特許第6594938号(P6594938)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594938
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】抗アレルギー作用を有する組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/192 20060101AFI20191010BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20191010BHJP
   A61K 31/11 20060101ALI20191010BHJP
   A61K 31/09 20060101ALI20191010BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20191010BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   A61K31/192
   A23L33/10
   A61K31/11
   A61K31/09
   A61P37/08
   A61P43/00 121
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-178205(P2017-178205)
(22)【出願日】2017年9月15日
(65)【公開番号】特開2019-52119(P2019-52119A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2018年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】501105990
【氏名又は名称】株式会社トノハタ
(73)【特許権者】
【識別番号】596033174
【氏名又は名称】株式会社紀州ほそ川
(73)【特許権者】
【識別番号】500285347
【氏名又は名称】株式会社 岡畑農園
(73)【特許権者】
【識別番号】302035201
【氏名又は名称】株式会社丸惣
(74)【代理人】
【識別番号】100104307
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 尚司
(72)【発明者】
【氏名】河野 良平
(72)【発明者】
【氏名】野村 幸子
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 洋才
(72)【発明者】
【氏名】奥野 祥治
【審査官】 磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−202598(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2002−0008807(KR,A)
【文献】 特開2012−240996(JP,A)
【文献】 特開2006−296389(JP,A)
【文献】 J. Agric. Food. Chem., 2010, Vol.58, p.7149-7157
【文献】 J. Agric. Food. Chem., 2012, Vol.60, p.12491-12500
【文献】 Scientific Reports, 2018, Vol.8(1), p.1-15
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/192
A23L 33/10
A61K 31/09
A61K 31/11
A61P 37/08
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バニリン、プロトカテクアルデヒド、p−クマル酸からなる群の何れか1種以上を含む抗アレルギー作用が増強された組成物の製造のためのシリンガ酸の使用
【請求項2】
プロトカテクアルデヒド、p−クマル酸の何れか1種以上を含む抗アレルギー作用が増強された組成物の製造のためのリオニレシノールの使用
【請求項3】
シリンガ酸と、バニリン、プロトカテクアルデヒド、p−クマル酸からなる群の何れか1種以上及び/又はバニリン、プロトカテクアルデヒド、p−クマル酸からなる群の何れか1種以上を含む組成物を混合する工程を有する抗アレルギー用組成物の製造方法
【請求項4】
シリンガ酸を含む組成物と、バニリン、プロトカテクアルデヒド、p−クマル酸からなる群の何れか1種以上及び/又はバニリン、プロトカテクアルデヒド、p−クマル酸からなる群の何れか1種以上を含む組成物を混合する工程を有する抗アレルギー用組成物の製造方法
【請求項5】
リオレニシオールと、バニリン、プロトカテクアルデヒド、p−クマル酸からなる群の何れか1種以上及び/又はバニリン、プロトカテクアルデヒド、p−クマル酸からなる群の何れか1種以上を含む組成物を混合する工程を有する抗アレルギー用組成物の製造方法
【請求項6】
リオレニシオールを含む組成物と、バニリン、プロトカテクアルデヒド、p−クマル酸からなる群の何れか1種以上及び/又はバニリン、プロトカテクアルデヒド、p−クマル酸からなる群の何れか1種以上を含む組成物を混合する工程を有する抗アレルギー用組成物の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗アレルギー作用を有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
梅の果実には多様な効能があることが知られている。例えば、特許文献1(特開2011−216419号公報)には梅の実中のリグナン系化合物が抗ウイルス作用を示すことが、特許文献2(特開2007−204410号公報)には、梅の実中のそれとは異なるリグナン系化合物がヘリコバクターピロリ菌の運動能阻害活性を示すことが示されている。
【0003】
また、リグナン系化合物以外にも、例えば、バニリン(VA:Vanillin)、プロトカテクアルデヒド(PA:protocatechuic aldehyde)、リオニレシノール(LR:lyoniresinol)、p−クマル酸(CA:p-coumaric acid)など抗アレルギー作用を有するとされている化合物が種々梅の果実や梅干しなどに含まれている。なお、特許文献3(特開2012−240996号公報)には、梅の果実や梅干しなどに含まれるシリンガ酸(SA:syringic acid)が抗アレルギー作用を有することが記載されているが、ここでは化合物であるシリンガ酸が抗アレルギー作用を示すことは具体的には示されていない。また、非特許文献1において、SAは抗原刺激による肥満細胞からの脱顆粒を抑制しないことが報告されている。
【0004】
ところが、本願発明者らが、抗アレルギー作用を示す標準的指標である抗原特異的な抗体で感作した肥満細胞(ラット好塩基球性白血病細胞株RBL-2H3)の抗原刺激による脱顆粒時に放出されるβ−ヘキソサミニダーゼ活性を測定したところ、シリンガ酸やリオニレシノールのβ−ヘキソサミニダーゼ活性はプロトカテクアルデヒドやp−クマル酸のそれよりも弱く、ほとんど抗アレルギー作用を示すことがなかった。その一方で、シリンガ酸やリオニレシノールと、プロトカテクアルデヒドやp−クマル酸のような他の抗アレルギー作用を有する化合物を組み合わせることで高いアレルギー阻害率を示すことが分かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−216419号公報
【特許文献2】特開2007−204410号公報
【特許文献3】特開2012−240996号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Chen, H. J., et al., Mast cell-Dependent allergic responses are inhibited by ethanolic extract of adlay (Coix lachryma-jobi L. var. ma-yuen Stapf) testa. J. Agric. Food Chem. 58, 2596-2601 (2010).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願に係る発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであって、当該発明が解決しようとする課題は、シリンガ酸やリオニレシノールと、他の抗アレルギー作用を示す化合物と組み合わせることで、より強い抗アレルギー活性を示す組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願に係る発明ではシリンガ酸やリオニレシノールを他の抗アレルギー作用を示す化合物と組み合わせることとした。
【発明の効果】
【0009】
単独では比較的弱い抗アレルギー活性しか示さないシリンガ酸やリオニレシノールであっても、他の抗アレルギー活性を有する化合物と組み合わせることで相加若しくは相乗作用が発揮され、少量で強い抗アレルギー活性を示す組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は50%阻害濃度に対する95%阻害濃度に必要な量の割合を示すグラフである。
図2図2はシリンガ酸をその他の抗アレルギー化合物の10倍量を加えた場合の脱顆粒抑制率を示す図であって、Aはシリンガ酸濃度が150μMの場合を、Bはシリンガ酸濃度が300μMの場合を、Cはシリンガ酸濃度が600μMの場合を、Dはシリンガ酸濃度が1200μMの場合を示す。
図3図3はシリンガ酸をその他の抗アレルギー化合物の1/10倍量を加えた場合の脱顆粒抑制率を示す図であって、Aはシリンガ酸濃度が15μMの場合を、Bはシリンガ酸濃度が30μMの場合を、Cはシリンガ酸濃度が60μMの場合を、Dはシリンガ酸濃度が120μMの場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願に係る発明は、シリンガ酸やリオニレシノールを、他の抗アレルギー化合物と組み合わせることで他の化合物の抗アレルギー作用を増強させることである。他の抗アレルギー化合物は、肥満細胞からケミカルメディエータの放出を抑制する作用を有する化合物であればよい。当該化合物は、例えば、バニリン、プロトカテクアルデヒド、p−クマル酸、などであり、この他の任意の抗アレルギー作用を奏する化合物であり得る。なお、本願発明では、シリンガ酸は、ナトリウム塩やカリウム塩などのそれらの塩や水和物などを含み、実質的にシリンガ酸と同一視できる化合物を意味するものである。リオニレシノールも、シリンガ酸と同様に実質的にリオニレシノールと同一視できる化合物を意味する。また、これら以外の化合物であっても、各種の塩、水和物、プロドラッグなどを含む意味で用いられる。
【0012】
シリンガ酸やリオニレシノールと他の抗アレルギー化合物との混合比は、特に限定されることはなく、例えば、シリンガ酸やリオニレシノールの配合量は、他の抗アレルギー化合物の量に対して、モル比で0.001〜1000倍程度であり、好ましくは0.01〜100倍程度であり、より好ましくは0.1〜10倍程度であり得る。その一例として、他の抗アレルギー化合物がバニリン、プロトカテクアルデヒドやp−クマル酸である場合、各化合物に対してそれぞれ等モルのシリンガ酸やリオニレシノール(なお、2種以上の他の抗アレルギー化合物を用いる場合にはそれらの合計量に対して、シリンガ酸及び/又はリオニレシノールの合計量)を加えることで、増強作用が発揮される。特に、より強い効果を望む場合に、他の抗アレルギー化合物を単独で摂取する場合に比べて、単独摂取では効果の弱い若しくは効果のないと言えるシリンガ酸やリオニレシノールが増強作用を示し、他の抗アレルギー化合物を組み合わせたのとほぼ同等の効果を奏する抗アレルギー組成物が得られる。より具体的に言うと、抗アレルギー剤の50%阻害活性を示す量よりも多くの量を摂取する場合、例えば抗アレルギー剤の95%阻害活性を示す量を摂取する場合には、抗アレルギー剤単独で用いるよりもシリンガ酸やリオニレシノールを混合することで、抗アレルギー剤を単独で用いる場合よりも少ない量を摂取することでほぼ同等の効果を奏する。
【0013】
シリンガ酸やリオニレシノールと、他の抗アレルギー化合物を組み合わせる場合、それぞれある程度単離精製された化合物同士を混合する場合のみならず、ある程度単離精製されたシリンガ酸やリオニレシノールと他の抗アレルギー化合物を含む組成物(例えば、動植物などの抽出物であり、食品製造用材料であり、梅干しのような食品そのものであり、医薬組成物用の中間製剤であり得る)を混合する場合であり、シリンガ酸やリオニレシノールを含む組成物(例えば、動植物などの抽出物であり、食品製造用素材であり、梅酢や梅干しのような食品そのものであり、医薬組成物用の中間製剤であり得る)とある程度単離精製された抗アレルギー化合物を混合する場合であり、シリンガ酸やリオニレシノールを含む組成物と他の抗アレルギー化合物を含む組成物を混合する場合でもあり得る。組成物中の混合量は、他の抗アレルギー化合物の種類や組成物中の量によっても異なり適宜決定され得るが、シリンガ酸を単独で用いる場合、組成物中シリンガ酸として、例えば0.01μM〜1000mM、好ましくは0.1μM〜100mM、より好ましくは1μM〜10mM、さらに好ましくは10μM〜5mMを含み、リオニレシノールを単独で用いる場合、組成物中リオニレシノールとして例えば0.01μM〜1000mM、好ましくは0.1μM〜100mM、より好ましくは1μM〜10mM、さらに好ましくは10μM〜5mMを含むように混合される。また、シリンガ酸とリオニレシノールの双方を用いる場合であれば、両者の合計量が例えば0.01μM〜1000mM、好ましくは0.1μM〜100mM、より好ましくは1μM〜10mM、さらに好ましくは10μM〜5mMを含み得る。
【0014】
シリンガ酸やリオニレシノールを混合して得られる組成物は、例えば医薬組成物であり、食品用組成物であり得る。医薬組成物の場合には、シリンガ酸及び/又はリオニレシノールと、バリニンなどの他の抗アレルギー化合物を含み、必要に応じて製剤化に必要な添加剤、例えば賦形剤や緩衝剤、pH調整剤などを含み得る。食品用組成物は、いわゆる健康食品と称される健康維持や健康増進、疾病予防を目的として摂取される組成物であり、かかる健康食品と称されることのない通常の食品組成物でもあり得る。また、本願発明にかかる食品用組成物は、抗アレルギー作用効果を有することを直接的又は間接的に表示された食品用組成物のみならず、シリンガ酸やリオニレシノールは他の抗アレルギー作用を増強する旨や他の抗アレルギー作用を増強するシリンガ酸やリオニレシノールを含んでいるので他の抗アレルギー化合物の抗アレルギー作用効果が増強されている旨が直接的又は間接的に表示された食品用組成物でもあり得る。
【実施例1】
【0015】
〔抗アレルギー効果の増強作用〕
抗アレルギー作用は、肥満細胞(ラット好塩基球性白血病細胞株RBL-2H3)から脱顆粒時に放出されるβ−ヘキソサミニダーゼ活性を指標とした。
サンプルとして、梅種より単離したバニリン(vanillin:VA)、シリンガ酸(syringic acid:SA)、プロトカテクアルデヒド(protocatechuic aldehyde:PA)、リオニレシノール(lyoniresinol,:LR)、p-クマル酸(p-coumaric acid, CA)を脱顆粒抑制試験に用いた。なお、併用効果の作用については2種類の物質を等量で混合したサンプルを用いた。試験を実施した濃度は各物質についてそれぞれ150μM、300μM、600μM、1200μMとした。
【0016】
(脱顆粒抑制試験)
ラット好塩基球性白血病細胞株(RBL-2H3)細胞を96ウェルプレートに7×104cells加え24時間培養した後、培地を除去し100ng/mLの抗DNP-IgE抗体を100μL加えてさらに18時間培養して感作した。次に、HEPES-buffered Tyrode's solution(HT buffer、140mM NaCl、2.7mM KCl, 0.37mM NaH2PO4、12mM NaHCO3、0.49mM MgCl2、1.8mM CaCl2、25mM HEPES、5.6mM D-glucose、pH7.4)で溶解したサンプル溶液50μLで細胞を10分間処理した。そこに抗原を溶解したHT buffer 50μLを添加した後60分間培養して、脱顆粒を惹起した。
【0017】
脱顆粒時に放出されたβ−ヘキソサミニダーゼ活性の測定のために、培養液の上清100μLを回収し新しい96ウェルプレートに移した。また、細胞中に残ったβ−ヘキソサミニダーゼ活性の測定のために、細胞上清回収後の96ウェルプレートに100μLのHT buffer(0.1% Triton-X100含有)を加え細胞溶解液(cell lysate)を得た。次に、基質となる3.3mM p-NAG(p-Nitrophenyl-N-acetyl-β-D-glucosaminide)を含む50mM citrate buffer(pH4.5)を25μLずつそれぞれのウェルに加え、37℃で60分間反応させた。最後にcarbonate buffer(pH10.6)を100μL加えて酵素反応を停止させた。生成したp-Nitrophenolの最大吸収波長である405nmにおける吸光度A405を測定した。またリファレンス波長として650nmの吸光度A650を測定し、脱顆粒阻害率(β-hexosaminidase release inhibition rate)は次の数式1から、脱顆粒率は次の数式2から算出した。
【0018】
【数1】
【0019】
【数2】
【0020】
ここで、数式1中Positive controlはサンプルを添加せず、抗原のみを添加したときの吸光度(A405-A650)、Negative controlはサンプルを添加したが、抗原を添加しなかったときの吸光度(A405-A650)である。
【0021】
上記の脱顆粒抑制試験に基づき、各物質の50%阻害濃度(IC50)、75%阻害率(IC75)、90%阻害率(IC90)、95%阻害率(IC95)を示す濃度(mM)を求めた。そして、2種類の物質を混合した場合についても、それぞれ50%阻害率、75%阻害率、90%阻害率、95%阻害率を示す濃度(mM)を求めた。それらの結果を表1に示す。このとき、150μM〜1200μMのSA又はLRに対して等モルの他のアレルギー化合物を混合した。また、図1には、50%阻害率を示す濃度に対する95%阻害率を示す濃度の比をグラフで示した。
【0022】
【表1】
【0023】
抗アレルギー効果を示すか否かは通常50%阻害率で判定するところ、合成医薬品であるトラニラスト(IC50:0.511mM)を基準にすると、PAやCAはほぼ同等、VAはそれよりやや劣る程度であるが、SAやLRはそれらよりもかなり劣る結果となった。しかしながら、SAとVAやPA、CA、LRを組み合わせた場合や、LRとVA、PA、CAを組み合わせた場合には、VAとPAやCA、PAとCAを組み合わせた場合と同様に相加・相乗的効果が得られるだけでなく、より高い有効性を示す95%阻害率濃度は、VAやPAやCA、PAとCAを組み合わせた場合とほぼ同程度の濃度となった。
【0024】
すなわち、単独では弱い効果しか示さないSAやLRを少量、PAやVA、CAのような他の抗アレルギー剤と組み合わせることで、PAやVA、CAをそれぞれ組み合わせた場合と同様な相乗的な効果を得ることができる。
【実施例2】
【0025】
次に、SAとVA、PA、CAの混合比を変えて実施例1と同様の実験を行った。ここでは、SAが150μM、300μM、600μM、1200μMに対して、VA、PA、CAがその1/10倍量(SAの混合比がVA、PA、CAに対してそれぞれ10)となるように混合した場合と、VA、PA、CAがそれぞれ150μM、300μM、600μM、1200μMに対してその1/10倍量(SAの混合比がVA、PA、CAのそれぞれ1/10)となるようにSAを混合した場合に、それぞれの脱顆粒抑制率を求めた。混合比(量比)が10の場合の結果を図2に、混合比(量比)が1/10の場合の結果を図3に示した。量比が10の場合の結果から、SAの量が他の物質より10倍多い場合では、VAやCA,PAなどの他のアレルギー化合物に対する増強作用が弱い場合もあった。これは抗アレルギー作用を有するVAやPA、CA自体の量が少ないためであると考えられる。しかし、SAの混合比が1/10の場合の結果では、VAやPA、CAなど他のアレルギー化合物に対する増強作用が認められ、量比1と比較してもほぼ同等の作用を有し、SAを少量添加することによっても増強作用が発揮された。
図1
図2
図3