(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一端部が前記ブレーキペダルに支持されると共に他端部が前記レバーに支持され、該レバーを前記押動方向とは逆の反押動方向に付勢させる第3付勢部材を備えたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のブレーキペダル反力装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るブレーキペダル反力装置について、具体化した本実施形態に基づき、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
本実施形態においては、ブレーキペダル反力装置のブレーキペダルがコントロールユニットを介してブレーキアクチュエーターと電線で接続されており、ブレーキキャリパーがバイワイヤ作動モードで作動する。バイワイヤ作動モードでは、ブレーキペダルとブレーキアクチュエーター内の油圧回路とが遮断されている。
【0022】
従って、踏込操作されたブレーキペダルが、例えば、ブレーキブースタのオペレーティングロッド又はブレーキマスタシリンダのプッシュロッド等(以下、「ロッド」という。)を押し動かすによって油圧が生じても、その油圧はブレーキキャリパーに作用しない。
【0023】
これに対して、電気系統失陥時等では、バイワイヤ作動モードからバイワイヤ非作動モードに切り換えられ、ブレーキペダルとブレーキアクチュエーター内の油圧回路とが接続される。従って、踏込操作されたブレーキペダルがロッドを押し動かすによって油圧が生じると、その油圧はブレーキキャリパーに直接作用する。そのため、ロッドからブレーキペダルに作用する反力は、バイワイヤ作動モードと比べて、著しく大きい。
【0024】
尚、このような技術を実施するための構成については、公知技術であることから、詳細な説明を省略する。
【0025】
また、以下の説明に用いる各図面では、当該ブレーキペダル反力装置の基本的構成の一部が省略されて描かれていることがある。当該ブレーキペダル反力装置の前後方向、左右方向、及び上下方向は、図面に表した前後方向、左右方向、及び上下方向で定義して説明する。但し、
図2及び
図15の斜視図においては、紙面の奥方向が前方向であり、紙面の手前方向が後方向である。
【0026】
[1−1 第1実施形態のブレーキペダル反力装置の構成]
図1乃至
図3に表すように、第1実施形態のブレーキペダル反力装置11は、ブレーキペダル13、板バネ15、セクター17、ポール19、ねじりバネ21、レバー23、引張りコイルバネ25、及びブラケット27を備えている。セクター17、ポール19、ねじりバネ21、及びレバー23は、ブレーキペダル13と板バネ15との間に介在するラチェット機構R1を構成するものである。尚、ラチェット機構R1については、後述する。
【0027】
ペダルブラケット等で構成される車体Sには、ブレーキペダル13の上端部が回動ピンP1を介して回動可能に設けられている。ブレーキペダル13の下端部には、踏込操作時に踏込方向X1に踏み込まれる踏部13Aが設けられている。
【0028】
板バネ15は、その中央部が折り曲げられた逆V字の形状を有している。板バネ15の中央部は、ブレーキペダル13の左方側面から突出した回動ピンP1の上方曲面に取り付けられている。板バネ15の前端部及び後端部には、フック状に形成された前フック部15A及び後フック部15Bが設けられている。板バネ15の前フック部15Aは、車体Sに設けられた棒状突起部SAに引掛けられることにより、車体Sに支持されている。板バネ15の後フック部15Bは、セクター17に設けられた棒状突起部17Aに引掛けられている。
【0029】
セクター17は、略長方形の形状を有しており、その上端部が回動ピンP1を介して回動可能に設けられることにより、ブレーキペダル13と同軸でブレーキペダル13に対して回動可能になっている。セクター17の下端部には、凹部17Bが設けられている。
【0030】
ポール19は、逆V字の形状を有しており、その中央部が回動ピンP2でブレーキペダル13の左方側面に支持されることにより、ブレーキペダル13に対して回動可能に設けられている。ポール19の前端部には、セクター17の凹部17Bと係合する係爪部19Aが形成されている。
【0031】
ねじりバネ21は、その中央部を構成するコイル部が回動ピンP2に通されている。ねじりバネ21の第1曲げ部21Aは、ポール19の前端部の下方側面に引掛けられている。ねじりバネ21の第2曲げ部21Bは、ブレーキペダル13の左方側面に引掛けられている。これにより、ねじりバネ21は、ポール19とブレーキペダル13との間に介在し、ポール19の係爪部19Aをセクター17の凹部17Bに係合させる係合方向Y1にポール19を付勢する。
【0032】
レバー23は、略L字の形状を有しており、その前端部23Aが回動ピンP3を介してブレーキペダル13の左方側面に支持されている。回動ピンP3の下方では、レバー23とロッド29とが、レバー23の前端部23Aと後端部23Bとの間において、クレビス31及び連結ピンP4を介して連結している。
【0033】
回動ピンP3の支持と連結ピンP4の連結とについて、より詳細に説明する。
図4に表すように、ブレーキペダル13には、回動穴13B及び連結穴13Cが設けられている。ブレーキペダル13の回動穴13Bには、第1カラー部材B1が嵌合されている。第1カラー部材B1には、回動ピンP3が嵌挿されている。回動ピンP3は、レバー23及びプレート材Lに対して抜け止めされた状態で、レバー23及びプレート材Lに軸通している。
【0034】
ブレーキペダル13の連結穴13Cには、第2カラー部材B2が遊挿されている。第2カラー部材B2は、ブレーキペダル13の両側にて、レバー23及びプレート材Lを貫いた状態で、レバー23及びプレート材Lに嵌挿している。第2カラー部材B2には、連結ピンP4が嵌挿されている。連結ピンP4は、レバー23及びプレート材Lの外方にて、クレビス31に貫入している。
【0035】
このようにして、レバー23及びプレート材Lは、回動ピンP3を介してブレーキペダル13に軸支されている。一方、レバー23及びプレート材Lに嵌挿された第2カラー部材B2は、ブレーキペダル13の連結穴13Cに対して隙間がある状態で、ブレーキペダル13の連結穴13Cに挿通されている。これにより、レバー23及びプレート材Lは、回動ピンP3を回動中心にして、ブレーキペダル13に対して回動可能に設けられている。尚、レバー23及びプレート材Lの回動範囲は、ブレーキペダル13の連結穴13C内で第2カラー部材B2が移動する範囲に相当する。
【0036】
図1乃至
図3に戻る。レバー23の後端部23Bは、左方向に曲げられており、係合方向Y1に付勢されたポール19の後端部19Bの下方側面を係止している。
【0037】
レバー23の下方においては、ブラケット27がブレーキペダル13の左方側面に配設されている。ブラケット27の上端部27Aは、左方向に曲げられている。ブラケット27の上端部27Aには、引張りコイルバネ25の前フック部25Aが引掛けられている。ブラケット27の下端部27Bは、ブレーキペダル13の左方側面に固設されている。これにより、引張りコイルバネ25の前フック部25Aは、ブレーキペダル13に支持されている。
【0038】
引張りコイルバネ25の後フック部25Bは、レバー23の後端部23Bに引掛けられている。これにより、引張りコイルバネ25の後端部23Bは、レバー23の後端部23Bに支持されている。そのため、引張りコイルバネ25は、
図3視で時計回りの第1回動方向Z1にレバー23の後端部23Bを付勢する。
【0039】
このような構成により、ねじりバネ21の付勢力によってポール19の係爪部19Aとセクター17の凹部17Bとが係合している状態では、板バネ15の後フック部15Bが、セクター17の棒状突起部17Aに引掛けられることを介して、ブレーキペダル13に支持される。つまり、ポール19の係爪部19Aとセクター17の凹部17Bとの係合状態を介して、ブレーキペダル13と板バネ15とが係止している状態になる。このような係止状態では、ブレーキペダル13は、板バネ15の復元力によって、踏込方向X1とは逆の反踏込方向X2に付勢される。これにより、板バネ15は、ブレーキペダル13の踏部13Aの踏込操作量に応じた復元力をブレーキペダル13に与えている。
【0040】
[1−2 ブレーキペダル反力装置の動作]
次に、第1実施形態のブレーキペダル反力装置11の動作について、
図5乃至
図10に基づいて説明する。
【0041】
先ず、バイワイヤ作動モードでの動作について説明する。
図5に表すように、ブレーキペダル13の踏部13Aに対して踏込操作が行われていない初期段階(ステップ1)では、ポール19の係爪部19Aとセクター17の凹部17Bとが係合している状態にある。
【0042】
図6に表すように、ブレーキペダル13の踏部13Aに対して踏込操作が行われている踏込段階(ステップ2)では、ブレーキペダル13が踏込方向X1に回動するので、ブレーキペダル13がロッド29を前方向に押すことになる。しかしながら、バイワイヤ作動モードでは、ブレーキペダル13を押し返すロッド29の反力が、バイワイヤ非作動モードと比べて、著しく小さい。そのため、セクター17、ポール19、及びレバー23の相対的位置関係が殆ど変化しないことから、ポール19の係爪部19Aとセクター17の凹部17Bとの係合状態が維持される。
【0043】
尚、上述したように、ポール19の係爪部19A及びセクター17の凹部17Bが係合状態にあると、ブレーキペダル13と板バネ15とが係止している状態にある。よって、バイワイヤ作動モードの踏込段階(ステップ2)において、板バネ15は、ブレーキペダル13の踏部13Aの踏込操作量に応じた復元力をブレーキペダル13に与えている。
【0044】
次に、バイワイヤ非作動モードでの動作について説明する。例えば、第1実施形態のブレーキペダル反力装置11を搭載した車両において電気系統が失陥すると、バイワイヤ作動モードからバイワイヤ非作動モードに移行する。
図7に表すように、電気系統失陥時であっても、ブレーキペダル13の踏部13Aに対して踏込操作が行われていない初期段階(ステップ1)では、ポール19の係爪部19Aとセクター17の凹部17Bとが係合している状態にある。
【0045】
図8に表すように、ブレーキペダル13の踏部13Aに対して踏込操作が行われている踏込段階(ステップ2)になると、ブレーキペダル13が踏込方向X1に回動するので、ブレーキペダル13がロッド29を前方向に押すことになる。上述したように、電気系統失陥時では、ブレーキペダル13を押し返すロッド29の反力が、バイワイヤ作動モードと比べて、著しく大きい。そのため、セクター17、ポール19、及びレバー23の相対的位置関係が変化することから、ポール19の係爪部19Aとセクター17の凹部17Bとの係合状態が解除される。
【0046】
より詳細に説明すると、
図9に表すように、ブレーキペダル13がロッド29を前方向に押すと、ブレーキペダル13及びレバー23を押し返すロッド29の反力Fが発生する。つまり、ロッド29の反力Fが、ブレーキペダル13には反踏込方向X2に作用すると共に、レバー23には第1回動方向Z1とは逆の第2回動方向Z2に作用する。
【0047】
レバー23は、引張りコイルバネ25の付勢力及びロッド29の反力F等のモーメント関係に基づいて、第2回動方向Z2に回動する。これにより、レバー23の後端部23Bがポール19の後端部19Bを押し動かすので、ポール19の後端部23Bが係合方向Y1とは逆の反係合方向Y2に回動する。そのため、ポール19の係爪部19Aがセクター17の凹部17Bから反係合方向Y2に回動するので、ポール19の係爪部19Aとセクター17の凹部17Bとの係合が解除された状態になる。これにより、ブレーキペダル13と板バネ15との係止も解除された状態になるので、板バネ15の復元力がブレーキペダル13に伝達されなくなる。その一方で、ブレーキペダル13には、踏部13Aの踏込操作量に応じたロッド29の反力Fが伝達される。
【0048】
図10に表すように、ブレーキペダル13の踏部13Aが踏込方向X1へ一層に踏み込まれることにより、踏込段階が進行すると(ステップ3)、ポール19の係爪部19Aが反係合方向Y2へ一層に回動するため、ポール19の係爪部19Aとセクター17の凹部17Bとの係合が解除された状態は維持される。従って、ブレーキペダル13と板バネ15との係止が解除された状態も維持されるので、ブレーキペダル13には、板バネ15の復元力がブレーキペダル13に伝達されない一方で、踏部13Aの踏込操作量に応じたロッド29の反力Fが伝達される。
【0049】
[1−3 ラチェット機構]
以上より、バイワイヤ作動モードでは、ブレーキペダル13の踏部13Aの踏込操作量に応じた板バネ15の復元力がブレーキペダル13に与えられる。一方、バイワイヤ非作動モードの電気系統失陥時では、踏部13Aの踏込操作量に応じたロッド29の反力Fがブレーキペダル13に伝達されることから、踏部13Aの踏込操作量に応じた板バネ15の復元力が重ねてブレーキペダル13に与えられることを防ぐため、ブレーキペダル13と板バネ15との係止状態を解除する必要がある。
【0050】
そのために、第1実施形態のブレーキペダル反力装置11は、セクター17、ポール19、ねじりバネ21、及びレバー23を上述したような仕組みで構成したラチェット機構R1を備えている。ラチェット機構R1は、バイワイヤ非作動モードの電気系統失陥時において、ロッド29の反力Fがブレーキペダル13及びレバー23に作用すると、上述したようにして、セクター17の凹部17Bとポール19の係爪部19Aとの係合状態を解除して、ブレーキペダル13と板バネ15との係止状態を解除する。
【0051】
尚、ポール19の係爪部19Aとセクター17の凹部17Bとの係合状態が解除されても、ブレーキペダル13及びセクター17を初期段階(ステップ1)の位置に戻せば、ポール19の係爪部19Aとセクター17の凹部17Bとの係合状態を復帰させることが可能である。
【0052】
[1−4 まとめ]
第1実施形態のブレーキペダル反力装置11では、バイワイヤ作動モードからバイワイヤ非作動モードに切り換えられた際において、ブレーキペダル13の踏部13Aが踏込操作されると、ラチェット機構R1は、ロッド29からの反踏込方向X2の反力Fがブレーキペダル13に作用することに基づいて、セクター17の凹部17Bとポール19の係爪部19Aとの係合状態を解除することにより、ブレーキペダル13と板バネ15との係止状態を解除する。
【0053】
つまり、第1実施形態のブレーキペダル反力装置11において、ラチェット機構R1は、バイワイヤ作動モードとバイワイヤ非作動モードとの切り換えの際に作動する機構であって、例えば、電磁弁のような高価な電装品を使用しないことから、低コストで実現することが可能である。
【0054】
第1実施形態のブレーキペダル反力装置11において、ラチェット機構R1は、例えば、電磁弁のような電装品を構成要素としておらず、電気系統の電圧低下による影響が及ばないことから、電気系統の変化に対するロバスト性がある。
【0055】
第1実施形態のブレーキペダル反力装置11において、ラチェット機構R1は、油圧機器を使用しないことから、環境に優しい。
【0056】
第1実施形態のブレーキペダル反力装置11では、セクター17、ポール19、ねじりバネ21、及びレバー23でラチェット機構R1が構成されている。この構成では、ポール19が回動ピンP2で回動し、レバー23が回動ピンP3で回動し、ポール19の回動中心とレバー23の回動中心が異なるため、後述する第2実施形態のラチェット機構R2と比べて、コンパクト化されたラチェット機構R1をブレーキペダル13に設けることが可能である。
【0057】
第1実施形態のブレーキペダル反力装置11では、引張りコイルバネ25でレバー23が付勢されており、ロッド29の反力がレバー23に作用しているか否かに関係なく、レバー23が自由に動けないので、レバー23の自由な揺動による音の発生を防止することが可能である。
【0058】
第1実施形態のブレーキペダル反力装置11では、レバー23の後端部23Bに引張りコイルバネ25の付勢力が第1回動方向Z1に作用しており、ロッド29からの第2回動方向Z2の反力Fがレバー23に作用すると、引張りコイルバネ25の付勢力及びロッド29の反力F等のモーメント関係に基づいて、レバー23の後端部23Bが第2回動方向Z2に回動する。これにより、レバー23の後端部23Bがポール19を押動する。そのため、ラチェット機構R1の作動を開始させるために必要な、ロッド29の反力Fの大きさを引張りコイルバネ25で調整することが可能である。
【0059】
[1−5 変更例]
尚、本発明は上記第1実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、ロッド29の反力Fは、ブレーキペダル13及びレバー23に作用させるのではなく、ブレーキペダル13及びポール19の後端部19Bに作用させても良い。
【0060】
[2−1 第2実施形態のブレーキペダル反力装置の構成]
次に、第2実施形態のブレーキペダル反力装置について説明する。但し、以下の説明では、上記第1実施形態と実質的に共通する部分には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0061】
先ず、第2実施形態のブレーキペダル反力装置の構成について説明する。
図11乃至
図13に表すように、第2実施形態のブレーキペダル反力装置111は、第1実施形態の板バネ15、セクター17、ポール19、ねじりバネ21、及びレバー23に代えて、板バネ115、セクター117、ポール119、ねじりバネ121、及びレバー123を備えている。つまり、第2実施形態の板バネ115、セクター117、ポール119、ねじりバネ121、及びレバー123は、第1実施形態の板バネ15、セクター17、ポール19、ねじりバネ21、及びレバー23に相当する。従って、第2実施形態のラチェット機構R2は、セクター117、ポール119、ねじりバネ121、及びレバー123で構成されており、ブレーキペダル13と板バネ115との間に介在するものである。
【0062】
さらに、第2実施形態の板バネ115の前フック部115A及び後フック部115Bは、第1実施形態の板バネ15の前フック部15A及び後フック部15Bに相当する。第2実施形態のセクター117の棒状突起部117A及び凹部117Bは、第1実施形態のセクター17の棒状突起部17A及び凹部17Bに相当する。第2実施形態のポール119の係爪部119A及び後端部119Bは、第1実施形態のポール19の係爪部19A及び後端部19Bに相当する。第2実施形態のねじりバネ121の第1曲げ部121A及び第2曲げ部121Bは、第1実施形態のねじりバネ21の第1曲げ部21A及び第2曲げ部21Bに相当する。第2実施形態のレバー123の前端部123A及び後端部123Bは、第1実施形態のレバー23の前端部23A及び後端部23Bに相当する。
【0063】
尚、第2実施形態では、第1実施形態の引張りコイルバネ25及びブラケット27は設けられていない。
【0064】
板バネ115は、第1実施形態の板バネ15と同様にして、その中央部が折り曲げられた逆V字の形状を有しているが、その中央部から前端部までの長さ、及びその中央部から後端部までの長さが、第1実施形態の板バネ15と比べて短い。但し、板バネ115の取付方法は、第1実施形態の板バネ15と同様である。
【0065】
セクター117は、略菱形の形状を有している。セクター117は、その中央部が回動ピンP1を介して回動可能に設けられることにより、ブレーキペダル13と同軸でブレーキペダル13に対して回動可能になっている。但し、セクター117は、第1実施形態のセクター17と比べて、上下方向で小さい。そのため、セクター117の凹部117Bは、第1実施形態のセクター17の凹部17Bと比べて、高い位置に設けられている。
【0066】
ポール119は、略I字の形状を有している。ポール119は、その先端部にある係爪部119Aと後端部119Bとの間で回動ピンP5によりブレーキペダル13の左側で支持されることによって、ブレーキペダル13に対して回動可能に設けられている。従って、回動ピンP5の回動中心W1は、ポール119の回動中心W1でもある。
【0067】
ねじりバネ121は、その中央部を構成するコイル部が回動ピンP5に通されている。これにより、ねじりバネ121のコイル部の左側は、ポール119の右方側面に着接している。ねじりバネ121の第1曲げ部121Aは、ポール119の前端部の下方側面に引掛けられている。ねじりバネ121の第2曲げ部121Bは、ブレーキペダル13の前方側面に引掛けられている。これにより、ねじりバネ121は、ポール119とブレーキペダル13との間に介在し、ポール119の係爪部119Aをセクター117の凹部117Bに係合させる係合方向Y1にポール119を付勢する。
【0068】
レバー123は、略L字の形状を有している。レバー123は、その前端部123Aがブレーキペダル13の左方側面で回動ピンP5を介して回動可能に設けられている。これにより、レバー123は、ポール119と同軸でブレーキペダル13に対して回動可能になっている。従って、回動ピンP5の回動中心W1は、レバー123の回動中心W1であると共に、ポール119の回動中心W1でもある。尚、レバー123は、ねじりバネ121のコイル部の右側に着接している。よって、回動ピンP5においては、回動ピンP5に通されたねじりバネ121が、レバー123とポール119との間に介在している。
【0069】
回動ピンP5の下方では、レバー123とロッド29とが、レバー123の前端部123Aと後端部123Bとの間において、クレビス31及び連結ピンP4を介して連結している。レバー123の後端部123Bは、左方向に曲げられており、係合方向Y1に付勢されたポール119の後端部119Bの下方側面を係止している。これにより、ポール119は、セクター117の凹部117Bからレバー123の後端部123Bにまで及んでおり、第1実施形態のポール19と比べて長い。一方、ブレーキペダル13の右側においては、回動ピンP5が、第1実施形態の回動ピンP3と同様にして、プレート材Lに対して抜け止めされた状態でプレート材Lに軸通している。
【0070】
尚、第2実施形態では、ポール119及びレバー123が回動ピンP5により同軸で軸支されているため、第1実施形態でポール19の回動中心であった回動ピンP2、及び第1実施形態でレバー23の回動中心であった回動ピンP3は設けられていない。
【0071】
このような構成により、第2実施形態のブレーキペダル反力装置111では、ねじりバネ121の付勢力によってポール119の係爪部119Aとセクター117の凹部117Bとが係合している状態にあれば、板バネ115が、ブレーキペダル13の踏部13Aの踏込操作量に応じた復元力を、ブレーキペダル13に与えている。尚、第2実施形態では、ブレーキペダル13に与えられる板バネ115の復元力を第1実施形態と同様にするため、板バネ15,115、セクター17,117、及びポール19,119の大小関係等を考慮して、板バネ115のバネ定数等が設定されている。
【0072】
[2−2 ブレーキペダル反力装置の動作]
次に、第2実施形態のブレーキペダル反力装置111の動作について説明する。第2実施形態のブレーキペダル反力装置111では、ポール119及びレバー123が回動ピンP5を介して同軸で回動すること等に伴う動作を除けば、上述した第1実施形態のブレーキペダル反力装置11と同様な動作が実現されている。そこで、以下は、ポール119及びレバー123が回動ピンP5を介して同軸で回動することが行われる、バイワイヤ非作動モードの動作について説明する。
【0073】
電気系統が失陥してバイワイヤ非作動モードになっても、
図12に表すように、ブレーキペダル13の踏部13Aに対して踏込操作が行われていない初期段階(ステップ1)では、ポール119の係爪部119Aとセクター117の凹部117Bとが係合している状態にあるので、ブレーキペダル13と板バネ115とが係止している状態にある。
【0074】
図13に表すように、ブレーキペダル13の踏部13Aに対して踏込操作が行われている踏込段階(ステップ2)になると、ブレーキペダル13が踏込方向X1に回動する。これにより、ブレーキペダル13がロッド29を前方向に押すことになって、ブレーキペダル13及びレバー123を押し返すロッド29の反力Fが発生する。ロッド29の反力Fは、ブレーキペダル13には反踏込方向X2に作用すると共に、レバー123には第2回動方向Z2に作用する。
【0075】
レバー123は、ロッド29の反力F等のモーメント関係に基づいて、回動ピンP5を回動中心にして第2回動方向Z2に回動する。これにより、レバー123の後端部123Bが押動位置W2でポール119の後端部119Bを押し動かし、ポール119も回動ピンP5を回動中心にして第2回動方向Z2に回動するので、ポール119の後端部123Bが係合方向Y1とは逆の反係合方向Y2に回動する。そのため、ポール119の係爪部119Aがセクター117の凹部117Bから反係合方向Y2に回動するので、ポール119の係爪部119Aとセクター117の凹部117Bとの係合が解除された状態になる。これにより、ブレーキペダル13と板バネ115との係止も解除された状態になるので、板バネ115の復元力がブレーキペダル13に伝達されなくなる。その一方で、ブレーキペダル13には、踏部13Aの踏込操作量に応じたロッド29の反力Fが伝達される。
【0076】
[2−3 まとめ]
第2実施形態のブレーキペダル反力装置111では、ポール119及びレバー123が回動ピンP5によりブレーキペダル13に対して同軸で回動可能に軸支されているので、ポール119の回動中心W1とレバー123の回動中心W1とが回動ピンP5の回動中心W1に一致する。そのため、ロッド29の反力Fがレバー123に作用することによって、レバー123の後端部123Bがポール119の後端部119Bを押し動かす際には、その押動位置W2が固定され、ポール119及びレバー123の回動中心W1からその押動位置W2までの距離が常に一定となるので、レバー123の後端部123B及びポール119の後端部119Bが互いに擦り動くことがない。
【0077】
よって、第2実施形態のブレーキペダル反力装置111は、ポール119及びレバー123の回動に伴って発生する摩擦等の抵抗が低く抑えられるので、耐久性が向上すると共に、ブレーキペダル13と板バネ115とを係止状態から解除するのに必要なロッド29の反力Fを低く設定できる。
【0078】
[2−4 変更例]
尚、本発明は上記第2実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、第2実施形態のブレーキペダル反力装置111において、第1実施形態の引張りコイルバネ25及びブラケット27を設けても良い。このような場合には、レバー123の後端部123Bに、第1実施形態の引張りコイルバネ25の後フック部25Bが引掛けられる。
【0079】
[3−1 第3実施形態のブレーキペダル反力装置の構成]
次に、第3実施形態のブレーキペダル反力装置について説明する。但し、以下の説明では、上記第1実施形態又は上記第2実施形態と実質的に共通する部分には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0080】
先ず、第3実施形態のブレーキペダル反力装置の構成について説明する。
図14乃至
図17に表すように、第3実施形態のブレーキペダル反力装置211は、第2実施形態のポール119及びねじりバネ121に代えて、インタミレバーILを備えている。従って、第3実施形態のラチェット機構R3は、セクター117、ねじりバネ121、及びインタミレバーILで構成されており、ブレーキペダル13と板バネ115との間に介在するものである。さらに、インタミレバーILは、ポール部219及びレバー部223を備えている。
【0081】
ポール部219は、略I字の形状を有している。ポール部219の前端部には、セクター117の凹部117Bと係合する係爪部219Aが形成されている。レバー部223は、略I字の形状を有している。レバー部223の下端部223Bには、ロッド29がクレビス31及び連結ピンP4を介して連結している。
【0082】
ポール部219の後端部219Bとレバー部223の上端部223Aとの間には、不図示の円筒部がその軸方向を左右方向と平行になるようにして設けられている。上記円筒部の左側には、ポール部219の後端部219Bが固定されている。上記円筒部の右側には、レバー部223の上端部223Aが固定されている。これにより、ポール部219の後端部219Bとレバー部223の上端部223Aとは、上記円筒部を介して一体化されている。回動ピンP5は、ポール部219の後端部219B、上記円筒部、及びレバー部223の上端部223Aに挿着されている。これにより、ポール部219及びレバー部223は、つまりインタミレバーILは、回動ピンP5を介して、ブレーキペダル13の左方側面で回動可能に設けられている。
【0083】
ねじりバネ121は、その中央部を構成するコイル部が上記円筒部に通されている。これにより、ねじりバネ121のコイル部の左側は、ポール部219の後端部219Bの右方側面に着接している。ねじりバネ121のコイル部の右側は、レバー部223の上端部223Aの左方側面に着接している。
【0084】
ねじりバネ121の第1曲げ部121Aは、ポール部219の前端部の下方側面に引掛けられている。ねじりバネ121の第2曲げ部121Bは、ブレーキペダル13の前方側面に引掛けられている。これにより、ねじりバネ121は、ポール部219とブレーキペダル13との間に介在し、ポール部219の係爪部219Aをセクター117の凹部117Bに係合させる係合方向Y1にポール部219を付勢する。言い換えると、ねじりバネ121は、インタミレバーILとブレーキペダル13との間に介在し、インタミレバーILの係爪部219Aをセクター117の凹部117Bに係合させる係合方向Y1にインタミレバーILを付勢することにより、ブレーキペダル13と板バネ115とを係止状態にしている。
【0085】
このような構成により、第3実施形態のブレーキペダル反力装置211では、ねじりバネ121の付勢力によってインタミレバーILの係爪部219Aとセクター117の凹部117Bとが係合している状態にあれば、板バネ115が、ブレーキペダル13の踏部13Aの踏込操作量に応じた復元力をブレーキペダル13に与えている。
【0086】
[3−2 ブレーキペダル反力装置の動作]
次に、第3実施形態のブレーキペダル反力装置211の動作について説明する。第3実施形態のブレーキペダル反力装置211では、ポール部219及びレバー部223を備えたインタミレバーILが回動ピンP5を介して回動すること等に伴う動作を除けば、上述した第1実施形態のブレーキペダル反力装置11と同様な動作が実現されている。そこで、以下は、インタミレバーILが回動ピンP5を介して回動することが行われる、バイワイヤ非作動モードの動作について説明する。
【0087】
電気系統が失陥してバイワイヤ非作動モードになっても、
図16に表すように、ブレーキペダル13の踏部13Aに対して踏込操作が行われていない初期段階(ステップ1)では、インタミレバーILの係爪部219Aとセクター117の凹部117Bとが係合している状態にあるので、ブレーキペダル13と板バネ115とが係止している状態にある。
【0088】
図17に表すように、ブレーキペダル13の踏部13Aに対して踏込操作が行われている踏込段階(ステップ2)になると、ブレーキペダル13が踏込方向X1に回動する。これにより、ブレーキペダル13がロッド29を前方向に押すことになり、ブレーキペダル13及びインタミレバーILのレバー部223の下端部223Bを押し返すロッド29の反力Fが発生する。ロッド29の反力Fは、ブレーキペダル13には反踏込方向X2に作用すると共に、インタミレバーILのレバー部223には第2回動方向Z2に作用する。
【0089】
インタミレバーILのレバー部223は、ロッド29の反力F等のモーメント関係に基づいて、回動ピンP5を回動中心にして第2回動方向Z2に回動する。インタミレバーILでは、回動ピンP5が挿着された円筒部によってレバー部223及びポール部219が一体化されている。よって、インタミレバーILのレバー部223が回動ピンP5を回動中心にして第2回動方向Z2に回動すると、これに伴い、インタミレバーILのポール部219が回動ピンP5を回動中心にして係合方向Y1とは逆の反係合方向Y2に回動する。そのため、インタミレバーILの係爪部219Aがセクター117の凹部117Bから反係合方向Y2に回動するので、インタミレバーILの係爪部219Aとセクター117の凹部117Bとの係合が解除された状態になる。これにより、ブレーキペダル13と板バネ115との係止も解除された状態になるので、板バネ115の復元力がブレーキペダル13に伝達されなくなる。その一方で、ブレーキペダル13には、踏部13Aの踏込操作量に応じたロッド29の反力Fが伝達される。
【0090】
[3−3 まとめ]
第3実施形態のブレーキペダル反力装置211では、インタミレバーILのレバー部223の下端部223Bにロッド29の反力Fが作用すると、インタミレバーILが回動ピンP5を回動中心にして第2回動方向Z2に回動する。この回動に伴って、インタミレバーILのポール部219の前端部に形成された係爪部219Aが、係合方向Y1とは逆の反係合方向Y2に回動するので、ブレーキペダル13と板バネ115とが係止状態から解除される。
【0091】
そのため、第3実施形態のブレーキペダル反力装置211では、ロッド29の反力Fが作用したインタミレバーILの回転のみにより上記係止状態が解除され、上記係止状態の解除の際に発生する摩擦等の抵抗が低く抑えられるので、耐久性が向上すると共に、ブレーキペダル13と板バネ115とを係止状態から解除するのに必要なロッド29の反力Fを低く設定できる。
【0092】
[3−4 変更例]
尚、本発明は上記第3実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、第3実施形態において、インタミレバーILは、回動ピンP5が挿着された円筒部の左右側にポール部219の後端部219B及びレバー部223の上端部223Aが固定されることによって所謂クランク状に一体的に形成されているが、1つの棒状部材から形成されても良い。
【0093】
[4 その他]
ちなみに、上記実施形態において、板バネ15,115は、「第1付勢部材」の一例である。板バネ15,115の前フック部15A,115Aは、「第1付勢部材の一端部」の一例である。板バネ15,115の後フック部15B,115Bは、「第1付勢部材の他端部」の一例である。セクター17,117の凹部17B,117Bは、「セクターの係合部」の一例である。ポール19,119の係爪部19A,119Aは、「ポールの被係合部」の一例である。ねじりバネ21,121は、「第2付勢部材」の一例である。レバー23,123の前端部23A,123Aは、「レバーの一端部」の一例である。レバー23,123の後端部23B,123Bは、「レバーの他端部」の一例である。引張りコイルバネ25は、「第3付勢部材」の一例である。引張りコイルバネ25の前フック部25Aは、「第3付勢部材の一端部」の一例である。引張りコイルバネ25の後フック部25Bは、「第3付勢部材の他端部」の一例である。第1回動方向Z1は、「反押動方向」の一例である。第2回動方向Z2は、「押動方向」の一例である。ポール部219の前端部は、「インタミレバーの一端部」の一例である。ポール部219の係爪部219Aは、「インタミレバーの被係合部」の一例である。レバー部223の下端部223Bは、「インタミレバーの他端部」の一例である。