特許第6594902号(P6594902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6594902ケトヘキソキナーゼ(KHK)iRNA組成物及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594902
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】ケトヘキソキナーゼ(KHK)iRNA組成物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20191010BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20191010BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20191010BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20191010BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20191010BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20191010BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20191010BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20191010BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20191010BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20191010BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20191010BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20191010BHJP
   A61P 1/16 20060101ALN20191010BHJP
   A61P 3/06 20060101ALN20191010BHJP
   A61P 3/10 20060101ALN20191010BHJP
   A61P 9/00 20060101ALN20191010BHJP
   A61P 13/12 20060101ALN20191010BHJP
   A61P 3/00 20060101ALN20191010BHJP
   A61P 3/04 20060101ALN20191010BHJP
   A61P 19/06 20060101ALN20191010BHJP
   A61P 9/12 20060101ALN20191010BHJP
   A61P 29/00 20060101ALN20191010BHJP
【FI】
   C12N15/113 130Z
   C12N15/09 ZZNA
   C12N5/10
   A61P43/00 111
   A61P43/00 105
   A61P43/00 121
   A61K45/00
   A61K31/05
   A61K31/713
   A61K31/7088
   A61K9/08
   A61K47/12
   A61K47/18
   A61K47/02
   !A61P1/16
   !A61P3/06
   !A61P3/10
   !A61P9/00
   !A61P13/12
   !A61P3/00
   !A61P3/04
   !A61P19/06
   !A61P9/12
   !A61P29/00
【請求項の数】33
【全頁数】144
(21)【出願番号】特願2016-568484(P2016-568484)
(86)(22)【出願日】2015年2月11日
(65)【公表番号】特表2017-509354(P2017-509354A)
(43)【公表日】2017年4月6日
(86)【国際出願番号】US2015015367
(87)【国際公開番号】WO2015123264
(87)【国際公開日】20150820
【審査請求日】2018年2月8日
(31)【優先権主張番号】61/938,567
(32)【優先日】2014年2月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505369158
【氏名又は名称】アルナイラム ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALNYLAM PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【弁理士】
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・フィッツジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ベッテンコート
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・ヒンクル
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー・ウィロビー
【審査官】 飯室 里美
(56)【参考文献】
【文献】 再公表特許第2005/116204(JP,A1)
【文献】 国際公開第2013/163430(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/155204(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/074974(WO,A1)
【文献】 特表2013−533289(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/024902(WO,A1)
【文献】 J Am Soc Nephrol, 2009, Vol.20, p.545-553
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00
A61K 31/7088
A61P 1/16
A61P 3/00
A61P 9/00
A61P 13/12
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケトヘキソキナーゼ(KHK)の発現を阻害するための二本鎖RNAi剤であって、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含み、前記センス鎖が、配列番号162(5’−GUGGUGUUUGUCAGCAAAGAU−3’)のヌクレオチド配列を含み、及び前記アンチセンス鎖が、配列番号212(5’−AUCUUUGCUGACAAACACCACGU−3’)のヌクレオチド配列を含む、二本鎖RNAi剤。
【請求項2】
ケトヘキソキナーゼ(KHK)の発現を阻害するための二本鎖RNAi剤であって、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含み、前記アンチセンス鎖が、配列番号212(5’−AUCUUUGCUGACAAACACCACGU−3’)のアンチセンス配列を含む相補性の領域を含む、二本鎖RNAi剤。
【請求項3】
少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む、請求項1または2に記載の二本鎖RNAi剤。
【請求項4】
前記修飾ヌクレオチドが、2’−O−メチル修飾ヌクレオチド、5’−ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、デオキシ−ヌクレオチド、3’末端デオキシ−チミン(dT)ヌクレオチド、2’−O−メチル修飾ヌクレオチド、2’−フルオロ修飾ヌクレオチド、2’−デオキシ−修飾ヌクレオチド、コレステリル誘導体又はドデカン酸ビスデシルアミド基に結合された末端ヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチド、固定ヌクレオチド、非固定ヌクレオチド、立体配座的に制限されたヌクレオチド、拘束エチルヌクレオチド、非塩基性ヌクレオチド、2’−アミノ−修飾ヌクレオチド、2’−O−アリル−修飾ヌクレオチド、2’−C−アルキル−修飾ヌクレオチド、2’−ヒドロキシル−修飾ヌクレオチド、2’−メトキシエチル修飾ヌクレオチド、2’−O−アルキル−修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホロアミデート、非天然塩基を含むヌクレオチド、テトラヒドロピラン修飾ヌクレオチド、1,5−アンヒドロヘキシトール修飾ヌクレオチド、シクロヘキセニル修飾ヌクレオチド、ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、メチルホスホネート基を含むヌクレオチド、5’−ホスフェートを含むヌクレオチド、及び5’−ホスフェート模倣体を含むヌクレオチドからなる群から選択される、請求項に記載のdsRNA。
【請求項5】
前記修飾ヌクレオチドの少なくとも1つが、2’−O−メチル修飾ヌクレオチド、5’−ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、及びコレステリル誘導体又はドデカン酸ビスデシルアミド基に結合された末端ヌクレオチドからなる群から選択される、請求項に記載のdsRNA。
【請求項6】
リガンドを更に含む、請求項1又は2に記載の二本鎖RNAi剤。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の二本鎖RNAi剤と脂質製剤とを含む医薬組成物。
【請求項8】
前記脂質製剤が、脂質ナノ粒子(LNP)を含む、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
細胞内でのケトヘキソキナーゼ(KHK)の発現を阻害することが可能な二本鎖RNAi剤であって、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含み、前記センス鎖が、配列番号162(5’−GUGGUGUUUGUCAGCAAAGAU−3’)のヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖が、配列番号212(5’−AUCUUUGCUGACAAACACCACGU−3’)のヌクレオチド配列を含み、前記二本鎖RNAi剤が、式(III):
センス:5’np−Na−(XXX)i−Nb−YYY−Nb−(ZZZ)j−Na−nq3’
アンチセンス:3’np’−Na’−(X’X’X’)k−Nb’−Y’Y’Y’−Nb’−(Z’Z’Z’)l−Na’−nq’5’(III)
(式中:
i、j、k、及びlがそれぞれ、独立して、0又は1であり;
p、p’、q、及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり;
各Na及びNa’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれか又はそれらの組み合わせの0〜25のヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み;
各Nb及びNb’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれか又はそれらの組み合わせの0〜10ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
それぞれ存在していても又は存在していなくてもよい各np、np’、nq、及びnq’が、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し;
XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’、及びZ’Z’Z’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つのモチーフを表し;
Nb上の修飾が、Y上の修飾と異なり、且つNb’上の修飾が、Y’上の修飾と異なり;及び
前記センス鎖が、少なくとも1つのリガンドにコンジュゲートされる)
によって表される、二本鎖RNAi剤。
【請求項10】
iが0であり;jが0であり;iが1であり;jが1であり;i及びjの両方が0であり;又はi及びjの両方が1である、請求項に記載の二本鎖RNAi剤。
【請求項11】
kが0であり;lが0であり;kが1であり;lが1であり;k及びlの両方が0であり;又はk及びlの両方が1である、請求項に記載の二本鎖RNAi剤。
【請求項12】
XXXが、X’X’X’に相補的であり、YYYが、Y’Y’Y’に相補的であり、及びZZZが、Z’Z’Z’に相補的である、請求項に記載の二本鎖RNAi剤。
【請求項13】
前記YYYモチーフが、前記センス鎖の切断部位又はその近傍に存在する、請求項に記載の二本鎖RNAi剤。
【請求項14】
前記Y’Y’Y’モチーフが、前記5’末端の前記アンチセンス鎖の11位、12位及び13位に存在する、請求項に記載の二本鎖RNAi剤。
【請求項15】
前記Y’が、2’−O−メチルである、請求項1に記載の二本鎖RNAi剤。
【請求項16】
前記二本鎖領域が、15〜30ヌクレオチド対長である、請求項1、2又はのいずれか一項に記載の二本鎖RNAi剤。
【請求項17】
前記二本鎖領域が、17〜23ヌクレオチド対長である、請求項に記載の二本鎖RNAi剤。
【請求項18】
前記二本鎖領域が、19〜23ヌクレオチド対長である、請求項に記載の二本鎖RNAi剤。
【請求項19】
前記二本鎖領域が、21〜23ヌクレオチド対長である、請求項に記載の二本鎖RNAi剤。
【請求項20】
各鎖が、19〜30のヌクレオチドを有する、請求項1、2又はのいずれか一項に記載の二本鎖RNAi剤。
【請求項21】
前記リガンドが、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体である、請求項又はのいずれか一項に記載の二本鎖RNAi剤。
【請求項22】
前記リガンドが、
【化1】
である、請求項又はのいずれか一項に記載の二本鎖RNAi剤。
【請求項23】
前記リガンドが、前記センス鎖の3’末端に結合される、請求項又はのいずれか一項に記載の二本鎖RNAi剤。
【請求項24】
以下の概略図
【化2】
に示される前記リガンドにコンジュゲートされ、式中、Xが、O又はSである、請求項2に記載の二本鎖RNAi剤。
【請求項25】
センス鎖のヌクレオチド配列が、配列番号162(5’−GUGGUGUUUGUCAGCAAAGAU−3’)からなり、アンチセンス鎖のヌクレオチド配列が、配列番号212(5’−AUCUUUGCUGACAAACACCACGU−3’)からなる、請求項1、2又は9のいずれか一項に記載の二本鎖RNAi剤。
【請求項26】
センス鎖のヌクレオチド配列が、GfsusGfgUfgUfuUfGfUfcAfgCfaAfaGfaUfL96(配列番号262)からなり、アンチセンス鎖のヌクレオチド配列が、asUfscUfuUfgCfuGfacaAfaCfaCfcAfcsgsu(配列番号312)からなり、ここでa、c、gおよびuが、2′−O−メチル(2′−OMe)A、C、G、およびUであり;Af、Cf、Gf、およびUfが、2′−フルオロA、C、G、およびUであり;sが、ホスホロチオエート結合であり;L96が、N−[トリス(GalNAc−アルキル)−アミドデカノイル)]−4−ヒドロキシプロリノール Hyp−(GalNAc−アルキル)3である、請求項9に記載の二本鎖RNAi剤。
【請求項27】
請求項1、2又はのいずれか一項に記載の二本鎖RNAi剤を含む細胞。
【請求項28】
請求項1、2又はのいずれか一項に記載の二本鎖RNAi剤を含む医薬組成物。
【請求項29】
二本鎖RNAi剤が、非緩衝液中で投与される、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記非緩衝液が、生理食塩水又は水である、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記二本鎖RNAi剤が、緩衝液とともに投与される、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記緩衝液が、酢酸塩、クエン酸塩、プロラミン、炭酸塩、若しくはリン酸塩又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記緩衝液が、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である、請求項3に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、全体が参照により本明細書に援用される、ASCII形式で電子的に提出されている配列表を含む。2015年2月11日に作成された前記ASCIIのコピーの名称は、121301−01220_SL.txtであり、サイズは116,205バイトである。
【0002】
関連出願
本出願は、全内容が参照により本明細書に援用される、2014年2月11日に出願された米国仮特許出願第61/938,567号明細書の優先権の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
疫学研究により、西洋式の食生活が、近年の肥満の世界的流行の主な原因の1つであることが示されている。強化された清涼飲料及び加工食品の使用と関連する、フルクトース摂取の増加が、この流行の主な要因であると提示されている。高フルクトースコーンシロップは、1967年までに食品業界において広く使用され始めた。グルコース及びフルクトースは、分子当たりのカロリー値が同じであるが、これらの2つの糖は、異なって代謝され、異なるGLUTトランスポーターを用いる。フルクトースは、ほぼ肝臓のみで代謝され、グルコース代謝経路と異なり、フルクトース代謝経路は、産物によるフィードバック阻害によって調節されない(非特許文献1)。ヘキソキナーゼ及びホスホフルクトキナーゼ(PFK)が、グルコースからのグリセルアルデヒド−3−Pの産生を調節する一方、肝臓中のフルクトースからフルクトース−1−リン酸へのリン酸化に関与するフルクトキナーゼ又はケトヘキソキナーゼ(KHK)は、フルクトース−1−リン酸の濃度の増加によって下方制御される。結果として、細胞に入る全てのフルクトースは、急速にリン酸化される(非特許文献2)。フルクトースをフルクトース−1−リン酸にリン酸化するためのATPの持続的な利用により、細胞内のリン酸枯渇、ATP枯渇、AMPデアミナーゼの活性化及び尿酸の形成が引き起こされる(非特許文献1)。増加した尿酸は、KHKの上方制御を更に促進し(非特許文献3)、内皮細胞及び脂肪細胞機能障害を引き起こす。続いて、フルクトース−1−リン酸は、アルドラーゼBの作用によってグリセルアルデヒドに転化され、グリセルアルデヒド−3−リン酸へとリン酸化される。グリセルアルデヒド−3−リン酸は、下流の解糖経路に進んで、ピルビン酸を形成し、これがクエン酸回路に入り、そこから、栄養の十分な条件下で、クエン酸が、ミトコンドリアから細胞質ゾルに輸送されて、脂質生成のためのアセチル補酵素Aをもたらす(図1)。
【0004】
KHKによるフルクトースのリン酸化、及びその後の脂質生成の活性化は、例えば、脂肪肝、高トリグリセリド血症、脂質異常症、及びインスリン抵抗性につながる。近位尿細管細胞の炎症性変化も、KHK活性によって誘発されることが示されている(非特許文献2)。KHKによるフルクトースのリン酸化は、肝疾患(例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎)、脂質異常症(例えば、高脂血症、高いLDLコレステロール、低いHDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖コントロールの異常(例えば、インスリン抵抗性、糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎臓病(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症性変化)、メタボリックシンドローム、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪蓄積、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害、及び過剰な糖への渇望などの疾病、障害及び/又は病態に関連している。したがって、KHK活性に関連する疾病、障害、及び/又は病態を処置するための組成物及び方法が当該技術分野において必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Khaitan Z et al.,(2013)J.Nutr.Metab.2013,Article ID 682673,1−12
【非特許文献2】Cirillo P.et al.,(2009)J.Am.Soc.Nephrol.20:545−553
【非特許文献3】Lanaspa M.A.et al.,(2012)PLOS ONE 7(10):1−11
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ケトヘキソキナーゼ(KHK)を標的とするRNAi剤、例えば、二本鎖RNAi剤を含む組成物を提供する。本発明は、KHK発現を阻害するため、及び/又はKHK遺伝子の発現を阻害するか又は低下させることから利益を得られ得る障害、例えば、肝疾患(例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎)、脂質異常症(例えば、高脂血症、高いLDLコレステロール、低いHDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖コントロールの異常(例えば、インスリン抵抗性、糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎臓病(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症性変化)、メタボリックシンドローム、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪蓄積、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害、及び過剰な糖への渇望などのKHKに関連する疾病を処置するために、本発明の組成物を使用する方法も提供する。
【0007】
したがって、一態様において、本発明は、ケトヘキソキナーゼ(KHK)の発現を阻害するための二本鎖RNAi剤であって、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含み、センス鎖が、配列番号1、配列番号3又は配列番号5のヌクレオチド配列のいずれか1つと3つ以下のヌクレオチドだけ異なる少なくとも15連続ヌクレオチドを含み、及びアンチセンス鎖が、配列番号2、配列番号4又は配列番号6のヌクレオチド配列と3つ以下のヌクレオチドだけ異なる少なくとも15連続ヌクレオチドを含む、二本鎖RNAi剤を提供する。
【0008】
別の態様において、本発明は、ケトヘキソキナーゼ(KHK)の発現を阻害するための二本鎖RNAi剤であって、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖が、表3、4、及び5のいずれか1つに列挙されるアンチセンス配列のいずれか1つと3つ以下のヌクレオチドだけ異なる少なくとも15連続ヌクレオチドを含む相補性の領域を含む、二本鎖RNAi剤を提供する。
【0009】
一実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖は、AD−63851、AD−63820、AD−63853、AD−63839、AD−63854、AD−63855、及びAD−63886、並びに表3、4、8、11、12、14、及び15のいずれか1つに開示される配列のいずれか1つからなる群から選択される配列を含む。
【0010】
一実施形態において、二本鎖RNAi剤は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む。
【0011】
一実施形態において、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドは、2’−O−メチル修飾ヌクレオチド、5’−ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、デオキシ−ヌクレオチド、3’末端デオキシ−チミン(dT)ヌクレオチド、2’−O−メチル修飾ヌクレオチド、2’−フルオロ修飾ヌクレオチド、2’−デオキシ−修飾ヌクレオチド、コレステリル誘導体又はドデカン酸ビスデシルアミド基に結合された末端ヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチド、固定ヌクレオチド、非固定ヌクレオチド、立体配座的に制限されたヌクレオチド、拘束エチルヌクレオチド、非塩基性ヌクレオチド、2’−アミノ−修飾ヌクレオチド、2’−O−アリル−修飾ヌクレオチド、2’−C−アルキル−修飾ヌクレオチド、2’−ヒドロキシル−修飾ヌクレオチド、2’−メトキシエチル修飾ヌクレオチド、2’−O−アルキル−修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホロアミデート、非天然塩基を含むヌクレオチド、テトラヒドロピラン修飾ヌクレオチド、1,5−アンヒドロヘキシトール修飾ヌクレオチド、シクロヘキセニル修飾ヌクレオチド、ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、メチルホスホネート基を含むヌクレオチド、5’−ホスフェートを含むヌクレオチド、及び5’−ホスフェート模倣体を含むヌクレオチドからなる群から選択される。
【0012】
別の実施形態において、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドは、2’−O−メチル修飾ヌクレオチド、5’−ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、及びコレステリル誘導体又はドデカン酸ビスデシルアミド基に結合された末端ヌクレオチドからなる群から選択される。
【0013】
別の態様において、本発明は、ケトヘキソキナーゼ(KHK)の発現を阻害するための二本鎖RNAi剤であって、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含み、センス鎖が、配列番号1、配列番号3又は配列番号5のヌクレオチド配列のいずれか1つと3つ以下のヌクレオチドだけ異なる少なくとも15連続ヌクレオチドを含み、及びアンチセンス鎖が、配列番号2、配列番号4又は配列番号6のヌクレオチド配列と3つ以下のヌクレオチドだけ異なる少なくとも15連続ヌクレオチドを含み、センス鎖のヌクレオチドの実質的に全て及びアンチセンス鎖のヌクレオチドの実質的に全てが修飾ヌクレオチドであり、センス鎖が、3’末端において結合されたリガンドにコンジュゲートされる、二本鎖RNAi剤を提供する。
【0014】
一実施形態において、センス鎖のヌクレオチドの全て及びアンチセンス鎖のヌクレオチドの全てが、修飾ヌクレオチドである。
【0015】
別の実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖は、表3、4、5、6、及び7のいずれか1つに列挙されるアンチセンス配列のいずれか1つと3つ以下のヌクレオチドだけ異なる少なくとも15連続ヌクレオチドを含む相補性の領域を含む。
【0016】
ある実施形態において、修飾ヌクレオチドは、2’−O−メチル修飾ヌクレオチド、5’−ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、デオキシ−ヌクレオチド、3’末端デオキシ−チミン(dT)ヌクレオチド、2’−O−メチル修飾ヌクレオチド、2’−フルオロ修飾ヌクレオチド、2’−デオキシ−修飾ヌクレオチド、コレステリル誘導体又はドデカン酸ビスデシルアミド基に結合された末端ヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチド、固定ヌクレオチド、非固定ヌクレオチド、立体配座的に制限されたヌクレオチド、拘束エチルヌクレオチド、非塩基性ヌクレオチド、2’−アミノ−修飾ヌクレオチド、2’−O−アリル−修飾ヌクレオチド、2’−C−アルキル−修飾ヌクレオチド、2’−ヒドロキシル−修飾ヌクレオチド、2’−メトキシエチル修飾ヌクレオチド、2’−O−アルキル−修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホロアミデート、非天然塩基を含むヌクレオチド、テトラヒドロピラン修飾ヌクレオチド、1,5−アンヒドロヘキシトール修飾ヌクレオチド、シクロヘキセニル修飾ヌクレオチド、ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、メチルホスホネート基を含むヌクレオチド、5’−ホスフェートを含むヌクレオチド、及び5’−ホスフェート模倣体を含むヌクレオチドからなる群から選択される。
【0017】
二本鎖RNAi剤の別の実施形態において、少なくとも1つの鎖が、少なくとも1つのヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。別の実施形態において、少なくとも1つの鎖が、少なくとも2つのヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。
【0018】
更に別の実施形態において、二本鎖RNAi剤は、リガンドを含む。別の実施形態において、二本鎖RNAi剤は、医薬組成物及び脂質製剤を用いて投与される。別の実施形態において、脂質製剤は、脂質ナノ粒子(LNP)を含む。更に別の実施形態において、脂質ナノ粒子(LNP)は、MC3脂質を含む。
【0019】
別の態様において、本発明は、修飾アンチセンスポリヌクレオチド剤を含む組成物であって、この剤が、細胞内でのケトヘキソキナーゼ(KHK)の発現を阻害することが可能であり、且つ表3、4、及び5のいずれか1つに列挙される配列の群から選択されるセンス配列に相補的な配列を含み、ポリヌクレオチドが、約14〜約30ヌクレオチド長である、組成物を提供する。
【0020】
別の態様において、本発明は、細胞内でのケトヘキソキナーゼ(KHK)の発現を阻害することが可能なRNAi剤、例えば、二本鎖RNAi剤であって、アンチセンス鎖に相補的なセンス鎖を含み、アンチセンス鎖が、KHKをコードするmRNAの一部に相補的な領域を含み、各鎖が、約14〜約30ヌクレオチド長であり、二本鎖RNAi剤が、式(III):
センス:5’n−N−(XXX)−N−YYY−N−(ZZZ)−N−n3’
アンチセンス:3’n’−N’−(X’X’X’)−N’−Y’Y’Y’−N’−(Z’Z’Z’)−N’−n’5’(III)
(式中:
i、j、k、及びlがそれぞれ、独立して、0又は1であり;
p、p’、q、及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり;
各N及びN’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜25のヌクレオチド又はそれらの組み合わせを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み;
各N及びN’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜10ヌクレオチド又はそれらの組み合わせを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
それぞれ存在していても又は存在していなくてもよい各n、n’、n、及びn’が、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し;
XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’、及びZ’Z’Z’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つのモチーフを表し;
上の修飾が、Y上の修飾と異なり、且つN’上の修飾が、Y’上の修飾と異なり;及び
センス鎖が、少なくとも1つのリガンドにコンジュゲートされる)
によって表される、二本鎖RNAi剤を提供する。
【0021】
一実施形態において、iが0であり;jが0であり;iが1であり;jが1であり;i及びjの両方が0であり;又はi及びjの両方が1である。別の実施形態において、kが0であり;lが0であり;kが1であり;lが1であり;k及びlの両方が0であり;又はk及びlの両方が1である。
【0022】
一実施形態において、XXXが、X’X’X’に相補的であり、YYYが、Y’Y’Y’に相補的であり、及びZZZが、Z’Z’Z’に相補的である。
【0023】
一実施形態において、YYYモチーフが、センス鎖の切断部位又はその近傍に存在する。
【0024】
別の実施形態において、Y’Y’Y’モチーフが、5’末端からアンチセンス鎖の11位、12位及び13位に存在する。
【0025】
一実施形態において、Y’が、2’−O−メチルである。
【0026】
一実施形態において、式(III)が、(IIIa):
センス:5’n−N−YYY−N−n3’
アンチセンス:3’np’−Na’−Y’Y’Y’−Na’−nq’5’(IIIa)
によって表される。
【0027】
別の実施形態において、式(III)が、式(IIIb):
センス:5’n−N−YYY−N−ZZZ−N−n3’
アンチセンス:3’np’−Na’−Y’Y’Y’−Nb’−Z’Z’Z’−Na’−nq’5’(IIIb)
(式中、各N及びN’が、独立して、1〜5つの修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す)
によって表される。
【0028】
更に別の実施形態において、式(III)が、式(IIIc):
センス:5’n−N−XXX−N−YYY−N−n3’
アンチセンス:3’np’−Na’−X’X’X’−Nb’−Y’Y’Y’−Na’−nq’5’(IIIc)
(式中、各N及びN’が、独立して、1〜5つの修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す)
によって表される。
【0029】
更なる実施形態において、式(III)が、式(IIId):
センス:5’n−N−XXX−N−YYY−N−ZZZ−N−n3’
アンチセンス:3’np’−Na’−X’X’X’−Nb’−Y’Y’Y’−Nb’−Z’Z’Z’−Na’−nq’5’(IIId)
(式中、各N及びN’が、独立して、1〜5つの修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各N及びN’が、独立して、2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す)
によって表される。
【0030】
一実施形態において、二本鎖領域は、15〜30ヌクレオチド対長である。別の実施形態において、二本鎖領域は、17〜23ヌクレオチド対長である。更に別の実施形態において、二本鎖領域は、17〜25ヌクレオチド対長である。更なる実施形態において、二本鎖領域は、23〜27ヌクレオチド対長である。別の実施形態において、二本鎖領域は、19〜21ヌクレオチド対長である。別の実施形態において、二本鎖領域は、19〜23ヌクレオチド対長である。別の実施形態において、二本鎖領域は、21〜23ヌクレオチド対長である。更に別の実施形態において、各鎖が、15〜30のヌクレオチドを有する。
【0031】
一実施形態において、ヌクレオチド上の修飾は、LNA、CRN、cET、UNA、HNA、CeNA、2’−メトキシエチル、2’−O−アルキル、2’−O−アリル、2’−C−アリル、2’−フルオロ、2’−デオキシ、2’−ヒドロキシル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。別の実施形態において、ヌクレオチド上の修飾は、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾である。
【0032】
一実施形態において、リガンドリガンドは、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体である。別の実施形態において、リガンドは、
【化1】
である。
【0033】
一実施形態において、リガンドは、センス鎖の3’末端に結合される。
【0034】
別の実施形態において、RNAi剤は、以下の概略図
【化2】
に示されるリガンドにコンジュゲートされ、式中、Xが、O又はSである。特定の実施形態において、XがOである。
【0035】
一実施形態において、剤は、少なくとも1つのホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合を更に含む。
【0036】
更なる実施形態において、ホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合は、1つの鎖の3’末端にある。別の実施形態において、鎖は、アンチセンス鎖である。別の実施形態において、鎖は、センス鎖である。
【0037】
一実施形態において、ホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合は、1つの鎖の5’末端にある。別の実施形態において、鎖は、アンチセンス鎖である。更なる実施形態において、鎖は、センス鎖である。
【0038】
一実施形態において、ホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合は、1つの鎖の5’末端及び3’末端の両方にある。別の実施形態において、鎖は、アンチセンス鎖である。
【0039】
別の実施形態において、二本鎖RNAi剤は、6〜8つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。更なる実施形態において、アンチセンス鎖は、5’末端における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合及び3’末端における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み、及びセンス鎖は、センス鎖の5’末端又は3’末端のいずれかにおける少なくとも2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。
【0040】
一実施形態において、二本鎖のアンチセンス鎖の5’末端の1位における塩基対は、AU塩基対である。別の実施形態において、Yヌクレオチドは、2’−フルオロ修飾を含む。更なる実施形態において、Y’ヌクレオチドは、2’−O−メチル修飾を含む。
【0041】
一実施形態において、p’>0である。別の実施形態において、p’=2である。更なる実施形態において、q’=0であり、p=0であり、q=0であり、及びp’オーバーハングヌクレオチドが、標的mRNAに相補的である。更に他の実施形態において、q’=0であり、p=0であり、q=0であり、及びp’オーバーハングヌクレオチドが、標的mRNAに非相補的である。
【0042】
一実施形態において、センス鎖は、合計で21のヌクレオチドを有し、及びアンチセンス鎖は、合計で23のヌクレオチドを有する。
【0043】
別の実施形態において、少なくとも1つのn’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合される。更なる実施形態において、全てのn’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合される。
【0044】
別の実施形態において、RNAi剤は、表3、4、及び5のいずれか1つに列挙されるRNAi剤の群から選択される。
【0045】
一態様において、本発明は、ケトヘキソキナーゼ(KHK)の発現を阻害するための二本鎖RNAi剤を提供する。二本鎖RNAi剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含み、センス鎖が、配列番号1、配列番号3又は配列番号5のヌクレオチド配列のいずれか1つと3つ以下のヌクレオチドだけ異なる少なくとも15連続ヌクレオチドを含み、及びアンチセンス鎖が、配列番号2、配列番号4又は配列番号6のヌクレオチド配列と3つ以下のヌクレオチドだけ異なる少なくとも15連続ヌクレオチドを含み、センス鎖のヌクレオチドの実質的に全てが、2’−O−メチル修飾及び2’−フルオロ修飾からなる群から選択される修飾を含み、センス鎖が、5’末端における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み、アンチセンス鎖のヌクレオチドの実質的に全てが、2’−O−メチル修飾及び2’−フルオロ修飾からなる群から選択される修飾を含み、アンチセンス鎖が、5’末端における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合及び3’末端における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み、センス鎖が、3’末端において分枝鎖状の二価又は三価リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体にコンジュゲートされる。
【0046】
一実施形態において、センス鎖のヌクレオチドの全て及びアンチセンス鎖のヌクレオチドの全てが、修飾を含む。
【0047】
別の態様において、本発明は、細胞内でのKHK(ケトヘキソキナーゼ)の発現を阻害することが可能なRNAi剤、例えば、二本鎖RNAi剤であって、二本鎖RNAi剤が、アンチセンス鎖に相補的なセンス鎖を含み、アンチセンス鎖が、KHKをコードするmRNAの一部に相補的な領域を含み、各鎖が、約14〜約30ヌクレオチド長であり、二本鎖RNAi剤が、式(III):
センス:5’n−N−(XXX)−N−YYY−N−(ZZZ)−N−n3’
アンチセンス:3’n’−N’−(X’X’X’)−N’−Y’Y’Y’−N’−(Z’Z’Z’)−N’−n’5’(III)
(式中:
i、j、k、及びlがそれぞれ、独立して、0又は1であり;
p、p’、q、及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり;
各N及びN’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜25のヌクレオチド又はそれらの組み合わせを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み;
各N及びN’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜10ヌクレオチド又はそれらの組み合わせを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
それぞれ存在していても又は存在していなくてもよい各n、n’、n、及びn’が、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し;
XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’、及びZ’Z’Z’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つのモチーフを表し、修飾が、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり;
上の修飾が、Y上の修飾と異なり、及びN’上の修飾が、Y’上の修飾と異なり;
センス鎖が、少なくとも1つのリガンドにコンジュゲートされる)
によって表される、二本鎖RNAi剤を提供する。
【0048】
更に別の態様において、本発明は、細胞内でのケトヘキソキナーゼ(KHK)の発現を阻害することが可能なRNAi剤、例えば、二本鎖RNAi剤であって、二本鎖RNAi剤が、アンチセンス鎖に相補的なセンス鎖を含み、アンチセンス鎖が、KHKをコードするmRNAの一部に相補的な領域を含み、各鎖が、約14〜約30ヌクレオチド長であり、二本鎖RNAi剤が、式(III):
センス:5’n−N−(XXX)−N−YYY−N−(ZZZ)−N−n3’
アンチセンス:3’n’−N’−(X’X’X’)−N’−Y’Y’Y’−N’−(Z’Z’Z’)−N’−n’5’(III)
(式中:
i、j、k、及びlがそれぞれ、独立して、0又は1であり;
それぞれ存在していても又は存在していなくてもよい各n、n、及びn’が、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し;
p、q、及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり;
’>0であり、及び少なくとも1つのn’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され;
各N及びN’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜25のヌクレオチド又はそれらの組み合わせを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み;
各N及びN’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜10ヌクレオチド又はそれらの組み合わせを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’、及びZ’Z’Z’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つのモチーフを表し、修飾が、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり;
上の修飾が、Y上の修飾と異なり、及びN’上の修飾が、Y’上の修飾と異なり;
センス鎖が、少なくとも1つのリガンドにコンジュゲートされる)
によって表される、二本鎖RNAi剤を提供する。
【0049】
更なる態様において、本発明は、細胞内でのケトヘキソキナーゼ(KHK)の発現を阻害することが可能なRNAi剤、例えば、二本鎖RNAi剤であって、二本鎖RNAi剤が、アンチセンス鎖に相補的なセンス鎖を含み、アンチセンス鎖が、KHKをコードするmRNAの一部に相補的な領域を含み、各鎖が、約14〜約30ヌクレオチド長であり、二本鎖RNAi剤が、式(III):
センス:5’n−N−(XXX)−N−YYY−N−(ZZZ)−N−n3’
アンチセンス:3’n’−N’−(X’X’X’)−N’−Y’Y’Y’−N’−(Z’Z’Z’)−N’−n’5’(III)
(式中:
i、j、k、及びlがそれぞれ、独立して、0又は1であり;
それぞれ存在していても又は存在していなくてもよい各n、n、及びn’が、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し;
p、q、及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり;
’>0であり、及び少なくとも1つのn’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され;
各N及びN’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜25のヌクレオチド又はそれらの組み合わせを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み;
各N及びN’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜10ヌクレオチド又はそれらの組み合わせを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’、及びZ’Z’Z’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つのモチーフを表し、修飾が、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり;
上の修飾が、Y上の修飾と異なり、及びN’上の修飾が、Y’上の修飾と異なり;
センス鎖が、少なくとも1つのリガンドにコンジュゲートされ、リガンドが、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体である)
によって表される、二本鎖RNAi剤を提供する。
【0050】
別の態様において、本発明は、細胞内でのケトヘキソキナーゼ(KHK)の発現を阻害することが可能なRNAi剤、例えば、二本鎖RNAi剤であって、二本鎖RNAi剤が、アンチセンス鎖に相補的なセンス鎖を含み、アンチセンス鎖が、KHKをコードするmRNAの一部に相補的な領域を含み、各鎖が、約14〜約30ヌクレオチド長であり、二本鎖RNAi剤が、式(III):
センス:5’n−N−(XXX)−N−YYY−N−(ZZZ)−N−n3’
アンチセンス:3’n’−N’−(X’X’X’)−N’−Y’Y’Y’−N’−(Z’Z’Z’)−N’−n’5’(III)
(式中:
i、j、k、及びlがそれぞれ、独立して、0又は1であり;
それぞれ存在していても又は存在していなくてもよい各n、n、及びn’が、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し;
p、q、及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり;
’>0であり、及び少なくとも1つのn’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され;
各N及びN’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜25のヌクレオチド又はそれらの組み合わせを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み;
各N及びN’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜10ヌクレオチド又はそれらの組み合わせを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’、及びZ’Z’Z’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つのモチーフを表し、修飾が、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり;
上の修飾が、Y上の修飾と異なり、及びN’上の修飾が、Y’上の修飾と異なり;
センス鎖が、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含み;
センス鎖が、少なくとも1つのリガンドにコンジュゲートされ、リガンドが、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体である)
によって表される、二本鎖RNAi剤を提供する。
【0051】
更に別の態様において、本発明は、細胞内でのケトヘキソキナーゼ(KHK)の発現を阻害することが可能なRNAi剤、例えば、二本鎖RNAi剤であって、二本鎖RNAi剤が、アンチセンス鎖に相補的なセンス鎖を含み、アンチセンス鎖が、KHKをコードするmRNAの一部に相補的な領域を含み、各鎖が、約14〜約30ヌクレオチド長であり、二本鎖RNAi剤が、式(III):
センス:5’n−N−YYY−N−n3’
アンチセンス:3’n’−N’−Y’Y’Y’−N’−n’5’(IIIa)
(式中:
それぞれ存在していても又は存在していなくてもよい各n、n、及びn’が、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し;
p、q、及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり;
’>0であり、及び少なくとも1つのn’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され;
各N及びN’が、独立して、修飾又は非修飾のいずれかの0〜25のヌクレオチド又はそれらの組み合わせを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み;
YYY及びY’Y’Y’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つのモチーフを表し、修飾が、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり;
センス鎖が、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含み;
センス鎖が、少なくとも1つのリガンドにコンジュゲートされ、リガンドが、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体である)
によって表される、二本鎖RNAi剤を提供する。
【0052】
本発明は、本発明の二本鎖RNAi剤を含む、細胞、ベクター、宿主細胞及び医薬組成物も提供する。
【0053】
一実施形態において、本発明は、表3、4 5、6、及び7のいずれか1つに列挙されるRNAi剤を含む二本鎖RNAi剤を提供する。
【0054】
一実施形態において、細胞が、二本鎖RNAi剤を含む。
【0055】
別の実施形態において、ベクターが、二本鎖RNAi剤の少なくとも1つの鎖をコードし、二本鎖RNAi剤が、ケトヘキソキナーゼをコードするmRNAの少なくとも一部に対して相補性の領域を含み、二本鎖RNAi剤が、30塩基対以下の長さであり、二本鎖RNAi剤が、切断のためにmRNAを標的とする。更なる実施形態において、相補性の領域は、少なくとも15ヌクレオチド長である。別の実施形態において、相補性の領域は、19〜21ヌクレオチド長である。別の実施形態において、細胞は、ベクターを含む。
【0056】
ある実施形態において、二本鎖RNAi剤又は修飾アンチセンスポリヌクレオチド剤を含む組成物は、医薬組成物を用いて投与される。
【0057】
好ましい実施形態において、二本鎖RNAi剤は、溶液中で投与される。ある実施形態において、二本鎖RNAi剤は、非緩衝液中で投与される。別の実施形態において、非緩衝液は、生理食塩水又は水である。別の実施形態において、二本鎖RNAi剤は、緩衝液とともに投与される。更に別の実施形態において、緩衝液は、酢酸塩、クエン酸塩、プロラミン、炭酸塩、若しくはリン酸塩又はそれらの任意の組み合わせを含む。ある実施形態において、緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。
【0058】
別の態様において、本発明は、細胞内でのケトヘキソキナーゼ(KHK)発現を阻害する方法を提供する。本方法は、細胞を、二本鎖RNAi剤、医薬組成物、修飾アンチセンスポリヌクレオチド剤を含む組成物、又はRNAi剤を含むベクターと接触させる工程と、産生された細胞を、KHK遺伝子のmRNA転写物の分解を得るのに十分な時間にわたって維持し、それによって、細胞内でのKHK遺伝子の発現を阻害する工程とを含む。
【0059】
一実施形態において、細胞は、対象中にある。更なる実施形態において、対象はヒトである。更なる実施形態において、対象は、ケトヘキソキナーゼに関連する疾病に罹患している。
【0060】
一実施形態において、KHK発現は、少なくとも約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%又は約100%阻害される。
【0061】
別の態様において、本発明は、ケトヘキソキナーゼ(KHK)に関連する障害に罹患している対象を処置する方法であって、治療有効量の、二本鎖RNAi剤、修飾アンチセンスポリヌクレオチド剤を含む組成物、又は二本鎖RNAi剤を含む医薬組成物を対象に投与し、それによって、対象を処置する工程を含む、方法を提供する。
【0062】
別の態様において、本発明は、ケトヘキソキナーゼ(KHK)に関連する障害に罹患している対象を処置する方法であって、治療有効量の二本鎖RNAi剤を対象に皮下投与する工程であって、二本鎖RNAi剤が、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含み、センス鎖が、配列番号1、配列番号3又は配列番号5のヌクレオチド配列のいずれか1つと3つ以下のヌクレオチドだけ異なる少なくとも15連続ヌクレオチドを含み、及びアンチセンス鎖が、配列番号2、配列番号4又は配列番号6のヌクレオチド配列と3つ以下のヌクレオチドだけ異なる少なくとも15連続ヌクレオチドを含み、アンチセンス鎖のヌクレオチドの実質的に全てが、2’−O−メチル修飾及び2’−フルオロ修飾からなる群から選択される修飾を含み、アンチセンス鎖が、5’末端における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合及び3’末端における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み、センス鎖のヌクレオチドの実質的に全てが、2’−O−メチル修飾及び2’−フルオロ修飾からなる群から選択される修飾を含み、センス鎖が、5’末端における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み、センス鎖が、3’末端において分枝鎖状の二価又は三価リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体にコンジュゲートされる、工程を含む、方法を提供する。
【0063】
一実施形態において、センス鎖のヌクレオチドの全て及びアンチセンス鎖のヌクレオチドの全てが、修飾を含む。
【0064】
一実施形態において、対象はヒトである。
【0065】
一実施形態において、ケトヘキソキナーゼに関連する疾病は、肝疾患、脂質異常症、血糖コントロールの異常、心血管疾患、腎臓病、メタボリックシンドローム、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪蓄積、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害、及び過剰な糖への渇望からなる群から選択される。特定の実施形態において、肝疾患は、脂肪肝及び/又は脂肪性肝炎である。別の実施形態において、脂質異常症は、高脂血症、高いLDLコレステロール、低いHDLコレステロール、高トリグリセリド血症、及び食後高トリグリセリド血症からなる群から選択される。更に別の実施形態において、血糖コントロールの異常は、インスリン抵抗性及び/又は糖尿病である。更なる実施形態において、心血管疾患は、高血圧症及び/又は内皮細胞機能障害である。更に別の実施形態において、腎臓病は、急性腎障害、尿細管機能障害、及び近位尿細管の炎症性変化からなる群から選択される。
【0066】
一実施形態において、二本鎖RNAi剤は、約0.01mg/kg〜約10mg/kg又は約1mg/kg〜約10mg/kgの用量で投与される。好ましい実施形態において、二本鎖RNAi剤は、約0.1mg/kg、約1.0mg/kg、又は約3.0mg/kgの用量で投与される。特定の実施形態において、二本鎖RNAi剤は、約1mg/kg〜約10mg/kgの用量で投与される。
【0067】
一実施形態において、二本鎖RNAi剤は、皮下又は静脈内投与される。
【0068】
一実施形態において、RNAi剤は、2回以上の投与で投与される。
【0069】
更に別の実施形態において、本方法は、更なる治療剤を対象に投与する工程を更に含む。ある実施形態において、更なる治療剤は、HMG−CoA還元酵素阻害剤、糖尿病治療剤、降圧薬、及びレスベラトロールからなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1】ケトヘキソキナーゼによるフルクトースの代謝並びにヘキソキナーゼによるグルコース及びフルクトースの代謝を示す。
図2】ケトヘキソキナーゼAの転写産物(NM_000221.2)、ケトヘキソキナーゼCの転写産物(NM_006488.2)及び転写変異体X5(XM_005264298.1)についてのヒトKHK遺伝子におけるエクソン配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
本発明は、KHKを標的とするRNAi剤、例えば、二本鎖iRNA剤を含む組成物を提供する。本発明は、KHK発現を阻害し、KHKに関連する疾病、障害、及び/又は病態、例えば、肝疾患(例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎)、脂質異常症(例えば、高脂血症、高いLDLコレステロール、低いHDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖コントロールの異常(例えば、インスリン抵抗性、糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎臓病(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症性変化)、メタボリックシンドローム、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪蓄積、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害、及び過剰な糖への渇望を処置するために本発明の組成物を使用する方法も提供する(Khaitan Z.et al.,(2013)J.Nutr.Metab.,Article ID 682673,1−12;Diggle C.P.et al.,(2009)J.Hisotchem.Cytochem.,57(8):763−774;Cirillo P.et al.,(2009)J.Am.Soc.Nephrol.,20:545−553;Lanaspa M.A.et al.,(2012)PLOS ONE 7(10):1−11)。
【0072】
KHK(ケトヘキソキナーゼ)遺伝子は、染色体2p23上に位置し、フルクトキナーゼとしても知られているケトヘキソキナーゼをコードする。KHKは、アルコールをリン酸受容体とするホスホトランスフェラーゼ酵素である。KHKは、炭水化物キナーゼのリボキナーゼファミリーに属する(Trinh et al.,ACTA Cryst.,D65:201−211)。ケトヘキソキナーゼの2つのアイソフォーム、KHK−A及びKHK−Cが特定されており、これらは、完全長mRNAの選択的スプライシングから得られる。これらのアイソフォームは、エクソン3a又は3cのいずれかの包含が異なり、位置72〜115の32のアミノ酸が異なる(例えば、図2を参照)。KHK−C mRNAは、主に、肝臓、腎臓及び小腸中で、高レベルで発現される。KHK−Cは、KHK−Aよりはるかに低い、フルクトース結合に対するKを有し、結果として、食事性フルクトースをリン酸化するのに非常に有効である。ヒトKHK−C mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank登録番号GI:153218447(NM_006488.2;配列番号1)に見られる。ヒトKHK−A mRNA転写物の配列は、例えばGenBank登録番号GI:153218446(NM_000221.2;配列番号3)に見られる。完全長ヒトKHK mRNAの配列は、GenBank登録番号GI:530367552(XM_005264298.1;配列番号5)で提供されており、これを使用した(図2)。
【0073】
本発明は、KHK遺伝子の発現を調節するためのiRNA剤、組成物及び方法を提供する。特定の実施形態において、KHKの発現が、KHK特異的iRNA剤を用いて低下又は阻害され、それによって、フルクトースからフルクトース−1−リン酸へのリン酸化を減少させ、それによって、尿酸値の増加及び脂質生成の増加を防ぐ。したがって、本発明のiRNA組成物を用いたKHK遺伝子の発現又は活性の阻害は、食事性フルクトースの脂質合成効果を低下させ、それに伴う対象中の尿酸の蓄積を防ぐための治療法として有用である。このような阻害は、肝疾患(例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎)、脂質異常症(例えば、高脂血症、高いLDLコレステロール、低いHDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖コントロールの異常(例えば、インスリン抵抗性、糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎臓病(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症性変化)、メタボリックシンドローム、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪蓄積、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害、及び過剰な糖への渇望などの疾病、障害、及び/又は病態を処置するのに有用である。
【0074】
I.定義
本発明がより容易に理解され得るように、いくつかの用語がまず定義される。更に、変数の値又は値の範囲が記載されるときは常に、記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図されることに留意されたい。
【0075】
冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、その冠詞の文法的目的語の1つ又は2つ以上(即ち、少なくとも1つ)を指すために本明細書において使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素又は2つ以上の要素、例えば、複数の要素を意味する。
【0076】
「〜を含む(including)」という用語は、「〜を含むがこれらに限定されない(including but not limited to)」という語句を意味するために本明細書において使用され、この語句と同義的に使用される。
【0077】
「又は」という用語は、文脈上明らかに他の意味を示さない限り、「及び/又は」という用語を意味するために本明細書において使用され、この用語と同義的に使用される。
【0078】
本明細書において使用される際、「KHK」は、ケトヘキソキナーゼ遺伝子又はタンパク質を指す。KHKは、フルクトキナーゼとしても知られている。「KHK」という用語は、ヒトKHKを含み、そのアミノ酸及び完全なコード配列が、例えば、GenBank登録番号BC006233に見られる。ヒトKHK−C mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank登録番号GI:153218447(NM_006488.2;配列番号1)に見られる。配列番号1の逆補体(reverse complement)は、配列番号2として提供されている。ヒトKHK−A mRNA転写物の配列は、例えばGenBank登録番号GI:153218446(NM_000221.2;配列番号3)に見られる。配列番号3の逆補体は、配列番号4として提供されている。ヒト完全長KHK mRNA転写物の配列は、GenBank登録番号GI:530367552(XM_005264298.1;配列番号5)で提供されている。配列番号5の逆補体は、配列番号6として提供されている。マウス(ハツカネズミ(Mus musculus))KHK mRNAの配列は、例えば、GenBank登録番号GI:118130797(NM_008439.3;配列番号7)に見られ、逆補体配列は、配列番号8として提供されている。ラット(ドブネズミ(Rattus rattovorus))KHK mRNAの配列は、例えばGenBank登録番号GI:126432547(NM_031855.3;配列番号9)に見られ、逆補体配列は、配列番号10で提供されている。カニクイザル(Macaca fascicularis)KHK mRNA、変異体X1の配列は、例えばGenBank登録番号GI:544482340(XM_005576321.1;配列番号11)又はGI:に見られ、逆補体配列は、配列番号12で提供されている。カニクイザル(Macaca fascicularis)KHK mRNA、変異体X3の配列は、例えばGenBank登録番号GI:544482340(XM_005576321.1;配列番号325)又はGI:に見られ、逆補体配列は、配列番号326で提供されている。KHK mRNA配列の更なる例が、公開されているデータベース、例えば、GenBank.、UniProt、OMIM、及びマカク属(Macaca)ゲノムプロジェクトウェブサイトを用いて容易に利用可能である。
【0079】
本明細書において使用される際、「標的配列」は、一次転写産物のRNAプロセシングの産物であるmRNAを含む、KHK遺伝子の転写の際に形成されるmRNA分子のヌクレオチド配列の連続する部分を指す。
【0080】
本明細書において使用される際、「標的配列」は、一次転写産物のRNAプロセシングの産物であるmRNAを含む、KHK遺伝子の転写の際に形成されるmRNA分子のヌクレオチド配列の連続する部分を指す。一実施形態において、配列の標的部分は少なくとも、KHK遺伝子の転写の際に形成されるmRNA分子のヌクレオチド配列の該当部分で又はその近くでiRNA指向性切断のための基質としての役割を果たすのに十分な長さであろう。
【0081】
標的配列は、約9〜36ヌクレオチド長、例えば、約15〜30ヌクレオチド長であり得る。例えば、標的配列は、約15〜30ヌクレオチド、15−29、15〜28、15〜27、15〜26、15〜25、15〜24、15〜23、15〜22、15〜21、15〜20、15〜19、15〜18、15〜17、18〜30、18〜29、18〜28、18〜27、18〜26、18〜25、18〜24、18〜23、18〜22、18〜21、18〜20、19〜30、19〜29、19〜28、19〜27、19〜26、19〜25、19〜24、19〜23、19〜22、19〜21、19〜20、20〜30、20〜29、20〜28、20〜27、20〜26、20〜25、20〜24,20〜23、20〜22、20〜21、21〜30、21〜29、21〜28、21〜27、21〜26、21〜25、21〜24、21〜23、又は21〜22ヌクレオチド長であり得る。上に記載される範囲及び長さの中間の範囲及び長さも、本発明の一部であると考えられる。
【0082】
本明細書において使用される際、「配列を含む鎖」という用語は、標準的なヌクレオチドの命名法を用いて示される配列によって表されるヌクレオチドの鎖を含むオリゴヌクレオチドを指す。
【0083】
「G」、「C」、「A」及び「U」はそれぞれ、一般に、それぞれ、塩基としてグアニン、シトシン、アデニン、及びウラシルを含むヌクレオチドを表す。しかしながら、「リボヌクレオチド」又は「ヌクレオチド」という用語は、以下に更に詳述されるように、修飾ヌクレオチド、又は代理置換部分(surrogate replacement moiety)も指し得ることが理解されよう(例えば表2を参照)。当業者は、グアニン、シトシン、アデニン、及びウラシルが、このような置換部分を有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの塩基対合特性をそれほど変化させずに他の部分によって置換されてもよいことを十分に認識している。例えば、限定はされないが、その塩基としてイノシンを含むヌクレオチドが、アデニン、シトシン、又はウラシルを含むヌクレオチドと塩基対合し得る。したがって、ウラシル、グアニン、又はアデニンを含むヌクレオチドは、本発明において特徴づけられるdsRNAのヌクレオチド配列において、例えば、イノシンを含むヌクレオチドによって置換されてもよい。別の例では、オリゴヌクレオチド中のいずれかの箇所のアデニン及びシトシンが、それぞれグアニン及びウラシルで置換されて、標的mRNAとのG−Uゆらぎ塩基対合が形成され得る。このような置換部分を含有する配列は、本発明に取り上げられる組成物及び方法に好適である。
【0084】
本明細書において同義的に使用される「iRNA」、「RNAi剤」、「iRNA剤」、「RNA干渉剤」、又は「低分子干渉RNA」若しくは「siRNA」という用語は、その用語が本明細書において定義されるように、RNAを含有し、且つRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)経路を介してRNA転写物の標的化された切断を仲介する剤を指す。iRNAは、RNA干渉(iRNA)として公知のプロセスによってmRNAの配列に特異的な分解を導く。iRNAは、細胞、例えば、哺乳動物対象などの対象中の細胞内でのKHKの発現を調節する(例えば阻害する)。
【0085】
一実施形態において、本発明のiRNA剤は、標的RNA配列、例えば、KHK標的mRNA配列と相互作用して、標的RNAの切断を導く一本鎖RNAを含む。理論に制約されるのを望むものではないが、細胞中に導入される長い二本鎖RNAが、Dicerとして公知のIII型エンドヌクレアーゼによってsiRNAに分解されると考えられる(Sharp et al.(2001)Genes Dev.15:485)。リボヌクレアーゼIII様酵素であるDicerは、dsRNAをプロセシングして、特徴的な2つの塩基3’オーバーハングを有する19〜23塩基対の短干渉RNAにする(Bernstein,et al.,(2001)Nature 409:363)。次に、siRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に組み込まれ、ここで、1つ又は複数のヘリカーゼが、siRNA二本鎖をほどいて、相補的なアンチセンス鎖が、標的認識を導くことを可能にする(Nykanen,et al.,(2001)Cell 107:309)。適切な標的mRNAに結合すると、RISC中の1つ又は複数のエンドヌクレアーゼが標的を切断して、サイレンシングを誘導する(Elbashir,et al.,(2001)Genes Dev.15:188)。ここで、一態様において、本発明は、細胞中で生成され、且つ標的遺伝子、即ち、KHK遺伝子のサイレンシングをもたらすRISC複合体の形成を促進する一本鎖RNA(siRNA)に関する。したがって、「siRNA」という用語はまた、上記のiRNAを指すために本明細書において使用される。
【0086】
別の実施形態において、iRNA剤は、標的mRNAを阻害するために細胞又は生物に導入される一本鎖siRNAであり得る。一本鎖iRNA剤は、RISCエンドヌクレアーゼArgonaute 2に結合し、これが、次に、標的mRNAを切断する。一本鎖siRNAは、一般に、15〜30のヌクレオチドであり、化学的に修飾される。一本鎖siRNAの設計及び試験が、米国特許第8,101,348号明細書及びLima et al.,(2012)Cell 150:883−894に記載され、それぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。本明細書に記載されるアンチセンスヌクレオチド配列のいずれかが、本明細書に記載されるような又はLima et al.,(2012)Cell 150;:883−894に記載される方法によって化学的に修飾される一本鎖siRNAとして使用され得る。
【0087】
別の実施形態において、本発明の組成物、使用及び方法に使用するための「iRNA」は、二本鎖RNAであり、本明細書において「二本鎖RNAi剤」、「二本鎖RNA(dsRNA)分子」、「dsRNA剤」、又は「dsRNA」と呼ばれる。「dsRNA」という用語は、標的RNA、即ち、KHK遺伝子に対する「センス」及び「アンチセンス」配向を有することが示される、2本の逆平行で且つ実質的に相補的な核酸鎖を含む二本鎖構造を有するリボ核酸分子の複合体を指す。本発明のある実施形態において、二本鎖RNA(dsRNA)は、本明細書においてRNA干渉又はRNAi若しくはiRNAと呼ばれる、転写後遺伝子サイレンシング機構による、標的RNA、例えば、mRNAの分解を引き起こす。
【0088】
一般に、dsRNA分子のそれぞれの鎖のヌクレオチドの大部分は、リボヌクレオチドであるが、本明細書において詳細に記載されるように、それぞれの又は両方の鎖は、1つ又は複数の非リボヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチド及び/又は修飾ヌクレオチドも含み得る。更に、本明細書において使用される際、「iRNA剤」は、化学的修飾を有するリボヌクレオチドを含んでいてもよく;iRNA剤は、複数のヌクレオチドにおける実質的な修飾を含み得る。
【0089】
本明細書において使用される際、「修飾ヌクレオチド」という用語は、独立して、修飾された糖部分、修飾されたヌクレオチド間結合、及び/又は修飾された核酸塩基を有するヌクレオチドを指す。したがって、修飾ヌクレオチドという用語は、ヌクレオシド間結合、糖部分、又は核酸塩基に対する、例えば、官能基又は原子の置換、付加又は除去を包含する。本発明の剤に使用するのに好適な修飾は、本明細書に開示されるか又は当該技術分野において公知のあらゆるタイプの修飾を含む。siRNAタイプの分子に使用される際のいずれのこのような修飾も、本明細書及び特許請求の範囲の目的のために「RNAi剤」によって包含される。
【0090】
二本鎖領域は、RISC経路を介した所望の標的RNAの特異的な分解を可能にする任意の長さのものであってもよく、約9〜36塩基対の長さ、例えば、約15〜30塩基対の長さの範囲、例えば、約15〜30、15〜29、15〜28、15〜27、15〜26、15〜25、15〜24、15〜23、15〜22、15〜21、15〜20、15〜19、15〜18、15〜17、18〜30、18〜29、18〜28、18〜27、18〜26、18〜25、18〜24、18〜23、18〜22、18〜21、18〜20、19〜30、19〜29、19〜28、19〜27、19〜26、19〜25、19〜24、19〜23、19〜22、19〜21、19〜20、20〜30、20〜29、20〜28、20〜27、20〜26、20〜25、20〜24,20〜23、20〜22、20〜21、21〜30、21〜29、21〜28、21〜27、21〜26、21〜25、21〜24、21〜23、又は21〜22塩基対の長さなど、約9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、又は36塩基対の長さであり得る。上に記載される範囲及び長さの中間の範囲及び長さも、本発明の一部であると考えられる。
【0091】
二本鎖構造を形成する2本の鎖は、1つのより大きいRNA分子の異なる部分であってもよく、又はそれらは別個のRNA分子であってもよい。2本の鎖が、1つのより大きい分子の一部であり、したがって、二本鎖構造を形成する1本の鎖の3’末端とその他方の鎖の5’末端との間のヌクレオチドの連続した鎖によって結合された場合、結合するRNA鎖は、「ヘアピンループ」と呼ばれる。ヘアピンループは、少なくとも1つの不対ヌクレオチドを含み得る。ある実施形態において、ヘアピンループは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも23個又はそれ以上の不対ヌクレオチドを含み得る。
【0092】
dsRNAの2つの実質的に相補的な鎖が、別個のRNA分子によって構成される場合、それらの分子は、共有結合され得るが、共有結合されていなくてもよい。
【0093】
2本の鎖が、二本鎖構造を形成する1本の鎖の3’末端とその他方の鎖の5’末端との間のヌクレオチドの連続した鎖以外の手段によって共有結合された場合、結合構造は、「リンカー」と呼ばれる。RNA鎖は、同じか又は異なる数のヌクレオチドを有し得る。塩基対の最大数は、dsRNAの最も短い鎖のヌクレオチドの数から、二本鎖に存在するオーバーハングを引いた数である。二本鎖構造に加えて、iRNA剤は、1つ又は複数のヌクレオチドオーバーハングを含み得る。
【0094】
本明細書において使用される際、「ヌクレオチドオーバーハング」という用語は、iRNA、例えば、dsRNAの二本鎖構造から突出する少なくとも1つの不対ヌクレオチドを指す。例えば、dsRNAの1本の鎖の3’末端が、他方の鎖の5’末端を越えて延びるか又はその逆である場合、ヌクレオチドオーバーハングが存在する。dsRNAは、少なくとも1つのヌクレオチドのオーバーハングを含み得るか;或いはオーバーハングは、少なくとも2つのヌクレオチド、少なくとも3つのヌクレオチド、少なくとも4つのヌクレオチド、少なくとも5つのヌクレオチド又はそれ以上を含み得る。ヌクレオチドオーバーハングは、デオキシヌクレオチド/ヌクレオシドを含むヌクレオチド/ヌクレオシド類似体を含むか又はそれからなり得る。オーバーハングは、センス鎖、アンチセンス鎖又はそれらの任意の組み合わせであり得る。更に、オーバーハングのヌクレオチドは、dsRNAのアンチセンス鎖又はセンス鎖のいずれかの5’末端、3’末端又は両方の末端に存在し得る。
【0095】
一実施形態において、dsRNAのアンチセンス鎖は、3’末端及び/又は5’末端に、1〜10個のヌクレオチド、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のヌクレオチドのオーバーハングを有する。一実施形態において、dsRNAのセンス鎖は、3’末端及び/又は5’末端に、1〜10のヌクレオチド、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のヌクレオチドのオーバーハングを有する。別の実施形態において、オーバーハング中のヌクレオチドの1つ又は複数が、ヌクレオシドチオリン酸で置換される。
【0096】
「平滑な」又は「平滑末端」は、二本鎖iRNA剤の該当する末端に不対ヌクレオチドが存在しない、即ち、ヌクレオチドオーバーハングが存在しないことを意味する。「平滑末端」iRNA剤は、その全長にわたって二本鎖である、即ち、分子のいずれの末端にもヌクレオチドオーバーハングが存在しないdsRNAである。本発明のiRNA剤は、一方の末端にヌクレオチドオーバーハングを有するiRNA剤(即ち、1つのオーバーハング及び1つの平滑末端を有する剤)又は両方の末端にヌクレオチドオーバーハングを有するRNAi剤を含む。
【0097】
「アンチセンス鎖」又は「ガイド鎖」という用語は、例えば、標的配列、例えば、KHK mRNAに実質的に相補的な領域を含むiRNA、例えば、dsRNAの鎖を指す。本明細書において使用される際、「相補性の領域」という用語は、本明細書において定義されるように、配列、例えば標的配列、例えば、KHKヌクレオチド配列に実質的に相補的なアンチセンス鎖の領域を指す。相補性の領域が、標的配列と完全には相補的でない場合、その分子の内部領域又は末端領域にミスマッチが存在し得る。一般に、ほとんどの許容されるミスマッチは、末端領域、例えば、iRNAの5’末端及び/又は3’末端の5、4、3、又は2つのヌクレオチド中に存在する。
【0098】
本明細書において使用される際の「センス鎖」、又は「パッセンジャー鎖」という用語は、その用語が本明細書において定義されるように、アンチセンス鎖の領域と実質的に相補的な領域を含むiRNAの鎖を指す。
【0099】
本明細書において使用される際、「切断領域」という用語は、切断部位に直接隣接して位置する領域を指す。切断部位は、標的における、切断が生じる部位である。ある実施形態において、切断領域は、切断部位のいずれかの末端で、切断部位に直接隣接した3つの塩基を含む。ある実施形態において、切断領域は、切断部位のいずれかの末端で、切断部位に直接隣接した2つの塩基を含む。ある実施形態において、切断部位は、アンチセンス鎖のヌクレオチド10及び11によって結合される部位で特異的に生じ、切断領域は、ヌクレオチド11、12及び13を含む。
【0100】
本明細書において使用される際、特に示されない限り、「相補的な」という用語は、当業者により理解されるように、第1のヌクレオチド配列を第2のヌクレオチド配列と関連して記載するのに使用される場合、第1のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドが、所定の条件下で、第2のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドとハイブリダイズし、二本鎖構造を形成する能力を指す。このような条件は、例えば、ストリンジェントな条件であり得、ここで、ストリンジェントな条件は、400mMのNaCl、40mMのPIPES(pH6.4)、1mMのEDTA、50℃又は70℃で12〜16時間と、それに続く洗浄を含み得る(例えば“Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Sambrook,et al.(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照)。生物の内部で起こり得る生理学的に関連した条件などの他の条件を適用することができる。当業者は、ハイブリダイズされたヌクレオチドの最終的な用途に従って、2つの配列の相補性の試験に最も適切な条件の組を決定することができるであろう。
【0101】
本明細書に記載されるiRNA中、例えば、dsRNA中の相補的な配列は、第2のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドへの第1のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドの、一方又は両方のヌクレオチド配列の全長にわたる塩基対合を含む。このような配列は、本明細書において互いに対して「完全に相補的な」と称され得る。しかしながら、第1の配列が、本明細書において第2の配列に対して「実質的に相補的な」と称される場合、2つの配列は、完全に相補的であり得、又はそれらの最終的な適用、例えば、RISC経路を介した遺伝子発現の阻害に最適な条件下でハイブリダイズする能力を保持しながら、最大で30塩基対の二本鎖に対するハイブリダイゼーションを行うと、それらは、1つ又は複数であるが、一般に、5つ以下、4つ以下、3つ以下又は2つ以下のミスマッチ塩基対を形成し得る。しかしながら、2つのオリゴヌクレオチドがハイブリダイゼーション後に1つ又は複数の一本鎖オーバーハングを形成するように設計されている場合、このようなオーバーハングは、相補性の決定に関してはミスマッチとみなされないものとする。例えば、本明細書に記載する目的のために、21ヌクレオチド長の一方のオリゴヌクレオチドと、23ヌクレオチド長の他方のオリゴヌクレオチドとを含むdsRNAは、長い方のオリゴヌクレオチドが、短い方のオリゴヌクレオチドに対して完全に相補的な21ヌクレオチドの配列を含む場合、「完全に相補的」と称されてもよい。
【0102】
本明細書において使用される際の「相補的な」配列は、それらのハイブリダイズする能力に関連した上記の要求が満たされる限り、非ワトソン−クリック塩基対及び/又は非天然及び修飾ヌクレオチドから形成される塩基対も含むことができ、又はこのような塩基対から完全に形成され得る。このような非ワトソン−クリック塩基対としては、限定はされないが、G:Uゆらぎ又はフーグスティーン型塩基対が挙げられる。
【0103】
本明細書における「相補的な」、「完全に相補的な」及び「実質的に相補的な」という用語は、それらの使用の状況から理解されるように、dsRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖との間で、又はdsRNAのアンチセンス鎖と標的配列との間で、一致する塩基に関連して使用され得る。
【0104】
本明細書において使用される際、メッセンジャーRNA(mRNA)「の少なくとも一部に実質的に相補的な」ポリヌクレオチドは、5’UTR、オープンリーディングフレーム(ORF)、又は3’UTRを含む目的のmRNA(例えば、KHKをコードするmRNA)の連続する部分に実質的に相補的なポリヌクレオチドを指す。例えば、ポリヌクレオチドは、その配列がKHKをコードするmRNAの連続する部分と実質的に相補的である場合、KHK mRNAの少なくとも一部に相補的である。
【0105】
一般に、それぞれの鎖のヌクレオチドの大部分は、リボヌクレオチドであるが、本明細書において詳細に記載されるように、それぞれの又は両方の鎖は、1つ又は複数の非リボヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチド及び/又は修飾ヌクレオチドも含み得る。更に、「iRNA」は、化学的修飾を有するリボヌクレオチドを含み得る。このような修飾は、本明細書に開示されるか又は当該技術分野において公知のあらゆるタイプの修飾を含み得る。iRNA分子に使用される際のいずれのこのような修飾も、本明細書及び特許請求の範囲の目的のために「iRNA」によって包含される。
【0106】
本発明の一態様において、本発明の方法及び組成物に使用するための薬剤は、アンチセンス阻害機構を介して標的mRNAを阻害する一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド分子である。一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド分子は、標的mRNA中の配列に相補的である。一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、mRNAに塩基対合し、翻訳機構を物理的に妨害することによって、化学量論的に翻訳を阻害し得る(Dias,N.et al.,(2002)Mol Cancer Ther 1:347−355を参照)。一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド分子は、約15〜約30ヌクレオチド長であり、標的配列に相補的な配列を有し得る。例えば、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド分子は、本明細書に記載されるアンチセンス配列のいずれか1つからの少なくとも約15、16、17、18、19、20個、又はそれ以上の連続するヌクレオチドである配列を含み得る。
【0107】
本明細書において使用される際の「阻害する(inhibiting)」という用語は、「低下させる」、「サイレンシングする」、「下方制御する」、「抑制する」及び他の類似語と同義的に使用され、任意のレベルの阻害を含む。
【0108】
本明細書において使用される際の「KHKの発現を阻害する」という語句は、任意のKHK遺伝子(例えば、マウスKHK遺伝子、ラットKHK遺伝子、サルKHK遺伝子、又はヒトKHK遺伝子など)並びにKHKタンパク質をコードするKHK遺伝子の変異体又は突然変異体の発現の阻害を含む。
【0109】
「KHK遺伝子の発現を阻害する」は、KHK遺伝子の任意のレベルの阻害、例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の阻害など、KHK遺伝子の発現の少なくとも部分的な抑制を含む。
【0110】
KHK遺伝子の発現は、KHK遺伝子の発現に関連する任意の変数のレベル、例えば、KHK mRNAレベル、又はKHKタンパク質レベルに基づいて評価され得る。阻害は、対照のレベルと比較したこれらの変数の1つ又は複数の絶対的又は相対的レベルの低下によって評価され得る。対照のレベルは、当該技術分野において用いられる任意のタイプの対照のレベル、例えば、投与前ベースライン(pre−dose baseline)レベル、又は非処理又は対照(例えば、緩衝液のみの対照又は不活性な剤の対照など)で処理された同様の対象、細胞、又は試料から測定されるレベルであり得る。
【0111】
一実施形態において、KHK遺伝子の発現の少なくとも部分的な抑制は、KHK遺伝子が転写され、KHK遺伝子の発現が阻害されるように処理されている第1の細胞又は細胞群から単離され得るか又はそのような第1の細胞又は細胞群において検出され得るKHK mRNAの量の、そのように処理されていない以外は第1の細胞又は細胞群と実質的に同一の第2の細胞又は細胞群(対照細胞)と比較した際の低下によって評価される。阻害度は、下式において表され得る。
【数1】
【0112】
本明細書において使用される際の「細胞を(dsRNAなどの)iRNA剤と接触させる」という語句は、任意の可能な手段によって細胞を接触させる工程を含む。細胞をiRNA剤と接触させる工程は、細胞をiRNAとインビトロで接触させる工程又は細胞をiRNAとインビボで接触させる工程を含む。接触は、直接又は間接的に行われ得る。したがって、例えば、RNAi剤は、方法を個々に行うことによって細胞と物理的に接触されてもよく、或いはiRNA剤は、それを後に細胞と接触させるのを可能にするか又はそれを後に細胞と接触させる状況に置かれてもよい。
【0113】
細胞をインビトロで接触させる工程は、例えば、iRNA剤とともに細胞をインキュベートすることによって行われ得る。細胞をインビボで接触させる工程は、iRNA剤が接触される細胞が位置する組織に後に到達するように、例えば、iRNA剤を、細胞が位置する組織中又は組織の近傍に注入することによって、又はiRNA剤を、別の領域、例えば、血流又は皮下腔中に注入することによって行われ得る。例えば、iRNA剤は、目的の部位、例えば、肝臓にiRNA剤を指向するリガンド、例えば、GalNAc3を含んでいてもよく、及び/又はそれに結合され得る。インビトロ及びインビボでの接触方法の組み合わせも可能である。例えば、細胞はまた、iRNA剤とインビトロで接触され、その後、対象に移植されてもよい。
【0114】
一実施形態において、細胞をiRNAと接触させる工程は、細胞中への取り込み又は吸収を促進するか又は行うことによって、「導入する」又は「iRNAを細胞中に送達する」工程を含む。iRNAの吸収又は取り込みは、補助されない拡散(unaided diffusive)又は活性な細胞プロセスによって、又は補助的な薬剤又はデバイスによって行われ得る。細胞中へのiRNAの導入は、インビトロ及び/又はインビボであってもよい。例えば、インビボでの導入の場合、iRNAは、組織部位に注入されるか又は全身投与され得る。インビボでの送達は、全内容が参照により本明細書に援用される、米国特許第5,032,401号明細書及び同第5,607,677号明細書、及び米国特許出願公開第2005/0281781号明細書に記載されるものなどのβ−グルカン送達系によって行うこともできる。細胞中へのインビトロでの導入は、エレクトロポレーション及びリポフェクションなどの当該技術分野において公知の方法を含む。更なる手法が、本明細書において後述され、及び/又は当該技術分野において公知である。
【0115】
「脂質ナノ粒子」又は「LNP」という用語は、核酸分子、例えば、iRNA又はiRNAが転写されるプラスミドなどの薬学的に有効な分子を封入する脂質層を含むベシクルである。LNPは、例えば、全内容が参照により本明細書に援用される、米国特許第6,858,225号明細書、同第6,815,432号明細書、同第8,158,601号明細書、及び同第8,058,069号明細書に記載されている。
【0116】
本明細書において使用される際、「対象」は、霊長類(ヒト、非ヒト霊長類、例えば、サル、及びチンパンジーなど)、非霊長類(ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、マウス、ウマ、及びクジラなど)を含む哺乳動物、又は鳥類(例えば、アヒル又はガチョウ)などの動物である。一実施形態において、対象は、本明細書に記載されるように、KHKの発現の低下から利益を得られ得る疾病、障害及び/又は病態について処置又は評価されているヒト;ケトヘキソキナーゼの発現の低下から利益を得られ得る疾病、障害及び/又は病態のリスクがあるヒト;ケトヘキソキナーゼの発現の低下から利益を得られ得る疾病、障害又は病態に罹患しているヒトについて処置されているヒトなどのヒトである。
【0117】
本明細書において使用される際、「処置する」又は「処置」という用語は、限定はされないが、好ましくないケトヘキソキナーゼ活性化に関連する1つ又は複数の症状(例えば、肝疾患(例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎)、脂質異常症(例えば、高脂血症、高いLDLコレステロール、低いHDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖コントロールの異常(例えば、インスリン抵抗性、糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎臓病(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症性変化)、メタボリックシンドローム、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪蓄積、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害、及び過剰な糖への渇望の緩和又は改善;ケトヘキソキナーゼ活性に関連する1つ又は複数の疾病、障害、及び/又は病態の安定化(即ち、悪化しないこと);検出可能であるか又は検出不可能であるかにかかわらず好ましくないケトヘキソキナーゼ活性(例えば、脂質生成の活性化及び尿酸生成の増加につながる、フルクトースのリン酸化)の改善又は緩和を含む有益な又は所望の結果を指す。「処置」は、処置をしない場合の予測される生存期間と比較した生存期間の延長も意味し得る。
【0118】
結果として、KHK経路を介したフルクトース代謝に起因する症状のいずれかの緩和又は改善は、限定はされないが、脂肪肝、脂肪性肝炎、高血圧、高血圧症、高いコレステロール、高いLDLコレステロール、低いHDLコレステロール、高脂血症、高トリグリセリド血症、腎臓病、メタボリックシンドローム、過剰な糖への渇望、摂食障害、食後高トリグリセリド血症、脂肪肝(hepatosteatosis)、痛風、糖尿病、急性腎障害、尿細管機能障害、インスリン抵抗性及び肥満を含む群を含む症状のいずれか1つ又は複数の緩和又は改善を含む。ある実施形態において、KHKに関連する疾病、障害又は病態の緩和又は改善は、脂肪肝、過剰な体脂肪、肥満、高コレステロール、高血圧症又は高血圧の緩和を意味する。
【0119】
対象における、又は疾病マーカー若しくは症状としてのケトヘキソキナーゼ活性のレベルに関連して「低下させる」という用語は、このようなレベルの統計的に有意な低下を指す。低下は、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又はそれ以上であり得、このような障害を有さない個体の正常範囲内であると認められるレベルまで低下されるのが好ましい。
【0120】
本明細書において使用される際、「予防」又は「予防する」は、KHK遺伝子の発現の低下から利益を得られ得る疾病、障害又はその病態に関連して使用される場合、対象が、このような疾病、障害、又は病態に関連する症状、例えば、肝疾患(例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎)、脂質異常症(例えば、高脂血症、高いLDLコレステロール、低いHDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖コントロールの異常(例えば、インスリン抵抗性、糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎臓病(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症性変化)、メタボリックシンドローム、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪蓄積、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害、及び過剰な糖への渇望を引き起こす、例えば、脂質生成の活性化及び尿酸の生成の増加などのフルクトースからフルクトース−1−リン酸へのリン酸化の症状を発症する可能性の低下を指す。これらの疾病、障害及び/又は病態のいずれか又は全てを発症する可能性は、例えば、これらの疾病、障害及び又は病態のいずれか又は全ての1つ又は複数の危険因子を有する個体が、この疾病、障害及び/又は病態を発症しない場合、又は同じ危険因子を有し、本明細書に記載される処置を受けない集団と比べてより軽度の疾病、障害及び又は/病態を発症する場合のいずれかに低下される。疾病、障害及び/又は病態を発症しないこと、又はこのような疾病、障害及び/又は病態に関連する症状の発生の低下(例えば、その疾病又は障害の臨床的に認められた尺度で少なくとも約10%)、又は症状の遅延の現れ(例えば、数日、数週間、数カ月又は数年だけ)が、有効な予防とみなされる。
【0121】
本明細書において使用される際、「ケトヘキソキナーゼに関連する疾病」という用語は、ケトヘキソキナーゼ遺伝子又はタンパク質によって引き起こされるか又はそれに関連する疾病、障害又は病態、例えば、フルクトースからフルクトース−1−リン酸へのリン酸化によって引き起こされるか又はそれに関連する疾病、障害又は病態である。このような疾病は、典型的に、脂質生成の活性化及び尿酸生成の増加に関連している。ケトヘキソキナーゼに関連する疾病の非限定的な例としては、肝疾患(例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎)、脂質異常症(例えば、高脂血症、高いLDLコレステロール、低いHDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖コントロールの異常(例えば、インスリン抵抗性、糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎臓病(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症性変化)、メタボリックシンドローム、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪蓄積、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害、及び過剰な糖への渇望が挙げられる。
【0122】
本明細書において使用される際の「治療有効量」は、KHKに関連する疾病又は障害に罹患している対象に投与される場合、(例えば、この疾病又は疾病の1つ又は複数の症状を軽減又は改善することによって)この疾病又は障害の処置を行うのに十分なiRNA剤の量を含むことが意図される。「治療有効量」は、RNAi剤、薬剤が投与される方法、疾病及びその重症度、並びに処置される対象の病歴、年齢、体重、家族歴、遺伝子構造、もしあれば、以前の処置又は併用処置のタイプ、及び他の個体特性に応じて変化し得る。
【0123】
本明細書において使用される際の「予防的に有効な量」は、疾病の症状をまだ(又は現在のところ)生じても又は示してもいないが、KHKに関連する疾病に罹患している対象、及び/又はKHKに関連する疾病、例えば、肝疾患、脂質異常症、血糖コントロールの異常、心血管疾患、腎臓病、メタボリックシンドローム、及び/又は肥満を発症するリスクがある対象に投与される場合、この疾病又はこの疾病の1つ又は複数の症状を予防又は改善するのに十分なiRNA剤の量を含むことが意図される。疾病の改善は、この疾病の経過を遅らせること又は後から発症する疾病の重症度を軽減することを含む。「予防的に有効な量」は、iRNA剤、薬剤が投与される方法、疾病に罹患する危険度、並びに処置される患者の病歴、年齢、体重、家族歴、遺伝子構造、もしあれば、以前の処置又は併用処置のタイプ、及び他の個体特性に応じて変化し得る。
【0124】
「治療有効量」又は「予防的に有効な量」は、任意の処置に適用される妥当なベネフィット・リスク比である所望の局所又は全身的作用を生じる、RNAi剤の量も含む。本発明の方法に用いられるiRNA剤は、このような処置に適用される妥当なベネフィット・リスク比を得るのに十分な量で投与され得る。「薬学的に許容され得る」という語句は、妥当な医学的判断の範囲内で、妥当なベネフィット・リスク比に見合って、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、或いは他の問題又は合併症を伴わずに、ヒト対象及び動物対象の組織と接触して使用するのに好適な化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指すために本明細書において用いられる。
【0125】
本明細書において使用される際の「薬学的に許容され得る担体」という語句は、身体の1つの器官、又は部分から、身体の別の器官、又は部分へと対象に化合物を運ぶ又は輸送するのに関与する、液体又は固体充填剤、希釈剤、賦形剤、製造助剤(例えば、潤滑剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸亜鉛、又はステアリン酸)、又は溶媒封入材料などの薬学的に許容され得る材料、組成物又はビヒクルを意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合し、処置される対象に有害でないという意味で「許容でき」なければならない。薬学的に許容され得る担体としての役割を果たし得る材料のいくつかの例としては:(1)ラクトース、グルコース及びスクロースなどの糖類;(2)トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン;(3)ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及び酢酸セルロースなどのセルロース、及びその誘導体;(4)トラガカント末;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)マグネシウムステート(state)、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクなどの滑沢剤;(8)カカオ脂及び坐薬ワックスなどの賦形剤;(9)ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及び大豆油などの油;(10)プロピレングリコールなどのグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールなどのポリオール;(12)オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱性物質除去蒸留水;(17)等張食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝液;(21)ポリエステル、ポリカーボネート及び/又はポリ無水物;(22)ポリペプチド及びアミノ酸などの増量剤(23)血清アルブミン、HDL及びLDLなどの血清成分;並びに(22)医薬製剤に用いられる他の非毒性の適合する物質が挙げられる。
【0126】
本明細書において使用される際の「試料」という用語は、対象から単離された類似の体液、細胞、又は組織、並びに対象中に存在する体液、細胞、又は組織の集合体を含む。生体液の例としては、血液、血清及び漿膜液、血漿、尿、リンパ液、脳脊髄液、眼液、唾液などが挙げられる。組織試料は、組織、器官又は局所領域に由来する試料を含み得る。例えば、試料は、特定の器官、器官の部分、或いはそれらの器官中の体液又は細胞に由来し得る。特定の実施形態において、試料は、肝臓(例えば、全肝臓又は肝臓の特定の部分、又は例えば肝細胞などの肝臓中の特定のタイプの細胞)に由来し得る。好ましい実施形態において、「対象に由来する試料」は、対象から得られる血液又は血漿を指す。更なる実施形態において、「対象に由来する試料」は、対象から得られる肝臓組織(又はその小部分(subcomponent))を指す。
【0127】
II.本発明のiRNA
本発明は、KHK遺伝子の発現を阻害するiRNAも提供する。一実施形態において、iRNA剤は、限定はされないが、肝疾患(例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎)、脂質異常症(例えば、高脂血症、高いLDLコレステロール、低いHDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖コントロールの異常(例えば、インスリン抵抗性、糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎臓病(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症性変化)、メタボリックシンドローム、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪蓄積、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害、及び過剰な糖への渇望を含むKHKに関連する疾病又は障害に罹患している対象、例えば、ヒトなどの哺乳動物内の細胞などの細胞内でのKHK遺伝子の発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)分子を含む。dsRNAは、KHK遺伝子の発現中に形成されるmRNAの少なくとも一部に対して相補性の領域を有するアンチセンス鎖を含む。相補性の領域は、約30ヌクレオチド長以下(例えば、約30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、又は18ヌクレオチド長以下)である。KHK遺伝子を発現する細胞と接触すると、iRNAは、例えば、PCR又は分岐DNA(bDNA)に基づいた方法、或いは例えば、ウエスタンブロット法又はフローサイトメトリー技術を用いた免疫蛍光分析などによるタンパク質に基づいた方法によってアッセイした際に少なくとも約10%、KHK遺伝子(例えば、ヒト、霊長類、非霊長類、又は鳥類のKHK遺伝子)の発現を阻害する。
【0128】
dsRNAは、2本のRNA鎖を含み、この2本のRNA鎖は、相補的であり、dsRNAが使用される条件下で二本鎖構造を形成するようにハイブリダイズする。dsRNAの1本の鎖(アンチセンス鎖)は、標的配列に実質的に相補的な、一般に完全に相補的な相補性の領域を含む。標的配列は、KHK遺伝子の発現中に形成されるmRNAの配列に由来し得る。他方の鎖(センス鎖)は、アンチセンス鎖に相補的な領域を含み、2本の鎖がハイブリダイズして、好適な条件下で組み合わされた際に二本鎖構造を形成するようになっている。本明細書のいずれかの箇所に記載されるように、及び当該技術分野において公知であるように、dsRNAの相補的配列はまた、別個のオリゴヌクレオチド上にあるのではなく、1つの核酸分子の自己相補的な領域として含まれることもある。
【0129】
一般に、二本鎖構造は、15〜30塩基対の長さ、例えば、15〜29、15〜28、15〜27、15〜26、15〜25、15〜24、15〜23、15〜22、15〜21、15〜20、15〜19、15〜18、15〜17、18〜30、18〜29、18〜28、18〜27、18〜26、18〜25、18〜24、18〜23、18〜22、18〜21、18〜20、19〜30、19〜29、19〜28、19〜27、19〜26、19〜25、19〜24、19〜23、19〜22、19〜21、19〜20、20〜30、20〜29、20〜28、20〜27、20〜26、20〜25、20〜24,20〜23、20〜22、20〜21、21〜30、21〜29、21〜28、21〜27、21〜26、21〜25、21〜24、21〜23、又は21〜22塩基対の長さである。上に記載される範囲及び長さの中間の範囲及び長さも、本発明の一部であると考えられる。
【0130】
同様に、標的配列の相補性の領域は、15〜30ヌクレオチド長、例えば、15〜29、15〜28、15〜27、15〜26、15〜25、15〜24、15〜23、15〜22、15〜21、15〜20、15〜19、15〜18、15〜17、18〜30、18〜29、18〜28、18〜27、18〜26、18〜25、18〜24、18〜23、18〜22、18〜21、18〜20、19〜30、19〜29、19〜28、19〜27、19〜26、19〜25、19〜24、19〜23、19〜22、19〜21、19〜20、20〜30、20〜29、20〜28、20〜27、20〜26、20〜25、20〜24,20〜23、20〜22、20〜21、21〜30、21〜29、21〜28、21〜27、21〜26、21〜25、21〜24、21〜23、又は21〜22ヌクレオチド長である。上に記載される範囲及び長さの中間の範囲及び長さも、本発明の一部であると考えられる。
【0131】
ある実施形態において、dsRNAは、約15〜約20ヌクレオチド長、又は約25〜約30ヌクレオチド長である。一般に、dsRNAは、Dicer酵素のための基質としての役割を果たすのに十分に長い。例えば、約21〜23ヌクレオチド長より長いdsRNAがDicerのための基質としての役割を果たし得ることが当該技術分野において周知である。当業者がやはり認識するように、切断のために標的化されたRNAの領域は、ほとんどの場合、より大きいRNA分子(mRNA分子であることが多い)の一部である。関連する場合、mRNA標的の「一部」は、iRNA指向性の切断(即ち、RISC経路を介した切断)のための基質であるのが可能であるほど十分な長さのmRNA標的の連続する配列である。
【0132】
二本鎖領域が、dsRNAの一次機能部分、例えば、約9〜36塩基対、例えば、約10〜36、11〜36、12〜36、13〜36、14〜36、15〜36、9〜35、10〜35、11〜35、12〜35、13〜35、14〜35、15〜35、9〜34、10〜34、11〜34、12〜34、13〜34、14〜34、15〜34、9〜33、10〜33、11〜33、12〜33、13〜33、14〜33、15〜33、9〜32、10〜32、11〜32、12〜32、13〜32、14〜32、15〜32、9〜31、10〜31、11〜31、12〜31、13〜32、14〜31、15〜31、15〜30、15〜29、15〜28、15〜27、15〜26、15〜25、15〜24、15〜23、15〜22、15〜21、15〜20、15〜19、15〜18、15〜17、18〜30、18〜29、18〜28、18〜27、18〜26、18〜25、18〜24、18〜23、18〜22、18〜21、18〜20、19〜30、19〜29、19〜28、19〜27、19〜26、19〜25、19〜24、19〜23、19〜22、19〜21、19〜20、20〜30、20〜29、20〜28、20〜27、20〜26、20〜25、20〜24,20〜23、20〜22、20〜21、21〜30、21〜29、21〜28、21〜27、21〜26、21〜25、21〜24、21〜23、又は21〜22塩基対の二本鎖領域であることも当業者は認識するであろう。ここで、一実施形態において、所望のRNAを切断のために標的とする例えば、15〜30塩基対の機能性二本鎖にプロセシングされる程度まで、RNA分子又は30塩基対を超える二本鎖領域を有するRNA分子の複合体はdsRNAである。したがって、当業者は、一実施形態において、miRNAがdsRNAであることを認識するであろう。別の実施形態において、dsRNAは、天然miRNAではない。別の実施形態において、KHKの発現を標的とするのに有用なiRNA剤は、より大きいdsRNAの切断によって標的細胞中に生成されない。
【0133】
本明細書に記載されるdsRNAは、1つ又は複数の一本鎖ヌクレオチドオーバーハング、例えば、1、2、3、又は4つのヌクレオチドを更に含み得る。少なくとも1つのヌクレオチドオーバーハングを有するdsRNAは、その平滑末端の同等物と比べて予想外に優れた阻害特性を有し得る。ヌクレオチドオーバーハングは、デオキシヌクレオチド/ヌクレオシドを含むヌクレオチド/ヌクレオシド類似体を含むか又はそれからなり得る。オーバーハングは、センス鎖、アンチセンス鎖又はそれらの任意の組み合わせ上にあり得る。更に、オーバーハングのヌクレオチドは、dsRNAのアンチセンス鎖又はセンス鎖のいずれかの5’末端、3’末端又は両方の末端上に存在し得る。
【0134】
dsRNAは、例えば、自動DNA合成装置(例えば、Biosearch,Applied Biosystems,Inc.から市販されているものなど)の使用によって、更に後述されるように、当該技術分野において公知の標準的な方法によって合成され得る。
【0135】
本発明のiRNA化合物は、2工程の手順を用いて調製され得る。まず、二本鎖RNA分子の個々の鎖が別個に調製される。次に、構成要素の鎖はアニールされる。siRNA iRNA化合物の個々の鎖は、溶液相又は固相有機合成又は両方を用いて調製され得る。有機合成は、非天然又は修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド鎖が容易に調製され得るという利点を提供する。本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドは、溶液相又は固相有機合成又は両方を用いて調製され得る。
【0136】
一態様において、本発明のdsRNAは、少なくとも2つのヌクレオチド配列、センス配列及びアンチセンス配列を含む。センス鎖は、表3、4 5、6、及び7のいずれか1つに示される配列の群から選択され、センス鎖の対応するアンチセンス鎖は、表3、4 5、6、及び7のいずれか1つに示される配列の群から選択される。この態様において、2つの配列の一方が2つの配列の他方に相補的であり、配列の一方が、KHK遺伝子の発現中に生成されるmRNAの配列に実質的に相補的である。したがって、この態様において、dsRNAは、2つのオリゴヌクレオチドを含むことになり、ここで、1つのオリゴヌクレオチドが、表3、4 5、6、及び7のいずれか1つ中のセンス鎖として表され、第2のオリゴヌクレオチドが、表3、4 5、6、及び7のいずれか1つ中のセンス鎖の対応するアンチセンス鎖として表される。一実施形態において、dsRNAの実質的に相補的な配列は、別個のオリゴヌクレオチドに含まれる。別の実施形態において、dsRNAの実質的に相補的な配列は、1つのオリゴヌクレオチドに含まれる。
【0137】
当業者は、約20〜23個の塩基対、例えば、21個の塩基対の二本鎖構造を有するdsRNAが、RNA干渉を誘導するのに特に有効であることが認められたことを十分に認識している(Elbashir et al.,EMBO 2001,20:6877−6888)。しかしながら、他の当業者が、より短い又はより長いRNA二本鎖構造も有効であり得ることを見出した(Chu and Rana(2007)RNA 14:1714−1719;Kim et al.(2005)Nat Biotech 23:222−226)。上記の実施形態において、表3、4 5、6、及び7のいずれか1つに示されるオリゴヌクレオチド配列の性質によって、本明細書に記載されるdsRNAは、最小限の21ヌクレオチド長の少なくとも1本の鎖を含み得る。一端又は両端におけるごくわずかな数のヌクレオチドを差し引いた、表3、4 5、6、及び7のいずれか1つに示される配列のうちの1つを有するより短い二本鎖が、上記のdsRNAと比較して、同様に有効であり得ることが当然予測され得る。したがって、表3、4 5、6、及び7のいずれか1つに示される配列のうちの1つからの、少なくとも15、16、17、18、19、20、又はそれ以上の連続するヌクレオチド配列を有するdsRNAであって、KHK遺伝子の発現を阻害する能力が、完全な配列を含むdsRNAとは約5、10、15、20、25、又は30%以下の阻害だけ異なるdsRNAが、本発明の範囲内にあるものと考えられる。
【0138】
更に、表3、4 5、6、及び7のいずれか1つに示されるRNAは、RISCを介した切断を受けやすい、KHK転写物における部位を特定する。したがって、本発明は、これらの部位の1つ内を標的とするiRNAを更に取り上げる。本明細書において使用される際、iRNAが、その特定の部位内のいずれかの箇所で転写物の切断を促す場合、iRNAは、RNA転写物の特定の部位内を標的とするとされている。このようなiRNAは、一般に、KHK遺伝子中の選択された配列に隣接する領域から取られた更なるヌクレオチド配列に結合された、表3、4 5、6、及び7のいずれか1つに示される配列のうちの1つからの少なくとも約15連続ヌクレオチドを含むであろう。
【0139】
標的配列は、一般に、約15〜30ヌクレオチド長であるが、任意の所与の標的RNAの切断を導くために、この範囲内の特定の配列の適合性は様々である。本明細書に記載される様々なソフトウェアパッケージ及び指針は、任意の所与の遺伝子標的のために最適な標的配列の特定のための指針を与えるが、所与のサイズ(非限定的な例として、21ヌクレオチド)の「ウインドウ」又は「マスク」が、標的配列としての役割を果たし得るサイズ範囲内の配列を特定するために、標的RNA配列上に文字通りに又は比喩的に(例えば、インシリコを含む)置かれる、経験的手法を取ることもできる。完全な一連の可能な配列が、選択された任意の所与の標的サイズについて特定されるまで、初期の標的配列位置の1ヌクレオチド上流又は下流に徐々に配列「ウインドウ」を移動させることによって、次の潜在的な標的配列を特定することができる。このプロセスは、最適に機能する配列を特定するために(本明細書に記載されるか又は当該技術分野において公知のアッセイを用いて)特定された配列の系統的合成及び試験とともに、iRNA剤を用いて標的化されるとき、標的遺伝子の発現の最良の阻害を仲介するRNA配列を特定することができる。したがって、例えば、表3、4 5、6、及び7のいずれか1つ中で特定される配列が、有効な標的配列を表すが、同等の又はより良好な阻害特性を有する配列を特定するために、所与の配列の1ヌクレオチド上流又は下流に徐々に「ウインドウを移動させる」ことによって、阻害効率の更なる最適化が達成され得ると考えられる。
【0140】
更に、例えば、表3、4 5、6、及び7のいずれか1つ中で特定される任意の配列について、より長い又はより短い配列を生成するためにヌクレオチドを系統的に加えるか又は除去し、より長い又は短いサイズのウインドウをその点から標的RNAの上方又は下方に移動させることによって生成される配列を試験することによって、更なる最適化が達成され得ると考えられる。また、当該技術分野において公知の及び/又は本明細書に記載される阻害アッセイにおいて、新規な候補標的を生成するためのこの手法を、それらの標的配列に基づいたiRNAの有効性の試験と結び付けることで、阻害の効率が更に向上され得る。更にまた、このような最適化された配列は、例えば、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において公知の修飾ヌクレオチドの導入、オーバーハングの追加又は変更、或いは発現阻害因子として分子を更に最適化するための当該技術分野において公知の及び/又は本明細書に説明される他の修飾(例えば、血清安定性の又は循環半減期の増加、熱安定性の増加、膜透過送達の向上、特定の位置又は細胞型への標的化、サイレンシング経路酵素との相互作用の増加、エンドソームからの放出の増加)によって調整され得る。
【0141】
本明細書に記載されるiRNAは、標的配列との1つ又は複数のミスマッチを含み得る。一実施形態において、本明細書に記載されるiRNAは、3つ以下のミスマッチを含む。iRNAのアンチセンス鎖が、標的配列とのミスマッチを含む場合、ミスマッチの領域が相補性の領域の中心に位置しないのが好ましい。iRNAのアンチセンス鎖が標的配列とのミスマッチを含む場合、ミスマッチが、相補性の領域の5’末端又は3’末端のいずれかからの最後の5ヌクレオチド内に制限されるのが好ましい。例えば、23個のヌクレオチドのiRNA剤について、KHK遺伝子の領域に相補的な鎖は、一般に、中央の13個のヌクレオチド内にミスマッチを全く含まない。本明細書に記載される方法又は当該技術分野において公知の方法を用いて、標的配列とのミスマッチを含むiRNAがKHK遺伝子の発現を阻害するのに有効であるかどうかを決定することができる。KHK遺伝子の発現を阻害する際のミスマッチを有するiRNAの有効性を考慮することは、特に、KHK遺伝子における特定の相補性の領域が集団内に多型配列変異を有することが分かっている場合に重要である。
【0142】
III.本発明の修飾iRNA
一実施形態において、本発明のiRNAのRNA、例えば、dsRNAは、修飾されておらず、例えば、当該技術分野において公知の及び本明細書に記載される化学的修飾及び/又はコンジュゲートを含まない。別の実施形態において、本発明のiRNAのRNA、例えば、dsRNAは、安定性又は他の有益な特性を向上させるために化学的に修飾される。本発明の特定の実施形態において、本発明のiRNAのヌクレオチドの実質的に全てが修飾される。本発明の他の実施形態において、本発明のiRNAのヌクレオチドの全てが修飾される。「ヌクレオチドの実質的に全てが修飾される」本発明のiRNAは、大部分は修飾されるが、完全に修飾されるわけではなく、5つ以下、4つ以下、3つ以下、2つ以下、又は1つ以下の非修飾ヌクレオチドを含み得る。
【0143】
本発明に取り上げられる核酸は、参照により本明細書に援用される“Current protocols in nucleic acid chemistry,”Beaucage,S.L.et al.(Edrs.),John Wiley&Sons,Inc.,New York,NY,USAに記載されるものなどの当該技術分野において十分に確立された方法によって合成及び/又は修飾され得る。修飾としては、例えば、末端修飾、例えば、5’末端修飾(リン酸化、コンジュゲート、逆結合(inverted linkage))又は3’末端修飾(コンジュゲート、DNAヌクレオチド、逆結合など);塩基修飾、例えば、安定塩基、不安定塩基、又は広範なパートナーと塩基対合する塩基による置換、塩基の除去(非塩基性ヌクレオチド)、又はコンジュゲート塩基;糖修飾(例えば、2’位又は4’位で)又は糖の置換;及び/又はホスホジエステル結合の修飾又は置換を含む骨格修飾が挙げられる。本明細書に記載される実施形態に有用なiRNA化合物の具体例としては、限定はされないが、修飾された骨格を含むか又は天然のヌクレオシド間結合を含まないRNAが挙げられる。修飾された骨格を有するRNAとしては、特に、骨格中にリン原子を有さないものが挙げられる。本明細書の目的のために、及び当該技術分野において時折言及されるように、ヌクレオシド間骨格中にリン原子を有さない、修飾RNAは、オリゴヌクレオシドであるとみなすこともできる。ある実施形態において、修飾iRNAは、そのヌクレオシド間骨格中にリン原子を有する。
【0144】
修飾RNA骨格としては、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチルホスホネート並びに3’−アルキレンホスホネート及びキラルホスホネートを含む他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’−アミノホスホロアミデート及びアミノアルキルホスホロアミデートを含むホスホロアミデート、チオノホスホロアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、及び通常の3’−5’結合を有するボラノホスフェート、これらの2’−5’結合類似体、及びヌクレオシド単位の隣接する対が、3’−5’〜5’−3’又は2’−5’〜5’−2’に結合する、反転極性を有するものが挙げられる。様々な塩、混合塩及び遊離酸形態も含まれる。
【0145】
上記のリン含有結合の調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、米国特許第3,687,808号明細書;同第4,469,863号明細書;同第4,476,301号明細書;同第5,023,243号明細書;同第5,177,195号明細書;同第5,188,897号明細書;同第5,264,423号明細書;同第5,276,019号明細書;同第5,278,302号明細書;同第5,286,717号明細書;同第5,321,131号明細書;同第5,399,676号明細書;同第5,405,939号明細書;同第5,453,496号明細書;同第5,455,233号明細書;同第5,466,677号明細書;同第5,476,925号明細書;同第5,519,126号明細書;同第5,536,821号明細書;同第5,541,316号明細書;同第5,550,111号明細書;同第5,563,253号明細書;同第5,571,799号明細書;同第5,587,361号明細書;同第5,625,050号明細書;同第6,028,188号明細書;同第6,124,445号明細書;同第6,160,109号明細書;同第6,169,170号明細書;同第6,172,209号明細書;同第6、239,265号明細書;同第6,277,603号明細書;同第6,326,199号明細書;同第6,346,614号明細書;同第6,444,423号明細書;同第6,531,590号明細書;同第6,534,639号明細書;同第6,608,035号明細書;同第6,683,167号明細書;同第6,858,715号明細書;同第6,867,294号明細書;同第6,878,805号明細書;同第7,015,315号明細書;同第7,041,816号明細書;同第7,273,933号明細書;同第7,321,029号明細書;及び米国再発行特許第RE39464号明細書が挙げられ、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
【0146】
内部にリン原子を含まない修飾RNA骨格は、短鎖アルキル若しくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合ヘテロ原子及びアルキル若しくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、又は1つ又は複数の短鎖ヘテロ原子若しくは複素環式ヌクレオシド間結合によって形成される骨格を有する。これらとしては、モルホリノ結合(一部がヌクレオシドの糖部分から形成された)を有するもの;シロキサン骨格;スルフィド、スルホキシド及びスルホン骨格;ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファメート骨格;メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格;スルホネート及びスルホンアミド骨格;アミド骨格;並びに混合N、O、S及びCH構成要素部分を有する他のものが挙げられる。
【0147】
上記のオリゴヌクレオシドの調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、米国特許第5,034,506号明細書;同第5,166,315号明細書;同第5,185,444号明細書;同第5,214,134号明細書;同第5,216,141号明細書;5,同第235,033号明細書;同第5,64,562号明細書;同第5,264,564号明細書;同第5,405,938号明細書;同第5,434,257号明細書;同第5,466,677号明細書;同第5,470,967号明細書;同第5,489,677号明細書;同第5,541,307号明細書;同第5,561,225号明細書;同第5,596,086号明細書;同第5,602,240号明細書;同第5,608,046号明細書;同第5,610,289号明細書;同第5,618,704号明細書;同第5,623,070号明細書;同第5,663,312号明細書;同第5,633,360号明細書;5,677,437号明細書;及び同第5,677,439号明細書が挙げられ、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
【0148】
他の実施形態において、好適なRNA模倣体が、iRNAにおける使用のために考えられ、ここで、糖及びヌクレオシド間結合の両方、即ち、ヌクレオチド単位の骨格が、新規な基で置換される。塩基単位は、適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために維持される。優れたハイブリダイゼーション特性を有することが示されている、このようなオリゴマー化合物の1つであるRNA模倣体は、ペプチド核酸(PNA)と呼ばれる。PNA化合物において、RNAの糖骨格が、アミド含有骨格、特に、アミノエチルグリシン骨格で置換される。核酸塩基は、保持され、骨格のアミド部分のアザ窒素原子に直接又は間接的に結合される。PNA化合物の調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、米国特許第5,539,082;同第5,714,331号明細書;及び同第5,719,262号明細書が挙げられ、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。本発明のiRNAに使用するのに好適な更なるPNA化合物が、例えば、Nielsen et al.,Science,1991,254,1497−1500に記載されている。
【0149】
本発明に取り上げられるある実施形態は、ホスホロチオエート骨格を有するRNA及びヘテロ原子骨格を有するオリゴヌクレオシドを含み、特に、上述した米国特許第5,489,677号明細書の−−CH−−NH−−CH−、−−CH−−N(CH)−−O−−CH−−[メチレン(メチルイミノ)又はMMI骨格として知られている]、−−CH−−O−−N(CH)−−CH−−、−−CH−−N(CH)−−N(CH)−−CH−−及び−−N(CH)−−CH−−CH−−[式中、天然のホスホジエステル骨格は、−−O−−P−−O−−CH−−として表される]、及び上述した米国特許第5,602,240号明細書のアミド骨格を含む。ある実施形態において、本明細書に取り上げられるRNAは、上述した米国特許第5,034,506号明細書のモルホリノ骨格構造を有する。
【0150】
修飾RNAは、1つ又は複数の置換された糖部分も含有し得る。本明細書に取り上げられるiRNA、例えば、dsRNAは、2’位において、OH;F;O−、S−、又はN−アルキル;O−、S−、又はN−アルケニル;O−、S−又はN−アルキニル;又はO−アルキル−O−アルキルのうちの1つを含むことができ、ここで、アルキル、アルケニル及びアルキニルは、置換又は非置換のC〜C10アルキル又はC〜C10アルケニル及びアルキニルであり得る。例示的な好適な修飾は、O[(CHO]CH、O(CH).OCH、O(CHNH、O(CHCH、O(CHONH、及びO(CHON[(CHCH)]を含み、式中、n及びmが、1〜約10である。他の実施形態において、dsRNAは、2’位において、C〜C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリル、アラルキル、O−アルカリル又はO−アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SOCH、ONO、NO、N、NH、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、挿入基(intercalator)、iRNAの薬力学的特性を向上させる基、又はiRNAの薬物動態特性を向上させる基、及び同様の特性を有する他の置換基のうちの1つを含む。ある実施形態において、修飾は、2’−メトキシエトキシ(2’−O−(2−メトキシエチル)又は2’−MOEとしても知られている2’−O−−CHCHOCH)(Martin et al.,Helv.Chim.Acta,1995,78:486−504)、即ち、アルコキシ−アルコキシ基を含む。別の例示的な修飾は、本明細書において以下の実施例に記載される、2’−DMAOEとしても知られている2’−ジメチルアミノオキシエトキシ、即ち、O(CHON(CH基、及び2’−ジメチルアミノエトキシエトキシ(当該技術分野において、2’−O−ジメチルアミノエトキシエチル又は2’−DMAEOEとしても知られている)、即ち、2’−O−−CH−−O−−CH−−N(CHである。
【0151】
他の修飾は、2’−メトキシ(2’−OCH)、2’−アミノプロポキシ(2’−OCHCHCHNH)及び2’−フルオロ(2’−F)を含む。同様の修飾を、iRNAのRNAにおける他の位置、特に、3’末端ヌクレオチド上又は2’−5’結合dsRNA中の糖の3’位及び5’末端ヌクレオチドの5’位で行うこともできる。iRNAはまた、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分などの糖模倣体を有し得る。このような修飾された糖構造の調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、米国特許第4,981,957号明細書;同第5,118,800号明細書;同第5,319,080号明細書;同第5,359,044号明細書;同第5,393,878号明細書;同第5,446,137号明細書;同第5,466,786号明細書;同第5,514,785号明細書;同第5,519,134号明細書;同第5,567,811号明細書;同第5,576,427号明細書;同第5,591,722号明細書;同第5,597,909号明細書;同第5,610,300号明細書;同第5,627,053号明細書;同第5,639,873号明細書;同第5,646,265号明細書;同第5,658,873号明細書;同第5,670,633号明細書;及び同第5,700,920号明細書が挙げられ、これらのうちのいくつかは、本出願と所有者が同一である。上記のそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
【0152】
iRNAは、核酸塩基(当該技術分野において多くの場合、単に「塩基」と称される)修飾又は置換も含み得る。本明細書において使用される際、「非修飾」又は「天然」核酸塩基は、プリン塩基アデニン(A)及びグアニン(G)、並びにピリミジン塩基チミン(T)、シトシン(C)及びウラシル(U)を含む。修飾核酸塩基は、デオキシ−チミン(dT)、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニン及びグアニンの6−メチル及び他のアルキル誘導体、アデニン及びグアニンの2−プロピル及び他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミン及び2−チオシトシン、5−ハロウラシル及びシトシン、5−プロピニルウラシル及びシトシン、6−アゾウラシル、シトシン及びチミン、5−ウラシル(シュードウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシル及び他の8−置換アデニン及びグアニン、5−ハロ、特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチル及び他の5−置換ウラシル及びシトシン、7−メチルグアニン及び7−メチルアデニン、8−アザグアニン及び8−アザアデニン、7−デアザグアニン及び7−ダアザアデニン(daazaadenine)並びに3−デアザグアニン及び3−デアザアデニンなどの他の合成及び天然核酸塩基を含む。更なる核酸塩基としては、米国特許第3,687,808号明細書に開示されるもの、Modified Nucleosides in Biochemistry,Biotechnology and Medicine,Herdewijn,P.ed.Wiley−VCH,2008に開示されるもの;Concise Encyclopedia Of Polymer Science and Engineering,pp.858−859,Kroschwitz,J.L,ed.John Wiley&Sons,1990に開示されるもの、Englisch et al.,Angewandte Chemie,International Edition,1991,30,613によって開示されるもの、及びSanghvi,Y S.,Chapter 15,dsRNA Research and Applications,pp.289−302,Crooke,S.T.and Lebleu,B.,Ed.,CRC Press,1993によって開示されるものが挙げられる。これらの核酸塩基のいくつかは、本発明に取り上げられるオリゴマー化合物の結合親和性を高めるのに特に有用である。これらとしては、2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシル及び5−プロピニルシトシンを含む、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジン及びN−2、N−6及び0−6置換プリンが挙げられる。5−メチルシトシン置換基が、核酸二本鎖安定性を0.6〜1.2℃だけ増加させることが示されており(Sanghvi,Y.S.,Crooke,S.T.and Lebleu,B.,Eds.,dsRNA Research and Applications,CRC Press,Boca Raton,1993,pp.276−278)、例示的な塩基置換であり、特に2’−O−メトキシエチル糖修飾と組み合わされる場合は尚更である。
【0153】
上記の修飾された核酸塩基並びに他の修飾された核酸塩基のいくつかの調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、上記の米国特許第3,687,808号明細書、同4,845,205号明細書;同5,130,30号明細書;同5,134,066号明細書;同5,175,273号明細書;同5,367,066号明細書;同5,432,272号明細書;同5,457,187号明細書;同5,459,255号明細書;同5,484,908号明細書;同5,502,177号明細書;同5,525,711号明細書;同5,552,540号明細書;同5,587,469号明細書;同5,594,121号明細書、同5,596,091号明細書;同5,614,617号明細書;同5,681,941号明細書;同5,750,692号明細書;同6,015,886号明細書;同6,147,200号明細書;同6,166,197号明細書;同6,222,025号明細書;同6,235,887号明細書;同6,380,368号明細書;同6,528,640号明細書;同6,639,062号明細書;同6,617,438号明細書;同7,045,610号明細書;同7,427,672号明細書;及び同第7,495,088号明細書が挙げられ、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
【0154】
iRNAのRNAはまた、1つ又は複数の二環式糖部分を含むように修飾され得る。「二環式糖」は、2個の原子の架橋によって修飾されたフラノシル環である。「二環式ヌクレオシド」(「BNA」)は、糖環の2個の炭素原子を結合し、それによって、二環式環系を形成する架橋を含む糖部分を有するヌクレオシドである。特定の実施形態において、架橋は、糖環の4’−炭素及び2’−炭素を結合する。したがって、ある実施形態において、本発明の剤は、1つ又は複数のロックト核酸(LNA)を含み得る。ロックト核酸は、修飾されたリボース部分を有するヌクレオチドであり、リボース部分は、2’及び4’炭素を結合する追加の架橋を含む。言い換えると、LNAは、4’−CH2−O−2’架橋を含む二環式糖部分を含むヌクレオチドである。この構造は、3’−endo構造的立体配置におけるリボースを有効に「ロックする」。siRNAにロックト核酸を加えると、血清中のsiRNA安定性が増加し、オフターゲット効果が低下されることが示されている(Elmen,J.et al.,(2005)Nucleic Acids Research 33(1):439−447;Mook,OR.et al.,(2007)Mol Canc Ther 6(3):833−843;Grunweller,A.et al.,(2003)Nucleic Acids Research 31(12):3185−3193)。本発明のポリヌクレオチドに使用するための二環式ヌクレオシドの例としては、限定はされないが、4’及び2’リボシル環原子の間の架橋を含むヌクレオシドが挙げられる。特定の実施形態において、本発明のアンチセンスポリヌクレオチド剤としては、4’−2’架橋を含む1つ又は複数の二環式ヌクレオシドが挙げられる。このような4’−2’架橋二環式ヌクレオシドの例としては、限定はされないが、4’−(CH2)−O−2’(LNA);4’−(CH2)−S−2’;4’−(CH2)2−O−2’(ENA);4’−CH(CH3)−O−2’(「拘束エチル」又は「cEt」とも呼ばれる)及び4’−CH(CH2OCH3)−O−2’(及びその類似体;例えば、米国特許第7,399,845号明細書を参照);4’−C(CH3)(CH3)−O−2’(及びその類似体;例えば、米国特許第8,278,283号明細書を参照);4’−CH2−N(OCH3)−2’(及びその類似体;例えば、米国特許第8,278,425号明細書を参照);4’−CH2−O−N(CH3)−2’(例えば、米国特許出願公開第2004/0171570号明細書を参照);4’−CH2−N(R)−O−2’(ここで、Rが、H、C1〜C12アルキルである)、又は保護基(例えば、米国特許第7,427,672号明細書を参照);4’−CH2−C(H)(CH3)−2’(例えば、Chattopadhyaya et al.,J.Org.Chem.,2009,74,118−134を参照);及び4’−CH2−C(=CH2)−2’(及びその類似体;例えば、米国特許第8,278,426号明細書を参照)が挙げられる。これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
【0155】
ロックト核酸ヌクレオチドの調製を教示する更なる代表的な米国特許及び米国特許公報としては、限定はされないが、米国特許第6,268,490号明細書;同6,525,191号明細書;同6,670,461号明細書;同6,770,748号明細書;同6,794,499号明細書;同6,998,484号明細書;同7,053,207号明細書;同7,034,133号明細書;同7,084,125号明細書;同7,399,845号明細書;同7,427,672号明細書;同7,569,686号明細書;同7,741,457号明細書;同8,022,193号明細書;同8,030,467号明細書;同8,278,425号明細書;同8,278,426号明細書;同8,278,283号明細書;米国特許出願公開第2008/0039618号明細書;及び米国特許出願公開第2009/0012281号明細書が挙げられ、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
【0156】
例えば、α−L−リボフラノース及びβ−D−リボフラノースを含む1つ又は複数の立体化学的糖配置を有する上記の二環式ヌクレオシドのいずれかが調製され得る(国際公開第99/14226号パンフレットを参照)。
【0157】
iRNAのRNAはまた、1つ又は複数の拘束エチルヌクレオチドを含むように修飾され得る。本明細書において使用される際、「拘束エチルヌクレオチド」又は「cEt」は、4’−CH(CH3)−0−2’架橋を含む二環式糖部分を含むロックト核酸である。一実施形態において、拘束エチルヌクレオチドは、本明細書において「S−cEt」と呼ばれるS立体配置にある。
【0158】
本発明のiRNAは、1つ又は複数の「立体配座的に制限されたヌクレオチド」(「CRN」)も含み得る。CRNは、リボースのC2’及びC4’炭素又はリボースのC3及び−C5’炭素を結合するリンカーを有するヌクレオチド類似体である。CRNは、リボース環を安定した立体配置へと固定し、mRNAに対するハイブリダイゼーション親和性(hybridization affinity)を高める。リンカーは、酸素を安定性及び親和性のために最適な位置に配置するのに十分な長さを有し、リボース環の歪み(puckering)を少なくする。
【0159】
上記のCRNのいくつかの調製を教示する代表的な公報としては、限定はされないが、米国特許出願公開第2013/0190383号明細書;及びPCT公報の国際公開第2013/036868号パンフレットが挙げられ、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
【0160】
本発明のiRNAのヌクレオチドの1つ又は複数はまた、ヒドロキシメチル置換ヌクレオチドも含み得る。「ヒドロキシメチル置換ヌクレオチド」は、「アンロックト(unlocked)核酸」(「UNA」)修飾とも呼ばれる非環式2’−3’−seco−ヌクレオチドである。
【0161】
UNAの調製を教示する代表的な米国特許公報としては、限定はされないが、米国特許第8,314,227号明細書;並びに米国特許出願公開第2013/0096289号明細書;同第2013/0011922号明細書;及び同第2011/0313020号明細書が挙げられ、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。に対する潜在的に安定した修飾は、RNA分子の末端に対する潜在的に安定した修飾は、N−(アセチルアミノカプロイル)−4−ヒドロキシプロリノール(Hyp−C6−NHAc)、N−(カプロイル4−ヒドロキシプロリノール(Hyp−C6)、N−(アセチル−4−ヒドロキシプロリノール(Hyp−NHAc)、チミジン−2’−0−デオキシチミジン(エーテル)、N−(アミノカプロイル)−4−ヒドロキシプロリノール(Hyp−C6−アミノ)、2−ドコサノイル−ウリジン−3”−ホスフェート、逆方向塩基(inverted base)dT(idT)などを含み得る。この修飾の開示は、PCT公開番号国際公開第2011/005861号パンフレットに見られる。
【0162】
A.本発明のモチーフを含む修飾iRNA
本発明の特定の態様において、本発明の二本鎖iRNA剤としては、例えば、それぞれ全内容が参照により本明細書に援用される、2011年11月18日に出願された米国仮特許出願第61/561,710号明細書、又は2012年11月16日に出願されたPCT/米国特許出願公開第2010/065691号明細書に開示される化学的修飾を有する薬剤が挙げられる。
【0163】
本明細書及び米国仮特許出願第61/561,710号明細書又はPCT出願番号PCT/米国特許出願公開第2010/065691号明細書に示されるように、より優れた結果が、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つ又は複数のモチーフを、iRNA剤のセンス鎖及び/又はアンチセンス鎖中、特に、切断部位又はその近傍に導入することによって得られる。ある実施形態において、iRNA剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖は、或いは完全に修飾され得る。これらのモチーフの導入により、存在する場合、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖の修飾パターンが中断される。iRNA剤は、例えば、センス鎖上で、GalNAc誘導体リガンドと任意選択でコンジュゲートされ得る。得られたiRNA剤は、より優れた遺伝子サイレンシング活性を示す。
【0164】
より詳細には、二本鎖iRNA剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖が、iRNA剤の少なくとも1つの鎖の切断部位又はその近傍に3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つ又は複数のモチーフを有するように完全に修飾される場合、iRNA剤の遺伝子サイレンシング活性が優位に向上されたことが意外にも発見された。
【0165】
したがって、本発明は、インビボでの標的遺伝子(即ち、KHK遺伝子)の発現を阻害することが可能な二本鎖iRNA剤を提供する。iRNA剤は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含む。iRNA剤の各鎖は、12〜30ヌクレオチド長の範囲であり得る。例えば、各鎖は、14〜30ヌクレオチド長、17〜30ヌクレオチド長、25〜30ヌクレオチド長、27〜30ヌクレオチド長、17〜23ヌクレオチド長、17〜21ヌクレオチド長、17〜19ヌクレオチド長、19〜25ヌクレオチド長、19〜23ヌクレオチド長、19〜21ヌクレオチド長、21〜25ヌクレオチド長、又は21〜23ヌクレオチド長であり得る。
【0166】
センス鎖及びアンチセンス鎖は、典型的に、本明細書において「iRNA剤」又は「iRNA剤」とも呼ばれる二本鎖RNA(「dsRNA」)を形成する。iRNA剤の二本鎖領域は、12〜30ヌクレオチド対長であり得る。例えば、二本鎖領域は、14〜30ヌクレオチド対長、17〜30ヌクレオチド対長、27〜30ヌクレオチド対長、17〜23ヌクレオチド対長、17〜21ヌクレオチド対長、17〜19ヌクレオチド対長、19〜25ヌクレオチド対長、19〜23ヌクレオチド対長、19〜21ヌクレオチド対長、21〜25ヌクレオチド対長、又は21〜23ヌクレオチド対長であり得る。別の例では、二本鎖領域は、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、及び27ヌクレオチド長から選択される。
【0167】
一実施形態において、iRNA剤は、1つ又は両方の鎖の3’末端、5’末端、又は両方の末端において1つ又は複数のオーバーハング領域及び/又はキャッピング基を含み得る。オーバーハングは、1〜6ヌクレオチド長、例えば、2〜6ヌクレオチド長、1〜5ヌクレオチド長、2〜5ヌクレオチド長、1〜4ヌクレオチド長、2〜4ヌクレオチド長、1〜3ヌクレオチド長、2〜3ヌクレオチド長、又は1〜2ヌクレオチド長であり得る。オーバーハングは、1つの鎖が他の鎖より長い結果であるか、又は同じ長さの2つの鎖が互い違いになっている結果であり得る。オーバーハングは、標的mRNAとのミスマッチを形成し得るか、又はオーバーハングは、標的とされる遺伝子配列に相補的であり得るか、又は別の配列であり得る。第1及び第2の鎖がまた、例えば、ヘアピンを形成するように更なる塩基によって、又は他の非塩基リンカーによって結合され得る。
【0168】
一実施形態において、iRNA剤のオーバーハング領域中のヌクレオチドはそれぞれ、独立して、限定はされないが、2−F、2’−Oメチル、チミジン(T)、2’−O−メトキシエチル−5−メチルウリジン(Teo)、2’−O−メトキシエチルアデノシン(Aeo)、2’−O−メトキシエチル−5−メチルシチジン(m5Ceo)、及びそれらの任意の組み合わせなどの2’−糖修飾を含む、修飾又は非修飾ヌクレオチドであり得る。例えば、TTは、いずれかの鎖上のいずれかの末端のためのオーバーハング配列であり得る。オーバーハングは、標的mRNAとのミスマッチを形成し得るか、又はオーバーハングは、標的とされる遺伝子配列に相補的であり得るか、又は別の配列であり得る。
【0169】
iRNA剤のセンス鎖、アンチセンス鎖又は両方の鎖における5’−又は3’−オーバーハングは、リン酸化され得る。ある実施形態において、オーバーハング領域は、2つのヌクレオチド間にホスホロチオエートを有する2つのヌクレオチドを含み、ここで、2つのヌクレオチドは、同じか又は異なり得る。一実施形態において、オーバーハングは、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖の3’末端に存在する。一実施形態において、この3’−オーバーハングは、アンチセンス鎖中に存在する。一実施形態において、この3’−オーバーハングは、センス鎖中に存在する。
【0170】
iRNA剤は、その全体的安定性に影響を与えずに、iRNAの干渉活性を強化し得る1つのみのオーバーハングを含み得る。例えば、一本鎖オーバーハングは、センス鎖の3’末端、或いはアンチセンス鎖の3’末端に位置し得る。iRNAは、アンチセンス鎖の5’末端(又はセンス鎖の3’末端)又はその逆に位置する平滑末端も有し得る。一般に、iRNAのアンチセンス鎖は、3’末端にヌクレオチドオーバーハングを有し、5’末端は平滑である。理論に制約されるのを望むものではないが、アンチセンス鎖の5’末端及びアンチセンス鎖の3’末端オーバーハングにおける非対称の平滑末端は、RISCプロセスへのガイド鎖導入に有利に作用する。
【0171】
一実施形態において、iRNA剤は、19ヌクレオチド長の平滑末端二本鎖(double ended bluntmer)であり、センス鎖は、5’末端から7位、8位、9位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−F修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。アンチセンス鎖は、5’末端から11位、12位、13位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−O−メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。
【0172】
別の実施形態において、iRNA剤は、20ヌクレオチド長の平滑末端二本鎖であり、センス鎖は、5’末端から8位、9位、10位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−F修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。アンチセンス鎖は、5’末端から11位、12位、13位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−O−メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。
【0173】
更に別の実施形態において、iRNA剤は、21ヌクレオチド長の平滑末端二本鎖であり、センス鎖は、5’末端から9位、10位、11位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−F修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。アンチセンス鎖は、5’末端から11位、12位、13位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−O−メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。
【0174】
一実施形態において、iRNA剤は、21ヌクレオチドセンス鎖及び23ヌクレオチドアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、5’末端から9位、10位、11位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−F修飾の少なくとも1つのモチーフを含み;アンチセンス鎖は、5’末端から11位、12位、13位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−O−メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含み、iRNA剤の一方の末端が平滑である一方、他方の末端は、2つのヌクレオチドオーバーハングを含む。好ましくは、2つのヌクレオチドオーバーハングは、アンチセンス鎖の3’末端にある。2つのヌクレオチドオーバーハングが、アンチセンス鎖の3’末端にある場合、末端の3つのヌクレオチドの間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合があり得、3つのうちの2つのヌクレオチドが、オーバーハングヌクレオチドであり、第3のヌクレオチドは、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドである。一実施形態において、iRNA剤は、センス鎖の5’末端及びアンチセンス鎖の5’末端の両方における末端の3つのヌクレオチドの間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を更に有する。一実施形態において、モチーフの一部であるヌクレオチドを含む、iRNA剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖中の全てのヌクレオチドが、修飾ヌクレオチドである。一実施形態において、各残基が、独立して、例えば、交互のモチーフ中で、2’−O−メチル又は3’−フルオロで修飾される。任意選択で、iRNA剤は、リガンド(好ましくは、GalNAc)を更に含む。
【0175】
一実施形態において、iRNA剤は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、25〜30ヌクレオチド残基長であり、5’末端ヌクレオチド(1位)を起点として、第1の鎖の1〜23位が、少なくとも8つのリボヌクレオチドを含み;アンチセンス鎖は、36〜66ヌクレオチド残基長であり、3’末端ヌクレオチドを起点として、センス鎖の1〜23位と対合される位置において少なくとも8つのリボヌクレオチドを含んで、二本鎖を形成し;アンチセンス鎖の少なくとも3’末端ヌクレオチドが、センス鎖と対合されず、最大で6連続の3’末端ヌクレオチドが、センス鎖と対合されず、それによって、1〜6つのヌクレオチドの3’一本鎖オーバーハングを形成し;アンチセンス鎖の5’末端は、センス鎖と対合されない10〜30連続ヌクレオチドを含み、それによって、10〜30個のヌクレオチド一本鎖5’オーバーハングを形成し;少なくともセンス鎖5’末端及び3’末端ヌクレオチドは、センス鎖及びアンチセンス鎖が最大の相補性のために整列される場合、アンチセンス鎖のヌクレオチドと対合される塩基であり、それによって、センス鎖とアンチセンス鎖との間に実質的に二本鎖の領域を形成し;アンチセンス鎖は、二本鎖核酸が哺乳動物細胞中に導入されたときに標的遺伝子の発現を低下させるように、アンチセンス鎖長の少なくとも19個のリボヌクレオチドに沿って標的RNAに十分に相補的であり;センス鎖は、3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−F修飾の少なくとも1つのモチーフを含み、ここで、モチーフのうちの少なくとも1つが、切断部位又はその近傍に存在する。アンチセンス鎖は、切断部位又はその近傍に3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−O−メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。
【0176】
一実施形態において、iRNA剤は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、iRNA剤は、少なくとも25且つ29以下のヌクレオチド長を有する第1の鎖と、5’末端から11位、12位、13位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−O−メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む、30ヌクレオチド長以下を有する第2の鎖とを含み;第1の鎖の3’末端及び第2の鎖の5’末端が、平滑末端を形成し、第2の鎖は、その3’末端で第1の鎖より1〜4ヌクレオチド長く、二本鎖領域は、少なくとも25ヌクレオチド長であり、第2の鎖は、iRNA剤が哺乳動物細胞中に導入されたときに標的遺伝子の発現を低下させるように、第2の鎖長の少なくとも19のヌクレオチドに沿って標的mRNAに十分に相補的であり、iRNA剤のダイサー切断(dicer cleavage)が、第2の鎖の3’末端を含むsiRNAを優先的にもたらし、それにより、哺乳動物における標的遺伝子の発現を低下させる。任意選択で、iRNA剤は、リガンドを更に含む。
【0177】
一実施形態において、iRNA剤のセンス鎖は、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを含み、モチーフの1つは、センス鎖の切断部位に存在する。
【0178】
一実施形態において、iRNA剤のアンチセンス鎖も、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを含むことができ、モチーフの1つは、アンチセンス鎖の切断部位又はその近傍に存在する。
【0179】
17〜23ヌクレオチド長の二本鎖領域を有するiRNA剤では、アンチセンス鎖の切断部位は、典型的に、5’末端から10位、11位及び12位の付近である。したがって、3つの同一の修飾のモチーフは、アンチセンス鎖の5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて、又はアンチセンス鎖の5’末端から、二本鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、アンチセンス鎖の9位、10位、11位;10位、11位、12位;11位、12位、13位;12位、13位、14位;又は13位、14位、15位に存在し得る。アンチセンス鎖中の切断部位はまた、5’末端からのiRNAの二本鎖領域の長さに応じて変化し得る。
【0180】
iRNA剤のセンス鎖は、鎖の切断部位に3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを含んでいてもよく;アンチセンス鎖は、鎖の切断部位又はその近傍に3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを有し得る。センス鎖及びアンチセンス鎖がdsRNA二本鎖を形成する場合、センス鎖及びアンチセンス鎖は、センス鎖における3つのヌクレオチドの1つのモチーフ及びアンチセンス鎖における3つのヌクレオチドの1つのモチーフが、少なくとも1つのヌクレオチドの重複を有し、即ち、センス鎖中のモチーフの3つのヌクレオチドのうちの少なくとも1つが、アンチセンス鎖中のモチーフの3つのヌクレオチドのうちの少なくとも1つと塩基対を形成するように整列され得る。或いは、少なくとも2つのヌクレオチドが重複してもよく、又は全ての3つのヌクレオチドが重複してもよい。
【0181】
一実施形態において、iRNA剤のセンス鎖は、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の2つ以上のモチーフを含み得る。第1のモチーフは、鎖の切断部位又はその近傍に存在してもよく、他のモチーフは、ウイング修飾(wing modification)であり得る。本明細書における「ウイング修飾」という用語は、同じ鎖の切断部位又はその近傍のモチーフから離れた鎖の別の部分に存在するモチーフを指す。ウイング修飾は、第1のモチーフに隣接するか、又は少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドによって隔てられている。モチーフが、互いに直接隣接している場合、モチーフの化学構造は、互いに異なり、モチーフが、1つ又は複数のヌクレオチドによって隔てられている場合、化学構造は、同じか又は異なり得る。2つ以上のウイング修飾が存在し得る。例えば、2つのウイング修飾が存在する場合、各ウイング修飾は、切断部位又はその近傍の第1のモチーフに対して1つの端部に又はリードモチーフ(lead motif)のいずれかの側に存在し得る。
【0182】
センス鎖と同様に、iRNA剤のアンチセンス鎖は、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の2つ以上のモチーフを含んでいてもよく、モチーフの少なくとも1つが、鎖の切断部位又はその近傍に存在する。このアンチセンス鎖はまた、センス鎖に存在し得るウイング修飾と同様の配列で1つ又は複数のウイング修飾を含み得る。
【0183】
一実施形態において、iRNA剤のセンス鎖又はアンチセンス鎖におけるウイング修飾は、典型的に、鎖の3’末端、5’末端又は両方の末端に第1の1つ又は2つの末端ヌクレオチドを含まない。
【0184】
別の実施形態において、iRNA剤のセンス鎖又はアンチセンス鎖におけるウイング修飾は、典型的に、鎖の3’末端、5’末端又は両方の末端の二本鎖領域内に第1の1つ又は2つの対合ヌクレオチドを含まない。
【0185】
iRNA剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖がそれぞれ、少なくとも1つのウイング修飾を含む場合、ウイング修飾は、二本鎖領域の同じ末端に位置してもよく、1つ、2つ又は3つのヌクレオチドの重複を有し得る。
【0186】
iRNA剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖がそれぞれ、少なくとも2つのウイング修飾を含む場合、センス鎖及びアンチセンス鎖は、1つの鎖からの2つの修飾がそれぞれ、二本鎖領域の1つの末端に位置して、1つ、2つ又は3つのヌクレオチドの重複を有し;1つの鎖からの2つの修飾がそれぞれ、二本鎖領域の他方の末端に位置して、1つ、2つ又は3つのヌクレオチドの重複を有し;1つの鎖からの2つの修飾がリードモチーフの各側に位置して、二本鎖領域中に1つ、2つ又は3つのヌクレオチドの重複を有するように整列され得る。
【0187】
一実施形態において、モチーフの一部であるヌクレオチドを含む、iRNA剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖中の全てのヌクレオチドが修飾され得る。各ヌクレオチドは、同じ又は異なる修飾で修飾されてもよく、この修飾は、非結合リン酸酸素及び/又は結合リン酸酸素の1つ又は複数の一方又は両方の1つ又は複数の変更;リボース糖の成分、例えば、リボース糖の2’ヒドロキシルの変更;「脱リン(dephospho)」リンカーによるリン酸部分の大規模な置換;天然の塩基の修飾又は置換;及びリボース−リン酸骨格の置換又は修飾を含み得る。
【0188】
核酸が、サブユニットのポリマーであるため、例えば、塩基、又はリン酸部分、又はリン酸部分の非結合Oの修飾といった修飾の多くは、核酸内の繰り返される位置に存在する。場合によっては、修飾は、核酸中の目的の位置の全てに存在し得るが、多くの場合、そうではない。例として、修飾は、3’又は5’末端位置のみに存在してもよく、末端領域、例えば、末端ヌクレオチド上の位置又は鎖の最後の2、3、4、5、又は10のヌクレオチドのみに存在してもよい。修飾は、二本鎖領域、一本鎖領域、又はその両方に存在してもよい。修飾は、RNAの二本鎖領域のみに存在してもよく、又はRNAの一本鎖領域のみに存在してもよい。例えば、非結合O位置におけるホスホロチオエート修飾は、一方又は両方の末端のみに存在してもよく、末端領域、例えば、末端ヌクレオチド上の位置又は鎖の最後の2、3、4、5、又は10のヌクレオチドのみに存在してもよく、又は二本鎖及び一本鎖領域、特に、末端に存在してもよい。5’末端又は両方の末端が、リン酸化され得る。
【0189】
例えば、安定性を高めること、オーバーハング中に特定の塩基を含むこと、又は一本鎖オーバーハング、例えば、5’又は3’オーバーハング、又はその両方に修飾ヌクレオチド又はヌクレオチド代用物(surrogate)を含むことが可能であり得る。例えば、オーバーハング中にプリンヌクレオチドを含むことが望ましいことがある。ある実施形態において、3’又は5’オーバーハング中の塩基の全て又は一部が、例えば、本明細書に記載される修飾で修飾されてもよい。修飾は、例えば、当該技術分野において公知の修飾によるリボース糖の2’位における修飾の使用、例えば、核酸塩基のリボ糖の代わりにデオキシリボヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロ(2’−F)又は2’−O−メチル修飾の使用、及びリン酸基の修飾、例えば、ホスホロチオエート修飾を含み得る。オーバーハングは、標的配列と相同である必要はない。
【0190】
一実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖の各残基は、独立して、LNA、CRN、cET、UNA、HNA、CeNA、2’−メトキシエチル、2’−O−メチル、2’−O−アリル、2’−C−アリル、2’−デオキシ、2’−ヒドロキシル、又は2’−フルオロで修飾される。鎖は、2つ以上の修飾を含み得る。一実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖の各残基は、独立して、2’−O−メチル又は2’−フルオロで修飾される。
【0191】
少なくとも2つの異なる修飾が、典型的に、センス鎖及びアンチセンス鎖に存在する。それらの2つの修飾は、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾、又は他のものであり得る。
【0192】
一実施形態において、N及び/又はNは、交互のパターンの修飾を含む。本明細書において使用される際の「交互のモチーフ」という用語は、1つ又は複数の修飾を有するモチーフを指し、各修飾が、1つの鎖の交互のヌクレオチドに存在する。交互のヌクレオチドは、1つおきのヌクレオチドに1つ又は3つおきのヌクレオチドに1つ、又は同様のパターンを指し得る。例えば、A、B及びCがそれぞれ、ヌクレオチドに対する1つのタイプの修飾を表す場合、交互のモチーフは、「ABABABABABAB・・・」、「AABBAABBAABB・・・」、「AABAABAABAAB・・・」、「AAABAAABAAAB・・・」、「AAABBBAAABBB・・・」、又は「ABCABCABCABC・・・」などであり得る。
【0193】
交互のモチーフに含まれる修飾のタイプは、同じか又は異なり得る。例えば、A、B、C、Dがそれぞれ、ヌクレオチド上の1つのタイプの修飾を表す場合、交互のパターン、即ち、1つおきのヌクレオチドにおける修飾は、同じであってもよいが、センス鎖又はアンチセンス鎖のそれぞれが、「ABABAB・・・」、「ACACAC・・・」「BDBDBD・・・」又は「CDCDCD・・・」などの交互のモチーフ内の修飾のいくつかの可能性から選択され得る。
【0194】
一実施形態において、本発明のiRNA剤は、アンチセンス鎖における交互のモチーフの修飾パターンに対してシフトされた、センス鎖における交互のモチーフの修飾パターンを含む。このシフトは、センス鎖のヌクレオチドの修飾基が、アンチセンス鎖のヌクレオチドの異なる修飾の基に対応するか、その逆であるようなシフトであり得る。例えば、センス鎖は、dsRNA二本鎖におけるアンチセンス鎖と対合される場合、センス鎖における交互のモチーフは、鎖の5’から3’へと「ABABAB」から開始してもよく、アンチセンス鎖における交互のモチーフは、二本鎖領域内の鎖の5’から3’へと「BABABA」から開始され得る。別の例として、センス鎖における交互のモチーフは、鎖の5’から3’へと「AABBAABB」から開始してもよく、アンチセンス鎖における交互のモチーフは、二本鎖領域内の鎖の5’から3’へと「BBAABBAA」から開始してもよく、それにより、センス鎖とアンチセンス鎖との間の修飾パターンの完全な又は部分的なシフトが存在する。
【0195】
一実施形態において、iRNA剤は、センス鎖における2’−O−メチル修飾及び2’−F修飾の交互のモチーフのパターンを含み、このパターンは、最初に、アンチセンス鎖における2’−O−メチル修飾及び2’−F修飾の交互のモチーフのパターンに対するシフトを有し、即ち、センス鎖における2’−O−メチル修飾ヌクレオチドが、アンチセンス鎖における2’−F修飾ヌクレオチドと塩基対を形成し、その逆も同様である。センス鎖の1位は、2’−F修飾から開始してもよく、アンチセンス鎖の1位は、2’−O−メチル修飾から開始してもよい。
【0196】
センス鎖及び/又はアンチセンス鎖への、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つ又は複数のモチーフの導入は、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖中に存在する最初の修飾パターンを中断する。センス鎖及び/又はアンチセンス鎖に3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つ又は複数のモチーフを導入することによる、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖の修飾パターンのこの中断は、標的遺伝子の対する遺伝子サイレンシング活性を意外にも高める。
【0197】
一実施形態において、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾のモチーフが、鎖のいずれかに導入される場合、モチーフに隣接するヌクレオチドの修飾は、モチーフの修飾と異なる修飾である。例えば、モチーフを含む配列の一部は、「・・・NYYYN・・・」であり、ここで、「Y」は、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾のモチーフの修飾を表し、「N」及び「N」は、Yの修飾と異なる、モチーフ「YYY」に隣接するヌクレオチドの修飾を表し、N及びNは、同じか又は異なる修飾であり得る。或いは、N及び/又はNは、ウイング修飾が存在する場合、存在していても又は存在していなくてもよい。
【0198】
iRNA剤は、少なくとも1つのホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合を更に含み得る。ホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合の修飾は、鎖のいずれかの位置の、センス鎖又はアンチセンス鎖又は両方の鎖の任意のヌクレオチドに存在し得る。例えば、ヌクレオチド間結合の修飾は、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖における全てのヌクレオチドに存在してもよく;各ヌクレオチド間結合の修飾は、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖において交互のパターンで存在してもよく;又はセンス鎖又はアンチセンス鎖は、交互のパターンで両方のヌクレオチド間結合の修飾を含み得る。センス鎖におけるヌクレオチド間結合の修飾の交互のパターンは、アンチセンス鎖と同じか又は異なっていてもよく、センス鎖におけるヌクレオチド間結合の修飾の交互のパターンは、アンチセンス鎖におけるヌクレオチド間結合の修飾の交互のパターンに対するシフトを有し得る。
【0199】
一実施形態において、iRNAは、オーバーハング領域にホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合の修飾を含む。例えば、オーバーハング領域は、2つのヌクレオチド間にホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合を有する2つのヌクレオチドを含み得る。ヌクレオチド間結合の修飾はまた、オーバーハングヌクレオチドを、二本鎖領域内の末端の対合ヌクレオチドと結合するために形成され得る。例えば、少なくとも2、3、4、又は全てのオーバーハングヌクレオチドが、ホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合によって結合されてもよく、任意選択で、オーバーハングヌクレオチドを、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドと結合する更なるホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合が存在し得る。例えば、末端の3つのヌクレオチド間に少なくとも2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合が存在してもよく、3つのヌクレオチドのうちの2つが、オーバーハングヌクレオチドであり、第3のヌクレオチドが、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドである。これらの末端の3つのヌクレオチドは、アンチセンス鎖の3’末端、センス鎖の3’末端、アンチセンス鎖の5’末端、及び/又はアンチセンス鎖の5’末端に存在し得る。
【0200】
一実施形態において、2つのヌクレオチドオーバーハングは、アンチセンス鎖の3’末端にあり、末端の3つのヌクレオチド間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合が存在し、3つのヌクレオチドのうちの2つが、オーバーハングヌクレオチドであり、第3のヌクレオチドが、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドである。任意選択で、iRNA剤は、センス鎖の5’末端及びアンチセンス鎖の5’末端の両方において、末端の3つのヌクレオチド間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を更に有し得る。
【0201】
一実施形態において、二本鎖RNAi剤は、6〜8つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。一実施形態において、アンチセンス鎖は、5’末端における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合及び3’末端における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み、及びセンス鎖は、5’末端又は3’末端のいずれかにおける少なくとも2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。
【0202】
一実施形態において、iRNA剤は、標的とのミスマッチ、二本鎖内のミスマッチ、又はそれらの組み合わせを含む。ミスマッチは、オーバーハング領域又は二本鎖領域で生じ得る。塩基対は、解離又は融解(例えば、特定の対合の結合又は解離の自由エネルギーに対してであり、最も簡単な手法は、個々の対ごとに対を調べることであるが、類似の又は同様の分析も使用され得る)を促進する傾向に基づいて評価され得る。解離の促進に関して:A:Uが、G:Cより好ましく;G:Uが、G:Cより好ましく;I:Cが、G:Cより好ましい(I=イノシン)。ミスマッチ、例えば、非正準又は正準以外の対合(本明細書の他の箇所に記載される)が、正準な(A:T、A:U、G:C)対合より好ましく;ユニバーサル塩基を含む対合が、正準な対合より好ましい。
【0203】
一実施形態において、iRNA剤は、A:U、G:U、I:Cの群から独立して選択されるアンチセンス鎖の5’末端からの二本鎖領域内の最初の1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの塩基対のうちの少なくとも1つ、及び二本鎖の5’末端におけるアンチセンス鎖の解離を促進するためのミスマッチ対、例えば、非正準又は正準以外の対合又はユニバーサル塩基を含む対合を含む。
【0204】
一実施形態において、アンチセンス鎖の5’末端からの二本鎖領域内の1位におけるヌクレオチドは、A、dA、dU、U、及びdTからなる群から選択される。或いは、アンチセンス鎖の5’末端からの二本鎖領域内の最初の1、2又は3塩基対のうちの少なくとも1つは、AU塩基対である。例えば、アンチセンス鎖の5’末端からの二本鎖領域内の第1の塩基対は、AU塩基対である。
【0205】
一実施形態において、センス鎖配列は、式(I):
5’n−N−(XXX)−N−YYY−N−(ZZZ)−N−n3’(I)
(式中:
i及びjがそれぞれ、独立して、0又は1であり;
p及びqがそれぞれ、独立して、0〜6であり;
各Nが、独立して、0〜25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み;
各Nが、独立して、0〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
各n及びnが、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し;
ここで、Nb及びYが、同じ修飾を有さず;
XXX、YYY及びZZZがそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の1つのモチーフを表す)
によって表され得る。好ましくは、YYYが、全て2’−F修飾ヌクレオチドである。
【0206】
一実施形態において、N及び/又はNは、交互のパターンの修飾を含む。
【0207】
一実施形態において、YYYモチーフは、センス鎖の切断部位又はその近傍に存在する。例えば、iRNA剤が、17〜23ヌクレオチド長の二本鎖領域を有する場合、YYYモチーフは、5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて;又は任意選択で、5’末端から、二本鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、センス鎖の切断部位又はその近傍に存在し得る(例えば:6位、7位、8位、7位、8位、9位、8位、9位、10位、9位、10位、11位、10位、11位、12位又は11位、12位、13位に存在し得る)。
【0208】
一実施形態において、iが1であり、jが0であり、又はiが0であり、jが1であり、又はi及びjの両方が1である。したがって、センス鎖は、以下の式によって表され得る:
5’n−N−YYY−N−ZZZ−N−n3’(Ib);
5’n−N−XXX−N−YYY−N−n3’(Ic);又は
5’n−N−XXX−N−YYY−N−ZZZ−N−n3’(Id)。
【0209】
センス鎖が、式(Ib)によって表される場合、Nは、0〜10、0〜7、0〜5、0〜4、0〜2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Nは、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
【0210】
センス鎖が、式(Ic)として表される場合、Nは、0〜10、0〜7、0〜10、0〜7、0〜5、0〜4、0〜2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Nは、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
【0211】
センス鎖が、式(Id)として表される場合、各Nは、独立して、0〜10、0〜7、0〜5、0〜4、0〜2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。好ましくは、Nは、0、1、2、3、4、5又は6である。各Nは、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
【0212】
X、Y及びZのそれぞれが、互いに同じか又は異なり得る。
【0213】
他の実施形態において、iが0であり、jが0であり、センス鎖は、以下の式によって表され得る:
5’n−N−YYY−N−n3’(Ia)。
【0214】
センス鎖が、式(Ia)によって表される場合、各Nは、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
【0215】
一実施形態において、iRNAのアンチセンス鎖配列は、式(II):
5’nq’−N’−(Z’Z’Z’)−N’−Y’Y’Y’−N’−(X’X’X’)−N’−n’3’(II)
(式中:
k及びlがそれぞれ、独立して、0又は1であり;
p’及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり;
各N’が、独立して、0〜25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み;
各N’が、独立して、0〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
各n’及びn’が、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し;
ここで、N’及びY’が、同じ修飾を有さず;
X’X’X’、Y’Y’Y’及びZ’Z’Z’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の1つのモチーフを表す)
によって表され得る。
【0216】
一実施形態において、N’及び/又はN’は、交互のパターンの修飾を含む。
【0217】
Y’Y’Y’モチーフは、アンチセンス鎖の切断部位又はその近傍に存在する。例えば、iRNA剤が、17〜23ヌクレオチド長の二本鎖領域を有する場合、Y’Y’Y’モチーフは、5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて;又は任意選択で、5’末端から、二本鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、アンチセンス鎖の9位、10位、11位;10位、11位、12位;11位、12位、13位;12位、13位、14位;又は13位、14位、15位に存在し得る。好ましくは、Y’Y’Y’モチーフは、11位、12位、13位に存在する。
【0218】
一実施形態において、Y’Y’Y’モチーフは、全て2’−OMe修飾ヌクレオチドである。
【0219】
一実施形態において、kが1であり、lが0であり、又はkが0であり、lが1であり、又はk及びlの両方が1である。
【0220】
したがって、アンチセンス鎖は、以下の式によって表され得る:
5’nq’−N’−Z’Z’Z’−N’−Y’Y’Y’−N’−np’3’(IIb);
5’nq’−N’−Y’Y’Y’−N’−X’X’X’−np’3’(IIc);又は
5’nq’−N’−Z’Z’Z’−N’−Y’Y’Y’−N’−X’X’X’−N’−np’3’(IId)。
【0221】
アンチセンス鎖が、式(IIb)によって表される場合、Nは、0〜10、0〜7、0〜10、0〜7、0〜5、0〜4、0〜2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各N’は、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
【0222】
アンチセンス鎖が、式(IIc)として表される場合、N’は、0〜10、0〜7、0〜10、0〜7、0〜5、0〜4、0〜2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各N’は、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
【0223】
アンチセンス鎖が、式(IId)として表される場合、各N’は、独立して、0〜10、0〜7、0〜10、0〜7、0〜5、0〜4、0〜2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各N’は、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。好ましくは、Nは、0、1、2、3、4、5又は6である。
【0224】
他の実施形態において、kが0であり、lが0であり、アンチセンス鎖は、以下の式によって表され得る:
5’np’−Na’−Y’Y’Y’−Na’−nq’3’(Ia)。
【0225】
アンチセンス鎖が、式(IIa)として表される場合、各N’は、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
【0226】
X’、Y’及びZ’のそれぞれが、互いに同じか又は異なり得る。
【0227】
センス鎖及びアンチセンス鎖の各ヌクレオチドは、独立して、LNA、CRN、cET、UNA、HNA、CeNA、2’−メトキシエチル、2’−O−メチル、2’−O−アリル、2’−C−アリル、2’−ヒドロキシル、又は2’−フルオロで修飾され得る。例えば、センス鎖及びアンチセンス鎖の各ヌクレオチドは、独立して、2’−O−メチル又は2’−フルオロで修飾される。各X、Y、Z、X’、Y’及びZ’は、特に、2’−O−メチル修飾又は2’−フルオロ修飾を表し得る。
【0228】
一実施形態において、iRNA剤のセンス鎖は、二本鎖領域が21のヌクレオチドである場合、5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて;又は任意選択で、5’末端から、二本鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、鎖の9位、10位及び11位に存在するYYYモチーフを含んでいてもよく;Yは、2’−F修飾を表す。センス鎖は、二本鎖領域の反対側の末端にウイング修飾としてXXXモチーフ又はZZZモチーフを更に含んでいてもよく;XXX及びZZZはそれぞれ、独立して、2’−OMe修飾又は2’−F修飾を表す。
【0229】
一実施形態において、アンチセンス鎖は、5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて;又は任意選択で、5’末端から、二本鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、鎖の11位、12位、13位に存在するY’Y’Y’モチーフを含んでいてもよく;Y’は、2’−O−メチル修飾を表す。アンチセンス鎖は、二本鎖領域の反対側の末端にウイング修飾としてX’X’X’モチーフ又はZ’Z’Z’モチーフを更に含んでいてもよく;X’X’X’及びZ’Z’Z’はそれぞれ、独立して、2’−OMe修飾又は2’−F修飾を表す。
【0230】
上の式(Ia)、(Ib)、(Ic)、及び(Id)のいずれか1つによって表されるセンス鎖はそれぞれ、式(IIa)、(IIb)、(IIc)、及び(IId)のいずれか1つによって表されるアンチセンス鎖と二本鎖を形成する。
【0231】
したがって、本発明の方法に使用するためのiRNA剤は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含んでいてもよく、各鎖は、14〜30のヌクレオチドを有し、iRNA二本鎖は、式(III):
センス:5’n−N−(XXX)−N−YYY−N−(ZZZ)−N−n3’
アンチセンス:3’n−N−(X’X’X’)−N−Y’Y’Y’−N−(Z’Z’Z’)−N−n5’
(III)
(式中:
i、j、k、及びlがそれぞれ、独立して、0又は1であり;
p、p’、q、及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり;
各N及びNが、独立して、0〜25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み;
各N及びNが、独立して、0〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
ここで、
それぞれ存在していても又は存在していなくてもよい各n’、n、n’、及びnが、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し;
XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’、及びZ’Z’Z’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチド上に3つの同一の修飾の1つのモチーフを表す)
によって表される。
【0232】
一実施形態において、iが0であり、jが0であり;又はiが1であり、jが0であり;又はiが0であり、jが1であり;又はi及びjの両方が0であり;又はi及びjの両方が1である。別の実施形態において、kが0であり、lが0であり;又はkが1であり、lが0であり;kが0であり、lが1であり;又はk及びlの両方が0であり;又はk及びlの両方が1である。
【0233】
iRNA二本鎖を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖の例示的な組み合わせは、以下の式を含む:
5’n−N−YYY−N−n3’
3’n−N−Y’Y’Y’−N5’
(IIIa)
5’n−N−YYY−N−ZZZ−N−n3’
3’n−N−Y’Y’Y’−N−Z’Z’Z’−N5’
(IIIb)
5’n−N−XXX−N−YYY−N−n3’
3’n−N−X’X’X’−N−Y’Y’Y’−N−n5’
(IIIc)
5’n−N−XXX−N−YYY−N−ZZZ−N−n3’
3’n−N−X’X’X’−N−Y’Y’Y’−N−Z’Z’Z’−N−n5’
(IIId)
【0234】
iRNA剤が、式(IIIa)によって表される場合、各Nは、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
【0235】
iRNA剤が、式(IIIb)によって表される場合、各Nは、独立して、1〜10、1〜7、1〜5又は1〜4の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Nは、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
【0236】
iRNA剤が、式(IIIc)として表される場合、各N、N’は、独立して、0〜10、0〜7、0〜10、0〜7、0〜5、0〜4、0〜2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Nは、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
【0237】
iRNA剤が、式(IIId)として表される場合、各N、N’は、独立して、0〜10、0〜7、0〜10、0〜7、0〜5、0〜4、0〜2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各N、Nは、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。N、N’、N及びNのそれぞれは、独立して、交互のパターンの修飾を含む。式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び(IIId)中のX、Y及びZのそれぞれは、互いに同じか又は異なり得る。
【0238】
iRNA剤が、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び(IIId)によって表される場合、Yヌクレオチドの少なくとも1つが、Y’ヌクレオチドの1つと塩基対を形成し得る。或いは、Yヌクレオチドの少なくとも2つが、対応するY’ヌクレオチドと塩基対を形成し;又はYヌクレオチドの全ての3つが全て、対応するY’ヌクレオチドと塩基対を形成する。
【0239】
iRNA剤が、式(IIIb)又は(IIId)によって表される場合、Zヌクレオチドの少なくとも1つが、Z’ヌクレオチドの1つと塩基対を形成し得る。或いは、Zヌクレオチドの少なくとも2つが、対応するZ’ヌクレオチドと塩基対を形成し;又はZヌクレオチドの全ての3つが全て、対応するZ’ヌクレオチドと塩基対を形成する。
【0240】
iRNA剤が、式(IIIc)又は(IIId)として表される場合、Xヌクレオチドの少なくとも1つが、X’ヌクレオチドの1つと塩基対を形成し得る。或いは、Xヌクレオチドの少なくとも2つが、対応するX’ヌクレオチドと塩基対を形成し;又はXヌクレオチドの全ての3つが全て、対応するX’ヌクレオチドと塩基対を形成する。
【0241】
一実施形態において、Yヌクレオチド上の修飾は、Y’ヌクレオチド上の修飾と異なり、Zヌクレオチド上の修飾は、Z’ヌクレオチド上の修飾と異なり、及び/又はXヌクレオチド上の修飾は、X’ヌクレオチド上の修飾と異なる。
【0242】
一実施形態において、iRNA剤が、式(IIId)によって表される場合、N修飾は、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾である。別の実施形態において、iRNA剤が、式(IIId)によって表される場合、N修飾は、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり、n’>0であり、少なくとも1つのn’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合される。更に別の実施形態において、iRNA剤が、式(IIId)によって表される場合、N修飾は、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり、n’>0であり、少なくとも1つのn’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され、センス鎖は、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体にコンジュゲートされる(以下に記載)。別の実施形態において、iRNA剤が、式(IIId)によって表される場合、N修飾は、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり、n’>0であり、少なくとも1つのn’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され、センス鎖は、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含み、センス鎖は、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体にコンジュゲートされる。
【0243】
一実施形態において、iRNA剤が、式(IIIa)によって表される場合、N修飾は、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり、n’>0であり、少なくとも1つのn’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され、センス鎖は、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含み、センス鎖は、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体にコンジュゲートされる。
【0244】
一実施形態において、iRNA剤は、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び(IIId)によって表される少なくとも2つの二本鎖を含む多量体であり、この二本鎖は、リンカーによって結合される。リンカーは、切断可能又は切断不可能であり得る。任意選択で、多量体は、リガンドを更に含む。二本鎖のそれぞれは、同じ遺伝子又は2つの異なる遺伝子を標的とすることができ;又は二本鎖のそれぞれは、2つの異なる標的部位において同じ遺伝子を標的とすることができる。
【0245】
一実施形態において、iRNA剤は、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び(IIId)によって表される3つ、4つ、5つ、6つ又はそれ以上の二本鎖を含む多量体であり、この二本鎖は、リンカーによって結合される。リンカーは、切断可能又は切断不可能であり得る。任意選択で、多量体は、リガンドを更に含む。二本鎖のそれぞれは、同じ遺伝子又は2つの異なる遺伝子を標的とすることができ;又は二本鎖のそれぞれは、2つの異なる標的部位において同じ遺伝子を標的とすることができる。
【0246】
一実施形態において、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び(IIId)によって表される2つのiRNA剤は、5’末端、及び3’末端の一方又は両方で互いに結合され、任意選択で、リガンドにコンジュゲートされる。RNAi剤のそれぞれは、同じ遺伝子又は2つの異なる遺伝子を標的とすることができ;又はRNAi剤のそれぞれは、2つの異なる標的部位において同じ遺伝子を標的とすることができる。
【0247】
様々な刊行物に、本発明の方法に使用され得る多量体iRNA剤が記載されている。このような刊行物としては、国際公開第2007/091269号パンフレット、米国特許第7858769号明細書、国際公開第2010/141511号パンフレット、国際公開第2007/117686号パンフレット、国際公開第2009/014887号パンフレット及び国際公開第2011/031520号パンフレットが挙げられ、それぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
【0248】
以下により詳細に説明されるとおり、iRNA剤に対する1つ又は複数の炭水化物部分のコンジュゲーションを含むiRNA剤は、iRNA剤の1つ又は複数の特性を最適化することができる。多くの場合、炭水化物部分は、iRNA剤の修飾サブユニットに結合される。例えば、dsRNA剤の1つ又は複数のリボヌクレオチドサブユニットのリボース糖は、別の部分、例えば、炭水化物リガンドが結合される非炭水化物(好ましくは環状の)担体で置換され得る。サブユニットのリボース糖がこのように置換されたリボヌクレオチドサブユニットは、本明細書において、リボース置換修飾サブユニット(RRMS)と呼ばれる。環状担体は、炭素環系であってもよく、即ち、全ての環原子が、炭素原子であり、又は複素環系、即ち、1つ又は複数の環原子が、ヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、硫黄であり得る。環状担体は、単環系であってもよく、又は2つ以上の環、例えば縮合環を含み得る。環状担体は、完全に飽和した環系であってもよく、又は1つ又は複数の二重結合を含み得る。
【0249】
リガンドは、担体を介してポリヌクレオチドに結合され得る。担体は、(i)少なくとも1つの「骨格結合点」、好ましくは、2つの「骨格結合点」及び(ii)少なくとも1つの「テザー結合点(tethering attachment point)」を含む。本明細書において使用される際の「骨格結合点」は、官能基、例えば、ヒドロキシル基、又は一般に、骨格、例えば、リン酸塩、又は修飾リン酸塩、例えば、硫黄を含有する、リボ核酸の骨格中への担体の組み込みに利用可能であり且つそれに適した結合を指す。「テザー結合点」(TAP)は、ある実施形態において、選択された部分を接続する環状担体の構成環原子、例えば、炭素原子又はヘテロ原子(骨格結合点を提供する原子と異なる)を指す。この部分は、例えば、炭水化物、例えば、単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖及び多糖であり得る。任意選択で、選択された部分は、介在するテザー(intervening tether)によって環状担体に接続される。したがって、環状担体は、多くの場合、官能基、例えば、アミノ基を含み、又は一般に、構成環への別の化学成分、例えば、リガンドの組み込み又は連結(tethering)に適した結合を提供する。
【0250】
iRNA剤は、担体を介してリガンドにコンジュゲートされてもよく、この担体は、環式基又は環式基であり得;好ましくは、環式基は、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、[1,3]ジオキソラン、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル(pyridazinonyl)、テトラヒドロフリル及びデカリンから選択され;好ましくは、環式基は、セリノール骨格又はジエタノールアミン骨格から選択される。
【0251】
ある特定の実施形態において、本発明の方法に使用するためのiRNA剤は、表3、4 5、6、及び7のいずれか1つに列挙される薬剤の群から選択される薬剤である。これらの薬剤は、リガンドを更に含み得る。
【0252】
IV.リガンドにコンジュゲートされたiRNA
本発明のiRNAのRNAの別の修飾は、iRNAの活性、細胞分布又は細胞取り込みを向上させる1つ又は複数のリガンド、部分又はコンジュゲートをRNAに化学的に結合することを含む。このような部分としては、限定はされないが、コレステロール部分(Letsinger et al.,Proc.Natl.Acid.Sci.USA,1989,86:6553−6556)、コール酸(Manoharan et al.,Biorg.Med.Chem.Let.,1994,4:1053−1060)、チオエーテル、例えば、ベリル−S−トリチルチオール(Manoharan et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1992,660:306−309;Manoharan et al.,Biorg.Med.Chem.Let.,1993,3:2765−2770)、チオコレステロール(Oberhauser et al.,Nucl.Acids Res.,1992,20:533−538)、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオール又はウンデシル残基(Saison−Behmoaras et al.,EMBO J,1991,10:1111−1118;Kabanov et al.,FEBS Lett.,1990,259:327−330;Svinarchuk et al.,Biochimie,1993,75:49−54)、リン脂質、例えば、ジ−ヘキサデシル−rac−グリセロール又はトリエチル−アンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−ホスホネート(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36:3651−3654;Shea et al.,Nucl.Acids Res.,1990,18:3777−3783)、ポリアミン又はポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al.,Nucleosides&Nucleotides,1995,14:969−973)、又はアダマンタン酢酸(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36:3651−3654)、パルミチル部分(Mishra et al.,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264:229−237)、又はオクタデシルアミン又はヘキシルアミノ−カルボニルオキシコレステロール部分(Crooke et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,277:923−937)などの脂質部分が挙げられる。
【0253】
一実施形態において、リガンドは、それが組み込まれるiRNA剤の分布、標的化又は寿命を変化させる。好ましい実施形態において、リガンドは、例えば、このようなリガンドのない種と比較して、選択された標的(例えば、分子、細胞又は細胞型)、区画(例えば、細胞又は器官の区画)、身体の組織、器官又は領域に対する向上した親和性を提供する。好ましいリガンドは、二本鎖核酸における二本鎖の対合に関与しない。
【0254】
リガンドは、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、低比重リポタンパク(LDL)、又はグロブリン);炭水化物(例えば、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリン、N−アセチルガラクトサミン又はヒアルロン酸);又は脂質などの天然の物質を含み得る。リガンドはまた、合成ポリマー、例えば、合成ポリアミノ酸などの組み換え又は合成分子であり得る。ポリアミノ酸の例としては、ポリアミノ酸は、ポリリジン(PLL)、ポリL−アスパラギン酸、ポリL−グルタミン酸、スチレン−マレイン酸無水物コポリマー、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー、ジビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマー、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドコポリマー(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2−エチルアクリル酸)、N−イソプロピルアクリルアミドポリマー、又はポリホスファジンである。ポリアミンの例としては、ポリエチレンイミン、ポリリジン(PLL)、スペルミン、スペルミジン、ポリアミン、擬似ペプチド−ポリアミン、ペプチド模倣ポリアミン、デンドリマーポリアミン、アルギニン、アミジン、プロタミン、カチオン性脂質、カチオン性ポルフィリン、ポリアミンの第四級塩、又はα−へリックスペプチドが挙げられる。
【0255】
リガンドはまた、標的基、例えば、細胞又は組織標的剤、例えば、レクチン、糖タンパク質、脂質又はタンパク質、例えば、腎細胞などの特定の細胞型に結合する抗体を含み得る。標的基は、サイロトロピン、メラノトロピン、レクチン、糖タンパク質、界面活性剤タンパク質A、ムチン炭水化物、多価ラクトース、多価ガラクトース、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチル−グルコサミン、多価マンノース、多価フコース、グリコシル化ポリアミノ酸、多価ガラクトース、トランスフェリン、ビスホスホネート、ポリグルタメート、ポリアスパルテート、脂質、コレステロール、ステロイド、胆汁酸、フォレート、ビタミンB12、ビタミンA、ビオチン、又はRGDペプチド、又はRGDペプチド模倣体又はアプタマーであり得る。
【0256】
リガンドの他の例としては、色素、挿入剤(例えばアクリジン)、架橋剤(例えばソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サフィリン)、多環式芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ又はキレート剤(例えばEDTA)、親油性分子、例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1−ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3−ビス−O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3−プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3−(オレオイル)リトコール酸、O3−(オレオイル)コレン酸(cholenic acid)、ジメトキシトリチル、又はフェノキサジン)及びペプチド複合体(例えば、アンテナペディア(antennapedia)ペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、ホスフェート、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG−40K)、MPEG、[MPEG]、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射性標識マーカー、酵素、ハプテン(例えばビオチン)、輸送/吸収促進剤(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター(cluster)、アクリジン−イミダゾール複合体、Eu3+テトラアザ大員環複合体)、ジニトロフェニル、HRP、又はAPが挙げられる。
【0257】
リガンドは、タンパク質、例えば、糖タンパク質、又はペプチド、例えば、コリガンド(co−ligand)、又は抗体、例えば、肝細胞などの特定の細胞型に結合する抗体に対する特異親和性を有する分子であり得る。リガンドはまた、ホルモン及びホルモン受容体を含んでもよい。リガンドはまた、脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、補因子、多価ラクトース、多価ガラクトース、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチル−グルコサミン、又は多価マンノース、多価フコース又はアプタマーなどの非ペプチド種を含み得る。リガンドは、例えば、リポ多糖、38MAPキナーゼの活性化因子、又はNF−κBの活性化因子であり得る。
【0258】
リガンドは、例えば、細胞の微小管、マイクロフィラメント、及び/又は中間径フィラメントを破壊することによって、例えば、細胞骨格を破壊することによって、細胞中へのiRNA剤の取り込みを向上させ得る物質、例えば、薬剤であり得る。薬剤は、例えば、タクソン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、サイトカラシン、ノコダゾール、ジャスプラキノリド、ラトランクリンA、ファロイジン、スウィンホリドA、インダノシン、又はミオセルビンであり得る。
【0259】
ある実施形態において、本明細書に記載されるiRNAに結合されたリガンドは、薬物動態学的調節剤(pharmacokinetic modulator)(PK調節剤)としての役割を果たす。PK調節剤としては、親油性物質(lipophile)、胆汁酸、ステロイド、リン脂質類似体、ペプチド、タンパク質結合剤、PEG、ビタミンなどが挙げられる。例示的なPK調節剤としては、限定はされないが、コレステロール、脂肪酸、コール酸、リトコール酸、ジアルキルグリセリド、ジアシルグリセリド、リン脂質、スフィンゴ脂質、ナプロキセン、イブプロフェン、ビタミンE、ビオチンなどが挙げられる。いくつかのホスホロチオエート結合を含むオリゴヌクレオチドはまた、血清タンパク質に結合することが知られており、したがって、短いオリゴヌクレオチド、例えば、骨格中に複数のホスホロチオエート結合を含む、約5塩基、10塩基、15塩基又は20塩基のオリゴヌクレオチドも、リガンド(例えばPK調節リガンド)として本発明に適している。更に、血清成分(例えば血清タンパク質)に結合するアプタマーも、本明細書に記載される実施形態においてPK調節リガンドとして使用するのに好適である。
【0260】
本発明のリガンドコンジュゲートオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドへの結合分子の結合から誘導されるものなどの反応性のペンダント官能基を有するオリゴヌクレオチドの使用によって合成され得る(後述される)。この反応性オリゴヌクレオチドは、市販のリガンド、様々な保護基のいずれかを有する、合成されたリガンド、又は結合部分が結合されたリガンドと直接反応されてもよい。
【0261】
本発明のコンジュゲートに使用されるオリゴヌクレオチドは、固相合成の周知の技術によって好都合に及び日常的に作製され得る。このような合成のための装置は、例えば、Applied Biosystems(Foster City,Calif.)を含むいくつかの業者によって販売されている。当該技術分野において公知のこのような合成のための任意の他の手段が、それに加えて又はその代わりに用いられてもよい。ホスホロチオエート及びアルキル化誘導体などの他のオリゴヌクレオチドを調製するための同様の技術を使用することも公知である。
【0262】
本発明の配列特異的結合ヌクレオシドを有するリガンドコンジュゲートオリゴヌクレオチド及びリガンド分子において、オリゴヌクレオチド及びオリゴヌクレオシドは、標準的なヌクレオチド又はヌクレオシド前駆体、或いは結合部分を既に有するヌクレオチド又はヌクレオシドコンジュゲート前駆体、リガンド分子を既に有するリガンド−ヌクレオチド又はヌクレオシドコンジュゲート前駆体、或いは非ヌクレオシドリガンド含有ビルディングブロックを用いて、好適なDNA合成装置において組み立てられ得る。
【0263】
結合部分を既に有するヌクレオチドコンジュゲート前駆体を用いる場合、配列特異的結合ヌクレオシドの合成が、典型的に、完了されてから、リガンド分子が、結合部分と反応されて、リガンドコンジュゲートオリゴヌクレオチドが形成される。ある実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチド又は結合ヌクレオシドは、オリゴヌクレオチド合成に通例使用される市販の、標準的なホスホロアミダイト及び非標準的なホスホロアミダイトに加えて、リガンド−ヌクレオシドコンジュゲートから誘導されるホスホロアミダイトを用いて、自動合成装置によって合成される。
【0264】
A.脂質コンジュゲート
一態様において、リガンド又はコンジュゲートは、脂質又は脂質ベースの分子である。このような脂質又は脂質ベースの分子は、好ましくは、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)に結合する。HSA結合リガンドは、身体の標的組織、例えば、非腎臓標的組織へのコンジュゲートの分配を可能にする。例えば、標的組織は、肝臓の実質細胞を含む肝臓であり得る。HSAに結合し得る他の分子も、リガンドとして使用され得る。例えば、ナプロキセン又はアスピリンが使用され得る。脂質又は脂質ベースのリガンドは、(a)コンジュゲートの分解に対する耐性を増大し、(b)標的細胞又は細胞膜への標的化又は輸送を増大し、及び/又は(c)血清タンパク質、例えば、HSAへの結合を調整するのに使用され得る。
【0265】
脂質ベースのリガンドを用いて、標的組織へのコンジュゲートの結合を阻害すること、例えば、制御することができる。例えば、より強くHSAに結合する脂質又は脂質ベースのリガンドは、腎臓に対して標的化される可能性が低く、したがって、身体から除去される可能性が低い。より弱くHSAに結合する脂質又は脂質ベースのリガンドを用いて、コンジュゲートを腎臓に対して標的化することができる。
【0266】
好ましい実施形態において、脂質ベースのリガンドは、HSAに結合する。好ましくは、脂質ベースのリガンドは、コンジュゲートが好ましくは非腎臓組織に分配されるような十分な親和性でHSAに結合する。しかしながら、親和性は、HSA−リガンド結合が反転され得ないほど強力でないのが好ましい。
【0267】
別の好ましい実施形態において、コンジュゲートが好ましくは腎臓に分配されるように、脂質ベースのリガンドは、HSAに弱く結合するか又は全く結合しない。腎細胞を標的とする他の部分も、脂質ベースのリガンドの代わりに又はそれに加えて使用され得る。
【0268】
別の態様において、リガンドは、標的細胞、例えば、増殖細胞によって取り込まれる部分、例えば、ビタミンである。これらは、例えば、悪性又は非悪性の望ましくない細胞増殖、例えば、癌細胞を特徴とする障害を処置するのに特に有用である。例示的なビタミンは、ビタミンA、E、及びKを含む。他の例示的なビタミンは、ビタミンB、例えば、葉酸、B12、リボフラビン、ビオチン、ピリドキサール又は他のビタミン或いは肝細胞などの標的細胞によって取り込まれる栄養素を含む。HAS及び低比重リポタンパク(LDL)も含まれる。
【0269】
B.細胞透過剤
別の態様において、リガンドは、細胞透過剤(cell−permeation agent)、好ましくは、らせん状細胞透過剤である。好ましくは、この剤は両親媒性である。例示的な剤は、tat又はアンテノペディア(antennopedia)などのペプチドである。この剤がペプチドである場合、それは、ペプチジル模倣体、逆転異性体、非ペプチド又は擬ペプチド結合、及びD−アミノ酸の使用を含めて修飾され得る。らせん状剤は、好ましくはα−へリックス剤であり、これは、好ましくは、親油性及び疎油性相を有する。
【0270】
リガンドは、ペプチド又はペプチド模倣体であり得る。ペプチド模倣体(本明細書においてオリゴペプチド模倣体とも呼ばれる)は、天然ペプチドと類似した明確な三次元構造に折り畳まれることが可能な分子である。ペプチド及びペプチド模倣体のiRNA剤への結合は、例えば細胞認識及び吸収を強化することにより、iRNAの薬物動態分布に影響を及ぼし得る。ペプチド又はペプチド模倣体部分は、約5〜50個のアミノ酸の長さ、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50個のアミノ酸の長さであり得る。
【0271】
ペプチド又はペプチド模倣体は、例えば、細胞透過性ペプチド、カチオン性ペプチド、両親媒性ペプチド、又は疎水性ペプチド(例えば、主にTyr、Trp又はPheからなる)であり得る。ペプチド部分は、デンドリマーペプチド、構造規制(constrained)ペプチド又は架橋ペプチドであり得る。別の代替例において、ペプチド部分は、疎水性膜輸送配列(MTS)を含み得る。例示的な疎水性MTS含有ペプチドは、アミノ酸配列AAVALLPAVLLALLAP(配列番号13)を有するRFGFである。疎水性MTSを含有するRFGF類似体(例えば、アミノ酸配列AALLPVLLAAP(配列番号14)も、標的部分であり得る。ペプチド部分は、細胞膜を介してペプチド、オリゴヌクレオチド、及びタンパク質を含む大型極性分子を運搬することができる「送達」ペプチドであり得る。例えば、HIV Tatタンパク質に由来する配列(GRKKRRQRRRPPQ(配列番号15)及びショウジョウバエアンテナペディア(Drosophila Antennapedia)タンパク質(RQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号16)は、送達ペプチドとして機能することが可能であることが分かっている。ペプチド又はペプチド模倣体は、ファージディスプレイライブラリー、又は1ビーズ1化合物(one−bead−one−compound)(OBOC)コンビナトリアルライブラリーから特定されたペプチドなどのDNAのランダム配列によってコードされ得る(Lam et al.,Nature,354:82−84、1991)。細胞標的の目的のために組み込まれたモノマー単位を介してdsRNA剤に結合されたペプチド又はペプチド模倣体の例は、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)−ペプチド、又はRGD模倣体などのペプチドである。ペプチド部分は、約5つのアミノ酸から約40個のアミノ酸の長さの範囲であり得る。ペプチド部分は、安定性又は直接配座特性を高めるためなどの構造修飾を有し得る。後述される構造修飾のいずれも用いられ得る。
【0272】
本発明の組成物及び方法において使用するためのRGDペプチド部分は、直鎖状又は環状であり得、特定の組織に対する標的化を促進するために、修飾、例えば、グリコシル化又はメチル化されてもよい。RGD含有ペプチド及びペプチド模倣体は、D−アミノ酸、並びに合成RGD模倣体を使用し得る。RGDに加えて、インテグリンリガンドを標的とする他の部分を使用することができる。このリガンドの好ましいコンジュゲートは、PECAM−1又はVEGFを標的とする。
【0273】
「細胞透過性ペプチド」は、細胞、例えば、細菌又は真菌細胞などの微生物細胞、或いはヒト細胞などの哺乳動物細胞を透過することが可能である。微生物細胞を透過するペプチドは、例えば、α−へリックス直鎖状ペプチド(例えば、LL−37又はCeropin P1)、ジスルフィド結合含有ペプチド(例えば、α−デフェンシン、β−デフェンシン又はバクテネシン(bactenecin))、又は1つ若しくは2つの支配的アミノ酸のみを含有するペプチド(例えば、PR−39又はインドリシジン)であり得る。細胞透過性ペプチドはまた、核局在化シグナル(NLS)を含み得る。例えば、細胞透過性ペプチドは、HIV−1 gp41の融合ペプチドドメイン及びSV40大型T抗原のNLSに由来する、MPGなどの二分両親媒性ペプチドであり得る(Simeoni et al.,Nucl.Acids Res.31:2717−2724,2003)。
【0274】
C.炭水化物コンジュゲート
本発明の組成物及び方法のある実施形態において、iRNAオリゴヌクレオチドは、炭水化物を更に含む。炭水化物コンジュゲートiRNAは、本明細書に記載されるように、インビボでの核酸の送達に有利であり、また組成物は、インビボでの治療的使用に好適である。本明細書において使用される際、「炭水化物」は、少なくとも6個の炭素原子(直鎖状、分枝鎖状又は環状であってもよい)を有し、各炭素原子に酸素、窒素又は硫黄原子が結合している1つ又は複数の単糖単位から構成されている炭水化物それ自体である化合物;又はその一部として、1つ又は複数の単糖単位から構成されている炭水化物部分を有し、単糖単位の各々が、少なくとも6個の炭素原子(直鎖状、分枝鎖状又は環状であってもよい)を有し、各炭素原子に酸素、窒素又は硫黄原子が結合している化合物のいずれかを指す。代表的な炭水化物としては、糖(単糖、二糖、三糖及び約4、5、6、7、8、又は9つの単糖単位を含むオリゴ糖)、並びにデンプン、グリコーゲン、セルロース及び多糖ゴムなどの多糖が挙げられる。特定の単糖としては、C5以上(例えば、C5、C6、C7、又はC8)の糖が挙げられ;二糖及び三糖としては、2つ又は3つの単糖単位(例えば、C5、C6、C7、又はC8)を有する糖が挙げられる。
【0275】
一実施形態において、本発明の組成物及び方法に使用するための炭水化物コンジュゲートは、単糖である。一実施形態において、単糖は、
【化3】
などのN−アセチルガラクトサミンである。
【0276】
別の実施形態において、本発明の組成物及び方法に使用するための炭水化物コンジュゲートは、
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
からなる群から選択される。
【0277】
本明細書に記載される実施形態に使用するための別の代表的な炭水化物コンジュゲートとしては、限定はされないが、
【化9】
が挙げられ、X又はYの一方がオリゴヌクレオチドである場合、他方は水素である。
【0278】
ある実施形態において、炭水化物コンジュゲートは、限定はされないが、PK調節剤及び/又は細胞透過性ペプチドなどの上述したような1つ又は複数の更なるリガンドを更に含む。
【0279】
本発明での使用に好適な更なる炭水化物コンジュゲートは、それぞれの全内容が参照により本明細書に援用される、PCT公報の国際公開第2014/179620号パンフレット及び国際公開第2014/179627号パンフレットに記載されるものを含む。
【0280】
D.リンカー
ある実施形態において、本明細書に記載されるコンジュゲート又はリガンドは、切断可能又は切断不可能であり得る様々なリンカーを用いて、iRNAオリゴヌクレオチドに結合され得る。
【0281】
「リンカー」又は「結合基」という用語は、化合物の2つの部分を接続し、例えば、化合物の2つの部分を共有結合する有機部分を意味する。リンカーは、典型的に、直接結合又は酸素若しくは硫黄などの原子、NR8、C(O)、C(O)NH、SO、SO、SONHなどの単位、又は限定はされないが、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、アルキニルヘテロアリール(1つ又は複数のメチレンがO、S、S(O)、SO、N(R8)、C(O)、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環式により中断又は終端され得る)などの原子の鎖を含み;ここでR8は、水素、アシル、脂肪族又は置換された脂肪族である。一実施形態において、リンカーは、約1〜24個の原子、2〜24、3〜24、4〜24、5〜24、6〜24、6〜18、7〜18、8〜18個の原子、7−17、8〜17、6〜16、7〜16、又は8〜16個の原子である。
【0282】
切断可能な結合基は、細胞の外部では十分安定であるが、標的細胞内に入った後、切断されて、リンカーが一緒に保持する2つの部分を解放するものである。好ましい実施形態において、切断可能な結合基は、標的細胞内又は第一の参照条件(例えば、細胞内条件を模倣し又は表すよう選択され得る)下で、対象の血液中、又は第二の参照条件(例えば、血液又は血清に見出される条件を模倣し又は表すよう選択され得る)下の少なくとも約10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍又はそれ以上、又は少なくとも約100倍速く切断される。
【0283】
切断可能な結合基は、切断剤、例えば、pH、酸化還元電位又は分解性分子の存在に敏感である。一般に、切断剤は、血清又は血液中と比較して細胞内部に広く存在し、又はより高いレベル若しくは活性で見出される。このような分解剤の例としては、例えば、細胞内に存在する酸化若しくは還元酵素又は還元により酸化還元切断可能な結合基を分解できるメルカプタンなどの還元剤を含む、特定の基質用に選択され又は基質特異性を有さない酸化還元剤、;エステラーゼ;エンドソーム又は酸性環境を形成可能な薬剤、例えば、5以下のpHをもたらす薬剤;一般的な酸として作用することにより、酸切断可能な結合基を加水分解又は分解できる酵素、ペプチダーゼ(基質特異的であり得る)、及びホスファターゼが挙げられる。
【0284】
ジスルフィド結合などの切断可能な結合基は、pHに敏感であり得る。ヒト血清のpHは7.4である一方、平均細胞内pHは、僅かに低く、約7.1〜7.3の範囲である。エンドソームは、5.5〜6.0の範囲内のより酸性のpHを有し、リソソームは、ほぼ5.0の、更により酸性のpHを有する。いくつかのリンカーは、好ましいpHで切断される切断可能な結合基を有することによって、細胞内部でリガンドからカチオン性脂質を放出し、又は細胞の所望の区画内へ放出するであろう。
【0285】
リンカーは、特定の酵素により切断可能な、切断可能な結合基を含み得る。リンカーに組み込まれる切断可能な結合基のタイプは、標的とされる細胞に依存し得る。例えば、肝臓を標的とするリガンドは、エステル基を含むリンカーを介して、カチオン性脂質に結合され得る。肝細胞はエステラーゼに富んでいるため、このリンカーは、エステラーゼに富んでいない細胞型内と比較して、肝細胞内でより効率的に切断されるであろう。エステラーゼに富んだ他の細胞型としては、肺、腎皮質、及び精巣の細胞が挙げられる。
【0286】
ペプチド結合を含むリンカーは、肝細胞及び滑膜細胞などのペプチダーゼに富んだ細胞型を標的とする際に使用することができる。
【0287】
一般に、切断可能な候補結合基の適切性は、分解剤(又は分解条件)の候補結合基を切断する能力を試験することにより評価することができる。血液中、又は他の非標的組織との接触の際に、切断可能な候補結合基が切断に抵抗する能力を試験することも望ましいであろう。したがって、第一の条件と第二の条件との間の、切断に対する相対的な感受性を決定することができ、第一の条件は標的細胞内での切断を示すよう選択され、第二の条件は他の組織内又は生体液、例えば血液又は血清中での切断を示すよう選択される。この評価は、無細胞系内、細胞内、細胞培養物中、器官内若しくは組織培養物中、又は全動物内で行うことができる。無細胞又は培養物条件内で最初の評価を行い、全動物内での更なる評価によって確認することが有用であり得る。好ましい実施形態において、有用な候補化合物は、血液又は血清(又は細胞外条件を模倣するよう選択された、インビトロでの条件下)と比較して、細胞内(又は細胞内条件を模倣するよう選択された、インビトロでの条件下)で少なくとも約2、4、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は約100倍速く切断される。
【0288】
i.酸化還元切断可能な結合基
一実施形態において、切断可能な結合基は、還元又は酸化後に切断される酸化還元切断可能な結合基である。還元的に切断可能な結合基の例は、ジスルフィド結合基(−S−S−)である。切断可能な候補結合基が好適な「還元的に切断可能な結合基」であるか、又は例えば特定のiRNA部分及び特定の標的化剤との使用に好適であるかを決定するために、本明細書に記載される方法に注目し得る。例えば、候補は、ジチオスレイトール(DTT)、又は当該技術分野において公知の試薬を用いた他の還元剤とのインキュベーションによって評価することができ、これは、細胞、例えば標的細胞内で観察され得る切断の速度を模倣する。候補は血液又は血清条件を模倣するよう選択された条件下でも評価され得る。その1つにおいて、候補化合物は、血液中で約10%以下切断される。他の実施形態において、有用な候補化合物は、血液中(又は、細胞外条件を模倣するように選択されたインビトロでの条件下)と比較して、細胞内(又は、細胞内条件を模倣するように選択されたインビトロでの条件下)で少なくとも約2、4、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は約100倍速く分解される。候補化合物の切断速度は、細胞内媒体を模倣するように選択された条件下での標準的な酵素動力学アッセイを用いて決定され、細胞外媒体を模倣するように選択された条件と比較され得る。
【0289】
ii.リン酸塩ベースの切断可能な結合基
別の実施形態において、切断可能なリンカーは、リン酸塩ベースの切断可能な結合基を含む。リン酸塩ベースの切断可能な結合基は、リン酸基を分解又は加水分解する薬剤によって切断される。細胞内でリン酸基を切断する薬剤の一例は、細胞内のホスファターゼなどの酵素である。リン酸塩ベースの結合基の例は、−O−P(O)(ORk)−O−、−O−P(S)(ORk)−O−、−O−P(S)(SRk)−O−、−S−P(O)(ORk)−O−、−O−P(O)(ORk)−S−、−S−P(O)(ORk)−S−、−O−P(S)(ORk)−S−、−S−P(S)(ORk)−O−、−O−P(O)(Rk)−O−、−O−P(S)(Rk)−O−、−S−P(O)(Rk)−O−、−S−P(S)(Rk)−O−、−S−P(O)(Rk)−S−、−O−P(S)(Rk)−S−である。好ましい実施形態は、−O−P(O)(OH)−O−、−O−P(S)(OH)−O−、−O−P(S)(SH)−O−、−S−P(O)(OH)−O−、−O−P(O)(OH)−S−、−S−P(O)(OH)−S−、−O−P(S)(OH)−S−、−S−P(S)(OH)−O−、−O−P(O)(H)−O−、−O−P(S)(H)−O−、−S−P(O)(H)−O、−S−P(S)(H)−O−、−S−P(O)(H)−S−、−O−P(S)(H)−S−である。好ましい実施形態は、−O−P(O)(OH)−O−である。これらの候補は、上述した方法と類似した方法を用いて評価することができる。
【0290】
iii.酸切断可能な結合基
別の実施形態において、切断可能なリンカーは、酸切断可能な結合基を含む。酸切断可能な結合基は、酸性条件下で切断される結合基である。好ましい実施形態において、酸切断可能な結合基は、約6.5以下(例えば、約6.0、5.75、5.5、5.25、5.0、又はそれ以下)のpHを有する酸性環境内で、又は一般的な酸として作用し得る酵素などの薬剤により、切断される。細胞内では、エンドソーム及びリソソームなどの特定の低pH小器官は、酸切断可能な結合基のための切断環境を提供し得る。酸切断可能な結合基の例には、限定はされないが、ヒドラゾン、エステル、及びアミノ酸のエステルが挙げられる。酸切断可能な基は、一般式−C=NN−、C(O)O、又は−OC(O)で表され得る。好ましい実施形態は、エステルの酸素に結合した炭素(アルコキシ基)が、アリール基、置換アルキル基、又はジメチルペンチル若しくはt−ブチルなどの第三級アルキル基である場合である。これらの候補は、上述した方法と類似した方法を用いて評価することができる。
【0291】
iv.エステルベースの結合基
別の実施形態において、切断可能なリンカーは、エステルベースの切断可能な結合基を含む。エステルベースの切断可能な結合基は、細胞内のエステラーゼ及びアミラーゼなどの酵素により切断される。エステルベースの切断可能な結合基の例としては、限定はされないが、アルキレン、アルケニレン及びアルキニレン基のエステルが挙げられる。エステル切断可能な結合基は、一般式−C(O)O−、又は−OC(O)−で表される。これらの候補は、上述した方法と類似した方法を用いて評価することができる。
【0292】
v.ペプチドベースの切断基
更に別の実施形態において、切断可能なリンカーは、ペプチドベースの切断可能な結合基を含む。ペプチドベースの切断可能な結合基は、細胞内のペプチダーゼ及びプロテアーゼなどの酵素により切断される。ペプチドベースの切断可能な基は、アミノ酸間で形成されてオリゴペプチド(例えば、ジペプチド、トリペプチドなど)及びポリペプチドを与えるペプチド結合である。ペプチドベースの切断可能な基は、アミド基(−C(O)NH−)を含まない。アミド基は、任意のアルキレン、アルケニレン又はアルキニレンの間で形成され得る。ペプチド結合は、アミノ酸間で形成されてペプチド及びタンパク質を与えるアミド結合の特別なタイプである。ペプチドベースの切断基は、一般に、アミノ酸間で形成されてペプチド及びタンパク質を与えるペプチド結合(即ち、アミド結合)に限定され、アミド官能基全部は含まない。ペプチドベースの切断可能な結合基は、一般式−NHCHRAC(O)NHCHRBC(O)−で表され、式中、RA及びRBは、隣接する2つのアミノ酸のR基である。これらの候補は、上述した方法と類似した方法を用いて評価することができる。
【0293】
一実施形態において、本発明のiRNAは、リンカーを介して炭水化物とコンジュゲートされる。本発明の組成物及び方法のリンカーとのiRNA炭水化物コンジュゲートの非限定的な例としては、限定はされないが、
【化10】
【化11】
が挙げられ、X又はYの一方がオリゴヌクレオチドである場合、他方は水素である。
【0294】
本発明の組成物及び方法の特定の実施形態において、リガンドは、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数の「GalNAc」(N−アセチルガラクトサミン)誘導体である。
【0295】
一実施形態において、本発明のdsRNAは、式(XXXII)〜(XXXV):
【化12】
のいずれかに示される構造の群から選択される二価又は三価の分枝鎖状リンカーにコンジュゲートされ、
式中:
q2A、q2B、q3A、q3B、q4A、q4B、q5A、q5B及びq5Cが、出現するごとに独立して、0〜20を表し、繰返し単位は、同一又は異なっていてもよく;
2A、P2B、P3A、P3B、P4A、P4B、P5A、P5B、P5C、T2A、T2B、T3A、T3B、T4A、T4B、T4A、T5B、T5Cがそれぞれ、出現するごとに独立して、存在しないか、CO、NH、O、S、OC(O)、NHC(O)、CH、CHNH又はCHOであり;
2A、Q2B、Q3A、Q3B、Q4A、Q4B、Q5A、Q5B、Q5Cが、出現するごとに独立して、存在しないか、アルキレン、置換アルキレンであり、ここで1つ又は複数のメチレンが、O、S、S(O)、SO、N(R)、C(R’)=C(R”)、C≡C又はC(O)のうちの1つ又は複数により中断又は終端されてもよく;
2A、R2B、R3A、R3B、R4A、R4B、R5A、R5B、R5Cがそれぞれ、出現するごとに独立して、存在しないか、NH、O、S、CH、C(O)O、C(O)NH、NHCH(R)C(O)、−C(O)−CH(R)−NH−、CO、CH=N−O、
【化13】
又はヘテロシクリルであり;
2A、L2B、L3A、L3B、L4A、L4B、L5A、L5B及びL5Cが、リガンドを表し;即ち、それぞれ、出現するごとに独立して、単糖(GalNAcなど)、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖、又は多糖であり;Rが、H又はアミノ酸側鎖である。三価コンジュゲートGalNAc誘導体は、RNAi剤とともに使用されて、式(XXXV):
【化14】
のものなどの標的遺伝子の発現を阻害するのに特に有用であり、
式中、L5A、L5B及びL5Cが、GalNAc誘導体などの単糖を表す。
【0296】
GalNAc誘導体にコンジュゲートする好適な二価及び三価の分枝鎖状結合基の例としては、限定はされないが、式II、VII、XI、X、及びXIIIとして上に列挙される構造が挙げられる。
【0297】
RNAコンジュゲートの調製を教示する代表的な特許としては、限定はされないが、米国特許第4,828,979号明細書;同4,948,882号明細書;同5,218,105号明細書;同5,525,465号明細書;同5,541,313号明細書;同5,545,730号明細書;同5,552,538号明細書;同5,578,717号明細書、同5,580,731号明細書;同5,591,584号明細書;同5,109,124号明細書;同5,118,802号明細書;同5,138,045号明細書;同5,414,077号明細書;同5,486,603号明細書;同5,512,439号明細書;同5,578,718号明細書;同5,608,046号明細書;同4,587,044号明細書;同4,605,735号明細書;同4,667,025号明細書;同4,762,779号明細書;同4,789,737号明細書;同4,824,941号明細書;同4,835,263号明細書;同4,876,335号明細書;同4,904,582号明細書;同4,958,013号明細書;同5,082,830号明細書;同5,112,963号明細書;同5,214,136号明細書;同5,082,830号明細書;同5,112,963号明細書;同5,214,136号明細書;同5,245,022号明細書;同5,254,469号明細書;同5,258,506号明細書;同5,262,536号明細書;同5,272,250号明細書;同5,292,873号明細書;同5,317,098号明細書;同5,371,241号明細書、同5,391,723号明細書;同5,416,203号明細書、同5,451,463号明細書;同5,510,475号明細書;同5,512,667号明細書;同5,514,785号明細書;同5,565,552号明細書;同5,567,810号明細書;同5,574,142号明細書;同5,585,481号明細書;同5,587,371号明細書;同5,595,726号明細書;同5,597,696号明細書;同5,599,923号明細書;同5,599,928号明細書及び同5,688,941号明細書;同6,294,664号明細書;同6,320,017号明細書;同6,576,752号明細書;同6,783,931号明細書;同6,900,297号明細書;同7,037,646号明細書;同8,106,022号明細書が挙げられ、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
【0298】
所与の化合物の全ての位置が均一に修飾されている必要はなく、実際には、上記の修飾のうちの2つ以上を、単一の化合物中に又は更にはiRNA内の単一のヌクレオシドに組み込むことができる。本発明は、キメラ化合物であるiRNA化合物も含む。
【0299】
本発明に関連して、「キメラ」iRNA化合物又は「キメラ」は、少なくとも1つのモノマー単位、即ち、dsRNA化合物の場合はヌクレオチドからそれぞれ構成される2つ以上の化学的に異なる領域を含むiRNA化合物、好ましくは、dsRNAである。これらのiRNAは、典型的に、少なくとも1つの領域を含み、ここで、RNAは、ヌクレアーゼ分解に対する耐性の増加、細胞取り込みの増加、及び/又は標的核酸に対する結合親和性の増加をiRNAに与えるように修飾される。iRNAの更なる領域は、RNA:DNA又はRNA:RNAハイブリッドを切断することが可能な酵素のための基質としての役割を果たし得る。例として、RNアーゼHは、RNA:DNA二本鎖のRNA鎖を切断する細胞エンドヌクレアーゼである。したがって、RNアーゼHの活性化は、RNA標的の切断をもたらし、それによって、遺伝子発現のiRNA阻害の効率を大幅に高める。その結果として、キメラdsRNAが使用される場合、同じ標的領域にハイブリダイズするホスホロチオエートデオキシdsRNAと比較して、より短いiRNAによって同等の結果が得られることが多い。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動によって、及び必要に応じて、当該技術分野において公知の関連する核酸ハイブリダイゼーション技術によって、通例検出され得る。
【0300】
場合によっては、iRNAのRNAは、非リガンド基によって修飾され得る。いくつかの非リガンド分子が、iRNAの活性、細胞分布又は細胞取り込みを向上させるためにiRNAにコンジュゲートされており、このようなコンジュゲートを行うための手順は、科学文献で入手可能である。このような非リガンド部分は、コレステロール(Kubo,T.et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.,2007,365(1):54−61;Letsinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86:6553)、コール酸(Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1994,4:1053)、チオエーテル、例えば、ヘキシル−S−トリチルチオール(Manoharan et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1992,660:306;Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Let.,1993,3:2765)、チオコレステロール(Oberhauser et al.,Nucl.Acids Res.,1992,20:533)、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオール又はウンデシル残基(Saison−Behmoaras et al.,EMBO J.,1991,10:111;Kabanov et al.,FEBS Lett.,1990,259:327;Svinarchuk et al.,Biochimie,1993,75:49)、リン脂質、例えば、ジ−ヘキサデシル−rac−グリセロール又はトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36:3651;Shea et al.,Nucl.Acids Res.,1990,18:3777)、ポリアミン又はポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al.,Nucleosides&Nucleotides,1995,14:969)、又はアダマンタン酢酸(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36:3651)、パルミチル部分(Mishra et al.,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264:229)、又はオクタデシルアミン又はヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール部分(Crooke et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,277:923)などの脂質部分を含んでいた。このようなRNAコンジュゲートの調製を教示する代表的な米国特許が上に列挙されている。典型的なコンジュゲートプロトコルは、配列の1つ又は複数の位置にアミノリンカーを有するRNAの合成を含む。次に、適切なカップリング剤又は活性化試薬を用いて、アミノ基をコンジュゲートされた分子と反応させる。コンジュゲート反応は、固体担体に依然として結合されたRNAを用いて、又は溶液相中のRNAの切断の後に行うことができる。HPLCによるRNAコンジュゲートの精製により、典型的に、純粋なコンジュゲートが得られる。
【0301】
V.本発明のiRNAの送達
細胞、例えば、ヒト対象(例えば、KHKによるフルクトースのリン酸化に関連する疾病、障害、又は病態を有する対象などのiRNA剤を必要とする対象)などの対象中の細胞への本発明のiRNAの送達は、いくつかの様々な方法で行うことができる。例えば、送達は、細胞を、本発明のiRNAとインビトロ又はインビボのいずれかで接触させることによって行われ得る。インビボ送達はまた、iRNA、例えば、dsRNAを含む組成物を対象に投与することによって直接行われ得る。或いは、インビボ送達は、iRNAの発現をコードし、それを導く1つ又は複数のベクターを投与することによって、間接的に行われ得る。これらの代替例は、以下に更に説明される。
【0302】
一般に、核酸分子を(インビトロ又はインビボで)送達する任意の方法は、本発明のiRNAとともに使用するために適合され得る(例えば、全体が参照により本明細書に援用される、Akhtar S.and Julian RL.,(1992)Trends Cell.Biol.2(5):139−144及び国際公開第94/02595号パンフレットを参照)。インビボ送達の場合、iRNA分子を送達するために考慮される因子としては、例えば、送達される分子の生物学的安定性、非特異的効果の防止、及び標的組織における送達される分子の蓄積が挙げられる。iRNAの非特異的効果は、局所投与によって、例えば、組織への直接注入又は移植によって、或いは製剤を局所的に投与することによって、最小限に抑えられ得る。処置部位への局所投与は、剤の局所濃度を最大にし、剤によって悪影響を受け得るか又は剤を分解し得る、全身組織への剤の曝露を制限し、投与されるiRNA分子の総投与量を少なくすることができる。いくつかの研究が、iRNAが局所投与される場合の遺伝子産物のノックダウンの成功を示している。例えば、カニクイザルの硝子体内注射によるVEGF dsRNAの眼内送達(Tolentino,MJ.et al.,(2004)Retina 24:132−138)及びマウスの網膜下注射(Reich,SJ.et al.(2003)Mol.Vis.9:210−216)は両方とも、加齢性黄斑変性症の実験モデルにおける新血管形成を防ぐことを示した。更に、マウスにおけるdsRNAの直接腫瘍内投与が腫瘍容積を減少させ(Pille,J.et al.(2005)Mol.Ther.11:267−274)、担癌マウスの生存を延長することができる(Kim,WJ.et al.,(2006)Mol.Ther.14:343−350;Li,S.et al.,(2007)Mol.Ther.15:515−523)。RNA干渉は、直接注入による中枢神経系への局所送達(Dorn,G.et al.,(2004)Nucleic Acids 32:e49;Tan,PH.et al.(2005)Gene Ther.12:59−66;Makimura,H.et al.(2002)BMC Neurosci.3:18;Shishkina,GT.,et al.(2004)Neuroscience 129:521−528;Thakker,ER.,et al.(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.101:17270−17275;Akaneya,Y.,et al.(2005)J.Neurophysiol.93:594−602)及び鼻腔内投与による肺への局所送達(Howard,KA.et al.,(2006)Mol.Ther.14:476−484;Zhang,X.et al.,(2004)J.Biol.Chem.279:10677−10684;Bitko,V.et al.,(2005)Nat.Med.11:50−55)による成功も示している。疾病の処置のためにiRNAを全身投与するために、RNAは、修飾され得るか、或いは薬剤送達システムを用いて送達され得;両方の方法は、インビボでのエンドヌクレアーゼ及びエキソヌクレアーゼによるdsRNAの急速な分解を防ぐ役割を果たす。RNA又は医薬担体の修飾は、標的組織へのiRNA組成物の標的化を可能にし、望ましくないオフターゲット効果を回避することもできる。iRNA分子は、細胞取り込みを向上させ、分解を防ぐコレステロールなどの親油基への化学的結合によって修飾され得る。例えば、親油性コレステロール部分にコンジュゲートされるApoBに対するiRNAを、マウスに全身投与し、肝臓及び空腸の両方においてapoB mRNAのノックダウンを得た(Soutschek,J.et al.,(2004)Nature 432:173−178)。アプタマーへのiRNAのコンジュゲートは、前立腺癌のマウスモデルにおける腫瘍増殖を阻害し、腫瘍退縮を仲介することが示されている(McNamara,JO.et al.,(2006)Nat.Biotechnol.24:1005−1015)。代替的な実施形態において、iRNAは、ナノ粒子、デンドリマー、ポリマー、リポソーム、又はカチオン性送達システムなどの薬剤送達システムを用いて送達され得る。正に帯電したカチオン性送達システムは、iRNA分子(負に帯電した)の結合を促進し、また、負に帯電した細胞膜における相互作用を向上させて、細胞によるiRNAの効率的な取り込みを可能にする。カチオン性脂質、デンドリマー、又はポリマーは、iRNAに結合され得るか、又はiRNAを包む小胞又はミセル(例えば、Kim SH.et al.,(2008)Journal of Controlled Release 129(2):107−116を参照)を形成するように誘導され得る。小胞又はミセルの形成は、全身投与される場合のiRNAの分解を更に防ぐ。カチオン性iRNA複合体を作製し、投与するための方法は、十分当業者の能力の範囲内である(例えば、全体が参照により本明細書に援用される、Sorensen、DR.,et al.(2003)J.Mol.Biol 327:761−766;Verma,UN.et al.,(2003)Clin.Cancer Res.9:1291−1300;Arnold,AS et al.,(2007)J.Hypertens.25:197−205を参照)。iRNAの全身送達に有用な薬剤送達システムのいくつかの非限定的な例としては、DOTAP(Sorensen,DR.,et al(2003)、上記参照;Verma,UN.et al.,(2003)、上記を参照)、Oligofectamine、「固体核酸脂質粒子」(Zimmermann,TS.et al.,(2006)Nature 441:111−114)、カルジオリピン(Chien,PY.et al.,(2005)Cancer Gene Ther.12:321−328;Pal,A.et al.,(2005)Int J.Oncol.26:1087−1091)、ポリエチレンイミン(Bonnet ME.et al.,(2008)Pharm.Res.Aug 16 Epub ahead of print;Aigner,A.(2006)J.Biomed.Biotechnol.71659)、Arg−Gly−Asp(RGD)ペプチド(Liu,S.(2006)Mol.Pharm.3:472−487)、及びポリアミドアミン(Tomalia,DA.et al.,(2007)Biochem.Soc.Trans.35:61−67;Yoo,H.et al.,(1999)Pharm.Res.16:1799−1804)が挙げられる。ある実施形態において、iRNAは、全身投与のためにシクロデキストリンとともに複合体を形成する。投与のための方法及びiRNAs及びシクロデキストリンの医薬組成物が、全体が参照により本明細書に援用される米国特許第7,427,605号明細書に見出され得る。
【0303】
A.ベクターでコードされた本発明のiRNA
C5遺伝子を標的とするiRNAは、DNA又はRNAベクターに挿入された転写単位から発現され得る(例えば、Couture,A,et al.,TIG.(1996),12:5−10;Skillern,A.らの国際PCT公開番号国際公開第00/22113号パンフレット、Conradの国際PCT公開番号国際公開第00/22114号パンフレット、及びConradの米国特許第6,054,299号明細書を参照)。発現は、使用される特定の構築物及び標的組織又は細胞型に応じて、一時的(およそ数時間から数週間)であるか又は持続され得る(数週間から数カ月又はそれ以上)。これらの導入遺伝子は、線状構築物、環状プラスミド、又はウイルスベクターとして導入することができ、これらは、組み込み又は非組み込みベクターであり得る。導入遺伝子は、染色体外プラスミドとして継承されるのを可能にするように構築することもできる(Gassmann,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1995)92:1292)。
【0304】
iRNAの個々の1つ又は複数の鎖は、発現ベクターにおけるプロモーターから転写され得る。2本の別個の鎖が発現されて、例えば、dsRNAを生成する場合、2つの別個の発現ベクターが、(例えば、トランスフェクション又は感染によって)標的細胞中に共導入され得る。或いは、dsRNAの各個々の鎖が、同じ発現プラスミド上に位置するプロモーターによって転写され得る。一実施形態において、dsRNAは、ステム・ループ構造を有するように、リンカーポリヌクレオチド配列によって接合される逆方向反復ポリヌクレオチドとして発現される。
【0305】
iRNA発現ベクターは、一般に、DNAプラスミド又はウイルスベクターである。真核細胞と適合する発現ベクター、好ましくは、脊椎動物細胞と適合する発現ベクターを用いて、本明細書に記載されるiRNAの発現のための組み換え構築物を産生することができる。真核細胞の発現ベクターは、当該技術分野において周知であり、多くの商業的供給源から入手可能である。通常、所望の核酸セグメントを挿入するのに好都合な制限部位を含むこのようなベクターが提供される。iRNA発現ベクターの送達は、例えば、静脈内又は筋肉内投与によるか、患者から移植された標的細胞に投与した後に患者に再導入することによるか、又は所望の標的細胞への導入を可能にする任意の他の手段などによる全身送達であり得る。
【0306】
iRNA発現プラスミドは、カチオン性脂質担体(例えば、Oligofectamine)又は非カチオン性の脂質ベースの担体(例えば、Transit−TKO(商標))との複合体として標的細胞中にトランスフェクトされ得る。1週間以上の期間にわたる標的RNAの異なる領域を標的とするiRNAを介したノックダウンのための複数回の脂質のトランスフェクションも、本発明によって想定される。宿主細胞中へのベクターの導入の成功は、様々な公知の方法を用いて監視され得る。例えば、一過性のトランスフェクションは、緑色蛍光タンパク質(GFP)などの蛍光マーカーなどのレポーターを用いて示され得る。エクスビボでの細胞の安定したトランスフェクションは、トランスフェクト細胞に、ハイグロマイシンB耐性などの、特定の環境因子(例えば、抗生物質及び薬剤)に対する耐性を与えるマーカーを用いて確実にすることができる。
【0307】
本明細書に記載される方法及び組成物とともに用いられ得るウイルスベクター系としては、限定はされないが、(a)アデノウイルスベクター;(b)レンチウイルスベクター、モロニーマウス白血病ウイルスなどを含むがこれらに限定されないレトロウイルスベクター;(c)アデノ随伴ウイルスベクター;(d)単純ヘルペスウイルスベクター;(e)SV40ベクター;(f)ポリオーマウイルスベクター;(g)パピローマウイルスベクター;(h)ピコルナウイルスベクター;(i)オルソポックス(orthopox)、例えば、ワクシニアウイルスベクター又は鳥ポックス、例えばカナリア痘又は鶏痘などのポックスウイルスベクター;及び(j)ヘルパー依存性又は弱毒アデノウイルスが挙げられる。複製欠損ウイルスも有利であり得る。異なるベクターが、細胞のゲノムに組み込まれるか又は組み込まれないであろう。構築物は、必要に応じて、トランスフェクションのためのウイルス配列を含み得る。或いは、構築物は、エピソーム複製が可能なベクター、例えばEPV及びEBVベクターに組み込まれ得る。iRNAの組み換え発現のための構築物は、一般に、標的細胞内でのiRNAの発現を確実にするために、調節要素、例えば、プロモーター、エンハンサーなどを必要とする。ベクター及び構築物について考慮される他の態様が、更に後述される。
【0308】
iRNAの送達に有用なベクターは、所望の標的細胞又は組織におけるiRNAの発現に十分な調節要素(プロモーター、エンハンサーなど)を含むであろう。調節要素は、構成的発現又は調節性/誘導性発現のいずれかを提供するように選択され得る。
【0309】
iRNAの発現は、例えば、特定の生理的調節因子、例えば、血中グルコースレベル、又はホルモンに対して感受性がある誘導性調節配列を使用することによって、正確に調節され得る(Docherty et al.,1994,FASEB J.8:20−24)。細胞又は哺乳動物におけるdsRNAの発現の制御に好適なこのような誘導性発現系は、例えば、エクジソン、エストロゲン、プロゲステロン、テトラサイクリン、二量化の化学誘導物質、及びイソプロピル−β−D1−チオガラクトピラノシド(IPTG)による調節を含む。当業者は、iRNA導入遺伝子の目的とする使用に基づいて、適切な調節/プロモーター配列を選択することができるであろう。
【0310】
iRNAをコードする核酸配列を含むウイルスベクターが使用され得る。例えば、レトロウイルスベクターが使用され得る(Miller et al.,Meth.Enzymol.217:581−599(1993)を参照)。これらのレトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムの適切なパッケージング及び宿主細胞DNAへの組み込みに必要な構成要素を含有する。iRNAをコードする核酸配列は、患者への核酸の送達を促進する、1つ又は複数のベクターにクローニングされる。レトロウイルスベクターについての更なる詳細は、例えば、Boesen et al.,Biotherapy 6:291−302(1994)に見出すことができ、これには、造血幹細胞を化学療法に対してより耐性にするために、造血幹細胞にmdr1遺伝子を送達するレトロウイルスベクターの使用が記載されている。遺伝子療法におけるレトロウイルスベクターの使用を示す他の参照文献は、Clowes et al.,J.Clin.Invest.93:644−651(1994);Kiem et al.,Blood 83:1467−1473(1994);Salmons and Gunzberg,Human Gene Therapy 4:129−141(1993);及びGrossman and Wilson,Curr.Opin.in Genetics and Devel.3:110−114(1993)である。使用のために考えられるレンチウイルスベクターとしては、例えば、参照により本明細書に援用される、米国特許第6,143,520号明細書;同第5,665,557号明細書;及び同第5,981,276号明細書に記載されるHIVに基づいたベクターが挙げられる。
【0311】
アデノウイルスも、本発明のiRNAの送達における使用のために考えられる。アデノウイルスは、例えば、呼吸上皮に遺伝子を送達するための特に魅力的なビヒクルである。アデノウイルスは、本来、呼吸上皮に感染し、軽度の疾病を引き起こす。アデノウイルスに基づいた送達システムの他の標的は、肝臓、中枢神経系、内皮細胞、及び筋肉である。アデノウイルスには、非分裂細胞に感染することが可能であるという利点がある。Kozarsky and Wilson,Current Opinion in Genetics and Development 3:499−503(1993)には、アデノウイルスに基づいた遺伝子療法の概説が示されている。Bout et al.,Human Gene Therapy 5:3−10(1994)は、アカゲザルの呼吸上皮に遺伝子を移送するアデノウイルスベクターの使用を示した。遺伝子療法におけるアデノウイルスの使用の他の例は、Rosenfeld et al.,Science 252:431−434(1991);Rosenfeld et al.,Cell 68:143−155;Mastrangeli et al.(1992),J.Clin.Invest.91:225−234(1993);PCT公報の国際公開第94/12649号パンフレット;及びWang et al.,Gene Therapy 2:775−783(1995)に見出すことができる。本発明に取り上げられるiRNAを発現するのに好適なAVベクター、組み換えAVベクターを構築するための方法、及びベクターを標的細胞中に送達するための方法が、Xia H et al.(2002),Nat.Biotech.20:1006−1010に記載されている。
【0312】
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターも、本発明のiRNAを送達するのに使用され得る(Walsh et al.,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.204:289−300(1993);米国特許第5,436,146号明細書)。一実施形態において、iRNAは、例えば、U6若しくはH1 RNAプロモーター、又はサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターのいずれかを有する組み換えAAVベクターから、2つの別個の相補的な一本鎖RNA分子として発現され得る。本発明に取り上げられるdsRNAを発現するのに好適なAAVベクター、組み換えAVベクターを構築するための方法、及びベクターを標的細胞中に送達するための方法が、全開示内容が参照により本明細書に援用される、Samulski R et al.(1987),J.Virol.61:3096−3101;Fisher K J et al.(1996),J.Virol,70:520−532;Samulski R et al.(1989),J.Virol.63:3822−3826;米国特許第5,252,479号明細書;米国特許第5,139,941号明細書;国際特許出願番号国際公開第94/13788号パンフレット;及び国際特許出願番号国際公開第93/24641号パンフレットに記載されている。
【0313】
本発明のiRNAの送達に好適な別のウイルスベクターは、ワクシニアウイルス、例えば、改変ウイルスアンカラ(Modified Virus Ankara)(MVA)又はNYVACなどの弱毒化ワクシニア、鶏痘又はカナリア痘などの鳥ポックスなどのポックスウイルスである。
【0314】
ウイルスベクターの指向性は、エンベロープタンパク質又は他のウイルスからの他の表面抗原を用いてベクターをシュードタイピングする(pseudotype)ことによって、又は異なるウイルスカプシドタンパク質を必要に応じて置換することによって、改変され得る。例えば、レンチウイルスベクターは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、狂犬病、エボラ、モコラなどからの表面タンパク質を用いてシュードタイピングされ得る。AAVベクターは、異なるカプシドタンパク質血清型を発現するようにこのベクターを操作することによって、異なる細胞を標的とするように作製され得る。例えば、全開示内容が参照により本明細書に援用されるRabinowitz J E et al.(2002),J Virol 76:791−801を参照。
【0315】
ベクターの医薬製剤は、許容できる希釈剤中のベクターを含むことができ、又は遺伝子送達ビヒクルが埋め込まれる徐放性マトリックスを含むことができる。或いは、組み換え細胞から、完全な遺伝子送達ベクター、例えば、レトロウイルスベクターが無傷で産生され得る場合、医薬製剤は、遺伝子送達システムを産生する1つ又は複数の細胞を含むことができる。
【0316】
VI.本発明の医薬組成物
本発明は、本発明のiRNAを含む医薬組成物及び製剤も含む。一実施形態において、本明細書に記載されるiRNAと、薬学的に許容され得る担体とを含有する医薬組成物も本明細書に提供される。iRNAを含有する医薬組成物は、KHK遺伝子の発現又は活性に関連する疾病又は障害を処置するのに有用である。このような医薬組成物は、送達様式に基づいて製剤化される。一例は、非経口投与を介した、例えば、皮下(SC)又は静脈内(IV)送達による全身投与用に製剤化される組成物である。別の例は、例えば、持続性ポンプ注入などによる脳への注入による、脳実質への直接送達用に製剤化される組成物である。本発明の医薬組成物は、KHK遺伝子の発現を阻害するのに十分な投与量で投与され得る。
【0317】
医薬組成物は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、及び21、22、23、24分間、又は約25分間などの期間にわたって、静脈内注入によって投与され得る。投与は、例えば、毎週、隔週(即ち、2週間ごと)で1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間又はそれ以上などにわたって、定期的に繰り返され得る。最初の処置計画の後、治療剤は、より少ない頻度で投与され得る。例えば、毎週又は隔週で3ヶ月間の投与後、投与は、月に1回で6ヶ月間又は1年間又はそれ以上にわたって繰り返され得る。
【0318】
医薬組成物は、一日1回投与することができ、又はiRNAは、1日を通して適切な間隔で、2、3以上のサブ用量として投与され、又は更には、連続注入若しくは徐放製剤を介した送達を用いて投与されてもよい。その場合、各サブ用量に含まれるiRNAは、総一日投与量を達成するように、対応してより少量である必要がある。投与単位はまた、例えば数日間の期間に亘るiRNAの持続放出を提供する従来の持続放出製剤を使用して、数日間に亘る送達用に配合されてもよい。持続放出製剤は当技術分野にて周知であり、薬剤を特定の部位に送達するのに特に有用であるため、本発明の薬剤とともに使用することができる。この実施形態において、投与単位は、一日用量の対応する倍数を含む。
【0319】
他の実施形態において、医薬組成物の単回投与は、長続きすることができるため、その後の用量は、3、4、又は5日以下の間隔、或いは1、2、3、又は4週間以下の間隔で投与される。本発明のある実施形態において、本発明の医薬組成物の単回投与は、週に1回投与される。本発明の他の実施形態において、本発明の医薬組成物の単回投与は、2ヶ月に1回(bi−monthly)投与される。
【0320】
当業者は、非限定的に疾病又は疾患の重篤さ、以前の処置、対象の全体的な健康及び/又は年齢、並びに存在する他の疾病を含む所定の因子が対象を効果的に処置するのに必要な投与量及び時間に影響し得ることを認識するであろう。更に、治療的有効量の組成物による対象の処置は、単一の処置又は一連の処置を含み得る。本発明により包含される個々のiRNAに関する有効な投与量、及びインビボでの半減期は、従来の方法論を用いて、又は本明細書の他の箇所に記載されるような適切な動物モデルを使用したインビボでの試験に基づいて概算することができる。
【0321】
本発明の医薬組成物は、局所的又は全身的処置が必要かどうか及び処置される部位に応じて、いくつかの方法で投与され得る。投与は、局所投与(例えば、経皮パッチによる)、例えば、噴霧器などによる、粉末又はエアロゾルの吸入又は吹送による経肺投与;気管内、鼻腔内、表皮及び経皮、経口又は非経口投与であり得る。非経口投与としては、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内又は筋肉内注射又は注入;例えば、埋め込みデバイスによる皮下投与;又は例えば、実質内、髄腔内若しくは脳室内投与による頭蓋内投与が挙げられる。
【0322】
iRNAは、肝臓(例えば、肝臓の肝細胞)などの特定の組織を標的とするように送達され得る。
【0323】
局所投与用の医薬組成物及び製剤には、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、液滴、坐薬、噴霧剤、液剤及び散剤が挙げられる。従来の医薬担体、水性、粉末又は油性基剤、増粘剤などが必要であり、又は所望され得る。被覆コンドーム、手袋なども有用であり得る。好適な局所製剤は、本発明を特徴付けるiRNAが、脂質、リポソーム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド、キレート化剤及び界面活性剤などの局所送達薬剤との混合物であるものを含む。好適な脂質及びリポソームは、中性(例えば、ジオレイルホスファチジルDOPEエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルコリンDMPC、ジステアロイルホスファチジルコリン)、陰イオン性(例えば、ジミリストイルホスファチジルグリセロールDMPG)及び陽イオン性(例えば、ジオレイルテトラメチルアミノプロピルDOTAP及びジオレイルホスファチジルエタノールアミンDOTMA)を含む。本発明を特徴付けるiRNAは、リポソーム中に封入されることができ、又はリポソームに対して、特に陽イオン性リポソームに対して錯体を形成することができる。代替的に、iRNAは、脂質に対して、特に陽イオン性脂質に対して錯体化されてもよい。好適な脂肪酸及びエステルには、非限定的にアラキドン酸、オレイン酸、エイコサン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1−モノカプレート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリン、又はC1〜20アルキルエステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピルIPM)、モノグリセリド、ジグリセリド又はこれらの薬学的に許容され得る塩が挙げられる)。局所製剤は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,747,014号明細書に詳細に記載されている。
【0324】
A.膜分子集合体を含むiRNA製剤
本発明の組成物及び方法に使用するためのiRNAは、膜分子集合体、例えば、リポソーム又はミセル中の送達用に製剤化され得る。本明細書において使用される際、「リポソーム」という用語は、少なくとも1つの二重層、例えば、1つの二重層又は複数の二重層に配置された両親媒性の脂質から構成される小胞を指す。リポソームは、親油性材料及び水性内部から形成される膜を有する単層及び多層小胞を含む。水性部分は、iRNA組成物を含有する。親油性材料は、水性外部から水性内部を分離し、通常、iRNA組成物を含まないが、場合によっては、含むことがある。リポソームは、作用部位への活性成分の移送及び送達に有用である。リポソーム膜は生体膜と構造が類似しているため、リポソームが組織に付着されると、リポソームの二重層が、細胞膜の二重層と融合する。リポソーム及び細胞の融合が進むにつれて、iRNAを含む内部の水性内容物が、細胞に送達され、ここで、iRNAは、標的RNAに特異的に結合することができ、iRNAを仲介することができる。場合によっては、リポソームはまた、例えば、iRNAを特定の細胞型に指向するように、特異的に標的化される。
【0325】
iRNA剤を含有するリポソームは、様々な方法によって調製され得る。一例において、リポソームの脂質成分は、ミセルが脂質成分で形成されるように、洗剤に溶解される。例えば、脂質成分は、両親媒性のカチオン性脂質又は脂質コンジュゲートであり得る。洗剤は、高い臨界ミセル濃度を有することができ、非イオン性であり得る。例示的な洗剤としては、コール酸塩、CHAPS、オクチルグルコシド、デオキシコール酸塩、及びラウロイルサルコシンが挙げられる。次に、iRNA剤の調製物は、脂質成分を含むミセルに加えられる。脂質におけるカチオン性基は、iRNA剤と相互作用し、iRNA剤の周りで縮合して、リポソームを形成する。縮合の後、洗剤は、例えば透析によって除去されて、iRNA剤のリポソーム製剤が得られる。
【0326】
必要に応じて、縮合を補助する担体化合物が、例えば、制御添加によって、縮合反応中に加えられ得る。例えば、担体化合物は、核酸以外のポリマー(例えば、スペルミン又はスペルミジン)であり得る。縮合を補助するためにpHも調整され得る。
【0327】
送達ビヒクルの構成成分としてポリヌクレオチド/カチオン性脂質複合体を組み込む安定したポリヌクレオチド送達ビヒクルを生成するための方法が、例えば、全内容が参照により本明細書に援用される国際公開第96/37194号パンフレットに更に記載されている。リポソーム形成は、Felgner,P.L.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8:7413−7417,1987;米国特許第4,897,355号明細書;米国特許第5,171,678号明細書;Bangham et al.,M.Mol.Biol.23:238,1965;Olson et al.,Biochim.Biophys.Acta 557:9,1979;Szoka et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.75:4194,1978;Mayhew et al.,Biochim.Biophys.Acta 775:169,1984;Kim et al.,Biochim.Biophys.Acta 728:339,1983;及びFukunaga et al.,Endocrinol.115:757,1984に記載される例示的な方法の1つ又は複数の態様も含み得る。送達ビヒクルとして使用するのに適切なサイズの脂質集合体を調製するための一般的に使用される技術としては、超音波処理並びに凍結融解及び押し出しが挙げられる(例えば、Mayer et al.,Biochim.Biophys.Acta 858:161,1986を参照)。一貫して小さく(50〜200nm)且つ比較的均一な集合体が所望される場合、顕微溶液化(microfluidization)が使用され得る(Mayhew et al.,Biochim.Biophys.Acta 775:169,1984)。これらの方法は、iRNA剤の調製物をリポソームにパッケージングするのに容易に適合される。
【0328】
リポソームは、2つの大きなクラスに分かれる。陽イオン性リポソームは、負に帯電された核酸分子と相互作用して安定な複合体を形成する正に帯電されたリポソームである。正に帯電された核酸/リポソーム複合体は負に帯電された細胞表面に結合し、エンドソーム内に移行される。エンドソーム内の酸性pHによって、リポソームが破裂され、それらの内容物を細胞質内に放出する(Wang et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,1987,147,980−985)。
【0329】
pH感受性且つ負に帯電されたリポソームは、核酸と複合するのではなく、核酸を捕捉する。核酸及び脂質の両方は同様に帯電されるため、複合体形成ではなく反発が起こる。それにも係わらず、いくつかの核酸はこれらのリポソームの水性内部内に捕捉される。pH感受性リポソームは、チミジンキナーゼ遺伝子をコードする核酸を培養物中の細胞単層に送達するよう使用されている。標的細胞内で外来遺伝子の発現が検出された(Zhou et al.,Journal of Controlled Release,1992,19,269〜274)。
【0330】
リポソーム組成物の主要な一タイプは、天然由来のホスファチジルコリン以外のリン脂質を含む。例えば中性リポソーム組成物は、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)又はジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から形成され得る。陰イオン性リポソーム組成物は一般に、ジミリストイルホスファチジルグリセロールから形成される一方、陰イオン性膜融合リポソームは、主としてジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)から形成される。他のタイプのリポソーム組成物は、例えば、大豆PC、及び卵PCなどのホスファチジルコリン(PC)から形成される。他のタイプは、リン脂質及び/又はホスファチジルコリン及び/又はコレステロールの混合物から形成される。
【0331】
リポソームを細胞中にインビトロ及びインビボで導入するための他の方法の例としては、米国特許第5,283,185号明細書;米国特許第5,171,678号明細書;国際公開第94/00569号パンフレット;国際公開第93/24640号パンフレット;国際公開第91/16024号パンフレット;Felgner,J.Biol.Chem.269:2550,1994;Nabel,Proc.Natl.Acad.Sci.90:11307,1993;Nabel,Human Gene Ther.3:649,1992;Gershon,Biochem.32:7143,1993;及びStrauss,EMBO J.11:417,1992が挙げられる。
【0332】
非イオン性リポソーム系、特に非イオン性界面活性剤及びコレステロールを含む系も試験されて、皮膚への薬物の送達におけるそれらの有用性が決定されている。Novasome(商標)I(ジラウリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)及びNovasome(商標)II(ジステアリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)を含む非イオン性リポソーム製剤を使用して、シクロスポリン−Aをマウス皮膚の真皮に送達した。結果はそのような非イオン性リポソーム系が皮膚の異なる層中へのシクロスポリン−Aの堆積を促進するのに有効であることを示した(Hu et al.S.T.P.Pharma.Sci.,1994,4(6)466)。
【0333】
リポソームは、「立体的に安定化された」リポソームも含み、本明細書で使用されるこの用語は、1つ又は複数の特定化脂質を含むリポソームを指し、その特定化脂質は、リポソームに組み込まれた際、そのような特定化脂質を欠いたリポソームと比較して増強された循環寿命をもたらす。立体的に安定化されたリポソームの例は、リポソームのベシクル形成脂質部分の一部が、(A)モノシアロガングリオシドGM1などの1つ又は複数の糖脂質を含むもの、又は(B)ポリエチレングリコール(PEG)部分などの1つ又は複数の親水性ポリマーにより誘導体化されているものである。任意の特定の理論に束縛されるものではないが、当技術分野では、少なくともガングリオシド、スフィンゴミエリン、又はPEG−誘導体化脂質を含む立体的に安定化されたリポソームに関しては、これらの立体的に安定化されたリポソームの増強された循環半減期は、細網内皮系(RES)の細胞内への取り込みの低下に由来すると考えられている(Allen et al.,FEBS Letters,1987,223,42;Wu et al.,Cancer Research,1993,53,3765)。
【0334】
1つ又は複数の糖脂質を含む様々なリポソームが、当技術分野にて既知である。Papahadjopoulos et al.(Ann.N.Y.Acad.Sci.,1987,507,64)は、リポソームの血中半減期を改善するモノシアロガングリオシドGM1、硫酸ガラクトセレブロシド及びホスファチジルイノシトールの能力を報告している。これらの発見は、Gabizon et al.により詳説されている(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1988,85,6949)。両方ともAllen et al.に付与された米国特許第4,837,028号明細書及び国際公開第88/04924号パンフレットは、(1)スフィンゴミエリン及び(2)ガングリオシドGM1又は硫酸ガラクトセレブロシドエステルを含むリポソームを開示している。米国特許第5,543,152号明細書(Webb et al.)は、スフィンゴミエリンを含むリポソームを開示している。1,2−sn−ジミリストイルホスファチジルコリンを含むリポソームは、国際公開第97/13499号パンフレット(Lim et al.)に開示されている。
【0335】
一実施形態において、カチオン性リポソームが使用される。カチオン性リポソームには、細胞膜に融合することができるという利点がある。非カチオン性リポソームは、それほど効率的に細胞膜と融合することができないが、インビボでマクロファージによって取り込まれ、iRNA剤をマクロファージに送達するのに使用され得る。
【0336】
リポソームの更なる利点としては以下が挙げられる:天然のリン脂質から得られるリポソームは、生体適合性があり且つ生分解性可能であり;リポソームは、広範囲の水溶性及び脂溶性薬剤を組み込むことができ;リポソームは、その内部の区画中に封入されたiRNA剤を代謝及び分解から保護することができる(Rosoff,in “Pharmaceutical Dosage Forms,”Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,volume1,p.245)。リポソーム製剤の調製における重要な考慮事項は、脂質表面電荷、小胞サイズ及びリポソームの水性容積である。
【0337】
正に帯電した合成カチオン性脂質である、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)を用いて、核酸と自発的に相互作用して、組織培養細胞の細胞膜の負に帯電した脂質と融合し、iRNA剤の送達をもたらすことが可能な脂質−核酸複合体を形成する、小さいリポソームを形成することができる(例えば、Felgner,P.L.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8:7413−7417,1987、及びDOTMA及びDNAとのその使用の説明については米国特許第4,897,355号明細書を参照)。
【0338】
DOTMA類似体である、1,2−ビス(オレイルオキシ)−3−(トリメチルアンモニア)プロパン(DOTAP)は、リン脂質と組み合わせて使用して、DNA複合小胞を形成することができる。Lipofectin(商標)Bethesda Research Laboratories,Gaithersburg,Md.)は、負に帯電したポリヌクレオチドと自発的に相互作用して、複合体を形成する正に帯電したDOTMAリポソームを含む生体組織培養細胞中に高度にアニオン性の核酸を送達するための効果的な薬剤である。十分に正に帯電したリポソームが使用される場合、得られる複合体の正味電荷も正である。このように調製される正に帯電した複合体は、負に帯電した細胞表面に自発的に付着し、細胞膜と融合し、機能性核酸を、例えば、組織培養細胞中に効率的に送達する。別の市販のカチオン性脂質である、1,2−ビス(オレイルオキシ)−3,3−(トリメチルアンモニア)プロパン(「DOTAP」)(Boehringer Mannheim,Indianapolis,Indiana)は、オレオイル部分がエーテル結合ではなく、エステルによって結合された点でDOTMAとは異なる。
【0339】
他の報告されているカチオン性脂質化合物としては、2つのタイプの脂質のうちの1つにコンジュゲートされ、5−カルボキシスペルミルグリシンジオクタオレオイルアミド(「DOGS」)(Transfectam(商標),Promega,Madison,Wisconsin)及びジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン5−カルボキシスペルミル−アミド(「DPPES」)などの化合物を含む、例えば、カルボキシスペルミンを含む様々な部分にコンジュゲートされたものが挙げられる(例えば、米国特許第5,171,678号明細書を参照)。
【0340】
別のカチオン性脂質コンジュゲートは、DOPEと組み合わせてリポソームに製剤化されたコレステロール(「DC−Chol」)による脂質の誘導体化を含む(Gao,X.及びHuang,L.,Biochim.Biophys.Res.Commun.179:280,1991を参照)。ポリリジンをDOPEにコンジュゲートすることによって作製されるリポポリリジンは、血清の存在下におけるトランスフェクションに有効であると報告されている(Zhou,X.et al.,Biochim.Biophys.Acta 1065:8,1991)。特定の細胞株では、コンジュゲートされたカチオン性脂質を含有するこれらのリポソームは、DOTMA含有組成物より低い毒性を示し、より効率的なトランスフェクションを提供するとされている。他の市販のカチオン性脂質製品としては、DMRIE及びDMRIE−HP(Vical,La Jolla,California)及びLipofectamine(DOSPA)(Life Technology,Inc.,Gaithersburg,Maryland)が挙げられる。オリゴヌクレオチドの送達に好適な他のカチオン性脂質が、国際公開第98/39359号パンフレット及び国際公開第96/37194号パンフレットに記載されている。
【0341】
リポソーム製剤は、局所投与に特に適しており、リポソームは、他の製剤に優るいくつかの利点を示す。このような利点としては、投与される薬剤の高い全身性吸収率に関連する副作用の減少、所望の標的における投与される薬剤の蓄積の増加、及びiRNA剤を皮膚に投与する能力が挙げられる。ある実施において、iRNA剤を表皮細胞に送達するために、また、真皮組織、例えば、皮膚へのiRNA剤の浸透を促進するために、リポソームが使用される。例えば、リポソームは、局所的に適用され得る。リポソームとして製剤化される薬剤の皮膚への局所送達が報告されている(例えば、Weiner et al.,Journal of Drug Targeting,1992,vol.2,405−410及びdu Plessis et al.,Antiviral Research,18,1992:259−265;Mannino,R.J.and Fould−Fogerite,S.,Biotechniques 6:682−690,1988;Itani,T.et al.,Gene 56:267−276,1987;Nicolau,C.et al.(1987)Meth.Enz.149:157−176,1987;Straubinger,R.M.and Papahadjopoulos,D.Meth.Enz.101:512−527,1983;Wang,C.Y.and Huang,L.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7851−7855,1987を参照)。
【0342】
また、非イオン性リポソーム系、特に、非イオン性界面活性剤及びコレステロールを含む系は、皮膚への薬剤の送達におけるそれらの有用性を決定するために調べられた。Novasome I(ジラウリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)及びNovasome II(ジステアリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)を含む非イオン性リポソーム製剤が、マウス皮膚の真皮に薬剤を送達するのに使用された。iRNA剤を含むこのような製剤は、皮膚疾患を処置するのに有用である。
【0343】
iRNAを含むリポソームは、高度に変形可能に作製され得る。このような変形性は、リポソームが、リポソームの平均半径より小さい孔を透過するのを可能にし得る。例えば、トランスフェルソーム(transfersome)は、変形可能なリポソームの一種である。トランスフェルソームは、表面縁活性化因子、通常、界面活性剤を、標準的なリポソーム組成物に加えることによって作製され得る。RiNA剤を含むトランスフェルソームは、皮膚のケラチノサイトにiRNA剤を送達するために、例えば、皮下感染によって送達され得る。無傷の哺乳動物皮膚を横断するために、脂質小胞は、好適な経皮勾配の影響下で、50nm未満の直径をそれぞれ有する一連の微細孔を透過しなければならない。更に、脂質特性のため、これらのトランスフェロソームは、自己最適化(例えば、毛穴の形状に適応可能)、自己修復性であり得、多くの場合、破砕せずにそれらの標的に到達し、多くの場合、自己充填性(self−loading)であり得る。
【0344】
本発明に適した他の製剤が、2008年1月2日に出願された米国仮特許出願第61/018,616号明細書;2008年1月2日に出願された同第61/018,611号明細書;2008年3月26日に出願された同第61/039,748号明細書;2008年4月22日に出願された同第61/047,087号明細書及び2008年5月8日に出願された同第61/051,528号明細書に記載されている。2007年10月3日に出願されたPCT出願第PCT/US2007/080331号明細書にも、本発明に適した製剤が記載されている。
【0345】
トランスファーソームは、リポソームの更なる別の一タイプであり、薬物送達ビヒクルの候補として魅力的な、高く変形可能な脂質凝集体である。トランスファーソームは、脂質小滴として記載することもでき、この脂質小滴は、高く変形可能であるため、小滴よりも小さい孔内を容易に透過することができる。トランスファーソームは、それらが使用される環境に適合可能であり、例えば自己最適性(皮膚内の孔の形状に適応する)であり、自己修復性であり、しばしば細分化することなくそれらの標的に到達し、また多くの場合、自己負荷性である。トランスファーソームを作製するためには、通常は界面活性剤である表面縁部活性化因子を標準的なリポソーム組成物に加えることが可能である。トランスファーソームは、皮膚に血清アルブミンを送達するのに使用されている。トランスファーソーム仲介による血清アルブミンの送達は、血清アルブミンを含む溶液の皮下注射と同様に効果的であることが示されている。
【0346】
界面活性剤は、エマルション(マイクロエマルションを含む)及びリポソームなどの製剤に広い用途を見出している。天然及び合成の両方の多数の異なるタイプの界面活性剤を分類及び順位付けする最も一般的な方法は、親水性/親油性バランス(HLB)の使用によるものである。親水性基(「頭部」としても既知)の性質は、製剤中に使用される異なる界面活性剤を類別する最も有用な手段を提供する(Rieger,“Pharmaceutical Dosage Forms”,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,1988,p.285)。
【0347】
界面活性剤分子がイオン化されていない場合、この界面活性剤は非イオン性界面活性剤に分類される。非イオン性界面活性剤は、医薬及び美容製品に広い用途を見出し、広い範囲のpH値に亘って使用可能である。一般に、それらのHLB値は、それらの構造に応じて2〜約18の範囲である。非イオン性界面活性剤には、エチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセリルエステル、ポリグリセリルエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、及びエトキシル化エステルなどの非イオン性エステルが挙げられる。非イオン性アルカノールアミド、及び脂肪アルコールエトキシレート、プロポキシル化アルコール、及びエトキシル化/プロポキシル化ブロックポリマーなどのエーテルも、このクラスに含まれる。ポリオキシエチレン界面活性剤は、非イオン性界面活性剤クラスの最も人気のあるメンバーである。
【0348】
界面活性剤分子が水中に溶解又は分散した際に負電荷を保有する場合、この界面活性剤は陰イオン性に分類される。陰イオン性界面活性剤には、せっけんなどのカルボキシレート、アシルラクチレート、アミノ酸のアシルアミド、アルキルスルフェート及びエトキシル化アルキルスルフェートなどの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホネートなどのスルホネート、アシルイセチオネート、アシルタウレート及びスルホスクシネート、並びにホスフェートが挙げられる。陰イオン性界面活性剤クラスの最も重要なメンバーは、アルキルスルフェート及びせっけんである。
【0349】
界面活性剤分子が水中に溶解又は分散した際に正電荷を保有する場合、この界面活性剤は陽イオン性に分類される。陽イオン性界面活性剤には、第四級アンモニウム塩及びエトキシル化アミンが挙げられる。第四級アンモニウム塩は、最も使用されているこのクラスのメンバーである。
【0350】
界面活性剤分子が正又は負電荷のいずれかを保有する能力を有する場合、この界面活性剤は両性に分類される。両性界面活性剤には、アクリル酸誘導体、置換アルキルアミド、N−アルキルベタイン及びホスファチドが挙げられる。
【0351】
薬物製品、製剤及びエマルション中での界面活性剤の使用は、概説されている(Rieger,“Pharmaceutical Dosage Forms”,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,1988,p.285)。
【0352】
本発明の方法に使用するためのiRNAはまた、ミセル製剤として提供され得る。「ミセル」は、分子の全ての疎水性部分が内側を向いて、親水性部分を周囲の水相と接触したままにするように、両親媒性分子が球体構造で配置される、特定のタイプの分子集合体として本明細書において定義される。環境が疎水性である場合、逆の配置が存在する。
【0353】
経皮膜を介した送達に好適な混合ミセル製剤は、siRNA組成物の水溶液、アルカリ金属C〜C22アルキル硫酸塩、及びミセル形成化合物を混合することによって調製され得る。例示的なミセル形成化合物としては、レシチン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の薬学的に許容され得る塩、グリコール酸、乳酸、カモミール抽出物、キュウリ抽出物、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、モノオレイン、モノオレエート、モノラウレート、ルリヂサ油、月見草油、メントール、トリヒドロキシオキソコラニルグリシン及びその薬学的に許容され得る塩、グリセリン、ポリグリセリン、リジン、ポリリジン、トリオレイン、ポリオキシエチレンエーテル及びその類似体、ポリドカノールアルキルエーテル及びその類似体、ケノデオキシコール酸塩、デオキシコール酸塩、及びそれらの混合物が挙げられる。ミセル形成化合物は、アルカリ金属アルキル硫酸塩の添加と同時に又はその後に加えられてもよい。混合ミセルは、成分の実質的に任意の種類の混合で形成されるが、より小さいサイズのミセルを提供するためには激しい混合で形成される。
【0354】
一方法において、siRNA組成物及び少なくともアルカリ金属アルキル硫酸塩を含有する第1のミセル組成物が調製される。次に、第1のミセル組成物は、少なくとも3つのミセル形成化合物と混合されて、混合ミセル組成物が形成される。別の方法において、ミセル組成物は、siRNA組成物、アルカリ金属アルキル硫酸塩及びミセル形成化合物の少なくとも1つを混合し、続いて、激しく混合しながら残りのミセル形成化合物を加えることによって調製される。
【0355】
フェノール及び/又はm−クレゾールが、混合ミセル組成物に加えられて、製剤を安定化し、細菌増殖から保護してもよい。或いは、フェノール及び/又はm−クレゾールは、ミセル形成成分とともに加えられてもよい。グリセリンなどの等張剤も、混合ミセル組成物の形成後に加えられてもよい。
【0356】
スプレーとしてのミセル製剤の送達では、製剤は、エアロゾルディスペンサーに入れることができ、ディスペンサーに噴射剤が充填される。圧力下にある噴射剤は、ディスペンサー中で液体形態である。成分の比率は、水相及び噴射剤相が1つになるように、即ち、1つの相が存在するように調整される。2つの相が存在する場合、例えば、定量弁によって、内容物の一部を投薬する前にディスペンサーを振とうする必要がある。医薬品の投薬用量は、微細なスプレー状で定量弁から噴射される。
【0357】
噴射剤は、水素含有クロロフルオロカーボン、水素含有フルオロカーボン、ジメチルエーテル及びジエチルエーテルを含み得る。特定の実施形態において、HFA 134a(1,1,1,2テトラフルオロエタン)が使用されてもよい。
【0358】
必須成分の特定の濃度は、比較的単純な実験によって決定され得る。口腔を介した吸収では、注射又は胃腸管を介した投与のための投与量の、例えば、少なくとも2倍又は3倍に増加させることが望ましいことが多い。
【0359】
B.脂質粒子
本発明のiRNA、即ちdsRNAは、脂質製剤中、例えばLNP中に完全に封入されてもよく、又は他の核酸−脂質粒子を形成してもよい。
【0360】
本明細書で使用される用語「LNP」は、安定な核酸−脂質粒子を指す。LNPは、典型的には、陽イオン性脂質、非陽イオン性脂質、及び粒子の凝集を防止する脂質(例えば、PEG−脂質コンジュゲート)を含む。LNPは、静脈内(i.v.)注射後に延長された循環寿命を有し、且つ遠位部位(例えば、投与部位から物理的に分離された部位)に蓄積するため、全身適用に極めて有用である。LNPは「pSPLP」を含み、pSPLPは、PCT公開第国際公開第00/03683号パンフレットに示されているように、封入された縮合剤−核酸複合体を含む。本発明の粒子は、典型的には、約50nm〜約150nm、より典型的には約60nm〜約130nm、より典型的には約70nm〜約110nm、最も典型的には約70nm〜約90nmの平均粒径を有し、且つ実質的に無毒である。加えて、核酸は、本発明の核酸−脂質粒子中に存在する場合、水性溶液中で、ヌクレアーゼによる分解に耐性である。核酸−脂質粒子、及びそれらの調製方法は、例えば米国特許第5,976,567号明細書;米国特許第5,981,501号明細書;米国特許第6,534,484号明細書;米国特許第6,586,410号明細書;米国特許第6,815,432号明細書;米国特許出願公開第2010/0324120号明細書及びPCT公開国際公開第96/40964号パンフレットに開示されている。
【0361】
一実施形態において、脂質対薬物の比(質量/質量比)(例えば、脂質対dsRNAの比)は、約1:1〜約50:1、約1:1〜約25:1、約3:1〜約15:1、約4:1〜約10:1、約5:1〜約9:1、又は約6:1〜約9:1の範囲内であろう。上記の範囲の中間の範囲も、本発明の一部であるものと考えられる。
【0362】
陽イオン性脂質は、例えば、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N−(I−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTAP)、N−(I−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、N,N−ジメチル−2,3−ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2−ジリノレイルカルバモイルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−C−DAP)、1,2−ジリノレイ(Dilinoley)オキシ−3−(ジメチルアミノ)アセトキシプロパン(DLin−DAC)、1,2−ジリノレイ(Dilinoley)オキシ−3−モルホリノプロパン(DLin−MA)、1,2−ジリノレオイル−3−ジメチルアミノプロパン(DLinDAP)、1,2−ジリノレイルチオ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−S−DMA)、1−リノレオイル−2−リノレイルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−2−DMAP)、1,2−ジリノレイルオキシ−3−トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin−TMA.Cl)、1,2−ジリノレオイル−3−トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin−TAP.Cl)、1,2−ジリノレイルオキシ−3−(N−メチルピペラジノ)プロパン(DLin−MPZ)、又は3−(N,N−ジリノレイルアミノ)−1,2−プロパンジオール(DLinAP)、3−(N,N−ジオレイルアミノ)−1,2−プロパンジオ(DOAP)、1,2−ジリノレイルオキソ−3−(2−N,N−ジメチルアミノ)エトキシプロパン(DLin−EG−DMA)、1,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−DMA)又はその類似体、(3aR,5s,6aS)−N,N−ジメチル−2,2−ジ((9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエニル)テトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−5−アミン(ALN100)、(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル4−(ジメチルアミノ)ブタノエート(MC3)、1,1’−(2−(4−(2−((2−(ビス(2−ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2−ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン−1−イル)エチルアザネジイル)ジドデカン−2−オール(Tech G1)、又はこれらの混合物であってもよい。陽イオン性脂質は、粒子中に存在する全脂質の約20mol%〜約50mol%、又は約40mol%からなり得る。
【0363】
別の実施形態において、化合物2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソランが、脂質−siRNAナノ粒子を調製するのに使用され得る。2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソランの合成は、参照により本明細書に援用される、2008年10月23日に出願された米国仮特許出願第61/107,998号明細書に記載されている。
【0364】
一実施形態において、脂質−siRNA粒子は、40%の2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン:10%のDSPC:40%のコレステロール:10%のPEG−C−DOMG(モルパーセント)を含み、63.0±20nmの粒度及び0.027siRNA/脂質比を有する。
【0365】
イオン性/非陽イオン性脂質は、非限定的にジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレイル−ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレイル−ホスファチジルエタノールアミン4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(DOPE−mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル−ホスファチジル−エタノールアミン(DSPE)、16−O−モノメチルPE、16−O−ジメチルPE、18−1−トランスPE、1−ステアロイル−2−オレオイル−ホスファチジ(phosphatidy)エタノールアミン(SOPE)、コレステロール、又はこれらの混合物を含む陰イオン性脂質又は中性脂質とすることができる。非陽イオン性脂質は、コレステロールが含まれる場合、粒子中に存在する全脂質の約5mol%〜約90mol%、約10mol%、又は約58mol%であってもよい。
【0366】
粒子の凝集を阻害するコンジュゲート脂質は、例えば、非限定的にPEG−ジアシルグリセロール(DAG)、PEG−ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG−リン脂質、PEG−セラミド(Cer)、又はそれらの混合物を含むポリエチレングリコール(PEG)−脂質とすることができる。PEG−DAAコンジュゲートは、例えば、PEG−ジラウリルオキシプロピル(Ci)、PEG−ジミリスチルオキシプロピル(Ci)、PEG−ジパルミチルオキシプロピル(Ci)、又はPEG−ジステアリルオキシプロピル(C])とすることができる。粒子の凝集を防止するコンジュゲート脂質は、粒子中に存在する全脂質の0mol%〜約20mol%、又は2mol%とすることができる。
【0367】
いくつかの実施形態において、核酸−脂質粒子は更に、粒子中に存在する全脂質の例えば約10mol%〜約60mol%又は約48mol%のコレステロールを含む。
【0368】
一実施形態において、リピドイド(lipidoid)ND98・4HCl(MW 1487)(参照により本明細書に援用される、2008年3月26日に出願された米国特許出願第12/056,230号明細書を参照)、コレステロール(Sigma−Aldrich)、及びPEG−Ceramide C16(Avanti Polar Lipids)が、脂質−dsRNAナノ粒子(即ち、LNP01粒子)を調製するのに使用され得る。エタノール中のそれぞれの原液が、以下のとおりに調製され得る:ND98、133mg/ml;コレステロール、25mg/ml、PEG−Ceramide C16、100mg/ml。次に、ND98、コレステロール、及びPEG−Ceramide C16原液は、例えば、42:48:10のモル比で組み合わせられ得る。組み合わされた脂質溶液は、最終的なエタノール濃度が約35〜45%であり、最終的な酢酸ナトリウム濃度が約100〜300mMであるようにdsRNA水溶液(例えば酢酸ナトリウム(pH5)中)と混合され得る。脂質−dsRNAナノ粒子は、通常、混合時に自然に形成される。所望の粒度分布に応じて、得られるナノ粒子混合物が、例えば、Lipex Extruder(Northern Lipids,Inc)などのサーモバレル押出機(thermobarrel extruder)を用いて、ポリカーボネート膜(例えば、100nmのカットオフ)を通して押し出され得る。場合によっては、押し出し工程は省略され得る。エタノール除去及び同時の緩衝液交換は、例えば、透析又は接線流ろ過によって達成され得る。緩衝液は、例えば、約pH7、例えば、約pH6.9、約pH7.0、約pH7.1、約pH7.2、約pH7.3、又は約pH7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)と交換され得る。
【化15】
【0369】
LNP01製剤が、例えば、参照により本明細書に援用される国際出願公開番号国際公開第2008/042973号パンフレットに記載されている。
【0370】
更なる例示的な脂質−dsRNA製剤が、表1に記載される。
【0371】
【表1】
【0372】
【表2】
【0373】
DSPC:ジステアロイルホスファチジルコリン
DPPC:ジパルミトイルホスファチジルコリン
PEG−DMG:PEG−ジジミリストイル(didimyristoyl)グリセロール(C14−PEG、又はPEG−C14)(2000の平均分子量を有するPEG)
PEG−DSG:PEG−ジスチリルグリセロール(C18−PEG、又はPEG−C18)(2000の平均分子量を有するPEG)
PEG−cDMA:PEG−カルバモイル−1,2−ジミリスチルオキシプロピルアミン(2000の平均分子量を有するPEG)
SNALP(l,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミンプロパン(DLinDMA))を含む製剤が、参照により本明細書に援用される、2009年4月15日に出願された国際公開第2009/127060号パンフレットに記載されている。
【0374】
XTCを含む製剤は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、2009年1月29日出願の米国特許仮出願第61/148,366号明細書;2009年3月2日出願の米国特許仮出願第61/156,851号明細書;2009年6月10日出願の米国特許仮出願第 号明細書;2009年7月24日出願の米国特許仮出願第61/228,373号明細書2009年9月3日出願米国特許仮出願第61/239,686号明細書、及び2010年1月29日出願の国際出願第PCT/US2010/022614号明細書に記載されている。
【0375】
MC3を含む製剤が、例えば、全内容が参照により本明細書に援用される、2010年6月10日に出願された米国特許出願公開第2010/0324120号明細書に記載されている。
【0376】
ALNY−100を含む製剤は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、2009年11月10日出願の国際特許出願第PCT/US09/63933号明細書に記載されている。
【0377】
C12−200を含む製剤は、参照により本明細書に組み込まれる、2009年5月5日出願の米国特許仮出願第61/175,770号明細書及び2010年5月5日出願の国際出願第PCT/US10/33777号明細書に記載されている。
【0378】
イオン性/カチオン性脂質の合成
本発明の核酸−脂質粒子に使用される、例えば、カチオン性脂質などの化合物のいずれも、実施例により詳細に記載される方法を含む公知の有機合成技術によって調製され得る。全ての置換基は、特に示されない限り、以下に定義されるとおりである。
【0379】
「アルキル」は、1〜24個の炭素原子を含有する、直鎖状又は分枝鎖状、非環状又は環状の、飽和脂肪族炭化水素を意味する。代表的な飽和直鎖状アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどを含む一方;飽和分枝鎖状アルキルは、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチルなどを含む。代表的な飽和環状アルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含む一方;不飽和環状アルキルは、シクロペンテニル及びシクロヘキセニルなどを含む。
【0380】
「アルケニル」は、隣接する炭素原子間に少なくとも1つの二重結合を含有する、上で定義されるアルキルを意味する。アルケニルは、シス及びトランス異性体の両方を含む。代表的な直鎖状及び分枝鎖状アルケニルは、エチレニル、プロピレニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニルなどを含む。
【0381】
「アルキニル」は、隣接する炭素間に少なくとも1つの三重結合を更に含有する、上で定義される任意のアルキル又はアルケニルを意味する。代表的な直鎖状及び分枝鎖状アルキニルは、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1ブチニルなどを含む。
【0382】
「アシル」は、結合点における炭素が以下に規定されるオキソ基で置換される、任意のアルキル、アルケニル、又はアルキニルを意味する。例えば、−C(=O)アルキル、−C(=O)アルケニル、及び−C(=O)アルキニルが、アシル基である。
【0383】
「複素環」は、飽和、不飽和、又は芳香族のいずれかであり、且つ窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1又は2つのヘテロ原子(ここで、窒素及び硫黄ヘテロ原子は、任意選択で酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は、任意選択で四級化されていてもよい)を含有する5員〜7員の単環式、又は7員〜10員の二環式の複素環を意味し、この複素環には、上記の複素環のいずれかがベンゼン環に縮合された二環式の環が含まれる。複素環は、任意のヘテロ原子又は炭素原子を介して結合され得る。複素環は、以下に規定されるヘテロアリールを含む。複素環は、モルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizynyl)、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニルなどを含む。
【0384】
「任意選択で置換されるアルキル」、「任意選択で置換されるアルケニル」、「任意選択で置換されるアルキニル」、「任意選択で置換されるアシル」、及び「任意選択で置換される複素環」という用語は、置換されるとき、少なくとも1つの水素原子が置換基で置換されることを意味する。オキソ置換基(=O)の場合、2つの水素原子が置換される。これに関して、置換基は、オキソ、ハロゲン、複素環、−CN、−ORx、−NRxRy、−NRxC(=O)Ry、−NRxSO2Ry、−C(=O)Rx、−C(=O)ORx、−C(=O)NRxRy、−SOnRx及び−SOnNRxRyを含み、式中、nが、0、1又は2であり、Rx及びRyが、同じか又は異なっており、独立して、水素、アルキル又は複素環であり、前記アルキル及び複素環置換基のそれぞれが、オキソ、ハロゲン、−OH、−CN、アルキル、−ORx、複素環、−NRxRy、−NRxC(=O)Ry、−NRxSO2Ry、−C(=O)Rx、−C(=O)ORx、−C(=O)NRxRy、−SOnRx及び−SOnNRxRyのうちの1つ又は複数で更に置換され得る。
【0385】
「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを意味する。
【0386】
ある実施形態において、本発明の方法は、保護基の使用を必要とし得る。保護基の方法は、当業者に周知である(例えば、Protective Groups in Organic Synthesis,Green,T.W.et al.,Wiley−Interscience,New York City,1999を参照)。簡潔には、本発明に関連して、保護基は、官能基の望ましくない反応性を低下させるか又はなくす任意の基である。保護基は、官能基に加えられて、特定の反応中のその反応性を遮蔽し、その後、除去されることで、元の官能基が現れ得る。ある実施形態において、「アルコール保護基」が使用される。「アルコール保護基」は、アルコール官能基の望ましくない反応性を低下させるか又はなくす任意の基である。保護基は、当該技術分野において周知の技術を用いて、加えられ、除去され得る。
【0387】
式Aの合成
ある実施形態において、本発明の核酸−脂質粒子は、式A:
【化16】
のカチオン性脂質を用いて製剤化され、式中、R1及びR2が、独立して、アルキル、アルケニル又はアルキニルであり、それぞれが任意選択で置換されていてもよく、R3及びR4が、独立して、低級アルキルであり、又はR3及びR4が、一緒になって、任意選択で置換される複素環を形成することができる。ある実施形態において、カチオン性脂質は、XTC(2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン)である。一般に、上の式Aの脂質は、以下の反応スキーム1又は2によって作製され得、ここで、全ての置換基は、特に示されない限り、上で定義されるとおりである。
【0388】
【化17】
脂質A(式中、R1及びR2が、独立して、アルキル、アルケニル又はアルキニルであり、それぞれが任意選択で置換されていてもよく、R3及びR4が、独立して、低級アルキルであり、又はR3及びR4が、一緒になって、任意選択で置換される複素環を形成することができる)は、スキーム1にしたがって調製され得る。ケトン1及び臭化物2は、購入されるか又は当業者に公知の方法にしたがって調製され得る。1及び2の反応により、ケタール3が得られる。アミン4によるケタール3の処理により、式Aの脂質が得られる。式Aの脂質は、式5(式中、Xが、ハロゲン、水酸化物、ホスフェート、サルフェートなどから選択されるアニオン対イオンである)の有機塩を用いて、対応するアンモニウム塩に転化され得る。
【0389】
【化18】
或いは、ケトン1の出発材料は、スキーム2にしたがって調製され得る。グリニャール試薬6及びシアン化物7は、購入されるか又は当業者に公知の方法にしたがって調製され得る。6及び7の反応により、ケトン1が得られる。式Aの対応する脂質へのケトン1の転化は、スキーム1に表される。
【0390】
MC3の合成
DLin−M−C3−DMA(即ち、(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル4−(ジメチルアミノ)ブタノエート)の調製は以下のとおりであった。ジクロロメタン(5mL)中の(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−オール(0.53g)、4−N,N−ジメチルアミノ酪酸塩酸塩(0.51g)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン(0.61g)及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.53g)の溶液を、室温で一晩撹拌した。溶液を、希塩酸で洗浄し、続いて、希炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機画分を、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を回転蒸発器において除去した。残渣を、1〜5%のメタノール/ジクロロメタン溶出勾配を用いてシリカゲルカラム(20g)に通した。精製された生成物を含有する画分を組み合わせて。溶媒を除去し、無色油(0.54g)を得た。
【0391】
ALNY−100の合成
ケタール519[ALNY−100]の合成を、スキーム3にしたがって行った。
【化19】
【0392】
515の合成
二口丸底フラスコ(1L)中で、200mlの無水THF中のLiAlH(3.74g、0.09852mol)の撹拌懸濁液に、70mLのTHF中の514(10g、0.04926mol)の溶液を、窒素雰囲気下で、00Cでゆっくりと加えた。完全に加えた後、反応混合物を室温まで温め、次に、4時間加熱還流させた。反応の進行をTLCによって監視した。(TLCによる)反応の完了後、混合物を00Cに冷却し、飽和NaSO溶液の慎重な添加によってクエンチした。反応混合物を室温で4時間撹拌し、ろ過して取り除いた。残渣をTHFで十分に洗浄した。ろ液及び洗浄液を混合し、400mLのジオキサン及び26mLの濃HClで希釈し、室温で20分間撹拌した。揮発性物質を、減圧下で取り除いて、白色の固体として515の塩酸塩を得た。収量:7.12g H−NMR(DMSO、400MHz):δ=9.34(broad,2H)、5.68(s,2H)、3.74(m,1H)、2.66〜2.60(m,2H)、2.50〜2.45(m,5H)。
【0393】
516の合成
250mLの二口丸底フラスコ中で、100mLの乾燥DCM中の化合物515の撹拌溶液に、NEtを加え(37.2mL、0.2669mol)、窒素雰囲気下で0℃に冷却した。50mLの乾燥DCM中のN−(ベンジルオキシ−カルボニルオキシ)−スクシンイミド(20g、0.08007mol)をゆっくりと加えた後、反応混合物を、室温まで温めた。反応(TLCによって2〜3時間)の完了後、混合物を、1NのHCl溶液(1×100mL)及び飽和NaHCO溶液(1×50mL)で連続して洗浄した。次に、有機層を、無水Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を蒸発させて、粗材料を得て、それを、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、粘着性の塊として516を得た。収量:11g(89%)。H−NMR(CDCl、400MHz):δ=7.36〜7.27(m,5H)、5.69(s,2H)、5.12(s,2H)、4.96(br.,1H)2.74(s,3H)、2.60(m,2H)、2.30〜2.25(m,2H)。LC−MS[M+H]−232.3(96.94%)。
【0394】
517A及び517Bの合成
シクロペンテン516(5g、0.02164mol)を、500mLの一口丸底フラスコ中で、220mLのアセトン及び水(10:1)の溶液に溶解させ、それに、N−メチルモルホリン−N−オキシド(7.6g、0.06492mol)、続いて、4.2mLの、tert−ブタノール中のOsO(0.275g、0.00108mol)の7.6%溶液を室温で加えた。反応(約3時間)の完了の後、混合物を、固体NaSOの添加によってクエンチし、得られた混合物を、室温で1.5時間撹拌した。反応混合物を、DCM(300mL)で希釈し、水(2×100mL)、続いて、飽和NaHCO(1×50mL)溶液、水(1×30mL)及び最後に塩水(1×50mL)で洗浄した。有機相を、無水NaSO上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗材料のシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製により、ジアステレオマーの混合物を得て、それを、分取HPLCによって分離した。収量:−6gの粗517A−ピーク−1(白色の固体)、5.13g(96%)。1H−NMR(DMSO、400MHz):δ=7.39〜7.31(m,5H)、5.04(s,2H)、4.78〜4.73(m,1H)、4.48〜4.47(d,2H)、3.94〜3.93(m,2H)、2.71(s,3H)、1.72〜1.67(m,4H)。LC−MS−[M+H]−266.3、[M+NH4+]−283.5存在、HPLC−97.86%。X線により確認された立体化学。
【0395】
518の合成
化合物505の合成について記載されるのと同様の手順を用いて、化合物518(1.2g、41%)を無色油として得た。1H−NMR(CDCl、400MHz):δ=7.35〜7.33(m,4H)、7.30〜7.27(m,1H)、5.37〜5.27(m,8H)、5.12(s,2H)、4.75(m,1H)、4.58〜4.57(m,2H)、2.78〜2.74(m,7H)、2.06〜2.00(m,8H)、1.96〜1.91(m,2H)、1.62(m,4H)、1.48(m,2H)、1.37〜1.25(br m,36H)、0.87(m,6H)。HPLC−98.65%。
【0396】
化合物519の合成のための一般的な手順
ヘキサン(15mL)中の化合物518(1当量)の溶液を、THF(1M、2当量)中のLAHの氷冷した溶液に滴下して加えた。完全に加えた後、混合物を、0.5時間にわたって40℃で加熱し、次に、氷浴上で再度冷却した。混合物を、飽和NaSO水溶液を用いて慎重に加水分解し、次に、セライトを通してろ過し、還元して油にした。カラムクロマトグラフィーにより、純粋な519(1.3g、68%)が得られ、これは、無色油として得られた。13C NMR δ=130.2、130.1(×2)、127.9(×3)、112.3、79.3、64.4、44.7、38.3、35.4、31.5、29.9(×2)、29.7、29.6(×2)、29.5(×3)、29.3(×2)、27.2(×3)、25.6、24.5、23.3、226、14.1;エレクトロスプレーMS(+ve):C4480NOについての分子量(M+H)+計算値654.6、実測値654.6。
【0397】
標準的な又は押し出しフリー(extrusion−free)方法のいずれかにより調製された製剤は、同様の方法で特徴付けることができる。例えば、製剤は典型的には視認検査により特徴付けられる。製剤は凝集体又は沈殿物を含まない白みがかった半透明溶液である筈である。脂質−ナノ粒子の粒子サイズ及び粒子サイズ分布は、例えば、Malvern Zetasizer Nano ZS(Malvern,USA)を使用した光散乱により測定することができる。粒子は、そのサイズが約20〜300nm、例えば40〜100nmである必要がある。粒子サイズ分布は、単峰形である必要がある。製剤中の総dsRNA濃度、及び捕捉された割合は、色素排除アッセイを用いて概算される。処方されたdsRNAのサンプルは、製剤崩壊界面活性剤、例えば0.5%トリトン−X100の存在又は不在下、Ribogreen(Molecular Probes)などのRNA結合染料とともにインキュベートされてもよい。製剤中の総dsRNAは、標準的な曲線に対する界面活性剤を含むサンプルからの信号により決定され得る。捕捉された割合は、総dsRNA含有量から「遊離」dsRNA含有量(界面活性剤の不在下で信号により測定した)を減算することにより決定される。捕捉されたdsRNAのパーセントは、典型的には>85%である。SNALP製剤の場合、粒子サイズは、少なくとも30nm、少なくとも40nm、少なくとも50nm、少なくとも60nm、少なくとも70nm、少なくとも80nm、少なくとも90nm、少なくとも100nm、少なくとも110nm、及び少なくとも120nmである。好適な範囲は、典型的には少なくとも約50nm〜少なくとも約110nm、少なくとも約60nm〜少なくとも約100nm、又は少なくとも約80nm〜少なくとも約90nmである。
【0398】
経口投与用の組成物及び製剤には、散剤又は顆粒、微粒子、ナノ粒子、縣濁剤、又は水若しくは非水性媒体中の液剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、薬袋、錠剤又は小型錠剤が挙げられる。増粘剤、風味剤、希釈剤、乳化剤、分散助剤又は結合剤は、所望され得る。いくつかの実施形態では、経口製剤は、本発明を特徴付けるdsRNAが、1種又は複数種の透過促進剤界面活性剤及びキレート剤とともに投与されるものである。好適な界面活性剤には、脂肪酸及び/若しくはエステル又はその塩、胆汁酸及び/又はその塩が挙げられる。好適な胆汁酸/塩には、ケノデオキシコール酸(CDCA)及びウルソデオキシケノデオキシコール酸(UDCA)、コール酸、デヒドロコール酸、デオキシコール酸、グルコール酸、グリコール酸、グリコデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロ−24,25−ジヒドロ−フシジン酸ナトリウム及びグリコジヒドロフシジン酸ナトリウムが挙げられる。好適な脂肪酸には、アラキドン酸、ウンデカン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1−モノカプレート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリン、若しくはモノグリセリド、ジグリセリド、又はこれらの薬学的に許容され得る塩(例えば、ナトリウム)が挙げられる。いくつかの実施形態において、浸透促進剤の組み合わせ、例えば胆汁酸/塩と組み合わせた脂肪酸/塩が使用される。例示的な1つの組み合わせは、ラウリン酸、カプリン酸及びUDCAのナトリウム塩である。更なる浸透促進剤には、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−20−セチルエーテルが挙げられる。本発明を特徴付けるDsRNAは、噴霧乾燥粒子、又はマイクロ若しくはナノ粒子を形成するために錯体化されたものを含む顆粒形態で経口的に送達され得る。dsRNA錯体化剤には、ポリ−アミノ酸;ポリイミン;ポリアクリレート;ポリアルキルアクリレート、ポリオキセタン、ポリアルキルシアノアクリレート;陽イオン化ゼラチン、アルブミン、澱粉、アクリレート、ポリエチレングリコール(PEG)及び澱粉;ポリアルキルシアノアクリレート;DEAE−誘導体化ポリイミン、プルラン、セルロース及び澱粉が挙げられる。好適な錯体化剤には、キトサン、N−トリメチルキトサン、ポリ−L−リシン、ポリヒスチジン、ポリオルニチン、ポリスペルミン、プロタミン、ポリビニルピリジン、ポリチオジエチルアミノメチルエチレンP(TDAE)、ポリアミノスチレン(例えば、p−アミノ)、ポリ(メチルシアノアクリレート)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(ブチルシアノアクリレート)、ポリ(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(イソヘキシルシアノ(cynao)アクリレート)、DEAE−メタクリレート、DEAE−ヘキシルアクリレート、DEAE−アクリルアミド、DEAE−アルブミン及びDEAE−デキストラン、ポリメチルアクリレート、ポリヘキシルアクリレート、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(DL−乳酸−コ−グリコール酸(PLGA)、アルギン酸塩、及びポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。dsRNA用の経口製剤、及びそれらの製剤は、その各々が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,887,906号明細書、米国特許出願公開第20030027780号明細書及び米国特許第6,747,014号明細書に記載されている。
【0399】
非経口、実質内(脳内へ)、くも膜下腔内、脳室内又は肝内投与用の組成物及び製剤には、無菌水性溶液を挙げることができ、その無菌水性溶液は、緩衝液、希釈剤、並びに非限定的に浸透促進剤、担体化合物、及び他の薬学的に許容され得る担体又は賦形剤などの他の好適な添加剤も含み得る。
【0400】
本発明の医薬組成物は、非限定的に、液剤、乳剤、及びリポソーム含有製剤を含む。これらの組成物は、非限定的に予め形成された液剤、自己乳化型固体及び自己乳化型半固体を含む多様な構成成分から生成され得る。肝癌腫などの肝疾患を処置する際、肝臓を標的とする製剤が特に好ましい。
【0401】
単位剤形にて都合よく存在し得る本発明の医薬製剤は、医薬産業にて周知の従来の技術に従って調製することができる。そのような技術は、活性成分を医薬担体又は賦形剤と関連させるステップを含む。一般に、製剤は、活性成分を液体担体又は微粉化固体担体又は両方と均一且つ親密に関連させた後、必要であれば、製品を成形することにより調製される。
【0402】
本発明の組成物は、非限定的に錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、液体シロップ剤、ソフトゲル剤、坐薬、及び浣腸などの多数の可能な剤形のいずれかに処方され得る。本発明の組成物はまた、水性、非水性又は混合媒体中の懸濁液として処方され得る。水性縣濁液は、更に、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール及び/又はデキストランを含む、縣濁液の粘度を増大させる物質を含んでもよい。縣濁液はまた、安定剤を含み得る。
【0403】
C.更なる製剤
i.エマルション
本発明の組成物は、エマルションとして、調製され、製剤化され得る。エマルションは、典型的に、1つの液体が、通常、直径が0.1μmを超える液滴の形態の別の液体中に分散された不均一系である(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams&Wilkins(8th ed.),New York,NY;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,Volume 1,p.245;Block in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 2,p.335;Higuchi et al.,in Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1985,p.301を参照)。エマルションは、多くの場合、互いに親密に混合され及び分散された2つの非混和性液体相を含む二層系である。一般に、エマルションは、油中水(w/o)又は水中油(o/w)の種類のいずれかであり得る。水性相が微小液滴として塊の油相中に微細に分割され及び分散された場合、得られた組成物は、油中水(w/o)エマルションと呼ばれる。代替的に、油相が微小液滴として塊の水性相中に微細に分割され及び分散された場合、得られた組成物は、水中油(o/w)エマルションと呼ばれる。エマルションは、分散相及び活性薬物に加えて追加の構成成分を含むことができ、その構成成分は、水性相、油相中の溶液として、又はそれ自体が別個の相として存在し得る。必要に応じてエマルション中に乳化剤、安定剤、染料、及び抗酸化剤などの医薬賦形剤も存在し得る。医薬エマルションは、例えば、油中水中油(o/w/o)及び水中油中水(w/o/w)エマルションの場合など、3つ以上の相からなる多エマルションであり得る。そのような複合製剤は、多くの場合、単純な二成分エマルションが提供しない所定の利点を提供する。o/wエマルションの個々の油小滴が小さい水小滴を囲い込む多エマルションは、w/o/wエマルションを構成する。同様に、油の連続相中で安定化された水の小球中に囲い込まれた油小滴の系は、o/w/oエマルションを提供する。
【0404】
エマルションは、熱力学的安定性を殆ど又は全く有さないことにより特徴付けられる。多くの場合、エマルションの分散又は不連続相は、外部又は連続相中に良好に分散され、乳化剤の手段、又は製剤の粘度を介してこの形態に維持される。エマルションの相のいずれかは、エマルション型軟膏ベース及びクリームの場合のように半固体又は固体であり得る。エマルションを安定化させる他の手段には、エマルションのいずれかの相に組み込まれ得る乳化剤の使用が含まれる。乳化剤は、合成界面活性剤、天然乳化剤、吸収基剤、及び微細に分散した固体の4つのカテゴリーに大きく分類され得る(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams&Wilkins(8th ed.),New York,NY;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199を参照)。
【0405】
表面活性剤としても知られている合成界面活性剤は、エマルションの製剤化に広範な適用性が見出されており、文献に概説されている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams&Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rieger,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.285;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,1988,volume 1,p.199を参照)。界面活性剤は、通常、両親媒性であり、親水性部分及び疎水性部分を含む。界面活性剤の疎水性に対する親水性の比率は、親水性/親油性バランス(HLB)と称されており、製剤の調製の際の界面活性剤の分類及び選択の際の貴重な手段である。界面活性剤は、親水性基の性質に基づいて、異なる種類、即ち、非イオン性、アニオン性、カチオン性及び両性に分類され得る(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams&Wilkins(8th ed.),New York,NY Rieger,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.285を参照)。
【0406】
エマルション製剤中に使用される、天然に存在する乳化剤には、ラノリン、蜜蝋、ホスファチド、レシチン及びアカシアが挙げられる。吸収ベースは、無水ラノリン及び親水性ワセリンのように、水を取り入れてw/oエマルションを形成するが、尚それらの半固体稠度を維持する親水性特性を所有する。微粉化固体は、特に界面活性剤の組み合わせ中、及び粘稠な製剤中で、良好な乳化剤として使用されている。これらには、重金属水酸化物などの極性無機固体、ベントナイト、アタパルジャイト、ヘクトライト、カオリン、モンモリロナイト、コロイド状ケイ酸アルミニウム及びコロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウムなどの非膨潤粘土、顔料、及び炭素などの非極性固体又はトリステアリン酸グリセリルが挙げられる。
【0407】
非常に多様な非乳化材料もエマルション製剤中に含まれ、エマルションの特性に寄与する。それらには、脂肪、油、蝋、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪エステル、湿潤剤、親水性コロイド、保存剤及び抗酸化剤が挙げられる(Block,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.335;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199)。
【0408】
親水性コロイド又は親水コロイドには、多糖(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、カラゲナン、グァーガム、カラヤガム、及びトラガカント)などの天然に存在するゴム及び合成ポリマー、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース及びカルボキシプロピルセルロース)、及び合成ポリマー(例えば、カルボマー、セルロースエーテル、及びカルボキシビニルポリマー)が挙げられる。これらは水中に分散し又は水中で膨潤して、分散相の小滴の周囲に強力な界面フィルムを形成することにより、また、外部相の粘度を増大させることにより、エマルションを安定化するコロイド溶液を形成する。
【0409】
エマルションは、多くの場合、微生物の増殖を容易に支持し得る炭水化物、タンパク質、ステロール及びホスファチドなどの多数の成分を含むため、これらの製剤は、多くの場合、保存剤を組み込んでいる。製剤に含まれる、通常使用される保存剤には、メチルパラベン、プロピルパラベン、第四級アンモニウム塩、塩化ベンズアルコニウム、p−ヒドロキシ安息香酸のエステル、及びホウ酸が挙げられる。抗酸化剤も、通常、エマルション製剤に加えられて、製剤の変質を防止する。使用される抗酸化剤は、トコフェロール、没食子酸アルキル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンなどの遊離基スカベンジャー、又はアスコルビン酸及びメタ重亜硫酸ナトリウムなどの還元剤、並びにクエン酸、酒石酸及びレシチンなどの抗酸化剤共力剤であり得る。
【0410】
皮膚、経口及び非経口経路を介したエマルション製剤の適用並びにそれらの製造方法は、文献に概説されている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams&Wilkins(8th ed.),New York,NY;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199を参照)。経口送達用のエマルション製剤は、製剤化の容易さ、並びに吸収及び生物学的利用能の観点からの有効性のため、非常に広範に使用されている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams&Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199を参照)。鉱油基剤の緩下剤、油溶性ビタミン及び高脂肪栄養製剤が、o/w型エマルションとして一般的に経口投与されている材料に含まれる。
【0411】
ii.マイクロエマルション
本発明の一実施形態において、iRNA及び核酸の組成物は、マイクロエマルションとして製剤化される。マイクロエマルションは、単一の光学的に等方性で且つ熱力学的に安定した液体溶液である、水、油及び両親媒性物質の系として定義され得る(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams&Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245を参照)。典型的には、マイクロエマルションは、最初に油を水性界面活性剤溶液中に分散した後、十分な量の第四の構成成分、一般に中間の鎖長のアルコールを加えて透明系を形成することにより調製される。従って、マイクロエマルションは、表面活性分子の界面フィルムにより安定化されている2つの非混和性液体からなる熱力学的に安定な、等方的に透明な分散物として記載されている(Leung and Shah,in:Controlled Release of Drugs:Polymers and Aggregate Systems,Rosoff,M.,Ed.,1989,VCH Publishers,New York,pp.185−215)。マイクロエマルションは通常、油、水、界面活性剤、補助界面活性剤及び電解質を含む3〜5つの構成成分の組み合わせを用いて調製される。マイクロエマルションが油中水(w/o)タイプ又は水中油(o/w)タイプのいずれのものであるかは、使用される油及び界面活性剤の特性と、界面活性剤分子の極性頭部及び炭化水素尾部の構造及び幾何学的充填(geometric packing)とに依存する(Schott,in Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1985,p.271)。
【0412】
状態図を用いる現象論的手法が広範に研究されており、マイクロエマルションを製剤化する方法についての広範な知識を当業者に与えている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams&Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245;Block,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.335を参照)。従来のエマルションと比較して、マイクロエマルションは、自発的に形成する熱力学的に安定な小滴の製剤中で水不溶性薬物を可溶化する利点を提供する。
【0413】
マイクロエマルションの調製に使用される界面活性剤には、単独で又は補助界面活性剤との組み合わせで、非限定的に、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、Brij 96、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、モノラウリン酸テトラグリセロール(ML310)、モノオレイン酸テトラグリセロール(MO310)、モノオレイン酸ヘキサグリセロール(PO310)、ペンタオレイン酸ヘキサグリセロール(PO500)、モノカプリン酸デカグリセロール(MCA750)、モノオレイン酸デカグリセロール(MO750)、セスキオレイン酸(sequioleate)デカグリセロール(SO750)、デカオレイン酸デカグリセロール(DAO750)が挙げられる。通常、エタノール、1−プロパノール、及び1−ブタノールなどの短鎖アルコールである補助界面活性剤は、界面活性剤フィルム中に浸透し、その結果、界面活性剤分子間に生成された空隙空間によって不規則フィルムを形成することにより、界面流動性を増大させる役割を果たす。しかしながら、マイクロエマルションは、補助界面活性剤を使用することなく調製されることができ、アルコールフリー自己乳化型マイクロエマルション系は、当技術分野にて既知である。水性相は、典型的には、非限定的に水、薬物の水性溶液、グリセロール、PEG300、PEG400、ポリグリセロール、プロピレングリコール、及びエチレングリコールの誘導体とすることができる。油相は、非限定的にCaptex 300、Captex 355、Capmul MCM、脂肪酸エステル、中鎖(C8〜C12)モノ、ジ、及びトリ−グリセリド、ポリオキシエチル化グリセリル脂肪酸エステル、脂肪アルコール、ポリグリコール化グリセリド、飽和ポリグリコール化C8〜C10グリセリド、植物油及びシリコーン油などの材料を含むことができる。
【0414】
マイクロエマルションは、薬物可溶化及び薬物吸収向上の観点から特に興味深い。脂質ベースのマイクロエマルション(o/w及びw/oの両方)は、ペプチドを含む薬物の経口バイオアベイラビリティの向上に提案されている(例えば米国特許第6,191,105号明細書、米国特許第7,063,860号明細書、米国特許第7,070,802号明細書、米国特許第7,157,099号明細書、Constantinides et al.,Pharmaceutical Research,1994,11,1385−1390;Ritschel,Meth.Find.Exp.Clin.Pharmacol.,1993,13,205を参照されたい)。マイクロエマルションは、薬物可溶化の改善、酵素加水分解からの薬物の保護、界面活性剤誘導による膜流動性及び透過性の変更に起因する薬物吸収の可能な向上、調製の容易さ、固体剤形を超える経口投与の容易さ、臨床的効能の改善、及び毒性の低下の利点を提供する(例えば例えば米国特許第6,191,105号明細書、米国特許第7,063,860号明細書、米国特許第7,070,802号明細書、米国特許第7,157,099号明細書、Constantinides et al.,Pharmaceutical Research,1994,11,1385;Ho et al.,J.Pharm.Sci.,1996,85,138−143を参照されたい)。多くの場合、マイクロエマルションは、マイクロエマルションの構成成分が周囲温度で一緒にされた際に自発的に形成され得る。このことは、易熱性薬物、ペプチド又はiRNAを処方する際に特に有利であり得る。マイクロエマルションはまた美容及び医薬用途の両方において活性構成成分の経費送達に有効である。本発明のマイクロエマルション組成物及び製剤が胃腸管からのiRNA及び核酸の全身吸収の増大、並びにiRNA及び核酸の局部細胞取り込みの改善を促進することが期待される。
【0415】
本発明のマイクロエマルションはまた、モノステアリン酸ソルビタン(Grill 3)、ラブラソール(Labrasol)、及び透過促進剤などの追加の構成成分及び添加剤を含んで、製剤の特性を改善し、且つ本発明のiRNA及び核酸の吸収を向上させ得る。本発明のマイクロエマルション中で使用される浸透促進剤は、5つの広いカテゴリーの1つに属するものとして分類され得る−−界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート化剤、及び非キレート化非界面活性剤(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92)。これらのクラスの各々は、上記に論じられている。
【0416】
iii.微粒子
本発明のiRNA剤は、粒子、例えば、微粒子に組み込まれてもよい。微粒子は、噴霧乾燥によって生成され得るが、凍結乾燥、蒸発、流体床乾燥、真空乾燥、又はこれらの技術の組み合わせを含む他の方法によって生成されてもよい。
【0417】
iv.浸透促進剤
一実施形態において、本発明は、動物の皮膚への、核酸、特にiRNAの効率的な送達を行うために様々な浸透促進剤を用いる。ほとんどの薬剤が、イオン化及び非イオン化の両方の形態で溶液中に存在する。しかしながら、通常、脂溶性又は親油性の薬剤のみが、細胞膜を容易に横断する。横断される膜が浸透促進剤で処理されている場合、非親油性薬剤でも細胞膜を横断することができることが発見されている。細胞膜をわたる非親油性薬剤の拡散の補助に加えて、浸透促進剤は、親油性薬剤の浸透性も向上させる。
【0418】
浸透促進剤は、即ち、界面活性剤、脂肪酸、胆汁塩、キレート剤、及び非キレート非界面活性剤の5つの大きいカテゴリーのうちの1つに属するものとして分類され得る(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92を参照)。浸透促進剤の上記の種類のそれぞれが、以下により詳細に記載される。
【0419】
界面活性剤(又は「表面活性剤」)は、水溶液に溶解されると、溶液の表面張力又は水溶液と別の液体との間の界面張力を低下させ、粘膜を通るiRNAの吸収が向上されるという結果を生じる化学物質である。胆汁塩及び脂肪酸に加えて、これらの浸透促進剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル及びポリオキシエチレン−20−セチルエーテル)(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92を参照);及びFC−43などのペルフルオロ化合物エマルション(Takahashi et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1988,40,252)が挙げられる。
【0420】
浸透促進剤として作用する様々な脂肪酸及びそれらの誘導体としては、例えば、オレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸(n−デカン酸)、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン(1−モノオレイル−rac−グリセロール)、ジラウリン、カプリル酸、アラキドン酸、グリセロール1−モノカプレート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリン、それらのC1〜20アルキルエステル(例えば、メチル、イソプロピル及びt−ブチル)、並びにそれらのモノグリセリド及びジグリセリド(即ち、オレエート、ラウレート、カプレート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、リノレエートなど)が挙げられる(例えば、Touitou,E.,et al.Enhancement in Drug Delivery,CRC Press,Danvers,MA,2006;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1−33;El Hariri et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1992,44,651−654を参照)。
【0421】
胆汁の生理学的役割には、脂質及び脂溶性ビタミンの分散及び吸収の促進が含まれる(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Brunton,Chapter 38 in:Goodman&Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,9th Ed.,Hardman et al.Eds.,McGraw−Hill,New York,1996,pp.934−935を参照)。様々な天然の胆汁塩、及びそれらの合成誘導体が、浸透促進剤として作用する。したがって、「胆汁塩」という用語は、胆汁の天然成分のいずれか並びにそれらの合成誘導体のいずれかを含む。好適な胆汁塩としては、例えば、コール酸(又はその薬学的に許容され得るナトリウム塩、コール酸ナトリウム)、デヒドロコール酸(デヒドロコール酸ナトリウム)、デオキシコール酸(デオキシコール酸ナトリウム)、グルコール酸(glucholic acid)(グルコール酸ナトリウム(sodium glucholate))、グリコール酸(グリココール酸ナトリウム)、グリコデオキシコール酸(グリコデオキシコール酸ナトリウム)、タウロコール酸(タウロコール酸ナトリウム)、タウロデオキシコール酸(タウロデオキシコール酸ナトリウム)、ケノデオキシコール酸(ケノデオキシコール酸ナトリウム)、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、ナトリウムタウロ−24,25−ジヒドロ−フシデート(STDHF)、グリコジヒドロフシジン酸ナトリウム及びポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(POE)が挙げられる(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,page 92;Swinyard,Chapter 39 In:Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Gennaro,ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1990,pp.782−783;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1−33;Yamamoto et al.,J.Pharm.Exp.Ther.,1992,263,25;Yamashita et al.,J.Pharm.Sci.,1990,79,579−583を参照)。
【0422】
本発明に関連して使用されるキレート剤は、金属イオンとの錯体を形成することによって溶液から金属イオンを除去し、粘膜を通るiRNAの吸収が向上されるという結果を生じる化合物として定義され得る。本発明における浸透促進剤としてのキレート剤の使用に関して、ほとんどの特徴付けられたDNAヌクレアーゼが触媒作用のために二価金属イオンを必要とし、したがって、キレート剤によって阻害されるため、キレート剤は、DNアーゼ阻害剤としても作用するという更なる利点を有する(Jarrett,J.Chromatogr.,1993,618,315−339)。好適なキレート剤としては、限定はされないが、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、クエン酸、サリチレート(例えば、サリチル酸ナトリウム、5−メトキシサリチレート及びホモバニレート(homovanilate))、コラーゲンのN−アシル誘導体、ラウレス−9及びβ−ジケトンのN−アミノアシル誘導体(エナミン)が挙げられる(例えば、Katdare,A.et al.,Excipient development for pharmaceutical,biotechnology,and drug delivery,CRC Press,Danvers,MA,2006;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1−33;Buur et al.,J.Control Rel.,1990,14,43−51を参照)。
【0423】
本明細書において使用される際、非キレート非界面活性剤の浸透促進化合物は、キレート剤又は界面活性剤としてのわずかな活性を示すが、それにもかかわらず、消化器粘膜を通るiRNAの吸収を促進する化合物として定義され得る(例えば、Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1−33を参照)。この種類の浸透促進剤としては、例えば、不飽和環状尿素、1−アルキル−及び1−アルケニルアザシクロ−アルカノン誘導体(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92);並びにジクロフェナクナトリウム、インドメタシン及びフェニルブタゾンなどの非ステロイド性抗炎症剤(Yamashita et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1987,39,621−626)が挙げられる。
【0424】
細胞レベルにおけるiRNAの取り込みを促進する剤も、本発明の医薬組成物及び他の組成物に加えられ得る。例えば、リポフェクチン(lipofectin)などのカチオン性脂質(Junichiらの米国特許第5,705,188号明細書)、カチオン性グリセロール誘導体、及びポリリジンなどのポリカチオン性分子(LolloらのPCT出願の国際公開第97/30731号パンフレット)も、dsRNAの細胞取り込みを促進することが知られている。市販のトランスフェクション試薬の例としては、特に、例えば、Lipofectamine(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Lipofectamine 2000(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、293fectin(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Cellfectin(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、DMRIE−C(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、FreeStyle(商標)MAX(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Lipofectamine(商標)2000 CD(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Lipofectamine(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、iRNAMAX(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Oligofectamine(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Optifect(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、X−tremeGENE Q2 Transfection Reagent(Roche;Grenzacherstrasse,Switzerland)、DOTAP Liposomal Transfection Reagent(Grenzacherstrasse,Switzerland)、DOSPER Liposomal Transfection Reagent(Grenzacherstrasse,Switzerland)、又はFugene(Grenzacherstrasse,Switzerland)、Transfectam(登録商標)Reagent(Promega;Madison,WI)、TransFast(商標)Transfection Reagent(Promega;Madison,WI)、Tfx(商標)−20 Reagent(Promega;Madison,WI)、Tfx(商標)−50 Reagent(Promega;Madison,WI)、DreamFect(商標)(OZ Biosciences;Marseille,France)、EcoTransfect(OZ Biosciences;Marseille,France)、TransPass D1 Transfection Reagent(New England Biolabs;Ipswich,MA,USA)、LyoVec(商標)/LipoGen(商標)(Invitrogen;San Diego,CA,USA)、PerFectin Transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、NeuroPORTER Transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、GenePORTER Transfection reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、GenePORTER 2 Transfection reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、Cytofectin Transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、BaculoPORTER Transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、TroganPORTER(商標)transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、RiboFect(Bioline;Taunton,MA,USA)、PlasFect(Bioline;Taunton,MA,USA)、UniFECTOR(B−Bridge International;Mountain View,CA,USA)、SureFECTOR(B−Bridge International;Mountain View,CA,USA)、又はHiFect(商標)(B−Bridge International,Mountain View,CA,USA)が挙げられる。
【0425】
エチレングリコール及びプロピレングリコールなどのグリコール、2−ピロールなどのピロール、アゾン、並びにリモネン及びメントンなどのテルペンを含む、他の剤を用いて、投与される核酸の浸透を促進することができる。
【0426】
v.担体
本発明の所定の組成物は、製剤中に担体化合物も組み込んでいる。本明細書で使用される「担体化合物」又は「担体」は、不活性(即ち、生物学的活性perseを所有しない)であり得るが、例えば、生物学的に活性な核酸を分解し、又は循環からの核酸の除去を促進することによる、生物学的活性を有する核酸のバイオアベイラビリティを低下させるインビボでのプロセスによって、核酸であると認識される核酸又はその類似体を指すことができる。核酸及び担体化合物の共投与、典型的には過剰な後者の物質による共投与により、おそらくは共通の受容体に対する担体化合物と核酸との競合に起因して、肝臓、腎臓又は他の循環外リザーバ(extracirculatory reservoir)中で回収される核酸の量が実質的に低下し得る。例えば、肝組織内での部分的ホスホロチオエートの回収は、それがポリイノシン酸、デキストラン硫酸塩、ポリシチジル酸(polycytidic acid)又は4−アセトアミド−4’イソチオシアノ−スチルベン−2,2’−ジスルホン酸と共投与された際、低下され得る(Miyao et al.,DsRNA Res.Dev.,1995,5,115−121;Takakura et al.,DsRNA&Nucl.Acid Drug Dev.,1996,6,177−183。
【0427】
vi.賦形剤
担体化合物とは対照的に、「医薬担体」又は「賦形剤」は、動物に1つ又は複数の核酸を送達するための薬学的に許容され得る溶媒、懸濁剤、又は任意の他の薬理学的に不活性なビヒクルである。賦形剤は、液体又は固体とすることができ、計画された投与方法を考慮に入れて、核酸及び医薬組成物の他の所定の構成成分と組み合わされた際に、所望の嵩、稠度などを提供するように選択される。典型的な医薬担体には、非限定的に、結合剤(例えば、α化トウモロコシ澱粉、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロースなど);充填剤(例えば、乳糖及び他の糖、微結晶セルロース、ペクチン、ゼラチン、硫酸カルシウム、エチルセルロース、ポリアクリレート又はリン酸水素カルシウムなど);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸、金属ステアリン酸塩、水素化植物油、トウモロコシ澱粉、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなど);錠剤崩壊剤(例えば、澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウムなど);及び湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなど)が挙げられる。
【0428】
核酸と有害に反応しない、非−非経口投与に薬学的に許容され得る好適な有機又は無機賦形剤も本発明の組成物の処方に使用され得る。薬学的に許容され得る好適な担体には、非限定的に、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、乳糖、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0429】
核酸の局所投与用の製剤には、アルコールなどの通常の溶媒中の無菌及び非無菌水性溶液、非水性溶液、又は液体若しくは固体油ベース中の核酸溶液を挙げることができる。溶液は、緩衝剤、希釈剤及び他の好適な添加剤も含み得る。核酸と有害に反応しない、非−非経口投与に薬学的に許容され得る好適な有機又は無機賦形剤を使用し得る。
【0430】
薬学的に許容され得る好適な賦形剤には、非限定的に、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、乳糖、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0431】
vii.他の構成成分
本発明の組成物は更に、医薬組成物中に従来見出される他の補助構成成分も、当技術分野にて確立されたそれらの使用レベルで含有し得る。それ故、例えば、組成物は、例えば、鎮痒薬、収斂薬、局所麻酔薬若しくは抗炎症薬剤など、更なる適合可能な医薬的に活性な材料を含有することができ、又は染料、風味剤、保存剤、抗酸化剤、乳白剤、増粘剤及び安定剤などの本発明の組成物の様々な剤形を物理的に処方するのに有用な更なる材料を含有することができる。しかしながら、それらの材料は、加えられた際、本発明の組成物の構成成分の生物学的活性を過度に妨害しない必要がある。製剤は滅菌されてもよく、また所望の場合、製剤の核酸と有害に相互作用しない補助剤、例えば滑沢剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝液、着色料、調味料及び/又は芳香性物質などと混合される。
【0432】
水性縣濁液は、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール及び/又はデキストランを含む、縣濁液の粘度を増大させる物質を含み得る。縣濁液は、安定剤も含み得る。
【0433】
ある実施形態において、本発明に取り上げられる医薬組成物は、(a)1つ又は複数のiRNA化合物と、(b)非iRNA機構によって機能し、溶血性疾患を処置するのに有用な1つ又は複数の剤とを含む。このような剤の例としては、限定はされないが、抗炎症剤、抗脂肪症剤、抗ウイルス剤、及び/又は抗線維症剤が挙げられる。更に、シリマリンなど、肝臓を保護するのに一般的に使用される他の物質も、本明細書に記載されるiRNAとともに使用され得る。肝疾患を処置するのに有用な他の剤としては、テルビブジン、エンテカビル、及びテラプレビルなどのプロテアーゼ阻害剤、並びに例えば、Tungらの米国特許出願公開第2005/0148548号明細書、同第2004/0167116号明細書、及び同第2003/0144217号明細書;及びHaleらの米国特許出願公開第2004/0127488号明細書に開示されている他の剤が挙げられる。
【0434】
このような化合物の毒性及び処置効果は、例えば、LD50(個体群の50%の致死量)及びED50(個体群の50%に治療に有効な用量)を決定するための、細胞培養物又は実験動物における標準的な薬学的手順によって決定され得る。毒性作用と処置効果との間の用量比は、処置指数であり、LD50/ED50比として表され得る。高い処置指数を示す化合物が好ましい。
【0435】
細胞培養アッセイ及び動物試験から得られるデータは、ヒトに使用するためのある範囲の投与量を製剤化するのに使用され得る。本発明における本明細書に取り上げられる組成物の投与量は、一般に、ほとんど又は全く毒性を伴わずにED50を含む血中濃度の範囲内である。投与量は、用いられる剤形及び用いられる投与経路に応じて、この範囲内で変化し得る。本発明に取り上げられる方法に使用される任意の化合物では、治療に有効な用量は、細胞培養アッセイから最初に推測され得る。用量は、細胞培養物中で測定して、IC50(即ち、症状の最大阻害の半分を達成する試験化合物の濃度)を含む、化合物の、又は適切な場合、標的配列のポリペプチド産物の循環血漿濃度範囲を動物モデル内で達成する(例えば、ポリペプチドの濃度の低下を達成する)ように処方され得る。そのような情報を使用して、ヒトでの有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。
【0436】
上記に述べたそれらの投与に加えて、本発明を特徴付けるiRNAは、KHK発現により仲介される病理過程の処置に有効な他の既知の薬剤と組み合わせて投与されてもよい。いずれの場合でも、投与する医師は、観察された結果に基づいて、当技術分野にて既知の又は本明細書に記載される標準的な有効性の尺度を使用して、iRNAの量及び投与時間を調整することができる。
【0437】
VII.本発明の方法
本発明は、KHKに関連する疾病、障害、及び/又は病態(例えば、肝疾患(例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎)、脂質異常症(例えば、高脂血症、高いLDLコレステロール、低いHDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖コントロールの異常(例えば、インスリン抵抗性、糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎臓病(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症性変化)、メタボリックシンドローム、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪蓄積、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害、及び過剰な糖への渇望に罹患しているか、又はそれらを発症しやすい対象に、iRNA剤、iRNA剤を含む医薬組成物、又は本発明のiRNAを含むベクターを投与する工程を含む、治療及び予防方法を提供する。
【0438】
一態様において、本発明は、KHK発現の低下から利益を得られ得る障害、例えば、KHKに関連する疾病、例えば、肝疾患(例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎)、脂質異常症(例えば、高脂血症、高いLDLコレステロール、低いHDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖コントロールの異常(例えば、インスリン抵抗性、糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎臓病(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症性変化)、メタボリックシンドローム、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪蓄積、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害、及び過剰な糖への渇望に罹患している対象を処置する方法を提供する。本発明の処置方法(及び使用)は、治療有効量の、KHK遺伝子を標的とするiRNA剤又はKHK遺伝子を標的とするiRNA剤を含む医薬組成物を、対象、例えば、ヒトに投与し、それによって、KHK発現の低下から利益を得られ得る障害に罹患している対象を処置する工程を含む。
【0439】
一態様において、本発明は、KHK発現の低下から利益を得られ得る障害、例えば、KHKに関連する疾病、例えば、肝疾患(例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎)、脂質異常症(例えば、高脂血症、高いLDLコレステロール、低いHDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖コントロールの異常(例えば、インスリン抵抗性、糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎臓病(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症性変化)、メタボリックシンドローム、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪蓄積、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害、及び過剰な糖への渇望に罹患している対象の少なくとも1つの症状を予防する方法を提供する。本方法は、治療有効量の、本発明のiRNA剤、例えば、dsRNA、又はベクターを対象に投与し、それによって、KHK発現の低下から利益を得られ得る障害に罹患している対象の少なくとも1つの症状を予防する工程を含む。例えば、本発明は、KHK発現の低下から利益を得られ得る障害に罹患している対象の脂質生成及び/又は高尿酸血症を予防するための方法を提供する。
【0440】
別の態様において、本発明は、対象、例えば、KHK発現の低下及び/又は阻害から利益を得られ得る対象を処置するための、治療有効量の本発明のiRNA剤の使用を提供する。
【0441】
更なる態様において、本発明は、対象、例えば、KHK発現の低下から利益を得られ得る障害、例えば、KHKに関連する疾病、例えば、肝疾患(例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎)、脂質異常症(例えば、高脂血症、高いLDLコレステロール、低いHDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖コントロールの異常(例えば、インスリン抵抗性、糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎臓病(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症性変化)、メタボリックシンドローム、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪蓄積、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害、及び過剰な糖への渇望に罹患している対象など、KHK発現の低下及び/又は阻害から利益を得られ得る対象を処置するための薬剤の製造における、KHK遺伝子を標的とする本発明のiRNA剤、例えば、dsRNA又はKHK遺伝子を標的とするiRNA剤を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0442】
別の態様において、本発明は、KHKに関連する疾病、例えば、肝疾患(例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎)、脂質異常症(例えば、高脂血症、高いLDLコレステロール、低いHDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖コントロールの異常(例えば、インスリン抵抗性、糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎臓病(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症性変化)、メタボリックシンドローム、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪蓄積、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害、及び過剰な糖への渇望など、KHK発現の低下及び/又は阻害から利益を得られ得る障害に罹患している対象の少なくとも1つの症状を予防するための、本発明のiRNA、例えば、dsRNAの使用を提供する。
【0443】
更なる態様において、本発明は、KHKに関連する疾病、例えば、肝疾患(例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎)、脂質異常症(例えば、高脂血症、高いLDLコレステロール、低いHDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)、血糖コントロールの異常(例えば、インスリン抵抗性、糖尿病)、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)、腎臓病(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症性変化)、メタボリックシンドローム、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪蓄積、肥満、高尿酸血症、痛風、摂食障害、及び過剰な糖への渇望など、KHK発現の低下及び/又は阻害から利益を得られ得る障害に罹患している対象の少なくとも1つの症状を予防するための薬剤の製造における本発明のiRNA剤の使用を提供する。
【0444】
一実施形態において、KHKを標的とするiRNA剤は、dsRNA剤が対象に投与される場合、例えば、対象の細胞、組織、血液又は他の組織若しくは体液中のKHKレベルが、少なくとも約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、62%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも約99%又はそれ以上だけ低下されるように、KHKに関連する疾病に罹患している対象に投与される。
【0445】
本発明の方法及び使用は、標的KHK遺伝子の発現が、約1、2、3、4 5、6、7、8、12、16、18、24、28、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、又は約80時間などにわたって低下されるように、本明細書に記載される組成物を投与することを含む。一実施形態において、標的KHK遺伝子の発現は、例えば、少なくとも約2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間又はそれ以上、例えば、約1週間、2週間、3週間、又は約4週間又はそれ以上の長期間にわたって低下される。
【0446】
本発明の方法及び使用に係るdsRNAの投与は、KHKに関連する疾病の患者における、このような疾病又は障害の重症度、兆候、症状、及び/又はマーカーを低下させ得る。これに関連して、「低下」とは、このようなレベルの統計的に有意な低下を意味する。低下は、例えば、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は約100%であり得る。
【0447】
疾病の処置又は予防の有効性は、例えば、疾病の進行、疾病の寛解、症状の重症度、痛みの減少、クオリティオブライフ、処置効果を持続させるのに必要な薬剤の用量、疾病マーカーのレベル、又は処置されている若しくは予防の対象となる所定の疾病に適切な測定可能な任意の他のパラメータを測定することによって評価され得る。このようなパラメータのいずれか1つ、又はパラメータの任意の組み合わせを測定することによって処置又は予防の有効性を監視することは、十分当業者の能力の範囲内である。例えば、脂質異常症の処置の有効性は、例えば、LDLコレステロール、HDLコレステロール及びトリグリセリドレベルの定期的な監視によって評価され得る。更なる例では、グルコースコントロールの異常の処置の有効性は、例えば、インスリン及びグルコースレベルの定期的な監視によって評価され得る。別の例では、肥満の処置の有効性は、例えば、ボディーマスインデックスの定期的な監視によって評価され得る。更に別の例では、高血圧症の処置の有効性は、例えば、血圧の定期的な監視によって評価され得る。初期の読み取り値と後の読み取り値との比較は、処置が有効かどうかの指標を医師に与える。このようなパラメータのいずれか1つ、又はパラメータの任意の組み合わせを測定することによって処置又は予防の有効性を監視することは、十分当業者の能力の範囲内である。KHKを標的とするiRNA又はその医薬組成物の投与と関連して、KHKに関連する疾病「に対して有効」は、臨床的に適切な方法での投与が、症状の改善、治癒、疾病の軽減、寿命の延長、クオリティオブライフの改善、又はKHKに関連する疾病及び関連する原因の処置に精通した医師によって好ましいと一般に認識される他の効果など、少なくとも統計的に有意な割合の患者に対する有益な効果をもたらすことを示す。
【0448】
処置又は予防の効果は、疾病状態の1つ又は複数のパラメータの統計的に有意な改善がある場合、又は悪化若しくは本来予想されていた症状が発生しないことにより明らかである。一例として、疾病の測定可能なパラメータの少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、30%、40%、50%又はそれ以上の好ましい変化は、有効な処置を示し得る。所定のiRNA薬剤又はその薬剤の製剤の有効性も、当該技術分野において公知であるように、所定の疾病に関して実験動物モデルを用いて判断することができる。実験動物モデルを用いる場合、処置の有効性は、マーカー又は症状の統計的に有意な低下が観察された場合に証明される。
【0449】
対象には、約0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.15mg/kg、0.2mg/kg、0.25mg/kg、0.3mg/kg、0.35mg/kg、0.4mg/kg、0.45mg/kg、0.5mg/kg、0.55mg/kg、0.6mg/kg、0.65mg/kg、0.7mg/kg、0.75mg/kg、0.8mg/kg、0.85mg/kg、0.9mg/kg、0.95mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2.0mg/kg、2.1mg/kg、2.2mg/kg、2.3mg/kg、2.4mg/kg、2.5mg/kg dsRNA、2.6mg/kg dsRNA、2.7mg/kg dsRNA、2.8mg/kg dsRNA、2.9mg/kg dsRNA、3.0mg/kg dsRNA、3.1mg/kg dsRNA、3.2mg/kg dsRNA、3.3mg/kg dsRNA、3.4mg/kg dsRNA、3.5mg/kg dsRNA、3.6mg/kg dsRNA、3.7mg/kg dsRNA、3.8mg/kg dsRNA、3.9mg/kg dsRNA、4.0mg/kg dsRNA、4.1mg/kg dsRNA、4.2mg/kg dsRNA、4.3mg/kg dsRNA、4.4mg/kg dsRNA、4.5mg/kg dsRNA、4.6mg/kg dsRNA、4.7mg/kg dsRNA、4.8mg/kg dsRNA、4.9mg/kg dsRNA、5.0mg/kg dsRNA、5.1mg/kg dsRNA、5.2mg/kg dsRNA、5.3mg/kg dsRNA、5.4mg/kg dsRNA、5.5mg/kg dsRNA、5.6mg/kg dsRNA、5.7mg/kg dsRNA、5.8mg/kg dsRNA、5.9mg/kg dsRNA、6.0mg/kg dsRNA、6.1mg/kg dsRNA、6.2mg/kg dsRNA、6.3mg/kg dsRNA、6.4mg/kg dsRNA、6.5mg/kg dsRNA、6.6mg/kg dsRNA、6.7mg/kg dsRNA、6.8mg/kg dsRNA、6.9mg/kg dsRNA、7.0mg/kg dsRNA、7.1mg/kg dsRNA、7.2mg/kg dsRNA、7.3mg/kg dsRNA、7.4mg/kg dsRNA、7.5mg/kg dsRNA、7.6mg/kg dsRNA、7.7mg/kg dsRNA、7.8mg/kg dsRNA、7.9mg/kg dsRNA、8.0mg/kg dsRNA、8.1mg/kg dsRNA、8.2mg/kg dsRNA、8.3mg/kg dsRNA、8.4mg/kg dsRNA、8.5mg/kg dsRNA、8.6mg/kg dsRNA、8.7mg/kg dsRNA、8.8mg/kg dsRNA、8.9mg/kg dsRNA、9.0mg/kg dsRNA、9.1mg/kg dsRNA、9.2mg/kg dsRNA、9.3mg/kg dsRNA、9.4mg/kg dsRNA、9.5mg/kg dsRNA、9.6mg/kg dsRNA、9.7mg/kg dsRNA、9.8mg/kg dsRNA、9.9mg/kg dsRNA、9.0mg/kg dsRNA、10mg/kg dsRNA、15mg/kg dsRNA、20mg/kg dsRNA、25mg/kg dsRNA、30mg/kg dsRNA、35mg/kg dsRNA、40mg/kg dsRNA、45mg/kg dsRNA、又は約50mg/kg dsRNAなどの治療量のiRNAが投与され得る。記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図される。
【0450】
特定の実施形態において、例えば、本発明の組成物が、本明細書に記載されるdsRNA及び脂質を含む場合、対象には、約0.01mg/kg〜約5mg/kg、約0.01mg/kg〜約10mg/kg、約0.05mg/kg〜約5mg/kg、約0.05mg/kg〜約10mg/kg、約0.1mg/kg〜約5mg/kg、約0.1mg/kg〜約10mg/kg、約0.2mg/kg〜約5mg/kg、約0.2mg/kg〜約10mg/kg、約0.3mg/kg〜約5mg/kg、約0.3mg/kg〜約10mg/kg、約0.4mg/kg〜約5mg/kg、約0.4mg/kg〜約10mg/kg、約0.5mg/kg〜約5mg/kg、約0.5mg/kg〜約10mg/kg、約1mg/kg〜約5mg/kg、約1mg/kg〜約10mg/kg、約1.5mg/kg〜約5mg/kg、約1.5mg/kg〜約10mg/kg、約2mg/kg〜約2.5mg/kg、約2mg/kg〜約10mg/kg、約3mg/kg〜約5mg/kg、約3mg/kg〜約10mg/kg、約3.5mg/kg〜約5mg/kg、約4mg/kg〜約5mg/kg、約4.5mg/kg〜約5mg/kg、約4mg/kg〜約10mg/kg、約4.5mg/kg〜約10mg/kg、約5mg/kg〜約10mg/kg、約5.5mg/kg〜約10mg/kg、約6mg/kg〜約10mg/kg、約6.5mg/kg〜約10mg/kg、約7mg/kg〜約10mg/kg、約7.5mg/kg〜約10mg/kg、約8mg/kg〜約10mg/kg、約8.5mg/kg〜約10mg/kg、約9mg/kg〜約10mg/kg、又は約9.5mg/kg〜約10mg/kgなどの治療量のiRNAが投与され得る。記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図される。
【0451】
例えば、dsRNAは、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、又は約10mg/kgの用量で投与され得る。記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図される。
【0452】
他の実施形態において、例えば、本発明の組成物が、本明細書に記載されるdsRNA及びN−アセチルガラクトサミンを含む場合、対象には、約0.1〜約50mg/kg、約0.25〜約50mg/kg、約0.5〜約50mg/kg、約0.75〜約50mg/kg、約1〜約50mg/kg、約1.5〜約50mg/kg、約2〜約50mg/kg、約2.5〜約50mg/kg、約3〜約50mg/kg、約3.5〜約50mg/kg、約4〜約50mg/kg、約4.5〜約50mg/kg、約5〜約50mg/kg、約7.5〜約50mg/kg、約10〜約50mg/kg、約15〜約50mg/kg、約20〜約50mg/kg、約20〜約50mg/kg、約25〜約50mg/kg、約25〜約50mg/kg、約30〜約50mg/kg、約35〜約50mg/kg、約40〜約50mg/kg、約45〜約50mg/kg、約0.1〜約45mg/kg、約0.25〜約45mg/kg、約0.5〜約45mg/kg、約0.75〜約45mg/kg、約1〜約45mg/kg、約1.5〜約45mg/kg、約2〜約45mg/kg、約2.5〜約45mg/kg、約3〜約45mg/kg、約3.5〜約45mg/kg、約4〜約45mg/kg、約4.5〜約45mg/kg、約5〜約45mg/kg、約7.5〜約45mg/kg、約10〜約45mg/kg、約15〜約45mg/kg、約20〜約45mg/kg、約20〜約45mg/kg、約25〜約45mg/kg、約25〜約45mg/kg、約30〜約45mg/kg、約35〜約45mg/kg、約40〜約45mg/kg、約0.1〜約40mg/kg、約0.25〜約40mg/kg、約0.5〜約40mg/kg、約0.75〜約40mg/kg、約1〜約40mg/kg、約1.5〜約40mg/kg、約2〜約40mg/kg、約2.5〜約40mg/kg、約3〜約40mg/kg、約3.5〜約40mg/kg、約4〜約40mg/kg、約4.5〜約40mg/kg、約5〜約40mg/kg、約7.5〜約40mg/kg、約10〜約40mg/kg、約15〜約40mg/kg、約20〜約40mg/kg、約20〜約40mg/kg、約25〜約40mg/kg、約25〜約40mg/kg、約30〜約40mg/kg、約35〜約40mg/kg、約0.1〜約30mg/kg、約0.25〜約30mg/kg、約0.5〜約30mg/kg、約0.75〜約30mg/kg、約1〜約30mg/kg、約1.5〜約30mg/kg、約2〜約30mg/kg、約2.5〜約30mg/kg、約3〜約30mg/kg、約3.5〜約30mg/kg、約4〜約30mg/kg、約4.5〜約30mg/kg、約5〜約30mg/kg、約7.5〜約30mg/kg、約10〜約30mg/kg、約15〜約30mg/kg、約20〜約30mg/kg、約20〜約30mg/kg、約25〜約30mg/kg、約0.1〜約20mg/kg、約0.25〜約20mg/kg、約0.5〜約20mg/kg、約0.75〜約20mg/kg、約1〜約20mg/kg、約1.5〜約20mg/kg、約2〜約20mg/kg、約2.5〜約20mg/kg、約3〜約20mg/kg、約3.5〜約20mg/kg、約4〜約20mg/kg、約4.5〜約20mg/kg、約5〜約20mg/kg、約7.5〜約20mg/kg、約10〜約20mg/kg、又は約15〜約20mg/kgの用量などの治療量のiRNAが投与され得る。一実施形態において、本発明の組成物が、本明細書に記載されるdsRNA及びN−アセチルガラクトサミンを含む場合、対象には、治療量の約10〜約30mg/kgのdsRNAが投与され得る。記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図される。
【0453】
例えば、対象には、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、30、31、32、33、34、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は約50mg/kgなどの治療量のiRNAが投与され得る。記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図される。
【0454】
iRNAは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は約25分間などの所定の期間にわたって、静脈内注入によって投与され得る。投与は、例えば、毎週、隔週(即ち、2週間ごと)で1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間又はそれ以上などにわたって、定期的に繰り返され得る。最初の処置計画の後、治療剤は、より少ない頻度で投与され得る。例えば、毎週又は隔週で3ヶ月間の投与後、投与は、月に1回で6ヶ月間又は1年間又はそれ以上にわたって繰り返され得る。
【0455】
iRNAの投与は、例えば、患者の細胞、組織、血液、尿又他の区画におけるKHKレベルを、少なくとも約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも約99%又はそれ以上だけ低下させ得る。
【0456】
iRNAの完全用量を投与する前に、5%の注入などのより少ない用量を患者に投与し、アレルギー反応などの有害作用を監視してもよい。別の例では、サイトカイン(例えば、TNF−α又はINF−α)レベルの増大などの好ましくない免疫賦活作用に関して患者を観察してもよい。
【0457】
KHKの発現の阻害効果により、本発明に係る組成物又はそれから調製される医薬組成物は、クオリティオブライフを向上させ得る。
【0458】
本発明のiRNAは、「裸の(naked)」形態で投与されてもよく、修飾又は非修飾iRNA剤は、「遊離iRNA」として、水性溶媒又は好適な緩衝液溶媒中で直接懸濁される。遊離iRNAは、医薬組成物の非存在下で投与される。遊離iRNAは、好適な緩衝液中にあり得る。緩衝液は、酢酸塩、クエン酸塩、プロラミン、炭酸塩、若しくはリン酸塩又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。一実施形態において、緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。iRNAを含有する緩衝液のpH及び浸透圧は、対象に投与するのに好適なように調整され得る。
【0459】
或いは、本発明のiRNAは、dsRNAリポソーム製剤などの医薬組成物として投与され得る。
【0460】
KHK遺伝子の発現の低下及び/又は阻害から利益を得られ得る対象は、本明細書に記載されるKHKに関連する疾病又は障害に罹患している対象である。一実施形態において、KHKに関連する疾病に罹患している対象は、肝疾患(例えば、脂肪肝、脂肪性肝炎)に罹患している。別の実施形態において、KHKに関連する疾病に罹患している対象は、脂質異常症(例えば、高脂血症、高いLDLコレステロール、低いHDLコレステロール、高トリグリセリド血症、食後高トリグリセリド血症)に罹患している。別の実施形態において、KHKに関連する疾病に罹患している対象は、血糖コントロールの異常(例えば、インスリン抵抗性、糖尿病)に罹患している。更に別の実施形態において、KHKに関連する疾病に罹患している対象は、心血管疾患(例えば、高血圧症、内皮細胞機能障害)に罹患している。一実施形態において、KHKに関連する疾病に罹患している対象は、腎臓病(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管の炎症性変化)に罹患している。別の実施形態において、KHKに関連する疾病に罹患している対象は、メタボリックシンドロームに罹患している。特定の実施形態において、KHKに関連する疾病に罹患している対象は、脂肪細胞機能障害に罹患している。更に別の実施形態において、KHKに関連する疾病に罹患している対象は、内臓脂肪蓄積に罹患している。別の実施形態においてKHKに関連する疾病に罹患している対象は、肥満に罹患している。特定の実施形態において、KHKに関連する疾病に罹患している対象は、高尿酸血症に罹患している。別の実施形態において、KHKに関連する疾病に罹患している対象は、痛風に罹患している。別の実施形態において、KHKに関連する疾病に罹患している対象は、摂食障害及び/又は過剰な糖への渇望に罹患している。
【0461】
KHK遺伝子の発現の低下及び/又は阻害から利益を得られ得る対象の処置は、治療及び予防処置を含む。
【0462】
本発明は、他の医薬品及び/又は他の治療方法、例えば、公知の医薬品及び/又は公知の治療方法(例えば、これらの障害を処置するのに現在用いられているものなど)と組み合わされた、KHK発現の低下及び/又は阻害から利益を得られ得る対象、例えば、KHKに関連する疾病に罹患している対象を処置するための、iRNA剤又はその医薬組成物の方法及び使用を更に提供する。例えば、特定の実施形態において、KHKを標的とするiRNAは、例えば、本明細書のいずれかの箇所に記載されるKHKに関連する疾病を処置するのに有用な薬剤と組み合わされて投与される。例えば、KHK発現の低下から利益を得られ得る対象、例えば、KHKに関連する疾病に罹患している対象を処置するのに好適な更なる治療剤及び治療方法としては、HMG−CoA還元酵素阻害剤、糖尿病治療剤、降圧薬、レスベラトロール、又はKHKに関連する疾病を処置するための他の治療剤が挙げられる。例示的なHMG−CoA還元酵素阻害剤としては、アトルバスタチン(PfizerのLipitor(登録商標)/Tahor/Sortis/Torvast/Cardyl)、プラバスタチン(Bristol−Myers SquibbのPravachol、三共(Sankyo)のMevalotin/Sanaprav)、シンバスタチン(MerckのZocor(登録商標)/Sinvacor、Boehringer IngelheimのDenan、万有(Banyu)のLipovas)、ロバスタチン(MerckのMevacor/Mevinacor、BexalのLovastatina、Cepa;Schwarz PharmaのLiposcler)、フルバスタチン(NovartisのLescol(登録商標)/Locol/Lochol、藤沢(Fujisawa)のCranoc、SolvayのDigaril)、セリバスタチン(BayerのLipobay/GlaxoSmithKlineのBaycol)、ロスバスタチン(AstraZenecaのCrestor(登録商標))、及びピタバスタチン(イタバスタチン/リシバスタチン(risivastatin))(日産化学(Nissan Chemical)、興和(Kowa Kogyo)、三共(Sankyo)、及びNovartis)が挙げられる。例示的な糖尿病治療剤が、当該技術分野において公知であり、単独で又は組み合わせて、例えば、ビグアニド(例えば、メトホルミン)及びチアゾリジンジオン(例えば、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾン)などのインスリン増感剤;スルホニル尿素(例えば、グリブリド、グリピジド、グリメピリド、トルブタミド、アセトヘキサミド、トラザミド、クロルプロパミド、グリクラジド、グリコピアミド(glycopyamide)、グリキドン)、非スルホニル尿素分泌促進剤、例えば、メグリチニド誘導体(例えば、レパグリニド、ナテグリニド)などの分泌促進剤;ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(例えば、シタグリプチン、サキサグリプチン、リナグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、セプタグリプチン(septagliptin));α−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース、ミグリトール、ボグリボース);アミリン模倣体(amylinomimetic)(例えば、プラムリンチド酢酸塩);インクレチン模倣体(incretin mimetic)(例えば、エキセナチド、リラグルチド、タスポグルチド);インスリン及びその類似体(例えば、速効型、遅効型、及び中間型);胆汁酸吸着剤(例えば、コレセベラム);及びドーパミンアゴニスト(例えば、ブロモクリプチン)を含む。例示的な降圧薬が、当該技術分野において公知であり、利尿剤(例えば、チアジド利尿剤(例えば、クロロチアジド、クロルタリドン、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、メトラゾン)、ループ利尿剤(例えば、ブメタニド、エタクリン酸、フロセミド、トルセミド)、及びカリウム保持性利尿剤/アルドステロン−受容体遮断薬(例えば、アミロライド、スピロノラクトン、トリアムテレン、エプレレノン))、抗アドレナリン作動薬(例えば、β遮断薬(例えば、アテノロール、メトプロロール、徐放性メトプロロール、ネビボロール、ナドロール、ピンドロール、プロプラノロール、ソタロール、チモロール)、α−1−遮断薬(例えば、ドキサゾシン、プラゾシン、テラゾシン)、α及びβ遮断薬(例えば、カルベジロール、ラベタロール)、中枢作用剤(centrally acting agent)(例えば、クロニジン、メチルドパ)、末梢神経作用剤(例えば、グアネチジン、レセルピン)、及び直接作用型血管拡張剤(例えば、ヒドララジン、ミノキシジル))、カルシウムチャネル遮断薬(例えば、アムロジピン、ジルチアゼム、フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ベラパミル)、ACE阻害薬(例えば、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラミプリル)、アンジオテンシン−受容体遮断薬(例えば、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、バルサルタン)又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0463】
iRNA剤及び更なる治療剤及び/又は処置剤は、同時に及び/又は同じ組み合わせで、例えば、非経口的に投与されてもよく、又は更なる治療剤が、別個の組成物の一部として、又は別の時点で、及び/又は当該技術分野において公知の又は本明細書に記載される別の方法によって、投与され得る。
【0464】
本発明は、細胞内でのKHKの発現を低下させ、及び/又は阻害するために、本発明のiRNA剤及び/又は本発明のiRNA剤を含有する組成物を使用する方法も提供する。他の態様において、本発明は、細胞内でのKHKの発現を低下させ、及び/又は阻害するのに使用するための、本発明のiRNA及び/又は本発明のiRNAを含む組成物を提供する。更に他の態様において、細胞内でのKHKの発現を低下させ、及び/又は阻害するための薬剤の製造のための、本発明のiRNA及び/又は本発明のiRNAを含む組成物の使用が提供される。
【0465】
方法及び使用は、細胞を、本発明のiRNA、例えば、dsRNAと接触させる工程と、細胞を、KHK遺伝子のmRNA転写物の分解を得るのに十分な時間にわたって維持し、それによって、細胞内でのKHK遺伝子の発現を阻害する工程とを含む。
【0466】
遺伝子の発現の低下は、当該技術分野において公知の任意の方法によって評価され得る。例えば、KHKの発現の低下は、当業者に周知の方法、例えば、ノーザンブロット法、qRT−PCRを用いてKHKのmRNA発現レベルを決定することによって、ウエスタンブロット法、免疫学的方法、フローサイトメトリー法、ELISAなどの当業者に周知の方法を用いてKHKのタンパク質レベルを決定することによって、及び/又はKHKの生物学的活性(例えば、フルクトースからフルクトース−1−リン酸へのリン酸化)を決定することによって、決定され得る。一実施形態において、KHK遺伝子の発現の低下は、尿中のフルクトースのレベルを測定することによって決定され得る。
【0467】
本発明の方法及び使用において、細胞は、インビトロ又はインビボで接触されてもよく、即ち、細胞は、対象中にあり得る。
【0468】
本発明の方法を用いた処置に好適な細胞は、KHK遺伝子を発現する任意の細胞であり得る。本発明の方法及び使用に使用するのに好適な細胞は、哺乳動物細胞、例えば、霊長類細胞(ヒト細胞又は非ヒト霊長類細胞、例えば、サル細胞又はチンパンジー細胞など)、非霊長類細胞(ウシ細胞、ブタ細胞、ラクダ細胞、ラマ細胞、ウマ細胞、ヤギ細胞、ウサギ細胞、ヒツジ細胞、ハムスター、モルモット細胞、ネコ細胞、イヌ細胞、ラット細胞、マウス細胞、ライオン細胞、トラ細胞、クマ細胞、又は水牛細胞など)、鳥類細胞(例えば、アヒル細胞又はガチョウ細胞)、又はクジラ細胞であり得る。一実施形態において、細胞は、ヒト細胞、例えばヒト肝細胞である。
【0469】
KHKの発現は、細胞内で、少なくとも約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は約100%阻害され得る。
【0470】
本発明のインビボ方法及び使用は、iRNAを含有する組成物を対象に投与することを含んでいてもよく、iRNAは、処置される哺乳動物のKHK遺伝子のRNA転写物の少なくとも一部に相補的なヌクレオチド配列を含む。処置される生物がヒトである場合、組成物は、限定はされないが、皮下、静脈内、経口、腹腔内、又は頭蓋内(例えば、脳室内、実質内及びくも膜下腔内)、筋肉内、経皮、気道(エアゾール)、経鼻、直腸、及び局所(口腔及び舌下を含む)投与を含む非経口経路を含む、当該技術分野において公知の任意の手段によって投与され得る。特定の実施形態において、組成物は、皮下又は静脈内注入又は注射によって投与される。
【0471】
ある実施形態において、投与は、デポー注射による。デポー注射は、長時間にわたってiRNAを一貫して放出することができる。したがって、デポー注射は、所望の効果、例えば、KHKの所望の阻害、又は治療又は予防効果を得るのに必要な投与の頻度を低減し得る。デポー注射はまた、より一貫した血清濃度を提供することができる。デポー注射は、皮下注射又は筋肉内注射を含み得る。好ましい実施形態において、デポー注射は、皮下注射である。
【0472】
ある実施形態において、投与は、ポンプによる。ポンプは、外部ポンプ又は手術により埋め込まれたポンプであってもよい。特定の実施形態において、ポンプは、皮下に埋め込まれた浸透圧ポンプである。他の実施形態において、ポンプは、注入ポンプである。注入ポンプは、静脈内、皮下、動脈内、又は硬膜外注入に使用され得る。好ましい実施形態において、注入ポンプは、皮下注入ポンプである。他の実施形態において、ポンプは、iRNAを肝臓に送達する、手術により埋め込まれたポンプである。
【0473】
投与方法は、局所又全身処置のいずれが所望されるかに基づいて、及び処置される領域に基づいて選択され得る。投与の経路及び部位は、標的化を向上させるように選択され得る。
【0474】
一態様において、本発明は、哺乳動物、例えば、ヒトにおけるKHK遺伝子の発現を阻害するための方法も提供する。本発明は、哺乳動物におけるKHK遺伝子の発現を阻害するのに使用するための、哺乳動物の細胞内でのKHK遺伝子を標的とするiRNA、例えば、dsRNAを含む組成物も提供する。別の態様において、本発明は、哺乳動物におけるKHK遺伝子の発現を阻害するための薬剤の製造における、哺乳動物の細胞内でのKHK遺伝子を標的とするiRNA、例えば、dsRNAの使用を提供する。
【0475】
方法及び使用は、哺乳動物の細胞内でのKHK遺伝子を標的とするiRNA、例えば、dsRNAを含む組成物を、哺乳動物、例えば、ヒトに投与する工程と、KHK遺伝子のmRNA転写物の分解を得るのに十分な時間にわたって哺乳動物を維持し、それによって、哺乳動物におけるKHK遺伝子の発現を阻害する工程とを含む。
【0476】
遺伝子の発現の低下は、当該技術分野において公知の任意の方法、例えば、本明細書に記載されるqRT−PCRによって、iRNAを投与された対象中の末梢血試料中で評価され得る。タンパク質産生の減少は、当該技術分野において公知の任意の方法によって、及び例えば、本明細書に記載されるELISA又はウエスタンブロット法といった方法によって評価され得る。一実施形態において、肝穿刺生検試料が、KHK遺伝子及び/又はタンパク質の発現の低下を監視するための組織材料として役立つ。別の実施形態において、血液試料が、KHK遺伝子及び/又はタンパク質の発現の低下を監視するための組織材料として役立つ。
【0477】
一実施形態において、iRNA剤の投与後のインビボの標的のRISCによる切断の確認が、5’−RACE又は当該技術分野において公知のプロトコルの変更によって行われる(Lasham A et al.,(2010)Nucleic Acid Res.,38(3)p−e19)(Zimmermann et al.(2006)Nature 441:111−4)。
【0478】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者により通常に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載したものと同様の又は等価な方法及び材料を、本発明を特徴付けるiRNA及び方法の実践又は試験に使用できるが、好適な方法及び材料は下記に記載されている。本明細書に言及した全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合、定義を含む本明細書が支配する。加えて、材料、方法及び実施例は、単なる例示であり、限定を意図するものではない。
【実施例】
【0479】
実施例1.iRNA合成
試薬供給源
本明細書に試薬供給源が特に示されていない場合、このような試薬は、分子生物学用の試薬の任意の供給業者から、分子生物学における用途のための品質/純度基準で得ることができる。
【0480】
KHKセンス鎖及びアンチセンス鎖配列の詳細なリストが、表3、4及び5に示される。
【0481】
転写物
NCBI Gene database(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/)において注釈付けされた、ヒト、カニクイザル(Macaca fascicularis;以後、「カニクイザル(cyno)」)、マウス、及びラットKHK転写物を標的とするsiRNAを特定するために、siRNA設計を行った。設計には、NCBI RefSeq collectionからの以下の転写物を使用した:ヒト−XM_005264298.1;カニクイザル−XM_005576324.1;マウス−NM_008439.3;ラット−NM_031855.3。霊長類/げっ歯類配列の相違が大きいため、限定はされないが、ヒト及びカニクイザル転写物のみ;ヒト、カニクイザル、及びマウス転写物のみ;及びヒト、カニクイザル、マウス、及びラット転写物のみと一致する二本鎖を含むバッチを含むいくつかの別個のバッチで、siRNA二本鎖を設計した。設計された領域において、各設計バッチ(上記)において考慮される、列挙されるヒト転写物及び他の種の転写物と100%の同一性を共有する大部分のsiRNA二本鎖を設計した。場合によっては、アンチセンス鎖:標的mRNA相補的塩基対が、GC又はCG対である場合、最初のアンチセンス(最後のセンス)位置における二本鎖とmRNA標的とのミスマッチが許容された。これらの場合、最初のアンチセンス:最後のセンス対におけるUA又はAU対を有する二本鎖を設計した。したがって、二本鎖は相補性を維持したが、標的に対してミスマッチであった(U:C、U:G、A:C、又はA:G)。
【0482】
siRNA設計、特異性、及び有効性の予測
全ての可能な19量体(19mer)の特異性を、各配列から予測した。次に、7ヌクレオチドより長い反復がない候補19量体を選択した。これらの476の候補ヒト/カニクイザル、71のヒト/カニクイザル/マウス、及び58のヒト/カニクイザル/マウス/ラットsiRNAを、パイソンスクリプト(python script)「BruteForce.py」で実施される包括的な「力まかせ(brute−force)」アルゴリズムを用いて、適切なトランスクリプトーム(ヒト、カニクイザル、イヌ、マウス、又はラットNCBI Refseqセット内のNM_及びXM_レコードのセットとして定義される)に対する包括的検索に使用した。次に、スクリプトが、転写物−オリゴのアライメントを解析して、siRNAと、あらゆる可能性のある「オフターゲット」転写物とのミスマッチの位置及び数に基づいてスコアを生成する。オフターゲットスコアを重み付けして、分子の5’末端から2〜9位にある、siRNAの「シード」領域の差異を強調する。力まかせ探索(brute−force search)による各オリゴ−転写物対に、個々のミスマッチスコアを合計することによってミスマッチスコアを与え;2〜9位にあるミスマッチを、2.8とみなし、切断部位10〜11位にあるミスマッチを、1.2とみなし、領域12〜19のミスマッチを、1.0とみなした。更なるオフターゲット予測を、各オリゴの3つの異なる、シード指向性の6量体から誘導される7量体及び8量体の頻度を比較することによって行った。5’開始点に対して2〜7位からの6量体を用いて、2つの7量体及び1つの8量体を生成した。3’−Aを6量体に加えることによって7量体1を生成し;5’−Aを6量体に加えることによって7量体2を生成し;Aを6量体の5’及び3’末端の両方に加えることによって、8量体を生成した。ヒト、カニクイザル、マウス、又はラット3’−UTRome(コード領域「CDS」の末端が明確に定義されたNCBIのRefseqデータベースからのトランスクリプトームの部分列として定義される)における8量体及び7量体の頻度を予め計算した。8量体の頻度の範囲からの中央値を用いて、8量体の頻度を7量体の頻度に対して標準化した。次に、「mirSeedScore」を、((3×標準化された8量体の数値)+(2×7量体2の数値)+(1×7量体1の数値))の和を計算することによって計算した。
【0483】
両方のsiRNA鎖を、計算されたスコアにしたがって、特異性のカテゴリーに割り当てた:3を超えるスコアは、高度の特異性があり、3に等しいスコアは、特異性があり、2〜2.8のスコアは中程度の特異性があるとみなす。siRNA鎖を、アンチセンス鎖の特異性によって並べ替えた。シード領域における最大UA含量及び低い全GC含量を含む、アンチセンスオリゴが高い予測有効性を有する二本鎖の特性を有する中程度の(又はより高い)特異性がある二本鎖を選択した。ラットで1.2のアンチセンススコア(ただし、他の種では2以上)を有する1つの更なる二本鎖も含まれていた。
【0484】
アンチセンス19量体(上記)を、標的と相補的な配列(target−complementary sequence)の23ヌクレオチドへと伸長することによって、センス鎖及びアンチセンス鎖のそれぞれが21及び23ヌクレオチド長の候補のGalNaCコンジュゲート二本鎖を設計した。設計バッチに含まれる全ての種の転写物の相補性を調べた。各二本鎖について、センス21量体を、アンチセンス鎖の最初の21ヌクレオチドの逆補体として特定した。
【0485】
siRNA配列の選択
合計で21のセンス及び21のアンチセンスに由来するヒト/カニクイザル/マウス/ラットsiRNA 21/23量体オリゴ(表3)、29のセンス及び29のアンチセンスに由来するヒト/カニクイザルsiRNA 21/23量体オリゴ(表4)並びに3つのセンス及び3つのアンチセンスに由来するヒト/カニクイザル/マウス(表5)siRNA 21/23量体オリゴを合成した。
【0486】
siRNAの合成
一般的な小規模及び中規模のRNA合成手順
標準的な固相オリゴヌクレオチド合成プロトコルにしたがって、市販されている、ウリジンの5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−t−ブチルジメチルシリル−3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピル)ホスホロアミダイトモノマー、4−N−アセチルシチジン、6−N−ベンゾイルアデノシン及び2−N−イソブチリルグアノシン及び対応する2’−O−メチル及び2’−フルオロホスホロアミダイトを用いて、0.2〜500μmolの規模で、RNAオリゴヌクレオチドを合成する。アミダイト溶液を、0.1〜0.15Mの濃度で調製し、5−エチルチオ−1H−テトラゾール(アセトニトリル中0.25〜0.6M)を、活性剤として使用する。酸化工程のために、ルチジン:アセトニトリル(1:1)(v;v)中の0.2Mのフェニルアセチルジスルフィド(PADS)又はピリジン中の0.1Mの3−(ジメチルアミノメチレン)アミノ−3H−1,2,4−ジチアゾール−5−チオン(DDTT)を用いて、合成中にホスホロチオエート骨格修飾を導入する。合成の完了後、配列を固体担体から切断し、メチルアミン、続いてトリエチルアミン.3HFを用いて脱保護して、存在する2’−O−t−ブチルジメチルシリル保護基を除去する。
【0487】
5〜500μmolの規模の合成及び完全2’修飾配列(2’−フルオロ及び/又は2’−O−メチル又はその組み合わせ)の場合、35℃で16時間又は55℃で5.5時間のいずれかで3:1(v/v)のエタノール及び濃縮(28〜32%)アンモニア水溶液を用いて、オリゴヌクレオチドを脱保護する。アンモニア脱保護の前に、オリゴヌクレオチドを、固体担体上で20分間にわたってアセトニトリル中0.5Mのピペリジンで処理する。粗製のオリゴヌクレオチドを、LC−MS及びアニオン交換HPLC(IEX−HPLC)によって分析する。20mMのリン酸塩、10%〜15%のACN、pH=8.5(緩衝液A)及び20mMのリン酸塩、10%〜15%のACN、1MのNaBr、pH=8.5(緩衝液B)を用いて、IEX HPLCによって、オリゴヌクレオチドの精製を行う。分析的HPLCによって、画分の純度を分析する。好適な純度を有する生成物含有画分をプールし、脱塩の前にロータリーエバポレータにおいて濃縮する。試料を、サイズ排除クロマトグラフィーによって脱塩し、凍結乾燥する。等モル量のセンス鎖及びアンチセンス鎖を、1×PBS緩衝液中でアニールして、対応するsiRNA二本鎖を調製する。
【0488】
小規模(0.2〜1μmol)の場合、96ウェルフォーマットでMerMade 192合成装置で合成を行う。完全2’−修飾配列(2’−フルオロ及び/又は2’−O−メチル又はその組み合わせ)の場合、オリゴヌクレオチドを、室温で30〜60分間にわたってメチルアミンを用いて脱保護し、続いて、60℃で30分間又は室温で30〜60分間にわたって3:1(v/v)のエタノール及び濃縮(28〜32%)アンモニア水溶液を用いてインキュベートし、続いて、40℃で1.5時間インキュベートする。次に、粗製のオリゴヌクレオチドを、アセトニトリル:アセトン(9:1)の溶液中で沈殿させ、遠心分離及び上清のデカントによって単離する。粗製のオリゴヌクレオチドペレットを、20mMのNaOAc緩衝液に再懸濁させ、LC−MS及びアニオン交換HPLCによって分析する。粗製のオリゴヌクレオチド配列を、5mLのHiTrap Sephadex G25カラム(GE Healthcare)上の96ディープウェルプレートにおいて脱塩する。各ウェル中、個々の配列に対応する約1.5mLの試料を採取する。これらの精製された脱塩オリゴヌクレオチドを、LC−MS及びアニオン交換クロマトグラフィーによって分析する。Tecan製ロボットにおいて等モル量のセンス及びアンチセンス配列をアニールすることによって、二本鎖を調製する。二本鎖の濃度を、1×PBS緩衝液中10μMに調整する。
【0489】
インビボ分析のためのGalNAcコンジュゲートオリゴヌクレオチドの合成
3’末端でGalNAcリガンドとコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドを、オリゴヌクレオチド合成のための4,4’−ジメトキシトリチル(DMT)保護第一級ヒドロキシ基を有するY字型のリンカー及びテザーを介して結合されたGalNAcリガンドが予め充填された固体担体を用いて、0.2〜500μmolの規模で合成する。
【0490】
5〜500μmolの規模のGalNAcコンジュゲートの合成の場合、RNAのための上記の合成プロトコルの後、以下の適応を行う:ポリスチレンベースの合成担体の場合、トルエン中5%のジクロロ酢酸を、合成中、DMT切断に使用する。担体からの切断及び脱保護を、上述したように行う。ホスホロチオエートに富んだ配列(通常、5つを超えるホスホロチオエート)を、最終的な5’−DMT基を除去せずに合成し(「DMT−on」)、上記の切断及び脱保護の後、水中50mMの酢酸アンモニウム(緩衝液A)及び80%のアセトニトリル中の50mMの酢酸アンモニウム(緩衝液B)を用いて逆相HPLCによって精製する。分析的HPLC及び/又はLC−MSによって、画分の純度を分析する。好適な純度を有する生成物含有画分をプールし、ロータリーエバポレータにおいて濃縮する。DMT基を、水中20%〜25%の酢酸を用いて、完了するまで除去する。試料をサイズ排除クロマトグラフィーによって脱塩し、凍結乾燥する。等モル量のセンス鎖及びアンチセンス鎖を、1×PBS緩衝液中でアニールして、対応するsiRNA二本鎖を調製する。
【0491】
複数のホスホロチオエート結合を有する配列を含む、GalNAcコンジュゲート(0.2〜1μmol)の小規模合成の場合、MerMadeプラットフォームにおけるRNA又は完全2’−F/2’−OMe−含有配列の合成のための上記のプロトコルを適用する。GalNAc官能化制御多孔性ガラス(controlled pore glass)担体を含む予め充填されたカラムにおいて合成を行う。
【0492】
実施例2.siRNA二本鎖の一般的なインビトロスクリーニング
二本鎖のインビトロ有効性は、以下の方法を用いて、任意のRNAiが標的とする遺伝子の発現の単回用量スクリーンにおいて決定され得る。同様の方法が、二本鎖の用量反応を決定し、二本鎖のIC50を計算するために、複数回用量スクリーンに使用されてもよい。
【0493】
細胞培養及びトランスフェクション
Hep3B細胞(ATCC,Manassas,VA)を、10%のFBS、ストレプトマイシン、及びグルタミン(ATCC)が補充されたイーグル最小必須培地(Eagle’s Minimum Essential Medium)(ATCC)中、5%のCO2の雰囲気下、37℃でほぼコンフルエンスまで増殖させた後、トリプシン処理によりプレートから解放する。細胞を洗浄し、0.25×10個の細胞/mlで再懸濁させる。トランスフェクションの際、細胞を、ウェル当たり約20,000個の細胞を含む96ウェルプレート上に平板培養する。
【0494】
初代マウス肝細胞(PMH)を、トランスフェクションの1時間未満前にC57BL/6雌マウス(Charles River Labortories International,Inc.Willmington,MA)から新たに単離し、初代肝細胞培地中で増殖させる。細胞を、InVitroGRO CP Rat(平板培養)培地(Celsis In Vitro Technologies,カタログ番号S01494)中で、0.11×10個の細胞/mlで再懸濁させる。トランスフェクションの際、細胞を、ウェル当たり10,000個の細胞のBD BioCoat 96ウェルコラーゲンプレート(BD、356407)上に平板培養し、5%のCOの雰囲気中、37℃でインキュベートする。
【0495】
凍結保存された初代カニクイザル(Cynomolgus)肝細胞(Celsis In Vitro Technologies,M003055−P)を、使用の直前に37℃の水浴で解凍し、InVitroGRO CP(平板培養)培地(Celsis In Vitro Technologies、カタログ番号Z99029)中で、0.26×10個の細胞/mlで再懸濁させる。トランスフェクションの際、細胞を、ウェル当たり25,000個の細胞のBD BioCoat96ウェルコラーゲンプレート(BD、356407)上に平板培養し、5%のCOの雰囲気中、37℃でインキュベートする。
【0496】
Hep3B、PMH、及び初代カニクイザル(Cynomolgus)肝細胞の場合、ウェル当たり14.8μlのOpti−MEM及び0.2μlのLipofectamine RNAiMax(Invitrogen,Carlsbad CA.カタログ番号13778−150)を、96ウェルプレート中の個々のウェルへの5μlの各siRNA二本鎖に加えることによって、トランスフェクションを行う。次に、混合物を、室温で20分間インキュベートする。次に、適切な細胞数を含む、抗生物質なしの80μlの完全増殖培地を、siRNA混合物に加える。RNA精製の前に、細胞を24時間インキュベートする。
【0497】
単回用量実験を、GalNAc修飾配列については10nM及び0.1nMの最終二本鎖濃度で、又は全ての他の配列については1nM及び0.01nMの最終二本鎖濃度で行う。用量反応実験を、初代マウス肝細胞については3、1、0.3、0.1、0.037、0.0123、0.00412、及び0.00137nMの最終二本鎖濃度で行い、Hep3B細胞については3、1、0.3、0.1、0.037、0.0123、0.00412、0.00137、0.00046、0.00015、0.00005、及び0.000017nMの最終二本鎖濃度で行う。
【0498】
自由取り込みトランスフェクション
ウェル当たり10μlの、PBS中のsiRNA二本鎖を96ウェルプレート中に加えることによって、自由取り込み実験を行う。次に、細胞型に適切な細胞数を含む90μlの完全増殖培地をsiRNAに加える。RNA精製の前に、細胞を24時間インキュベートする。500nM及び5nMの最終二本鎖濃度で単回用量実験を行い、1000、333、111、37、12.3、4.12、1.37、0.46nMの最終二本鎖濃度で用量反応実験を行う。
【0499】
DYNABEADS mRNA単離キット(Invitrogen,part#:610−12)を用いた総RNA単離
細胞を採取し、150μlの溶解/結合緩衝液中に溶解させた後、エッペンドルフサーモミキサー(Eppendorf Thermomixer)を用いて、850rpmで5分間混合する(混合速度は、プロセス全体を通して同一である)。10マイクロリットルの磁気ビーズ及び80μlの溶解/結合緩衝液混合物を丸底プレートに加え、1分間混合する。磁気スタンドを用いて磁気ビーズを捕捉し、ビーズを乱すことなく上清を除去する。上清の除去後、溶解した細胞を残りのビーズに加え、5分間混合する。上清の除去後、磁気ビーズを150μlの洗浄緩衝液Aで2回洗浄し、1分間混合する。ビーズを再度捕捉し、上清を除去する。次に、ビーズを150μlの洗浄緩衝液Bで洗浄し、捕捉し、上清を除去する。次に、ビーズを150μlの溶出緩衝液で洗浄し、捕捉し、上清を除去する。最後に、ビーズを2分間乾燥させる。乾燥後、50μlの溶出緩衝液を加え、70℃で5分間混合する。ビーズを磁石上で5分間捕捉する。45μlの上清を除去し、別の96ウェルプレートに加える。
【0500】
ABI高容量cDNA逆転写キット(Applied Biosystems,Foster City,CA,Cat#4368813)を用いた一般的なcDNA合成
反応当たり2μlの10倍緩衝液、0.8μlの25倍dNTP、2μlのランダムプライマー、1μlの逆転写酵素、1μlのRNアーゼ阻害剤及び3.2μlのH2Oのマスターミックスを調製する。等体積のマスターミックス及びRNAを、インビトロスクリーニング試料のために12μl又はインビボスクリーニング試料のために20μlの最終体積になるように混合する。Bio−Rad C−1000又はS−1000サーモサイクラー(Hercules,CA)を用いて、以下の工程によってcDNAを生成する:25℃で10分間、37℃で120分間、85℃で5秒間、及び4℃で保持。
【0501】
リアルタイムPCR
2μlのcDNAを、384ウェルプレート(Roche カタログ番号04887301001)中、ウェル当たり、2μlのHO、0.5μlのGAPDH TaqManプローブ(Hep3B細胞についてはLife Technologiesカタログ番号4326317E、初代マウス肝細胞についてはカタログ番号352339E又はカニクイザル(cynomolgus)初代肝細胞についてはカスタムプローブ)、0.5μlのC5 TaqManプローブ(Hep3B細胞についてはLife Technologiesカタログ番号Hs00156197_m1又は初代マウス肝細胞についてはmm00439275_m1又はカニクイザル(cynomolgus)初代肝細胞についてはカスタムプローブ)及び5μlのLightcycler 480プローブマスターミックス(Rocheカタログ番号04887301001)を含有するマスターミックスに加える。リアルタイムPCRを、ΔΔCt(RQ)アッセイを用いて、Roche LC480 Real Time PCRシステム(Roche)において行う。インビトロスクリーニングの場合、特に断りのない限り、各二本鎖を、2回の生物学的反復(biological replicate)で試験し、各リアルタイムPCRを、2回の技術的反復(duplicate technical replicate)で行う。インビボスクリーニングの場合、各二本鎖を、1回又は複数回の実験(群当たり3匹のマウス)で試験し、各リアルタイムPCRを、二回の技術的反復で行う。
【0502】
KHK mRNAレベルの相対的な倍加変化を計算するために、ΔΔCt方法を用いてリアルタイムデータを分析し、10nMのAD−1955でトランスフェクトした細胞、又は疑似トランスフェクト細胞を用いて行ったアッセイに対して正規化する。XLFitを用いて4パラメータ適合モデルを用いてIC50を計算し、AD−1955でトランスフェクトした細胞に対して、同じ用量範囲にわたって正規化し、又はそれ自体の最低用量に対して正規化する。
【0503】
AD−1955のセンス及びアンチセンス配列は以下のとおりである:
センス:cuuAcGcuGAGuAcuucGAdTsdT(配列番号17);
アンチセンス:UCGAAGuACUcAGCGuAAGdTsdT(配列番号18)。
【0504】
【表3】
【0505】
【表4】
【0506】
【表5】
【0507】
【表6】
【0508】
【表7】
【0509】
【表8】
【0510】
【表9】
【0511】
実施例3.更なるsiRNAの設計、合成、及びインビトロスクリーニング
siRNA設計
ヒトKHK、「ケトヘキソキナーゼ(フルクトキナーゼ)」(ヒト:NCBI refseqID XM_005264298;NCBI GeneID:3795)、並びに毒性種KHKオーソログ(カニクイザル:XM_005545463;マウス:NM_008439;ラット、NM_031855)を標的とする更なる組のsiRNAを、カスタムR及びPythonスクリプトを用いて設計した。ヒトXM_005264298 REFSEQ mRNAは、2146塩基の長さを有する。siRNA設計の組についての根拠及び方法は以下のとおりである:位置501から位置2146(コード領域及び3’UTR)の全ての可能性のある19量体siRNAの予測有効性を、多くの脊椎動物遺伝子を標的とする20,000を超える異なるsiRNA設計からのmRNAノックダウンの直接の測定から導き出される線形モデルを用いて決定した。ヒト及びカニクイザルのみを標的とするサブセットだけでなく、ヒト、カニクイザル及びげっ歯類種の間で完全な又はほぼ完全な一致を有するKHK siRNAのサブセットを設計した。マウス及びラットKHKオーソログに対する完全な又はほぼ完全な一致を有する更なるサブセットを設計した。siRNAの各鎖について、カスタムPythonスクリプトを力まかせ探索(brute force search)に用いて、siRNAと、標的種のトランスクリプトームにおける全ての可能性のあるアライメントとのミスマッチの数及び位置を測定した。本明細書においてアンチセンスオリゴヌクレオチドの位置10〜11として定義されるsiRNAの切断部位と同様、本明細書においてアンチセンスオリゴヌクレオチドの位置2〜9として定義されるシード領域におけるミスマッチに追加の重み付けをした。ミスマッチの相対的な重みは、シードミスマッチ、切断部位、及びアンチセンス位置19までの他の位置について、2.8;1.2:1であった。最初の位置におけるミスマッチを無視した。特異性スコアを、各鎖について、それぞれの重み付けされたミスマッチの値を合計することによって計算した。ヒト及びカニクイザルにおけるアンチセンススコアが3.0以上であり、予測有効性がXM_005264298転写物の70%以上のノックダウンであるsiRNAを優先した。
【0512】
合成
固体担体に媒介されるホスホロアミダイト化学反応を用いてMermade 192合成装置(BioAutomation)において1μmolの規模で、KHK siRNA配列を合成した。固体担体は、カスタムGalNAcリガンド又は汎用固体担体(AM biochemical)が充填された制御多孔性ガラス(controlled pore glass)(500Å)であった。補助的な合成試薬、2’−F及び2’−O−メチルRNA及びデオキシホスホロアミダイトを、Thermo−Fisher(Milwaukee,WI)及びHongene(China)から入手した。対応するホスホロアミダイトを用いて、2’F、2’−O−メチル、RNA、DNA及び他の修飾ヌクレオシドを、配列に導入した。3’GalNAcコンジュゲート単一鎖の合成を、GalNAc修飾CPG担体において行った。カスタムCPG汎用固体担体を、アンチセンス単一鎖の合成に使用した。全てのホスホロアミダイト(アセトニトリル中の100mM)のカップリング時間は、活性剤として5−エチルチオ−1H−テトラゾール(ETT)(アセトニトリル中0.6M)を用いて5分間であった。無水アセトニトリル/ピリジン(1:1v/v)中の、Chemgenes(Wilmington,MA,USA)から入手した3−((ジメチルアミノ−メチリデン)アミノ)−3H−1,2,4−ジチアゾール−3−チオン(DDTTの50mMの溶液を用いて、ホスホロチオエート結合を生成した。酸化時間は3分間であった。DMT基の最終的な除去(「DMT除去(DMT off)」)により全ての配列を合成した。
【0513】
固相合成が完了したら、オリゴリボヌクレオチドを、固体担体から切断し、20分間にわたって60℃で、200μLのメチルアミン水溶液試薬を用いて、密閉された96ディープウェルプレート中で脱保護した。tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)基で保護された2’リボ残基(2’−OH)を含む配列では、第2の工程の脱保護を、TEA.3HF(トリエチルアミントリヒドロフルオリド)試薬を用いて行った。メチルアミン脱保護溶液に、200μLのジメチルスルホキシド(DMSO)及び300μlのTEA.3HF試薬を加え、溶液を、60℃で更に20分間インキュベートした。切断及び脱保護工程の最後に、合成プレートを室温にし、1mLのアセトニトリル:エタノール混合物(9:1)の添加によって沈殿させた。プレートを、−80℃で2時間冷却し、上清を、マルチチャンネルピペットを用いて注意深くデカントした。オリゴヌクレオチドペレットを、20mMのNaOAc緩衝液中で再懸濁させ、A905オートサンプラ及びFrac 950フラクションコレクターを備えたAKTA Purifier Systemにおいて、5mLのHiTrapサイズ排除カラム(GE Healthcare)を用いて脱塩した。脱塩した試料を、96ウェルプレート中に収集した。各配列からの試料を、同一性を確認するためにLC−MS、定量化のためにUV(260nm)及び純度を測定するためにIEXクロマトグラフィーによって選択された組の試料によって分析した。
【0514】
KHK単一鎖のアニーリングを、Tecan液体処理ロボットにおいて行った。センス及びアンチセンス単一鎖の等モル混合物を組み合わせて、96ウェルプレート中でアニールした。相補的な単一鎖を組み合わせた後、96ウェルプレートをしっかりと密閉し、オーブン中で、100℃で10分間加熱し、2〜3時間の期間にわたってゆっくりと室温にした。各二本鎖の濃度を、1倍のPBS中で10uMに対して正規化し、次に、インビトロスクリーニングアッセイに供した。
【0515】
細胞培養及びトランスフェクション
ウェル当たり4.9μlのOpti−MEM及び0.1μlのLipofectamine RNAiMax(Invitrogen,Carlsbad CA.cat#13778−150)を、384ウェルプレート中、ウェル当たり5μlのsiRNA二本鎖に加えることにより、Hep3b細胞をトランスフェクトし、室温で15分間インキュベートした。次に、約5×10個の細胞を含む40μlのDMEMを、siRNA混合物に加えた。細胞を、RNA精製の前に24時間にわたってインキュベートした。単回用量実験を、10nM及び0.1nMの最終二本鎖濃度で行い、用量反応実験を、8、6倍の希釈で、10nM〜36fMの最終二本鎖濃度の用量の範囲で行った。
【0516】
DYNABEADS mRNA単離キットを用いた全RNA単離
DYNABEAD(Invitrogen、cat#61012)を用いて、BioTek−EL406プラットフォームにおいて自動化プロトコルを用いて、RNAを単離した。簡潔には、3μlの電磁ビーズを含有する、50μlの溶解/結合緩衝液及び25μlの溶解緩衝液を、細胞とともにプレートに加えた。プレートを、室温で10分間にわたって電磁振とう機においてインキュベートし、次に、電磁ビーズを捕捉し、上清を除去した。次に、ビーズ結合RNAを、150μlの洗浄緩衝液Aで2回及び洗浄緩衝液Bで1回洗浄した。次に、ビーズを、150μlの溶出緩衝液で洗浄し、再度捕捉し、上清を除去した。
【0517】
ABI高容量cDNA逆転写キット(Applied Biosystems,Foster City,CA,Cat#4368813)を用いたcDNA合成
反応当たり1μlの10倍の緩衝液、0.4μlの25倍のdNTP、1μlの10倍のランダムプライマー、0.5μlの逆転写酵素、0.5μlのRNアーゼ阻害剤及び6.6μlのH2Oを含有する10μlのマスターミックスを、上記の単離されたRNAに加えた。プレートを密閉し、混合し、室温で10分間、続いて37℃で2時間にわたって電磁振とう機においてインキュベートした。次に、プレートを、81℃で8分間インキュベートした。
【0518】
リアルタイムPCR
2μlのcDNAを、384ウェルプレート(Roche cat#04887301001)中、ウェル当たり、0.5μlのGAPDH TaqManプローブ(Hs99999905)、0.5μlのKHKプローブ(Hs00240827_m1)及び5μlのLightcycler 480プローブマスターミックス(Roche Cat#04887301001)を含有するマスターミックスに加えた。リアルタイムPCRを、ΔΔCt(RQ)アッセイを用いて、LightCycler480 Real Time PCRシステム(Roche)において行った。各二本鎖を、4つの独立したトランスフェクションにおいて試験した。
【0519】
相対的な倍加変化を計算するために、ΔΔCt方法を用いてリアルタイムデータを分析し、10nMのAD−1955でトランスフェクトした細胞、又は模擬トランスフェクト細胞を用いて行ったアッセイに対して正規化した。XLFitを用いて4パラメータ適合モデルを用いてIC50を計算し、AD−1955又はナイーブ細胞でトランスフェクトした細胞に対して正規化した。
【0520】
KHKセンス鎖及びアンチセンス鎖配列の詳細なリストが、表6及び7に示される。
【0521】
単回用量スクリーンの結果が、表8に示される。データが、AD−1955に対して残るメッセージのパーセントとして表される。
【0522】
表9は、示されるiRNAでトランスフェクトしたHep3B細胞中の剤のサブセットの用量反応を示す。示されるIC50値は、非処理の細胞に対するIC50値を表す。
【0523】
【表10】
【0524】
【表11】
【0525】
【表12】
【0526】
【表13】
【0527】
【表14】
【0528】
【表15】
【0529】
【表16】
【0530】
【表17】
【0531】
【表18】
【0532】
【表19】
【0533】
【表20】
【0534】
【表21】
【0535】
均等物
当業者は、本明細書に記載される特定の実施形態及び方法の多くの均等物を認識するか、又は単なる日常的な実験を用いて確認することができる。このような均等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
図1
図2
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]