特許第6594735号(P6594735)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594735
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/58 20060101AFI20191010BHJP
   B68G 7/05 20060101ALI20191010BHJP
   A47C 31/02 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   B60N2/58
   B68G7/05 A
   A47C31/02 D
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-209791(P2015-209791)
(22)【出願日】2015年10月26日
(65)【公開番号】特開2017-81298(P2017-81298A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 光太郎
(72)【発明者】
【氏名】石井 厚
(72)【発明者】
【氏名】田口 雅之
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−149581(JP,U)
【文献】 国際公開第2015/159680(WO,A1)
【文献】 実公昭46−032119(JP,Y1)
【文献】 特開平10−071916(JP,A)
【文献】 特開平09−020164(JP,A)
【文献】 特開昭50−136150(JP,A)
【文献】 特開2010−088775(JP,A)
【文献】 特開2009−112571(JP,A)
【文献】 実用新案登録第2562217(JP,Y2)
【文献】 実開平02−132500(JP,U)
【文献】 実開平02−092756(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00− 2/90
A47C 7/00− 7/74
A47C31/02
A47C31/11
B68G 7/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションと、
硬質の剛性樹脂で形成され、フレームに支持されるバックボード、または、それ自身がフレームとして機能するバックボードと、前記バックボードに固定されるパッドと、前記パッドを覆う表皮と、前記バックボードと前記表皮とを接続する接続構造体と、を備えるシートバックと、
を備え、
前記表皮は、
第1の表皮と、
前記第1の表皮および前記接続構造体を接続し、前記第1の表皮の部材と異なる材質である軟質素材によって形成される第2の表皮と、
を備え、
前記接続構造体は、
前記第2の表皮と同じ材料よって一体に形成される突起部材と、
前記バックボードに設けられる孔と、
を備え、
前記突起部材は、
前記バックボード方向に伸びる差込部と、
前記差込部の直近に位置し、前記第2の表皮の端部から伸びるつまみ部と、
を備え、
前記差込部は、前記つまみ部の幅に対する中心線上に位置し、
前記バックボード方向に伸びる軸部と、
前記軸部の先端に設けられ、前記軸部の直径よりも大きい直径部分を有す円錐形状の頭部と、
を備え、
前記差込部と前記孔とが嵌合されて構成され車両用シート
【請求項2】
請求項1の車両用シートにおいて、
前記孔の径は前記頭部の径よりも小さい車両用シート
【請求項3】
請求項2の車両用シートにおいて、
前記第2の表皮は前記第1の表皮の周縁に接続される車両用シート
【請求項4】
請求項3の車両用シートにおいて、
前記第1の表皮の周縁は前記第2の表皮の周縁が縫合される車両用シート
【請求項5】
請求項1の車両用シートにおいて、
前記軟質素材は、エラストマ、軟質樹脂、成形不識布、それらとの同等物、またはそれらを組み合わせたものである車両用シート
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は車両用シートに関し、例えばカバー交換可能な車両用シートに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
車両用シートは、人が臀部を乗せる部分であるシートクッションと、人が背部を預けるシートバックと、を備える。シートクッションおよびシートバックは、それぞれ、フレームとフレームに指示されたパッドと、パッドを覆う表皮(トリムカバー)と、を備える。表皮はパッドの表面を覆い、表皮の端末部分はフレームに取付け部材を介して固定される。
例えば、実開平2−132500号公報(特許文献1)には、シートカバーの端末に固着される樹脂プレートのクリップと爪を形成し、そのクリップと係合する孔とその爪が係合する孔のそれぞれをフレームに開設することで、シートカバーをフレームに止着することが、開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−132500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような樹脂クリップは、しっかりはまるように返しの付いた断面形状になっており、一度締結してしまってから外す場合には、相手部品または樹脂クリップ自体を破損してしまう可能性がある。取り外す場合に、力加減の工夫や、専用工具を必要とするため時間がかかる。
本開示の課題は、表皮の取り外しが容易な車両用シートを提供することにある。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、車両用シートは基体と表皮とを接続する接続構造体を備える。表皮は、第1の表皮と、第1の表皮および接続構造体を接続し、軟質素材によって形成される第2の表皮と、を備える。接続構造体は、第2の表皮に設けられる突起部材と、基体に設けられる孔と、を備える。突起部材は、基体方向に伸びる軸部と、軸部の先端に設けられる頭部と、第2の表皮の端部から伸びるつまみ部と、を備える。突起部材と孔とが嵌合される。
【発明の効果】
【0006】
上記車両用シートによれば、表皮の取り外しを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例に係る車両用シートの斜視図
図2図1の車両用シートにおいて表皮を取り除いた状態を裏側から見た状態を示す分解斜視図
図3】実施例に係る接続構造体を説明するための図
図4図3の突起部材をB方向から見た平面図
図5】比較例に係る接続構造体を説明するための斜視図
図6】変形例1に係る車両用シートの一部を示す断面図
図7】変形例2に係る車両用シートのシートバック一部を示す斜視図
図8】変形例2に係る車両用シートのシートクッション一部を示す斜視図
図9】変形例2に係る接続構造体を説明するための図
図10】変形例2に係る接続構造体を説明するための図
図11】変形例2に係る接続構造体を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施例および変形例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【実施例】
【0009】
図1は実施例に係る車両用シートの斜視図である。
車両用シート1は、着座者が臀部を乗せる部分であるシートクッション2と、着座者が背部を預けるシートバック3とを備える。
【0010】
シートクッション2は、骨格構造であるフレーム4と、フレーム4に固定されるパッド5aと、パッド5aを覆う表皮6と、フレーム4の側面を覆うサイドカバー7と、フレーム4の下方部分を覆うフレームカバー8と、を備える。フレーム4は、鋼材、硬質の合成樹脂、等といった剛性の高い材料によって形成される。パッド5aは着座者にクッション性を付与する部材であり、例えば発泡性の樹脂でウレタンによって形成される。
【0011】
表皮6は第1の表皮6aと第2の表皮6bとによって形成される。第1の表皮6aは着座者が着座する際に少なくともその臀部が接する部分を含む形状をしており、パッド5aの上面とほぼ同じ形状となるように形成されている。第2の表皮6bは、パッド5aの少なくとも前側部と左右側部を覆うような側部と、第1の表皮6aと縫い合わされる接合部と、後述する突起部材が形成されるとともに前側部および左右側部から内方に折り曲げられる接続部と、を備える。
【0012】
第1の表皮6aの端末と第2の表皮6bの接続部とは、接合部位である縫い目6cにおいて縫い糸によって縫い合わされて接続される。縫い目6cは美観上外側に現れないように第1および第2の表皮の内側になるように縫い合わされる。
【0013】
第1の表皮6aは、皮、革、合成皮革、布、それらとの同等物、またはそれらを組み合わせた部材によって形成される。第2の表皮6bは、エラストマ、軟質樹脂、形成不織布、それらとの同等物、またはそれらを組み合わせた材料、等といった軟質素材によって形成される。エラストマは、ゴム状で弾力性を有する工業用材料であり、例えばオレフィン系熱可塑性エラストマが用いられる。サイドカバー7およびフレームカバー8は合成樹脂を材料とする樹脂成型加工によって形成される。
【0014】
シートバック3は、骨格構造であるパイプフレーム11と、パイプフレーム11に支持されるバックボード12と、バックボード12に固定されるパッド5bと、パッド5bを覆う表皮13と、を備える。パイプフレーム11は、図示しないリクライニング機構によってシートクッション2側のフレーム4に揺動可能に連結される。パイプフレーム11は鋼材によって形成される。バックボード12は硬質の合成樹脂によって形成される。パッド5bは着座者にクッション性を付与する部材であり、例えば発泡性の樹脂でウレタンによって形成される。
【0015】
表皮13は第1の表皮13aと第2の表皮13bとによって形成される。第1の表皮13aの端末と第2の表皮13bの接続部とは、接合部位である縫い目13cにおいて縫い糸によって縫い合わされて接続される。縫い目13cは美観上外側に現れないように第1および第2の表皮の内側になるように縫い合わされる。
【0016】
第1の表皮13aは、皮、革、合成皮革、布、それらとの同等物、またはそれらを組み合わせた部材によって形成される。第2の表皮13bは、エラストマ、軟質樹脂、形成不織布、それらとの同等物、またはそれらを組み合わせた材料、等といった軟質素材によって形成される。これにより、第1の表皮13aと第2の表皮13bはミシン等で縫い合わせることができる。
【0017】
図2図1の車両用シートにおいて表皮を取り除いた状態を裏側から見た状態を示す分解斜視図である。図3は実施例に係る接続構造体を説明するための図である。図4図3のB方向から見た平面図である。
【0018】
第2の表皮13bのうち縫い目13と反対側の面は、所定幅(W)で内部へ折り返される。そしてこの折返し部13baに複数の突起部材16が設けられる。突起部材16は第2の表皮13bを成型加工によって製造する際に同じ材料によって同時に第2の表皮13bと一体に形成される。
【0019】
図3に示すように、突起部材16は、第2の表皮13bの内部側(バックボード12側)へ向けて突出する差込部16aと、第2の表皮13bの折返し部13baの端部から突出するつまみ部16bと、を有する。差込部16aは、軸部16aaと、その先端に形成される大径部分としての大径で円錐形状の頭部16abと、を有する。大径部分とは軸部16aaの直径よりも大きいということである。
【0020】
図3に示すように、バックボード12の裏面の周縁部には複数の孔17が設けられる。例えば、バックボード12の上部に6個の孔、左右にそれぞれ8個の孔が設けられる。孔17の間隔は第2の表皮13bに設けられる複数の突起部材16の間隔と同じである。図3に示すように、孔17の直径は、突起部材16の頭部16abの直径よりも小さくなっている。さらに、孔17の直径は、突起部材16の頭部16abを所定の押圧力でその孔17へ押し込んだときに、その頭部16abが弾性変形しながら孔17を通過できるような大きさに設定される。孔17は、平面視で、例えば円形状である。
【0021】
バックボード12とパッド5bとの一体構造体の表面に表皮13を被せ、さらに、第2の表皮13bの突起部材16の頭部16abをバックボード12の孔17内へ所定の押圧力で挿入することにより、各突起部材16と各孔17とを係合すなわち嵌合させる。この係合により、表皮13がバックボード12とパッド5bとの一体構造体の表面に密着状態で装着され、車両用シート1の完成状態となる。本実施例では、基体としてのバックボード12と第2の表皮13bとを接続するための接続構造体が、第2の表皮13bに設けられた突起部材16と、基体としてのバックボード12に設けられた孔17とによって形成される。
【0022】
バックボード12の周縁部に設けられた孔17に突起部材16の頭部16abが押し込まれる。頭部16abの径は孔17の径よりも大きくなっているので、押し込まれた頭部16abは、容易に孔17から抜けない状態となる。
【0023】
取り外し時は、ツマミ16bを外部方向(バックボード12と反対方向)に引っ張ると、頭部16abが孔17から抜け出し取り外すことができる。
【0024】
図5は比較例に係る車両シートの突起部材の形状を説明するための斜視図である。比較例に係る車両シート1Rは、実施例1に係る車両用シート1の突起部材の頭部の形状と、第2の表皮がつまみを備えない点と、が異なるが、その他は実施例1と同様である。
【0025】
比較例に係る突起部材16Rは、第2の表皮13Rbの内部へ向けて突出する軸部16Raと、軸部16Raの先端に形成された大径部分としての大径で球形の頭部16Rbとを有する。バックボード12Rの孔17Rの直径は第2の表皮13Rbに設けられている突起部材16Rの頭部16Rbの直径よりも小さくなっている。さらに、孔17Rの直径は、突起部材16Rの頭部16Rbを所定の押圧力でその孔17Rへ押し込んだときに、その頭部16Rbが弾性変形しながら孔17Rを通過できるような大きさに設定される。
【0026】
バックボード12Rとパッド5bとの一体構造体の表面に表皮13Rを被せ、さらに、第2の表皮13Rの突起部材16Rの頭部16Rbをバックボード12Rの各孔17R内へ所定の押圧力で挿入することにより、各突起部材16Rと各孔17Rとを係合すなわち嵌合させる。バックボード12Rの周縁部に設けられた孔17Rに突起部材16Rの頭部16Rbが押し込まれる。頭部16Rbの径は孔17Rの径よりも大きくなっているので、押し込まれた頭部16Rbは、容易に孔17Rから抜けない状態となる。
【0027】
実施例によれば、基体側の孔と、エラストマ等軟質素材による突起部材の嵌合構造とし、突起部材の直近に位置した、一体成形のつまみ部によって、軽い力で、片手での簡便な着脱操作を可能とする。嵌合用突起部材の直近につまみ部を有するので、嵌合部位の目印となる。つまみ部を摘んだ状態での親指の腹が嵌合用突起部材のすぐ裏に位置するため、摘んだ状態で、嵌合孔を探る行為が容易となり、つまみ部を摘んだまま、親指の腹で突起を押込むことができる。比較例よりも容易に取り付けおよび取り外しをすることができる。これにより、取り外し時の差込部またはバックボードの破損を防ぐことができる。工具や大きな操作力が必要ないため、瞬時の着脱が可能となる。これにより、表皮の着せ替えかが可能になる。
【0028】
図1において、シートクッション2は、以上に説明した表皮端末固定構造(接続構造体)と同様の表皮端末固定構造を備えている。すなわち、表皮6を形成している第2の表皮6bの内側の面に図4に示される突起部材16と同様の複数の突起部材が設けられる。他方、図1のサイドカバー7の上側の周縁部分に図3に示される孔17と同様の孔が設けられる。そして、第2の表皮6b側の突起部材を基材としてのサイドカバー7側の孔に挿入することにより、第2の表皮6bとサイドカバー7とが接続される。
【0029】
<変形例1>
図6は変形例1に係る車両用シートの一部を示す断面図である。図6に示しているのは、変形例1に係る車両用シート1Aを構成するシートバック23の一部分である。この部分は図1のA−A線に従った部分の平面断面構造に相当する。
【0030】
変形例1に係るシートバック23は、骨格構造であるパイプフレーム31と、パイプフレーム31によって支持されるバックボード32と、バックボード32に固定されるパッド25bと、パッド25bを覆う表皮33と、を備えている。パイプフレーム31、バックボード32およびパッド25bは実施例と同様の部材によって形成される。
【0031】
表皮33は第1の表皮33aと第2の表皮33bとによって形成される。第1の表皮33aと第2の表皮33bとは、接合部位である縫い目33cにおいて縫い糸によって縫い合わされて接続される。第2の表皮33bは図3に示す実施例における所定幅Wの明確な折返し部を有していない。
【0032】
第1の表皮33aおよび第2の表皮33bはそれぞれ実施例の第1の表皮13aおよび第2の表皮13bと同様の部材によって形成される。パッド25bの側面からバックボード32にかけての形状が滑らかな曲線形状になっている。そして、第2の表皮33bはそのような曲線形状を成しているパッド25bとバックボード32の側部の表面に沿うような曲線形状に形成される。
【0033】
図6の矢印Cで示す部分は図4の実施例の接続構造体と同様である。すなわち、バックボード32の側部に円形の孔17が設けられる。また、第2の表皮33bの周縁部に突起部材16が設けられる。突起部材16は、第2の表皮13bの内部側(バックボード12側)へ向けて突出する差込部16aと、つまみ部16bと、を有する。差込部16aは、軸部16aと、その先端に形成される大径部分としての大径で円錐形状の頭部16bと、を有する。また、つまみ16bは、突起部材16abの直近の折返し部13baの端部から伸びている。
【0034】
本変形例では、突起部材16が図3に示す実施例のように第2の表皮13bの幅がWの折返し部分にあるのではなく、第2の表皮33bの滑らかな曲線形状部分に設けられる。そして、差込部16aは、バックボード32の側部に側方から係合される。
【0035】
<変形例2>
図7は変形例2に係る車両用シートのシートバックの一部を示す斜視図である。図8は変形例2に係る車両用シートのシートクッションの一部を示す斜視図である。
【0036】
車両用シート1Bは、着座者が臀部を乗せる部分であるシートクッション42と、着座者が背部を預けるシートバック43とを備える。
【0037】
シートバック43は、バックボード52と、バックボード52に固定されるパッド(不図示)と、パッドを覆う表皮(不図示)と、を備えている。バックボード52は硬質の合成樹脂によって形成される。表皮は第1の表皮(不図示)と第2の表皮53bとによって形成される。第1の表皮と第2の表皮53bとは、接合部位である縫い目(不図示)において縫い糸によって縫い合わされて接続される。第1の表皮および第2の表皮53bはそれぞれ実施例の第1の表皮13aおよび第2の表皮13bと同様の部材によって形成される。
【0038】
シートクッション42は、クッションフレーム44と、クッションフレーム44に固定されるパッド(不図示)と、パッドを覆う表皮(不図示)と、を備えている。表皮は第1の表皮(不図示)と第2の表皮46bとによって形成される。第1の表皮と第2の表皮46bとは、接合部位である縫い目(不図示)において縫い糸によって縫い合わされて接続される。第1の表皮および第2の表皮46bはそれぞれ実施例の第1の表皮6aおよび第2の表皮6bと同様の部材によって形成される。
【0039】
図9〜11は変形例2に係る接続構造体を説明するための図である。
変形例2のシートバック43の接続構造体は図3の実施例の接続構造体と同様である。すなわち、バックボード52に孔57が設けられる。孔57は、平面視で、例えば円形状である。また、第2の表皮53bのうち縫い目と反対側の面には、所定幅で内部へ折り返される第1の折返し部53baが設けられる。そして、第1の折返し部53baには2つの突起部材56が設けられる。突起部材56は第2の表皮53bを成型加工によって製造する際に同じ材料によって同時に第2の表皮53bと一体に形成される。
【0040】
突起部材56は第2の表皮53bの内部へ向けて突出する差込部56aとつまみ部56bとを有する。差込部56aは、軸部56aaと、その先端に形成される円錐形状の頭部56abと、を有する。つまみ部56bは差込部56aの直近の第1の折返し部53baの端部から突出する。第2の表皮53bは突起部材56をバックボード52の上部に対応する位置に2か所備え、バックボード52の左右側部に対応する第1の折返し部53baにはさらに内部へ折り返される第2の折返し部53bbが設けられる。
【0041】
第2の折返し部53bbをバックボード52の側部に係合し、バックボード52の上部の周縁部に設けられた孔57に突起部材56の頭部56abを押し込んで、第2の表皮53bをバックボード52と接続する。突起部材56の数が実施例よりも少ないので、表皮53の取付けが実施例よりも容易である。取り外し時は、つまみ部56bを外部方向(バックボード52と反対方向)に引っ張ると、頭部56abが孔57から抜け出し取り外すことができる。突起部材56の数が実施例よりも少ないので、表皮53の取り外しが実施例よりも容易である。
【0042】
変形例2のシートクッション42の接続構造体はシートバック43の接続構造体と同様である。すなわち、クッションフレーム44に孔57と同様の孔が設けられる。また、第2の表皮46bのうち縫い目と反対側の面には、第1の折返し部53baと同様の第1の折返し部が設けられる。そして、第1の折返し部には突起部材56と同様の2つの突起部材が設けられる。第2の表皮46bは突起部材をクッションフレーム44の前部に対応する位置に2か所備え、クッションフレーム44の左右側部に対応する部分には第2の折返し部53bbと同様の第2の折返し部が設けられる。
【0043】
第2の折返し部をクッションフレーム44の側部に係合し、クッションフレーム44の前部の周縁部に設けられた孔に突起部材の頭部を押し込んで、第2の表皮46bをクッションフレーム44と接続する。取り外し時は、つまみ部49bを外部方向(シートクッションフレーム44と反対方向)に引っ張ると、突起部材の頭部が孔から抜け出し取り外すことができる。
【0044】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例および変形例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施例および変形例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0045】
例えば、実施例では、表皮13が取り付けられる基体をパイプフレーム11に支持されるバックボード12によって形成している。しかし、これに代えて、パイプフレーム11それ自体を基体とすることも可能である。さらにパイプフレーム11に支持されることなくそれ自体が骨格構造であるフレームとして機能するバックボードによって基体を構成することも可能である。
【0046】
また、変形例1では、表皮33が取り付けられる基体をパイプフレーム31に支持されるバックボード32によって形成している。しかし、パイプフレーム31に支持されることなくそれ自体が骨格構造であるフレームとして機能するバックボードによって基体を構成することも可能である。
【0047】
また、実施例では、シートバックの表皮とシートクッションの表皮とを別の部材としているが、これを一体のものとして形成してもよい。この場合には、第1の表皮6a、13aを一体に形成し、または一体となるように縫合し、その上で、第2の表皮6bおよび第2の表皮13bは互いに別体とすることが組み付け性の向上を図る上で好ましい。
【符号の説明】
【0048】
1・・・車両用シート
2・・・シートクッション
3・・・シートバック
4・・・フレーム
5a、5b・・・パッド
6・・・表皮
6a・・・第1の表皮
6b・・・第2の表皮
6c・・・縫い目
7・・・サイドカバー
8・・・フレームカバー
11・・・パイプフレーム
12・・・バックボード
13・・・表皮
13a・・・第1の表皮
13b・・・第2の表皮
13c・・・縫い目
16・・・突起部材
16a・・・差込部
16aa・・・軸部
16ab・・・頭部
16b・・・つまみ部
17・・・孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11