特許第6594987号(P6594987)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

<>
  • 特許6594987-シリコーンエラストマー部品の製造方法 図000004
  • 特許6594987-シリコーンエラストマー部品の製造方法 図000005
  • 特許6594987-シリコーンエラストマー部品の製造方法 図000006
  • 特許6594987-シリコーンエラストマー部品の製造方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594987
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】シリコーンエラストマー部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/112 20170101AFI20191010BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20191010BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20191010BHJP
【FI】
   B29C64/112
   B33Y10/00
   B33Y80/00
【請求項の数】7
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-542309(P2017-542309)
(86)(22)【出願日】2015年10月30日
(65)【公表番号】特表2017-533851(P2017-533851A)
(43)【公表日】2017年11月16日
(86)【国際出願番号】EP2015075329
(87)【国際公開番号】WO2016071241
(87)【国際公開日】20160512
【審査請求日】2017年6月26日
(31)【優先権主張番号】102014222685.6
(32)【優先日】2014年11月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゼルベルティンガー,エルンスト
(72)【発明者】
【氏名】アッヘンバッハ,フランク
(72)【発明者】
【氏名】パチャリー,ベルント
【審査官】 ▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−503384(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/091003(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02676633(EP,A1)
【文献】 特開2013−23574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 − 64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
1) 独立して制御可能な噴射装置(1)が、独立して空間的に制御可能なベースプレート(3)またはそれに取りつけられた成形体への、リザーバからの、少なくとも1つの印刷ヘッド(5)を介した、電磁放射線によって硬化可能な少なくとも1つのシリコーンゴム組成物のx、y作業面における滴下塗布(6)に使用される工程、
2) 少なくとも1つの独立して制御可能な電磁放射線源(2)が、硬化または部分的に硬化した成形シリコーンエラストマー部品の層を形成するために、液滴(6)の架橋または初期架橋(7)に使用される工程、
3) 噴射装置(1)または工程2からの成形シリコーンエラストマー部品が、次の液滴層(6)がx、y作業面に塗布されるのに十分なだけ遠くにz方向に移動される工程、
4) 成形シリコーンエラストマー部品(8)の構築が完了するまで、工程1から3が繰り返される工程
を有し、
a) 使用されるシリコーンゴム組成物は、付加架橋性であり、1成分系または多成分系として配合され、多成分シリコーンゴム組成物は、リザーバの上流または下流に位置する装置により、均質に混合され、熱および/またはUVもしくはUV−VIS光のいずれかによる誘導による電磁放射線(7)によって工程2において架橋され、
b) シリコーンゴム組成物は、明細書に開示される方法により25℃および0.5s−1の剪断速度で測定して少なくとも10Pa・sの粘度を有し、
c) x、y作業面内の液滴(6)は、電磁放射線(7)に、部位選択的または面状に、パルス状にまたは連続的に、一定または可変の強度で暴露され、
d) 工程1)および2)および3)は、互いに独立して、または相互に連結され、同時に、または任意の順序で連続して行われる
ことを特徴とする、成形シリコーンエラストマー部品(8)の層毎の製造のための方法。
【請求項2】
使用されるシリコーンゴム組成物は、25℃および0.5s−1の剪断速度で測定して少なくとも40Pa・sの粘度を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
使用されるシリコーンゴム組成物は、25℃および0.5s−1の剪断速度で測定して少なくとも100Pa・sの粘度を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
使用されるシリコーンゴム組成物は、25℃および0.5s−1の剪断速度で測定して少なくとも200Pa・sの粘度を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程2)の電磁放射線(7)は波長240から500nmのUV−VIS光であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程2)の電磁放射線(7)は波長250から400nmのUV−VIS光であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程2)の電磁放射線(7)は波長250から350nmのUV−VIS光であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋性シリコーン組成物から電磁放射線を用いて成形エラストマー体を製造するための生成方法に関し、この方法は、架橋性シリコーン組成物の小さい部品を繰り返し正確に配置し、その電磁放射線による架橋により、成形エラストマー体を段階的に作り上げることを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
架橋性シリコーンゴム組成物から出発する成形エラストマー部品の製造のために、多数の加工方法が利用可能である。シリコーンゴム組成物の稠度および架橋の機構に依存して、成形部品は、例えば、射出成形、圧縮成形、押出成形、カレンダー加工、キャスティング等によって製造することができる。形成された成形シリコーン部品の特性(硬度、引張強度、伸展性、色等)は、実質的に架橋性シリコーンゴム組成物の物理的構成によって(さらに圧力および温度等の加工条件によって)決定される。換言すれば、これらの方法は、機械的および光学的特性の点で一般に主に等方的である成形リコーン部品の高い単位数をもたらす。
【0003】
しかし、既存の方法は、その要求が、比較的複雑な形状、異なる材料組成、および/または特性の可変プロファイルを有する成形シリコーン部品に対するものである場合、ますますその限界に近づきつつある。ところで、特定の目的に適した射出成形金型の製造はますます高価で不便になるか、基本的に不可能である。この種の要求のプロファイルは、例えば、体外人工器官および内部人工器官、特にエピテーゼ(例えば、より軟らかい領域およびより硬い領域(皮膚、軟骨)が互いに連続的に融合する人工外耳)に存在する。さらに、バイオニクスから知られているもののような非常に複雑な構造は、従来の加工技術では実現することができない。さらに、商品品目の個別化および個々の適応化への一般的な傾向は、より少ない単位数を必要とし、従来の方法からその効率を奪う。これはプロトタイプの製造にも当てはまる。
【0004】
重要性がますます高まっている成形部品を製造するための1つの方法は、共通の特徴が成形部品の層の自動付加積層である多数の異なる技術に対する包括的用語である生成的製造(付加製造;3D印刷法)の方法である(A. Gebhardt、Generative Fertigungsverfahren、Carl Hanser Verlag、ミュンヘン2013)。全ての生成的製造方法の前提条件は、成形体の仮想モデルとして理解することができるデジタル3Dデータセットの形態の所望の成形体の幾何形状、場合によっては他の特性(色、材料組成)の表現である。このモデリングは、好ましくは多様な3D CAD構築方法(コンピュータ支援設計)によって達成される。3D CADモデルの製造のための入力データは、例えば、CT測定(コンピュータ断層撮影)またはMRT測定(磁気共鳴断層撮影)から得られる3D測定データであってもよい。その後、3D CADデータセットは、材料、方法、および製造装置に固有のデータによって補足されなければならず、これは、付加製造ソフトウェアのピースに適切なフォーマット(例えば、STL、CLI/SLC、PLY、VRML、AMFフォーマット)でインタフェースを介してデータセットを引き渡すことによって達成される。幾何学的情報から、最後に、このソフトウェアは仮想個別層(スライス)を生成し、構築空間内の構成要素の最適な配向、支持構造等を考慮に入れる。その後、完全なデータセットにより、生成的製造に使用する機械(3Dプリンタ)の直接の駆動が可能になる。
【0005】
ソフトウェアのシーケンスは次のとおりである。
1. CADフォーマットにおける部品の構築
2. STLデータフォーマットにエクスポート
3. 3Dモデルを印刷平面に平行なスライスに分割し、Gコードを生成
4. プリンタ制御装置へのGコードの転送
【0006】
多数の材料およびそれらの組み合わせ(例えば、金属、プラスチック、セラミック、ガラス)に関して、生成的製造方法が利用可能である。
【0007】
これらの技術の1つは、例えば、WO93/08506A1号およびWO95/25003A1号に記載されているステレオリソグラフィー法であり、この法では低粘度の放射線硬化性プラスチック組成物を薄層で支持板に塗布し、x、y平面の選択された領域のコンピュータ制御された照射(レーザーまたはマスクを用いる放射線源)によって局所的に硬化させる。次の薄層が(典型的には、支持板上に配置された既に架橋された層を架橋していない液体プラスチック組成物からなる浴に正確に測定された引き下げ/浸漬することによって)塗布された後、この操作が繰り返され、成形体は1層毎にz方向に作り上げられる。定義された層の厚さを有する各次の架橋されていない層の塗布は、例えば、ドクターブレードまたはスロットダイによって行うことができる。最後に、架橋されていないプラスチック組成物は、場合により溶媒および超音波を用いて、得られた成形体から除去される。この種の方法はDE19950284A1号にも記載されており、そこでは可視光でのラジカル重合によって硬化する組成物の可能性の1つは、開始剤含有シリコーン樹脂組成物、より具体的にはOrmocer(R)タイプである。シリコーン樹脂組成物は充填剤を含むことができ、従ってペースト状の稠度であってもよい。その場合、個々の層はローラーシステムによって塗布することができる。欠点は、ローラーシステムによる高粘性組成物の塗布が、高い安定性のシート状の基礎構造を必要とすることであり、これは一般に柔らかい弾力性の基礎構造では満たされない要件である。WO96/30182号にも、カチオン性光開始剤を含み、UVレーザーを使用して硬化されるエポキシ官能性シリコーン組成物から出発するステレオリソグラフィー法における成形体の製造が記載されている。使用されるエポキシ官能性モノマーおよびオリゴマーは、>250℃のガラス転移温度を有する硬質成形体を生じる。欠点は、カチオン性光開始剤(オニウム塩)および光増感剤(縮合芳香族化合物)が毒物学的に好ましくないだけでなく、シリコーン中に必要とされる高密度のエポキシ官能基も含まなければならないことであろう。さらに、ステレオリソグラフィー法は、厚さ数百μmの新しく塗布された層の効果的なレベリングを保証するために、比較的低い粘度(典型的には<0.3Pa.s)のプラスチック組成物を必要とする。しかしながら、良好な機械的強度を有する柔らかく弾力性の成形体を製造するためには、長鎖シリコーンポリマーを補強用充填剤と組み合わせて使用する必要があり、これにより比較的高い粘度(>100Pa.s)のシリコーンゴム組成物が自動的にもたらされる。さらに、成形体を製造するために生理学的に異論のない付加架橋性シリコーンゴム組成物を使用することが望ましい。これらの組成物は、SiH基を含有するシロキサン架橋剤のビニル官能性ポリシロキサンへの白金触媒付加反応によって架橋する(ヒドロシリル化)。上述したステレオリソグラフィー法と熱開始またはUV光開始付加架橋との組合せは、照射および活性化された領域が(IRまたはUVレーザーを用いて)強く集束されている場合であっても、活性化された白金触媒の拡散、熱伝導性、および付加架橋法の強い発熱性を介して、すぐ近くの所も少なくとも初期に架橋されるので問題である。この少なくとも初期の架橋は、浴中のシリコーンゴム組成物全体が使用不能であることをもたらし、粘着性があり、不十分に境界が定められた表面を有する成形体をもたらす。
【0008】
上記の問題は、DE10024618A1号に開示されている感熱性組成物(シリコーンゴム樹脂を含む組成物)から三次元物品を製造する方法(成形体が、必ず透明でなければならない熱架橋性液体プラスチック組成物の浴容積内の三次元において光ビーム(IRレーザーの焦点スポット)を集中的に誘導することによって形成されるという事実によって区別される)によっても解決することができない。さらに、柔らかく弾力性の成形体の製造は、この方法で同時に構成することができない適切な支持構造の存在に結びついている。この方法の改良は、DE10111422A1号およびDE10152878B4号に記載されている。DE10152878号には、二光子または多光子重合(A.Ostendorf、BN Chichov、Photonics Spectra 2006、10、72−80)によるこの物質の浴内での有機官能性シリコーン樹脂の部位選択的凝固による表面上への三次元成形体または構造の製造が記載されている。使用される液体シリコーン樹脂は(ラジカル)二光子または多光子重合を可能にする有機官能基(例えば、メタクリル基)を含み、多光子操作に必要とされる高い放射強度が超短時間パルスの(N)IRレーザービーム(場合により事前のビーム拡大後)によって生成される。この利点は、多光子操作に必要な放射強度が焦点領域内でのみ達成される一方で、周囲の材料が重合工程、即ち、硬化を開始できない1光子励起のみを受けることである。この方法は、高度に架橋された硬質(ORMOCER(R)様)オルガノシリケートからなるが、柔らかい弾力性のシリコーンエラストマーを含まない、好ましくはμm範囲の精密に成形された基材支持または自己支持構造を製造するのに特に適している。
【0009】
全体として、上述のステレオリソグラフィー様の方法による成形されたゴム弾性シリコーン体の製造は、記載された欠点のために不適当であると述べることができる。
【0010】
上述の生成方法が共通して有するものは、成形体を形成する架橋されていない材料が作業面の領域に選択的に塗布されない(または、浴として存在する)が、その代わりに成形体の一部にならない領域にも存在することである。次の選択的硬化を通してのみ、塗布されたまたは存在する組成物の一部が成形部品の構成要素になる。これとは異なるステレオリソグラフィー法の一実施形態は、架橋性組成物が成形体の一部となる位置にのみ選択的に配置されることを含む。その後、選択的に(例えば、レーザーを用いて)または非選択的に(ランプによる面照射によって)後続の架橋を行うことができる。
【0011】
架橋性組成物の部位選択的塗布は、例えば、押出によって達成され得る。DE102012204494A1号には、創傷管理のための一次シリコーン接点材料の製造が記載されており、そのような製造は、とりわけ3D印刷法によって行われ得る。一次接触材料は、フィラメント3D印刷に類似して、ノズルを通してのシリコーンゴム組成物の蛇行した連続押出しおよびその後の架橋によって形成される格子またはメッシュの形態を有する。
【0012】
架橋性組成物の部位選択的塗布は、好ましくは、バリスティック法と呼ばれるものによって達成され、その特徴は、架橋性材料が、作業面の所望の位置で不連続に、個々の液滴の形態で印刷ヘッドを用いて塗布されることである(噴射)。DE102011012412A1号およびDE102011012480A1号には、少なくとも2個、好ましくは50から200個の印刷ヘッドノズルを含む印刷ヘッド配置を用いる3D構造の段階的製造のための装置および方法が記載されており、異なる光感度を有する適切な複数の光架橋性材料の部位選択的塗布を可能にし、光架橋性材料は電磁放射線、より詳細にはレーザーの焦点領域における二光子または多光子法により部位選択的凝固に供される。インクジェット印刷による光架橋性材料の塗布は、光架橋性材料の粘度に特定の要件を課す。従って、光架橋性材料は、200mPa.s未満、より具体的には80mPa.s未満、より好ましくは40mPa.s未満の粘度を特徴とする。二光子または多光子重合による塗布材料の十分な架橋を達成するためには、光架橋性基を含むポリマー架橋剤成分(光架橋性基は、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、尿素アクリレート、および尿素メタクリレートの種類に属する)と同様に、レーザー波長に合わせた光開始剤が必要である。しかし、記載された方法は、シリコーンエラストマーからなる成形部品を製造するのには適していない。第一に、使用される光開始剤、光増感剤、共開始剤等の溶解度は(非極性)シリコーン組成物中では乏しく、これは濁り、ミクロ相分離、および不均一性の例につながる。上述の光架橋性基で官能化されたシリコーンのラジカル硬化は、知られているように酸素によって引き起こされる抑制の問題に悩まされており、それによって架橋速度が著しく低下し、粘着性の表面が生じる。この効果が、例えば、アクリレート官能基の密度を上げることによって相殺される場合、得られる加硫物は脆く、非弾性である。最後に、多光子重合(特に、光重合性基官能基の低密度による)に必要とされ、かつパルス化フェムト秒レーザーによって生成される極端に高い局所光子密度は、シリコーン内の分解反応(炭化)を引き起こし、許容できない変色および材料への損傷をもたらす。
【0013】
先行技術に適合する装置および方法のいずれも、生成的製造方法においてシリコーンエラストマーでできた高品質の成形部品を効率的かつ効果的に製造するのには適していないことが全体的に観察され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第93/08506号
【特許文献2】国際公開第95/25003号
【特許文献3】独国特許出願公開第19950284号明細書
【特許文献4】国際公開第96/30182号
【特許文献5】独国特許出願公開第10024618号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第10111422号明細書
【特許文献7】独国特許第10152878号明細書
【特許文献8】独国特許出願公開第102012204494号明細書
【特許文献9】独国特許出願公開第102011012412号明細書
【特許文献10】独国特許出願公開第102011012480号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】A. Gebhardt、Generative Fertigungsverfahren、Carl Hanser Verlag、ミュンヘン2013
【非特許文献2】A.Ostendorf、BN Chichov、Photonics Spectra 2006、10、72−80
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、目的は、上述した欠点のない、個別化された高品質の成形シリコーンエラストマー部品の効率的な製造のための生成的製造方法およびそれに適した装置を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的は、驚くべきことに、本発明の方法および本発明の装置によって達成される。
【0018】
本発明の方法
以下の工程:
1) 独立して空間的に制御可能な噴射装置(1)が、独立して空間的に制御可能なベースプレート(3)またはそれに取りつけられた成形体への少なくとも1つの印刷ヘッド(5)を介した、電磁放射線によって硬化可能な少なくとも1つのシリコーンゴム組成物のx、y作業面における滴下塗布(6)に使用される工程。
2) 少なくとも1つの、独立して空間的に制御可能な電磁放射線源(2)が、硬化または部分的に硬化した成形シリコーンエラストマー部品の層を形成するために、液滴(単数または複数)(6)の架橋または初期架橋(7)に使用される工程。
3) 噴射装置(1)または工程2からの成形シリコーンエラストマー部品が、次の液滴層(6)がx、y作業面に塗布されるのに十分なだけ遠くにz方向に移動される工程。
4) 成形シリコーンエラストマー部品(8)の構築が完了するまで、工程1から3が繰り返される工程
を有し、
a) 使用されるシリコーンゴム組成物は付加架橋性であり、熱および/またはUVもしくはUV−VIS光のいずれかによる誘導による電磁放射線(7)によって工程2において架橋され、
b) シリコーンゴム組成物は、明細書に開示される方法により25℃および0.5s−1の剪断速度で測定して少なくとも10Pa.sの粘度を有し、
c) x、y作業面内の液滴(6)は、電磁放射線(7)に、部位選択的または面状に、パルス状にまたは連続的に、一定または可変の強度で暴露され、
d) 工程1)および2)および3)は、互いに独立して、または相互に連結され、同時に、または任意の順序で連続して行われる
ことを特徴とする、成形シリコーンエラストマー部品(8)の層毎の製造のための方法。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】シリコーンエラストマー部品(8)を製造するための本発明の方法において使用される生成的製造装置の図式的な例を示す。
図2】実施例1で得られた弾性成形体を示す。
図3】例10で得られた弾性成形体を示す。
図4】実施例12で得られた成形体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
シリコーンゴム組成物の粘度は、以下に記載する測定方法により決定される。実施例においても同様に粘度を測定した。オーストリアのグラーツのAnton Paar製MCR302レオメータを使用し、DIN EN ISO 3219:1994およびDIN 53019に従い、開き角2°のコーン(Cone)/プレートシステム(CP50−2コーン)を用いて測定を行った。この機器は、ドイツ、ブラウンシュヴァイクのPhysikalisch−Technische Bundesanstaltからの標準油10000で較正した。測定温度は25.00℃±0.05℃、測定時間は3分である。報告された粘度数字は、独立して実施された3つの個々の測定の算術平均を表す。動的粘度の測定の不確実性は1.5%である。剪断速度勾配は粘度に応じて選択され、報告された各粘度数字について別々に識別される(表2のデータも参照)。粘度測定のために使用された剪断速度勾配(または剪断速度)は、慣例的にいずれの場合も0.5s−1であり、使用されたシリコーンゴム組成物に応じて、10、25または100s−1であった(表2のデータも参照)。
【0021】
充填剤を含有するシリコーンゴム組成物によって示されるように、シリコーンゴム組成物の部品に対するずり減粘挙動は、本発明の方法において使用される微小液滴計量に特に有利である。噴射計量手順中に計量バルブに高剪断速度が生じる結果、このような充填剤含有シリコーンゴム組成物の粘度は大きく低下し、そのため非常に微細な微小液滴(6)の噴射計量が可能になる。マイクロ液滴(6)が基板(3)上に堆積された後に、剪断速度の急激な低下があり、その粘度が直ちに再び上昇する。この結果として、堆積された液滴(6)は再び直ちに高粘度となり、三次元構造の形状の正確な構築を可能にする。
【0022】
本発明の方法で使用されるシリコーンゴム組成物は、25℃および0.5s−1の剪断速度で好ましくは少なくとも40、より好ましくは少なくとも100、特に好ましくは少なくとも200Pa.sの粘度を示す。
【0023】
噴射装置(1)および電磁放射線源(2)、ならびにベースプレート(3)は、空間的に独立して制御可能である。これは、問題の装置が空間、x、y、zの3つの方向全て、即ち,三次元において部位選択的に移動できることを意味する。
【0024】
さらなる実施形態では、相互に連結された動作または同期した操作において、液滴(6)が堆積され、架橋または初期架橋(7)される。
【0025】
本発明の方法は、少なくとも以下の構成要素:
− 少なくとも1つのリザーバ(4)と少なくとも1つの噴射ノズル(5)とを含む空間的に独立して制御可能な噴射装置(1)、
− 空間的に独立して制御可能な電磁放射線源(2)、
− 空間的に独立して制御可能なベースプレート(3)
を含む製造装置で実施される。
【0026】
図1は、シリコーンエラストマー部品(8)を製造するための本発明の方法において使用される生成的製造装置の図式的な例を示す。電磁放射線によって架橋可能なシリコーンゴム組成物は噴射装置(1)のリザーバ(4)に配置され、このリザーバは圧力を受け、計量ラインを介して計量ノズル(5)に接続される。リザーバ(4)の上流または下流には、多成分シリコーンゴム組成物が均質に混合され、および/または排気によって溶解ガスが除去されることを可能にする装置が存在し得る。異なるシリコーンゴム組成物から成形部品(8)を構築し、シリコーンエラストマーおよび他のプラスチックから製造された複合部品を可能にし、またはより複雑な構造の場合には、適切な材料で構成された必要な支持構造を実現するために、互いに独立して動作する複数の噴射装置(1)が存在してもよい。
【0027】
個々の計量ノズル(5)は、ベースプレート(3)上にシリコーンゴム液滴(6)の正確な目標とする堆積を可能にするために、x、y、z方向に正確に位置決めすることができ、ベースプレートは好ましくは加熱可能であり、x、yおよびz方向に独立して、または既に配置されていて、場合により既に架橋されているシリコーンゴム組成物上に、成形部品の次の形成過程で配置することができる。
【0028】
計量ノズル(5)は、好ましくは、繰り返し精度が高い横断装置を使用して位置決めされる。計量ノズル(5)を位置決めするために使用される横断装置は、いずれの場合も空間の3つの方向の全てにおいて、少なくとも±100μm、好ましくは少なくとも±25μmの精度を有する。使用される横断装置の最大速度は、成形部品(8)の製造時間の重大な決定要因であり、少なくとも0.01m/s、好ましくは少なくとも0.1m/s、より好ましくは少なくとも0.3m/s、非常に好ましくは少なくとも0.4m/sであるべきである。
【0029】
中粘度から高粘度の流体媒体の噴射を可能にする計量ノズル(5)が好ましい。従って、本発明の方法により、成形シリコーンエラストマー部品(8)は、粘度が10Pa.sより大きい、好ましくは少なくとも40Pa.s、より好ましくは少なくとも100、特に好ましくは少なくとも200Pa.s(いずれの場合も25℃および剪断速度0.5s−1)であるシリコーンゴム組成物を用いて、印刷ヘッド(5)を介してx、y、z方向に滴下され作り上げられる。適切なそのようなヘッドには、特に、(熱)バブルジェット(R)および圧電印刷ヘッド(5)が含まれ、圧電印刷ヘッド(5)が特に好ましい。後者は、数ピコリットル(pL)(2pLは約0.035μmの液滴直径に相当する)の液滴(6)の液滴体積を実現することができる低粘度材料ならびにシリコーンゴム組成物のような中粘度および高粘度材料(この場合、ノズル直径が50から500μmの間である圧電印刷ヘッド(5)が好ましく、ナノリットル範囲(1から100nL)の液滴体積を生成することができる)の両方を噴射することを可能にする。低粘度の組成物(<100mPa.s)では、これらの印刷ヘッド(5)は非常に高い計量周波数(約1から30kHz)で液滴(6)を堆積させることができ、一方、高粘度の組成物(>100Pa.s)では、レオロジー特性(ずり減粘挙動)に依存して、約500Hzまでの計量周波数を得ることができる。好適なノズルは、例えば、DE102011108799A1号に記載されている。
【0030】
計量ノズル(5)の汚れを防止または除去するために、自動計量ノズル洗浄ステーションを図1に示す本発明の装置に追加することができる。
【0031】
さらに、噴射装置(1)は、シリコーンゴム組成物のレオロジー特性を調整し、および/またはジェット噴射のための高温による粘度低下を利用するために、温度設定装置を有してもよい。
【0032】
別の実施形態では、追加の工程として、製造された成形部品(8)を>100℃、好ましくは150℃の温度で温度調整する。
【0033】
ガス介在物を回避すべき成形部品(8)を製造することが意図されている場合、好ましくは、シリコーンゴム組成物は、使用前に、例えば、リザーバ(4)での減圧の適用によって脱気される。
【0034】
図1に概略を示した装置全体を、例えば、酸素の結果としてのUV−C放射損失を排除するため、または成形部品(8)内の空気混入を防止するために、真空チャンバまたは不活性ガスチャンバ内に収容することもできる。
【0035】
堆積したシリコーンゴム組成物の液滴(6)のための液滴(6)の架橋(7)は、1つ以上の電磁放射線源(2)(例えば、IRレーザー、IRランプ、UV−VISレーザー、UVランプ、LED)によって起こり、この電磁放射線源は同様にx、y、z方向の横断が可能である。放射線源(2)は、偏向ミラー、集束装置、ビーム拡大システム、スキャナ、シャッター等を有することができる。堆積および架橋は互いに調和しなければならない。本発明の方法は、この点で考えられる全ての可能性を包含する。例えば、x、y作業面の面領域をシリコーンゴム液滴(6)で覆い、この領域を面状に放射して架橋する前に、レベリング(合体)が起こるのを待つことがまず必要である。それは、適用された領域が最初にエッジ領域においてのみ凝固され、続いて内側領域が適切なシェーディングによって初期架橋されるための、輪郭形成のために意味をなすこともある。また、個々の液滴(6)を、それらが配置された直後に、流れることを防止するために架橋または初期架橋する必要があり得る。完全な架橋を達成するために作業領域全体が成形部品の形成中に永久に照射されること、または不完全な架橋(生強度)(これは特定の状況では、個々の層の互いのより良好な接着と密接に関連し得る)の状態を意図的に引き起こすために、作業領域全体を短時間だけ放射線に曝露することが賢明であり得る。従って、一般に、堆積および架橋を決定するパラメータは、シリコーンゴム組成物および必要に応じて、使用される他の材料の架橋系、レオロジー特性、および接着特性に応じて互いに適合させることが必要である。
【0036】
本発明の方法において好ましく使用されるシリコーンゴム組成物は、Si結合水素原子と、好ましくはシリコーンポリマー上に位置する脂肪族不飽和基との間のヒドロシリル化反応(付加反応)によって架橋する。例えば、RTV−2(2液型室温加硫)またはLSR(液体シリコーンゴム)として当業者に周知のこの種のシリコーンゴム組成物は、例えば、US3884866号に記載されている。好ましい白金触媒付加反応は室温でも自然に進行するので、これらのシリコーンゴム組成物は典型的には、SiH官能性架橋剤を含有する1成分および白金触媒を含有する他の成分の2成分の形態で供給される。しかし、抑制添加剤を用いて、または室温ではほとんど不活性であるが熱的に活性化することができる特定の白金触媒を使用することにより、例えば、EP1077226A1号に記載されているような1成分シリコーンゴム組成物を配合することも可能である。
【0037】
本発明の方法において、付加架橋性シリコーンゴム組成物は、例えば、(N)IRレーザーまたは赤外線ランプを用いるIR放射線によって熱的に活性化することができる。
【0038】
特に、室温で光の不在下ではほとんど不活性であるが、UV/VIS放射線によって活性化でき、それにより室温での迅速な付加架橋を可能にする入手可能な白金触媒が存在する。
【0039】
本発明の方法において特に好ましいシリコーンゴム組成物は、UV誘導またはUV−VIS誘導付加反応によって架橋する。熱架橋と比較して、UVまたはUV−VIS誘導架橋は、多くの利点を有する。第1に、UVまたはUV−VIS放射線に対する強度、露光時間、および露光位置は正確に寸法決めされ、一方、滴下堆積されたシリコーンゴム組成物の加熱(およびその後の冷却)は、比較的低い熱伝導率の結果常に遅くなる。シリコーンの本質的に非常に高い熱膨張係数の観点から、不可避的に熱架橋に存在する温度勾配は、形成された成形部品の寸法的完全性に悪影響を与える機械的応力をもたらし、極端な場合には許容できない形状の歪みをもたらし得る。UV/VIS誘導付加架橋の更なる利点は、例えば、熱誘導性の反りが防止された熱可塑性樹脂を含むシリコーンエラストマーと同様に、硬質/軟質複合材等の多成分成形部品の製造において明らかである。
【0040】
UV/VIS誘導付加架橋性シリコーンゴム組成物は、例えば、DE102008000156A1号、DE102008043316A1号、DE102009002231A1号、DE102009027486A1号、DE102010043149A1号およびWO2009/027133A2号に記載されている。架橋は、感光性ヒドロシリル化触媒のUV/VIS誘導活性化によって生じ、白金の錯体が好ましい。技術文献には、光の不存在下ではほとんど不活性であり、250から500nmの波長を有する光の照射により室温活性白金触媒に変換することができる多数の感光性白金触媒が記載されている。その例は、(η−ジオレフィン)(σ−アリール)−白金錯体(EP0122008A1号;EP0561919B1号)、Pt(II)−β−ジケトナート錯体(EP0398701B1号)、および(η−シクロペンタジエニル)トリ(σ−アルキル)白金(IV)錯体(EP0146307B1号、EP0358452B1号、EP0561893B1号)である。例えば、EP1050538B1号およびEP1803728B1号に記載されたMeCpPtMeおよび白金上に位置する基の置換によってそこから誘導される錯体が特に好ましい。
【0041】
UVまたはUV−VISによる誘導下で架橋する組成物は、1成分系または多成分系として配合することができる。
【0042】
UV/VIS誘導付加架橋の速度は、多くの要因,特に白金触媒の性質および濃度、UV/VIS放射線の強度、波長、および露光時間、シリコーンゴム組成物の透明性、反射率、層の厚さおよび組成、ならびに温度に依存する。
【0043】
白金触媒は、室温で十分に速い架橋を可能にするために、好ましくは触媒的に十分な量で使用するべきである。典型的には、Pt金属の量に基づいて、全体としてシリコーンゴム組成物に対して、触媒0.1から500重量ppm、好ましくは0.5から200重量ppm、より好ましくは1から50重量ppmが使用される。
【0044】
UV/VIS誘導下で付加架橋するシリコーンゴム組成物は、波長240から500nm、好ましくは250から400nm、より好ましくは250から350nmの光を用いて硬化される。室温で20分未満、好ましくは10分未満、より好ましくは1分未満の架橋時間を意味する迅速な架橋を達成するためには、10mW/cmから20000mW/cmの間、好ましくは30mW/cmから15000mW/cmの間の出力および150mJ/cmから20000mJ/cmの間、好ましくは500mJ/cmから10000mJ/cmの間の放射線量を有するUV/VIS放射線源を使用することが推奨される。これらの出力値および線量値内では、多くて2000秒/cmから少なくとも8ミリ秒/cmの間の範囲特定的な照射時間を実現することができる。
【0045】
本発明のさらなる主題は、本発明の方法によって製造された成形シリコーンエラストマー部品(8)である。
【0046】
図1に従った本発明の製造装置では、市販されている個々の構成要素が使用され、次いで、修正され、相互に調和された。以下に説明する本発明の方法の実施例については、使用された生産的製造装置はドイツのGerman RepRap GmbHのNEO 3Dプリンタ(以下、NEOプリンタという)であり、試験のために変更され、適合された。NEOプリンタに元々取り付けられていた熱可塑性フィラメント計量装置を、ドイツのオッターフィングのVermes Microdispensing GmbHからの噴射ノズル(以下、VERMES噴射ノズル)で置き換えて、高粘度のものから垂れ落ちにくいペースト状の性質を有するものまでの範囲にわたるシリコーンゴム組成物の作業板への液滴堆積を可能にした。
【0047】
NEOプリンタは噴射ノズルの設置のための標準装備ではなかったため、修正が必要であった。
【0048】
VERMES噴射ノズルを、VERMES噴射ノズルの始動停止信号(トリガ信号)がNEOプリンタのGコード制御によって作動されるように、プリンタ制御装置に組み込んだ。この目的のために、特定の信号をGコード制御に記憶した。従って、コンピュータのGコード制御は、VERMES噴射ノズルのみをオンとオフ(計量の開始および停止)に切り替えた。
【0049】
始動停止信号の信号伝送のために、NEOプリンタの元々設置されていたフィラメント加熱ノズルの加熱ケーブルを分割してVERMES噴射ノズルに接続した。
【0050】
VERMES噴射ノズルの他の計量パラメータ(計量周波数、上昇、下降等)は、MDC 3200+マイクロ分配制御装置によって設定した。
【0051】
NEOプリンタはコンピュータによって制御された。NEOプリンタ(ソフトウェア:「Repitier−Host」)のソフトウェア制御と制御信号接続を変更して、空間内の3つの方向のVERMES噴射ノズルの動きだけでなく、液滴堆積信号も制御できるようにした。試験のために設定された修正されたNEOプリンタの移動速度は0.01m/秒である。
【0052】
計量システム: 使用されたシリコーンゴム組成物に利用された計量システムは、以下の構成要素、即ち、a)ルアーロックカートリッジ用の接続を有し、上部カートリッジ側で3から8バールの圧縮空気(アダプタ付ホース)にさらされるMDV 3200A−ノズルユニット、b)Vermes補助ノズル加熱システムMDH−230tfl left、c)PC制御装置および、次いで移動可能なケーブルを介してノズルに接続され、噴射計量パラメータ(上昇、下降、開放時間、ニードルリフト、遅延、パルスなし、ヒーター、ノズル、距離、ボクセル直径、カートリッジにおける給気圧力等)の設定を可能にしたMDC 3200+マイクロ分配制御装置を有する完全なシステムからなる、以後VERMES計量システムと呼ばれるドイツのオッターフィングのVermes Microdispensing GmbH製のMDV 3200Aマイクロ分配計量システムであった。直径50、100、150、および200μmのVERMES噴射ノズルが利用可能である。従って、ベースプレートの任意の所望のx、y、z位置でナノリットルの範囲の超微細シリコーンゴム液滴の精密な点の配置を達成することが可能であった。他に指示がない限り、Vermesバルブに取り付けられた標準ノズルインサートは200μmのノズル(ノズルインサートN11−200)であった。
【0053】
シリコーンゴム組成物に使用された貯蔵容器は、液漏れを防止するために分配ノズルにねじ込まれ、圧縮空気にさらされた縦型30mlルアーロックカートリッジである。
【0054】
修正されたNEOプリンタおよびVERMES計量システムは、PCおよび「Repitier−Host」オープンソースソフトウェアを用いて制御された。
【0055】
放射線源:
Hoenle Bluepoint
シリコーンゴム組成物のUV誘導付加架橋のために、ドイツ、ミュンヘンのグレーフェルフィング、Dr.Honle AGからの、以後BLUEPOINT照射システムと呼ばれる「Bluepoint 4」UVエミッターを使用した。BLUEPOINT照射システムは、操作装置と、発生したUV−Aビームが新たに堆積された構成要素の液滴層に集束するように調整された関連するフレキシブル光導波路とからなる。ビーム出口を、ビーム出口と構成要素/試料との間の距離が10mmとなるように、照射されるべき試料を介して調整した。
【0056】
最大強度の80%に設定すると、150Wの高圧水銀灯に基づくBLUEPOINT照射システムは、約13200mW/cmのUV−A強度を可能にし、0.1から999.9秒のタイマー設定範囲を有する。
【0057】
BLUEPOINT照射システムは、Omnicure R−200放射計で較正した。BLUEPOINT照射システム上の最大照射出力の80%の設定で、13200mW/cmの照射出力が確認された。
【0058】
OsramUVランプを有するUVチャンバ
構成要素のオフラインUV照射のために、反射内部仕上げおよび以下の外形寸法を有するUV照射チャンバを使用した:
長さ 50cm
高さ 19cm
幅 33cm
蛍光UVランプと基板との間の距離は16cmであった。
放射線源:36ワットの電気出力を有するUVランプ、
Osram Puritec HNS L 36 W 2G11、
ドイツ、アウグスブルグ、Osuram GmbH。
【0059】
IR放射線源
IR誘導(熱)架橋のために、ドイツ、ガルプゼン/ハノーバーのOPTRON GmbH製のIRスポット短波赤外線モジュールを使用した(消費電力150W)。IRスポットは、放射エネルギーによる高い浸透深さの利点を有する短波IRスペクトル中で動作する。50mmの焦点距離では、焦点に10mmの焦点スポット直径が生成される。IRスポットは、印刷操作においてオンライン出力調整を可能にする出力調整器を有する。
【実施例】
【0060】
以下の実施例は、本発明を限定することなく説明するためのものである。全ての実施例について、上述の本発明の変換された製造装置を使用した。
【0061】
シリコーンゴム組成物の調整: 使用した全てのシリコーンゴム組成物を、10ミリバールの減圧下、室温で3時間デシケーター中で開放PEジャーに100gの組成物を貯蔵することにより、処理前に液化した。次に、組成物を空気なしの操作でバヨネット栓付きの30mlカートリッジに分配し、適切な大きさのエジェクターピストン(プラスチック製)で密封した。次いで、ルアーロックねじを下向きにして液体の漏れを防止するように、ルアーロックカートリッジをVermes計量バルブの垂直カートリッジホルダにねじ込み、3から8バールの圧縮空気をカートリッジの上側に加圧ピストンによって適用する。カートリッジ内に配置されたエジェクターピストンは、圧縮空気が事前に排気されたシリコーンゴム組成物に入るのを防止する。
【0062】
全てのUV感受性シリコーン組成物を黄色光(700nm未満の光を除く)下で製造し、同様の方法で液化し、光不透過性のSemcoカートリッジに分配した。
【0063】
実施例で使用したシリコーンゴム組成物の粘度は表2から明らかである。
【0064】
使用した原料およびシリコーンゴム組成物:
R1:分子量Mw=5300g/molおよびMn=2400g/molおよびシリコーン樹脂100g当たり70mmolのビニルのビニル含量を有するM:Mvinyl:Q比が0.72:0.09:1のM、MvinylおよびQ単位からなるビニル官能性MQシリコーン樹脂粉末。
【0065】
R2:ドイツ、カールスルーエ、ABCR GmbHから商品名「ポリ(ジメチルシロキサン)、ビニルジメチルシロキシ末端、粘度200cSt」、注文番号AB109357、CAS番号[68083−19−2]で入手可能な200mPa.sの粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン。
【0066】
R3:ドイツ、カールスルーエ、ABCR GmbHから商品名「ポリ(ジメチルシロキサン)、ビニルジメチルシロキシ末端、粘度1000cSt」、注文番号AB109358、CAS番号[68083−19−2]で入手可能な1000mPa.sの粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン。
【0067】
R4:ドイツ、カールスルーエ、ABCR GmbHから商品名「ポリ(ジメチルシロキサン)、ビニルジメチルシロキシ末端、粘度20000cSt」、注文番号AB128873、CAS番号[68083−19−2](ABCRカタログ)で入手可能な20000mPa.sの粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン。
【0068】
R5:Gelest、Inc.(65933ドイツ、フランクフルト・アム・マイン)からHMS−301の商品名で入手可能な分子量Mn=1900から2000g/molおよびメチル水素シロキシ含有量25から30mol%を有するメチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー。
【0069】
R6:Gelest、Inc.(65933ドイツ、フランクフルト・アム・マイン)からHMS−501の商品名で入手可能な分子量Mn=900から1200g/molおよびメチル水素シロキシ含有量50〜55mol%を有するメチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー。
【0070】
R7:UV活性化可能な白金触媒:ドイツ、タウフキルヒェン、Sigma−Aldrich(R)から入手可能なトリメチル(メチル−シクロペンタジエニル)白金(IV)。
【0071】
R8:SEMICOSIL(R) 988 1K、DIN EN ISO 3219による(ドイツ、ミュンヘン、ワッカー・ケミー・アクチエンゲゼルシャフトから入手可能)、約450000mPa.s(0.5s−1および25℃)の動的粘度を有する、熱硬化性の、半透明の、垂れおちにくい付加架橋性シリコーンゴム組成物。
【0072】
R9:BET表面積が300m/gである疎水化ヒュームドシリカは、特許明細書DE3839900A1と同様に、親水性ヒュームドシリカであるWacker HDK(R) T−30(ドイツ、ミュンヘン、ワッカー・ケミー・アクチエンゲゼルシャフトから入手可能)の疎水化により調製した。
【0073】
R10:SEMICOSIL(R) 914 UV−THIXO A+Bは、UV光による誘導を用いる付加により架橋し、DIN EN ISO 3219に従った約42000mPa.sの混合粘度(0.5s−1および25℃)およびショアA加硫硬化度70を有する透明なチキソトロピー性2成分シリコーンゴム組成物(ドイツ、ミュンヘン、ワッカー・ケミー・アクチエンゲゼルシャフトから入手可能)。
【0074】
R11:(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、98%、ドイツ、カールスルーエ、ABCR GmbHからから入手可能、CAS番号[2530−83−8]。
【0075】
[実施例1]:
R8を25×75mmの面積のガラススライド(3)上に表1に示す噴射ノズルパラメータを用いて堆積させ、堆積は10×30mmの層を形成するように滴下して行った。シリコーンゴム組成物の高いゼロ−剪断粘度および降伏点により、堆積した層の十分な寸法安定性が可能になる。引き続いて層を50mmの距離で層の長さの中央にIR−スポットを40%の出力設定で1分間誘導することにより、層をIR放射線で架橋させた。交互の噴射および架橋を意味するこの手順を、直方体(8)が3mmの高さに達するまで繰り返した。結果は、図2によるものに従う10×30×3mmの寸法を有する透明な弾性成形体(8)であった。
【0076】
[実施例2]:
シリコーン組成物は、
・ 51重量%のR4
・ 25重量%のR9
・ 9重量%のR3
・ 11重量%のR2
・ 2.0重量%のR11
から調製した。
【0077】
続いて、光の不存在下で
・ R7、混合物全体の白金含有量に基づいて30ppm
・ 2.4重量%のR6
を添加し、得られた混合物全体を均質化し、上記のように液化し、光不透過性の30mlのカートリッジに分配した。
【0078】
このシリコーン組成物を、25×75mmの面積を有するガラススライド上に、表1に示す噴射ノズルパラメータを用いて滴下(ボクセル直径:0.5mm)して15×15mmの層を得るように繰り返し堆積させ、堆積した組成物を13200mW/cmの出力を有するBLUEPOINT照射システムを用いた印刷操作(50秒)全体にわたって連続的に照射した。これにより、15×15×3mmの寸法を有する透明な直方体(8)が得られた。
【0079】
[実施例3]:
シリコーン組成物は、
・ 51重量%のR4
・ 25重量%のR9
・ 20重量%のR3
・ 11重量%のR2
・ 2重量%のR11
から調製した。
【0080】
続いて、光の不存在下で
・ R7、混合物全体の白金含有量に基づいて30ppm
・ 2.9重量%のR5
を添加し、得られた混合物全体を均質化し、上記のように液化し、光不透過性の30mlのカートリッジに分配した。
【0081】
このシリコーン組成物を、25×75mmの面積を有するガラススライド(3)上に、表1に示す噴射ノズルパラメータを用いて滴下(ボクセル直径:0.5mm)して11×11mmの層を得るように繰り返し堆積させ、堆積した組成物を13200mW/cmの出力を有するBLUEPOINT照射システムを用いた印刷操作(10分)全体にわたって連続的に照射した。これにより、11×11×8mmの寸法を有する透明な直方体(8)が得られた。
【0082】
[実施例4]:
シリコーン組成物は、
・ 54重量%のR4
・ 25重量%のR9
・ 20重量%のR3
・ 11重量%のR2
から調製した。
【0083】
続いて、光の不存在下で
・ R7、混合物全体の白金含有量に基づいて30ppm
・ 1.8重量%のR6
を添加し、得られた混合物全体を均質化し、上記のように液化し、光不透過性の30mlのカートリッジに分配した。
【0084】
このシリコーン組成物を、25×75mmの面積を有するガラススライド(3)上に、表1に示す噴射ノズルパラメータを用いて滴下(ボクセル直径:0.9mm)して11×11mmの層を得るように繰り返し堆積させ、堆積した組成物を13200mW/cmの出力を有するBLUEPOINT照射システムを用いた印刷操作(10分)全体にわたって連続的に照射した。これにより、11×11×8mmの寸法を有する透明な直方体(8)が得られた。
【0085】
[実施例5]:
R10を、25×75mmの面積を有するガラススライド(3)上に、表1に示す噴射ノズルパラメータを用いて滴下(ボクセル直径:0.7mm)して15×15mmの層を得るように繰り返し堆積させ、堆積した組成物を13200mW/cmの出力を有するBLUEPOINT照射システムを用いた印刷操作(50秒)全体にわたって連続的に照射した。これにより、15×15×3mmの寸法を有する直方体(8)が得られた。
【0086】
[実施例6]:
シリコーン組成物は、
・ 27重量%のR1
・ 40重量%のR4
・ 14重量%のR3
・ 1重量%のR1
から調製した。
【0087】
R1が溶解し、組成物が完全に均質かつ透明になるまでプレミックスを混合した。
【0088】
続いて、光の不存在下で
・ 18重量%のR5
・ R7、混合物全体の白金含有量に基づいて30ppm
を添加し、得られた混合物全体を上記のように液化し、光不透過性のカートリッジに分配した。
【0089】
このシリコーン組成物を、25×75mmの面積を有するガラススライド(3)上に、表1に示す噴射ノズルパラメータを用いて滴下(ボクセル直径:1.5mm)して15×15mmの層を得るように繰り返し堆積させ、堆積した組成物を13200mW/cmの出力を有するBLUEPOINT照射システムを用いた印刷操作(50秒)全体にわたって連続的に照射した。これにより、15×15×3mmの寸法を有する完全に透明な直方体(8)が得られた。
【0090】
[実施例7]:
シリコーン組成物は、
・ 45重量%のR1
・ 38重量%のR4
・ 9重量%のR3
から調製した。
【0091】
R1が溶解し、組成物が完全に均質かつ透明になるまでプレミックスを混合した。
【0092】
続いて、光の不存在下で
・ 8重量%のR6
・ R7、混合物全体の白金含有量に基づいて30ppm
を添加し、得られた混合物全体を上記のように液化し、光不透過性のカートリッジに分配した。
【0093】
このシリコーン組成物を、25×75mmの面積を有するガラススライド(3)上に、表1に示す噴射ノズルパラメータを用いて滴下(ボクセル直径:1.1mm)して15×15mmの層を得るように繰り返し堆積させ、堆積した組成物を13200mW/cmの出力を有するBLUEPOINT照射システムを用いた印刷操作(50秒)全体にわたって連続的に照射した。これにより、15×15×3mmの寸法を有する完全に透明な直方体(8)が得られた。
【0094】
[実施例8]:
シリコーン組成物は、
・ 44重量%のR1
・ 38重量%のR4
・ 9重量%のR3
・ 1重量%のR11
から調製した。
【0095】
R1が溶解し、組成物が完全に均質かつ透明になるまでプレミックスを混合した。
【0096】
続いて、光の不存在下で
・ 8重量%のR6
・ R7、混合物全体の白金含有量に基づいて30ppm
を添加し、得られた混合物全体を上記のように液化し、光不透過性のカートリッジに分配した。
【0097】
このシリコーン組成物を、25×75mmの面積を有するガラススライド(3)上に、表1に示す噴射ノズルパラメータを用いて滴下(ボクセル直径:1.0mm)して15×15mmの層を得るように繰り返し堆積させ、堆積した組成物を13200mW/cmの出力を有するBLUEPOINT照射システムを用いた印刷操作(50秒)全体にわたって連続的に照射した。これにより、15×15×3mmの寸法を有する完全に透明な直方体(8)が得られた。
【0098】
[実施例9]:
シリコーン組成物は、
・ 39重量%のR1
・ 44重量%のR3
・ 2重量%のR11
から調製した。
【0099】
R1が溶解し、組成物が完全に均質かつ透明になるまでプレミックスを混合した。
【0100】
続いて、光の不存在下で
・ 15重量%のR5
・ R7、混合物全体の白金含有量に基づいて30ppm
を添加し、得られた混合物全体を上記のように液化し、空気の不存在下で光不透過性のカートリッジに分配した。
【0101】
このシリコーン組成物を、25×75mmの面積を有するガラススライド(3)上に、表1に示す噴射ノズルパラメータを用いて滴下(ボクセル直径:1.7mm)して15×15mmの層を得るように繰り返し堆積させ、堆積した組成物を13200mW/cmの出力を有するBLUEPOINT照射システムを用いた印刷操作(50秒)全体にわたって連続的に照射した。これにより、15×15×3mmの寸法を有する完全に透明な直方体(8)が得られた。
【0102】
[例10:非液化シリコーン組成物R8を用いた実施例8]
組成物R8を使用し、カートリッジに分配する前に減圧下で液化しなかった。R8を25×75mmの面積を有するガラススライド(3)上に、表1に示す噴射ノズルパラメータを用いて滴下し堆積させて20×20mmの非架橋層を形成した。直方体が12mmの高さに達するまで、この層の堆積を繰り返した。シリコーンゴム組成物の高いゼロ−剪断粘度および降伏点により、堆積した架橋されていない成形体の部品に十分な寸法安定性が得られた。
【0103】
引き続いて、その上に非架橋成形体を有するスライド(3)を150℃および大気圧で30分間熱架橋した。
【0104】
結果は、独立気泡エラストマー発泡体と同様に、小さな気泡が完全に散在した、20×20×12mm(L×W×H)の寸法を有する不透明な白色弾性成形体(8)であった。4つの側面および上面は凸であった(図3参照)。
【0105】
[実施例11:実施例2Sem. 810UVの非液化組成物を用いた実施例9]
実施例2を繰り返したが、組成物をカートリッジに分配する前に減圧下で液化しなかったという唯一の違いがあった。
【0106】
結果は、小さな気泡が完全に散在した10×30×3mmの寸法を有する不透明な白色弾性成形体(8)であった。4つの側面および上面はわずかに凸であり、成形体(8)には小さな泡が散在していた。
【0107】
[実施例12:実施例2からのシリコーン組成物を用いた三次元「ワッカー(Wacker)」社証印の製造]
三次元の「ワッカー」社証印を持つCADファイルを使用して、(「Slic3r」ソフトウェアによって)Gコードが生成されたSTLファイル(PTCの「ProEngineer」ソフトウェアを使用)を作成した。「RepitierHost」ソフトウェアを使用して、実施例2のシリコーン組成物を層毎に変換されたNEOプリンタ上に滴下して堆積させ、三次元「ワッカー」社証印を得た。
【0108】
使用したプリント基板(8)は、2mm×150mm×150mmの厚さ2mmのPTFEプレートであった。
【0109】
印刷操作全体を通して、堆積した組成物を、13200mW/cmの出力を有するBLUEPOINT照射システムを用いて連続的に照射した。
【0110】
このようにして、85mm×25mm×5mm(長さ×幅×全高)の全体寸法を有する三次元架橋シリコーンエラストマー体(8)が得られた。得られた成形体は図4に見ることができる。
【0111】
[実施例13:(減圧下での3D印刷)]
非架橋の成形体ブランク上での3D印刷操作全体を130ミリバールの減圧下で行ったことを除いて、液化されていないシリコーン組成物R8を用いた実施例8を同様に繰り返した。
【0112】
上述した本発明の変換された製造装置をさらに真空チャンバ内に配置した。全ての電源およびメディアライン(圧縮空気ラインおよびケーブル)を、真空の完全性を維持しながらプリンタから外部に導いた。外部にはVERMES制御装置、PC、圧縮空気供給および電源があった。このようにして、本発明の製造装置を外部から起動して動作させることができ、印刷操作も外部から完全に制御することができた。真空チャンバ内で、本発明の製造装置は減圧設定で作動した。
【0113】
使用した真空チャンバは、直径2メートル、長さ3メートルのドイツのEberlのドラム型真空木材乾燥機であり、真空ポンプに接続した。真空チャンバ内部は23℃の室温であった。真空チャンバが、130ミリバールの圧力まで排気され、本発明の製造装置をその内部に配置すると、3D印刷動作を開始した。
【0114】
表1に示す噴射ノズルパラメータを用いて、25×75mmの面積を有するガラススライド(8)上に、液化されていないシリコーン組成物R7を滴下して、11×11mm×8mm(L×W×H)の層を形成するように堆積させた。シリコーンゴム組成物の高いゼロ−剪断粘度および降伏点により、堆積された層の部品について十分な寸法安定性が可能になる。
【0115】
その後、真空を中断し、寸法的に安定な非架橋ブロックを除去し、このブロックを150℃の乾燥オーブン中で30分間熱架橋した。結果は、11×11×8mmの寸法を有する、気泡のない完全に透明な弾性のある直方体(8)であった。
【0116】
[実施例14:(減圧下での3D印刷)]
例10を、実施例2と同様の構成の液化されていないシリコーン組成物を用いて、同様に繰り返した。
【0117】
表1の実施例2に示す噴射ノズルパラメータを用いて、25×75mmの面積を有するガラススライド(3)上に、液化されていないシリコーン組成物を滴下して、15×15mm×3mm(L×W×H)の層を形成するように堆積させた。シリコーンゴム組成物の高いゼロ−剪断粘度および降伏点により、堆積された層の部品について十分な寸法安定性が可能になる。
【0118】
その後、寸法的に安定な非架橋ブロックをBLUEPOINT照射システムからのUV光下で10秒間照射した。結果は、15×15×3mmの寸法を有する、気泡のない透明な弾性のある直方体(8)であった。
【0119】
【表1】
【0120】
【表2】
図1
図2
図3
図4