(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6595462
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】患者監視装置、トーン変調方法及び患者監視方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/145 20060101AFI20191010BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20191010BHJP
A61B 5/0205 20060101ALI20191010BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
A61B5/145
A61B5/00 102A
A61B5/00 102B
A61B5/0205
A61B5/02 B
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-520781(P2016-520781)
(86)(22)【出願日】2014年6月13日
(65)【公表番号】特表2016-524938(P2016-524938A)
(43)【公表日】2016年8月22日
(86)【国際出願番号】IB2014062200
(87)【国際公開番号】WO2014207597
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2017年6月8日
(31)【優先権主張番号】61/838,373
(32)【優先日】2013年6月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】グライナー,ハラルト
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,ウィルヘルム
(72)【発明者】
【氏名】エンスリン,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ノイマン,ロルフ
【審査官】
北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2004/0193026(US,A1)
【文献】
特開昭59−160446(JP,A)
【文献】
特開平11−244246(JP,A)
【文献】
特表2008−512888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00− 5/03
A61B 5/06− 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者を監視する装置であって:
患者の生理学的パラメータを測定する1つ以上のセンサ;
可聴トーンを生成するようにオーディオソースを制御するコントローラであって、測定された生理学的パラメータを通知するために、或るマッピング方式に従って前記可聴トーンのピッチを調整するコントローラ;
前記可聴トーンを生成する前記オーディオソース;
前記可聴トーンを出力するオーディオ出力装置;
を有し、前記マッピング方式は、前記可聴トーンの周波数を、音階に基づいて変化させ、所定の閾値に到達した後はクランプし、前記音階に基づく変化は、血液酸素濃度における1パーセントの各変化について、フルトーン又はハーフトーンの増分で、前記可聴トーンの周波数の歩を進める、装置。
【請求項2】
前記所定の閾値はピーク周波数より2オクターブ低い、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記所定の閾値に到達した後に、前記可聴トーンを修正する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記コントローラは、オーディオ出力装置のタイプに基づいて可聴周波数をトランスポーズする、請求項1ないし3のうちの何れか1項に記載の装置。
【請求項5】
聞き取れる下位クランプ値を利用するトーン変調のために、監視装置が実行する方法であって:
1つ以上のセンサとともに、患者の生理学的パラメータを測定するステップ;
可聴トーンを生成し、測定された生理学的パラメータを通知するために、或るマッピング方式に従って前記可聴トーンのピッチを調整するステップ;
を有し、前記マッピング方式は、前記可聴トーンの周波数を、音階に基づいて変化させ、所定の閾値に到達した後、前記可聴トーンの周波数をクランプし、
当該方法は、前記可聴トーンの周波数を前記音階に基づいて変化させる場合に、血液酸素濃度における1パーセントの各変化について、フルトーン又はハーフトーンの増分で、前記可聴トーンの周波数の歩を進める、方法。
【請求項6】
前記所定の閾値はピーク周波数より2オクターブ低い、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記所定の閾値に到達した後に、前記可聴トーンを修正するステップを更に含む請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
オーディオ出力装置のタイプに基づいて可聴周波数をトランスポーズするステップを更に含む請求項5ないし7のうちの何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
患者を測定する第1及び第2監視装置がそれぞれ第1及び第2可聴トーンを出力し、前記第2監視装置は、前記第1監視装置とは異なるオーディオ特性を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記オーディオ特性は周波数の制限を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記可聴トーンは、異なるオクターブに含まれるようにトランスポーズされることが可能である、請求項1ないし4のうち何れか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記可聴トーンは、異なるオクターブに含まれるようにトランスポーズされることが可能である、請求項5ないし10のうち何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は一般に患者の監視に関連する。聞き取れる下位クランプ値を利用するSPO2トーン変調に関する特定の応用例が見つかっており、この点について特に説明される。しかしながら、他の有用な状況における応用例もあり、必ずしも上記の応用例に限定されないことが、理解されるべきである。
【背景技術】
【0002】
パルスオキシメトリは、一般に、飽和した血中酸素濃度の測定だけでなく、患者各自の心拍に対応する血脈動速度の測定にも関わる。伝統的に、パルスオキシメータはトーン信号を生成し、そのトーン信号は、酸素飽和度の比率に比例するピッチとパルスに比例する一連の反復とを有する。例えば、典型的なオキシメータは、患者の心拍毎に一定の周波数で速やかな応答トーンを生成する。更に、これらのオキシメータは、SpO2値の全範囲(100%ないし0%)を、そのトーンに関する様々な可聴周波数の特定の範囲にマッピングすることにより、そのトーンを変調する。このマッピングは、通常、SpO2値とそのトーンの周波数との間の線形関係を利用してなされる。例えば、線形関係マッピングは、100%のSpO2値について662Hz の周波数でトーンを生成し、0%のSpO2値について163Hz の周波数でトーンを生成する。別の形式のこの種のマッピングは、一連のトーンピッチによるいっそう人間の知覚に合致する対数関係を利用する。対数関係マッピングは、100%のSpO2値について662Hz の周波数でトーンを生成するが、SpO2が24%降下する毎に、トーンの周波数は半分にカットされる。例えば、76%のSpO2値に対して331Hzの周波数のトーンが生成され、52%のSpO2値に対して165.5Hzの周波数のトーンが生成され、28%のSpO2値に対して82.75Hzの周波数のトーンが生成され、4%のSpO2値に対して41.37Hzの周波数のトーンが生成される。
【0003】
しかしながら、人間の場合、周波数の可聴範囲は、通常、20ないし20,000Hzの範囲にわたる。線形及び対数関係マッピング双方に関し、低いSpO2値に対する周波数は非常に低く、聞き取れないほどではないとしても、聞こえづらい。一般に、100%のSpO2値に対する上限周波数は、オーディオシステムで十分にサポートされるように選択される。低いSpO2値の周波数がオーディオシステムによりサポートされかつユーザに聞こえて識別可能であるようなマッピングを行うことは、非常に困難である。更に、様々なオーディオ出力及び各自の周波数バンドの様々な制限を伴うモニタのファミリの場合、生成されるトーンは非常に曖昧で一貫していないものになり、ひいては、特定のモニタが所定のトーンを生成していることを認識しづらくする。
【発明の概要】
【0004】
本願は上記の問題を克服する新規な改善された方法及びシステム等を提供する。
【0005】
一側面によれば、患者を監視する装置が提供される。本装置は、患者の生理学的パラメータを測定する1つ以上のセンサと、可聴トーンを生成するようにオーディオソースを制御するコントローラであって、測定された生理学的パラメータを通知するために、或るマッピング方式に従って前記可聴トーンのピッチを調整するコントローラと、前記可聴トーンを生成する前記オーディオソースと、前記可聴トーンを出力するオーディオ出力装置とを有する。前記マッピング方式は、所定の閾値に到達した後、前記可聴トーンの周波数をクランプする。
【0006】
別の側面によれば、聞き取れる下位クランプ値(audible lower clamp value)を利用するトーン変調のための方法が提供される。本方法は、1つ以上のセンサとともに、患者の生理学的パラメータを測定するステップと、可聴トーンを生成し、測定された生理学的パラメータを通知するために、或るマッピング方式に従って前記可聴トーンのピッチを調整するステップを有する。前記マッピング方式は、所定の閾値に到達した後、前記可聴トーンの周波数をクランプする。
【0007】
別の側面によれば、患者を測定する方法が提供される。本方法は、第1オーディオ出力装置を有する第1患者モニタから第1可聴トーンを出力するステップと、第2オーディオ出力装置を有する第2患者モニタから第2可聴トーンを出力するステップであって、前記第2オーディオ出力装置は、前記第1オーディオ出力装置とは異なるオーディオ特性を有する、ステップと、生成される前記の可聴トーンが前記オーディオ出力装置の前記オーディオ特性に合致するように、前記第1及び第2可聴トーンをトランスポーズするステップとを有する。
【0008】
利点の1つは、低いSpO2値をユーザにより聞き取れるようにしかつユーザにより容易に識別できるようにするマッピング方法を提供する点にある。
【0009】
別の利点は、SpO2トーン変調に関する下位レンジ制限を規定する点にある。
【0010】
別の利点は、様々なオーディオ出力装置の様々な周波数特性に対処するようにトーンをトランスポーズする点にある。
【0011】
別の利点は改善された患者ケアという点にある。
【0012】
本発明の更に別の利点も以下の詳細な説明を閲覧及び理解する当業者に認められるであろう。本発明は様々なコンポーネント、コンポーネントの組み合わせ、様々なステップ、及び、ステップの組み合わせ等による形態をとってよい。図面は好ましい実施形態を説明することを目的としているにすぎず、本発明を限定するように解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は本願の一側面による患者監視装置のブロック図を示す。
【
図2】
図2は本願の一側面による複数の患者監視装置のブロック図を示す。
【
図3】
図3は聞き取れる下位クランプ値を利用する本願の一形態によるトーン変調方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願は聞き取れる下位クランプ値を利用するSpO2トーン変調に関連する。本願の一側面は、可聴周波数の値を、ある適切な臨床値(reasonable clinical value)(例えば、対数関係の場合の52%=165.5Hz)に制限することに関する。ユーザは、出力されるトーンの他の側面(又は属性)を修正することにより、その可聴クランプに気付く。例えば、80ミリ秒の持続時間のトーンの代わりに、20ミリ秒の間をおいて30ミリ秒の持続時間を2回行うダブルパルスを行うことが可能である。他の方法は、特定のオーディオトーン信号を利用する、或いは、2つの異なるオーディオトーン信号を組み合わせてもよく、例えば、SpO2クランプのために通常のトーンと特定の「クランプ(clamp)」トーンを組み合わせてもよい。そのような方法は、可聴出力装置のボリュームが低い範囲に落ちることに起因して聴き取りづらくなる非常に低い値を表現する低い周波数のトーンを避ける。適切な低い周波数でクランプ(又は固定)し、危険なSpO2値を通知するためにパターンを変更することは、よりいっそう臨床に相応しい。更に、各自の周波数バンドで様々な制限を有する様々なオーディオ出力装置を有するデバイスのファミリにおいてサウンド(又は音)が使用される場合、それらのサウンドはユーザにとって依然としてほぼ速やかに認識可能である。本願の別の側面は既知のサウンドをトランスポーズすることに関連し、既知のサウンドは、ピエゾオーディオ要素のような他の小型オーディオ出力装置に使用される、スピーカのようなクラシック出力装置のために設計されている。例えば、オーディオトーンをピエゾオーディオ要素用に3オクターブ上げるトランスポーズは、ユーザに容易に聞こえる又は識別されることが可能なオーディオ信号をもたらす。
【0015】
図1に関し、患者の生理学的パラメータを測定し、それを表す生理学的データを生成する様々な医療監視装置又はセンサ10により、患者(図示せず)は監視される。これらの医療監視装置10は、血液酸素(SpO2)計器、ECG電極を有する心電図(ECG)計器、血液酸素(SpO2)、パルス又は1つ以上の他の生理学的パラメータに関して構成される医療モニタを含んでもよい。他の医療監視装置10が患者に関連付けられることが可能であり、また、所与の任意の時点において、上記の医療監視装置10の全てが患者に関連付けられることは必須でない。2つの医療監視装置10しか図示されていないが、1つ以上の医療監視装置が想定されていることが認められるべきである。本願で使用されるように、医療監視装置は、患者の健康等を示すデータソースを意味する。医療監視装置から信号を受信し及びそのような信号に関する信号処理を選択的に実行するエレクトロニクス(電子装置)が、図示の実施形態では多機能患者監視装置12として実現されている。患者監視装置12は、例えば、患者とともに同行するモニタであってもよく、例えば、歩行する患者が装着する監視システムの送信機などであってもよい。
【0016】
医療監視装置10は、測定された又はその他の生理学的データを患者監視装置12に報告する。患者監視装置12は、医療監視装置により測定される生理学的データの収集部として機能(又は応対)し、データの一時的なストレージを提供する。収集された生理学的データは患者監視装置12のコントローラ14に一斉に送信される。患者監視装置内の生理学的評価ユニット16又はコンピュータプログラムは、患者から収集された生理学的データを評価し、患者の状態は、アラーム信号を生成することにより適切な医療応答者(medical responder)に通知することの当否を判断する。例えば、患者監視装置12は、測定された各パラメータが閾値に接近しつつあるか否か、何らかのパラメータの動向が閾値に接近しつつあるか否か、何らかのパラメータが安定性を失っているか或いは過剰に揺らいでいるか、パラメータの組み合わせが閾値に接近しつつあるか否か、及び、患者が多少なりとも医療的な監視又は支援を必要とする他のインジケータを検査する。閾値は、時間、重大性(severity)、深刻さ等に基づく制限を超える値を含む。
【0017】
患者監視装置12のコントローラ14は、生理学的データに基づくオーディオ出力装置20の出力である可聴トーンを生成するようにオーディオソース18を制御する。オーディオ出力装置は、電子音響トランスデューサ、クラシックスピーカ、ピエゾ要素などを含む。例えば、コントローラ14は、心臓サイクルにおける各々の特徴ポイントについて短い可聴トーンを出力するようにオーディオソース18を制御する。コントローラ14は、また、SpO2濃度を表すために短い可聴トーンのピッチを調整するようにオーディオソース18を制御する。具体的には、生理学的評価ユニット16は、収集された生理学的データを評価し、血液中の酸素の飽和度に加えて患者各自の心拍に対応する血脈動の速さの測定値(又は尺度)を判定する。そして、コントローラ14は、酸素飽和度及びパルスに比例する一連の反復に基づいて、可聴トーンを出力するようにオーディオソース18を制御する。上述したように、SpO2濃度及びパルスを通知するために一般的な線形及び対数関係マッピング方を利用することは、そのユーザについて多くの問題を招く。本願は或るオーディオマッピング方法を提供することによりそれらの問題に対処し、そのオーディオマッピング方法は、低いSpO2値がユーザによって聴き取られて容易に識別されることを可能にし、SpO2トーン変調について下位レンジ制限を規定する。
【0018】
具体的には、コントローラ14は、非線形である音階(musical scale)に基づいて、可聴トーンを出力するように可聴ソース18を制御する。すなわち、各々の音程(オクターブ)は周波数を2倍にする。例えば、アッパーC(upper C)はミドルC(middle C)の周波数の2倍である。コントローラ14により使用されるマッピング方式は、人間の耳にとって識別及び認識しやすいフルトーン(full-tone)又はハーフトーン(half-tone)の増分により可聴トーンにおいて周波数の歩を進める。例えば、マッピング方式は、100%のSpO2値に対して5296Hzの周波数でトーンを生成するが、SpO2が24%下降する毎に、トーンの周波数は半分にカットされる。言い換えれば、血中酸素濃度が1%変化する毎に、周波数はハーフトーンだけ変更される。例えば、76%のSpO2値について2648Hzの周波数でトーンが生成され、52%のSpO2値について1324Hzの周波数でトーンが生成される。また、血液酸素飽和度は、100%のSpO2値がアッパーC(上のドの音)になり及び52%のSpO2値がロワーC(lower C)(下のドの音)となるような音階に基づく。しかしながら、これらの周波数範囲以下では聴き取ることや識別することは困難になるので、可聴トーンの周波数は、2オクターブ以降又は所定値にクランプされる。具体的には、可聴トーンの周波数が所定の閾値に到達した後、周波数はもはや低い方に歩を進めず、所定のクランプ周波数(固定周波数)のまま残る。例えば、可聴トーンの周波数は、52%のSpO2値に対する1324Hz(すなわち、100%のSpO2値に対する5296Hz の4分の1)以降ではクランプ(又は固定)される。下位クランプ値(下限固定値)に到達すると、周波数はもはや下方に歩を進めない。従って、最低周波数は、単に、血液酸素が臨界的に低いこと及び速やかな注意喚起を要することを示すに過ぎない。別の実施形態において、下位クランプ値に到達すると、可聴トーンの他の形態に修正される。例えば、下位クランプ値以下の飽和値に関し、1324Hzの周波数におけるトーンは、52%のSpO2濃度と区別するために、ダブルパルスで生成される。別の例では、下位クランプ値以降、特定の「クランプ」トーン、又は、通常のトーンと特定の「クランプ」トーンとの組み合わせが、生成される。このマッピング方式がSpO2濃度以外の生理学的パラメータを表現するために使用されることも、想定されている。閾値及びクランプ値はレンジの上限にあるとすることが可能な点も考慮されている。マッピング方式は生理学的パラメータの様々な挙動を示すために使用されてよいことも想定されており、様々な挙動は、例えば、生理学的パラメータが閾値に接近しつつあること、何らかのパラメータの傾向(又は動向)が閾値に接近しつつあるか否か、何らかのパラメータが安定性を欠いている又は非常に変動していること、あるパラメータの組み合わせが閾値に接近しつつあること、及び、患者が多かれ少なかれ医療的な監視又は支援を必要とするその他のインジケータを含む。
【0019】
他の実施形態において、コントローラ14は、オーディオ出力装置20のタイプに基づいて、可聴トーンをトランスポーズ(又は移調)する。例えば、様々なタイプのオーディオ出力装置20は、様々なオーディオ特性及び音色の(tonal)周波数制限を有する。例えば、スピーカのようなクラシック出力スピーカ装置(662Hz)は、ピエゾ素子(5296Hz)のような小型オーディオ出力装置よりも非常に低い最適周波数範囲を有する。従って、コントローラ14は生成される可聴トーンをトランスポーズし、使用されるオーディオ出力装置20のオーディオ特性に最も良く合致するようにする。例えば、クラシックスピーカがオーディオ出力装置20として使用される場合には、コントローラ14は、662Hz付近のレンジであるように可聴トーンをトランスポーズする一方、ピエゾ素子がオーディオ出力装置20として使用される場合には、コントローラ14は、5296Hz付近のレンジであるように可聴トーンをトランスポーズする。
【0020】
別の実施形態において、複数の患者監視装置12が様々なオーディオ出力装置20とともに使用され、それらの患者監視装置が同じマッピング方式を利用する場合、コントローラ14は、可聴トーンが異なるオクターブで動作するように、可聴トーンをトランスポーズする。
図2に示されるように、上記のクランプマッピング方式を利用して、第1患者監視装置40は上位オクターブ#1(42)及び下位オクターブ#2(44)で動作し、第2患者監視装置46は上位オクターブ#3(48)及び下位オクターブ#4(50)で動作する。ユーザが患者監視装置同士を識別できるように、各々のオクターブは互いに異なっていることに留意することは重要である。従って、様々なオーディオ出力装置を有する一群の患者監視装置に関し、全ての可聴トーンは曖昧ではなく一貫している。
【0021】
図3に関し、聞き取れる下位クランプ値を利用するトーン変調を行う方法が示される。ステップ100において、生理学的データが受信される。ステップ102において、生理学的データ及びオーディオマッピング方式に基づいて、歩が進められる可聴トーンの周波数が決定される。ステップ104において、可聴トーンについての判定された周波数が所定の閾値を超えるか否かを検査する。ステップ106において、可聴トーンが所定の閾値の外に落ちることに応じて、可聴トーン周波数がクランプ(又は固定)される。クランプされたことに応じて、ステップ108において、可聴トーンが修正される。ステップ110において、可聴トーンが出力される。
【0022】
別の実施形態において、マッピングは、所定の閾値を超える生理学的データが、クランプされる可聴トーンに直接的にマッピングされる(又は対応付けられる)仕方で、クランプすることを既に含んでもよい。
【0023】
当該技術分野における通常の知識を有する者(当業者)は、本願で提供される教示を考慮して、特徴、要素、コンポーネント等を認めるであろう。その特徴、要素、コンポーネント等は、本開示/明細書で説明され及び/又は添付の図面及び/又は他の付属物に示され、ハードウェア及びソフトウェアの様々な組み合わせで実現されてもよく、単独の要素又は複数の要素において組み合わせられてもよい機能を提供する。例えば、図面に図示/説明/記述される様々な特徴、要素、コンポーネント等の機能は、専用のハードウェアだけでなく、適切なソフトウェアと協働するソフトウェアを実行することが可能なハードウェアにより提供されることが可能である。プロセッサにより提供される場合、機能は、単独の専用のプロセッサにより、単独の共用されるプロセッサにより、或いは、一部が共用可能である及び/又は多重される複数の個別的なプロセッサにより提供されることが可能である。更に、「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することが可能なハードウェアを排他的に指すように解釈されるべきではなく、暗黙的に、限定ではないが、ディジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、メモリ(例えば、ソフトウェアを保存するリードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性ストレージ等)、及び、プロセスを実行及び/又は制御することが可能である(及び/又はそのように構成される)仮想的な何らかの手段及び/又はマシン(ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、それらの組み合わせ等を含む)を含むことが可能である。
【0024】
更に、本発明の原理、側面及び形態に加えてその具体例を示す本願における全ての記述は、構造的及び機能的双方のそれらの均等物を包含するように意図される。更に、そのような均等物は、現在既知の均等物及び将来的な均等物の双方を含むように意図される(将来的な均等物は、例えば、構造によらず、同一又は実質的に同一の機能を発揮することが可能であるように開発された任意の要素を含む)。従って、例えば、本願で提供される教示を考慮すれば、本願で示される何らかのブロック図は、本発明の原理を実現する例示的なシステムコンポーネント及び/又は回路の概念的内容を表現し得ることが、当業者に認められるであろう。同様に、当該技術分野で通常の知識を有する者は、本願で提供される教示を考慮すれば、何らかのフローチャートや流れ図などは様々なプロセスを表現することが可能であり、そのプロセスは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体の中で実質的に表現されることが可能であり、コンピュータ、プロセッサ又は処理機能を有するその他のデバイスにより、そのようなコンピュータやプロセッサが明示的に示されているか否かによらず、実行可能であることを、認めるであろう。
【0025】
更に、本発明の例示的な実施形態は、コンピュータ利用可能な及び/又はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体からアクセス可能なコンピュータプログラム(プロダクト)の形態をとることが可能であり、記憶媒体は、例えば、コンピュータ又は任意の命令実行システムにより使用する又は関連するプログラムコード及び/又は命令を提供する。本開示によれば、コンピュータ利用可能な又はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、例えば、命令実行システム、装置又はデバイスにより又はそれらと接続して使用するためのプログラムを、包含、保存、通信、伝搬又は転送すること等が可能である任意の装置とすることが可能である。そのような例示的な媒体は、例えば、電子的、磁気的、光学的、電磁的、赤外線的又は半導体的なシステム(又は装置又はデバイス)又は伝送媒体とすることが可能である。コンピュータ読み取り可能な媒体の具体例は、例えば、半導体又はソリッドステートメモリ、磁気テープ、取り外し可能なコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、フラッシュ(ドライブ)、リジッド磁気ディスク及び光ディスクを含む。光ディスクについての現在の具体例は、コンパクトディスク-リードオンリメモリ(CD-ROM)、コンパクトディスク-リード/ライト(CD-R/W)及びDVDを含む。更に、本発明及び開示による実施形態に関して使用又は言及されるように、後に開発される何らかの新しいコンピュータ読み取り可能な媒体も、上記のコンピュータ読み取り可能な媒体として考慮されるべきであることが、理解されるべきである。
【0026】
システム、方法及びその他のことに関して好ましい例示的な実施形態を説明してきたが、(例えば、実施形態は例示的であるように意図されており、限定ではないように意図されている)、図面及び付属物を含む本願で提供される教示の観点から、修正や変形が当業者によってなされることが可能である点に留意を要する。従って、変形は、本願で説明される実施形態の範囲内で本願の好ましい実施例の中で/実施例に対してなされることが可能であることが、理解されるべきである。上記の説明を参照及び理解し、他の変形例及び代替例がなされてもよい。そのような全ての変形例や代替例が添付の特許請求の範囲又はその均等の範囲内に属する限り、本発明はそれらを包含するように解釈されることが意図される。