特許第6594872号(P6594872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6594872熱拡散性末端部を備えた加熱式エアロゾル発生物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594872
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】熱拡散性末端部を備えた加熱式エアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20060101AFI20191010BHJP
【FI】
   A24F47/00
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-532091(P2016-532091)
(86)(22)【出願日】2014年12月4日
(65)【公表番号】特表2017-501687(P2017-501687A)
(43)【公表日】2017年1月19日
(86)【国際出願番号】EP2014076652
(87)【国際公開番号】WO2015082654
(87)【国際公開日】20150611
【審査請求日】2017年11月16日
(31)【優先権主張番号】13195907.4
(32)【優先日】2013年12月5日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】マルガ アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】ルーディエ ステファーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ボルヘス デ クラサ アナ カロリーナ
(72)【発明者】
【氏名】ラヴァンシー フレデリク
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー セドリック
【審査官】 岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/120849(WO,A1)
【文献】 特表2013−519382(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/098405(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体を備えたエアロゾル発生装置と併用するための加熱式エアロゾル発生物品であって、前記加熱式エアロゾル発生物品が、口側の端および前記口側の端の上流にある遠位端を有するロッドの形態であり、前記エアロゾル発生物品が、前記ロッド内で前記口側の端の上流に位置するエアロゾル形成基体を持ち、前記加熱式エアロゾル発生物品の前記遠位端が、不燃性の熱伝導性材料にかかり、前記ロッドの前記遠位端から熱を奪うように熱を分散し、前記ロッドの前記遠位端への空気の流れを阻止し、それによって炎を当てることによる前記ロッドの不注意な点火のリスクを軽減し、前記不燃性の熱伝導性材料が、前記ロッドの前記遠位端への空気流を可能にするように破壊可能である、加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記不燃性の熱伝導性材料が金属箔であるかまたは金属箔を含む、請求項1に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記金属箔がアルミ箔である、請求項2に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記不燃性の熱伝導性材料が、前記ロッドの前記遠位端にかかり、前記ロッドに沿って下流に伸びて、前記ロッドの前記遠位端に直接あたる熱を分散させる、請求項1、2、または3に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記不燃性の熱伝導性材料が前記ロッドに沿って下流に少なくとも10mm延びる、請求項4に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項6】
加熱式エアロゾル発生システムであって、
請求項1〜5のいずれか1項で定義された加熱式エアロゾル発生物品と、
発熱体を備えたエアロゾル発生装置とを含み、前記エアロゾル発生装置が、前記加熱式エアロゾル発生物品の前記遠位端にかかる前記熱伝導性材料を破壊し、ユーザーが前記ロッドの前記口側の端を吸い込んだ時に、空気が前記エアロゾル発生物品を通して引き出されるようにするための破壊要素を含む、加熱式エアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記破壊要素が、前記加熱式エアロゾル発生物品が前記エアロゾル発生装置と係合した時に、前記加熱式エアロゾル発生物品の前記遠位端に挿入されて、前記不燃性の熱伝導性材料を破壊し、前記エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを形成するように配置された発熱体である、請求項6に記載の加熱式エアロゾル発生システム。
【請求項8】
a)前記ロッドの前記遠位端を発熱体を備えたエアロゾル発生装置と結合させる工程と、
b)前記ロッドの前記遠位端にかかる前記不燃性の熱伝導性材料を破壊する工程と、
c)前記発熱体を作動させて、前記エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを発生させる工程と、
d)前記エアロゾルを前記ロッドの前記口側の端を通して吸入する工程とを含む、請求項1〜5のいずれか1項で定義した加熱式エアロゾル発生物品を喫煙する方法。
【請求項9】
前記ロッドの前記遠位端を前記エアロゾル発生装置と結合させる前記工程が、破壊要素が前記エアロゾル発生物品の前記遠位端を貫通する原因となり、それによって前記不燃性の熱伝導性材料を破壊させる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記破壊要素が前記エアロゾル発生装置の前記発熱体である、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、発熱体を備えたエアロゾル発生装置と併用するための加熱式エアロゾル発生物品に関連し、物品は、例えば炎に接触させた時に低い発火傾向を持つ。
【背景技術】
【0002】
たばこ含有基体などのエアロゾル形成基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品が当業界で周知である。このような加熱式エアロゾル発生物品の1つの目的は、従来的な紙巻たばこにおけるたばこの燃焼および熱分解によって生成される周知の有害な煙成分を減少させることである。従来的な紙巻たばこは、ユーザーが炎を紙巻たばこの一方の端に付けて、他方の端を通して空気を吸う時に点火される。炎と紙巻たばこを通して引き出された空気中の酸素によって提供される局部的な熱が、紙巻たばこの端部を発火させ、その結果生じる燃焼が吸入可能な煙を発生する。それに対して、加熱式エアロゾル発生物品では典型的に、吸入可能なエアロゾルは、熱源の中、周りまたは下流に位置し得る、熱源から物理的に離れたエアロゾル形成基体または材料への熱伝達によって生成される。消費中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル形成基体から放出され、エアロゾル発生物品を介して引き出された空気中に一緒に運ばれる。放出された化合物が冷めるにつれて凝結してエアロゾルを形成し、これが消費者によって吸い込まれる。
【0003】
燃焼ではなく加熱によってエアロゾルを発生させるためのたばこを含む加熱式エアロゾル発生物品が、当業界で周知である。例えば、第WO2013/102614号は、加熱式エアロゾル発生物品と、加熱式エアロゾル発生物品を加熱してエアロゾルを生成するためのヒーターとを持つエアロゾル発生装置を備えたエアロゾル発生システムを開示している。
【0004】
加熱式エアロゾル発生物品でエアロゾル形成基体の一部として使用されるたばこは、燃焼された時ではなく加熱された時にエアロゾルを生成するよう設計される。従って、こうしたたばこは一般に、グリセリンまたはプロピレングリコールなど高レベルのエアロゾル形成剤を含む。ユーザーが、加熱式エアロゾル発生物品に点火して従来的な紙巻たばこであるかのように喫煙する場合、そのユーザーは意図されたユーザー体験をすることはない。炎による発火傾向性の低い加熱式エアロゾル発生物品を製造することが望ましいであろう。こうした加熱式エアロゾル発生物品は、物品をライター(炎など)で伝統的紙巻たばこの方法で点火を試みた時に、点火が困難であることが好ましい。
【0005】
加熱式エアロゾル発生物品は、口側の端および口側の端の上流にある遠位端を有するロッドの形態で提供されうる。エアロゾル発生物品は、ロッド内の口側の端の上流に位置するエアロゾル形成基体を有し、加熱式エアロゾル発生物品の遠位端は不燃性の熱伝導性材料全体にわたる。加熱式エアロゾル発生物品は、発熱体を備えたエアロゾル発生装置と併用するためのものである。炎またはその他の紙巻たばこライターなどの熱源が加熱式エアロゾル発生物品の遠位端に当たると、エアロゾル発生物品の遠位端にかかる熱伝導性材料は熱源と接触する点から熱の一部を奪う。従って、加熱式エアロゾル発生物品内のエアロゾル形成基体の温度をその点火点まで上げるためには、より多くの熱エネルギーが供給される必要がある。これにより、エアロゾル形成基体の発火傾向性が低下する。従って、熱伝導性の材料は、熱がエアロゾル発生物品内に引き込まれないように阻止し、ユーザーが炎またはその他の点火源をエアロゾル発生物品に当てることによってエアロゾル形成基体を点火するリスクを軽減させる熱伝導性の炎バリアとしての役目をしうる。
【0006】
エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通ってユーザーの肺に直接吸入可能なエアロゾルを生成する喫煙物品であることが好ましい。さらに、エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通ってユーザーの肺に直接吸入可能なニコチン含有エアロゾルを生成する喫煙物品であることが好ましい。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを生成する装置を記述するために使用される。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用してユーザーの肺にユーザーの口を通して直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙装置であることが好ましい。エアロゾル発生装置は、喫煙物品のためのホルダでもよい。
【0008】
誤解を避けるために、「発熱体」という用語は、1つ以上の発熱体を意味するために使用される。
【0009】
熱伝導性材料は不燃性の材料である。熱伝導性材料は、アルミ箔などの金属箔であることが好ましい。熱伝導性材料は、アルミ箔などの金属箔を含みうる。例えば、熱伝導性材料は、アルミ箔および紙などの第二の材料を含む一つに薄層形成されたシートとしうる。アルミ箔は、それ自体でまたは一つに薄層形成されたシート内の1つの層として非常に効率の高い熱伝導体である。熱伝導性材料は炭素質の材料ではない。
【0010】
加熱式エアロゾル発生物品は、紙巻たばこ用紙などのラッパー内で組み立てられてロッドを形成するエアロゾル形成基体を含む、複数の要素を含みうる。熱伝導性材料は、ロッドの遠位端にかかり、ロッドへの熱の流入を阻止するのに役立つように配置されている。熱伝導性材料はまた、エアロゾル形成基体の発火のリスクを低減するために、加熱式エアロゾル発生装置の遠位端から熱を奪うように熱を拡散してもよい。
【0011】
熱伝導性材料は、ロッドの遠位端にかかり、かつロッドに沿って下流に延びて、ロッドの遠位端に直接あたる熱を分散させて、それによってロッドの発火傾向を低減させてもよい。例えば、熱伝導性材料は、ロッドに沿って下流に少なくとも5mmの距離だけ伸びうるが、ロッドに沿って下流に少なくとも10mmが好ましい。
【0012】
加熱式エアロゾル発生物品は、口側の端および口側の端の上流にある遠位端を持つロッドの形態でもよく、スペーサー要素がロッド内のエアロゾル形成基体の上流に位置する。スペーサー要素は管の形態としうる。熱伝導性材料はスペーサー要素によって配置されてもよい。例えば、スペーサー要素は管の形態としうるが、熱伝導性材料は管の端部にかかってもよい。
【0013】
熱伝導性材料は、物品の遠位端への空気の流れが阻止されるように、エアロゾル発生物品の遠位端にかかりうる。熱伝導性材料は、遠位端への空気の流れを可能にするように破壊可能であることが好ましい。
【0014】
加熱式エアロゾル形成物品の望ましい実施形態において、エアロゾル形成基体は、ラッパーによって囲まれたエアロゾル形成材料シートの集合体を含みうる。エアロゾル形成材料シートの集合体は均質化したたばこシートなどのたばこシートとしうる。
【0015】
エアロゾル形成基体は、カットフィラーのロッドとして形成してもよく、カットフィラーのロッドはラッパーによって取り囲まれてもよい。
【0016】
加熱式エアロゾル発生物品は、加熱式エアロゾル発生物品の遠位端に挿入するための挿入可能な発熱体を備えたエアロゾル発生装置と併用されることが好ましい。発熱体は、熱伝導性材料を除去することで、または熱伝導性材料に穴を開けることにより、エアロゾル発生物品内にあるエアロゾル形成基体と接触させてもよい。使用前に、熱伝導性材料は、炎などの外部的な点火源を使用したエアロゾル形成基体の点火に対していくらかの軽減をする。
【0017】
エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成材料を含むロッドの形態としうる。ラッパーによって囲まれたエアロゾル形成材料のシートの集合体を備えたロッドが提供されうる。こうしたロッドは、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体として、紙巻たばこ用紙またはその他の適切な材料内で組み立ててもよい。
【0018】
エアロゾル形成材料シートは、例えば均質化したたばこ、再構成たばこまたはキャストリーフたばことして分類されうるたばこなどのたばこを含むことが好ましい。
【0019】
材料シートの集合体は、実質的にロッドの全長に沿って、かつ実質的にロッドの横断断面積全体を横切って延びることが好ましい。
【0020】
本明細書によるロッドは、実質的に一様な断面であることが好ましい。
【0021】
本明細書の様々な態様によるロッドは、それらの意図される用途に応じて異なる寸法を持つものとして製造されうる。加熱式エアロゾル発生物品はロッドの形態であり、また加熱式エアロゾル発生物品の構成部分であるエアロゾル形成基体もロッドの形態としうる。
【0022】
本明細書によるロッドは、それらの意図される用途に応じて約5mm〜約10mmの直径を持ちうる。
【0023】
例えば、本明細書によるロッドは、それらの意図される用途に応じて約5mm〜約150mmのロッド長さを持ちうる。
【0024】
望ましい実施形態で、加熱式エアロゾル発生物品でエアロゾル形成基体として使用するための本明細書によるロッドは、約5mm〜約20mmまたは約30mmのロッド長さを持ちうる。
【0025】
本発明による望ましい単位ロッド長さのロッドは、複数単位ロッド長さのロッドを形成した後で、複数単位ロッド長さのロッドを望ましい単位ロッド長さの複数のロッドに切断またはその他の方法で分割することにより製造されてもよい。
【0026】
例えば、加熱式エアロゾル発生物品でエアロゾル形成基体として使用するためのロッド長さが約15mmのロッドは、ロッド長さが約150mmのロッドを形成した後、細長いロッドをロッド長さが約15mmの10個のロッドに切断することにより製造されてもよい。
【0027】
本明細書で使用される「ロッド」という用語は、実質的に円形、長円形または楕円形の断面の一般的に円筒形の要素を示すために使用される。
【0028】
本明細書で使用される「シート」という用語は、実質的にその厚さより大きい幅および長さを有する薄層状の要素を意味する。シートの幅は10mmよりも大きく、20mmまたは30mmよりも大きいことが好ましい。
【0029】
本明細書で使用される「一つに薄層形成されたシート」という用語は、互いに密着した2層以上の材料から形成された単一のシートを意味する。
【0030】
本明細書で使用される「エアロゾル形成材料」という用語は、加熱されると揮発性化合物を放出してエアロゾルを発生させる能力を持つ材料を示す。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成材料を含むか、またはそれによって構成されうる。
【0031】
本明細書で使用される「ロッドの長さ」という用語は、本明細書で描写したロッドの円筒軸方向の寸法を示す。
【0032】
本明細書で使用される「均質化したたばこ材料」という用語は、粒子状たばこを凝集することによって形成される材料を意味する。
【0033】
本明細書で使用される「集合」という用語は、たばこ材料シートが、巻き込まれ、折り畳まれ、または他の方法でロッドの円筒軸方向に対して実質的に横方向に圧縮または収縮されていることを示す。
【0034】
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、本明細書で描写されているロッドを含むエアロゾル発生物品の構成要素もしくは構成要素の部分の、その使用時にエアロゾル発生物品を通して引き出された空気の方向に対する相対的な位置を表すために使用される。
【0035】
エアロゾル形成材料のシートの集合体は、きめのある材料シートとしうる。きめのある材料シートの使用は、有利なことに、シートの集合を促進して本明細書で説明したエアロゾル形成基体を形成しうる。
【0036】
本明細書で使用される「きめのあるシート」という用語は、捲縮され、型押しされ、デボス加工され、穿孔され、または別途変形されたシートを意味する。きめのある材料シートは、複数の間隔を置いたへこみ、突起、穿孔またはそれらの組み合わせを含みうる。
【0037】
本明細書で使用される「捲縮したシート」という用語は、「しわ付けしたシート」という用語と同義語であることが意図され、複数の実質的に平行した隆起または波型形状のあるシートを意味する。
【0038】
エアロゾル形成基体が燃焼するよりはむしろ加熱される多くのエアロゾル発生物品が、当業界において提唱されてきた。加熱式エアロゾル発生物品では通常、エアロゾルは、熱源、例えば、化学的、電気的または可燃性熱源から、熱源の内部、周囲、または下流に位置しうる物理的に分離されたエアロゾル形成基体に熱伝達することにより生成される。
【0039】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、加熱されると揮発性化合物を放出してエアロゾルを発生する能力を持つエアロゾル形成材料から構成されるか、またはそれを含む基体を示す。
【0040】
加熱式エアロゾル発生物品でエアロゾル形成基体として使用されるロッドの長さは一般に、従来的な点火側の端を有する喫煙物品で使用する可燃性の喫煙可能材料のロッドよりも著しく短い。
【0041】
好ましい実施形態で、本明細書で描写した加熱エアロゾル発生物品は、加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体が電気的な熱源により加熱される電気的に動作するエアロゾル発生システムで使用するためである。こうした加熱式エアロゾル発生物品は、遠位端にエアロゾル形成基体を持つものとして構成されることが頻繁にある。従って、ユーザーは不注意にも物品を従来的な方法での点火を試みることがある。エアロゾル発生物品の遠位端が熱伝導性材料全体にわたる加熱式エアロゾル発生物品の発火傾向の低下は、有利なことにユーザーに物品の点火を試みることを思いとどまらせうる。
【0042】
加熱式エアロゾル発生物品は、第EP−A−0 822 670号に開示したタイプのものとしうる。
【0043】
電気的に動作するエアロゾル発生器具、およびその器具で使用するためのエアロゾル発生物品を含むシステムが提供されうる。エアロゾル発生物品は、本明細書で描写した任意の加熱式エアロゾル発生物品である。
【0044】
エアロゾル発生物品の好ましい実施形態は、エアロゾル形成基体として均質化したたばこ材料のシートの集合体を備える。一定の実施形態で、均質化したたばこ材料のシートは、乾燥質量ベースで少なくとも約40重量パーセントまたは乾燥質量ベースで少なくとも約50重量パーセントのたばこ含有量を持ちうる。別の実施形態で、均質化したたばこ材料のシートは、乾燥質量ベースで約70重量パーセント以上のたばこ含有量を持ちうる。高いたばこ含有量を持つ均質化したたばこ材料シートの使用は有利なことに、たばこ風味が改善されたエアロゾルを発生する。
【0045】
均質化したたばこ材料のシートは、粒子状たばこを凝集するのを補助するために1つ以上の固有の結合剤を含んでもよく、それはたばこ内因性結合剤、1つ以上の外因性結合剤であり、それはたばこ外来性結合剤またはそれらの組み合わせである。別の方法として、または加えて、均質化したたばこ材料のシートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成剤、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、水性および非水性の溶媒およびこれらの組み合わせを含むが限定されないその他の添加剤を含んでもよい。
【0046】
均質化したたばこ材料のシートに含める適切な外因性結合剤は、当業界で周知であり、例えばグアーガム、キサンタンガム、アラビアゴムおよびローカストビーンガムなどのゴム、例えばヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロース結合剤、例えばデンプン、アルギン酸などの有機酸、アルギン酸ナトリウム、寒天およびペクチンなどの有機酸の共役塩基塩などの多糖類、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0047】
均質化したたばこ材料シートは、乾燥質量ベースで約1パーセント〜約5パーセントの非たばこ繊維を含みうる。
【0048】
均質化したたばこ材料のシートに含めるための適切なエアロゾル形成剤および湿潤剤は当業界で周知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオールおよびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これに限定されない。
【0049】
例えば、均質化したたばこ材料のシートは、乾燥質量で約5〜約30重量パーセントのエアロゾル形成剤含有量を持ちうる。加熱式エアロゾル発生物品は、5%〜約30%よりも大きいエアロゾル形成体含有量を持つ均質化したたばこを含むことが好ましいことがある。エアロゾル形成剤は、グリセリンであることが好ましいことがある。
【0050】
本明細書で説明した加熱式エアロゾル発生物品の形成において使用するための均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこおよび1つ以上の結合剤を含むスラリーをコンベヤーベルトまたはその他の支持表面上にキャスティングし、キャストスラリーを乾燥させて均質化したたばこ材料シートを形成し、均質化したたばこ材料シートを支持表面から除去することを一般的に含むタイプのキャスティングプロセスにより形成されることが好ましい。
【0051】
例えば、ある一定の実施形態において、均質化したたばこ材料のシートは、キャスティングプロセスによって粒子状たばこ、グアーガム、セルロース繊維およびグリセリンを含むスラリーから形成されうる。
【0052】
均質化したたばこ材料シートは、フィルタートウ、紙およびその他の材料に、きめを施すための適切な公知の機械類を使用して、きめを施してもよい。
【0053】
例えば、均質化したたばこ材料シートは、回転可能な1対の捲縮ローラーを備えるCH−A−691156号に記載されているタイプの捲縮ユニットを使用して捲縮しうる。ところが、当然のことながら均質化したたばこ材料シートは、均質化したたばこ材料シートを変形または穿孔するその他の適切な機械類およびプロセスを使用して、きめを施してもよい。
【0054】
加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の形成に使用するためのたばこ材料のシートは、少なくとも約25mmの幅を持つことが好ましい。一定の実施形態で、材料シートは約25mm〜約300mmの幅を持ちうる。材料シートは、少なくとも約50μm〜約300μmの厚さを持つことが好ましい。
【0055】
一定の実施形態で、個別の材料シートは、10μm〜約250μmの厚さを持ちうる。一定の実施形態で、均質化したたばこ材料シートは、100g/m2〜約300g/m2の坪量を持ちうる。
【0056】
加熱式エアロゾル発生物品のためのエアロゾル形成基体を形成する方法が、提供されうる。方法は、エアロゾル形成材料を含む連続的なシートを供給する工程と、シートをその長軸方向の軸に対して横方向にまとめる工程と、シートの集合体をラッパーで囲んで連続的なロッドを形成する工程と、連続的なロッドを複数のエアロゾル形成基体の個別ロッドに切断する工程とを含みうる。エアロゾル形成材料は、上述の任意のエアロゾル形成材料でよく、均質化したたばこが好ましい。一定の実施形態で、ラッパーは紙巻たばこ用紙などの適切な任意の材料である。
【0057】
方法はさらに、連続的なシートに、きめを施す工程を含みうる。例えば、方法は、捲縮、エンボス加工、穿孔または集める前に連続的なシートにきめを施すそれ以外の工程を含みうる。
【0058】
具体的な実施形態を以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1図1は、加熱式エアロゾル発生物品で使用するためのエアロゾル形成基体のロッドを形成するための装置の概略的断面を示す。
図2図2は、本明細書で説明したエアロゾル発生物品の実施形態を図示する。
図3図3は、本明細書で説明したエアロゾル発生物品の別の実施形態を図示する。
図4図4は、図2に図示した電気的に動作するエアロゾル発生装置およびエアロゾル発生物品を含むエアロゾル発生システムを図示したものである。
図5図5は、図4に図示したエアロゾル発生装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図1に示す器具は一般的に、連続的な均質化したたばこのシートを供給する供給手段と、連続的なシートを捲縮する捲縮手段と、連続的に捲縮したシートを集合させて、集合した材料をラッパーで囲んで連続的なロッドを形成するロッド形成手段と、連続的なロッドを複数の個々のエアロゾル発生ロッドに切断する切断手段とを含む。器具はまた、供給手段からロッド形成手段へ捲縮手段を経由して、装置を通して下流に、材料の連続的なシートを搬送する搬送手段を含む。
【0061】
図1に示す通り、連続的なシートを供給するための供給手段は、ボビン4に取り付けられた連続的な均質化したたばこシート2を含む。捲縮手段は1対の回転可能な捲縮ローラー6を含む。使用中、均質化したたばこ2の連続的なシートは第一のボビン4から引き出され、1対の捲縮ローラー6まで、一連のガイドおよびテンションローラーを経由して搬送機構によって下流に搬送される。非たばこ材料2の連続的なシートが1対の捲縮ローラー6間に供給されると、捲縮ローラーが噛み合い、シート2を捲縮して、器具を通して、シートの長軸方向軸に対して実質的に平行な複数の間隙を介した隆起または波型形状を持つ、連続的に捲縮した均質化したたばこのシート8を形成する。
【0062】
均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシート8は、1対の捲縮ローラー6からロッド形成手段へと下流に搬送され、そこで先細の漏斗またはホーン10を通して供給される。先細の漏斗10は、均質化したたばこの連続的なシート8をその長軸方向の軸に対して横方向に集合させる。材料シート8は、先細の漏斗10を通過する際は実質的に円筒形の構造であると想定される。
【0063】
先細の漏斗10を出ると、均質化したたばこのシートの集合体は、紙巻たばこ用紙12の連続的なシートで包まれる。連続的な紙シートはボビン14から供給され、エンドレスベルトコンベアまたは装具によって、均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシートの集合体の周りで包まれる。図1に示す通り、ロッド形成手段は、連続的な紙シートの対向にある長軸方向の端が接触し互いに接着して連続的なロッドを形成するように、連続的な紙シートの長軸方向の端のうち片方に接着剤を塗布する接着剤塗布手段16を含む。
【0064】
ロッド形成手段は、接着剤塗布手段16の下流にある乾燥手段18をさらに含むが、これは使用中に、連続的なロッドがロッド形成手段から切断手段へと下流に搬送される際に、連続的なロッドの継ぎ目に塗布された接着剤を乾燥させる。
【0065】
切断手段は、連続的なロッドを単位ロッド長さまたは複数単位ロッド長さの複数の個々のロッドに切断するロータリーカッター20を含む。
【0066】
図2は、本明細書で描写したロッドを備えた加熱式エアロゾル発生物品1000の実施形態を図示したものである。物品1000は、エアロゾル形成基体1020と、中空のセルロースアセテートチューブ1030と、スペーサー要素1040と、マウスピースフィルター1050という4つの要素を含む。これら4つの要素は順に同軸の配置で並べられ、紙巻たばこ用紙1060によって組み立てられ、エアロゾル発生物品1000を形成する。物品1000は口側の端1012を有し、ユーザーは使用中にその端を口の中に挿入し、遠位端1013は口側の端1012に対して物品の反対側の端に位置する。図2に図示したエアロゾル発生物品の実施形態は、エアロゾル形成基体を加熱するためのヒーターを備えた電気的に動作するエアロゾル発生装置との併用に特に適切である。
【0067】
組み立てられた時、物品1000は長さ約45ミリメートルであり、約7.2ミリメートルの外径と約6.9ミリメートルの内径を持つ。
【0068】
エアロゾル形成基体1020は、紙で包装されてプラグを形成する均質化したたばこのシートを捲縮・集合させて形成されるロッドを含む。加熱式エアロゾル発生物品の遠位端は、遠位端の周りにかつ物品に沿って下流に約10mm延びるアルミ箔1222全体にわたる。ユーザーは、遠位端1013に炎を当てるのと同時にマウスピースから空気を吸って、エアロゾル形成基体1020の点火を不注意に試みることがある。これが発生した場合、エアロゾル発生物品の遠位端にかかるアルミ箔が、適用された熱を素早く拡散させて、それによって均質化したたばこ成分が発火温度まで上昇するのをより困難なものにする。さらに、箔は空気が物品内に引き込まれることを実質的に阻止し、それによって燃焼のためにエアロゾル形成基体の領域内で使用できる酸素を制限する。この低下された発火傾向および燃焼傾向は、ユーザーにとって物品の点火を試みることを断念するのに十分であると考えらえる。
【0069】
図2に図示したエアロゾル発生物品1000は、消費されるためにエアロゾル発生装置と勘合するように設計されている。こうしたエアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体1020を十分な温度に加熱してエアロゾルを形成する手段を含む。一般に、エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体1020に隣接したエアロゾル発生物品1000を囲む発熱体、またはエアロゾル形成基体1020に挿入される発熱体を備えうる。
【0070】
エアロゾル発生装置と勘合されると、ユーザーは喫煙物品1000の口側端1012を吸い、エアロゾル形成基体1020が約375℃の温度に加熱される。この温度にて、揮発性化合物は、エアロゾル形成基体1020のキャストリーフたばこシートから放出される。これらの化合物は凝縮されてエアロゾルを形成する。エアロゾルはフィルター1050を通して引き出され、ユーザーの口に入る。
【0071】
図3は、本明細書で描写したロッドを備えた加熱式エアロゾル発生物品3000の代替的な実施形態を図示したものである。物品3000は、エアロゾル形成基体3020と、中空のセルロースアセテートチューブ3030と、エアロゾル冷却要素3040と、マウスピースフィルター3050という4つの要素を含む。これら4つの要素は順に同軸の配置で並べられ、紙巻たばこ用紙3060によって組み立てられ、エアロゾル発生物品3000を形成する。物品3000は口側の端3012を有し、使用者は使用中にその端を口の中に挿入し、遠位端3013は口側の端3012に対して物品の反対側の端に位置する。エアロゾル冷却要素3040は、図2に関連して説明したスペーサー要素として、またエアロゾル冷却要素としての役目をする。使用において、エアロゾル形成基体3020から放出される揮発性物質は、エアロゾル発生物品3000の口側の端3012の方へエアロゾル冷却要素3040に沿って通過する。揮発性物質は、エアロゾル冷却要素3040内で冷却してユーザーによって吸入されるエアロゾルを形成してもよい。図3に図示した実施形態において、エアロゾル冷却要素は、ラッパー90によって囲まれたポリ乳酸の捲縮したシートの集合体を含む。図2に図示した実施形態と同様に、加熱式エアロゾル発生物品の遠位端は、遠位端の周りにかつ物品に沿って下流に約10mm延びるアルミ箔3222全体にわたる。
【0072】
図4は、エアロゾル発生物品1000のエアロゾル発生基体1020を加熱するための加熱用ブレード2100を利用した電気的に動作するエアロゾル発生システム2000の一部を図示する。加熱用ブレードは、電気的に動作するエアロゾル発生装置2010のエアロゾル物品受入れチャンバ内に取り付けられる。エアロゾル発生装置は、空気がエアロゾル発生物品1000に流れるようにするための複数の空気穴2050を画定する。エアロゾル発生装置2010と係合させることで、遠位端1013にかかるアルミ箔1222は加熱用ブレード2100によって穴が開けられる。従って、加熱用ブレードが作動され、ユーザーがエアロゾル発生物品の口側の端を吸うと、空気が物品に流れ込み、口側の端を通してエアロゾルをユーザーに送達することができる。空気の流れは、図4の矢印で表示されている。エアロゾル発生装置は電源および電子部品を含むが、図5に図示されている。図4のエアロゾル発生物品1000は、図2に関連して説明した通りである。
【0073】
図5において、エアロゾル発生装置2010の構成要素は簡略化した様式で示されている。特に、エアロゾル発生装置2010の構成要素は、図4での縮尺通りには描かれていない。実施形態の理解に関連しない構成要素は省略して図4を簡略化した。
【0074】
図5に示したように、エアロゾル発生装置2010はハウジング6130を含む。発熱体6120は、ハウジング6130内のエアロゾル発生物品受入れチャンバ内に取り付けられる。エアロゾル発生物品1000(図5に破線によって示す)は、発熱体6120がエアロゾル発生物品1000のエアロゾル形成基体1020の中に直接挿入されるように、エアロゾル発生装置2010のハウジング6130内のエアロゾル発生物品受入れチャンバの中に挿入される。
【0075】
ハウジング6130内には、電気エネルギー供給源6140、例えば再充電可能リチウムイオン電池がある。コントローラ6150は、発熱体6120、電気的なエネルギー供給6140およびユーザーインタフェース6160、例えばボタンまたはディスプレイに接続される。コントローラ6150は、その温度を調節するために発熱体6120に供給される電力を制御する。
【0076】
上述の例示的な実施形態は限定するものではない。上記で考察した例示的な実施形態に照らすことにより、上記の例示的な実施形態と一貫したその他の実施形態も当業者には明らかとなろう。
図1
図2
図3
図4
図5