【実施例】
【0054】
実験室規模での触媒比較では、物質移動に様々な影響を及ぼす異なった成形体寸法の影響を考慮する必要性を伴わずに触媒の固有活性を直接測定するために、篩い分け画分を使用することが好ましい。認められている見解によれば、エッジ効果の影響を無視できるため、反応器直径は触媒物質粒子の主要寸法の少なくとも10倍であることが好ましい。篩い分け画分を使用すると、好ましいことに、それに応じて実験用反応器を小さくすることができる。
【0055】
製造規模の固定床反応器において過度の圧力降下を起こさないために、触媒物質粒子の主要寸法が少なくとも0.5mm、より好ましくは少なくとも1mmである成形体を使用する。
【0056】
以下に記載する本発明の実施例は篩い分け画分を用いて実施したが、本発明の方法における本発明の触媒は常に、少なくとも0.5mm、より好ましくは少なくとも1mmの触媒物質粒子主要寸法を有する対応した成形体の形状で使用されると理解すべきである。
【0057】
以下の実施例の重要なインデックスおよび結果は、最後の実施例の後に記載されている表にまとめる。
【0058】
実施例1(本発明)
下記特性を(乳鉢で粉砕する前に)有する単斜晶系構造のZrO
2触媒担体(製造メーカー:Saint-Gobain NorPro, 製品:SZ 31163, 直径3〜4mmおよび長さ4〜6mmを有する押出物)を使用した。
・55m
2/gの比表面積(BET評価による窒素吸着法)、
・細孔群1(輸送細孔)が60nmの中央値を有し、細孔群2(微細孔)が16nmの中央値を有する二峰性細孔径分布(水銀ポロシメトリー)、
・0.27cm
3/gの細孔容積(水銀ポロシメトリー)、
・1280kg/m
3の嵩密度(高さ350mmを有するDN100測定シリンダーにおいて測定)。
【0059】
このZrO
2触媒担体(SZ 31163)を乳鉢で粉砕し、篩い分け画分に分級した。100〜250μm篩い分け画分1gを、160℃および10kPaで2時間乾燥した。硝酸セリウム(III)六水和物50gを、脱イオン水42gに溶解した。このように調製した硝酸セリウム(III)溶液0.08mLを、全細孔容積を充填するのに十分な脱イオン水量で希釈して、スナップ式蓋付き瓶にまず導入し、ZrO
2触媒担体の乾燥篩い分け画分(100〜250μm)1gを、溶液の初期導入量が完全に吸収されるまで撹拌しながら添加した(乾燥含浸法)。次いで、含浸ZrO
2触媒担体を、80℃および10kPaで5時間乾燥し、続いて空気中においてマッフル炉で焼成した。このために、マッフル炉の温度を、5時間で30℃から900℃に直線的に上昇させ、900℃で5時間維持した。その後、マッフル炉を、5時間で900℃から30℃に直線的に冷却した。担持されたセリウム量は、CeO
2およびZrO
2として触媒成分を計算した焼成触媒に基づいて3重量%の割合に相当した。
【0060】
このように調製した触媒0.25gを、Spheriglass(石英ガラス、500〜800μm)1gで希釈し、石英製反応管(内径8mm)内の固定床にまず導入した。塩化水素1L/時(標準条件、STP)、酸素4L/時(STP)および窒素5L/時(STP)のガス混合物を430℃で流通させた。石英製反応管を電気加熱炉により加熱した。2時間後、生成ガス流を30重量%ヨウ化カリウム溶液に30分間流通させた。続いて、導入された塩素量を測定するために、生じたヨウ素を0.1N標準チオ硫酸塩溶液を用いて逆滴定した。0.51kg
Cl2/kg
触媒・時(触媒重量に基づく)または0.68kg
Cl2/L
反応器・時(触媒で充填された反応器容積に基づく)の塩素生成速度(空時収量=STY)が測定された。
【0061】
実施例2(本発明)
担持されるセリウム量を焼成触媒に基づいて5重量%の割合に調整した以外は実施例1に従って、触媒1gを製造した。この触媒を、実施例1に従って試験した。0.92kg
Cl2/kg
触媒・時または1.25kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。
【0062】
実施例3(本発明)
担持されるセリウム量を焼成触媒に基づいて7重量%の割合に調整した以外は実施例1に従って、触媒1gを製造した。この触媒を、実施例1に従って試験した。1.17kg
Cl2/kg
触媒・時または1.62kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。
【0063】
担体物質としての未ドープZrO
2に基づいており、十分なCeが適用された触媒(実施例3〜6)が、最良の空時収量(1.6〜2.0kg
Cl2/L
反応器・時)を示した。7〜10重量%の担持量では、これらの特に好ましいCeO
2/ZrO
2触媒の触媒重量(活性成分/担体)に基づく空時収量は、セリウム含量に伴ってほぼ直線的に上昇した。10〜20重量%の担持量では、触媒重量に基づく空時収量はほぼ一定であった。これは、ZrO
2触媒担体は、活性成分で飽和状態であることを意味する。
【0064】
実施例4(本発明)
担持されるセリウム量を焼成触媒に基づいて10重量%の割合に調整した以外は実施例1に従って、触媒1gを製造した。この触媒を、実施例1に従って試験した。1.27kg
Cl2/kg
触媒・時または1.82kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。
【0065】
実施例5(本発明)
担持されるセリウム量を焼成触媒に基づいて15重量%の割合に調整した以外は実施例1に従って、触媒1gを製造した。この触媒を、実施例1に従って試験した。1.28kg
Cl2/kg
触媒・時または1.93kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。
【0066】
実施例6(本発明)
担持されるセリウム量を焼成触媒に基づいて20重量%の割合に調整した以外は実施例1に従って、触媒1gを製造した。この触媒を、実施例1に従って試験した。1.25kg
Cl2/kg
触媒・時または1.98kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。
【0067】
実施例7(本発明)
(1)ZrO
2触媒担体を、硝酸セリウム溶液で含浸する前に乳鉢で粉砕せず、従って押出物の状態(直径3〜4mmおよび長さ4〜6mm)で使用し、(2)焼成した後に、セリウム適用触媒担体押出物を乳鉢で粉砕し、篩い分け画分に分級し、その中の100〜250μm篩い分け画分を試験に使用し、(3)担持されるセリウムの量を焼成触媒に基づいて7重量%の割合に調整した以外は実施例1に従って、触媒5gを製造した。この触媒を、実施例1に従って試験した。1.16kg
Cl2/kg
触媒・時または1.61kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。
【0068】
実施例7〜8は、成形触媒担体を直接含浸することによって触媒を製造した場合であっても、触媒担体篩い分け画分を含浸することによって触媒を製造した場合と同様に良好な空時収量に達したことを示している。成形触媒担体は、有利には、HCl気相酸化において好ましい固定床における圧力降下を最小にするために使用する。
【0069】
実施例8(本発明)
担持されるセリウムの量を焼成触媒に基づいて10重量%の割合に調整した以外は実施例7に従って、触媒5gを製造した。この触媒を、実施例7に従って試験した。1.14kg
Cl2/kg
触媒・時または1.63kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。
【0070】
実施例9(比較例)
実施例1のZrO
2触媒担体(SZ 31163)を乳鉢で粉砕し、篩い分け画分に分級し、その中の100〜250μm篩い分け画分を試験に使用した。ZrO
2触媒担体を、実施例1における触媒と同様に試験した。0.00kg
Cl2/kg
触媒・時または0.00kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。従って、CeO
2活性成分を有さないZrO
2担体は、担体としてのみ適しており、活性成分としては適していなかった。
【0071】
実施例10(本発明)
下記特性を(乳鉢で粉砕する前に)有する単斜晶系構造のZrO
2触媒担体(製造メーカー:Saint-Gobain NorPro, 製品:SZ 31164, 直径3〜4mmおよび長さ4〜6mmを有する押出物)を使用した。
・85m
2/gの比表面積(BET評価による窒素吸着法)、
・細孔群1(輸送細孔)が60nmの中央値を有し、細孔群2(微細孔)が8nmの中央値を有する二峰性細孔径分布(水銀ポロシメトリー)、
・0.29cm
3/gの細孔容積(水銀ポロシメトリー)、
・1160kg/m
3の嵩密度(高さ350mmを有するDN100測定シリンダーにおいて測定)。
【0072】
このZrO
2触媒担体(SZ 31164)を実施例1に従って調製し(乳鉢で粉砕し、分級し、乾燥し)、担持されるセリウムの量を焼成触媒に基づいて3重量%の割合に調整した以外は実施例1に従って、触媒1gを製造するために使用した。この触媒を、実施例1に従って試験した。0.51kg
Cl2/kg
触媒・時または0.61kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。
【0073】
実施例11(本発明)
担持されるセリウム量を焼成触媒に基づいて5重量%の割合に調整した以外は実施例10に従って、触媒1gを製造した。この触媒を、実施例10に従って試験した。0.66kg
Cl2/kg
触媒・時または0.81kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。
【0074】
実施例12(本発明)
担持されるセリウム量を焼成触媒に基づいて7重量%の割合に調整した以外は実施例10に従って、触媒1gを製造した。この触媒を、実施例10に従って試験した。0.78kg
Cl2/kg
触媒・時または0.99kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。
【0075】
担体物質としての未ドープZrO
2に基づいており、十分なCeが担持された触媒(実施例12〜15)が、最良の空時収量(1.0〜1.7kg
Cl2/L
反応器・時)を示した。7〜10重量%の担持量では、これらの特に好ましいCeO
2/ZrO
2触媒の触媒重量(活性成分/担体)に基づく空時収量は、セリウム含量に伴ってほぼ直線的に上昇した。10〜20重量%の担持量では、触媒重量に基づく空時収量はほぼ一定であった。これは、ZrO
2触媒担体は、活性成分で飽和状態であることを意味する。
【0076】
実施例13(本発明)
担持されるセリウム量を焼成触媒に基づいて10重量%の割合に調整した以外は実施例10に従って、触媒1gを製造した。この触媒を、実施例10に従って試験した。1.21kg
Cl2/kg
触媒・時または1.58kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。
【0077】
実施例14(本発明)
担持されるセリウム量を焼成触媒に基づいて15重量%の割合に調整した以外は実施例10に従って、触媒1gを製造した。この触媒を、実施例10に従って試験した。1.28kg
Cl2/kg
触媒・時または1.76kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。
【0078】
実施例15(本発明)
担持されるセリウム量を焼成触媒に基づいて20重量%の割合に調整した以外は実施例10に従って、触媒1gを製造した。この触媒を、実施例10に従って試験した。1.16kg
Cl2/kg
触媒・時または1.66kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。
【0079】
実施例16(本発明)
(1)ZrO
2触媒担体を、硝酸セリウム溶液で含浸する前に乳鉢で粉砕せず、従って押出物の状態(直径3〜4mmおよび長さ4〜6mm)で使用し、(2)焼成した後に、セリウム適用触媒担体押出物を乳鉢で粉砕し、篩い分け画分に分級し、その中の100〜250μm篩い分け画分を試験に使用し、(3)担持されるセリウムの量を焼成触媒に基づいて7重量%の割合に調整した以外は実施例10に従って、触媒5gを製造した。この触媒を、実施例10に従って試験した。0.75kg
Cl2/kg
触媒・時または0.94kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。
【0080】
実施例16〜17は、成形触媒担体を直接含浸することによって触媒を製造した場合であっても、触媒担体篩い分け画分を含浸することによって触媒を製造した場合と同様に良好な空時収量に達したことを示している。成形触媒担体は、有利には、HCl気相酸化において好ましい固定床における圧力降下を最小にするために使用する。
【0081】
実施例17(本発明)
担持されるセリウム量を焼成触媒に基づいて10重量%の割合に調整した以外は実施例15に従って、触媒5gを製造した。この触媒を、実施例15に従って試験した。0.94kg
Cl2/kg
触媒・時または1.22kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。
【0082】
実施例18(比較例)
実施例1のZrO
2触媒担体(SZ 31164)を乳鉢で粉砕し、篩い分け画分に分級し、その中の100〜250μm篩い分け画分を試験に使用した。ZrO
2触媒担体を、実施例10における触媒と同様に試験した。0.00kg
Cl2/kg
触媒・時または0.00kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。従って、CeO
2活性成分を有さないZrO
2担体は、担体としてのみ適しており、活性成分としては適していなかった。
【0083】
実施例19(本発明)
下記特性を(乳鉢で粉砕する前に)有する正方晶系構造の市販CeO
2ドープZrO
2触媒担体(製造メーカー:Saint-Gobain NorPro, 製品:SZ 61191, 直径3mmの球体)を使用した。
・18%のCeO
2、残余はZrO
2、
・110m
2/gの比表面積(BET評価による窒素吸着法)、
・細孔群1(輸送細孔)が150nmの中央値を有し、細孔群2(微細孔)が4nmの中央値を有する二峰性細孔径分布(水銀ポロシメトリー)、
・0.25cm
3/gの細孔容積(水銀ポロシメトリー)、
・1400kg/m
3の嵩密度(高さ350mmを有するDN100測定シリンダーにおいて測定)。
【0084】
このCeO
2ドープZrO
2触媒担体(SZ 61191)を乳鉢で粉砕し、篩い分け画分に分級した。100〜250μm篩い分け画分1gを、80℃および10kPaで5時間乾燥し、次いで空気中においてマッフル炉で焼成した。このために、マッフル炉の温度を、5時間で30℃から900℃に直線的に上昇させ、900℃で5時間維持した。その後、マッフル炉を、5時間で900℃から30℃に直線的に冷却した。セリウム量は、CeO
2およびZrO
2として触媒成分を計算した触媒に基づいて14.7重量%の割合に相当した。
【0085】
市販CeO
2活性化ZrO
2触媒担体(SZ 61191)を乳鉢で粉砕し、篩い分け画分に分級し、その中の100〜250μm篩い分け画分を試験に使用した。ZrO
2触媒担体を、実施例10における触媒と同様に試験した。0.07kg
Cl2/kg
触媒・時または0.08kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。
【0086】
このように処理した触媒0.25gを、実施例1に従って試験した。0.92kg
Cl2/kg
触媒・時または1.29kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。CeO
2ドープZrO
2は、最良の試験触媒と比べても注目に値する空時収量を示した(1.82〜1.98kg
Cl2/L
反応器・時(実施例4〜6)に対して1.29kg
Cl2/L
反応器・時)。この場合活性成分は独立して適用しなかったが、この場合ももちろんセリウムは活性成分として扱うべきである。従って、この実施例も本発明の実施例として扱う。
【0087】
実施例20(比較例)
下記特性を(乳鉢で粉砕する前に)有する正方晶系構造のZrO
2触媒担体(製造メーカー:Saint-Gobain NorPro, 製品:SZ 61156, 直径3mmの球体)を使用した。
・10%のLa
2O
3、残余はZrO
2、
・120m
2/gの比表面積(BET評価による窒素吸着法)、
・細孔群1(輸送細孔)が200nmの中央値を有し、細孔群2(微細孔)が5nmの中央値を有する二峰性細孔径分布(水銀ポロシメトリー)、
・0.3cm
3/gの細孔容積(水銀ポロシメトリー)、
・1300kg/m
3の嵩密度(高さ350mmを有するDN100測定シリンダーにおいて測定)。
【0088】
このZrO
2触媒担体(SZ 61156)を実施例1に従って調製し(乳鉢で粉砕し、分級し、乾燥し)、その後、触媒成分をCeO
2およびZrO
2として計算して、担持されるセリウム量を焼成触媒に基づいて7重量%の割合に調整した以外は実施例1に従って、触媒1gを製造するために使用した。この触媒を、実施例1に従って試験した。0.09kg
Cl2/kg
触媒・時または0.12kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。
【0089】
構造安定剤として通常使用されているLa
2O
3は、CeO
2とZrO
2との間の特有相互作用を損なうと考えられる。この比較例は、DE 10 2009 021 675 A1の発明者が同文献の実施例5において適当ではない触媒担体を選択したことを示している。La
2O
3形態のランタン含量が焼成触媒に基づいて5重量%未満であり、最も好ましくはランタン成分を本質的には含有しない、ZrO
2担体成分に基づく触媒のみが非常に高い活性を有していた。
【0090】
実施例21(比較例)
下記特性を(乳鉢で粉砕する前に)有するγ構造のAl
2O
3触媒担体(製造メーカー:Saint-Gobain NorPro, 製品:SA 6976, 直径2〜3mmおよび長さ4〜6mmを有する押出物)を使用した。
・250m
2/gの比表面積(BET評価による窒素吸着法)、
・細孔群1(輸送細孔)が500nmの中央値を有し、細孔群2(微細孔)が7nmの中央値を有する二峰性細孔径分布(水銀ポロシメトリー)、
・1.05cm
3/gの細孔容積(水銀ポロシメトリー)、
・460kg/m
3の嵩密度(高さ350mmを有するDN100測定シリンダーにおいて測定)。
【0091】
このAl
2O
3触媒担体(SA 6976)を実施例1に従って調製し(乳鉢で粉砕し、分級し、乾燥し)、その後、触媒成分をCeO
2およびAl
2O
3として計算して、担持されるセリウム量を焼成触媒に基づいて7重量%の割合に調整した以外は実施例1に従って、触媒1gを製造するために使用した。この触媒を、実施例1に従って試験した。0.49kg
Cl2/kg
触媒・時または0.24kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。
【0092】
実施例22(比較例)
担持されるセリウム量を焼成触媒に基づいて12.5重量%の割合に調整した以外は実施例19に従って、触媒1gを製造した。この触媒を、実施例19に従って試験した。0.86kg
Cl2/kg
触媒・時または0.46kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。
【0093】
実施例23(比較例)
下記特性を(乳鉢で粉砕する前に)有するγ、α、θ混合構造のAl
2O
3触媒担体(製造メーカー:Saint-Gobain NorPro, 製品:SA 3177, 直径3〜4mmおよび長さ4〜6mmを有する押出物)を使用した。
・100m
2/gの比表面積(BET評価による窒素吸着法)、
・10nmの中央値を有する単峰性細孔径分布(水銀ポロシメトリー)、
・0.49cm
3/gの細孔容積(水銀ポロシメトリー)、
・780kg/m
3の嵩密度(高さ350mmを有するDN100測定シリンダーにおいて測定)。
【0094】
このAl
2O
3触媒担体(SA 3177)を実施例1に従って調製し(乳鉢で粉砕し、分級し、乾燥し)、その後、担持されるセリウム量を焼成触媒に基づいて7重量%の割合に調整した以外は実施例1に従って、触媒1gを製造するために使用した。この触媒を、実施例1に従って試験した。0.47kg
Cl2/kg
触媒・時または0.40kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。
【0095】
実施例24(比較例)
下記特性を(乳鉢で粉砕する前に)有するアナターゼ構造のTiO
2触媒担体(製造メーカー:Saint-Gobain NorPro, 製品:ST 31119, 直径3〜4mmおよび長さ4〜6mmを有する押出物)を使用した。
・40m
2/gの比表面積(BET評価による窒素吸着法)、
・28nmの中央値を有する単峰性細孔径分布(水銀ポロシメトリー)、
・0.30cm
3/gの細孔容積(水銀ポロシメトリー)、
・1200kg/m
3の嵩密度(高さ350mmを有するDN100測定シリンダーにおいて測定)。
【0096】
このTiO
2触媒担体(ST 31119)を実施例1に従って調製し(乳鉢で粉砕し、分級し、乾燥し)、その後、担持されるセリウム量を焼成触媒に基づいて7重量%の割合に調整した以外は実施例1に従って、触媒1gを製造するために使用した。この触媒を、実施例1に従って試験した。0.24kg
Cl2/kg
触媒・時または0.32kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。
【0097】
実施例25(比較例)
下記特性を(乳鉢で粉砕する前に)有するTiO
2−ZrO
2触媒担体(製造メーカー:Saint-Gobain NorPro, 製品:ST 31140, 直径3〜4mmおよび長さ4〜6mmを有する押出物)を使用した。
・40%のTiO
2(アナターゼ)、残余はZrO
2(単斜晶系−正方晶系)
・80m
2/gの比表面積(BET評価による窒素吸着法)、
・細孔群1(輸送細孔)が121nmの中央値を有し、細孔群2が16nmの中央値を有し、細孔群3が11nmの中央値を有する三峰性細孔径分布(水銀ポロシメトリー)、
・0.46cm
3/gの細孔容積(水銀ポロシメトリー)、
・815kg/m
3の嵩密度(高さ350mmを有するDN100測定シリンダーにおいて測定)。
【0098】
このTiO
2−ZrO
2触媒担体(ST 31140)を実施例1に従って調製し(乳鉢で粉砕し、分級し、乾燥し)、その後、担持されるセリウム量を焼成触媒に基づいて7重量%の割合に調整した以外は実施例1に従って、触媒1gを製造するために使用した。この触媒を、実施例1に従って試験した。0.14kg
Cl2/kg
触媒・時または0.13kg
Cl2/L
反応器・時の塩素生成速度(STY)が測定された。
【0099】
実施例26(本発明、温度変化)
実施例3の触媒を、350℃、370℃、410℃および450℃で、それ以外は同じ条件下で試験した。以下の塩素生成速度(STY)が得られた。
・350℃:0.22kg
Cl2/kg
触媒・時または0.30kg
Cl2/L
反応器・時
・370℃:0.44kg
Cl2/kg
触媒・時または0.61kg
Cl2/L
反応器・時
・410℃:0.98kg
Cl2/kg
触媒・時または1.36kg
Cl2/L
反応器・時
・450℃:1.80kg
Cl2/kg
触媒・時または2.50kg
Cl2/L
反応器・時
【0100】
上記した(実施例26以外の)実施例の重要なインデックスおよび結果を、以下の表にまとめる。
【表1】
【0101】
結論
CeO
2活性成分を有さないZrO
2担体の活性はゼロであった(実施例9および18)。従って、このZrO
2担体は、担体としてのみ適しており、活性成分としては適していなかった。
【0102】
CeO
2ドープZrO
2(実施例19)は、最良の試験触媒系と比べても注目に値する空時収量を示した(1.82〜1.98kg
Cl2/L
反応器・時(実施例4〜6)に対して1.29kg
Cl2/L
反応器・時)。この場合活性成分は独立して適用しなかったが、この場合ももちろんセリウムは活性成分として扱うべきである。従って、この実施例も本発明の実施例として扱う。
【0103】
Al
2O
3(実施例21〜23)、TiO
2(実施例24)および低い嵩密度を有するZrO
2−TiO
2(実施例25)は、CeO
2のための最適な担体ではなかった(0.1〜0.5kg
Cl2/L
反応器・時)。Al
2O
3の場合、単峰性細孔径分布であっても二峰性細孔径分布であっても有用ではなかった。意外なことに、TiO
2は、CeO
2のための担体としては全く適さないと考えられた。TiO
2は、HCl気相酸化における二酸化ルテニウム活性成分にとっては、好ましい担体物質の1つである。
【0104】
上記したLa
2O
3−ドープZrO
2(実施例20)もまた、CeO
2のための最適な担体ではなかった(0.1〜0.5kg
Cl2/L
反応器・時)。構造安定剤として通常使用されているLa
2O
3は、CeO
2とZrO
2との間の特有相互作用を損なうと考えられる。この比較例は、DE 10 2009 021 675 A1の発明者が同文献の実施例5において適当ではない触媒担体を選択したことを示している。La
2O
3形態のランタン含量が焼成触媒に基づいて5重量%未満であり、最も好ましくはランタン成分を本質的には含有しない、ZrO
2担体成分に基づく触媒のみが非常に高い活性を有していた。
【0105】
担体物質としての未ドープZrO
2に基づいており、十分なCeが担持された触媒(実施例3〜6および12〜15)が、最良の空時収量(1.6〜2.0kg
Cl2/L
反応器・時および1.0〜1.7kg
Cl2/L
反応器・時)を示した。7〜10重量%の担持量では、これら2種の特に好ましいCeO
2/ZrO
2触媒の触媒重量(活性成分/担体)に基づく空時収量は、セリウム含量に伴ってほぼ直線的に上昇した。10〜20重量%の担持量では、触媒重量に基づく空時収量はほぼ一定であった。これは、ZrO
2触媒担体は、活性成分で飽和状態であることを意味する。
【0106】
7重量%に相当する担持量では、最良のCeO
2/ZrO
2触媒(1.28kg
Cl2/kg
触媒・時、実施例5)は、最良の新規ではない別の触媒(CeO
2/Al
2O
3:0.49kg
Cl2/kg
触媒・時、実施例7)より2.6倍高い、触媒重量に基づく空時収量を示した。従って、セリウム活性成分は、新規なCeO
2/ZrO
2触媒の場合、別の通常使用されている担体の場合よりはるかに良好に利用された。
【0107】
最良のCeO
2/ZrO
2触媒(1.98kg
Cl2/L
反応器・時、実施例6)は、最良の本発明ではない別の触媒(CeO
2/Al
2O
3:0.46kg
Cl2/L
反応器・時、実施例24)より4.3倍高い、反応器容積に基づく空時収量を示した。従って、反応器容積は、この新規なCeO
2/ZrO
2触媒の場合、別の通常使用されている担体の場合より、はるかに良好に利用された。縮小された反応器容積ももちろん、圧力降下に、従って消費電力に、好影響を及ぼした。
【0108】
実施例7〜8および16〜17は、成形触媒担体を直接含浸することによって触媒を製造した場合であっても、触媒担体篩い分け画分を含浸することによって触媒を製造した場合と同様に良好な空時収量に達したことを示している。成形触媒担体は、有利には、HCl気相酸化において好ましい固定床における圧力降下を最小にするために使用する。