特許第6594788号(P6594788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594788
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】ガスエンジンの燃料ガス供給装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 21/02 20060101AFI20191010BHJP
   F02D 19/02 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   F02M21/02 S
   F02D19/02 Z
   F02M21/02 Z
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-24329(P2016-24329)
(22)【出願日】2016年2月12日
(65)【公開番号】特開2017-133491(P2017-133491A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2018年10月19日
(31)【優先権主張番号】特願2016-9450(P2016-9450)
(32)【優先日】2016年1月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(73)【特許権者】
【識別番号】503116899
【氏名又は名称】株式会社IHI原動機
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】特許業務法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久下 喬弘
(72)【発明者】
【氏名】青柳 享秀
(72)【発明者】
【氏名】山田 敬之
(72)【発明者】
【氏名】山田 剛
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 純一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 徹
【審査官】 齊藤 彬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−075642(JP,A)
【文献】 実開平04−123357(JP,U)
【文献】 特開平10−047166(JP,A)
【文献】 特開2008−138565(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/106722(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0305408(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 21/02
F02D 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダの上方位置に並設される第一吸気弁及び第二吸気弁と、
前記第一吸気弁及び第二吸気弁により開閉されるよう中途部から分岐して前記シリンダに接続され且つ該シリンダ内でのスワール生成用の湾曲部が形成された吸気ポートと、
該吸気ポートの湾曲部より吸気流通方向上流側に挿入配置されて燃料ガスを噴射するガスノズルと
を備え、前記第一吸気弁が第二吸気弁よりガスノズルに近く配置されるガスエンジンの燃料ガス供給装置において、
前記ガスノズルは、前記第一吸気弁及び第二吸気弁へ導かれる燃料ガスを噴射する第一噴孔及び第二噴孔を備え、
前記シリンダの軸線と直交する平面座標系において、前記第一吸気弁及び第二吸気弁の中心点をつなぐ直線方向をX軸方向とし、該X軸方向と直角な方向の直線方向をY軸方向とした場合、
前記第一噴孔は、該第一噴孔の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部とは反対側で且つY軸に対し前記第一吸気弁とは反対側であってX軸及びY軸を含む領域へ向け燃料ガスを噴射し、
前記第二噴孔は、該第二噴孔の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部と同一側で且つY軸に対し前記第二吸気弁とは同一側であってX軸及びY軸を含まない領域へ向け燃料ガスを噴射するよう構成し
前記ガスノズルは、前記吸気ポートの上面における幅方向中央部から前記湾曲部の外周側内壁面へ向け前記X軸に対し傾斜するよう配置され且つ前記第二吸気弁の傘部へ向け下り勾配を有して傾斜するよう配置され、
前記第一噴孔は、前記ガスノズルの外周面に穿設され、
前記第二噴孔は、前記ガスノズルの先端に穿設されているガスエンジンの燃料ガス供給装置。
【請求項2】
前記第二噴孔は、X軸方向において前記第一噴孔より第二吸気弁に近い位置に開口する請求項1記載のガスエンジンの燃料ガス供給装置。
【請求項3】
シリンダの上方位置に並設される第一吸気弁及び第二吸気弁と、
前記第一吸気弁及び第二吸気弁により開閉されるよう中途部から分岐して前記シリンダに接続され且つ該シリンダ内でのスワール生成用の湾曲部が形成された吸気ポートと、
該吸気ポートの湾曲部より吸気流通方向上流側に挿入配置されて燃料ガスを噴射するガスノズルと
を備え、前記第一吸気弁が第二吸気弁よりガスノズルに近く配置されるガスエンジンの燃料ガス供給装置において、
前記ガスノズルは、前記第一吸気弁及び第二吸気弁へ導かれる燃料ガスを噴射する第一噴孔及び第二噴孔を備え、
前記シリンダの軸線と直交する平面座標系において、前記第一吸気弁及び第二吸気弁の中心点をつなぐ直線方向をX軸方向とし、該X軸方向と直角な方向の直線方向をY軸方向とした場合、
前記第一噴孔は、該第一噴孔の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部とは反対側で且つY軸に対し前記第一吸気弁とは反対側であってX軸及びY軸を含む領域へ向け燃料ガスを噴射し、
前記第二噴孔は、該第二噴孔の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部と同一側で且つY軸に対し前記第二吸気弁とは同一側であってX軸及びY軸を含まない領域へ向け燃料ガスを噴射するよう構成し、
前記ガスノズルは、前記第一噴孔が穿設された第一ノズルと、前記第二噴孔が穿設された第二ノズルとを個別に備え、
前記第一ノズル及び第二ノズルは、前記シリンダの軸線に対し平行となるよう配置されて、前記第一ノズルは第二ノズルより吸気流通方向上流側に隣接配置され且つ第二ノズルより長く延び、
前記第一噴孔は、前記第一ノズルの外周面に穿設され、
前記第二噴孔は、前記第二ノズルの外周面に穿設されているガスエンジンの燃料ガス供給装置。
【請求項4】
シリンダの上方位置に並設される第一吸気弁及び第二吸気弁と、
前記第一吸気弁及び第二吸気弁により開閉されるよう中途部から分岐して前記シリンダに接続され且つ該シリンダ内でのスワール生成用の湾曲部が形成された吸気ポートと、
該吸気ポートの湾曲部より吸気流通方向上流側に挿入配置されて燃料ガスを噴射するガスノズルと
を備え、前記第一吸気弁が第二吸気弁よりガスノズルに近く配置されるガスエンジンの燃料ガス供給装置において、
前記ガスノズルは、前記第一吸気弁及び第二吸気弁へ導かれる燃料ガスを噴射する第一噴孔及び第二噴孔を備え、
前記シリンダの軸線と直交する平面座標系において、前記第一吸気弁及び第二吸気弁の中心点をつなぐ直線方向をX軸方向とし、該X軸方向と直角な方向の直線方向をY軸方向とした場合、
前記第一噴孔は、該第一噴孔の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部とは反対側で且つY軸に対し前記第一吸気弁とは反対側であってX軸及びY軸を含む領域へ向け燃料ガスを噴射し、
前記第二噴孔は、該第二噴孔の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部と同一側で且つY軸に対し前記第二吸気弁とは同一側であってX軸及びY軸を含まない領域へ向け燃料ガスを噴射するよう構成し、
前記ガスノズルは、前記第一噴孔が穿設された第一ノズルと、前記第二噴孔が穿設された第二ノズルとを個別に備え、
前記第一ノズル及び第二ノズルは、前記シリンダの軸線に対し平行となるよう配置されて、前記第一ノズルは第二ノズルより吸気流通方向上流側に隣接配置され、
前記第一噴孔は、前記第一ノズルの先端に穿設され、
前記第二噴孔は、前記第二ノズルの外周面に穿設されているガスエンジンの燃料ガス供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスエンジンの燃料ガス供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、メタン等のガスを燃料とするガスエンジンとしては、吸排気時の圧力損失低減を目的として吸排気流通面積を最大化するために、シリンダの上方位置に二つの吸気弁と二つの排気弁とが並設されるレイアウトのものが存在する。
【0003】
前記ガスエンジンの場合、前記二つの吸気弁により開閉されるよう吸気ポートが中途部から分岐して前記シリンダに接続され、前記吸気ポートには、シリンダ内でのスワール生成用の湾曲部が形成されている。
【0004】
前記吸気ポートの湾曲部より吸気流通方向上流側には、燃料ガスを噴射するガスノズルが挿入配置されている。
【0005】
尚、前記ガスエンジンの燃料ガス供給装置に関連する一般的技術水準を示すものとしては、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−214811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来のガスエンジンにおいては、燃料ガスが前記吸気弁の傘部からシリンダ内へ供給されるタイミングが過度に早い場合は、排気弁が閉じかけ且つ吸気弁が開き始める吸排気オーバーラップ期間中に燃料ガスの吹抜けを招き、逆に前記燃料ガスの噴射タイミングが過度に遅い場合は、燃料ガスが前記吸気ポートに残留して次のサイクルで燃料ガスの吹抜けが発生してしまう。
【0008】
又、前記吸気弁からシリンダ内へ供給される燃料ガスを含む吸気が、オーバーオールの空燃比に対して局所的にリッチな領域があると、ノッキングが発生すると共にNOxが増加する一方、局所的にリーンな領域があると、燃焼が不安定となって失火の原因となる。このような濃度ムラは好ましくないため、空間的にも時間的にも均一に燃料ガスを供給する必要がある。
【0009】
しかしながら、ガスノズルの噴孔から二つの吸気弁までは距離差(流路長さの差)があるため、前記ガスノズルの噴孔から噴射された燃料ガスが吸気弁の開動作によってシリンダ内に流入するタイミングに時間差(時間的な不均一化)が生じてしまうことが避けられなかった。
【0010】
これにより、前記ガスノズルに近い側の吸気弁からシリンダ内へ供給される燃料ガスを含む吸気は、該吸気弁の開動作中、前半リッチで後半リーンとなる一方、前記ガスノズルから遠い側の吸気弁からシリンダ内へ供給される燃料ガスを含む吸気は、該吸気弁の開動作中、前半リーンで後半リッチになり、シリンダ内での燃料ガスを含む吸気の濃度ムラの原因となっていた。このため、排気弁が「閉」で吸気弁が「開」となる期間中、空気過剰率λを一定とすることが困難となっていた。
【0011】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなしたもので、燃料ガスの吹抜け抑制並びに燃料ガスの濃度分布均一化を図り得るガスエンジンの燃料ガス供給装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、シリンダの上方位置に並設される第一吸気弁及び第二吸気弁と、
前記第一吸気弁及び第二吸気弁により開閉されるよう中途部から分岐して前記シリンダに接続され且つ該シリンダ内でのスワール生成用の湾曲部が形成された吸気ポートと、
該吸気ポートの湾曲部より吸気流通方向上流側に挿入配置されて燃料ガスを噴射するガスノズルと
を備え、前記第一吸気弁が第二吸気弁よりガスノズルに近く配置されるガスエンジンの燃料ガス供給装置において、
前記ガスノズルは、前記第一吸気弁及び第二吸気弁へ導かれる燃料ガスを噴射する第一噴孔及び第二噴孔を備え、
前記シリンダの軸線と直交する平面座標系において、前記第一吸気弁及び第二吸気弁の中心点をつなぐ直線方向をX軸方向とし、該X軸方向と直角な方向の直線方向をY軸方向とした場合、
前記第一噴孔は、該第一噴孔の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部とは反対側で且つY軸に対し前記第一吸気弁とは反対側であってX軸及びY軸を含む領域へ向け燃料ガスを噴射し、
前記第二噴孔は、該第二噴孔の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部と同一側で且つY軸に対し前記第二吸気弁とは同一側であってX軸及びY軸を含まない領域へ向け燃料ガスを噴射するよう構成し
前記ガスノズルは、前記吸気ポートの上面における幅方向中央部から前記湾曲部の外周側内壁面へ向け前記X軸に対し傾斜するよう配置され且つ前記第二吸気弁の傘部へ向け下り勾配を有して傾斜するよう配置され、
前記第一噴孔は、前記ガスノズルの外周面に穿設され、
前記第二噴孔は、前記ガスノズルの先端に穿設されているガスエンジンの燃料ガス供給装置にかかるものである。
【0013】
前記ガスエンジンの燃料ガス供給装置において、前記第二噴孔は、X軸方向において前記第一噴孔より第二吸気弁に近い位置に開口させても良い。
【0017】
又、本発明は、シリンダの上方位置に並設される第一吸気弁及び第二吸気弁と、
前記第一吸気弁及び第二吸気弁により開閉されるよう中途部から分岐して前記シリンダに接続され且つ該シリンダ内でのスワール生成用の湾曲部が形成された吸気ポートと、
該吸気ポートの湾曲部より吸気流通方向上流側に挿入配置されて燃料ガスを噴射するガスノズルと
を備え、前記第一吸気弁が第二吸気弁よりガスノズルに近く配置されるガスエンジンの燃料ガス供給装置において、
前記ガスノズルは、前記第一吸気弁及び第二吸気弁へ導かれる燃料ガスを噴射する第一噴孔及び第二噴孔を備え、
前記シリンダの軸線と直交する平面座標系において、前記第一吸気弁及び第二吸気弁の中心点をつなぐ直線方向をX軸方向とし、該X軸方向と直角な方向の直線方向をY軸方向とした場合、
前記第一噴孔は、該第一噴孔の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部とは反対側で且つY軸に対し前記第一吸気弁とは反対側であってX軸及びY軸を含む領域へ向け燃料ガスを噴射し、
前記第二噴孔は、該第二噴孔の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部と同一側で且つY軸に対し前記第二吸気弁とは同一側であってX軸及びY軸を含まない領域へ向け燃料ガスを噴射するよう構成し、
前記ガスノズルは、前記第一噴孔が穿設された第一ノズルと、前記第二噴孔が穿設された第二ノズルとを個別に備え、
前記第一ノズル及び第二ノズルは、前記シリンダの軸線に対し平行となるよう配置されて、前記第一ノズルは第二ノズルより吸気流通方向上流側に隣接配置され且つ第二ノズルより長く延び、
前記第一噴孔は、前記第一ノズルの外周面に穿設され、
前記第二噴孔は、前記第二ノズルの外周面に穿設されているガスエンジンの燃料ガス供給装置にかかるものである
【0018】
更に又、本発明は、シリンダの上方位置に並設される第一吸気弁及び第二吸気弁と、
前記第一吸気弁及び第二吸気弁により開閉されるよう中途部から分岐して前記シリンダに接続され且つ該シリンダ内でのスワール生成用の湾曲部が形成された吸気ポートと、
該吸気ポートの湾曲部より吸気流通方向上流側に挿入配置されて燃料ガスを噴射するガスノズルと
を備え、前記第一吸気弁が第二吸気弁よりガスノズルに近く配置されるガスエンジンの燃料ガス供給装置において、
前記ガスノズルは、前記第一吸気弁及び第二吸気弁へ導かれる燃料ガスを噴射する第一噴孔及び第二噴孔を備え、
前記シリンダの軸線と直交する平面座標系において、前記第一吸気弁及び第二吸気弁の中心点をつなぐ直線方向をX軸方向とし、該X軸方向と直角な方向の直線方向をY軸方向とした場合、
前記第一噴孔は、該第一噴孔の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部とは反対側で且つY軸に対し前記第一吸気弁とは反対側であってX軸及びY軸を含む領域へ向け燃料ガスを噴射し、
前記第二噴孔は、該第二噴孔の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部と同一側で且つY軸に対し前記第二吸気弁とは同一側であってX軸及びY軸を含まない領域へ向け燃料ガスを噴射するよう構成し、
前記ガスノズルは、前記第一噴孔が穿設された第一ノズルと、前記第二噴孔が穿設された第二ノズルとを個別に備え、
前記第一ノズル及び第二ノズルは、前記シリンダの軸線に対し平行となるよう配置されて、前記第一ノズルは第二ノズルより吸気流通方向上流側に隣接配置され、
前記第一噴孔は、前記第一ノズルの先端に穿設され、
前記第二噴孔は、前記第二ノズルの外周面に穿設されているガスエンジンの燃料ガス供給装置にかかるものである
【発明の効果】
【0019】
本発明のガスエンジンの燃料ガス供給装置によれば、燃料ガスの吹抜け抑制並びに燃料ガスの濃度分布均一化を図り得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のガスエンジンの燃料ガス供給装置の第一実施例を示す概要構成図であって、(a)は平断面図、(b)は図1(a)のIb−Ib矢視断面図、(c)は図1(b)のIc−Ic矢視図、(d)は図1(b)のId−Id矢視図である。
図2】(a)は本発明のガスエンジンの燃料ガス供給装置の第一実施例における第一噴孔の位置を原点とするX座標において、燃料ガスの噴射方向を示す図、(b)は本発明のガスエンジンの燃料ガス供給装置の第一実施例における第二噴孔の位置を原点とするX座標において、燃料ガスの噴射方向を示す図である。
図3】本発明のガスエンジンの燃料ガス供給装置の第一実施例における吸気ポートの外形形状を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図4】本発明のガスエンジンの燃料ガス供給装置の第一実施例における第一吸気弁からシリンダ内に流入した燃料ガス濃度及び第二吸気弁からシリンダ内に流入した燃料ガス濃度を、弁開度と関連付けて示す線図である。
図5】本発明のガスエンジンの燃料ガス供給装置の参考例を示す概要構成図であって、(a)は平断面図、(b)は図5(a)のVb−Vb矢視断面図、(c)は図5(b)のVc−Vc矢視図、(d)は図5(b)のVd−Vd矢視図である。
図6】(a)は本発明のガスエンジンの燃料ガス供給装置の参考例における第一噴孔の位置を原点とするX座標において、燃料ガスの噴射方向を示す図、(b)は本発明のガスエンジンの燃料ガス供給装置の参考例における第二噴孔の位置を原点とするX座標において、燃料ガスの噴射方向を示す図である。
図7】本発明のガスエンジンの燃料ガス供給装置の第二実施例を示す概要構成図であって、(a)は平断面図、(b)は図7(a)のVIIb−VIIb矢視断面図、(c)は図7(b)のVIIc−VIIc矢視図である。
図8】(a)は本発明のガスエンジンの燃料ガス供給装置の第二実施例における第一噴孔の位置を原点とするX座標において、燃料ガスの噴射方向を示す図、(b)は本発明のガスエンジンの燃料ガス供給装置の第二実施例における第二噴孔の位置を原点とするX座標において、燃料ガスの噴射方向を示す図である。
図9】本発明のガスエンジンの燃料ガス供給装置の第三実施例を示す概要構成図であって、(a)は平断面図、(b)は図9(a)のIXb−IXb矢視断面図、(c)は図9(b)のIXc−IXc矢視図である。
図10】(a)は本発明のガスエンジンの燃料ガス供給装置の第三実施例における第一噴孔の位置を原点とするX座標において、燃料ガスの噴射方向を示す図、(b)は本発明のガスエンジンの燃料ガス供給装置の第三実施例における第二噴孔の位置を原点とするX座標において、燃料ガスの噴射方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0022】
図1図4は本発明のガスエンジンの燃料ガス供給装置の第一実施例である。
【0023】
第一実施例の場合、図3(a)及び図3(b)に示す如く、シリンダ1の上方位置に、第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2と、第一排気弁E1及び第二排気弁E2とが並設されている。前記シリンダ1には、前記第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2により開閉されるよう吸気ポートPが中途部から分岐して接続されている。前記吸気ポートPは、シリンダ1の軸線と平行な方向(鉛直方向)へ延びる縦流路部Paと、該縦流路部Paから直角に屈曲して水平方向へ延びる横流路部Pbとを備え、該横流路部Pbの先端側が分岐しシリンダ1内でのスワール生成用の湾曲部Pcが形成されている。尚、前記吸気ポートPは、図1に示す如く、シリンダヘッド1aに形成される流路であるが、図3にはその形状を表すために管の如く模式的に示している。
【0024】
前記吸気ポートPの湾曲部Pcより吸気流通方向上流側における前記横流路部Pbには、図1に示す如く、燃料ガスを噴射するガスノズルNが挿入配置されている。
【0025】
ここで、前記第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2は、ステム部I1a,I2aの先端に傘部I1b,I2bが形成されており、その軸線(シリンダ1の軸線と平行)と直交する平面座標系において、前記第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2の中心点をつなぐ直線方向をX軸方向とし、該X軸方向と直角な方向の直線方向をY軸方向としている。尚、前記第一吸気弁I1は第二吸気弁I2よりガスノズルNに近く配置されている。
【0026】
前記ガスノズルNは、前記吸気ポートPの横流路部Pb上面における幅方向中央部から前記湾曲部Pcの外周側内壁面へ向け平面方向で前記X軸に対し傾斜するよう配置され(図1(a)及び図1(c)参照)且つ前記第二吸気弁I2の傘部I2bへ向け下り勾配を有して傾斜するよう配置されている(図1(b)参照)。
【0027】
前記ガスノズルNの外周面には、前記第一吸気弁I1へ導かれる燃料ガスを噴射する第一噴孔H1が穿設され、前記ガスノズルNの先端には、前記第二吸気弁I2へ導かれる燃料ガスを噴射する第二噴孔H2が穿設されている。但し、前記吸気ポートPは共通であって完全に分離されているわけではないため、前記第一噴孔H1から噴射された燃料ガスは、主に第一吸気弁I1へ導入されるが、完全に第一吸気弁I1のみに導入されるわけではない。同様に、前記第二噴孔H2から噴射された燃料ガスは、主に第二吸気弁I2へ導入されるが、完全に第二吸気弁I2のみに導入されるわけではない。
【0028】
前記第一噴孔H1は、図1(a)及び図2(a)に示す如く、該第一噴孔H1の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部Pcとは反対側で且つY軸に対し前記第一吸気弁I1とは反対側の領域へ向けX軸に対し45°程度の角度で燃料ガスを噴射するよう構成してある。尚、前記第一噴孔H1は、図1(c)及び図1(d)に示す如く、鉛直方向に対し斜め下方へ45°程度の角度で燃料ガスを噴射するよう構成してある。言い換えると、前記第一噴孔H1からは、三次元的に見た場合、Y軸と直交してX軸を含む平面に対し前記湾曲部Pcとは反対側で且つX軸と直交してY軸を含む平面に対し前記第一吸気弁I1とは反対側の空間へ向け燃料ガスを噴射するようになっている。
【0029】
又、前記第二噴孔H2は、図1(a)及び図2(b)に示す如く、該第二噴孔H2の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部Pcと同一側で且つY軸に対し前記第二吸気弁I2とは同一側の領域へ向けX軸に対し10°程度の角度で燃料ガスを噴射するよう構成してある。尚、前記第二噴孔H2は、図1(b)に示す如く、X軸方向において前記第一噴孔H1より第二吸気弁I2に近い位置に開口し、傾斜配置された前記ガスノズルNの軸線方向へ燃料ガスを噴射するよう構成してある。言い換えると、前記第二噴孔H2からは、三次元的に見た場合、Y軸と直交してX軸を含む平面に対し前記湾曲部Pcと同一側で且つX軸と直交してY軸を含む平面に対し前記第二吸気弁I2とは同一側の空間へ向け燃料ガスを噴射するようになっている。因みに、前記第一噴孔H1及び第二噴孔H2が図示において反対側の直接見ることが出来ない位置に形成されている場合は、第一噴孔H1及び第二噴孔H2を点線で記載するのに加え、引き出し線も点線で記載している。
【0030】
次に、上記第一実施例の作用を説明する。
【0031】
図示していない電磁弁が開いて燃料ガスがガスノズルNへ導入される。すると、ガスノズルNの第一噴孔H1からは、図1(a)及び図2(a)に示す如く、第一噴孔H1の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部Pcとは反対側で且つY軸に対し前記第一吸気弁I1とは反対側の領域へ向けX軸に対し45°程度の角度であって、更に図1(c)及び図1(d)に示す如く、鉛直方向に対し斜め下方へ45°程度の角度で燃料ガスが噴射される。言い換えると、前記第一噴孔H1からは、三次元的に見た場合、Y軸と直交してX軸を含む平面に対し前記湾曲部Pcとは反対側で且つX軸と直交してY軸を含む平面に対し前記第一吸気弁I1とは反対側の空間へ向け燃料ガスが噴射される。尚、前記電磁弁が開くタイミングは、図4において、第一排気弁E1及び第二排気弁E2が閉じかけ且つ第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2が開き始める吸排気オーバーラップ期間中であるが、第一噴孔H1及び第二噴孔H2から燃料ガスが噴出し第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2からシリンダ1内に各燃料ガスが達して燃料ガスの濃度分布が生じるのは、前記吸排気オーバーラップ期間の後となる。
【0032】
同時に、前記ガスノズルNの第二噴孔H2からは、図1(a)及び図2(b)に示す如く、第二噴孔H2の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部Pcと同一側で且つY軸に対し前記第二吸気弁I2とは同一側の領域へ向けX軸に対し10°程度の角度であって、更に図1(b)に示す如く、X軸方向において第一噴孔H1より第二吸気弁I2に近い位置から、前記ガスノズルNの軸線方向へ燃料ガスが噴射される。言い換えると、前記第二噴孔H2からは、三次元的に見た場合、Y軸と直交してX軸を含む平面に対し前記湾曲部Pcと同一側で且つX軸と直交してY軸を含む平面に対し前記第二吸気弁I2とは同一側の空間へ向け燃料ガスが噴射される。
【0033】
この結果、第一実施例においては、前記第一噴孔H1からの燃料ガスの噴射位置及び噴射方向と、前記第二噴孔H2からの燃料ガスの噴射位置及び噴射方向とを同一とせずに各々設定することによって、前記第一噴孔H1から第一吸気弁I1までの距離と、前記第二噴孔H2から第二吸気弁I2までの距離とが、燃料ガスが流通する実質的な流路長さにおいて略等しくなる。このため、前記ガスノズルNの第一噴孔H1及び第二噴孔H2から噴射された燃料ガスが第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2の開動作によってシリンダ1内に流入するタイミングに時間差(時間的な不均一化)が生じにくくなる(図4の太線で示す一点鎖線及び二点鎖線参照)。
【0034】
これにより、前記ガスノズルNに近い側の第一吸気弁I1からシリンダ1内へ供給される燃料ガスを含む吸気、並びにガスノズルNから遠い側の第二吸気弁I2からシリンダ1内へ供給される燃料ガスを含む吸気は、図4に示す如く、第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2の開動作中、前半リッチで後半リーン(図4の細線で示す一点鎖線参照)となったり、或いは前半リーンで後半リッチ(図4の細線で示す二点鎖線参照)になったりしない。このため、シリンダ1内での燃料ガスを含む吸気の濃度が均一となり、第一排気弁E1及び第二排気弁E2が「閉」で第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2が「開」となる期間中、空気過剰率λを一定とすることが可能となり、ノッキングが発生しにくくなると共にNOxが減少する一方、燃焼を安定化させて失火の原因を排除することが可能となる。
【0035】
しかも、第一実施例においては、従来のガスエンジンと異なり、燃料ガスが前記第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2の傘部I2bからシリンダ1内へ供給されるタイミングが過度に早くならず、図4に示す如く、燃料ガスが前記第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2からシリンダ1内へ供給されるタイミングは、第一排気弁E1及び第二排気弁E2が閉じかけ且つ第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2が開き始める吸排気オーバーラップ期間の後になるため、燃料ガスの吹抜けを招く心配がなくなる。又、逆に前記燃料ガスの噴射タイミングが過度に遅くなったりもせず、燃料ガスが前記吸気ポートPに残留して次のサイクルで燃料ガスの吹抜けが発生してしまう心配もない。
【0036】
こうして、燃料ガスの吹抜け抑制並びに燃料ガスの濃度分布均一化を図り得る。
【0037】
図5及び図6は本発明のガスエンジンの燃料ガス供給装置の参考例であって、図中、図1図4と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、基本的な構成は図1図4に示す第一実施例と同様である。
【0038】
参考例の場合、図5(a)に示す如く、前記ガスノズルNは、前記吸気ポートPの横流路部Pb上面における幅方向中央部から前記X軸に対し平行となるよう配置され且つ下り勾配を有して傾斜するよう配置されている(図5(b)参照)。
【0039】
前記ガスノズルNの外周面には、前記第一吸気弁I1へ導かれる燃料ガスを噴射する第一噴孔H1と、前記第二吸気弁I2へ導かれる燃料ガスを噴射する第二噴孔H2が穿設されている。但し、前記吸気ポートPは共通であって完全に分離されているわけではないため、前記第一噴孔H1から噴射された燃料ガスは、主に第一吸気弁I1へ導入されるが、完全に第一吸気弁I1のみに導入されるわけではない。同様に、前記第二噴孔H2から噴射された燃料ガスは、主に第二吸気弁I2へ導入されるが、完全に第二吸気弁I2のみに導入されるわけではない。
【0040】
前記第一噴孔H1は、図5(a)及び図6(a)に示す如く、該第一噴孔H1の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部Pcとは反対側で且つY軸に対し前記第一吸気弁I1とは反対側の領域へ向けX軸に対し45°程度の角度で燃料ガスを噴射するよう構成してある。尚、前記第一噴孔H1は、図5(c)及び図5(d)に示す如く、鉛直方向に対し斜め下方へ45°程度の角度で燃料ガスを噴射するよう構成してある。言い換えると、前記第一噴孔H1からは、三次元的に見た場合、Y軸と直交してX軸を含む平面に対し前記湾曲部Pcとは反対側で且つX軸と直交してY軸を含む平面に対し前記第一吸気弁I1とは反対側の空間へ向け燃料ガスを噴射するようになっている。
【0041】
又、前記第二噴孔H2は、図5(a)及び図6(b)に示す如く、該第二噴孔H2の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部Pcと同一側で且つY軸に対し前記第二吸気弁I2とは同一側の領域へ向けX軸に対し45°程度の角度で燃料ガスを噴射するよう構成してある。尚、前記第二噴孔H2は、図5(c)及び図5(d)に示す如く、鉛直方向に対し斜め上方へ45°程度の角度で燃料ガスを噴射するよう構成してある。言い換えると、前記第二噴孔H2からは、三次元的に見た場合、Y軸と直交してX軸を含む平面に対し前記湾曲部Pcと同一側で且つX軸と直交してY軸を含む平面に対し前記第二吸気弁I2とは同一側の空間へ向け燃料ガスを噴射するようになっている。
【0042】
次に、上記参考例の作用を説明する。
【0043】
図示していない電磁弁が開いて燃料ガスがガスノズルNへ導入される。すると、ガスノズルNの第一噴孔H1からは、図5(a)及び図6(a)に示す如く、該第一噴孔H1の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部Pcとは反対側で且つY軸に対し前記第一吸気弁I1とは反対側の領域へ向けX軸に対し45°程度の角度であって、更に図5(c)及び図5(d)に示す如く、鉛直方向に対し斜め下方へ45°程度の角度で燃料ガスが噴射される。言い換えると、前記第一噴孔H1からは、三次元的に見た場合、Y軸と直交してX軸を含む平面に対し前記湾曲部Pcとは反対側で且つX軸と直交してY軸を含む平面に対し前記第一吸気弁I1とは反対側の空間へ向け燃料ガスが噴射される。尚、前記電磁弁が開くタイミングは、第一実施例の場合と同様に、図4において、第一排気弁E1及び第二排気弁E2が閉じかけ且つ第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2が開き始める吸排気オーバーラップ期間中であるが、第一噴孔H1及び第二噴孔H2から燃料ガスが噴出し第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2からシリンダ1内に各燃料ガスが達して燃料ガスの濃度分布が生じるのは、前記吸排気オーバーラップ期間の後となる。
【0044】
同時に、前記ガスノズルNの第二噴孔H2からは、図5(a)及び図6(b)に示す如く、該第二噴孔H2の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部Pcと同一側で且つY軸に対し前記第二吸気弁I2とは同一側の領域へ向けX軸に対し45°程度の角度であって、更に図5(c)及び図5(d)に示す如く、鉛直方向に対し斜め上方へ45°程度の角度で燃料ガスが噴射される。言い換えると、前記第二噴孔H2からは、三次元的に見た場合、Y軸と直交してX軸を含む平面に対し前記湾曲部Pcと同一側で且つX軸と直交してY軸を含む平面に対し前記第二吸気弁I2とは同一側の空間へ向け燃料ガスが噴射される。
【0045】
この結果、参考例においても、前記第一噴孔H1からの燃料ガスの噴射位置及び噴射方向と、前記第二噴孔H2からの燃料ガスの噴射位置及び噴射方向とを同一とせずに各々設定することによって、前記第一噴孔H1から第一吸気弁I1までの距離と、前記第二噴孔H2から第二吸気弁I2までの距離とが、燃料ガスが流通する実質的な流路長さにおいて略等しくなる。このため、前記ガスノズルNの第一噴孔H1及び第二噴孔H2から噴射された燃料ガスが第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2の開動作によってシリンダ1内に流入するタイミングに時間差(時間的な不均一化)が生じにくくなる(図4の太線で示す一点鎖線及び二点鎖線参照)。
【0046】
これにより、前記ガスノズルNに近い側の第一吸気弁I1からシリンダ1内へ供給される燃料ガスを含む吸気、並びにガスノズルNから遠い側の第二吸気弁I2からシリンダ1内へ供給される燃料ガスを含む吸気は、図4に示す如く、第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2の開動作中、前半リッチで後半リーン(図4の細線で示す一点鎖線参照)となったり、或いは前半リーンで後半リッチ(図4の細線で示す二点鎖線参照)になったりしない。このため、シリンダ1内での燃料ガスを含む吸気の濃度が均一となり、第一排気弁E1及び第二排気弁E2が「閉」で第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2が「開」となる期間中、空気過剰率λを一定とすることが可能となり、ノッキングが発生しにくくなると共にNOxが減少する一方、燃焼を安定化させて失火の原因を排除することが可能となる。
【0047】
しかも、参考例においては、従来のガスエンジンと異なり、燃料ガスが前記第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2の傘部I2bからシリンダ1内へ供給されるタイミングが過度に早くならず、図4に示す如く、燃料ガスが前記第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2からシリンダ1内へ供給されるタイミングは、第一排気弁E1及び第二排気弁E2が閉じかけ且つ第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2が開き始める吸排気オーバーラップ期間の後になるため、燃料ガスの吹抜けを招く心配がなくなる。又、逆に前記燃料ガスの噴射タイミングが過度に遅くなったりもせず、燃料ガスが前記吸気ポートPに残留して次のサイクルで燃料ガスの吹抜けが発生してしまう心配もない。
【0048】
こうして、参考例においても、燃料ガスの吹抜け抑制並びに燃料ガスの濃度分布均一化を図り得る。
【0049】
図7及び図8は本発明のガスエンジンの燃料ガス供給装置の第二実施例であって、図中、図1図4、並びに図5及び図6と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、基本的な構成は図1図4に示す第一実施例、並びに図5及び図6に示す参考例と同様である。
【0050】
第二実施例の場合、図7(a)及び図7(b)に示す如く、前記ガスノズルNは、外周面に前記第一噴孔H1が穿設された第一ノズルN1と、外周面に前記第二噴孔H2が穿設された第二ノズルN2とを個別に備えている。
【0051】
前記第一ノズルN1及び第二ノズルN2は、図7(a)に示す如く、前記吸気ポートPの横流路部Pb上面における幅方向中央部から鉛直下方へ挿入され、図7(b)に示す如く、前記シリンダ1の軸線に対し平行となるよう配置されている。前記第一ノズルN1は第二ノズルN2より吸気流通方向上流側に隣接配置され且つ第二ノズルN2より下方へ長く縦流路部Paの中途位置まで延びている。
【0052】
前記第一噴孔H1は、図7(a)及び図8(a)に示す如く、該第一噴孔H1の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部Pcとは反対側となるY軸方向へ燃料ガスを噴射するよう構成してある。尚、前記第一噴孔H1は、図7(c)に示す如く、水平方向に燃料ガスを噴射するよう構成してある。言い換えると、前記第一噴孔H1からは、三次元的に見た場合、Y軸と直交してX軸を含む平面に対し前記湾曲部Pcとは反対側で且つX軸と直交してY軸を含む平面に沿って燃料ガスを噴射するようになっている。
【0053】
又、前記第二噴孔H2は、図7(a)及び図8(b)に示す如く、該第二噴孔H2の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部Pcと同一側で且つY軸に対し前記第二吸気弁I2とは同一側の領域へ向けX軸に対し45°程度の角度で燃料ガスを噴射するよう構成してある。尚、前記第二噴孔H2は、図7(a)及び図7(b)に示す如く、X軸方向において前記第一噴孔H1より第二吸気弁I2に近い位置に開口し、図7(b)及び図7(c)に示す如く、水平方向に燃料ガスを噴射するよう構成してある。言い換えると、前記第二噴孔H2からは、三次元的に見た場合、Y軸と直交してX軸を含む平面に対し前記湾曲部Pcと同一側で且つX軸と直交してY軸を含む平面に対し前記第二吸気弁I2とは同一側の空間へ向け燃料ガスを噴射するようになっている。
【0054】
次に、上記第二実施例の作用を説明する。
【0055】
図示していない電磁弁が開いて燃料ガスがガスノズルNの第一ノズルN1及び第二ノズルN2へ導入される。すると、第一ノズルN1の第一噴孔H1からは、図7(a)及び図8(a)に示す如く、該第一噴孔H1の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部Pcとは反対側で且つY軸方向であって、更に図7(b)及び図7(c)に示す如く、水平方向に燃料ガスが噴射される。言い換えると、前記第一噴孔H1からは、三次元的に見た場合、Y軸と直交してX軸を含む平面に対し前記湾曲部Pcとは反対側で且つX軸と直交してY軸を含む平面に沿って燃料ガスが噴射される。尚、前記電磁弁が開くタイミングは、第一実施例及び参考例の場合と同様に、図4において、第一排気弁E1及び第二排気弁E2が閉じかけ且つ第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2が開き始める吸排気オーバーラップ期間中であるが、第一噴孔H1及び第二噴孔H2から燃料ガスが噴出し第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2からシリンダ1内に各燃料ガスが達して燃料ガスの濃度分布が生じるのは、前記吸排気オーバーラップ期間の後となる。
【0056】
同時に、前記第二ノズルN2の第二噴孔H2からは、図7(a)及び図8(b)に示す如く、該第二噴孔H2の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部Pcと同一側で且つY軸に対し前記第二吸気弁I2とは同一側の領域へ向けX軸に対し45°程度の角度であって、更に図7(b)及び図7(c)に示す如く、水平方向に燃料ガスが噴射される。言い換えると、前記第二噴孔H2からは、三次元的に見た場合、Y軸と直交してX軸を含む平面に対し前記湾曲部Pcと同一側で且つX軸と直交してY軸を含む平面に対し前記第二吸気弁I2とは同一側の空間へ向け燃料ガスが噴射される。
【0057】
この結果、第二実施例においても、前記第一噴孔H1からの燃料ガスの噴射位置及び噴射方向と、前記第二噴孔H2からの燃料ガスの噴射位置及び噴射方向とを同一とせずに各々設定することによって、前記第一噴孔H1から第一吸気弁I1までの距離と、前記第二噴孔H2から第二吸気弁I2までの距離とが、燃料ガスが流通する実質的な流路長さにおいて略等しくなる。このため、前記第一ノズルN1の第一噴孔H1及び第二ノズルN2の第二噴孔H2から噴射された燃料ガスが第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2の開動作によってシリンダ1内に流入するタイミングに時間差(時間的な不均一化)が生じにくくなる(図4の太線で示す一点鎖線及び二点鎖線参照)。更に、第二実施例においては、ガスノズルNを第一ノズルN1と第二ノズルN2とに分けているため、前記第一噴孔H1からの燃料ガスの噴射位置及び噴射方向と、前記第二噴孔H2からの燃料ガスの噴射位置及び噴射方向とを同一とせずに各々設定する上での自由度を高めることが可能となる。
【0058】
これにより、前記ガスノズルNに近い側の第一吸気弁I1からシリンダ1内へ供給される燃料ガスを含む吸気、並びにガスノズルNから遠い側の第二吸気弁I2からシリンダ1内へ供給される燃料ガスを含む吸気は、図4に示す如く、第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2の開動作中、前半リッチで後半リーン(図4の細線で示す一点鎖線参照)となったり、或いは前半リーンで後半リッチ(図4の細線で示す二点鎖線参照)になったりしない。このため、シリンダ1内での燃料ガスを含む吸気の濃度が均一となり、第一排気弁E1及び第二排気弁E2が「閉」で第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2が「開」となる期間中、空気過剰率λを一定とすることが可能となり、ノッキングが発生しにくくなると共にNOxが減少する一方、燃焼を安定化させて失火の原因を排除することが可能となる。
【0059】
しかも、第二実施例においては、従来のガスエンジンと異なり、燃料ガスが前記第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2の傘部I2bからシリンダ1内へ供給されるタイミングが過度に早くならず、図4に示す如く、燃料ガスが前記第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2からシリンダ1内へ供給されるタイミングは、第一排気弁E1及び第二排気弁E2が閉じかけ且つ第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2が開き始める吸排気オーバーラップ期間の後になるため、燃料ガスの吹抜けを招く心配がなくなる。又、逆に前記燃料ガスの噴射タイミングが過度に遅くなったりもせず、燃料ガスが前記吸気ポートPに残留して次のサイクルで燃料ガスの吹抜けが発生してしまう心配もない。
【0060】
こうして、第二実施例においても、燃料ガスの吹抜け抑制並びに燃料ガスの濃度分布均一化を図り得る。
【0061】
図9及び図10は本発明のガスエンジンの燃料ガス供給装置の第三実施例であって、図中、図1図4図5及び図6、並びに図7及び図8と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、基本的な構成は図1図4に示す第一実施例、図5及び図6に示す参考例、並びに図7及び図8に示す第二実施例と同様である。
【0062】
第三実施例の場合、図9(a)及び図9(b)に示す如く、前記ガスノズルNは、先端に前記第一噴孔H1が穿設された第一ノズルN1と、外周面に前記第二噴孔H2が穿設された第二ノズルN2とを個別に備えている。
【0063】
前記第一ノズルN1及び第二ノズルN2は、図9(a)に示す如く、前記吸気ポートPの横流路部Pb上面における幅方向中央部から鉛直下方へ挿入され、図9(b)に示す如く、前記シリンダ1の軸線に対し平行となるよう配置されている。前記第一ノズルN1は第二ノズルN2より吸気流通方向上流側に隣接配置され且つ第二ノズルN2と同一長さとしてある。
【0064】
前記第一噴孔H1は、図9(a)及び図10(a)に示す如く、該第一噴孔H1の位置を原点とするX座標において、X軸とY軸とを含む原点から、図9(b)及び図9(c)に示す如く、前記第一ノズルN1の軸線方向(鉛直方向)に燃料ガスを噴射するよう構成してある。
【0065】
又、前記第二噴孔H2は、図9(a)及び図10(b)に示す如く、該第二噴孔H2の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部Pcと同一側で且つY軸に対し前記第二吸気弁I2とは同一側の領域へ向けX軸に対し10°程度の角度で燃料ガスを噴射するよう構成してある。尚、前記第二噴孔H2は、図9(a)及び図9(b)に示す如く、X軸方向において前記第一噴孔H1より第二吸気弁I2に近い位置に開口し、図9(b)及び図9(c)に示す如く、水平方向に燃料ガスを噴射するよう構成してある。言い換えると、前記第二噴孔H2からは、三次元的に見た場合、Y軸と直交してX軸を含む平面に対し前記湾曲部Pcと同一側で且つX軸と直交してY軸を含む平面に対し前記第二吸気弁I2とは同一側の空間へ向け燃料ガスを噴射するようになっている。
【0066】
次に、上記第三実施例の作用を説明する。
【0067】
図示していない電磁弁が開いて燃料ガスがガスノズルNの第一ノズルN1及び第二ノズルN2へ導入される。すると、第一ノズルN1の第一噴孔H1からは、図9(a)及び図10(a)に示す如く、該第一噴孔H1の位置を原点とするX座標において、X軸とY軸とを含む原点から、図9(b)及び図9(c)に示す如く、前記第一ノズルN1の軸線方向(鉛直方向)に燃料ガスが噴射される。尚、前記電磁弁が開くタイミングは、第一実施例、参考例及び第二実施例の場合と同様に、図4において、第一排気弁E1及び第二排気弁E2が閉じかけ且つ第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2が開き始める吸排気オーバーラップ期間中であるが、第一噴孔H1及び第二噴孔H2から燃料ガスが噴出し第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2からシリンダ1内に各燃料ガスが達して燃料ガスの濃度分布が生じるのは、前記吸排気オーバーラップ期間の後となる。
【0068】
同時に、前記第二ノズルN2の第二噴孔H2からは、図9(a)及び図10(b)に示す如く、該第二噴孔H2の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部Pcと同一側で且つY軸に対し前記第二吸気弁I2とは同一側の領域へ向けX軸に対し10°程度の角度であって、更に図9(b)及び図9(c)に示す如く、水平方向に燃料ガスが噴射される。言い換えると、前記第二噴孔H2からは、三次元的に見た場合、Y軸と直交してX軸を含む平面に対し前記湾曲部Pcと同一側で且つX軸と直交してY軸を含む平面に対し前記第二吸気弁I2とは同一側の空間へ向け燃料ガスが噴射される。
【0069】
この結果、第三実施例においても、前記第一噴孔H1からの燃料ガスの噴射位置及び噴射方向と、前記第二噴孔H2からの燃料ガスの噴射位置及び噴射方向とを同一とせずに各々設定することによって、前記第一噴孔H1から第一吸気弁I1までの距離と、前記第二噴孔H2から第二吸気弁I2までの距離とが、燃料ガスが流通する実質的な流路長さにおいて略等しくなる。このため、前記ガスノズルNの第一噴孔H1及び第二噴孔H2から噴射された燃料ガスが第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2の開動作によってシリンダ1内に流入するタイミングに時間差(時間的な不均一化)が生じにくくなる(図4の太線で示す一点鎖線及び二点鎖線参照)。更に、第三実施例においては、ガスノズルNを第一ノズルN1と第二ノズルN2とに分けているため、前記第一噴孔H1からの燃料ガスの噴射位置及び噴射方向と、前記第二噴孔H2からの燃料ガスの噴射位置及び噴射方向とを同一とせずに各々設定する上での自由度を高めることが可能となる。
【0070】
これにより、前記ガスノズルNに近い側の第一吸気弁I1からシリンダ1内へ供給される燃料ガスを含む吸気、並びにガスノズルNから遠い側の第二吸気弁I2からシリンダ1内へ供給される燃料ガスを含む吸気は、図4に示す如く、第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2の開動作中、前半リッチで後半リーン(図4の細線で示す一点鎖線参照)となったり、或いは前半リーンで後半リッチ(図4の細線で示す二点鎖線参照)になったりしない。このため、シリンダ1内での燃料ガスを含む吸気の濃度が均一となり、第一排気弁E1及び第二排気弁E2が「閉」で第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2が「開」となる期間中、空気過剰率λを一定とすることが可能となり、ノッキングが発生しにくくなると共にNOxが減少する一方、燃焼を安定化させて失火の原因を排除することが可能となる。
【0071】
しかも、第三実施例においては、従来のガスエンジンと異なり、燃料ガスが前記第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2の傘部I2bからシリンダ1内へ供給されるタイミングが過度に早くならず、図4に示す如く、燃料ガスが前記第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2からシリンダ1内へ供給されるタイミングは、第一排気弁E1及び第二排気弁E2が閉じかけ且つ第一吸気弁I1及び第二吸気弁I2が開き始める吸排気オーバーラップ期間の後になるため、燃料ガスの吹抜けを招く心配がなくなる。又、逆に前記燃料ガスの噴射タイミングが過度に遅くなったりもせず、燃料ガスが前記吸気ポートPに残留して次のサイクルで燃料ガスの吹抜けが発生してしまう心配もない。
【0072】
こうして、第三実施例においても、燃料ガスの吹抜け抑制並びに燃料ガスの濃度分布均一化を図り得る。
【0073】
上記の四つの実施例の結果に基づき、前記第一噴孔H1は、該第一噴孔H1の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部Pcとは反対側で且つY軸に対し前記第一吸気弁I1とは反対側であってX軸及びY軸を含む領域へ向け燃料ガスを噴射するよう構成すれば良い。又、前記第二噴孔H2は、該第二噴孔H2の位置を原点とするX座標において、X軸に対し前記湾曲部Pcと同一側で且つY軸に対し前記第二吸気弁I2とは同一側であってX軸及びY軸を含まない領域へ向け燃料ガスを噴射するよう構成すれば良い。
【0074】
そして、前記第二噴孔H2を、X軸方向において前記第一噴孔H1より第二吸気弁I2に近い位置に開口させることは、前記第一噴孔H1から第一吸気弁I1までの距離と、前記第二噴孔H2から第二吸気弁I2までの距離とを、燃料ガスが流通する実質的な流路長さにおいて略等しくする上で有効となる。
【0075】
又、前記ガスノズルNが、前記第一噴孔H1が穿設された第一ノズルN1と、前記第二噴孔H2が穿設された第二ノズルN2とを個別に備えることは、前記第一噴孔H1からの燃料ガスの噴射位置及び噴射方向と、前記第二噴孔H2からの燃料ガスの噴射位置及び噴射方向とを同一とせずに各々設定する上での自由度を高めることができ、有効となる。
【0076】
一方、前記第一実施例において、前記ガスノズルNは、前記吸気ポートPの上面における幅方向中央部から前記湾曲部Pcの外周側内壁面へ向け前記X軸に対し傾斜するよう配置され且つ前記第二吸気弁I2の傘部I2bへ向け下り勾配を有して傾斜するよう配置され、前記第一噴孔H1は、前記ガスノズルNの外周面に穿設され、前記第二噴孔H2は、前記ガスノズルNの先端に穿設されている。このように構成すると、前記ガスノズルNのX軸に対する傾斜配置及び下り勾配を有した傾斜配置と、前記ガスノズルNの外周面への第一噴孔H1の穿設配置と、前記ガスノズルNの先端への第二噴孔H2の穿設配置とにより、燃料ガスの吹抜けを抑制できると共に、燃料ガスの濃度分布を均一化できる。
【0077】
又、前記参考例において、前記ガスノズルNは、前記吸気ポートPの上面における幅方向中央部から前記X軸に対し平行となるよう配置され且つ下り勾配を有して傾斜するよう配置され、前記第一噴孔H1は、前記ガスノズルNの外周面に穿設され、前記第二噴孔H2は、前記ガスノズルNの外周面に穿設されている。このように構成すると、前記ガスノズルNのX軸に対する平行配置及び下り勾配を有した傾斜配置と、前記ガスノズルNの外周面への第一噴孔H1の穿設配置と、前記ガスノズルNの外周面への第二噴孔H2の穿設配置とにより、燃料ガスの吹抜けを抑制できると共に、燃料ガスの濃度分布を均一化できる。
【0078】
又、前記第二実施例において、前記第一ノズルN1及び第二ノズルN2は、前記シリンダ1の軸線に対し平行となるよう配置されて、前記第一ノズルN1は第二ノズルN2より吸気流通方向上流側に隣接配置され且つ第二ノズルN2より長く延び、前記第一噴孔H1は、前記第一ノズルN1の外周面に穿設され、前記第二噴孔H2は、前記第二ノズルN2の外周面に穿設されている。この構成では、第一ノズルN1及び第二ノズルN2の長さに差を持たせた隣接配置と、第一ノズルN1の外周面への第一噴孔H1の穿設配置と、第二ノズルN2の外周面への第二噴孔H2の穿設配置とにより、第一噴孔H1からの燃料ガスの噴射位置及び噴射方向と、第二噴孔H2からの燃料ガスの噴射位置及び噴射方向とを同一とせずに設定する上での自由度を高めつつ、燃料ガスの吹抜けを抑制でき且つ燃料ガスの濃度分布を均一化できる。
【0079】
更に又、前記第三実施例において、前記第一ノズルN1及び第二ノズルN2は、前記シリンダ1の軸線に対し平行となるよう配置されて、前記第一ノズルN1は第二ノズルN2より吸気流通方向上流側に隣接配置され、前記第一噴孔H1は、前記第一ノズルN1の先端に穿設され、前記第二噴孔H2は、前記第二ノズルN2の外周面に穿設されている。この構成では、第一ノズルN1及び第二ノズルN2の隣接配置と、第一ノズルN1の先端への第一噴孔H1の穿設配置と、第二ノズルN2の外周面への第二噴孔H2の穿設配置とにより、第一噴孔H1からの燃料ガスの噴射位置及び噴射方向と、第二噴孔H2からの燃料ガスの噴射位置及び噴射方向とを同一とせずに設定する上での自由度を高めつつ、燃料ガスの吹抜けを抑制でき且つ燃料ガスの濃度分布を均一化できる。
【0080】
尚、本発明のガスエンジンの燃料ガス供給装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、前記第一噴孔及び第二噴孔の個数、孔径は適宜選定し得ること等、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0081】
1 シリンダ
P 吸気ポート
Pc 湾曲部
I1 第一吸気弁
I2 第二吸気弁
I2b 傘部
N ガスノズル
N1 第一ノズル
N2 第二ノズル
H1 第一噴孔
H2 第二噴孔
図1
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図10