(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記炒るステップのための炒りプロファイルは、前記部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルと、所定の最終的な炒りレベルと、に基づいて決定される、請求項1に記載の炒り方法。
前記炒るステップは、前記部分的に炒られたコーヒー豆に約190℃乃至約230℃の範囲内の周囲温度を持つ熱を加えるステップ、及び/又は各前記部分的に炒られたコーヒー豆に約15Jよりも小さい熱エネルギーを伝達するステップを有する、請求項1に記載の炒り方法。
前記認識要素は、前記部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベル及び/又は前記所定の最終的な炒りレベルを認識するよう構成され、及び/又は、前記炒りプロファイルを選択するよう構成される、請求項11に記載の炒り装置。
前記炒りユニットは、周囲温度を持つ前記部分的に炒られたコーヒー豆に約190℃乃至約230℃の範囲内の熱を加えるよう構成され、及び/又は、各前記部分的に炒られたコーヒー豆に約15Jよりも小さい熱エネルギーを伝達するよう構成される、請求項10に記載の炒り装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
未焙煎のコーヒー豆を炒ることは、かなりの時間を要する。消費者が非常に高速な炒り工程を望む場合、極度に高い温度(通常は300℃よりも高い)が必要とされる。表1は、現在の高速な炒り工程を示す。また、斯かる非常に短い炒り工程は通常、表面が過剰に炒られてしまい、豆の芯が依然として炒られない状態となるため、バランスのとれた好適な炒り品質をもたらさない。
【表1】
【0005】
斯くして、部分的に炒られたコーヒー豆を炒るための方法及び装置を提供することが、有利となり得る。
【0006】
本明細書において、「部分的に炒られた」とは、コーヒー豆が既に特定の炒りレベルにまで予め炒られているが、当該炒りレベルは最終的な炒りレベル(即ち炒り工程の完了後に達成されるレベル)ではないことを意味する。更に、「最終的な炒りレベル」なる語は、炒られたコーヒー豆が炒られることを期待されるレベルを示す。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した問題の1つ以上に対処するため、本発明の一態様によれば、本発明の一実施例は、部分的に炒られたコーヒー豆を炒る炒り方法であって、前記炒り方法は、部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルを取得するステップと、炒るステップの前に少なくとも前記部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルに基づいて炒るステップのための炒りプロファイルを決定するステップと、前記決定された炒りプロファイルに従って前記部分的に炒られたコーヒー豆を炒るステップと、を有する方法を提供する。
【0008】
本発明の基本的な着想は、部分的に炒られたコーヒー豆を、所定の最終的な炒りレベルにまで炒ることである。このことは、以上に説明されたような、従来の家庭用炒り器における欠点の1つ以上を原則的に克服し得る。第1に、特定の水分含量を持つ部分的に炒られたコーヒー豆は、保存が容易である。第2に、炒りを不均一にしてしまう現在の高速炒り工程とは異なり、本発明による高速炒り工程は、炒り期間を非常に短くする(必要とされるエネルギーが小さくなる)だけでなく、豆がより均一に炒られるようにもする。部分的に炒られたコーヒー豆は既に炒られている(例えば最初のひび割れを超えない程度に)ため、所定の最終的な炒りレベルにまで豆を炒るために、あまり熱が必要とされない。それ故、ことによると不均一な炒りを引き起こしてしまう集中的な加熱が、回避されることとなる。斯くして、炒り結果は、標準的な炒り工程と同等か又はそれ以上となる。本方法は、少量のコーヒー豆を炒るのに特に適しており、家庭用の一体型コーヒーマシンに実装されるのに適している。
【0009】
好適には、前記部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルは、最初のひび割れの終了時の前に到達されるレベルである。
【0010】
本発明の好適な実施例においては、前記部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルは、前記部分的に炒られたコーヒー豆の水分含量、
密度及び色のうち少なくとも1つにより示される。
【0011】
好適には、前記取得するステップは、前記部分的に炒られたコーヒー豆の水分含量、
密度及び色のうち少なくとも1つを感知するステップと、前記部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルを指標によって認識するステップと、を有する。
【0012】
本発明の好適な実施例においては、前記炒るステップのための炒りプロファイルは、前記部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルと、所定の最終的な炒りレベルと、に基づいて決定される。
【0013】
本発明の一実施例においては、前記炒るステップは、前記部分的に炒られたコーヒー豆に約190℃乃至約230℃の範囲内の周囲温度を持つ熱を加えるステップ、及び/又は各前記部分的に炒られたコーヒー豆に約15Jよりも小さい熱エネルギーを伝達するステップを有する。
【0014】
好適には、前記所定の最終的な炒りレベルは、前記部分的に炒られたコーヒー豆の水分含量、
密度及び色のうち少なくとも1つにより示され、前記所定の最終的な炒りレベルは、ユーザの好みに応じて調節可能である。好適には、前記炒り方法は更に、前記炒るステップの間に炒りレベルを感知するステップと、前記所定の最終的な炒りレベルが到達されたときに前記炒るステップを停止するステップと、を有する。
【0015】
本発明の他の態様によれば、本発明の一実施例は、コーヒーをつくる方法であって、前記方法は、以上に説明された部分的に炒られたコーヒー豆を炒る炒り方法と、前記所定の最終的な炒りレベルのコーヒー豆を挽いてコーヒー粉にするステップと、前記コーヒー粉からコーヒーを煎出するステップと、を有する方法を提供する。
【0016】
本発明による高速炒り工程は、炒り期間を非常に短くする(必要とされるエネルギーが小さくなる)だけでなく、より均一に炒られた豆にも帰着するため、斯かる構成によれば、非常に短い豆からカップまでの時間、及び瞬時の新鮮に煎出されたコーヒーが利用可能となる。本方法は、少量のコーヒー豆を炒るのに特に適しており、家庭用の一体型コーヒーマシンに実装されるのに適している。
【0017】
本発明の更に他の態様によれば、部分的に炒られたコーヒー豆を炒るための炒り装置であって、前記炒り装置は、部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルを取得するための取得ユニットと、炒り工程の前に少なくとも前記部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルに基づいて炒り工程のための炒りプロファイルを決定するための決定ユニットと、前記決定された炒りプロファイルに従って前記部分的に炒られたコーヒー豆を炒るための炒りユニットと、を有する装置が提案される。
【0018】
当該炒り装置は、家庭用のコーヒーマシンに内蔵されるのに特に適している。斯かる炒り装置によれば、炒り工程が非常に短くなり、必要とされるエネルギーが少なくなり、炒りがより均一となる。
【0019】
好適には、前記部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルは、前記部分的に炒られたコーヒー豆の水分含量、
密度及び色のうち少なくとも1つにより示され、前記取得ユニットは、前記部分的に炒られたコーヒー豆の水分含量、
密度及び色のうち少なくとも1つを感知するための感知要素、又は前記部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルを指標によって認識するための認識ユニットを有する。
【0020】
本発明の一実施例においては、前記炒りユニットは、前記部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルと、所定の最終的な炒りレベルと、に基づいて決定された炒りプロファイルに従って、前記部分的に炒られたコーヒー豆を炒る。
【0021】
本発明の一実施例においては、前記認識ユニットは、前記部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベル及び/又は前記所定の最終的な炒りレベルを認識するよう構成され、及び/又は、前記炒りプロファイルを選択するよう構成される。
【0022】
本発明の一実施例においては、前記炒りユニットは、周囲温度を持つ前記部分的に炒られたコーヒー豆に約190℃乃至約230℃の範囲内の熱を加えるよう構成され、及び/又は、各前記部分的に炒られたコーヒー豆に約15Jよりも小さい熱エネルギーを伝達するよう構成される。
【0023】
本発明の更に他の態様によれば、コーヒーマシンであって、以上に説明された部分的に炒られたコーヒー豆を炒るための炒り装置と、前記所定の最終的な炒りレベルのコーヒー豆を挽いてコーヒー粉にするための挽き装置と、前記コーヒー粉からコーヒーを煎出するための煎出装置と、を有するコーヒーマシンが提案される。
【0024】
斯かるコーヒーマシンは、部分的に炒られたコーヒー豆から直接、瞬時にコーヒーを煎出することを潜在的に可能とする。
【0025】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明される実施例を参照しながら説明され明らかとなるであろう。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0026】
本発明は、添付図面を参照しながら、種々の実施例に基づいて以下に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施例への参照が為され、実施例の1つ以上は図に示される。これら実施例は、本発明の例として示されるものであり、本発明の限定として意図されるものではない。例えば、或る実施例の一部として示される又は説明される特徴は、他の実施例と共に用いられて更なる実施例を導出しても良い。本発明は、これらの及びその他の変更及び変形を、本発明の範囲及び精神内のものとして包含することを意図している。
【0029】
上述した問題の1つ以上に対処するため、本発明の一態様によれば、本発明の一実施例は、部分的に炒られたコーヒー豆を炒る炒り方法であって、前記炒り方法は、部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルを取得するステップと、少なくとも前記部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルに基づいて炒るステップのための炒りプロファイルを決定するステップと、前記決定された炒りプロファイルに従って前記部分的に炒られたコーヒー豆を炒るステップと、を有する方法を提供する。
【0030】
本発明の実施例による炒り方法は、非常に高い温度(300℃よりも高い)を用いる現在の高速炒り方法とは異なる。
【0031】
好適には、部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルは、最初のひび割れの終了時より前に得られるレベルである。メイラード(Maillard)反応は、加熱の際に生じる、幾つかの食品(コーヒー豆、肉、パンなど)の褐変を引き起こす、糖と蛋白質との非酵素的な反応である。メイラード反応は、コーヒー豆の炒り工程の間に引き起こされる。コーヒー豆の最初のひび割れの後、豆から香りが放出される。メイラード反応から生成される香りを保持するため、部分的に炒られたコーヒー豆は好適には、未焙煎のコーヒー豆を加熱し、最初のひび割れの終了時より前に該加熱を止めることにより得られる。
【0032】
通常、現在の炒り方法を用いると、より焦げた風味と共に未焙煎の風味や渋みを伴う、より酸味のある、より苦く煤けた様なものとなる。豆において、内部及び表面が、均一に炒られない。前記炒り方法は、より多くのCO
2を生成し、油の移動がより高速となる。それ故、現在の高速炒り方法は、多くの品質上の欠点を含む。
【0033】
本発明の実施例においては、一定の炒りレベルを持つ部分的に炒られたコーヒー豆が用いられる。このことは、未焙煎のコーヒー豆を最初から炒る必要がないことを意味する。この概念は、完全な炒り工程の長時間の加熱により一般的に生じてしまう、不均一な炒りを、或る程度回避する。それ故、当該部分的な炒りが、よりまろやかな風味を意味する、均衡のとれた炒り風味及び香りを伴う、豆の均一な炒りをもたらす。とりわけ、消費者は、高い温度の必要なく(例えば240℃よりも低い)、非常に短い炒り時間(4分よりも短い)を体験することとなる。
【0034】
本発明の実施例においては、炒り工程は、以下のステップを有する:
−0.5g/lより低い
密度、6%よりも小さい水分含量、又は目標の炒り度合いよりも薄く10(HunterlabによるL値)を超えない色を持つ、コーヒー豆を準備する。
−豆の周囲において約190乃至230℃の温度を持つ熱をこれらの豆に加える。斯かる温度を加えることにより、豆の表面の炒り過ぎを引き起こす、通常は230℃を超える高温が回避される。
−豆の当該周囲温度(約190℃乃至230℃)が、4分より短い間維持される。
−豆に伝達されるエネルギーの量は、約15Jよりも小さい。
−目標の炒り度合い(即ち最終的な炒りレベル)に基づいて、炒り時間が変化させられる。目標の炒り度合いが濃い場合には、炒り時間は長くなり、目標の炒り度合いが薄い場合には、炒り継続時間が短くなる。同時に、比較的高い温度が利用される場合には、炒り継続時間が比較的短くなる。炒り工程の後の目標
密度は、例えば0.35g/ml乃至0.30g/mlの範囲内である。
【0035】
本発明の好適な実施例においては、炒りステップの前に、該炒り方法は更に、前記部分的に炒られたコーヒー豆の水分含量、
密度及び色のうち少なくとも1つにより示される、該部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルを取得するステップを有する。
【0036】
本発明の上述の実施例から分かるように、部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルは、該部分的に炒られたコーヒー豆の水分含量、
密度及び色のうち少なくとも1つにより示されても良い。これらのパラメータはいずれも、該部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベル/度合いを示すために用いられ得る。特定の炒りレベル/度合いを持つ全てのタイプの部分的に炒られたコーヒー豆の水分含量は、或る程度一定であるため、これらパラメータのうち、水分含量が比較的正確なパラメータである。特定のタイプのコーヒー豆については、部分的に炒られたコーヒー豆の
密度及び色もが、炒りレベル/
密度を正確に示し得ることは、当業者によって理解され得る。
【0037】
異なるコーヒー豆タイプは、かなり異なる炒りプロファイルを持つ。例えば、MandhelingやHawaii Konaのような高地の硬い豆は、大きく
密度が高く、高い水分含量を持つ。それ故、これらの豆は、水を抜くために最初のひび割れの前に長い炒り時間を必要とする。また、これらの豆は、風味及び香りを完全に生じさせるため、深炒りに適している。他方、例えばYirgacheffeやPahamaのような低地の豆は、薄く平坦で、低い水分含量を持つ。これらの豆は、容易に膨張し、炒り工程の間に見た目が良いが、深炒りは香りを消失させ、風味のないものとしてしまう。
【0038】
部分的に炒られたコーヒー豆を炒る概念によれば、炒られるべきコーヒー豆は、種々の炒りレベルを持つ部分的に炒られた豆であり得る。更に、炒られるべき種々のタイプのコーヒー豆は、カスタマイズされた二次的な炒りプロファイルを必要とする。そのため、炒られるべき豆の認識は、炒りプロファイルを決めるために重要であり、さもなければ消費者は、炒られるべき種々の豆により炒りプロファイルを調節する困難さを被ることとなる。
【0039】
豆の色は、炒り度合いと強い相関を持つ。コーヒー豆の色は、炒り時間及び高温と共に、緑色から薄緑色、黄色、茶色、黒色へと著しく変化する。米国スペシャルティコーヒー協会(Specialty Coffee Association of America、SCAA)は、薄いシナモン炒り工程からイタリアン炒り工程まで8段階の炒り度合いに関連付けられた、炒り色分類システムを開発した。同時に、豆の色は、測定されるべき最も便利で強力なパラメータのひとつである。Agtron及びHuntlabのようなプロフェッショナル向けの装置は、炒り度合いを示す豆及び粉の色を測定する。炒り工程の熟練者は通常、炒りの評価を決定するため、豆の状態、即ち色、滑らかさ及び膨張度をチェックする。
【0040】
本発明の一実施例はまた、カスタマイズされた最適な炒りプロファイルを実現することをガイドするため、色に基づいて豆を認識するための認識システムを提案する。セグメント化された炒り概念をサポートするため、入力される豆は、理想的には認証された供給からの、未焙煎の豆ではなく部分的に炒られたコーヒー豆である。認識システムは、種々の部分的に炒られた豆に対して最適化された炒りプロファイルを提供するため、セグメント化された炒り技術に重要である。
【0041】
入力された豆を認識するために色を利用する原理は、以下のように適用される。
(1)豆の色が、コーヒー豆の種類に関連付けられ、これにより推奨される炒り度合いを決定する。
(2)豆の色が、部分的に炒られた豆の炒り度合いを決定し、これが最終的な炒り時間に影響を与える。
(3)豆の色が、水含量と相関を持ち、これが炒りプロファイルに影響を与える。
【0042】
該認識システムは、スタンドアロン型の炒り器と共に用いられても良いし、種々の味のコーヒーを提供するための挽き及び煎出と共に、コーヒーメーカーに内蔵されても良い。
【0043】
色認識のための主な要素は、色チャート、選択手段及び/又は該認識を実装するためのソフトウェア制御パネルを有する。
【0044】
色チャートは、セグメント化された炒り概念において潜在的な市販されるコーヒー豆の色をカバーする、色のセットである。理想的には、色チャートは、認証されたコーヒー豆に従って生成される。
【0045】
選択手段は、色チャートと豆を比較した後に、豆の状態についての消費者入力を取得するよう設計される。
【0046】
ソフトウェア制御パネルは、色入力から色度合いを推定し、対応する炒りプロファイル、即ち制御された昇温率、継続時間及び最終温度を導出するよう設計される。
【0047】
装置の色チャートの他のUI設計は、アプリケーション同期による電話上/タブレット端末上の色チャート、又は結果が装置に入力される紙の色チャートであっても良い。
【0048】
一般的に、入力される豆のための認識システムは、色に基づいたカスタマイズされ
最適化された炒りプロファイルを実現することをガイドするよう設計される。該認識は、入力された豆の色を予め設定された色チャートと比較することにより実現されても良く、合致する色が手動で選択される。ソフトウェアが豆の色を受信及び解析し、更に対応する炒りプロファイルを起動する。挽き機能及び煎出機能と組み合わせて、新鮮で風味豊かなコーヒーの煎出が、便利な態様で実現され得る。認識システムを実装するため、本発明においては実施例と共に4種類の選択手段が提案され、図を参照しながら以下に説明される(
図1)。
【0049】
選択手段の例1:
スピンホイール100が、色領域101のセットを持つ色チャートを持つ。簡単のため、
図1においては、異なるパターンが異なる色を示している。各色領域は、炒られるべき入力される豆として、市販されているコーヒー豆の群を示す。ポインタ102は回転可能であり、合致する色領域に位置して入力された豆のタイプを示す。消費者は、入力された豆と色チャートとの比較の後、特定の色領域に該ポインタを手動で設定することができる。続いて、該ポインタは、ソフトウェア制御パネルにより、炒りプロファイルを起動する。ここで認識の工程が終了する。通常は温度及び時間制御を有する炒りプロファイルは、前もって定義されており、機械に予め設定されている。
【0050】
選択手段の例2:
代替として、
図2に示された製造機において、色パネル200が設計されている。簡単さのため、
図2においては、異なるパターンが異なる色を示している。色のバー201の群が共に配置され、色パネルを形成している。各色のバーは、炒られるべき入力される豆として、市販されているコーヒー豆のタイプを示す。色のバーは、入力される豆と色パネルとを比較するためのみに使われるのではなく、特定の色を選択する機能をも持つ。色のバーを押下する又は触れることにより、色のバーが対応する炒りプロファイルと関連付けられ、色工程を起動する。
【0051】
選択手段の例3:
代替として、
図3に示された製造機において、色チューナ300が設計されている。簡単さのため、
図3においては、異なるパターンが異なる色を示している。色チューナは、個々の色領域301の全体であり、市販されているコーヒー豆のタイプを示す。ディスク型のノブ302は、特定の色領域に割り当てられた針303と共に調節される。ノブは、ソフトウェア制御パネルにより予め設定された炒りプロファイルを起動するため押下される。
【0052】
選択手段の例4:
代替として、色領域401により装飾された炒り室400が設計されている(
図4に示される)。簡単さのため、
図4においては、異なるパターンが異なる色を示している。炒り室は、ガラスやエンジニアリングプラスチックのような、透明な材料からつくられていても良い。色チャート402が、該室の外側に装着されている。代替としては、該色チャートが、該室の2つの層の間に挟持されている。該室は、色チャートが装着されても透明なままである。ボタンの群403が、炒り室の下部に配置されている。認識工程は、以下のように実行される。入力される豆が、該炒り室へと入れられる。消費者は、該室(色領域)を通して見て、どの色が入力された豆の色と合致するかを決定する。続いて、これらボタンの1つを押下することにより、対応する炒りプロファイルが、ソフトウェア制御パネルによって選択される。
【0053】
認識システムの幾つかの例が以下に示され、炒りプロファイルを決定するための開示される認識システムの使用方法を説明する。
【0054】
Sumatra Mandhelingは、サイズが大きく濃い。未焙煎の豆は濃い緑色を持ち、比較的高い水分含量(約12%)を持つ。その特徴を考慮すると、炒りの間、熱浸透は通常小さい。それ故、不均一な炒りを回避するため、水分蒸発を達成するため、最初のひび割れの前の炒りの継続時間は長くなる。炒り度合いは、多層の濃厚な味を生成するため、深炒りとされるべきである。
【0055】
他方、Ethiopia Yirgacheffeは、サイズが小さく、色が淡緑色である。水分含量も低い(約10%)。豆の優れた熱浸透特性のため、均一に炒られる。過度の炒りが香り及び風味を低減させるため、最終的な炒り度合いは軽い炒りとされるべきである。
【0056】
部分的に炒られたMandheling及びYirgacheffeは、それぞれ濃緑色及び淡緑色である。従って、色チャートと入力される豆とを比較することによって、認識が実現される。以上に説明されたように、対応する炒りプロファイルは予め設定されている。MandhelingはYirgacheffeに比べて、より上昇した温度率、長い継続時間、及び高い安定炒り温度が要求される。炒られたYirgacheffeは軽い炒りであり、炒られたMandhelingは深炒りである。
【0057】
好適には、取得するステップは、部分的に炒られたコーヒー豆の水分含量、濃度及び色のうち少なくとも1つを感知するステップ、又は、部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルを指標によって認識するステップを有する。
【0058】
一方では、これらのパラメータが1つ以上のセンサにより検出されても良く、他方では、部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルが指標によって認識されても良いことは、留意されるべきである。斯かる認識は、例えば部分的に炒られたコーヒー豆の包装から該炒りレベルを「読み出す」こと、又は、コーヒー豆を標準的な色チャートと比較した後に消費者によって部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルを「入力する」ことを有する。
【0059】
本発明の好適な実施例においては、炒り工程のための炒りプロファイルは、部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルと、所定の最終的な炒りレベルと、に基づいて決定される。
【0060】
本発明によれば、セグメント化された炒り工程が2つの段階のコーヒー豆の炒り工程を含み、第2の段階が消費者によって実行される。本発明の一実施例はまた、部分的に炒られたコーヒー豆の特性(即ち部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベル)に基づいて、炒り工程の第2の段階を制御する方法を提案する。
【0061】
現在、乾燥させられた未焙煎のコーヒー豆は、炒り業者によって炒られ、店頭へと出荷されて、棚に置かれる。消費者は、炒られたコーヒー豆を購入し、家庭においてコーヒーメーカーを用いてコーヒーをつくることができる。この工程の間、幾分かの味/香りが失われることとなる。このことは特に、表面に油分を持ち、それ故香り及び風味がより容易に失われる、深炒りの豆に当てはまる。同時に、味のプロファイルが炒り業者により予め決定されているため、消費者には自身の個人的な好みを発展させる機会が限られている。
【0062】
より新鮮で好適な味のコーヒーを得るため、及び消費者が自身の好みを発展させることを可能とするため、本発明者は、炒り工程をセグメント化することを提案する。
【0063】
受け取られた豆の炒りレベル、及び任意に目標の炒りレベル又は目標の味に基づいて、炒りプロファイルが該豆について選択される。
【0064】
以上に説明されたように、受け取られた、部分的に炒られた豆の炒りレベルは、ユーザ入力(例えばレベルの選択)、感知(例えば炒りレベルを検出するための色センサ)又は機械読み取り可能な入力(例えば包装上のバーコードやRFIDの走査)といった、幾つかの方法で取得及びされることができる。
【0065】
好適には、該炒り装置は、入力された豆の炒りレベル及び目標/最終炒りレベルを用いて、これら2つのレベルから炒りプロファイルを決定しても良い。炒りプロファイルを決定するために用いられる因子は、入力及び最終炒りレベルに限定されるものではなく、該装置は、その他の因子(例えば周囲温度、豆の古さ、豆のタイプ、又は第1の炒り段階の幾つかの特性)を考慮に入れても良い。
【0066】
入力された豆の炒りレベルは、直接に特定されても良いし又は間接的に特定されても良く、ここで直接にとは、該炒りレベルが炒り度合い(例えば0乃至10のスケールで又は炒り色として)であっても良いことを意味し、間接的にとは、該炒りレベルが他の関連するパラメータ(例えば水分含量、
密度等)により特定されても良いことを意味する。
【0067】
簡略化された場合は、単一の炒りレベルのみが用いられ、部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベル及び最終目標によって炒りプロファイルが決定される場合である。
【0068】
用いられる炒りプロファイルは、完全に固定される必要はなく、何らかのセンサのフィードバックに基づいて動作の間に適合されても良い。
【0069】
表2は、ルックアップテーブルが用いられる基本的な場合を示し、Px,yは、炒りレベルxの豆を用いて炒りレベルyの豆を生成する炒りプロファイルを意味する。
【表2】
【0070】
炒りプロファイルは、固定された時間/温度曲線であっても良いし、又は特定のセンサ出力の目標値を定義し、該センサ出力に基づいて炒り工程を制御しても良い。
【0071】
重要な事は、利用される炒りプロファイルが、受容される豆の特性に依存して異なることである。
【0072】
受容された豆の炒りレベル及び目標炒りレベルに基づいて、該装置は炒りプロファイルを決定することとなる。このことは静的(従って一旦選択されると固定される)であっても良いし、又は動的(炒り工程の間適合させられることができる)であっても良い。炒りプロファイルは、周囲温度、豆の古さ、豆のタイプ又は第1の炒り段階の特性のような、他の因子に基づいて決定されても良い。
【0073】
極端な場合は、入力が豆についての炒りプロファイルを決定する場合であり、受容された豆の炒りレベルに必然的に依存することとなる。
【0074】
炒りプロファイルは、静的であっても良い。
図5は、未焙煎の豆から完全に炒られた豆への炒りプロファイルの例を示す。
図5において、水平座標は炒りレベルを示し、垂直座標は炒りプロファイルに用いられる温度を示す。入力された豆がこれら所定のレベルの1つであり、目標の結果が後のレベルの1つであるとすると、該装置は単に炒りプロファイルを選択し、入力されたレベルから最終レベルに進んでも良い。
【0075】
実際には、豆のタイプ又は第1の炒り段階の特性に基づいて、選択するべき斯かるプロファイルが存在し得る。
【0076】
図5において、一例(P4,9)が長方形によって示されており、炒りレベル9の豆を生成するため炒りレベル4の受容された豆に適用されるべき炒りプロファイルを意味する。同様に、他の場合も当該プロファイルから選択され得る。
【0077】
代替の実施例は、最終的な炒りを制御するため1つ以上のセンサを利用する。センサ値が、開始点及び終了点を決定するために用いられることとなる。実際には、開始点は明示的に特定される必要はないが、センサは所望の終了点が到達されるように工程を制御する。このことは、異なる炒りレベルを持つ受容された豆に対する異なる炒りプロファイルに帰着する。
【0078】
任意に、所定の最終的な炒りレベルは、定義された炒りレベルの離散的なセット(例えば[0、1、2、…、12])の1つとして直接に決定されるか、又は、所定の最終的な炒りレベルが、炒りレベルの連続(例えば0乃至12)内のレベルとして直接に決定される。
【0079】
任意に、所定の最終的な炒りレベルは、水分含量、
密度等のようなパラメータに基づいて間接的に決定される(この場合にはセンサが必要とされない)か、又は、所定の最終的な炒りレベルが、1つ以上のセンサの出力に基づいて間接的に決定される。
【0080】
任意に、炒りプロファイルの特性が、該装置に入力される。
【0081】
本発明の一実施例においては、炒るステップは、部分的に炒られたコーヒー豆に約190℃乃至約230℃の範囲内の周囲温度を持つ熱を加えるステップ、及び/又は各部分的に炒られたコーヒー豆に約15Jよりも小さい熱エネルギーを伝達するステップを有する。
【0082】
未焙煎のコーヒー豆を炒ることは、更に時間を要する。消費者が非常に迅速な炒り工程を求める場合には、非常に高い温度(通常は300℃より高い)が必要となってしまう。部分的に炒られたコーヒー豆は既に事前に炒られている(例えば最初のひび割れを超えないレベルにまで)ため、所定の最終的な炒りレベルにまで豆を炒るために、より少ない熱しか必要とされないこととなる。それ故、不均一な炒りをことによると引き起こしかねない集中的な加熱が、回避されることとなる。
【0083】
本発明の実施例はまた、センサ目標値が、機械読み取り可能な形式で該装置に入力される方法を提案する。該装置は、入力されたセンサ目標値に基づいて、最終的な炒りステップを制御することとなる。
【0084】
セグメント化された炒り工程は、コーヒーの初期の炒り工程が、プロフェッショナルな炒り実行者により実行され、最終的な炒り段階が、消費者により実行されるというモデルを提案する。部分的に炒られた豆の特性は、炒り実行者又は炒り装置により制御される。消費者の装置が、目標の結果を得るために最終的な炒りステップを制御しても良い。
【0085】
感知は、例えば色感知に基づいて、最終的な炒りステップを制御するために用いられ得る。しかしながら、豆のタイプ及び部分的に炒られた状態に依存して、理想的な最終的な色は異なり得る。斯くして、一般的な方法によれば、全ての豆が共通レベルにまで炒られるが、理想的な方法は、部分的に炒られた豆のそれぞれを、その最適なレベルに炒ることである。特にコーヒー豆については、特徴が年ごとに変わる。理想的な又は推奨される炒り方法は、豆が収穫された後に毎年研究される。部分的に炒られた豆又は最終的な炒られた豆を提供するプロフェッショナルの炒り実行者は、理想的な炒り目標を知っている。当該理想的な目標が、消費者の装置により最終的な炒りのために「更新」され得るなら、消費者は炒られた豆からつくられたコーヒーを満喫することができるであろう。
【0086】
好適には、所定の最終的な炒りレベルは、部分的に炒られたコーヒー豆の水分含量、
密度及び色のうち少なくとも1つにより示され、所定の最終的な炒りレベルは、ユーザの好みに応じて調節可能である。
【0087】
本発明の一実施例は、センサ目標値が、機械読み取り可能な形式で該装置に入力される方法を提案する。該装置は、入力されたセンサ目標値に基づいて、最終的な炒りステップを制御することとなる。
【0088】
この意図は、該装置に存在するセンサに直接に関連する特定の値を入力することである。これらの値は、消費者に理解可能であることは意図されず、それ故機械読み取り可能な形式で入力されても良い。
【0089】
例えば、機械読み取り可能な入力は、色センサからのRGB値に基づく3つのとり得る炒りレベルについてのセンサ目標を含んでも良い。
【0090】
Mandheling豆については、例えば入力は以下となる:
【表3】
【0091】
次の炒りについて、豆タイプがYirgacheffeに変更された場合、例えば入力目標は以下となる:
【表4】
【0092】
とり得る実際の例を用いて、ユーザは豆が該装置に追加し、該ユーザがこれら特定の豆についてのセンサ目標を入力して、該装置が最終的な炒りステップを最適に制御することができるようにしても良い。
【0093】
以上に説明されたように、センサ目標は、パッケージにおけるバーコード(直線、2D)を走査すること、RFIDタグ、又はスマートフォン/タブレットにおけるアプリケーションを利用することといった、幾つかの方法で入力され得る。
【0094】
使用されるセンサのタイプは色に限定されるものではなく、例えば水分レベル(及び関連する水分損失パラメータ)を含んでも良い。
【0095】
該装置における実際の物理的なセンサは、入力されるセンサ目標に直接に対応している必要はなく、物理的なセンサからセンサ目標へのマッピングが存在しても良い。例えば入力されるセンサ目標は水分損失であっても良いが、水分損失を検出するために利用される実際の物理的なセンサは重量計であっても良い。
【0096】
センサ目標値が入力されるときに実現される方法は、幾つかのモードを含んでも良い:
1.最終的なセンサ目標のみの入力(標準的な調理プログラムが利用されることを仮定)。
2.最終的なセンサ目標と目標炒りプロファイルとの両方の入力。
3.中間の結果についての複数の目標の入力(セグメント毎に標準的な炒りプロファイルを利用するか、又はセグメント毎に目標炒りプロファイルの入力を利用する)。
4.複数の最終的なセンサ目標(及び目標炒りプロファイル)に加え、複数の初期センサ値の入力により、最終的なセンサ目標及び/又は炒りプロファイルが、初期センサ値に依存するようにする。
【0097】
複数のセンサ目標が、単一の又は複数のセンサ要素により捕捉されても良い。
【0098】
本実施例の基本的な設定が、
図6に示される。コーヒー豆を炒るための装置600は、容器602の中の1つ以上のセンサ601、及び入力を受信するためのインタフェース603(有線/無線)を含む。該入力は、炒り工程の完了を示すためのセンサ601に対する目標値を含む。制御ユニット604は、炒りプロファイルに応じて加熱ユニット605を制御し、該炒りプロファイルは、目標値及び/又は容器602の中の受容された部分的に炒られた豆の炒りレベルから決定されても良い。
【0099】
センサ目標の入力がないと、
図6に示されたシステムは、センサが豆タイプ及び炒りレベルの具体的な知識なく炒りを制御することとなるという問題を持つ。幾つかの場合において、このことは最適ではない結果に導き得る。
【0100】
好適には、該炒り方法は更に、炒るステップの間に炒りレベルを感知するステップと、所定の最終的な炒りレベルが到達されたときに炒るステップを停止するステップと、を有する。
【0101】
センサ目標値が入力された場合に実現される方法に基づいて、4つのモードが以下に説明される。
【0102】
モード1:最終的なセンサ目標のみの入力(標準的な炒りプロファイルが利用されることを仮定)。
【0103】
この場合には、標準的な炒りプロファイルが利用されることが仮定され、入力されたセンサ目標が工程の終点を決定するために利用される。
【0104】
該装置が、センサ値S1、S2、…、Snを測定することができると仮定すると、センサ目標入力は、S1、S2、…、Snのサブセットであるべきである。調理工程は、入力されたサブセット(例えばk≦nとしてS1、S2、…、Sk)に基づいて制御される。
【0105】
理想的なアルゴリズムは、以下の通りである:
IF (S1A,S2A,…,SkA)=(S1T,S2T,…,SkT)
THEN (調理/煎出工程が完了される)
当該アルゴリズムにおいて、SiAは実際のセンサ値であり、SiTは目標値である。
【0106】
しかしながら、サンプリングレート、センサの分解能及び自然変動のため、SiAは正確にSiTと等しくはならない。
【0107】
実際のアルゴリズムは、以下をチェックする:
IF SiA=SiT±Δ
ここでΔは、目標値の割合であっても良い。
【0108】
より一般的には、該システムは、k個のセンサにおいて測定関数Fを定義する(即ち(S1、S2、…、Sk)を非負値にマッピングする関数)べきであり、この場合にはテストは以下のとおりとなる:
f(S1T−S1A,S2T−S2A,…,SkT−SkA)<Δか否か
【0109】
該測定関数は、重要度においてパラメータ間を差別化するために利用され得る。
【0110】
該測定関数は、センサ目標と共に該システムへの入力の1つであっても良い。
【0111】
全体的な制御アルゴリズムは、以下の通りである:
1.目標センサ値S1T、S2T、…、SkTを受信する。
2.調理/煎出(典型的には加熱)を開始する。
3.センサ値S1A、S2A、…、SkAを読み取る。
4.f(S1T−S1A,S2T−S2A,…,SkT−SkA)<Δであればステップ5に進み、そうでなければステップ3へ進む。
5.処理が完了される(調理/煎出を停止する)。
【0112】
具体的には、該装置におけるセンサは、炒りの間の重量変化及びRGB色を測定することができることを仮定する。しかしながら、センサ目標は、重量及びGB色成分についてのみ定義される。
【0113】
例えば、目標は以下のとおりとされる:
重量:−12%±0.01%(目標は炒りの間の12%の重量の減少である)
R:61.3±3
G:52±3
B:43±1
【0114】
目標は、該目標を満たすために許容される差分を含む。該差分を規定することにより、一方のセンサパラメータを、他方よりも重要なものとすることが可能となる(即ち大きな(正規化された)差分を持つパラメータは、より重要度が低い)。
【0115】
モード2:最終的なセンサ目標と目標炒りプロファイルとの両方の入力。
【0116】
この場合には、該入力は炒りプロファイル(例えば目標温度及び/又は調理のための他のパラメータ)も含む。制御ユニットは、センサ目標が到達されるまで、当該プロファイルに基づいて装置パラメータを設定する。
【0117】
例えば、炒りプロファイルは単に、センサ目標が到達されるまで、200℃まで加熱することである。
【0118】
モード3:中間の結果についての複数のセンサ目標の入力(セグメント毎に標準的な炒りプロファイルを利用するか、又はセグメント毎に目標炒りプロファイルの入力を利用する)。
【0119】
この場合には、炒り工程における種々のステップを制御するため、複数のセンサ目標が入力される:
ステップ1:S1T、S2T、…、SkT
ステップ2:S1T、S2T、…、SkT
ステップ3:S1T、S2T、…、SkT
【0120】
該制御アルゴリズムは、各ステップについて上述したレベル1のアルゴリズムに従う。仮定は、炒りプロファイルが各ステップで異なる(センサ目標と共に入力されても良い)ということである。
【0121】
各ステップについてのセンサ目標が、センサの同じセットを使用する必要はない。例えば、以下のとおりである:
ステップ1:重量−6%±0.1%(最終的な炒りが12%の重量の減少を必要とするが、第1の段階においては、5%の重量の減少のみが必要とされる)
ステップ2:R:61.3±3、G:52±3、B:43±1
【0122】
この場合、第1のステップは、重量の損失を制御するためのものであり、第2のステップ(高い温度を用いる)は、目標炒りレベルを実現する。
【0123】
モード4:複数の最終的なセンサ目標(及び目標炒りプロファイル)に加え、複数の初期センサ値の入力により、最終的なセンサ目標及び/又は炒りプロファイルが、初期センサ値に依存するようにする。
【0124】
基本的な着想は、センサ目標が原料に基づくものであり、それ故より正確な制御が可能となる点である。更なる改良は、初期センサ値を用いて最終的な目標を選択することである。このことは、同じタイプの原料における変動(例えば時間経過による)を考慮に入れること、又は同じクラスの原料について入力される情報の変動を減少させることを可能とする。
【0125】
この場合には、該入力は、初期センサ値(特定の値又は範囲)の対のセット、及び以上に説明されたような目標センサ値を含む。
【0126】
実際の初期センサ値は、センサ目標を選択するために用いられる。初期センサ入力が、特定の値のセットである場合には、最も近く合致するものが選択されても良い。該入力が範囲である場合には、実際のセンサ値に基づいて適切な範囲が選択される。
【0127】
初期センサ値は、工程の開始時における実際の値を示すが、必ずしも開始時の瞬間的な測定値を示すものではない。初期センサ値は、工程の最初の数分間の間に測定された測定値であっても良い。
【0128】
本例においては、該入力は初期値を含み、該初期値が次いでプロファイル及び目標最終結果を制御する。コーヒー豆がどのように保存されているかに依存して、これらコーヒー豆の特性は変化し得るものであり、例えばこれらコーヒー豆は水分を失い得る又は吸収し得る。初期センサ値を加えることにより、このことは最適な最終結果を導出するよう補償され得る。
【0129】
例えば、水分含量は、炒りプロファイルを制御するため測定される初期パラメータであり得、最終的な結果に関連付けられる。表3は、斯かる例を示す。
【表5】
【0130】
このようにして、保存の間(時間経過を含む)の豆の変化が補償され得る。
【0131】
本発明の他の態様によれば、本発明の一実施例は、コーヒーをつくる方法であって、以上に説明された部分的に炒られたコーヒー豆を炒る炒り方法と、所定の最終炒りレベルを持つコーヒー豆をコーヒー粉へと挽くステップと、該コーヒー豆を使ってコーヒーを煎出するステップと、を有する方法を提供する。
【0132】
斯かる構成により、本発明による高速な炒り工程は、炒り期間を非常に短くするのみならず(必要とされるエネルギーが少なくなる)、より均一に炒られた豆を提供するため、豆からコーヒーカップまでの非常に短い時間、及び従って即座に新鮮に煎出されるコーヒーが利用可能となる。
【0133】
本発明の更に他の態様によれば、部分的に炒られたコーヒー豆を炒るための炒り装置であって、前記炒り装置は、部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルを取得するための取得ユニットと、炒り工程の前に少なくとも前記部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルに基づいて炒り工程のための炒りプロファイルを決定するための決定ユニットと、前記決定された炒りプロファイルに従って前記部分的に炒られたコーヒー豆を炒るための炒りユニットと、を有する装置が提案される。
【0134】
斯かる炒り装置により、炒り工程が非常に短くなり、必要とされるエネルギーが少なくなり、炒りがより均一となる。
【0135】
好適には、前記部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルは、前記部分的に炒られたコーヒー豆の水分含量、
密度及び色のうち少なくとも1つにより示され、前記取得ユニットは、前記部分的に炒られたコーヒー豆の水分含量、
密度及び色のうち少なくとも1つを感知するための感知要素、又は前記部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルを指標によって認識するための認識要素を有する。
【0136】
本発明の一実施例においては、前記炒りユニットは、前記部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベルと、所定の最終的な炒りレベルと、に基づいて決定された炒りプロファイルに従って、前記部分的に炒られたコーヒー豆を炒る。
【0137】
好適には、前記認識要素は、前記部分的に炒られたコーヒー豆の炒りレベル及び/又は前記所定の最終的な炒りレベルを認識するよう構成され、及び/又は、前記炒りプロファイルを選択するよう構成される。
【0138】
本発明の一実施例においては、前記炒りユニットは、周囲温度を持つ前記部分的に炒られたコーヒー豆に約190℃乃至約230℃の範囲内の熱を加えるよう構成され、及び/又は、各前記部分的に炒られたコーヒー豆に約15Jよりも小さい熱エネルギーを伝達するよう構成される。
【0139】
本発明の更に他の態様によれば、コーヒーマシンであって、以上に説明された部分的に炒られたコーヒー豆を炒るための炒り装置と、前記所定の最終的な炒りレベルのコーヒー豆を挽いてコーヒー粉にするための挽き装置と、前記コーヒー粉からコーヒーを煎出するための煎出装置と、を有するコーヒーマシンが提案される。
【0140】
斯かるコーヒーマシンは、部分的に炒られたコーヒー豆から直接、瞬時にコーヒーを煎出することを潜在的に可能とする。
【0141】
図面、説明及び添付される請求項を読むことにより、請求される本発明を実施化する当業者によって、開示された実施例に対する他の変形が理解され実行され得る。請求項において、「有する(comprising)」なる語は他の要素又はステップを除外するものではなく、「1つの(a又はan)」なる不定冠詞は複数を除外するものではない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせが有利に利用されることができないことを示すものではない。請求項におけるいずれの参照記号も、請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。