【実施例】
【0096】
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りがない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
【0097】
調製例1
脱イオン水223部、分散剤〔花王(株)製、商品名:デモールEP〕60部、分散剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ディスコートN−14〕50部、湿潤剤〔花王(株)製、商品名:エマルゲンLS−106〕10部、プロピレングリコール50部、酸化チタン〔石原産業(株)製、商品名:タイペークCR−95〕1000部およびガラスビーズ(直径:1mm)200部をホモディスパーで回転速度3000min
-1にて60分間分散させた後、100メッシュ(JISメッシュ、以下同じ)の金網で濾過することにより、白色ペーストを調製した。
【0098】
実施例1
滴下ロート、撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水764部を仕込んだ。滴下ロートに脱イオン水189部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンBC−10〕の25%水溶液40部、スチレン450部、2−エチルヘキシルアクリレート40部およびメタクリル酸10部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうち全単量体成分の総量の5%にあたる73部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、5%過硫酸アンモニウム水溶液10部を添加し、重合を開始した。その後、滴下用プレエマルションの残部と5%過硫酸アンモニウム水溶液15部を120分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。
【0099】
滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持し、引き続いて脱イオン水189部、乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液40部、メチルメタクリレート200部、2−エチルヘキシルアクリレート270部および4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン30部からなる2段目滴下用プレエマルションを調製し、当該段目滴下用プレエマルションを5%過硫酸アンモニウム水溶液15部とともに120分間にわたりフラスコ内に均一に滴下した。
【0100】
滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持し、25%アンモニア水を添加することによってpHを8に調製し、重合を終了した。得られた反応液を室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、樹脂エマルションを調製した。この樹脂エマルションにおける不揮発分の含有率は45%であった。
【0101】
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子は、2層構造を有し、内層を構成する単量体成分におけるスチレンの含有率は90%であり、外層を構成する単量体成分における紫外線安定性基含有単量体の含有率は6.0%であり、内層と外層との質量比は50/50であり、エマルション粒子における内層と外層との合計含有率は100%であり、エマルション粒子を構成する全単量体におけるスチレンの含有率は45%であり、外層を構成する重合体(II)のガラス転移温度は−15℃であり、内層を構成する重合体(I)のガラス転移温度は77℃であり、エマルション粒子全体のガラス転移温度は24℃であった。
【0102】
前記で得られた樹脂エマルション100部に成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕12部を添加し、ホモディスパーで回転速度1500min
-1にて30分間攪拌した後、調製例1で得られた白色ペースト30部および消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕0.5部を添加し、クレーブス単位粘度計(ブルックフィールド社製、品番:KU−1)を用いて25℃で測定したときの粘度が80KUとなるように増粘剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカノールUH−420〕を添加し、その状態で30分間攪拌することにより、上塗り塗料を調製した。
【0103】
実施例2
滴下ロート、撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水764部を仕込んだ。滴下ロートに脱イオン水94.5部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンBC−10〕の25%水溶液20部およびスチレン250部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうち全単量体成分の総量の5%にあたる73部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、5%過硫酸アンモニウム水溶液10部を添加し、重合を開始した。その後、滴下用プレエマルションの残部と5%過硫酸アンモニウム水溶液7.5部を60分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。
【0104】
滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持し、引き続いて脱イオン水283.5部、乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液60部、メチルメタクリレート400部、2−エチルヘキシルアクリレート345部および4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン5部からなる2段目滴下用プレエマルションを調製し、5%過硫酸アンモニウム水溶液22.5部とともに180分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。
【0105】
滴下終了後、フラスコ内の内容物を80℃で60分間維持し、25%アンモニア水を添加することによってpHを8に調製し、重合を終了した。得られた反応液を室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、樹脂エマルションを調製した。この樹脂エマルションにおける不揮発分の含有率は45%であった。
【0106】
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子は、2層構造を有し、内層を構成する単量体成分におけるスチレンの含有率は100%であり、外層を構成する単量体成分における紫外線安定性基含有単量体の含有率は0.7%であり、内層と外層との質量比は25/75であり、エマルション粒子における内層と外層との合計含有率は100%であり、エマルション粒子を構成する全単量体におけるスチレンの含有率は25%であり、外層を構成する重合体(II)のガラス転移温度は0℃であり、内層を構成する重合体(I)のガラス転移温度は100℃であり、エマルション粒子全体のガラス転移温度は20℃であった。
【0107】
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部に成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕12部を添加し、ホモディスパーで回転速度1500min
-1にて30分間攪拌した後、調製例1で得られた白色ペースト30部および消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕0.5部を添加し、クレーブス単位粘度計(ブルックフィールド社製、品番:KU−1)を用いて25℃で測定したときの粘度が80KUとなるように増粘剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカノールUH−420〕を添加し、その状態で30分間攪拌することにより、上塗り塗料を調製した。
【0108】
実施例3
滴下ロート、撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水764部を仕込んだ。滴下ロートに脱イオン水94.5部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンBC−10〕の25%水溶液20部およびスチレン250部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうち全単量体成分の総量の5%にあたる73部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、5%過硫酸アンモニウム水溶液10部を添加し、重合を開始した。その後、滴下用プレエマルションの残部と5%過硫酸アンモニウム水溶液7.5部を60分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。
【0109】
滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持し、引き続いて脱イオン水189部、乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液40部、メチルメタクリレート245部、2−エチルヘキシルアクリレート250部およびメタクリル酸5部からなる2段目滴下用プレエマルションを調製し、5%過硫酸アンモニウム水溶液15部とともに120分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。
滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持し、引き続いて脱イオン水94.5部、乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液20部、メチルメタクリレート175部、2−エチルヘキシルアクリレート70部および4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン5部からなる滴下用プレエマルションを調製し、5%過硫酸アンモニウム水溶液7.5部とともに60分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。
【0110】
滴下終了後、フラスコ内の内容物を80℃で60分間維持し、25%アンモニア水を添加することによってpHを8に調製し、重合を終了した。得られた反応液を室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、樹脂エマルションを調製した。この樹脂エマルションにおける不揮発分の含有率は45%であった。
【0111】
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子は、3層構造を有し、内層を構成する単量体成分におけるスチレンの含有率は100%であり、外層を構成する単量体成分における紫外線安定性基含有単量体の含有率は2.0%であり、内層と外層との質量比は50/50であり、エマルション粒子における内層と外層との合計含有率は50%であり、エマルション粒子を構成する全単量体におけるスチレンの含有率は25%であり、外層を構成する重合体(II)のガラス転移温度は32℃であり、内層を構成する重合体(I)のガラス転移温度は100℃であり、エマルション粒子全体のガラス転移温度は23℃であった。
【0112】
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部に成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕12部を添加し、ホモディスパーで回転速度1500min
-1にて30分間攪拌した後、調製例1で得られた白色ペースト30部および消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕0.5部を添加し、クレーブス単位粘度計(ブルックフィールド社製、品番:KU−1)を用いて25℃で測定したときの粘度が80KUとなるように増粘剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカノールUH−420〕を添加し、その状態で30分間攪拌することにより、上塗り塗料を調製した。
【0113】
実施例4
滴下ロート、撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水764部を仕込んだ。滴下ロートに脱イオン水189部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンBC−10〕の25%水溶液40部、スチレン450部、2−エチルヘキシルアクリレート45部、アクリル酸2.5部およびメタクリル酸2.5部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうち全単量体成分の総量の5%にあたる73部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、5%過硫酸アンモニウム水溶液10部を添加し、重合を開始した。その後、滴下用プレエマルションの残部と5%過硫酸アンモニウム水溶液15部を120分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。
【0114】
滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持し、引き続いて脱イオン水94.5部、乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液20部、メチルメタクリレート100部および2−エチルヘキシルアクリレート150部からなる2段目滴下用プレエマルションを調製し、5%過硫酸アンモニウム水溶液7.5部とともに60分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。
【0115】
滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持し、引き続いて脱イオン水94.5部、乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液20部、メチルメタクリレート100部、2−エチルヘキシルアクリレート100部および4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン50部からなる滴下用プレエマルションを調製し、5%過硫酸アンモニウム水溶液7.5部とともに60分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。
【0116】
滴下終了後、フラスコ内の内容物を80℃で60分間維持し、25%アンモニア水を添加することによってpHを8に調製し、重合を終了した。得られた反応液を室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、樹脂エマルションを調製した。この樹脂エマルションにおける不揮発分の含有率は45%であった。
【0117】
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子は、3層構造を有し、内層を構成する単量体成分におけるスチレンの含有率は90%であり、外層を構成する単量体成分における紫外線安定性基含有単量体の含有率は20.0%であり、内層と外層との質量比は67/33であり、エマルション粒子における内層と外層との合計含有率は75%であり、エマルション粒子を構成する全単量体におけるスチレンの含有率は45%であり、外層を構成する重合体(II)のガラス転移温度は11℃であり、内層を構成する重合体(I)のガラス転移温度は74℃であり、エマルション粒子全体のガラス転移温度は27℃であった。
【0118】
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部に成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕12部を添加し、ホモディスパーで回転速度1500min
-1にて30分間攪拌した後、調製例1で得られた白色ペースト30部および消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕0.5部を添加し、クレーブス単位粘度計(ブルックフィールド社製、品番:KU−1)を用いて25℃で測定したときの粘度が80KUとなるように増粘剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカノールUH−420〕を添加し、その状態で30分間攪拌することにより、上塗り塗料を調製した。
【0119】
実施例5
滴下ロート、撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水764部を仕込んだ。滴下ロートに脱イオン水189部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンBC−10〕の25%水溶液40部、スチレン450部、2−エチルヘキシルアクリレート45部およびメタクリル酸5部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうち全単量体成分の総量の5%にあたる73部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、5%過硫酸アンモニウム水溶液10部を添加し、重合を開始した。その後、滴下用プレエマルションの残部と5%過硫酸アンモニウム水溶液15部を120分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。
【0120】
滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持し、引き続いて脱イオン水94.5部、乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液20部、メチルメタクリレート100部および2−エチルヘキシルアクリレート150部からなる2段目滴下用プレエマルションを調製し、5%過硫酸アンモニウム水溶液7.5部とともに60分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。
【0121】
滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持し、引き続いて脱イオン水94.5部、乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液20部、メチルメタクリレート100部、2−エチルヘキシルアクリレート100部および4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン50部からなる滴下用プレエマルションを調製し、5%過硫酸アンモニウム水溶液7.5部とともに60分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。
【0122】
滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持し、25%アンモニア水を添加することによってpHを8に調製し、重合を終了した。得られた反応液を室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、樹脂エマルションを調製した。この樹脂エマルションにおける不揮発分の含有率は45%であった。
【0123】
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子は、3層構造を有し、内層を構成する単量体成分におけるスチレンの含有率は90%であり、外層を構成する単量体成分における紫外線安定性基含有単量体の含有率は20.0%であり、内層と外層との質量比は67/33であり、エマルション粒子における内層と外層との合計含有率は75%であり、エマルション粒子を構成する全単量体におけるスチレンの含有率は45%であり、外層を構成する重合体(II)のガラス転移温度は11℃であり、内層を構成する重合体(I)のガラス転移温度は74℃であり、エマルション粒子全体のガラス転移温度は27℃であった。
【0124】
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部に成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕12部を添加し、ホモディスパーで回転速度1500min
-1にて30分間攪拌した後、調製例1で得られた白色ペースト30部および消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕0.5部を添加し、クレーブス単位粘度計(ブルックフィールド社製、品番:KU−1)を用いて25℃で測定したときの粘度が80KUとなるように増粘剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカノールUH−420〕を添加し、その状態で30分間攪拌することにより、上塗り塗料を調製した。
【0125】
実施例6
滴下ロート、撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水764部を仕込んだ。滴下ロートに脱イオン水94.5部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンBC−10〕の25%水溶液20部、メチルメタクリレート100部および2−エチルヘキシルアクリレート150部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうち全単量体成分の総量の5%にあたる73部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、5%過硫酸アンモニウム水溶液10部を添加し、重合を開始した。その後、滴下用プレエマルションの残部と5%過硫酸アンモニウム水溶液7.5部を60分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。
【0126】
滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持し、引き続いて脱イオン水189部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンBC−10〕の25%水溶液40部、スチレン450部、2−エチルヘキシルアクリレート45部およびメタクリル酸5部からなる2段目滴下用プレエマルションを調製し、5%過硫酸アンモニウム水溶液15部とともに120分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。
【0127】
滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持し、引き続いて脱イオン水94.5部、乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液20部、メチルメタクリレート100部、2−エチルヘキシルアクリレート100部および4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン50部からなる滴下用プレエマルションを調製し、5%過硫酸アンモニウム水溶液7.5部とともに60分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。
【0128】
滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持し、25%アンモニア水を添加することによってpHを8に調製し、重合を終了した。得られた反応液を室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、樹脂エマルションを調製した。この樹脂エマルションにおける不揮発分の含有率は45%であった。
【0129】
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子は、3層構造を有し、内層を構成する単量体成分におけるスチレンの含有率は90%であり、外層を構成する単量体成分における紫外線安定性基含有単量体の含有率は20.0%であり、内層と外層との質量比は67/33であり、エマルション粒子における内層と外層との合計含有率は75%であり、エマルション粒子を構成する全単量体におけるスチレンの含有率は45%であり、外層を構成する重合体(II)のガラス転移温度は11℃であり、内層を構成する重合体(I)のガラス転移温度は74℃であり、エマルション粒子全体のガラス転移温度は27℃であった。
【0130】
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部に成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕12部を添加し、ホモディスパーで回転速度1500min
-1にて30分間攪拌した後、調製例1で得られた白色ペースト30部および消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕0.5部を添加し、クレーブス単位粘度計(ブルックフィールド社製、品番:KU−1)を用いて25℃で測定したときの粘度が80KUとなるように増粘剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカノールUH−420〕を添加し、その状態で30分間攪拌することにより、上塗り塗料を調製した。
【0131】
比較例1
滴下ロート、撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水764部を仕込んだ。滴下ロートに脱イオン水189部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンBC−10〕の25%水溶液40部、スチレン450部、2−エチルヘキシルアクリレート40部およびメタクリル酸10部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうち全単量体成分の総量の5%にあたる73部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、5%過硫酸アンモニウム水溶液10部を添加し、重合を開始した。その後、滴下用プレエマルションの残部と5%過硫酸アンモニウム水溶液15部を120分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。
【0132】
滴下終了後、フラスコ内容物を80℃で60分間維持し、引き続いて脱イオン水189部、乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液40部、メチルメタクリレート220部、2−エチルヘキシルアクリレート270部およびメタクリル酸10部からなる2段目滴下用プレエマルションを調製し、5%過硫酸アンモニウム水溶液15部とともに120分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。
【0133】
滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持し、25%アンモニア水を添加することによってpHを8に調製し、重合を終了した。得られた反応液を室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、樹脂エマルションを調製した。この樹脂エマルションにおける不揮発分の含有率は45%であった。
【0134】
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子は、2層構造を有し、内層を構成する単量体成分におけるスチレンの含有率は90%であり、外層を構成する単量体成分における紫外線安定性基含有単量体の含有率は0%であり、内層と外層との質量比は50/50であり、エマルション粒子における内層と外層との合計含有率は100%であり、エマルション粒子を構成する全単量体におけるスチレンの含有率は45%であり、外層を構成する重合体(II)のガラス転移温度は−15℃であり、内層を構成する重合体(I)のガラス転移温度は77℃であり、エマルション粒子全体のガラス転移温度は24℃であった。
【0135】
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部に成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕12部を添加し、ホモディスパーで回転速度1500min
-1にて30分間攪拌した後、調製例1で得られた白色ペースト30部および消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕0.5部を添加し、クレーブス単位粘度計(ブルックフィールド社製、品番:KU−1)を用いて25℃で測定したときの粘度が80KUとなるように増粘剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカノールUH−420〕を添加し、その状態で30分間攪拌することにより、上塗り塗料を調製した。
【0136】
比較例2
滴下ロート、撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水764部を仕込んだ。滴下ロートに脱イオン水189部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンBC−10〕の25%水溶液40部、スチレン250部、メチルメタクリレート200部、2−エチルヘキシルアクリレート40部およびメタクリル酸10部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうち全単量体成分の総量の5%にあたる73部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、5%過硫酸アンモニウム水溶液10部を添加し、重合を開始した。その後、滴下用プレエマルションの残部と5%過硫酸アンモニウム水溶液15部を120分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。
【0137】
滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持し、引き続いて脱イオン水189部、乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液40部、スチレン200部、2−エチルヘキシルアクリレート270部および4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン30部からなる2段目滴下用プレエマルションを調製し、5%過硫酸アンモニウム水溶液15部とともに120分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。
【0138】
滴下終了後、フラスコ内の内容物を80℃で60分間維持し、25%アンモニア水を添加することによってpHを8に調製し、重合を終了した。得られた反応液を室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、樹脂エマルションを調製した。この樹脂エマルションにおける不揮発分の含有率は45%であった。
【0139】
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子は、2層構造を有し、内層を構成する単量体成分におけるスチレンの含有率は50%であり、外層を構成する単量体成分における紫外線安定性基含有単量体の含有率は6.0%であり、内層と外層との質量比は50/50であり、エマルション粒子における内層と外層との合計含有率は100%であり、エマルション粒子を構成する全単量体におけるスチレンの含有率は45%であり、外層を構成する重合体(II)のガラス転移温度は−16℃であり、内層を構成する重合体(I)のガラス転移温度は79℃であり、エマルション粒子全体のガラス転移温度は24℃であった。
【0140】
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部に成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕12部を添加し、ホモディスパーで回転速度1500min
-1にて30分間攪拌した後、調製例1で得られた白色ペースト30部および消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕0.5部を添加し、クレーブス単位粘度計(ブルックフィールド社製、品番:KU−1)を用いて25℃で測定したときの粘度が80KUとなるように増粘剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカノールUH−420〕を添加し、その状態で30分間攪拌することにより、上塗り塗料を調製した。
【0141】
比較例3
滴下ロート、撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水764部を仕込んだ。滴下ロートに脱イオン水19部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンBC−10〕の25%水溶液4部およびスチレン50部からなる滴下用プレエマルションを調製し、得られた滴下用プレエマルションの全量をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、5%過硫酸アンモニウム水溶液10部を添加し、重合を開始した。その後、フラスコ内容物を80℃で30分間維持し、引き続いて脱イオン水359部、乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液76部、スチレン400部、メチルメチクリレート215部、2−エチルヘキシルアクリレート305部および4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン30部からなる2段目滴下用プレエマルションを調製し、5%過硫酸アンモニウム水溶液30部とともに240分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。
【0142】
滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持し、25%アンモニア水を添加することによってpHを8に調製し、重合を終了した。得られた反応液を室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、樹脂エマルションを調製した。この樹脂エマルションにおける不揮発分の含有率は45%であった。
【0143】
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子は、2層構造を有し、内層を構成する単量体成分におけるスチレンの含有率は100%であり、外層を構成する単量体成分における紫外線安定性基含有単量体の含有率は3.2%であり、内層と外層との質量比は5/95であり、エマルション粒子における内層と外層との合計含有率は100%であり、エマルション粒子を構成する全単量体におけるスチレンの含有率は45%であり、外層を構成する重合体(II)のガラス転移温度は22℃であり、内層を構成する重合体(I)のガラス転移温度は100℃であり、エマルション粒子全体のガラス転移温度は25℃であった。
【0144】
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部に成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕12部を添加し、ホモディスパーで回転速度1500min
-1にて30分間攪拌した後、調製例1で得られた白色ペースト30部および消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕0.5部を添加し、クレーブス単位粘度計(ブルックフィールド社製、品番:KU−1)を用いて25℃で測定したときの粘度が80KUとなるように増粘剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカノールUH−420〕を添加し、その状態で30分間攪拌することにより、上塗り塗料を調製した。
【0145】
比較例4
滴下ロート、撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水764部を仕込んだ。滴下ロートに脱イオン水189部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンBC−10〕の25%水溶液40部、スチレン400部、2−エチルヘキシルアクリレート90部およびメタクリル酸10部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうち全単量体成分の総量の5%にあたる73部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、5%過硫酸アンモニウム水溶液10部を添加し、重合を開始した。その後、滴下用プレエマルションの残部と5%過硫酸アンモニウム水溶液15部を120分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。
【0146】
滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持し、引き続いて脱イオン水189部、乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液40部、スチレン50部、メチルメタクリレート320部、2−エチルヘキシルアクリレート100部および4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン30部からなる2段目滴下用プレエマルションを調製し、5%過硫酸アンモニウム水溶液15部とともに120分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。
【0147】
滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持し、25%アンモニア水を添加することによってpHを8に調製し、重合を終了した。得られた反応液を室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、樹脂エマルションを調製した。この樹脂エマルションにおける不揮発分の含有率は45%であった。
【0148】
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子は、2層構造を有し、内層を構成する単量体成分におけるスチレンの含有率は80%であり、外層を構成する単量体成分における紫外線安定性基含有単量体の含有率は6.0%であり、内層と外層との質量比は50/50であり、エマルション粒子における内層と外層との合計含有率は100%であり、エマルション粒子を構成する全単量体におけるスチレンの含有率は45%であり、外層を構成する重合体(II)のガラス転移温度は50℃であり、内層を構成する重合体(I)のガラス転移温度は77℃であり、エマルション粒子全体のガラス転移温度は63℃であった。
【0149】
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部に成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕12部を添加し、ホモディスパーで回転速度1500min
-1にて30分間攪拌した後、調製例1で得られた白色ペースト30部および消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕0.5部を添加し、クレーブス単位粘度計(ブルックフィールド社製、品番:KU−1)を用いて25℃で測定したときの粘度が80KUとなるように増粘剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカノールUH−420〕を添加し、その状態で30分間攪拌することにより、上塗り塗料を調製した。
【0150】
次に、前記で得られた上塗り塗料を用い、以下の方法に基づいて各物性を調べた。その結果を表1に示す。なお、×の評価が1つでもあるものは、不合格である。
【0151】
(1)耐候性
スレート板〔日本テストパネル(株)製、縦:70mm、横:150mm、厚さ:6mm〕にシーラー〔エスケー化研(株)製、商品名:EXシーラー〕をエアスプレーで150g/m
2の塗布量で均一に塗布し、23℃の空気中で1週間乾燥させた。
【0152】
次に、上塗り塗料を10milアプリケーターで塗布し、23℃の空気中にて1週間乾燥させた後、当該上塗り塗料が塗布されたスレート板の側面および背面をアルミニウムテープでシールし、上塗り塗料が塗布された面の60°鏡面光沢を光沢計〔日本電色工業(株)製、品番:VG2000〕で測定し、さらに以下の条件にて500時間耐候性試験を行ない、前記光沢計で当該スレート板の塗装面の光沢を測定し、式:
[光沢保持率(%)]
=〔[耐候性試験後の光沢]÷[耐候性試験前の光沢]〕×100
に基づいて求め、以下の評価基準に基づいて耐候性を評価した。
【0153】
〔耐候性試験の試験条件〕
・試験機:メタルウェザー〔ダイプラ・ウィンテス(株)製、品番:KU−R4〕
・照射:気温65℃で相対湿度50%の空気中で4時間照射(照射強度:80mW/cm
2)
・湿潤:気温35℃で相対湿度98%の空気中で4時間
・シャワー:湿潤前後に各30秒間
【0154】
(評価基準)
◎:光沢性保持率90%以上
○:光沢性保持率80%以上90%未満
△:光沢性保持率60%以上80%未満
×:光沢性保持率60%未満
【0155】
(2)凍結流動保持性
樹脂エマルション100部を200mL容の金属缶〔善友金属(株)製、プライマー丸缶〕内に入れ、−3℃の空気中で1日間放置し、次いで23℃の空気中に1日間放置する操作を1サイクルとし、当該操作を3サイクル行なった後、樹脂エマルションの凍結流動保持性を以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:流動性に変化がなく、−3℃の空気中で凍結なし
○:流動性に変化がなく、−3℃の空気中で凍結あり
△:流動性の低下あり
×:流動性がなく、固化
【0156】
(3)パターン保持性
ストレート板(日本テストパネル製、縦:7cm、横:15cm、厚さ:6mm)にシーラー〔エスケー化研(株)製、商品名:EXシーラー〕をエアスプレーにて150g/m
2の塗布量で均一に塗布し、23℃の空気中で1週間乾燥させた。
【0157】
前記スレート板のシーラーの塗布面に、上塗り塗料100部に対して水5部を添加することによって調製した試料を垂れ試験器〔大佑基材(株)製、商品名:サグテスターBOX75−175〕(膜厚:4mil、8mil、10mil、15mil、20milの5段階の膜厚変化塗工機、各膜厚間距離:5mm)で塗布し、その直後にこのスレート板を90°立面状態に立てかけ、その状態で23℃の空気中にて1日間乾燥させた後、塗膜状態を目視で観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0158】
(評価基準)
◎:塗膜の境界が明確に分かれており、塗装直後と変化なし。
○:塗膜の境界が接近しているが、分かれている。
△:塗膜の境界が不明瞭になっている。
×:塗膜の境界が保持されていない。
【0159】
(4)低温造膜安定性
ストレート板(日本テストパネル製、縦:7cm、横:15cm、厚さ:6mm)にシーラー〔エスケー化研(株)製、商品名:EXシーラー〕をエアスプレーにて150g/m
2の塗布量で均一に塗布し、23℃の空気中で1週間乾燥させた。
【0160】
前記スレート板のシーラーの塗布面に、上塗り塗料100部に対して水10部を添加することによって調製した試料を10mil厚のアプリケーターで塗布し、5℃に調温した恒温装置内で24時間乾燥させた。
【0161】
次に、前記スレート板を常温の水中に24時間浸漬させた後、水中から引き上げ、室温(約25℃)で24時間乾燥させた。その後、スレート板の塗膜状態をルーペで10倍に拡大して目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて低温造膜安定性を評価した。
(評価基準)
◎:クラックなし
○:塗膜に小さいクラック(長さ5mm未満)が見受けられる。
×:塗膜に大きいクラック(長さ5mm以上)が見受けられる。
【0162】
(5)耐変形性
ストレート板(日本テストパネル製、縦:7cm、横:15cm、厚さ:6mm)にシーラー〔エスケー化研(株)製、商品名:EXシーラー〕をエアスプレーにて150g/m
2の塗布量で均一に塗布し、23℃の空気中で1週間乾燥させた。
【0163】
前記スレート板のシーラーの塗布面に、上塗り塗料100部に対して水10部を添加することによって調製した試料を10mil厚のアプリケーターで塗布し、23℃の空気中で24時間乾燥させた。
【0164】
次に、形成された塗膜の表面上にガーゼ(縦:7cm、横:7cm)を載置し、このガーゼの上に250gのおもりを載せ、室温(約25℃)の空気中で2時間放置した後、塗膜の表面を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて耐変形性を評価した。
(評価基準)
◎:塗膜の表面にガーゼの残痕なし
○:塗膜の表面に浅いガーゼの残痕あり
×:塗膜の表面に深いガーゼの残痕あり
【0165】
(6)総合評価
前記各物性の評価において、◎を20点、○を15点、△を5点、×を0点とし、各物性の得点を合計することによって総合得点(最高得点:100点、最低得点:0点)を求め、総合評価の指標とした。その結果を表1に示す。
【0166】
【表1】
【0167】
表1に示された結果から、各実施例で得られた塗料用樹脂エマルションおよび上塗り塗料は、いずれも、耐候性、凍結流動保持性、パターン保持性、低温造膜安定性および耐変形性に総合的に優れた塗膜を形成するものであることがわかる。