特許第6594736号(P6594736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594736
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】駐車支援装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 99/00 20090101AFI20191010BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20191010BHJP
   B60W 30/06 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   B60R99/00 340
   G08G1/16 C
   B60W30/06
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-211322(P2015-211322)
(22)【出願日】2015年10月27日
(65)【公開番号】特開2017-81398(P2017-81398A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】クラリオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100102576
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敏章
(72)【発明者】
【氏名】長谷島 範安
(72)【発明者】
【氏名】田川 晋也
【審査官】 小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−347460(JP,A)
【文献】 特開2006−312440(JP,A)
【文献】 特開2010−202010(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02620351(EP,A1)
【文献】 特開2005−014738(JP,A)
【文献】 特開2014−189097(JP,A)
【文献】 特開2003−205809(JP,A)
【文献】 特開2012−118909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 99/00
B60W 30/06
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路上の自車両の現在位置から目標駐車位置までの並列駐車経路を演算する駐車支援装置であって、
前記目標駐車位置周辺の空間と自車挙動の制約条件に基づいて前記自車両を前記目標駐車位置から所定条件を満たす位置まで出庫させる逆方向経路を演算する逆方向経路演算部と、
前記目標駐車位置周辺の通路の所定範囲内に交差するように複数のラインを設け、当該ラインと、前記逆方向経路演算部で演算された逆方向経路が交差する複数の接続候補位置を記憶する接続候補位置記憶部と、
前記自車両の現在位置から前記複数の接続候補位置のうちの一つに到達可能な順方向経路を演算する順方向経路演算部と、
前記方向経路演算部にて演算された順方向経路と、前記目標駐車位置から該順方向経路が到達可能な接続候補位置までの前記方向経路繋げて並列駐車経路とする駐車経路設定部と、
を有することを特徴とする駐車支援装置。
【請求項2】
前記所定条件とは、前記逆方向経路における自車両の向きが前記目標駐車位置における自車両の向きに対して90度となる第1条件と、前記目標駐車位置から前記自車両が横方向に所定距離だけ離れた地点に到達する第2条件と、前記逆方向経路における切り返し回数が所定回数に達する第3条件の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記逆方向経路演算部は、後ろ向き並列駐車の場合、左右のいずれか一方に転舵して前進により前記自車両が前方の障害物にする到達可能限界位置に至る前進経路と、前輪を前記自車両に対してまっすぐに直して後退により前記自車両が後方の障害物にする到達可能限界位置に至る後退経路を演算することを特徴とする請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記逆方向経路演算部は、前向き並列駐車の場合、左右のいずれか一方に転舵して後退により前記自車両が後方の障害物にする到達可能限界位置に至る後退経路と、前輪を前記自車両に対してまっすぐに直して前進により前記自車両が前方の障害物にする到達可能限界位置に至る前進経路を演算することを特徴とする請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項5】
前記順方向経路演算部は、切り返し回数が少なく且つ前記自車両の現在位置に近い方の接続候補位置から順に演算することを特徴とする請求項1に記載の駐車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両を駐車させるための切り返しを含む誘導経路を算出し、その誘導経路に沿って車両が目標位置に到達するように支援を行う駐車支援装置の技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−208392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す技術では、駐車支援を開始する初期位置と駐車の目標位置との位置関係及び車両姿勢の関係に基づいて誘導経路を算出するようにしているので、例えば自車の初期位置が目標駐車位置に誘導できない場所である場合には、駐車支援を行うことができない。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、駐車支援を開始する初期位置や車両姿勢に依存せずに、駐車の目標位置に車両を誘導するための切り返しを含む駐車経路を演算して、ドライバの意図する位置に正しい車両姿勢で車両を駐車させることができる駐車支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の駐車支援装置は、自車両の現在位置から目標駐車位置までの駐車経路を演算する駐車支援装置であって、駐車空間と自車挙動の制約条件に基づいて前記自車両を前記目標駐車位置から出庫させる逆方向経路を演算する逆方向経路演算部と、該逆方向経路上に複数の接続候補位置を設定する接続候補位置記憶部と、前記自車両の現在位置から前記複数の接続候補位置のうちの一つに到達可能な順方向経路を演算する順方向経路演算部と、前記逆方向経路と前記順方向経路とを繋げて駐車経路とする駐車経路設定部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、駐車支援を開始する開始位置や車両姿勢に依存せずに、駐車の目標位置に車両を誘導するための切り返しを含む駐車経路を演算して、ドライバの意図する位置に正しい車両姿勢で車両を駐車させることができる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係わる駐車支援装置の機能ブロック図。
図2】後ろ向き並列駐車の逆方向経路を演算する方法の一例を示す図。
図3】前向き並列駐車の逆方向経路を演算する方法の一例を示す図。
図4】後ろ向き並列駐車の場合の逆方向経路における接続候補位置を示す図。
図5】前向き並列駐車の場合の逆方向経路における接続候補位置を示す図。
図6】逆方向経路上の接続候補位置を演算する方法を説明するフローチャート。
図7】到達可能判定の処理フロー。
図8A】片側転舵による到達可能判定の一例を説明する図。
図8B】片側転舵による到達可能判定の一例を説明する図。
図8C】片側転舵による到達可能判定の一例を説明する図。
図8D】S字転舵による到達可能判定の一例を説明する図。
図8E】S字転舵による到達可能判定の一例を説明する図。
図9】片側転舵による順方向経路の生成方法を説明する図。
図10】S字転舵による順方向経路の生成方法を説明する図。
図11】S字転舵による順方向経路の生成方法を説明する図。
図12】S字転舵による順方向経路の生成方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係わる駐車支援装置の機能ブロック図である。
本発明の駐車支援装置1は、自車の現在位置から目標駐車位置まで車両を誘導するための駐車経路を演算し、その演算した駐車経路に沿って車両が移動するように駐車支援を行うものであり、特に、2回以上の切り返しが必要とされるような狭い空間での駐車動作を支援するのに適したものである。
【0010】
駐車支援装置1は、駐車空間と自車挙動の制約条件に基づいて自車両を目標駐車位置から出庫させる逆方向経路を演算する逆方向経路演算部11と、逆方向経路上に複数の接続候補位置を設定する接続候補位置記憶部12と、自車の現在位置から複数の接続候補位置のうちの一つに到達可能な順方向経路を演算する順方向経路演算部13と、逆方向経路と順方向経路とを繋げて駐車経路とする駐車経路設定部14を有している。
【0011】
図1に示すように、逆方向経路演算部11には、目標駐車空間情報と目標駐車位置情報と自車両情報が入力される。目標駐車空間情報には、周囲の壁や他の車両等までの距離などの駐車空間の制約条件となる情報が含まれており、自車両情報には、自車両の旋回半径などの自車挙動の制約条件となる情報が含まれている。
【0012】
順方向経路演算部13には、自車位置情報が入力される。駐車経路設定部14には、操作入力部15からの情報、例えば複数の駐車枠の中からユーザが選択した駐車枠の情報などが入力される。経路表示部16は、車内でドライバが見ることができる車載モニターであり、カメラからの映像に重ね合わせて駐車経路を表示することができる。ドライバは、車載モニターに表示される駐車経路にしたがって車両を操作することによって目標駐車位置に駐車することができる。また、駐車支援装置1から駐車経路の情報を出力して、車両を自動的に操作して目標駐車位置に駐車するシステムとしてもよい。
【0013】
<逆方向経路演算部>
逆方向経路演算部11は、駐車枠周辺の障害物等の目標駐車空間情報と、駐車枠の形状や位置等の目標駐車位置情報と、自車両の大きさや最小回転半径等の車両仕様の自車両情報とに基づいて逆方向経路を演算する。目標駐車空間の情報は、例えば自車両に搭載された超音波センサの検出信号や車載カメラからの画像から取得することができる。また、駐車場のインフラ情報を取得してもよい。
【0014】
逆方向経路とは、自車両が目標駐車位置に駐車されている状態から出庫に至るまでの経路を推定した仮想的な移動経路である。逆方向経路は、自車両の現在位置に拘束されることなく、全く無関係に演算される。逆方向経路は、自車両を前後に切り返す切り返し位置を複数含む。
【0015】
逆方向経路は、駐車空間と自車挙動の制約条件に基づいて演算される。そして、後ろ向き並列駐車では、目標駐車位置を原点としたときに現在位置における自車両の向きと同じ方向に出庫することを想定した経路が生成され、前向き並列駐車では、目標駐車位置を原点としたときに現在位置における自車両の向きと反対方向に出庫することを想定した逆方向経路が生成される。
【0016】
例えば目標駐車位置における車両の姿勢状態が後ろ向きである後ろ向き並列駐車とする場合には、目標駐車位置から車両を直進させ、車両の左右の後輪の中間位置である基準点(以後、基準点と称する)が駐車枠から出るところまでに至る経路と、現在位置における自車両の向きと同一の方向に向かって出庫するように転舵して前進により自車両が前方の障害物に到達する到達可能限界位置に至る前進経路と、前輪を自車両に対してまっすぐに直して後退により自車両が後方の障害物に到達する到達可能限界位置に至る後退経路を演算する。そして、所定の終了条件を満たすまで、前進経路と後退経路を交互に演算する逆方向経路の演算を行う。
【0017】
一方、目標駐車位置における自車両の姿勢状態が前向きである前向き並列駐車とする場合には、目標駐車位置から自車両をまっすぐ後退させ、自車両の基準点が駐車枠から所定距離だけ離れるところまでに至る経路と、現在位置における自車両の向きと反対の方向に向かって出庫するように転舵して後退により自車両が後方の障害物に到達する到達可能限界位置に至る後退経路と、前輪を車両に対してまっすぐに直して前進により自車両が前方の障害物に到達する到達可能限界位置に至る前進経路を演算する。そして、所定の終了条件を満たすまで、前進経路と後退経路を交互に演算する逆方向経路の演算を行う。
【0018】
逆方向経路演算部11は、例えば所定の終了条件として、逆方向経路における自車両の向きが目標駐車位置における自車両の向きに対して90度となる第1条件と、目標駐車位置から自車両が横方向に所定距離Hmaxだけ離れた地点に到達する第2条件と、逆方向経路における切り返し回数が所定回数に達する第3条件の少なくとも一つを満たすまで逆方向経路の演算を行う。
【0019】
図2図3は、予め設定された条件に従って車両の逆方向経路を演算する方法の一例を示す図であり、図2は、後ろ向き並列駐車の場合を示し、図3は、前向き並列駐車の場合を示す図である。
【0020】
逆方向経路は、例えば図2に示す後ろ向き並列駐車の例では、自車両21を駐車枠Sの目標駐車位置に駐車した状態(a)から直進させ、自車両21の基準点22が駐車枠Sから出るところに至り(b)、そこから、左に転舵して前進により自車両21が前方の障害物32に到達する到達可能限界位置に至り(c)、かかる位置で前輪を自車両21に対してまっすぐに直して後退により自車両21が後方の障害物33に到達する到達可能限界位置に至る(d)。そして、左に転舵する前進経路(e)、まっすぐ後退する後退経路(f)、左に転舵する前進経路(g)、まっすぐに後退する後退経路(h)を経て、自車両21の向きが目標駐車位置における自車両21の向きに対して90度となった状態(i)に至る経路が演算される。
【0021】
同様に、例えば図3に示す前向き並列駐車の例では、自車両21を駐車枠Sから目標駐車位置に駐車した状態(a)からまっすぐに後退させ、自車両21の基準点22が駐車枠31から出て所定距離だけ離れるところに至り(b)、そこから、右に転舵して後退により自車両21が後方の障害物32に到達する到達可能限界位置に至り(c)、かかる位置で前輪を自車両21に対してまっすぐに直して前進により自車両21が前方の障害物33に到達する到達可能限界位置に至る(d)。そして、右に転舵する後退経路(e)、まっすぐ前進する前進経路(f)、右に転舵する後退経路(g)、まっすぐ前進する前進経路(h)を経て、自車両21の向きが目標駐車位置における自車両21の向きに対して90度となった状態(i)に至る経路が演算される。
【0022】
なお、逆方向経路の演算方法は、上記した方法のみに限定されるものではなく、他の条件により演算してもよい。また、予め設定された複数の条件の中から、目標駐車空間に適した条件を選択して演算してもよい。
【0023】
<接続候補位置記憶部>
接続候補位置記憶部12は、通路G上に所定間隔をおいて複数の接続候補ラインPLを設定し、逆方向経路において自車両21の基準点22がこれらの接続候補ラインPLと交差する位置、及びかかる位置における自車両21の向きを接続候補位置Dとして記憶する。
【0024】
図4は、後ろ向き並列駐車の場合の逆方向経路における接続候補位置を示す図である。
接続候補ラインPLn(nは数字)は、目標駐車位置Bの前方で通路Gの幅方向に亘って延在するように設定されており、駐車枠31から左方向に向かって通路G上に所定間隔をおいて設定されており、本実施例では、目標駐車位置Bを基準として横方向1.5mから0.5m刻みに設定されている。そして、逆方向経路上で基準点22が接続候補ラインPLを通過する位置と、かかる位置における自車両の向きの情報が接続候補位置Dとして記憶される。なお、図中で符号Aは現在位置、符号Bは駐車目標位置、符号Cは到達可能限界位置、符号Eは到達位置を示す。
【0025】
図5は、前向き並列駐車の場合の逆方向経路における接続候補位置を示す図である。
接続候補ラインPLは、目標駐車位置Bの前方で通路Gの幅方向に亘って延在するように設定されており、本実施例では、通路Gに沿って0.5m刻みに設定されている。そして、逆方向経路上で基準点22が接続候補ラインPLを通過する位置と、かかる位置における自車両の向きの情報が接続候補位置Dとして記憶される。
【0026】
図6は、逆方向経路上の接続候補位置を演算する方法を説明するフローチャートである。
まず、所定のルールに従って、自車両21を目標駐車位置から出庫させる方向に仮想的に移動させる演算が行われ(S101)、障害物と衝突するか否かが判断される(S102)。そして、衝突すると判断されたときは、かかる位置が到達可能限界位置Cであると判断し、前進から後退、あるいは後退から前進に切り返すように、シフトを切り替える(S107)。
【0027】
そして、所定の接続候補位置Dに自車両21が到達しているか否かが判断され(S103)、自車両21の基準点22が接続候補ラインPLを通過したときに、接続候補位置Dに到達していると判断され、そのときの位置と、かかる位置における自車両21の向きの情報が保存される(S108)。そして、第1条件である自車両の角度が駐車枠に対して90[deg]になったか否かが判断され(S104)、90[deg]になっている場合には、第1条件を満たすとして本ルーチンを終了する。
【0028】
一方、自車両21の向きが90[deg]になっていない場合には、所定距離Hmax以上移動して離れたか否かが判断される(S105)。本実施例では、所定距離Hmaxは7メートルに設定されている。自車両21が所定距離Hmax以上移動しているときは、第2条件を満たすとして本ルーチンを終了する。
【0029】
<順方向経路演算部>
順方向経路演算部13は、自車両21の現在位置Aから複数の接続候補位置Dのうちの一つに到達可能な順方向経路を演算する。順方向経路とは、前進と後退を切り替えることなく、前進と後退のいずれか一方のみで自車両21の現在位置から接続候補位置Dに到達可能な経路である。かかる演算は、自車位置情報と自車両の仕様情報に基づいて行われ、切り返し回数が少なく且つ自車両の現在位置に近い方の接続候補位置から順に演算される。そして、自車両の現在位置から到達可能でかつ自車両に最も近い接続候補位置Dを選択し、かかる接続候補位置Dを到達位置Eとして現在位置Aからの順方向経路を演算する。
【0030】
自車両21は、現在位置から逆方向経路上の接続候補位置に所定の向きで配置することができれば、後は、逆方向経路を逆方向に辿ることによって、目標駐車位置に車両を移動させることができる。したがって、順方向経路演算部13では、逆方向経路上の複数の接続候補位置のうち、現在位置から所定の向きで車両を配置することができる接続候補位置を選択する。そして、駐車に要する時間をなるべく短くするために、現在位置からの移動距離が短い接続候補位置を選択する。
【0031】
図7は、到達可能判定の処理フローである。
この処理フローは、接続候補位置の分だけループされ(S111)、まず、片側転舵で到達可能か否かが判断される(S112)。片側転舵とは、ステアリングを左右のいずれか一方の片側のみに転舵する操作である。そして、片側転舵では接続候補位置に到達できないと判断されたときは、S字転舵で到達可能か否かが判断される(S116)。S字転舵とは、ステアリングを左右両側に転舵する操作である。
【0032】
そして、片側転舵あるいはS字転舵により接続候補位置Dに到達可能であると判断された場合には、かかる接続候補位置Dを到達位置Eとして選択し、自車両21の現在位置から到達位置Eまでの順方向経路を生成する(S113)。
【0033】
そして、順方向経路において自車両21が障害物に接触するか否かの判定を行い(S114)、接触しないと判断された場合には、接続OKフラグをONにして生成した順方向経路を格納し、ループを終了する(S117)。一方、片側転舵とS字転舵では接続候補位置に到達できないと判断された場合(S112とS116でNO)、あるいは、接触判定で接触すると判定された場合(S114でYES)は、かかる接続候補位置Dに対する判断を終了し、残りの接続候補位置に対する判断を行う。そして、全ての接続候補位置Dに対して到達できないと判断された場合には、接続OKフラグをOFFにして(S115)、処理フローを終了する。
【0034】
図8A図8Cは、片側転舵による到達可能判定の一例を説明する図、図8D図8Eは、S字転舵による到達可能判定の一例を説明する図である。
【0035】
S112の片側転舵による到達可能判定では、以下の(a1)〜(a3)の条件が全て成立した場合に、到達可能と判定される(角度差と位置でも制限する)。
(a1)自車両21の現在位置Aにおける軸線A2と到達位置Eにおける軸線E2とが交差する。
(a2)現在位置Aでの旋回円A1と到達位置Eの軸線E2とが交差しない。
(a3)到達位置Eでの旋回円E1と現在位置Aの軸線A2とが交差しない。
なお、旋回円とは、クロソイドを考慮した旋回側の円弧(最小回転軌跡)とする。
【0036】
図8Aに示す例では、軸線A2とE2とが交差位置F1で交差しているので、上記(a1)の条件を満たしている。したがって、片側転舵により到達可能と判定される。一方、図8Bでは、旋回円E1と現在位置の軸線A2とが交差しているので、上記(a3)の条件を満たしていない。そして、図8Cに示す例では、現在位置での旋回円A1と到達位置Eの軸線E2とが交差しているので、上記(a2)の条件を満たしていない。したがって、図8B及び図8Cに示す例では、片側転舵では到達不可能と判定され、S字転舵の利用が可能か否かの判定に移行する。
【0037】
S116のS字転舵による到達可能判定では、以下の(a4)の条件が成立した場合に、到達可能と判定される(角度差と位置でも制限する)。
(a4)現在位置Aでの旋回円A1と到達位置Eの旋回円E1とが交差しない。
【0038】
図8Dに示す例では、旋回円A1と旋回円E1とが交差していないので、条件を満たしている。したがって、S字転舵により到達可能と判定される。一方、図8Eに示す例では、旋回円A1と旋回円E1とが交差しているので、条件を満たしておらず、S字転舵による到達は不可能と判定される。
【0039】
図9は、片側転舵による順方向経路の生成方法を説明する図である。
現在位置Aから到達位置Eまでの片側転舵による経路を生成するには、まず、図9(a)に示すように、軸線A2と軸線E2との交点Kと現在位置Aとの間の距離Lsと、交点Kと到達位置Eとの間の距離Leをそれぞれ算出し、短い方の距離を選択する(図に示す例では、距離Leを選択)。そして、図9(b)に示すように、2本の軸線A2、E2を共通接線に持ち、交点Kから短い方の距離だけ離れた位置を通る円を描き、幾何計算から下記の式(1)により半径Rを算出する。
【0040】
【数1】
【0041】
以上により、直線と円弧を組み合わせた順方向経路を生成することができる。
図10は、S字転舵による順方向経路の生成方法を説明する図であり、到達位置Eよりも後方で軸線E2が現在位置Aの軸線E2であるX軸と交わらない場合の生成方法を説明する図である。
【0042】
ここでは、S字を描くための半径が同一の共通円の半径Rを算出する。円の接点を求めれば旋回円A1の円弧と、旋回円E1の円弧とを組み合わせてS字の順方向経路を生成することができる。
【0043】
共通円の半径はそれぞれの円の中心座標が求まるので、中心座標間の距離から求まる。
【数2】
【数3】
ただし、θ=0の場合は
【0044】
【数4】
【0045】
図10(a)に示す状態から図10(b)に示す交点F7の位置までが上記した計算式により算出可能である。
図10(c)に示す公式からS字のそれぞれの旋回角度φ、φと、弧長b、bは以下の計算式により求められる。
【0046】
【数5】
【数6】
【数7】
【数8】
【0047】
図11は、S字転舵による順方向経路の生成方法を説明する図であり、到達位置Eよりも後方で軸線E2が現在位置Aの軸線A2であるX軸と交わる場合の生成方法を説明する図である。
【0048】
ここでは、S字を描くための半径が同一となる共通の旋回円E1、A1の半径Rを算出する。そして、円の接点を求めれば、旋回円A1の円弧と、旋回円E1の円弧とを組み合わせてS字の順方向経路を生成することができる。
共通円の半径はそれぞれの円の中心座標が求まるので、中心座標間の距離から求まる。
【0049】
【数9】
【数10】
【0050】
図10(c)に示す公式からS字のそれぞれの旋回角度φ、φと、弧長b、bは以下の計算式により求められる。
【0051】
【数11】
【数12】
【数13】
【数14】
【0052】
図12は、S字転舵による順方向経路の生成方法を説明する図であり、到達位置Eよりも後方で軸線E2が現在位置Aの軸線A2であるX軸と交わる場合の生成方法を説明する図である。
【0053】
ここでは、S字を描くための半径が同一となる共通円E1、A1の半径Rを算出する。そして、円の接点を求めれば、旋回円A1の円弧と、旋回円E1の円弧とを組み合わせてS字の順方向経路を生成することができる。
【0054】
共通円の半径はそれぞれの円の中心座標が求まるので、中心座標間の距離から求まる。
【数15】
【数16】
【0055】
図10(c)に示す公式からS字のそれぞれの旋回角度φ、φと、弧長b、bは以下の計算式により求められる。
【0056】
【数17】
【数18】
【数19】
【数20】
【0057】
<駐車経路設定部>
駐車経路設定部14は、目標駐車位置から順方向経路演算部13によって選択された接続候補位置までの逆方向経路の情報と、自車位置情報から接続候補位置までの順方向経路の情報を用いて駐車経路を設定する。
【0058】
本発明によれば、目標駐車位置Bから逆方向経路を演算し、逆方向経路上に設定された複数の接続候補位置Dのうち、自車の現在位置Aから到達可能でかつ最も近い接続候補位置を到達位置Eとして選択し、目標駐車位置Bから到達位置Eまでの逆方向経路と、自車両の現在位置Aから到達位置Eまでの順方向経路とを用いて駐車経路を設定するので、駐車支援を開始する開始位置や車両姿勢に依存せずに、目標駐車位置Bに自車両21を誘導するための切り返しを含む駐車経路を演算して、ドライバの意図する位置に正しい車両姿勢で車両を駐車させることができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 駐車支援装置
11 逆方向経路演算部
12 接続候補位置記憶部
13 順方向経路演算部
14 駐車経路設定部
15 操作入力部
16 経路表示部
21 自車両
22 基準点
31 駐車枠
32、33 障害物
A 現在位置
B 目標駐車位置
C 到達可能限界位置
D 接続候補位置
E 到達位置
G 通路
PLn 接続候補ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9
図10
図11
図12