【課題を解決するための手段】
【0005】
本目的は、請求項1の特徴を有する血液流体カセット、更に請求項12の特徴を有する血液処理装置によって達成され得る。
【0006】
血液カセットは、主に以下に記載又は述べられるが、本発明の単に1つの可能な実施形態であると理解されるべきである。本明細書で血液カセットが述べられるときは常に、限定として理解されるべきではなく、むしろこれは、血液の処理に使用されない場合でも、変更されることなく、(同様に本発明による)流体カセットに適合する。
【0007】
本発明による流体カセット、特に血液処理カセットは、したがって、硬質部として具体化されたカセット本体を有するものとして提案される。血液処理カセットは、必要に応じてフィルムを備えることができる。フィルムが設けられる場合は、硬質部に結合されて、少なくとも部分的にこれを覆う。硬質部は、少なくとも第1の位置決め装置、及び第2の位置決め装置を備える。これらは、血液処理カセットの第1及び第2の対向する側に配置されるか、又はそこに取り付けられることが好ましい。
【0008】
さらに、本発明による血液処理カセットに結合されるように構成された、血液処理装置が提案される。血液処理カセットは、少なくとも1つのアクチュエータを有する、アクチュエータセンサプレートを備える。後者は、血液処理装置、並びに血液処理カセットの装置のアクチュエータ及び/又はセンサ間で相互作用するように構成される。
【0009】
以下の実施形態の全てにおいて、「〜することができる、〜してもよい、〜され得る、〜する場合がある(may)」又は「有することができる、有し得る、有してもよい、有する場合がある(may have)」等の表現の使用は、「好ましくは〜である、〜であることが好ましい(is preferably)」又は「好ましくは〜を有する、〜を有することが好ましい(preferably has)」等の同意語として理解されるべきであり、且つ、これは、本発明による例示的実施形態を説明するためのものである。
【0010】
本明細書で数値を表す語が示されている場合は常に、当業者はこれを数値の下限の表示として理解する。これが当業者に認められるいかなる矛盾にもつながらないならば、当業者は、例えば「1つの」という表示は常に、暗黙的に「少なくとも1つ」と読み取る。この理解もまた、当業者の観点からこれが技術的に可能であれば、数値を表す語は、例えば「1つの」は代替的に「ぴったり1つの」を意味し得るという解釈と同様に、本発明に包含される。この両方が本発明に包含され、且つ、本明細書で使用される全ての数値を表す語に当てはまる。
【0011】
本明細書で与えられる「上部」「下部」等の空間的な情報は、不確かなときは、本明細書に添付された図に示されている図解を参照されたい。
【0012】
本発明の好適な展開が、従属するクレーム及び実施形態の主題である。
【0013】
本発明による実施形態は、任意の組み合わせで、前述又は以下の特徴の1つ以上を含むことができる。
【0014】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、血液処理カセットは、前側及び/又は後側に、前方領域を有する少なくとも1つの好ましくは閉じられた縁部バーを備える。前方領域は、血液処理カセットの主延在面と平行であることが好ましい平面に位置する。
【0015】
本発明による幾つかの例示的実施形態の前方領域は、平らであることが好ましい。したがって、これらの実施形態では、これは1つの平面にのみ存在する。
【0016】
本発明による幾つかの例示的実施形態の主延在面は、フィルムが存在する場合は、フィルムから広がる平面と平行であるか、又はフィルムの主延在面と平行である。
【0017】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、血液カセットは、血液処理カセットの意図された使用中は、主延在面で、並進時にガタつきのない状態で血液処理装置の第1の位置決めピンに結合されるように具体化される。第2の位置決め装置は、血液処理カセットの意図された使用中は、主延在面に垂直又はほぼ垂直であることが好ましい軸線の周囲で、回転時にガタつきのない状態で血液処理装置の第2の位置決めピンに結合されるように具体化される。
【0018】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、第1の位置決め装置は位置決めファセットを備え、その位置決め面は、少なくとも部分的に、血液処理カセットの主延在面に垂直又はほぼ垂直であることが好ましい平面に延びる。本発明による幾つかの特定の実施形態では、位置決めファセットは、少なくとも部分的に、且つ好ましくは接線方向に、第1の位置決めピンと接触する。
【0019】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、位置決めファセットは、完全に、又は少なくとも部分的に、第1の位置決め装置の貫通孔又は開口の中へと湾曲して上向きに入る縁部を有するか、或いはそのように具体化される。
【0020】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、位置決めファセットは、少なくとも部分的に、位置決め装置の挿入部、挿入面取り部、又は挿入漏斗部の一部であり、挿入部、挿入面取り部、又は挿入漏斗部は、位置決めピンの一部を受けるのに役立つ。例として、位置決めファセット自身であるこの部分は、例示的には又は好ましくは、少なくとも1つの空間方向、又は2つの空間方向に互いに垂直に、(挿入方向又は深さに対して)挿入部、挿入面取り部、又は挿入漏斗部の他の部分とは異なる、或いは同じ高さに存在する挿入部、挿入面取り部、又は挿入漏斗部の隣接する部分とは異なる、曲率及び/又は傾斜を有する。
【0021】
本発明による幾つかの特定の例示的実施形態では、位置決めファセットは、挿入漏斗部又は挿入部の一部であり、その部分又は漏斗部は、他の部分よりも、且つ/或いは位置決めファセットに隣接する部分又は漏斗部の一部よりも、大きい内径又は大きいクリアランス直径を有する。挿入漏斗部又は挿入部は、本発明による幾つかの例示的実施形態では、その断面図において、少なくとも部分的に、例えば、多少独特の漏斗形状を有する。ここで、挿入漏斗部は、位置決め装置の外側に開き、且つ/或いは隣接するピンの方向に狭くなる。
【0022】
挿入漏斗部、挿入部、又は挿入面取り部は、内向き及び/又は外向きに丸められた(挿入漏斗部又は挿入部の直径に対して、それぞれ入口の領域内にある)入口又は縁部を有することができる。丸みは完全であっても、又は縁部の部分にのみ存在してもよい。
【0023】
ラッチ縁部は、本発明による幾つかの例示的実施形態では、やっとこの端部切断領域に似た接触面領域として具体化される。
【0024】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、第1の位置決め装置は、少なくとも1つの持ち上げ縁部バーを備える。これは、血液処理カセットの中心に対して、第1の位置決め装置の外縁に存在してもよく、又は側面に向かって、後者と面していてもよい。
【0025】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、第1の位置決め装置及び/又は第2の位置決め装置はそれぞれ、少なくとも1つのアクチュエータセンサ側の挿入面取り部、又は少なくとも1つの挿入漏斗部を有する。
【0026】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、第1の位置決め装置及び/又は第2の位置決め装置は、それぞれが少なくとも1つのラッチ縁部を有する、少なくとも2つのスナップインつまみを備える。ラッチ縁部は、したがって、好ましくは完全に、実質的に、又は少なくとも部分的に、血液処理カセットの主延在面と平行な平面に延びる。
【0027】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、第2の位置決め装置の貫通孔又は開口は、実質的に又は全体的に、長方形又は楕円形の穴の形状にされる。
【0028】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、第2の位置決め装置の長手方向軸線は、第1の位置決め装置の貫通孔又は開口の中心の方向に向けられる。
【0029】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、血液処理装置は、本発明による血液処理カセットに結合される。
【0030】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、第1の位置決めピン及び/又は第2の位置決めピンは、位置決め直径を有する。そのそれぞれ又は両方は、更に位置決め直径未満であるか、又は位置決め直径より小さいスナップイン直径を有する。
【0031】
本発明による幾つかの特定の例示的実施形態では、位置決め直径とスナップイン直径との間に存在する位置決めピンの周縁部は、丸みを帯びた移行部によって、位置決め直径及び/又はスナップイン直径に移り変わる。
【0032】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、第1の位置決めピン及び/又は第2の位置決めピンは、平らな前方領域を有する。
【0033】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、第1の位置決めピン及び/又は第2の位置決めピンは、前方領域の丸められた縁部を有する。この前方縁部は、前方領域が位置決めピンの側面又は外周面に移り変わる縁部である。
【0034】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、第1の位置決めピン及び/又は第2の位置決めピンは、その位置決め直径の0.1〜0.5倍の範囲内の位置決め高さを有する。位置決め高さは、位置決めピンが、その全高ではなく、好ましくはその位置決め直径で、又はその位置決め直径のみで、これを囲むアクチュエータセンサマットの高さを越えて持ち上がっている、クリアハイト又は高さである。位置決め直径は、位置決めピンの位置決め機能を導入する、位置決めピンの直径である。位置決め直径は、アクチュエータセンサマットを越えて突出している位置決めピンの部分の、最も広い直径であってもよい。これは、アクチュエータセンサマットの真上で位置決めピンの部分に隣接する、位置決めピンの部分の直径であってもよい。
【0035】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、第1の位置決め装置及び/又は第2の位置決め装置は、位置決めに役立つだけでなく、血液処理カセットを血液処理装置にラッチするのにも役立つ。
【0036】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、機械のドアは、ドア側の(即ち機械側の)支持バーで、且つスナップインつまみの平らな前方領域で支持されることが好ましい。
【0037】
本発明による幾つかの特定の例示的実施形態では、少なくとも1本の位置決めピンは、対称に、且つ/又はシリンダとして具体化される。これらの実施形態では、これは位置決めシリンダを備える。
【0038】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、血液処理カセットに接触する、機械のドアの全ての支持面は、押圧された状態では、カセットの主延在面と平行である。これにより好適には、位置決めピンを介したカセット単独の位置決めが確実になる。
【0039】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、位置決めピンは、同様にそれに応じて余裕を持って測定された血液処理カセットの平らな前方領域と関連して、両方の位置決め装置の周囲に、人間工学的に好都合で、且つ、好ましくは位置決め直径の0.5〜2.5倍の、許容できる横ずれ又はオフセットを保証するように、若しくはこのずれ又はオフセットを制限するように具体化される。
【0040】
本発明による幾つかの特定の例示的実施形態では、血液処理カセットの、初期の許容できる横ずれが、各挿入面取り部が係合する前は、位置決め直径の0.1〜0.2倍の範囲内であることが好ましい。
【0041】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、位置決めピンのうちの1本は、ねじ込まれる場合は、片側のねじ込みの完了後は、位置決め装置のうちの1つに存在する。位置決め装置のラッチ縁部の1つ以上は、したがって、位置決めピンの丸められた前方領域縁部に存在する一方で、もう1本の位置決めピンは、そのねじ込みをまだ開始していないか、又はまだこれを完了していない。
【0042】
本発明による幾つかの実施形態では、血液処理カセットは、使い捨てか又は1回使用のアイテムである。
【0043】
本発明による幾つかの実施形態では、血液処理カセット及び/又は血液処理装置は、アフェレーシス、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、血液限外濾過等のために構成される。
【0044】
本発明による一部又は全ての実施形態は、上記又は以下の利点の1つ以上を備えることができる。
【0045】
その製造公差及び血液処理装置の公差とは無関係な、血液処理カセットのガタつきのない、反復可能な配置が、達成可能な利点とみなされ得る。
【0046】
さらなる利点は、装備及び除去の各段階の傾きの位置が独特であり、且つ、適切又は所望の通りに進行するにも関わらず、装備中及び除去中に、任意の時点又は部分で、血液処理カセットを取れることであってもよい。誤った装備又は除去は、本発明による多くの実施形態では起こり得ない。
【0047】
スナップイン及びスナップアウトについては、装備するとき及び除去するときに、例えば50N未満のごく限られた力しか必要としない。
【0048】
血液処理カセットの、傾き制限された材料応力は、好適には、血液処理カセットを破壊又は損傷し得る限界を明らかに下回る値に制限されてもよく、これは、突発的又は急激な除去の場合にも当てはまる。
【0049】
本発明によれば、ガタつきのない位置決め、及び破壊耐性のある配置に沿った、血液処理装置の血液処理カセットの、人間工学的、且つ簡便な、手動による装備及び除去が保証され得る。したがって、材料の誤った強い傾き、及び結果として生じる応力が排除され得る。装備及び除去の段階において、作業者は、任意の時点で血液処理カセットを掴むか又は取ったり、且つ、装填するか又は押したりすることができる。また、スナップイン及びスナップアウトが、任意の順序で、所望の通りに行われてもよい。
【0050】
ガタつきのない最大限の位置決め精度が、好適に達成される。第1に、2つの離間された位置決め装置を設けることにより、第1の位置決め装置が並進変位のゼロ点を規定し、且つ、楕円形の穴の形状で具体化されることが好ましい第2の位置決め装置が角度方向を決定することによって、血液処理装置と血液処理カセットとの間の全体的な寸法公差のバランスをとる。第2に、位置決めファセットを局所的に適用することを通じて、ガタつきのない状態が生成される。局所的とは、本明細書で使用されているように、位置決めピンの位置決め直径を、位置決め装置の、(2つの位置決め装置の間隔よりも遥かに低い公差で)ファセットのある位置決め穴又は開口に取り付ける公差に関係させること、を意味する。
【0051】
血液処理カセット材料の弾性に関連する、点接触を有する幾何学的な設計によって、材料が破損したり、又は装備及び除去に過大な力をかけたりすることなく、全ての公差位置においてガタつきのない状態が達成され得る。
【0052】
技術水準において、傾きの可能性及び関連する材料応力、並びに装備及び除去の際の力の危険な水準までの増加は、位置決めピンにおける位置決め装置のガタつきのない(又は必要に応じて遊びがない)配置に関連して、手動による作業の結果生じる。本発明によれば、この問題を排除するか、又はこれを最小限にするために、以下の原理が好適に用いられる。
【0053】
装備の工程では、本発明による、指定された(縁部の)距離、高さ、及び径比によって、好適には、血液処理カセットと血液処理装置との間の全ての可能な傾きが、臨界傾き角を下回る角度範囲に留まることが確実になる。
【0054】
除去の工程では、血液処理カセットの離れた縁部バーまでの位置決めラッチ点の距離、及び位置決めピンの位置決め高さに関連して選択された血液処理カセットの曲げ強度によって、縁部バーの持ち上げ効果を介して、片側が事前にスナップアウトすることによって、傾きの臨界角範囲に達しないことが確実になる。それだけでなく、残りの位置決め装置のスナップアウトも、少し前に実施される。
【0055】
除去時には、縁部バーと第1の位置決め装置との間の短い距離、選択された位置決め高さ、並びに第2の位置決め装置の位置決めファセットの傾いた配置に関連して選択された血液処理カセットの曲げ強度によって、考え得る限り最悪の最大の傾き方向で傾いた片側のスナップアウトを介して、持ち上げ効果が低減されることに関連して、好適には、臨界傾き角領域に達し得ないことが確実になる。
【0056】
除去時には、縁部バーから第2の位置決め装置までの短い距離、選択された位置決め高さ、及び第2の位置決め装置の位置決め貫通孔又は開口の楕円形の穴の形状の設計に関連して選択された血液処理カセットの曲げ強度によって、考え得る限り最悪の最大の傾き方向で傾いた片側のスナップアウトを介して、持ち上げ効果が低減されることに関連して、好適には、臨界傾き角範囲に達し得ないことが確実になる。
【0057】
何らかの傾きの可能性を伴う装備及び除去の工程では、位置決め直径よりも小さくなるように決定された、位置決めピンのスナップイン直径によって、位置決め高さに比べて、及び位置決め点同士の間の距離に比べて、その選択された全高が小さいことに関連して、傾きが臨界でない傾き角範囲を十分に大きくすることが可能になる。
【0058】
何らかの傾きの可能性を伴う装備及び除去時は、他の図示されていない空間方向においても、位置決めピンの上述した寸法、及び選択された縁部バーの距離に関連した、柔軟なスナップインつまみ及び切り込みによって、好適には、臨界でない傾き負荷の傾き角範囲を十分に大きくすることが可能になる。
【0059】
機械のドア、及びこれにより結果として生じる血液処理カセットのアクチュエータセンサユニットに対する押圧は、示されている発明の特徴を確実にするために、絶対に必要というわけではない。機械のドアのない血液処理装置の使用時には、ガタつきのない位置決め、及び位置決めピンでのラッチでも、血液処理カセットの信頼性の高い取り付け及び配置に既に十分な場合がある。
【0060】
本発明は、添付の図面によって、以下で例示的に説明され、同一の参照符号は、同じか又は類似の部品を示す。以下の図面は、部分的に簡略化されている。