特許第6594880号(P6594880)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6594880自動車との自動ペアリングが可能な携帯電話、及び自動ペアリング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594880
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】自動車との自動ペアリングが可能な携帯電話、及び自動ペアリング方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20191021BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20191021BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20191021BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20191021BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20191021BHJP
【FI】
   H04M1/00 U
   E05B49/00 J
   H04Q9/00 301B
   H04M11/00 301
   B60R25/24
【請求項の数】20
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-541007(P2016-541007)
(86)(22)【出願日】2014年12月19日
(65)【公表番号】特表2017-512388(P2017-512388A)
(43)【公表日】2017年5月18日
(86)【国際出願番号】EP2014078744
(87)【国際公開番号】WO2015091951
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年12月19日
(31)【優先権主張番号】13/03037
(32)【優先日】2013年12月20日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516000549
【氏名又は名称】ヴァレオ、コンフォート、アンド、ドライビング、アシスタンス
【氏名又は名称原語表記】VALEO COMFORT AND DRIVING ASSISTANCE
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】エリク、メナール
(72)【発明者】
【氏名】ファビエンヌ、マッソン
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック、ジェヒン
【審査官】 加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−044112(JP,A)
【文献】 特開2013−254327(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0017816(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/135677(WO,A1)
【文献】 米国特許第06871063(US,B1)
【文献】 特開2012−225091(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/126217(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/00
B60R 25/24
E05B 49/00
H04M 11/00
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話であって、
Bluetooth(登録商標) Low Energyプロトコルによって自動車を施錠・解錠、及び/又は始動させる認証コードと
前記携帯電話を前記自動車に自動的にペアリング及び記録させるペアリングコードAPと、
記自動車の近辺で前記携帯電話を自動的に認識させる識別コードと、
セキュアメモリ部材と、を備え
前記携帯電話及び前記自動車は、ユーザーに前記認証コード、前記ペアリングコードAP及び/又は前記識別コードの確認を要求することなしに、前記携帯電話と前記自動車とを自動的にペアにする自動ペアリングを実行し、
前記ペアリングコードAPは、前記携帯電話と前記自動車との間の最初のBLE通信の前に、リモートサーバーによって前記携帯電話に提供される、携帯電話。
【請求項2】
請求項に記載の携帯電話であって、前記セキュアメモリ部材がSIMカードである携帯電話。
【請求項3】
Bluetooth(登録商標) Low Energyプロトコルによって携帯電話と自動車とをペアリングする方法であって、
前記携帯電話が前記自動車に自動的に記録されるように、リモートサーバーによって前記携帯電話にペアリングコードを読み込むことであって、前記ペアリングコードは、前記携帯電話が前記自動車に自動的にペアリング及び記録できるようにし、前記携帯電話及び前記自動車は、ユーザーに認証コード、前記ペアリングコードAP及び/又は識別コードの確認を要求することなしに、前記携帯電話と前記自動車とを自動的にペアリングする自動ペアリングプロセスを実行する、ペアリングコードを読み込むことと、
前記携帯電話によって、前記自動車との最初のBLE通信の間に、リモートサーバーから得た予め読み込まれた前記ペアリングコードを送信することと、
前記自動車によって、送信された前記ペアリングコードの有効性を確認することと、
前記有効性を確認した場合、前記自動車によって、前記携帯電話をペアとして記録することと、を備える、ペアリング方法。
【請求項4】
請求項に記載のペアリング方法であって、
前記携帯電話のセキュアメモリ部材がSIMカードである方法。
【請求項5】
請求項に記載のペアリング方法であって、
前記リモートサーバーは、GSMネットワーク上にある、方法。
【請求項6】
請求項に記載のペアリング方法であって、
前記リモートサーバーによって、前記携帯電話と前記自動車との間の最初のBLE通信の前に、認証コードを前記携帯電話が読み込むことをさらに備え
前記認証コードは、BLEプロトコルによって前記自動車を施錠・解錠、及び/又は始動させる、方法。
【請求項7】
請求項に記載のペアリング方法であって、
前記リモートサーバーは、GSMネットワーク上にある、方法。
【請求項8】
請求項に記載のペアリング方法であって、
前記携帯電話によって予め読み込まれた前記認証コードを前記携帯電話のセキュアメモリ部材に記録することをさらに備える方法。
【請求項9】
請求項に記載のペアリング方法であって、
前記携帯電話の前記セキュアメモリ部材がSIMカードである方法。
【請求項10】
請求項に記載のペアリング方法であって、
前記リモートサーバーによって、前記携帯電話と前記自動車との間の最初のBLE通信の前に、識別コードを前記携帯電話に読み込むことを備え
前記識別コードは、前記自動車の近辺で前記携帯電話を自動認識させる、方法。
【請求項11】
請求項10に記載のペアリング方法であって、
前記リモートサーバーは、GSMネットワーク上にある、方法。
【請求項12】
請求項10に記載のペアリング方法であって、
前記携帯電話によって予め読み込まれた前記識別コードを前記携帯電話のセキュアメモリ部材に記録することをさらに備える方法。
【請求項13】
Bluetooth(登録商標) Low Energyプロトコルによって携帯電話と自動車とをペアリングする方法であって、
リモートサーバーから前記携帯電話にBLEペアリングコードを送信することと、
前記携帯電話によって、前記BLEペアリングコードを受信することと、
前記BLEペアリングコードを受信した後、前記BLEペアリングコードを前記携帯電話が読み込むことと、
前記BLEペアリングコードを前記携帯電話が読み込んだ後、前記自動車との最初のBLE通信を確立することにより、前記携帯電話が前記自動車と自動的にペアリング及び記録することと、
前記携帯電話と前記自動車との間の最初のBLE通信が確立した後、前記携帯電話によって、前記リモートサーバーからの前記BLEペアリングコードを前記自動車に送信することと、
前記自動車によって、前記リモートサーバーから前記携帯電話によって受信された前記BLEペアリングコードの有効性を決定することと、
前記自動車によって、送信された前記BLEペアリングコードの有効性を確認することと、
前記自動車によって、前記携帯電話をペアとして記録することと、
前記携帯電話によって、前記BLEペアリングコードを前記携帯電話のセキュアメモリ部材に記憶することと、を備え、
前記BLEペアリングコードの有効性は、前記リモートサーバーが前記BLEペアリングコードを送信した特定の携帯電話に基づき、
前記携帯電話及び前記自動車は、ユーザーに認証コード、前記ペアリングコード及び/又は識別コードの確認を要求することなしに、前記携帯電話と前記自動車とを自動的にペアにする自動ペアリングプロセスを実行する、ペアリング方法。
【請求項14】
請求項13に記載のペアリング方法であって、
前記携帯電話の前記セキュアメモリ部材がSIMカードである、方法。
【請求項15】
請求項13に記載のペアリング方法であって、
前記リモートサーバーは、GSMネットワーク上にある、方法。
【請求項16】
請求項13に記載のペアリング方法であって、
前記自動車が前記BLEペアリングコードの有効性を確認した後、前記携帯電話が前記自動車を施錠・解錠できるようにする認証コードを前記携帯電話が読み込むことをさらに備えた、方法。
【請求項17】
請求項13に記載のペアリング方法であって、
前記自動車が前記BLEペアリングコードの有効性を確認した後、前記自動車の近辺で前記携帯電話を自動認識させる認証コードを前記携帯電話に読み込むことと、
前記自動車によって、前記携帯電話をペアとして記録することとをさらに備え、
前記認証コードは、前記自動車が前記リモートサーバーによって送信されたBLEコード毎にペアとなった1つの携帯電話を発見することを可能にする、方法。
【請求項18】
請求項16に記載のペアリング方法であって、
前記リモートサーバーは、GSMネットワーク上にある、方法。
【請求項19】
請求項16に記載のペアリング方法であって、
前記携帯電話によって、前記認証コードを前記携帯電話のセキュアメモリ部材に記録することをさらに備える、方法。
【請求項20】
請求項16に記載のペアリング方法であって、
前記携帯電話の前記セキュアメモリ部材がSIMカードである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)プロトコルによって自動車を施錠・解錠、及び/又は始動させる携帯電話であって、自動車と自動ペアリングが可能な携帯電話に関する。本発明はまた、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)プロトコルによって自動車を施錠・解錠、及び/又は始動させる携帯電話とその自動車との自動ペアリングの方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の自動車は、制御装置が車内に固定された状態で配置されているものもある。このような制御装置は、ユーザーが所有する自動車付属品(電子キー、バッジなど)から発信されたリクエストを確実に管理し、発信されたリクエストが、自動車に対する何らかの命令を促すべきものであるかどうかを判断しなければならない(例えば、ドアの解錠、車の始動など)。このため、制御装置は、その自動車に関連する識別部材との間で低周波によってデータ通信を行う。
【0003】
そのような識別部材は、「plip(キーレスエントリー)」とも呼ばれる、昨今の電子キーの類で、電子バッジの形状をしたハンズフリーキーなどがある。これら識別部材は識別コードを記憶しており、この識別コードが自動車に認識されることでペアとなる。つまり、この識別コードによって1台の自動車が複数の識別部材をそれぞれ認識できるように明確に対応付けられているということである。自動車に対して、ドアの解錠、自動車の始動などの命令を与えるデータ通信は、自動車の電子制御装置と識別部材との間で行われる。自動車に対する命令の他の例としては、「パーキング」命令が挙げられる。この「パーキング」命令では、運転手が車内にいなくとも自動車を駐車したり駐車スペースから出したりする、自動操作が行われる。
【0004】
データ通信の第1の例は、リモート・キーレス・エントリ(RKE)モードと表されるもので、ボタンを押すなどのアクションが電子キー型の識別部材に対して行われる。このアクションによって、その電子キーが通常433MHzの無線周波数(RF)信号を発信する。自動車の制御装置がそのRF信号によって伝送される識別子を認識すると、自動車に対して、例えばドアの解錠などの適切な命令を発する。
【0005】
データ通信の他の例は、パッシブ・エントリ/パッシブ・スタート(PEPS)モードと表されるもので、車外部のドアハンドルを握るなどのアクションが自動車に対して行われる。自動車がこのアクションを検出すると、その制御装置を介して、125KHzの低周波数信号を発信する。この信号は識別部材によって受信され、識別部材は通常433MHzの無線周波数(RF)信号を返す。これによって、識別部材が自動車の制御装置によって識別され、適切に認識されると、該自動車に対して適切な命令を発することができる。
【0006】
そのようなシステムが正しく機能し、車の所有者によって習慣的に利用されているのならば、それはクローズドシステムとなる。つまり、識別部材と制御装置との間で特定の通信プロトコルが使用されるシステムである。よって、その自動車に対する他の識別部材として、携帯型で軽量だからといって、機能し得る他の機器を用いようとしても、既存のプロトコルの特殊性ゆえに、上述のような機能を利用できない。これは例えば、広く普及している携帯電話のような装置に当てはまる。
【0007】
このため近年では、Bluetooth(登録商標)や、より最近のBluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)のような、よりオープンな通信プロトコルを使用するシステムが開発されている。BLEプロトコルは、特に既存のエネルギー資源を有効に活用するために最適化されている。BLEプロトコルはBluetooth(登録商標) Smart(登録商標)という名称でも知られている。
【0008】
そのようなシステムによって、今日では1台の車を複数のユーザーで共有することが可能になっている。このような共有操作は、特にレンタカー会社によって有効活用が可能であり、よく「カーシェアリング」と表される。
【0009】
あるユーザーが自身の携帯電話を用いてある自動車を一時的に使用できるようにするには、そのユーザーが自身の携帯電話に認証コードを読み込ませる必要がある。その認証コードは、そのユーザーがその車の所有者のように、車の既存の機能全てにアクセスし、始動させ、及び/又は利用できるようにするコードである。
【0010】
しかしながら、携帯電話に認証コードを読み込ませた後でも、問題がいくつか残っている。
【0011】
一つには、その携帯電話は、読み込まれた認証コードによって車を施錠・解錠、及び/又は始動させる部材を有してはいるが、そのシステムのセキュリティレベルは、工場やディーラー店舗でペアとして対応付けられたキーのセキュリティレベルとは同じではない。
【0012】
そのため、そのユーザーは自身の携帯電話をその自動車に記録してもらう必要がある。この作業は複雑であり、特に、その自動車の貸出人など、その自動車へのアクセスが既に認証済みの人が実際に立ち会わなくてはならない。
【0013】
完全に自立して、つまり、レンタカー会社の社員の立ち合いなく、最大限のセキュリティレベルが保証された状態で車の借用ができることがより一層望まれる。
【0014】
また、認証コードは携帯電話によって受信されるため、そのような機密データに対するセキュリティの問題がある。携帯電話のような装置は、従来のリモートアクセス識別子よりも潜在的にオープンだからである。
【0015】
最後の問題として、例えばBluetooth(登録商標) Low Energyプロトコルによるハンズフリーアクセス型の通信が開始されると、BLEプロトコルにおいて自動車がマスター機器として機能する場合がある。この場合、自動車がその周囲にある全ての機器と通信し、その全てに認証リクエストを送信する。全ての機器に対してリクエストを送信することは無駄であり、認証されるべき機器のみ、つまり有効な認証コードを有する機器のみにリクエストを送ることが有益である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
よって、本発明は、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)プロトコルによって自動車を施錠・解錠、及び/又は始動させる認証コードを備える携帯電話に関し、該携帯電話は、該自動車に該携帯電話を自動的に記録させるペアリングコード、及び/又は、該自動車の近辺で該携帯電話を自動的に認識させる識別コードを備えることを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明による携帯電話はさらに下記の特徴の1つ以上を、個別に、又は、組み合わせて有してもよい。
【0018】
・前記携帯電話がさらにセキュアメモリ部材を備える。
・前記認証コードが前記セキュアメモリ部材に記憶される。
・前記ペアリングコードが前記セキュアメモリ部材に記憶される。
・前記識別コードが前記セキュアメモリ部材に記憶される。
・前記セキュアメモリ部材がSIMカードである。
【0019】
本発明はまた、携帯電話と自動車をペアリングする方法に関し、前記方法は、前記携帯電話が前記自動車に自動的に記録されるように、前記携帯電話にペアリングコードを読み込ませるステップを備えることを特徴とする。
【0020】
本発明によるペアリング方法はさらに下記の特徴の1つ以上を、個別に、又は、組み合わせて有してもよい。
【0021】
・前記方法は、前記携帯電話が前記自動車とBLE通信を開始し、事前に読み込まれた前記ペアリングコードを送信するステップと、前記自動車が送信された前記ペアリングコードの有効性を確認した場合、前記携帯電話をペアとして記録するステップとを備える。
・前記方法は、前記携帯電話が前記ペアリングコードを前記携帯電話のセキュアメモリ部材に記録するステップを備える。
・前記方法は、前記携帯電話が識別コードを前記携帯電話のセキュアメモリ部材に記録するステップを備える。
・前記ペアリングコードがGSMネットワーク上のリモートサーバーから読み込まれる。
・前記識別コードがGSMネットワーク上のリモートサーバーから読み込まれる。
・前記方法は、BLEプロトコルによって前記自動車を施錠・解錠、及び/又は始動させる認証コードを前記携帯電話に読み込ませる準備ステップを備える。
・前記認証コードがGSMネットワーク上のリモートサーバーから読み込まれる。
・前記方法は、前記携帯電話が前記認証コードを前記携帯電話のセキュアメモリ部材に記録するステップを備える。
・前記携帯電話の前記セキュアメモリ部材がSIMカードである。
・前記方法は、前記自動車の近辺で前記携帯電話を自動認識させる識別コードを前記携帯電話に読み込ませるステップを備える。
【0022】
本発明の他の利点や特徴は、例として提供される説明と添付の図面により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、自動車用施錠・解錠アセンブリ、及び/又は始動アセンブリを示す図である。
図2図2は、第1の実施形態によるペアリング方法のステップを示すフローチャートである。
図3図3は、第2の実施形態によるペアリング方法のステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
これらの図において、同一の部材は同一の参照番号を使って示してある。
【0025】
図1は、自動車2を施錠・解錠、及び/又は始動させるキー1を示す。
【0026】
有利には、この施錠・解錠及び/又は始動キー1が、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)のプロトコルに従って通信する通信インターフェイスを有してよい。キー1はさらに、車両のロック機構に対応した独自の施錠・解錠パターンを有する金属インサートを有してもよい。
【0027】
施錠・解錠及び/又は始動キー1は、一般的に、工場やディーラー店舗で、認証コードIDを読み込ませることで設定される。この認証コードIDは、BLEプロトコルに従って施錠・解錠、及び/又は、始動を行うのに必要なものである。キー1はまた、自動車2の側でもペアとして記録される。つまり、これによって、キー1がBLEプロトコルに従って最適なセキュリティレベルで自動車2と通信できることになる。
【0028】
また本発明の原理によれば、工場やディーラー店舗で行われる設定を介さずに、携帯電話3のような装置を認証させて、BLEプロトコルに従って自動車2を施錠・解錠、及び/又は始動させるキーとして機能させることも可能である。
【0029】
このような型の携帯電話は、通常、GSM型の通信インターフェイスの他に、BLEプロトコルによる通信インターフェイスを備えている。
【0030】
そのような携帯電話をBLEプロトコルに従って自動車2を施錠・解錠、及び/又は始動させるキーとして操作するためには、認証コードIDをその携帯電話に読み込ませる。この認証コードIDは、BLEプロトコルに従って自動車2を施錠・解錠、及び/又は始動させるために必要である。
【0031】
この設定において、自動車2の施錠・解錠、及び/又は始動は、記録後、即ち携帯電話3と自動車2のペアリング後と同じ通信セキュリティレベルでは行われない。
【0032】
ユーザーが携帯電話3を自動車2に記録させるという複雑な手間を省くため、本発明では、携帯電話3と自動車2との間の最初のBLE通信に先立って、ペアリングコードAPを携帯電話3に読み込ませることを提案する。
【0033】
こうして携帯電話3に読み込まれたペアリングコードAPは、自動車2の要請で、つまり携帯電話3と自動車2との間のBLE通信時に、携帯電話3によって自動的に送信される。一旦ペアリングコードAPが自動車2によって確認されると、携帯電話のIDが記録され、その後に起こる携帯電話3と自動車2との間の全てのBLEプロトコル通信のための最適なセキュリティレベルが確保される。
【0034】
第1の実施形態においては、ペアリングコードAPの送信は、携帯電話3と自動車2との間の最初の通信の最中に行われる。つまり、ユーザーが自動車2に初めて接近したときに行われる。このペアリングコードの確認段階における、携帯電話3と自動車2との間の長い通信時間を考慮すると、ユーザーはウォールの影響を受ける可能性がある。つまり、ユーザーが自動車2のドアハンドルを引く前に、解錠を許可するための通信が必ずしも全て完了しているわけではない。その一方で、2度目にドアを開けようと試みたときや、携帯電話3と自動車2との間のその後の通信においては、ペアリングコードAPの確認は不必要になり、よって、工場やディーラー店舗を出たキーの操作と同じ条件で行われる。
【0035】
他の有利な実施形態においては、前もってペアリングコードの確認をせずに、認証コードIDに基づいて自動車2へのアクセスが許可される。ひとたびアクセスが許可されれば、ペアリングコードが確認され得る。これによってウォールの影響が回避され、同時に、携帯電話3と自動車2との間のその後の通信が最適なセキュリティレベルで行われることとなる。
【0036】
自動車2と携帯電話3との間のBLE通信のある設定では、例えば、ハンズフリーでのアクセスを許可する場合、BLEプロトコルにおいて、自動車2がマスター機器として機能し、携帯電話がスレーブ機器として機能することがある。
【0037】
この場合、自動車2は、その周囲に存在する全てのBLE機器をスキャンし、適切なサービスを提供するBLE機器を複数認識した場合、それらに対し、特に、認証リクエストを送信することとなる。しかし、それら全ての機器にリクエストを送信することは無駄であるため、本発明ではBLE機器に識別コードVINを読み込ませることを提案している。そうすることで、自動車がスキャンを終えた後に、適切なサービスを提供し、かつ有効な識別コードVINを送信済みの機器を認識すると、その機器のみに対して認証リクエストを送信することができる。
【0038】
もちろん、記録された携帯電話3を削除することも可能である。この削除は、携帯電話の有効期限に基づいて自動的に行われてもよいし、携帯電話4の紛失や窃盗を考慮して手動で行われてもよい。
【0039】
第1の実施形態によれば、ペアリングコードAPはリモートサーバー4から携帯電話3に読み込まれる。この操作は、例えば、携帯電話3のユーザーがレンタカー会社に対して自動車2を借りる予約を入れた後になされる。
【0040】
他の有利な実施形態においては、識別コードVINもまたリモートサーバー4から携帯電話3に読み込まれる。
【0041】
他の有利な実施形態においては、携帯電話3がBLEプロトコルに従って自動車2を施錠・解錠、及び/又は始動させるのに必要な認証コードIDもまた、リモートサーバー4から携帯電話3に読み込まれる。
【0042】
第1の実施形態によれば、ペアリングコードAP、識別コードVIN、認証コードIDは、一回の同じ操作で読み込まれる。
【0043】
代替的な実施形態においては、ペアリングコードAP、識別コードVIN、及び認証コードIDは、別々の操作にて読み込まれる。
【0044】
使用されるリモートサーバーは、通常、電話会社によって管理されるサーバーである。この場合、認証コードID及び/又はペアリングコードAPはGSMネットワークによって有利に送信される。
【0045】
また、リモートサーバーに相当するものがレンタカー会社から借り入れた自動車であってもよく、代替的な実施形態では、別の携帯電話であってもよい。
【0046】
ひとたびコードが読み込まれた後、自動車2の窃盗につながり得るコードのハッキングの可能性を減らすため、コードを記憶するセキュアメモリ部材SECが携帯電話3の内部に設けられている。
【0047】
このようなセキュアメモリ部材SECに記憶されるデータにアクセスするには、個人コードの入力が必要になる。その一方で、そのような部材は、いかなる物理的侵入をも未然に検知することができ、記憶されている秘密データを保護するため、自壊も可能となっている。
【0048】
また代替的な実施形態においては、認証コードIDのみがセキュアメモリ部材SECに記憶される。
【0049】
その一方で、携帯電話4に既に内蔵されたSIMカードをセキュアメモリ部材SECとして使用することもできる。
【0050】
次に、第1の実施形態による、携帯電話3と自動車2との間の自動ペアリング方法の主要なステップについて説明する(図3)。
【0051】
準備ステップ100では、携帯電話3は、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)プロトコルに従って、自動車2を施錠・解錠、及び/又は始動させるのに必要な認証コードIDを読み込む。
【0052】
次の第1ステップ101においては、携帯電話3を自動車2に自動記録させるために、携帯電話3がペアリングコードAPを読み込む。
【0053】
次のステップ102では、携帯電話3が自動車2と通信を開始し、自動車2に対してペアリングコードAPを送信する。
【0054】
自動車2は、送信されたペアリングコードAPが有効であると判断した場合、ステップ103において、携帯電話3をペアとして記録する。
【0055】
ひとたび自動車2によってペアとして記録されると、携帯電話3は、ステップ104において、自動車2を施錠・解錠、及び/又は始動させるのに必要な認証コードIDを送信する。
【0056】
図示しない他の好ましい実施形態においては、自動車2を施錠・解錠、及び/又は始動させるのに必要な認証コードIDを送信するステップ104を、携帯電話3をペアとして記録させるステップ102及び103に先立って行うことができる。
【0057】
既に述べたように、この実施形態は、第1の実施形態による方法における、自動車への初回アクセス時に起こり得るウォールの影響を回避することができる。
【0058】
次の有利なステップ105においては、携帯電話3が認証コードID、及び/又はペアリングコードAPをセキュアメモリ部材SECに記録する。
【0059】
好ましい実施形態においては、セキュアメモリ部材SECは携帯電話のSIMカードである。
【0060】
第1の実施形態によれば、認証コードID、ペアリングコードAPを記録するためのステップである、ステップ100及び101において、認証コードID及びペアリングコードAPがリモートサーバー4から携帯電話3に読み込まれる。この操作は、例えば、携帯電話3のユーザーがレンタカー会社に対して自動車2を借りる予約を入れた後に行われる。
【0061】
第1の実施形態によれば、ペアリングコードAP及び認証コードIDは、一回の同じ操作で読み込まれる。
【0062】
別の実施形態においては、ペアリングコードAP及び認証コードIDは、別々の操作で読み込まれる。
【0063】
使用されるリモートサーバー4は、通常、電話会社によって管理されるサーバーである。
【0064】
また、認証コードID及び/又はペアリングコードAPはGSMネットワークを介して有利に送信されてもよい。
【0065】
リモートサーバーに相当するものがレンタカー会社から借りた自動車であってもよく、代替的な実施形態では、別の携帯電話であってもよい。
図1
図2
図3