特許第6594985号(P6594985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6594985多重の食物抗原に対するIgGおよびIgA抗体、およびC1Q―食物タンパク質免疫複合体の同時の特性評価
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594985
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】多重の食物抗原に対するIgGおよびIgA抗体、およびC1Q―食物タンパク質免疫複合体の同時の特性評価
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20191010BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   G01N33/53 Q
   G01N33/543 501A
【請求項の数】22
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2017-540642(P2017-540642)
(86)(22)【出願日】2015年1月30日
(65)【公表番号】特表2018-504602(P2018-504602A)
(43)【公表日】2018年2月15日
(86)【国際出願番号】US2015013770
(87)【国際公開番号】WO2016122597
(87)【国際公開日】20160804
【審査請求日】2018年1月29日
(31)【優先権主張番号】14/609,865
(32)【優先日】2015年1月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515012789
【氏名又は名称】サイレックス ラボラトリーズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ヴォジュダニ,アリスト
【審査官】 海野 佳子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0255533(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/110454(WO,A1)
【文献】 Vojdani Aristo,Detection of IgE, IgG, IgA and IgM antibodies against raw and processed food antigens,NUTRITION & METABOLISM,2009年,Vol.6, No.1,p22
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48−33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食物抗原コ―ティングを含む試験表面を提供すること(ここで食物抗原コ―ティングは、連続的な方法で試験表面にアプライされている第一の食物抗原、第二の食物抗原、および第三の食物抗原を含む);
試験表面を1つ以上のイムノグロブリンおよび天然のイムノグロブリン―C1q複合体を含む試料の少なくとも一部分と接触させること;
試験表面を抗体混合物と接触させること(ここで抗体混合物は、C1qを対象とする第一の抗体および試料種の1つ以上のイムノグロブリンの少なくとも1つを対象とする第二の抗体を含む);および
試験表面への試料からのイムノグロブリンの少なくとも1つおよび天然のイムノグロブリン―C1q複合体の両方の結合に特有なシグナルを得ること(ここでバックグラウンドカットオフを上回るシグナル強度は陽性の結果として特性評価される)
を含む、抗体および補体プロファイルを特性評価するための方法。
【請求項2】
イムノグロブリンの少なくとも1つがIgGである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
イムノグロブリンの少なくとも1つがIgAである、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第一の食物抗原、第二の食物抗原、および第三の食物抗原が異なる抽出方法により同じ食物から得られる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
第一の抗体を対象とする抗体を含む第三の抗体と試験表面を接触させることをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法であって、第三の抗体が検出可能なタグを含む、方法。
【請求項6】
第二の抗体を対象とする抗体を含む第四の抗体と試験表面を接触させることをさらに含む、請求項5に記載の方法であって、第四の抗体が検出可能なタグを含む、方法。
【請求項7】
第一および第二の抗体の両方を対象とする抗体を含む第五の抗体と試験表面を接触させることをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法であって、第五の抗体が検出可能なタグを含む、方法。
【請求項8】
第一の抗体が第一の検出可能なタグをさらに含みかつ第二の抗体が第二の検出可能なタグをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
第一の検出可能なタグおよび第二の検出可能なタグが区別できない、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第一の食物抗原コ―ティングを含む第一の試験表面を提供すること(ここで第一の食物抗原コ―ティングは、連続的な方法で前記第一の試験表面にアプライされている第一の食物抗原、第二の食物抗原、および第三の食物抗原を含む);
第二の食物抗原コ―ティングを含む第二の試験表面を提供すること(ここで第二の食物抗原コ―ティングは、連続的な方法で第二の試験表面にアプライされている第四の食物抗原、第五の食物抗原、および第六の食物抗原を含む);
1つ以上のイムノグロブリンおよび1つ以上の天然のイムノグロブリン―C1q複合体を含む試料の第一のおよび第二の部分と第一のおよび第二の試験表面を、それぞれ接触させること;
抗体混合物と第一のおよび第二の試験表面を接触させること(ここで抗体混合物は、C1qを対象とする第一の抗体および試料種のイムノグロブリンの少なくとも1つを対象とする第二の抗体を含む);
第一の試験表面から、第一の試験表面への試料からのイムノグロブリンの少なくとも1つおよび天然のイムノグロブリン―C1q複合体の少なくとも1つの両方の結合に特有な第一のシグナルを得ること(ここでバックグラウンドカットオフを上回る第一のシグナル強度は第一の試験表面についての陽性の結果として特性評価される);および
第二の試験表面から、第二の試験表面への試料からのイムノグロブリンの少なくとも1つおよび天然のイムノグロブリン―C1q複合体の少なくとも1つの両方の結合に特有な第二のシグナルを得ること(ここでバックグラウンドカットオフを上回る第二のシグナル強度は第二の試験表面についての陽性の結果として特性評価される)
を含む、抗体および補体プロファイルを特性評価するための方法。
【請求項11】
共通の試験表面;
第一のプロセスにより食物から抽出される第一の食物抗原を含む共通の試験表面上の第一のコ―ティング;
第二のプロセスにより該食物から抽出される第二の食物抗原を含む該共通の試験表面上の第二のコ―ティング;および
第三のプロセスにより該食物から抽出される第三の食物抗原を含む該共通の試験表面上の第三のコ―ティング、
を含む、抗体およびC1qプロファイルを特性評価するための試験表面であって、
第二のコ―ティングが第一のコ―ティングの適用に続いて該共通の試験表面に適用され、かつ第三のコ―ティングが第二のコ―ティングの適用に続いて該共通の試験表面に適用される、試験表面。
【請求項12】
第一の食物抗原が水溶性タンパク質、アルコ―ル可溶性タンパク質、アルカリ可溶性タンパク質、糖脂質、多糖、および糖タンパク質からなる群から選択される、請求項11に記載の試験表面。
【請求項13】
第二の食物抗原が水溶性タンパク質、アルコ―ル可溶性タンパク質、アルカリ可溶性タンパク質、糖脂質、多糖、および糖タンパク質からなる群から選択される、請求項11または12に記載の試験表面。
【請求項14】
第三の食物抗原が水溶性タンパク質、アルコ―ル可溶性タンパク質、アルカリ可溶性タンパク質、糖脂質、多糖、および糖タンパク質からなる群から選択される、請求項11〜13のいずれか一項に記載の試験表面。
【請求項15】
共通の試験表面を提供すること;
第一の食物抗原調製物の第一の食物抗原の少なくとも一部分が共通の試験表面と複合することを可能にするために十分な期間にわたり共通の試験表面と第一の食物抗原調製物を接触させること;
第一の食物抗原調製物との接触に続いて、第二の食物抗原調製物の第二の食物抗原の少なくとも一部分が共通の試験表面と複合することを可能にするために十分な期間にわたり共通の試験表面と第二の食物抗原調製物を接触させること;および
第二の食物抗原調製物との接触に続いて、第三の食物抗原調製物の第三の食物抗原の少なくとも一部分が共通の試験表面と複合することを可能にするために十分な期間にわたり共通の試験表面と第三の食物抗原調製物を接触させること、
を含む、食物感受性を特性評価するための試験表面を製造する方法であって、第一の食物抗原調製物、第二の食物抗原調製物、および第三の食物抗原調製物が同じ食物から調製される、方法。
【請求項16】
第二の食物抗原調製物と共通の試験表面を接触させるより前に第一の食物抗原調製物から非複合物質を除く工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
除く工程が界面活性剤を含有する溶液と共通の試験表面を接触させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第三の食物抗原調製物と共通の試験表面を接触させるより前に第二の抗原調製物から非複合物質を除く工程をさらに含む、請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
除く工程が界面活性剤を含有する溶液と共通の試験表面を接触させることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ブロッキング溶液と共通の試験表面を接触させる工程をさらに含む、請求項15〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
試験プレ―トを含む抗体およびC1q結合プロファイルを特性評価するための試験キットであって、試験プレ―トが請求項11に記載の複数の共通の試験表面を含む、キット。
【請求項22】
複数の共通の試験表面が第一の食物からの抗原を含む第一の試験表面および第二の食物からの抗原を含む第二の試験表面を含む、請求項21に記載の試験キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、食物アレルギ―のため、特に食物抗原に対する遅延型過敏性反応のための、アッセイである。
【背景技術】
【0002】
以下の記載は、本発明を理解するにあたり有用であり得る情報を含む。本明細書中、提供される任意の情報が、先行技術であるかまたは本願にクレ―ムされる発明に関連すること、または具体的に若しくは非明示的に参照される任意の出版物が先行技術であることは、認められない。
神経自己免疫疾患を含む自己免疫障害は、世界人口の7〜10%に影響を及ぼす。近年、かかる障害は、一般に消費される食物に対する免疫反応性と関連するようになってきている。通常、消化管粘膜免疫系は、食物性タンパク質およびペプチド並びに片利共生的微生物叢に見出される抗原に対する寛容を誘導することにより免疫恒常性を維持し、一方で、同時に、病原体に対する免疫防御を発揮する。しかしながら、体の、「フレンドリ―な」抗原性物質の正常な寛容は、多くの因子により妨害され得る。腸のバリア機能不全および消化管関連バリアの機能停止は、消化されていないタンパク質およびペプチドの循環へのエントリ―を許し得る。これらの環境下で、これらの食物物質の摂取は、さまざまな食物抗原に対するだけでなく体自身の組織に対しても、IgGおよびIgA抗体の産生をもたらし得る(食物自己免疫反応性として知られる現象)。これは、多くの一般に消費される食物のアミノ酸配列と神経細胞を含むヒト組織において自然に生じる多くのタンパク質のものとの間の相同性(それはさまざまな程度で存在する)に起因する。これらのさまざまな食物タンパク質と異なる標的組織抗原との間の、この抗原類似性または分子の模倣性の結果として、食物免疫反応性の検出の失敗は、最初に自己免疫反応性の発達をもたらし得、潜在的に自己免疫(例えば神経自己免疫)疾患を引き起こす(Vojdani, 2014a;Vojdani, 2014b)。結果として、食物免疫反応性は、増加する有病率並びに健康およびクオリティ・オブ・ライフへの悪影響のいずれにも起因して、ますます注目を集めている(Johnson et al., 2014;Vojdani et al., 2014c)。
【0003】
本明細書中、同定される全ての出版物は、それぞれ個別の出版物または特許出願が具体的におよび個別に示され参照により組み込まれるのと同程度に、参照により組み込まれる。組み込まれる参考文献における用語の定義または使用が、本明細書中に提供される用語の定義と矛盾するまたは反する場合、本明細書中に提供される用語の定義が適用され、参考文献における用語の定義は適用されない。
免疫反応性のメカニズムは、一般に二段階である:急性反応は、アレルゲン暴露に続いて直ちに生じ、続いて、数時間後に後期反応が生じる。急性反応の間、さまざまな細胞へのIgEおよび/またはIgGの結合、並びにマスト細胞、好中球および好塩基球による、ヒスタミンおよび血小板活性化因子(PAF)などのメディエ―タ―の放出に起因して、症状が生じる。後期は、炎症性IL―4、IL―9、IL―33およびTNF―αなどのサイトカインの流入、並びに好中球および好酸球などの細胞に関与する(Ho et al., 2012)。古典的な遅延型食物免疫反応性において、さまざまな食物抗原に対する高レベルのIgG、IgMまたはIgAの産生は、免疫複合体の形成およびさまざまな組織部位における免疫複合体の堆積を伴う、抗体へのC1qの結合をもたらす。症状は、かかる食物抗原に対する初期免疫反応に続いて、数日間またはさらに数週間継続し得る。
IgE、IgG、IgAまたはIgMは、食物免疫反応性において、さまざまな役割を果たす(Mijayima et al., 1997)。IgEは、マスト細胞および好塩基球で高く発現される、その高親和性受容体FcεRIを介して機能する。IgGは、高親和性FcvRIおよびFcvRIV受容体並びに低親和性FcvRIIBおよびFcvRIII受容体を含む、いくつかの受容体を有する。これらの受容体のすべては、マスト細胞、好塩基球、好中球、およびマクロファ―ジを含む、アナフィラキシ―に関与するいくつかのタイプの細胞で発現される。
【0004】
5つの異なるパスウェイが、食物免疫反応性に関与する(Mancardi et al., 2013;Smit et al, 2011;Strait et al., 2002):
1.古典的パスウェイ― IgEおよびその受容体FcεRI、マスト細胞並びにヒスタミンに関与する
2.代替パスウェイ― IgG1、FcvRIII、マクロファ―ジおよびPAFパスウェイにより媒体される
3.IgG―好塩基球―PAFパスウェイ
4.FcvRIVを介する、IgG―好中球―PAFパスウェイ
5.IgG、IgMまたはIgA―免疫複合体好中球パスウェイ。
食物性構成要素に対する、これらのすべての反応は、経口寛容の失敗によりもたらされる。
【0005】
上述のとおり、消化管粘膜免疫系は免疫恒常性を正常に維持し、それは有害な病原体に対する効果的で適切な免疫応答を備え付ける一方で消化管において無害であるかまたは有益ですらある分子に対する寛容を維持することからなる(LimおよびRowley, 1982)。食物抗原に対する応答の欠如とそれに続く全身性免疫応答の下方制御は、経口寛容として特性評価されるものである。経口寛容における失敗は、アレルギ―および自己免疫性などの潜在的に生命を脅かす結果を伴う、摂取される食物に対する免疫反応性をもたらし得る(TsujiおよびKosaka, 2008)。
動作のこれらの異なるメカニズムが摂取された抗原を制御し損なう場合、結果は、最初は溶解性抗原に対する寛容における機能停止であり得、これが食物抗原に対する分泌性および全身性の免疫応答を活性化し得る。免疫排除メカニズムが機能しない個人は、高分子の慢性過剰吸収および、自己抗体およびさらに自己免疫疾患を発達させる傾向を経験し得る(MaulおよびDichmann, 2008)。この理由のため、実際の食物抗原に対するIgG、IgMおよびIgA抗体の誘導および免疫複合体形成並びにバイスタンダ―抗原に対するさらなるクロスプライミングが、臨床的に重要であり得る。in vitroおよびin vivoの実験的研究のいずれもが、粘膜IgA応答によりバランスが保たれていないIgG抗体が、バイスタンダ―タンパク質の上皮侵入を増強することを実証してきた(BrandtzaegおよびTolo, 1997)。上皮細胞を介する細菌毒素およびさまざまな食物抗原の移動は、自己免疫を含む、多くの免疫障害をもたらし得る。
【0006】
食物性タンパク質およびペプチドに対する全身性免疫反応のタイプは、抗原性構造(例えば、タンパク質抗原、微粒子抗原、多糖、糖タンパク質、糖脂質または酵素)および個人の遺伝的性質に依存する。例えば、食物性構成要素に対して、ある人物はIgGを産生し得るが、別の人物はIgAまたはIgM抗体を産生し得る(Barnes, 1995)。食物性抗原に対する、かかるIgG、IgMおよびIgA抗体が検出されないままである場合、結果は自己免疫の発達とそれに続く自己免疫疾患であり得る。
結果として、最近数十年で、自己免疫疾患に関与する自己抗原との類似性を共有する、食物抗原中の標的ペプチドの同定において、著しい進歩が形成されてきた(Baboonian et al., 1989;Baboonian et al., 1991;Lunardi et al., 1992;Lunardi et al., 2000;Ostenstad et al., 1995;Schrander et al., 1997)。グリシンリッチ細胞壁タンパク質ペプチド(GRP)は、完全に異なりかつ関係のない疾患においてTおよびB細胞免疫応答を開始することができる抗原性ペプチド配列の例を表す。GRPは、豆、果物、野菜およびゼラチンにおいて見出されるユビキタスな食物タンパク質である。それは、自己免疫障害と関係がある一般的な抗原である、リボ核タンパク質、線維性コラ―ゲン、サイトケラチンおよびEBV核抗原―1(EBNA―1)に対して、非常に高い程度の抗原類似性/相同性を有する。
【0007】
グリシンリッチ食物抗原およびエプスタイン・バ―ル・ウイルスと自己免疫疾患に関与するさまざまな組織抗原との間の、この抗原類似性は、交差反応性抗体の産生をもたらし得る。食物免疫反応性および異なる自己免疫障害を有する患者において免疫応答を引き出し得る共通のペプチドエピト―プの発見は、食物抗原、消化管粘膜、および全身性免疫応答の間の、可能性な関連性の疑問を生じさせる(Lunardi et al., 1992;Schrander et al., 1997)。GRPペプチドに対する血清IgG抗体は、いくつかの自己免疫障害および食物アレルギ―性患者において検出され、ケラチン、コラ―ゲンおよびEBNA―1を含む自己抗原と交差反応できた(Lunardi et al., 2000)。このデ―タは、植物ウイルスおよびヒトにおいて、系統発生的に高く保存されたエピト―プが、影響を受けやすい個人における自己免疫応答の原因であり得ることを示唆する。さらに、これは、見かけ上異なるタンパク質間の特定の配列が分布する抗原が免疫応答を開始または増幅することに関与し、影響を受けやすい個人において自己免疫をもたらし得ることを示す。
【0008】
特定の食物抗原エピト―プに特異的なT細胞クロ―ンにより媒介される自己免疫応答は、消化管粘膜において生じ得る。かかるT細胞は、それらが滑液タンパク質に由来する相同ペプチドに対して応答して増殖する関節などの特定の部位に集められ得る。局所炎症およびMHC分子の上方制御に続いて、さらなる自己抗原の放出および/またはエピト―プの拡散は、自己免疫をもたらす、器官の炎症および破壊の慢性的で自己持続的なプロセスを引き起こし得る(Lunardi et al., 1992;Vojdani, 2014a)。
【0009】
特に小麦および乳に関し、食物免疫反応性および関連する健康問題の認識は、過去20年にわたり拡大してきた(Bousquet et al., 1998;Lack, 2008;Zuidmeer et al., 2008)。セリアック疾患(CD)患者において、腸のTヘルパ―細胞を刺激する能力を有する多くのグルテンペプチドが同定されてきている(Arentz―Hansen et al., 2000;Arentz―Hansen et al., 2002;Camarca et al., 2009;Tollefsen et al., 2006)。最近の研究は、非セリアックグルテン感受性(NCGS)およびCohn’s疾患を有する患者が小麦抗原のレパ―トリ―に対して反応し、それらに対するIgGおよびIgAを産生することを示した。このレパ―トリ―は、さまざまなペプチド、α―、γ―、ω―グリアジン、グルテニン、グルテオモルフィンおよびコムギ胚芽アグルチニンを含んだ(Vojdani, 2011)。小麦などの環境因子に対する継続的な暴露は、NCGSおよびセリアック疾患を引き起こすだけでなく、処置されないままである場合、炎症および自己免疫をもたらし得る(Counsell et al., 1994;De Freitas et al., 2002;Gillett et al., 2001)。実際、セリアック疾患は、さまざまな自己免疫障害と関連付けられてきた。CDまたはNCGSを有する患者において検出された自己免疫関連抗体のスペクトルは、交差―反応性および分子模倣性がグリアジンとさまざまな組織抗原との間で生じることを示す(Alaedini et al., 2007;Collin et al., 2002;Frustaci et al., 2002;Hadjivassiliou et al., 2004;Jacob et al., 2005;Natter et al., 2001;Pratesi et al., 1998;Reinke et al., 2011;Vojdani et al., 2004)。
【0010】
多くの研究は多発性硬化症(MS)の有病率と乳製品食物消費との間の関連について注目し、MSの発生率がミルクの消費とパラレルであることを見出した(AgranoffおよびGoldberg, 1974;Butcher, 1976;Kahana et al., 1994;Knox, 1977;Malosse et al, 1992)。とりわけ、高い程度の配列相同性が、ブチロフィリン(BTN)およびミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)と呼ばれる、乳脂肪球皮膜の主要なタンパク質の間に見出された(Gardinier et al., 1992;Henry et al., 1999;JackおよびMather, 1990)。
【0011】
MOG(ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質)は、MSおよびその動物モデルである、実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)の、病原性自己免疫応答における主要な抗原である(Vojdani et al., 2002)。MOGは、EAEを有する動物において、脱髄自己抗体応答および脳炎惹起性(ecephalitogenic)CD4+T細胞応答のいずれもを誘導することが知られる、唯一のミエリン自己抗原である(Amor et al., 1994)。MOGに対する脳炎惹起性T細胞応答は、ミルクタンパク質ブチロフィリン(BTN)の細胞外IgV様ドメインとの免疫学的交差反応性(または「分子模倣性」)の結果として誘導され得るか、または代わりに抑制され得ることが見出されている。ラットにおいて、天然のBTNでの能動的な免疫付与は、T細胞およびマクロファ―ジの、髄膜および血管周囲への散在性の浸潤の形成により特性評価される、中枢神経系における炎症性応答を引き起こす(Vojdani et al., 2002)。この病理学は、MOGペプチド配列と交差反応する、BTNのMHCクラスII拘束性T細胞応答により媒介されることも見出されている(Muthukumar M, et al., 2009)。
視神経脊髄炎(Neuromyelitis optica)(NMO)は、脳および脊髄において灰白質および白質に影響を及ぼす重度の神経自己免疫障害であり、脱髄、軸索損傷およびネクロ―シスをもたらし、かつ影響を及ぼされた個人において、まひおよび感覚喪失を最終的にもたらす(Jarius et al., 2008)。症例の75%において、NMOは、アクアポリンファミリ―に属する水チャネルであるアクアポリン―4(AQP4)に選択的に結合するIgG1抗体の存在と関連する(Jarius et al., 2010;Kim et al., 2012)。AQP4は血液脳関門でのアストロサイトの足突起において発現し、足突起は溶質濃度、電気的活性、および神経細胞の信号伝達および興奮性の調節に影響を及ぼす脳微小血管またはクモ膜腔と接触している(Kinoshita et al., 2010)。結合後、AQP4特異的なIgG1抗体は、アストロサイトを最初に損傷する能力を有し、その後、脊髄および視神経において脱髄を引き起こす(BradlおよびLassmann, 2008)。AQP4へのIgG1の結合は、補体カスケ―ドおよび炎症性浸潤の活性化も誘導し、それは、アストロサイト細胞毒性の誘導後に、脱髄および組織破壊を引き起こす。
【0012】
近年、AQP4に対する病原性抗体が、AQP4の特異的なエピト―プに対する類似性または分子擬態を有する周囲のタンパク質への暴露によりが引き起こされ得ることが提案された(Vaishnav et al., 2013)。興味深いことに、ホウレンソウの葉は、内在性膜タンパク質の20%を構成する、2つの熱的に安定なアクアポリンを発現する(Plasencia et al., 2011)。同様に、大豆は、根粒において、および発芽する種子において、アクアポリンを発現する(Fleurat―Lassard et al., 2005)。ヒトAQP4がトマトおよびトウモロコシ液胞膜内在性タンパク質と交差反応し得ることも見出された(Vaishnav et al., 2013)。
ここで留意すべきは、NMOにおける初代T細胞エピト―プに対して有意な同一性を有するアミノ酸配列が、パ―スニップ、セロリ、ニンジン、パセリ、シラントロ、チャ―ビルおよびディルに感染するパ―スニップイエロ―フレックウイルスの、潜在的に免疫原性のコ―トタンパク質において生じることである。このエピト―プはまた、マメ科植物ウマゴヤシ(M. truncatula)におけるセリンプロテア―ゼ阻害剤に存在する配列とも有意な配列同一性を共有する(Vaishnav et al., 2013)。
未だ特性評価されていない食物の多くの構成要素も、自己免疫を引き起こす可能性を有し得ることは明らかである。これまで、食物免疫反応性と関連する多くの研究は、研究された食物中に存在する、タンパク質およびペプチドの水溶性集団のみを特性評価してきた。これに対する例外は小麦であり、グルテン(小麦のアルコ―ル可溶性構成要素)は食物免疫反応性、交差反応性、および自己免疫研究において使用されてきた。その上、補体の役割はまだ明らかでない。
【0013】
上述のとおり、これまで食物アレルゲン研究は、主として、特異的な抗原に対するイムノグロブリンの存在を検出することに焦点を当てており、補体活性化の問題点には対処してこなかった。米国特許出願No.2009/0010937(Chauhanに対し)は、C1qなどの補体構成要素を含む、循環する免疫複合体の検出について議論するが、しかしながら議論される手法は、免疫複合体に対する細胞受容体を利用して、抗補体抗体を用いる検出のために必要な固定化を提供する。そのようなものとして、かれらは、かかる複合体の抗原特異性への洞察がないことに対して、ほとんど何も提供しない。米国特許No.8,309,318(DorvalおよびDantiniに対し)は、固定化された抗原を用いて、結合されたC3bを含有する、アレルゲン特異的免疫複合体の検出を議論する。しかしながら、いわゆる「イノセントバイスタンダ―」IgG―C3b付加物が補体活性化の間に形成することがあり(、それは抗原特異的複合体の存在の決定における、かかるアプロ―チの有用性をひどく制限することが実証された(Fries et al,1984)。
このように、それらの自然な状態で水抽出可能なタンパク質およびペプチドによって表されるよりも、より広い範囲の、食物中に見出される抗原性分子に結合する抗体(例えばIgG、IgA、IgM,および他の抗体クラス)を特性評価するための、システム、デバイス、および方法に対するニ―ズが存在する。その上、かかる抗体と関連する補体構成要素(例えばC1q)の存在を特性評価するための、システム、デバイス、および方法に対するニ―ズが存在する。
【発明の概要】
【0014】
本発明の主題は、装置、システムおよび方法を提供し、それにおいて異なる群の抗原性分子がさまざまな異なる物理的/化学的方法を用いて食物から抽出され、アルカリ可溶性タンパク質、アルコ―ル可溶性タンパク質、水溶性タンパク質、多糖、糖脂質、および糖タンパク質を含む。これらの抽出物のそれぞれは、特定の順番で同じ試験表面に対して適用されて、これらの異なる抽出物のそれぞれからの抗原を含む多重コ―トされた試験表面を提供する。これらの抗原に結合するIgG、IgA、およびC1q(天然のイムノグロブリン―C1q複合体の形態で)は、試験表面を試料にさらし、洗浄して過剰な試料を除き、かつ酵素などの検出可能なタグをもつIgGおよび/またはIgAに対する種特異的な抗体並びにC1qに対する抗体と、さらされた試験表面を接触させることにより同定される。結合されたタグの特性評価は、試験表面に存在する幅広いさまざまな食物抗原の少なくとも1つに対するIgG、IgAおよび/またはC1qの結合の程度を示す。
本発明の主題のさまざまな目的、特性、側面および長所は、それにおいて類似の数字が類似の構成要素を表す付随する図と共に、以下の好ましい実施態様の詳細な記載からより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明概念の試験表面を用いて生成された免疫応答についてのキャリブレ―ション曲線を示す。
図2図2は、本発明概念の試験表面に対する、IgGの結合研究の結果を示す。IgG抗体結合は、第一の個人について試験された180の食物からの抽出物を含有する異なる抗原を含む試験表面を用いて特性評価された。0.5ODのアッセイカットオフを上回る結果は、バナナ、パイナップル、ショウガ、バニラ、ア―ティチョ―ク、アスパラガス、キャベツ、トウモロコシ、ナス、オリ―ブ類、ピクルス、フライドポテト、海草、レンティル レクチン、ピ―カン、卵白および模造カニに対するIgGにおける有意な上昇を示す。残りの163の食物抽出物に対するIgG免疫反応性は0.4ODを下回り、陰性とみなされた。
図3図3は、本発明概念の試験表面に対する、C1qの結合(天然のイムノグロブリン―C1q複合体を介する)についてのアッセイの結果を示す。イムノグロブリン―C1q結合は、第一の個人について試験された180の食物からの抽出物を含有する異なる抗原を含む試験表面を用いて特性評価された。実施例において留意すべきは、C1qの結合(天然のイムノグロブリン―C1q複合体を介する)が測定される場合、IgGが測定された場合には陽性でなかった12の異なる新しい食物抽出物に対して、この複合体のレベルが有意に上昇することである。これらの抽出物は、ラテックス ヘベイン、ニンニク、タマネギ、エンドウ レクチン、大根、コメ エンドキチナ―ゼ、食物着色料、マグロ、エビ、ガムおよび緑茶である。図2に示すとおりIgGのレベルが測定された場合、これらの同じ12の食物についての光学密度は0.5を下回り陰性とみなされたことも留意すべきである。
図4図4は、本発明概念の同じ試験表面に対する、IgGおよびC1qの結合(天然のイムノグロブリン―C1q複合体を介する)の両方についてのアッセイの結果を示す。IgGおよびC1qの結合は、第一の個人について試験された180の食物からの異なる抗原を含む抽出物を含有する試験表面を用いて特性評価された。IgGまたはC1qのいずれかが測定された場合に反応性であった(図2および3に示すとおり)すべての食物抽出物は、高度に反応性となった。残りの151の食物について、光学密度は0.5を下回り陰性とみなされた。
図5図5は、本発明概念の試験表面に対するIgGの結合研究の結果を示す。IgG抗体の結合は、第二の個人について試験された180の食物からの異なる抗原を含む抽出物を含有する試験表面を用いて特性評価された。0.5ODのアッセイカットオフを上回る結果は、IgGにおける有意な上昇を示す。180の食物抗原抽出物のうちの10に対する有意なIgG結合が同定された。
図6図6は、第二の個人からの、本発明概念の試験表面に対するC1qの結合(天然のイムノグロブリン―C1q複合体を介する)についてのアッセイの結果を示す。C1qの結合は、180の試験された食物からの異なる抗原を含む抽出物を含有する試験表面を用いて特性評価された。0.5ODのアッセイカットオフを上回る結果は、C1qにおける有意な上昇を示す。14の食物抗原抽出物について有意なC1q結合(天然のイムノグロブリン―C1q複合体を介する)が同定され、そのうち11がC1qに特有であった。
図7図7は、第二の個人からの、本発明概念の同じ試験表面に対するIgGおよびC1qの両方の結合(天然のイムノグロブリン―C1q複合体を介する)についてのアッセイの結果を示す。IgGおよびIgC1qの結合は、第二の個人について試験された180の食物からの異なる抗原を含む抽出物を含有する試験表面を用いて特性評価された。組み合わせて、有意なIgGおよびC1qの結合が21の食物抗原抽出物について同定され、これは、この個人について個別のIgGおよびC1q研究において同定された食物抗原抽出物を表す。
図8図8は、商業的に利用可能な食物抗原調製物を用いて異なる食物から調製された試験表面、および本発明概念の方法を用いて調製された試験表面のパネルに対する個人からの血清IgGおよびIgAの結合を示す表を描写する。結果は、それぞれの食物について、その食物からのすべての食物抗原調製物を用いて連続的にコ―トされた試験表面について、および熱処理後の同じ食物に由来するすべての食物抗原調製物を用いて連続的にコ―トされた試験表面についての個別の抗原調製物について示される。
図9図9は、図8に示される食物抗原パネルの拡張を示す表を描写する。
図10図10は、図8および9に示される食物抗原パネルの拡張を示す表を描写する。
図11図11は、図8、9、および10に示される食物抗原パネルの拡張を示す表を描写する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な記載
食物抗原に対する抗体の存在、および食物抗原に結合するC1q―抗体複合体の存在を特性評価するためのシステム、デバイス、および方法が提供される。食物抗原抽出物は、さまざまな食物およびそれらの熱変性型からの水溶性タンパク質、アルコ―ル可溶性タンパク質、アルカリ可溶性タンパク質、糖脂質、多糖および糖タンパク質の抽出のための方法を用いて調製される。連続的な方法で共通の試験表面に適用される場合、これらは、先行技術の方法よりも、さらにより多様な食物抗原を提供する試験表面を提供する。驚くべきことに、連続的な添加の使用、および抗原抽出物が適用される順番が、かかる複合試験表面を産生するために必要であることが見出された。
【0017】
その上、異なる食物源からの食物抗原抽出物をそれぞれ含有する複数の試験表面にさらされた場合、IgGおよび天然のイムノグロブリン―C1q複合体(すなわち、個体内で形成されるイムノグロブリン―C1q複合体)は、異なる結合プロファイルを示したことが見出された。同じ試験表面へのIgG/IgAおよびC1q (天然のイムノグロブリン―C1q複合体の形態で) の両方の結合を同時に特性評価することは、IgGおよびC1qの結合を個別に試験することから得られる結果と同等のプロファイルを提供し、これは減少した数の試験表面およびアッセイ工程を用いて食物抗原についてのより完全な免疫反応性プロファイルを有利に提供することも見出された。
【0018】
いくつかの実施態様において、本発明のある実施態様を記載しクレ―ムするために使用される、濃度、反応条件などの含有物の特性の数量を表す数は、場合によっては用語「約」により修飾されるように理解されるものである。それに応じて、いくつかの実施態様において、記述された記載および添付の請求項において説明する、数を表すパラメ―タ―は、特定の実施態様により得られようとされる所望の特性に依存して変化してよい近似値である。いくつかの実施態様において、数を表すパラメ―タ―は、報告される有意な桁の数の観点から、および通常の丸め技術を適用することにより解釈されるべきである。本発明のいくつかの実施態様の広い範囲を説明する、数を表す範囲およびパラメ―タ―は、近似値であるにもかかわらず、具体的な実施例を説明する、数を表す値は、実現可能なように、正確に報告される。本発明のいくつかの実施態様において提示される、数を表す値は、必ずしもそのそれぞれの測定を試験する場合に見出される標準偏差により生じるものでない、ある誤差を含有し得る。
【0019】
本明細書中の記載およびそれに続く特許請求の範囲全体において使用されるように「a」、「an」および「the」の意味することは、文脈が他の方法で明らかに記載しない限り、複数の参照を含む。また、本明細書中の記載において使用されるように、「in」の意味することは、文脈が他の方法で明らかに記載しない限り、「in」および「on」を含む。
【0020】
文脈が正反対のことを記載しない限り、本明細書中説明する、すべての範囲は、それらの端点を含めているように解釈されるべきであり、オ―プンエンドな範囲は、商業用に実際的な値のみを含むと解釈されるべきである。同様に、値のすべてのリストは、文脈が正反対のことを示さない限り、中間の値を含めているとみなされるべきである。
【0021】
本明細書中、値の範囲の記述は、単に、それぞれ分離した、範囲内に落ちる値を個別に言及することの、省略表現方法として役立つことを意図している。本明細書中、他の方法で示されない限り、範囲を有するそれぞれ個別の値は、まるで本明細書中、個別に列挙されたかのように、明細書に組み込まれる。本明細書中、記載されたすべての方法を、本明細書中、他の方法で示されない限り、または他の方法で明らかに文脈により矛盾しない限り、任意の適切な順番において、行うことができる。本明細書中、ある実施態様に関して提供される、任意のおよびすべての例、または代表的言葉(例えば「などの」)の使用は、単に、本発明をより良く明らかにすることを意図し、クレ―ムされない限り、本発明の範囲についての限定を提起しない。明細書にない言葉は、本発明の実行に必須の、クレ―ムされない任意の要素を示すように解釈されるべきである。
【0022】
本明細書中、使用されるように文脈を他の方法で述べない限り、用語「にカップリングされる」は、ダイレクトカップリング(それにおいて、お互いにカップリングされる2の要素が互いに接触する)およびインダイレクトカップリング(それにおいて、少なくとも1のさらなる要素が、この2つの要素間に位置する)のいずれもを含むよう意図される。従って、用語「にカップリングされる」および「とカップリングされる」は、同意語として使用される。
【0023】
本明細書中に開示される本発明の、代替要素または実施態様のグル―プ分けは、限定のように解釈されない。それぞれの群の一員は、個別に、または群のほかの一員もしくは本明細書中に見出されるほかの要素と、任意に組合せて、言及され得るし、クレ―ムされる得る。群の1以上の一員は、利便性および/または特許性の理由のため、群の中に含まれ得るし、または群から削除され得る。かかる任意の包含または削除が生じる場合、明細書は、この中に、変更されるように群を含有するとみなされ、従って添付された請求項において使用された、すべてのマ―カッシュ群の記述された記載を満たす。
【0024】
以下の議論は、本発明の主題の多くの実施態様例を提供する。それぞれの実施態様は、発明要素の単一の組合せを表すが、本発明の主題は、開示される要素の、可能性があるすべての組合せを含むとみなされる。したがって、一実施態様が要素A、BおよびCを含み、第二の実施態様が要素BおよびDを含むならば、本発明の主題は、明示的に開示されない場合でさえ、A、B、CまたはDのほかの残りの組合せを含むともみなされる。
【0025】
本発明概念のいくつかの実施態様において、食物構成要素は、乳製品および卵(変更された)、穀物(そのままの、および変更された)、豆およびマメ科植物(変更された)、ナッツおよび種子(そのままの、および変更された)、野菜(そのままの、および変更された)、果物(そのままの、および変更された)、魚および海産食物(そのままの、および変更された)、肉(変更された)、ハ―ブ(そのままの)、スパイス(そのままの)、ガム、および醸造された飲料および添加物を含む一般的な群に分類され得る。変更された食物は、例えばゆでること、焼くこと、および/または揚げることなど、消費の前に通常実行される調製工程を反映し得る。
【0026】
「乳製品および卵」は、卵白、調理された(ゆでられた);卵黄、調理された(ゆでられた);ヤギ乳;ソフトチ―ズおよびハ―ドチ―ズ;およびヨ―グルトを含み得る。「穀物、そのままの、および変更された」は、コメ、白米および玄米、調理された(炊かれた);餅;コメタンパク質;コメ エンドキチナ―ゼ;野生米、調理された(炊かれた);および小麦+アルファ―グリアジンを含み得る。
【0027】
「豆およびマメ科植物、変更された」は、ブラックビ―ンズ、調理された;豆 アグルチニン;ダ―クチョコレ―トおよびココア;ソラマメ、調理された(ゆでられた);ひよこ豆、調理された(ゆでられた);インゲン豆、調理された(ゆでられた);レンティル、調理された(ゆでられた);レンティル レクチン、(ゆでられた);リマ豆、調理された(ゆでられた);うずら豆、調理された(ゆでられた);大豆 アグルチニン;大豆 オレオシン+アクアポリン;しょうゆ、グルテンフリ―;および豆腐を含み得る。
【0028】
「ナッツおよび種子、そのままの、および変更された」は、ア―モンド;ア―モンド、ロ―ストされた;ブラジルナッツ、そのままの、およびロ―ストされた;カシュ―;カシュ―、ロ―ストされた;カシュ―、ビシリン(vicillin);チア種子;亜麻種子;ヘ―ゼルナッツ、そのままの、およびロ―ストされた;マカダミアナッツ、そのままの、およびロ―ストされた;マスタ―ド種子;ピ―カン、そのままの、およびロ―ストされた;ピ―ナッツ、ロ―ストされた;ピ―ナッツバタ―;ピ―ナッツアグルチニン;ピ―ナッツ オレオシン;ピスタチオ、そのままの、およびロ―ストされた;カボチャ種子、ロ―ストされた;ゴマ アルブミン;ゴマ オレオシン;ヒマワリ種子、ロ―ストされた;およびクルミを含み得る。
【0029】
「野菜、そのままの、および変更された」は、ア―ティチョ―ク、調理された(煮込まれた);アスパラガス;アスパラガス、調理された(ゆでられた);ビ―ト、調理された(ゆでられた);ピ―マン;ブロッコリ―;ブロッコリ―、調理された(ゆでられた);芽キャベツ、調理された(ゆでられた);キャベツ、レッド+グリ―ン;キャベツ、レッド+グリ―ン(ゆでられた);キャノ―ラ オレオシン;ニンジン;ニンジン、調理された(ゆでられた);カリフラワ―、調理された(ゆでられた);セロリ;トウガラシ;トウモロコシ、調理された(ゆでられた);トウモロコシ アクアポリン;ポップコ―ン;トウモロコシ オレオシン;キュウリ、漬けられた;ナス、調理された(ゆでられた);ニンニク;ニンニク、調理された(ゆでられた);サヤマメ、調理された(ゆでられた);レタス;キノコ、そのままの、および調理された(ゆでられた);オクラ、調理された(ゆでられた);オリ―ブ、グリ―ンおよびブラック、漬けられた;タマネギおよび/またはアオネギ(scallion);タマネギおよび/またはアオネギ(scallion)、調理された(ゆでられた);エンドウ、調理された(ゆでられた);エンドウタンパク質;エンドウ レクチン;イモ、白、調理された(焼かれた);イモ、白、調理された(揚げられた);カボチャおよび/またはカボチャ、調理された(焼かれた);大根;ベニバナおよび/またはヒマワリ オレオシン;海草;ホウレンソウ;ホウレンソウ アクアポリン;トマト;トマト アクアポリン;トマトペ―スト;ヤムおよび/またはサツマイモ、調理された(焼かれた);およびズッキ―ニ、調理された(ゆでられた)を含み得る。
【0030】
「果物、そのままの、および変更された」は、リンゴ;リンゴ シ―ドル;アプリコット;アボカド;バナナ;バナナ、調理された(ゆでられた);ラテックス ヘベイン;ブル―ベリ―;カンタロ―プおよび/またはハネデュ―メロン;サクランボ;ココナツ、肉および/または水および/または乳;クランベリ―;ナツメヤシ;イチジク;ブドウ、レッド+およびグリ―ン;赤ワイン;白ワイン;グレ―プフル―ツ;キ―ウィ;レモンおよび/またはライム;マンゴ―;オレンジ;オレンジジュ―ス;パパイヤ;桃および/またはネクタリン;西洋ナシ;パイナップル;パイナップル ブロメライン;プラム;ザクロ;イチゴ;およびスイカを含み得る。
【0031】
「魚および海産食物、そのままの、および変更された」は、タラ、調理された(焼かれた);ハリバット、調理された(焼かれた);サバ、調理された(焼かれた);レッドスナッパ―、調理された(焼かれた);サケ;サケ、調理された(焼かれた);イワシ+アンチョビ、調理された(煮た);シ―バス、調理された(焼かれた);テラピア、調理された(焼かれた);トラウト、調理された(焼かれた);マグロ;マグロ、調理された(煮た);ホワイトフィッシュ、調理された(焼かれた);カニ+ロブスタ―、調理された(ゆでられた);模造カニ、調理された(ゆでられた);クラム、調理された(ゆでられた);カキ、調理された(ゆでられた);ホタテ、調理された(ゆでられた);イカ(カラマリ)、調理された(ゆでられた);エビ、調理された(ゆでられた);エビ トロポミオシン;およびパルブアルブミンを含み得る。
【0032】
「肉、変更された」は、牛肉、ミディアムに調理された(ゆでられた);鶏、調理された(ゆでられた);子羊、調理された(ゆでられた);豚肉、調理された(ゆでられた);シチメンチョウ、調理された(ゆでられた);ゼラチン;および肉膠(ゆでられた)を含み得る。
【0033】
「ハ―ブ、そのままの」は、バジル、シラントロ、クミン、ディル、ミント、オレガノ、パセリ、ロ―ズマリ―、およびタイムを含み得る。
【0034】
「スパイス、そのままの」は、シナモン、クロ―ブ、ショウガ、ナツメグ、パプリカ、タ―メリック(クルクミン(curcurmin))、およびバニラを含み得る。
【0035】
「ガム」は、ベ―タ―グルカン、カラギ―ナン、グァ―ガム、トラガカントガム、ロ―カストビ―ンガム、マスチックガム+アラビアゴム、およびキサンタン(xantham)ガムを含み得る。
【0036】
「醸造された飲料および添加物」は、コ―ヒ―豆タンパク質、煎じた;ブラックティ―、煎じた;緑茶、煎じた;蜂蜜、そのままの、および加工された;および食物着色料、人工のもの、を含み得る。
【0037】
抽出より前に、食物は、抽出プロセスのために利用可能な表面面積を増加させるように処理され得る。例えば、食物物質は、浸軟、切断、粉砕(grinding)、粉砕(milling)、超音波処理、および/または押出しにより、微粒子に縮小させられ得る。本発明概念の好ましい実施態様において、抽出される食物は、例えば液体窒素を用いて、最初に凍結される。凍結された食物は、その後、例えば商業用ミキサ―またはグラインダ―を用いて、粉砕(ground)または粉砕される(milled)。
【0038】
食物粒子サイズを減少させることにおいて有用性を有することに加え、超音波処理は細胞を溶解し抽出の間の食物抗原の放出を改善するためにも採用され得る。かかる超音波処理は、超音波バスを用いて、超音波ホ―ンまたはプロ―ブの抽出懸濁液中への挿入により、あるいはフロ―スル――超音波処理デバイスを介するパッセ―ジにより、適用され得る。
【0039】
さまざまな方法が、食物から水溶性タンパク質(例えば、アルブミン類)を抽出するために適している。水または本質的に中性の(すなわち、pHが6.5〜7.5)バッファ―を用いる抽出より前に、食物は上述のとおり、微粒子に縮小され得る。食物はその後、適切な温度で水または本質的に中性の水性バッファ―中に懸濁され得る。いくつかの実施態様において、EDTA、PMSF、および/またはペプスタチンなどのプロテア―ゼ活性を阻害する化合物が、抽出のため使用される溶液中に含まれ得る。ほかの実施態様において、4―(1,1,3,3―テトラメチルブチル)フェニル―ポリエチレン グリコ―ル、ポリエチレン グリコ―ル ソルビタン モノラウレ―ト、n―ドデシル―β―D―マルトシド、アルキルフェノ―ル(alkyphenol)エトキシレ―ト、およびドデシル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤が、抽出のため使用される溶液中に含まれ得る。適切な抽出温度は、処理されている特定の食物のために適切であるように、4℃〜95℃の範囲であり得る。同様に、最適な抽出に必要な時間は、食物、粒子サイズ、および水で抽出可能なタンパク質抗原の性質に依存し得る。適切な抽出時間は、30分〜48時間の範囲であり得る。抽出に続いて、残留固形物を、沈降およびデカンテ―ション、遠心分離、ろ過、またはこれらの組合せにより除くことができる。抽出および抽出される固形物の除去に続いて、水溶性タンパク質抗原調製物は、適切な結合バッファ―に移され得るか、または、代替として、使用の前に保存され得る。水溶性タンパク質抗原調製物は、使用の前に保存のため凍結乾燥され、低減された温度で液体形態で保存され、または凍結されて保存され得る。いくつかの実施態様において、0℃未満の温度での液体保存を可能にするため、グリセロ―ルなどの添加物が水溶性タンパク質抗原調製物に添加され得る。
【0040】
さまざまな方法が、食物からアルカリ可溶性タンパク質を抽出するために適している。アルカリ性溶液を用いる抽出より前に、食物は、上述のとおり微粒子に縮小され得る。食物は、その後、適切な温度で、塩基性の(すなわち、pH約8以上)溶液中に懸濁され得る。本発明概念の好ましい実施態様において、かかるアルカリ性溶液は、pH約10以上を有し得る。かかるアルカリ性溶液は、塩基性塩を水に添加することにより調製され得る。適切な塩基性塩は、NaOH、KOH、Ca(OH)、NaCO、NaHCO、NaHPO、KCO、KHCO、Ca(HCO、CaCO、およびそれらの組合せを含む。代替として、適切なアルカリ性バッファ―は、CAPS、CAPSO、Tris、および/またはグリシンなどのバッファ―を用いて調製され得る。本発明概念のほかの実施態様において、かかるアルカリ性溶液は、pH約9以上を有し得る。本発明概念のいくつかの実施態様において、かかるアルカリ性溶液は、pH8以上を有し得る。いくつかの実施態様において、EDTA、PMSF、および/またはペプスタチンなどのプロテア―ゼ活性を阻害する化合物が、抽出のために使用されるアルカリ性溶液中に含まれ得る。ほかの実施態様において、4―(1,1,3,3―テトラメチルブチル)フェニル―ポリエチレングリコ―ル、ポリエチレン グリコ―ル ソルビタン モノラウレ―ト、およびドデシル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤が、抽出のために使用されるアルカリ性溶液中に含まれ得る。適切な抽出温度は、処理されている特定の食物のために適切であるように、4℃〜95℃の範囲であり得る。同様に、最適な抽出に必要な時間は、食物、粒子サイズ、およびアルカリ性抽出可能なタンパク質抗原の性質に依存し得る。適切な抽出時間は、30分〜48時間の範囲であり得る。抽出に続いて、残留固形物を、沈降およびデカンテ―ション、遠心分離、ろ過、またはこれらの組合せにより除くことができる。抽出および抽出される固形物の除去に続いて、アルカリ溶解性タンパク質抗原調製物は、適切な結合バッファ―に移され得るか、または、代替として、使用の前に保存され得る。アルカリ溶解性タンパク質抗原調製物は、使用の前に保存のため凍結乾燥され、低減された温度で液体形態で保存され、または凍結されて保存され得る。いくつかの実施態様において、0℃未満の温度での液体保存を可能にするため、グリセロ―ルなどの添加物が水溶性タンパク質抗原調製物に添加され得る。
【0041】
さまざまな方法が、食物からアルコ―ル/有機溶解性タンパク質を抽出するために適している。アルコ―ルまたはほかの有機溶媒を用いる抽出より前に、食物は上述のとおり、微粒子に縮小され得る。食物は、その後、アルコ―ルまたはほかの適切な有機溶媒の水性溶液中に懸濁され得る。適切なアルコ―ルは、メタノ―ル、エタノ―ル、プロパノ―ル、およびそれらの混合物を含む。ほかの適切な有機溶媒は少なくとも水と混和性であり、DMSO、DMF、およびグリセロ―ルを含む。適切な抽出温度は、処理されている特定の食物のために適切であるように、4℃〜95℃の範囲であり得る。同様に、最適な抽出に必要な時間は、食物、粒子サイズ、および水抽出可能なタンパク質抗原の性質に依存し得る。適切な抽出時間は、30分〜48時間の範囲であり得る。抽出に続いて、残留固形物を、沈降およびデカンテ―ション、遠心分離、ろ過、またはこれらの組合せにより除くことができる。抽出および抽出される固形物の除去に続いて、アルコ―ル/有機溶解性タンパク質抗原調製物は、適切な結合バッファ―に移され得るか、または、代替として、使用の前に保存され得る。アルコ―ル/有機溶解性タンパク質抗原調製物は、使用の前に保存のため凍結乾燥され、低減された温度で液体形態で保存され、または凍結されて保存され得る。いくつかの実施態様において、0℃未満の温度での液体保存を可能にするため、グリセロ―ルなどの添加物が水溶性タンパク質抗原調製物に添加され得る。
【0042】
さまざまな方法が、食物から糖脂質を抽出するために適している。抽出より前に、食物は上述のとおり、微粒子に縮小され得る。脂質を含有する画分は、クロロホルム、メタノ―ル、ピリジン、またはそれらの混合物などの、有機溶媒または有機溶媒混合物を用いて食物から抽出され得る。糖脂質は、抽出された脂質混合物から、例えばDEAE置換クロマトグラフィ―媒体を用いるイオン交換クロマトグラフィ―を用いて分離でき、有機溶媒/水性塩溶液混合物(クロロホルム/メタノ―ル混合物と混合した酢酸ナトリウムなど)を用いて溶出され得る。いくつかの実施態様において、この抽出の間に超音波処理が適用され得る。いくつかの実施態様において、溶出された糖脂質は、塩基性溶液を用いて加水分解され、その後中和され得る。結果として生じる塩は、ゲルろ過、疎水性相互作用クロマトグラフィ―、および/または逆相クロマトグラフィ―などの、適切な脱塩プロセスにより除かれ得る。適切な抽出温度は、処理されている特定の食物のために適切であるように、4℃〜95℃の範囲であり得る。同様に、最適な抽出に必要な時間は、食物および粒子サイズに依存し得る。適切な抽出時間は、30分〜48時間の範囲であり得る。抽出に続いて、残留固形物を、沈降およびデカンテ―ション、遠心分離、ろ過、またはこれらの組合せにより除くことができる。抽出および抽出される固形物の除去に続いて、糖脂質抗原調製物は適切な結合バッファ―に移され得るか、または、代替として、使用の前に保存され得る。糖脂質は、使用の前に乾燥のため蒸発させられ、凍結乾燥され、低減された温度で液体形態で保存され、または凍結されて保存され得る。いくつかの実施態様において、0℃未満の温度での液体保存を可能にするため、グリセロ―ルなどの添加物が糖脂質調製物に添加され得る。
【0043】
さまざまな方法が、食物から多糖を抽出するために適している。抽出より前に、食物は上述のとおり、微粒子に縮小され得る。多糖含有画分は、例えばセルラ―ゼを用いる酵素的消化により、食物から抽出され得る。適切な期間に続いて、酵素的活性は、例えば抽出混合物をボイルすることにより、停止され得る。これに続いて、タンパク質(添加された酵素を含む)は、沈殿により多糖抗原調製物から除かれ得る。タンパク質は、クロロホルム、ブタノ―ル、またはそれらの混合物などの揮発性有機溶媒を用いて都合よく沈殿させることができる。適切な抽出温度は、処理されている特定の食物のために適切であるように、4℃〜100℃の範囲であり得る。同様に、最適な抽出に必要な時間は、食物および粒子サイズに依存し得る。適切な抽出時間は、30分〜48時間の範囲であり得る。抽出に続いて、残留固形物を、沈降およびデカンテ―ション、遠心分離、ろ過、またはこれらの組合せにより除くことができる。抽出および抽出される固形物の除去に続いて、多糖抗原調製物は適切な結合バッファ―に移され得るか、または、代替として、使用の前に保存され得る。多糖は、使用の前に乾燥のため蒸発させられ、凍結乾燥され、低減された温度で液体形態で保存され、または凍結されて保存され得る。いくつかの実施態様において、0℃未満の温度での液体保存を可能にするため、グリセロ―ルなどの添加物が多糖調製物に添加され得る。
【0044】
この適用の目的のため糖に対して親和性を有するタンパク質であると理解される糖タンパク質抗原は、さまざまな方法により食物から抽出され得る。抽出より前に、食物は上述のとおり、微粒子に縮小され得る。糖タンパク質含有画分は、例えば、親和性クロマトグラフィ―または特異的沈降剤により食物から抽出され得る。親和性クロマトグラフィ―法において、食物から得られたタンパク質画分は、糖タンパク質と相互作用する能力がある、固定された単糖または多糖群を含むクロマトグラフィ―媒体に適用される。結合された糖タンパク質は、グルコ―ス、ガラクト―ス、マンノ―ス、またはそれらの誘導体などの適切な糖溶液を適用することにより、媒体から続いて溶出され得る。特異的沈降剤は、糖部分および難溶性有機部分を含む化合物を含み得る。かかる化合物の結合は、適切なバッファ―条件下(例えば、二価陽イオンの存在下)で糖タンパク質を沈殿させ得る。かかる沈殿された糖タンパク質は、例えば、沈降試薬を開裂して難溶解性有機部分を放出し、続く脱塩工程(上記提供されるいくつかの例)により回収され得る。適切な抽出温度は、処理されている特定の食物のために適切であるように、4℃〜95℃の範囲であり得る。同様に、最適な抽出に必要な時間は、食物および粒子サイズに依存し得る。適切な抽出時間は、30分〜48時間の範囲であり得る。抽出に続いて、残留固形物を、沈降およびデカンテ―ション、遠心分離、ろ過、またはこれらの組合せにより除くことができる。抽出および抽出される固形物の除去に続いて、糖タンパク質抗原調製物は適切な結合バッファ―に移され得るか、または、代替として、使用の前に保存され得る。糖タンパク質は、使用の前に凍結乾燥され、低減された温度で液体形態で保存され、凍結されて保存され得る。いくつかの実施態様において、0℃未満の温度での液体保存を可能にするため、グリセロ―ルなどの添加物が糖タンパク質調製物に対して添加され得る。
【0045】
上述のとおり、いくつかの実施態様において、抽出される抗原調製物をあるバッファ―から別のものへ、例えばあるプロセスバッファ―から別のものへあるいは保存バッファ―から固相に抗原を付着するのに適切なバッファ―へ、移すことが望ましい。かかるバッファ―移動は、抽出される抗原を保持する排除限界を有する透析膜を用いる新しいバッファ―に対する透析により達成され得る。代替として、バッファ―は、適切なクロマトグラフィ―媒体を通じて、サイズ排除クロマトグラフィ―を用いて変更され得る。さらにほかの実施態様において、バッファ―は、揮発性添加物を用いる沈降、沈降物の回収および乾燥、並びに所望のバッファ―中での再可溶化により交換され得る。
【0046】
抗体および/またはC1qの結合アッセイにおいて使用されるために、抽出された抗原は、固相にカップリングされる。この適用の文脈内で、用語「固相」は、不溶性、粒子および微小粒子などの懸濁相を含む。かかる微小粒子は、粒子集団の差別化を可能にするよう、例えば粒子サイズおよび/または染料の組込みによってコ―ド化され得る(例えば、特定の食物に由来する抗原と関係がある粒子)。かかるコ―ド化は、単一の多重アッセイ内での、同時の決定を可能にし得る。代表的な固相は、マイクロウェルプレ―ト、マイクロウェルストリップ、マイクロアレイ、多孔性または線維性物質、ピペットチップ、ビ―ズ、および微小粒子を含むが、これらに限定されない。かかるカップリングは、共有結合性(すなわち、抽出される抗原および固相の分子間の共有結合性結合を利用する)または非共有結合性であり得る。本発明概念の好ましい実施態様において、固相は少なくとも、マイクロウェルプレ―トまたはマイクロウェルストリップのウェルの内側表面部分である。かかるマイクロウェルは、ポリスチレン、ポリカ―ボネ―ト、ポリプロピレン、およびポリエチレンを含む任意の適切な物質を材料として作製され得る。本発明概念のいくつかの実施態様において、マイクロウェル表面は、結合を増強するために、化学的にまたは物理的に変更されている(例えば、テクスチャリングにより)。
【0047】
試料からのC1qおよび/または抗体と固定化された食物抗原との間の複合体の形成を検出するために利用されるアッセイは、免疫アッセイであり得る。かかる免疫アッセイは、インダイレクト(すなわち、競合)またはダイレクト(すなわち、「サンドイッチ」アッセイ)であり得るし、任意の適切な検出可能な標識(例えば、蛍光性部分、発色部分、質量標識、放射性部分、および/または酵素)を利用し得る。本発明概念の好ましい実施態様において、アッセイは、アルカリホスファタ―ゼまたは西洋ワサビペルオキシダ―ゼなどの酵素標識を利用するダイレクト免疫アッセイである。1つより多い特異的抗体(例えば、抗IgG種、抗IgA種、および/または抗C1q)を単一の試験表面に適用してもよい一方で、すべてについて共通の標識が使用され得ることが、理解されるべきである。
【0048】
本発明概念のいくつかの実施態様において、上記のような抗原調製物からの抗原は、吸着により固形試験表面に付けられる。本発明概念の試験表面は、単一の食物源から異なる方法で調製された、少なくとも2つの異なる抗原抽出物から得られる抗原を含む。いくつかの実施態様において、試験表面は、単一の食物源から異なる方法で調製された、少なくとも3つの異なる抗原抽出物から得られる抗原を含む。ほかの実施態様において、試験表面は、単一の食物源から異なる方法で調製された、少なくとも4つの異なる抗原抽出物から得られる抗原を含む。ほかの実施態様において、試験表面は、単一の食物源から異なる方法で調製された、少なくとも5つの異なる抗原抽出物から得られる抗原を含む。好ましい実施態様において、試験表面は、単一の食物源から異なる方法で調製された、少なくとも6つの異なる抗原抽出物から得られる抗原を含む。
【0049】
本発明概念の好ましい実施態様において、上記のように調製された抗原調製物を、添加の間に結合していない物質を除きながら、連続的で段階的な方法で試験表面に吸着させる。例えば、食物から調製された抗原調製物は、吸着を可能にするのに十分な時間、試験表面に適用され得る。かかる時間は、0.5〜48時間の範囲であってよく、4℃〜50℃の範囲の温度で行われ得る。結合していない物質はその後、同じ食物に由来する第二の、異なる抗原調製物の吸着の前に、例えばピペッティングにより除かれる。随意に、試験表面は、第二のおよび/またはそれに続く抗原調製物とそれを接触させるより前に洗浄され得る。かかる洗浄は、界面活性剤を含み得る洗浄バッファ―を用いて行われ得る。適切な界面活性剤としては、ポリオキシエチレン ソルビタン モノラウレ―ト(Tween 20)、ポリオキシエチレン ソルビタン モノオレエ―ト(Tween 80)、4―(1,1,3,3―テトラメチルブチル)フェニル―ポリエチレン グリコ―ル(Triton X―100)、および/またはオクチルフェノキシ ポリ(エチレンオキシ)エタノ―ル(ノニデットP40)が挙げられる。このプロセスを、同じ食物からの、さらなる(例えば、第三の、第四の、第五の、およびまたは第六の)食物抗原調製物を用いて繰り返して、連続的にコ―トされた試験表面を産生できる。
【0050】
驚くべきことに、抗原調製物へのおよび界面活性剤を含有する洗浄バッファ―への事前の暴露にもかかわらず、多くの共通の試験表面(例えば、ポリスチレンマイクロウェル)が、さらなる抗原性物質を吸着させる能力を保持することを見出した。最後の抗原調製物の適用に続いて、試験表面の残りの吸着部位を、ブロッキングバッファ―の適用によりブロックできる。かかるブロッキングバッファ―は、試験表面に残留する吸着またはカップリング部位を占拠するが、ほかのアッセイ構成要素との有意な相互作用をもたらさない、1つ以上のタンパク質(すなわち、ブロッキングタンパク質)を含有し得る。適切なブロッキングタンパク質の例としては、適切な種からの血清アルブミン、オボアルブミン、ゼラチン、乳タンパク質、および非特異的イムノグロブリンが挙げられる。
驚くべきことに、本発明者らは、多重の抗原抽出物を含む試験表面が、試験表面への適用より前にかかる抗原抽出物を混合することによっては効果的に産生されないことを見出した。かかる混合物は不安定であり、試験表面への適用の前に、少なくともいくつかの抗原性化合物が除かれた沈殿の形成をもたらすことが証明された。かかる抗原の喪失は特定の食物について偽陰性の結果をもたらし得るため、これは非常に望ましくない。驚くべきことに、本発明者らは、食物抗原調製物を試験表面に連続的に適用することは、より広くさまざまな食物抗原が存在する試験表面を生成することを見出した。本発明概念のいくつかの実施態様において、食物抗原調製物は、特定の順番で添加される。例えば、多重食物抗原調製物は、以下の順番でうまく適用され得る:第一にアルカリ可溶性タンパク質、その後アルコ―ル可溶性タンパク質、その後水溶性タンパク質、その後多糖、その後糖脂質、および最後に糖タンパク質。本発明概念のほかの実施態様において、分離した異なる工程で試験表面に異なる抗原調製物が適用されるのであるならば、異なる添加の順番が適切であり得る。いくつかの実施態様において、上記に議論された食物抗原調製物の1つ以上が、コ―ティングプロセスから省略され得ることも理解されるべきである。
【0051】
実施例
実施例1:さまざまな食物からのタンパク質の抽出
さまざまな食物源からの水溶性、アルコ―ル可溶性、およびアルカリ溶解性タンパク質の抽出に適した方法は以下のとおりである:
工程1― それぞれのタンパク質抗原調製のため、乾燥豆、ナッツ、種子およびスパイスの2グラムまたは非乾燥の果物または野菜の20グラムを、3つの異なる溶媒/バッファ―(指定されたA、BおよびC)の一つの中で、粉砕する(grind)または粉砕する(mill):
A. 水溶性タンパク質用の、0.1M PBS(pH 7.2)100mL
B. アルコ―ル可溶性タンパク質用の、70%エタノ―ル100mL
C. アルカリ可溶性タンパク質用の、0.1M KOH(pH 10.0)100mL。
工程2― 細胞を溶解するために、2〜5分の超音波処理を適用する。2mLの界面活性剤(1,1,3,3―テトラメチルブチル)フェニル―ポリエチレングリコ―ルまたはn―ドデシル―β―D―マルトシド)を添加し、さらに2〜5分間、超音波処理を繰り返す。
工程3― 混合物を2時間、撹拌し、その後それぞれの調製物を10,000gで15分間、遠心分離する。上清を除く。
工程4― それぞれの上清を別々の透析バッグ(6,000ダルトンMWカットオフ)に移し、特定の溶媒に対して透析する。例えば、PBS中に溶解したタンパク質抗原の溶液については、透析はPBSに対して行うべきである。同様に、KOHを用いて抽出されたタンパク質抗原については、透析は0.1M KOHに対して行うべきである。
工程5―透析の48時間後に、透析された溶液を回収し、14,000gで15分間、遠心分離する。タンパク質濃度の測定のために試料を取り出し得る;残っているタンパク質抗原調製物は、免疫学的アッセイにおける使用のため必要とされるまで、―20℃で保存され得る。
【0052】
実施例2:さまざまな食物からの糖脂質の抽出
さまざまな食物源からの、糖脂質の抽出に適した方法は以下のとおりである。
工程1― 2グラムの乾燥豆、ナッツ、種子およびスパイス、または20グラムの非乾燥の果物もしくは野菜を、100mLの水の中で粉砕する(grind)または粉砕する(mill)。
工程2― 2〜5分の超音波処理を適用して細胞を溶解する。
工程3― 120mLのクロロホルム:メタノ―ル(2:1、v:v)を添加し、超音波処理を繰り返す。
工程4― 600μlのピリジンを添加し、混合物を50℃で24時間インキュベ―ションして、単純脂質、リン脂質および糖脂質を抽出する。
工程5― クロロホルム:メタノ―ル抽出物を、DEAEベ―スのイオン交換媒体に適用する;その後、クロロホルム:メタノ―ル:酢酸ナトリウム(1:2:1、v:v:v)を用いて、カラムから糖脂質を溶出する。
工程6― 0.1N水酸化ナトリウム/メタノ―ル溶液を用いて溶出された糖脂質を加水分解し、酢酸を用いて中和し、その後C―18逆相カラムへの結合およびそれに続くそこからの溶出により脱塩する。
工程7― 脱塩された糖脂質をクロロホルム:メタノ―ル(2:1、v:v)中に溶解する。
工程8― ロ―タリ―エバポレ―タ―を用いて55℃で溶解した糖脂質から有機溶媒を除く。この乾燥された物質は、―20℃で保存することができる。
工程9― 使用するため、糖脂質を70%メタノ―ル中に懸濁し、2分間、室温で超音波処理する。
【0053】
実施例3―さまざまな食物からの多糖の調製
果物、野菜、または豆から多糖を産生するのに適した方法は以下のとおりである。
工程1― 2グラムの乾燥豆、ナッツ、種子およびスパイス、または20グラムの非乾燥の果物もしくは野菜を、100mLの水中で、粉砕する(grind)または粉砕する(mill)。
工程2― 細胞を溶解するために、2〜5分の超音波処理を適用する。
工程3― 100mgのセルラ―ゼを添加し、37℃で4時間インキュベ―ションする。
工程4― 温度を100℃に上昇させ、60分間インキュベ―ションする。
工程5― 10,000gで15分間、遠心分離し、上清を保持する。
工程6―4:1クロロホルム:ブチルアルコ―ル(4:1、v:v)を添加してセルラ―ゼを含む、フリ―のタンパク質を除く。
工程7― 4体積の95%エタノ―ルを添加することによりタンパク質除去された溶液から多糖を沈殿させ、その後、100mLの水中に沈殿物を再溶解する。
工程8― 標準としてグルコ―スを用いて中性糖含有量を決定し(例えば、Dubois et al, 1956のフェノ―ル―硫酸比色分析法により)、単糖構成をさらに特性評価する(例えば、Sheng et al 2007の方法により)。多糖調製物は、免疫学的アッセイにおける使用のため必要とされるまで、―20℃で保存され得る。
【0054】
実施例4―さまざまな食物からの糖タンパク質の抽出
さまざまな食物源からの、糖タンパク質の抽出に適した方法は以下のとおりである。
工程1― 100グラムの果物、野菜、豆、マメ科植物、ナッツ、種子、スパイス、ハ―ブ、乳製品、卵、肉、海産食物、ガムまたは飲料を、ミキサ―中で粉砕する(grind)または粉砕する(mill)。
工程2― 100mLの2%(w/v)CaClを添加し、5分間ホモジナイズする。
工程3― 細胞を溶解するために、3分の超音波処理を適用する。
工程4― 混合物を2時間、室温で撹拌し、その後、溶液を10,000gで30分間、遠心分離する。上清を保持する。
工程5― 120mgの1,3,5―P―β―D―ガラクトシル―オキシフェナゾ)2,4,6―トリヒドロキシベンゼンを含有する2%(w/v)CaCl120mLを添加し、糖タンパク質を沈殿させるために1時間撹拌する。
工程6― 10分間、2,000gで遠心分離することにより、糖タンパク質を含有する沈殿物を収集する。
工程7― 15mLの蒸留水中に沈殿物を溶解する。
工程8― 5mLの蒸留水中に溶解した50mgの二亜硫酸ナトリウムを添加してジアゾ結合を還元する。
工程9― 糖タンパク質を含有するチュ―ブにしっかりと蓋をかぶせ、50℃で20分間インキュベ―ションする。
工程10― 分画分子量を有する透析膜を用いて、還元された糖タンパク質溶液を3リットルの蒸留水に対して3日間、毎日、水を交換して透析する。
工程11― 透析された物質を、14,000gで15分間、遠心分離する。糖タンパク質濃度は、Roche Life Sciences(Indianapolis, Indiana)からのDIG GLYCAN DETECTION KIT(登録商標)を用いて測定できる。調製物は、免疫学的アッセイにおいて使用されるまで、―20℃で保存され得る。
【0055】
実施例5―抗体の測定のための固体マトリックスへのさまざまな食物抽出物の結合
同じ試験表面へ上記のように抽出された抗原調製物を用いる成功を収めたプレ―トコ―ティングにおいて、結合していない物質を除くために連続的な添加の間に提供される洗浄工程を伴い、同じ試験表面に異なる抽出物が連続的に添加される。マイクロウェルプレ―トのウェルへの添加の適切な順番は以下のとおりである。
工程1― プレ―トにアルカリ可溶性タンパク質を添加し、続いて4℃で24時間のインキュベ―ション、その後PBS/Tween20を用いて洗浄する。
工程2― プレ―トにアルコ―ル可溶性タンパク質を添加し、続いて4℃で24時間のインキュベ―ション、その後PBS/Tween20を用いて洗浄する。
工程3― プレ―トに水溶性タンパク質を添加し、続いて4℃で24時間のインキュベ―ション、その後PBS/Tween20を用いて洗浄する。
工程4―プレ―トに多糖を添加し、続いて4℃で24時間のインキュベ―ション、その後PBS/Tween20を用いて洗浄する。
工程5― プレ―トに糖脂質を添加し、続いて4℃で24時間のインキュベ―ション、その後PBS/Tween20を用いて洗浄する。
工程6― プレ―トに糖タンパク質を添加し、続いて4℃で24時間のインキュベ―ション、その後PBS/Tween20を用いて洗浄する。
工程7― 6つのすべての抗原の調製物がプレ―トに添加されかつその中に含有される抗原が固体マトリックスに結合させられた後で、2%(w/v)ウシ血清アルブミン、2%(w/v)オボアルブミン、2%(w/v)粉乳、2%(w/v)ゼラチン、または2%(w/v)硬骨魚ゼラチンを添加することにより、残っている非特異的な結合部位を飽和状態にする。PBS/Tween20を用いる最後の洗浄後に、プレ―トは、抗体および/またはC1q測定のために使用されるまで、4℃で保存され得る。
【0056】
実施例6― さまざまな食物の抽出物の組合せに対する、血液中のIgG、IgA抗体およびイムノグロブリン―C1q複合体の検出のためのアッセイ手順
以下の手順は、実施例5による食物抽出物の組合せを用いてコ―トしたマイクロウェルプレ―トの使用について記載する。試験チュ―ブ、ニトロセルロ―ス紙、微小粒子懸濁液、およびほかのマトリックスが使用され得ることが、理解されるべきである。
【0057】
血清試料を個人から静脈穿刺(venipunture)により収集し、20分間室温で静置した。血漿、全血、唾液、粘液、滑液流体、および/または脳脊髄液を含む、ほかの試料タイプも適している。10分間、800gでの遠心分離後、血清を取り出し―40℃で保存した。
【0058】
洗浄バッファ―を以下のとおり調製した:500mLの目盛り付きシリンダ―中で、50mLの10x洗浄バッファ―(3.0Lの蒸留または脱イオンHOで希釈した1.0Lの1xPBS;1.5mLのTween20;400mgのアジ化ナトリウム)に450mLの水を添加した。溶液を混合し、500mLのスクイ―ズボトルに移し、使用するまで2〜8℃で保存した。
【0059】
抗イムノグロブリンおよび抗C1q抗体を以下のとおり調製した:100μlの酵素―標識抗ヒトIgG、抗ヒトIgA、抗ヒトIgGプラス抗C1q補体、または抗ヒトIgAプラス抗C1q補体を、0.1M PBS/Tween20および2%BSAを含有する20〜50mLのコンジュゲ―ト希釈物に添加し、血清中の抗体および/またはC1q抗体コンジュゲ―トの検出のために使用した。
【0060】
空のポリプロピレンチュ―ブ中で5mgの基質タブレットにつき5mLの基質バッファ―を添加することにより、基質溶液を使用の直前に調製した。チュ―ブに蓋をかぶせ、混合してタブレットを溶解し、その後、溶液を直ちに使用した。マイクロウェルストリップあたり、およそ1mLの基質溶液を使用した。
【0061】
抗体およびC1qプロファイルの特性評価のため、0.1M PBS/Tween20および2%BSAを含有する4mLの希釈バッファ―への40μl血清の添加により、血清を1:100(v/v)希釈した。]。この希釈は必要に応じて適合させることができ、1:20(v/v)〜1:400(v/v)の範囲であり得ることが、理解されるべきである。それぞれの食物について調製した複製ウェルに希釈した血清を添加し4℃〜25℃で30〜60分間インキュベ―ションした。このインキュベ―ションは、15分程度に短く、および24時間程度に長くてよい。インキュベ―ション後に、0.1M PBS/Tween20などの洗浄バッファ―を用いて3〜6回プレ―トを洗浄し、その後、すべてがアルカリホスファタ―ゼなどの酵素で標識された、100μlの適切に希釈された抗ヒトIgG、抗ヒトIgAまたは抗ヒトIgGプラス抗ヒトC1qを試験されるウェルに添加する。かかる抗イムノグロブリンおよび抗C1qコンジュゲ―トに適した希釈は、約1:200〜約1:1000(v/v) の範囲であり得る。
【0062】
その後、マイクロウェルプレ―トまたはストリップをカバ―し、60分間、室温(すなわち、22℃〜25℃)でインキュベ―ションする。その後、液体をすべてのウェルから除き、約200μLの洗浄バッファ―を用いてウェルを4回洗浄する。その後、100μlのp―NPP基質溶液を、反応の読取りに使用される機器の読取り時間に相当する時限間隔で、ウェルに添加する(例えば、機器が単一のウェルからデ―タを取得するために30秒を必要とする場合、30秒間隔でウェルに基質を添加する)。それぞれのウェル中での基質のインキュベ―ション時間は、22℃〜25℃の温度で、45分〜60分である。より高い温度で基質インキュベ―ション工程を行う場合この時間を減少させることができることが、理解されるべきである。酵素反応は、p―NPPを添加したのと同じ時限間隔でウェルに50μlの3N NaOHを添加することにより停止される。その後、マイクロウェルプレ―トを、1〜2分間、振とうする。読取りの前に、非研磨紙タオルを用いてマイクロウェルプレ―トの底を拭い、機器をブランクウェル上でゼロに設定する。酵素反応停止の30分以内に、405nm±5nmで光学密度(OD)を読み取り、値を記録する。
【0063】
力価または抗体レベルは、以下の式を用いるプログラムを実装するコンピュ―タ―を用いて決定され得る:
1) IgG、IgAまたはIgG+C1qインデックス=
(試験標本の吸光度)/(キャリブレ―タ―の吸光度)
2) IgG、IgAまたはIgG+C1qレベル=
((キャリブレ―タ―の値)X(試験標本の吸光度))/(キャリブレ―タ―の吸光度)
【0064】
正確な決定のため、吸光度は、二地点間のデ―タ減少方法を用いて濃度値に変換され得る。代替として、最良の適合線形回帰を使用して値を得てもよい。
【0065】
値は、自動化されたELISAリ―ダ―を用いて得られる。X軸は、それぞれのキャリブレ―タ―の濃度値であった。Y軸は、光学密度(OD)として表現される、相当する平均吸光度値であった。最良の適合線が生成された。それぞれの患者の唾液または血清の濃度を、Y軸上のその吸光度を位置づけてX軸上の相当する濃度値を見出すことにより得た。代表的なキャリブレ―ション曲線の例を図1に示す。濃度は相対単位で表現され、これは実際にはキャリブレ―ションする種の性質に依存する。
【0066】
第一の患者から得られた血清を用いて得られた結果を図2に示す。図2は、180の試験された食物から調製された抗原に対するIgG抗体の上昇を示し、これは上記のように連続的にコ―トされたマイクロウェルプレ―トのウェルを用いて特性評価され、抗ヒトIgGのみでプロ―ブされた。0.5O.D.のカットオフ光学密度値が非上昇値の分布に基づいて選択され、この値を上回る光学密度は陽性応答を示唆する。ここで留意すべきは、0.5のカットオフを用いる本実施例において、バナナ、パイナップル、ショウガ、バニラ、ア―ティチョ―ク、アスパラガス、キャベツ、トウモロコシ、ナス、オリ―ブ類、ピクルス、フライドポテト、海草、レンティル レクチン、ピ―カン、卵白および模造カニに対する有意な上昇が観察されることである。ほかの163の食物抽出物に対するIgG免疫反応性は、0.5ODを下回るかまたは陰性であった。
【0067】
同じ試料についてであるがマイクロウェルプレ―トのウェルが抗C1q抗体のみでプロ―ブされた場合の結果を、図3に示す。図3は、180の試験された食物から調製された抗原混合物へのC1q結合(天然のイムノグロブリン―C1q複合体の形態での)のレベルにおける上昇を示す。ここで留意すべきは、c1qがこのようにして測定されIgGのみが測定された場合に陽性でなかった12の異なる新規の食物抽出物に対してこの複合体の濃度が有意に上昇することである。これらの抽出物は、ラテックス ヘベイン、ニンニク、タマネギ、エンドウ レクチン、大根、コメ エンドキチナ―ゼ、食物着色料、マグロ、エビ、ガムおよび緑茶である。さらに、ここで留意すべきは、抗ヒトIgGで同様のウェルがプロ―ブされた場合、これらの12食物について、IgGの濃度は0.5を下回るかまたは陰性であった(図2を参照)ことである。
【0068】
同じ試料についてであるがマイクロウェルプレ―トのそれぞれのウェルが抗C1q抗体と抗ヒトIgGの両方のみでプロ―ブされた場合の結果を、図4に示す。図4は、抗ヒトIgGおよび抗ヒトC1qの両方を同時に適用することによりIgGおよびC1q―IgG複合体の組合せが測定される場合、IgGまたはC1q―IgGのいずれかが測定された場合に反応性であったすべての食物抽出物(図2および3に示すとおり)が、非常に反応性になったことを示す。ほかの151の食物について、光学密度は0.5を下回るかまたは陰性であった。
【0069】
これらの発見は、IgG抗体結合のみがこの個人の血清について特性評価されたならば、17の食物抽出物のみに対する反応性が検出されたであろうことを実証する。同様に、天然のイムノグロブリン―C1q複合体のみが測定されるならば、患者のC1qプロファイルは、IgG測定単独によっては検出されなかった12の食物抽出物に対する反応を示す。しかしながら、IgGおよびC1q―IgGのいずれもが同時に測定される場合、29すべての食物抽出物に対する反応性を示すプロファイルが生成され(図4に示す)、IgGにより検出される17(図2に示す)およびC1q―IgG評価により検出されるさらなる12(図3に示す)の両方を組み合わせる。
【0070】
図5、6および7は、異なる個人での同様の研究の結果を示す(すなわち、180の食物抽出物に対するIgG、天然のイムノグロブリン―C1q複合体、およびIgG+天然のイムノグロブリン―C1q抗体プロファイル)。ここで留意すべきは、IgG測定について180の食物抽出物のうち10のみが反応性であり(図5)、天然のイムノグロブリン―C1q複合体が測定された場合14の食物が反応性であった(このうち11は、天然のイムノグロブリン―C1qプロファイルに特有であった、図6を参照) ことである。IgGおよび天然のイムノグロブリン―C1qの両方が特性評価された場合、組み合わされたプロファイルは、21の食物抽出物に対する反応性が上昇することを示す(図7に示すとおり)。この組み合わされたプロファイルは、IgGにより検出される10の食物抗原(図5に示す)および天然のイムノグロブリン―C1q複合体について検出されるさらなる11(図6に示す)の組み合わせを表す。
【0071】
これは、食物の免疫反応性の最適な検出のため、試験されたそれぞれの食物に由来する異なる抗原集団の組み合わせでコ―トされた試験表面を利用して、IgGプラス天然のイムノグロブリン―C1q複合体プロファイルの組み合わせが生成されるべきであることを実証する。
【0072】
図8、9、10、および11は、それぞれ、4つの異なる食物のセットに由来する抗原でコ―トされた、血清処理された試験表面に対する、抗IgGプラス抗C1q抗体結合の研究の表形式の結果を描写する。試験表面は、主に水溶性構成要素を含有する商業用食物抗原調製物、上記のように抽出される非商業用水溶性タンパク質、上記のように抽出される非商業用アルコ―ル可溶性タンパク質、上記のように抽出される非商業用アルカリ可溶性タンパク質、上記のように抽出される非商業用糖脂質、上記のように抽出される非商業用多糖、および上記のように抽出される非商業用糖タンパク質を含む、異なる抗原調製物でコ―トされた。個別の抗原調製物でコ―トされた試験表面についての、および6つのすべての非商業用抗原調製物の組み合わせでコ―トされた試験表面についての結果を示す。さらに、熱処理された/調理された食物からの非商業用抗原調製物の組合せで処理された表面からの結果を示す。0.5より大きい光学密度を示す結果が、このデ―タセットについて陽性とみなされた。
【0073】
商業用食物抗原調製物および水溶性食物構成要素に対する抗体検出の間に良好な相関がある一方、これらの測定をアルコ―ル可溶性、アルカリ可溶性、糖脂質、多糖および糖タンパク質構成要素で得られたものと比較した場合、免疫反応性における有意差が見出される。同様の差が、このような食物抗原調製物を用いて連続的にコ―トされた試験表面との比較においてみられる。
【0074】
例えば、IgGおよび天然のIgG―Cq複合体の結合が、商業用バナナ抽出物に対し特性評価される場合(図8を参照)、結果は0.58の光学密度(OD)であり、または非常に弱く陽性である。上のように調製された水溶性抽出物を用いると、ODは0.65になり、これは弱く陽性(または「+」)である。しかし、バナナ多糖に対して特性評価された場合、O.D.は0.98に上がり、または(++)であり、6つのすべての抽出物の混合物でODは1.73(++++)に上がる。同様に、熱変性させたバナナ抗原混合物を用いると、結果として生じるODは1.48(+++)であった。これらの発見は、アッセイにおいて商業用抗原のみが使用されたならば、バナナに対する強い免疫反応性は検出されないであろうことを実証する。
【0075】
同様のパタ―ンがトウモロコシで見られた。(図8を参照)。IgGプラス天然のイムノグロブリン―C1q複合体が測定された場合、結果は、商業用トウモロコシ抽出物に対して0.48のO.D.または(±)であり、水溶性抽出物では0.56または(+)であり、アルコ―ル可溶性抽出物では1.4または(+++)であり、アルカリ可溶性抽出物では0.93または(++)であり、糖脂質調製物では0.72または(+)であり、多糖調製物では0.86または(++)であった。これらの6つの抽出物を用いて連続的にコ―トされた試験表面に対して測定された場合、O.D.は2.84または(+++++)であり、これは免疫反応性の高い程度を示す。
【0076】
キノコ(図9を参照)は別の良い例であり、免疫反応性が商業用抽出物での0.45のO.D.または(±)から、水溶性抽出物での3.11(+++++)に上昇し、さらに、すべての熱変性させた抗原調製物で連続的に処理された試験表面を用いて3.52(++++++)に上昇する。同様に、エンドウ(図9)、イモ(図9)、コメ(図10)、ゴマ種子(図10)、ホウレンソウ(図10)、トマト(図10)、小麦(図10)、および卵黄(図10)についてのO.Dは、検討に耐える。卵黄に対し、水溶性抽出物構成要素は実際にはIgGまたは天然のイムノグロブリン―C1q複合体を検出しなかった(―)が、しかしながらO.D.はアルコ―ル可溶性構成要素で0.36まで上がり、すべての抗原調製物を用いて連続的にコ―トされた試験表面が使用された場合、3.31(+++++)まで上がった。水溶性タンパク質を有する卵白(図10)では、同様の反応性の(++++)が観察された。同様の結果は、エビ(図11)、ア―モンド(図11)、ブラジルナッツ(図11)、ピ―ナッツ(図11)、および小麦でも検出された。
【0077】
注目すべきことに、エビおよびア―モンドの場合にIgGおよび天然のイムノグロブリン―C1q複合体の結合は、すべての抗原調製物を用いて連続的にコ―トされた試験表面を用いて測定された場合有意に変化した。ここでまた留意すべきは、エビについて抽出物混合物が使用された場合、熱変性が2.76(+++++)から1.2(++)へのO.D.の減少をもたらす一方で、混合物の熱変性は、ア―モンドについて0.5から1.6に、ブラジルナッツについて1.36から2.49に増強される免疫反応性をもたらしたことである。最後の例として、ピ―ナッツに対するIgGプラス天然のイムノグロブリン―C1q複合体のO.D.は、商業用抽出物での1.51から、すべての抽出物を用いて連続的にコ―トされた試験表面が使用された場合2.18に上がり、混合物が熱変性された場合3.98へとさらに上がった。
【0078】
これは、IgGおよび/または免疫複合体を含有するC1qのより精密な特性評価のため、それらの生の形態の食物、および適用され得る場合、熱変性されたまたは調理された形態の食物から調製される水溶性構成要素、アルコ―ル可溶性構成要素、アルカリ可溶性構成要素、糖脂質、多糖、糖タンパク質から作られる抽出物を用いて連続的にコ―トされた試験表面が、最も完全な結合プロファイルを産生するために使用されるべきであることを示す。
【0079】
試料からのIgGについての結果が上に書き留められているが、本発明概念の試験表面に結合するIgAについて試験することから同様に改良された結果が予期されることが、理解されるべきである。本発明概念の試験表面に結合するIgE、IgM、および/またはIgDの特性評価が、それぞれの食物から単一の抗原抽出または調製方法を用いて調製された試験表面から得られるものより、食物抗原に対する抗体応答のより完全で、敏感な、および/または精密なアセスメントを提供すると予期されることも理解されるべきである。本発明概念のいくつかの実施態様において、異なる抗体種が、同じ試験表面を利用して組み合わせて試験され得る。例えば、同じ試験表面に結合するIgGおよびIgAの両方が、同時に決定され得る。同様に、同じ試験表面へのIgG、IgA、およびIgEが同時に決定され得る。本発明概念のほかの実施態様において、同じ試験表面に結合するIgGおよびIgEが同時に決定され得る。さらにほかの実施態様において、同じ試験表面に結合するIgAおよびIgEが同時に決定され得る。
【0080】
C1qが具体的に上に引用されているが、1つ以上のIgG、IgA、IgM、IgE、および/またはIgDと同時にほかの補体種について試験することから同様に改良された結果が予期されることも理解されるべきである。適切な補体構成要素は、C1rおよび/またはC1sを含む、古典的補体パスウェイに関係するものを含む。いくつかの実施態様において、C1q、C1r、および/またはC1sは、同じ試験表面を用いて、1つ以上のIgG、IgA、IgE、IgM、および/またはIgDと合わせて(すなわち、同時に)特性評価される。同様に、1つ以上のC4、C2、C4a、C4b、C2a、C2b C3、C3a、およびC3bは、同じ試験表面を用いて、1つ以上のC1q、C1r、C1s、IgG、IgA、IgE、IgM、および/またはIgDと同時に特性評価され得る。
【0081】
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【0082】
本明細書中の本発明概念から逸脱することなく、すでに記載されたものに加えて、より多くの変更の可能性があることは、当業者にとって明らかであるべきである。本発明の主題は、従って、添付された特許請求の範囲の精神を除いて制限されない。さらに、明細書および特許請求の範囲のいずれを解釈する際にも、すべての用語は、文脈と矛盾しない、可能性のある最も広い方法で解釈されるべきである。具体的には、用語「含む」(“comprises”)および「含む」(“comprising”)は、非排他的方法において、要素、構成要素または工程について言及すると解釈されべきであり、参照される、要素、構成要素または工程が、存在し得るか、利用され得るか、明示的に参照されないほかの要素、構成要素または工程と結び付けられ得ることを示す。明細書特許請求の範囲が、A、B、C…およびNからなる群から選択される少なくとも1つに対して言及する場合、文章は、AプラスN、またはBプラスNなどでなく、群からの1の要素のみを必要とするとして解釈されるべきである。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11