特許第6594775号(P6594775)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ファイバーリーン テクノロジーズ リミテッドの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594775
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】セルロース由来の組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 1/02 20060101AFI20191010BHJP
   D21H 11/18 20060101ALI20191010BHJP
   D21H 15/02 20060101ALI20191010BHJP
   D21H 17/67 20060101ALI20191010BHJP
   C08K 3/00 20180101ALI20191010BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20191010BHJP
   C08K 3/30 20060101ALI20191010BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20191010BHJP
   C08J 3/12 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   C08L1/02
   D21H11/18
   D21H15/02
   D21H17/67
   C08K3/00
   C08K3/26
   C08K3/30
   C08K3/34
   C08J3/12CEP
【請求項の数】9
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-547138(P2015-547138)
(86)(22)【出願日】2013年12月9日
(65)【公表番号】特表2016-505727(P2016-505727A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】GB2013053234
(87)【国際公開番号】WO2014091212
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2016年12月9日
(31)【優先権主張番号】1222285.7
(32)【優先日】2012年12月11日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516341914
【氏名又は名称】ファイバーリーン テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】ハズバンド ジョン クロード
(72)【発明者】
【氏名】フィップス ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ヒューズ エイドリアン
(72)【発明者】
【氏名】スヴェンディング ペル
(72)【発明者】
【氏名】スクース ディヴィド ロバート
【審査官】 長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/066308(WO,A1)
【文献】 特表2012−514137(JP,A)
【文献】 特開2010−202987(JP,A)
【文献】 特表2013−527333(JP,A)
【文献】 特開2011−074529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B1/00−37/18
C08K3/00−13/08
C08L1/00−101/14
D21B1/00−1/38
D21C1/00−11/14
D21D1/00−99/00
D21F1/00−13/12
D21G1/00−9/00
D21H11/00−27/42
D21J1/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミクロフィブリル化セルロースおよび任意に無機粒状物質を含む組成物であって、該組成物が、(i) 該組成物中のセルロース系物質の全質量を基準として、2.0質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル;および/または(ii) 該組成物中のセルロース系物質の全質量を基準として、20質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含み、前記組成物中のセルロース系物質の全質量を基準として、140nm〜700nmのフィブリル径d50を持つことを特徴とする、前記組成物。
【請求項2】
無機粒状物質を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、(i) 1.5質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル;および/または(ii) 15質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含む、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
1.0質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記無機粒状物質が、アルカリ土類金属炭酸塩または硫酸塩、含水カンダイトクレー、無水(焼成)カンダイトクレー、タルク、マイカ、パーライトまたは珪藻土、またはこれらの組合せである、請求項1〜の何れか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記無機粒状物質が、アルカリ土類金属炭酸塩であり、前記アルカリ土類金属炭酸塩が炭酸カルシウムである場合、該炭酸カルシウムの少なくとも50質量%が、2μm未満のe.s.dを有してもよい、請求項1〜の何れか1項に記載の組成物。
【請求項7】
ブルックフィールド粘度(10rpm、およびフィブリル含有率1.5質量%における)7,000〜10,000MPa.sを持つ、請求項1〜の何れか1項に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1記載の組成物の製造方法であって、無機粒状物質以外の粉砕媒体の存在下で、および任意に無機粒状物質の存在下で、セルロース含有繊維質基材をミクロフィブリル化し、ミクロフィブリル化セルロースおよび任意に無機粒状物質を含む組成物を得る工程を含み、該ミクロフィブリル化工程中のエネルギー投入量が、セルロース含有繊維質基材1トン当たり500〜10,000kWh(kWh/t)であり、該組成物が(i) 該組成物中のセルロース系物質の全質量を基準として、2.0質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル;および/または(ii) 該組成物中のセルロース系物質の全質量を基準として、20質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記ミクロフィブリル化工程が、前記無機粒状物質および無機粒状物質以外の粉砕媒体の存在下で、前記繊維質基材を粉砕する工程を含み、前記粉砕が垂直ミル内で行われてもよい、請求項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミクロフィブリル化セルロースおよび任意に無機粒状物質を含有する組成物、その製造方法、およびミクロフィブリル化セルロースおよび無機粒状物質を含む該組成物を含有する製紙組成物および紙製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無機粒状物質、例えばアルカリ土類金属炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム)またはカオリンは、多くの用途において広く使用されている。これらは、製紙または紙塗工において使用できる鉱物質含有組成物の製造を含む。紙製品において、このようなフィラーは、典型的には該紙製品の他のより高価な成分の一部を置換えるために添加される。フィラーは、また紙製品の物理的、機械的、および/または光学的要求性能を改良する目的で添加することもできる。明らかに、含めることのできるフィラーの量が多い程、経費節減の可能性は大きくなる。しかし、添加されたフィラーの量およびこれに関連する経費節減は、この最終的な紙製品の上記物理的、機械的および光学的要求性能と均衡させる必要がある。それ故に、上記紙製品の物理的、機械的および/または光学的要求性能に悪影響を及ぼすことなしに、高い配合レベルにて使用し得る紙用フィラーの開発に対する永続的な要求がある。このようなフィラーを経済的に製造する方法の開発に対する要求もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、比較的高い配合レベルにて紙製品に配合することができ、しかも該紙製品の物理的、機械的および/または光学的諸特性を維持または改良さえもする、該紙製品用の別のおよび/または改良されたフィラーの提供を探求する。本発明は、またこのようなフィラーを製造するための経済的な方法の提供をも探求する。
更に、本発明は、工業的な規模での、経済的なミクロフィブリル化セルロースの製造に係る問題への対処を探求する。セルロース物質をミクロフィブリル化するための現在の方法は、一部には出発物質および該ミクロフィブリル化生成物の比較的高い粘度の故に、比較的大量のエネルギーを必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第一の局面によれば、ミクロフィブリル化セルロースおよび任意に無機粒状物質を含む組成物が提供され、該組成物は、(i) 該組成物中のセルロース系物質の全質量を基準として、約5.0質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル;および/または(ii) 該組成物中のセルロース系物質の全質量を基準として、約30質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含む。幾つかの態様において、該組成物は無機粒状物質を含む。
本発明の第二の局面によれば、本発明の第一の局面に従う組成物を含む、製紙組成物が提供される。
本発明の第三の局面によれば、紙製品が提供され、該紙製品は、(i) 本発明の第一の局面に従う組成物を含み、または(ii) 本発明の第二の局面に従う製紙組成物から得られるものである。
【0005】
本発明の第四の局面によれば、本発明の第一の局面に従う組成物を製造するための方法が提供され、該方法は、粉砕媒体の存在下でおよび任意に無機粒状物質の存在下で、セルロース含有繊維質基材をミクロフィブリル化する工程を含み、ここではミクロフィブリル化セルロースおよび任意に無機粒状物質を含む組成物を得るために、該ミクロフィブリル化工程中のエネルギー投入量が、セルロース含有繊維質基材1トン当たり約500〜20,000kWh(kWh/t)、例えば約1,250〜10,000kWh/tまたは例えば約1,750〜4,000kWh/tであり、該組成物が(i) 該組成物中のセルロース系物質の全質量を基準として、約5.0質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル;および/または(ii) 該組成物中のセルロース系物質の全質量を基準として、約30質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含む。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ミクロフィブリル化セルロースおよび任意に無機粒状物質を含む組成物
上記組成物は、(i) 該組成物の全質量を基準として、約5.0質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル;および/または(ii) 該組成物の全質量を基準として、約30質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含む。幾つかの態様において、該組成物は、約4.5質量%以下の10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、例えば約4.0質量%以下の10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約3.8質量%以下の10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約3.6質量%以下の10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約3.4質量%以下の10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約3.2質量%以下の10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約3.0質量%以下の10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約2.8質量%以下の10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約2.6質量%以下の10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約2.4質量%以下の10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約2.2質量%以下の10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含む。幾つかの態様において、該組成物は、該組成物の全質量を基準として、約29質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、例えば約28質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約27質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約26質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約25質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約24質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約23質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約22質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約21質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含む。
【0007】
上記セルロースフィブリルのフィブリル径およびその量は、以下の方法に従って決定することができる。ミクロフィブリル化セルロースと無機粒状物質とを含む上記組成物は、蒸留水で希釈され、またファットマン(Whatman)から入手し得るサイクロポア(Cyclopore)(RTM)膜を通して濾過される。該膜は、細孔径0.4μmおよび径13mmを持つ、ポリカーボネート製である。その製造業者カタログナンバー(Catalog Number)は7060-1304である。該サンプルは、該膜上に保持される。この膜の一部を、径12.5mmのアルミニウムピンスタブに固定する。次いで、該スタブをポラロン(Polaron) SC7640スパッタコーターに配置し、90秒間に渡り金でスパッター処理する。該サンプルスタブを、倍率2にて、JEOL 6700F FESEM顕微鏡で分析する。少なくとも20個の画像を、倍率5000xおよび150,000xにおいて記録して、フィブリル径分布の定量を可能とする。次いで、これらの画像を画像解析ソフトウエアプラットフォーム[ニコン(Nikon)からのNIS-エレメント(NIS-Elements from Nikon)]に表示させ、また個々のフィブリル径を測定し、記録する。該繊維上のスパッタリングによる金の被覆については、何ら斟酌しない。得られる数値的な分布を、全てのフィブリルが円筒状であり、また長さが等しいものと仮定して、質量分布に換算する。
フィブリル径d50は、質量基準のメディアンフィブリル径である。
【0008】
幾つかの態様において、上記組成物は(i) 約2.0質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、および/または(ii) 約20質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含む。幾つかの態様において、該組成物は約1.9質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、例えば約1.8質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約1.7質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約1.6質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約1.5質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約1.4質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約1.3質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約1.2質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約1.1質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含む。幾つかの態様において、該組成物は約19質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、例えば約18質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約17質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約16質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含む。
【0009】
幾つかの態様において、上記組成物は(i) 約1.5質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、および/または(ii) 約15質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含む。幾つかの態様において、該組成物は約1.4質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、例えば約1.3質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約1.2質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約1.1質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含む。幾つかの態様において、該組成物は約14質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、例えば約13質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約12質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約11質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または約10質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含む。
幾つかの態様において、上記組成物は約1.0質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含む。
【0010】
幾つかの態様において、上記組成物は少なくとも約0.25質量%の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、例えば少なくとも約0.50質量%の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または少なくとも約0.75質量%の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含む。幾つかの態様において、該組成物は少なくとも約2.0質量%の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、例えば少なくとも約5.0質量%の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル、または少なくとも約7.0質量%、または少なくとも約10質量%、または少なくとも約12質量%の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含む。
幾つかの態様において、上記組成物は、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを実質上含まない。「実質上含まない」なる表現によって、該10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルの量が極めて少量であって、本明細書において記載の測定法を用いては定量し得ないことを意味する。
上述の測定法に基けば、上記セルロースフィブリルは、上記組成物中のセルロース系物質の全質量を基準として、フィブリル径d50約100〜700nmを持つことができる。幾つかの態様において、該フィブリル径d50は、約120〜約600nm、例えば約140〜約500nm、または約160〜450nm、または約180〜約400nm、または約200〜約350nm、または約200〜約300nm、または約250〜約300nmであり得る。
【0011】
・セルロース源
上記ミクロフィブリル化セルロースは、「ミクロフィブリル化法」の下に、以下において詳細に説明されるように、任意の適当な源から誘導することができる。
・無機粒状物質
無機粒状物質は、例えばアルカリ土類金属炭酸塩または硫酸塩、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、石膏、含水カンダイトクレー、例えばカオリン、ハロイサイトまたはボールクレー、無水(焼成)カンダイトクレー、例えばメタカオリンまたは完全に焼成されたカオリン、タルク、マイカ、パーライトまたは珪藻土、または水酸化マグネシウム、またはアルミニウム3水和物、またはこれらの組合せであり得る。
幾つかの態様において、上記無機粒状物質は、炭酸カルシウムを含むか、あるいは炭酸カルシウムである。以下においては、本発明を、往々にして炭酸カルシウムとの関連で、また該炭酸カルシウムが加工されおよび/または処理される局面との関連で議論させてもらう。本発明は、このような態様に限定されるものと解釈すべきではない。
【0012】
本発明において使用する上記粒状炭酸カルシウムは、天然源から粉砕によって得ることができる。粉砕炭酸カルシウム(GCC)は、典型的に鉱物源、例えば白亜、大理石または石灰石を圧潰し、また次に粉砕することにより得られ、これは、所望の粉末度を持つ製品を得るために、粒度の分級工程を伴うものであってもよい。漂白、浮選および磁気分離等の他の技術を使用して、所望の粉末度および/または色彩を持つ製品を得ることも可能である。該粒状固体物質は、自生的に粉砕、即ち該固体物質自体の粒子間で磨砕し、あるいはまた粉砕すべき該炭酸カルシウムとは異なる物質の粒子を含む粒状粉砕媒体の存在下で粉砕することも可能である。これら方法は、該方法の任意の段階において添加することのできる分散剤および殺生物剤の存在下で、あるいはこれらの不在下で実施し得る。
【0013】
沈降炭酸カルシウム(PCC)は、本発明において粒状炭酸カルシウム源として使用することができ、また当分野において利用可能な公知方法の何れかによって製造し得る。タッピモノグラフシリーズ(TAPPI Monograph Series) No.30、「紙塗工用顔料(Paper Coating Pigments)」, pp.34-35には、製紙産業で使用するための製品の製造において使用するのに適した沈降炭酸カルシウムを製造するための、3つの主要な工業的方法が記載されているが、これらの方法は本発明の実施においても使用できる。これら3つの方法全てにおいては、炭酸カルシウム供給材料、例えば石灰石を先ず焼成して生石灰を生成し、次いで該生石灰を水中で消和させて、水酸化カルシウムまたは石灰乳とする。該第一の方法においては、該石灰乳を二酸化炭素ガスにより直接炭酸塩化する。この方法は、副産物が全く形成されず、また該炭酸カルシウム生成物の諸特性および純度の制御が比較的容易であるという利点を持つ。該第二の方法においては、該石灰乳をソーダ灰と接触させて、複分解により、炭酸カルシウムの沈殿と水酸化ナトリウムの溶液とを生成する。この方法が工業的に用いられる場合には、該水酸化ナトリウムは該炭酸カルシウムから実質上完全に分離し得る。該第三の主な工業的方法において、該石灰乳は、先ず塩化アンモニウムとの接触に付されて、塩化カルシウム溶液とアンモニアガスとを与える。次いで、該塩化カルシウム溶液はソーダ灰との接触に付されて、複分解により、沈降炭酸カルシウムおよび塩化ナトリウム溶液を生成する。これらの結晶は、使用される特定の反応方法に応じて、様々な異なる形状および大きさにて製造し得る。PCC結晶の3つの主要な形状は、アラゴナイト、菱面体および偏三角面体であり、これら全ては本発明において使用するのに適しており、またこれらの混合物をも包含する。
【0014】
炭酸カルシウムの湿式粉砕は、該炭酸カルシウムの水性懸濁液の形成を含み、該懸濁液は、次いで任意に適当な分散助剤の存在下で粉砕処理に付すことができる。該炭酸カルシウムの湿式粉砕に関するこれ以上の情報については、例えばEP-A-614948(その内容全体を参考として組み入れる)を参照することができる。
幾つかの状況において、他の鉱物の少量添加を含むこともでき、例えば1種またはそれ以上のカオリン、焼成カオリン、ウォラストナイト、ボーキサイト、タルクまたはマイカも存在させ得る。
上記無機粒状物質が天然産の源から得られる場合、該粒状物質は、幾分かの無機不純物がその粉砕物質を汚染しているものであり得る。例えば、天然産の炭酸カルシウムは、他の鉱物と結合した状態で存在する可能性がある。即ち、幾つかの態様において、該無機粒状物質は、ある量の不純物を含んでいる。しかし、一般的には本発明において使用する該無機粒状物質は、約5質量%未満、好ましくは約1質量%未満の他の無機不純物を含むであろう。
上記無機粒状物質は、少なくとも約10質量%、例えば少なくとも約20質量%、例えば少なくとも約30質量%、例えば少なくとも約40質量%、例えば少なくとも約50質量%、例えば少なくとも約60質量%、例えば少なくとも約70質量%、例えば少なくとも約80質量%、例えば少なくとも約90質量%、例えば少なくとも約95質量%、または例えば約100質量%の該粒子が、2μm未満のe.s.dを持つような粒度分布を持つことができる。
【0015】
幾つかの態様において、上記粒子の少なくとも50質量%は2μm未満のe.s.dを有し、例えば該粒子の少なくとも約55質量%が2μm未満のe.s.dを有し、または該粒子の少なくとも約60質量%が2μm未満のe.s.dを持つ。
特に述べない限り、上記無機粒状物質についてここで言及する粒度特性は、周知の方法で、セディグラフ(Sedigraph) 5100装置を用いて、水性媒体中で完全に分散された状態にある該粒状物質の沈降によって測定された如きものであり、ここで該装置は、例えばマイクロメリティックスインスツルメンツ社(Micromeritics Instruments Corporation), 米国、ジョージア州、ノルクロス(Norcross, Georgia, USA)(ウエブサイト: www.micromeritics.com)によって供給され、これはここでは「マイクロメリティックスセディグラフ(Micromeritics Sedigraph) 5100装置」と呼ぶ。このような装置は、与えられたe.s.d値に満たない、当分野において「球相当直径」(e.s.d)と呼ばれている大きさを持つ粒子の測定値およびその累積質量百分率のプロットを与える。平均粒度d50は、該粒子e.s.dのこのように測定された値であり、そこにおいては50質量%の、このd50値に満たない球相当直径を持つ該粒子が存在する。
【0016】
あるいはまた、述べられている場合には、上記無機粒状物質についてここにおいて言及している粒度特性は、マルバーンインスツルメンツ社(Malvern Instruments Ltd)によって供給されている如きマルバーンマスターサイザー(Malvern Mastersizer) S装置を用いるレーザー光散乱技術において使用されている周知の従来法により(または本質的に同一の結果を与えるその他の方法により)測定されるようなものである。該レーザー光散乱技術において、粉末、懸濁液およびエマルション状態にある粒子の大きさは、ミー(Mie)理論の応用に基く、レーザービームの回折を利用して測定することができる。このような装置は、与えられたe.s.d値に満たない、当分野において「球相当直径」(e.s.d)と呼ばれている大きさを持つ粒子の測定値およびその累積体積百分率のプロットを与える。平均粒度d50は、該粒子e.s.dのこのように測定された値であり、そこにおいては50体積%の、このd50値に満たない球相当直径を持つ該粒子が存在する。
従って、もう一つの態様において、上記無機粒状物質は、レーザー光散乱の分野において使用される周知の従来法によって測定された如き、その粒子の少なくとも約10体積%、例えば少なくとも約20体積%、例えば少なくとも約30体積%、例えば少なくとも約40体積%、例えば少なくとも約50体積%、例えば少なくとも約60体積%、例えば少なくとも約70体積%、例えば少なくとも約80体積%、例えば少なくとも約90体積%、例えば少なくとも約95体積%、例えば約100体積%が、2μm未満のe.s.dを持つような粒度分布を持つことができる。
【0017】
幾つかの態様において、上記粒子の少なくとも約50体積%が2μm未満のe.s.dを持ち、例えば該粒子の少なくとも約55体積%が2μm未満のe.s.dを持ち、あるいは該粒子の少なくとも約60体積%が2μm未満のe.s.dを持つ。
レーザー光散乱の分野において使用される周知の従来法を利用して、無機粒子物質とミクロフィブリル化セルロースとの混合物の粒度分布を特徴付けするのに使用し得る手順の詳細は、以下に与えられる。
本発明の上記第一の局面に従う方法において使用するためのもう一つの好ましい無機粒状物質は、カオリンクレーである。以下において、本明細書の本章は、往々にしてカオリンとの関連で、および該カオリンが加工されおよび/または処理される局面との関連で議論させてもらう。本発明が、このような態様に限定されるものと解釈すべきではない。即ち、幾つかの態様において、カオリンは未加工の形状で使用される。
本発明において使用するカオリンクレーは、天然源、即ち未加工の天然カオリンクレー鉱物由来の加工された物質であり得る。該加工されたカオリンクレーは、典型的に少なくとも約50質量%のカオリナイトを含むことができる。例えば、殆どの工業的に加工されたカオリンクレーは、約75質量%を超えるカオリナイトを含み、また約90%を超える、幾つかの場合においては約85質量%を超えるカオリナイトを含むことができる。
【0018】
本発明において使用するカオリンクレーは、未加工の天然カオリンクレー鉱物から、当業者には周知の1またはそれ以上の他の方法、例えば公知の精製または選鉱段階により製造することができる。
例えば、上記クレー鉱物は還元性漂白剤、例えば次亜硫酸ナトリウムで漂白することができる。次亜硫酸ナトリウムを使用する場合、該漂白されるクレー鉱物は、該次亜硫酸ナトリウムによる漂白段階後に、任意に脱水され、また任意に洗浄され、また更に場合によっては脱水される。
上記クレー鉱物は、例えば当分野において周知の凝集、浮選、または磁気分離技術により、不純物を除去するために処理することができる。あるいはまた、本発明の上記第一の局面において使用する該クレー鉱物は未処理であって、固体形状または水性懸濁液の状態であり得る。
本発明において使用する上記粒状カオリンクレーの製造方法は、また1またはそれ以上の微粉砕段階、例えば粉砕または磨砕(grinding or milling)段階を含むことができる。粗製カオリンの軽度の微粉砕を利用して、その適当な離層を生じさせる。この微粉砕は、プラスチック製(例えば、ナイロン)のビーズまたは顆粒、砂またはセラミックの粉砕または磨砕助剤を使用することにより実施することができる。該粗製カオリンは、不純物を除去しまた物理的諸特性を改善するために、周知の手順を用いて精製することができる。該カオリンクレーを、公知の粒度分級手順、例えばスクリーニングおよび遠心分離処理(またはこれら両者)によって処理して、所定のd50値または粒度分布を持つ粒子を得ることができる。
【0019】
上記組成物における、無機粒状物質と、ミクロフィブリル化セルロースを含むセルロース系物質との相対的な量は、無機粒状物質およびセルロース系物質の乾燥質量を基準として、約99.5:0.5〜約0.5:99.5の比、例えば無機粒状物質およびセルロース系物質の乾燥質量を基準として、約99.5:0.5〜約50:50の比で変えることができる。例えば、無機粒状物質およびセルロース系物質の量に係る比は、約99.5:0.5〜約70:30であり得る。幾つかの態様において、無機粒状物質対セルロース系物質の比は、約80:20、または例えば約85:15、または約90:10、または約91:9、または約92:8、または約93:7、または約94:6、または約95:5、または約96:4、または約97:3、または約98:2、または約99:1である。
幾つかの態様において、本発明の第一の局面に係る上記組成物は、水性懸濁液、スラリーまたは沈降物の形状にある。
幾つかの態様において、本発明の第一の局面に係る上記組成物は約80質量%までの水、例えば約75%までの水、または約70%まで、または約65質量%までの水、または約60質量%まで、または約55質量%までの水、または約50質量%までの水、または約45質量%までの水、または約40質量%までの水、または約35質量%までの水、または約30質量%までの水、または約25質量%までの水を含むことができる。
幾つかの態様において、上記組成物は約50〜約70質量%の水、例えば約55〜約65質量%の水、あるいは約60〜約70質量%の水、あるいは約60〜約65質量%の水、あるいは約65〜約70質量%の水を含む。
【0020】
幾つかの態様において、本発明の組成物はブルックフィールド(Brookfield)粘度(10rpmにおける)約500〜12,000MPa.s、例えば約500〜約10,000MPa.s、または約1,000〜10,000MPa.s、または約2,000〜10,000MPa.s、または約3,000〜10,000MPa.s、または約4,000〜10,000MPa.s、または約5,000〜10,000MPa.s、または約6,000〜10,000MPa.s、または約6,500〜10,000MPa.s、または約7,000〜10,000MPa.s、または約7,000〜9,500MPa.sまたは約8,000〜10,000MPa.s、または約8,000〜9,500MPa.s、または約8,000〜9,000MPa.s.を持つことができる。
ブルックフィールド粘度は以下の手順に従って測定される。上記組成物のサンプル、例えば上記粉砕機生成物は、繊維含有率1.5質量%を得るために、十分な水で希釈される。次いで、該希釈されたサンプルを十分に混合し、ブルックフィールド(Brookfield at 10 rpm) R.V.粘度計(スピンドルNo.4)を10rpmにて使用して、その粘度を測定する。その読みを、該サンプルを安定化するために、15秒後に読み取る。
上記組成物は、他の随意の添加剤を含むことができ、該添加剤は、分散剤、殺生物剤、懸濁助剤、塩およびその他の添加剤、例えば無機粒子と繊維との相互作用を容易にし得るデンプンまたはカルボキシメチルセルロースまたはポリマーを含むが、これらに限定されない。
【0021】
ミクロフィブリル化工程
幾つかの態様において、ミクロフィブリル化セルロースを含む上記組成物は、粉砕媒体の存在下で、セルロース含有繊維質基材をミクロフィブリル化処理する工程を含む方法によって得ることができる。
幾つかの態様において、上記組成物はミクロフィブリル化セルロースおよび無機粒状物質を含み、また該組成物は、該無機粒状物質および粉砕媒体の存在下で、セルロース含有繊維質基材をミクロフィブリル化処理する工程を含む方法によって得ることができる。
上記ミクロフィブリル化処理工程中の全エネルギー投入量は、該セルロース含有繊維質基材中の乾燥繊維1トン当たり、約500〜20,000kWh((kWh/t))の範囲、例えば該セルロース含有繊維質基材中の乾燥繊維の、約1,000〜15,000kWh/tの範囲、または約1,250〜10,000kWh/tの範囲、または約1,250〜7,500kWh/tの範囲、または約1,250〜5,000kWh/tの範囲、または約1,250〜4,000kWh/tの範囲、または約1,500〜3,500kWh/tの範囲、または約1,750〜3,000kWh/tの範囲、または約2,000〜2,750kWh/tの範囲、または約2,250〜2,750kWh/tの範囲、または約2,300〜2,700 kWh/tの範囲、または約2,400〜2,600kWh/tの範囲、または約2,450〜2,550の範囲にある。
【0022】
「ミクロフィブリル化」という用語により、セルロースのミクロフィブリルが、個々の種としてまたはプレミクロフィブリル化パップ(pup)の繊維に比して、小さな凝集体として遊離されまたは部分的に遊離される方法を意味する。製紙において使用するのに適した典型的なセルロース繊維(即ち、プレミクロフィブリル化パルプ)は、何百または何千という個々のセルロースフィブリルからなるより大きな凝集体を含む。該セルロースをミクロフィブリル化することによって、ここに記載される諸特徴および性質を含む特定の特徴および性質が、該ミクロフィブリル化セルロースおよびこれを含む組成物に付与される。好都合なことに、本発明者等は、全エネルギー投入量(コストおよび環境上の事情を含む)と有用な物理的および機械的諸特性を持つミクロフィブリル化製品との間のバランスが達成し得ることを、意外にも見出した。即ち、以前の研究は、極めて小さなフィブリル径(例えば、10nm未満)を持つセルロースフィブリルの比較的高い含有率(例えば、少なくとも40質量%)を有する組成物が望ましいことを示していたかもしれないが、本発明者等は、必ずしもコスト的におよび環境的に法外なエネルギー投入量にて該出発パルプ材料を加工する必要性なしに、有用な諸特性を持つが、比較的少量の極めて小さなフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含むミクロフィブリル化種を得ることができることを見出した。
【0023】
幾つかの態様において、ミクロフィブリル化セルロースと任意に無機粒状物質とを含む本発明の組成物は、約1.5質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルおよび約15質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含み、また上記方法によって得ることができ、該方法において該ミクロフィブリル化工程中の全エネルギーは、上記セルロース含有繊維質基材中の乾燥繊維の約2,300〜2,700kWh/t、例えば該セルロース含有繊維質基材中の乾燥繊維の約2,400〜2,600kWh/t、または該セルロース含有繊維質基材中の乾燥繊維の約2,450〜2,550kWh/tである。
上記ミクロフィブリル化は、上記プレミクロフィブリル化セルロースのミクロフィブリル化を促進するように作用する粉砕媒体の存在下で行われる。更に、上記無機粒状物質が存在する場合、これはミクロフィブリル化剤として作用でき、即ち上記セルロース出発物質は、無機粒状物質の存在下で同時加工、例えば同時粉砕される場合、比較的低いエネルギー投入量の下でミクロフィブリル化し得る。
【0024】
上記セルロース含有繊維質基材は任意の適当な源、例えば木材、草(例えば、サトウキビ、竹)またはボロギレ(例えば、紡織屑、綿、大麻または亜麻)から誘導することができる。該セルロース含有繊維質基材は、任意の適当な化学的または機械的な処理、またはこれらの組合せによって製造できるパルプの形状(例えば、セルロース繊維の水懸濁液)にあってもよい。例えば、該パルプはケミカルパルプ、またはケミサーモメカニカルパルプ、またはメカニカルパルプ、またはリサイクルパルプ、または製紙工場屑紙、製紙工場廃液流、または製紙工場由来の廃物、またはこれらの組合せであり得る。該セルロースパルプは、cm3単位でのカナダ標準ろ水度(Canadian standard freeness;CSF)として当分野において報告されている、任意の予め定められたろ水度まで叩解(例えば、バレー(Valley)ビーター)、および/または別法では精砕(例えば、円錐またはプレート型精砕機における加工)に付すことができる。CSFは、パルプ懸濁液が排水され得る速度によって測定される、パルプのろ水度または排水速度に関連する値を意味する。例えば、該セルロースパルプは、ミクロフィブリル化される前に、約10cm3またはこれを超えるカナダ標準ろ水度持つことができる。該セルロースパルプは約700cm3またはそれ未満、例えば約650cm3に等しいかまたはそれ未満、または約600cm3に等しいかまたはそれ未満、または約550cm3に等しいかまたはそれ未満、または約500cm3に等しいかまたはそれ未満、または約450cm3に等しいかまたはそれ未満、または約400cm3に等しいかまたはそれ未満、または約350cm3に等しいかまたはそれ未満、または約300cm3に等しいかまたはそれ未満、または約250cm3に等しいかまたはそれ未満、または約200cm3に等しいかまたはそれ未満、または約150cm3に等しいかまたはそれ未満、または約100cm3に等しいかまたはそれ未満、または約50cm3に等しいかまたはそれ未満のCSFを持つことができる。次に、該セルロースパルプは、当分野において周知の方法により脱水処理することができ、例えば該パルプを、スクリーンを通して濾過して、少なくとも約10%の固形物、例えば少なくとも約15%の固形物、または少なくとも約20%の固形物、または少なくとも約30%の固形物、または少なくとも約40%の固形物を含む湿潤シートを得ることができる。該パルプは未精製の状態で、即ち叩解または脱水、または別法では精製することなしに使用することができる。
【0025】
上記セルロース含有繊維質基材は、乾燥状態にて粉砕容器に加えることができる。例えば、乾燥損紙を該粉砕機容器に直接加えることができる。従って、該粉砕機容器内の水性環境は、パルプの形成を容易にするであろう。
上記ミクロフィブリル化段階は、精砕機を含むがこれに限定されない任意の適当な装置内で行うことができる。一態様において、該ミクロフィブリル化段階は、湿式粉砕条件下にて粉砕容器内で行われる。もう一つの態様において、該ミクロフィブリル化段階は、ホモジナイザー内で実施される。
・湿式粉砕
上記粉砕は、粒状粉砕媒体の存在下での磨滅粉砕工程である。粉砕媒体という用語によって、上記セルロース含有繊維質基材と共に同時粉砕される上記無機粒状物質以外の媒体を意味する。該粉砕媒体が該粉砕の完了後に除去されることが理解されよう。
幾つかの態様において、上記ミクロフィブリル化、例えば粉砕工程は、粉砕可能な無機粒状物質の不在下で行われる。
上記粒状粉砕媒体は、天然または合成物質製のものであり得る。該粉砕媒体は、例えば任意の硬い鉱物、セラミックスまたは金属物質のボール、ビーズまたはペレットを含むことができる。このような物質は、例えばアルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸アルミニウム、ムライト、またはカオリナイトクレーを約1,300℃〜約1,800℃の範囲の高温にて焼成することにより製造されるムライトに富む材料を含むことができる。
【0026】
幾つかの態様において、上記粒状粉砕媒体は約0.1mm〜約6.0mmの範囲、およびより好ましくは約0.2mm〜約4.0mmの範囲の平均径を持つ粒子を含む。該粉砕媒体(または複数の媒体)は、該装入材料の約70体積%までの量で存在し得る。該粉砕媒体は、該装入材料の少なくとも約10体積%、例えば該装入材料の少なくとも約20体積%、または該装入材料の少なくとも約30体積%、または該装入材料の少なくとも約40体積%、または該装入材料の少なくとも約50体積%、または該装入材料の少なくとも約60体積%の量で存在し得る。幾つかの態様において、該粉砕媒体は、該装入材料の約30〜約70体積%、例えば該装入材料の約40〜約60体積%、例えば該装入材料の約45〜約55体積%の量で存在する。
「装入材料」という用語により、上記粉砕機容器に供給される供給材料である上記組成物を意味する。該装入材料は水、粉砕媒体、セルロース含有繊維質基材および無機粒状物質、およびここに記載するような任意の他の随意の添加剤を含む。
幾つかの態様において、上記粉砕媒体は、平均径約0.5mm〜約6mm、例えば約1mm〜約6mmの範囲、または約1mm、または約2mm、または約3mm、または約4mm、または約5mmを持つ粒子を含む媒体である。
上記粉砕媒体は、比重少なくとも約2.5、例えば少なくとも約3、または少なくとも約3.5、または少なくとも約4.0、または少なくとも約4.5、または少なくとも約5.0、または少なくとも約5.5、または少なくとも約6.0を持つことができる。
【0027】
幾つかの態様において、上記粉砕媒体は、約1mm〜約6mmの範囲の平均径および少なくとも約2.5の比重を持つ粒子を含む。
幾つかの態様において、上記粉砕媒体は、平均径約3mmを持つ粒子を含む。
一態様において、上記無機粒状物質の平均粒度(d50)は、上記同時粉砕工程中に低下する。例えば、該無機粒状物質のd50は、少なくとも約10%(マルバーンマスターサイザー(Malvern Mastersizer) S装置を用いて、レーザー光散乱の分野において使用されている周知の従来法によって測定された如き)低下される恐れがあり、例えば該無機粒状物質のd50は、少なくとも約20%減じられ、あるいは少なくとも約30%減じられ、あるいは少なくとも約50%減じられ、あるいは少なくとも約50%減じられ、あるいは少なくとも約60%減じられ、あるいは少なくとも約70%減じられ、あるいは少なくとも約80%減じられ、あるいは少なくとも約90%減じられる可能性がある。例えば、2.5μmという同時粉砕前のd50および1.5μmという同時粉砕後のd50を持つ無機粒状物質は、その粒度において40%の低下を受けていることとなろう。幾つかの態様において、該無機粒状物質の平均粒度は、該同時粉砕工程中に、実質的に低下されることはない。「実質的に低下されない」との用語により、該同時粉砕工程中に、該無機粒状物質のd50が約10%未満低下され、例えば該無機粒状物質のd50が約5%未満低下されることを意味する。
上記粉砕は、垂直ミルまたは水平ミル内で実施することができる。
【0028】
幾つかの態様において、上記粉砕は粉砕容器、例えば転動ミル(例えば、ロッド、ボールおよび自生ミル)、攪拌ミル(例えば、SAMまたはイサミル(IsaMill))、タワーミル、攪拌媒体デトリータ(stirred media detritor;SMD)、または回転する平行な粉砕プレートを含み、該プレート間に粉砕すべき供給材料が供給される粉砕容器等の粉砕容器内で行われる。
一態様において、上記粉砕容器は垂直ミル、例えば攪拌ミル、または攪拌媒体デトリータ、あるいはタワーミルである。
上記垂直ミルは、1またはそれ以上の粉砕ゾーン上にスクリーンを含むことができる。一態様において、スクリーンは、静止ゾーンおよび/または分級装置に隣接して配置される。該スクリーンは、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機粒状物質を含む生成物としての水性懸濁液から粉砕媒体を分離し、また粉砕媒体の沈降を強めるようなサイズを持つものであり得る。
もう一つの態様において、上記粉砕はスクリーン付き粉砕機、例えば攪拌媒体デトリータ内で行われる。該スクリーン付き粉砕機は、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機粒状物質を含む生成物としての水性懸濁液から粉砕媒体を分離するようなサイズを持つ、1またはそれ以上のスクリーンを含むことができる。
【0029】
幾つかの態様において、上記セルロース含有繊維質基材および無機粒状物質は、少なくとも約4質量%の初期固形分含有率にて水性環境内に存在し、該固形分含有率の少なくとも約2質量%は、セルロース含有繊維質基材である。該初期固形分含有率は、少なくとも約10質量%、または少なくとも約20質量%、または少なくとも約30質量%、または少なくとも約40質量%であり得る。該初期固形分含有率の少なくとも約5質量%は、セルロース含有繊維質基材であり得、例えば該初期固形分含有率の少なくとも約10%、または少なくとも約15%、または少なくとも約20質量%は、セルロース含有繊維質基材であり得る。一般的に、セルロース含有繊維質基材と無機粒状物質との相対的な量は、本発明の第一の局面に従う、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機粒状物質を含む組成物を得るように選択される。
上記粉砕工程は、予備粉砕工程を含むことができ、そこでは粗製無機粒状物が、予め決められた粒度分布まで粉砕容器内で粉砕され、その後セルロース含有繊維質基材が、該予備粉砕された無機粒状物質と混ぜ合わされ、またこの粉砕は、所定レベルのミクロフィブリル化が得られるまで、同一のまたは異なる粉砕容器内で継続される。
【0030】
上記粉砕すべき物質の懸濁液は、比較的高い粘度を持つものである可能性があるので、粉砕の前またはその最中に、適当な分散助剤を該懸濁液に添加することができる。該分散助剤は、例えば水溶性縮合リン酸塩、ポリケイ酸またはその塩、または高分子電解質、例えば数平均分子量80,000以下を持つポリ(アクリル酸)またはポリ(メタクリル酸)の水溶性塩であり得る。使用する該分散助剤の量は、一般的に乾燥無機粒状固体物質の質量を基準として、0.1〜2.0質量%の範囲内であろう。該懸濁液は、適切には4℃〜100℃の範囲の温度にて粉砕することができる。
上記ミクロフィブリル化段階中に含めることのできる他の添加剤は、カルボキシメチルセルロース、両性カルボキシメチルセルロース、酸化剤、2,2,6,6-テトラメチルピぺリジン-1-オキシル(TEMPO)、TEMPO誘導体、および木材分解酵素を含む。
【0031】
幾つかの態様において、上記同時粉砕工程の生成物は、部分的に乾燥されたまたは本質的に完全に乾燥された生成物を形成するために、その水の少なくとも一部またはその実質上全てを除去するように処理される。例えば、該同時粉砕工程の生成物における、少なくとも約10体積%、例えば少なくとも約20体積%、または少なくとも約30体積%、または少なくとも約40体積%、または少なくとも約50体積%、または少なくとも約60体積%、または少なくとも約70体積%、または少なくとも約80体積%、または少なくとも約90体積%、または少なくとも約100体積%の水を除去することができる。任意の適当な技術を使用して、該生成物から水を除去することができ、該技術は、例えば加圧しまたは加圧することのない重力または真空-支援排水、または蒸発、または濾過、またはこれら技術の組合せによる技術を含む。上記部分的に乾燥されたまたは本質的に完全に乾燥された生成物は、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機粒状物質および乾燥前に添加し得る任意の他の随意の添加剤を含むであろう。該部分的に乾燥されたまたは本質的に完全に乾燥された生成物は、保存し、または販売のために包装することができる。該部分的に乾燥されたまたは本質的に完全に乾燥された生成物は、任意に再水和され、またここに記載されるような製紙組成物および他の紙製品に配合することができる。
【0032】
紙製品およびその製法
ミクロフィブリル化セルロースおよび無機粒状物質を含有する本発明の第一の局面に係る組成物は、製紙組成物に配合することができ、更に該組成物は紙製品を製造するのに使用し得る。本発明との関連で使用するようなこの紙製品という用語は、紙のあらゆる形態を含むものと理解すべきであり、板紙、例えば白ボールおよびライナーボード、厚紙、ボール紙、塗工板紙等を含む。多数の塗工または非-塗工紙の型があり、これらは本発明に従って製造することができ、該紙は書籍、雑誌、新聞等に適した紙、およびオフィス用紙を含む。該紙は、適切な方法でカレンダー掛けまたはスーパーカレンダー掛けすることができ、例えばグラビアおよびオフセット印刷用のスーパーカレンダー掛けされた雑誌用紙は、本方法に従って製造し得る。軽量塗工(LWC)、中量塗工(MWC)またはマシン仕上げピグメンティゼーション(pigmentisation)(MFP)に適した紙も、本方法に従って製造し得る。食品包装等に適したバリアー性を持つ塗工紙および板紙も、本方法に従って製造し得る。
典型的な製紙方法において、セルロース-含有パルプは、当分野において周知の任意の適当な化学的または機械的な処理、またはこれらの組合せによって製造される。該パルプは任意の適当な源、例えば木材、草(例えば、サトウキビ、竹)またはボロギレ(例えば、紡織屑、綿、大麻または亜麻)から誘導することができる。該パルプは、当業者には周知の方法に従って漂白することができ、また本発明において使用するのに適したこれら方法は、直ぐに明らかになるであろう。該漂白されたセルロースパルプは、(cm3単位のカナダ標準ろ水度(CSF)として当分野において報告されている)予め定められたろ水度まで叩解、精砕、またはその両者に掛けることができる。次いで、適当な紙料を、該漂白されかつ叩解されたパルプから製造する。
【0033】
典型的に、本発明の上記製紙組成物は、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機粒状物質を含有する上記組成物に加えて、紙料及び当分野において公知の他の従来の添加剤を含む。本発明の該製紙組成物は、その全乾燥含有物を基準として、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機粒状物質を含有する該組成物由来の無機粒状物質を、約50質量%まで含むことができる。例えば、該製紙組成物は、その全乾燥含有物を基準として、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機粒状物質を含有する該組成物由来の無機粒状物質を、少なくとも約2質量%、または少なくとも約5質量%、または少なくとも約10質量%、または少なくとも約15質量%、または少なくとも約20質量%、または少なくとも約25質量%、または少なくとも約30質量%、または少なくとも約35質量%、または少なくとも約40質量%、または少なくとも約45質量%、または少なくとも約50質量%、または少なくとも約60質量%、または少なくとも約70質量%、または少なくとも約80質量%、または少なくとも約90質量%含むことができる。該製紙組成物は、またミクロフィブリル化セルロースおよび無機粒状物質を含有する上記水性懸濁液の乾燥質量を基準として、約0.1〜2質量%という範囲の量で、ノニオン性、カチオン性またはアニオン性歩留り向上剤、または微粒子保持システムをも含むことができる。これは、またサイジング剤をも含むことができ、該サイジング剤は、例えば長鎖アルキルケテンダイマー、ワックスエマルションまたはコハク酸誘導体であり得る。該組成物は、また染料および/または蛍光増白剤をも含むことができる。該組成物は、また乾燥および湿潤強度増強助剤、例えばデンプンまたはエピクロルヒドリンコポリマーを含むこともできる。
【0034】
本発明による紙製品は、以下の諸工程を含む方法により製造できる:(i) 紙製品を製造するのに適したパルプの形状にあるセルロース含有繊維質基材を得、あるいはこれを製造する工程;(ii) 工程(i)の該パルプから製紙組成物を製造する工程、ここで本発明の組成物はミクロフィブリル化セルロースおよび無機粒状物質、および他の随意の添加剤(例えば、歩留り向上剤、およびその他の添加剤、例えば上記の如きもの)を含む;および(iii) 該製紙組成物から紙製品を製造する工程。上において述べたように、該パルプを製造する工程は、乾燥状態にある、例えば乾燥損紙または紙屑の形状にあるセルロース含有繊維質基材を上記粉砕機容器に直接加えることにより、該粉砕機容器内で行い得る。従って、該粉砕機容器内の水性環境は、該パルプ製造を容易にするであろう。
一態様において、追加のフィラー成分(即ち、上記セルロース含有繊維質基材と同時粉砕される上記無機粒状物質以外のフィラー成分)は、上記工程(ii)において調製した製紙組成物に添加することができる。典型的なフィラー成分はPCC、GCC、カオリン、またはこれらの混合物である。このような製紙組成物から作られる紙製品は、無機粒状物質のみを含む紙製品と比較してより大きな強度を示すことができる。このような製紙組成物から作られる紙製品は、以下のような紙製品と比較して、より大きな強度を示すことができる。後者の紙製品では、製紙組成物を形成するために、無機粒状物質およびセルロース含有繊維質基材が別々に製造(例えば、粉砕により)され、また混合される。同様に、本発明による製紙組成物から調製された紙製品は、より少量の無機粒状物質を含む紙製品に匹敵する強度を示すことができる。換言すれば、紙製品は、より高い充填剤量にて、強度の損失なしに、本発明による製紙組成物から製造することができる。
製紙組成物からの最終的な紙製品の製造における上記諸段階は、当分野において慣例的また周知であり、一般的に製造すべき紙の型に応じて、目標とする坪量を持つ紙シートを製造することを含む。
本発明の組成物を使用して製造した紙製品は、以外にも改善された物理的並びに機械的諸特性を示し、しかも同時に上記無機粒状物質の比較的高い投入レベルでの配合を可能とすることが見出された。即ち、改良された紙が比較的低いコストにて製造できる。例えば、本発明の第一の局面に係る組成物を含有する製紙組成物から製造される製品は、改善された破裂強さおよび引張強さを示すことが分かった。
【0035】
紙塗工組成物および塗工法
本発明の第一の局面に係る上記組成物は、更なる添加剤を添加することなしに、塗工組成物として使用し得る。しかし、場合によっては、少量の増量剤、例えばカルボキシメチルセルロースまたはアルカリ-膨潤性アクリル系増量剤または関連する増量剤を添加することができる。
本発明によるこの塗工組成物は、望ましい場合には、1種またはそれ以上の随意の追加の成分を含むことができる。このような追加の成分が存在する場合、これらは、紙塗工組成物用の公知の添加剤から適切に選択される。これら随意の添加剤の幾つかは、該塗工組成物に2以上の機能を与えることができる。随意の添加剤に係る既知群の例は以下の通りである:
【0036】
(a) 1種またはそれ以上の追加の顔料:ここに記載する本発明の組成物は、上記紙塗工組成物における唯一の顔料として使用でき、あるいは相互にまたは他の公知の顔料、例えば硫酸カルシウム、サチン白、および所謂「プラスチック顔料」と共に使用することができる。顔料の混合物を使用する場合、全顔料固形分は、好ましくは該組成物中に、該塗工組成物の乾燥成分の全質量を基準として、少なくとも約75質量%の量で存在する;
(b) 1種またはそれ以上のバインダまたは補助バインダ:例えば、スチレン-ブタジエンゴムラテックス;アクリル酸ポリマーラテックス;ポリビニルアセテートラテックス;またはスチレンアクリル酸コポリマーラテックスを包含する、任意にカルボキシレート化されていてもよいラテックス、デンプン誘導体、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、およびタンパク質;
(c) 1種またはそれ以上の架橋剤:例えば、約5質量%までのレベルの、例えばグリオキサール、メラミンホルムアルデヒド樹脂、炭酸アンモニウムジルコニウム;1種またはそれ以上の乾燥または湿潤紙むけ改善添加剤:例えば約2質量%までのレベルの、例えばメラミン樹脂、ポリエチレンエマルション、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、ポリアミド、ステアリン酸カルシウム、スチレン無水マレイン酸およびその他;1種またはそれ以上の乾燥または湿潤摩擦改善および耐摩耗性添加剤:例えば約2質量%までのレベルの、例えばグリオキサールを主成分とする樹脂、酸化ポリエチレン、メラミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、ポリエチレンワックス、ステアリン酸カルシウムおよびその他;1種またはそれ以上の耐水性添加剤:例えば、約2質量%までのレベルの、例えば酸化ポリエチレン、ケトン樹脂、アニオン性ラテックス、ポリウレタン、SMA、グリオキサール、メラミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、ポリアミド、グリオキサール、ステアレートおよびこのような機能のために市販品として入手できる他の物質;
【0037】
(d) 1種またはそれ以上の保水助剤:例えば、約2質量%までのレベルの、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、PVOH(ポリビニルアルコール)、デンプン、タンパク質、ポリアクリレート、ガム、アルギン酸塩、ポリアクリルアミドベントナイト、およびこのような用途のために販売されているその他の市販品として入手し得る製品;
(e) 1種またはそれ以上の粘度調整剤および増量剤:例えば、約2質量%までのレベルの、例えばアクリル酸関連増量剤、ポリアクリレート、エマルションコポリマー、ジシアナミド、トリオール、ポリオキシエチレンエーテル、尿素、硫酸化ヒマシ油、ポリビニルピロリドン、CMC(カルボキシメチルセルロース、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース)、アルギン酸ナトリウム、ザンタンガム、ケイ酸ナトリウム、アクリル酸コポリマー、HMC(ヒドロキシメチルセルロース)、HEC(ヒドロキシエチルセルロース)およびその他;
(f) 1種またはそれ以上の平滑/カレンダリング助剤:例えば、約2質量%までのレベルの、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アンモニウム、ステアリン酸亜鉛、ワックスエマルション、ワックス、アルキルケテンダイマー、グリコール;1種またはそれ以上のグロスインクホールドアウト添加剤:例えば、約2質量%までのレベルの、例えば酸化ポリエチレン、ポリエチレンエマルション、ワックス、カゼイン、グアーガム、CMC、HMC、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウムおよびその他;
【0038】
(g) 1種またはそれ以上の分散剤:この分散剤は、十分な量で存在する場合に、上記粒状無機物質の粒子に作用して、通常の加工要件に従って、所定程度まで該粒子のフロキュレーションまたは凝集を防止または効果的に制限することのできる化学的な添加剤である。該分散剤は、約1質量%までのレベルで存在することができ、また例えば高分子電解質、例えばポリアクリレートおよびポリアクリレート種、特にポリアクリレート塩(例えば、ナトリウムおよびアルミニウム、任意に第II族金属との塩)を含むコポリマー、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ノニオン性ポリオール、ポリリン酸、縮合リン酸ナトリウム、ノニオン性界面活性剤、アルカノールアミンおよびこの機能に対して普通に使用されるその他の試薬を含む。該分散剤は、例えば無機粒状物質の加工および粉砕において一般に使用されている従来の分散性物質から選択することができる。このような分散剤は、当業者により十分に認識されているであろう。これらは、一般的に、アニオン性の種を供給することのできる水溶性の塩であり、該アニオン性の種は、その有効量において、該無機粒子の表面上に吸着し、それにより該粒子の凝集を阻害することができる。その溶媒和されていない塩は、適切には、ナトリウム等のアルカリ金属カチオンを含む。溶媒和は、幾つかの場合には、該水性懸濁液を僅かにアルカリ性とすることにより促進される。適当な分散剤の例は以下に列挙するものを含む:水溶性縮合リン酸塩、例えばポリメタリン酸塩[ナトリウム塩の一般的な形状:(NaPO3)x]、例えばメタリン酸四ナトリウムまたは所謂「ナトリウムヘキサメタホスフェート」[グラハム塩(Graham's salt)];ポリケイ酸の水溶性塩;高分子電解質;適切には約20,000未満の重量平均分子量を持つ、アクリル酸またはメタクリル酸のホモポリマーまたはコポリマーの塩、またはアクリル酸の他の誘導体のポリマーの塩。ナトリウムヘキサメタホスフェートおよびポリアクリル酸ナトリウムが特に好ましく、後者は、適切には約1,500〜約10,000の範囲の重量平均分子量を持つ。
【0039】
(h) 1種またはそれ以上の消泡剤および脱泡剤:例えば約1質量%までのレベルの、例えば界面活性剤のブレンド、トリブチルホスフェート、脂肪ポリオキシエチレンエステル+脂肪アルコール、脂肪酸石鹸、シリコーンエマルションおよびその他のシリコーン含有組成物、鉱油中のワックスおよび無機粒子、乳化炭化水素のブレンドおよびこの機能を果たすべく市販されているその他の化合物;
(i) 1種またはそれ以上の蛍光増白剤(optical brightening agent (OBA)およびfluorescent whitening agents (FWA)):例えば約1質量%までのレベルのスチルベン誘導体等;
(j) 1種またはそれ以上の染料:例えば約0.5質量%までのレベル;
(k) 1種またはそれ以上の殺生物剤/腐敗抑制剤:例えば約1質量%までのレベルの、例えば酸化性殺生物剤、例えば塩素ガス、二酸化塩素ガス、次亜塩素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム、水素、パーオキサイド、過酢酸オキサイド(peracetic oxide)、臭化アンモニウム/次亜塩素酸ナトリウム、または非酸化性殺生物剤、例えばGLUT(グルタルアルデヒド(Glutaraldehyde), CAS No 90045-36-6)、ISO(CIT/MIT)(イソチアゾリノン(Isothiazolinone), CAS No 55956-84-9 & 96118-96-6)、ISO(BIT/MIT)(イソチアゾリノン)、ISO(BIT)(イソチアゾリノン, CAS No 2634-33-5)、DBNPA、BNPD(ブロノポール(Bronopol))、NaOPP、カルバメート(CARBAMATE)、チオン(THIONE)(ダゾメット(Dazomet))、EDDM-ジメタノール(O-フォルマール(formal))、HT-トリアジン(Triazine)(N-フォルマール)、THPS-テトラキス(O-フォルマール)、TMAD-ジウレア(N-フォルマール)、メタホウ酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、チオシアネート、有機硫黄、安息香酸ナトリウムおよびこの機能に適した市販の他の化合物、例えばナルコ(Nalco)によって販売されている一連の殺生物性ポリマー;
【0040】
(l) 1種またはそれ以上の均展および流動促進助剤(levelling and evening aids):例えば約2質量%までのレベルの、例えばノニオン性ポリオール、ポリエチレンエマルション、脂肪酸、エステルおよびアルコール誘導体、アルコール/エチレンオキサイド、ステアリン酸カルシウムおよびこの機能に適した市販されている他の化合物;
(m) 1種またはそれ以上の耐脂性および耐油性添加剤:例えば約2質量%までのレベルの、例えば酸化ポリエチレン、ラテックス、SMA(スチレン無水マレイン酸)、ポリアミド、ワックス、アルギン酸塩、タンパク質、CMC、およびHMC。
任意の上記型の1または複数の添加剤は、単独でまたは望ましい場合には、該添加剤相互の混合物および他の添加剤との混合物として使用することができる。
上記添加剤全てに関連して、示されている質量%は、本発明の組成物内に存在する無機粒状物質の乾燥質量(100%)を基準としている。該添加剤が最小量で存在する場合、この最小量は、顔料の乾燥質量を基準として約0.01質量%であり得る。
【0041】
上記塗工法は、当業者には周知の標準的な技術を使用して実施される。また、該塗工法は、該塗工製品をカレンダー掛けまたはスーパーカレンダー掛けする工程をも含むことができる。
紙および他のシート材料を塗工する方法、および該方法を実施するための装置は、広く公開されており、また周知である。このような公知の方法および装置は、塗工紙を製造するために都合よく利用することができる。例えば、パルプ&ペーパーインターナショナル(Pulp and Paper International), 1994年5月, pp. 18以降において公開されたこのような方法に関する概説がある。シートは、シート形成装置上で、即ちコータまたは塗工機上で、「オンマシーン」または「オフマシーン」で塗工することができる。高固形分組成物の使用が、該塗工法において望ましいものである。というのは、該組成物が、引続き蒸発すべきより少量の水を残すからである。しかし、当分野において周知の如く、該固形分のレベルは、高い粘度およびレベリングの問題が持込まれる程に高いものとすべきではない。該塗工方法は、(i) 塗布すべき物質に該塗工組成物を適用するためのアプリケーション(application);(ii) 塗工組成物の正確な量が適用されたことを確認するための計量デバイスを含む装置を用いて実施することができる。過剰量の塗工組成物が該アプリケータに適用される場合、該計量デバイスはその下流側にある。あるいはまた、該塗工組成物の正確な量は、例えばフィルムプレス等の計量デバイスによって、該アプリケータに適用することができる。塗膜の適用および計量の時点において、紙ウエブ支持体は、例えば1または2つのアプリケータを介するバッキングロールから、零(即ち、単なる張力)までの範囲に及んでいる。該過剰量が最終的に除去される前に、該塗膜が該紙と接触している時間は滞留時間であり、またこれは短時間、長時間または可変であり得る。
【0042】
上記塗膜は、通常塗工ステーションにおけるコータヘッドにより加えられる。所望の性能に応じて、紙のグレードは非塗工、一回塗工、二重塗工および更には三重塗工である。2層以上の被膜を与える場合、その最初の被膜(プレコート)は、より安価な処方を持ち、また場合によっては該塗工組成物においてより粗い顔料を含むことができる。該紙の各側面に被膜を適用する塗工機は、各側面に適用される被膜層の数に応じて、2個または4個のコータヘッドを持つであろう。殆どのコータヘッドは、一度に一面のみを塗工するが、幾つかのロールコータ(例えば、フィルムプレス、ゲートロール、およびサイズプレス)は、ワンパスで両側を塗工する。
使用し得る公知の塗工機の例は、制限なしに、エアーナイフコータ、ブレードコータ、ロッドコータ、バーコータ、マルチヘッドコータ、ロールコータ、ロールまたはブレードコータ、キャストコータ、ラボラトリーコータ、グラビアコータ、キスコータ、液体適用装置、リバースロールコータ、カーテンコータ、スプレーコータ、および押出コータを含む。
上記塗工組成物を含む固形分に水を添加して、所定の固形分濃度とし、該濃度は、該組成物を所望の目標とする塗工量までシート上に塗布する場合に、約0.1〜約0.15MPa(1〜1.5bar)という範囲の圧力(即ち、ブレード圧)にて、該組成物の塗工を可能とするのに適したレオロジーを、該組成物が持つような濃度であることが好ましい。
カレンダリングは周知の方法であり、そこでは紙の平滑性および光沢が改善され、また嵩は塗工紙シートをカレンダーニップまたはローラー間に1回またはそれ以上の回数に渡って通すことにより減じられる。通常、エラストマー被覆ロールが、高固形分組成物をプレス操作するのに使用される。高温度を適用することが可能である。1回またはそれ以上の回数(例えば、約12回までまたはしばしばそれ以上)に渡る該ニップへの通過も適用可能である。
【実施例】
【0043】
無機粒状物質および粉砕媒体の存在下で、実験室規模の粉砕機内でパルプをミクロフィブリル化することにより、一連の組成物を製造した。
・実験室規模の粉砕機
この粉砕機は、垂直ミルであった。該ミルは、14.5cmの内径を持つ円筒状粉砕容器および円形断面および1.8cmの径を持つ垂直インペラーシャフトを含む。該シャフトは、X-模様で配置された4つのインペラーを備えていた。これらのインペラーは、円筒状の断面および径1.8cmを有していた。該インペラーは、該垂直シャフトの中心から該インペラーの先端までの測定された長さ6.5cmを持つ。
・サンプルの調製
水、粉砕炭酸カルシウム(セディグラフによれば、また固形分67%において、<2μmが60質量%)、および北部漂白針葉樹クラフトパルプ(固形分約25%におけるパッドを得るために浸漬しまた濾過した、メッツァボスニア(MetsaBotnia)由来のボスニア(Botnia) RM90)を、最終的に得られる装入材料が、無機粒状物質および該パルプ内の繊維の乾燥質量を基準として、粉砕炭酸カルシウム(41.3g)、水(522g)およびパルプ(10.3g)で構成されるように、上記粉砕機に加えた。粉砕は1,000rpmにて、および3mmのムライト粉砕媒体を使用して、媒体体積濃度50%において実施した。サンプルは、繊維に対して500〜20,000kWh/tの範囲に及ぶエネルギー投入量にて調製した。各粉砕の終了時点において、生成物を、2mmのスクリーンを用いて該媒体から分離した。
【0044】
・手漉き紙の製造および破裂強さ
上記粉砕媒体の分離後、ミクロフィブリル化パルプと無機粒状物質とを含む組成物を、手漉き紙(paper handsheets)におけるフィラーとしてテストした。70部のユーカリおよび30部の北部漂白針葉樹パルプを含有する漂白化学パルプのバッチを使用したが、これは520cm3というCSFを与えるようにバレービーターで叩解された。離解しおよび2%濃度の紙料となるまで希釈した後、該繊維をシート製造のために濃度0.3質量%まで希釈した。該フィラースラリーを、歩留り向上剤(チバ(Ciba)製のパーコール(Percol) 292、完成紙料につき0.02質量%)と共に添加した。手漉き紙は、標準的な方法、例えばタッピ(TAPPI) T205またはSCAN C 26:76(M 5:76)に従ってブリティシュ(British)手漉き紙用モールドを用いて坪量80g/m2にて製造した。シートは、無機粒状充填物約15および25部および無機粒状充填物20質量%における破裂値を、これらデータから補間法で求めた。20%充填における破裂は、未充填の値に対する百分率として表した。各手漉き紙に関する破裂強さは、SCAN P 24に従い、メスマーブッフネル(Messemer Buchnel)破裂強さ試験機を用いて測定した。
コントロールの手漉き紙は、同様な方法により製造した。但し、上記粉砕炭酸カルシウム20部(セディグラフによれば<2μmが60質量%)を、上記フィラースラリーの代わりに添加した。
【0045】
・粘度
粉砕機生成物のサンプルを、十分な水で希釈して、繊維含有率1.5質量%とした。これらの希釈サンプルを十分に混合し、ブルックフィールド(Brookfield) R.V.粘度計(スピンドルNo. 4)を10rpmにて用いて、その粘度を測定した。各サンプルにつき、該粘度計の読みは、粘度を安定化させるために、15秒後に取得した。
・沈降物の含水率
粉砕機生成物のサンプルをガラスチューブ(内径13mm、容積13mL)に入れ、また4,000rpmにて30分間、MSEセントール(MSE Centaur) 2遠心機(約2,500 G)内で遠心分離処理した。遠心分離処理後、これらサンプル全ては、透明な上澄み相および固められた沈降物に分離した。次に、該上澄み相を排液させ、また該沈降物の含水率を測定した。
・フィブリル径
フィブリル径およびフィブリル径d50を、上述の方法に従って測定した。
結果を、以下の表1にまとめる。
【0046】
【表1】
【0047】
上記コントロールの手漉き紙は、破裂強さ38を有していた。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕ミクロフィブリル化セルロースおよび任意に無機粒状物質を含む組成物であって、該組成物が、(i) 該組成物中のセルロース系物質の全質量を基準として、約5.0質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル;および/または(ii) 該組成物中のセルロース系物質の全質量を基準として、約30質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含む、前記組成物。
〔2〕無機粒状物質を含む、前記〔1〕記載の組成物。
〔3〕前記組成物が、(i) 約2.0質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル;および/または(ii) 約20質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含む、前記〔1〕または〔2〕記載の組成物。
〔4〕前記組成物が、(i) 約1.5質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル;および/または(ii) 約15質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含む、前記〔1〕、〔2〕または〔3〕記載の組成物。
〔5〕前記組成物が、約1.0質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含む、前記〔1〕〜〔4〕の何れか1項に記載の組成物。
〔6〕前記組成物中のセルロース系物質の全質量を基準として、約100nm〜約700nmのフィブリル径d50を持つ、前記〔1〕〜〔5〕の何れかに記載の組成物。
〔7〕前記無機粒状物質が、アルカリ土類金属炭酸塩または硫酸塩、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、石膏、含水カンダイトクレー、例えばカオリン、ハロイサイトまたはボールクレー、無水(焼成)カンダイトクレー、例えばメタカオリンまたは完全に焼成されたカオリン、タルク、マイカ、パーライトまたは珪藻土、またはこれらの組合せである、前記〔1〕〜〔6〕の何れかに記載の組成物。
〔8〕前記無機粒状物質が、アルカリ土類金属炭酸塩、例えば炭酸カルシウムであり、任意に該炭酸カルシウムの少なくとも約50質量%が、約2μm未満のe.s.dを持つ、前記〔1〕〜〔7〕の何れかに記載の組成物。
〔9〕ブロックフィールド粘度(10rpm、およびフィブリル含有率1.5質量%における)約500〜12,000MPa.s、例えば約7,000〜10,000MPa.sを持つ、前記〔1〕〜〔8〕の何れかに記載の組成物。
〔10〕前記組成物が、粉砕媒体の存在下、および任意に無機粒状物質の存在下で、セルロース含有繊維質基材をミクロフィブリル化する工程を含む方法によって得ることができ、また該ミクロフィブリル化工程中のエネルギー投入量が、セルロース含有繊維質基材1トン当たり約500〜20,000kWh(kWh/t)、例えば約1,250〜10,000kWh/tまたは例えば約1,750〜4,000kWh/tである、前記〔1〕記載の組成物。
〔11〕前記ミクロフィブリル化工程が、前記無機粒状物質および粉砕媒体の存在下で、前記繊維質基材を粉砕する工程を含む、前記〔10〕記載の組成物。
〔12〕前記粉砕が、垂直ミル内で行われる、前記〔11〕記載の組成物。
〔13〕前記〔1〕〜〔12〕の何れか1項に記載の組成物を含む、製紙組成物。
〔14〕紙製品であって、該紙製品が、(i) 前記〔1〕〜〔12〕の何れか1項に記載の組成物を含むか、または(ii) 前記〔13〕記載の製紙組成物から得られるものである、前記紙製品。
〔15〕前記〔1〕記載の組成物の製造方法であって、粉砕媒体の存在下で、および任意に無機粒状物質の存在下で、セルロース含有繊維質基材をミクロフィブリル化し、ミクロフィブリル化セルロースおよび任意に無機粒状物質を含む組成物を得る工程を含み、該ミクロフィブリル化工程中のエネルギー投入量が、セルロース含有繊維質基材1トン当たり約500〜20,000kWh(kWh/t)、例えば約1,250〜10,000kWh/tまたは例えば約1,750〜4,000kWh/tであり、該組成物が(i) 該組成物中のセルロース系物質の全質量を基準として、約5.0質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル;および/または(ii) 該組成物中のセルロース系物質の全質量を基準として、約30質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含む、前記方法。
〔16〕前記ミクロフィブリル化工程が、前記無機粒状物質および粉砕媒体の存在下で、前記繊維質基材を粉砕する工程を含む、前記〔15〕記載の方法。
〔17〕前記粉砕が、垂直ミル内で行われる、前記〔16〕記載の方法。