(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外スリーブの前記第2の開端部を出る空気流量が前記外スリーブの前記第1の開端部に入る空気流量の少なくとも80%である、請求項1乃至4のいずれかに記載のデバイス。
前記基部が、前記エアフィルタバッグを受け入れるための第1の段差と、前記外スリーブの前記第1の開端部を受け入れるための第2の段差とを有するテーパ状の覆いを含む、請求項1乃至13のいずれかに記載のデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1〜3を参照すると、空気を濾過するためのデバイス10の例示的実施形態が示される。デバイス10は、基部20と、基部に機能的に取り付けられたファン40と、基部に着脱可能に取り付けられたエアフィルタ50と、実質的に空気不透過性の外スリーブ80と、を含んでもよい。デバイス10には、交換式又は充電式バッテリ、ACコンセント(AC直接駆動又は適切なAC−DC電源)、自動車DC電源、太陽電池等により電力を供給してもよい。
【0010】
大きさが約0.1マイクロメートル〜約30マイクロメートルの範囲となり得る微粒子又はその他の汚染物質を有する流入空気がデバイス10に入ると、流入空気はエアフィルタ50を通じて濾過されるため、流出空気中の微粒子が減少する。
【0011】
デバイス10は卓上又は約22m
3〜約75m
3の空間を有する部屋などの生活空間内で使用することができるような大きさにしてもよい。デバイス10は狭い空間に適するよう長手方向の軸線LAに沿ったその直立高さよりも小さな設置面積を有してもよい。例えば、デバイスはその直立位置にある場合、幅約20cm〜約30cm、深さ約20cm〜約30cm及び長手方向の軸線LAに沿った高さ約45cm〜約75cmであってもよい。折りたたみ可能な部品が用いられる場合は、保管中、デバイス10の高さを低減してもよい。
【0012】
デバイス10は、空気流、エアフィルタ特性及びデバイス構成(例えば、ハウジング、グリルカバー、エアフィルタ及び外スリーブ構成)により特徴付けることができる。このような側面によってデバイス10内の圧力損失が生じる。一実施形態においては、デバイス10は約15Pa〜約25Pa又は約8Pa〜約20Paの総圧力損失を生じる場合がある。他の実施形態では、圧力損失がより高くなる又は低くなる場合があり、デバイス10と同じ空気流を発生させるためにファン40に対して要求される空気流がより多くなる又はより少なくなる。
【0013】
本発明のデバイス10に含めてもよい各部品について以下で更に詳細に説明する。
【0014】
デバイスの部品
基部及びファン
図4〜5を参照すると、本発明のデバイス10は、任意の公知の材料で構成された、電動式ファン40を安定させるための基部20を含んでもよい。基部20は、ファンハウジング30と、ファンハウジングを支持し、かつ空気入口が基部の下面に配置される場合にファンハウジングを支持面から上昇させて空気入口22への空気の流れを促進する脚32と、を含んでもよい。基部20は脚32と合わせて、高さ約5cm〜約10cm及び直径約20cm〜約30cmとし、部品重量を低減してもよい。基部20は、基部の第1の側23に空気入口22、基部の第2の側25に空気出口24を有する。いくつかの実施形態では、基部20は、空気入口22及び空気出口24に対応するグリルカバー26a、26bと、任意選択的に、大きな粒子(例えば毛髪)を濾過してファンを清潔に保つためのファンプレフィルタ42及びファンカバー44と、を含んでもよい。
【0015】
基部20は、エアフィルタ50の取り付けを可能にする第1の段差36と、外スリーブ80の取り付け用の第2の段差38と、を備えたテーパ状の覆い34を有してもよい。第2の段差38は基部20の覆い34の下方にあり、第1の段差36を周方向に取り囲んでもよい。覆い34は頂部の直径が約16cm〜約25cmであり、下方に向かうにつれて約20cm〜約30cmへと拡張してもよい。
【0016】
ファン40は、一定体積の流入空気を基部の空気入口22へと引き込んで空気出口24から出し、この一定体積の空気を、外スリーブ80により画定される空気流路90及び同じく空気流路90内にあるエアフィルタ50内へと押し込むのを補助するように、基部20に機能的に取り付けられている。ファン40は、基部20内の、基部20の第1の側23と第2の側25との間に取り付けてもよい。いくつかの実施形態では、ファン40は、一定体積の空気が(エアフィルタ内に押し込まれるのに対して)エアフィルタ内に引き込まれ、ファン40を通過する前にこの空気をエアフィルタが清浄にするように、エアフィルタ50の下流側に配置することができる。本明細書で使用する場合、「下流側(downstream)」は、エアフィルタリングデバイスを通過する空気流を測定する場合、基準位置から時間的に遅い空気流路内の位置を意味する。
【0017】
ファン40はファンブレード及びモータを含んでもよい。回転するファンブレードは、空気を空気流路90へと押しやるときの高い圧力損失を回避するため、及び望ましくない量のデブリ(例えば塵/毛髪)を引き込むことを最小限にするためにも、デバイス10が載置される面から少なくとも約5cmの高さにあってもよい。ファン40は、約25ワット未満、又は約15ワット未満、又は約8ワット未満、又は約6ワット未満の電力をファンに供給する電源で作動させても電力を供給してもよい。
【0018】
ファン40は、所望の空気流量を提供するために所定の速度に設定してもよく、あるいは使用者が選択した速度を有する制御部により設定してもよい。ファン40はエアフィルタ50又は外スリーブ80なしで作動させた場合、約33〜約71L/s(70〜約150)リットル毎秒(立方フィート毎分)(「L/s(CFM)」)、又は約40〜約61L/s(85〜約130CFM)、又は約47〜約57L/s(100〜約120CFM)の空気を供給してもよい。
【0019】
一実施形態においては、基部20内に軸流ファンが取り付けられている。軸流ファンが使用される場合、所望の軸流ファンブレード(インペラとも呼ばれる)の直径はブレードの最外点の先端から先端までとすることができ、この軸流ファンブレードは約10cm〜約25cm、又は約15cm〜約25cm、又は約17cm〜約20cmの直径を有してもよく、AC又はDCモータ、ファンハウジング30と組み合わされ、エアフィルタ50又は外スリーブ80なしで約33〜約71L/s(70〜約150CFM)、又は約40〜約61L/s(85〜約130CFM)、又は約47〜約57L/s(100〜約120CFM)の空気を送り出すファン速度を有する。好適な軸流ファンとしては、Conrad Electronicsから入手可能なSilverstone S1803212HN、Allied Electronicsから入手可能なOrion OD180APL−12LTB及びRS Components Intlから入手可能なEBM Pabst 6212NMが挙げられる。軸流ファンは空気濾過デバイスにおいて一般に用いられる遠心ファンに比べて大幅に静音とすることができる。
【0020】
エアフィルタ
再度
図1〜3を参照すると、本発明のエアフィルタ50は基部20から長手方向に延出し、かつ基部20の空気出口24と空気流連通している。エアフィルタ50は、基部20にエアフィルタ50を着脱可能に取り付ける少なくとも1つの取り付け部材52を含んでもよい。取り付け部材52はクリップ、弾性バンド、把持材(gripping material)、フック及びループファスナ等の形態であってもよい。1つの固定法は、ファン40に電気的に接続されており、エアフィルタ50が適切に係合するとファン40に電源を入れる機械的なスイッチに係合するタブを設けることである。
【0021】
エアフィルタ50は、約0.1m
2〜約1m
2(約1.08ft
2〜約10.76ft
2)、又は約0.1m
2〜約0.6m
2(約1.08ft
2〜約6.46ft
2)、又は約0.15m
2〜約0.5m
2(約1.61ft
2〜約5.38ft
2)、又は約0.2m
2〜約0.4m
2(約2.15ft
2〜約4.31ft
2)の空気流表面積を有してもよい。空気流表面積(air flow surface area)とは、本明細書で使用する場合、エアフィルタ50内において空気が流れる透過可能面積(permeable area)である。この空気流表面積は、エアフィルタ50を折り目又はプリーツが全くない状態で単一面上に広げて置き、その後、総表面積を測定することにより測定される。測定されるエアフィルタ50の空気流表面積には、エアフィルタの同部分を空気流が通過することを物理的又は化学的バリア(例えば、フィルタの縁端の構造又はコーティング)が妨げる領域を全く含まなくてもよい。広い空気流表面積はフィルタ50を通過する空気の面速度の低下を可能とし圧力損失が低下するため、広い空気流表面積を持つエアフィルタを用いることが望ましい場合がある。これにより、特定量の電力に対し、ファン40からの空気流量(すなわちL/s(CFM))を増加することが可能になる。空気流表面積が広いほどファン40が必要とする電力が低下するため、デバイスの静音化も可能になる。
【0022】
本発明のエアフィルタ50は約6fpm〜約60fpm(約1.83m/分〜約18.29m/分)、又は約25fpm〜約50fpm(約7.62m/分〜約15.24m/分)、又は約25〜約40fpm(約7.62m/分〜約12.19m/分)の平均面速度を有してもよい。一実施形態においては、エアフィルタの面速度は約36fpm(約10.97m/分)である。エアフィルタの面速度は空気がエアフィルタの外面を出るときの空気の速度である。エアフィルタの外面は、エアフィルタ50の内面から外面へと空気が流れるようにエアフィルタの内面の下流側にある。本発明と同様に、空気がファンからエアフィルタに直接送られる(すなわち、ファンとエアフィルタへの入口点(entrance point)との間で空気が漏れない)構成では、エアフィルタの面速度は以下のように算出される。
【0024】
本発明のエアフィルタ50は単一の繊維層又は複数の層から形成してもよい。エアフィルタ50は不織布を含んでもよい。本明細書で使用される、及びEDANA(European Disposables and Non−woven Association)により定義される「不織布(non-woven)」は、手段によってウェブへと形成され、かつ製織又は製編を除いた任意の手段によって互いに結合された任意の性質又は由来の繊維、連続フィラメント又は細断糸(chopped yarn)のシートを意味する。不織布は、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)、ポリエステル、ポリアミド、合成セルロース(例えば、RAYON(登録商標))及びこれらのブレンドなどの、合成繊維、又はフィラメント、又は天然繊維、又は消費者から回収された材料繊維からなるものであってもよい。綿又はそのブレンドなどの天然繊維もまた有用である。不織布がどのように形成され得るかについての非限定的な例としては、メルトブロー、カーディング処理済みスパンレース、カーディング処理済み樹脂接合、ニードルパンチ、ウェットレイド、エアレイド、スパンボンド及びこれらの組み合わせが挙げられる。不織布エアフィルタは約20〜約120gsmの坪量を有してもよく、不織布又は濾材の坪量は修正EDANA 40.390(1996年2月)の方法に従う以下の方法により測定される。
1.好ましくは予め切り出された金属ダイ及びダイプレスを用いて、不織布又は濾材の少なくとも3つの片を特定の既知の寸法に切断する。各試験片は、通常、少なくとも0.01m
2の面積を有する。
2.天秤を用いて各試験片のグラム単位の質量を測定し、以下の等式を用いて平方メートルあたりのグラム(「gsm」)坪量(単位面積あたり質量)を計算する。
【0025】
【数2】
3.全ての試験片について数値平均坪量を報告する。
4.限られた量の不織布又は濾材のみしか入手できない場合、坪量は、可能な限り最大の矩形である1つの片の坪量として測定及び報告してもよい。
【0026】
本発明によるエアフィルタ50は本発明の譲受人に譲渡された米国特許第6,305,046号、米国特許第6,484,346号、米国特許第6,561,354号、米国特許第6,645,604号、米国特許第6,651,290号、米国特許第6,777,064号、米国特許第6,790,794号、米国特許第6,797,357号、米国特許第6,936,330号、米国特許第D409,343号、米国特許第D423,742号、米国特許第D489,537号、米国特許第D498,930号、米国特許第D499,887号、米国特許第D501,609号、米国特許第D511,251号及び/又は米国特許第D615,378号に従い作製してもよい。繊維の疎水性又は親水性の程度は、除去される微粒子又は悪臭の種類、提供される添加剤の種類、生分解性、稼働率及びこのような事項の組み合わせのいずれかの点におけるエアフィルタの所望の目的に応じて最適化してもよい。
【0027】
一実施形態においては、エアフィルタ50は、プレフィルタ層と、機能層と、支持層と、を含む3層不織布である。この手法においては、プレフィルタ層はエアフィルタ50の上流側にあり、より大きな微粒子(例えば10マイクロメートル超)のふるいとして機能する。本明細書で使用する場合、「上流側(upstream)」とは、エアフィルタリングデバイスを通過する空気流を測定する場合、基準位置から時間的に早い空気流路90内の位置を意味する。プレフィルタ層は水流交絡ポリエステル、ポリプロピレン(「PP」)又はそれらの混合物を含む嵩高い構造を含む。機能層はより小さな粒子(例えば約2.5マイクロメートル未満)を捕捉し、任意の悪臭処理剤を含む層として機能してもよい。機能層はメルトブロー又はスパンボンド不織布から作製してもよい。支持層は、エアフィルタが捕集する粒子を視覚的に示すための高対比の結合/非結合領域を含んでもよい。サポート層(supporting layer)は、エアフィルタ50に要求される構造/剛性を提供する。サポート層は、スクリム又は開口フィルム(aperture film)から作製してもよい。
【0028】
選択される不織布の種類及び製造方法は、空気濾過効率及び圧力損失、更には、デバイス10から約24〜約71L/s(50〜約150CFM)の空気を送るためにファン40に必要な圧力に大きな影響を及ぼす場合がある。濾過が好適でありかつ圧力損失が低い材料の1つは、水流交絡PET繊維の構造/支持を付与するための10〜20gsmスパンボンドPP層を有するポリエチレンテレフタレート(「PET」)繊維を含む60gsm水流交絡不織布である(本明細書中では集合的に「60gsm HET」と呼ばれる)。水流交絡法により、同じ坪量に対してより低い圧力損失を可能にする1mm〜3mmの厚みをこの構造において実現することができる。厚みは修正EDANA 30.5−90(1996年2月)の方法に従う以下の方法により測定する。
1.機器設定には以下を含むべきである。
a.脚部直径:40.54mm(1.596インチ)
b.脚部面積:12.90cm
2(2in
2)
c.脚部重量:90.72グラム(0.2lbs)
d.脚部圧力:7.03グラム/cm
2(0.1psi、0.69kPa)
e.滞留時間:10秒
2.少なくとも4つの位置、理想的には10の位置を測定する。全て単一層でありかつ折り目のないものとすべきである。折り目を除去するために材料を平らにしたりアイロンをかけたり引っ張ったりしない。試験片は圧力脚部(pressure foot)の面積よりも大きくする必要がある。
3.折り目のない試料を滞留時間の間圧力脚部下に置き、厚み(mm)を測定する。
4.全ての試験片について数値平均を報告する。
【0029】
意味のある効率を提供しつつも低い圧力損失を有するためには60kg/m
3未満のエアフィルタ密度が要求され得るということが判明した。60gsm HET材料によって、約20〜約60kg/m
3の密度を提供することができる。これにより本明細書中に記載されるデバイス10に良好な空気濾過効率及び低い圧力損失を提供する不織布となる。これは、繊維が厚み全体に広がるためより多くの空気流経路が得られ、その結果、繊維間の接触が減少し、粒子を捕捉するために利用可能な繊維表面積が広くなるためである。所与の坪量に対する厚みを得るための他の手法としては、空気接着(air bonding)、エアレイド、ニードルパンチング及びカーディング処理済みレジンボンド材料が挙げられるが、これらに限定されない。エアフィルタ50の密度は以下の等式を用いて算出される。
【0031】
良好に濾過するが圧力損失がより高い別の不織布は、34gsm PPメルトブロー不織布に結合され、別の17gsm PPスパンボンド不織布に結合された10gsm PPスパンボンド不織布を含む59gsmスパンボンド/メルトブロー/スパンボンド(「SMS」)積層体である(本明細書中では集合的に「59SMS」と呼ばれる)。両材料は類似の坪量を有するが、大きく異なる厚み及び密度、ゆえに、圧力損失を有する。60gsm HET材料は約1mm〜約3mmの厚みを有し、59SMS構造は約1mm未満の厚みを有するため、60kg/m
3を超える密度となる。60gsm HET材料は単回通過効率(single pass efficiency)がより低いが、圧力損失も2〜3分の1であり、空気流量の増加、騒音の低下、所与のファンに必要な電力の減少を可能にする。60gsm HET材料又は約60kg/m
3未満の密度を有する任意の材料も、メルトブロー材料又はSMS材料などのより高密度のフィルタに比べて空気流を制限し始めるまでにより多くの塵/微粒子を保持することができるという利点を有し、これもまた、エアフィルタの寿命全体におけるエアフィルタの空気流量に影響を及ぼす可能性がある。
【0032】
不織布の気孔容積分布は不織布の気孔率を特徴付ける。好ましい気孔容積分布を持つ不織布は、総体積の少なくとも約15%が半径約50μm未満の気孔、総体積の少なくとも約40%が半径約50μm〜約100μmの気孔、及び総体積の少なくとも約10%が半径約200μm超の気孔であり、気孔容積分布は以下に示す累積気孔容積試験法(Cumulative Pore Volume Test Method)による測定値を用いて算出されるということを見出した。
【0033】
累積気孔容積試験法
試験前に温度23℃±2.0℃及び相対湿度45%±10%で最低12時間調整した試料に対して以下の試験法を実施する。全ての試験は同一環境条件下及びこのように調整した室内で実施する。損傷した製品はどれも廃棄する。皺、破れ、穴などのような欠陥を有する試料は、試験しない。全ての計器は、製造業者の仕様書に従って較正する。本明細書に記載されたように調整された試料は、本発明の目的上、乾燥試料(例えば「乾燥繊維状シート」)であるとみなされる。任意の所与の被試験材料に対して少なくとも4つの試料を測定し、これら4つの複製の結果を平均して最終的な報告値を得る。4つの複製試料はそれぞれ55mm×55mmの寸法を有する。
【0034】
気孔容積測定はTRI/Autoporosimeter(Princeton,N.J.,U.S.A.に所在のTextile Research Institute(TRI)/Princeton Inc.)で行う。TRI/Autoporosimeterは、多孔質材料の気孔容積分布(例えば、有効気孔半径1〜1000μmの範囲内の異なる大きさの気孔容積)を測定するための自動コンピュータ制御機器である。Automated Instrument Software Releases 2000.1若しくは2003.1/2005.1、又はData Treatment Software Release 2000.1(TRI Princeton Inc.から入手可能)などのコンピュータプログラム及び表計算プログラムを測定データの取り込み及び分析のために使用する。TRI/Autoporosimeterについての更なる情報、その動作及びデータ処理については参照により本明細書に組み込まれる論文The Journal of Colloid and Interface Science(1994),volume 162,pages 163〜170に掲載された、B.Miller and I.Tyomkinによる、「Liquid Porosimetry:New Methodology and Applications」に記載されている。
【0035】
本出願で使用する場合、多孔度測定には、周囲の空気圧が変化するときに多孔質材料に入る又は出る液体の増分を記録することを含む。試験チャンバ中の試料は、精密制御された空気圧の変化に暴露される。空気圧が増加又は減少するにつれて、異なるサイズの孔群が液体を排出又は吸収する。気孔径分布又は気孔容積分布は、更に、対応する圧力にて機器により測定した各気孔径群の取り込み容積(volume of uptake)の分布として特定することができる。各群の気孔容積は、対応する気圧で機器により測定したこの液体の量に等しい。総累積流体取り込み量は吸収した流体の総累積容積として決定される。気孔の有効半径は以下の関係による圧力差に関係する。
圧力差=[(2)γ cos Θ]/有効半径
式中、γ=液体表面張力、及びΘ=接触角である。
【0036】
この方法では上記等式を用いて有効気孔半径を定数及び機器制御圧に基づき算定する。
【0037】
自動化機器は、液体を吸収するために圧力を減少する(気孔径を増加する)、又は液体を排出するために圧力を増加する(気孔径を減少する)のいずれかにより試験チャンバの空気圧を使用者指定の増分で変えることにより動作する。各圧力増分において吸収又は排出される液体体積は直前の圧力設定と最新の設定との間における全ての気孔群の累積容積である。TRI/Autoporosimeterは気孔容積の、試験片の総気孔容積への寄与を報告し、所与の圧力及び有効半径における容積及び重量も報告する。これらデータから圧力−容積曲線を直接生成することができ、曲線は、また、一般に、多孔質媒体を説明する又は特徴付けるために使用される。
【0038】
TRI/Autoporosimeterのこの用途では、この液体は、99.8重量%の蒸留水中のオクチルフェノキシポリエトキシエタノール(Union Carbide Chemical and Plastics Co.(Danbury,CT.)からのTriton X−100)の0.2重量%溶液(溶液の比重は約1.0である)である。機器計算定数は以下の通りである。ρ(密度)=1g/cm
3、γ(表面張力)=31dynes/cm、cosΘ=1。1.2μmのMillipore Mixed Cellulose Esters Membrane(Bedford,MA所在のMillipore Corporationカタログ番号RAWP09025)を試験チャンバの多孔質プレート上で用いる。重量約32gのプレキシガラスプレート(機器と共に供給された)が試料上に、試料がMillipore Filter上に確実に平らに置かれるように配置される。試料に追加の重量はかけない。
【0039】
試験チャンバ内の任意の表面及び/又は端部の効果について考察するために、ブランク条件(プレキシガラスとMillipore Filterとの間に試料がない)の試験を行う。このブランク試験の実施で測定される気孔容積はいずれも、試験試料の該当気孔群から差し引かれる。試験試料として、重量約32gの4cm×4cmプレキシガラスプレート(機器とともに供給された)が、測定中、Milliporeフィルタ上に試料が確実に平らに置かれるように試料上に配置される。試料に追加の重量はかけない。
【0040】
本出願の気孔径(圧力)のシーケンスは以下の通りである(有効気孔半径μm)。10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、220、240、260、280、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800。
【0041】
これら圧力値は前進1曲線及び後退1曲線(Advancing 1 and Receding 1 curves)を生成するために用いられる。このシーケンスは乾燥した状態の試料から開始され、試料は圧力が減少するにつれて飽和し(すなわち前進1曲線)、その後続いて圧力が再び増加するにつれて流体を排出する(すなわち後退1曲線)。
【0042】
TRI/Autoporosimeterは各圧力レベルにおける液体の累積重量(mg)を測定し、各試料の累積気孔容積を報告する。これらデータ及び元の乾燥試料の重量から、任意の測定圧力レベルにおける累積気孔容積/試料重量の比率を算出することができ、mm
3/mgで報告することができる。この試験法の場合、累積気孔容積は後退1曲線において特定され、mm
3/mgで報告され、TRI機器から得られる。
【0043】
同様の坪量における高厚み及び低密度により、フィルタ材料が良好な空気流を有する一方で、なお、粒子を静電気的に引きつける及び/又は機械的に濾過するための広い繊維表面積も有することが可能になる。この静電による利点は、毛髪、皮膚及び綿などの正に帯電した粒子を引きつけるために帯電列において負に変化した(negatively changed)PP繊維又はその他の材料/コーティングを用いることによって更に高めることができる。任意選択的に、エアフィルタ材料はファンがフィルタ材料内に空気を吹き込むときに材料が小微粒子を引きつけるための電荷を維持するよう製造現場でのコロナ処理により静電気的に帯電させることができる。改良された粒子捕捉を提供し得る別の手法は、粒子を含む空気がファン40を経由してエアフィルタ50を通過するときに粒子がフィルタ材料に引きつけられるように空気中の粒子に電荷を持たせるためデバイスを電離することである。
【0044】
本発明のエアフィルタ50は、少なくとも約30g/m
2、あるいは少なくとも約50g/m
2、あるいは少なくとも約70g/m
2の総坪量を有してもよい。本エアフィルタ50の総坪量は、通常、約200g/m
2以下、あるいは約150g/m
2以下、あるいは約100g/m
2以下である。総坪量は上述の坪量の等式を用いて測定することができる。
【0045】
エアフィルタ50は空気からの微粒子除去を向上させるため、空気を浄化するため、抗菌力を提供するなどのために空気処理剤を含んでもよい。空気浄化剤には、抗菌剤、抗ウイルス剤又は抗アレルゲン剤;イオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤;湿潤剤;過酸化物;米国特許出願公開第2012/0183488号及び米国特許出願公開第2012/0183489号に記載されているものを含むイオンポリマー及び非イオンポリマー;金属塩;金属触媒及び金属酸化物触媒(例えば、ZPT、Cu、Ag、Zn、ZnO);pH緩衝剤;酵素、天然成分及びその抽出物を含む生物剤;着色剤;並びに米国特許出願公開第2011/0150814号、米国特許第8,357,359号、米国特許出願公開第2013/0085204号に記載されているものを含む香料を含んでもよい。空気処理剤には、ビタミン、薬草系成分又はその他の鼻、咽頭及び/又は肺用の治療用又は医療用活性剤を含み得ることも考えられる。
【0046】
いくつかの実施形態では、エアフィルタ50は、においの除去及び/又は小分子(VOCの等)の捕捉を助けるための導電性材料及び/又はカーボン粒子を含む。エアフィルタ50は高気孔率を有してもよく、実質的に平面かつエアフィルタの約50%超、又は約50%、又は約30%、又は約25%、又は約20%、又は約10%であってもよい連続気泡又は孔を有する。エアフィルタ50内の空隙容積には、発泡体、海綿体及びフィルタに見られるもののような、材料内に形成される蛇行状チャネルを含んでもよい。表面積はエアフィルタの容積内の蛇行状空隙の形態であってもよい。表面積と寸法面積(dimensional area)の比は約2を超えても、あるいは約4を超えてもよい。
【0047】
エアフィルタ50には添加剤を含んでもよい。添加剤の種類及びレベルは、エアフィルタがフィルタの静電特性を維持し、再放出の量を最小にする一方で、微粒子材料を効果的に除去及び保持する能力を有するように選択される。したがって、カチオン性添加剤は静電特性を減少させる傾向があり得るため、添加剤は非カチオン性とされ得る。一実施形態においては、エアフィルタ50に高分子添加剤を含浸させる。好適な高分子添加剤としては、感圧接着剤、粘着性ポリマー及びそれらの混合物からなる群より選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。好適な感圧接着剤には、任意選択的に、粘着付与樹脂(例えば、Mirapol(商標)ポリマー)、可塑剤及び/又はその他の任意の成分と組み合わせて使用される接着性ポリマーを含む。好適な粘着性ポリマーとしては、ポリイソブチレンポリマー、N−デシルメタクリレートポリマー及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。高分子添加剤の接着特性は効果的な微粒子除去性能を提供することができる。高分子添加剤の接着特性はテクスチャ分析器を用いて測定することができる。好適なテクスチャ分析器はGodalming,Surrey UKに所在のStable Micro Systems,Ltd.から商品名TA.XT2 Texture Analyserで市販されている。
【0048】
本発明のエアフィルタ50は、圧力損失が12.5Pa(0.05"水柱)未満増加する、又はフィルタ上の更なる塵により増加する圧力損失が10Pa未満、若しくは5Pa未満、若しくは3.5Pa未満、若しくは2Pa未満である一方で、エアフィルタ面速度6〜12メートル/分(20〜40フィート/分)にて塵約1グラム超又は塵約3〜約6グラムの塵捕捉能力を有してもよい。エアフィルタ50の寿命終了は30日、60日、90日以上であってもよい。塵捕捉能力及び塵を付加したことによる圧力損失の変化は修正ASHRAE 52.1−1992の方法により測定される。
1.この方法により定められるように、少なくとも2つ、好ましくは6つ以上の濾材試料を測定する。
2.少なくとも36cm×36cm(14"×14")のプリーツ、しわ、折り目等のない平らなフィルタシートの測定を実施する。次に、フィルタシートの直径30cm(1ft)の円に粒子を噴射する。
3.材料が向きによって異なる特性を有する場合、デバイス内で第1粒子が見える、第1材料の同じ側に粒子が当たるように試験装置内に材料を配向する。材料が領域全体で不均質な場合、代表的な材料を抜き取る。
4.デバイスで用いられるエアフィルタ表面積及びデバイスの空気流量に基づき、デバイスのエアフィルタ面速度に厳密に一致するように選択したエアフィルタ面速度を用い、ISO Fine A2塵を使用し(ISO 12103−1に定義される)、塵を6グラムまで装填する。0.5gの増分で装填し、試験を実施する。0.5g追加するごとに抵抗を測定する。
【0049】
本発明のエアフィルタ50は、以下に記載の修正単回通過ASHRAE Standard 52.2の方法により定義されるように、E2粒子では約20%〜70%、E3粒子では約50〜90%の単回通過濾過効率を有する。フィルタの単回通過濾過特性は、ASHRAE Standard 52.2−2012(「Method of Testing General Ventilation Air−Cleaning Devices for Removal Efficiency by Particle Size」)に記載されているものと同様の手法で試験することにより特定してもよい。試験には、ウェブを平らなシート(例えばプリーツ、折り目又はたたみ目のない)として構成し、この平らなシートを試験ダクトに取り付け、平らなシートを、乾燥させて電荷を中和した塩化カリウム粒子に暴露することを含む。試験面速度は、デバイスで用いられるフィルタ表面積及びデバイスの空気流量に基づき、デバイスの面速度に厳密に一致するように選択すべきである。光学式パーティクルカウンタを用いて、一連の12の粒径範囲について試験フィルタの上流側及び下流側の粒子の濃度を測定してもよい。等式、
【0050】
【数4】
を使用し、各粒径範囲における捕捉効率を決定してもよい。試験時の各粒径範囲における最低効率を決定し、複合最低効率曲線(composite minimum efficiency curve)を決定する。複合最低効率曲線から0.3〜1.0μmの4つの効率値を平均してE1最低複合効率(MCE)を得てもよく、1.0〜3.0μmの4つの効率値を平均してE2 MCEを得てもよく、3.0〜10.0μmの4つの効率値を平均してE3 MCEを得てもよい。比較として、HEPAフィルタは、一般に、E2粒子及びE3粒子の両方に対し99%を超える単回通過効率を有する。
【0051】
エアフィルタ50は種々の構成をとってもよい。高表面積を有する低コストのエアフィルタ50の構成の1つは、一体フレームを備えた従来のプリーツ式フィルタの代わりに、エアフィルタ材料をバッグの形状に折る/密封するものである。エアフィルタバッグは、製造が簡単であるばかりでなく、フローラップ(flow-wrap)又は再密封可能なパウチで商品棚に展示するためのコンパクトな形態を(折りたたみにより)提供するように設計することができる。
【0052】
図6は、ガセットが底部にあり、バッグが起立して倒れないようにするための基部として機能する一般的なパウチに対して、ガセット66が先端部60(すなわち頂部)にあること以外はテーパ状の側部を有する一般的な起立式パウチに非常に類似する、ガセット66を備えた1つの可能なエアフィルタバッグ150構造及びシールパターンを示す。更に
図6を参照すると、エアフィルタバッグ150はエアフィルタ50の2つ以上の縁端64を折って熱融着を施すことによって形成してもよく、空気で膨らませたときにバッグ又はチューブ様形状を形成する。エアフィルタ50は、基部20から長手方向に延在して外スリーブ80の形状をたどるが、外スリーブには接触しないような漏斗様形状を形成する手法で密封してもよい。先端部60の幅を低減し、外スリーブ80とエアフィルタバッグ150の外面62との間の良好な空気流を可能にするため、テーパ状のシール及び/又はガセット66を先端部60に形成してもよい。エアフィルタバッグ150は約2cm〜約10cmの側部ガセット及び/又は頂部ガセットを含んでもよく、ファン40により膨らんだときに特有の形状を維持し、かつエアフィルタバッグ150と外スリーブ60との間に空気流のための良好な空間隙間を維持するための、密封前に形成される、起立式パウチに類似する。エアフィルタバッグ150は、約0.3m
2の表面積を得るため、膨らませたとき、約10cm〜約40cm、又は約10cm〜約15cm、又は約20cmの公称直径、約35cm〜約50cm又は約40cmの直立高さ(upright height)を有してもよい。いくつかの実施形態では、熱融着した縁端64とガセット66は、約40g/cm超の剥離力に耐え、層間剥離及び/又は密封されていない領域を空気流が通過することを防止する気密シールを形成する。
【0053】
外スリーブ
更に
図1〜3を参照すると、本発明のデバイス10は、基部20から長手方向に延在する外スリーブ80を含む。外スリーブ80は、空気が入る第1の開端部82と、空気が出る第2の開端部84と、第1の開端部82と第2の開端部84との間の空気流路90と、を含む。外スリーブ80は第1の開端部82において基部20に着脱可能に取り付けられており、ゆえに、空気出口24と空気流連通している。外スリーブ80はその長手方向の軸線LAの周りにおいてエアフィルタ50を取り囲む。このようにして、空気流路90内における空気流の方向がエアフィルタ50及び外スリーブ80の長手方向の軸線LAとほぼ整列する。
図1〜3に示す外スリーブ80はデバイス及びエアフィルタの長手方向の軸線と整列しているが、外スリーブの第2の開端部84は長手方向の軸線LAからわずかに曲線を描いて遠ざかってもよく、第2の開口部(second open)は長手方向の軸線から約15〜約30度角度をなすことも考えられる。
【0054】
外スリーブ80は第1の開端部82及び第2の開端部84において、約7cm〜25cm、又は約7cm〜約23cm、又は約7cm〜約17cm、又は約7cm〜約15cmの直径を有してもよい。外スリーブ80が第2端部において細くなっている場合、第2の開84端部(second open 84 end)は第1の開端部82よりも小さくてもよい。外スリーブ80は長尺状、つまり、その深さ及び幅に比べて長手方向の軸線LAに沿う方がより長くてもよい。エアフィルタを通過する空気流の捕捉を補助するために外スリーブ80は長手方向の軸線LAにおいてエアフィルタ50よりも長くてもよい。一実施形態においては、外スリーブ80は長手方向の軸線LAにおいて約50cmの長さを有してもよい。外スリーブ80は、エアフィルタ50を出る空気流を捕捉し、この空気を、部屋全体での循環を促進する速度で下流側に誘導するために、エアフィルタ50よりも約1cm〜約8cm長くてもよい。
【0055】
外スリーブ80は空気に対して実質的に不透過性の任意の適切な材料で作製してもよい。実質的に不透過性とは、本明細書で使用する場合、デバイスの使用時(すなわちファンが動作しているとき)、第2の開端部84にて外スリーブを出る空気の体積が第1の開端部82にて外スリーブに入る空気の少なくとも約60%であることを意味する。いくつかの実施形態では、外スリーブ80は外スリーブに入る空気の体積が外スリーブを出る空気の体積に等しい程度の空気不透過性である。加えて、いくつかの実施形態では、外スリーブ80は、室内装飾材料又は屋外用家具又は傘に使用される織布、不織布、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル製品等のような、保管及び/又は輸送を容易にするために略平らな構成に又はその直立構成の約30%未満に折りたたむことが可能な可撓性材料で作製してもよい。
【0056】
空気減衰を付与するために、外スリーブが幾分低水準の透過性を有することにいくらかの利点があることが分かっている。外スリーブでは、ファン、フィルタ、デバイスシステムからの音を減衰させるために外スリーブに10〜40%の空気を通過させる。
【0057】
加えて又はあるいは、外スリーブは、音の減衰を補助し、かつ幾分振動吸収性であるフェルト、屋外家具用布地、室内装飾材料用布地、不織布及びその他の非剛性材料などの軟質及び可撓性又は折りたたみ可能布地様材料から作製してもよい。これはハウジング及び空気を誘導する及び/又はフィルタ周囲を密封するための手段として剛性の射出成形プラスチックを用いるほとんどの空気洗浄システムとは大きく異なる。
【0058】
ここで
図7a及び
図7bを参照すると、外スリーブ80は外スリーブ80を直立構成に保持するためのフレーム86(保管用の折りたたみを補助するためのヒンジ式フレーム又は使用者により組み立てられるフレームを含む)を含んでもよい。ヒンジ式フレーム86及び外スリーブ80の可撓性材料は、保管のためコンパクトな設計を可能にするために、任意選択的に、折りたたむことも平らに押しつぶすことも巻くこともできる。他の実施形態においては、外スリーブ80にはフレームがない(すなわち、長手方向に延在するフレームを有しない)。このような実施形態では、外スリーブは一体式コイル186(
図7Bに示すような)を含む可撓性材料で作製してもよい。あるいは、外スリーブにはフレームがなくてもよく、外スリーブ80が使用者により又はパッケージ内で折りたたまれた構成に押しつぶされていない場合は外スリーブが直立位置へと自動的に展開する(すなわち折りたたまれない)ことを可能にする可撓性のあるばね様材料から作製してもよい。少なくとも実質的に空気不透過性、可撓性及びばね様の好適な材料としては、シリコン、弾性布地、不織布が挙げられる。この材料は厚さ0.25mm〜約5mmであってもよい。外スリーブ80の折りたたみ性(collapsibility)により、デバイス10を26cm×26cm×15cm〜26cm×41cm×15cmの外パッケージで梱包することが可能になる。
【0059】
追加的な機能
デバイス10、より具体的には、ファン40を動作させるために制御ユニット(不図示)が設けられてもよい。制御ユニットは電流又は電圧のパルスをエミッタに供給するようあらかじめプログラムしても、ユーザによりプログラムされてもよい。このようにして、小滴サイズの分布及び密度を経時的に制御してもよい。また、電源により生成される電圧時間曲線は、微粒子がエアフィルタ50内を移動するときに最適な微粒子捕集電位を維持することができるようにファン速度及び空気流速度と同期させてもよい。
【0060】
エアフィルタ50の寿命終了(すなわちエアフィルタ交換の必要性)を示すため及び/又はデバイス10に出入りする空気の品質を監視するために化学的又は物理的な種類のセンサ(不図示)を使用してもよい。寿命終了検知センサ(end-of-life sensor)を提供する手法の1つは、エアフィルタ50に付加する白又は透明テープによるものである。テープは、新品のときには見えないが、エアフィルタに微粒子が蓄積し、汚れるにつれて、元の色と経時変化した/汚れたフィルタとの対比を消費者が視覚的に見ることができるように、エアフィルタ50の始動時の色と同じ色であってもよい。寿命終了検知エアフィルタ(end-of-life air filter)を提供するための別の手法は、エアフィルタ50の熱融着部を通過する空気流がないようにエアフィルタ50の繊維を固有のパターンで熱融着することである。この熱融着部は任意の所望の形状とすることができ、かつ必要に応じて元の始動時の色に合うようにインクで着色することができる。寿命終了を知らせる別の手法は、デバイスに係合し、消費者にフィルタの交換を知らせるためのLEDまたは類似のライト又は音をオンにするタイマを始動するフィルタタブを提供することである。別の独特な手法は、ある所望の設定時間(1週間、1か月等)ののちに使用者が再確認することを可能にする又は知らせる「スヌーズ」ボタンを提供することである。
【0061】
加えて、センサは空気品質を測定してもよい。空気品質センサはデバイス10をオンにするため又はファン速度を増加するために用いることができる。空気品質センサは空気入口22の近傍に配置することができる。空気入口22の空気品質センサと第2の開端部84との併用により、消費者にデバイスの性能を明確に知らせることができ、かつその有効性を示すことができる。
【0062】
センサは、また、デバイスの向きを特定するために用いてもよく、デバイス10が例えば直立でない場合にはその動作を停止する。センサは、また、デバイス10全体の空気流を評価して、の空気入口22又は空気出口24が遮断されている又はファン40の不具合がある場合にデバイス10の動作を停止するために用いてもよい。
【0063】
デバイス10は、ファンプレフィルタカバー44に収容された再利用可能な又は使い捨てのファンプレフィルタ42を含んでもよい。ファンプレフィルタ42は大きな粒子又は他の材料がファンブレード又はモータに蓄積しないようにするために網状発泡体、ふるい又は多様な他の機械的手段で構成してもよい。ファンプレフィルタ42を用いる場合は、ファンブレードを清浄に維持するためにファン40の上流側に配置する。
【0064】
デバイスの性能
流出速度
濾過がより広い空間で行われるように室内の良好な空気循環を提供するためにはデバイス10を出る空気の流出速度も重要である。中程度の大きさの部屋((約7〜13m
2(80〜140ft
2)、天井高2〜3メートル(8〜9ft))では、1〜10マイクロメートルサイズの空中浮遊粒子を室内の空気流によりデバイスへと移動させるには約0.4メートル毎秒(「m/s」)を超える流出速度が求められる。より広い部屋(約14〜21m
2(150〜225ft
2)、天井高2〜3メートル(8〜9フィート))では、約0.6m/s以上の流出速度が求められる。これら速度による目的は、部屋の大部分において、1〜10マイクロメートルの空中浮遊粒子を、それらをフィルタで除去することができるデバイスへと移動させる0.003m/s超の室内空気流速度(room air flow velocity)を実現することである。
【0065】
約0.003m/s〜約0.25m/sの室内空気流量は、空中浮遊粒子をデバイスへと移動させつつ良好な快適性も提供し、室内にいる者にとってあまり望ましくない可能性のある通風のような空気の動きを提供しない良好な流量であると考えられる。これは、デバイス10を出る空気流が約24〜約71L/s(50〜約150CFM)であり、出口オリフィス又は第2の開端部84を出る空気の流出速度が約0.5m/s〜約3.0m/s、又は約0.6m/s〜約2.6m/s、又は約0.7m/s〜約2.0m/sとされ得る場合に実現することができる。ファン40の構成及びファンの毎分回転数(RPM)は空気のL/s(CFM)を左右するが、デバイス10のL/sCFMに影響を及ぼすその他の変動要因としては、エアフィルタ表面積、濾材の圧力損失、ファンプレフィルタ、フィルタと外スリーブとの間の空間隙間、外スリーブの透過性、及びファンの上流側及び下流側の空気流路が挙げられる。これにより、完全なデバイス10の空気流量が約24〜約71L/s(50〜約150CFM)、又は約28〜約47L/s(60〜約100CFM)、又は約33〜約42L/s(70〜約90CFM)になる。外スリーブ80が完全に空気不透過性であり、かつ基部20に気密接続する場合、外スリーブ80の第2の開端部84を出る空気の流出速度は以下の等式を用いて算出できる。
【0067】
表1は、上記計算を用いた流出速度を示す。
【0069】
外スリーブ80及び外スリーブと基部20との接続部が完全に不透過性である場合、ファンに入る体積空気流が出口オリフィスを通過して出る体積流に等しい質量バランスを用いることができる。流出速度の算出に用いられる出口オリフィスは、空気がデバイスを出るときの、デバイスの最終領域の面積とすべきである(したがって、頂部リングハンドル内のハンドル及び/又はその他の障害物は面積計算に用いるべきではない)。
【0070】
外スリーブ80が部分的に空気透過性である場合、外スリーブの第2の開端部84を出る空気の流出速度は以下の等式を用いて算出することができる。
外スリーブの第2の開端部を通過して出る空気流(L/s(CFM))÷出口オリフィスの面積(ft
2)
【0071】
エアフィルタ50の圧力損失を最小限にし、効率的な空気流を維持するために、外スリーブ80をエアフィルタ50の半径方向外側に配置し、空間隙間100を形成する。空間隙間100は、38〜57L/s(80〜120CFM)の空気に対し、約8Pa未満、又は約6Pa未満、又は約4Pa未満、又は約2Pa未満の圧力損失をもたらす。エアフィルタ50及び外スリーブ80は任意の所望の形状をとってもよい(例えば、円筒形外スリーブ又は立方形外スリーブ等によって周方向に囲まれた円筒状エアフィルタバッグ)。いくつかの実施形態では、エアフィルタ50の空気流表面領域(air flow surface area)から外スリーブ80までの空間隙間100は約3mm〜約5mm、又は少なくとも3mm、又は約12mm〜約30mm、又は約20mm超であってもよい。空気流表面領域には、取り付け部材52の基端側に配置された下部領域と、取り付け部材の先端側に位置する上部領域と、を含んでもよい。ファン40が約80〜約100L/s(CFM)を提供する場合、好適な最小空間隙間は下部領域では少なくとも約3mmであってもよく、先端側上部領域の最低空間隙間は少なくとも約15mmであってもよい。空間隙間100によりエアフィルタ50をより多くの空気流が通過することが可能になる。隙間が小さすぎる場合、エアフィルタを通過する空気流は最小となる場合があり、デバイス10からのL/s(CFM)が低減する原因となる。
【0072】
圧力損失
デバイス10(デバイスにはハウジング、エアフィルタ、外スリーブ、基部、グリル、ファン、ファンプレフィルタ及び空気流を制限する可能性のある任意の他の構成要素を含んでもよい)の圧力損失は約5〜約25Paである。HEPAフィルタ又はHEPA様フィルタを備えたデバイスでは、通常、33L/s(70CFM)を超える流量において25Paを大幅に超える圧力損失が生じる。この高い圧力損失により、HEPAフィルタ又はHEPA様フィルタで33L/s(70CFM)超を供給するための消費電力が高くなり、通常、25ワット超となる。したがって、本発明では、約24〜約71L/s(50〜約150CFM)を供給しつつも、このデバイスによる圧力損失が約5〜約25Pa未満であり、また、本明細書中に記載される音響パワー測定に従いデバイス全体の騒音を約50dB(A)未満になるように維持し、また、25ワット未満の低い消費電力で動作するファン40を選択してもよい。
【0073】
図10は、ファンのみ、ファン及びエアフィルタのみを備えたデバイス、並びに完全なデバイスの空気流量を示す。このグラフから、ファンのみを備え、デバイスによる任意の更なる圧力損失のない空気流は約52L/s(110CFM)であることが分かる。エアフィルタ(平らに置かれた表面積公称0.23〜0.3m
2(2.5〜3ft
2))がファンに取り付けられる場合、空気流は約45L/s(95CFM)に低下する。したがって、エアフィルタは約7〜約8Paの圧力損失をもたらす。これは選択する不織布材料及びフィルタバッグ又はフィルタ表面の任意のコーティング若しくは処理の表面積に多少左右される場合がある。デバイス全体の空気流を(ファンが作動した状態で)測定すると、流量は約34L/s(71CFM)になる。したがって、デバイスは約14Paの総圧力損失をもたらす。ファン自体並びにデバイスの一部及び全体の体積流量及び圧力はDIN EN ISO 5801:2011−11に記載の方法を用いて測定することができる。
図10に示すようなファンの曲線は記載する様々な条件下でファンの静圧を調整することにより得られる。
【0074】
低騒音
デバイス10は、作動時(すなわちファンが動作した状態)、良好な空気清浄化性能を提供しつつも低騒音であってもよい。空気清浄化性能は、有効な部屋全体の空気循環を供給するための空気流出速度、フィルタの単回通過の粒子清浄化効率(particle cleaning efficiency)及びデバイス10の総L/s(CFM)に依存する。デバイス10の騒音は音圧又は音響パワーのいずれかを測定することによって測定することができる。音圧のレベルは約50dB(A)未満、又は約45dB(A)未満、又は約40dB(A)未満であってもよく、基準音圧は20μPaである。本明細書中に記載される音圧は、床上1mに位置し、デバイスの軸線LAから水平に0.2mずらした1つのマイクロホンで測定されるものである。あるいは、騒音は基準1pWの音響パワーを標準的方法、例えば、IEC 60704−2−11に従い測定することによって測定することができる。いくつかの実施形態では、デバイス10は遮音材料(すなわち本明細書中にデバイス10の部品又は任意の部品として記載されない任意の遮音部品)を有しない。
【0075】
濾過性能
本発明のデバイス10は、実質的に約0.3マイクロメートル〜約10マイクロメートルの大きさの微粒子の30%超又は約40%〜約70%を、20〜40分で、デバイスの総圧力損失が約75Pa未満又は約25Pa未満又は約20Pa未満又は約10Pa未満又は約9Pa未満で、空気流出速度が約0.1〜約4.0m/s又は約0.5m/s〜約3m/s又は約0.8m/s〜約3m/s又は約0.8m/s〜約2.6m/s又は約0.6m/s〜約2.6m/s又は約0.8m/s〜約1.8m/s又は約(abour)0.7m/s〜約2.0m/s)で、及び空気流量が約33L/s(70CFM)超又は約33L/s(70CFM)〜約71L/s(150CFM)で濾過してもよい。1マイクロメートルを超える粒子については、本発明のデバイス10は、粒子の50%超を、20分で、デバイス内の圧力損失が約25Pa未満又は約15Pa未満又は約10Pa未満で、流出速度が約0.5m/s〜約3m/sで、及び空気流量が33L/s(70CFM)超又は約70FM〜約71L/s(150CFM)で濾過することができる。エアフィルタリングデバイスの濾過効率は、本明細書中の実施例では修正ANSI/AHAM−1−2006に記載されている方法を用いることにより特定することができる。
【実施例】
【0076】
微粒子除去
室内での微粒子除去性能を試験するため、本発明によるデバイス及びエアフィルタを組み立てた。基部は約25cm×25cm×3cmであり、全てのファンが同じ方向に(載置面から上方に)空気を送風するような空気の流れを可能にする4つの直径約120mmの穴を有する基部に、4つのNoctua NF−P12(120mm×25mm)のファンを組み込んだ。4つのファンは適切なスプライスとともに電気的に接続され、その後、プラグイン式計器用変圧器(McMaster−Carr部品番号70235K95)を介して12VのDC電源により電力を供給した。25cm×25cm×3cmの基部はデバイスを10cm床から持ち上げるために各角に取り付けられた4つの支柱も有する。デバイスの上部に、外周約102cmのエアフィルタバッグ及びエアフィルタバッグをデバイスに保持するための弾性手段を取り付けた。
【0077】
第2のデバイスは、より高い圧力を供給するために、第1のデバイスに用いられた4つのNoctuaファンを、Silverstoneファンの直径に合う開口部を有する単一のより大径のファン(Silverstone S1803212HN、直径約18cm)に取り替えることによって、より高い出力のファンを有した状態で作製した。空気流を制限することなくファンを床から離して支持するために、この第2のデバイスもまた10cmの脚を有していた。Silverstoneファンアセンブリは8〜15ボルトで変化して空気流量及び圧力を変更することができる別個のDC電源を有していた。
【0078】
4つの異なるバッグは、エアフィルタ材料を折り、多くのプラスチックバッグ(例えばポテトチップの袋)の作製と同じくVertrod Impulseバーシーラーを用いて熱融着することにより作製した。バッグは2つの異なる材料を用いて2つの異なる大きさで(特定流量のフィルタ面速度に影響する)作製した。材料の1つは主としてPET繊維及び中間の17gsmスパンボンドPP不織布を含む60gsmの水流交不織布(「60gsm HET」)であった。もう1つの材料は片側が10gsmスパンボンドPP及びもう一方の側が17gsmスパンボンドPPである32gsmのメルトブローからなる59gsm積層体(「59gsm SMS」)であった。
1.60gsm HETの小型バッグ−外周102cm×高さ約38cm−バッグのテーパリング設計により、膨らんだときの総フィルタ表面積空気流(total filter surface area air flow)は約2581cm
2(400in
2)である。
2.60gsm HETの大型バッグ−外周102cm×高さ約66cm−バッグのテーパリング設計により、膨らんだときの総フィルタ表面積空気流は5161cm
2(800in
2)である。
3.59gsm SMSの小型バッグ(より高い圧力が必要なためSilverstoneファンを使用する)−上記60gsm HETの小型バッグと同じ大きさである。
4.59gsm SMSの大型バッグ(より高い圧力が必要なためSilverstoneファンを使用する)−上記60gsm HETの大型バッグと同じ大きさである。
【0079】
エアフィルタバッグは、バッグを保持するためのフランジを含む基部の上部に取り付けられており、4つのファンからの空気全てでバッグを強制的に膨らませる。空気は全てフィルタバッグを通過し、バイパスはほとんど又は全くない。エアフィルタバッグは膨らむと、基部に取り付けられた箇所はチューブに類似し、このチューブは上部シールが作製される箇所が尖っている。
【0080】
エアフィルタバッグの外側には、エアフィルタバッグを通過して流れる全ての空気を捕捉し、それを上部へと押し出してデバイスからの流出速度を増加する不透過性の紙スリーブが取り付けられている。外スリーブはIkea製の約25cm×25cmの折りたたみ可能な紙製外スリーブ(Orgel Vreten(商標)ランプシェード)である。外スリーブは基部の周りで密閉されるようにデバイスに取り付けられており、内部にフィルタバッグを有する。2つの異なる外スリーブ高さを作製した。短いバッグでは高さ23cmの外スリーブ、長いバッグでは高さ66cmの外スリーブを使用した。組み立て済みのデバイスを上から見ると、フィルタバッグがデバイスの中央に配置され、空気の流れを可能にするため全ての側面に5mm〜10mmの隙間があるのが見える。次に、フィルタバッグ及び外スリーブを備えたデバイスの、デバイス全体を通過する空気流量を試験した。この試験は、外スリーブの頂部(すなわち第2の開端部)の流出速度を測定し、次に、これを空気流表面積により除して目標流量を得ることにより行った。この試験の所望の流量は小型バッグでは38L/s(80CFM)、大型バッグでは47L/s(100CFM)である。表2は、
図8に記載する試験条件を示す。
【0081】
【表2】
【0082】
次に、デバイスを、ANSI/AHAM AC−1−2006に記載されているものに類似する約3m×3m×3mの部屋に、アリゾナ街路じん(PTI Inc.により供給された微塵用空気清浄器用の試験粉じん)とともに配置した。このような試験のための適切な部屋及び試験設備はCortland,New York所在のIntertek社の試験設備にある。前述のANSI/AHAMの方法のセクション6に記載されるように標準濃度の粉じん(通常、200〜400粒子/cc)を室内に発生させた。工程ごとにデバイスをオンにして1〜10マイクロメートルの粒子を20分間にわたって測定し、
図8に示すようにプロットした。6回の試験に加え、室内にエアフィルタリングデバイスがない状態での粒子の自然減衰を示すために自然減衰も記録した。全6回の試験及び自然減衰試験では、デバイスをオンにする前、室内に同様のレベルの開始粒子(starting particles)があったが、これらは全7つの変数を減少比率として比較するために正規化した。この方法に記載されるように、それぞれの試験の間に、非常に小さなレベルの粒子数を得るためにHEPA空気清浄器を用いた。
【0083】
この方法を用い、1〜10マイクロメートルの粒子を測定することにより、1〜10マイクロメートルサイズの粒子の20分間の自然減衰はデバイスが動作していない状態で約21%であった。これに対し、この実施例で記載されているデバイスが動作しているとき、室内の粒子はデバイス、フィルタ及び部屋の設定条件に応じて約40%〜80%減少した。より大型のバッグではより高い空気流量(47L/s(100CFM))及びより高い単回通過効率のフィルタ(すなわち59gsm SMS)が可能となった。より高い効率の59gsm SMSフィルタではSilverstoneファンを用いることでより高い電圧を必要とした。概して、
図8は、流量の上昇及び効率の上昇はともに濾過性能を向上させることを示す。
図8に示す別のプロットは、コーナ再循環ファンがオンになっていないときの外スリーブの影響を示す。通常、前述のANSI/AHAMの方法では、試験中、高流量の再循環ファン(118L/s(250CFM)/4.25m
3/分を超える)が室内の空気を循環させている。これにより室内の粒子の良好な混合がなされるが、これは必ずしも家の中に存在するものを示しているとは限らない。そこで、ANSI/AHAMの方法に記載されるように、再循環コーナファンをオフにした状態で試験を実施し、外スリーブの有無による利点を比較した。この場合、外スリーブによりデバイスからの流出速度が増加し、室内により多くの空気流循環を発生させ、ゆえに、より多くの粒子が除去されるため、濾過性能に10%以上の増加があった(スリーブなしのデバイスでは40%の粒子除去であったのに対しスリーブありのデバイスでは約50%)。より大型のエアフィルタバッグ及び外スリーブを用いると、流出速度とフィルタ面速度との間の差が増加するため、所与のファンに及ぼす影響は更に大きくなる。デバイスの空気循環による室内の粒子減少は、パーティクルカウンタが試験デバイスにどれほど接近しているかにも影響を受ける。パーティクルカウンタがデバイスに接近している場合、再循環ファンをオフにすることによる影響は低下する。再循環ファンがオフの場合、パーティクルカウンタが部屋の隅に接近していれば、流出速度(すなわち外スリーブを有する)の影響は大きくなる。パーティクルカウンタは被試験エアフィルタリングデバイスから約1.2m離れていた。更に離して配置した場合、デバイスに向かって粒子を浮遊させかつ移動させるために必要な空気速度が高くなるため、スリーブのない状態とスリーブのある状態との間の差は大きくなる。
【0084】
空間隙間を変化させる効果
4つのエアフィルタリングデバイスを組み立てた。(1)空気流表面積の約30%が外スリーブに接触しているエアフィルタバッグを有する23cm×23cm×66cmの外スリーブデバイス、(2)25cm×25cm×66cmの外スリーブデバイス及び(3)30cm×30cm×66cmの外スリーブデバイス、(2)(3)両方とも外スリーブに接触しないエアフィルタバッグを有する(後者は前者に比べてエアフィルタバッグと外スリーブの内壁との間により広い空間隙間を有する)及び(4)外スリーブなしのデバイス。空間隙間が広いほど圧力損失は低下する。圧力損失に関しては外スリーブがないことが有利であるが、外スリーブがなければ、デバイスが室内の空気を濾過するのに必要な流出速度を提供するのに十分な空気を捕捉する性能が低下する。
【0085】
組み立てた4つのデバイスを、38〜57L/s(80〜120CFM)の空気を4〜8Paで供給する同じファン、4つのNoctua 12Vファンを用いて動作させた。空気流及び圧力はファンを備えたデバイスをDIN EN ISO 5801:2011−11に記載の方法を用いて試験することにより算出できる。試験では、ファンの空気入口側、又はデバイス(ファン、エアフィルタ、外スリーブのアセンブリ)の入口側、又はシステム(ファン、フィルタ、スリーブのアセンブリ)の入口側を試験装置に取り付け、試験装置から自由空間へと外側に向かって空気を吹き込んだ。
【0086】
図9は、ファンが供給する空気の量(すなわちL/s(CFM))と、種々の空気量において発生した圧力との間の関係を示す。L/s(CFM)はx軸に示す。圧力(システムの空気流に対する抵抗を克服するために必要な「押し込み(push)」を示すために使用される用語)はy軸に示す。通常、所与のファンパワー(fan power)では背圧が増加するにつれて流量は減少する。この曲線は特定の流量に対する一連の圧力点をプロットすることにより作成される。
【0087】
図9は、また、本発明の4つのファンデバイスの特徴及び種々の空気流抵抗を示す。これら種々の空気流抵抗はエアフィルタ周囲の種々の空間隙間により発生する。最大流量はフィルタ周囲の外スリーブなどの任意の追加部品なしで達成される。フィルタの外側には自由空気のみがあり、外スリーブなしで定められる空気流の方向はない。外スリーブは空気流を定められた方向に案内して空気流抵抗を増加し、これにより、デバイス内部の圧力損失が増加する。外スリーブとフィルタとの間の空間隙間が小さくなるほど空気速度は増加するが空気流は減少する。濾過性能の点において要求を満たすことができる空気流を得るためにこれらパラメータ(空気速度、流量、圧力損失)を最適化する必要がある。
図9に見られるように、最小の外スリーブ(23cm×23cm×66cm)では、エアフィルタの外面と外スリーブの内表面との間の隙間領域の大部分に空間隙間がほぼないため、空気流が絞られる。
【0088】
本明細書全体を通じて、単数で言及される構成成分は、単数又は複数両方の当該構成成分について言及されると理解されるべきである。
【0089】
本明細書全体を通じて記載されるあらゆる数値範囲には、こうしたより広い数値範囲内に入るそれよりも狭いあらゆる数値範囲が、こうしたそれよりも狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているかのように、包含される。更に、本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。むしろ、特に指定がない限り、それぞれのこのような寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0090】
あらゆる相互参照又は関連特許若しくは特許出願を含む、本明細書に引用される文献はすべて、明白に除外又は限定されている場合を除いて、本明細書中にその全容を援用するものである。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数若しくは複数)と組み合わせたときに、そのような発明全てを教示、提案、又は開示するとはみなされない。更に、本文書での用語の任意の意味又は定義の範囲が、参照により組み込まれた文書中の同様の用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中で用語に割り当てられる意味又は定義に準拠するものとする。
【0091】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。