(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)成分としてのポリアミドイミドオリゴマーと、前記(A)成分としてのポリアミドイミドオリゴマー同士を架橋するための(B)成分としての熱架橋剤と、(C)成分としての熱伝導性無機粒子と、を含む熱伝導性接着剤組成物であって、
前記(A)成分としてのポリアミドイミドオリゴマーの数平均分子量を1000〜15000の範囲内の値とし、
前記(B)成分としての熱架橋剤の配合量を、前記(A)成分としてのポリアミドイミドオリゴマー100重量部に対して1〜80重量部の範囲内の値とし、
前記(C)成分としての熱伝導性無機粒子が、窒化ホウ素粒子を含むとともに、前記(C)成分としての熱伝導性無機粒子の配合量を、前記(A)成分としてのポリアミドイミドオリゴマー100重量部に対して250〜5000重量部の範囲内の値とすることを特徴とする熱伝導性接着剤組成物。
前記(A)成分としてのポリアミドイミドオリゴマーが、分子の両末端あるいは片末端に、架橋点となるカルボキシル基を有することを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性接着剤組成物。
前記(A)成分としてのポリアミドイミドオリゴマーのガラス転移点を100〜300℃の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の熱伝導性接着剤組成物。
前記(C)成分としての熱伝導性無機粒子の数平均粒径を5〜200μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱伝導性接着剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、(A)成分としてのポリアミドイミドオリゴマーと、(A)成分としてのポリアミドイミドオリゴマー同士を架橋するための(B)成分としての熱架橋剤と、(C)成分としての熱伝導性無機粒子と、を含む熱伝導性接着剤組成物であって、(A)成分としてのポリアミドイミドオリゴマーの数平均分子量を1000〜15000の範囲内の値とし、(B)成分としての熱架橋剤の配合量を、(A)成分としてのポリアミドイミドオリゴマー100重量部に対して1〜80重量部の範囲内の値とし、(C)成分としての熱伝導性無機粒子が、窒化ホウ素粒子を含むとともに、(C)成分としての熱伝導性無機粒子の配合量を、(A)成分としてのポリアミドイミドオリゴマー100重量部に対して250〜5000重量部の範囲内の値とすることを特徴とする熱伝導性接着剤組成物である。
以下、第1の実施形態の熱伝導性接着剤組成物について、具体的に説明する。
【0022】
1.(A)成分:ポリアミドイミドオリゴマー
本発明の熱伝導性接着剤組成物は、主剤としてポリアミドイミドオリゴマーを含むことを特徴とする。
この理由は、ポリアミドイミドオリゴマーであれば、数平均分子量を所定の範囲内の値とすると共に、所定量の熱架橋剤で架橋することにより、接着性および耐熱性に優れた硬化物を得ることができるためである。
また、熱伝導性無機粒子としての窒化ホウ素粒子を所定量添加した場合であっても、上述した接着性および耐久性を安定的に保持することができることから、熱伝導性に優れた硬化物を得ることができるためである。
さらに、実質的に他の硬化成分を含まない組成とすることができることから、硬化前の熱伝導性接着剤組成物の安定性を効果的に向上させることができる。
【0023】
(1)分子構造
また、ポリアミドイミドオリゴマーの分子構造としては、特に制限されないが、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を主要構成単位として有することが好ましい。
【0025】
(一般式(1)中、Arは下記式(2)で表される構造から選択される少なくとも一種であり、Rは下記式(3)で表される構造から選択される少なくとも一種であり、繰り返し数nは2〜80の範囲内の正数である。)
【0028】
また、上述した主要構成単位以外の構成単位として、ポリアミド構成単位やポリイミド構成単位が含まれていてもよい。
【0029】
また、ポリアミドイミドオリゴマーが、下記一般式(4)に示すように分子の両末端に、あるいは下記一般式(5)に示すように分子の片末端に、架橋点となるカルボキシル基を有することが好ましい。
この理由は、このように分子末端に架橋点となるカルボキシル基を有することにより、ポリアミドイミドオリゴマーの末端同士を効果的に架橋できることから、実質的に他の硬化成分を用いることなく、熱伝導性、接着性および耐久性に優れた硬化物を得ることができ、かつ、硬化前の熱伝導性接着剤組成物の保存安定性を効果的に向上させることができるためである。
すなわち、ポリアミドイミドオリゴマーという高ガラス転移点を有する成分同士を、熱架橋剤を介して互いに架橋することにより、耐熱性に優れた樹脂を得ることができるためである。
【0031】
(一般式(4)中、Arは式(2)で表される構造から選択される少なくとも一種であり、Rは式(3)で表される構造から選択される少なくとも一種であり、繰り返し数nは2〜80の範囲内の正数である。)
【0033】
(一般式(5)中、Arは式(2)で表される構造から選択される少なくとも一種であり、Rは式(3)で表される構造から選択される少なくとも一種であり、繰り返し数nは2〜80の範囲内の正数である。)
【0034】
(2)数平均分子量
また、ポリアミドイミドオリゴマーの数平均分子量を1000〜15000の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、ポリアミドイミドオリゴマーの数平均分子量が1000未満の値となると、得られる硬化物における耐熱性が過度に低くなるほか、接着剤組成物の粘度が低くなり過ぎて形態安定性が悪化する場合があるためである。一方、ポリアミドイミドオリゴマーの数平均分子量が15000を超えた値となると、(A)成分が溶剤に溶解しにくくなって熱伝導性接着剤組成物の塗工性が過度に低下したり、(A)成分同士の架橋が過度に少なくなって十分な接着性を得ることが困難になったりする場合があるためである。
したがって、ポリアミドイミドオリゴマーの数平均分子量の下限値を2000以上の値とすることがより好ましく、3000以上の値とすることがさらに好ましく、5000以上の値とすることが特に好ましい。
また、ポリアミドイミドオリゴマーの数平均分子量の上限値を12000以下の値とすることがより好ましく、10000以下の値とすることがさらに好ましい。
【0035】
(3)ガラス転移点
また、ポリアミドイミドオリゴマーのガラス転移点を100〜300℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ポリアミドイミドオリゴマーのガラス転移点が100℃未満の値となると、耐熱性が過度に低下する場合があるためである。一方、ポリアミドイミドオリゴマーのガラス転移点が300℃を超えた値となると、接着力が過度に低下する場合があるためである。
したがって、ポリアミドイミドオリゴマーのガラス転移点の下限値を135℃以上の値とすることがより好ましく、150℃以上の値とすることがさらに好ましい。
また、ポリアミドイミドオリゴマーのガラス転移点の上限値を280℃以下の値とすることがより好ましく、250℃以下の値とすることがさらに好ましく、220℃以下の値とすることが特に好ましい。
【0036】
(4)配合量
また、ポリアミドイミドオリゴマーの配合量を、熱伝導性接着剤組成物の固形分100重量%に対して、2〜30重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ポリアミドイミドオリゴマーの配合量が2重量%未満の値となると、(A)成分同士の架橋が過度に少なくなって、十分な接着性を得ることが困難になったり、(C)成分としての熱伝導性無機粒子を熱伝導性接着剤組成物中に均一に分散・保持することが困難になったりする場合があるためである。一方、ポリアミドイミドオリゴマーの配合量が30重量%を超えた値となると、熱伝導性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、熱伝導性接着剤組成物の固形分100重量%に対するポリアミドイミドオリゴマーの配合量の下限値を5重量%以上の値とすることがより好ましく、8重量%以上の値とすることがさらに好ましい。
また、熱伝導性接着剤組成物の固形分100重量%に対するポリアミドイミドオリゴマーの配合量の上限値を25重量%以下の値とすることがより好ましく、20重量%以下の値とすることがさらに好ましい。
【0037】
2.(B)成分:熱架橋剤
本発明の熱伝導性接着剤組成物は、(A)成分としてのポリアミドイミドオリゴマー同士を架橋するための成分として熱架橋剤を含むことを特徴とする。
この理由は、熱架橋剤であれば、上述した(A)成分と相俟って、実質的に他の硬化成分を含むことなく、容易に接着性および耐熱性に優れた硬化物を得ることができる一方、硬化前の熱伝導性接着剤組成物の保存安定性を効果的に向上させることができるためである。
【0038】
(1)種類
また、熱架橋剤の種類としては、特に制限されるものではなく、従来公知の熱架橋剤を使用することができる。
例えば、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、メラミン系化合物、アジリジン系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩等の化合物を熱架橋剤として用いることができる。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
また、上述した熱架橋剤の中でも、エポキシ系化合物からなる熱架橋剤(以下、「エポキシ系熱架橋剤」と称する。)を使用することが好ましい。
この理由は、エポキシ系熱架橋剤であれば、得られる硬化物におけるゲル分率を高くして優れた耐熱性を得ることができる一方で、組成物での保管時や接着剤シート形成のための乾燥時には硬化反応が進行しづらいためである。
【0040】
(2)分子量
また、熱架橋剤の分子量を100〜500の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、熱架橋剤の分子量が100未満の値となると、得られる硬化物における耐熱性が過度に低下する場合があるためである。一方、熱架橋剤の分子量が500を超えた値となると、通常、常温で固体となることから、熱伝導性接着剤組成物の塗工性に悪影響を及ぼしたり、架橋が不十分になってゲル分率が低下し、接着性が過度に低下したりする場合があるためである。
したがって、熱架橋剤の分子量の下限値を150以上の値とすることがより好ましく、200以上の値とすることがさらに好ましい。
また、熱架橋剤の分子量の上限値を450以下の値とすることがより好ましく、400以下の値とすることがさらに好ましい。
【0041】
また、このようなエポキシ系熱架橋剤としては、例えば、2,2−[イソプロピリデンビス[4,1−フェニレン(オキシメチレン)]]ビスオキシラン(分子量340、常温で液体)、2,2−[メチレンビス(2,1−フェニレンオキシメチレン)]ビスオキシラン(分子量312、常温で液体)等が好適に使用される。
【0042】
(3)配合量
また、熱架橋剤の配合量を、(A)成分100重量部に対して1〜80重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、熱架橋剤の配合量が1重量部未満の値となると、硬化反応が十分に進行せず接着性が過度に低下する場合があるためである。一方、熱架橋剤の配合量が80重量部を超えた値となると、未反応の架橋剤が残存し、熱伝導性、接着性および耐熱性がいずれも過度に低下する場合があるためである。
したがって、(A)成分100重量部に対する熱架橋剤の配合量の下限値を3重量部以上の値とすることがより好ましく、5重量部以上の値とすることがさらに好ましく、20重量部以上とすることが特に好ましい。
また、(A)成分100重量部に対する熱架橋剤の配合量の上限値を70重量部以下の値とすることがより好ましく、60重量部以下の値とすることがさらに好ましい。
【0043】
3.(C)成分:熱伝導性無機粒子
本発明の熱伝導性接着剤組成物は、熱伝導性無機粒子を含むことを特徴とする。
この理由は、熱伝導性無機粒子を含むことにより、接着剤組成物に対して熱伝導性を付与することができるためである。
【0044】
(1)種類
また、熱伝導性無機粒子の種類としては、窒化ホウ素粒子を含むことを特徴とする。
この理由は、窒化ホウ素粒子であれば、絶縁性を安定的に保持しつつ、接着剤組成物に対して効率的に熱伝導性を付与することができるためである。
また、窒化ホウ素粒子であれば、例えば酸化アルミニウム粒子と比較して、少量の配合であっても同等の熱伝導性を付与することができることから、過多な熱伝導性無機粒子による樹脂成分の機能阻害を抑制して、接着性についても効果的に向上させることができる。
【0045】
また、窒化ホウ素粒子は、大粒径化したものを用いる観点から、鱗片状の結晶体、もしくは、小粒径の窒化ホウ素粒子を二次凝集させた窒化ホウ素粒子凝集体が好ましく挙げられる。
特に、窒化ホウ素粒子が凝集した窒化ホウ素粒子凝集体を用いることが好ましい。
この理由は、窒化ホウ素粒子凝集体であれば、硬化物における熱伝導性および接着性をさらに向上させることができるためである。
すなわち、窒化ホウ素粒子凝集体であれば、塗工時や硬化時に窒化ホウ素粒子が特定の方向(例えば、厚み方向)に配向することを抑制することにより、熱伝導性における異方性の発現を抑制し、全ての方向に等しく熱を伝えることができるためである。
なお、本発明における「凝集体」とは、一次粒子が少なくとも100個以上高次凝集し、配向することなく規則的に円球状(真円球、楕円球、半円球、円柱状を含む)もしくは多角形状を形成したものを意味する。
【0046】
また、窒化ホウ素粒子と併用して他の熱伝導性無機粒子を用いることも好ましい。
このような他の熱伝導性無機粒子としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ホウ酸アルミウィスカ、窒化珪素、結晶性シリカ、非結晶性シリカ、炭化ケイ素等を挙げることができる。
【0047】
(2)粒径
熱伝導性無機粒子の数平均粒径としては、5〜200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、熱伝導性無機粒子の数平均粒径が5μm未満の値となると、熱伝導性無機粒子による伝熱ネットワークを構成することが困難になり、熱伝導率が過度に低下する場合があるためである。一方、熱伝導性無機粒子の数平均粒径が200μmを超えた値となると、接着面への熱伝導性無機粒子の露出により接着性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、熱伝導性無機粒子の数平均粒径の下限値を10μm以上の値とすることがより好ましく、30μm以上の値とすることがさらに好ましく、50μm以上の値とすることが特に好ましい。
また、熱伝導性無機粒子の数平均粒径の上限値を150μm以下の値とすることがより好ましく、100μm以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、熱伝導性無機粒子が窒化ホウ素粒子等の凝集体である場合、該凝集体を構成する一次粒子の粒径は、0.1〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましく、8〜30μm程度であることが特に好ましい。また、凝集体を構成する全ての一次粒子が上述した範囲内の一次粒径である必要は無く、全体の50%以上がそのような粒子から構成されていることが好ましい。
また、当該一次粒子は球状であっても、断面が楕円形状であってもよいが、より凝集しやすい観点から、断面が楕円形状のものがより好ましい。
断面が楕円形状である一次粒子の場合、長軸が上述した一次粒径の範囲内の値となることが好ましい。一方、短軸は、0.05〜50μmであることが好ましく、0.1〜20μmであることがより好ましく、0.3〜5μmであることが特に好ましい。また、一次粒子のアスペクト比は、1.2〜50であることが好ましく、3〜30であることがより好ましく、6〜15であることが特に好ましい。
なお、本発明における数平均粒径は、レーザー散乱粒度分布計(堀場製作所(株)製、LA−920)を用い、粒子が膨潤しない媒体に分散させて測定することができる。
【0048】
(3)アスペクト比
また、熱伝導性無機粒子のアスペクト比を1.1〜30の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、熱伝導性無機粒子のアスペクト比が1.1未満の値となると、粒子が球状となるため、粒子同士の接触面積が減少し、熱伝導率が低下する場合があるためである。一方、熱伝導性無機粒子のアスペクト比が30を超えた値となると、塗工時や硬化時に粒子が配向しやすくなり、所望の方向への熱伝導率が発現しにくくなる場合があるためである。
したがって、熱伝導性無機粒子のアスペクト比の下限値を1.2以上の値とすることがより好ましく、1.3以上の値とすることがさらに好ましい。
また、熱伝導性無機粒子のアスペクト比の上限値を20以下の値とすることがより好ましく、10以下の値とすることがさらに好ましく、5以下の値とすることが特に好ましい。
【0049】
(4)配合量
また、熱伝導性無機粒子の配合量を、(A)成分100重量部に対して250〜5000重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、熱伝導性無機粒子の配合量が250重量部未満の値となると、十分な熱伝導性を得ることが困難になる場合があるためである。一方、熱伝導性無機粒子の配合量が5000重量部を超えた値となると、樹脂成分の機能阻害や、接着面への熱伝導性無機粒子の露出により接着性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、(A)成分100重量部に対する熱伝導性無機粒子の配合量の下限値を300重量部以上の値とすることがより好ましく、350重量部以上の値とすることがさらに好ましい。
また、(A)成分100重量部に対する熱伝導性無機粒子の配合量の上限値を3000重量部以下の値とすることがより好ましく、2000重量部以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、窒化ホウ素粒子と併用して他の熱伝導性無機粒子を用いることもできる。その場合には、熱伝導性無機粒子の合計量100重量%に対して、窒化ホウ素粒子を50重量%以上の値とすることが好ましく、80重量%以上の値とすることがより好ましい。
【0050】
4.(D)成分:有機溶剤
また、本発明の熱伝導性接着剤組成物は、有機溶剤を含むことが好ましい。
この理由は、有機溶剤を含むことにより、熱伝導性接着剤組成物の粘度を適正な範囲に調節し、塗工性を向上させることができるためである。
【0051】
(1)種類
また、有機溶剤の種類としては、特に制限されるものではなく、従来公知の有機溶剤を使用することができ、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、イソホロン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、ヘキサメチルホスホアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。
特に、ポリアミドイミドオリゴマーに対する相溶性および乾燥時の蒸発のしやすさの観点から、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、イソホロンからなる群から選択される少なくとも一種を用いることがより好ましい。
【0052】
(2)配合量
また、有機溶剤の配合量としては、(A)成分100重量部に対して100〜1500重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、有機溶剤の配合量が100重量部未満の値となると、塗液の粘度が高くなり塗工が困難になる場合があるためである。一方、有機溶剤の配合量が1500重量部を超えた値となると、乾燥時に溶剤が蒸発しきらず、シート内に残留し、絶縁破壊電圧を低下させる場合があるためである。
したがって、(A)成分100重量部に対する有機溶剤の配合量の下限値を、150重量部以上の値とすることがより好ましく、200重量部以上の値とすることがさらに好ましい。
また、(A)成分100重量部に対する有機溶剤の配合量の上限値を、1200重量部以下の値とすることがより好ましく、1000重量部以下の値とすることがさらに好ましい。
【0053】
5.その他の添加物
また、本発明の熱伝導性接着剤組成物は、上述した(A)〜(D)成分以外にも、シランカップリング剤等のその他の添加物を配合してもよいが、硬化成分に関しては、実質的に配合しないことが好ましい。
この理由は、(A)〜(D)成分の他に、さらに硬化成分を配合すると、熱伝導性接着剤組成物の保存安定性が低下しやすくなる場合があるためである。
このような硬化成分としては、例えば、(B)成分としてエポキシ系熱架橋剤を用いた場合であれば、その硬化剤としてのジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、フェノールノボラック等の多価フェノール化合物、トリフェニルメタンおよびこれらの変性物、イミダゾール、BF
3−アミン錯体、グアニジン誘導体等が挙げられる。
【0054】
また、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズ等の金属化合物等の硬化触媒についても、実質的に配合しないことが好ましい。
【0055】
なお、(A)〜(D)成分の他に、さらに硬化成分を配合する場合には、(A)成分100重量部に対して、10重量部以下の値とすることが好ましく、5重量部以下の値とすることがより好ましく、1重量部以下の値とすることがさらに好ましい。
【0056】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態の熱伝導性接着剤組成物から形成された熱伝導性接着剤シートである。
かかる熱伝導性接着剤シートであれば、所定の熱伝導性接着剤組成物から形成されることから、熱プレスによる硬化後の熱伝導性および耐熱性に優れるとともに、熱プレスにより部材間の接着に供されるまでの保存安定性にも優れることから、所望の接着性をシートの保存環境にかかわらず安定的に得ることができる。
以下、第2の実施形態の熱伝導性接着剤シートについて、具体的に説明する。
【0057】
1.製造方法
本発明の熱伝導性接着剤シートは、第1の実施形態の熱伝導性接着剤組成物から形成することを特徴とする。
より具体的には、シリコーン剥離処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム等の剥離フィルムに対して、スピンコーター、スプレーコーター、バーコーター、ナイフコータ―、ロールコーター、ナイフロールコーター、ブレードコーター、グラビアコータ―、カーテンコーター、ダイコーター等を用いて熱伝導性接着剤組成物を塗布する。
次いで、70〜140℃で1〜30分間乾燥させ、熱伝導性接着剤シートを得ることができる。
なお、得られた熱伝導性接着剤シートの露出面を保護する観点から、かかる露出面に対しても剥離フィルムを貼合することが好ましい。
【0058】
2.厚さ
また、熱伝導性接着剤シートの厚さを50〜800μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、熱伝導性接着剤シートの厚さが50μm未満の値となると、十分な絶縁性を確保できなくなったり、シートの厚さが熱伝導性無機粒子よりも薄くなり、熱伝導性無機粒子がシート表面に露出して接着性が過度に低下したりする場合があるためである。一方、熱伝導性接着剤シートの厚さが800μmを超えた値となると、乾燥時に溶剤が蒸発しきらず、シート内に残留し、絶縁破壊電圧を低下させる場合があるためである。
したがって、熱伝導性接着剤シートの厚さの下限値を60μm以上の値とすることがより好ましく、70μm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、熱伝導性接着剤シートの厚さの上限値を700μm以下の値とすることがより好ましく、600μm以下の値とすることがさらに好ましく、300μm以下の値とすることが特に好ましい。
【0059】
3.ゲル分率
また、熱伝導性接着剤シートのゲル分率を10%以下の値とすることが好ましい。
この理由は、熱伝導性接着剤シートのゲル分率が10%を超えた値となると、熱プレスにより部材間の接着に供されるまでの保存安定性が過度に低い疑いが生じる場合があるためである。
したがって、熱伝導性接着剤シートのゲル分率を8%以下の値とすることがより好ましく、5%以下の値とすることがさらに好ましい。
【0060】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、第2の実施形態の熱伝導性接着剤シートを用いた積層体の製造方法であって、下記工程(a)〜(b)を含むことを特徴とする積層体の製造方法である。
(a)第1の構造体と第2の構造体との間に熱伝導性接着剤シートを介在させる工程
(b)熱プレスにより熱伝導性接着剤シートを圧着・硬化させ、第1の構造体と第2の構造体とを接着する工程
かかる積層体の製造方法であれば、所定の熱伝導性接着剤シートを用いていることから、高温環境下であっても第1および第2の構造体間の接着を安定的に保持しつつ、相対的に高温の構造体から相対的に低温の構造体に対して効率的に熱を伝導し、外部環境に放熱が可能な積層体を安定的に製造することができる。
以下、第3の実施形態の積層体の製造方法について、具体的に説明する。
【0061】
1.工程(a)
工程(a)は、
図1(a)に示すように、第1の構造体20と第2の構造体30との間に第2の実施形態の熱伝導性接着剤シート1を介在させる工程である。
ここで、第1の構造体20および第2の構造体30としては、一方の熱を他方に伝導させることが必要とされる用途の組み合わせであれば特に制限されるものではない。
例えば、
図1(c)に示すように、第1の構造体20をパワーモジュールとし、第2の構造体30をヒートシンクとした場合、パワーモジュールから生じる熱を、熱伝導性接着剤シート1の硬化物10を介してヒートシンクに効率的に伝導し、外部環境に放熱することができる。
なお、その他の第1の構造体20および第2の構造体30の組み合わせとしては、半導体回路と放熱基板やLEDヒートシンクの組み合わせ、あるいは携帯機器用電池と筐体の組み合わせ等が挙げられる。
【0062】
2.工程(b)
工程(b)は、
図1(b)に示すように、熱プレス(200a、200b)により熱伝導性接着剤シート1を圧着・硬化させ、第1の構造体20と第2の構造体30とを接着し、
図1(c)に示すように、第1の構造体20/硬化物10/第2の構造体30からなる積層体100を得る工程である。
このときの熱プレスの条件としては、プレス温度を150〜250℃の範囲内の値とし、プレス圧力を150〜600kgf/cm
2の範囲内の値とし、プレス時間を3〜60分の範囲内の値とすることが好ましい。
また、硬化物10の厚さは、熱プレスを行う前の熱伝導性接着剤シートよりも薄くなるため、40〜500μmの範囲内の値とすることが好ましい。
【0063】
3.硬化物のゲル分率
また、硬化物のゲル分率を50〜100%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、硬化物のゲル分率が50%未満の値となると、接着性および耐熱性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、硬化物のゲル分率の下限値を60%以上の値とすることがより好ましく、70%以上の値とすることがさらに好ましい。
なお、硬化物のゲル分率の測定条件については、実施例に記載する。
【0064】
4.硬化物の熱伝導率
また、硬化物の熱伝導率を10〜200W/m・Kの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、硬化物の熱伝導率が10W/m・K未満の値となると、直接的に熱伝導性が低下して、所望の放熱効果を得ることが困難になる場合があるためである。一方、硬化物の熱伝導率が200W/m・Kを超えた値となると、熱伝導性無機粒子の含有量が多くなって接着力が過度に低下する場合があるためである。
したがって、硬化物の熱伝導率の下限値を11W/m・K以上の値とすることがより好ましく、12W/m・K以上の値とすることがさらに好ましい。
また、硬化物の熱伝導率の上限値を150W/m・K以下の値とすることがより好ましく、100W/m・K以下の値とすることがさらに好ましく、20W/m・K以下の値とすることが特に好ましい。
なお、硬化物の熱伝導率の測定条件については、実施例に記載する。
【0065】
5.硬化物の接着力
また、硬化物の23℃環境下における接着力を3〜50N/25mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、硬化物の23℃環境下における接着力が3N/25mm未満の値となると、積層体として使用する際に第1の構造体と第2の構造体とが剥離する場合があるためである。一方、硬化物の23℃環境下における接着力が50N/25mmを超えた値となると、積層体の使用を終えた際に、第1の構造体と第2の構造体とを分解することが困難になる場合があるためである。
したがって、硬化物の23℃環境下における接着力の下限値を4.5N/25mm以上の値とすることがより好ましく、6N/25mm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、硬化物の接着力の23℃環境下における上限値を40N/25mm以下の値とすることがより好ましく、30N/25mm以下の値とすることがさらに好ましく、18N/25mm以下の値であることが特に好ましい。
なお、硬化物の23℃環境下における接着力の測定条件については、実施例に記載する。
【0066】
また、硬化物の150℃環境下における接着力を1〜40N/25mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、硬化物の150℃環境下における接着力が1N/25mm未満の値となると、積層体が高温の環境下に置かれた際に、第1の構造体と第2の構造体とが剥離する場合があるためである。一方、硬化物の150℃環境下における接着力が40N/25mmを超えた値となると、積層体の使用を終えた際に、第1の構造体と第2の構造体とを分解することが困難になる場合があるためである。
したがって、硬化物の150℃環境下における接着力の下限値を1.5N/25mm以上の値とすることがより好ましく、2N/25mm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、硬化物の接着力の150℃環境下における上限値を30N/25mm以下の値とすることがより好ましく、20N/25mm以下の値とすることがさらに好ましく、9N/25mm以下の値であることが特に好ましい。
なお、硬化物の150℃環境下における接着力の測定条件については、実施例に記載する。
【実施例】
【0067】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。但し、本発明はこれらの記載に制限されるものではない。
【0068】
[実施例1]
1.熱伝導性接着剤組成物の調製
表1および以下に示すように、(A)成分としてのポリアミドイミドオリゴマーと、(B)成分としての熱架橋剤と、(C)成分としての熱伝導性無機粒子と、(D)成分としての有機溶剤と、を混合し、熱伝導性接着剤組成物を調製した。
なお、表1および下記における配合量は、(D)成分および液状の(B)成分以外は、固形分換算された値を示す。なお、(B)成分および(D)成分は純分換算された値を示す。
【0069】
(A)成分:ポリアミドイミドオリゴマー 100重量部
(東洋紡(株)製、ACX−02、数平均分子量:8000、ガラス転移点:190℃、両末端にカルボキシル基を有する)
(B)成分:エポキシ系樹脂 40重量部
(2,2’−[イソプロピリデンビス[4,1−フェニレン(オキシメチレン)]]ビスオキシラン(下記式(6))、分子量340、液状)
(C)成分:窒化ホウ素粒子凝集体 485重量部
(昭和電工(株)製、UHP−G1F、数平均粒径:80μm、アスペクト比:1.5)
(D)成分:シクロヘキサノン 430重量部
なお、以下において、上述した(A)成分を「ポリアミドイミドオリゴマーA」と称する場合がある。また、上述した(B)成分を「エポキシ系熱架橋剤a」と称する場合がある。
また、(C)成分に関し、電子顕微鏡観察によると、該凝集体の一次粒子は、断面が楕円形状であり、長軸粒径10μm程度、アスペクト比10程度であった。
【0070】
【化7】
【0071】
2.熱伝導性接着剤シートの製造
次いで、得られた熱伝導性接着剤組成物を、シリコーン剥離処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック(株)製、SP−PET751031)(以下、「PET」と称する。)の剥離処理面に塗布し、120℃で3分間乾燥させ、厚さ150μmの熱伝導性接着剤シートを得た。
【0072】
3.評価
(1)塗工性
熱伝導性接着剤シートを製造する際の熱伝導性接着剤組成物の塗工性を、目視により、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
○:得られた熱伝導性接着剤シートの表面が均一である
△:得られた熱伝導性接着剤シートの表面にヒビ割れが発生している
×:熱伝導性接着剤組成物が不均一であり、塗工することができない
【0073】
(2)ゲル分率
熱伝導性接着剤シートの硬化性を、ゲル分率(%)により評価した。
すなわち、まず、得られた熱伝導性接着剤組成物から(C)成分としての熱伝導性無機粒子のみを除いた組成のゲル分率測定用接着剤組成物を調製した。
次いで、得られたゲル分率測定用接着剤組成物を、PETの剥離処理面に塗布し、120℃で3分間乾燥させ、厚さ150μmのゲル分率測定用接着剤シートを得た。
次いで、得られたゲル分率測定用接着剤シートの露出面に対し、別のPETを剥離処理面が接するように積層し、両面がPETに挟持された状態のゲル分率測定用接着剤シートを得た。
次いで、両面がPETに挟持された状態のゲル分率測定用接着剤シートに対して、180℃、500kgf/cm
2、30分の条件で熱プレスを行い、ゲル分率測定用接着剤シートをゲル分率測定用硬化物とした。
次いで、得られたゲル分率測定用硬化物をメッシュサイズ200のポリエステルメッシュで包み、十分な量のシクロヘキサノン中に常温で48時間浸漬し、浸漬前後に測定した重量からゲル分率(%)を算出した。得られた結果を表1に示す。
【0074】
(3)熱伝導率
得られた熱伝導性接着剤シートを硬化した際の熱伝導率(W/m・K)を評価した。
すなわち、得られた熱伝導性接着剤シートの露出面に対し、別のPETを剥離処理面が接するように積層し、両面がPETに挟持された状態の熱伝導性接着剤シートを得た。
次いで、両面がPETに挟持された状態の熱伝導性接着剤シートに対して、180℃、500kgf/cm
2、30分の条件で熱プレスを行い、熱伝導性接着剤シートを硬化させて硬化物とした。このとき、得られた硬化物の厚さは100μmであった。
次いで、両面のPETを剥離した後、硬化物の熱伝導率(W/m・K)を、薄膜の熱拡散・熱伝導率測定装置(アイフェイズ(株)製、ai−Phase Mobile 1u)を用いて温度波法(TWA法)にて測定した。得られた結果を表1に示す。
【0075】
(4)接着力
得られた熱伝導性接着剤シートを硬化した際の接着力(N/25mm)を評価した。
すなわち、得られた熱伝導性接着剤シートからPETを剥離し、熱伝導性接着剤シートの両面に対し、電解銅箔(福田金属箔粉工業(株)製、CF−T8G−UN 35)をツヤ面が接するように積層し、両面が電解銅箔に挟持された状態の熱伝導性接着剤シートを得た。
次いで、両面が電解銅箔に挟持された状態の熱伝導性接着剤シートに対して、180℃、500kgf/cm
2、30分の条件で熱プレスを行い、熱伝導性接着剤シートを硬化させて硬化物とした。このとき、得られた硬化物の厚さは100μmであった。
次いで、硬化物を、両面の電解銅箔ごと25mm幅に裁断した後、一方の電解銅箔をチャック(固定)して引張試験機(オリエンテック(株)製、テンシロン万能引張試験機)を用いて、剥離角度180°、剥離速度300mm/分、23℃環境下の条件にて引き剥がし、接着力(N/25mm)を測定した。
また、150℃の環境下においても同様に接着力(N/25mm)を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0076】
[実施例2]
実施例2では、熱伝導性接着剤組成物における(B)成分の配合量を10重量部に変えたほかは、実施例1と同様に熱伝導性接着剤組成物および熱伝導性接着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0077】
[実施例3]
実施例3では、熱伝導性接着剤組成物における(B)成分を、エポキシ系熱架橋剤(2,2’−[メチレンビス(2,1−フェニレンオキシメチレン)]ビスオキシラン(下記式(7))、分子量312、液状)に変え、これを10重量部配合したほかは、実施例1と同様に熱伝導性接着剤組成物および熱伝導性接着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、以下において、上述した(B)成分を「エポキシ系熱架橋剤b」と称する場合がある。
【0078】
【化8】
【0079】
[実施例4]
実施例4では、熱伝導性接着剤組成物における(A)成分を、ポリアミドイミドオリゴマー(東洋紡(株)製、ACX−01、数平均分子量:4000、ガラス転移点:230℃、両末端にカルボキシル基を有する)に変えたほかは、実施例1と同様に熱伝導性接着剤組成物および熱伝導性接着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、以下において、上述した(A)成分を「ポリアミドイミドオリゴマーB」と称する場合がある。
【0080】
[実施例5]
実施例5では、熱伝導性接着剤組成物における(C)成分を、鱗片状窒化ホウ素粒子(昭和電工(株)製、UHP−2、数平均粒径:10μm、アスペクト比:30)に変えたほかは、実施例1と同様に熱伝導性接着剤組成物および熱伝導性接着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0081】
[実施例6]
実施例6では、熱伝導性接着剤組成物における(A)成分を、ポリアミドイミドオリゴマー(荒川化学工業(株)製、PIAD300、数平均分子量8000、ガラス転移点:100℃、両末端にカルボキシル基を有する)に変えたほかは、実施例1と同様に熱伝導性接着剤組成物および熱伝導性接着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、以下において、上述した(A)成分を「ポリアミドイミドオリゴマーC」と称する場合がある。
【0082】
[比較例1]
比較例1では、熱伝導性接着剤組成物における(A)成分を、ポリアミドイミドオリゴマー(東洋紡(株)製、数平均分子量:30000、ガラス転移点:190℃、両末端にカルボキシル基を有する)に変えたほかは、実施例1と同様に熱伝導性接着剤組成物および熱伝導性接着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
但し、比較例1では、(A)成分が(D)成分に溶解せず、熱伝導性接着剤組成物が著しく不均一であり、塗工することができなかったため、ゲル分率、熱伝導率、接着力の評価は行わなかった。
なお、以下において、上述した(A)成分を「ポリアミドイミドオリゴマーD」と称する場合がある。
【0083】
[比較例2]
比較例2では、熱伝導性接着剤組成物における(A)成分を、ポリアミドイミドオリゴマー(東洋紡(株)製、バイロマックス HR−16NN、数平均分子量:30000、ガラス転移点:320℃、両末端にカルボキシル基を有する)に変えたほかは、実施例1と同様に熱伝導性接着剤組成物および熱伝導性接着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
但し、比較例2では、(A)成分が(D)成分に溶解せず、熱伝導性接着剤組成物が著しく不均一であり、塗工することができなかったため、ゲル分率、熱伝導率、接着力の評価は行わなかった。
なお、以下において、上述した(A)成分を「ポリアミドイミドオリゴマーE」と称する場合がある。
【0084】
[比較例3]
比較例3では、熱伝導性接着剤組成物における(B)成分の配合量を、100重量部に変えたほかは、実施例1と同様に熱伝導性接着剤組成物および熱伝導性接着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0085】
[比較例4]
比較例4では、熱伝導性接着剤組成物における(C)成分の配合量を170重量部に変えたほかは、実施例1と同様に熱伝導性接着剤組成物および熱伝導性接着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0086】
[比較例5]
比較例5では、熱伝導性接着剤組成物における(C)成分を、丸み状酸化アルミニウム(昭和電工(株)製、AS−40、数平均一次粒径:40μmと2μmの混合物、アスペクト比:1.5)に変え、これを2300重量部配合したほかは、実施例1と同様に熱伝導性接着剤組成物および熱伝導性接着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0087】
[比較例6]
比較例6では、熱伝導性接着剤組成物における(A)成分をアクリル酸エステル共重合体(BA/Vac/HEA/AAc=95.5/3/1/0.5、重量平均分子量:100万)に変えるとともに、(B)成分をイソシアネート系熱架橋剤であるトリメチレンプロパンアダクトトリレンジイソシアネート(東洋インキ(株)製、BHS8515、固形状)に変え、これを1重量部配合したほかは、実施例1と同様に熱伝導性接着剤組成物および熱伝導性接着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0088】
【表1】