(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のように熱分解炉から残渣が排出されるシステムにおいては、その排出物中に多くの不燃物等が含まれ、かつ、その中には、缶類等の小さな不燃物に比べて最大寸法の大きいもの(例えば大きな体積をもつ異物や長尺の異物;以下「大型異物」と総称する。)が含まれている。このような大型異物がそのまま下段の設備に搬入されると、当該設備において詰まりを起こし、その正常な作動を妨げるおそれがある。例えば、前記大型異物は、
図10に示されるような周回式の搬送装置(例えばバケットコンベアやベルトコンベア)204での搬送中に当該搬送装置204内で詰まるおそれがあり、また当該搬送装置204を通過できたとしてもさらに後段の磁選機202内で詰まりを起こして磁選機202を停止させるおそれがある。
【0006】
このように所定の設備内で詰まった大型異物は、当該設備を構成するケーシング等の外殻を取り外して当該設備内から取り出される必要があるが、その作業は容易でない。仮にその取出しができたとしても、当該取出しには長い時間を要し、その間は排出物の処理を行うことができない。このことは、処理効率の著しい低下を招く。
【0007】
本発明は、熱分解炉から排出される排出物に含まれる大型異物の詰まりに起因する設備のトラブルを有効に抑止することを可能にする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明により提供されるのは、熱分解炉から排出される排出物に含まれる大型の異物を捕捉するための装置であって、入口及び当該入口よりも低い出口を有し、前記入口から前記出口に向かって前記排出物が重力により降下しながら通過するのを許容する通過許容空間を囲むケーシングと、前記通過許容空間を鉛直方向に対して交差する方向に横切り、当該通過許容空間を通過する排出物中の異物を捕捉してそれ以外の排出物の通過のみを許容する少なくとも一つの捕捉部材と、を備える。
【0009】
この異物捕捉装置によれば、重力による排出物の通過許容空間内の降下を利用することにより、当該通過許容空間を横切る捕捉部材を備えるという簡素な構造で、前記排出物に含まれる大型の異物を捕捉することができ、かつ、それ以外の排出物(例えば砂や小石、缶等の小型不燃物)の通過を許容することができる。従って、前記ケーシングの出口からは前記排出物のうち前記捕捉部材により捕捉された異物を除くもののみが排出され、後段の設備に移送されるため、当該後段の設備での前記大型異物の詰まりに起因するトラブルが有効に抑止される。
【0010】
前記少なくとも一つの捕捉部材は鉛直方向から見て前記通過許容空間を3以上の領域に分割する複数の捕捉部材を含
む。これにより、前記通過許容空間を大きくして処理量を増やしながら大型異物の確実な捕捉を行うことが可能になる。また、当該捕捉部材の個数や捕捉部材同士の間隔の設定によって、捕捉される異物の大きさを決めることが可能である。
【0011】
そして、当該異物捕捉装置は、前記複数の捕捉部材を横切るように延びかつ前記ケーシングに固定される両端を有する捕捉部材支持部と、当該捕捉部材支持部上の任意の位置で当該捕捉部材支持部に前記各捕捉部材を固定する複数の固定具と、をさらに備え
る。当該捕捉部材支持部及び複数の固定具の組み合わせは、前記複数の捕捉部材の総数等に応じて前記各捕捉部材の位置を前記捕捉部材支持部に沿って容易に調節することを可能にする。
【0012】
前記少なくとも一つの捕捉部材は、水平方向に対して傾斜する方向に前記通過許容空間を横切る少なくとも一つの傾斜捕捉部材を含むことが、好ましい。当該傾斜捕捉部材の傾斜は、当該捕捉部材によって捕捉された異物を当該捕捉部材の傾斜に沿って当該捕捉部材が低い側の位置に案内することを可能にし、これにより、当該捕捉された異物の回収を容易にする。
【0013】
その案内を確実にする観点からは、前記少なくとも一つの傾斜捕捉部材が水平方向に対して45°以上の角度で傾いた方向に前記通過許容空間を横切ることが、好ましい。
【0014】
前記少なくとも一つの傾斜捕捉部材は、複数の傾斜捕捉部材を含んでもよい。この場合、当該複数の傾斜捕捉部材は、当該複数の傾斜捕捉部材の上端が単一の傾斜面に沿って並ぶように互いに同じ方向に前記通過許容空間を横切ることが好ましい。このことは、当該複数の傾斜捕捉部材により捕捉される異物の案内をより円滑にする。
【0015】
前記ケーシングは、前記捕捉部材が低い側の領域にたまった異物を当該ケーシングの外部に搬出するための搬出口を有することが、より好ましい。これにより、捕捉された異物の回収がより容易になる。
【0016】
前記少なくとも一つの捕捉部材は、鉛直方向からみて互いに交差する方向に前記通過許容空間を横切る第1の捕捉部材及び第2の捕捉部材を含んでもよい。特に、当該第1の捕捉部材及び当該第2の捕捉部材が互いに直交する方向に前記通過許容空間を横切る場合には、当該排出物空間内に複数の網目を形成することが可能であり、これにより目標とする大きさの異物をより確実に捕捉することが可能になる。
【0017】
前記異物捕捉装置は、前記捕捉部材により捕捉された異物の当該捕捉部材上での堆積状態についての情報を検出して外部に提供する堆積情報提供部をさらに備えることが、好ましい。当該堆積情報提供部は、作業者がケーシング内を視認することなく捕捉された異物の堆積状態を知ることを可能にし、これにより、異物の過度の堆積を防ぐことができる。また、当該異物を取り出すタイミングを知ることができる。当該堆積情報提供部は、前記捕捉部材上の映像を撮影する監視カメラであってもよいし、前記捕捉部材上において所定の高さレベルまで異物が堆積したことを検出するレベルセンサと当該レベルセンサの検出結果を報知する報知部との組み合わせであってもよい。
【0018】
また本発明は、熱分解炉と、当該熱分解炉から排出された不燃物を含む排出物を処理する排出物処理装置と、前記の異物処理装置であって前記熱分解炉と前記排出物処理装置との間に設けられるものと、を備える廃棄物処理システムを提供する。
【0019】
この廃棄物処理システムは、前記熱分解炉と前記排出物処理装置との間に設けられて前記排出物を搬送する搬送装置であって、周回体と、この周回体の上に前記排出物が載せられた状態で当該周回体を周回方向に動かすことにより前記排出物を搬送する周回駆動部と、を含む搬送装置をさらに備えることも可能である。この場合、前記異物捕捉装置は、そのケーシングの前記出口が前記周回体の上流側端部の上面のすぐ上方に位置するように配置されることにより、当該搬送装置に対して前記排出物を導入するシュートとして機能しながら、当該搬送装置での前記異物の詰まりも有効に抑止することが可能である。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、廃棄物処理システムにおいて、熱分解炉から排出される排出物に含まれる大型異物の詰まりに起因する設備のトラブルを有効に抑止することが可能な異物捕捉装置、及びこれを備えた廃棄物処理システム、が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、
図1〜
図9を参照しつつ説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係る廃棄物処理システムを示す。この廃棄物処理システムは、熱分解処理部100と、第1搬送装置110と、第2搬送装置120と、磁選機130と、異物捕捉装置140と、を含む。
【0024】
前記熱分解処理部100は、処理対象である廃棄物(ゴミ等)を熱分解処理、例えば焼却処理、するセクションであり、廃棄物投入装置102と、熱分解炉104と、砂分級装置106と、砂循環エベレータ108と、を含む。
【0025】
前記廃棄物投入装置102は、処理対象である廃棄物(ゴミ等)を一時的に収容するとともに当該廃棄物を適当な速度で切出して前記熱分解炉104内に投入する。
【0026】
前記熱分解炉104は、投入された廃棄物を熱分解処理し、これにより生成された熱分解ガスを塔頂から排出する一方、熱分解されない不燃物を炉底から排出される。
図1に示されている熱分解炉104は、流動媒体により構成される流動床103を下部に有する流動層ガス化炉であり、前記不燃物を前記流動媒体である砂とともに炉底から排出する。熱分解炉104は流動層ガス化炉に限定されず、例えばストーカ式炉やその他の形式の炉であってもよい。
【0027】
前記砂分級装置106は、前記流動層ガス化炉104から排出される砂と不燃物との混合物から砂を分離して残りの排出物である不燃物を取り出す。前記砂循環エベレータ108は、前記砂分級装置106によって前記不燃物から分離された砂を上昇させて前記流動層ガス化炉104内の前記流動層103に戻す。
【0028】
前記磁選機130は、本発明に係る排出物処理装置に相当するもので、前記熱分解処理部100から排出される排出物、
図1に示される形態では前記熱分解炉104の炉底から排出されかつ前記砂分級装置106によって前記砂から分離された不燃物、を受け入れ、これに磁力を作用させることによって当該不燃物を鉄缶類等のリサイクル可能な金属とそれ以外の不燃物とに分離する。前者の金属は金属圧縮機150で圧縮処理された後に資源化物貯留ヤードに搬入され、後者の不燃物は不燃物破砕機160によって破砕処理される。
【0029】
前記第1搬送装置110及び前記第2搬送装置120は、前記熱分解処理部100の砂分級装置106と前記磁選機130との間に介在し、前記砂分級装置106から排出される不燃物を前記磁選機130まで搬送する。前記異物捕捉装置140は、前記第1搬送装置110と前記第2搬送装置120との間に介在し、前記第1搬送装置110により搬送される不燃物のうち大型の不燃物を異物として捕捉して残りの不燃物(主として小型の不燃物)が第2搬送装置120により磁選機130に搬入されるのを許容する。具体的に、前記第1搬送装置110は、前記砂分級装置106の直下流に配置され、砂分級装置106から排出された不燃物を前記異物捕捉装置140に投入する。前記第2搬送装置120は、前記異物捕捉装置140から排出される不燃物を受け取って前記磁選機130まで搬送する。
【0030】
ここでいう「大型の不燃物」は、最大寸法の大きい不燃物であって、大きな体積を有するもの(例えば直方体状の家電機器)や、特定方向の寸法が著しく大きいもの(例えば長尺の棒状体やケーブル等の索状体)が含まれる。ただし、前記異物捕捉装置140は、所定寸法よりも大きな最大寸法をもつ大型の不燃物を一つ残らず捕捉する機能をもつものに限定されない。当該異物捕捉装置140は、そのような大型の不燃物を異物としてある程度の確率で捕捉する能力を有していれば、前記第2搬送装置120や前記磁選機130での当該大型の不燃物の詰まりによるトラブルが生じる可能性を十分に低減させることが可能である。
【0031】
前記第2搬送装置120は、この実施の形態では、
図2に示すようなコンベア(例えばバケットコンベア)によって構成される。具体的に、前記第2搬送装置120は、一対の回転体122(
図2では一方の回転体122のみが示される。)と、無端状の周回体124と、周回駆動部である搬送モータ126と、ケーシング128と、を含む。前記周回体124は、例えばバケットコンベアでは複数のバケットとこれらのバケットを周回方向につなぐチェーン等の連結部材とにより構成され、ベルトコンベアでは搬送ベルトにより構成される。当該ケーシング128内において、前記一対の回転体122は互いに水平方向に離間するように配置され、前記周回体124は、前記回転体122同士の間に掛渡される。前記搬送モータ126は、前記一対の回転体122のうちの一方の回転体122に連結され、当該回転体122を回転させることにより前記周回体124を周回方向に動かし、これにより、当該周回体124上に載せられた不燃物を前記磁選機130まで水平方向に搬送する。
【0032】
前記異物捕捉装置140は、前記周回体124の上流側端部(
図2に示される端部)の直上の位置に配置され、前記第1搬送装置110により搬送される不燃物のうちの大型の不燃物を捕捉すると同時に、残りの不燃物すなわち比較的小型の不燃物を前記周回体124上に投入するシュートとしても機能する。当該異物捕捉装置140による大型の不燃物の捕捉は、当該大型の不燃物が第2搬送装置120のケーシング128内や前記磁選機110内で詰まることを有効に抑止し、これにより当該第2搬送装置120や当該磁選機110の正常な動作の継続を促す。
【0033】
次に、前記異物捕捉装置140の詳細について、
図3〜
図7を併せて参照しながら説明する。
【0034】
前記異物捕捉装置140は、ケーシング12と、複数の捕捉部材14と、上下一対の捕捉部材支持軸16と、各捕捉部材14について与えられる複数の固定具18と、を備える。
【0035】
前記ケーシング12は、不燃物の入口20を囲む上端と、出口21を囲む下端と、を有するとともに、前記入口から前記出口に向かって前記排出物が重力により降下しながら通過する空間を囲む形状を有する。具体的に、当該ケーシング12は、前記入口20を含む不燃物受入れ部22と、前記出口21を含む異物捕捉部24と、を有する。
【0036】
前記不燃物受入れ部22は、前記入口20を通じて前記第1搬送装置110から搬入される不燃物を受け入れるとともに、当該不燃物が鉛直方向に落下するのを許容する落下空間26を囲む部分である。詳しくは、前記不燃物受入れ部22は、互いに第1水平方向に対向する一対の側壁31,32と、前記第1水平方向と直交する第2水平方向に互いに対向する一対の側壁33,34と、を有し、当該側壁31〜34が前記落下空間26を囲む上下方向の角筒状をなすとともに、当該側壁31〜34の上端が前記入口20を囲む。この不燃物受入れ部22は、適宜省略可能である。
【0037】
前記異物捕捉部24は、前記排出物(不燃物)の通過を許容してそのうちの異物を捕捉するための空間である通過許容空間27及びその捕捉された異物の一時的な収容のための収容空間28を囲む部分である。当該異物捕捉部24は、前記不燃物受入れ部22の下端に連通し、かつ、当該不燃物受入れ部22の特定の側壁(
図3では側壁32)の下端から特定の水平方向(前記第1水平方向であって
図3の左方向)に外向きに膨出する形状を有する。
【0038】
具体的に、この実施の形態に係る異物捕捉部24は、中間立直壁36と、第1下側傾斜壁37と、第1下端壁38と、上側傾斜壁39と、中間天壁40と、下側第2傾斜壁41と、第2下端壁42と、一対の側壁43,44と、端壁45と、を有する。
【0039】
前記中間立直壁36は、前記側壁31から連続して鉛直方向の下方に延びる。前記第1下側傾斜壁37は、前記第1立直壁36の下端から連続して前記特定の水平方向に傾斜する(
図3では左下がりに傾斜する)ように斜め向きに延びる。前記第1下端壁38は、前記下側傾斜壁37から連続して鉛直方向の下向きに延びる。
【0040】
前記上側傾斜壁39は、前記側壁32の下端から連続して前記特定の水平方向に傾斜するように(
図3では左下がりに傾斜して前記下側立直壁37と略平行となるように)斜め向きに延びる。前記中間天壁40は、前記上側傾斜壁39の下端から連続して前記特定の水平方向(
図3では左方向)に延びる。前記第2傾斜壁41は、前記中間天壁40から下方に離間した位置で前記特定の水平方向と反対の水平方向に傾斜する(
図3では右下がりに傾斜する)。前記第2下端壁42は、前記第2傾斜壁41の下端から鉛直方向の下向きに延びる。
【0041】
前記一対の側壁43,44は、それぞれ、前記側壁33,34の下端から鉛直方向の下向きに延びるとともに、前記中間立直壁36、前記下側傾斜壁37、前記第1下端壁38、前記中間天壁40、前記第2傾斜壁41、及び前記第2下端壁42の縁にそれぞれに接合されることが可能な形状の外縁を有する。前記第1及び第2下端壁38,42及び前記両側壁43,44の下端は、前記入口20から前記特定の水平方向にオフセットした位置で前記出口21を囲む。当該出口21の位置は、必ずしも入口20とオフセットされていなくてもよく、当該入口20の直下にあってもよい。前記端壁45は、前記中間天壁40、前記第2下側傾斜壁41、及び前記一対の側壁43,44の縁によって囲まれる開口(
図3では左向きの開口)を塞ぐように当該縁にそれぞれ接合される。
【0042】
前記ケーシング12は、前記出口21が
図2に示される第2搬送装置120の周回体124の上面に対して適当な距離をおいてその直上方に位置するように、当該第2搬送装置120のケーシング128に接続される。このようなケーシング12の配置は、当該ケーシング12を含む異物捕捉装置140が当該第2搬送装置120に対して不燃物を投入するシュートとしても機能することを可能にする。
【0043】
前記複数の捕捉部材14は、前記通過許容空間であって前記異物捕捉部24により囲まれる空間を横切り、当該通過許容空間を通過する排出物である不燃物に含まれる異物(大型の不燃物)を捕捉してそれ以外の排出物(主に小型の不燃物)の通過を許容する。
【0044】
図3〜
図6に示される例では、前記異物捕捉部24に2本の捕捉部材14が前記特定の水平方向と直交する水平方向(
図3の奥行方向、
図4の左右方向;以下「装置幅方向」と称する。)に互いに平行に並ぶように配置され、これにより、鉛直方向から見て前記異物捕捉部24内の空間を装置幅方向に並ぶ3つの領域に分割する。当該捕捉部材14の本数は、後述のように適宜増減可能であり、これにより、捕捉される異物の大きさをコントロールすることが可能である。
【0045】
この実施の形態に係る各捕捉部材14は、前記異物捕捉部24内の空間を水平方向に対して傾斜する方向(この実施の形態では前記各傾斜壁37,39,41と略平行な方向)に横切る傾斜捕捉部材である。当該捕捉部材14の傾斜は、当該捕捉部材14によって捕捉された異物である被捕捉異物46(
図5)を当該捕捉部材14の傾斜に沿って当該捕捉部材14が低い側の位置に案内する(つまり前記特定の水平方向にスライドさせるように案内する)ことを可能にし、これにより、当該被捕捉異物46の回収を容易にする。この案内は、
図3及び
図5に示されるように、前記各捕捉部材14の方向が水平方向に対して45°以上の角度で傾斜することにより、さらに促進される。
【0046】
前記各捕捉部材14の傾斜角度は、互いに異なっていてもよいが、当該捕捉部材14の上端が単一の傾斜面(
図3及び
図5では左下がりの平面)に沿って並ぶように互いに同一の方向に前記異物捕捉部14内の空間を横切ることが好ましい。このことは、各捕捉部材14の上に捕捉された被捕捉異物46の当該捕捉部材14の上面に沿った案内をより円滑にする。
【0047】
前記一対の捕捉部材支持軸16は、前記各捕捉部材14の上端部及び下端部をそれぞれ横切る(この実施の形態では貫通する)状態で当該上端部及び当該下端部を支持するように、前記ケーシング12に固定される。前記複数の固定具18は、前記捕捉部材支持軸16上の任意の位置で当該捕捉部材支持軸16に前記各捕捉部材14の上端部及び下端部をそれぞれ固定する機能を有する。具体的に、この実施の形態に係る各捕捉部材支持軸16は、その外周面上に雄ねじが刻まれたねじ軸により構成され、前記各固定具18は、前記捕捉部材14の上端部または下端部を前記捕捉部材支持軸16の軸方向に挟むように当該捕捉部材支持軸16に螺着される一対のナット48により構成される。また、前記捕捉部材支持軸16の両端部は前記側壁43,44を貫通し、当該両端部に螺着されるナット50を用いて当該側壁43,44に固定される。
【0048】
前記ケーシング12の複数の箇所、具体的には前記側壁33,43及び中間天壁40には、ケーシング12内の点検のための点検口54,55,56が形成されるとともに、当該点検口54,55,56をそれぞれ開閉するための扉57,58,59が設けられる。同様に、前記端壁45には、捕捉された異物をケーシング12の外部に搬出するための搬出口61が形成されるとともに、当該搬出口61を開閉するための扉62が設けられる。
【0049】
さらに、この異物捕捉装置140は、捕捉された異物の前記捕捉部材14上での堆積状態についての情報を検出して外部に提供する堆積情報提供部をさらに備える。この実施の形態に係る堆積情報提供部は、
図7に示すような監視カメラ64と、
図3及び
図5に示されるレベルセンサ66と、を含む。前記監視カメラ64は、前記中間天壁40に設けられ、その下方の収容空間28内において捕捉部材14上に堆積する前記被捕捉異物46(
図5)の映像を撮影する。前記レベルセンサ66は、前記異物捕捉部24内の所定の高さ位置に設けられ、当該レベルセンサ66の高さ位置まで前記異物46が堆積した時点で警告信号を出力し、図略の報知部(例えばランプやブザー)を作動させてその検出結果を報知させる。当該レベルセンサ66は、例えば、発光素子及び受光素子からなる光電式のセンサ、マイクロ波式のセンサ、あるいはリミットスイッチによって構成されることが可能である。
【0050】
この異物捕捉装置140は、また、複数枚の保護板67,71,72を備える。これらの保護板67,71,72は、前記ケーシング12の特定の内面を覆うように当該ケーシング12にねじ74によって着脱可能に取付けられ、当該内面に対して不燃物が直接衝突することにより当該内面を傷つけることを、阻止する。具体的に、前記保護板67,71,72は、前記第1下側傾斜壁37、前記第2下側傾斜壁41及び前記第2下端壁42の内面をそれぞれ覆うように前記ケーシング12に取付けられる。また、保護板72はその下部が前記第2下端壁42の下端よりもさらに下方に突出するように前記ケーシング12に取付けられる。
【0051】
この異物捕捉装置140によれば、重力による排出物(不燃物)の通過許容空間27内の降下を利用することにより、当該通過許容空間27を横切る捕捉部材14を備えるという簡素な構造で、前記不燃物に含まれる大型の異物を高い確率で捕捉することができ、かつ、それ以外の排出物(例えば砂や小石、缶等の小型不燃物)の通過を許容することができる。
【0052】
具体的に、前記第1搬送装置110から前記入口20を通じてケーシング12内に投入される不燃物は、前記不燃物受入れ部22内の落下空間26を落下し、異物捕捉部24内の通過許容空間27に至る。この通過許容空間27では当該通過許容空間27を横切るように配置された捕捉部材14が前記不燃物のうち大きな寸法をもつものを異物として捕捉し、それ以外の不燃物の通過すなわち落下を許容する(
図3の矢印A1)。
【0053】
このように通過が許容された不燃物は、出口21を通じて第2搬送装置120の周回体124上に投入され、当該第2搬送装置120によって後段の磁選機130まで搬送される。このように搬送される不燃物からは、前記捕捉部材14により捕捉された異物であって大型の不燃物が除去されているので、このような大型の不燃物が前記第2搬送装置120のケーシング128内あるいは磁選機130内で詰まってトラブルを起こすことが防がれる。
【0054】
一方、前記各捕捉部材14は前記ケーシング12内において収容空間28に向かって傾斜しているので、当該捕捉部材14に捕捉された異物である被捕捉異物46は当該捕捉部材14の上面に沿って滑り落ちるように斜め下向きに降下し(
図3の矢印A2)、これにより、前記収容空間28に案内される。このようにして前記被捕捉異物46はその自重を利用した構造によって前記収容空間28内に集められる。従って、作業者は当該被捕捉異物46を前記収容空間28に面した搬出口61を通じて容易にかつ効率よく回収することができる。回収された被捕捉異物46は、例えば、
図1に示される不燃物破砕機160によって破砕処理される。
【0055】
さらに、この異物捕捉装置140では、堆積情報提供部が前記各捕捉部材14上の前記被捕捉異物46の堆積状態についての情報を使用者に提供することにより、当該被捕捉異物46が好適なタイミングで回収されることを助ける。具体的に、前記監視カメラ64は、前記収容空間28内での前記捕捉部材14上の映像を撮影して装置の外部に表示することにより、作業者が例えば点検口56を開かなくても前記捕捉部材14上での被捕捉異物46の堆積状態を常時監視することを可能にし、これにより、適切なタイミングで前記被捕捉異物46が回収されることを助ける。また、レベルセンサ66は、被捕捉異物46の高さが一定以上になった時点で報知部に報知動作を行わせることにより、前記捕捉部材14上での被捕捉異物46の過度の堆積を防ぐ。
【0056】
また、この異物捕捉装置140では、複数の保護板67,71,72がケーシング12の内面を不燃物の衝突から有効に保護する。具体的に、保護板67は、前記通過許容空間27を高速で通過(落下)する小型不燃物が第1下側傾斜壁37に直接衝突することを阻止し、保護板71,72は前記第1下側傾斜壁37で跳ね返った不燃物が前記第2下側傾斜壁71や前記第2下端壁72に衝突することを阻止する。また、保護板72の下部は、前記不燃物が前記出口21の直下方の領域からさらに外側に逸脱するように飛散することも防ぐ。
【0057】
また、前記第1下側傾斜壁37は、前記通過許容空間27を落下する不燃物と当該第1下側傾斜壁37との(前記保護壁67を介する)衝突によって当該不燃物の落下速度を抑え、これにより、当該不燃物の前記周回体124上への落下による衝撃を有効に緩和する。
【0058】
図8及び
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る異物捕捉装置170の要部を示す。この異物捕捉装置170は、ケーシング80と、複数の捕捉部材と、を備え、当該複数の捕捉部材は、2本の第1の捕捉部材91,92及び2本の第2の捕捉部材93,94と、を含む。
【0059】
前記ケーシング80は、第1の実施の形態に係るケーシング12と同様、不燃物が落下するように通過することを許容する通過許容空間86を囲む筒状をなす。具体的に、当該ケーシング80は、第1の水平方向(
図8では左右方向)に互いに対向する一対の側壁81,82と、前記第1の水平方向と直交する第2の水平方向(平面図である
図8では上下方向)に互いに対向する一対の側壁83,84と、有し、これらの側壁81〜84が前記通過許容空間86を囲む角筒状をなす。
【0060】
前記第1及び第2の捕捉部材91〜94は、それぞれが一方向に延びる棒状をなし、互いに間隔をおいて前記通過許容空間86を鉛直方向から見て縦横に横断するように配置される。具体的に、この第2の実施の形態では、前記第1の捕捉部材91,92が前記第2の水平方向(平面図である
図8では上下方向)に互いに間隔をおいて平行に延びる姿勢で前記通過許容空間86を前記第1の水平方向(
図8では左右方向)に横切るとともに、当該第1の捕捉部材91,92の両端がそれぞれ前記側壁81,82に着脱可能に支持される。同様に、前記第2の捕捉部材93,94が前記第1の水平方向に互いに間隔をおいて平行に延びる姿勢で前記通過許容空間86を前記第2の水平方向に横切るとともに、当該第2の捕捉部材93,94の両端がそれぞれ前記側壁83,84に着脱可能に支持されている。
【0061】
従って、この実施の形態では、第1の捕捉部材91,92及び第2の捕捉部材93,94が水平面上で互いに直交するように配置されることにより、鉛直方向から見て前記通過許容空間86を計9個の間隙(格子目)88に分割する。各間隙88の大きさは、前記通過許容空間86を落下する不燃物のうち異物として捕捉すべき大型不燃物を捕捉してそれ以外の小型の不燃物が前記間隙88を通過することを許容するように、設定される。各間隙88の大きさは互いに同一でなくてもよい。
図8に示される例では、第1の捕捉部材91,92同士の間隔及び第2の捕捉部材93,94同士の間隔の寸法βが各捕捉部材91〜94とこれに隣接する側壁81〜84との間隔の寸法αよりも大きく設定されている。
【0062】
この第2の実施の形態のように第1の捕捉部材と第2の捕捉部材とが互いに交差するように配置される場合、当該交差の角度は
図8に示すような90°に限定されない。例えば、複数の捕捉部材が鉛直方向から見て互いに60°の角度で交差する第1、第2及び第3の捕捉部材を含んでこれらの捕捉部材が正三角形状の目を形成するものでもよい。また、一部または全部の捕捉部材同士の間に高さ方向の段差が与えられてもよい。
【0063】
前記第1の実施の形態では、各捕捉部材14が捕捉部材支持軸16を介してケーシング12に支持されるのに対し、第2の実施の形態に係る捕捉部材91〜94はケーシング80の側壁81〜84に直接的に支持される。この場合も、その支持のための構造は自由に設定されることが可能である。
【0064】
図8及び
図9に示す例では、前記各側壁81〜84に前記捕捉部材91〜94の両端部の挿通をそれぞれ許容する貫通穴85が設けられるとともに、当該側壁81〜84の外側面上において前記貫通穴85と合致する位置にそれぞれ筒状の捕捉部材支持部89が固定されている。各捕捉部材支持部89は、その内側に前記捕捉部材91〜94が挿通された状態で当該捕捉部材91〜94を着脱可能に支持する。
【0065】
前記各捕捉部材91〜94は、それぞれの両端部が前記捕捉部材支持部89からさらに両外側に突出することが可能なだけの長さを有する。各捕捉部材91〜94の両端部のうちの一方の端部には、当該捕捉部材91〜94の直径方向に延びる抜け止め部95が固定され、他方の端部には、着脱可能に抜け止め部材96が装着される。抜け止め部材96は、例えば、前記捕捉部材91〜94(
図9では捕捉部材91のみ示される)において前記捕捉部材支持部89よりも外側に突出する端部を直径方向に貫通するボルト97と、当該ボルト97の端部に螺着されるナット98と、によって構成される。当該抜け止め部材96の着脱は、前記側壁81〜84に対する前記各捕捉部材91〜94の着脱及びその装着時の固定を可能にする。
【0066】
この第2の実施の形態に係る装置も、堆積情報提供部を備えることが可能である。例えば、前記ケーシング80において前記捕捉部材91〜94よりも上側の箇所に、当該捕捉部材91〜94上での異物の堆積状態を撮影する監視カメラが据え付けられてもよい。あるいは、前記捕捉部材91〜94よりも所定寸法だけ上側の高さ位置に、当該高さ位置まで被捕捉異物が堆積したことを検知するレベルセンサが設けられてもよい。
【0067】
また、この第2の実施の形態においても、前記ケーシング80の適所に点検口や被捕捉異物の搬出のための搬出口が設けられてもよい。この第2の実施の形態に係る各捕捉部材91〜94は水平方向に延びていて被捕捉異物を特定方向に案内する機能を有しないため、前記搬出口が設けられるべき位置は特に限定されない。
【0068】
本発明は、その他、例えば次のような形態も含む。
【0069】
A)ケーシングについて
本発明に係るケーシングの形状は、通過許容空間を形成することが可能な範囲で自由に設定されることが可能である。例えば、前記第1の実施の形態に係るケーシング12の不燃物受入れ部22が斜め下向きに延びる形状を有していてその底壁に沿って不燃物が滑り落ちるように当該不燃物を案内するものでもよい。この場合も、当該不燃物受入れ部22の下流側で捕捉部材が大型の異物を捕捉してそれ以外の不燃物の通過(落下)を許容するように配置されることにより、前記と同様に異物の捕捉を行うことが可能である。
【0070】
B)捕捉部材について
本発明に係る捕捉部材の個数や形状も自由に設定されることが可能である。例えば、本発明は、単一の捕捉部材が通過許容空間を2分割するだけの態様も含む。また、複数の捕捉部材を含む場合において、当該捕捉部材の水平方向に対する傾斜角度は統一されていなくてもよい。当該複数の捕捉部材は、水平な捕捉部材と傾斜捕捉部材との双方を含むもの、例えば、第1の実施の形態に係る一対の捕捉部材14と直交する水平方向に交差する別の捕捉部材が前記一対の捕捉部材14に付け足されたもの、でもよい。