(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連結部が、不織布の厚み方向の高さと、前記第1面側の外面繊維層及び前記第2面側の外面繊維層の延出方向に沿う不織布の平面方向の幅とを備えた壁面を有し、該壁面が、前記不織布の平面視交差する異なる複数の方向に沿って配されている請求項1又は2記載の不織布。
前記不織布の厚み方向の断面であって、かつ、前記空間部の中心を通る断面において、前記連結部の平面方向の長さが、前記第1面側の外面繊維層及び前記第2面側の外面繊維層の平面方向の長さよりも短い請求項4記載の不織布。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る不織布の好ましい一実施形態について、図面を参照しながら、以下に説明する。
【0011】
図1は、本実施形態の不織布10を示している。不織布10は第1面側Z1と、該第1面側Z1の反対面側である第2面側Z2とを有する。第1面側Z1と第2面側Z2とは、不織布10の表裏の面側である。
不織布10は、例えば生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品の表面シート等に適用することができる。表面シートとして用いる場合、どちらの面を着用者の肌面に向けて用いてもよい。ただし、優れたクッション性と柔らかな肌触りの観点からは、製造時において熱風があたる面とは反対側の面である第1面側Z1を着用者の肌面側に向けて用いることが、繊維の融着点が比較的少なく風合いが滑らかなため好ましい。
図2は、不織布10を、第1面側Z1を着用者の肌面側に向けて表面シート201として配したおむつ200の例を示している。すなわち、この例においては第1面側Z1の外面繊維層1が着用者の肌面側に向けられている。このおむつ200は、表面シート201のほか、着衣側の裏面シート202、表面シート201及び裏面シート202に挟まれた吸収体203を有する。さらに本例においては、サイドシートがなす横漏れ防止ギャザー207が設けられている。おむつ200は、背側Rのファスニングテープ206を腹側Fに固定して装着するテープタイプを示しているが、これに限定されずパンツタイプのものであってもよい。また、おむつ以外の例えば生理用ナプキン等、種々の吸収性物品に適用できる。
以下、
図1に示した不織布10の第1面側Z1を肌面に向けて用いる実施態様を考慮して説明する。ただし、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。
【0012】
本実施形態の不織布10は、熱可塑性繊維を有する。熱可塑性繊維は少なくとも一部の繊維同士が互いに交点で融着してなる。不織布10は、以下に示すように、従来のシート状の不織布とは異なる形状に賦形された厚みを有する。さらに従来のシート状の不織布とは圧縮方向に異なる変形挙動を持つ。この変形挙動は荷重の大きさに応じた挙動であり、これにより特有のクッション性を備える。例えば、指で軽く触れるような低荷重に対して不織布10が容易に潰れず、かつ、適度な弾力を指に与える。これにより指の弱い圧力に対応するクッション感が生じる。より大きい荷重が加わるときには、大きな圧縮変形量で衝撃を吸収し、かつ、優れた厚み回復性を示す。これにより柔らかいクッション感が生じる。このように不織布10は、荷重の大きさに応じた異なるクッション性を備える。
なお、(1)軽く触れた時に適度な弾力を持つこと、(2)押し込み荷重による圧縮変形量が大きいこと、(3)厚み回復性に優れること、(4)クッション性を備えることはそれぞれ、(1)座屈現象に近い変形(座屈変形ともいう。)の有無、(2)圧縮変形量、(3)圧縮回復率(RC)、(4)圧縮変形量と圧縮エネルギー(WC)を測定することによって示すことができる。
【0013】
まず、不織布10の立体構造について説明する。
不織布10は、繊維が平面方向に配向した、第1面側Z1及び第2面側Z2の外面繊維層1及び2を有する。本実施形態においては、不織布10の厚み方向Zの第1面側Z1に外面繊維層1があり、第2面側Z2に外面繊維層2がある。さらに、第1面側Z1の外面繊維層1と第2面側Z2の外面繊維層2との間に、繊維が不織布10の厚み方向に配向した複数の連結部3が配在されている(以下、第1面側Z1の外面繊維層1、第2面側Z2の外面繊維層2をそれぞれ、単に外面繊維層1、外面繊維層2ともいう。)。外面繊維層1、2と連結部3とは相互に、少なくとも一部の繊維同士が融着して継ぎ目なく一体化している。不織布10は、連結部3が外面繊維層1、2を連結して支えることで嵩高く厚みのあるものとなっている。不織布10の厚みとは、外面繊維層1、2や連結部3のみの局所の厚みではなく、不織布全体の賦形された形状における見掛け厚みを指すものである。本実施形態においては、第1面側Z1表面と第2面側Z2の表面との間の厚みである。この厚みを不織布10の見掛け厚みともいう。
なお、不織布10において、外面繊維層1、2と連結部3と接続部分以外の各部位においても、熱可塑性繊維同士が少なくとも一部の繊維同士の交点で融着している。不織布10には熱可塑性繊維同士が融着しない交点があってもよい。また、不織布10は熱可塑性繊維以外の繊維を含んでもよく、熱可塑性繊維がそれ以外の繊維との交点で融着する場合を含む。
【0014】
本実施形態において、外面繊維層1及び外面繊維層2は、それぞれ不織布10の第1面側Z1、第2面側Z2において、繊維が平面方向に配向した部分である。
ここで、「繊維が平面方向に配向している」とは、後述する測定方法によって得られる、繊維の縦配向率が45%未満であることを意味する。繊維の縦配向率を45%未満とすることで、繊維が平面方向に十分に並び、フラットな形状を保つことができる。平面方向に配向している外面繊維層は、不織布の形状保持や強度保持の観点から、繊維の縦配向率を0%以上とすることが好ましく、30%以上とすることがより好ましい。また、外面繊維層1及び外面繊維層2の繊維の縦配向率を40%未満とすることが通常のフラット不織布と同様平面と接地しやすいので好ましく、38%以下とすることがより好ましく、37%以下とすることが更に好ましい。
【0015】
連結部3は、前述のとおり、繊維が不織布10の厚み方向に配向した部分である。
ここで、「繊維が不織布の厚み方向に配向している」とは、後述する測定方法によって得られる、繊維の縦配向率が60%以上であることを意味する。連結部3が、この範囲の繊維の縦配向率を有するとによって、不織布10の厚み方向において垂直に配置されていると言える。
連結部3は、繊維の縦配向率を60%以上とし、かつ繊維同士の一部融着を有していることによって、まるで柱のような状態で起立し、不織布10の厚み方向に適度な弾力を付与する。これに対し、従来の不織布の繊維においては本実施形態の連結部3のような繊維の縦配向率を有しないため、厚み方向に押圧した際に、作用した力に合わせて不織布は繊維間を埋めるように変形し、力に合わせて変形量は増加する。しかし、本実施形態では、連結部3は柱のようにして外面繊維層1及び2を支え、また厚み方向に垂直にあるため同方向からのわずかな力には耐えることができる。さらに本実施形態においては、大きな力を加えると柱が折れるように変形をする。つまり従来の不織布にはない、いわゆる座屈現象に近い変形が生じる(以下、座屈変形ともいう。)。ただし、不織布10は、座屈現象のように連結部が屈曲した場合でも、後述する弾力性により元の厚みを回復し得る。
【0016】
上記で定義される連結部3の繊維の縦配向率は、クッション性の観点から、63%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、68%以上が更に好ましい。その上限には特に制限は無いが、繊維同士の交点を作って融着点を形成し、繊維同士で柱状になって、力に耐える構造を作る観点から、縦配向率は90%以下が好ましく、85%以下がより好ましく、80%以下が更に好ましい。具体的には、連結部3の縦配向率は、63%以上90%以下が好ましく、65%以上85%以下がより好ましく、68%以上80%以下が更に好ましい。
【0017】
外面繊維層1及び2並びに連結部3は、それぞれ繊維の縦配向率が上記範囲にある領域として区分される部分である。連結部3は、外面繊維層1及び2と端部において継ぎ目なく接続されているため、その部分においては、平面方向に配向した繊維と厚み方向に配向した繊維とが混在する。なお、平面方向に配向した繊維と厚み方向に配向した繊維とが混在する部分においては、繊維の縦配向率が45%以上60%以下の斜め配向を示すようにされていることが好ましく、繊維の縦配向率が45%から少しずつ縦配向していき60%以下の十分な縦配向に移行していくことがより好ましい。
【0018】
不織布10において、外面繊維層1及び2は、上記のような繊維の配向を有することで、不織布10の両面の平坦面をなす。また、連結部3は、上記のような繊維の配向を有することで、不織布10の厚み方向に起立した状態にある。また、連結部3は、柱のように外面繊維層1及び2に対して垂直に連結されていることが好ましい。特に連結部3は、外面繊維層1及び2の端部同士を繋ぐ配置であることが、後述するクッション性の観点から好ましい。
【0019】
(外面繊維層1及び2並びに連結部3の繊維の縦配向率の測定方法)
外面繊維層1及び2並びに連結部3の繊維の縦配向率は、下記(1)〜(3)に基づいて測定することができる。
(1)不織布の断面の作製
第1面側Z1の外面繊維層1及び第2面側Z2の外面繊維層2を通る、不織布の断面(縦断面)であって、連結部3が平面方向に延出する方向に直交し、該延出する長さの中央を通る位置における厚み方向の断面を作製する。または、不織布10が後述のように空間部4を有する場合は、第1面側Z1の外面繊維層1及び第2面側Z2の外面繊維層2を通る、不織布の断面(縦断面)であって、空間部4の中心を通る位置における厚み方向の断面を作製する。例えば、
図1におけるA−A線、B−B線を通る厚み方向の断面(
図3及び4)を作製する。
図3に示すA−A線を通る厚み方向の断面は、連結部3が延出する不織布の長手方向(Y方向)に直交する断面である。ここでは連結部3、第1面側Z1の外面繊維層1及び第2面側Z2の外面繊維層2の不織布幅方向(X方向)の長さT1、T2及びT3を示している。
図4に示すB−B線を通る厚み方向の断面は、連結部3が延出する不織布の幅方向(X方向)に直交する断面である。ここでは、連結部3、第1面側Z1の外面繊維層1及び第2面側Z2の外面繊維層2の不織布長手方向(Y方向)の長さT4、T5及びT6を示している。なお、上記断面は、測定対象の不織布を5mm×5mm以上切り取るものとする。
【0020】
(2)前記厚み方向の断面における外面繊維層1及び2の平面方向の長さの画定
上記厚み方向の断面を有する不織布を平らな平面におき、荷重2.9Paをその不織布の上に加え、それを断面から観察する。具体的には、不織布を株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープ(VHX−900)の台座に載せる。その不織布の上に目付300g/m
2の黒い(不織布が白いと判断が容易になるため)厚紙(目付300g/m
2)を置き、株式会社キーエンス製VHZ20Rレンズを用いて断面から20倍で観察することによって、前記厚み方向の断面における外面繊維層1及び2の境界を判断することができる。
より具体的には、
図5に示すような断面観察において、前記厚み方向の断面を示した繊維層のうち、台座201に接触している範囲を外面繊維層2の平面方向の長さT3(又はT6)と画定し、それぞれの境界(両端縁)をS2と規定する。前記厚み方向の断面にされた繊維層のうち、厚紙202に接触している範囲を外面繊維層1の平面方向の長さT2(又はT5)と画定し、それぞれの境界(両端縁)をS1と規定する。なお、従来のフラットな不織布の場合は断面観察すると通常台座201にも厚紙202にも、どの断面でも接触をしている。このときは、T2およびT3(又はT5およびT6)の概念は存在しない。
また、前記厚み方向の断面を示した繊維層において、連結部3の平面方向の長さT1(又はT4)を確定する。本実施形態においては、連結部3は、第1面側Z1の外面繊維層1及び第2面側Z2の外面繊維層2の端部同士を厚み方向に繋ぐように配在されている。この連結部3の平面方向の長さT1(又はT4)は、隣り合ったT2およびT3の間(又はT5およびT6の間)の長さとなる。より具体的には、外面繊維層1及び2の平面方向における長さの境界(端縁)S1とS2とを厚み方向に伸ばした仮想線間に挟まれる断面繊維層の平面方向の長さを連結部3の平面方向の長さT1(又はT4)とする。なお、T2、T3の間(又はT5、T6の間)にT1(又はT4)の長さが存在しない場合(すなわち、境界S1とS2とが重なる場合)はT1(又はT4)の長さは0とする。ただし、連結部3が外面繊維層1、2に対して垂直な配置に近づく
と、図
3及び図
4に示すように、連結部3の平面方向の長さT1(又はT4)は、外面繊維層1,2の平面方向の長さT2とT3(又はT5とT6)とが一部重なる部分の長さとなる。
それぞれ断面観察により画定される各平面方向の長さT1、T2、T3(又はT4、T5、T6)は、それぞれ4か所測定を行い、平均値をその長さとする。
【0021】
(3)外面繊維層1及び2並びに連結部3の繊維の縦配向率の測定
外面繊維層1及び2並びに連結部3の繊維の縦配向率は、それぞれのT1、T2、T3の範囲の部位に対し、下記の手順で測定を行う。
すなわち、厚み方向の断面において画定された外面繊維層1の平面方向の長さT2(又はT5)、外面繊維層2の平面方向の長さT3(又はT6)、連結部3の平面方向の長さT1(又はT4)それぞれの領域を、厚み方向の断面をSEM(日本電子株式会社製JCM−6000Plus)で35倍に拡大して観察する。観察画像に基準線として0.5mm×0.5mmの正方形の線を作製する。正方形の各辺(基準線)は、不織布断面における厚み方向及び平面方向それぞれと直交する辺とする。正方形の各辺からなる基準線に繊維が通過する延べ本数をそれぞれ数える。不織布の平面方向に直交する正方形の基準線を通る繊維を「横繊維本数」、不織布の厚み方向に直交する正方形の基準線を通る繊維を「縦繊維本数」と定義する。縦配向率として、(縦繊維本数)/(横繊維本数+縦繊維本数)×100=縦配向率(%)として算出する。それらを各4点測定し、平均したものを縦配向率の値とする。外面繊維層および連結部をそれぞれ切出し測定する。
【0022】
本実施形態の不織布10は、平面配向する第1面側Z1の外面繊維層1及び第2面側Z2の外面繊維層2と、厚み配向する連結部3とが互いに融着していることにより、次のような従来にない適度な弾力性と優れたクッション性を有する。
すなわち、連結部3の繊維の配向性により、不織布10の一方の面側(例えば第1面側Z1)を指で撫でる程度(100Pa未満の力である。)では繊維の剛性により沈み込まず、弾力が高いものとなる。本実施形態10の不織布は、この連結部3の厚み方向及び前述の外面繊維層1及び2の平面方向のそれぞれの繊維、部位同士の繊維が融着して面を構成しているため、触ったときの弾力が高く、クッション感が従来の凹凸不織布よりもはるかに高い。触れた指には不織布がふくよかで厚み感のあるものであると感じることができる。
さらに不織布10の一方の面側に厚み方向に押し込む押圧力(吸収性物品の表面シートを使用時に触ることを想定した力であり、2.5kPa程度の力である。)が加わると、該押圧力は、力点付近から平面方向に分散するよりも厚み方向に集中して作用しやすくなる。これに対し、従来の縦配向率が低い一般的な凹凸不織布では、力は平面方向に分散され、前述したように変形量と押圧力に相関があり、本発明のような適度な弾力性が得られなかった。しかし、本実施形態の不織布10においては、高い縦配向率を連結部3が有することで押圧力は、連結部3において繊維の配向方向に沿った方向に伝わる。その結果、押圧力によって、連結部3全体が倒れるような変形ではなく、連結部3の中間位置で前述した座屈現象に近い変形(屈曲)が生ずる。これにより、不織布10の立体構造が平面状に潰れる(へたる)変形が回避され、坪量を増やさずとも優れたクッション性が得られる。そして押圧力の集中により、不織布10の沈み込む圧縮変形量が従来のものよりも大きくなる。しかも、このような圧縮変形は、不織布10の力点付近での部分的な沈み込みとして生じる。具体的には、例えば人の指で押した場合、その領域及びその周辺を含めた指の大きさとほぼ同面積の4cm
2範囲の領域が厚み方向に沈み込み、他の領域では変形が抑えられ厚みが保持されやすい。これにより、高荷重時の深い沈み込みが、不織布10の限定された範囲で生じ、不織布10全体の立体構造が保持されて、不織布10のふっくらした柔らかさが保持され得る。さらに、これにより押した指の周りには厚みのある不織布に包まれているような感覚が得られる。風合いは指の腹だけでなく周りでも感じていると言われている(日本バーチャルリアリティ学会論文誌 Vol.9, No.2, 2004、指先の接触面積と反力の同時制御による柔軟弾性物体の提示)。そのため、全体の包まれる感触によってさらに風合いがよいものだと感じていると考えられる。
加えて、不織布10は、連結部3の前述の融着する繊維の縦配向性により、圧縮変形後の厚み回復性に優れる。すなわち、前記押圧力による圧縮変形が解かれると、連結部3の繊維の弾性によって不織布10は元の見掛け厚みを回復する。これにより、不織布10は繰り返し触っても、クッション性が戻り、該クッション性の持続力が高い。その結果、不織布10は、触って一旦変形しても、手を放すとすぐに厚みが戻りやすく、弾力性のある心地よい風合いのよいものとなる。
【0023】
不織布10において、連結部3による不織布10に与える前述の適度な弾力及び圧縮変形(座屈変形)の発現にとって、外面繊維層1及び2との組み合わせが有効である。直接表面を触るとき、仮に縦配向率が高い連結部のみの場合、いわゆる柱が並んでいるだけの構造となる。それらは横に倒れやすく、座屈変形が生じるように厚み方向に適切に力が必ず加わるとは言い難い。しかし本実施形態の不織布10においては、平面方向の繊維が橋渡しのようにつながっていることで、厚み方向に押圧力が集中しやすい。すなわち、外面繊維層1及び2が前記で定義した平面方向の繊維配向を有し、連結部3と繊維の融着で接続されていることで、連結部3に応力が集中しやすい。例えば、押圧力を第1面側Z1から加えた場合、押圧力が最も顕著に加えられる外面繊維層1が過度に変形せずに、繊維の融着で接続された連結部3に応力が伝わる。外面繊維層1に加わる押圧力は、たとえ連結部3の繊維の配向方向に対して偏心荷重となる場合でも、連結部3が好適に座屈変形できるように作用する。また、第2面側Z2の外面繊維層2は、連結部3を介して伝わる押圧力で過度に変形せずに、繊維の熱融着で接続された連結部3の終着部位として該連結部3の根元を下支えする。これにより、不織布10の一方の面に加わる押圧力は、不織布10全体の立体構造を潰すことなく、押圧力の力点付近に限定された圧縮変形(座屈変形)を効果的に発現することができる。
また平面方向に配向された外面繊維層はクッション感以外の風合いを向上させる作用も有する。風合いを確かめるときなどに人は押す動作以外にも撫でる動作を行う。この場合に撫でる方向に沿っている配向をもつ外面が存在することで、より滑らかな風合いを実現している。平面方向への配向で滑らかさ、厚み方向で座屈を有したクッション感をもつことで、不織布10は従来にはない感触を実現している。また、撫でる力に対しては連結部3の弾力が作用して、不織布10の厚み(嵩高さ)が保持され、滑らかな風合いをより感じやすくする。また、前記弾力によるふっくらした風合いをも同時に感じることができる。
【0024】
不織布10は、外面繊維層1、2と連結部3とからなる厚み方向の立体構造によって、繊維量を増加させずに、クッション性を付与するに十分な厚み(嵩高さ)を備えるものとなる。そのため、不織布10は、単に繊維量を増やして厚みを持たせたものよりも柔軟性があり、かつ単位体積あたりの繊維量が少なくなり、空間が多くなるので、圧縮変形量をより大きくすることができるためにクッション感を感じられ風合いがよい。また、前述した繊維の配向により、適度な弾力性があり、風合いに優れたクッション性を備える。
【0025】
不織布10は、柔軟性とクッション性とを優れたものとする観点から、見掛け厚み及び坪量について次の範囲であることが好ましい。
不織布の見掛け厚みは、1.5mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましく、3mm以上が更に好ましい。また、見掛け厚みの上限は特に制限されるものでは無いが、吸収性物品の表面シートとして使用する場合に、携帯性等に優れたものとする観点から、10mm以下が好ましく、9mm以下がより好ましく、8mm以下が更に好ましい。
前記見掛け厚みを有する不織布10全体の坪量は、100g/m
2以下が好ましく、60g/m
2以下がより好ましく、40g/m
2以下が更に好ましい。また、坪量の下限は特に制限されるものでは無いが、不織布の地合を担保する観点から、8g/m
2以上が好ましく、10g/m
2以上がより好ましく、15g/m
2以上が更に好ましい。
【0026】
(不織布10の見掛け厚み、坪量の測定方法)
(1)不織布の見掛け厚み測定方法:
測定対象の不織布を10cm×10cmに切る。10cm×10cmがとれない場合はできるだけ大きな面積に切る。レーザー厚み計(オムロン株式会社製ZSLD80)を使用し、50Paの荷重時の厚みを測定する。三箇所測定し、平均値を不織布10の見掛け厚みとする。
(2)不織布の坪量測定方法:
測定対象の不織布を10cm×10cmに切る。10cm×10cmがとれない場合はできるだけ大きな面積に切る。天秤を用いて、重さを測定、面積で割り坪量とする。
(3)なお上記(1)及び(2)の測定において、市販の吸収性物品を使用する場合は、コールドスプレー等の冷却手段で吸収性物品に用いられている接着剤を固化させ、測定対象の不織布を丁寧に剥がして測定する。この際、接着剤は有機溶媒を用いて取り除く。この手段は、本願明細書における他の不織布の測定に関して、すべて同様である。
【0027】
不織布10において、上記の作用をより効果的に発揮する観点から、連結部3を次のものとすることが好ましい。すなわち、
図3に示すように、不織布10の厚み方向の断面において、連結部3の平面方向の長さT1を、第1面側Z1の外面繊維層1及び第2面側Z2の外面繊維層2それぞれの平面方向の長さT2及びT3よりも短くすることが好ましい。これは、外面繊維層1及び外面繊維層2の端縁が連結部3に接続されていて、接続された連結部3の傾きが上記範囲内に限定されてより厚み方向に沿っていることを意味する。これにより、外面繊維層1又は2が厚み方向に押し込まれたときに、連結部3が倒れ難く、前述した座屈変形がより明確に生じやすく、クッション性がより優れたものとなる。
【0028】
次に、本実施形態における不織布10のより具体的な構造について
図1、
図3、
図4及び
図6を参照して説明する。
【0029】
本実施形態において、第1面側Z1の外面繊維層1は2種の部分を有する。該2種の部分は、第1面側Z1に配される、第1外面繊維層11と第2外面繊維層12である。これらは、不織布10の平面視交差する異なる方向のそれぞれに沿って延出する長さを有する。延出する方向は、不織布10の辺に沿う互いに直交するX方向とY方向である。Y方向は不織布10の長手方向であり、X方向は不織布10の幅方向である。
前記2種の部分のうち、一方の第1外面繊維層11は、不織布10の平面視において、Y方向に連続して延出し、不織布10の長さ全体に亘って連続している。Y方向に延出した第1外面繊維層11は、Y方向と直交するX方向について、複数互いに離間して配されている。
他方の第2外面繊維層12は、X方向に延出しており、X方向に離間して並列する第1外面繊維層11、11の間を繋いで配されている。「第1外面繊維層11、11間を繋いで」いるとは、第1外面繊維層11を挟んで隣り合う第2外面繊維層12同士が直線状に並んでいることをいう。具体的には、第2外面繊維層12のX方向に延びる幅中心線と、第1外面繊維層11を挟んで隣り合った第2外面繊維層12のX方向に延びる幅中心線とのズレが、第2外面繊維層12の幅(Y方向の長さ)の範囲であることをいい、例えば5mm以内であることをいう。第2外面繊維層12は、第1外面繊維層11よりも第1面側Z1の位置が若干低く形成されている。そのため第2外面繊維層12は、第1外面繊維層11の介在によりX方向の長さが分断され、複数互いに離間しながらX方向に列をなしている。また、第2外面繊維層12の幅(Y方向の幅)は、第1外面繊維層11の幅(X方向の幅)よりも狭くされている。このような第2外面繊維層12のX方向の列は、更にY方向について複数互いに離間して配されている。なお、第2外面繊維層の形状は本実施形態のものに限定されず、例えば、前記第1面側Z1の位置や幅を第1外面繊維層11と同様にしてもよい。ただし、第2外面繊維層12を本実施形態のものとすることにより、押圧力の平面方向への波及を抑えることができ好ましい。
【0030】
なお、上記のように外面繊維層1が延出方向の異なる複数の部分を具備するとき、延出方向とされる「平面視交差する異なる方向」はX方向及びY方向に限定されない。不織布10の平面方向における交差する方向であれば種々の態様をとり得る。上記のクッション性をより優れたものとする観点及び連結部の縦配向繊維が作成しやすい観点から、「平面視交差する異なる方向」の交差角度は、不織布を表面繊維の機械流れ(Machine Direction;MD)方向とこれに直交する幅方向(Cross Direction;CD)との交差角度(90°)が最も好ましい。
【0031】
第2面側Z2の外面繊維層2は、複数互いに離間して配されている。具体的には、第2面側Z2の外面繊維層2は、第1面側Z1の第1外面繊維層11、11の間の離間空間を覆い、外面繊維層11の延出方向(Y方向)に沿って複数互いに離間して列をなしている。さらに、外面繊維層2のY方向の列は、Y方向と直交するX方向に、複数互いに離間して配されている。すなわち、外面繊維層2はX方向にも配列されている。このように外面繊維層2の配列方向は、外面繊維層1の延出方向に一致している。そのため、外面繊維層1の延出方向が上記X方向及びY方向と異なる方向を取る場合、外面繊維層2の配列方向もこれに応じて上記X方向及びY方向と異なる方向となる。
【0032】
加えて、連結部3は2種の部分を有する。1つは、第1面側Z1の第1外面繊維層11と第2面側Z2の外面繊維層2とを厚み方向に繋ぐ第1連結部31である。もう1つは、第1面側Z1の第2外面繊維層12と第2面側Z2の外面繊維層2とを厚み方向に繋ぐ第2連結部32である。連結部3(第1連結部31及び第2連結部32)は、外面繊維層1及び2の離間配置に合わせて、不織布10の平面方向に複数互いに離間して配されている。
【0033】
連結部3は、不織布10の厚み方向の高さと、第1面側Z1の外面繊維層1及び第2面側Z2の外面繊維層2の延出方向に沿う不織布10の平面方向の延出長さ(幅)を備えた壁面を有する。連結部3は該壁面によって外面繊維層1、2間を繋いでおり、該壁面が不織布10の平面視交差する異なる複数の方向に沿って配されている。具体的には、第1連結部31は、第2面側Z2の外面繊維層2のY方向の辺に一致する長さ(幅)を有し、第1面側Z1の第1外面繊維層11の延出方向に沿った壁面を備える。すなわち、第1連結部31の壁面はY方向に沿って配されている。一方、第2連結部32は、第2面側Z2の外面繊維層2のX方向の辺に一致する長さ(幅)を有し、第1面側Z1の第2外面繊維層12の延出方向に沿った壁面を備える。すなわち、第2連結部32の壁面はX方向に沿って配されている。このように連結部3(第1連結部31及び第2連結部32)の壁面の沿う方向は、外面繊維層1の延出に一致している。そのため、外面繊維層1の延出方向が上記X方向及びY方向と異なる方向を取る場合、連結部3の壁面の沿う方向もこれに応じて上記X方向及びY方向と異なる方向となる。
【0034】
連結部3は、第1面側Z1の外面繊維層1及び第2面側Z2の外面繊維層2の端部同士を繋ぐ。より詳細には、第1連結部31は、第1外面繊維層11の端部11A及び外面繊維層2の端部2Aを繋いでいる。このとき、
図3を参照して前述したように、第1連結部31の平面方向の長さT1が、第1外面繊維層11及び外面繊維層2それぞれの平面方向の長さT2及びT3よりも短いことが好ましい。一方、第2連結部32は、第2外面繊維層12の端部12A及び外面繊維層2の端部2Aを繋いでいる。このとき、上記と同様に
図4に示すように、第2連結部32の平面方向の長さT4が、第2外面繊維層12及び外面繊維層2それぞれの平面方向の長さT5及びT6よりも短いことが好ましい。
連結部3が外面繊維層1及び外面繊維層2の端部同士を繋ぐことにより、外面繊維層1に加わる押圧力の連結部3に対する偏心荷重がより明確になる。このとき、平面方向の繊維配向を有する外面繊維層1及び2と厚み方向の繊維配向を有する連結部3との組み合わせにおいて、荷重が端部に効率的に作用し、押圧力の方向がより厚み方向に集中して変形挙動が座屈挙動をとりやすくなる。
【0035】
壁面の向きが異なる第1連結部31及び第2連結部32はいずれも、前記で定義する、繊維が不織布10の厚み方向に配向した部分である。すなわち、連結部3は、不織布10の平面方向におけるいずれの方向に壁面が向いていても(延出方向がいずれの方向であっても)、繊維が厚み方向に配向している。従来の不織布のように基本的にランダムに繊維が配向し融着された不織布を凹凸に賦形するだけでは、このように異なる複数の方向に向いた連結部3を厚み方向に配向したものとすることはできない。仮に配向があったとしても不織布製造時の機械流れ(MD)方向の1方向のみとなる。これに対し、本実施形態の不織布10は、どの方向に向く連結部3(本実施形態においては互いに直交する面を持つ連結部31及び32)においても前記で定義する、厚み方向の繊維配向を有する。
これにより、押圧力が垂直に加わる場合に限らず、傾斜した方向に加わる場合や多方向のせん断力として加わる場合でも、連結部3における前述した座屈変形が好適に生じて不織布10の適度な弾力性を伴う優れたクッション性が発現する。
【0036】
不織布10は、連結部3(本実施形態においては2つの第1連結部31と2つの第2連結部32)に囲まれた空間部4を有する。空間部4は、第1外面繊維層11と第2外面繊維層12とで区画される第1面側Z1の領域から、第2面側Z2の外面繊維層2までの厚み方向の領域にある。空間部4は、第2面側Z2の外面繊維層2を底部とし、第1面側Z1に開口している。不織布10は空間部4を有することにより、連結部3の座屈変形が更に生じやすくなり好ましい。加えて、弱い押圧力(例えば、吸収性物品の表面シートを触ることを想定した2.5kPa程度の力)でも沈み込むクッション感が得られ、不織布10の風合いがより柔らかいものとなり好ましい。空間がなく、すべてが縦配向の繊維に覆われている場合、より硬いものとなりクッション感が得られない。
【0037】
空間部4は、第2面側Z2の外面繊維層2の四辺から立設された4つの連結部3に囲まれてなる。そのため、空間部4は、外面繊維層2のX方向及びY方向の配列に対応して、複数互いに離間して配列されている。この配列において、空間部4同士は互いに連通することなく独立している。本実施形態において、空間部4を囲む4つの連結部3と外面繊維層2とがなす形状は角柱体又は錐台の形状とされている。ただし、空間部4の形状はこれに限定されることなく、後述の作用を奏する限り、円柱状等、種々の形状とすることができる。触るときの荷重を分散させるために、底面が正方形もしくは円形の柱体がより好ましい。
【0038】
空間部4を囲む連結部3は、押圧力で倒れずに座屈変形を良好に発現するため、いずれも同程度に傾いていることが好ましい。つまり、連結部3は、空間部4を囲む少なくとも周囲4方向のものが、不織布10の厚み方向の断面であって、かつ、空間部4の中心を通る断面において、同じ平面方向の長さを有することが好ましい。具体的には、第1連結部31の平面方向の長さT1(
図3)と第2連結部32の平面方向の長さT4(
図4)が同じ長さ(T1=T4)であることが好ましい。これにより、いずれの連結部3においても押圧力の伝わり方が等しくなり、どの方向から押圧力が伝わっても座屈変形が良好に生じ得る。加えて、等しくされた長さT1及びT4は、外面繊維層1及び2の平面方向の長さ(T2、T3、T5及びT6)との関係を前述したものとすることが好ましい。これにより空間部4を囲む4つの連結部3と外面繊維層2とがなす形状が錐台の形状であっても、空間部4における上下底面の面積差が小さく抑えた形状となる。その結果、空間部4を囲むいずれの連結部3においても、押圧力が繊維の厚み方向の配向方向に沿って伝わりやすく、座屈変形が生じやすくなる。
【0039】
第1連結部31の平面方向の長さT1と第2連結部32の平面方向の長さT4とが同じであるというとき、両者の差(|T1−T4|)が2mm以下であることを言い、上記した連結部3の座屈変形を良好なものとする観点から、1mm以下がより好ましく、0(ゼロ)mmであることが更に好ましい。
第1面側Z1の外面繊維層1の平面方向の長さ(T2又はT5)に対する連結部3の平面方向の長さ(T1又はT4)の比(T1/T2又はT4/T5)は、上記した連結部3の座屈変形を良好なもの、さらには風合いを柔らかくする観点から、0.9以下が好ましく、0.75以下がより好ましく、0.5以下が更に好ましい。前記比(T1/T2又はT4/T5)は、小さいほど好ましい。座屈変形を首尾よく起こす観点から、0超が好ましく、0.001以上がより好ましく、0.01以上が更に好ましい。
また、第2面側Z2の外面繊維層2の平面方向の長さ(T3又はT6)に対する連結部3の平面方向の長さ(T1又はT4)の比(T1/T3又はT4/T6)も、下面に平行な繊維を設けて不織布構造を安定に保ち、かつ上記した連結部3の座屈変形を良好なものとする観点から、上述の比(T1/T2又はT4/T5)と同様に、0.9以下が好ましく、0.75以下がより好ましく、0.5以下であることが更に好ましい。前記比(T1/T3又はT4/T6)は、小さいほど好ましい。また、0超が好ましく、0.001以上がより好ましく、0.01以上が更に好ましい。
【0040】
また、空間部4の存在により、押圧力の不織布10の平面方向への波及が抑えられる。これにより、不織布10において、前述した押圧力の力点付近の狭い領域に限定された圧縮変形(座屈変形)をより効果的に発現させることができる。このとき、空間部4を囲む連結部3同士の交差部分があることで、前記で定義される厚み方向の繊維配向と相俟って、不織布10全体の立体構造が維持されやすい。これにより連結部3の交差部分以外で座屈変形が生じた後の形状回復性が高く、クッション性を更に高めることができる。
【0041】
さらに、空間部4が第1面側Z1に開口していることにより、押圧する人の身体、例えば指の肌表面が部分的に入ることができる。これにより、第1面側Z1から不織布10を押したときに、連結部3の座屈変形に伴う外面繊維層1の沈み込みのクッション感とともに、空間部4の部分において、よりふんわりとした感触を得ることができ好ましい。また、身体の肌表面が空間部4に重なると、空間部4の縁にある連結部3に押圧力が集中して連結部3の座屈変形がより生じやすくなる。これにより、不織布10のクッション性がより好ましいものとなる。さらに見た目にも、開口していることで立体感を生み出し、心理的にも風合いがよいように見える。また、吸収性物品の表面シートとして使用した際には開口は通気性の高さを想起させ、快適感を与える。さらに空間が保持されることで空気の通り道を作り、通気性が実際によく蒸れを抑える。
【0042】
本実施形態において、複数の独立した空間部4は、互いに離間しながら第1外面繊維層11によってY方向に連接されている。これにより、不織布10の第1面側Z1の面の形状が保持されやすく、押圧後の形状回復性がより優れたものとなり好ましい。また、第1外面繊維層11と第2外面繊維層12とが第1面側Z1における高さを異ならせていることにより、押圧力の不織布10の平面方向への波及が抑えられて好ましい。
【0043】
空間部4は、上記の作用を効果的に発現する観点から、不織布10の第1面側Z1の面に占める面積率としては、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、15%以上が更に好ましい。また、空間部4の前記面積率は、不織布の強度を担保する観点から、90%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、70%以下が更に好ましい。具体的には、空間部4の前記面積率は、5%以上90%以下が好ましく、10%以上80%以下がより好ましく、15%以上70%以下が更に好ましい。
(空間部4の面積率の測定方法)
株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープ(VHX−900)およびVHZ20Rレンズを用いて上面から測定する部位が十分に視野に入り測定できる大きさ(10倍以上100倍以下)に拡大し、上面にピントを合わせた際に下面にもピントが合う場合は、ピントが合わない場所にある繊維領域または繊維のない領域を空間部として、空間部4の面積を測定、全体から割合を算出して面積率とする。上面と下面に同時にピントが合わないときは、それぞれピントを合わせて、双方にピントが合わない領域又は繊維のない領域を空間部とする。
【0044】
本実施形態において、第1面側Z1の外面繊維層1及び第2面側Z2の外面繊維層2それぞれの離間配置により、不織布10は凹凸形状を備える。この凹凸形状は、第1面側Z1の凹凸形状8と第2面側Z2の凹凸形状9を有する。第1面側Z1の凹凸形状8は、連結部3の厚み高さに相当する深さを有し、外面繊維層2を底部とする、第1面側Z1に開口する凹部81を有する(
図3、4及び6(A)参照)。第2面側Z2の凹凸形状9は、連結部3の厚み高さに相当する深さを有し、外面繊維層1を底部とする、第2面側Z2に開口する凹部91を有する。凹部91は、外面繊維層1の2種それぞれに対応して、凹部91A及び凹部91Bを有する(
図3、4及び6(B)参照)。
凹部91Aは、第1外面繊維層11に対応する第2面側Z2の領域にあり、不織布のY方向(長手方向)に沿う第1連結部31、31間の空間を有する。凹部91Aは、第1外面繊維層11の延出方向に沿ってY方向に連続している。
凹部91Bは、第2外面繊維層12に対応する第2面側Z2の領域にあり、不織布のX方向(幅方向)に沿う第2連結部32、32間の空間を有する。凹部91Bは、第2外面繊維層12の配列方向に沿ってX方向に連続している。
Y方向の凹部91AとX方向の凹部91Bとは、交差する部分で空間を共有し、不織布10全体として第2面側Z2に格子状の空間を形成している。これにより第1面側Z1及び第2面側Z2の凹凸形状が配されている。上記の第1面側Z1及び第2面側Z2の凹凸形状により、座屈に必要な形状を保持し、風合いが向上する。また前述したように凹凸形状により、より指の形状に合った変形が見込める。指の形状に沿った変形によって、人はよりよい風合いを感じることができる。
【0045】
外面繊維層1と外面繊維層2とは、一方よりも他方(即ち、外面繊維層1及び外面繊維層2における一方よりも他方)の繊維量が少なくされていることが好ましい。具体的には、第1面側Z1の外面繊維層1よりも製造時において熱風があてられた第2面側Z2の外面繊維層2の繊維量が少ないことが好ましい。これにより、触る表面には繊維が多く、滑らかな風合いが感じられる。一方で触らない裏面には形状を保持できる最低限の繊維を配置することで、より表面への繊維を多くできる。また裏面の繊維を少なくすることで、吸収性物品の表面シートに用いる際に、繊維が吸収を阻害せず効率的に液体を吸収する。また、通気性も向上できる。これらは通常の融着前のウエブを引き延ばすことで繊維の分布を発生させることができる。上下層に分布を与えたければ、ウエブを上下に引っ張ることで実現できる。例えば凹凸をもった噛み合うロールに挟むことで、上下に引っ張られ、上方もしくは下方に繊維がより多く分布する状態を得られる。
【0046】
上記作用をより好ましいものとする観点から、第1面側Z1の外面繊維層1の繊維量は第2面側Z2の外面繊維層2の繊維量の、1.1倍以上が好ましく、1.5倍以上がより好ましく、2倍以上が更に好ましい。また、外面繊維層2の形状を保持する観点から、第1面側Z1の外面繊維層1の繊維量は第2面側Z2の外面繊維層2の繊維量の、20倍以下が好ましく、10倍以下がより好ましく、5倍以下が更に好ましい。
【0047】
(外面繊維層1及び外面繊維層2の繊維量の測定方法)
不織布の外面繊維層1にあたる部位、外面繊維層2にあたる部位をそれぞれ切出し、質量を測定し、切出した面積で除して繊維量(坪量)(g/m
2)とする。
【0048】
外面繊維層1と外面繊維層2とに関し、一方の面側よりも他方の面側の繊維同士の融着点が多いことが好ましい。具体的には、第1面側Z1の外面繊維層1よりも製造時において熱風があてられた第2面側Z2の外面繊維層2の繊維同士の融着点が多いことが好ましい。これにより、第2面側Z2の外面繊維層2は押圧力の吸収力が高く、不織布10全体にコシを与えてへたり込まないように作用する。加えて、不織布10は、融着点の多い第2面側Z2の外面繊維層2により形状保持され、厚みが高くなりクッション感が感じられやすい。また第1面側Z1の外面繊維層1では融着点が少ないことでより滑らかな風合いになる。なお、本実施形態においては、製造時に熱風があてられた面が第2面側Z2であるとしているが、不織布10と同一の形状を有していても、第1面側Z1から熱風をあて、第1面側Z1の繊維同士の融着点が多くなるようにしてもよい。
【0049】
次に、本実施形態の不織布10の製造方法の好ましい一実施形態について、
図7を参照して以下に説明する。
本実施形態の不織布10の製造方法においては、不織布化する前の繊維ウエブ110を賦形するための支持体雄材120と支持体雌材130とを用いる。
図7(A)に示すように、支持体雄材120の上に繊維ウエブ110を載置し、繊維ウエブ110の上から支持材雌材130で抑えて挟み込んで賦形する。
【0050】
支持体雄材120は、不織布10の空間部4を囲む4つの連結部3及び第2面側Z2の外面繊維層2が賦形される位置に対応して複数の突起121を有する。突起121、121間は、第1面側Z1の外面繊維層1が賦形される位置に対応する凹部122とされている。これにより、支持体雄材120は凹凸形状を有しており、突起121と凹部122とが平面視異なる方向に交互に配されている。凹部122の底部123は熱風が吹き抜ける構造となっており、例えば複数の孔が配されている(図示せず)。なお、前記「異なる方向」は、不織布10を製造する支持体としては、不織布10におけるY方向(長手方向)とX方向(幅方向)に一致する方向であることが好ましい。Y方向は本製造方法における機械流れ方向に相当し、X方向は機械流れ方向に直交する幅方向に相当する。ただし「異なる方向」は、本発明の不織布の凹凸構造によって異なるものであり、Y方向及びX方向に限定されない。
【0051】
支持体雌材130は、支持体雄材120の凹部122に対応する格子状の突起131を有する。突起131、131間は、支持体雄材120の突起121に対応する凹部132とされている。これにより、支持体雌材130は凹凸形状を有しており、突起131と凹部132とが平面視異なる方向に交互に配されている。凹部132の底部133は熱風が吹き抜ける構造となっており、例えば複数の孔が配されている。突起131、131間の距離は、支持体雄材120の突起121の幅よりも広くされている。その距離は、支持体雄材120の突起121と支持体雌材130の突起131とで繊維ウエブ110を挟み込んで繊維が厚み方向に配向する連結部3を好適に賦形できるよう適宜設定される。
【0052】
まず、本実施形態においては、融着する前の繊維ウエブ110を所定の厚みとなるようカード機(図示せず)からウエブを賦形する装置に供給する。
【0053】
次いで、
図7(A)に示すように、支持体雄材120上に、熱可塑性繊維を含む繊維ウエブ110を配し、繊維ウエブ110上から、支持体雌材130を支持体雄材120に押し込む。このとき、支持体雄材120の突起121と支持体雌材130の凹部132とが嵌合する。また、支持体雄材120の凹部122と支持体雌材130の突起131とが嵌合する。これにより繊維が厚み方向と平面方向に配向された形状を作る。
【0054】
この状態で、
図7(B)に示すように支持体雌材130の側から繊維ウエブ110に対し第1の熱風W1を吹き付ける。すなわち、不織布10における第2面となる側から第1の熱風W1を吹き付ける。これにより、繊維ウエブ110は不織布10の凹凸形状を保持可能な程度に融着される。繊維ウエブ110においては、繊維同士が極めて緩く融着している状態となっている。
繊維ウエブ110においては、不織布とは異なり、繊維の移動の自由度が高い。そのため、支持体雄材120の突起121の周囲のいずれの方向に向いた面においても繊維が厚み方向(縦方向)に配向しやすくされている。
より具体的には、繊維ウエブ110に向けて支持体雌材130側から第1の熱風W1を吹き付けると、支持体雄材120の突起121の壁面と支持体雌材130の突起131の壁面との間に繊維が厚み方向に配向する、第1不織布層5の連結部3が賦形される。このとき、繊維ウエブ110では繊維同士の交点の融着が形成されていないので、繊維の移動性が高く、繊維の向きを第1の熱風W1の吹き抜け方向に揃えることができる。より具体的には、
図7(B)及び
図8に示すように、支持体雄材120の突起121の四方の壁面とこれを囲む支持体雌材130の突起131の壁面とに挟まれた領域で、繊維ウエブ110の繊維が揃えられる。すなわち、突起121の機械流れ方向(Y方向)に沿う壁面131A、幅方向(X方向)に沿う壁面131Bのいずれにおいても、面の向きに関係なく、繊維が第1の熱風W1の吹き抜け方向に揃えられる。これにより、不織布10の連結部3における繊維が厚み方向に配向した構成を形成することができる。
さらに、突起121の頂部と凹部132の底部との間では、第1の熱風W1の吹き抜けが抑えられ、繊維が平面方向で融着される。これにより、第2面側Z2の外面繊維層2に相当する繊維層が賦形される。また、凹部122の底部と突起部131の頂部との間で、繊維が平面方向に配向する。突起部131は熱風を阻害しているので、形成される繊維層には融着が少なく、滑らかな繊維層が得られる。これにより、第1面側Z1の外面繊維層1に相当する繊維層が賦形される。このとき厚み方向に配向している連結部の形状も保持される。
なお、図面矢印は第1の熱風W1の流れを模式的に示している。
【0055】
第1の熱風W1の温度は、熱可塑性繊維が厚み方向と平面方向に形状を保持できる温度に設定される。この種の製品に用いられる一般的な繊維材料を考慮すると、繊維ウエブ110を構成する熱可塑性繊維の融点に対して0℃以上70℃以下高いことが好ましく、5℃以上50℃以下高いことがより好ましい。
第1の熱風W1の風速は、効果的に融着させる観点から、2m/s以上が好ましく、3m/s以上がより好ましい。また、第1の熱風W1の風速は、装置規模をコンパクトにできる観点から、100m/s以下が好ましく、80m/s以下がより好ましい。
このようにして、繊維ウエブ110を仮融着させて凹凸形状に保持する。
【0056】
なお、支持体雄材120の突起121の高さ及び支持体雄材130の突起131の高さは、製造する不織布10の見掛け厚み等によって適宜決定される。例えば、2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、5mm以上が更に好ましく、また、15mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、9以下が更に好ましい。具体的には、2mm以上15mm以下が好ましく、3mm以上10mm以下がより好ましく、5mm以上9mm以下が更に好ましい。
【0057】
次に、支持体雌材130を取り外し、
図7(C)に示すように、凹凸形状に賦形された繊維ウエブ110の各繊維が適度に融着可能な温度の第2の熱風W2を吹きつけて、繊維同士をさらに融着させる。この場合も第1の熱風W1と同様に、繊維ウエブ110に対し、不織布10における第2面となる側から第2の熱風W2を吹き付ける。このときの第2の熱風W2の温度は、この種の製品に用いられる一般的な繊維材料を考慮すると、繊維ウエブ110を構成する熱可塑性繊維の融点に対して0℃以上70℃以下高いことが好ましく、5℃以上50℃以下高いことがより好ましい。
第2の熱風W2の風速は、支持体雄材120の突起121の高さにもよるが、2m/s以上が好ましく、3m/s以上がより好ましい。これにより、繊維への熱伝達を十分なものとして繊維同士を融着させ、凹凸形状の固定を十分なものとすることができる。また、第2の熱風W2の風速は、100m/s以下が好ましく、80m/s以下がより好ましい。これにより、繊維へ過度な熱伝達を抑えて、不織布10の風合いを良好なものとすることができる。
なお、支持体雌材の表面粗さを小さくすることで、第1の熱風W1の吹き付けの工程を省略することが可能である。表面粗さを小さくすることで、融着していない繊維をまとわりつかせることがなく、第2の熱風W2の吹き付けの工程での支持体雌材取り外しが可能である。つまりウエブを作製後、支持体雄材と雌材を嵌合し、そのまま雌材を取り外し、第2の熱風W2によって処理をすることが可能である。これにより、より簡便な加工となる。
【0058】
熱可塑性繊維としては、不織布の素材として通常用いられるものを特に制限なく採用できる。例えば、単一の樹脂成分からなる繊維や、複数の樹脂成分からなる複合繊維などであってもよい。複合繊維としては、例えば芯鞘型、サイドバイサイド型などがある。
熱可塑性繊維として低融点成分及び高融点成分を含む複合繊維(例えば鞘が低融点成分、芯が高融点成分である芯鞘型複合繊維)を用いる場合、繊維ウエブ110に吹き付ける熱風の温度は、低融点成分の融点以上で、かつ高融点成分の融点未満であることが好ましい。より好ましくは、低融点成分の融点以上高融点成分の融点より10℃低い温度であり、さらに好ましくは、低融点成分の融点より5℃以上高く高融点成分の融点より20℃以上低い温度である。また弾力性の観点から、芯鞘型複合繊維の中でも、高融点成分である芯が多いほど弾力性が高い。そのため断面面積比で芯成分が大きいほうが好ましい。鞘が低融点成分、芯が高融点成分である芯鞘型複合繊維の具体例としては、鞘がポリエチレン(PE)、芯がポリエチレンテレフタレート(PET)である芯鞘型複合繊維が挙げられる。
【0059】
また、芯鞘型複合繊維において、芯の樹脂成分よりも鞘の樹脂成分の方が、ガラス転移温度が低い場合(以下、低ガラス転移温度樹脂という)(例えば、芯の樹脂成分がPETで鞘の樹脂成分がPE)、低ガラス転移温度樹脂成分の質量比を小さくすることで、不織布の厚みの回復性を高められる。このようになる要因としては、次のようなことが考えられる。低ガラス転移温度樹脂は、緩和弾性率が低いことが知られている。また、緩和弾性率が低いと変形に対して回復しづらいことも知られている。従って、低ガラス転移温度樹脂成分をできるだけ少なくすることによって、より高い厚み回復性を不織布に付与できると考えられる。
この芯鞘型複合繊維の場合、繊維総量における低ガラス転移温度樹脂成分(PE等)の割合は、質量比で、繊維総量におけるガラス転移温度の高い樹脂成分(PET等)の割合よりも小さいことが好ましい。具体的には、繊維総量における低ガラス転移温度樹脂成分の割合は、質量比で、45質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。低ガラス転移温度樹脂成分の割合を小さくすることで、不織布の厚みの回復性を高めることができる。また、不織布の製造上の観点から、前記割合は、質量比で、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。
このことは、
図9に示すグラフからも分かる。
図9では、芯の樹脂成分(PET)及び鞘の樹脂成分(PE)の割合を変えた場合における、不織布の1日圧縮後の回復率を示している(測定方法は、後述の実施例にて示した「(5)1日圧縮後の回復性」に示す方法による。)。なお、この不織布は
図7に示す工程を含むエアスルー製造方法によって作製した。第1の熱風W1による吹き付け処理は、温度160℃、風速54m/s、吹き付け時間6s条件で行った。第2の熱風による吹き付け処理は、温度160℃、風速6m/s、吹き付け時間6s条件で行った。作製した不織布の見掛け厚みは、「芯比30」のものが6.0mm、「芯比50」のものが6.9mm、「芯比70」のものが6.6mm、「芯比90」のものが6.0mmであった。ガラス転移温度が低いPEすなわち鞘の樹脂成分の割合が小さい(芯の樹脂成分の割合が大きい)ほど、1日圧縮後の回復率は高い。特に、鞘の樹脂成分の割合が50質量%未満(芯の樹脂成分の割合が50質量%超)になると、1日圧縮後の回復率が70%以上となり好ましい。
【0060】
以上説明したようにして、不織布10が作製される。支持体雄材120の突起122と支持体雌材130の突起131との間においては、繊維ウエブ110の繊維が揃って厚み方向に配向し、連結部3が形成される。このとき突起121の周囲のいずれの方向に向いた面においても、繊維が厚み方向(縦方向)に配向した連結部3が形成される。これにより、不織布10が有する、4つの連結部3に囲まれた空間部4が形成される。加えて、突起121の頂部と凹部132の底部との間で、繊維が平面方向に配向する第2面側Z2の外面繊維層2が形成される。また、凹部122の底部と突起部131の頂部との間に繊維が平面方向に配向する第1面側Z1の外面繊維層1が形成される。
【0061】
得られた不織布10は、
図7(C)における下側の面が第1面側Z1であり、その反対側の面が第2面側Z2となる。つまり、不織布10における第1面側Z1は支持体雄材120が配された側であり、第2面側Z2は第1の熱風W1及び第2の熱風W2が吹き付けられた側である。そのため、第1の熱風W1の吹き付け量の相違から、第1面側Z1の外面繊維層1よりも、第2面側Z2の外面繊維層2の繊維同士の融着点が多くなる。さらに、熱量の相違から、第2面側Z2の外面繊維層2の表面よりも、第1面側Z1の外面繊維層1の表面が、ざらつき感が少なく肌触りがよいものとなる。第1の熱風W1の吹き付けの工程を省略しても、第2の熱風W2からの距離により同様の効果が得られる。また、支持体を嵌合することで、支持体雌材130側の繊維(不織布10における第2面側Z2の外面繊維層2となる繊維)は引っ張られてより支持体雄材120へと向かう。そのため支持体雄材120の凹部122の底部に賦形された第1面側Z1の外面繊維層1よりも、支持体雄材120の突起121の頂部に賦形された第2面側Z2の外面繊維層2の繊維量が少なくなる。
【0062】
本実施形態の製造方法においては、不織布10の厚みは、支持体雄材120の突起121及び支持体雌材130の突起131の高さによって、適宜決定される。例えば、突起の高さを高くするとシートの見掛け厚みが厚くなり、低くするとシートの見掛け厚みが薄くなる。また、突起の高さを高くすると不織布10の繊維密度が低くなり、低くするとシートの不織布10が高くなる。
【0063】
本発明の不織布は各種用途に用いることができる。例えば、成人用や乳幼児用の使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティーライナー、尿取りパッド等の吸収性物品の表面シートとして好適に使用することができる。さらに押圧力時の変形特性に優れていることから、おむつや生理用品等の表面シートと吸収体との間に介在させるサブレイヤー、吸収体の被覆シート(コアラップシート)などとして用いることもできる。その他、吸収性物品の表面シート、ギャザー、外装シート、ウイングとして利用する形態も挙げられる。さらに、おしり拭きシート、清掃シート、フィルター、温熱具の被覆シートとして利用する形態も挙げられる。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の不織布を開示する。
【0064】
<1>
熱可塑性繊維を有し、第1面側と該第1面側の反対面側である第2面側とを有する不織布であって、
繊維が平面方向に配向した、前記第1面側及び前記第2面側の外面繊維層と、前記第1面側の外面繊維層と前記第2面側の外面繊維層との間に配在し、繊維が不織布の厚み方向に配向した複数の連結部とを有し、
前記第1面側の外面繊維層及び前記第2面側の外面繊維層と前記連結部とは相互に一部繊維が融着している不織布。
【0065】
<2>
前記連結部によって囲まれた空間部を有する前記<1>記載の不織布。
<3>
前記空間部は、前記不織布の一方の面に占める面積率として、5%以上90%以下であり、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上であり、また、空好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下である、前記<2>に記載の不織布。
【0066】
<4>
前記不織布の厚み方向の断面であって、かつ、前記空間部の中心を通る断面において、前記連結部の平面方向の長さが、前記第1面側の外面繊維層及び前記第2面側の外面繊維層の平面方向の長さよりも短い前記<2>又は<3>に記載の不織布。
<5>
前記断面において、前記第1面側の外面繊維層の平面方向の長さに対する前記連結部の平面方向の長さの比は、0超0.9以下であり、好ましくは0.75以下、より好ましくは0.5以下であり、また、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.01以上である、前記<4>に記載の不織布。
<6>
前記断面において、前記第1面側の外面繊維層の平面方向の長さに対する前記連結部の平面方向の長さの比は、0.01以上0.5以下である、前記<4>に記載の不織布。
<7>
前記断面において、前記第2面側の外面繊維層の平面方向の長さに対する前記連結部の平面方向の長さの比は、0超0.9以下であり、好ましくは0.75以下、より好ましくは0.5以下であり、また、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.01以上である、前記<4>〜<6>のいずれか1に記載の不織布。
<8>
前記断面において、前記第2面側の外面繊維層の平面方向の長さに対する前記連結部の平面方向の長さの比は、0.01以上0.5以下である、前記<4>〜<6>のいずれか1に記載の不織布。
【0067】
<9>
前記連結部が、不織布の厚み方向の高さと、前記第1面側の外面繊維層及び前記第2面側の外面繊維層の延出方向に沿う不織布の平面方向の幅とを備えた壁面を有し、該壁面が、前記不織布の平面視交差する異なる複数の方向に沿って配されている前記<1>〜<8>のいずれか1に記載の不織布。
【0068】
<10>
前記連結部は、前記空間部を囲む少なくとも周囲4方向のものが、前記不織布の厚み方向の断面であって、かつ、前記空間部の中心を通る断面において、平面方向の長さの差が2mm以下であり、好ましくは1mm以下、より好ましくは0(ゼロ)である前記<2>〜<9>に記載の不織布。
【0069】
<11>
前記連結部は、前記不織布の平面方向に複数互いに離間して配されている前記<1>〜<10>のいずれか1に記載の不織布。
<12>
前記不織布の前記第1面側及び前記第2面側それぞれにおいて、各外面繊維層が複数互いに離間して配されている前記<1>〜<11>のいずれか1に記載の不織布。
<13>
前記外面繊維層の離間配置によって前記不織布が凹凸形状を備える前記<12>に記載の不織布。
<14>
前記第1面側における前記外面繊維層は、不織布の平面視交差する異なる方向のそれぞれに沿って延出する長さを有する2種を有する前記<1>〜<13>のいずれか1に記載の不織布。
<15>
前記2種の外面繊維層のうちの一方の外面繊維層は、前記不織布の平面視において長手方向に連続して延出し、前記長手方向と直交する幅方向について、複数互いに離間して配されている、前記<14>に記載の不織布。
<16>
前記2種の外面繊維層のうちの他方の外面繊維層は、前記不織布の平面視において前記幅方向に延出して前記一方の外面繊維層の間を繋いで配されている、前記<14>又は<15>に記載の不織布。
<17>
前記他方の外面繊維層は、前記一方の外面繊維層よりも前記第1面側の位置が低くされている前記<16>に記載の不織布。
<18>
前記他方の外面繊維層の前記不織布の長手方向における幅は、前記一方の外面繊維層の前記不織布の幅方向における幅よりも狭くされている<16>又は<17>に記載の不織布。
<19>
前記第2面側の外面繊維層は、前記第1面側の外面繊維層の間の離間空間を覆い、該第1面側の外面繊維層の延出方向である前記不織布の長手方向に沿って複数互いに離間して列をなして配されている前記<14>〜<18>のいずれか1に記載の不織布。
<20>
前記第2面側の外面繊維層がなす長手方向の列は、該長手方向と直交する幅方向に、複数互いに離間して配されている前記<19>に記載の不織布。
【0070】
<21>
前記連結部は、前記第1面側の外面繊維層及び前記第2面側の外面繊維層の端部同士を繋いでいる前記<1>〜<20>のいずれか1に記載の不織布。
<22>
前記第1面側の外面繊維層及び前記第2面側の外面繊維層は、一方よりも他方の繊維量が少なくされている前記<1>〜<21>のいずれか1に記載の不織布。
<23>
前記第1面側の外面繊維層の繊維量は、前記第2面側の外面繊維層の繊維量の、1.1倍以上20倍以下であり、好ましくは1.5倍以上、より好ましくは2倍以上であり、また、好ましくは10倍以下、より好ましくは5倍以下である、前記<22>に記載の不織布。
<24>
前記第1面側の外面繊維層の繊維量は、前記第2面側の外面繊維層の繊維量の、2倍以上5倍以下である、前記<22>に記載の不織布。
【0071】
<25>
前記不織布の前記第1面側の外面繊維層及び前記第2面側の外面繊維層について、繊維が平面方向に配向するとは、各外面繊維層の厚み方向の断面における繊維の縦配向率が45%未満であることを意味する前記<1>〜<24>のいずれか1に記載の不織布。
<26>
前記不織布の前記第1面側の外面繊維層及び前記第2面側の外面繊維層について、各外面繊維層の厚み方向の断面における繊維の縦配向率が0%以上40%未満であり、好ましくは30%以上であり、また、好ましくは38%以下、より好ましくは37%以下である、前記<1>〜<24>のいずれか1に記載の不織布。
<27>
前記不織布の前記第1面側の外面繊維層及び前記第2面側の外面繊維層について、各外面繊維層の厚み方向の断面における繊維の縦配向率が30%以上37%以下である、前記<1>〜<24>のいずれか1に記載の不織布。
<28>
前記連結部の繊維が厚み方向に配向するとは、前記連結部の厚み方向の断面における繊維の縦配向率が60%以上であることを意味する前記<1>〜<27>のいずれか1に記載の不織布。
<29>
前記連結部について、該連結部の厚み方向の断面における繊維の縦配向率が63%以上90%以下であり、好ましくは65%以上、より好ましくは68%以上であり、また、好ましくは85%以下、より好ましくは80%以下である、前記<1>〜<27>のいずれか1に記載の不織布。
<30>
前記連結部について、該連結部の厚み方向の断面における繊維の縦配向率が68%以上80%以下である、前記<1>〜<27>のいずれか1に記載の不織布。
【0072】
<31>
前記不織布の見掛け厚みは、1.5mm以上10mm以下であり、好ましくは2mm以上、より好ましくは3mm以上であり、また、好ましくは9mm以下、より好ましくは8mm以下である、前記<1>〜<30>のいずれか1に記載の不織布。
<32>
前記不織布の見掛け厚みは、3mm以上8mm以下である、前記<1>〜<30>のいずれか1に記載の不織布。
<33>
前記不織布全体の坪量は、8g/m
2以上100g/m
2以下であり、好ましくは60g/m
2以下、より好ましくは40g/m
2以下であり、また、好ましくは10g/m
2以上、より好ましくは15g/m
2以上である、前記<1>〜<32>のいずれか1に記載の不織布。
<34>
前記<1>〜<33>のいずれか1に記載の不織布を有する吸収性物品。
<35>
前記<1>〜<33>のいずれか1に記載の不織布の、製造時において熱風があたる面とは反対側の面である前記第1面側を着用者の肌面側に向けて表面シートとして配した吸収性物品。
<36>
前記<1>〜<33>のいずれか1に記載の不織布の、製造時において熱風があたる面である前記第2面側を着用者の肌面側に向けて表面シートとして配した吸収性物品。
<37>
複数の突起と複数の該突起の間に配された凹部とを有する支持体雄材上に、繊維ウエブを載置し、該繊維ウエブの上から、前記支持体雄材の突起及び凹部に対応する凹部及び突起を有する支持体
雌材で抑えて挟み込んで賦形する工程を有する不織布の製造方法。
<38>
前記支持体雄材及び前記支持体雌材の凹部の底部は熱風が吹き抜ける構造となっており、繊維ウエブを挟んで、前記支持体雄材及び前記支持体雌材が嵌合した状態で、熱風を吹き付ける工程を有する前記<37>に記載の不織布の製造方法。
【実施例】
【0073】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。なお、本実施例において「部」および「%」は、特に断らない限りいずれも質量基準である。下記表中における、「−」は、項目に該当する値を有さないこと等を意味する。
【0074】
(実施例1)
図1に示す不織布を、繊維径1.8dtexの芯鞘型(ポリエチレンテレフタレート(PET)(芯):ポリエチレン(PE)(鞘)=5:5(質量比))の熱可塑性繊維を用い、
図7に示す工程を含むエアスルー製造方法によって作製した。これを実施例1の不織布試料とした。第1の熱風W1による吹き付け処理は、温度160℃、風速54m/s、吹き付け時間6s条件で行った。第2の熱風
W2による吹き付け処理は、温度160℃、風速6m/s、吹き付け時間6s条件で行った。
【0075】
実施例1の不織布試料は、前述の定義に該当する第1面側Z1の外面繊維層1、第2面側Z2の外面繊維層2及び連結部3を備えていた。
連結部31の長さT1は、第1外面繊維層11の長さT2及び外面繊維層2の長さT3よりも短くされていた。また、連結部32の長さT4は、第2外面繊維層12の長さT5及び外面繊維層2の長さT6よりも短くされていた。
実施例1の不織布試料は、第1面側の外面繊維層1よりも第2面側の外面繊維層2の繊維量が少なくされていた。
【0076】
(実施例2)
第1
の熱風W1の温度を145℃、風速を40m/sとした以外は実施例1と同様の製造方法に従い、実施例2の不織布試料を作製した。
実施例2の不織布試料は、前述の定義に該当する第1面側Z1の外面繊維層1、第2面側Z2の外面繊維層2及び連結部3を備え、連結部の長さT1及びT4はそれぞれ、外面繊維層1の長さT2及びT5並びに外面繊維層2の長さT3及びT6よりも短くされていた。また、実施例2の不織布試料は、外面繊維層1よりも外面繊維層2の繊維量が少なくされていた。
【0077】
(実施例3)
繊維径3.2dtexの芯鞘型(ポリエチレンテレフタレート(PET)(芯):ポリエチレン(PE)(鞘)=7:3(質量比))の熱可塑性繊維を用いた以外は実施例1と同様の製造方法に従い、実施例3の不織布試料を作製した。
実施例3の不織布試料は、前述の定義に該当する第1面側Z1の外面繊維層1、第2面側Z2の外面繊維層2及び連結部3を備え、連結部の長さT1及びT4はそれぞれ、外面繊維層1の長さT2及びT5並びに外面繊維層2の長さT3及びT6よりも短くされていた。また、実施例3の不織布試料は、外面繊維層1よりも外面繊維層2の繊維量が少なくされていた。
【0078】
(比較例1)
前述した特許文献2の
図1に示す形状の凹凸不織布を、繊維径1.8dtexの熱可塑性繊維を用い、同文献の明細書の段落[0031]に記載の製造工程を含むエアスルー製造方法によって作製した。これを比較例1の不織布試料とした。第1の熱風W1による吹き付け処理は、温度160℃、風速54m/s、吹き付け時間3s条件で行った。第2の熱風
W2による吹き付け処理は、温度160℃、風速6m/s、吹き付け時間3s条件で行った。
比較例1の不織布試料では、第1面側の第1突出部及び第2面側の第2突出部はともに、頂部に丸みのある円錐台形状又は半球状であった。第1面側の第1突出部及び第2面側の第2突出部、並びに第1突出部と第2突出部との間に介在する環状の壁部について、前述の(外面繊維層1及び2並びに連結部3の繊維の縦配向率の測定方法)を準用して測定した。その結果、比較例1の不織布試料における壁部は、本発明の不織布における「繊維が厚み方向に配向した連結部」ではなかった。
また、連結部の長さはそれぞれ外面繊維層の長さよりも長く、頂部が丸みをおびて第2外面繊維層に向かってなだらかに凹凸がある形状であることがわかる。
【0079】
(比較例2)
繊維径1.8dtexの熱可塑性繊維を用い、エアスルー製造方法によって凹凸賦形しないフラットな不織布を作製し、比較例2の不織布試料とした。フラットな不織布のため凹凸による外面繊維層を規定する境界が存在せず、T1〜T6までの規定はできなかった。上面からみた外面繊維層の繊維配向率を測定した。
【0080】
(比較例3)
メリーズパンツLサイズ(花王株式会社、2016年製)の表面材に用いられているフラットな不織布を剥がし、比較例3の不織布試料とした。フラットな不織布のため凹凸による外面繊維層を規定する境界が存在せず、T1〜T6までの規定はできなかった。上面からみた外面繊維層の繊維配向率を測定した。
【0081】
(比較例4)
メリーズMサイズ(花王株式会社、2016年製)の表面材に用いられている凹凸不織布を剥がし、比較例4の不織布試料とした。凹凸不織布だったが、非肌面側(第2面側Z2)の外面繊維層2がフラットだったために、T1〜T6までの規定はできなかった。凹凸面からフラット面に向かう繊維の繊維配向率を測定した。
【0082】
上記実施例、比較例について下記(1)〜(4)の試験を行った。さらに、上記実施例については下記(5)の試験も行った。
【0083】
(1)圧縮エネルギー(WC)、圧縮回復率(RC)
厚み回復性と変形量を測定するために、KES圧縮試験機(カトーテック株式会社製KES FB−3)を用い、不織布について、端子のスピードを0.1mm/sに設定した以外は、通常モードで5kPaまでの押し込み荷重による圧縮特性評価を行い、表示されるWC、RCを読み取った。測定値としては、不織布内の3点を測定してその平均値を求め、それを3回行ってその平均値をWC値及びRC値とした。
上記WC値は、単位面積当たりの圧縮に必要なエネルギーを表すものであり、WC値が大きいほど圧縮されやすい。
上記RC値は、圧縮時のエネルギーに対する回復されるエネルギーの割合を%表示したものであり、RC値が大きいほど、圧縮に対する回復性が良く、弾力性が良い。
【0084】
(2)圧縮変形量(0.1〜2.5kPaの荷重下の圧縮変形量。mm)
(1)において、0.1〜2.5kPaまでの変形量を抽出し、測定値とした。高いほうが、人が触る荷重に対して、不織布が大きく沈みこむことを示している。これが大きいほど圧縮を感じてクッション性がある。より詳細には、この数値が大きいほど、小さい荷重で圧縮方向に潰れにくいことを示し、つまり形状保持性が高く、同様に適度に弾力性があることを示す。また、数値が大きいほど2.5kPaの荷重の間に潰れやすいことを示しており、数値が大きいと触った時に大きく変形するために、クッション性を感じやすくなる。
【0085】
(3)座屈変形
KES圧縮試験機の測定からの圧縮変形量の応力ひずみ曲線から、変曲点を見つけ、座屈荷重とし、それが存在するものをA:座屈変形ありとした。変曲点が見つけられないものをB:座屈変形無しとした。座屈変形があるものは適度な弾力性をもっている。
【0086】
(4)風合い
不織布の風合い研究開発に従事している研究員3人(20代〜30代)で、比較例3のフラット不織布を3点、比較例4の凹凸不織布を4点として、10点でこれまで触ってきた布や不織布で最も風合いのよいものを想定してもらい、10段階の評価を行い、平均をとり整数でまとめた。おむつの表面材を触る想定で、平面に置いたサンプルの表面を利き手で触ってもらった。評価は目視のまま行った。
【0087】
(5)1日圧縮後の回復性
厚さ0.7mmのワッシャーとともに不織布を2枚のアクリル板で挟み、その上から錘(20kg)を載置して荷重をかけ、不織布を厚さ0.7mmに圧縮した。この状態で1日放置後、錘とアクリル板を不織布から取り外し、10分後に不織布の見掛け厚みを測定した。この測定値と、事前に測定した圧縮前の不織布の見掛け厚みから、不織布の厚みの回復率を求め、不織布の1日圧縮後の回復性を評価した。
【0088】
【表1】
【0089】
表1より、圧縮エネルギー(WC)は見掛け厚みが高い実施例1〜3、比較例1、2で大きく、クッション性に優れていることがわかる。さらに圧縮回復率(RC)はどれも40%以上であり、厚み回復率に優れている。その上で比較例1のように凹凸をもった不織布でも連結部の配向が縦配向ではないために、圧縮変形量が実施例1、2に比べて小さく、風合いは実施例1〜3の方が優れていた。また比較例2のようにフラットな不織布で同等以上の見掛け厚みを持っていても、繊維量が多いために圧縮変形量を大きくすることができず、また座屈変形もおこらないために、実施例1〜3の方が、風合いが優れていた。
つまり実施例1〜3は、座屈変形があることで、軽く触れたときに適度な弾力性をもち、かつ座屈変形の存在により圧縮変形量の値が大きくなっており、従来のKESでの圧縮エネルギー(WC)のみで表現しきれていないクッション感のよさを表している。その結果、実施例1〜3は、比較例1及び2に比べて同じような厚みを持っているにも関わらず、優れた厚み回復、適度な弾力、圧縮変形量が多いことによる優れたクッション感を実現し、実施例の方が風合いに優れていた。
また、繊維量が少ない比較例3は厚みが担保できず、実施例1〜3の方が風合いに優れていた。比較例4の凹凸不織布では若干厚みは出るが、第2繊維層がフラットなために、実施例1〜3の方が、圧縮変形量が大きくなっていた。
以上のように実施例1〜3では平面配向をしている部分と連結部が縦配向をしていることで、低目付で見掛け厚みを実現できていた。また、縦配向が柱となり、座屈変形を示すことで、人が感じる荷重近辺の変形量(圧縮変形量)を比較例1〜4よりも大きくすることができた。このことで風合いが大きく向上していた。
また、実施例1〜3では、座屈変形を示していることから、指で撫でたときに(100Pa未満の微弱な荷重)適度な弾力性を感じられ、ふくよかで厚み感を感じることができる良い風合いを有していた。また、実施例1〜3では、指で押したときに(例えば2.5kPa程度の押圧)、不織布の力点付近での部分的な沈み込みとなっており、比較例に比べて、力点から周囲への変形の波及が限定的であった。
さらに、実施例1〜3の中でも、鞘樹脂であるPE(ガラス転移成分の温度が芯樹脂であるPETよりも低い)の質量比を小さくした実施例3は、1日圧縮後の回復性に優れ、パック等で不織布を潰した後でも厚みの回復性が高いことが分かった。