【0060】
本発明においてこのフローティングゲート電極へのキャリアの注入は以下のように行う。まず、キャリアを注入してない状態では、閾値電圧はマイナス値だが本来の狙い値よりも高い(プラス側)値となるようN型チャネル不純物領域10の不純物量を設定しておく。
【0061】
次に、半導体製造工程後の半導体集積回路装置のテスト段階において、ソース電位とコントロールゲート電極電位を共通の低電位とし、ドレイン電位をプラス側高電位に変化させる。この状態でフローティングゲート電位は、第1のゲート絶縁膜9、第2のゲート絶縁膜14、第3のゲート絶縁膜15の膜厚と、コントロールゲート電極、フローティングゲート電極サイズで決まる容量比によって、ドレイン電位とソース電位及びコントロールゲート電極電位の中間の値となるが、上記サイズ及び膜厚を調整することで、ソース電位及びコントロールゲート電極電位に近い低い値になるよう設定し、第2のゲート絶縁膜14にそのドレイン/ソース間電圧のほとんどが印加されるように設計しておく。
【0062】
本デプレッション型NMOSトランジスタ、はコントロールゲート電極8の電位が0Vでも、閾値電圧がマイナス値なのでドレイン電位の上昇に従い、ドレイン電流が流れることになるが、電流特性が非飽和特性領域から飽和特性領域に切り替わった後、ドレイン電位に依存しない一定の飽和電流値に安定化する。そしてN型チャネル不純物領域10内ドレイン側に発生する空乏層端の電位が、ゲート/ソース間電圧と閾値電圧で決まる低い一定値(ピンチオフ電圧)に固定されるので、ドレイン/ソース間電圧とピンチオフ電圧の差分の電圧が第1のN型低濃度不純物領域内に発生する空乏層にかかることになる。この空乏層は、充分に高濃度であるN型高濃度不純物領域17内に及ばないので、N型高濃度不純物領域17の電位は印加しているドレイン端子2に印加しているドレイン電位がそのまま印加されることになり、N型高濃度不純物領域17とコントロールゲート電極8間の電位差を制御することが容易である。
【0063】
この時、第1のN型低濃度不純物領域18の濃度及び平面方向長さを任意に設定することで、N型低濃度不純物領域内に発生する空乏層の広がり量を制御することができ、アバランシェ破壊による印加ドレイン電圧の上限を高めることができる。それによりN型高濃度不純物領域17に印加する電位を高い値に設定することができるので、第2のゲート絶縁膜を厚く設定してもキャリア注入するための電位を確保することができる。
【0064】
例えば、第1のN型低濃度領域18の不純物濃度を1×10
17/cm
3から1×10
18/cm
3までの間とし、チャネル領域からN型高濃度不純物領域17までの平面方向の長さを1.5um以上と設定することで、ドレイン耐圧を20V以上とすることができ、20V以上のキャリア注入電圧を確保することが可能となる。
【0065】
ここで、例えば第2のゲート絶縁膜14の膜厚を400Åとした場合、約20V程度以上の印加電圧でトンネル現象を発生させることができるので、上記ドレイン構造でドレイン電圧を20V以上にすることにより、N型高濃度不純物領域17とフローティングゲート電極7との重なり部分16においてトンネリング現象に基づくプラス電荷のホール注入を実現する。一方、N型チャネル不純物領域10は先に述べたピンチオフ電圧以下となっているので、そのピンチオフ電圧に応じた絶縁膜厚さえ確保していれば、N型チャネル不純物領域10とフローティングゲート電極7との間の第1のゲート絶縁膜9においてトンネリング現象がおきることはない。
【0066】
上記のテスト段階において印加するドレイン電圧は、この本半導体不揮発性メモリ素子を含む半導体集積回路装置の動作電圧より充分高い電圧で行うのが好ましいのは先に述べた通りである。これにより、半導体集積回路装置の動作電圧以内の電源電圧の変動中にフローティングゲート電極へキャリアが注入されてしまう事を防止し、半導体不揮発性メモリ素子の閾値電圧の変動とそれによる半導体集積回路装置の回路特性の変化を抑制することができる。例えば、上記の例であれば半導体集積回路装置の動作電圧は10V以下であることが望ましい。このように動作電圧とキャリア注入電圧の間に充分な電位差(上記の例では20V−10V=10V)を施すために、第2のゲート絶縁膜2の厚さ及び第1のN型低濃度不純物領域条件を設定する事が必要である。
【0067】
フローティングゲート電極に蓄積すべきキャリアの量は、
図19で示したように、ドレイン電圧を徐々に大きくしていく方法で決定することができるが、フローティングゲート電極7に蓄積するホール電荷量はドレイン電圧値とその印加時間の積でも制御できる。先に述べたようにホール電荷の蓄積量に応じて本デプレッション型NMOSトランジスタの閾値電圧がさらにマイナス側にシフトするので、所望の閾値電圧に達するまで高い一定のドレイン電圧を印加し、出力電圧をモニタリングしながらその印加時間で高精度にNチャネル型MOSFETの閾値電圧を調整することも可能である。
【0068】
図11は本発明の第2の実施例を示す半導体不揮発性メモリ素子の断面図である。
図11では
図10の構造に加え、2×10
16/cm
3から2×10
17/cm
3程度の不純物濃度のAsやPからなる第2のN型低濃度不純物領域19を第1のN型低濃度不純物領域18の下に付加している。
図10の場合はN型低濃度不純物領域18の条件にもよるが、ドレイン耐圧を30V程度まで高耐圧する事は容易である。ただ第1のN型低濃度不純物領域18とその下のP型ウェル領域5の空乏層において、第1のN型低濃度不純物領域側への空乏層の伸びが制約され、30V以上の高耐圧化が難しい。そのため、
図11のように第2のN型不純物領域19を付加し、その拡散深さに相当する空乏層の伸びを確保することにより30V以上のドレイン耐圧を獲得することができる。このことはより高い動作電圧の半導体集積回路装置への対応や、動作電圧とトンネリング電圧のより大きなマージン確保に有効である。
【0069】
図12は本発明の第3の実施例を示す半導体不揮発性メモリ素子の断面図である。
図12においては、フローティングゲート電極7と第1のN型低濃度不純物領域18の間に第1のゲート絶縁膜9や第2のゲート絶縁膜14よりも厚い酸化膜を形成している。このような構成を取る事により、ドレイン電圧を上昇させたときに発生する低電位のフローティングゲート電極7と第1のN型低濃度不純物領域18との間の高電界化を緩和することができ、ドレイン耐圧を60V程度まで高耐圧化することができる。
【0070】
この厚い酸化膜13は必要な電界の緩和の程度によって任意の厚さを設定してよく、30Vを越えるドレイン電圧に耐える場合は1000Å以上の厚さが好ましい。また素子分離領域のLOCOS酸化膜と同時に形成することにより、工程の増加を免れることができる。
【0071】
図13は本発明の第4の実施例を示す半導体不揮発性メモリ素子の断面図である。
図13においては、
図12における第2のN型低濃度不純物領域19をソース端子3側方向に、N型チャネル不純物領域10に重なる程度まで延伸している。それに加え、ソース端子を囲むように、第2のN型低濃度不純物領域19よりも不純物濃度が高いP型低濃度不純物領域20を形成している。
【0072】
このP型低濃度不純物領域20は第1のゲート絶縁膜近傍の厚い酸化膜13を越えない領域で、BもしくはBF2を2×10
16/cm
3から2×10
17/cm
3程度の不純物濃度で、第2のN型低濃度不純物領域19の濃度よりも高い濃度で形成する。このように第2のN型低濃度不純物領域19よりもP型低濃度不純物領域20を高濃度にする構成により、ドレイン電圧を高めた場合に発生するチャネル側及びドレイン側の空乏層を、よりドレイン側に延伸させることができ、60V以上のドレイン耐圧を得る必要がある場合に有効となる。
【0073】
これまでの第1から第4までの実施例においては、
図10から13のように、フローティングゲート電極とコントロールゲート電極を、多結晶シリコン層を利用して積層する構造としていたが、2層の多結晶シリコン層を用いるこのような方法はゲート電極面積の増大を抑制し低コスト化が容易であるものの、工程が増加し加工も困難になる。その困難性は例えば、フローティングゲート電極とコントロール電極及びその間の第3の酸化膜を一括加工するときのドライエッチング条件の選定や、マスクとなるレジストのエッチング耐性、段差部に生じる多結晶シリコンストリンガー、高アスペクトゲート電極構造による平坦性の悪化などに伴う様々な弊害などである。
【0074】
図14から17は、このような困難性を克服するために多結晶シリコン層を1層のみ用いて半導体不揮発性メモリ素子を実現する方法であり、
図10から13の構造のそれぞれに対応した構造としている。
まず
図14は、
図10の多結晶シリコンの2層ゲート電極構造を1層にした第5の実施例である。
【0075】
図14(2)及び(3)は平面
図14(1)のA−A’及びB−B’の部分に対応した断面図であり、
図10の2層の積層多結晶シリコン構造をフローティングゲート電極7の1層からなる構造にしたものである。
図14(2)に見られるようにフローティングゲート電極7上には、コントロール電極及び第3のゲート絶縁膜を形成していない。その替わりこのフローティングゲート電極7は
図14(1)のようにチャネル領域外に延伸し、半導体基板内の不純物拡散領域を使用したコントロールゲート電極8と重なるように配置される。半導体基板内の不純物拡散領域を使用したコントロールゲート電極8は電位取り出し部分6を有している。コントロールゲート電極8は例えばN型高濃度不純物領域17の不純物と構造・工程とを兼用してもよく、取り出し部分6はソース/ドレイン領域のN型高濃度不純物と兼用してもよい。
【0076】
また、
図10で用いていたようなフローティングゲート電極とコントロール電極間の第3のゲート絶縁膜15は、フローティングゲート電極と半導体基板内の不純物拡散領域であるコントロールゲート電極間に形成される半導体基板表面の酸化膜で構成する事になり、ここではチャネル領域以外に形成される第1のゲート絶縁膜と同時に形成される酸化膜を用いている。
【0077】
図14の構成は、コントロールゲート電極とフローティングゲート電極の2つの占有面積を半導体集積回路装置内で必要とするので、チップ占有面積の増大とそれによるコストの増加を招くことになる。ただ、本発明は半導体集積回路内に本半導体不揮発性メモリ素子を多数並べるようなメモリアレイのような用途に使用するものではないので占有面積の増加は大きくなく、そのコスト増加は半導体集積回路装置としてはほとんど問題とならない。一方、先に述べたようにプロセスの複雑性・困難性を排除することによる品質の安定化と工程減の効果を享受することができるというメリットがある。
【0078】
また、
図14の構造において、ゲート電位とソース電位及びP型ウェル領域の電圧は金属配線で結線するなどして共通の低電位で使用する回路を採用する場合、
図14(3)のコントロール電極8の不純物はP型高濃度不純物でもよく、さらにはP型ウェル領域5そのままであっても構わない。
【0079】
なぜなら本発明の半導体不揮発性メモリ素子は、N型チャネル不純物領域10の存在によりゲート/ソース間電圧が0Vでもドレイン電圧に応じて電流が流れるノーマリーオン型としている。そのためP型ウェル領域がソース端子と図示しないどこかの金属配線などにより結線されていれば、コントロールゲート電極となる8の不純物拡散がP型でも同じ電位関係となるためである。
【0080】
図15は
図11の多結晶シリコンの2層ゲート電極構造を1層にした第6の実施例であり、その効果は
図14で説明したものと同様である。
図15(2)及び(3)は平面
図15(1)のA−A’及びB−B’の部分に対応した断面図である。
【0081】
また、
図16は
図12の多結晶シリコンの2層ゲート電極構造を1層にした第7の実施例であり、その効果は
図14で説明したものと同様である。
図16(2)及び(3)は平面
図16(1)のA−A’及びB−B’の部分に対応した断面図である。
【0082】
また、
図17は
図13の多結晶シリコンの2層ゲート電極構造を1層にした第8の実施例であり、その効果は
図14で説明したものと同様である。
図17(2)及び(3)は平面
図17(1)のA−A’及びB−B’の部分に対応した断面図である。
【0083】
次に本発明で使用している3種類のゲート絶縁膜について説明する。
まず、発明においてトンネリング現象によりフローティングゲート電極にキャリアを注入する際に用いる第2のゲート絶縁膜については膜厚制御性や膜質安定性が高い熱酸化法によるシリコン酸化膜が望ましい。また半導体製造工程終了後のテスト段階で1回もしくは数回キャリアをフローティングゲートに注入するだけなので、書き換え回数に対する強い耐性を得るための特殊な成膜条件や追加処理は必要としない。一方第2のゲート絶縁膜の膜厚は、半導体製造工程終了後のテスト工程において、半導体集積回路装置に印加される動作電圧より充分高いドレイン電圧印加に対し、所望のトンネル電流値が得られるだけの厚い膜厚に設定する。
【0084】
一方、第1のゲート絶縁膜9及び第3のゲート絶縁膜15は、容量値が高い方が望ましい。それはテスト工程において、ドレイン電圧を印加しフローティングゲート電極にホールを注入する際、第2のゲート絶縁膜に効率的に電圧を印加するため、容量結合で決まるフローティングゲート電極の電位を充分低くするためである。
【0085】
高電位を印加するドレイン端子2と、低電位に設定するコントロールゲート電極8、P型ウェル領域及びそのP型ウェル領域と同電位であるボディ端子4との間の等価容量結合回路は
図18のようになる。これで分かるように、第1及び第3のゲート絶縁膜を高容量とし、絶縁膜厚が厚い低容量の第2のゲート絶縁膜容量との比を大きくすることで、この容量結合の中間電位であるフローティングゲート電圧7が低下し、ドレイン端子2/フローティングゲート電極7間の第2の絶縁膜14に高電圧を印加することができ、トンネリング現象を促進することができる。
【0086】
このため、第1及び第3のゲート絶縁膜は平面的な電極サイズが大きい事が求められる。その方が容量値を高める事ができるためであるが、第2のゲート絶縁膜の平面サイズの10倍以上の面積があれば充分である。
【0087】
また、容量値を高くする目的で、第1及び第3のゲート絶縁膜は極力薄い方が望ましい。フローティングゲート電極、コントロールゲート電極、P型ウェル領域の電位は回路的に同じ低電圧に固定されるので、半導体集積回路装置の動作電圧による絶縁膜厚の制約は働かない。従って熱酸化膜の場合は、フローティング電極内のキャリアの高温環境によるリークを考えると、100から200Å程度の膜厚が望ましい。
【0088】
さらに、高容量の観点から第1及び第3のゲート絶縁膜の比誘電率は高い方が望ましく、シリコン熱酸化膜よりもSiONやSiNさらにはHfO
2などを用いることで実現することができる。シリコン熱酸化膜以外の膜は一般的に、膜界面の特性の不安定性による閾値電圧などの特性変動が大きくなるが、本発明では特性ばらつきが存在しても最終的にはテスト工程での調整で合わせこんでしまうので問題にはならない。
【0089】
また、上記ゲート絶縁膜の薄膜化や高比誘電率膜の採用は、ゲート電極サイズの縮小とそれに伴う低コスト化が実現できる、というメリットがある。さらにこの方法は一般的な下式(3)において、単位面積当たりの容量値Cを増大させることにつながるので、フローティングゲート電極内のキャリアのリークなどによるQの減少に対し、閾値電圧変動量を小さくできるというメリットも併せ持つ。
【0090】
V=Q/C (3)
以上のように本発明の半導体不揮発性メモリ素子を採用することにより、閾値電圧調整が容易で長期安定性が高く、素子特性ばらつきに基づく回路特性ばらつきをテスト工程の電気的調整で吸収できるので高精度の半導体集積回路装置を提供することができる。
【0091】
次に、
図10の第1の実施例の構造の半導体不揮発性メモリ素子を製造するための製造方法を、
図20(1)〜(4)および
図21(5)〜(8)の工程フロー図に基づいて説明する。
【0092】
まず、P型もしくはN型の半導体基板1を用意し、半導体不揮発性メモリ素子の形成領域にBもしくはBF2のP型不純物をイオン注入法で注入後、熱拡散を施しP型ウェル領域5を形成する(1)。
【0093】
この半導体基板1の極性は本発明の半導体不揮発性メモリ素子を構成する半導体集積回路の要望に応じて選ぶことになる。すなわちこのP型ウェル領域の電位が半導体集積回路上の最低電位にならないためにこのP型ウェル領域を電気的に分離したい場合は、N型の半導体基板を用意することが望ましいが、このP型ウェル領域が半導体集積回路上の最低電位である場合は、より安価なP型半導体基板を用いることができる。
【0094】
このP型ウェル領域5の不純物濃度は7×10
15/cm
3から7×10
16/cm
3の間の値で6μmから10μmの深さになるように不純物注入量及び、熱拡散の条件を選ぶ。より詳細には、不純物注入面積密度を1×10
12/cm
2から1×10
13/cm
2、熱拡散を1100℃から1200℃で数時間から10数時間の熱処理とすることで実現する。
【0095】
次に、素子同士を電気的に分離させるためにLOCOS法などを用い、シリコン酸化膜による素子分離領域13をP型ウェル領域5の周囲に形成すると同時に、その素子分離領域に囲まれた半導体不揮発性メモリ素子領域を規定する(2)。
【0096】
次に、本半導体不揮発性メモリ素子のドレイン領域となる予定の領域にAsもしくはPのN型不純物をイオン注入法で注入し、N型高濃度不純物領域17及び第1のN型低濃度不純物領域18を形成する(3)。
【0097】
N型高濃度不純物領域17は、後に電子やホールなどのキャリアを、シリコン酸化膜を介して上部のフローティングゲート電極へトンネリング注入するための下部電極とするが、そのキャリア注入時にプラス側の高電圧を印加する場合に、N型高濃度不純物領域表面の空乏化を抑制するため、5×10
18/cm
3以上の不純物濃度でAsを注入し形成することが望ましい。このときの注入エネルギーは、半導体基板表面の酸化膜を通過できる程度の大きさとし、例えば100keV程度とするのがよい。
【0098】
また、第1のN型低濃度不純物領域18は、所望の値以上のドレイン耐圧を得るために、1×10
17/cm
3以上、1×10
18/cm
3以下の不純物濃度でPを注入し形成することが望ましい。さらに、注入エネルギーを90keV以上と設定することで、先のN型高濃度不純物領域17よりも深い拡散とすることができ、N型高濃度不純物領域17の下のP型ウェル領域5とのPN接合耐圧を高く設定することができる。
【0099】
次に、本半導体不揮発性メモリ素子をノーマリーオンタイプのデプレッション型MOSFETとするために、閾値電圧がマイナスの所望の値となるよう、AsもしくはPのN型不純物をチャネル形成予定領域にイオン注入法で注入し、N型チャネル不純物領域10を形成する(4)。
【0100】
次に、熱酸化法あるいはCVD法などにより、チャネル形成予定領域に100から200Å程度の膜厚の第1のゲート絶縁膜9と、ドレイン形成予定領域に第1のゲート絶縁膜よりも膜厚が厚く、数100Å程度の第2のゲート絶縁膜14とを形成する(5)。
【0101】
2つの膜厚のゲート絶縁膜を形成するには、まず厚い方の第2のゲート絶縁膜を、熱酸化法によるシリコン酸化膜として素子領域全面に形成した後、ドレイン形成予定領域以外の領域の第2のゲート絶縁膜をフォトリソグラフィ技術とHFなどによるエッチング処理を施して除去し、ついで第1のゲート絶縁膜を熱酸化法によるシリコン酸化膜として形成することで実現する。
【0102】
この方法では第2のゲート絶縁膜は、第1のゲート絶縁膜形成時の熱酸化処理にさらされ、第2のゲート絶縁膜を構成するシリコン酸化膜が再成長することになる。ただ第2のゲート絶縁膜は既に厚い膜厚を有しているので、薄いゲート絶縁膜である第1のゲート絶縁膜形成時の熱酸化処理時には、酸素がシリコンまでに到達するスピードが遅くなり、膜厚成長は非常に遅く成長量も少ない。そのため2度の熱酸化処理後の第2のゲート絶縁膜の膜厚は、1度目の熱酸化処理の影響が支配的であり、膜厚予測もしやすい。
【0103】
次に、第1、第2のゲート絶縁膜上に、多結晶シリコン層を堆積し、1×10
19/cm
3以上となるように高濃度の不純物注入をイオン注入法もしくは熱拡散法で行い、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング処理を施して半導体不揮発性メモリ素子のフローティングゲート電極7を形成する。この時、フローティングゲート電極7と第2のゲート絶縁膜はトンネリングによるキャリア注入を行うための重なり部分を設定しておく(6)。
【0104】
次に、半導体不揮発性メモリ素子のフローティングゲート電極上に、第3のゲート絶縁膜15を形成するために熱酸化法あるいはCVD法などにより絶縁膜を堆積する。その後続けて多結晶シリコン層を堆積し、1×10
19/cm
3以上となるように高濃度の不純物注入をイオン注入法もしくは熱拡散法で行い、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング処理を用いてコントロールゲート電極8をパターニング形成する(7)。
【0105】
このとき、上記フローティングゲート電極とコントロールゲート電極とを1つのフォトリソグラフィ及びドライエッチング処理により一括形成してもよい。すなわち、第1、第2のゲート絶縁膜上に、多結晶シリコン層を堆積し、1×10
19/cm
3以上となるように高濃度の不純物注入を、イオン注入法もしくは熱拡散法で行い、続けてそのまま第3のゲート絶縁膜を熱酸化法あるいはCVD法などにより堆積し、さらに続けて多結晶シリコン層を堆積し、1×10
19/cm
3以上となるように高濃度の不純物注入をイオン注入法もしくは熱拡散法で行い、しかる後にフォトリソグラフィ技術及びドライエッチング処理を用いて、コントロールゲート電極8とフローティングゲート電極7を一括パターニングにより形成する。
【0106】
次に、半導体不揮発性メモリ素子のソース/ドレイン領域12を形成するために、AsもしくはPのN型不純物を1×10
20/cm
3以上となるようにイオン注入法で注入する(8)。
ここまでが
図20(1)〜(4)および
図21(5)〜(8)の工程フロー図に基づいた説明である。
【0107】
次に、図示はしないが、全体に酸化膜からなる絶縁膜を堆積し、所定の位置にコンタクトホールを形成した後に、半導体不揮発性メモリ素子のゲート・ソース・ドレイン・ボディの電位を与えるために金属配線の形成を、金属膜のスパッタリング及びパターニングにより行う。
【0108】
なお、
図14により説明した、
図10の多結晶シリコンの2層ゲート電極構造を1層にした第5の実施例で示される構造を製造するには、上記製造方法において
図21(6)の第1、第2のゲート絶縁膜上に、フローティングゲート電極7を形成する工程まで共通である。この後、半導体不揮発性メモリ素子のソース/ドレイン領域12を形成し、同様に製造することができる。コントロールゲート電極8は例えばN型高濃度不純物領域17の不純物と構造・工程とを兼用して製造することが可能である。
【0109】
次に、
図11の第2の実施例の構造の半導体不揮発性メモリ素子を製造するための製造方法を、
図22(1)〜(4)の工程フロー図に基づいて説明する。第2の実施例と第1の実施例の違いは、
図11における第2のN型低濃度不純物領域19の追加なので、
図22もそれに応じて後半の工程を簡略化している。
まず、P型もしくはN型の半導体基板1を用意し、半導体不揮発性メモリ素子の形成領域にP型ウェル領域5と、さらにその内部に第2のN型低濃度不純物領域19を形成する(1)。
【0110】
このP型ウェル領域5はBもしくはBF2のP型不純物を不純物濃度7×10
15/cm
3から7×10
16/cm
3の間の値で6μmから10μmの深さになるように不純物注入量及び、熱拡散の条件を選ぶ。より詳細には、不純物注入面積密度を1×10
12/cm
2から1×10
13/cm
2、熱拡散を1100℃から1200℃で数時間から10数時間の熱処理とすることで実現する。
【0111】
またN型低濃度不純物領域19は、PもしくはAsのN型不純物を不純物濃度2×10
16/cm
3から2×10
17/cm
3の間で、3μmから6μmの深さになるよう不純物注入及び熱拡散条件を選ぶ。この熱拡散は上記P型ウェル領域形成時の熱処理と兼用してもよいし、その後に追加して行っても構わない。
【0112】
次に、図示しないが、素子同士を電気的に分離させるためにLOCOS法などを用い、シリコン酸化膜による素子分離領域13を形成すると同時に、その素子分離領域に囲まれた半導体不揮発性メモリ素子領域を規定する。
【0113】
次に、本半導体不揮発性メモリ素子のドレイン領域となる予定の領域にAsもしくはPのN型不純物をイオン注入法で注入し、N型高濃度不純物領域17及び第1のN型低濃度不純物領域18を形成する(2)。
【0114】
N型高濃度不純物領域17は、5×10
18/cm
3以上の不純物濃度でAsを注入し形成することが望ましく、注入エネルギーは、半導体基板表面の酸化膜を通過できる100keV程度とするのがよい。
【0115】
また、第1のN型低濃度不純物領域18は、1×10
17/cm
3以上、1×10
18/cm
3以下の不純物濃度でPを注入し形成することが望ましい。注入エネルギーを90keV以上と設定することで、先のN型高濃度不純物領域17よりも深い拡散とすることができ、N型高濃度不純物領域17の下のP型ウェル領域5とのPN接合耐圧を高く設定することができる。
その後、先に
図20(4)でも説明したN型チャネル不純物領域の形成、
図21(5)でも説明した第1ゲート絶縁膜及び第2のゲート絶縁膜の形成を行う。
【0116】
次に、再び
図22に戻り、第1、第2のゲート絶縁膜上に、多結晶シリコン層を堆積し、1×10
19/cm
3以上となるように高濃度の不純物注入をイオン注入法もしくは熱拡散法で行い、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング処理を施して半導体不揮発性メモリ素子のフローティングゲート電極7を形成する(3)。
【0117】
次に、
図21(7)でも説明した第3のゲート絶縁膜及びフローティングゲート電極形成を行う。
次に、半導体不揮発性メモリ素子のソース/ドレイン領域を形成するために、AsもしくはPのN型不純物を1×10
20/cm
3以上となるようにイオン注入法で注入する(4)。
【0118】
次に、図示はしないが、全体に酸化膜からなる絶縁膜を堆積し、所定の位置にコンタクトホールを形成した後に、半導体不揮発性メモリ素子のゲート・ソース・ドレイン・ボディの電位を与えるために金属配線の形成を、金属膜のスパッタリング及びパターニングにより行う。
【0119】
なお、
図15により説明した、
図11の多結晶シリコンの2層ゲート電極構造を1層にした第6の実施例で示される構造を製造するには、上記製造方法において
図22(3)の第1、第2のゲート絶縁膜上に、フローティングゲート電極7を形成する工程まで共通である。この後、半導体不揮発性メモリ素子のソース/ドレイン領域12を形成し、同様に製造することができる。コントロールゲート電極8は例えばN型高濃度不純物領域17の不純物と構造・工程とを兼用して製造することが可能である。
【0120】
次に、
図12の第3の実施例の構造の半導体不揮発性メモリ素子を製造するための製造方法を、
図23(1)〜(4)および
図24(5)〜(6)の工程フロー図に基づいて説明する。
【0121】
まず、P型もしくはN型の半導体基板1を用意し、半導体不揮発性メモリ素子の形成領域にP型ウェル領域5と、さらにその内部に第2のN型低濃度不純物領域19及び第1のN型低濃度不純物領域18を形成する。P型ウェル領域5及び第2のN型低濃度不純物領域19は、第2の実施例の製造方法で説明した通りの方法で形成し、第1のN型低濃度不純物領域18はAsもしくはPのN型不純物を1×10
17/cm
3から1×10
18/cm
3までの不純物濃度となるよう調整して形成する。さらにその位置は後に形成する、N型チャネル不純物領域近傍に形成する厚い酸化膜の下を覆うようにあらかじめ形成しておく(1)。
【0122】
次に、LOCOS法により素子同士を電気的に分離させるための素子分離領域13を形成し、次に第1のN型低濃度不純物領域18上に厚い酸化膜を形成する。この第1のN型低濃度不純物領域18上の厚い酸化膜は1000Å以上の厚さが好ましいが、
図12で説明したように素子分離領域のLOCOS酸化膜13と併用し工程増を抑制する方法を取って構わない(2)。
【0123】
次に、本半導体不揮発性メモリ素子のドレイン領域となる予定の領域にAsもしくはPのN型不純物をイオン注入法で注入し、N型高濃度不純物領域17を形成する。次に本半導体不揮発性メモリ素子をノーマリーオンタイプのデプレッション型MOSFETとするために、AsもしくはPのN型不純物をチャネル形成予定領域にイオン注入法で注入し、N型チャネル不純物領域10を形成する(3)。
【0124】
次に、熱酸化法あるいはCVD法などにより、ドレイン形成予定領域の一部に、先に形成したLOCOS酸化膜に接して、第1のゲート絶縁膜よりも膜厚の厚い第2のゲート絶縁膜14を、N型高濃度不純物領域17の上に形成し、次にチャネル形成予定領域上に第1のゲート絶縁膜9を形成する。2つの膜厚のゲート絶縁膜の作り分けは、
図21(5)の説明にあるように、まず厚い第2のゲート絶縁膜を形成した後、ドレイン形成予定領域以外の領域の第2のゲート絶縁膜をフォトリソグラフィ技術とHFなどによるエッチング処理を施して除去し、ついで第1のゲート絶縁膜を形成することで実現する(4)。
【0125】
次に、第1、第2のゲート絶縁膜上に多結晶シリコン層を堆積し、1×10
19/cm
3以上となるように高濃度の不純物注入をイオン注入法もしくは熱拡散法で行い、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング処理を施して半導体不揮発性メモリ素子のフローティングゲート電極7を形成する。この時、フローティングゲート電極7と第2のゲート絶縁膜14はトンネリングによるキャリア注入を行うための重なり部分を設定しておく(5)。
【0126】
次に、図示しないが、
図21(7)で説明したのと同様に、第3のゲート絶縁膜15及びコントロールゲート電極8の形成を行う。
そして、半導体不揮発性メモリ素子のソース/ドレイン領域を形成するために、AsもしくはPのN型不純物を1×10
20/cm
3以上となるようにイオン注入法で注入する(6)。
ここまでが
図23(1)〜(4)および
図24(5)〜(6)の工程フロー図に基づく説明である。
【0127】
次に、図示はしないが、全体に酸化膜からなる絶縁膜を堆積し、所定の位置にコンタクトホールを形成した後に、半導体不揮発性メモリ素子のゲート・ソース・ドレイン・ボディの電位を与えるために金属配線の形成を、金属膜のスパッタリング及びパターニングにより行う。
【0128】
なお、
図16により説明した、
図12の多結晶シリコンの2層ゲート電極構造を1層にした第7の実施例で示される構造を製造するには、上記製造方法において
図24(5)の第1、第2のゲート絶縁膜上に、フローティングゲート電極7を形成する工程まで共通である。この後、半導体不揮発性メモリ素子のソース/ドレイン領域12を形成し、同様に製造することができる。コントロールゲート電極8は例えばN型高濃度不純物領域17の不純物と構造・工程とを兼用して製造することが可能である。
【0129】
次に、
図13の第4の実施例の構造の半導体不揮発性メモリ素子を製造するための製造方法を、
図25(1)〜(4)の工程フロー図に基づいて説明する。
まず、P型もしくはN型の半導体基板1を用意し、半導体不揮発性メモリ素子の形成領域にP型低濃度不純物領域20と、第2のN型低濃度不純物領域19を一部が重なるように形成する。N型低濃度不純物領域19は、PもしくはAsのN型不純物を用いて不純物濃度2×10
16/cm
3から2×10
17/cm
3の間で、3μmから6μmの深さになるよう不純物注入及び熱拡散条件を選び、P型低濃度不純物領域20は
図13で説明したようにBもしくはBF2を2×10
16/cm
3から2×10
17/cm
3程度の不純物濃度で同時にN型低濃度不純物領域19よりも濃く設定することで、ドレイン耐圧の向上を図る(1)。
【0130】
次に、図示しないが、後のドレイン形成予定領域に第1のN型低濃度不純物領域18を、AsもしくはPのN型不純物を用いて1×10
17/cm
3から1×10
18/cm
3までの不純物濃度となるよう調整して形成する。
【0131】
次に、LOCOS法により素子同士を電気的に分離させるための素子分離領域13を形成し、次に第1のN型低濃度不純物領域18上に厚い酸化膜を形成する。この第1のN型低濃度不純物領域18上の厚い酸化膜は1000Å以上の厚さが好ましいが、
図12で説明したように素子分離領域のLOCOS酸化膜13と併用し工程増を抑制する方法を取って構わない(2)。
【0132】
次に、図示しないが、N型チャネル不純物領域10の形成、第1及び第2のゲート絶縁膜9、14の形成を行う。
次に、第1、第2のゲート絶縁膜上に、多結晶シリコン層を堆積し、1×10
19/cm
3以上となるように高濃度の不純物注入をイオン注入法もしくは熱拡散法で行い、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング処理を施して半導体不揮発性メモリ素子のフローティングゲート電極7を形成する(3)。
【0133】
次に図示しないが、第3のゲート絶縁膜15及びコントロールゲート電極8の形成を行う。
次に半導体不揮発性メモリ素子のソース/ドレイン領域を形成するために、AsもしくはPのN型不純物を1×10
20/cm
3以上となるようにイオン注入法で注入する(4)。
【0134】
次に図示はしないが、全体に酸化膜からなる絶縁膜を堆積し、所定の位置にコンタクトホールを形成した後に、半導体不揮発性メモリ素子のゲート・ソース・ドレイン・ボディの電位を与えるために金属配線の形成を、金属膜のスパッタリング及びパターニングにより行う。
【0135】
なお、
図17により説明した、
図13の多結晶シリコンの2層ゲート電極構造を1層にした第8の実施例で示される構造を製造するには、上記製造方法において
図25(3)の第1、第2のゲート絶縁膜上に、フローティングゲート電極7を形成する工程まで共通である。この後、半導体不揮発性メモリ素子のソース/ドレイン領域12を形成し、同様に製造することができる。コントロールゲート電極8は例えばN型高濃度不純物領域17の不純物と構造・工程とを兼用して製造することが可能である。
【0136】
さて、上記第1から第4の実施例の製造方法においては第1の絶縁膜と第2の絶縁膜を形成する方法は共通であった。これを、ゲート絶縁膜を形成する第1の製造方法とすると、性能の向上あるいは低コスト等を目的として下記の第2から第5の方法を採用することが可能である。
【0137】
第2の方法は、第1の方法における、厚い酸化膜の形成・その酸化膜の部分的な除去・薄い酸化膜の形成からなる3段階の工程を用いるのではなく、1度の熱酸化処理により、第1と第2の2つの厚さのゲート絶縁膜を同時に形成する方法である。
具体的な方法は、
図26(1)に示すようにまず先のN型高濃度不純物領域17を、Asを用いて1×10
19/cm
3以上の高い不純物濃度で形成する。
【0138】
次に、水蒸気を用いたウェット酸化もしくは、酸素ガスと水素ガスを炉内に導入し反応させるパイロジェニック酸化法によりゲート絶縁膜を生成することで、N型高濃度不純物領域17上のみ増速酸化効果で厚くし、他の領域を薄く形成することで
図26(2)に示す形状を得る。
【0139】
この場合、例えば第1のゲート絶縁膜の膜厚が150Åとすると第2のゲート絶縁膜の膜厚を約300Åにすることができる。この増速酸化効果は、半導体基板の格子の乱れ度合いが大きいほど酸素の進入や反応により顕著になるので、その不純物がN型でもP型でも半導体基板内の不純物濃度が高ければその格子の乱れに応じて獲得することができる。但し特にゲート絶縁膜として使用する場合は、N型の不純物上に成長する酸化膜が望ましい。従って、本方法はNチャネル型の半導体不揮発性メモリ素子に対して有効な方法であるといえる。ここでP型不純物が好ましくない理由は、熱酸化処理中にP型不純物が酸化膜内に進入するので酸化膜質の低下が顕著となり、本発明への適用は不適当だからである。
上記方法は、3段階の工程を1段階に減らすことができ工程コストの削減と工程時間の短縮が図れるという効果がある。
【0140】
次に、第1及び第2のゲート絶縁膜を形成する第3の方法を
図27(1)〜(3)に基づいて説明する。
第3の方法では、まず、あらかじめ全面に100から400Åの膜厚の多結晶シリコン層21Aを堆積する(1)。
【0141】
次に、第2のゲート絶縁膜予定領域以外の領域の多結晶シリコン層21Aをフォトグリソグラフィ技術及びエッチング技術により除去し、多結晶シリコン層21Bを残す(2)。
次に、その状態で第1のゲート絶縁膜を形成するための熱酸化処理を行い、半導体基板上にシリコン酸化膜(9、14)を形成する。その際、第2のゲート絶縁膜は第1のゲート絶縁膜生成時の熱酸化処理で多結晶シリコン21Bが完全に酸化してしまう膜厚に設定することにより、第2のゲート絶縁膜を、多結晶シリコンを酸化した酸化膜で構成することができる。ここで多結晶シリコンを利用する理由は、内部に含む格子の乱れにより酸化スピードが通常の単結晶シリコンに比べ、1.5から2倍の速さとすることができるためである(3)。
【0142】
この第3の方法は第1の方法に比べ、厚い第2のゲート絶縁膜を形成するための長時間・高温の熱処理が不要となるので、N型チャネル不純物や第1、第2のN型低濃度不純物などの比較的濃度の低い不純物が高温熱処理によりばらつくのを抑制し、素子特性の高精度化を促進する効果がある。
【0143】
第4の方法を
図28(1)〜(3)に基づいて説明する。まずあらかじめ全面に10から100Åの膜厚の下地シリコン酸化膜を熱酸化法で形成したのち、その上全面に100から200ÅのSiN層22をLPCVDなどの方法で堆積する(1)。
【0144】
次に、第1のゲート絶縁膜予定領域以外の領域のSiN層をフォトグリソグラフィ技術により除去する(2)。
次に、その状態で第2のゲート絶縁膜を形成するための数100Å程度の膜厚のシリコン酸化膜の形成を熱酸化法で行う。その際、第1のゲート絶縁膜は反応性の低いSiNで覆われているのでその上に酸化膜はほとんど成長しない。これにより、第1のゲート絶縁膜を数10Åのシリコン酸化膜と100から200ÅのSiNの積層膜、第2のゲート絶縁膜を数100Åのシリコン膜という構成にすることができる(3)。
【0145】
この第4の方法は、厚い第1のゲート絶縁膜を高容量化することができ、ゲート電極サイズの縮小とそれに伴う低コスト化や、フローティングゲート電極内のキャリアのリークなどによる電荷Qの減少に対し、閾値電圧変動量を小さくできるというメリットがある。
【0146】
第5の方法を
図29(1)〜(4)に基づいて説明する。まず第1の方法と同様に、全面に100から1000Åの第2のゲート絶縁膜を熱酸化法によるシリコン酸化膜として形成する(1)。
【0147】
次に、第1の方法と同様にチャネル形成予定領域の第2のゲート絶縁膜をフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術で除去する(2)。
次に、第1のゲート絶縁膜を熱酸化法で形成するが、ここでは第1の方法よりも薄く、30から100Åの膜厚とする(3)。
【0148】
次に、アンモニア雰囲気中で1000℃以上の温度で熱窒化処理を施す。すると、第1のゲート絶縁膜の下の半導体基板との界面まで窒素が拡散し半導体基板と反応し、1Åから20Å程度の厚さのSiNが形成される。一方、第2のゲート絶縁膜厚は充分厚いので、窒素が半導体基板との界面に拡散で達する量は非常に少なく、キャリアトンネリングを阻害するほど絶縁性の高いSiNが形成されることはない(4)。
【0149】
この第5の方法における第1のゲート絶縁膜を構成するシリコン酸化膜は100Å以下と薄いため、高温でのリーク電流によるフローティングゲート電極内のキャリアの散逸が懸念される。しかし、その酸化膜の下のSiNにより高い絶縁性を得られているため、このリークが抑制されていると同時に、第1のゲート絶縁膜の高容量化をも合わせて実現できている。
【0150】
SiNの形成については第4の方法も同様に行っているが、第4の方法のようなCVDによる方法では、100Å以下の膜厚の制御性が悪くなり、素子特性がばらつくという課題がある。第5の方法のような熱窒化による方法では、より薄いSiNを安定的に形成することが可能であり、素子特性の高精度化に対し効果的である。
【0151】
本発明はこれまで述べたような降圧型シリーズレギュレータや電圧検出器に限らず応用することが可能である。入力調整端子からの入力電気信号によって閾値電圧を可変できるメモリ端子を採用することで、基準電圧回路を含む様々な半導体集積回路装置において、入力電気信号によって出力電圧を可変することが出来る。そのため、パワーマネジメントIC以外への用途へも本発明が適用できることはいうまでもない。