特許第6594844号(P6594844)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594844
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】下框部材の改修方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/12 20060101AFI20191010BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20191010BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   E06B3/12
   E06B3/46
   E05D15/06 112
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-218950(P2016-218950)
(22)【出願日】2016年11月9日
(62)【分割の表示】特願2015-207796(P2015-207796)の分割
【原出願日】2015年10月22日
(65)【公開番号】特開2017-82579(P2017-82579A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】512087124
【氏名又は名称】田中 俊敏
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 力
(74)【代理人】
【識別番号】100152571
【弁理士】
【氏名又は名称】新宅 将人
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊敏
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−213358(JP,A)
【文献】 特開2012−001970(JP,A)
【文献】 実開平04−082188(JP,U)
【文献】 実開昭55−055565(JP,U)
【文献】 実開昭55−074369(JP,U)
【文献】 特開平10−037579(JP,A)
【文献】 実開昭63−169684(JP,U)
【文献】 特開2008−115624(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0134583(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/00 − 3/46, 3/50 − 3/52
E05D 15/00 − 15/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引戸に備えられ、レール上を転動する戸車を有する下框部材の改修方法であって、
引戸から既設の下框部材が取り除かれる下框部材除去工程と、
前記下框部材除去工程により既設の下框部材が取り除かれた引戸に対して、既設の下框部材とは異なる形状からなり、既設の下框部材に備えられている戸車よりも大径の戸車が備えられた新設の下框部材が取り付けられる下框部材取付工程とを含み、
前記下框部材取付工程では、既設の下框部材よりも高さ方向の寸法が大きい新設の下框部材が引戸に取り付けられることを特徴とする下框部材の改修方法。
【請求項2】
既設の下框部材は、ガラス板を保持しており、
前記下框部材除去工程により既設の下框部材が取り除かれた引戸において、既設の下框部材により保持されていたガラス板の端面が削り取られるガラス板切削工程をさらに含み、
前記下框部材取付工程では、前記ガラス板切削工程により削り取られた後のガラス板の端面を保持するように、既設の下框部材よりも高さ方向の寸法が大きい新設の下框部材が引戸に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の下框部材の改修方法。
【請求項3】
新設の下框部材には、戸車を回転可能に保持する保持部材と、前記保持部材に接触して戸車のがたつきを規制する規制部材とが備えられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の下框部材の改修方法。
【請求項4】
新設の下框部材には、長手方向の端面側から工具を挿入して戸車の高さを調整可能な高さ調整機構が備えられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の下框部材の改修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引戸に備えられ、レール上を転動する戸車を有する下框部材の改修方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アルミサッシなどからなる枠体を備えた引戸の一例として、レール上を転動する戸車が取り付けられた引戸が知られている。この種の引戸は、建物の壁などに形成された開口部に対してスライド可能に取り付けられ、当該引戸をスライドさせることにより開口部を開閉することができる。上記枠体は、例えば上框部材、下框部材、左框部材及び右框部材が枠組みされた構成であり、その内側にガラス板が保持されている。
【0003】
下框部材に備えられている戸車は、長年の使用により劣化するため、改修が必要となる場合がある。このような改修方法の一例として、例えば既設の下框部材を取り外し、同一形状を有する新設の下框部材を取り付けるような方法が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5462082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来の改修方法では、単に下框部材の機能を新品と同程度に復帰させることができるに過ぎず、下框部材の機能を向上させることはできない。下框部材を改修する際には、既設の下框部材よりも耐久性や使用時の安定性などの機能が向上した下框部材への交換が望まれる場合もある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、下框部材の機能を向上させることができる下框部材の改修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る下框部材の改修方法は、引戸に備えられ、レール上を転動する戸車を有する下框部材の改修方法であって、下框部材除去工程と、下框部材取付工程とを含む。前記下框部材除去工程では、引戸から既設の下框部材が取り除かれる。前記下框部材取付工程では、前記下框部材除去工程により既設の下框部材が取り除かれた引戸に対して、既設の下框部材とは異なる形状からなり、既設の下框部材に備えられている戸車よりも大径の戸車が備えられた新設の下框部材が取り付けられる。
【0008】
このような構成によれば、下框部材の改修を行う際に、引戸から既設の下框部材が取り除かれ、その既設の下框部材とは異なる形状からなる新設の下框部材が取り付けられる。新設の下框部材には、既設の下框部材に備えられている戸車よりも大径の戸車が備えられているため、より大きい重量に耐えられる耐久性の高い下框部材に交換することができる。したがって、本発明に係る方法により下框部材の改修を行えば、下框部材の機能を向上させることができる。
【0009】
(2)既設の下框部材は、ガラス板を保持していてもよい。この場合、前記下框部材の改修方法は、前記下框部材除去工程により既設の下框部材が取り除かれた引戸において、既設の下框部材により保持されていたガラス板の端面が削り取られるガラス板切削工程をさらに含んでいてもよい。前記下框部材取付工程では、前記ガラス板切削工程により削り取られた後のガラス板の端面を保持するように、既設の下框部材よりも高さ方向の寸法が大きい新設の下框部材が引戸に取り付けられてもよい。
【0010】
このような構成によれば、既設の下框部材よりも高さ方向の寸法が大きい新設の下框部材が引戸に取り付けられるため、大径の戸車を確実に収納し、安定して保持することができる。このような大型の下框部材に交換する場合でも、ガラス板の端面が削り取られた上で新設の下框部材が取り付けられるため、引戸の外形寸法に与える影響が少ない。したがって、引戸が取り付けられる枠体側において大きな寸法の変更が必要とならず、最小限の改修作業で下框部材の機能を向上させることができる。
【0011】
(3)新設の下框部材には、戸車を回転可能に保持する保持部材と、前記保持部材に接触して戸車のがたつきを規制する規制部材とが備えられていてもよい。
【0012】
このような構成によれば、戸車を保持する保持部材に対して規制部材が接触することにより、保持部材のがたつきを防止し、その結果、戸車のがたつきを防止することができる。大径の戸車はがたつきが生じやすいが、本発明のように規制部材を設けることにより、新設の下框部材における戸車のがたつきを防止し、下框部材の機能を効果的に向上させることができる。
【0013】
(4)新設の下框部材には、長手方向の端面側から工具を挿入して戸車の高さを調整可能な高さ調整機構が備えられていてもよい。
【0014】
このような構成によれば、新設の下框部材における戸車の高さ調整が、長手方向の端面側から工具を挿入して行われる。このような高さ調整機構により、戸車の回転軸を直接高さ調整するような従来の方法と比較して、より広い範囲で戸車の高さ調整を行うことが可能になるため、下框部材の機能を効果的に向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、より大きい重量に耐えられる耐久性の高い下框部材に交換することができるため、下框部材の機能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】引き違い窓の保持構造の一例を示した内観図である。
図2】引き違い窓の改修方法について説明するための概略図である。
図3】外側引戸における新設の下框部材の部分側断面図である。
図4図3の下框部材におけるA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.引き違い窓の保持構造
図1は、引き違い窓1の保持構造の一例を示した内観図である。引き違い窓1は、室内と室外とを区画するためのものであり、室内側に位置する内側引戸11と、室外側に位置する外側引戸12とからなる。本実施形態における内側引戸11及び外側引戸12は、それぞれ矩形状に枠組みされた框部材によりガラス板を保持する窓である。ただし、本発明は、2つの引戸11,12からなる引き違い窓1に限らず、1つ又は3つ以上の引戸にも適用することができる。
【0018】
引き違い窓1は、建物の開口部2に取り付けられて、当該開口部2を閉塞する。開口部2は、例えば矩形状に形成されており、その内周縁に沿って矩形状の枠体3が取り付けられている。枠体3は、例えば上枠31、下枠32、右枠33及び左枠34が枠組みされることにより構成されている。
【0019】
引き違い窓1を構成する内側引戸11及び外側引戸12は、枠体3内に嵌め込まれる。枠体3の上枠31及び下枠32には、それぞれ2本のレール(図示せず)が設けられており、一方のレールに内側引戸11がスライド可能に保持されるとともに、他方のレールに外側引戸12がスライド可能に保持される。したがって、枠体3のレールに沿って内側引戸11又は外側引戸12をスライドさせることにより、開口部2を開閉することができる。
【0020】
2.引き違い窓の概略構成と改修方法
図2は、引き違い窓1の改修方法について説明するための概略図である。図2では、内側引戸11及び外側引戸12からなる引き違い窓1のうち、内側引戸11の改修方法について説明するが、外側引戸12も内側引戸11と同様の部品により構成されており、本発明は、外側引戸12の改修にも適用することができる。
【0021】
図2(a)に示すように、内側引戸11は、例えば上框部材111、下框部材112、左框部材113及び右框部材114が矩形状に枠組みされた構成であり、その内側にガラス板115が保持されている。下框部材112には、複数の戸車116が備えられており、引き違い窓1が枠体3に取り付けられた状態では、内側引戸11を左右方向D1(上框部材111及び下框部材112が延びる方向)にスライドさせることにより、枠体3に設けられたレール上を戸車116が転動するようになっている。
【0022】
本実施形態では、枠体3に取り付けられている既設の内側引戸11(引き違い窓1)が枠体3から取り外され、この内側引戸11に備えられている下框部材112(既設の下框部材112A)に対する改修が行われる。具体的には、まず、図2(b)に示すように、内側引戸11から既設の下框部材112Aが取り除かれる(下框部材除去工程)。
【0023】
具体的には、既設の下框部材112Aと、既設の左框部材113及び右框部材114とを連結するビスなどの連結具(図示せず)が取り外された後、既設の下框部材112Aが引き抜かれる。このとき、既設の下框部材112Aが取り除かれた内側引戸11において、既設の下框部材112Aにより保持されていたガラス板115の端面115Aが露出することとなる。
【0024】
その後、露出したガラス板115の端面115Aが削り取られる(ガラス板切削工程)。図2(c)に示すように、削り取られた後のガラス板115の端面115Bは、高さ方向D2(左框部材113及び右框部材114が延びる方向)の寸法が長さHだけ短くなる。
【0025】
削り取られた後のガラス板115の端面115Bには、図2(d)に示すように、既設の下框部材112Aとは異なる形状からなる新設の下框部材112Bが取り付けられる。具体的には、ガラス板115の端面115Bを保持するように新設の下框部材112Bが嵌め込まれた後、新設の下框部材112Bと、既設の左框部材113及び右框部材114とを連結するビスなどの連結具(図示せず)が取り付けられる。
【0026】
新設の下框部材112Bは、既設の下框部材112Aよりも長さHだけ高さ方向D2の寸法が大きい。したがって、新設の下框部材112Bが取り付けられた状態では、新設の下框部材112Bの下端面の位置が、既設の下框部材112Aの下端面の位置と同一又は略同一となる。
【0027】
新設の下框部材112Bには、複数の戸車117が備えられている。これらの戸車117は、既設の下框部材112Aに備えられている戸車116よりも大径である。戸車117は、例えば直径が30〜40mm、より具体的には38mm程度である。新設の下框部材112Bが取り付けられた後の内側引戸11は、枠体3に取り付けられ、これにより改修作業が完了する。改修後の内側引戸11が左右方向D1にスライドされたときには、枠体3に設けられたレール上を戸車117が転動することとなる。
【0028】
このように、本実施形態では、下框部材112の改修を行う際に、内側引戸11から既設の下框部材112Aが取り除かれ、その既設の下框部材112Aとは異なる形状からなる新設の下框部材112Bが取り付けられる。新設の下框部材112Bには、既設の下框部材112Aに備えられている戸車116よりも大径の戸車117が備えられているため、より大きい重量に耐えられる耐久性の高い下框部材112Bに交換することができる。したがって、本実施形態に係る方法により下框部材112の改修を行えば、下框部材112の機能を向上させることができる。
【0029】
また、本実施形態では、既設の下框部材112Aよりも高さ方向D2の寸法が大きい新設の下框部材112Bが内側引戸11に取り付けられるため、大径の戸車117を確実に収納し、安定して保持することができる。このような大型の下框部材112Bに交換する場合でも、ガラス板115の端面115Aが削り取られた上で新設の下框部材112Bが取り付けられるため、内側引戸11の外形寸法に与える影響が少ない。したがって、内側引戸11が取り付けられる枠体3側において大きな寸法の変更が必要とならず、最小限の改修作業で下框部材112の機能を向上させることができる。
【0030】
3.引き違い窓の具体的構成
図3は、外側引戸12における新設の下框部材112Bの部分側断面図である。図4は、図3の下框部材112BにおけるA−A断面図である。なお、図3では、下框部材112Bの一方の端部の構成についてのみ説明するが、下框部材112Bの他方の端部にも同様の構成が備えられている。また、図3及び図4では、内側引戸11及び外側引戸12からなる引き違い窓1のうち、外側引戸12における新設の下框部材112Bの具体的構成についてのみ説明するが、内側引戸11にも外側引戸12と同様の具体的構成を有する新設の下框部材112Bが取り付けられる。
【0031】
下框部材112Bは、水平方向に沿って長尺な形状を有する框本体20を備えている。この框本体20は、例えばアルミニウムを材料とした押出成形により一体的に形成することができる。框本体20は、互いに平行に延びる1対の側板部21を備えており、これらの1対の側板部21が間隔を隔てて連結されることにより、中空状に形成されている。ただし、框本体20の材料としては、アルミニウムに限らず、他のあらゆる材料を採用することができる。また、框本体20は、押出成形により一体的に形成されるものに限らず、例えば組み立てられるような構成などであってもよい。
【0032】
この例では、1対の側板部21の下部が、水平方向に延びる下板部22により連結されるとともに、1対の側板部21の上部が、水平方向に延びる上板部23により連結されている。下板部22における長手方向の両端部には、それぞれ開口25が形成されている。框本体20内における開口25の上方の領域は、戸車117を取り付けるための戸車取付部26を構成している。当該戸車取付部26には、戸車117を回転可能に保持する保持部材13が備えられている。
【0033】
1対の側板部21と下板部22とにより框本体20の下部に形成された断面U字状の部分は、下方からレールを受け入れるためのレール受入部27を構成している。また、1対の側板部21と上板部23とにより框本体20の上部に形成された断面U字状の部分は、上方からガラス板115を受け入れるためのガラス板受入部28を構成している。上板部23の上面には、ガラス板115の端面115Bを受けるガラスライナー231が貼り付けられている。一方の側板部21の下端部には、図4に示すように、シール材14を取り付けるための爪部29が、長手方向の一端部から他端部まで延びるように形成されている。
【0034】
保持部材13は、框本体20に固定される固定部131と、固定部131に対して揺動可能に取り付けられた揺動部132とが備えられている。戸車117は、前後方向に延びる回転軸133により、揺動部132に回転可能に取り付けられている。また、揺動部132は、回転軸133に対して平行に延びる揺動軸134により、固定部131に揺動可能に取り付けられている。
【0035】
固定部131は、ビスなどからなる固定具135により、框本体20に固定されている。固定部131には、同じくビスなどからなる調整具136が取り付けられており、当該調整具136が接触位置Pにおいて揺動部132に接触している。調整具136は、揺動軸134に対して交差する方向、例えば直交方向に変位可能となっている。この例では、調整具136を回転させることにより、調整具136が軸線方向に変位し、当該調整具136に接触している揺動部132が揺動軸134を中心に揺動するようになっている。その結果、揺動部132に取り付けられている戸車117の高さを調整することができる。すなわち、揺動部132及び調整具136などは、戸車117の高さを調整可能な高さ調整機構137を構成している。
【0036】
図3に示すように、高さ調整機構137を用いて戸車117の高さ調整を行う際には、下框部材112Bに対して長手方向の端面側(左端面側又は右端面側)から、ドライバーなどの工具4が框本体20内に挿入される。そして、工具4を調整具136に接触させて回転させることにより、揺動部132を揺動させて戸車117の高さを調整することができる。このような高さ調整機構137により、戸車の回転軸を直接高さ調整するような従来の方法と比較して、より広い範囲で戸車117の高さ調整を行うことが可能になるため、下框部材112の機能を効果的に向上させることができる。
【0037】
また、図4に示すように、各側板部21の内面(戸車117に対向する面)には、戸車117側に向かって突出する凸部211が形成されている。これらの凸部211は、保持部材13に対向する位置、より具体的には揺動部132に対向する位置に設けられており、各凸部211の先端が揺動部132に接触又は近接している。これにより、各凸部211は、保持部材13(揺動部132)に接触して戸車117のがたつきを規制する規制部材を構成している。すなわち、戸車117を保持する保持部材13に対して各凸部211が接触することにより、保持部材13のがたつきを防止し、その結果、戸車117のがたつきを防止することができる。大径の戸車117はがたつきが生じやすいが、本実施形態のように各凸部211を設けることにより、新設の下框部材112Bにおける戸車117のがたつきを防止し、下框部材112Bの機能を効果的に向上させることができる。
【0038】
以上の実施形態では、図2に示すように、ガラス板115の端面115Aを削り取った後に、削り取られた後のガラス板115の端面115Bを保持するように、新設の下框部材112Bが取り付けられるような構成について説明した。しかし、このような構成に限らず、既設の下框部材112Aが取り除かれた後のガラス板115の端面115Aが、そのまま新設の下框部材112Bにより保持されるような構成であってもよい。この場合、新設の下框部材112Bが、既設の下框部材112Aに備えられている戸車116よりも大径の戸車117を備えていればよい。
【0039】
保持部材13に接触して戸車117のがたつきを規制する規制部材は、各側板部21の内面から突出する凸部211により構成されるものに限らず、保持部材13に接触する他の任意の構成であってもよい。また、規制部材は、保持部材13に接触可能なものであれば、揺動部132に接触又は近接するような構成に限られるものではなく、保持部材13の構成についても、固定部131と揺動部132とを備えた構成に限られるものではない。
【0040】
高さ調整機構137は、下框部材112Bに対して長手方向の端面側から工具4を挿入して戸車117の高さを調整可能な構成であれば、揺動部132及び調整具136などにより構成されるものに限らない。また、工具4は、ドライバーに限らず、他の専用又は汎用の工具4が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 引き違い窓
2 開口部
3 枠体
4 工具
11 内側引戸
12 外側引戸
13 保持部材
14 シール材
20 框本体
21 側板部
22 下板部
23 上板部
25 開口
26 戸車取付部
27 レール受入部
28 ガラス板受入部
29 爪部
31 上枠
32 下枠
33 右枠
34 左枠
111 上框部材
112 下框部材
112A 既設の下框部材
112B 新設の下框部材
113 左框部材
114 右框部材
115 ガラス板
115A,115B 端面
116,117 戸車
131 固定部
132 揺動部
133 回転軸
134 揺動軸
135 固定具
136 調整具
137 高さ調整機構
211 凸部
図1
図2
図3
図4