(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6595575
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】低温硬化してエレクトロニクス用途の熱伝導経路を形成する流動性組成物およびそれに関連する方法
(51)【国際特許分類】
C08L 1/00 20060101AFI20191010BHJP
C08L 67/00 20060101ALI20191010BHJP
C08L 61/28 20060101ALI20191010BHJP
C09K 5/10 20060101ALI20191010BHJP
C08K 3/08 20060101ALI20191010BHJP
C08K 7/00 20060101ALI20191010BHJP
H01B 1/22 20060101ALI20191010BHJP
H01B 1/00 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
C08L1/00
C08L67/00
C08L61/28
C09K5/10 E
C08K3/08
C08K7/00
H01B1/22 A
H01B1/00 K
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-501397(P2017-501397)
(86)(22)【出願日】2015年7月1日
(65)【公表番号】特表2017-530205(P2017-530205A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】US2015038810
(87)【国際公開番号】WO2016007351
(87)【国際公開日】20160114
【審査請求日】2018年5月23日
(31)【優先権主張番号】62/023,215
(32)【優先日】2014年7月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023674
【氏名又は名称】イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイブ ホイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン マッキーン オレクシン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン ケネス パーソンズ
(72)【発明者】
【氏名】ガレス マイケル フュージ
【審査官】
佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−069654(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第103413591(CN,A)
【文献】
特開平07−302510(JP,A)
【文献】
特表2011−510139(JP,A)
【文献】
特開2010−109334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
C08K 3/00−13/08
H01B 1/00−1/24
C09D
C09K 5/00−5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.流動性キャリヤー剤と、
b.樹脂と、
c.伝導性フレークと伝導性粒子とのブレンドと
を含む流動性組成物であって、i.前記流動性キャリヤー剤と前記樹脂とを合わせたものが前記流動性組成物全体の10重量%未満であり、ii.前記流動性キャリヤー剤の沸点が160〜350℃の範囲であり、iii.前記伝導性フレークと前記伝導性粒子とを合わせたものが前記流動性組成物全体の90重量パーセントを超え、iv.前記伝導性粒子は、実質的に球形であり、0.01以上0.1ミクロン未満の範囲である平均粒径を有し、v.伝導性金属フレークと伝導性粒子との前記ブレンドが98重量%以上の金属含有量を有し、前記樹脂は、ポリエステルバインダー、セルロース系バインダー、メラミン系バインダーまたは脂環式系バインダーの少なくとも1種であり、
前記伝導性フレークおよび伝導性粒子が銀を含み、前記伝導性フレークが銀から形成されており、
前記伝導性フレークのサイズが、1ミクロンより大きく、10ミクロンより小さい、
、流動性組成物。
【請求項2】
前記伝導性フレークおよび伝導性粒子が、前記伝導性粒子および伝導性フレークの密度の60%を超える充填密度まで合わせて充填される、請求項1に記載の流動性組成物。
【請求項3】
a.溶剤と、
b.有機樹脂と、
c.伝導性フレークと実質的に球形である伝導性粒子とのブレンドと
を含む流動性組成物であって、前記伝導性フレークおよび伝導性粒子が銀を含み、前記伝導性フレークが銀から形成されており、前記伝導性粒子がマイクロ粒子およびナノ粒子を含み、前記ナノ粒子は、全ての寸法が0.01以上0.1ミクロン未満であり、前記伝導性フレークおよび粒子の全重量の10〜50重量%を構成する粒子であり、
前記溶剤と前記有機樹脂とを合わせたものが前記流動性組成物全体の10重量%未満であり、前記有機樹脂は、ポリエステルバインダー、セルロース系バインダー、メラミン系バインダーまたは脂環式系バインダーの少なくとも1種であり、前記伝導性フレークと前記伝導性粒子とを合わせたものが前記流動性組成物全体の90重量パーセントを超え、
前記伝導性フレークのサイズが、1ミクロンより大きく、10ミクロンより小さく、
前記マイクロ粒子は、全ての寸法が、平均して、1ミクロンより小さく、0.1ミクロンより大きい、
、流動性組成物。
【請求項4】
a.流動性キャリヤー剤と、
b.樹脂と、
c.伝導性フレークと伝導性粒子とのブレンドと
を含む流動性組成物であって、i.前記流動性キャリヤー剤と前記樹脂とを合わせたものが前記流動性組成物全体の15重量%以下であり、ii.前記流動性キャリヤー剤の沸点が160℃未満であり、iii.前記伝導性フレークと前記伝導性粒子とを合わせたものが前記流動性組成物全体の85重量パーセント以上であり、iv.前記伝導性粒子は、実質的に球形であり、0.01以上0.1ミクロン未満の範囲である平均粒径を有し、v.伝導性金属フレークと伝導性粒子との前記ブレンドが98重量%以上の金属含有量を有し、前記樹脂は、ポリエステルバインダー、セルロース系バインダー、メラミン系バインダーまたは脂環式系バインダーの少なくとも1種であり、
前記伝導性フレークおよび伝導性粒子が銀を含み、前記伝導性フレークが銀から形成されており、
前記伝導性フレークのサイズが、1ミクロンより大きく、10ミクロンより小さい、
、流動性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、流動性の(例えば、スクリーン印刷可能な、ステンシル印刷可能な、および/または分配可能な)熱伝導性ペーストに関する。より具体的には、本開示の熱伝導性ペースト組成物は、低温で硬化または焼成が行われ、半導体チップとその関連半導体チップパッケージ(例えば、パワーエレクトロニクス用途)との間での熱伝導をもたらすなど、エレクトロニクス用途の熱伝導経路の形成に有用である。このことは、電力変換装置、電気パワーステアリングモジュール、車のヘッドライト(LED)、太陽電池、プリント回路基板(PCB)、プラズマディスプレイパネル(PDP)などにおいて有用でありうる。
【背景技術】
【0002】
ペーストは、プリント回路基板(PCB)、無線周波数認識装置(RFID)、タッチパネル、プラズマディスプレイパネル(PDP)、太陽電池などの伝導性経路を作るのに一般に用いられる。電子工業では、より低い温度で焼成できる高性能の伝導性ペーストがますます求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
Leeらの米国特許出願公開第20130069014(A1)号明細書(Samsung Electro−Mechanics Co.,Ltdに譲渡)は、伝導性成分として高価な銀を使用するのではなく、代わりにより安価な伝導性材料(銅など)を使用する伝導性ペーストに関する。業界では、銅または他の安価な伝導性物質に対して非常に競争力があるコストでありながら、銀の性能を有する伝導性ペーストが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、i.流動性キャリヤー剤(有機溶剤など)と、ii.樹脂(有機バインダーなど、例えば、ポリエステル、ポリアクリル酸、エチルセルロースおよび類似のタイプの樹脂)と、iii.伝導性フレークと伝導性粒子とのブレンドとを含む流動性組成物(例えば、ペースト)に関する。流動性キャリヤー剤と樹脂とを合わせたものが流動性組成物全体の10、8、7、6、5、4、3、2、1、または0.5重量%未満である。伝導性フレークと伝導性粒子とを合わせたものが流動性組成物全体の90重量パーセントより多い。1つの実施形態では、伝導性フレークが少なくとも1つの寸法(dimension)において平均して1ミクロンより大きい。別の実施形態では、伝導性粒子がすべての寸法において平均して1ミクロン未満である。1つの実施形態では、伝導性フレークおよび伝導性粒子は金属である。1つの実施形態では、流動性キャリヤー剤は、沸点が160℃未満の有機溶剤である。1つの実施形態では、伝導性フレークおよび伝導性粒子は、伝導性粒子および伝導性フレークの密度の65、70、75、80、85、90、92、93または95%を超える充填密度まで合わせて充填される。伝導性粒子および伝導性フレークの密度とは、伝導性粒子および伝導性フレークの重量を、(伝導性粒子および伝導性フレークで置き換えられるであろう)水の体積(標準温度および圧力)で除したものを意味することが意図される。
【0005】
1つの実施形態では、流動性組成物は、沸点が200℃、190、180、170、165、160、155または150℃未満である有機溶剤と、有機樹脂と、伝導性フレークと伝導性粒子とのブレンドとを含む伝導性ペーストであり、伝導性フレークおよび伝導性粒子は少なくとも1重量パーセント〜最大100重量パーセントの銀を含む。そのような実施形態では、溶剤と有機樹脂とを合わせたものが伝導性ペースト組成物全体の0.05重量%〜10重量%より少ない。また、この実施形態では、伝導性フレークと伝導性粒子とを合わせたものが伝導性ペースト全体の90重量パーセント以上である。この実施形態の伝導性フレークは、少なくとも1つの寸法において平均して1ミクロンより大きく、伝導性粒子は、すべての寸法において平均して1ミクロン未満である。伝導性フレークおよび粒子は、伝導性粒子および伝導性フレークの密度の75%より大きい充填密度まで合わせて充填される。
【0006】
1つの実施形態では、伝導性フレークおよび伝導性粒子は、0重量パーセントの銀を含み、かつ少なくとも50重量パーセントの銀以外の伝導性金属を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】印刷物の体積抵抗率と焼結温度との関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、最適な形状を有する伝導性成分と最適な比率の組成物との特定の組み合わせがペーストまたは他の流動性組成物として移動させることができ、その後、加熱により固化して、有益な伝導性成分充填物を得ることができるという発見に関する。流動性物質は、必要に応じて塗布しかつその後に加熱して、有用な熱伝導経路とすることができる。1つの実施形態では、流動性物質はペーストである。本開示のペーストは、比較的少量の溶剤または他のキャリヤー剤を含む。選択する特定の配合物に応じて、ペーストは、低温(一般には、350℃、200℃、190℃、180℃、175℃、170℃、165℃、160℃、155℃、150℃、145℃、140℃、135℃、130℃、または125℃未満)で焼成することができる。得られた熱伝導物質は、優れた熱的性質および電気的性質を有し、かつ有利な基材接着性を有することが分かった。得られた熱伝導物質は、熱伝導性経路として特に有用であり、半導体チップと、チップが結合される半導体チップパッケージとの間の熱橋としての役割を(十分な基材接着性およびまた十分な構造的一体性により)確実に果たす。
【0009】
伝導性成分
ペースト中の伝導性銀充填剤の形状および形状比率は最適化され、優れた電気的性質を示す熱伝導性経路または電極を形成させることができ、実施形態によっては、160℃以下の低温で焼成を行った後でさえ、優れた電気的性質を示す。銀フレークは、伝導率を増大させるという点で好ましいことが見出された。これは、フレークと粒子との間の接触面積が粒子のみの場合よりも大きくなるためである。フレーク成分は、ペーストのチキソトロピー指数(TI)を増大させる傾向もあり、そのため、ペーストの塗布時の流動性の点で有利になる。フレーク粉末のサイズが1ミクロン未満であると、フレークの利点は薄れていく傾向がある。実施形態によっては、フレークのサイズが10ミクロンを超えると、ペーストの分散性は減少することがあり、かつまた選択する印刷技術によっては印刷特性が悪化しうる。また、充填密度が減少することもありえ、充填密度は熱伝導性および導電性の両方に影響しうる。
【0010】
本発明では、粒子形状の銀充填剤は分散性が高くなる傾向があり、銀フレーク間の隙間を埋める傾向が生じることになるため、ペーストの金属充填率が増大する。充填率が増大すると、焼成後の内部空間が低下しうる。また、収縮を防ぐこともできるため、熱伝導性および導電性が高くなる。
【0011】
本発明では、すべての寸法において100ナノメートル未満である銀粒子が有利でありうる。そうした粒子は、加熱による銀充填剤の溶融が促進される傾向があり、そのため熱伝導性経路を作るのに必要な焼成温度を低下させることができる。ナノ粉末は、粘度を増大させることができ、それは、印刷時または別の方法で物質を塗布する際に有利でありうる。
【0012】
さらに、いずれの伝導性充填剤の表面でも、脂肪酸系、アミン系、アルコール系、チオール系およびポリマー系の分散剤からなる群から選択される1種または複数種の分散剤で被覆することができる。
【0013】
本開示の伝導性成分としては、i.少なくとも1つの寸法が平均して1ミクロンより大きい伝導性フレークと、ii.実質的に球形の伝導性粒子とがあり、ここで、実質的に球形とは、アスペクト比が約1:1〜約1:1.5であることを意味することが意図され、フレークとは、アスペクト比が1:1.5より大きい物質を意味することが意図されている。1つの実施形態では、伝導性粒子は、すべての寸法が平均して1ミクロン未満であり、かつ100ナノメートルよりも大きい(以下、「マイクロ粒子」)。別の実施形態では、伝導性粒子は、粒子の一部がマイクロ粒子であり、一部がすべての寸法において100ナノメートル未満(以下、「ナノ粒子」)である多峰性(multi−modal)である。1つの実施形態では、伝導性成分の全重量に対して伝導性粒子の1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、または50重量パーセントがナノ粒子である。1つの実施形態では、マイクロ粒子の量は、(伝導性成分の全重量に対して)25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、および90重量パーセントの任意の2つの重量パーセント間の範囲(任意選択的に境界値を含む)である。1つの実施形態では、伝導性フレークの量は、(伝導性成分の全重量に対して)5、7、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、および70重量パーセントの任意の2つの重量パーセント間の範囲(任意選択的に境界値を含む)である。
【0014】
1つの実施形態では、伝導性成分の一部または全部が部分的または全体的に被覆された表面を有し、その被覆は、脂肪酸、アミン、アルコール、チオールまたはポリマー系分散剤を含む(あるいは、それらから得られる)。例えば、脂肪酸系分散剤としては、直鎖または分枝のC
6〜C
22飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸(これらは、単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい)を挙げることができるが、これらに限定されない。また、アミン系分散剤としては、直鎖または分枝のC
6〜C
22脂肪族アミン(これらは、単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい)を挙げることができるが、これらに限定されない。また、アルコール系分散剤としては、高級アルコール硫酸エステル、アルカノールアミド、グリセリン、ソルビタンおよびソルビタンエステル、脂肪酸ジエタノールアミンなどを挙げることができるが、これらに限定されない。チオール系分散剤としては、エタンチオール、メタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオール、メルカプトエタノールなどを挙げることができるが、これらに限定されない。ポリマー系分散剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、カルボキシメチルセルロース、および/またはポリアクリル酸を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0015】
バインダー樹脂
伝導性成分の他に、本開示の流動性組成物は、バインダー樹脂(ポリエステルバインダー、セルロース系バインダー、メラミン系バインダーまたは脂環式系バインダーなど)も含む。セルロースバインダーの例としては、エチルセルロース、メチルセルロース、プロピルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロースなどがある。メラミン系バインダーの例としては、メチル化メラミン、メチル化イミノメラミン、ブチル化メラミン、ブチル化イミノメラミン、イソブチル化メラミン、メチル−ブチル混合メラミン、ヘキサメトキシメチルメラミンおよび尿素メラミン樹脂がある。実施形態によっては、メラミン樹脂では、付加的に硬化剤を加えることなく100〜200℃の温度範囲において自己縮合および熱硬化が生じうる。また、焼成の間に銀充填剤の充填が促進されて、熱的および電気的性質が向上しうる。他の有用なバインダー樹脂としては、アクリルバインダーがあり、例えばアクリルバインダーは、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルヘキシル(ethylhexylmethacrylate)、メタクリル酸シクロヘキシル(cyclohexylmethacrylate)、およびアクリル酸ブチルからなる群から選択される1種または複数種である。1つの実施形態では、バインダー樹脂は、(流動性組成物の全重量に対して)0.01、0.02、0.05、0.07、0.1、0.2、0.3、0.5、0.75、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10重量パーセントの任意の2つの重量パーセント間(任意選択的に境界値を含む)の重量パーセントだけ存在する。
【0016】
実施形態によっては、セルロース系バインダーがメラミン系バインダーと組み合わされる。この場合、セルロース系バインダーによりペーストにチキソトロピーが付与されて、印刷プロセスが促進され、メラミンバインダーにより低温での焼成が促進される。実施形態によっては、アクリルバインダーがセルロースおよび/またはメラミンバインダーに追加されて、最終物質の接着力を増大させることもできる。
【0017】
溶剤
本発明において有用な有機溶剤としては、以下のものがある。
i.アルコール(n−ブタノール、テルピネオール、およびジヒドロテルピネオールなど);
ii.ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびヘキシレングリコールなど);
iii.エーテルアルコール(ブトキシエタノール、プロポキシプロパノールおよびブチルジグリコールなど);
iv.エーテル(エチレングリコールジ−C
1〜C
6−アルキルエーテル、プロピレングリコールジ−C
1〜C
6−アルキルエーテル、ジエチレングリコールジ−C
1〜C
6−アルキルエーテル、ジプロピレングリコールジ−C
1〜C
6−アルキルエーテルおよびテトラヒドロフランなど);
v.ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソアミルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、2,4−ペンタンジオンおよびメトキシヘキサノンなど);
vi.エステルまたはエーテルエステル(ブチルカルビトール、ジヒドロテルピネオールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチルエトキシプロピオネート、メチルグリコールアセテート、エチルグリコールアセテート、ブチルグリコールアセテート、ブチルジグリコールアセテート、メトキシプロピルアセテート、エトキシプロピルアセテート、酢酸メトキシブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、ペンチルアセテート異性体、酢酸ヘキシル、ヘプチルアセテート、酢酸エチルヘキシル、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、ブチルプロピオネート、ペンチルプロピオネート、酪酸ブチル、マロン酸ジエチル、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、コハク酸ジメチル、二酢酸エチレングリコール、二酢酸プロピレングリコール、フタル酸ジブチルおよびセバシン酸ジブチル;テルペン(アルファまたはベータテルピネオールなど);炭化水素(ケロシンなど)、またはこれらの任意の組合せなど)。
【0018】
選択する特定の実施形態に応じて、溶剤は、ペーストの全重量に対して10、8、7、6、5、4、3、2、1、または0.5重量%の任意の量またはそれより少ない量だけ存在する。
【0019】
任意選択成分
本開示における任意選択成分としては、可塑剤(フタル酸ジオクチルなど)、増粘剤(高級脂肪酸、脂肪族アミン塩またはアルキルリン酸エステルなど)、分散剤、チキソトロープ剤(シリカ、ベントナイト、炭酸カルシウム、ワックスまたはポリエチレンアセテートなど)、および脱泡剤(ポリシロキサンまたはシリコーンなど)がある。そのような任意選択成分は、単独でもまたは組み合わせても使用できる。
【0020】
方法
本開示の組成の組成物は、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ディスペンサー印刷(dispenser printing)などの方法によって印刷できる。さらに、こうして印刷される組成物は、選択する特定の実施形態に応じて、120〜350℃の温度範囲で焼成することができる。
【実施例】
【0021】
以下の実施例は、説明のために示すものであり、本発明を限定するものと解釈すべきではない。
【0022】
伝導性金属インクの製造および試験、一般手順
分子量が140000以下のエチルセルロース樹脂(AshlandのAqualon(登録商標)EC)を、90℃まで加熱して、テキサノール(texanol)(Eastman製、純度がおよそ99%)に溶かして、粘稠液状媒体を生じさせた。この媒体に、銀フレーク(DuPont製、直径(50%)が2ミクロンに等しい)と銀粉末(Ames Goldsmith製、7000−24および7000−35)とのブレンドを加え、旋回ミキサーを用いて、得られた物質を混合した。伝導性フレークと伝導性粒子とを合わせたものが流動性組成物全体の90重量パーセントより多い。エチルセルロース樹脂と銀粉末とテキサノールとの混合物が合計で100pbmに達しない場合、残りはテキサノールで埋め合わせた。その後、三本ロールミルを用いて、混合物をロール練りしてペーストを十分に分散させた(Hegmanゲージで測定)。このペーストは、10×10mmの正方形として清浄なアルミナ基材上にステンシル印刷され、その後、250℃に事前設定した静置型オーブンで1時間乾燥させた。
【0023】
乾燥させた印刷物の電気抵抗を、4ワイヤープローブを用いて測定し、それから印刷物の抵抗率(μΩ・cm)を計算した。
【0024】
表1は、作られたインクの組成および得られた試験結果を要約している。
【0025】
【表1】
【0026】
本発明の実施形態は、説明のために開示されているが、添付の請求項に開示されている本発明の趣旨から逸脱しない限り、さまざまな変更形態、追加形態および置換形態が可能であることを当業者であれば理解するであろう。したがって、そのような変更形態、追加形態および置換形態も本発明の範囲に含まれるものと理解すべきである。