特許第6594831号(P6594831)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594831
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/02 20060101AFI20191010BHJP
   F25D 23/06 20060101ALI20191010BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   F25D11/02 L
   F25D23/06 P
   F25D23/00 305G
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-141976(P2016-141976)
(22)【出願日】2016年7月20日
(65)【公開番号】特開2018-13268(P2018-13268A)
(43)【公開日】2018年1月25日
【審査請求日】2018年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】藤木 義明
(72)【発明者】
【氏名】門傳 陽平
(72)【発明者】
【氏名】小川 真申
【審査官】 笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−308294(JP,A)
【文献】 特開平04−136673(JP,A)
【文献】 実開昭61−124881(JP,U)
【文献】 特開2007−271152(JP,A)
【文献】 特開2012−037074(JP,A)
【文献】 特開2014−163621(JP,A)
【文献】 特公平07−104097(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00 〜 16/00
F25D 23/00
F25D 23/06
F25D 27/00 〜 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵室及び冷凍室を形成する断熱箱体と、冷気を生成する冷凍サイクルと、前記冷凍サイクルからの冷気を送風ファンによって前記冷蔵室及び前記冷凍室に供給する冷気供給路と、前記冷蔵室と前記冷凍室を区画する断熱仕切壁とを備えた冷蔵庫において、
前記冷凍室は、
左上部冷凍室と、
該左上部冷凍室の側方に設けられた右上部冷凍室と、
前記左上部冷凍室と前記右上部冷凍室を仕切る縦仕切部と、
該縦仕切部の下方に設けられた下部冷凍室と、
を備え、
前記縦仕切部内にサーミスタが配置されており、
前記サーミスタの信号線は、前記縦仕切部内の突出部に巻き付けられていることを特徴とする冷蔵庫
【請求項2】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
複数の前記突出部に前記サーミスタの信号線が巻き付けられる、または、前記突出部に前記サーミスタの信号線が複数回巻き付けられることを特徴とする冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品や飲料水等を冷蔵或いは冷凍して貯留する冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近では核家族化や共働き夫婦の増加等の家庭環境の変化により、冷凍室での冷凍保存法が多様化する傾向にある。家庭での冷凍室の使い方には、冷凍温度帯で販売されていた食品を購入して貯蔵するこれまでの使い方の他に、買い溜めした食品、例えば肉類の急速冷凍保存、或いは調理した料理の急速冷凍保存といった急速冷凍モードを主体とする使い方が提案されている。
【0003】
このような冷凍室の使い方として、例えば、特許文献1においては、調理した温度の高い食品が、冷凍室に収納されたのを温度検知手段で検出すると、圧縮機を駆動して急速に冷却し、食品が所定温度まで冷却されたのを温度検知手段で検出すると、圧縮機による急速冷凍運転を停止する冷凍方法が示されている。
【0004】
ここで、特許文献1の段落0031には「赤外線センサ126は、冷凍室103の天井面の上部断熱仕切板104に埋設され、食品125や蓄冷材124などから放射される赤外線の放射量により、被測定物の温度を測定するものである。」との記載があり、温度検知手段が赤外線センサであると説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−25532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の冷蔵庫は、下部冷凍室の上側に隣設される上部冷凍室に、温度の高い食品を収納して急速冷凍するものである。ここで、上部冷凍室の冷却能力を高めると、その上方に位置する冷蔵室が冷え過ぎる可能性があるので、上部冷凍室と冷蔵室との間に、断熱性能を強化した断熱仕切壁が必要となる。しかし上記特許文献1では、この断熱仕切壁に温度検知手段を設けているので、その部分の断熱性能が低下してしまう。
【0007】
また、上記特許文献1では温度検知手段として赤外線センサを用いることを前提とした構成が開示されているが、赤外線センサに代えサーミスタを用いた場合に適した構成は開示されていない。
【0008】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷蔵室と冷凍室の間の断熱仕切壁の断熱性能の低下を抑制しつつ、食品が収納されたことを検出する温度検知手段の信号線やコネクタが切断され難い冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の冷蔵庫は、冷蔵室及び冷凍室を形成する断熱箱体と、冷気を生成する冷凍サイクルと、前記冷凍サイクルからの冷気を送風ファンによって前記冷蔵室及び前記冷凍室に供給する冷気供給路と、前記冷蔵室と前記冷凍室を区画する断熱仕切壁とを備え、前記冷凍室は、左上部冷凍室と、該左上部冷凍室の側方に設けられた右上部冷凍室と、前記左上部冷凍室と前記右上部冷凍室を仕切る縦仕切部と、該縦仕切部の下方に設けられた下部冷凍室と、を備え、前記縦仕切部内にサーミスタが配置されており、前記サーミスタの信号線は、前記縦仕切部内の突出部に巻き付けた。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上部冷凍室と冷蔵室又は野菜室との間の断熱性能の低下を抑制しつつ、食品が収納されたことを検出する温度検知手段の信号線やコネクタが切断され難い冷蔵庫を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明が適用される冷蔵庫の正面外観図である。
図2図1に示す冷蔵庫の縦断面を示す縦断面図である。
図3図1に示す冷蔵庫の庫内の背面内部の構成を示す正面図である。
図4】一実施例の冷凍室の要部拡大断面図である。
図5】一実施例の冷凍室に取り付けた縦仕切部の拡大図である。
図6】一実施例の縦仕切部の斜視図である。
図7】一実施例の縦仕切部の底面部材の上面図、側面図、下面図である。
図8】一実施例の縦仕切部の底面部材の上面斜視図、下面斜視図である。
図9】食品の収納の有無を判断して急速冷却運転を行うタイムチャートである。
図10図9に示すタイムチャートを実行するフローチャートである。
図11】他のフローに基づく急速冷却運転を行うタイムチャートである。
図12図11に示すタイムチャートを実行するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
【0013】
本発明の具体的な実施例を説明する前に、本発明が適用される冷蔵庫の構成を図1乃至図3に基づいて説明する。図1は冷蔵庫の正面外観図であり、図2図1の縦断面を示す断面図であり、図3図1に示す冷蔵庫の庫内の背面内部の構成を示す正面図である。尚、図2においては製氷室の断面は示されていない。
【0014】
図1、及び図2において、冷蔵庫1は、上方から冷蔵室2、製氷室(冷凍室の一部である)3及び上部冷凍室4、下部冷凍室5、野菜室6を有する。ここで、製氷室3と上部冷凍室4は、冷蔵室2と下部冷凍室5との間に左右に並べて設けている。一例として、冷蔵室2はおよそ+3℃、野菜室6はおよそ+3℃〜+7℃の冷蔵温度帯の貯蔵室である。また、製氷室3、上部冷凍室4及び下部冷凍室5は、およそ−18℃の冷凍温度帯の貯蔵室である。尚、製氷室3と上部冷凍室4と間には縦方向に配置された、後述する縦仕切部53が設けられており、この縦仕切部53を境に製氷室3と上部冷凍室4とが左右方向に並設されている。また、上部冷凍室4は、その下方に隣設される下部冷凍室5より幅寸法が小さく、下部冷凍室5より容積が小さく、少量の食品が冷凍、貯蔵されるものである。
【0015】
冷蔵室2は前方側に、左右に分割された観音開き(いわゆるフレンチ型)の冷蔵室扉2a、2bを備えている。製氷室3、上部冷凍室4、下部冷凍室5、野菜室6は夫々引き出し式の製氷室扉3a、上部冷凍室扉4a、下部冷凍室扉5a、野菜室扉6aを備えている。
【0016】
また、各扉の貯蔵室側の面には、各扉の外縁に沿うように磁石が内蔵されたパッキン(図示せず)を設けており、各扉の閉鎖時、鉄板で形成された冷蔵庫外箱のフランジや各仕切り鉄板に密着し貯蔵室内への外気の侵入、及び貯蔵室からの冷気の漏れを抑制する構成とされている。
【0017】
ここで、図2に示すように冷蔵庫本体10の下部には機械室11が形成され、この中に圧縮機12が内蔵されている。この圧縮機12は、後述する冷却器19とともに冷蔵庫1の冷凍サイクルを構成する。また、冷却器収納室13と機械室11には水抜き通路14によって連通され、凝縮水が排出できるようになっている。
【0018】
図2に示すように、冷蔵庫本体10の庫外と庫内は、内箱と外箱との間に発泡断熱材(発泡ポリウレタン)を充填することにより形成される断熱箱体15により隔てられている。また冷蔵庫本体10の断熱箱体15は複数の真空断熱材16を実装している。冷蔵庫本体10は、上側断熱仕切壁17aにより冷蔵室2と上部冷凍室4及び製氷室3(図1参照、図2中で製氷室3は図示されていない)とが区画され、下側断熱仕切壁17bにより下部冷凍室5と野菜室6とが区画されている。
【0019】
また、下部冷凍室5の上部には横仕切部18を設けている。横仕切部18は、製氷室3及び上部冷凍室4と下部冷凍室5とを上下方向に仕切っている。ただ、製氷室3、上部冷凍室4及び下部冷凍室5は流体的につながれているので、同じ冷気が供給されている。また、横仕切部18の上部には、製氷室3と上部冷凍室4との間を左右方向に仕切る縦仕切部53を設けている。
【0020】
横仕切部18は、下側断熱仕切壁17bの前面及び左右側壁前面と共に、下部冷凍室扉5aの貯蔵室側の面に設けたパッキン(図示せず)と接触する。製氷室扉3aと上部冷凍室扉4aの貯蔵室側の面に設けたパッキン(図示せず)は、横仕切部18、縦仕切部53(図4)、上側断熱仕切壁17a及び冷蔵庫本体10の左右側壁前面と接することで、各貯蔵室と各扉との間での冷気の移動をそれぞれ抑制している。なお、製氷室3、上部冷凍室4及び下部冷凍室5は、同じ冷凍温度帯で保たれているので、横仕切部18及び縦仕切部53の断熱性能は、上側断熱仕切壁17aや下側断熱仕切壁17bほどは要求されない。
【0021】
図2に示すように、上部冷凍室4、下部冷凍室5及び野菜室6は、それぞれの貯蔵室の前方に備えられた扉4a、5a、6aが取り付けられている。また、上部冷凍室4には上部冷凍貯蔵容器41が配置され、下部冷凍室5には複数段の冷凍貯蔵容器、すなわち最上段冷凍貯蔵容器63、上段冷凍貯蔵容器61及び下段冷凍貯蔵容器62が配置されている。更に、野菜室6には上段野菜貯蔵容器71、下段野菜貯蔵容器72が配置されている。
【0022】
そして、製氷室扉3a、上部冷凍室扉4a、下部冷凍室扉5a及び野菜室扉6aは、それぞれ図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより、製氷貯蔵容器3b(図示せず)、上部冷凍貯蔵容器41、下段冷凍貯蔵容器62、上段野菜貯蔵容器71、下段野菜貯蔵容器72が引き出せるようになっている。
【0023】
詳しくは、下段冷凍貯蔵容器62は冷凍室扉内箱に取り付けられた支持アーム5dに下段冷凍貯蔵容器62の側面上部のフランジ部が懸架されており、上段冷凍貯蔵容器61は下段冷凍貯蔵容器62の側面上部フランジ部の上に載置されており、冷凍室扉5aを引き出すと同時に下段冷凍貯蔵容器62及び上段冷凍貯蔵容器61が引き出される。最上段冷凍貯蔵容器63は、下部冷凍室5の側面壁に形成された凹凸部(図示しない)に載置されており前後方向にスライド可能になっている。
【0024】
下段野菜貯蔵容器72も同様にフランジ部が野菜室扉6aの内箱に取り付けられた支持アーム6dに懸架され、上段野菜貯蔵容器71は下段野菜貯蔵容器72のフランジ部の上に載置されている。また、この野菜室6には断熱箱体15に固定された電熱ヒーター6Cが設けられており、この電熱ヒーター6Cによって野菜室6の温度が冷やし過ぎにならないように、野菜の貯蔵に適した温度になるようにしている。尚、この電熱ヒーター6Cは必要に応じて設けられれば良いものであるが、本実施例では野菜の貯蔵がより上手く行えるように電熱ヒーター6Cを設けるようにしている。
【0025】
次に冷蔵庫の冷却方法について説明する。冷蔵庫本体10には冷却器収納室13が形成され、この中に冷却手段として冷却器19を備えている。冷却器19(一例として、フィンチューブ熱交換器)は、下部冷凍室5の背部に備えられた冷却器収納室13内に設けられている。また、冷却器収納室13内であって冷却器19の上方には送風手段として送風ファン20(一例として、プロペラファン)が設けられている。
【0026】
冷却器19で熱交換して冷やされた空気(以下、冷却器19で熱交換した低温の空気を「冷気」と称する)は、送風ファン20によって冷蔵室送風ダクト21、冷凍室送風ダクト22、及び図示しない製氷室送風ダクトを介して、冷蔵室2、製氷室3、上部冷凍室4、下部冷凍室5、野菜室6の各貯蔵室へそれぞれ送られる。
【0027】
各貯蔵室への送風は、冷蔵温度帯の冷蔵室2への送風量を制御する第一の送風制御手段(以下、冷蔵室ダンパ23という)と、冷凍温度帯の冷凍室4、5への送風量を制御する第二の送風量制御手段(以下、冷凍室ダンパ24という)とにより制御される。ちなみに、冷蔵室2、製氷室3、上部冷凍室4、下部冷凍室5、及び野菜室6への各送風ダクトは、図3に破線で示すように冷蔵庫本体10の各貯蔵室の背面側に設けられている。具体的には、冷蔵室ダンパ23が開状態、冷凍室ダンパ24が閉状態のときには、冷気は、冷蔵室送風ダクト21を経て多段に設けられた吹き出し口25から冷蔵室2に送られる。
【0028】
また、冷蔵室2を冷却した冷気は、冷蔵室2の下部に設けられた冷蔵室戻り口26から冷蔵室−野菜室連通ダクト27を経て、下側断熱仕切壁17bの下部右奥側に設けた野菜室吹き出し口28から野菜室6へ送風される。野菜室6からの戻り冷気は、下側断熱仕切壁17bの下部前方に設けられた野菜室戻りダクト入口29から野菜室戻りダクト30を経て、野菜室戻りダクト出口から冷却器収納室13の下部に戻る。尚、別の構成として冷蔵室−野菜室連通ダクト27を野菜室6へ連通せずに、図3において冷却器収納室13の上面から見て、右側下部に戻す構成としてもよい。この場合の一例として、冷蔵室−野菜室連通ダクト27の前方投影位置に野菜室送風ダクトを配置して、冷却器19で熱交換した冷気を、野菜室吹き出し口28から野菜室6へ直接送風するようになる。
【0029】
図2図3に示すように、冷却器収納室13の前方には、各貯蔵室と冷却器収納室13との間を仕切る仕切部材31が設けられている。仕切部材31には、図3にあるように上下に一対の吹き出し口32a、32b、33a、33bが形成されており、冷凍室ダンパ24が開状態のとき、冷却器19で熱交換された冷気が送風ファン20により図示を省略した製氷室送風ダクトや上段冷凍室送風ダクト34を経て吹き出し口32a、32bからそれぞれ製氷室3、上部冷凍室4へ送風される。また、下段冷凍室送風ダクト35を経て吹き出し口、33a、33bから下部冷凍室5へ送風される。尚、下部冷凍室5には必要に応じて吹き出し口を増設しても良いものである。
【0030】
また、冷蔵庫本体10の天井壁上面側にCPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御装置が設けられており、外気温度センサ(図示せず)、冷却器温度センサ(図示せず)、冷蔵室温度センサ(図示せず)、野菜室温度センサ(図示せず)、後述する冷凍室温度センサ(第1の温度検知手段50、第2の温度検知手段52)、扉2a、2b、3a、4a、5a、6aの各扉の開閉状態をそれぞれ検知する扉センサ(図示せず)、冷蔵室2内壁に設けられた図示しない温度設定器等と接続し、ROMに予め搭載されたプログラムにより、圧縮機12のON、OFF等の制御、冷蔵室ダンパ23及び冷凍室ダンパ24を個別に駆動するそれぞれのアクチュエータの制御、送風ファン20のON/OFF制御や回転速度制御、扉開放状態を報知するアラームのON/OFF等の制御を行うようになっている。
【0031】
図1に戻って、冷蔵室扉2aには入力制御部40が設けられており、この入力制御部40は上述した制御装置に接続されている。したがって、入力制御部40からの入力によって冷蔵庫1の各貯蔵室の温度を設定できるようになっている。例えば圧縮機12の回転数、送風ファン20の回転数、冷蔵室ダンパ23及び冷凍室ダンパ24の開閉や開閉量等を制御することで各貯蔵室の温度を制御するものである。
【0032】
以上のような構成の冷蔵庫において、食品の収納の有無を正確に検出できる適切な位置に温度検知手段を配置して食品の収納状態を検出することが要請されている。次に本発明の実施形態について図4乃至図12を用いて説明する。
【0033】
図4は冷凍室の要部拡大断面図を示している。図4において、製氷室3(左上部冷凍室)と上部冷凍室4(右上部冷凍室)を仕切る縦仕切部(真空断熱材を備えていない仕切構成材である)53の奥行側端面にはサーミスタを用いた第1の温度検知手段50が取り付けられている。また、下部冷凍室5の上側付近の背面壁51には、これもサーミスタを用いた第2の温度検知手段52が配置されている。
【0034】
本実施例では、第1の温度検知手段50は冷凍室内の食品温度に左右される空間の温度を測定し、第2の温度検知手段52は食品温度に左右されない空間の温度を測定するものである。したがって、この2個の温度検知手段の出力信号の変動状態から、上部冷凍室4や下部冷凍室5に冷凍室温度より高い温度の食品が収納されたかどうかを判断するものである。第1の温度検知手段50にサーミスタを採用することで、視野範囲内しか検知できない赤外線センサを採用した場合に比べ広範囲の食品温度を検知することができ、冷凍室への食品の収納をより素早く、正確に検出することができる。なお、第2の温度検知手段52は、既に従来から設けられている温度検知手段であるので、詳細な構成についての説明は省略する。
【0035】
さて、本実施例の特徴となっている第1の温度検知手段50は、図4に示している通り、横仕切部18に直交するように設けた縦仕切部53の奥行方向下部、すなわち、冷気を吹き出す吹き出し口32a、33aの近傍に設けられている。これらの構成の詳細を図5を用いて説明する。
【0036】
図5は、冷蔵庫1に取り付けられた縦仕切部53近傍の拡大図である。ここに示すように、縦仕切部53は、垂直部材53aと底面部材53bを一体化した組立体に第1の温度検知手段50を内蔵したものであり、上側断熱仕切壁17aに固定されるものである。
【0037】
第1の温度検知手段50は、サーミスタ50a、コネクタ50c、および、両者を繋ぐ信号線50bからなり、信号線50bは、縦仕切部53の内部を通って外部まで伸びている。また、第1の温度検知手段50のコネクタ50cは、制御装置コネクタ50dを介して制御装置に接続されるため、制御装置はサーミスタ50aからの信号に基づき、圧縮機12、送風ファン20、冷凍室ダンパ24などを制御することができる。
【0038】
図6は、上側断熱仕切壁17aから分離した状態の縦仕切部53を示す斜視図である。ここに示すように、垂直部材53aの上面には、断面L字状の取付部53a1を対向配置した対を複数設けている。各々の取付部53a1は、奥側に壁が設けられている一方、手前側は開放されている。上側断熱仕切壁17aには、取付部53a1の対と符合する位置に断面T字状のガイド部17a1を設けている。このような構成により、コネクタ50cと制御装置コネクタ50dを接続した後、取付部53a1の対の間に断面T字状のガイド部17a1を嵌め、ガイド部17a1が取付部53a1の奥壁に接触するまで縦仕切部53を手前方向にスライドさせることで、縦仕切部53を所定位置に取り付けることができる。
【0039】
また、垂直部材53aの手前側には、断面略円弧状の切欠部53a2が形成されている。これにより、縦仕切部53をスライドさせて所定位置に取り付けても、信号線50bは切欠部53a2に収納されるので、信号線50bが縦仕切部53に押しつぶされるのを防ぐことができる。
【0040】
さらに、図5および図6のように、垂直部材53aの手前側には、信号線50bだけでなくコネクタ50cも収納する収納部が形成されている。このため、コネクタ50cの箇所を縦仕切部53の正面側から容易にメンテナンスできる。
【0041】
次に、図7を用いて、第1の温度検知手段50を取り付けた底面部材53bの詳細を説明する。図7(a)(b)(c)はそれぞれ、底面部材53bの上面図、側面図、下面図であり、701はねじボス、702は水抜き穴、702aはリブ、703は格子である。
【0042】
図7(a)に示すように、サーミスタ50aは底面部材53b(ケース)の上面奥側に設置されている。サーミスタ50aとコネクタ50cを繋ぐ信号線50bは、ねじボス701に巻き付けられており、製造時などに信号線50bが引っ張られることがあっても、その力はねじボス701で負担されるため、サーミスタ50aと信号線50bの接続部での断線などの不良の発生を防止できる。また、底面部材53bには上下に貫通する水抜き穴702が設けられており、縦仕切部53内の水蒸気や垂直部材53aから落下した水を下方に逃がすことで、縦仕切部53内に氷や水が溜まるのを防止する。
【0043】
ここで、信号線50bは、複数のねじボス701に巻き付けることにより、断線などの不良が更に確実に防止できる。なお、信号線50bを巻き付ける対象は、ねじボス701に限らず、縦仕切部53内の他の突出部であっても良い。また、複数の突出部に信号線50bを巻き付ける代わりに、1つの突出部に信号線50bを複数回巻き付けても構わない。
【0044】
また、図7(b)(c)に示すように、底面部材53bの上面に設けたねじボス701は、上方に大きく突出しており、内部に挿入したねじで垂直部材53aと底面部材53bを一体化して組立体を構成する。また、底面部材53bの下面には水抜き穴702を囲みつつ下方へ突出するリブ702aが設けられている。
【0045】
ここで、電気用品安全法は、安全性を高めるため、信号線50bなどの充電部と冷蔵庫1の使用者が触れうる部分との間に所定の絶縁距離を設けることを求めている。本実施例の縦仕切部53では、水抜き穴702の周囲に所定の高さのリブ702aを設けることで、信号線50bとリブ702aの下端を離した構成としており、充電部である信号線50bと使用者が触れうるリブ702a下端の沿面距離を、電気用品安全法が定める絶縁距離以上に大きくした。なお、底面部材53bの厚さとリブ702aの厚さとの合計は、1mm以上としている。
【0046】
さらに、図7(a)(b)(c)に示すように、底面部材53bのうち、少なくともサーミスタ50aの鉛直投影下には、格子703が形成されており、また、図8(b)に示すように、格子703は、底面部材53bの下面よりも凹んだ位置に設けられているため、格子703の上面に設けたサーミスタ50aは、底面部材53bの下面より大きく上方に凹んだ位置に設けられていることになる。
【0047】
一般的に、サーミスタには直接吹き付けられた冷気の影響を大きく受けるという特性があり、吹き出し口近傍にサーミスタを露出配置すると、冷気の影響により冷凍庫内を正確に測定できないという問題が発生する。これに対し、本実施例では、サーミスタ50aを、縦仕切部53の内部であり、底面部材53bの下面よりも上方の凹んだ領域に設けたているので、サーミスタ50aには冷気が直接吹き付けられることはなく、冷凍庫内の温度を正確に測定することができる。
【0048】
また、サーミスタ50aは、格子703を介して冷凍室の温度を測定している。サーミスタ50aが格子703を介して冷凍室の温度を測定する構成としたのは、リブ72aを設けた理由と同じく、電気用品安全法の要請に応え、サーミスタ50aと使用者が触れうる部分との間に十分な沿面距離を確保するためである。
【0049】
次に、図4に戻り、縦仕切部53近傍の構成をさらに説明する。下部冷凍室5には、下方から下段冷凍貯蔵容器62、上段冷凍貯蔵容器61、最上段冷凍貯蔵容器63が配置されている。このような構成において、下部冷凍室5の最上段冷凍貯蔵容器63に生肉や調理済みの食品が収納されたとする。
【0050】
この時、第1の温度検知手段50は、下部冷凍室5の最上段冷凍貯蔵容器63の鉛直投影内であって、最上段冷凍貯蔵容器63の上端部より高く、上側断熱仕切壁17aの下端部や上部冷凍室4の上部冷凍貯蔵容器41の上端部よりも低い位置にある。このように、第1の温度検知手段50は、最上段冷凍貯蔵容器63の上方に近接して配置されているので、最上段冷凍貯蔵容器63に収納された食品の温度の影響を受け易くなっている。つまり、第1の温度検知手段50は最上段冷凍貯蔵容器63に収納された食品温度に左右される空間の温度を測定しているものである。
【0051】
一方、第2の温度検知手段52は、下部冷凍室5の最上段冷凍貯蔵容器63の鉛直投影外、具体的には下部冷凍室5の背面側にあって、最上段冷凍貯蔵容器63から離れて配置されているので、最上段冷凍貯蔵容器63に収納された食品温度に限らず、扉開閉による外気の流入や上段冷凍貯蔵容器63以外に収納された食品温度の影響を同様に受ける。つまり、第2の温度検知手段52は最上段冷凍貯蔵容器63に収納された食品温度だけでなく、冷凍室全体の空間の温度を測定するものである。したがって、第1の温度検知手段50の出力と第2の温度検知手段52の時系列的な出力信号の変動状態を比較することで、最上段冷凍貯蔵容器63に食品が収納されたかどうかが判断できるようになる。
【0052】
また、本実施例では、上側断熱仕切壁17aに第1の温度検知手段50を設けないので、上側断熱仕切壁17aに真空断熱材を広く貼り付けられ、上側断熱仕切壁17aからの冷熱の漏洩を抑制することができる。すなわち、冷凍室と冷蔵室との間の熱の移動が抑制されるので、冷凍室を冷やすための電力消費を抑制でき、また冷蔵室の冷やし過ぎも抑制できる。
【0053】
また、本実施例においては、縦仕切部53に、第1の温度検知手段50を事前に組み込んでいるので、冷蔵庫への組み付けが容易となり、作業効率を向上することができる。
【0054】
次に、食品の収納の有無を判別する判別方法について説明する。図9は判別を実行した時の各温度検知手段の挙動と圧縮機の動作状態を示し、図10はその制御フローを示している。
【0055】
図9において、或る時刻で対象となる下部冷凍室5の扉が時刻t0で開かれて、生肉等の食品が最上段貯蔵容器63に収納され、時刻t1で閉じられたとする。この状態で圧縮機は、通常冷却モードとして低回転で運転され、同様に送風ファンも低回転で運転されている。
【0056】
食品が収納された場合は、この食品付近の冷気の温度は、食品の温度の影響を受けて低下し難いので、第1の温度検知手段50の検出温度は上昇し、扉を閉じた後も高温状態がしばらく継続する。
【0057】
一方で、扉の開閉はあっても食品が投入されていない時は、第1の温度検知手段50の検出温度の温度上昇は一時的であり、扉を閉じた後には温度が低下しやすい。したがって、第1の温度検知手段50の検知温度が、食品検知閾値以上の状態を一定時間T1以上継続した場合に、食品が収納されたと判断できる。
【0058】
上述した第1の温度検知手段50の検出温度による食品検知判定は、下部冷凍室扉5aを開けた時刻t0の第1の温度検知手段50の検知温度が、食品検知閾値未満の場合にのみ実施する。また、上述した食品検知判定は、下部冷凍室扉5aを閉じた時刻t1より一定時間を検知監視基準時間T0として設け、検知監視基準時間T0内にのみ実施する。これは、上部冷凍室や冷蔵室など、下部冷凍室以外の貯蔵室に高温の食品が収納された場合にも、第1の温度センサ50の検知温度が上昇する可能性があるためである。したがって、下部冷凍室扉5aを開けたときには既に高温状態である場合や、下部冷凍室扉5aの開閉と連動せずに第1の温度検知手段50の検知温度が上昇した場合は、下部冷凍室5の最上段冷凍貯蔵容器63へ食品が投入されていないとみなす。これにより、食品を実際に投入していない場合に、食品が投入されたと判定してしまう誤検知とその後の誤作動を防止できる。
【0059】
次に、冷却運転の制御について説明する。
【0060】
まず、上述した食品検知判定で、食品が投入されていないと判定された場合には、通常冷却モードでの運転を行う。この通常冷却モードでは、第2の温度検知手段52の検知温度が圧縮機オン閾値(第1の閾値)に達すれば、圧縮機の運転を開始して冷凍室内を冷却する。冷凍室内が十分に冷却されて第2の温度検知手段の検知温度が圧縮機オフ閾値(第2の閾値)に達すれば、圧縮機の運転を停止して冷凍室内の冷却を一時中断する。ここで、省エネ性や騒音面を配慮すれば、圧縮機の回転数はできるだけ低回転で運転するのが望ましい。このため、圧縮機が運転を開始した段階では低回転(第1の回転数)で運転し、扉開閉があった場合や第2の温度検知手段52の検知温度が高温になった場合には、必要に応じて回転数を高回転(第1の回転数より高い第2の回転数)に上げて、冷凍室内の冷却を加速させる。この動作を繰り返すことにより、冷凍室内の温度を所定の範囲内に保つように調節する。
【0061】
一方、上述した食品検知判定で、食品が投入されたと判定された場合には、急速冷却運転に移行する。この急速冷却運転では、第2の温度検知手段52の検知温度が圧縮機オフ閾値に達するまでは通常冷却モードと同じ運転を行うが、圧縮機オフ閾値に達すると、圧縮機の運転を停止させずに回転数を高回転から低回転に下げて運転を継続する。ここで、圧縮機を高回転で長時間運転し続けると、冷凍室の温度が大幅に低下し、隣接する冷蔵室や野菜室での結露や霜付き、食品凍結といった不具合が生じる可能性もある。しかし、圧縮機を低回転とすることで運転時間を長くし、中断することなく冷気を供給し続けることで、上述の不具合の発生を抑制しつつ食品をすばやく凍結させることが可能である。例えばサイズの大きな食品や高温の食品のような凍結に時間を要する食品に対しても、高回転での場合よりも長時間冷気の供給を継続できるため、凍結までの時間を短くできる。なお、圧縮機オフ閾値に達した後の低回転の圧縮機運転は、第1の温度検知手段50の検知温度が運転終了閾値に達するまで継続する。
【0062】
ただし、図11のように、食品が投入されたと判定したときに、圧縮機が停止状態の場合もある。このときは、通常冷却モードでの制御に従って、圧縮機オン閾値に達した後に圧縮機の運転を開始し、圧縮機オフ閾値に達した後に、上述のように、第1の温度検知手段50の検知温度が運転終了閾値に達するまで低回転の圧縮機運転を継続する。この場合、食品投入後の早い段階で圧縮機が停止し、冷気の供給が中断することになるが、この段階では食品がまだ氷結晶生成帯である−1℃から−5℃の範囲に達していないことが多いと考えられる。したがって、圧縮機が再度運転を開始した後に冷気を連続的に供給すれば、上述の氷結晶生成帯の温度帯をすばやく通過させることが可能となり、鮮度の維持に有効となる。
【0063】
次に、上述したタイムチャートを実現する制御フローの考え方について図12を用いて簡単に説明する。
【0064】
先ず、ステップS10で通常冷却モードを実行しているが、ここで、使用者によって下部冷凍室5の扉が開けられたことをステップS11で検出する。ステップS11で下部冷凍室5の扉5が開けられると、ステップS12で第1の温度検知手段50の検知温度と食品検知閾値とを比較し、既に検知温度が食品検知閾値以上であれば、ステップS24に進んで、食品は投入されていないと判定し、ステップS25で通常冷却モードへ進む。
【0065】
ステップS12で第1の温度検知手段50の検知温度が食品検知閾値より低い場合は、使用者によって下部冷凍室5の扉が閉じられたことをステップS13で検出すると、ステップS14に進み、検知監視時間のタイマカウントをスタートさせる。次にステップS15に進んで、第1の温度検知手段50の検知温度と食品検知閾値とを比較する。検知温度が食品検知閾値以上の場合は、ステップS16で食品検知時間のタイマカウントをスタートさせる。 次に、ステップS17に進んで、高温状態が所定時間継続しているかどうかを、食品検知タイマと食品検知基準時間T1とを比較して判定する。食品検知タイマが食品検知基準時間T1未満であるときは、ステップS23で検知監視タイマと検知監視基準時間T0とを比較し、検知監視タイマが検知監視基準時間T0に達していない場合は、ステップS14に戻って同様に繰り返す。一方、ステップS15で第1の温度検知手段50の検知温度が食品検知閾値より低い場合は、ステップS23へ進む。このステップS23で、検知監視タイマと検知監視基準時間T0とを比較し、検知監視タイマが検知監視基準時間T0に達していない場合は、ステップS14へ戻って同様に繰り返す。ステップS23で検知監視タイマが検知監視基準時間T0に達した場合は、ステップS24に進んで、食品は投入されていないと判定し、ステップS25で通常冷却モードへ至る。
【0066】
一方、S17で食品検知タイマが食品検知基準時間T1に達した場合、ステップS18で食品が投入されたと判定し、急速冷却運転へ移行する。まず、ステップS19で通常冷却モードによる運転を続けた後、ステップS20で第2の温度検知手段52による検知温度が圧縮機オフ閾値に達したかどうかを判定する。検知温度が圧縮機オフ閾値より高い場合は、ステップS19へ戻って同様に繰り返す。ステップS20で圧縮機オフ閾値に達した場合、ステップS21へ進んで圧縮機を低回転で連続運転させる。そして、ステップS22で第1の温度検知手段50の検知温度と運転終了閾値とを比較し、検知温度が運転終了閾値より高ければ、ステップS21へ戻り、同様に繰り返す。ステップS22で運転終了閾値に達した場合、ステップS25に進んで通常冷却モードに進む。
【0067】
また、図11のタイムチャートの場合では、ステップS19の次に、圧縮機がオン状態かどうかを判定するステップS26を設けている。このステップS26で圧縮機がオフ状態の場合は、ステップS19へ戻って同様に繰り返す。一方、ステップS26で圧縮機がオン状態の場合は、ステップS20へ進み、上述と同様のフローとなる。
【0068】
このようにして、2個の温度センサを用い、最上段冷凍貯蔵容器63に食品が有るか否かを判断して、急速冷却モードの実行を制御することができるようになる。すなわち、上部冷凍室と冷蔵室との間の断熱性能の低下を抑制しつつ、温度の高い食品や多量の食品が収納されたら自動的に急速冷凍できる冷蔵庫が提供できる。なお、最上段冷凍貯蔵容器63以外の上部冷凍室4、下部冷凍室5の上段冷凍貯蔵容器61ならびに下段冷凍貯蔵容器62については、温度検知手段を用いずに、使用者が急速冷凍の要否を設定できるようにしている。また、上部冷凍室4は、冷凍温度帯だけでなく冷蔵温度帯にも切替できるような部屋であっても構わない。
【0069】
さらに、本実施例では、冷凍室に食品が投入されたと判定すると、まず高回転で圧縮機を運転し、そのまま圧縮機を停止させずに或いは圧縮機を一時的に停止させた後、高回転のときよりも長い時間、低回転で継続的に運転する。このため、第2の温度検知手段52による検知温度が低下して冷凍室内が目標温度まで冷却された場合でも、冷え切っていない食品の冷却を継続することが可能である。その結果、圧縮機を停止させたり運転再開したりする頻度を少なくでき、圧縮機の寿命を長く維持できる。また、圧縮機を高回転で運転させる時間を短くできるので、従来の急速冷却運転の場合と比べて全体の消費電力量を抑制できるだけでなく、圧縮機の高回転に起因する騒音や振動の発生時間も短くできる。
【0070】
また、本実施例では、上部冷凍室4内の貯蔵容器や下部冷凍室5内の他の貯蔵容器と比べて、高さ寸法が最も小さく、薄い空間である最上段冷凍貯蔵容器63を、急速冷凍の対象としているので、食品を置くときに積み重なり難く、収納や取り出しの操作がし易いという利点がある。さらに、この最上段冷凍貯蔵容器63は、上部冷凍室4の貯蔵容器と比べて幅寸法が大きいので、より多くの食品を左右方向に並べて配置できる。
【0071】
ここで、最上段冷凍貯蔵容器63の略全面には金属製の熱伝導板としてアルミトレイが敷設されており、このアルミトレイの上表面には凸部または凹部が奥行方向および左右方向に複数形成されている。アルミ自体が熱伝導性の高い材料であり、さらに複数の凹凸により表面積を増加させているので、上段冷凍貯蔵容器61や下段冷凍貯蔵容器62と比べて、最上段冷凍貯蔵容器63の冷却性能は高くなっている。そして、最上段冷凍貯蔵容器63の鉛直投影外、具体的には、下部冷凍室5の背面側の最上段冷凍貯蔵容器63と略同じ高さにある吹出口から、冷気が供給される。このため、最上段冷凍貯蔵容器63内の食品は急速に冷却されていくことになる。また、本実施例では、下部冷凍室5の最上段貯蔵容器63にアルミトレイを配置した例について示したが、冷蔵室2内に複数段の貯蔵容器が存在し、このうち最上段の貯蔵容器をチルド冷却用にアルミトレイを配置し、この貯蔵容器を急速冷却の対象としても良い。
【符号の説明】
【0072】
1…冷蔵庫、10…冷蔵庫本体、2…冷蔵室、3…製氷室、4…上部冷凍室、5…下部冷凍室、6…野菜室、12…圧縮機、13…冷却器収納室、17a…上側断熱仕切壁、17a1…ガイド部、18…横仕切壁、19…冷却器、20…送風ファン、50…第1の温度検知手段、50a…サーミスタ、50b…信号線、50c…コネクタ、50d…制御装置コネクタ、51…背面壁、52…第2の温度検知手段、53…縦仕切部、53a…垂直部材、53a1…取付部、53a2…切欠部、53b…底面部材、54…奥行方向下端部分、701…ねじボス、702…水抜き穴、702a…リブ、703…格子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12