(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
a)半芳香族の、半結晶性ポリアミドが、コポリアミド6,6/6T、コポリアミド6,10/6T、コポリアミド6,12/6T、コポリアミド12/6T、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
c)脂肪族ポリアミドが、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10、ポリアミド6,12、ポリアミド6,6/6,10、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
d)少なくとも1種の添加剤が、着色剤、潤滑剤、光および/または熱安定剤、衝撃改質剤、難燃剤、可塑剤、核形成剤、触媒、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
a)少なくとも1種の半芳香族の、半結晶性ポリアミドを、組成物の総重量に対して74.5〜81.0重量%の量で含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、
a)70〜84重量%の量での少なくとも1種の半芳香族の、半結晶性ポリアミドと;
b)12〜20重量%未満の量での少なくとも1種の扁平ガラス繊維と;
c)式−NH−R
2−NH−CO−R
3−CO−(式中、出現ごとに互いに等しいかもしくは異なる、R
2およびR
3は、二価の脂肪族炭化水素基である)に従う繰り返し単位を含む少なくとも1種の脂肪族ポリアミドと;
d)0〜5重量%の量での少なくとも1種の添加剤と
を含む組成物であって、
a)〜d)の総量が組成物の100重量%である組成物に関する。
【0008】
本発明の本質的な特徴の1つは、とりわけ強化充填材として標準ガラス繊維の代わりに、組成物に扁平ガラス繊維を使用することにある。優れた耐熱性および満足できる機械的特性の両方が、上に列挙された原料、すなわち、半芳香族の、半結晶性ポリアミドと、扁平ガラス繊維と、式−NH−R
2−NH−CO−R
3−CO−(式中、出現ごとに互いに等しいかもしくは異なる、R
2およびR
3は、二価の脂肪族炭化水素基である)に従う繰り返し単位を含む脂肪族ポリアミドとの併用によって達成できることがまた、予想外にも見出された。
【0009】
本発明の他の特徴、詳細および利点は、以下の説明を読むとさらに一層十分に明らかになるであろう。
【0010】
特許請求の範囲を含めて、本明細書の全体にわたって、用語「1つを含む」は、特に明記しない限り、用語「少なくとも1種を含む」と同じ意味であると理解されるべきであり、「〜」は、その両端を含むと理解されるべきである。
【0011】
さらに、本発明のある種の実施形態によれば、ポリアミド6,6などの、式−NH−R
2−NH−CO−R
3−CO−(式中、出現ごとに互いに等しいかもしくは異なる、R
2およびR
3は、二価の脂肪族炭化水素基である)に従う繰り返し単位を含む少なくとも1種の脂肪族ポリアミドに加えて少なくとも1種の半芳香族の、半結晶性ポリアミド、例えば、商品名TechnylOne(登録商標)で商業化されているものなどのコポリアミド6,6/6Tの使用が、機械的および熱的特性を悪化させることなく、ポリアミド組成物中の強化充填材としての扁平ガラス繊維の量を著しく低減することを可能にすることが本発明者によって意外にも見出された。
【0012】
本発明において、用語「ポリアミド」は、式(I)または式(II):
式(I):−NH−R
1−CO−
式(II):−NH−R
2−NH−CO−R
3−CO−
(式中:
− 出現ごとに互いに等しいかもしくは異なる、R
1は、1〜17個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり;
− 出現ごとに互いに等しいかまたは異なる、R
2は、1〜18個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり;
− 出現ごとに互いに等しいかもしくは異なる、R
3は、1〜16個の炭素原子を有する二価の炭化水素基である)
のいずれかに従う繰り返し単位[繰り返し単位(R
PA)]を含むポリアミドを、特に、意味することを意図する。
【0013】
好ましくは、ポリアミドは、上に詳述されたような、繰り返し単位(R
PA)から本質的になり、末端鎖、欠陥および他の不規則性が、その特性に影響を与えることなく、ポリアミド鎖中に存在し得ると理解されている。
【0014】
ポリアミドの繰り返し単位(R
PA)は、すべて同じタイプのものであり得るか、または2つ以上のタイプのものであり得る、すなわち、ポリアミドは、ホモポリアミドまたはコポリアミドであり得る。
【0015】
本発明において、用語「脂肪族ポリアミド」は、上に詳述されたような、その繰り返し単位(R
PA)が、式(I)または(II)(式中、R
1、R
2およびR
3は、脂肪族基である)の繰り返し単位[繰り返し単位(R
AA)]である、上に詳述されたような、ポリアミドを意味することを意図する。
【0016】
本発明において、用語「半芳香族ポリアミド」は、上に詳述されたような、その繰り返し単位(R
PA)の15モル%超、好ましくは35モル%超が、式(II)(式中、R
2およびR
3のいずれか1つは、フェニレン、ナフタレン、p−ビフェニレンおよびメタ−キシリレン基などの、少なくとも1種の芳香族部分を含み、そして残りが、脂肪族基などの、少なくとも1種の非芳香族部分を含む)を有する繰り返し単位[繰り返し単位(R
SA)]である、上に詳述されたような、ポリアミドを意味することを意図する。半芳香族ポリアミドは、半芳香族型の、上に詳述されたような、繰り返し単位(R
SA)に加えて、完全に脂肪族または完全に芳香族であり得る繰り返し単位(R
PA)を含んでもよい。特に、半芳香族ポリアミドは、上に詳述されたような、繰り返し単位(R
SA)と、上に詳述されたような、繰り返し単位(R
AA)とを含むコポリアミドであり得る:これらの実施形態によれば、それ故に、半芳香族ポリアミドは、脂肪族および半芳香族ポリアミド繰り返し単位を含む。
【0017】
好ましい実施形態によれば、半芳香族ポリアミドは、
− 20.0〜50.0%モル、好ましくは30.0〜40.0%モルの、上に詳述されたような、繰り返し単位(R
SA)と;
− 50.0〜80.0%モル、好ましくは60.0〜70.0%モルの、上に詳述されたような、繰り返し単位(R
AA)と
を含む。
【0018】
本発明において、用語「半結晶性ポリアミド」は骨格中に結晶性部分と非晶質部分とを含むポリアミドを、特に、意味することを意図する、すなわち、非晶質ポリマー材料は、ランダムに絡み合った鎖を含有し、結晶性材料は、ポリマー鎖が規則配列にパックされているドメインを含有し、ここで、これらの結晶性ドメインは、非晶質ポリマーマトリックス中に埋め込まれている。融点は、任意の公知の方法によって、特にASTM D 3418によって、すなわち、示差走査熱量測定法(DSC)によって測定されてもよい。本発明の半結晶性ポリアミドは、150℃超、好ましくは210℃超、より好ましくは230℃超の融点を有する。さらに、本発明の半結晶性ポリアミドは、5J/g超、好ましくは30J/g超、より好ましくは50J/g超の融解熱を有する。
【0019】
脂肪族ポリアミドの繰り返し単位(R
AA)は、(1)β−ラクタム、5−アミノ−ペンタン酸、ε−カプロラクタム、9−アミノノナン酸、10−アミノデカン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸の1種の重縮合反応、ならびに/または(2)シュウ酸(HOOC−COOH)、マロン酸(HOOC−CH
2−COOH)、コハク酸[HOOC−(CH
2)
2−COOH]、グルタル酸[HOOC−(CH
2)
3−COOH]、アジピン酸[HOOC−(CH
2)
4−COOH]、2,4,4−トリメチル−アジピン酸[HOOC−CH(CH
3)−CH
2−C(CH
3)
2−CH
2-COOH]、ピメリン酸[HOOC−(CH
2)
5−COOH]、スベリン酸[HOOC−(CH
2)
6−COOH]、アゼライン酸[HOOC−(CH
2)
7−COOH]、セバシン酸[HOOC−(CH
2)
8−COOH]、ウンデカン二酸[HOOC−(CH
2)
9−COOH]、ドデカン二酸[HOOC−(CH
2)
10−COOH]、テトラデカン二酸[HOOC−(CH
2)
12−COOH]、オクタデカン二酸[HOOC−(CH
2)
16−COOH]の少なくとも1種と、ジアミン、例えば、1,4−ジアミノ−1,1−ジメチルブタン、1,4−ジアミノ−1−エチルブタン、1,4−ジアミノ−1,2−ジメチルブタン、1,4−ジアミノ−1,3−ジメチルブタン、1,4−ジアミノ−1,4−ジメチルブタン、1,4−ジアミノ−2,3−ジメチルブタン、1,2−ジアミノ−1−ブチルエタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノ−オクタン、1,6−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサン、1,6−ジアミノ−2,4−ジメチルヘキサン、1,6−ジアミノ−3,3−ジメチルヘキサン、1,6−ジアミノ−2,2−ジメチルヘキサン、1,9−ジアミノノナン、1,6−ジアミノ−2,2,4−トリメチルヘキサン、1,6−ジアミノ−2,4,4−トリメチルヘキサン、1,7−ジアミノ−2,3−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−2,4−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−2,5−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−2,2−ジメチルヘプタン、1,10−ジアミノデカン、1,8−ジアミノ−1,3−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−1,4−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−2,4−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−3,4−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−4,5−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−2,2−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−3,3−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−4,4−ジメチルオクタン、1,6−ジアミノ−2,4−ジエチルヘキサン、1,9−ジアミノ−5−メチルノナン、1,11−ジアミノウンデカン、および1,12−ジアミノドデカンの少なくとも1種との重縮合反応によってとりわけ得ることができる。
【0020】
脂肪族ポリアミドの例示的繰り返し単位(R
AA)はとりわけ:
(i) −NH−(CH
2)
5−CO−、すなわち、ε−カプロラクタムの重縮合反応によってとりわけ得ることができる繰り返し単位;
(ii) −NH−(CH
2)
8−CO−、すなわち、9−アミノノナン酸の重縮合反応によってとりわけ得ることができる繰り返し単位;
(iii) −NH−(CH
2)
9−CO−、すなわち、10−アミノデカン酸の重縮合反応によってとりわけ得ることができる繰り返し単位;
(iv) −NH−(CH
2)
10−CO−、すなわち、11−アミノウンデカン酸の重縮合反応によってとりわけ得ることができる繰り返し単位;
(v) −NH−(CH
2)
11−CO−、すなわち、ラウロラクタムの重縮合反応によってとりわけ得ることができる繰り返し単位;
(vi) −NH−(CH
2)
6−NH−CO−(CH
2)
4−CO−、すなわち、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との重縮合反応によってとりわけ得ることができる繰り返し単位;
(vii) −NH−(CH
2)
6−NH−CO−(CH
2)
8−CO−、すなわち、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸との重縮合反応によってとりわけ得ることができる繰り返し単位;
(viii) −NH−(CH
2)
6−NH−CO−(CH
2)
10−CO−、すなわち、ヘキサメチレンジアミンとドデカン酸との重縮合反応によってとりわけ得ることができる繰り返し単位;
(ix) −NH−(CH
2)
10−NH−CO−(CH
2)
10−CO−、すなわち、デカメチレンジアミンとドデカン酸との重縮合反応によってとりわけ得ることができる繰り返し単位;
(x) −NH−(CH
2)
6−NH−CO−(CH
2)
7−CO−、すなわち、ヘキサメチレンジアミンとアゼライン酸(別名ノナン二酸として知られている)との重縮合反応によってとりわけ得ることができる繰り返し単位;
(xi) −NH−(CH
2)
12−NH−CO−(CH
2)
10−CO−、すなわち、ドデカメチレンジアミンとドデカン酸との重縮合反応によってとりわけ得ることができる繰り返し単位;
(xii) −NH−(CH
2)
10−NH−CO−(CH
2)
8−CO−、すなわち、デカメチレンジアミンとセバシン酸との重縮合反応によってとりわけ得ることができる繰り返し単位;
(xiii) −NH−(CH
2)
4−NH−CO−(CH
2)
4−CO−、すなわち、1,4−ブタンジアミンとアジピン酸との重縮合反応によってとりわけ得ることができる繰り返し単位;および
(xiv) −NH−(CH
2)
4−NH−CO−(CH
2)
8−CO−、すなわち、1,4−ブタンジアミンとセバシン酸との重縮合反応によってとりわけ得ることができる繰り返し単位
である。
【0021】
半芳香族ポリアミドの繰り返し単位(R
SA)は、(i)イソフタル酸(IA)、およびテレフタル酸(TA)、2,5−ピリジンジカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、3,5−ピリジンジカルボン酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパン、ビス(4−カルボキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ケトン、4,4’−ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)プロパン、ビス(3−カルボキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)ケトン、ビス(3−カルボキシフェノキシ)ベンゼン、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸からなる群から特に選択される、少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸[酸(AR)]と、1,4−ジアミノ−1,1−ジメチルブタン、1,4−ジアミノ−1−エチルブタン、1,4−ジアミノ−1,2−ジメチルブタン、1,4−ジアミノ−1,3−ジメチルブタン、1,4−ジアミノ−1,4−ジメチルブタン、1,4−ジアミノ−2,3−ジメチルブタン、1,2−ジアミノ−1−ブチルエタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノ−オクタン、1,6−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサン、1,6−ジアミノ−2,4−ジメチルヘキサン、1,6−ジアミノ−3,3−ジメチルヘキサン、1,6−ジアミノ−2,2−ジメチルヘキサン、1,9−ジアミノノナン、1,6−ジアミノ−2,2,4−トリメチルヘキサン、1,6−ジアミノ−2,4,4−トリメチルヘキサン、1,7−ジアミノ−2,3−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−2,4−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−2,5−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−2,2−ジメチルヘプタン、1,10−ジアミノデカン、1,8−ジアミノ−1,3−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−1,4−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−2,4−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−3,4−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−4,5−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−2,2−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−3,3−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−4,4−ジメチルオクタン、1,6−ジアミノ−2,4−ジエチルヘキサン、1,9−ジアミノ−5−メチルノナン、1,11−ジアミノウンデカン、および1,12−ジアミノドデカンからなる群から特に選択される、少なくとも1種の脂肪族ジアミン[アミン(AL)]との重縮合反応によってか、または(i)シュウ酸(HOOC−COOH)、マロン酸(HOOC−CH
2−COOH)、コハク酸[HOOC−(CH
2)
2−COOH]、グルタル酸[HOOC−(CH
2)
3−COOH]、2,2−ジメチル−グルタル酸[HOOC−C(CH
3)
2−(CH
2)
2COOH]、アジピン酸[HOOC−(CH
2)
4−COOH]、2,4,4−トリメチル−アジピン酸[HOOC−CH(CH
3)−CH
2−C(CH
3)
2−CH
2−COOH]、ピメリン酸[HOOC−(CH
2)
5−COOH]、スベリン酸[HOOC−(CH
2)
6−COOH]、アゼライン酸[HOOC−(CH
2)
7−COOH]、セバシン酸[HOOC−(CH
2)
8−COOH]、ウンデカン二酸[HOOC−(CH
2)
9−COOH]、ドデカン二酸[HOOC−(CH
2)
10−COOH]、テトラデカン二酸[HOOC−(CH
2)
11−COOH]からなる群から選択される少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸[酸(AR)]と、メタ−フェニレンジアミン、メタ−キシリレンジアミンおよびパラ−キシリレンジアミンからなる群から特に選択される、少なくとも1種の芳香族ジアミン[アミン(AL)]との重縮合反応によってとりわけ得ることができる。半芳香族ポリアミドの繰り返し単位(R
SA)は好ましくは、上に詳述されたような、少なくとも1種の酸(AR)と1種のアミン(AL)との重縮合から得られる。
【0022】
繰り返し単位(R
SA)の酸(AR)は好ましくは、イソフタル酸(IA)、およびテレフタル酸(TA)からなる群から選択される少なくとも1種のフタル酸である。イソフタル酸およびテレフタル酸を単独でまたは組み合わせて使用することができる。フタル酸は好ましくは、任意選択的にイソフタル酸と組み合わせて、テレフタル酸である。繰り返し単位(R
SA)のアミン(AL)は好ましくは、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノ−オクタン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカンおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン、最も好ましくは1,6−ジアミノヘキサンである。
【0023】
a)半芳香族の、半結晶性ポリアミドの具体的な例は、コポリアミド6,6/6T、コポリアミド6,10/6T、コポリアミド6,12/6T、コポリアミド12/6T、およびそれらの任意の組み合わせ、好ましくはコポリアミド6,6/6Tを含んでもよいが、それらに限定されない。
【0024】
本発明の組成物に使用されるべき特に好ましい半芳香族の、半結晶性ポリアミドは、4:1〜1:1、好ましくは約2:1のポリアミド6,6対ポリアミド6Tのモル比を有するコポリアミド6,6/6Tである。
【0025】
1種もしく2種以上の半芳香族の、半結晶性ポリアミドを、組成物に使用することができる。それ故に、ある種の実施形態によれば、半芳香族の、半結晶性ポリアミドの混合物を使用することができる。
【0026】
本発明においては、ISO307に従って測定される60〜140ml/gの粘度数を有する、a)少なくとも1種の半芳香族の、半結晶性ポリアミドが好ましい。ISO307の方法は、25℃で90重量%のギ酸中の0.005g/ml溶液としてポリアミドの粘度数を測定する。より好ましくは、a)少なくとも1種の半芳香族の、半結晶性ポリアミドの粘度数は、80〜90ml/gである。
【0027】
本発明の特定の実施形態においては、a)少なくとも1種の半芳香族の、半結晶性ポリアミドの量は、組成物の総重量に対して70.0〜84.0重量%である。好ましくは、a)少なくとも1種の半芳香族の、半結晶性ポリアミドの量は、組成物の総重量に対して74.5〜81.0重量%である。
【0028】
半芳香族の、半結晶性ポリアミド内の芳香族部分は、脂肪族ポリアミドと比べて半芳香族の、半結晶性ポリアミドの融点およびガラス遷移温度を上げるのに役立つ。
【0029】
一般に、半芳香族の、半結晶性ポリアミドは、高い弾性率および強度を示す高剛性ポリマーであるが、半芳香族のポリアミド内の芳香族部分の存在のために比較的高い脆さを示し、そのことはある種の用途でのそれらの使用を制限する。これらの問題は、ポリアミド組成物への、c)式−NH−R
2−NH−CO−R
3−CO−(式中、出現ごとに互いに等しいかもしくは異なる、R
2およびR
3は、二価の炭化水素基である)に従う繰り返し単位を含む少なくとも1種の脂肪族ポリアミドの組み込みによって少なくとも部分的に解決することができる。
【0030】
上記のような理由で、c)式−NH−R
2−NH−CO−R
3−CO−(式中、出現ごとに互いに等しいかもしくは異なる、R
2およびR
3は、二価の脂肪族炭化水素基である)に従う繰り返し単位を含む少なくとも1種の脂肪族ポリアミドが、
a)半芳香族の、半結晶性ポリアミドの少し脆い特性を相殺するために本発明に従った本組成物に使用される。
【0031】
本明細書によって提供される組成物で有利に使用することができる前記c)少なくとも1種の脂肪族ポリアミドの具体的な例はとりわけ:
−ポリアミド6,6、ポリアミド6,10、ポリアミド6,12、ポリアミド6,6/6,10、およびそれらの任意の組み合わせ
である。
【0032】
本発明の組成物中で使用されるべき特に好ましい脂肪族ポリアミドは、ポリアミド6,6である。
【0033】
本発明においては、ISO307に従って測定される105〜200ml/gの粘度数を有する、c)少なくとも1種の脂肪族ポリアミドが好ましい。ISO307の方法は、25℃で90重量%のギ酸中の0.005g/ml溶液としてポリアミドの粘度数を測定する。より好ましくは、c)少なくとも1種の脂肪族ポリアミドの粘度数は、120〜130ml/gである。
【0034】
本発明の特定の実施形態においては、前記c)少なくとも1種の脂肪族ポリアミドの量は、組成物の総重量に対して4.0〜10.0重量%である。好ましくは、前記c)少なくとも1種の脂肪族ポリアミドの量は、組成物の総重量に対して5.0重量%〜8.5重量%である。
【0035】
本発明による組成物は、b)少なくとも1種の扁平ガラス繊維を強化充填材として含む。
【0036】
本発明において、用語「扁平ガラス繊維」は、非円形横断面を有するガラス繊維を、特に、意味することを意図する。本発明の組成物で強化充填材として使用されるのに好適な扁平ガラス繊維は、楕円断面、長円形断面、長方形断面、半円形のものが長方形の両短側連結されている断面、および繭断面などの任意の非円形横断面を有してもよい。
【0037】
扁平ガラス繊維の前記非円形横断面のアスペクト比(=主軸/短軸)は、有利には1.5〜10、好ましくは2.0〜6.0である。
【0038】
本明細書に記載されるアスペクト比は、走査電子顕微鏡(SEM)で扁平ガラス繊維の横断面を観察することによって得られた画像を解析し、そして扁平ガラス繊維の非円形断面を長方形と外接させることによって求めることができる。アスペクト比は、A(=R
aの長さ)/B(=R
bの長さ)(ここで、AおよびBは、観察された画像において扁平ガラス繊維に外接させられた長方形の長い側R
aおよび短い側R
bの長さである)を計算することによって得られる。
【0039】
本発明の組成物の扁平ガラス繊維を構成するガラスの種類は、特に限定されず、Eガラス、Tガラス、NEガラス、Cガラス、Sガラス、S2ガラスおよびRガラスなどを含むことができる。
【0040】
本発明のある種の実施形態においては、b)強化充填材としての少なくとも1種の扁平ガラス繊維の量は、組成物の総重量に対して、例えば12、13、14、15、16、17、18、19、および19.5重量%ならびにこれらの値の間に含まれる任意の範囲などの、12.0〜20.0重量%未満である。好ましくは、b)強化充填材としての少なくとも1種の扁平ガラス繊維の量は、組成物の総重量に対して13.0〜17.0重量%である。
【0041】
本発明の一実施形態においては、組成物はまた、扁平ガラス繊維と標準ガラス繊維とのブレンドを強化充填材として含んでもよい。
【0042】
さらに、本発明による組成物は、d)少なくとも1種の添加剤を任意選択的に含んでもよい。有利に使用され得る、添加剤の例としては、着色剤、潤滑剤、光および/または熱安定剤、衝撃改質剤、難燃剤、可塑剤、核形成剤、触媒、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料、ならびにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0043】
本発明の特定の実施形態においては、d)少なくとも1種の添加剤の量は、組成物の総重量に対して0〜5.0重量%、好ましくは0〜3.5重量%であってもよい。添加剤の重量による濃度の範囲は、本発明の組成物中に含有される場合、組成物の総重量に対して0.5〜3.5重量%、好ましくは0.5〜2.5重量%であってもよい。
【0044】
本発明の好ましい実施形態においては、組成物は、
a)74.5〜81.0重量%の量での少なくとも1種の半芳香族ポリアミドと;
b)13.0〜17.0重量%の量での少なくとも1種の扁平ガラス繊維と;
c)5.0〜8.5重量%の量での少なくとも1種の脂肪族ポリアミドと;
d)0.5〜2.5重量%の量での少なくとも1種の添加剤と
を含み、
ここで、a)〜d)の総量は、組成物の100重量%である。
【0045】
ポリアミド組成物の調製のために、これらの添加剤および扁平ガラス繊維は、例えば、重合中にまたは溶融混合物として、添加剤および扁平ガラス繊維に好適な従来手段によってポリアミドに添加されてもよい。扁平ガラス繊維は好ましくは、サイドフィーダによって溶融ポリアミド中へ計量供給される。
【0046】
本発明の別の態様は、本ポリアミド組成物の射出成形によって製造される成形品に関する。
【0047】
本発明のさらなる態様は、自動車または電気構成部品、例えば、中間冷却器エアダクト、タイミングベルトカバーおよびエンジンカバーなどのエンジン構成部品、ならびに電気装置のハウジングもしくはハウジング部品、好ましくは自動車用のエンジンカバーを製造するための成形品の使用に関する。
【0048】
本発明による組成物は、射出成形による、射出/ブロー成形による、押出によるまたは押出/ブロー成形による、好ましくは射出成形による例えば物品の製造のために、原材料として使用され得る。ある実施形態によれば、ポリアミド組成物は、例えば、二軸スクリュー押出機で、棒の形態で押し出され、次に切り刻まれて顆粒になる。成形品は次に、前記顆粒を溶融させ、溶融した組成物を射出成形装置へ供給することによって製造される。
【0049】
本発明の他の詳細または利点は、以下に示される実施例によってより明確に明らかになるであろう。本発明は、本発明を実証するが、限定しないことを意図する、以下の実施例によって明らかにされるであろう。
【実施例】
【0050】
実施例で使用される化学試薬は、以下のとおり指定される:
− ポリアミド6,6/6T:約278℃の融点および約57J/gの融解熱を有する、Solvay Polyamide&Intermediatesから入手可能な、STABAMID(登録商標)26UE1;
− ポリアミド6,6:Solvay Polyamide&Intermediatesから入手可能なSTABAMID(登録商標)26AE1 K PA66;
− ポリアミド6:Domo Chemicalsから入手可能なDomamid(登録商標)24;
− 標準ガラス繊維(10ミクロン):日本電気硝子株式会社製のECSO(登録商標)3T−289Hガラス繊維;
− 標準ガラス繊維(7ミクロン):Chongqing Polycomp International Corp.製のECS301−HPガラス繊維;および
− 扁平ガラス繊維:Chongqing Polycomp International Corp.から入手可能な4:1のアスペクト比を有するECS301−HF。
【0051】
ポリアミド組成物は、i)ガラス繊維を除いて下の表1に示される構成要素をすべて、プレミキシング後にメインフィーダによって、そしてガラス繊維を、Coperionから入手可能な、W&P ZSK26MCの二軸スクリュー押出機のサイドフィーダによって供給すること、ii)構成要素をすべて押出機で混合すること、そしてiii)その後混合物を押し出すことによって得られた。押出温度は、ノズルからホッパーまで280−280−280−300−300−300−200℃であり、押出量およびRPMは、それぞれ、20kg/時間および250であった。押出物を次に室温での水中で冷却した。
【0052】
実施例1〜実施例5として調製された組成物を、下の表1に詳述する。割合は、組成物中の重量百分率(重量%)で示す。
【0053】
【0054】
これらの組成物の機械的特性は、熱老化前および熱老化後にもまた測定したが、HDTは、熱老化前に測定したにすぎなかった。結果、すなわち、破断までの引張強度(TS)、シャルピー衝撃(kJ/m
2)、およびHDT(℃)を下の表2および表3にまとめた。破断までのTSは、ISO527に従って、シャルピー衝撃は、ISO148に従って、そしてHDTは、ASTM D648に従って測定した。さらに、熱老化後の破断までのTSおよびシャルピー衝撃の保持率を、下の表4において計算した。
【0055】
熱老化は、180℃で1000時間実施した。
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
表2および表3の実験データから裏付けられるように、17重量%の扁平ガラス繊維を有する組成物(発明組成物:実施例3および比較組成物:実施例4および実施例5)についての破断までのTSに関する初期値は、同じ量の、それぞれ、直径10および7ミクロンを有する標準ガラス繊維を有する組成物(比較組成物:実施例1および実施例2)についてのそれらよりも小さかった。しかし、180℃で1000時間の熱老化後の値は、実施例1〜実施例5について同様であった、すなわち、実施例3〜実施例5の熱老化後の保持率は、上の表4に示されるように実施例1および実施例2のそれらより優れていた。熱老化前後のシャルピー衝撃の保持率は、実施例3についてとりわけ優れたレベルを示すことがまた観察された。
【0060】
上の実験データは、17重量%の扁平ガラス繊維が、同じ量の標準ガラス繊維と比べると熱老化後に関連ポリアミド組成物の機械的特性の高い保存をもたらしたことを示す。特に、本発明組成物(実施例3)についての熱老化後の破断までのTSは、約23%減少したにすぎないが、約30%、約42%、約29%、および約27%の減少が、それぞれ、比較組成物(実施例1、実施例2、実施例4、および実施例5)について観察された。
【0061】
さらに、上の実験データはまた、ポリアミドの特有の組み合わせがHDTに大いに影響を与えたことを示す。異なるポリマー構造を有する比較組成物(実施例4および実施例5)は、表1に示されたような本発明組成物(実施例3)と比べると、17重量%の扁平ガラス繊維を含むそれらの比較組成物が、上に述べられたように、熱老化後に関連ポリアミド組成物の機械的特性の高い保存を示したにもかかわらず、著しいHDT低下を示した。表2において、実施例4のHDTは200℃であり、実施例5のそれは215℃であったが、実施例3のHDTは242℃であった。