特許第6594913号(P6594913)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6594913多官能価アミンとアクリレートとの間の重付加による、分枝構造の多官能価アクリルオリゴマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594913
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】多官能価アミンとアクリレートとの間の重付加による、分枝構造の多官能価アクリルオリゴマー
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/34 20060101AFI20191010BHJP
   C07C 229/12 20060101ALI20191010BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   C08F220/34
   C07C229/12
   C09D4/02
【請求項の数】14
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-575233(P2016-575233)
(86)(22)【出願日】2015年6月15日
(65)【公表番号】特表2017-527642(P2017-527642A)
(43)【公表日】2017年9月21日
(86)【国際出願番号】FR2015051575
(87)【国際公開番号】WO2015197941
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2017年2月20日
(31)【優先権主張番号】1455789
(32)【優先日】2014年6月23日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シセロン,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ブルッス,シャルル
(72)【発明者】
【氏名】ルロワ,カトリーヌ
【審査官】 中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/050487(WO,A1)
【文献】 特開平03−039366(JP,A)
【文献】 米国特許第05792827(US,A)
【文献】 特開2010−084120(JP,A)
【文献】 特開平08−092369(JP,A)
【文献】 特開昭54−083055(JP,A)
【文献】 特表2005−532323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C229/12
C08F 20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリレート化オリゴマーがモル当り厳密に2超のアクリレートの数平均アクリレート官能価fを有し、アクリレート化オリゴマーが少なくとも2のN−H基の官能価fを有する少なくとも1つのアミンA)の重付加反応から得られ、N−H官能価は、アミンがアミンの混合物の場合は数平均官能価を意味し、アミンA)は第1級および/または第2級アミン官能基を持ち、アミンA)は少なくとも1つの第3級アミン官能基(N−Hなし)をさらに持ってもよく、重付加が、少なくとも2のアクリレート基の官能価fを有する少なくとも1つの多官能価アクリレートB)に対してであり、アクリレート官能価は、アクリレートがアクリレートの混合物の場合は数平均官能価を意味し、成分AおよびBの全てのモル当りの数平均官能価は2超であり、オリゴマーは、その単位構造に、重付加から得られる少なくとも1つの−OC−CH−CH−N=アミノアクリレート基を含み、オリゴマーがn個の単位を含み、nに応じた分子分布が、n=0およびn=1およびn=2およびn=3に対応する少なくとも4種類の生成物を含み、分布の少なくとも50重量%が3以下のnに対応し、アミンA)に由来する窒素含量tは0.35mEq/g以上であり、初期比r=アクリレート/N−Hは、rinfと1.1rsupの間であり、rinfおよびrsupの値は、以下の式(1)および(2):
inf=0.90*(f−1)*(f−1) (1)
sup=2*f+2*f−6 (2)
により規定され、オリゴマー当りの単位の平均数navは、以下の式(3):
av=1/[(r*f/f)+1−f] (3)
により規定され、
− アミンA)が、ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)、ジメチルアミノプロピルアミノプロピルアミン(DMAPAPA)および1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン(1,4−BAPP)から選択される、少なくとも1つの第3級アミン官能基をさらに持ち、
− アクリレートB)が一般式R1(X)fBであり、XはCH=CH−CO−アクリレート基であり、R1はモル当りfのアクリレートを持つアクリレートB)の残基であることを特徴とする、アクリレート化オリゴマー。
【請求項2】
ISO2555法により23℃において測定したアクリレートB)の粘度が、100s−1の剪断率で200mPa.s未満であることを特徴とする、請求項1に記載のオリゴマー。
【請求項3】
官能価fおよびfが、f+fの合計が8を超えないように選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載のオリゴマー。
【請求項4】
2.3mmol/gまたはミリ当量/gを超えるアクリレート基含量tacrを有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のオリゴマー。
【請求項5】
アミンA)が2以上の官能価fを有し、アクリレートB)が3以上の官能価fを有する、または反対にアミンA)が3以上の官能価fを有し、アクリレートB)が2以上の官能価fを有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のオリゴマー。
【請求項6】
少なくとも2つのアミンA)および/または少なくとも2つのアクリレートB)の間の反応から得られることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のオリゴマー。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のオリゴマーを調製する方法であって、方法は、ラジカル重合阻害剤の存在下で、いかなる溶媒も、いかなる触媒も、アミンA)およびアクリレートB)および阻害剤を除くいかなる他の反応物も存在せずに、少なくとも1つのアミンA)の、少なくとも1つのアクリレートB)へのマイケル重付加反応のステップを含み、方法は、既に反応器に存在する、常に化学量論的に過剰であるアクリレートB)に、アミンA)を徐々にしかも連続的に添加することを含み、反応は40℃超90℃未満の温度において行われ、反応は少なくとも95%のN−Hアミン官能基の転化率で停止され、アクリレート官能基対N−Hアミン官能基の初期比r、r=アクリレート/N−Hは、rinfと1.1rsupの間であり、rinfおよびrsupの値は、以下の式(1)および(2):
inf=0.90*(f−1)*(f−1) (1)
sup=2*f+2*f−6 (2)
により規定される、方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の、または請求項7に記載の方法により得られる少なくとも1つのオリゴマーを含み、反応希釈剤が存在してもよいことを特徴とする、架橋可能な組成物。
【請求項9】
放射線架橋可能な組成物であり、被覆組成物、または連続層の重ね合わせにより作られる3D物品用の組成物、または成形組成物であることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
過酸化物架橋可能な組成物であり、被覆組成物、または化学シーリング組成物、または成形組成物であることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
架橋可能な組成物における結合剤としての、請求項1から6のいずれか一項に記載のオリゴマーの使用。
【請求項12】
組成物が放射線架橋可能である、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
組成物が過酸化物架橋可能な組成物である、請求項11に記載の使用。
【請求項14】
請求項1から6のいずれか一項に記載の、もしくは請求項7に記載の方法により得られる少なくとも1つのオリゴマーの使用から得られ、または、請求項8に記載の組成物の架橋から得られることを特徴とする、架橋した最終生成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2超の平均官能価を有する、分枝構造の多官能価アクリレート化オリゴマーに関し、このオリゴマーは、少なくとも2の−NH官能価を有する多官能価アミンと、少なくとも2の官能価を有する多官能価アクリレートとの間の重付加反応により得られ、アミンおよびアクリレートに対する合わせた平均官能価が2超であり、前記オリゴマーは、前記重付加による、および特定のアクリレート/N−Hモル比条件下での繰返し単位における少なくとも1つのアミノアクリレート基形成による鎖延長から得られる。従って、前記オリゴマーは、単純一段階プロセスにより得られる制御された構造を有し、高い反応性、および被覆もしくは重ね合わせ層を介して作られる3D物品の分野、または化学シーリング分野における用途のための制御された粘度を有する。本発明はまた、前記生成物を得るための特定の方法、生成物を含む架橋可能な組成物、前述の用途での使用および得られる完成品を範囲に含む。
【0002】
本発明によるオリゴマーは特に、従来技術からの比較可能な生成物よりも高度で良好に制御された、重量単位当たりのアクリレート基密度およびモル当りのアクリレート基官能価の両方を、複合的な利点として有する。同時にオリゴマーは、特に紫外線架橋を活性化する相乗効果および目標とする用途に適した低粘度に対して十分な、窒素含量およびアミノアクリレート含量を有する。
【背景技術】
【0003】
アミノアクリレート基を含む、一般にアクリレート化アミノアクリレート、モノマーまたはオリゴマーを得ることは、既に従来技術から知られており、アミノアクリレート基における窒素原子の存在による、紫外線架橋可能な組成物への相乗効果に対するその性能についても知られている。ベンゾフェノンのような光開始剤の存在下で、第3級アミン官能基のα位にある水素を不安定にする窒素原子の電子供与効果を介して、これらの基は、二分子開始機構に関与することにより、前記架橋を加速することが実際に知られている。
【0004】
US6,172,129は、環状第2級モノアミンの、分子当り少なくとも3個のアクリレート基を有する多官能価アクリレートへの付加から得られるアミノアクリレートを特に記載している。これらの生成物は、特に初期の多官能価アクリレートに対して最終生成物の官能価の減少とともに、いかなる可能な鎖延長も含まず、モノマー構造を有し、従って、生成物が低粘度にもかかわらず、生成物は前記初期の多官能価アクリレートよりも重量単位当たり低密度のアクリレート基を有する。高含量のアミノアクリレート基に到達するために、これらの生成物は、第2級モノアミンが初期の多官能価アクリレートの全てのアクリレート基に付加することから得られる高比率の飽和化学種を含む。
【0005】
WO2011/131501は、アミンと、ウレタン(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクレート化反応希釈剤の混合物との付加反応により得られる、アミノ(メタ)アクリレートを記載している。これらの生成物は、第1級アミンまたは第2級ジアミンと前記多官能価ウレタン(メタ)アクリレートとの間の重付加により生成するアミノアクリレート基による鎖延長を、その構造に有する。しかし、第1にウレタンである多官能価(メタ)アクリルモノマーの性質が理由で、次いで延長および最終構造の厳密な制御がないことが理由で、それらは反応希釈剤の存在下にあってさえ、高粘度を有するという欠点を有する。これは、アクリレートへの代替の可能性として引用されているメタクリレート基が、アミンと重付加反応することができない事実を考慮していない(記載された構造の一部の非実現性について記載が不十分)。さらに、残余のアクリレート基の密度は、最終粘度がより高い初期の多官能価アクリレート基の密度より低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,172,129号明細書
【特許文献2】国際公開第2011/131501号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、新しい多官能価アクリレート化オリゴマーを提案することにより、前述の従来技術の欠点への解決を見出した。このアクリレート化オリゴマーは、鎖末端および主鎖にアクリレート基が存在する効果が理由で、および分枝構造の効果が理由で、出発の多官能価アクリレートよりも高いアクリレート基官能価を同時に有する。具体的には、これらは、オリゴマー当りの数平均官能価f>2のアクリレート/モルであり、アミンに由来する窒素含量tが高く(t>0.35mEq/g)、同時に、いかなる反応希釈剤も添加することなく、25℃において、ISO2555法による、<2000mPa.sを維持する制御された粘度を有する、アミノアクリレート基を含むオリゴマーである。こうした低粘度の利点は、多量の反応希釈剤の添加を回避することである。こうした生成物は、その高いアクリレート官能価fおよびアミン官能基の相乗効果の組み合せの結果、二分子光開始剤の存在下でIおよびIIタイプ開始が可能な、特に高い反応性を有する。
【0008】
光架橋性配合物において、こうした多官能価アクリレート化アミノアクリレートオリゴマーの使用により、架橋速度、可撓性、硬度および耐溶媒性の間の妥協が向上する。
【0009】
これらのアミノアクリレートは、官能価f(f:アミンの混合物の場合は数平均)が少なくとも2であるアミンA)の、官能価f(f:アクリレートの混合物の場合は数平均)が少なくとも2であるアクリレートB)への重付加反応(マイケル付加またはアザ付加と称される。)により得られ、成分A)およびB)の全ての数平均官能価が2超でなければならないという事実が理由でf=f=2の場合は除かれ、従って制御された分枝構造を可能にする。「分枝」鎖は、得られたオリゴマー鎖が、同じ繰返し単位で分枝する少なくとも1つの鎖を含むことを意味する。これらの系の分子質量増加の制御、従ってその粘度の制御は、アクリレート二重結合の数対−NHアミン官能基の数の比r(r=アクリレート/NH)によって徹底され、アクリレート官能基B)より数の少ない反応性−NH官能基に対する転化率xは95%より大きい。rは、所与の転化率に対して2つの成分の官能価に依存している特別に規定された値よりも大きく維持され、rの特別な制約によって、反応媒体のゲル化を招くことなく、こうした系の粘度は、制御可能に維持される。全ての場合に、オリゴマーが本発明により規定されるようにアクリレート化されるために、比r=アクリレート/NHは1より大きく維持される。
【0010】
従来技術に対する本発明の主な利点の中で、以下を挙げることができる:
製造方法に対して:
・ 反応混合物を用いた、単一のプロセスステップにおける、アミンA)のアクリレートB)への単純な(アザまたはマイケル)付加反応であること、
・ 反応物の重量に対して収率が100%であり、除去すべきガス状の排出物または副生物がないこと、
・ 約80℃の反応温度において、反応時間は短く、環境への影響が削減され、溶媒または触媒は不要であること、
・ 本発明の判断基準に基づく、構造および最終的性質の再現性および予測性があること。
生成物に対して:
・ 25℃においてISO2555による<2000mPa.sの値である、制御された粘度、
・ tが0.35mEq/g以上である、アミンA)に由来する高い窒素含量t
・ それぞれf>2およびtacr>2.3mEq/gである、オリゴマー当りの数平均アクリレート官能価f、および重量単位当たりのアクリレート基の密度tacrの間の良好な妥協、
・ 完全な飽和化学種がなく(アミン官能基に対して著しく過剰なアクリレート官能基を仮定すると、アクリレートの完全な飽和はない)、マイグレータブル(migratable)含量が少ないこと、
・ 比r=アクリレート/NHの調節および構造の制御による、鎖の分枝にもかかわらずゲル化の危険のない、鎖延長の制御。
【0011】
本発明の前記オリゴマーを含む、放射線架橋可能な組成物、特に紫外線−架橋可能な組成物、または過酸化物架橋可能な組成物における目標とする用途に対して、利点として、前記オリゴマーの高い反応性があり、高い可撓性、硬度および耐溶媒性を有する架橋生成物が得られる。
【0012】
本発明は第一に、本発明により規定される、分枝構造のアクリレート化オリゴマーを範囲に含む。
【0013】
次に、本発明は前記オリゴマーを調製するための特定の方法に関する。
【0014】
別の主題は、前記オリゴマーを含む架橋可能な組成物に関する。
【0015】
架橋可能な組成物における前記オリゴマーの使用もまた本発明の一部である。
【0016】
最後に、本発明は、前記オリゴマーまたはそれを含む架橋可能な組成物を使用して得た、架橋した最終生成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
従って、本発明の第1の主題は、アクリレート化オリゴマーがモル当り厳密に2超のアクリレートの数平均アクリレート官能価(またはアクリレート数平均官能価)fを有し、このオリゴマーが分枝構造を有し、少なくとも2、好ましくは2から6のN−H基の官能価fを有する少なくとも1つのアミンA)の重付加反応から得られ、前記N−H官能価は、アミンがアミンの混合物の場合は数平均官能価を意味し、前記アミンA)は第1級および/または第2級アミン官能基を持ち、前記アミンA)は少なくとも1つの第3級アミン官能基(即ちN−Hなし)をさらに持ってもよく、前記重付加が、少なくとも2、好ましくは2から6のアクリレート基の官能価fを有する少なくとも1つの多官能価アクリレートB)に対してであり、前記アクリレート官能価fは、アクリレートがアクリレートの混合物の場合は数平均官能価を意味し、成分AおよびBの全てのモル当りの数平均官能価は2超であり、前記オリゴマーは、その繰返し単位構造に、前記重付加から得られる少なくとも1つの−OC−CH−CH−N=アミノアクリレート基を含み、前記アミンA)に由来する窒素含量tは0.35mEq/g以上であり、初期比r=アクリレート/N−Hは、rinfと1.1rsupの間、好ましくはrはrinfとrsupの間であり、rinfおよびrsupの値は、以下の式(1)および(2):
inf=0.90*(f−1)*(f−1) (1)
sup=2*f+2*f−6 (2)
により規定され、(モノマーBに加えて)オリゴマー当りの繰返し単位の平均数navは、以下の式(3):
av=1/[(r*f/f)+1−f] (3)
により規定される、アクリレート化オリゴマーに関する。前記繰返し単位はアミノアクリレート単位に対応し、アミノアクリレート単位は、前記アミンA)のNH基が、前記多官能価アクリレートB)のアクリレート基へ付加反応することにより形成される。
【0018】
1つの特別な選択によれば、f+fの合計は8以下に維持される。
【0019】
より具体的には、navは0.1から5まで、好ましくは0.15から3まで変化してもよい。
【0020】
第1の好ましい選択肢によれば、前記アミンA)は少なくとも1つの第3級アミン官能基を追加的に持ち、好ましくは前記アミンは、ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)、ジメチルアミノプロピルアミノプロピルアミン(DMAPAPA)および1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン(1,4−BAPP)から選択され、より好ましくはDMAPAPAおよび1,4−BAPPから選択され、窒素含量tが0.35mEq/g以上である。この場合窒素含量は、この好ましい場合に存在する第3級アミン官能基の窒素を含めて、全てのアミン官能基の窒素を含む。
【0021】
ISO2555法により23℃において測定した前記アクリレートB)の粘度は、100s−1の剪断の下で好ましくは200mPa.s未満である。前記アクリレートB)は、より具体的には、b1)アルコキシ化されていてもよい、脂肪族もしくは脂環式ポリオールアクリレート、b2)オリゴエーテルアクリレート、b3)アルコキシ化フェノールアクリレートまたはb4)アクリレート化アミノアクリレートまたはこれらの混合物、好ましくはb1)またはb4)またはこれらの混合物から選択される。アクリレートB)の混合物は、従って同じタイプのアクリレートB)の混合物、即ち例えば、タイプb1)の少なくとも2つのアクリレートの、またはタイプb2)の少なくとも2つのアクリレートの、またはタイプb3)の少なくとも2つのアクリレートの、またはタイプb4)の少なくとも2つのアクリレートの、特にタイプb1)またはb2)の少なくとも2つのアクリレートの間の混合物、ならびにそれらの異なるタイプの間の混合物であってもよい。
【0022】
前記アミンA)は好ましくは、a1)脂肪族アミン、a2)脂環式アミン、またはa3)芳香環のα位以外(αはNが環に直接結合していることを意味する)、もしくはβ位以外(Nが芳香環のα位の炭素により持たれる)の位置にアミン官能基を有するアラルキレンアミン、またはこれらの混合物、好ましくはa1)脂肪族および/またはa2)脂環式(多環式を含む)アミンまたはこれらの混合物から選択される。より具体的には、特別なケースa3)において、アミン官能基は芳香環に対してα位にもβ位にもない。
【0023】
前記アミンA)は、一般式(NHfA1R2(NHR3)fA2により表わすことができ、R2=R’(NR’’R’’’)fA3であり、R3、R’、R’’およびR’’’は同一でありまたは異なるCからCアルキルであり、fA1はモル当りの第1級アミン官能基の数であり、fA2はモル当りの第2級アミン官能基の数であり、fA3はモル当りの第3級アミン官能基の数であり、f=2*fA1+fA2である。
【0024】
前記アクリレートB)は、一般式R1(X)fにより表わすことができ、XはCH=CH−CO−アクリレート基であり、R1はモル当りfのアクリレートを持つ前記アクリレートB)の残基である。
【0025】
本発明によるアクリレート化オリゴマーは、具体的には、2.3超、好ましくは3.5から10mmol/gまたはミリ当量/g(mEq/g)のアクリレート基含量またはアクリレート基密度tacrを有する。
【0026】
前記オリゴマーは、275から5000、好ましくは300から3000の範囲の計算された数平均分子質量Mにより特徴付けることができ、Mは以下の式(4):
=M+(nav*M) (4)
により規定され、Mは、以下の式(5):
=MA+(fA2+2*fA1−1)*M (5)
により規定される繰返し単位のモル質量であり、
avは請求項1に規定される繰返し単位の平均数であり、
はアクリレートB)のモル質量であり、
はアミンA)のモル質量であり、
A1はアミンA)当りの第1級アミン−NH官能基の数であり、
A2はアミンA)当りの第2級アミン−NH−官能基の数である。
【0027】
本発明の前記オリゴマーにおける窒素含量tに関しては、0.4から5、好ましくは0.45から4mEq/gまで変化してもよく、tは以下の式(6):
=1000*nav*(fA1+fA2+fA3)/M (6)
により規定され、
は上で規定した数平均分子質量であり、
A1はアミンA)当りの第1級アミン−NH官能基の数であり、
A2はアミンA)当りの第2級アミン−NH−官能基の数であり、
A3はアミンA)当りの第3級アミン−N=官能基の数である。
【0028】
官能価fは、前記オリゴマーのモル当りの(アクリレート)二重結合の当量で表わされ、以下の式(7):
=f+nav*(fA2*f−fA2−f+2*fA1*f−2*fA1) (7)
により規定することができ、
こうして規定されたfは、2.1から6、好ましくは2.3から5まで変化してもよい。
【0029】
アクリレート含量tacrは、前記オリゴマーのグラム当たりの二重結合のミリ当量(またはmmol)で表わされ、以下の式(8):
acr=1000*f/M (8)
により規定することができる。
【0030】
前記アクリレートB)はアルコキシ化されていてもよく、この場合好ましくはアクリレート基当りのアルコキシ単位の数は、前記アルコキシがエトキシの場合は3を超えず、前記アルコキシがプロポキシの場合は1を超えない。
【0031】
より具体的には、2つの反応物A)およびB)に関して、前記アミンA)は2以上の官能価fを有し、前記アクリレートB)は3以上の官能価fを有する、または反対に前記アミンA)は3以上の官能価fを有し、前記アクリレートB)は2以上の官能価fを有する、さらにより具体的にはf+fは8を超えることはなく、好ましくは8未満である。
【0032】
前記アミンA)に第1級アミンNH官能基がない1つの特別な選択肢によれば((アミンA)の一般式においてfA1=0))、前記オリゴマーを以下の事実により規定することができる:
− 前記アミンA)が一般式(NHfA1R2(NHR3)fA2であり、R2=R’(NR’’R’’’)fA3であり、R3、R’、R’’およびR’’’は同一でありまたは異なるCからCアルキルであり、fA1は0に等しく、モル当りの第1級アミン官能基の数であり、fA2は2以上であり、モル当りの第2級アミン官能基の数であり、fA3は0以上であり、モル当りの第3級アミンの官能価の数であり、f=fA2であり、
− 前記アクリレートB)が一般式R1(X)fBであり、XはCH=CH−CO−アクリレート基であり、R1はモル当りfのアクリレートを持つ前記アクリレートB)の残基であり、
− 前記オリゴマーが以下の一般式(I):
(fB−1)R1[OCCHCHNR3R2Y(fA2−2)NR3CHCHCOR1X(fB−2)X (I)
の生成物を含み、
Y=−(NR3CHCHCOOR1X(fB−1))である。
【0033】
式(I)のより構造的で詳細な式は、以下の式に対応し得るものであり、使用した全てのパラメータは前記式(I)に対して上で規定したとおりであり:
【0034】
【化1】
ここで:
【0035】
【化2】
である。
【0036】
第1級および第2級アミン官能基が存在する別の特別な選択肢によれば、前記オリゴマーを以下の事実により規定することができる:
− 前記アミンA)が一般式(NHfA1R2(NHR3)fA2であり、R2=R’(NR’’R’’’)fA3であり、R3、R’、R’’およびR’’’は同一でありまたは異なるCからCアルキルであり、fA1は1以上であり、モル当りの第1級アミン官能基の数であり、fA2は0以上であり、モル当りの第2級アミン官能基の数であり、fA3は0以上であり、モル当りの第3級アミンの官能基の数であり、
=2*fA1+fA2であり、
− 前記アクリレートB)が一般式R1(X)fBであり、XはCH=CH−CO−アクリレート基であり、R1はモル当りfのアクリレートを持つ前記アクリレートB)の残基であり、
− 前記オリゴマーが以下の一般式(II):
(fB−1)R1[OCCHCHNR2YfA2(fA1−1)CHCHCOR1X(fB−2)X (II)
の生成物を含み、
Y=−(NR3CHCHCOR1X(fB−1)および
Z=−(N(CHCHCOOR1X(fB−1))である。
【0037】
式(II)のより構造的で詳細な式は、以下の式に対応し得るものであり、使用した全てのパラメータは、前記式(II)に対して上で規定したとおりであり:
【0038】
【化3】
ここで
【0039】
【化4】
である。
【0040】
別の可能性によれば、アミンA)の前記官能価fは3に等しく、前記アミンA)は、第1級アミン官能基および第2級アミン官能基を持つジアミンから、または3つの第2級アミン官能基を持つトリアミンから選択される。
【0041】
別の変形によれば、前記アミンA)は2に等しい官能価fを有し、第1級アミンであり、即ち第1級アミン−NH官能基を持ち、または2つの第2級アミン官能基を持つジアミンであり、前記アクリレートB)は、アルコキシ化されていてもよりトリアクリレートであって、前記アルコキシがエトキシの場合にはアクリレート当りのアルコキシ単位の数が3を超えず、前記アルコキシがプロポキシの場合にはアクリレート当りのアルコキシ単位の数が1を超えない。
【0042】
別の可能な変形によれば、前記アミンA)は、3に等しい官能価fを有し、第1級−第2級ジアミン、即ち第1級アミン官能基および第2級アミン官能基を持ち、または3つの第2級アミン官能基を持つトリアミンであり、前記アクリレートB)は、アルコキシ化されていてもよいジアクリレートであって、前記アルコキシがエトキシの場合にはアクリレート当りのアルコキシ単位の数が2を超えず、前記アルコキシがプロポキシの場合にはアクリレート当りのアルコキシ単位の数が1を超えない。
【0043】
別の選択肢によれば、アミンA)の前記官能価fは4に等しく、前記アミンA)は、2つの第1級アミン官能基を持つジアミン、または1つの第1級アミン官能基および2つの第2級アミン官能基を持つトリアミン、または4つの第2級アミン官能基を持つテトラアミンから選択される。
【0044】
さらに異なる選択肢によれば、前記官能価fは5に等しく、前記アミンA)は、2つの第1級アミン官能基および1つの第2級アミン官能基を持つトリアミン、または1つの第1級アミン官能基および3つの第2級アミン官能基を持つテトラアミン、または5つの第2級アミン官能基を持つペンタアミンから選択される。
【0045】
さらに別の選択肢によれば、前記官能価fは6に等しく、前記アミンA)は、3つの第1級アミン官能基を持つトリアミン、または2つの第1級アミン官能基および2つの第2級アミン官能基を持つテトラアミン、または1つの第1級アミン官能基および4つの第2級アミン官能基を持つペンタアミン、または6つの第2級アミン官能基を持つヘキサアミンから選択される。
【0046】
前記アミンA)は既に上で述べたように、上で規定した第1級および/または第2級アミンの混合物であってもよい。この場合、使用する官能価fは、前記混合物で使用する全てのアミンの数平均官能価である。1つの特別な選択肢によれば、混合物のアミン成分の割合、およびアミン成分のNH基の官能価が、アミンの前記混合物のNH基の数平均官能価fで少なくとも2、好ましくは2から6である限り、一官能価の、特に脂環式の第2級アミンが、前記混合物中に存在することができる。
【0047】
分枝構造である本発明のオリゴマーは、オリゴマー当り、即ちオリゴマーのモル当り、2.1から6、好ましくは2.3から5の範囲の数平均アクリレート官能価fを有する。
【0048】
1つの特別な選択肢によれば、前記オリゴマーは、少なくとも2つのアミンA)および/または少なくとも2つのアクリレートB)の間の反応から得られる。このことは、本発明によれば、少なくとも2つのアミンA)が少なくとも1つのアクリレートB)と、または1つのアミンA)が少なくとも2つのアクリレートB)と、または少なくとも2つのアミンA)が少なくとも2つのアクリレートB)と反応することができることを意味する。
【0049】
本発明による前記オリゴマーは、275から5000、好ましくは300から3000(g/モルまたはダルトン)の範囲の、上で規定した式(4)により計算された数平均分子質量Mを好ましくは有する。
【0050】
本発明によるオリゴマーは、n個の繰返し単位を含み、分子分布はn(繰返し単位の数)に応じる。このことは、オリゴマーはnに応じた分子分布を有し、特にnに応じた分子分布は、n=0およびn=1およびn=2およびn=3に対応する少なくとも4種類の生成物を含むことを意味する。より具体的には前記分布の少なくとも50重量%が3以下のnに対応する。より具体的には、nに応じた前記分子分布は、n=0およびn=1およびn=2およびn=3およびn=4に対応する少なくとも5種類の生成物を含む。より具体的には、前記分布のさらに少なくとも60重量%が4以下のnに対応する。
【0051】
本発明の第2の主題は、本発明により上で規定した前記オリゴマーを調製する方法であって、方法は、ラジカル重合阻害剤の存在下で、いかなる溶媒も、いかなる触媒も、前記アミンA)および前記アクリレートB)および阻害剤を除くいかなる他の反応物も存在せずに、前記少なくとも1つのアミンA)の、前記少なくとも1つのアクリレートB)への重付加(マイケル付加と称される付加)反応のステップを含み、前記方法は、既に反応器に存在する、常に化学量論的に過剰である前記アクリレートB)に、アミンA)を徐々にしかも連続的に添加することを含み、前記反応は40℃超90℃未満、好ましくは60℃から80℃の温度において行われ、前記反応は少なくとも95%のN−Hアミン官能基の転化率で停止され、アクリレート官能基対前記N−Hアミン官能基の初期比r、r=アクリレート/N−Hはrinfと1.1rsupの間であり、好ましくはrはrinfとrsupの間であり、rinfおよびrsupの値は、以下の式(1)および(2):
inf=0.90*(f−1)*(f−1)(1)
sup=2*f+2*f−6 (2)
により規定される、方法に関する。
【0052】
本発明の別の主題は、上で規定され、または本発明により規定される方法により得られる少なくとも1つのオリゴマーを含み、一官能価および/または多官能価(メタ)アクリルモノマーから特に選択される反応希釈剤が存在してもよく、前記反応希釈剤は場合によって前記出発アクリレートB)と同じであり、または前記希釈剤は場合によって異なる、架橋可能な組成物に関する。前記反応希釈剤は、<2000mPa.sの範囲の最高粘度値に対して特に使用してもよい。B)と同じ前記希釈剤は、定義上、B)のような多官能価アクリルである。B)と異なる場合は、メタ(アクリル)官能価の性質により異なる可能性があり、即ち、メタクリレート基を持っている、または、(アクリレートの観点から)B)とは異なる性質、または異なる(モル当りアクリレート基もしくはメタクリレート基)官能価を有する、一官能価アクリレートもしくはメタクリレート、または多官能価(アクリレートもしくはメタクリレート)である。前記反応希釈剤は、粘度を最終用途を目標とするものに調節する反応希釈剤の役割は別として、前記架橋可能な組成物から得られる架橋生成物の最終性能を調節するために使用される可能性もある。
【0053】
より具体的には、前記(架橋可能な)組成物は、放射線架橋可能な組成物、好ましくは紫外線、レーザー、LED、または電子線放射により架橋することができるものであり、それは被覆組成物、特にインク、ワニス、ゲルコート、塗料、もしくは接着剤特に構造接着剤、または連続層の重ね合わせにより作られる3D物品用の組成物、または成形組成物である。
【0054】
別の変形によれば、前記組成物は過酸化物架橋可能な組成物(一般に「P−硬化」組成物と称される。)であり、特にそれは被覆組成物、より具体的にはワニス、ゲルコート、塗料、もしくは接着剤特に構造接着剤の組成物、または化学シーリング組成物もしくは成形組成物である。
【0055】
成形組成物は、成形部品用の、特に、繊維状強化材により強化された複合材料用を含む構造材料用の架橋可能な組成物である。
【0056】
本発明の別の主題は、架橋可能な組成物における結合剤としての、上で規定したオリゴマーの使用に関する。前記使用の第1の選択肢によれば、前記組成物は放射線架橋可能であり、好ましくは紫外線、レーザー、LEDまたは電子線放射により架橋することができ、前記組成物は被覆組成物、特にインク、ワニス、ゲルコート、塗料、もしくは接着剤特に構造接着剤の組成物、または連続層の重ね合わせにより作られる3D物品用の組成物、または成形組成物である。
【0057】
前記使用の別の変形によれば、それは過酸化物架橋可能な組成物(一般に「P−硬化」組成物と称される。)における使用であり、特にそれは被覆組成物、より具体的にはワニス、ゲルコート、塗料、もしくは接着剤特に構造接着剤の組成物、または化学シーリング組成物もしくは成形組成物である。
【0058】
最後に、本発明は、上で規定したもしくは上で規定した方法により得られる少なくとも1つのオリゴマーの使用から得られ、または、本発明により上で規定した組成物の架橋から得られ、特に、被覆フィルム、より具体的にはインク、ワニス、ゲルコート、もしくは接着フィルムまたは3D物品または化学シールまたは成形部品である、架橋した最終生成物に関する。
【0059】
本発明の説明およびその性能を介して以下の実施例が与えられ、本発明の範囲を決して制限するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0060】
実験セクション
原料:下記表1参照
【0061】
【表1】
【実施例】
【0062】
本発明によるオリゴマー調製の例
実施例A1
固定攪拌機を装備し、簡便な上向き冷却器、反応媒体の放出および空気注入(空気散布)を可能にする装置、滴下漏斗ならびに温度プローブを載せた1リットル反応器に、178.4gのヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)(0.7895モル)および84.7mgのヒドロキノンメチルエーテル(EMHQ)を導入した。
【0063】
次に、反応器に滴下漏斗により1時間にわたって徐々に33.5gのジメチルアミノプロピルアミノプロピルアミン(DMAPAPA)(0.2105モル)を導入し、この間反応混合物を徐々に80℃に持っていき、第1級および第2級(1°+2°)反応性アミン官能基の95%超が転化し、粘度が安定するまで(即ち10時間の反応)、この温度に保持した。常温に冷却後、澄んだ淡黄色の外観を有する生成物を得た。
【0064】
実施例A2
A)に対して同じ重量で、HDDAを178.4gの3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート(3M1,5PDDA)(0.7895モル)に取り替えることを除いて、実施例1に対するのと同じ方法で実施した。澄んだ淡黄色の外観を有する生成物を得た。
【0065】
実施例A3
アクリレートB)およびアミンA)反応物を、B)に対して188.49gのジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)(0.7895モル)、およびA)に対して35.15gのジメチルアミノプロピルアミノプロピルアミン(DMAPAPA)(0.2105モル)のように修正することを除いて、実施例A1に対するのと同じ方法で実施した。澄んだ淡黄色の外観を有する生成物を得た。
【0066】
得られた3つのオリゴマーA1、A2、A3のモル組成および特性を以下の表2に示す。
【0067】
【表2】
【0068】
実施例B1
アクリレートB)およびアミンA)反応物を、B)に対して303.45gのトリメチロールプロパン(4エトキシ)トリアクリレート(TMP4EOTA)(0.6429モル)、およびA)に対して36.42gのジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)(0.3571モル)のように修正することを除いて、実施例A1に対するのと同じ方法で実施した。澄んだ淡黄色の外観を有する生成物を得た。
【0069】
実施例B2
アクリレートB)およびアミンA)反応物を、B)に対して、197.34gのトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)(0.6667モル)、およびA)に対して34.00gのジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)(0.3333モル)のように修正することを除いて、実施例A1に対するのと同じ方法で実施した。澄んだ淡黄色の外観を有する生成物を得た。
【0070】
以下の表に、反応物A)およびB)のモル組成、ならびに上で記載したオリゴマーB1およびB2の特性をまとめる。
【0071】
【表3】
【0072】
実施例C1
アクリレートB)およびアミンA)反応物を、B)に対して、193.71gのヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)(0.8571モル)、およびA)に対して28.58gの1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン(1,4BAPP)(0.1429モル)のように修正することを除いて、実施例A1に対するのと同じ方法で実施した。澄んだ淡黄色の外観を有する生成物を得た。
【0073】
反応物A)およびB)のモル組成、ならびにオリゴマーD1およびD2の特性を、以下の表5に示す。
【0074】
実施例C2
アクリレートB)およびアミンA)反応物を、B)に対して193.71gのヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)(0.8571モル)、およびA)に対して20.29gの1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3BAC)(0.1429モル)のように修正することを除いて、実施例A1に対するのと同じ方法で実施した。澄んだ淡黄色の外観を有する生成物を得た。
【0075】
反応物A)およびB)のモル組成、ならびにオリゴマーC1およびC2の特性を、以下の表4に示す。
【0076】
【表4】
【0077】
実施例D1
アクリレートB)およびアミンA)反応物を、B)に対して380.45gのトリメチロールプロパン(3エトキシ)トリアクリレート(TMP3EOTA)(0.8889モル)、およびA)に対して22.22gの1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン(1,4BAPP)(0.1111モル)のように修正することを除いて、実施例A1に対するのと同じ方法で実施した。澄んだ淡黄色の外観を有する生成物を得た。
【0078】
実施例D2
アクリレートB)およびアミンA)反応物を、B)に対して380.49gのトリメチロールプロパン(3エトキシ)トリアクリレート(TMP3EOTA)(0.8889モル)、およびA)に対して15.78gの1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3BAC)(0.1111モル)のように修正することを除いて、実施例A1に対するのと同じ方法で実施した。澄んだ淡黄色の外観を有する生成物を得た。
【0079】
反応物A)およびB)のモル組成、ならびにオリゴマーD1およびD2の特性を、以下の表5に示す。
【0080】
【表5】
【0081】
上で記載の実施例により調製したオリゴマーを、以下に記載する架橋可能な配合物(応用組成物)において試験した。
【0082】
配合物および調製
試験する2種類の配合物のタイプの以下の組成物F1からF18に従って、常温において混合することにより、オリゴマーを配合した。
【0083】
奇数方式(F1、F3,F5、・・・・F17)
アクリレート化オリゴマー(A1からD2):96重量%
Darocure(登録商標)1173:4重量%
【0084】
偶数方式(F2、F4、F6、・・・F18)
アクリレート化オリゴマー(A1からD2):96重量%
Darocure(登録商標)1173:2重量%
ベンゾフェノン:2重量%
【0085】
F1からF18で製造した配合物の組成、およびその性能を以下の表6から9に示す。前記オリゴマーを特徴付ける方法、前記配合物F1からF18の性能を決定する方法、および使用した条件は、これらの表6から9の後に下で述べる。
【0086】
【表6】
【0087】
【表7】
【0088】
【表8】
【0089】
【表9】
【0090】
オリゴマーの特性および配合物の性能を決定する方法
1)外観
生成物を昼光中で60mLの無色ガラスフラスコを通して目視観察し、生成物が以下かどうか識別する:
・ 澄んでいる:濁りがない、水と比べ得る、
・ かすんだ:もはやフラスコを通して澄んだ視覚は不可能、
・ 曇った:不透明なフラスコ、フラスコを通して像を見ることはできない。
【0091】
2)粘度:ナウリー(Noury)粘度による
自身の重力に支配される鋼球が、特性を決定すべき液体中を移動する時間を測定する。AFNOR XP.T51−213規格は、特に容器の形状、球の直径(2mm)および球の経路(104mm)を規定する。こうした条件下で、1秒が0.1Pa.sに対応し、動粘度は球の移動時間に比例する。
【0092】
3)アミンの含量t:本明細書中、上で規定する式(6)により計算する
【0093】
4)官能価f:本明細書中、上で規定する式(7)により計算する
【0094】
5)アクリレート含量tacr:本明細書中、上で規定する式(8)により計算する
【0095】
6)架橋速度を介する反応性
配合物F1からF18を、12μmフィルムとして対比カード(Leneta社「Penoparc charts form 1B」(登録商標))に塗布し、120W/cmの水銀フュージョン紫外線ランプを使用して架橋する。手触りが乾燥したフィルムを得るのに必要な最小移動速度(m/分)を測定する。速度が速いほど、配合物の反応性がより高い。
【0096】
硬度、可撓性およびアセトン耐性試験のため、架橋後測定前に、光架橋フィルムを23℃の空調室に24時間放置する。
【0097】
7)ペルソ硬度
試験すべき配合物を100μmのフィルムとしてガラス板に塗布し、120W/cmの水銀フュージョン紫外線ランプを速度8m/分にて使用して架橋する。
【0098】
結果は、ISO1522規格により、被覆したガラス板に接触する振り子の振動が、減衰する(振幅が12°から4°まで通過する)までの振動の数として与えられる。
【0099】
8)可撓性
試験すべき配合物を100μmのフィルムとして25/10mmの厚みを有する平滑な鋼板(D−46(登録商標)Q−Panel)に塗布し、120W/cmの水銀フュージョン紫外線ランプを速度8m/分にて使用して架橋する。
【0100】
被覆板をISO1519規格によって、円柱状マンドレルに丸く曲げる。結果は、き裂または支持体からの離れがなく被覆に課すことができる彎曲の最小半径の値(mm)により表わされる。
【0101】
9)アセトン耐性(耐薬品性)
試験する配合物を12μmのフィルムとしてガラス板に塗布し、120W/cmの水銀フュージョン紫外線ランプを速度8m/分にて使用し架橋する。被覆をアセトンに浸漬した布でこする。使用する結果は、フィルムが離れるおよび/または崩壊する時間(秒で表わす)に対応する。
【0102】
10)数平均分子質量M:本明細書中、上で規定する式(4)により計算する