(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基材フィルムが、ポリイミド(PI)、ポリエーテル・エーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリアリーレン、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルフィン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる群から選択される、請求項5に記載の感圧接着剤フィルム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、適切な粘度を示し、基材フィルム上に適切な接着性及び良好な耐擦傷性を示す感圧接着剤層を形成することができるシリコーン組成物を提供することである。本発明の他の目的は、感圧接着剤層が適切な接着性及び良好な耐擦傷性を示す、感圧接着剤フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシリコーン組成物は、
(A)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、25℃で10,000〜1,000,000mPa・sの粘度を有し、本組成物の質量に基づいて60〜80質量%の量のジオルガノポリシロキサンと、
(B)1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、25℃で生ゴム状である、又は25℃で1,000,000mPa・sを超える粘度を有し、本組成物の質量に基づいて0質量%を超え10質量%を超えない量のジオルガノポリシロキサンと、
(C)下記平均単位式:
(R
13SiO
1/2)
x(SiO
4/2)
1.0
(式中、各R
1はアルケニル基を含まないハロゲン置換又は非置換一価炭化水素基を表し、xは0.5〜1.0の数である)で表され、本組成物の質量に基づいて0.5〜20質量%の量のオルガノポリシロキサン樹脂と、
(D)1分子中に少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有し、本組成物中の全アルケニル基1モル当たり本成分中に0.1〜10モルのケイ素結合水素原子を与える量のオルガノ水素ポリシロキサンと、
(E)本組成物の質量に基づいて0.5〜5質量%の量のシリカ微粉末と、
(F)本組成物のヒドロシリル化を促進する量のヒドロシリル化触媒と、を含む。
【0007】
本発明の感圧接着剤フィルムは、基材フィルム及び基材フィルム表面上の感圧接着剤層を含み、シリコーン組成物から製造されるこの感圧接着剤層が、
(A)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、25℃で10,000〜1,000,000mPa・sの粘度を有し、本組成物の質量に基づいて60〜80質量%の量のジオルガノポリシロキサンと、
(B)1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、25℃で生ゴム状である、又は25℃で1,000,000mPa・sを超える粘度を有し、本組成物の質量に基づいて0質量%を超え10質量%を超えない量のジオルガノポリシロキサンと、
(C)下記平均単位式:
(R
13SiO
1/2)
x(SiO
4/2)
1.0
(式中、各R
1はアルケニル基を含まないハロゲン置換又は非置換一価炭化水素基を表し、xは0.5〜1.0の数である)で表され、本組成物の質量に基づいて0.5〜20質量%の量のオルガノポリシロキサン樹脂と、
(D)1分子中に少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有し、本組成物中の全アルケニル基1モル当たり本成分中に0.1〜10モルのケイ素結合水素原子を与える量のオルガノ水素ポリシロキサンと、
(E)組成物の質量に基づいて0.5〜5質量%の量と、
(F)組成物のヒドロシリル化を促進する量のヒドロシリル化触媒と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明のシリコーン組成物は、適切な粘度を示し、基材フィルム上に適切な接着性及び良好な耐擦傷性を示す感圧接着剤層を形成することができる。更に、本発明の感圧接着剤フィルムは、適切な接着性及び良好な耐擦傷性を示す感圧接着剤層を有する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
最初に、本発明のシリコーン組成物について詳しく説明する。
【0010】
成分(A)は1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンである。成分(A)中のアルケニル基は、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル及びヘプテニル基により例示でき、好ましくはビニル基である。成分(A)中の非アルケニルケイ素結合有機基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル基等のアルキル基;フェニル、トリル及びキシリル基等のアリール基;ベンジル及びフェネチル基等のアラルキル基;並びに3−クロロプロピル及び3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基により例示でき、好ましくはメチル及びフェニル基である。成分(A)の分子構造は実質的に直鎖状であるが、分子鎖の一部が分岐してもよい。回転粘度計により25℃で測定される成分(A)の粘度は、10,000〜1,000,000mPa・sであり、好ましくは10,000〜500,000mPa・s又は10,000〜100,000mPa・sである。
【0011】
成分(A)は、ジメチルビニルシロキシ末端封鎖ジメチルポリシロキサン;ジメチルビニルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体;トリメチルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体;ジメチルビニルシロキシ及びトリメチルシロキシで末端化された分子鎖末端を有する部分分岐鎖ジメチルポリシロキサン;トリメチルシロキシ末端封鎖部分分岐鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体;前述のジオルガノポリシロキサンのメチルの全て又は一部をエチル若しくはプロピル等のアルキル、フェニル若しくはトリル等のアリール、又は3,3,3−トリフルオロプロピル等のハロゲン化アルキルで置換することにより得られるジオルガノポリシロキサン;前述のジオルガノポリシロキサンのビニルの全て又は一部をアリル若しくはプロペニル等のアルケニルで置換することにより得られるジオルガノポリシロキサン;及び前述のジオルガノポリシロキサンの2種以上の混合物により例示することができる。
【0012】
成分(A)は、本組成物の質量に基づいて60〜80質量%、好ましくは本組成物の質量に基づいて65〜80質量%の量で使用される。これは、成分(A)の含有量が上記範囲の下限以上であれば本組成物はマイクログラビアコーティングについて適切な粘度を示し、含有量が上記範囲の上限以下であれば本組成物は基材フィルム上に適切な接着性及び良好な耐擦傷性を示す感圧接着剤層を形成するからである。
【0013】
成分(B)は、1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有する別のジオルガノポリシロキサンである。成分(B)中のアルケニル基は、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル及びヘプテニル基により例示でき、好ましくはビニル基である。成分(B)中の非アルケニルケイ素結合有機基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル基等のアルキル基;フェニル、トリル及びキシリル基等のアリール基;ベンジル及びフェネチル基等のアラルキル基;並びに3−クロロプロピル及び3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基により例示でき、好ましくはメチル及びフェニル基である。成分(B)の分子構造は実質的に直鎖状であるが、分子鎖の一部が分岐してもよい。成分(B)は、25℃で生ゴム状であり、又は25℃で液状であっても、回転粘度計により25℃で測定される1,000,000mPa・sを超える粘度を有する。好ましくは25℃で生ゴム状である。
【0014】
成分(B)は、ジメチルビニルシロキシ末端封鎖ジメチルポリシロキサン;ジメチルビニルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体;トリメチルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体;ジメチルビニルシロキシ及びトリメチルシロキシで末端化された分子鎖末端を有する部分分岐鎖ジメチルポリシロキサン;トリメチルシロキシ末端封鎖部分分岐鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体;前述のジオルガノポリシロキサンのメチルの全て又は一部をエチル若しくはプロピル等のアルキル、フェニル若しくはトリル等のアリール、又は3,3,3−トリフルオロプロピル等のハロゲン化アルキルで置換することにより得られるジオルガノポリシロキサン;前述のジオルガノポリシロキサンのビニルの全て又は一部をアリル若しくはプロペニル等のアルケニルで置換することにより得られるジオルガノポリシロキサン;及び前述のジオルガノポリシロキサンの2種以上の混合物により例示することができる。
【0015】
成分(B)は、本組成物の質量に基づいて0質量%を超え10質量%を超えない、好ましくは本組成物の質量に基づいて1〜10質量%の量で使用される。これは、成分(B)の含有量が上記範囲の下限以上であれば本組成物はマイクログラビアコーティングについて適切な粘度を示し、含有量が上記範囲の上限以下であれば本組成物は基材フィルム上に表面が滑らかな感圧接着剤層を形成するからである。
【0016】
成分(C)は、下記平均単位式:
(R
13SiO
1/2)
x(SiO
4/2)
1.0
で表されるオルガノポリシロキサン樹脂である。
【0017】
式中、各R
1は、アルケニル基を含まないハロゲン置換又は非置換一価炭化水素基を表し、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル基等のアルキル基;フェニル、トリル及びキシリル基等のアリール基;ベンジル及びフェネチル基等のアラルキル基;並びに3−クロロプロピル及び3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基により例示できる。R
1は、好ましくはメチル及びフェニル基である。
【0018】
式中、xは、0.5〜1.0、好ましくは0.5〜0.9の数である。これは、xの数が上記範囲の下限以上であれば本組成物はマイクログラビアコーティングについて適切な粘度を示し、xの数が上記範囲の上限以下であれば本組成物は基材フィルム上に適切な接着性及び良好な耐擦傷性を示す感圧接着剤層を形成するからである。
【0019】
成分(C)は、本組成物の質量に基づいて0.5〜20質量%、好ましくは本組成物の質量に基づいて1〜20質量%の量で使用される。これは、成分(C)の含有量が上記範囲の下限以上であれば本組成物は基材フィルム上に適切な接着性を示す感圧接着剤層を形成し、含有量が上記範囲の上限以下であれば本組成物はマイクログラビアコーティングについて適切な粘度を示すからである。
【0020】
成分(D)は、1分子中に少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有するオルガノ水素ポリシロキサンである。成分(D)中のケイ素結合有機基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル基等のアルキル基;フェニル、トリル及びキシリル等のアリール基;ベンジル及びフェネチル基等のアラルキル基;並びに3−クロロプロピル及び3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基により例示できる。成分(D)中のケイ素結合有機基にはメチル基が好ましい。成分(D)の分子構造は、例えば、直鎖状、分岐鎖状、部分分岐直鎖状、網状、又は樹枝状であってよい。成分(D)の25℃での粘度は重要ではないが、好ましくは1〜1,000,000mPa・s、より好ましくは1〜10,000mPa・sである。
【0021】
成分(D)は、トリメチルシロキシ末端封鎖メチル水素ポリシロキサン;トリメチルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン・メチル水素シロキサン共重合体;ジメチル水素シロキシ末端封鎖メチル水素ポリシロキサン;ジメチル水素シロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン・メチル水素シロキサン共重合体;ジメチル水素シロキシ末端封鎖ジメチルポリシロキサン;環状メチル水素ポリシロキサン;式(CH
3)
2HSiO
1/2で表されるシロキサン単位及び式SiO
4/2で表されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン;前述のオルガノポリシロキサンのメチルの全て又は一部をエチル若しくはプロピル等のアルキル、フェニル若しくはトリル等のアリール、又は3、3、3−トリフルオロプロピル等のハロゲン化アルキルで置換することにより得られるオルガノポリシロキサン;及び前述のオルガノポリシロキサンの2種以上の混合物により例示することができる。
【0022】
成分(D)は、検討中の本組成物で、本組成物の全アルケニル基1モル当たり、成分(D)から0.1〜10モル、好ましくは0.1〜5モル、特に好ましくは0.1〜3モルのケイ素結合水素原子を与える量で使用される。これは、成分(D)の含有量が上記範囲の下限以上であれば本組成物は基材フィルム上に良好な機械特性を示す感圧接着剤層を形成し、含有量が上記範囲の上限以下であれば本組成物は基材フィルム上に適切な接着性を示す感圧接着剤層を形成するからである。
【0023】
成分(E)は、得られる感圧接着剤の耐擦傷性を向上させるためのシリカ微粉末である。成分(E)は、フュームドシリカ、沈降シリカ、焼成シリカ、又はこれらシリカ粉末の表面をオルガノアルコキシシラン、オルガノハロシラン又はオルガノシラザン等の有機ケイ素化合物で処理することで得られる粉末により例示することができる。得られるシリコーン感圧接着剤に満足な耐擦傷性を生じさせるために、BET比表面積が少なくとも50m
2/gのシリカ粉末の使用が特に好ましい。
【0024】
成分(E)は、本組成物の質量に基づいて0.5〜5質量%、好ましくは本組成物の質量に基づいて0.5〜3質量%の量で使用される。これは、成分(E)の含有量が上記範囲の下限以上であれば本組成物は基材フィルム上に良好な耐擦傷性を示す感圧接着剤層を形成し、含有量が上記範囲の上限以下であれば本組成物は基材フィルム上に適切な接着性を示す感圧接着剤層を形成するからである。
【0025】
成分(F)は、検討中の本組成物の硬化を促進するヒドロシリル化触媒であり、白金触媒、ロジウム触媒及びパラジウム触媒により例示することができ、ここでは白金触媒が好ましい。これらの白金触媒は、白金微粉末、白金黒、クロロ白金酸、四塩化白金、クロロ白金酸のアルコール溶液、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、及び白金のカルボニル錯体により例示することができる。
【0026】
成分(F)は、検討中の本組成物で、本組成物を硬化する量で使用されるが、その量はその他の点では重要でない。例えば、成分(F)として白金触媒が使用される際には、本成分の量は、好ましくは本組成物の1,000,000質量部当たり0.01〜500質量部の、成分(F)からの白金金属を、より好ましくは本組成物の1,000,000質量部当たり0.1〜100質量部の、成分(F)からの白金金属を提供する。
【0027】
本発明のシリコーン組成物は、基材フィルムへの密着性を向上させるために(G)アンカー添加剤を含んでよい。成分(G)は、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、及びビス(トリメトキシシリル)ヘキサン等のシランカップリング剤;このシランカップリング剤と、少なくとも1個のケイ素結合ヒドロキシ基及びケイ素結合アルケニル基を有するシロキサン化合物との混合物又は反応混合物により例示することができる。
【0028】
成分(G)の含有量は重要ではないが、好ましくは本組成物の質量に基づいて0.1〜5質量%、好ましくは本組成物の質量に基づいて0.1〜3質量%の範囲である。これは、成分(G)の含有量が上記範囲の下限以上であれば本組成物は基材フィルムに対し良好な密着性を示す感圧接着剤層を形成し、含有量が上記範囲の上限以下であれば本組成物は基材フィルム上に適切な接着性を示す感圧接着剤層を形成するからである。
【0029】
本発明のシリコーン組成物は、保存安定性及び操作性を向上させるために、(H)反応抑制剤を含んでよい。成分(H)は、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、及び2−フェニル−3−ブチン−2−オール等のアセチレン化合物;3−メチル−3−ペンテン−1−イン及び3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエンイン化合物;1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、及び1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン等のオルガノシロキサン化合物;ベンゾトリアゾール等のトリアゾール;ホスフィン;メルカプタン;及びヒドラジンにより例示することができる。
【0030】
成分(H)の含有量は重要ではないが、好ましくは本組成物の質量に基づいて0.01〜5質量%、好ましくは本組成物の質量に基づいて0.01〜3質量%の範囲である。これは、成分(H)の含有量が上記範囲の下限以上であれば本組成物は良好な保存安定性を有することができ、含有量が上記範囲の上限以下であれば本組成物は基材フィルム上に低い温度下で感圧接着剤層を形成することができるからである。
【0031】
本発明のシリコーン組成物は、塗装性を向上させるために有機溶剤を含んでもよい。有機溶剤は、ベンゼン、トルエン、キシレン又は同種の芳香族炭化水素;ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン又は同種の脂肪族炭化水素;酢酸エステル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又は同種のケトン;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又は同種のエーテル;ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、酢酸セロソルブ又は同種のエステルにより例示することができる。好ましくは芳香族炭化水素であり、特にトルエン及びキシレンである。
【0032】
有機溶剤の含有量は重要ではないが、好ましくは溶液中の不揮発性含有量が10〜80質量%、又は20〜70質量%となるような量である。
【0033】
本発明のシリコーン組成物は、上述の成分(A)〜(F)を混合し、必要であれば他の成分を添加して、製造される。得られたシリコーン組成物は基材フィルム上に塗布された後、室温で又は加熱して硬化させて、基材フィルムの表面に感圧接着剤層を形成する。本組成物はグラビアコート法、マイクログラビアコート法、オフセットコート法、オフセットグラビア法、ロールコート法、リバースロールコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、コンマコート法等により塗布することができる。
【0034】
次に、本発明の感圧接着剤フィルムについて詳しく説明する。
【0035】
本発明の感圧接着剤フィルムは基材フィルム及び基材フィルム表面上の感圧接着剤層を含み、この感圧接着剤層は基材フィルム表面に上述のシリコーン組成物から製造される。基材フィルムは、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド等の樹脂から製造される延伸又は無延伸プラスチックフィルム基材であってよい。基材フィルムはまた、上述の樹脂で塗布されたフィルム状プラスチックを含んでもよい。耐熱性を与える必要がある場合、ポリイミド(PI)、ポリエーテル・エーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリアリーレン、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルホン(PES)等から基材フィルムを形成することが推奨される。
【0036】
本発明の感圧接着剤フィルムは、上述のシリコーン組成物を基材フィルム表面に塗布し、その後本組成物を室温又は加熱下で硬化して感圧接着剤層を基材フィルム表面に形成することにより製造される。本組成物は上記と同じ方法で塗布することができる。加熱による硬化が好ましい。加熱は50℃を超える温度で、好ましくは80〜200℃の範囲内で行うべきである。
【0037】
感圧接着剤層は、好ましくは5μm〜10mm、好ましくは5μm〜5mm、5μm〜1mm、5μm〜500μm、5μm〜100μm、5μm〜50μmの厚さを有する。これは、厚さが上記範囲の下限以上であれば感圧接着剤層は良好な耐擦傷性を示すことができ、厚さが上記範囲の上限以下であれば感圧接着剤層は良好な接着性を表すことができるからである。
【0038】
感圧接着剤層は、好ましくはASTM D3363に従って測定される、H以上の鉛筆硬度を有する。これは、鉛筆硬度がH以上であれば感圧接着剤層は良好な耐擦傷性を示すことができるからである。
【0039】
感圧接着剤層は、好ましくは0.19N/cm(50gf/インチ)未満の剥離接着強さを有してよい。これは、剥離接着強さが0.19N/cm(50gf/インチ)未満であれば感圧接着剤層は保護フィルムから滑らかに剥がれるからである。
【0040】
保護フィルムは、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、フッ素樹脂フィルム及び剥離紙により例示することができる。
【実施例】
【0041】
本発明のシリコーン組成物及び感圧接着剤フィルムについて、以下「実施例・比較例」によって詳細に説明する。実施例・比較例中の粘度(単位mPa・s)は、回転粘度計を使用して25℃で測定した値である。実施例・比較例に記載した他の物理的特性は、25℃での測定値である。感圧接着剤フィルムの特性は以下のように測定した。
[接着強さ]
【0042】
シリコーン組成物をマイクログラビアコーティングに用いて、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に25μmの厚さを得た。その後シリコーン組成物を150℃で2分間加熱して、PETフィルム上に感圧接着剤層を得た。接着強さを、180°及び引き剥がし速度0.3m/分で引き剥がす間に測定した。
[ウェットアウト性能]
【0043】
保護フィルムを付けたとき、ボイドの有無又はボイドの消滅し易さにより感圧接着剤層のウェットアウト性能を評価した。
[耐擦傷性能]
【0044】
感圧接着剤層の耐擦傷性能は指の爪で評価した。
[鉛筆硬度]
【0045】
感圧接着剤層表面の鉛筆硬度は、ASTM D3363に従って鉛筆試験機で測定した。
[実施例1]
【0046】
下記成分を均一に混合して、シリコーン組成物を製造した。
粘度38,000mPa・s及びビニル含量が0.09質量%のジメチルビニルシロキシ末端封鎖ジメチルポリシロキサン、78.36質量%と、
1,000,000mPa・sを超える粘度及びビニル含量が0.01質量%の生ゴム状ジオルガノポリシロキサン、2.00質量%と、
キシレン35質量%と下記平均単位式で表されるオルガノポリシロキサン樹脂65質量%との混合物、15.00質量%と、
{(CH
3)
3SiO
1/2}
0.65(SiO
4/2)
1.0;
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとシラノール末端封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサンオリゴマーの混合物を含む、ビニル含量が8.18質量%のアンカー添加剤、1.00質量%と、
ジメチルジクロロシランで表面処理された、BET比表面積が200m
2/gのフュームドシリカ粉末、1.50質量%と、
粘度20mPa・s及びケイ素結合水素含量が1.50質量%のトリメチルシロキシ末端封鎖メチル水素ポリシロキサン、1.00質量%(この添加により、本組成物中のビニル1モル当たり本メチル水素ポリシロキサン中に、2.81モルのケイ素結合水素原子が付与された)と、
白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体、1.00質量%と、
エチニルシクロヘキサン−1−オール、0.14質量%。
【0047】
シリコーン組成物を、40質量%濃度になるようにトルエンに溶解して、その後マイクログラビアコーターに用いた。感圧接着剤フィルム及び感圧接着剤層を上述の通り評価し、それら特性を表1に記載した。
[実施例2]
【0048】
下記成分を均一に混合して、シリコーン組成物を製造した。
粘度38,000mPa・s及びビニル含量が0.09質量%のジメチルビニルシロキシ末端封鎖ジメチルポリシロキサン、74.35質量%と、
1,000,000mPa・sを超える粘度及びビニル含量が0.07質量%の生ゴム状ジオルガノポリシロキサン、6.00質量%と、
キシレン35質量%と下記平均単位式で表されるオルガノポリシロキサン樹脂65質量%との混合物、15.00質量%と、
{(CH
3)
3SiO
1/2}
0.65(SiO
4/2)
1.0;
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとシラノール末端封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサンオリゴマーの混合物を含む、ビニル含量が8.18質量%のアンカー添加剤、1.00質量%と、
ジメチルジクロロシランで表面処理された、BET比表面積が200m
2/gのフュームドシリカ粉末、1.50質量%と、
粘度20mPa・s及びケイ素結合水素含量が1.50質量%のトリメチルシロキシ末端封鎖メチル水素ポリシロキサン、1.00質量%、(この添加により、本組成物中のビニル1モル当たりメチル水素ポリシロキサン中に2.58モルのケイ素結合水素原子が付与された)と、
白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体、1.00質量%と、
エチニルシクロヘキサン−1−オール、0.15質量%。
【0049】
シリコーン組成物を、40質量%濃度になるようにトルエンに溶解して、マイクログラビアコーターに用いた。感圧接着剤フィルム及び感圧接着剤層を上述の通り評価し、それら特性を表1に記載した。
[比較例1]
【0050】
下記成分を均一に混合して、シリコーン組成物を製造した。
粘度2,000mPa・s及びビニル含量が0.23質量%のジメチルビニルシロキシ末端封鎖ジメチルポリシロキサン、47.00質量%と、
1,000,000mPa・sを超える粘度及びビニル含量が0.01質量%の生ゴム状ジオルガノポリシロキサン、27.00質量%と、
キシレン35質量%と下記平均単位式で表されるオルガノポリシロキサン樹脂65質量%との混合物、23.00質量%と、
{(CH
3)
3SiO
1/2}
0.65(SiO
4/2)
1.0;
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとシラノール末端封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサンオリゴマーの混合物を含む、ビニル含量が8.18質量%のアンカー添加剤、1.00質量%と、
ジメチルジクロロシランで表面処理された、BET比表面積が200m
2/gのフュームドシリカ粉末、1.50質量%と、
粘度20mPa・s及びケイ素結合水素含量が1.50質量%のトリメチルシロキシ末端封鎖メチル水素ポリシロキサン、0.98質量%(この添加により、本組成物中のビニル1モル当たりメチル水素ポリシロキサン中に2.00モルのケイ素結合水素原子が付与された)と、
白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体、1.00質量%と、
エチニルシクロヘキサン−1−オール、0.15質量%。
【0051】
シリコーン組成物を、40質量%濃度になるようにトルエンに溶解して、マイクログラビアコーターに用いた。感圧接着剤フィルム及び感圧接着剤層を上述の通り評価し、それら特性を表1に記載した。
【0052】
【表1】
産業上の利用可能性
【0053】
本発明のシリコーン組成物は基材フィルム上に適切な接着性及び良好な耐擦傷性を示す感圧接着剤層を形成することができるので、マイクログラビアコーティングによって感圧接着剤を形成するのに適している。