【実施例】
【0060】
以下の実施例は、本発明を限定することなく説明するためのものである。全ての実施例について、上述の本発明の変換された製造装置を使用した。
【0061】
シリコーンゴム組成物の調整: 使用した全てのシリコーンゴム組成物を、10ミリバールの減圧下、室温で3時間デシケーター中で開放PEジャーに100gの組成物を貯蔵することにより、処理前に液化した。次に、組成物を空気なしの操作でバヨネット栓付きの30mlカートリッジに分配し、適切な大きさのエジェクターピストン(プラスチック製)で密封した。次いで、ルアーロックねじを下向きにして液体の漏れを防止するように、ルアーロックカートリッジをVermes計量バルブの垂直カートリッジホルダにねじ込み、3から8バールの圧縮空気をカートリッジの上側に加圧ピストンによって適用する。カートリッジ内に配置されたエジェクターピストンは、圧縮空気が事前に排気されたシリコーンゴム組成物に入るのを防止する。
【0062】
全てのUV感受性シリコーン組成物を黄色光(700nm未満の光を除く)下で製造し、同様の方法で液化し、光不透過性のSemcoカートリッジに分配した。
【0063】
実施例で使用したシリコーンゴム組成物の粘度は表2から明らかである。
【0064】
使用した原料およびシリコーンゴム組成物:
R1:分子量Mw=5300g/molおよびMn=2400g/molおよびシリコーン樹脂100g当たり70mmolのビニルのビニル含量を有するM:M
vinyl:Q比が0.72:0.09:1のM、M
vinylおよびQ単位からなるビニル官能性MQシリコーン樹脂粉末。
【0065】
R2:ドイツ、カールスルーエ、ABCR GmbHから商品名「ポリ(ジメチルシロキサン)、ビニルジメチルシロキシ末端、粘度200cSt」、注文番号AB109357、CAS番号[68083−19−2]で入手可能な200mPa.sの粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン。
【0066】
R3:ドイツ、カールスルーエ、ABCR GmbHから商品名「ポリ(ジメチルシロキサン)、ビニルジメチルシロキシ末端、粘度1000cSt」、注文番号AB109358、CAS番号[68083−19−2]で入手可能な1000mPa.sの粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン。
【0067】
R4:ドイツ、カールスルーエ、ABCR GmbHから商品名「ポリ(ジメチルシロキサン)、ビニルジメチルシロキシ末端、粘度20000cSt」、注文番号AB128873、CAS番号[68083−19−2](ABCRカタログ)で入手可能な20000mPa.sの粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン。
【0068】
R5:Gelest、Inc.(65933ドイツ、フランクフルト・アム・マイン)からHMS−301の商品名で入手可能な分子量Mn=1900から2000g/molおよびメチル水素シロキシ含有量25から30mol%を有するメチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー。
【0069】
R6:Gelest、Inc.(65933ドイツ、フランクフルト・アム・マイン)からHMS−501の商品名で入手可能な分子量Mn=900から1200g/molおよびメチル水素シロキシ含有量50〜55mol%を有するメチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー。
【0070】
R7:UV活性化可能な白金触媒:ドイツ、タウフキルヒェン、Sigma−Aldrich(R)から入手可能なトリメチル(メチル−シクロペンタジエニル)白金(IV)。
【0071】
R8:SEMICOSIL(R) 988 1K、DIN EN ISO 3219による(ドイツ、ミュンヘン、ワッカー・ケミー・アクチエンゲゼルシャフトから入手可能)、約450000mPa.s(0.5s
−1および25℃)の動的粘度を有する、熱硬化性の、半透明の、垂れおちにくい付加架橋性シリコーンゴム組成物。
【0072】
R9:BET表面積が300m
2/gである疎水化ヒュームドシリカは、特許明細書DE3839900A1と同様に、親水性ヒュームドシリカであるWacker HDK(R) T−30(ドイツ、ミュンヘン、ワッカー・ケミー・アクチエンゲゼルシャフトから入手可能)の疎水化により調製した。
【0073】
R10:SEMICOSIL(R) 914 UV−THIXO A+Bは、UV光による誘導を用いる付加により架橋し、DIN EN ISO 3219に従った約42000mPa.sの混合粘度(0.5s
−1および25℃)およびショアA加硫硬化度70を有する透明なチキソトロピー性2成分シリコーンゴム組成物(ドイツ、ミュンヘン、ワッカー・ケミー・アクチエンゲゼルシャフトから入手可能)。
【0074】
R11:(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、98%、ドイツ、カールスルーエ、ABCR GmbHからから入手可能、CAS番号[2530−83−8]。
【0075】
[実施例1]:
R8を25×75mmの面積のガラススライド(3)上に表1に示す噴射ノズルパラメータを用いて堆積させ、堆積は10×30mmの層を形成するように滴下して行った。シリコーンゴム組成物の高いゼロ−剪断粘度および降伏点により、堆積した層の十分な寸法安定性が可能になる。引き続いて層を50mmの距離で層の長さの中央にIR−スポットを40%の出力設定で1分間誘導することにより、層をIR放射線で架橋させた。交互の噴射および架橋を意味するこの手順を、直方体(8)が3mmの高さに達するまで繰り返した。結果は、
図2によるものに従う10×30×3mmの寸法を有する透明な弾性成形体(8)であった。
【0076】
[実施例2]:
シリコーン組成物は、
・ 51重量%のR4
・ 25重量%のR9
・ 9重量%のR3
・ 11重量%のR2
・ 2.0重量%のR11
から調製した。
【0077】
続いて、光の不存在下で
・ R7、混合物全体の白金含有量に基づいて30ppm
・ 2.4重量%のR6
を添加し、得られた混合物全体を均質化し、上記のように液化し、光不透過性の30mlのカートリッジに分配した。
【0078】
このシリコーン組成物を、25×75mmの面積を有するガラススライド上に、表1に示す噴射ノズルパラメータを用いて滴下(ボクセル直径:0.5mm)して15×15mmの層を得るように繰り返し堆積させ、堆積した組成物を13200mW/cm
2の出力を有するBLUEPOINT照射システムを用いた印刷操作(50秒)全体にわたって連続的に照射した。これにより、15×15×3mmの寸法を有する透明な直方体(8)が得られた。
【0079】
[実施例3]:
シリコーン組成物は、
・ 51重量%のR4
・ 25重量%のR9
・ 20重量%のR3
・ 11重量%のR2
・ 2重量%のR11
から調製した。
【0080】
続いて、光の不存在下で
・ R7、混合物全体の白金含有量に基づいて30ppm
・ 2.9重量%のR5
を添加し、得られた混合物全体を均質化し、上記のように液化し、光不透過性の30mlのカートリッジに分配した。
【0081】
このシリコーン組成物を、25×75mmの面積を有するガラススライド(3)上に、表1に示す噴射ノズルパラメータを用いて滴下(ボクセル直径:0.5mm)して11×11mmの層を得るように繰り返し堆積させ、堆積した組成物を13200mW/cm
2の出力を有するBLUEPOINT照射システムを用いた印刷操作(10分)全体にわたって連続的に照射した。これにより、11×11×8mmの寸法を有する透明な直方体(8)が得られた。
【0082】
[実施例4]:
シリコーン組成物は、
・ 54重量%のR4
・ 25重量%のR9
・ 20重量%のR3
・ 11重量%のR2
から調製した。
【0083】
続いて、光の不存在下で
・ R7、混合物全体の白金含有量に基づいて30ppm
・ 1.8重量%のR6
を添加し、得られた混合物全体を均質化し、上記のように液化し、光不透過性の30mlのカートリッジに分配した。
【0084】
このシリコーン組成物を、25×75mmの面積を有するガラススライド(3)上に、表1に示す噴射ノズルパラメータを用いて滴下(ボクセル直径:0.9mm)して11×11mmの層を得るように繰り返し堆積させ、堆積した組成物を13200mW/cm
2の出力を有するBLUEPOINT照射システムを用いた印刷操作(10分)全体にわたって連続的に照射した。これにより、11×11×8mmの寸法を有する透明な直方体(8)が得られた。
【0085】
[実施例5]:
R10を、25×75mmの面積を有するガラススライド(3)上に、表1に示す噴射ノズルパラメータを用いて滴下(ボクセル直径:0.7mm)して15×15mmの層を得るように繰り返し堆積させ、堆積した組成物を13200mW/cm
2の出力を有するBLUEPOINT照射システムを用いた印刷操作(50秒)全体にわたって連続的に照射した。これにより、15×15×3mmの寸法を有する直方体(8)が得られた。
【0086】
[実施例6]:
シリコーン組成物は、
・ 27重量%のR1
・ 40重量%のR4
・ 14重量%のR3
・ 1重量%のR1
から調製した。
【0087】
R1が溶解し、組成物が完全に均質かつ透明になるまでプレミックスを混合した。
【0088】
続いて、光の不存在下で
・ 18重量%のR5
・ R7、混合物全体の白金含有量に基づいて30ppm
を添加し、得られた混合物全体を上記のように液化し、光不透過性のカートリッジに分配した。
【0089】
このシリコーン組成物を、25×75mmの面積を有するガラススライド(3)上に、表1に示す噴射ノズルパラメータを用いて滴下(ボクセル直径:1.5mm)して15×15mmの層を得るように繰り返し堆積させ、堆積した組成物を13200mW/cm
2の出力を有するBLUEPOINT照射システムを用いた印刷操作(50秒)全体にわたって連続的に照射した。これにより、15×15×3mmの寸法を有する完全に透明な直方体(8)が得られた。
【0090】
[実施例7]:
シリコーン組成物は、
・ 45重量%のR1
・ 38重量%のR4
・ 9重量%のR3
から調製した。
【0091】
R1が溶解し、組成物が完全に均質かつ透明になるまでプレミックスを混合した。
【0092】
続いて、光の不存在下で
・ 8重量%のR6
・ R7、混合物全体の白金含有量に基づいて30ppm
を添加し、得られた混合物全体を上記のように液化し、光不透過性のカートリッジに分配した。
【0093】
このシリコーン組成物を、25×75mmの面積を有するガラススライド(3)上に、表1に示す噴射ノズルパラメータを用いて滴下(ボクセル直径:1.1mm)して15×15mmの層を得るように繰り返し堆積させ、堆積した組成物を13200mW/cm
2の出力を有するBLUEPOINT照射システムを用いた印刷操作(50秒)全体にわたって連続的に照射した。これにより、15×15×3mmの寸法を有する完全に透明な直方体(8)が得られた。
【0094】
[実施例8]:
シリコーン組成物は、
・ 44重量%のR1
・ 38重量%のR4
・ 9重量%のR3
・ 1重量%のR11
から調製した。
【0095】
R1が溶解し、組成物が完全に均質かつ透明になるまでプレミックスを混合した。
【0096】
続いて、光の不存在下で
・ 8重量%のR6
・ R7、混合物全体の白金含有量に基づいて30ppm
を添加し、得られた混合物全体を上記のように液化し、光不透過性のカートリッジに分配した。
【0097】
このシリコーン組成物を、25×75mmの面積を有するガラススライド(3)上に、表1に示す噴射ノズルパラメータを用いて滴下(ボクセル直径:1.0mm)して15×15mmの層を得るように繰り返し堆積させ、堆積した組成物を13200mW/cm
2の出力を有するBLUEPOINT照射システムを用いた印刷操作(50秒)全体にわたって連続的に照射した。これにより、15×15×3mmの寸法を有する完全に透明な直方体(8)が得られた。
【0098】
[実施例9]:
シリコーン組成物は、
・ 39重量%のR1
・ 44重量%のR3
・ 2重量%のR11
から調製した。
【0099】
R1が溶解し、組成物が完全に均質かつ透明になるまでプレミックスを混合した。
【0100】
続いて、光の不存在下で
・ 15重量%のR5
・ R7、混合物全体の白金含有量に基づいて30ppm
を添加し、得られた混合物全体を上記のように液化し、空気の不存在下で光不透過性のカートリッジに分配した。
【0101】
このシリコーン組成物を、25×75mmの面積を有するガラススライド(3)上に、表1に示す噴射ノズルパラメータを用いて滴下(ボクセル直径:1.7mm)して15×15mmの層を得るように繰り返し堆積させ、堆積した組成物を13200mW/cm
2の出力を有するBLUEPOINT照射システムを用いた印刷操作(50秒)全体にわたって連続的に照射した。これにより、15×15×3mmの寸法を有する完全に透明な直方体(8)が得られた。
【0102】
[例10:非液化シリコーン組成物R8を用いた実施例8]
組成物R8を使用し、カートリッジに分配する前に減圧下で液化しなかった。R8を25×75mmの面積を有するガラススライド(3)上に、表1に示す噴射ノズルパラメータを用いて滴下し堆積させて20×20mmの非架橋層を形成した。直方体が12mmの高さに達するまで、この層の堆積を繰り返した。シリコーンゴム組成物の高いゼロ−剪断粘度および降伏点により、堆積した架橋されていない成形体の部品に十分な寸法安定性が得られた。
【0103】
引き続いて、その上に非架橋成形体を有するスライド(3)を150℃および大気圧で30分間熱架橋した。
【0104】
結果は、独立気泡エラストマー発泡体と同様に、小さな気泡が完全に散在した、20×20×12mm(L×W×H)の寸法を有する不透明な白色弾性成形体(8)であった。4つの側面および上面は凸であった(
図3参照)。
【0105】
[実施例11:実施例2Sem. 810UVの非液化組成物を用いた実施例9]
実施例2を繰り返したが、組成物をカートリッジに分配する前に減圧下で液化しなかったという唯一の違いがあった。
【0106】
結果は、小さな気泡が完全に散在した10×30×3mmの寸法を有する不透明な白色弾性成形体(8)であった。4つの側面および上面はわずかに凸であり、成形体(8)には小さな泡が散在していた。
【0107】
[実施例12:実施例2からのシリコーン組成物を用いた三次元「ワッカー(Wacker)」社証印の製造]
三次元の「ワッカー」社証印を持つCADファイルを使用して、(「Slic3r」ソフトウェアによって)Gコードが生成されたSTLファイル(PTCの「ProEngineer」ソフトウェアを使用)を作成した。「RepitierHost」ソフトウェアを使用して、実施例2のシリコーン組成物を層毎に変換されたNEOプリンタ上に滴下して堆積させ、三次元「ワッカー」社証印を得た。
【0108】
使用したプリント基板(8)は、2mm×150mm×150mmの厚さ2mmのPTFEプレートであった。
【0109】
印刷操作全体を通して、堆積した組成物を、13200mW/cm
2の出力を有するBLUEPOINT照射システムを用いて連続的に照射した。
【0110】
このようにして、85mm×25mm×5mm(長さ×幅×全高)の全体寸法を有する三次元架橋シリコーンエラストマー体(8)が得られた。得られた成形体は
図4に見ることができる。
【0111】
[実施例13:(減圧下での3D印刷)]
非架橋の成形体ブランク上での3D印刷操作全体を130ミリバールの減圧下で行ったことを除いて、液化されていないシリコーン組成物R8を用いた実施例8を同様に繰り返した。
【0112】
上述した本発明の変換された製造装置をさらに真空チャンバ内に配置した。全ての電源およびメディアライン(圧縮空気ラインおよびケーブル)を、真空の完全性を維持しながらプリンタから外部に導いた。外部にはVERMES制御装置、PC、圧縮空気供給および電源があった。このようにして、本発明の製造装置を外部から起動して動作させることができ、印刷操作も外部から完全に制御することができた。真空チャンバ内で、本発明の製造装置は減圧設定で作動した。
【0113】
使用した真空チャンバは、直径2メートル、長さ3メートルのドイツのEberlのドラム型真空木材乾燥機であり、真空ポンプに接続した。真空チャンバ内部は23℃の室温であった。真空チャンバが、130ミリバールの圧力まで排気され、本発明の製造装置をその内部に配置すると、3D印刷動作を開始した。
【0114】
表1に示す噴射ノズルパラメータを用いて、25×75mmの面積を有するガラススライド(8)上に、液化されていないシリコーン組成物R7を滴下して、11×11mm×8mm(L×W×H)の層を形成するように堆積させた。シリコーンゴム組成物の高いゼロ−剪断粘度および降伏点により、堆積された層の部品について十分な寸法安定性が可能になる。
【0115】
その後、真空を中断し、寸法的に安定な非架橋ブロックを除去し、このブロックを150℃の乾燥オーブン中で30分間熱架橋した。結果は、11×11×8mmの寸法を有する、気泡のない完全に透明な弾性のある直方体(8)であった。
【0116】
[実施例14:(減圧下での3D印刷)]
例10を、実施例2と同様の構成の液化されていないシリコーン組成物を用いて、同様に繰り返した。
【0117】
表1の実施例2に示す噴射ノズルパラメータを用いて、25×75mmの面積を有するガラススライド(3)上に、液化されていないシリコーン組成物を滴下して、15×15mm×3mm(L×W×H)の層を形成するように堆積させた。シリコーンゴム組成物の高いゼロ−剪断粘度および降伏点により、堆積された層の部品について十分な寸法安定性が可能になる。
【0118】
その後、寸法的に安定な非架橋ブロックをBLUEPOINT照射システムからのUV光下で10秒間照射した。結果は、15×15×3mmの寸法を有する、気泡のない透明な弾性のある直方体(8)であった。
【0119】
【表1】
【0120】
【表2】