(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
供給元拠点の生産能力に関する生産能力情報と、前記供給元拠点及び発注拠点を含む各拠点の利益配分の目標値に関する利益配分情報と、供給不足に対する複数の施策に関する施策情報と、を記憶する記憶部と、
製品の需要量に関する需要情報を受け付けると、前記生産能力情報を参照して供給不足か否かを判定する需給調整部と、
前記需給調整部により供給不足と判定された場合に、前記施策毎に予め定められた数式を用いて前記施策情報に含まれる前記施策が実施された場合の実施量を算出し、前記実施量から求められる前記拠点の利益配分と前記目標値とのギャップの小さい、前記施策の組み合わせの中から、所定の方法で施策候補の組合せを抽出する施策組合せ抽出部と、
を備えることを特徴とする需給調整装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態の例を説明する。
図1は、需給調整システム1の処理の概要を説明するための図である。本図において、実線の矢印は物流を示し、点線の矢印は情報流を示す。
【0014】
顧客は、製品の供給先であって、販社に対して製品を発注する。販社とは、卸売業者又は小売業者であって、顧客から製品の発注を受け付ける。製品が発注されると、販社は顧客や需要量を示す情報を需給調整センタへ送信する。工場は、製品の供給元であって、供給量を示す情報を需給調整センタへ送信する。また、工場は、供給先の顧客に対して製品を供給する。以降、工場、販社、又は顧客のいずれかを示すものとして、「拠点」の語を用いる。
【0015】
販社から送信される需要量に対して、供給元の供給量が満たない場合がある。その場合には、工場での稼働時間の延長等による生産能力の追加や、納期の変更、緊急輸送など、様々な施策を講じうる。施策を実施すれば、拠点においてコストが発生する。なお、コストには、実際に発生する費用のほか、施策の実施に対して発生する時間やエネルギー等の無形物を有形化した値が含まれる。
【0016】
需給調整センタに設置された需給調整装置には、各拠点に対するコストの配分比率である利益配分の目標値が設定されている。供給不足を検知すると、需給調整装置は、施策の実施により拠点に発生するコストを算出し、算出したコストにより特定される各拠点の利益配分と目標値とのギャップ(差異)の小さい施策候補の組合せを特定する。需給調整装置は、特定した施策候補の組合せを、施策の実施により発生するコストと併せて表示する。
【0017】
図2は、需給調整装置100の機能ブロック図の一例である。需給調整装置100は、PC、サーバーコンピュータ、又はスマートフォン等の情報処理装置である。需給調整装置100は、各拠点に対して需給の調整を行う需給量や需給時期の調整を行う需給調整センタに設置される。
【0018】
需給調整装置100は、制御部110と、記憶部120と、入力部130と、出力部140と、通信部150と、を備える。制御部110は、需給調整装置100を統括的に制御する。記憶部120は、制御部110が需給調整処理に用いる情報を記憶する。入力部130は、キーボードやタッチパネル等の後述する入力装置を介して、情報の入力を受け付ける。出力部140は、後述する出力装置を介して情報の出力を行う。通信部150は、後述する生産管理装置や販売計画装置等、ネットワークを介して接続される他の端末装置との間で情報の受信や送信を行う。
【0019】
制御部110は、施策組合せ抽出部111と、需給調整部112と、表示部113と、を備える。施策組合せ抽出部111は、供給不足が発生する場合に、不足する生産資源を特定する。生産資源とは、例えば生産能力や部品等である。生産能力の不足には、工場の生産能力の追加や、納期変更等の施策により対応可能であり、部品の不足には、部品の納入や納期変更等の施策により対応が可能である。以下、生産能力が不足する一例を用いて説明を行う。
【0020】
施策組合せ抽出部111は、施策の実施により生じる効果を定量化した実施量を、施策毎に予め定められた数式を用いて算出する。また、施策組合せ抽出部111は、実施量により特定される各拠点への利益配分と、前述の目標値とのギャップを目的関数とする数式を用いて、施策候補の組合せを抽出する。施策候補の抽出については、後に詳述する。また、施策組合せ抽出部111は、抽出した施策候補の組合せを実施した場合に発生する総コストである施策組合せコストを算出する。
【0021】
需給調整部112は、販社からの発注に関する需要情報と、供給元拠点である工場の生産能力に関する生産能力情報と、を用いて、供給元拠点に対して割り当てる製品の生産量を含む生産量情報を生成する。需給調整部112は、線形計画法などの一般的な方法を用いて、供給元拠点に対して生産量を割り当てる。
【0022】
また、需給調整部112は、生成した生産量情報と、生産能力情報と、を用いて、供給不足が発生するか否かを判定する。供給不足が発生する場合、需給調整部112は、後述する生産能力不足情報を生成する。表示部113は、施策候補の組合せを表示する組合せ一覧画面や、施策候補の組合せに含まれる各施策や該施策の施策実施コストを表示する組合せ詳細画面を、出力装置に表示させる。
【0023】
記憶部120は、需要情報121と、供給情報122と、利益配分情報123と、生産能力情報124と、施策情報125と、生産量情報126と、生産能力不足情報127と、対策案情報128と、を記憶している。記憶部120に記憶されている情報のうち、生産量情報126と、生産能力不足情報127と、対策案情報128とは、需給調整装置100における需給調整処理の結果、生成される情報である。
【0024】
図3は、需要情報121のデータ構造の一例を示す図である。需要情報121に含まれる各レコードは、例えば販社の有する販売計画装置から送信される。需要情報121は、発注される製品毎に生成される情報であって、要求日と、拠点名称と、販社名称と、要求量と、を含む。
【0025】
要求日は、供給を希望する日付を特定する情報である。拠点名称は、発注元である供給先拠点を特定する識別情報である。販社名称は、発注拠点である販社を特定する識別情報である。要求量は、受注した製品の量を示す情報である。要求量は需要量ともいえる。
【0026】
図4は、供給情報122のデータ構造の一例を示す図である。供給情報122は、例えば入力部130が入力を受け付けることにより生成される情報であって、供給元拠点名称と、供給先拠点名称と、通常輸送リードタイムと、緊急輸送リードタイムと、を含む。
【0027】
供給元拠点名称は、工場等の供給元拠点を特定する識別情報である。供給先拠点名称は、顧客等の供給先拠点を特定する識別情報である。通常輸送リードタイムは、供給元拠点から供給先拠点まで通常輸送を行う際に要する時間を示す情報である。緊急輸送リードタイムは、供給元拠点から供給先拠点まで、緊急輸送を行う際に要する時間を示す情報である。緊急輸送とは、通常輸送よりも短いリードタイムで行う輸送であって、通常輸送よりも多くのコストを要する。
【0028】
図5は、利益配分情報123のデータ構造の一例を示す図である。利益配分情報123は、供給元拠点及び発注拠点を含む各拠点の利益配分の目標値を含む情報であって、例えば入力部130が入力を受け付けることにより生成される。利益配分情報123は、供給元拠点により供給される製品毎に生成される情報であってもよいし、各製品に共通して生成される情報であってもよい。利益配分情報123は、拠点名称と、利益配分率と、を含む。拠点名称は、拠点を特定する識別情報である。利益配分率は、拠点の利益配分の目標値である。
【0029】
図6は、生産能力情報124のデータ構造の一例を示す図である。生産能力情報124は、供給元拠点の生産能力に関する情報であって、生産能力情報124に含まれる各レコードは、例えば供給元拠点の有する生産管理装置から送信される。生産能力情報124は、製品毎に生成される情報であって、生産日と、拠点名称と、生産能力と、を含む。
【0030】
生産日は、供給元拠点が生産を行う日付を示す情報である。拠点名称は、製品を生産する供給元拠点を特定する識別情報である。生産能力は、生産する製品の量の上限値を示す情報である。なお、上限値は、稼働時間の延長等の施策の実施により追加生産される製品の量を含まない。
【0031】
図7は、施策情報125のデータ構造の一例を示す図である。施策情報125は、供給不足の際に各拠点において実施しうる施策に関する情報である。施策情報125は、例えば入力部130が入力を受け付けることにより生成され、不足資源名称と、拠点名称と、施策名称と、単位コストと、を含む。
【0032】
不足資源名称は、不足する生産資源を特定する情報である。拠点名称は、拠点を特定する識別情報である。施策名称は、施策を特定する識別情報である。単位コストは、施策を実施する場合に発生する1単位当たりのコストである。
【0033】
図8は、生産量情報126のデータ構造の一例を示す図である。生産量情報126は、需要情報121と、生産能力情報124と、を用いて需給調整部112により生成される情報であって、供給元拠点に供給を要求する製品の量や供給希望日等を含む。生産量情報126は、製品毎に生成され、生産日と、拠点名称と、生産量と、を含む。
【0034】
生産日は、供給を希望する日付を示す情報である。拠点名称は、供給を希望する供給元拠点を特定する識別情報である。生産量は、供給を希望する製品の量を示す情報である。
【0035】
図9は、生産能力不足情報127のデータ構造の一例を示す図である。生産能力不足情報127は、後述の需給調整処理において製品毎に生成される情報であって、生産日と、生産能力不足量と、を含む。
【0036】
生産日は、供給不足の発生する日付を示す情報である。生産能力不足量は、供給不足の製品の量を示す情報である。換言すれば、生産能力不足量は、需要情報121により含まれる要求量から、生産能力情報124に含まれる生産能力の示す値を減じた値である。
【0037】
図10は、対策案情報128のデータ構造の一例を示す図である。対策案情報128は、生産能力不足情報127と同様に、後述の需給調整処理において製品毎に生成される情報である。対策案情報128は、対策番号と、施策名称と、拠点名称と、実施量と、対策コストと、を含む。
【0038】
対策番号は、施策候補の組合せを特定する識別情報である。施策名称は、組合せに含まれる施策候補を特定する識別情報である。拠点名称は、施策候補の施策の主体となる拠点を特定する識別情報である。実施量は、施策により拠点に生じる効果を定量化した値を示す情報である。対策コストは、施策により拠点に発生する施策実施コストを示す情報である。
【0039】
図11は、需給調整装置100のハードウェア構成例を示す図である。需給調整装置100は、CPU(Central Processing Unit)161と、RAM(Random Access Memory)162と、ROM(Read Only Memory)163と、補助記憶装置164と、出力装置165と、入力装置166と、メディア読取装置167と、通信装置168と、を含み、各構成要素はバスにより接続されている。
【0040】
CPU161は中央演算装置であって、RAM162やROM163、又は補助記憶装置164に記録されたプログラムに従って処理を実行する。制御部110を構成する各処理部は、CPU161がプログラムを実行することにより各々の機能を実現する。
【0041】
RAM162は主記憶装置であって、プログラムやデータが一時的に読み出される記憶エリアとして機能する。ROM163は情報を読み出し可能な不揮発性の記憶装置である。補助記憶装置164は、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、又はSSD(Solid State Drive)等の書き込み及び読み出し可能な記憶装置である。
【0042】
出力装置165は、需給調整装置100に格納されたデータの出力処理を行う装置であって、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置、又はプリンタ等である。入力装置166は、ユーザーからの入力操作を受け付ける装置であり、例えばタッチパネル、キーボード、マウス、マイク等である。なお、入力部130は入力装置166を用いることができ、出力部140は出力装置165を用いることができる。
【0043】
メディア読取装置167は、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)等の可搬性のメディアから情報を入出力する装置である。通信装置168は、需給調整装置100をネットワーク200に接続するための装置であって、例えばNIC(Network Interface Card)等の通信デバイスである。なお、ネットワーク200は、例えばインターネット等の情報通信網である。
【0044】
記憶部120は、RAM162、ROM163又は補助記憶装置164によりその機能が実現される。また、記憶部120は、ネットワーク200上の記憶装置によってその機能が実現されてもよい。
【0045】
また、需給調整装置100の各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。また、需給調整装置100の各構成要素の処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし、複数のプログラムで実現されてもよい。
【0046】
なお、本実施形態における需給調整システム1は、ネットワーク200を介して各々接続される需給調整装置100と、供給元拠点の有する生産管理装置300と、発注拠点の有する販売計画装置400と、により実現される。生産管理装置300のハードウェア構成、及び販売計画装置400のハードウェア構成は、需給調整装置100のハードウェア構成と同様であるため、説明を省略する。なお、販売計画装置400の有する通信装置は、需要情報121を需給調整装置100に送信する図示しない通信部150の機能を実現する。
【0047】
次に、需給調整装置100において行われる需給調整処理について説明する。
【0048】
図12は、需給調整処理の一例を示すフローチャートである。本処理は、例えば入力部130を介して開始指示の入力を受け付けた時に開始される。
【0049】
まず、施策組合せ抽出部111は、外部データを読込む(ステップS1)。具体的には、施策組合せ抽出部111は、販売計画装置400の有する図示しない通信部から需要情報121を受信し、記憶部120に格納させる。また、施策組合せ抽出部111は、生産能力情報124を生産管理装置300から取得し、記憶部120に格納させる。
【0050】
次に、需給調整部112は、不足資源を特定する(ステップS2)。具体的には、需給調整部112は、需要情報121に含まれる要求量を満たすよう、供給情報122を参照して供給元拠点を特定する。需給調整部112は、生産元拠点に対して供給を要求する製品を割り当てることにより、生産量情報126を生成する。需給調整部112は、生産量情報126に含まれる生産量と、生産能力情報124に含まれる生産能力とを比較し、生産量情報126に含まれる生産量の方が多い場合に、供給不足が発生すると特定する。以下の処理は、供給不足が生じる製品毎に行われる。
【0051】
需給調整部112は、生産量情報126に含まれる生産量から、生産能力情報124に含まれる生産能力を減じることにより、生産能力不足量を特定し、供給不足が生じる日付と関連付けて生産能力不足情報127を生成する。
【0052】
なお、需給調整部112が、供給不足が発生すると判定する場合、施策組合せ抽出部111は、不足する生産資源が生産能力であると判定する。施策組合せ抽出部111は、図示しない部品供給量を示す値が、部品需要量を示す値よりも小さい場合に、不足する生産資源が部品であると判定する。
【0053】
次に、施策組合せ抽出部111は、施策組合せを抽出する(ステップS3)。具体的には、施策組合せ抽出部111は、施策情報125を参照し、ステップS2で特定した不足する生産資源と関連付けられたレコードを抽出する。施策組合せ抽出部111は、施策毎に予め定められた数式を用いて、抽出したレコードにより各々特定される施策の実施量を算出する。
【0054】
例えば、施策名称が「稼働時間の延長」である場合、実施量としての稼働時間延長量は以下の式を用いて求められる。なお、「稼働時間の延長」の施策は、作業員の残業を伴う場合が通常であるため、稼働時間延長量は残業量ともいえる。
【0056】
式(1)において、p:製品の種類、t:日付、s:拠点、XW
ts,p:日付tの拠点sにおける製品pの生産量、SW
ts:日付tの拠点sにおける稼働時間延長量である。
【0057】
また例えば、施策名称が「納期変更」である場合、実施量としての納期変更量は、以下の式を用いて求められる。
【0059】
式(2)において、DM
ts,p:日付tの拠点sにおける製品pの要求量、BL
ts,p:日付tの拠点sにおける製品pの納期変更量、AX
ts,p:日付tに拠点sへ到着する製品pの到着量である。
【0060】
また例えば、施策名称が「緊急輸送」である場合、実施量としての到着量は、以下の式を用いて求められる。
【0062】
式(3)において、AX
tts,p:日付tに拠点sへ到着する製品pの到着量、ELT
fs,ts:拠点fsから拠点tsへの緊急輸送リードタイム、LT
fs,ts:拠点fsから拠点tsへの通常輸送リードタイム、ES
tfs,ts,p:日付tに拠点tsを出発し、拠点fsへ緊急輸送する製品pの緊急輸送量、NS
tfs,ts,p:日付tに拠点tsを出発し、拠点fsへ通常輸送する製品pの通常輸送量である。
【0063】
施策により各拠点に生じる利益(コスト)を配分した利益配分と、利益配分情報123の目標値である利益配分率とのギャップは以下の目的関数で求められる。以下の目的関数は、ギャップの最小化を最適解とする。
【0065】
式(4)において、DMAX:各拠点に生じる利益配分と利益配分情報123の利益配分率とのギャップの最大値、DJ
a1,a2:拠点a1と拠点a2の利益配分と利益配分情報123の利益配分率とのギャップ値、Obj
a:拠点aにおいて施策実施により生じる利益、α
a1,a2:拠点a1と拠点a2との利益配分情報123における利益配分率、β
a:拠点aにおける利益配分情報123の利益配分率、CSW
s:拠点sにおける生産能力追加の単位コスト、CES
s:供給先拠点sへの緊急輸送の単位コスト、CBL
s:拠点sにおける納期変更の単位コスト、である。
【0066】
施策組合せ抽出部111は、上述の目的関数を示す連立方程式を解くことにより、施策候補の組合せを予め定められた所定数抽出する。例えば、施策組合せ抽出部111は、ギャップが正の値であった施策候補の組合せの中から、ギャップの小さい順に、施策候補の組合せを所定の数だけ抽出する。なお、施策組合せ抽出部111は、予め定められた閾値の範囲内にギャップが存在する施策候補の組合せのすべてを抽出するものであってもよい。
【0067】
施策候補の組合せを抽出すると、施策組合せ抽出部111は、抽出した施策候補毎に上述の式(1)〜式(3)のいずれかを用いて実施量を算出する。また、施策組合せ抽出部111は、施策候補毎に上述の式(9)を用いて施策実施コストを算出する。施策組合せ抽出部111は、抽出した施策候補の組合せ毎に、該組合せに含まれる施策候補と、施策実施コストと、を関連付けて、対策案情報128を生成し、記憶部120に記憶させる。
【0068】
なお、本実施形態では、施策の例として、「稼働時間の延長」「納期変更」及び「緊急輸送」を用いて説明しているが、施策はこれに限定されない。施策実施コストの算出できる施策であればよい。
【0069】
また、本実施形態では、施策組合せ抽出部111は、供給不足が生じる製品の需要情報121に含まれる各拠点を、施策候補の抽出対象としている。しかしながら、施策候補の抽出対象となる拠点の選択を受け付けるものであってもよい。
【0070】
図13は、利益配分入力画面510の一例を示す図である。利益配分入力画面510は、配分指定を行うか否かの指定を受け付けるチェックボックスと、拠点の名称である法人名と、配分率と、を表示する。表示部113は、利益配分情報123を用いて、利益配分入力画面510に法人名と配分率とを表示させる。
【0071】
ステップS3の処理開始前に、本画面により施策候補の組合せの抽出に用いる拠点の選択を受け付け、選択されていない拠点を施策候補の対象外とする。これにより、意図した拠点を施策実施の対象外とするなど、利用者の意向を反映させた施策の実施を支援することができる。
【0072】
また、ステップS3では、施策情報125に含まれる施策毎に実施量を算出することにより、ギャップを算出し、施策候補の組合せの抽出に用いている。しかしながら、実施量の算出に用いる施策の入力を受け付けるものであってもよい。
【0073】
図14は、施策情報入力画面520の一例を示す図である。表示部113は、拠点名と、施策名称とを選択可能に表示する施策情報入力画面520の画面情報を生成する。選択された拠点名と施策名称との組合せが施策情報125に含まれている場合、表示部113は施策情報125において該組合せと関連付けられた単位コストを、施策情報入力画面520に表示させる。
【0074】
なお、施策情報入力画面520は、施策情報125に含まれる各レコードにより特定される施策を選択可能に表示するものであってもよい。施策組合せ抽出部111は、施策情報入力画面520により生成又は選択された各施策毎に、実施量を算出することにより、施策候補の組合せを抽出する。
【0075】
説明を
図12に戻す。次に、施策組合せ抽出部111は、結果を出力する(ステップS4)。その後、制御部110は本フローチャートの処理を終了する。
【0076】
図15は、組合せ一覧画面530の一例を示す図である。組合せ一覧画面530は、ステップS3で抽出した施策候補の組合せを表示する画面である。組合せ一覧画面530は、対策番号と、対策コストと、施策と、を含む。対策番号は、ステップS3で抽出した施策候補の組合せを特定する識別情報である。対策コストは、施策候補の組合せにより発生する施策組合せコストである。施策組合せ抽出部111は、抽出した組合せに含まれる施策候補の施策実施コストを合算して、施策組合せコストを算出する。対策は、施策候補の組合せを構成する施策候補である。
【0077】
本画面により、各組合せを構成する施策の内容を、生じる施策実施コストと共に一覧で把握できるため、施策を決定する者の利便性が向上する。
【0078】
組合せ一覧画面530に含まれる、対策番号、対策コスト、及び施策の組合せは、選択可能である。組合せが選択された場合、表示部113は組合せ詳細画面540を表示する。
【0079】
図16は、組合せ詳細画面540の一例を示す図である。組合せ詳細画面540は、組合せ一覧画面530で選択された組合せに含まれる施策候補に関する情報を表示する画面である。組合せ詳細画面540は、施策名称と、拠点名称と、対策量と、対策コストと、を含む。
【0080】
施策名称は、施策候補を特定する識別情報である。拠点名称は、施策の対象となる拠点を特定する識別情報である。対策量は、施策を実施した場合の実施量であって、対策案情報128に含まれる対策量と対応する。対策コストは、施策実施コストであって、対策案情報128の対策コストと対応している。
【0081】
本実施形態では、供給不足の際に、利益配分率に応じた施策候補の組合せの抽出を行うため、施策の対象となる各拠点に対するコスト配分を勘案した施策を実施することができる。また、抽出した施策候補の組合せをコストと共に一覧で表示するため、コストに応じた適切な施策候補の組合せを選択可能である。これにより、各拠点において適切な利益配分を行う施策の決定を支援することができる。
【0083】
上述の実施形態では、目的関数を示す連立方程式を解くことにより、各拠点の利益配分と利益配分情報123の利益配分率とのギャップに基づいて施策候補の組合せを抽出した。本変形例では、当該ギャップと、施策毎に算出される施策実施コストと、に基づいて、施策候補の組合せを抽出する。以下、上述の実施形態と異なる点を説明する。
【0084】
本変形例では、ギャップと、施策実施コストの合算によって得られる施策組合せコストと、を用いて、施策候補の組合せを抽出する。施策組合せ抽出部111は、上述の目的関数の評価値の高い施策候補の組合せの中から、施策実施コストを用いて施策候補の組合せを抽出する。例えば、施策組合せ抽出部111は、予め定められた閾値を下回るギャップが算出された施策の組合せを抽出し、該組合せ毎に施策組合せコストを算出する。施策組合せ抽出部111は、施策組合せコストの低い所定数の施策候補の組合せを抽出する。
【0085】
なお、施策候補の組合せの抽出方法はこれに限定されず、ギャップと、施策組合せコストと、の2点において好適な組合せが抽出される方法であればよい。これにより、各拠点の利益配分が利益配分率に対して好適であるだけでなく、施策の実施により生じるコストのより小さい施策候補の組合せの決定を支援することができる。
【0087】
本変形例では、ギャップの他、施策毎に予め定められた指標を用いて、施策候補の組合せを抽出する。指標は、数値化された情報であって、例えば施策の実施容易性を示す値である。本実施形態における施策情報(図示せず)は、各レコードに当該指標を含む。
【0088】
施策組合せ抽出部111は、上述の目的関数の評価値の高い施策の組合せの中から、指標を用いて施策候補の組合せを抽出する。例えば、施策組合せ抽出部111は、予め定められた閾値を下回るギャップが算出された施策の組合せを抽出し、該組合せに含まれる各々の施策の指数を合算して施策組合せ指数を算出する。施策組合せ抽出部111は、施策組合せ指数が好適な所定数の施策候補の組合せを抽出する。
【0089】
なお、第1の変形例と同様に、施策候補の組合せの抽出方法はこれに限定されず、ギャップと、各施策の有する指標と、の2点において好適な組合せが抽出される方法であればよい。また、ギャップと、指標と、施策組合せコストの3点において好適な組合せを抽出してもよい。
【0090】
これにより、各拠点の利益配分が利益配分率に対して好適であるだけでなく、施策の実施容易性等、施策の実施により生じる他の影響を鑑みた施策候補の組合せを抽出することができる。
【0091】
以上、本発明に係る各実施形態及び変形例の説明を行ってきたが、本発明は、上記した実施形態の一例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態の一例は、本発明を分かり易くするために詳細に説明したものであり、本発明は、ここで説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ある実施形態の一例の構成の一部を他の一例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施形態の一例の構成に他の一例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の一例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることもできる。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、図中の制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、全てを示しているとは限らない。ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0092】
また、上記の需給調整装置100、生産管理装置300、及び販売計画装置400の機能構成は、理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。上述に示す通り、需給調整装置100、生産管理装置300、及び販売計画装置400の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。