【実施例1】
【0015】
図1に示すように、縦軸風車1は、複数の柱体2、2によって、複数の横枠体3、3A、3Bを層状に組合わせた、立体の支持枠体4を備えている。
支持枠体4は、平面視で複数の枠材を方形枠形に形成されているが、横枠体3は、平面視で円形または環状でも構わない。複数の横枠体3を連結するのに、4本の柱体2が使用されているが、3本とすることでも可能で、その数は限定されない。
【0016】
柱体2として長尺物を使用するときは、例えばL字型鋼材を凸部を外向きとし、横枠体3の四隅における型鋼の柱体2に外から被着して、ボルト留めをする。柱体として短尺杆を使用する時には、横枠体3の四隅の柱取付部3cに嵌合させてボルト留めする。
【0017】
図1において、基盤Gは、セメントコンクリートとし、基礎柱体2Aを固定する。
発電機5を支持する免
振手段6は、支持台6Aの下に、複数の、例えば防震ゴムやコイルスプリング等の、任意の
防振弾性体6Bを配設して構成されている。
基礎柱体2Aの外側に、支持枠体2を外側部から支持させる固定傾斜支柱7と、弾性傾斜支柱8をボルト19で固定する。
【0018】
支持枠体4の中間の横枠体3Aは、
図2に示すように縦枠材3aと横枠材3bとで、平面視で方形の一体に形成されたものが示されているが、環状とすることもある。その中央部に、免
振手段9が、複数の支持杆10で支持されて、免
振横枠体3Aとされている。四隅部に柱体2を嵌合させる柱取付部3cが突設されている。
【0019】
免
振手段9は、
図2に示すように、外枠体9Aの中に、内枠体9Bを
防振弾性体9Cを介して支持して構成されている。内枠体9Bの内部に、縦主軸11を支持するベアリング12が嵌装されている。
【0020】
免
振手段9の
防振弾性体9Cは、例えば弾性のある防震ゴムで、全方向からの振動に対応可能に、例えば、5個が内枠体9Bから放射方向へ向いて、外枠体9Aの内側に配設されている。縦主軸11に生じて、内枠体9Bに与えられる振動は、
防振弾性体9Cによって吸収されて、
振動が支持枠体4に伝わりにくい。
【0021】
縦主軸11の下端部は、発電機5に連結されている。4本の基礎柱体2Aの上に、基礎横枠体3Bが水平に固定されている。
図3に示すように、基礎横枠体3Bは、縦枠材3aと横枠材3bとで、平面視で方形に組成されているが、半円弧状の枠体によって、平面視で環状のものとすることもできる。
【0022】
基礎横枠体3Bの内側中央部に、複数の水平な支持杆10を介して、発電機5の直径よりも大寸の、支持環体10Aが固定されている。
支持環体10Aと発電機5との間に、免
振手段9の
防振弾性体9D(例えば防震ゴム)を介在させて、発電機5が、縦主軸11の
振動によって
振動しても、支持枠体4に伝わらないようにされている。
【0023】
縦主軸11は、その上端を、支持枠体4の上端に配置された横枠体3のべアリング12によって、回転可能に支持されている。ベアリングは免
振手段を介在されていないので、縦主軸11を特定位置に固定する役割をもつ。縦主軸11がロータ13の回転によって
振動しても、縦主軸11は、支持枠体4の頂上の横枠体3を中心に下方の部分が
振動することになる。
【0024】
ベアリングは、アンギュラ玉軸受か自動調心玉軸受を用いるのがより好ましい。アンギュラ玉軸受は、縦主軸11の
振動によって生じるアキシャル荷重を受けることができ、自動調心玉軸受は、免震手段6の内枠体9Bが傾いても、自動的に調整され、縦主軸11の軸心のずれを防ぐことができる。
【0025】
縦主軸11の下部は、免
振手段9
Dに支持された発電機5に連結されているので、縦主軸11の下部が
振動しても、免震手段9
Dに吸収されることとなり、縦主軸11の上部は
振動しにくい。
【0026】
加えて、支持枠体4の上部の外角隅部分は、4隅の弾性傾斜支柱8によって、
振動が抑止されているので、縦主軸11の上部は
振動が抑止され、支持枠体4の上部も
振動が抑止される。
【0027】
縦主軸11には、上下方向に一定の間隔を開けて、ロータ13が配設されている。
ロータ13は、上下端部を縦主軸11方向へ傾斜する傾斜部14Aとした、縦長の揚力型ブレード14(以下単にブレードという)を、支持腕15を介して、縦主軸11に装着されている取付板16に、着脱可能に固定して形成されている。
【0028】
ブレード14は、縦主軸11を挾んで対称的に配設されている。ブレード14の枚数は限定されないが、枚数が多い場合には、高速回転時に、先行のブレード14によって生じる乱気流を、追行するブレード14が受けて全体として失速する。
【0029】
ブレード14が1枚の場合、縦主軸11に対する回転バランスが良くなく、
振動の原因になる。縦主軸11にロータ13を多層状に配設するときは、上下のブレード14が重ならないように、ブレード14の位相をバランスよく変えて配置する。
【0030】
ロータ13は、
図1においては3層に配設されているが、これより層数が増加すると、気流の速度が上下で異なるため、上下のロータ13間で回転速度に違差が生じやすい。基盤Gの位置が高くて、比較的高速風の吹く場所においては、ロータ13の3層配設は、効率のよい高速回転をする。
【0031】
ブレード14は、弦長が長くて、受風面積が大きく、回転効率を高いものとしてある。回転に伴い、ブレード14の前縁に当る相対流は、内外側面に沿って後縁方向へ流動する過程で、コアンダ効果により、外側面に負圧が生じ、ブレード14の回転軌跡内の気流が、外側へ吸引されて、ブレード14の内側面が前縁外方向へ押され、回転効率が高まる。
【0032】
また、ロータ13が高速回転をすると、縦主軸11部分に近い部分よりも、ブレード14の外側面の、回転周速が大であるため、流体の粘性によって、外側面に沿って回転する気体は、内側部よりも負圧となり、ブレード14の回転軌跡内の気流が、外側方向に引かれて、内部が負圧となる。
【0033】
それによって、風流以外の周囲の気流が、この負圧となる回転軌跡内に吸引されて、相対的に気流の量が増加し、ロータ13の回転効率が高められ、ブレード14は、風速以上の速度をもって回転する。
【0034】
そのため、支持枠体4を頑強に形成しても、ブレード14の高速回転に伴う遠心力によって、縦主軸11が
振動し、これを支持する支持枠体4が
振動するため、ワイヤ等で支持枠体4を強く緊張しておいても、緩んだり縦主軸11が撓み、
振動が、基盤Gから他所へ伝わり、低周波が発生する等の事態が生じかねない。
【0035】
しかし、
図1においては、免震横枠体3Aには、免震手段9の
防振弾性体9Cを介して、縦主軸11の上端部を支持してあるので、ロータ13の高速回転に伴う
振動が生じても、
防振弾性体9Cによって
振動が吸収され、支持枠体4の
振動が抑止される。
【0036】
基盤G上に配置した発電機5から、縦主軸11が立設されている風車においては、縦主軸11の
振動が、発電機5を経て基盤Gを
振動させる。
図1において、発電機5を載置した支持台6Aの下に、公知の防震ゴムか、あるいはコイルスプリング等からなる
防振弾性体6Bを、基盤G上に配設して、免
振手段6とされている。
【0037】
これによって、縦主軸11の回転に伴う
振動が、発電機5に伝えられたとしても、免震手段6によって
振動が吸収されるので、基盤Gへの
振動伝播が抑止される。
この場合、その他の横枠体3を、免震横枠体3Aと同じく、免震手段9を具備させると、縦主軸11に対する震動抑止の効果は大となる。
【0038】
基礎横枠体3Bは、四方向から固定傾斜支柱7によって支持されているので、支持枠体4の基礎部分は、
振動しにくく堅固となっている。支持枠体4の上層部については、四隅に弾性傾斜支柱8が固定されているので、これによって
振動が吸収されて
振動が抑止される。
【0039】
弾性傾斜支柱8は、下端部から上端部にかけて内向きに湾曲して、上端部が支持枠体4に、寄りかかったように設定されている。支持枠体4が
振動すると、
振動の強さに対応して、弾性傾斜支柱8に水平方向の撓みが生じ、
振動が吸収される。
また、弾性傾斜支柱8を例えばL字型鋼材として、凸部を外向きに使用すると、外方向への撓みが生じにくいため、ある程度長尺の物でも対応させることができる。
【0040】
このように、支持枠体4の基礎部分においては、基礎横枠体3Bと基礎柱2Aと固定傾斜支柱7とで、堅固に枠組みされており、その上に一体に固定される支持枠体4も、外側に固定した複数の弾性傾斜支柱8によって、
振動が抑止される。
【0041】
縦主軸11を立設する発電機5も、免
振手段6で基盤Gに支持され、縦主軸11の上端も、免
振横枠体3Aの免
振手段9によって
振動が抑止されるので、ロータ13が高速回転しても、支持枠体4や縦主軸11の
振動が生じにくい免
振縦軸風車1となる。