(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、把持判定システムの構成例を示すブロック図である。把持判定システムは車両に設けられ、ステアリングホイール2への接触を電気信号に変換して検出する容量センサ21を含み、ユーザによるステアリングホイール2の把持を検知する。また、本実施の形態において把持判定システムは、ステアリングホイール2への接触を検出する容量センサ21の状態を診断し、容量センサ21の検出値を較正する処理を行う。
把持判定システムは、例えば把持判定ECU(Electronic Control Unit)1、ステアリングホイール2、ドアECU3、エンジンECU4、通知機器5、運転支援ECU6、開閉センサ7等の車載機器を含む。各車載機器は、車内に設けられた車内ネットワークにより通信接続されている。
【0018】
ステアリングホイール2は、例えば内部に設けられた電極に結合される静電容量を検出する容量センサ21を含む。容量センサ21は例えばセンサ回路、C/V変換回路等を含み、当該電極に結合される静電容量を検出する。
【0019】
把持判定ECU1は、容量センサ21によって検出された静電容量の検出値を取得し、該検出値に基づき、ステアリングホイール2が把持状態であるか否かを判定する。また、把持判定ECU1は当該検出値に基づき、容量センサ21の状態が異常であるか否かを判定する。
把持判定ECU1は例えば、制御部11、記憶部12、通信部13、容量測定回路14を含む。
【0020】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro-Processing Unit)等の演算処理装置を含む。制御部11は、把持判定ECU1に係る種々の情報処理又は制御処理等を行う。また、制御部11は、容量センサ21で検出された静電容量に基づき、後述する判定処理を実行する。
【0021】
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ素子を含み、制御部11が処理を実行するために必要なプログラムP又はデータ等を記憶している。また、記憶部12は、制御部11が処理を実行するために必要なデータ等を一時的に記憶する。また、記憶部12は、後述する判定処理に必要な静電容量の基準値を記憶する。また、記憶部12は、予め定められた静電容量の規定値を記憶している。
【0022】
通信部13は、車内ネットワークを介して情報の送受信を行うための通信インターフェイスである。通信部13は車内に設けられた通信線に接続されており、ドアECU3、エンジンECU4、通知機器5等と情報の送受信を行う。
【0023】
容量測定回路14は、静電容量の検出値を測定するための電気回路である。容量測定回路14は、容量センサ21から取得した電気信号を処理し、静電容量の検出値を算出する。算出された静電容量の検出値は、制御部11に与えられる。
なお、本実施の形態では容量センサ21で検出された電気信号を把持判定ECU1で処理し、静電容量の検出値を算出することとしたが、本実施の形態はこれに限るものではない。例えば容量測定回路14をステアリングホイール2の内部に設け、静電容量の検出値を把持判定ECU1に送信する構成でもよい。
【0024】
ドアECU3は、ドアの開閉等を制御するECUである。ドアECU3は、例えばドアの開閉を検知する開閉センサ7に接続されており、開閉センサ7による検知結果を把持判定ECU1等に通知する。
ドアECU3は、例えば制御部31、通信部32等を備える。制御部31は例えばCPU、MPU等を含み、ドアECU3に係る制御処理、情報処理等を行う。通信部32は車内ネットワークを介して情報の送受信を行うための通信インターフェイスであり、把持判定ECU1等と情報の送受信を行う。
【0025】
エンジンECU4は、車両の運転席に設けられたイグニッションスイッチ(図示せず)のオン又はオフを検知し、検知結果に基づいて車両のエンジンを始動又は停止する。また、エンジンECU4はイグニッションスイッチのオン又はオフの状態を把持判定ECU1等に通知する。
【0026】
通知機器5は、把持判定ECU1から送信される通知信号に基づき、容量センサ21の異常をユーザに通知するための機器である。例えば通知機器5はスピーカであり、所定の警告音声を出力することによりユーザへの通知を行う。なお、通知機器5はユーザへの通知を行うことができればよく、例えば表示装置、インジケータ等であってもよい。
【0027】
運転支援ECU6は、把持判定ECU1からステアリングホイール2の把持状態又は非把持状態を示す信号を受信し、所定の運転支援に係る処理を実行する。例えば運転支援ECU6は自動運転に係る処理を実行するECUであり、ステアリングホイール2が非把持状態である場合は自動運転とし、把持状態である場合は手動運転とする。なお、本実施の形態に係る運転支援の処理内容は自動運転に限るものではなく、例えばレーンキープアシスト、駐車アシスト等であってもよい。
【0028】
図2は、電極2aを有するステアリングホイール2の一例を示す説明図である。
図1及び
図2に基づいて、把持判定システムの概要について説明する。なお、以下では説明の便宜のため、把持判定ECU1の処理主体は制御部11であるものとし、ドアECU3の処理主体は制御部31であるものとする。
図2に示すように、例えばステアリングホイール2は内部に複数の電極2aを有する。電極2aは導電性部材であり、例えばステアリングホイール2の円周に沿って、該円周を3分割する形で3つ設けられている。なお、電極2aの数は3つに限定されず、2つ以下でも、4つ以上でもよい。また、電極2aの形状、材料、配置等の構成は特に限定されず、種々の設計変更が考えられる。
【0029】
電極2aは、例えば容量センサ21に係るC/V変換回路(図示せず)に接続されている。C/V変換回路は、例えば電極2aに所定振幅の交流電圧を印加し、電極2aに結合される静電容量の大きさに応じた交流電圧を出力する。容量センサ21に係るセンサ回路(図示せず)は、出力された電圧を検出することにより、電極2aに結合された静電容量を検出する。
【0030】
ステアリングホイール2が非把持状態である場合、電極2aは車室内の空気を経由して車体等のGND(ground)と電気的に容量結合されている。ステアリングホイール2が把持状態である場合、つまりユーザの手がステアリングホイール2と接触している場合、ユーザの手と接近することにより、電極2aはユーザの人体と容量結合される。電極2aがGNDと容量結合されている場合、接地面との間の容量結合であるため、静電容量は非常に小さくなる。これに対し人体は一定の導電性を有するため、ユーザの人体と電極2aとの結合による静電容量は、GNDと電極2aとの結合による静電容量よりも大きくなる。本実施の形態に係る把持判定システムは、当該静電容量の差分に基づき、ステアリングホイール2の把持状態又は非把持状態を判定する。
【0031】
図1に戻って、把持判定ECU1の制御部11は、容量センサ21によって検出された静電容量を示す電気信号を容量測定回路14において処理し、静電容量の検出値を取得する。制御部11は、当該検出値と基準値との差分に基づき、ステアリングホイール2が把持状態であるか否かを判定する。具体的に制御部11は、検出値と基準値との差分が所定の閾値以上であるか否かにより判定を行う。所定の閾値は、把持状態及び非把持状態である場合の各静電容量の差分に相当し、例えば100pFに設定されている。なお、閾値は上記の値に限定するものではない。基準値は、後述する設定処理によって変更される値である。
【0032】
把持判定ECU1は、ステアリングホイール2の把持状態又は非把持状態を判定し、判定結果を示す信号を運転支援ECU6等に送信する。例えば運転支援ECU6は、受信した判定結果に基づき運転支援に係る処理を実行する。
【0033】
図3は、乗車のために運転席のドアが開かれた様子を示す説明図である。なお、
図3ではエンジンECU4、通知機器5等の図示を省略している。以下では、静電容量の基準値を設定する設定処理及び容量センサ21の異常をユーザに通知する通知処理について説明する。
上述のごとく、把持判定システムはステアリングホイール2に設けられた容量センサ21が検出する静電容量により把持状態又は非把持状態を判定するが、容量センサ21の経年劣化、環境変化、電極2aのショート等により検出値が変化する場合がある。静電容量の検出値が変化した場合、例えば非把持状態であっても検出値が大きくなり、検出値と基準値との差分が大きくなる。これにより、制御部11は非把持状態を把持状態と誤って判定する虞がある。
本実施の形態に係る把持判定システムは、上記の事態に対応すべく、基準値の設定処理及び容量センサ21の異常の通知処理を行う。
【0034】
ユーザが車両の運転席に乗車していない状態で、例えば車両のエンジンが停止している場合を考える。この場合に把持判定ECU1の制御部11は、省電力のために自機(把持判定ECU1)を休止状態とする。休止状態は、車両に搭載された把持判定ECU1、エンジンECU4、運転支援ECU6等の車載機器が動作している動作状態よりも当該車載機器の消費電力が低い状態である。例えば制御部11は、エンジンECU4からイグニッションスイッチをオフにした旨の信号を受信した場合、信号を受信してから所定時間後に自機を休止状態とする。なお、ユーザの降車時までは動作状態を維持するために、制御部11は当該信号を受信してから所定時間後に自機を休止状態とする。制御部11は休止状態において自機の消費電力を低く抑制しているが、ドアECU3等から送信される信号を受信可能なように、例えば通信部13において信号の受信の有無を検知している。
【0035】
なお、本実施の形態において制御部11は、イグニッションスイッチのオン又はオフによって動作状態又は休止状態の切り換えを行うこととしたが、本実施の形態はこれに限られない。例えば制御部11は、車内ネットワークにおける通信状態に基づいて動作状態又は休止状態の切り換えを行うこととしてもよい。この場合、例えば制御部11は、通信部13において通信が途絶してから所定時間後に自機を休止状態とする。
【0036】
把持判定ECU1が休止状態である場合に、ユーザが車両の運転席のドアを開けたものとする。ドアECU3の制御部31は、ドアの開き動作を検知した場合、当該検知結果を示す信号を把持判定ECU1に送信する。把持判定ECU1の制御部11は、当該信号を受信したか否かに基づき、ドアが開かれたか否かを判定する。なお、ドアECU3の制御部31はドアの開閉に関する信号を連続的又は定期的に把持判定ECU1に送信し、把持判定ECU1の制御部11は、受信した信号に基づいてドアが開かれたか否かを判定することとしてもよい。
【0037】
運転席のドアが開かれたと判定した場合、制御部11は自機を起動させ、休止状態から動作状態に遷移させる。自機を起動させた制御部11は、容量センサ21によって検出された電極2aに結合される静電容量の検出値を取得する処理を開始する。
【0038】
例えばエンジンが停止していることにより把持判定ECU1が休止状態であり、かつ、運転席のドアが開かれた場合、
図3に示すように、ユーザが運転席に乗車するために運転席のドアを開けたものと考えられる。従って、運転席にユーザは乗車しておらず、ステアリングホイール2は非把持状態であるものと推定される。そこで制御部11は、非把持状態であると推定される検出値の取得開始時における静電容量の初期値に基づき、基準値の設定処理及び容量センサ21の異常の通知処理を行う。
【0039】
制御部11は、静電容量の初期値と基準値との差分が所定の閾値以上であるか否かを判定する。所定の閾値は、例えば上記と同じく把持状態及び非把持状態である場合の各静電容量の差分に相当し、100pFに設定されている。基準値は記憶部12に記憶されている値であり、前回の設定処理によって制御部11が設定した値である。
【0040】
静電容量の初期値と基準値との差分が閾値以上でないと判定した場合、制御部11は基準値の設定処理を行う。具体的には、制御部11は検出値の取得開始時に取得した初期値を、新たな基準値に設定する。上述のごとく、容量センサ21は経年劣化等により静電容量の検出値が変化する虞がある。そこで本実施の形態では、容量センサ21の状態変化に基づき基準値を設定すべく、検出値の取得開始時に取得した静電容量の初期値を基準値に設定する。
【0041】
制御部11は、以降の自動運転に係る把持判定処理において、当該基準値に基づき把持判定処理を行う。当該処理についてはすでに詳述したため、ここでは説明を省略する。
制御部11は、例えば新たに設定した基準値を記憶部12に記憶する。次回に静電容量の検出処理を開始する場合、制御部11は記憶部12に記憶した基準値を読み出し、基準値の設定処理又は容量センサ21の異常の通知処理を行う。
【0042】
静電容量の初期値と基準値との差分が閾値以上であると判定した場合、非把持状態であると推定される状態であるにも関わらず静電容量の検出値が大きいことから、制御部11は容量センサ21の異常をユーザに通知する通知処理を行う。例えば制御部11は所定の通知信号を生成し、通知機器5に送信する。通知信号を受信した場合、通知機器5は例えば所定の警告音声を出力することにより、容量センサ21の異常をユーザに通知する。
【0043】
把持判定ECU1が動作状態である場合に、ユーザが運転席のドアを開けたものとする。この場合、例えば車両から降車するためにユーザがドアを開けた場合も考えられることから、運転席にユーザが乗車していないと推定できないため、制御部11は上記の設定処理又は通知処理を行わない。代わりに制御部11は、予め定められた規定値を基準値に設定する処理を行う。規定値は予め記憶部12に記憶されている静電容量の値であり、例えば0pFである。制御部11は当該基準値(規定値)に基づいて、以降の運転支援に係る把持判定処理を行う。
なお、本実施の形態において制御部11は、自機の動作状態においてドアの開き動作を判別した場合、静電容量の基準値を規定値に設定することとしたが、本実施の形態はこれに限られない。この場合において制御部11は基準値を変更せず、前回の設定処理において設定された基準値に基づき把持判定処理を行うこととしてもよい。
【0044】
図4は、把持判定システムの処理手順の一例を示すフローチャートである。
図4に基づいて、把持判定システムの処理動作について説明する。
把持判定ECU1の制御部11は、車両の運転席に係るドアが開かれたか否かを判定する(ステップS11)。例えば制御部11は、ドアが開かれた旨の検知結果を示す所定信号をドアECU3から受信したか否かに基づき判定を行う。ドアが開かれていないと判定した場合(S11:NO)、制御部11は処理を待機する。ドアが開かれたと判定した場合(S11:YES)、制御部11は、自機が休止状態であるか否かを判定する(ステップS12)。
【0045】
休止状態であると判定した場合(S12:YES)、制御部11は自機を起動させ、動作状態とする(ステップS13)。制御部11は、容量センサ21によって検出された静電容量の検出値を取得する処理を開始する(ステップS14)。具体的には、容量センサ21はステアリングホイール2に設けられた電極2aに結合される静電容量を検出し、検出した静電容量の大きさを示す電気信号を把持判定ECU1に送信する。把持判定ECU1の制御部11は、受信した電気信号を測定回路15において処理し、静電容量の検出値を取得する処理を開始する。制御部11は、検出値の取得開始時における静電容量の初期値と、基準値との差分が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS15)。基準値は、前回以前の処理において設定された静電容量の基準値であり、例えば記憶部12に記憶されている。
【0046】
初期値と基準値との差分が閾値以上であると判定した場合(S15:YES)、制御部11は、容量センサ21の異常を通知する通知信号を通知機器5に送信する(ステップS16)。これにより、通知機器5はユーザへの通知を行う。制御部11は、一連の処理を終了する。
【0047】
初期値と基準値との差分が閾値以上でないと判定した場合(S15:NO)、制御部11は、当該初期値を基準値に設定する(ステップS17)。制御部11は、運転支援に係るステアリングホイール2の把持判定を行う場合、ステップS17で設定した基準値(初期値)に基づき把持判定を行う。制御部11は、一連の処理を終了する。
【0048】
休止状態でないと判定した場合(S12:NO)、制御部11は、予め定められた規定値を基準値に設定する(ステップS18)。例えば規定値は記憶部12に予め記憶されている値であり、0pFである。制御部11は、運転支援に係るステアリングホイール2の把持判定を行う場合、ステップS18で設定した基準値(規定値)に基づき把持判定を行う。なお、ステップS18の処理は省略可能であり、自機が休止状態でないと判定した場合、制御部11は基準値を変更せずともよい。制御部11は、一連の処理を終了する。
【0049】
なお、
図4で示したフローチャートでは説明の便宜のため、ドアが開かれたか否かの判定処理(ステップS11)を行った後で自機が休止状態であるか否かの判定処理(ステップS12)を行うものとして説明したが、本実施の形態はこれに限るものではない。つまり制御部11は、ステップS11及びステップS12の処理手順を逆にして、自機が休止状態であると判定した場合にドアが開かれたか否かを判定することとしてもよい。
【0050】
なお、本実施の形態において把持判定ECU1の制御部11は、ドアの開き動作を判別することにより運転席にユーザが乗車しているか否かを判別することとしたが、本実施の形態はこれに限るものではない。例えば車両内に運転席を撮像するカメラを設け、制御部11は当該カメラによって撮像された画像に基づき、運転席にユーザが乗車しているか否かを判別してもよい。
【0051】
また、本実施の形態においてステアリングホイール2への接触を検出するセンサは容量センサ21であるものとしたが、本実施の形態はこれに限るものではない。例えば当該センサは、圧電素子を含む抵抗センサ、コイルを含む誘導センサ等であってもよい。また、抵抗、コンデンサ、コイル等の検出素子を組み合わせたセンサであってもよい。つまり当該センサは、ステアリングホイール2への接触を電気信号に変換して検出することができればよい。
【0052】
以上より、本実施の形態1によれば、把持判定ECU1は、ステアリングホイール2への接触を電気信号に変換して検出するセンサから当該電気信号の検出値を取得し、運転席にユーザが乗車していない状態において当該検出値と基準値との差分が閾値以上でないと判定した場合、当該検出値を基準値に設定する。運転席にユーザが乗車していない場合、ステアリングホイール2は非把持状態であると推定できることから、ステアリングホイール2への接触を検出するセンサの検出値を較正することができる。
【0053】
また、本実施の形態1によれば、ステアリングホイール2には容量センサ21が設けられており、把持判定ECU1は容量センサ21によって検出された静電容量の検出値を取得する。これにより、把持判定ECU1はステアリングホイール2への接触を静電容量の検出値により判定することができる。
【0054】
また、本実施の形態1によれば、把持判定ECU1は自機の休止状態においてドアの開き動作を判別することにより、運転席にユーザが乗車しているか否かを判別する。これにより、把持判定ECU1はステアリングホイール2の非把持状態を推定することができる。また、把持判定ECU1は運転席にユーザが乗車していないと判別した場合に検出値の取得を開始し、当該取得開始時に取得した初期値と基準値との差分が閾値以上であるか否かを判定する。これにより、把持判定ECU1は非把持状態における検出値(初期値)に基づいて判定処理を行うことができる。
【0055】
また、本実施の形態1によれば、把持判定ECU1は運転席に係るドアの開き動作を判別する。これにより、運転席にユーザが乗車しているか否かを判別することができる。
【0056】
また、本実施の形態1によれば、静電容量の初期値と基準値との差分が閾値以上であると判定した場合に、把持判定ECU1はセンサの異常を通知する通知信号を通知機器5に出力する。これにより、センサの異常をユーザに通知することができる。
【0057】
(実施の形態2)
実施の形態1では、把持判定ECU1は運転席のドアの開き動作を判別することにより運転席にユーザが乗車しているか否かを判別する形態について述べた。本実施の形態ではさらに、把持判定ECU1は運転席のドアの開錠を判別することにより運転席にユーザが乗車しているか否かを判別する形態について述べる。なお、実施の形態1と重複する内容については同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
図5は、実施の形態2に係る把持判定システムの構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、本実施の形態に係る把持判定システムは、把持判定ECU1、ドアECU3等のほかに、無線キーECU203及び無線キー208を含む。無線キーECU203は、外部と無線通信を行うための無線通信モジュール等を有するECUである。また、無線キーECU203は車内に設けられた通信線に接続され、把持判定ECU1等と情報の送受信を行う。無線キー208は、ユーザが携帯している可搬型の無線通信機であり、いわゆるキーレスエントリに係る携帯機である。
【0059】
図5に示すように、無線キーECU203は例えば制御部231、記憶部232、通信部233、無線通信部234を含む。制御部231は例えばCPU、MPU等を含み、無線キーECU203に係る種々の制御処理、情報処理等を行う。記憶部232はROM、RAM等を含み、制御部231が処理を行うために必要な種々のデータ等を記憶していると共に、無線キー208を識別するための識別子を記憶している。通信部233は、車内ネットワークを介して情報の送受信を行うための通信インターフェイスである。無線通信部234は例えばアンテナ及び通信処理回路等を含む無線通信モジュールであり、外部との無線通信を行う。
【0060】
なお、無線キーECU203は、自機に設けられた無線通信部234により無線通信を行う構成ではなく、車両に設けられた無線通信装置に車内ネットワークを介して接続され、当該無線通信装置により無線通信を行う構成としてもよい。また、本実施の形態において無線キーECU203とドアECU3とは別の制御装置として構成されているが、無線キーECU203及びドアECU3は一体の制御装置として構成されていてもよい。
【0061】
無線キー208は例えば制御部281、記憶部282、無線通信部283を含む。制御部281は例えばCPU、MPU等を含み、無線キー208に係る種々の制御処理、情報処理等を行う。記憶部282はROM、RAM等を含み、制御部281が処理を行うために必要な種々のデータ等を記憶していると共に、無線キー208に係る識別子を記憶している。無線通信部283は例えばアンテナ及び通信処理回路等を含む無線通信モジュールであり、外部との無線通信を行う。
なお、例えば無線キー208は、ユーザによる操作入力を受け付ける操作部を備え、操作部への操作入力に基づき無線信号を送信する構成としてもよい。
【0062】
図5に基づいて、本実施の形態に係る把持判定システムの処理動作の概要について説明する。なお、説明の便宜のため、無線キーECU203の処理主体は制御部231とし、無線キー208の処理主体は制御部281とする。
無線キーECU203の制御部231は、例えば外部へ間欠的に無線信号を送信する。当該無線信号は自機の所在を通知するビーコンであり、車両から所定距離内に送信するように設定されている。
無線キー208の制御部281は、上記の無線信号を受信した場合、無線キー208の識別子を含む無線信号を生成し、無線キーECU203へと送信する。
【0063】
無線キーECU203の制御部231は、無線キー208から無線信号を受信する。制御部231は当該無線信号に含まれる識別子を読み出し、記憶部232に記憶されている識別子と合致するか否かを判定する。識別子が合致すると判定した場合、制御部231は自車両に係る無線キー208を車両から所定距離内に検知したものと判断し、例えばドアの開錠を指示する所定信号をドアECU3に送信する。これにより、ドアECU3は車両のドアを開錠する。
【0064】
また、識別子が合致すると判定した場合、例えば制御部231は検知結果を示す所定信号を、把持判定ECU1に送信する。自機の休止状態において当該信号を受信した場合、把持判定ECU1の制御部11は運転席にユーザが乗車していないと判断する。制御部11は自機を起動させ、容量センサ21から静電容量の検出値を取得する処理を開始する。
【0065】
図6は、実施の形態2に係る把持判定システムの処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6に基づいて、本実施の形態に係る把持判定システムの処理動作について説明する。なお、実施の形態1と重複する内容については同一の符号を付して説明を省略する。
把持判定ECU1の制御部11は、車両の運転席に係るドアの開錠が行われたか否かを判定する(ステップS201)。具体的には、無線キーECU203の制御部231が、無線キー208から送信される無線信号の受信を受け付ける。無線キー208より無線信号を受信した場合、制御部231は、車両から所定距離内に位置する可搬型の無線キー208を検知した旨の検知結果を示す信号を把持判定ECU1に送信する。把持判定ECU1の制御部11は、当該信号を受信したか否かにより判定を行う。
【0066】
運転席のドアの開錠が行われていないと判定した場合(S201:NO)、制御部11は、車両の運転席に係るドアが開かれたか否かを判定する(ステップS202)。例えば制御部11は、ドアECU3からドアの開き動作を検知した旨の検知結果を示す信号を受信したか否かに基づいて判定を行う。運転席のドアが開かれていないと判定した場合(S202:NO)、制御部11は処理をステップS201に戻す。
【0067】
運転席のドアの開錠が行われたと判定した場合(S201:YES)、又は運転席のドアが開かれたと判定した場合(S202:YES)、制御部11は処理をステップS12に移行する。
【0068】
なお、本実施の形態ではいわゆるキーレスエントリによってドアの開錠又は施錠を行う構成について述べたが、メカニカルキーによってドアの開錠又は施錠を行う構成としてもよい。この場合、例えばドアECU3は運転席のドアに係るドアロック機構の動作を検知するドアロックセンサに接続される。ドアECU3は、ドアロックセンサにより運転席のドアの開錠を検知し、検知結果を把持判定ECU1に送信する。
【0069】
以上より、本実施の形態2によれば、把持判定ECU1は、運転席のドアの開錠動作によっても運転席にユーザが乗車しているか否かを判別することができる。
【0070】
また、本実施の形態2によれば、把持判定ECU1は、いわゆるキーレスエントリに係る開錠動作によっても運転席にユーザが乗車しているか否かを判別することができる。
【0071】
(実施の形態3)
実施の形態1では、容量センサ21によって検出された静電容量の初期値と基準値との差分が閾値以上である場合に、把持判定ECU1は通知機器5を制御してユーザに容量センサ21の異常を通知する形態について述べた。本実施の形態では、把持判定ECU1は容量センサ21の異常の通知処理を連続的に行うと共に、容量センサ21の検出値が正常値に戻った場合、通知処理を停止する形態について述べる。なお、実施の形態1と重複する内容については同一の符号を付して説明を省略する。
【0072】
本実施の形態において把持判定ECU1の制御部11は、静電容量の初期値と基準値との差分が閾値以上であると判定した場合に、容量センサ21の異常をユーザに通知する通知処理を連続的に行う。具体的には、静電容量の初期値と基準値との差分が閾値以上であると判定した場合、制御部11は通知機器5への通知信号の送信を開始し、当該送信処理を連続的に行う。これにより、通知機器5は継続してユーザへの通知を行う。
【0073】
制御部11は、通知信号の送信開始後、容量センサ21による検出値が正常値に戻ったか否かを判断し、正常値に戻ったと判断した場合、通知信号の送信を停止する処理を行う。具体的には、制御部11は容量センサ21の異常の通知処理を開始後も、容量センサ21による静電容量の検出処理を継続して行う。さらに制御部11は、当該検出処理によって取得した検出値と、基準値との差分が閾値以上であるか否かを判定する処理を継続して行う。なお、上記の検出処理は定期的に行うこととしてもよい。
【0074】
静電容量の検出値と基準値との差分が閾値未満となった場合、例えばユーザが車両運転中に一時的にステアリングホイール2から手を放した際に、容量センサ21による検出値が異常値を示さず、正常値に戻ったものと考えることができる。そこで本実施の形態では、上記の判定処理において静電容量の検出値と基準値との差分が閾値以上でないと判定した場合、制御部11は通知機器5への通知信号の送信を停止する。
【0075】
図7は、実施の形態3に係る把持判定システムの処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7に基づいて、本実施の形態に係る把持判定システムの処理動作について説明する。なお、実施の形態1と重複する内容については同一の符号を付して説明を省略する。
初期値と基準値との差分が閾値以上であると判定した場合(S15:YES)、本実施の形態に係る把持判定システムは以下の処理を実行する。制御部11は、容量センサ21の異常を通知する通知信号を通知機器5に送信する処理を開始する(ステップS301)。これにより、通知機器5はユーザへの通知を継続して行う。制御部11は、静電容量の検出値を新たに取得し、当該検出値と基準値との差分が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS302)。検出値と基準値との差分が閾値以上であると判定した場合(S302:YES)、制御部11は処理を待機する。
【0076】
検出値と基準値との差分が閾値以上でないと判定した場合(S302:NO)、制御部11は、通知機器5への通知信号の送信処理を停止する(ステップS303)。これにより、通知機器5は容量センサ21の異常をユーザに通知する処理を停止する。制御部11は、一連の処理を終了する。
【0077】
なお、本実施の形態において把持判定ECU1の制御部11は、静電容量の検出値と基準値との差分が閾値以上でないと判定した場合、通知処理を停止するのみとしたが、本実施の形態はこれに限るものではない。制御部11は、通知処理を停止すると共に、当該差分が閾値以上でないと判定した場合の静電容量の検出値を基準値に設定することとしてもよい。これにより、制御部11は正常値であると判断した検出値を、新たな基準値に設定することができる。
【0078】
以上より、本実施の形態3によれば、把持判定ECU1は容量センサ21の異常通知後も静電容量の検出値と基準値とを比較する判定処理を継続し、検出値が正常値に戻ったと判断した場合、通知処理を停止する。これにより、例えば一時的に静電容量の検出値が異常値を示すような場合に、把持判定ECU1は適切な処理を行うことができる。
【0079】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。