特許第6595629号(P6595629)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6595629ウイルス性出血性敗血症ウイルスの地域特異的遺伝型の判別用プローブ及びその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6595629
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】ウイルス性出血性敗血症ウイルスの地域特異的遺伝型の判別用プローブ及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6827 20180101AFI20191010BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20191010BHJP
   C12Q 1/6876 20180101ALN20191010BHJP
【FI】
   C12Q1/6827 ZZNA
   !C12N15/09 Z
   !C12Q1/6876 Z
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-565731(P2017-565731)
(86)(22)【出願日】2016年8月11日
(65)【公表番号】特表2018-521647(P2018-521647A)
(43)【公表日】2018年8月9日
(86)【国際出願番号】KR2016008830
(87)【国際公開番号】WO2017030322
(87)【国際公開日】20170223
【審査請求日】2018年2月2日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0116166
(32)【優先日】2015年8月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515260704
【氏名又は名称】大韓民国(国立水産科学院)
【氏名又は名称原語表記】REPUBLIC OF KOREA(National Institute of Fisheries Science)
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】チョ ミヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク ミョンエ
(72)【発明者】
【氏名】チ ボヨン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ソンドン
(72)【発明者】
【氏名】キム グァンイル
(72)【発明者】
【氏名】アン サンジュン
【審査官】 堂畑 厚志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−236625(JP,A)
【文献】 特開2001−286300(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/046193(WO,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2015−0028063(KR,A)
【文献】 AHN, Sang Jung et al.,Phylogenetic Analysis of Viral Haemorrhagic Septicaemia Virus (VHSV) Isolates from Asia,J. Fish Pathol.,2013年,vol. 26, no. 3,p. 149-161
【文献】 Molecular and Cellular Probes,2004年,vol. 18,p. 117-122
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q
C12N15/
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の段階を含む、ウイルス性出血性敗血症ウイルス(VHSV)の地域特異的遺伝型を決定する一塩基多型(SNP)の判別方法:
(a)VHSVからRNAを分離して、逆転写反応を通じてターゲットDNAを得る段階;
(b)上記ターゲットDNAを、配列番号1で表されるPNAプローブとハイブリダイズさせる段階;
(c)上記のハイブリダイズさせた産物の温度を高めながら温度別の融解曲線を得る段階;及び
(d)上記から得られる融解曲線を分析する段階。
【請求項2】
融解曲線のTm値における約69℃のピークを韓国VHSV分離株と同定し、融解曲線のTm値における約58℃のピークを米国、カナダ、日本、又は中国のVHSV分離株と同定し、融解曲線のTm値における約49℃のピークをヨーロッパVHSV分離株と同定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記プローブは、両末端にレポーター(reporter)またはクエンチャー(quencher)が結合されているPNAプローブであることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
上記のレポーター(reporter)はFAM(6−carboxyfluorescein)、Texas red、HEX(2’,4’,5’,7’,−tetrachloro−6−carboxy−4,7−dichlorofluorescein)、JOE、Cy3及びCy5で構成される群から選択される一つ以上であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
上記のクエンチャーはTAMRA(6−carboxytetramethyl−rhodamine)、BHQ1、BHQ2及びDabcylで構成される群から選択される一つ以上であることを特徴とする請求項3又は4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は魚病ウイルスであるウイルス性出血性敗血症ウイルス(viral hemorrhagic septicemia virus、VHSV)の地理的分離由来の判別用プローブ及びこれを利用したVHSVの地域的分離由来の判別方法に関するもので、さらに具体的に地理的分離由来に依存的に現れる遺伝型であるVHSV Gタンパク質のC755A及びA756Gの一塩基多型変異(SNP)を含むDNAとの結合力が優秀なPNAを利用して遺伝型ごとに互いに異なる融解温度を現せることによって、VHSVの地理的分離由来の判別を簡単、迅速、正確に判別するためである。
【背景技術】
【0002】
ニジマスを始とする淡水サケと魚類に感染されて深刻なウイルス疾病を引き起こす病原体として知られたviral hemorrhagic septicemia virus(VHSV)は他の魚類ウイルスであるinfectious hematopoietic necrosisvirus(IHNV)とhirame rhabdovirus(HIRRV)と共にfamily Rhabdoviridae、genus Novirhabdovirusに属する約11,000bpのnegative−strand RNA virusで6つの遺伝子、nucleocapsid(N)、phosphoprotein(P)、matrix protein(M)、glycoprotein(G)、non−virion protein(NV)とpolymerase(L)の遺伝子が3’−N−P−M−G−NV−L−5’の順で構成されている(Schutze et al.,1999;van Regenmortel et al.,2000;Trdo et al.,2005)。
【0003】
VHSVは1963年デンマークでニジマスから初めて分離された後(Jensen,1965;Wolf,1988)、大西洋(Atlantic Ocean)及び北海(North Sea)で大西洋マダラ(Gadus morhus,Jensen et al.,1979)、ターボット(Scophthalmus maximus,Schlotfeldt et al.,1991)、大西洋ニシン(Clupea harengus,Dixon et al.,1997)、ホワイティング(Merlangius merlangus,Mortensen wt al.,1999)、などから分離されており、淡水及び海水魚類の両方に疾病を誘発する病原体として知られている。ヨーロッパ地域だけではなく、1980年代後半には北米地域の西部海岸で海水魚類と消夏性サケから分離されて海洋環境にウイルスが広く分布していることが確認された(Hopper,1989;Meyers and Winton,1995)。
【0004】
東アジア地域では日本若狭湾の野生ヒラメで初めて検出された後(Takano et al.,2000)、養殖ヒラメでもVHSVによる被害が報告された(Isshiki et al.,2001)。国内でも類似した時期に養殖ヒラメでrhabdovirus性の疾病が流行して、この原因体を調査した結果、北米地域及び日本で分離したVHSVと同一の遺伝型であることに確認された(Kim et al.,2003)。以後、VHSVは多様な海産魚類及び淡水魚類で分離されて、養殖ヒラメで毎年継続的な斃死を引き起こす病原体に報告されている(Kim et al.,2004;Kim et al.,2009;Cho et al.,2012)。
【0005】
現在、VHSVは世界動物保健機構(World Organization for Animal Health,OIE)の水生動物衛生規約(Aquatic Animal Health Code)により‘管理対象疾病(notifiabl disease)’に指定されており(OIE,2013)、国内でも水産生物疾病管理法第2条で規定する水産生物伝染病で、防疫措置の対象に含まれて感染や疾病発生が確認されれば移動制限と消毒の措置が実施される疾病である。
【0006】
最近、多様な水産生物疾病の発生と消費者たちの安全な食べ物に対する需要の増加により全世界的に水産生物の防疫(Aquatic animal Disease Control)、予察(Surveillance)及びモニタリング(Monitoring)の重要性がさらに大きくなっている。また、国家的な予察及び防疫活動だけではなく地域的(regional)で、区域化(zoining)された水産生物の疾病予察及びモニタリングの研究結果の分析は、今後、水産生物疾病の疫学調査及び疾病管理に必要で有用な資料を提供するだけでなく、自国内の特定疾病に対する無病(清淨)地域を証明できる非常に重要な役割をする(FAO,2004)。従って、VHSVの国内分離株の配列変異に対する持続的な研究及び他国家の分離株との配列比較と持続的なモニタリングがさらに重要になった。
【0007】
全世界的に同定されたVHSVのNとG遺伝子の塩基配列を比較してみた結果、系統分析学的に4つのgenotype(I−IV)とともにgenotypes I(Ia−Ie)とIV(IVaとIVb)にいくつかのsubgroupが含まれている(Snow et al.,1999;Einer−Jensen et al.,2004;Lumsden et al.,2007)。Genotype Iはヨーロッパの多様な淡水及び海水魚種たちから分離されたVHSVを含み、バルト海(Baltic Sea)、スカゲラク(Skagerrak)、カテガット(Kattegat)とイギリス海峡(English Channel)の海水魚類たちから分離された多くのVHSVの分離株たちも含まれる(Dixon et al.,1997;Thiery et al.,2002;Einer−Jensen et al.,2004;Snow et al.,2004)。Genotype IIはバルト海(Baltic Sea)の海水魚類から分離された分離株たちが含まれ(Snow et al.,2004)、genotype IIIは英国とアイルランドの北海(North Sea)と北大西洋(North Atlantic)から分離された分離株たちとノルウェー西部のニジマス(rainbow trout)から分離されたVHSVが含まれる(Einer−Jensen et al.,2004;Snow et al.,2004;Lopez−Vazquez et al.,2006;Dale et al.,2009)。Genotype IVは北米の太平洋岸(Pacific coast)と大西洋の海岸(Atlantic coast)だけでなく、北米の五大湖(Great Lakes)地域とアジア地域から分離された分離株たちも含めている(Nishizawa et al.,2002;Kim et al.,2003;Elsayed et al.,2006;Gagne et al.,2007;Lumsden et al.,2007)。従って、VHSVの遺伝的距離及び系統分析結果を通じて宿主の魚類種より地理的位置にさらに関係すると見られる。
【0008】
細菌の遺伝型を分析するための多様な方法が開発されており、遺伝子塩基配列分析法(sanger sequencing)、ランダム増幅多型DNA法(random amplified polymorphic DNA,RAPD)、制限断片長多型(restriction fragment length polymorphism,RFLP)法などが使用されているが、相変わらず分析時間が長くて手順がややこしいという問題点を持っている。ここに追加で、病原性を示す遺伝型及び遺伝体マーカーの開発を必要とし、このような遺伝型による病原性を分析して相関関係を確認するための迅速で簡便な分析のための遺伝型(genotype)及び遺伝体マーカーの開発、遺伝体マーカーを容易に判別できる方法が必要な実情である。
【0009】
本発明者らは先行研究でアジアから分離されたVHSVの系統分析学的比較を遂行したことがある(J.Fish Pathol.,26(3):149−161)。上記の論文ではVHSV G−タンパク質の遺伝子の755番目の塩基配列が韓国分離株ではではC>A変異が発生したということを明らかにした。ただし、上記の論文ではVHSV分離株たちのGタンパク質のフルレングスオープンリーディングフレーム(full lengrh open reading frames)をすべて増幅した後、増幅産物をクローニングして再び精製されたプラスミドDNAの塩基配列を確認する作業を経て時間と材料が多く消耗される短所があった。
【0010】
一般的に、PNA(Peptide nucleotide acid,PNA)は核酸塩基がリン酸結合ではないペプチド結合で連結された類似DNAで1991年にNielsenなどによって初めて合成された。PNAは自然界では発見されず、人工的に化学的な方法で合成される。PNAは相補的な塩基配列の天然核酸とハイブリダイズ(hybridization)反応を通じて二本鎖を形成する。長さが同じ場合PNA/DNAの二本鎖はDNA/DNAの二本鎖より、PNA/RNAの二本鎖はDNA/RNAの二本鎖より安定である。また、PNAは単一塩基不整合(single base mismatch)のために二本鎖が不安定になる程度が大きいために単一塩基変異多型性(single nucleotide polymorphism,SNP)を検出する能力が天然核酸よりもっと優れている。PNAは化学的に安定するだけでなく、核酸分解酵素(nuclease)やタンパク質分解酵素(protease)によって分解されないので生物学的にも安定である。また、PNAはLNA(Locked nucleic acid)、MNA(Mopholino nucleic acid)のように遺伝子認識物質の一つとして、基本骨格がポリアミドで構成されている。PNAは親和度(affinity)と選択性(selectivity)が大変優秀で、熱/化学的に物性や安定性が高くて保管が容易で容易に分解されない長所がある。
【0011】
よって、本発明者は韓国の養殖ヒラメから分離したVHSV分離株たちのglycoprotein(G)の塩基配列を分析してKorean VHSV分離株たちと既報告された日本及び中国の分離株たちを系統発生学的に比較して国内特異的な塩基配列を確認して、区域化(zoining)された水産生物疾病の予察、遺伝的多様性、分子疫学的特徴分析、モニタリングや疾病管理に必要で有用な資料を提供するために鋭意努力した結果、VHSVの地域特異的遺伝型を判別するための遺伝子マーカー及び上記のDNAと結合力が優秀なPNA(Peptide nucleotide acid,PNA)を用いて地域特異的遺伝型ごとに互いに異なる融解温度を現せることによって、VHSVの地域特異的遺伝型を簡単、迅速、正確に判別できることを確認して、本発明を完成するようになった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、VHSVのターゲット遺伝子の地域特異的遺伝型を判別できるプローブ及びプローブの両末端にレポーターまたはクエンチャーが結合したPNAを提供するところにある。
【0013】
本発明の他の目的は、上記のプローブまたはPNAを含むVHSVの塩基多形成の分析キットを提供するところにある。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、上記のプローブまたはPNAを含むVHSVの遺伝型の判別方法を提供すところにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明は、ウイルス性出血性敗血症ウイルス(VHSV)のGタンパク質の配列で、C755A及びA756Gの一塩基多型変異を含む配列断片と厳格な条件でハイブリダイズできるVHSVの地域特異的遺伝型の判別用プローブを提供する。
【0016】
本発明はまた、上記プローブの両末端にレポーター(reporter)またはクエンチャー(quencher)が結合されていることを特徴とするVHSVの地域特異的遺伝型の判別用PNA提供する。
【0017】
本発明はまた、上記のプローブまたはPNAを含むVHSVの地域特異的遺伝型を決定する一塩基多型(SNP)の判別用キットを提供する。
【0018】
本発明はまた、(a)VHSVからターゲットDNAを分離する段階;(b)上記ターゲットDNAを上記プローブとハイブリダイズ(hybridization)させる段階;(c)上記のハイブリダイズさせた産物の温度を高めながら温度別の融解曲線を得る段階;及び(d)上記から得られる融解曲線を分析する段階を含むVHSVのターゲットDNAの地域特異的遺伝型を決定する段階を含むPNAを利用したVHSVの地域特異的遺伝型を決定する一塩基多型(SNP)の判別方法を提供する。
【0019】
本発明はまた、(a)VHSVからターゲットDNAを分離する段階;(b)上記ターゲットDNAを上記のPNAとハイブリダイズ(hybridization)させる段階;(c)上記のハイブリダイズさせた産物の温度を高めながら温度別の融解曲線を得る段階;及び(d)上記から得られる融解曲線を分析する段階を含むVHSVのターゲットDNAの地域特異的遺伝型を決定する段階を含むPNAを利用したVHSVの地域特異的遺伝型を決定する一塩基多型(SNP)の判別方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の好ましいほかの実施例によるVHSVの分離地域を決定する一塩基多型(SNP)の判別用PNAを使用した融解曲線の分析の技術的な特徴を説明するための概念図である。
図2】本発明の好ましいほかの実施例によるPNAを利用したVHSVの分離地域別に確認された遺伝型(genotype)の判別方法のハイブリダイズ段階と融解曲線を得る段階を説明するための模式図である。
図3】本発明によるVHSVの分離地域別に確認された遺伝型(genotype)の選定のための地域別のGタンパク質配列の分析結果とPNAの結合部位を説明するための配列図である。
図4】本発明によるVHSVの分離地域別に確認された遺伝型(genotype)を決定するGタンパク質の遺伝子上でPNAが含まれている塩基変異部分の一例を説明するための遺伝子の位置図である。
図5】本発明によるVHSVの分離地域別に確認された遺伝型(genotype)の判別用PNAのGタンパク質遺伝子内の結合位置と遺伝型による各々のプローブに対する互いに異なるハイブリダイズの程度を探知することの一例を説明するための模式図である。
図6】本発明によるVHSVの分離地域別に確認された遺伝型(genotype)を決定する一塩基多型(SNP)の判別のためのreal−time PCRの反応条件を示す図式である。
図7】本発明の実施例に従いVHSVの分離地域別に確認された遺伝型(genotype)を決定する一塩基多型(SNP)の判別を各遺伝型別に分析した一例を示す結果グラプである。
図8】遺伝型別のPNAプローブの融解曲線のグラプから得た融解温度(Tm)を遺伝コードで整理した表の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
他の方式で定義されない限り、本明細書で使用したあらゆる技術的及び科学的用語は本発明が属する技術分野に熟練された専門家によって通常的に理解されるものと同一な意味を有する。一般的に本明細書で使用された命名法及び以下に記述する実験方法は本技術分野においてよく知られて通常的に使用されるものである。
【0022】
本発明ではウイルス性出血性敗血症ウイルス(viral hemorrhagic septicemia virus,VHSV)の地理的遺伝型を迅速で簡便に分析しようとVHSVの遺伝型を決定する単一塩基多型性のマーカーを選別した。
【0023】
具体的に、各国の水産生物から分離されたVHSVを対象にVHSV分離株たちの地域特異的な配列を確認するためにVHSVのG−タンパク質の配列を分析した結果、国内の分離株は755番目の塩基対がAに、756番目塩基対がGで示された一方、米国、カナダ及び日本の分離株は755番目の塩基対がCに、756番目塩基対がGで示されて、ヨーロッパの分離株は755番目の塩基対がCに、756番目塩基対がAでしめされたことを確認した(図1図3)。
【0024】
即ち、DNA−DNA結合力より結合力が優秀なPNA−DNAの結合を利用する場合、PNAは1個の核酸ミスマッチ(nucleotide miss match)にも融解温度(Tm)が10〜15℃程度の差異が出る特性を利用してVHSVの単一塩基多型性変異(SNP)および挿入−欠失変異(InDel)での核酸の変化が検出できることを確認した(図2図4)。
【0025】
従って、本発明は一観点で、ウイルス性出血性敗血症ウイルス(VHSV)のGタンパク質の配列で、C755A及びA756G一塩基多型の変異を含む配列断片を厳格な条件でハイブリダイズできるVHSVの地域特異的遺伝型の判別用プローブに関するものである。
【0026】
本発明において、上記プローブは5〜20個の塩基で構成されることを特徴とすることができる
【0027】
本発明において、上記プローブの8番目及び9番目の位置にVHSVの地域特異的遺伝型を決定するGタンパク質の遺伝子内の一塩基多型(SNP)の部位に相応する配列を有するのを特徴とすることができる。
【0028】
本発明において、上記プローブは配列番号1で表されることを特徴とすることができる。
【0029】
本発明は他の観点で、上記プローブの両末端にレポーター(reporter)及びクエンチャー(quencher)が結合されているのを特徴とするPNAに関するものである。すなわち、本発明に従うPNAは両末端にはレポーター(reporter)とレポーターの蛍光を消光(quenching)できるクエンチャー(quencher)が結合できる。本発明において、上記のレポーター(reporter)はFAM(6−carboxyfluorescein)、Texas red、HEX(2’,4’,5’,7’,−tetrachloro−6−carboxy−4,7−dichlorofluorescein)及びCy5で構成される群から選択される一つ以上でもでき、上記のクエンチャーはTAMRA(6−carboxytetramethyl−rhodamine)、BHQ1、BHQ2及びDabcyで構成される群から選択される一つ以上でも構わないが、これに限定されるものではないが、好ましくはDabcylを使用するのを特徴とすることができる。
【0030】
また、PNAはTaqManプローブのHydrolysis methodとは異なるhybridization methodを用いて分析することができて、似ている役割をするプローブとしてはmolecular beacon probe、scorpion probeがある。
【0031】
図1は本発明の好ましい一つの実施例によるVHSVの発源地域別に確認された遺伝子型(genotype)を決定する一塩基多型(SNP)の判別用PNAの技術的特徴を説明するための概念図であり、ここに示されたことのように、本発明によるPNAは標的核酸とハイブリダイズされた後、蛍光信号を発生させられ、温度が上がることによってプローブの適正融解温度(Tm)で標的核酸から早く融解されて蛍光信号を消光させる。本発明はこのような温度変化による上記蛍光信号から得られた高解像度の融解曲線分析(fluorescence melting curve analysis;FMCA)を通じて、標的核酸の塩基変異の有無が検出できることである。
【0032】
本発明によるPNAは標的核酸の塩基配列と完全なハイブリダイズ(perfect match)をなす場合予想された融解温度(Tm)値を示すが、塩基変異が存在する標的核酸とは不完全なハイブリダイズ(mismatch)をなして予想より低い融解温度(Tm)値を示すことを特徴とすることができる。
【0033】
本発明者らは多様な種類のVHSVの発源地域別に確認された遺伝型(genotype)を決定する遺伝子部位を比較検討して、配列番号1でなっている塩基配列を含むPNAを製作して、このようなPNAを利用してVHSVのDNAサンプルから融解曲線を得て、上記の融解曲線から融解温度(Tm)を確認した結果、後述する実施例で確認できることのように、VHSVの発源地域別に確認された遺伝型(genotype)を決定する一塩基多型(SNP)別に、互いに異なる結果を得ることができた。このような本発明はDNAとの結合力が優秀なPNAを用いてVHSVの発源地域別に確認された遺伝型(genotype)を決定する一塩基多型(SNP)ごとに互いに異なる融解温度(Tm)を示させることによって、VHSVの発源地域別に確認された遺伝型(genotype)を決定する一塩基多型(SNP)を簡単、迅速、正確に判別できることである。
【0034】
本発明において、上記PNAの塩基配列の長さは特別に制限されないが、VHSVの発源地域別に確認された遺伝型(genotype)を決定する一塩基多型(SNP)を含む5〜20merの長さで製作できる。
【0035】
PNAの長さを調節して望むTm値を持つようにプローブを製作することも出来、同じ長さのPNAプローブでも塩基配列に変化を与えてTm値を調節することも可能である。また、PNAはDNAより結合力が優秀で基本的なTm値が高いためにDNAより短い長さに制作可能で近く隣にしたSNPでも検出可能である。既存のHRM methodによるとTm値の差異が約0.5℃で非常に少なくて追加的な分析プログラムか、細密な温度変化または補正を必要にして、このために2個以上のSNPが現れる場合には分析が難しかったが、本発明によるPNAはプローブ配列とSNPに対しては影響を受けないから簡便に分析が可能である。
【0036】
また、本発明によるPNAは標的核酸と塩基変異を有する標的核酸の融解温度(Tm)の差異のために、標的核酸の塩基変異の位置がPNAの中心部分(center position)に来るようにデザインするのが好ましい。塩基変異の部分がプローブの中心部分(center position)に位置すると、プローブの構造的差異を作ることで、PNAはループ(loop)を形成しながら結合することで、このような構造的差異によって融解温度(Tm)の差異が大きく現れる。
【0037】
このような理由で、本発明によるPNAが16個ないし17個範囲内の塩基配列を含む場合には、8番目ないし9番目の位置中一つ以上の位置に一塩基多型(SNP)の部位に相応する配列を持つのが好ましい。このようなPNAは塩基配列の中心部分にVHSVの発源地域別に確認された遺伝型(genotype)を決定する一塩基多型(SNP)の判別部位に相応する配列を含めて構造的な変形を持つことができて、これを通じて完全なハイブリダイズをなす標的核酸(perfect match)との融解温度(Tm)の差異をさらに大きくすることができる。
【0038】
また、本発明によるVHSVの地域特異的遺伝型を決定する一塩基多型(SNP)の判別用PNAは結合する塩基配列(またはSNP)に従って異なる融解温度(Tm)を示すために、一つのPNA(またはプローブ)で2個以上の塩基配列が検出できて、また2個以上のPNAを一つのチューブに包含させて使用することも可能である。
【0039】
本発明のPNAはVHSVの地域特異的遺伝型を決定する技術に関するもので、本発明のPNAをVHSVの標的核酸とハイブリダイズさせて融解曲線を分析することによって(図2)、VHSVの一塩基多型を簡単、迅速、正確に判別することができる。
【0040】
従って、本発明は他の観点で、(a)VHSVからターゲットDNAを分離する段階;(b)上記ターゲットDNAを上記プローブとハイブリダイズ(hybridization)させる段階;(c)上記のハイブリダイズさせた産物の温度を高めながら温度別の融解曲線を得る段階;及び(d)上記から得られる融解曲線を分析する段階を含むVHSVのターゲットDNAの地域特異的遺伝型を決定する段階を含むPNAを利用したVHSVの地域特異的遺伝型を決定する一塩基多型(SNP)の判別方法に関するものである。
【0041】
本発明はまた、(a)VHSVからターゲットDNAを分離する段階;(b)上記ターゲットDNAを上記PNAとハイブリダイズ(hybridization)させる段階;(c)上記のハイブリダイズさせた産物の温度を高めながら温度別の融解曲線を得る段階;及び(d)上記から得られる融解曲線を分析する段階を含むVHSVのターゲットDNAの地域特異的遺伝型を決定する段階を含むPNAを用いたVHSVの地域特異的遺伝型を決定する一塩基多型(SNP)の判別方法に関するものである。
【0042】
上記ハイブリダイズさせる段階は本発明によるPNAをVHSVのDNAサンプルと反応させることである。この段階はPCR過程を含むことができて、PCRのためのforward/reverse primer setを利用するのが可能である。このようなハイブリダイズ段階とPCR条件はこの技術分野で普通の知識を持つ者(以下、‘当業者’という)に広く知られた多様なあらゆる方法を含むことができる。また、PCRが終わった後にはmelting過程を含むことも可能である。
【0043】
本発明において、上記VHSVのターゲットDNAはGタンパク質遺伝子の一塩基多型(SNP)の部位を含むことを特徴とすることができる。一般的にVHSVの表面にタンパク質を発現するGタンパク質をコーディングする遺伝子の場合、種判別及び地域区分が可能な遺伝型を持っていて、発源地域を判別するマーカーで効果的である。
【0044】
また、上記温度別の融解曲線を得る段階はVHSVのDNAサンプルの融解温度(Tm)を得るためである。このために、上記のハイブリダイズさせた産物の温度を高めながら蛍光の強さを測定して、温度による蛍光強さの変化を温度別の融解曲線で得ることができる。すなわち、hybridization method分析方法としてFMCA(Fluorescence Melting Curve Analysis)を利用することができて、上記FMCAはPCR反応が終わった後作られた産物と入れておいたプローブとの結合力の差異をTmで区分して分析することである。例えば、一般的なreal−time PCR装置を利用して1℃増加させるたびに蛍光の強さを測定することでTm値を得ることができる。
【0045】
続いて、上記VHSVの発源地域別に確認された遺伝型(genotype)を決定する一塩基多型(SNP)を判別する段階は上記得た融解曲線の融解温度からVHSVの発源地域別に確認された遺伝型(genotype)を決定する一塩基多型(SNP)を判別することである。例えば、上記得た融解曲線の融解温度を予め知っているVHSVの発源地域別に確認された遺伝型(genotype)を決定する一塩基多型(SNP)の融解温度と比較して、VHSVの発源地域別に確認された遺伝型(genotype)を決定する一塩基多型(SNP)を判別することができる。VHSVの発源地域別に確認された遺伝型(genotype)を決定する一塩基多型(SNP)ごとに本発明によるPNAを適用した融解曲線は互いに異なる融解温度(Tm)を持っていて(図8)、このような差異を利用してVHSVの発源地域別に確認された遺伝型(genotype)を決定する一塩基多型(SNP)の判別が可能である。
【0046】
これと共に、図7は本発明によるPNAを利用したVHSVの発源地域別に確認された遺伝型(genotype)を決定する一塩基多型(SNP)の判別方法で融解曲線から融解ピーク曲線を得る段階の一例を説明するためのグラプであり、ここに示されたことのように上記融解曲線の傾き値を利用して温度別の融解ピーク曲線を得ることができて、このような融解ピーク曲線はVHSVの発源地域別に確認された遺伝型(genotype)を決定する一塩基多型(SNP)の融解温度(Tm)を把握するのに容易である。このために、上記温度別の融解曲線を得る段階は、上記得た温度別の融解曲線から温度別の融解ピーク曲線を得る段階を含めて、上記VHSVの発源地域別に確認された遺伝型(genotype)を決定する一塩基多型(SNP)を判別する段階は上記得た融解ピーク曲線の融解温度からVHSVの発源地域別に確認された遺伝型(genotype)を決定する一塩基多型(SNP)を判別するのが可能である。
【0047】
また、本発明は他の観点で、上記プローブまたはPNAを含むVHSVの地域特異的遺伝型を決定する一塩基多型(SNP)の判別用キットに関するものである。
【0048】
本発明において、上記キットは多重ターゲットDNAまたは単一ターゲットDNAの塩基多形成の分析用であることを特徴とすることができる。
【0049】
本発明において、上記キットのプローブはPNAであることを特徴とすることができる。
【0050】
本発明のキットはバッファー、DNA重合酵素助因子およびデオキシリボヌクレオチド−5−トリホスフェートのようなターゲット増幅PCR反応(例えば、PCR反応)を実施するのに必要な試薬を選択的に含むことができる。また、本発明のキットはまた多様なポリヌクレオチド分子、逆転写酵素、多様なバッファー及び試薬、およびDNA重合酵素の活性を抑制する抗体を含むことも可能である。
【0051】
このようなキットを利用すると、PNAによる融解曲線の分析を通じて標的核酸の単一塩基変異及び塩基の欠損または挿入による変異を効果的に検出することができて、これを通じてVHSVの発源地域別に確認された遺伝型(genotype)を決定する一塩基多型(SNP)の判別が可能である。
【実施例】
【0052】
以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に説明する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に制限されないことは当業者において通常の知識を有する者にとって自明である。
【0053】
実施例1.VHSVの発源地域別に確認された遺伝型(genotype)関与一塩基多型(SNP)マーカーの開発
各国の水産生物から分離されたVHSVを対象に、VHSV分離株たちの地域特異的な配列の確認のために配列変異が激しいG−遺伝子のフルレングスオープンリーディングフレーム(ORFs)の配列をVHSVのG−ORF−F1(5’−ATGGAATGGAATACTTTTTTCTTGGTG−3’)とVHSV−G−ORF−R1(5’−TCAGACCGTCTGACTTCTGGAGAACTGC−3’)のプライマーセットをデザインしてPCRを遂行して、1524bpのPCR産物を得ることができた。増幅されたPCR産物はpGEM(登録商標)−T Easy vector(Promega,USA)を利用してクローニングして、ExprepTM Plasmid SV DNA prep kit(GeneAll Biotechnology Co.,Ltd.,Korea)を用いて精製されたプラスミドDNAの塩基配列を確認した。
【0054】
各地域で分離されたVHSVのGタンパク質の配列をアライメントして、国内で分離されたVHSVにだけ特異的に発生する遺伝子配列を分析して、国内分離株の判別が可能な配列はVHSVのGタンパク質遺伝子の755bp、756bpの塩基配列で確認されて、国内分離株はA(755bp)、G(756bp)であり、米国、カナダ、日本分離株はC(755bp)、G(756bp)であり、ヨーロッパ分離株はC(755bp)、A(756bp)である。
【0055】
実施例2.VHSVの地域特異的遺伝型(genotype)の判別用PNAの製造
VHSVで抽出したRNAを逆転写して製作したcDNAを鋳型でPCRを遂行するためにGタンパク質のプライマーを製造した。即ち、VHSVのGタンパク質遺伝子の塩基配列を分析して、塩基配列の比較を通じて各発生地域別に類似性を示すSNPを探して、これを基に地域特異的な配列を選択した。
【0056】
図4は本発明によるVHSVのGタンパク質遺伝子の一部とSNP及びこれより導出されたPNA探針子の塩基配列の一例を示す図式であり、図5は本発明によるVHSVのGタンパク質遺伝子上でPNA探針子が結合する配列の結合程度を説明するための遺伝子多様性とこれに従うPNA探針子の結合程度を示した図式である。図5で、地域特異的遺伝型部位の755番、756番の配列に対するPNA探針子の結合程度を特異結合と非特異結合(mismatch)で表記して、非特異結合の個数により地域区分が可能であることを確認して、これにより上記の位置を中心にする塩基配列(配列番号1)を本発明に従うPNA探針子の塩基配列で構成した。
【0057】
このように、本発明によるPNA探針子の塩基配列を決定して、下記表1に示した。
【0058】
【表1】
【0059】
上記表1でOはリンカー及びKはライシン(lysine)を意味する。
【0060】
PNA探針子の蛍光測定が可能にするためにHEXを結合して製作した。
【0061】
その後、上記の表1に示したことのような塩基配列とレポーター及びクエンチャーで本発明によるPNAプローブを製作した。PNAプローブはPNAプローブデザイナー(Appliedbiosystems、米国)を用いて設計した。本発明で使用したあらゆるPNAプローブはパナジン(Panagene、韓国)でHPLC精製方法を通じて合成し、合成されたあらゆるプローブの純度は質量分析法を用いて確認し、標的核酸との更なる効果的な結合のためにプローブの不必要な二次構造は避けた。
【0062】
実施例3.VHSVサンプルに対する融解曲線の分析
上記実施例1と2に従って製作したPNAプローブを利用して、地域別に分離されたVHSVのcDNAサンプルに対して融解曲線を導出して、これを分析して地域特異的な遺伝型を決定する一塩基多型(SNP)を判別した。
【0063】
PCRはCFX96TM Real−Timeシステム(BIO−RAD社、米国)を利用して遂行し、あらゆる実験条件は一本鎖の標的核酸を生成するために非対称PCR(asymmetric PCR)を用いた。非対称PCRの条件は次のようである;総容量が20μlになるように1XシソンバイオリアルタイムFMCATMバッファー(SeaSunBio Real−Time FMCATM buffer,シソンバイオ、韓国)、2.5mM MgCl、200μM dNTPs、1.0 U Taq polymerase、0.05μM forward primer及び0.5μM reverse primer(asymmetric PCR、表2)に0.5μlプローブ(上記実施例1で製造されたPNAプローブ)3種、0.5μl Streptococcus iniaeのDNAを添加した後リアルタイムPCRを実施した。
【0064】
【表2】
【0065】
図6は本発明の実施例に従ってVHSVのcDNAサンプルのGタンパク質領域を増幅して、上記の実施例1と2に従って製作された本発明によるPNAプローブをハイブリダイズさせて、上記のハイブリダイズさせた産物の温度を高める過程の温度及び時間条件を示した図表である。ここに示したことのように、リアルタイムPCRの過程は95℃で5分間変性させた後、95℃で30秒、56℃で45秒、74℃で30秒間反応させた。これを40サイクル繰返した。融解曲線の分析は95℃で5分間の変性段階を経た後、85℃を始めて段階的なハイブリダイズを25℃まで進行した後25℃から85℃まで1℃ずつ上昇させながら蛍光を測定する融解曲線の分析を遂行した。各段階の間ごとに10秒間の停止状態を維持した。
【0066】
図7に掲示されたことのように融解曲線は1個のチューブで測定し、各融解曲線でグラプ線の個数は互いに異なるサンプルに対する測定値である。結果で示されたことのように、VHSVの分離地域ごとに本発明によるPNAを適用した融解曲線の結果で互いに異なる融解曲線(Tm)を有していることを確認することができる。
【0067】
図8は温度別の融解曲線のグラプから得た結果と一塩基多型の標準分析方法であるシークエンシング結果と比較した表の一例である。
【0068】
これによると、本発明によるPNA探針子を利用する場合、分離地域によって一貫した融解温度を確認することができて、これを通じて本発明によるPNAプローブを利用するとVHSVの分離地域の特異的な遺伝型を決定する一塩基多型(SNP)の判別が可能である。
【0069】
本発明によるPNA探針子を利用して未知のVHSVのcDNAサンプルに対して種を判別しようとする場合、図8のような融解温度別タイプを予め付与して、これを活用することが可能である。
【0070】
具体的に、上記実施例2のように融解曲線の分析を実施して得たTm値を69℃内外のピークをperfect matchと認識して、58℃内外のピークをsingle mismatchに指定し、49℃内外のピークをdouble mismatchに指定しており、分析結果を使用して国内分離株はperfect match、米国、カナダ、日本、中国の分離株はsingle mismatchで、ヨーロッパの分離株はdouble mismatchでコードを付与し、各分離株ごとに固有の値を持つようにした。
【0071】
以上で本発明の内容の特定の部分を詳細に記述したが、当業界における通常の知識を持った者にとって、このような具体的な記述は単なる好適な実施態様に過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されることはないという点は明らかである。よって、本発明の実質的な範囲は添付された請求項とこれらの等価物により定義されると言える。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明によるDNAとの結合力が優秀なPNAプローブはVHSVの発源地域別に確認された遺伝型(genotype)ごとに互いに異なる融解温度(Tm)を現せることによって、VHSVの発源地域別に確認された遺伝型(genotype)のマーカーを簡単、迅速、正確に判別できる効果がある。
【0073】
また、本発明によるVHSV分離地域の判別用PNAは塩基配列の中心部分にVHSVの発源地域別に確認された遺伝型(genotype)の一塩基多型(SNP)部位に相応する配列を含むことによって、構造的な変形を持つことができて、これを通じて完全なハイブリダイズをなす標的核酸(perfect match)との融解温度(Tm)の差異をさらに大きくできることである。
【0074】
また、本発明によるVHSVの分離地域を決定する一塩基多型(SNP)の判別用PNAは結合する塩基配列(またはSNP)によって異なる融解温度(Tm)を示すために、一つのPNA(またはプローブ)で2個以上の塩基配列を検出できるし、また2個以上のPNAを一つのチューブに包含させて使用することも可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]