特許第6594771号(P6594771)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594771
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】二重容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20191010BHJP
【FI】
   B65D1/02 111
   B65D1/02 212
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-255229(P2015-255229)
(22)【出願日】2015年12月25日
(65)【公開番号】特開2017-114555(P2017-114555A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】木虎 修一
(72)【発明者】
【氏名】宮入 圭介
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−91537(JP,A)
【文献】 特開2003−192031(JP,A)
【文献】 特開2012−76758(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第0403259(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状をなす口部、該口部に連なると共に該口部よりも拡径した胴部、及び該胴部に連なる底部を有するボトル状をなす外層体と、該外層体の内側に収容され、該外層体の形状に対応した形状を有すると共に減容変形可能な内層体とを備え、前記口部に、前記外層体を貫通すると共に前記外層体と前記内層体との間に空気を導入する少なくとも1つの空気導入孔が設けられた二重容器において、
前記口部に設けられ、該口部に注出具を打栓によって装着させるための打栓用係止部と、
前記口部に周設されたネックリングと、
少なくとも前記胴部の上部に設けられ、前記口部から前記底部に向かう方向に延びる複数のリブとを備え、
前記ネックリングは、前記口部を形成する周壁が径方向外側に凸となるように屈曲することで拡径した少なくとも1つのリング拡径部と、前記少なくとも1つのリング拡径部に周方向に隣接すると共に該リング拡径部よりも拡径を抑えた少なくとも1つのリング間欠部とを備え、
前記複数のリブは、前記少なくとも1つのリング拡径部の直下に上端が配置された少なくとも1つの拡径部リブと、前記少なくとも1つの空気導入孔の直下に位置する前記少なくとも1つのリング間欠部の直下に上端が配置された少なくとも1つの間欠部リブとを備え、
前記少なくとも1つの間欠部リブは、前記少なくとも1つの拡径部リブの上端よりも上方に延長された延長部を備えることを特徴とする二重容器。
【請求項2】
前記ネックリングは前記口部の下端部よりも上方に設けられており、
前記延長部は、前記口部の下端部を越えて延在している、請求項1に記載の二重容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口部、胴部、及び底部を有するボトル状をなす外層体と、該外層体の内側に収容され、減容変形可能な内層体とを備え、口部に空気導入孔が設けられた二重容器に関し、特に、空気導入孔からの十分な気道の確保と、口部に対する注出具の打栓作業の安定化との双方を可能にするものである。
【背景技術】
【0002】
化粧水などの化粧料や、シャンプーやリンスあるいは液体石鹸、また食品調味料などを収納する容器としては、内容物を収容する収容部を備えた内層体と、この内層体を剥離可能に収容する外層体とを備え、内層体を減容変形させて内容物を注出する一方、外層体の口部に設けた空気導入孔から内層体と外層体との間に外気を導入して容器の外形を保持できるようにした二重容器が知られている(例えば特許文献1参照)。この種の容器は、内容物と外気との置換を行うことなく、注出を行うことができるので、内容物の外気との接触を減らして、その劣化や変質を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−290746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような二重容器としては、金型を用いて積層パリソンをダイレクトブロー成形することにより形成されるデラミ容器とも呼ばれる積層剥離容器が知られている。この場合二重容器は、相溶性の低い外層用の合成樹脂と内層用の合成樹脂とを共押出して積層パリソンとし、この積層パリソンを、金型を用いてブロー成形することにより、外層体と内層体とが密着した積層構造に形成される。そのため、ブロー成形の後に、例えば、空気導入孔から空気を圧送し、または口部から負圧吸引をして内層体を収縮させて、その全体を外層体から剥離させ、次いで、内層体の内部に空気を送り込み、その全体を再度外層体に密着させて、収容物の注出時に、内層体が外層体から剥離し易くなるようにしている。
【0005】
しかしながら、従来の二重容器では、前記のように、ブロー成形後に、内層体を一旦外層体から全剥離するようにしても、内層体は、その外面全体が再度外層体の内面全体に密着するので、収容物の注出時に、空気導入孔から外層体と内層体の間へ空気が入り難くなって、内層体の剥離不良や外層体の変形を生じる場合があった。
【0006】
また、このような二重容器としては、不正開封を防止する効果を得る目的から、注出キャップなどの注出具を口部に打栓によって装着するようにしたものが知られており、この場合二重容器は、口部にネックリングが形成され、該ネックリングの下面を支持具で支持した状態で、口部に注出具が打栓される。しかしながら、従来の二重容器では、ブロー成形により、口部を形成する周壁が径方向外側に凸となるように屈曲することで拡径したネックリングが形成されるため、打栓時にネックリングが上下に潰れるように撓んでしまい、安定した打栓作業を実現することができなかった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するために開発されたもので、空気導入孔からの十分な気道の確保と、口部に対する注出具の打栓作業の安定化との双方を可能にすることができる二重容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
1.筒状をなす口部、該口部に連なると共に該口部よりも拡径した胴部、及び該胴部に連なる底部を有するボトル状をなす外層体と、該外層体の内側に収容され、該外層体の形状に対応した形状を有すると共に減容変形可能な内層体とを備え、前記口部に、前記外層体を貫通すると共に前記外層体と前記内層体との間に空気を導入する少なくとも1つの空気導入孔が設けられた二重容器において、
前記口部に設けられ、該口部に注出具を打栓によって装着させるための打栓用係止部と、
前記口部に周設されたネックリングと、
少なくとも前記胴部の上部に設けられ、前記口部から前記底部に向かう方向に延びる複数のリブとを備え、
前記ネックリングは、前記口部を形成する周壁が径方向外側に凸となるように屈曲することで拡径した少なくとも1つのリング拡径部と、前記少なくとも1つのリング拡径部に周方向に隣接すると共に該リング拡径部よりも拡径を抑えた少なくとも1つのリング間欠部とを備え、
前記複数のリブは、前記少なくとも1つのリング拡径部の直下に上端が配置された少なくとも1つの拡径部リブと、前記少なくとも1つの空気導入孔の直下に位置する前記少なくとも1つのリング間欠部の直下に上端が配置された少なくとも1つの間欠部リブとを備え、
前記少なくとも1つの間欠部リブは、前記少なくとも1つの拡径部リブの上端よりも上方に延長された延長部を備えることを特徴とする二重容器。
【0009】
2.前記ネックリングは前記口部の下端部よりも上方に設けられており、
前記延長部は、前記口部の下端部を越えて延在している、前記1に記載の二重容器。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ネックリングにおける、少なくとも1つのリング拡径部よりも拡径を抑えた少なくとも1つのリング間欠部によって、打栓時にネックリングに作用する応力に対する座屈強度を向上することができる。また、本発明によれば、内層体と外層体との間に一端隙間を形成すれば、内層体と外層体に設けられた複数のリブによって内層体と外層体との再密着が防止され、複数のリブの周辺に隙間を確保することができる。そして、少なくとも1つの間欠部リブに延長部を設けたことで、このようにして確保される隙間をネックリングの少なくとも1つのリング間欠部を通じて、少なくとも1つの空気導入孔までつなげることができるため、十分な気道を確保することができる。
【0011】
したがって、本発明によれば、空気導入孔からの十分な気道の確保と、口部に対する注出具の打栓作業の安定化との双方を可能にすることができる二重容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る二重容器を示す平面図である。
図2図1の二重容器の側面図である。
図3図2とは90°異なる角度から見た二重容器の側面図である。
図4】(a)は図2のA−A断面図であり、(b)は図2のB−B断面図である。
図5】(a)は図2のC−C断面図であり、(b)は図2のD−D断面図であり、(c)は図2のE−E断面図である。
図6】(a)は二重容器の比較例1の側面図であり、(b)は二重容器の比較例2の側面図であり、(c)は二重容器の比較例3の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1図5を参照して、本発明の一実施形態に係る二重容器1について詳細に例示説明する。
なお、本明細書において、上下方向とは、二重容器1の正立状態を基準とし、上方とは図2における上方、下方とは図2における下方を意味するものとする。
【0014】
図1図3に示すように、本実施形態に係る二重容器1は、円筒状をなす口部11と、上部が口部11に連なる円錐状をなすと共に下部が円筒状をなす胴部12と、該胴部12に連なる略円板状をなす底部13とを有するボトル状をなす外層体10を備えている。胴部12は可撓性を有しており、スクイズされて凹むことができるとともに、凹んだ状態から元の形状に復元することができる。
【0015】
また、二重容器1は、内層体(図示省略)を備えており、該内層体は、外層体10の形状に対応した形状を有すると共に減容変形可能に構成されている。内層体は、外層体10よりも薄肉の袋状に形成されており、その外面は外層体10の内面に剥離可能に密着している。内層体の開口部は、外層体10の口部11の開口端に連ねられ、内層体の内部は、開口部に連なる収容部となっている。この収容部には、例えば、化粧水などの化粧料、シャンプーやリンスあるいは液体石鹸、また食品調味料などの液体状の内容物が収納される。
【0016】
本実施形態では、二重容器1は、相溶性の低い外層用の合成樹脂と、内層用の合成樹脂とを共押出して積層パリソンを形成し、この積層パリソンを、金型を用いてブロー成形することにより、外層体10の内面に内層体が剥離可能に密着した積層構造に形成されるデラミ容器とも呼ばれる積層剥離容器として構成されている。なお、二重容器1は、このようなダイレクトブロー成形によるものに限らず、例えば積層構造のプリフォームを二軸延伸ブロー成形することにより形成される積層剥離容器として構成してもよい。また、二重容器1は、外層体10と内層体とを別々に形成した後、内層体を外層体10の内部に組み込むようにした構成の二重容器1としてもよい。
【0017】
口部11には、例えば、注出用弁が配設された注出キャップ、各種ノズルまたは注出ポンプ等の注出具(図示省略)が打栓によって装着され、これらの注出具を介して、内容物が注出される。このような二重容器1は、口部11に注出用弁が配設された注出キャップを装着した場合には、外層体10の胴部12をスクイズすることによって、口部11から内容物を注出することができる。内容物の注出後、外層体10が元の形状に復元する際には、後述する空気導入孔11bから外層体10と内層体との間に外気が流入するので、内層体の収容部を減容させたまま、外層体10を元の形状に復元させることができる。したがって、内容物を注出しても、口部11から内層体の収容部の内部へ外気が流入することがないので、収容部に収容された内容物は空気に触れることなく、その劣化が防止される。また、外層体10を傾けることにより、内層体の収容部に収容した内容物を自重で口部11から注出することもできる。なお、口部11にポンプを装着した場合には、外層体10として可撓性を有していないものを用いることができる。
【0018】
口部11には、該口部11に注出具を打栓によってアンダーカット係合させて装着させるための打栓用係止部として、係止突起11aが設けられている。係止突起11aは、注出具の装着筒の内周面に設けられた係止溝とアンダーカット係合することで、注出具を口部11に係止することができる。係止突起11aは、平面視において、口部11の中心軸線と一致する二重容器1の中心軸線Oを挟んで対向する2箇所に間欠部を有する一対の円弧状をなしている。
【0019】
外層体10の口部11における係止突起11aの間欠部のやや下方には、軸線Oを挟んで対向する2箇所に円形の空気導入孔11bが設けられている。これら一対の空気導入孔11bは、外層体10を貫通すると共に外層体10と内層体との間に連通しており、内層体が外層体10から剥離したときに、空気を導入することができる。
【0020】
口部11における空気導入孔11bの下方には、口部11を形成する周壁が下方に向かって拡径するように屈曲した段差部11cが周設されている。段差部11cは、空気導入孔11bへの外気の導入を可能とする一方、空気導入孔11bからの空気の漏れを防止する外気導入弁を備える注出具を口部11に装着する場合に、該注出具の装着筒の下端部に密接することで、当該装着筒の下端部から空気が漏れ出すことを防止することができる。
【0021】
口部11における段差部11cの下方には、ネックリング11dが周設されている。ネックリング11dは、周方向に間隔を空けて配置されると共に口部11を形成する周壁が径方向外側に凸となるように屈曲することで拡径した(図5(b)参照)4つのリング拡径部11d1を備えている。また、これらリング拡径部11d1の間には、これらリング拡径部11d1よりも拡径を抑えた4つのリング間欠部11d2が配置されている。
【0022】
4つのリング間欠部11d2は、2つの空気導入孔11bの直下に位置する2つの第1リング間欠部11d21と、周方向においてこれら第1リング間欠部11d21の間に位置する2つの第2リング間欠部11d22とからなっている。第1リング間欠部11d21は、図5(c)に示すように、口部11を形成する周壁が縦断面V字状をなすように屈曲することで形成されている。また、第2リング間欠部11d22は、図1に示したように、口部11を形成する周壁が横断面V字状をなすように屈曲することで形成されている。
【0023】
胴部12の上部には、一対の空気導入孔11bに対応する一対のリブ群14Aが形成されている。一対のリブ群14Aは、それぞれ、口部11から底部13に向かう方向に放射状に延びる4つのリブ14からなっている。4つのリブ14は、リング拡径部11d1の直下に上端14a1が配置された2つの拡径部リブ14aと、第1リング間欠部11d21の直下に上端14b1が配置された2つの間欠部リブ14bとからなっている。間欠部リブ14bは、拡径部リブ14aの上端14a1よりも上方に延長された延長部14b2を備えている。
【0024】
また、4つのリブ14は、図4(a)、(b)及び図5(a)に示すように、径方向内側に向けて凹む凹溝を形成している。また、延長部14b2が形成する凹溝の深さは、該延長部14b2の直下の部分よりも浅くなっている。さらに、延長部14b2の上端、すなわち間欠部リブ14bの上端14b1は、口部11の下部まで延びている。すなわち、ネックリング11dは口部11の下端部よりも上方に設けられており、延長部14b2は、口部11の下端部を越えて延在している。
【0025】
二重容器1にこのようなリブ群14Aを設けたことにより、一旦、内層体が外層体10から剥離されると、内層体のリブが、外層体10のリブ14に再度密着することが困難となり、外層体10のリブ14と内層体のリブとの周りに隙間が維持される。また、空気導入孔11bの直下に第1リング間欠部11d21を配置し、第1リング間欠部11d21の直下に間欠部リブ14bの延長部14b2の上端14b1を配置したことにより、外層体10のリブ14と内層体のリブとの周りに維持される隙間を空気導入孔11bにつなげることができる。
【0026】
例えば、この二重容器1のブロー成形の後に、負圧吸引により内層体を収縮させて、その全体を外層体10から剥離させ、次いで、内層体の内部に空気を送り込むと、外層体10のリブ14と内層体のリブとの間、及び外層体10の第1リング間欠部11d21と内層体の第1リング間欠部との間に隙間を維持しつつ、内層体の他の部分を外層体10の内面に密着させることができる。したがって、内層体に内容物を収容後、この内容物を口部11から注出する際には、第1リング間欠部11d21とリブ14との周りの隙間が通気路となって、空気導入孔11bから流入した外気は、胴部12の底部13の側における外層体10と内層体の間にまで、容易に流入することができる。これにより、内層体を外層体10から剥がれ易くして、二重容器1の内層体の剥離不良や外層体10の変形を防止することができる。
【0027】
また、口部11は、ブロー成形時に殆ど延伸を加えられないため、胴部12よりも肉厚が厚く形成されることになる。したがって、このように肉厚が厚い口部11では、胴部12よりも気道の確保が難しくなるが、前述したように延長部14b2を口部11の下端部を越えて延在させることで、より確実に通気路を確保することが可能となる。
【0028】
また、二重容器1にネックリング11dを設けたことにより、口部11に注出具を打栓によって装着する際に、ネックリング11dの拡径部リブ14aの下面を支持具で支持した状態で、口部11に注出具を打栓することができる。またこのとき、ネックリング11dにはリング拡径部11d1よりも拡径を抑えたリング間欠部11d2が設けられているので、リング間欠部11d2を柱部として機能させることで、打栓時の応力に対するネックリング11dの座屈強度を向上させることができる。したがって、二重容器1によれば、口部11に対する注出具の打栓作業の安定化を実現することができる。
【0029】
以上説明したように、本実施形態に係る二重容器1は、筒状をなす口部11、該口部11に連なると共に該口部11よりも拡径した胴部12、及び該胴部12に連なる底部13を有するボトル状をなす外層体10と、該外層体10の内側に収容され、該外層体10の形状に対応した形状を有すると共に減容変形可能な内層体とを備え、口部11に、外層体10を貫通すると共に外層体10と内層体との間に空気を導入する少なくとも1つの空気導入孔11bが設けられた構成になっている。
【0030】
また、二重容器1は、口部11に設けられ、該口部11に注出具を打栓によって装着させるための打栓用係止部(係止突起11a)と、口部11に周設されたネックリング11dと、少なくとも胴部12の上部に設けられ、口部11から底部13に向かう方向に延びる複数のリブ14とを備えるという構成になっている。
【0031】
また、二重容器1は、ネックリング11dが、口部11を形成する周壁が径方向外側に凸となるように屈曲することで拡径した少なくとも1つのリング拡径部11d1と、少なくとも1つのリング拡径部11d1に周方向に隣接すると共に該リング拡径部11d1よりも拡径を抑えた少なくとも1つのリング間欠部11d2とを備え、複数のリブ14は、少なくとも1つのリング拡径部11d1の直下に上端14a1が配置された少なくとも1つの拡径部リブ14aと、少なくとも1つの空気導入孔11bの直下に位置する少なくとも1つのリング間欠部11d2の直下に上端14b1が配置された少なくとも1つの間欠部リブ14bとを備え、少なくとも1つの間欠部リブ14bは、少なくとも1つの拡径部リブ14aの上端よりも上方に延長された延長部14b2を備えるという構成になっている。
【0032】
したがって、本実施形態に係る二重容器1によれば、空気導入孔11bからの十分な気道の確保と、口部11に対する注出具の打栓作業の安定化との双方を可能にすることができる
【0033】
また、本実施形態に係る二重容器1は、ネックリング11dが口部11の下端部よりも上方に設けられており、延長部14b2は、口部11の下端部を越えて延在しているという構成になっている。
【0034】
したがって、本実施形態に係る二重容器1によれば、より確実な気道の確保を実現することができる。
【0035】
本発明は前記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、前記の実施形態においては、口部11に一対の空気導入孔11bを設け、これらの空気導入孔11bに対応して、一対のリング間欠部11d2や一対のリブ群14Aを設けるようにしているが、空気導入孔11bやリング間欠部11d2及びリブ群14Aは、それぞれ2つに限らず、1つまたは3つ以上設けることもできる。また、リブ群14Aに含めるリブ14の本数も適宜変更が可能である。また、リブ14は、少なくとも胴部12の上部に設けられ、口部11から底部13に向かう方向に延びていればよく、その形状や長さは適宜変更が可能である。さらに、リブ14は、径方向内側に向けて凹む凹溝を形成するものに限らず、径方向外側に向けて凸となる凸条を形成するものとしてもよい。また、口部11、胴部12及び底部13はいずれも平面視円形状をなすものを例示したが、楕円形状や、その他の形状をなすものとしてもよい。
【実施例】
【0036】
本発明による効果を確認するために、図1〜5に示した構成になる実施例としての二重容器を製作し、そのネックリングの強度を測定すると共に、注出キャップの打栓による装着の可否について確認した。また、装着した注出キャップから内容物を注出し、胴部がスムーズに復元するか否かを調べることにより、十分な気道が確保されているか否かを確認した。また、比較例1〜3として、図6(a)〜(c)に示す構成の二重容器を製作し、実施例の場合と同様に、ネックリングの強度の測定、注出キャップの打栓の可否及び気道確保の良好性の確認を行った。
【0037】
実施例及び比較例1〜3のいずれの場合も、二重容器はダイレクトブロー成形によって形成し、その容量は200mlとした。また、打栓力は300Nとした。その結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表1から明らかなように、ネックリングが間欠部を有しておらず、また、4つのリブの上端がいずれも同一の高さとなっている図6(a)の比較例1では、ネックリングの強度が不足し、口部に注出キャップを打栓できなかった。また、そのため、気道確保の良好性について確認することはできなかった。また、ネックリングの間欠部が空気導入孔の直下に位置しておらず、また、4つのリブの上端がいずれも同一の高さとなっている図6(b)の比較例2では、打栓はできたものの、気道の確保は不十分であった。さらに、ネックリングの間欠部が空気導入孔の直下に位置しているが、4つのリブの上端がいずれも同一の高さとなっている図6(c)の比較例3でも、打栓はできたものの、気道の確保は不十分であった。これに対し、ネックリングの間欠部が空気導入孔の直下に位置し、また、その間欠部の直下にリブの延長部の上端が位置する図1図5の実施例では、打栓も、十分な気道の確保も可能であった。
【0040】
以上の結果から、本発明に従い、ネックリングの間欠部を空気導入孔の直下に配置すると共に、その間欠部の直下にリブの延長部の上端を配置することで、注出具の打栓と十分な気道の確保との双方が実現できることが確認された。
【符号の説明】
【0041】
1 二重容器
10 外層体
11 口部
11a 係止突起
11b 空気導入孔
11c 段差部
11d ネックリング
11d1 リング拡径部
11d2 リング間欠部
11d21 第1リング間欠部
11d22 第2リング間欠部
12 胴部
13 底部
14 リブ
14A リブ群
14a 拡径部リブ
14a1 拡径部リブの上端
14b 間欠部リブ
14b1 間欠部リブの上端
14b2 延長部
O 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6