(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のようなモールドウエハでは、半導体チップのマウント時の位置ずれやモールド時に発生する応力に起因する位置ずれが生じる。このような離散的な位置ずれを補正して描画を行うため、複数の半導体チップにそれぞれ設けられたアライメントマーク等の目印の位置を測定し、各目印の測定位置の設計位置からの変位を算出した後、各半導体チップに描画するパターンの描画データを当該変位に整合させることが行われる。当該複数の目印の変位算出は、ウエハ全体を撮像した画像から抽出された複数の目印と、設計データに含まれる複数の目印とをそれぞれ対応付けるペアリング処理が行われ、対応付けられた各目印の測定位置と設計位置とが比較される。
【0006】
当該ペアリング処理の手法として、ウエハの画像上の目印と、設計データにおいて当該目印の測定位置に最も近い設計位置に位置する目印とを対応付ける最近傍探索法が知られている。しかしながら、撮像されたウエハが設計データに対して回転している場合等、最近傍探索法では適切なペアリング処理を行うことができないおそれがある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、目印のペアリング処理を容易かつ適切に行うことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、基板上の目印の位置情報に基づいて、前記基板に描画する画像の描画データの補正に利用される補正情報を生成する補正情報生成装置であって、基板上において縦方向および横方向に格子状に配置された複数の対象目印である対象目印群の設計位置を記憶する設計位置記憶部と、前記対象目印群を撮影した画像である測定画像において、一の対象目印である注目目印の測定位置を取得し、前記注目目印から前記縦方向または前記横方向に所定の距離だけ離れた位置である隣接中心位置を中心とする所定の大きさの隣接領域に注目し、前記隣接領域に含まれる目印を前記注目目印に隣接する隣接目印として抽出し、前記隣接目印の測定位置を取得する測定位置取得部と、前記測定取得部を制御することにより、前記測定画像上の全対象目印の測定位置が取得されるまで、前記隣接目印を新たな注目目印として、
前記新たな注目目印から前記縦方向または前記横方向に前記所定の距離だけ離れた位置である新たな隣接中心位置を中心とする前記所定の大きさの新たな隣接領域に注目し、前記新たな隣接領域に含まれる目印を前記新たな注目目印に隣接する新たな隣接目印として抽出し、前記新たな隣接目印の測定位置の取得を繰り返す繰り返し制御部と、前記測定画像上の前記全対象目印の前記測定位置を前記対象目印群の前記設計位置に対応付け、対応する測定位置と設計位置との差に基づいて、描画データの補正に利用される補正情報を生成する補正情報生成部とを備える。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の補正情報生成装置であって、前記測定位置取得部により、前記対象目印群のうち前記縦方向および前記横方向の一方の方向において最も端に位置する一の対象目印が前記注目目印とされ、前記対象目印群を、それぞれが前記縦方向および前記横方向の他方の方向において前記対象目印群の全長に亘って延びる複数の対象目印列の集合とし、前記繰り返し制御部により前記測定取得部が制御されることにより、前記注目目印を含む対象目印列の測定位置が最初に取得され、既に測定位置が取得された対象目印列と前記一方の方向において隣接する対象目印列の測定位置が順に取得される。
【0010】
請求項3に記載の発明は、基板上の目印の位置情報に基づいて、前記基板に描画する画像の描画データの補正に利用される補正情報を生成する補正情報生成装置であって、基板上において縦方向および横方向に格子状に配置された複数の対象目印である対象目印群の設計位置を記憶する設計位置記憶部と、前記対象目印群を撮影した画像である測定画像において、前記対象目印群のうち前記縦方向および前記横方向の一方の方向において最も端に位置する一の対象目印である注目目印の測定位置を取得し、前記注目目印から前記縦方向および前記横方向の他方の方向に所定の距離だけ離れた位置である隣接中心位置を中心とする所定の大きさの隣接領域に注目し、前記隣接領域に含まれる目印を前記注目目印に隣接する隣接目印として抽出し、前記隣接目印の測定位置を取得する測定位置取得部と、前記測定位置取得部を制御することにより、前記注目目印を含むとともに前記他方の方向において前記対象目印群の全長に亘って延びる注目対象目印列において、前記隣接目印を新たな注目目印として、
前記新たな注目目印から前記縦方向および前記横方向の前記他方の方向に前記所定の距離だけ離れた位置である新たな隣接中心位置を中心とする前記所定の大きさの新たな隣接領域に注目し、前記新たな隣接領域に含まれる目印を前記新たな注目目印に隣接する新たな隣接目印として抽出し、前記新たな隣接目印の測定位置を取得することを繰り返し、前記注目対象目印列の全対象目印の測定位置を取得する対象目印列取得部と、前記対象目印列取得部を制御することにより、前記測定画像上の全対象目印の測定位置が取得されるまで、前記対象目印群から既に測定位置が取得された対象目印列を除いた未取得対象目印群のうち、前記一方の方向において最も端に位置する一の対象目印である次の注目目印の測定位置を取得し、前記次の注目目印を含む次の注目対象目印列の全対象目印の測定位置の取得を繰り返す繰り返し制御部と、前記測定画像上の前記全対象目印の前記測定位置を前記対象目印群の前記設計位置に対応付け、対応する測定位置と設計位置との差に基づいて、描画データの補正に利用される補正情報を生成する補正情報生成部とを備える。
【0011】
請求項4に記載の発明は、基板上に画像を描画する描画装置であって、光源部と、請求項1ないし3のいずれかに記載の補正情報生成装置と、前記補正情報生成装置により生成された補正情報を利用して基板に描画する画像の描画データを補正する描画データ補正部と、前記描画データ補正部により補正された描画データに基づいて前記光源部からの光を変調する光変調部と、前記光変調部により変調された光を前記基板上にて走査する走査機構とを備える。
【0012】
請求項5に記載の発明は、基板上の目印の位置情報に基づいて、前記基板に描画する画像の描画データの補正に利用される補正情報を生成する補正情報生成方法であって、a)基板上において縦方向および横方向に格子状に配置された複数の対象目印である対象目印群の設計位置を準備する工程と、b)前記対象目印群を撮影した画像である測定画像において、一の対象目印である注目目印の測定位置を取得する工程と、c)前記注目目印から前記縦方向または前記横方向に所定の距離だけ離れた位置である隣接中心位置を中心とする所定の大きさの隣接領域に注目し、前記隣接領域に含まれる目印を前記注目目印に隣接する隣接目印として抽出し、前記隣接目印の測定位置を取得する工程と、d)前記測定画像上の全対象目印の測定位置が取得されるまで、前記c)工程にて測定位置が取得された前記隣接目印を新たな注目目印として
、前記新たな注目目印から前記縦方向または前記横方向に前記所定の距離だけ離れた位置である新たな隣接中心位置を中心とする前記所定の大きさの新たな隣接領域に注目し、前記新たな隣接領域に含まれる目印を前記新たな注目目印に隣接する新たな隣接目印として抽出し、前記新たな隣接目印の測定位置の取得を繰り返す工程と、e)前記d)工程にて取得された前記測定画像上の前記全対象目印の前記測定位置を前記対象目印群の前記設計位置に対応付け、対応する測定位置と設計位置との差に基づいて、描画データの補正に利用される補正情報を生成する工程とを備える。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の補正情報生成方法であって、前記b)工程では、前記対象目印群のうち前記縦方向および前記横方向の一方の方向において最も端に位置する一の対象目印が前記注目目印とされ、前記c)工程および前記d)工程では、前記対象目印群を、それぞれが前記縦方向および前記横方向の他方の方向において前記対象目印群の全長に亘って延びる複数の対象目印列の集合とし、前記b)工程にて選択された前記注目目印を含む対象目印列の測定位置が最初に取得され、既に測定位置が取得された対象目印列と前記一方の方向において隣接する対象目印列の測定位置が順に取得される。
【0014】
請求項7に記載の発明は、基板上の目印の位置情報に基づいて、前記基板に描画する画像の描画データの補正に利用される補正情報を生成する補正情報生成方法であって、a)基板上において縦方向および横方向に格子状に配置された複数の対象目印である対象目印群の設計位置を準備する工程と、b)前記対象目印群を撮影した画像である測定画像において、前記対象目印群のうち前記縦方向および前記横方向の一方の方向において最も端に位置する一の対象目印である注目目印の測定位置を取得する工程と、c)前記注目目印から前記縦方向および前記横方向の他方の方向に所定の距離だけ離れた位置である隣接中心位置を中心とする所定の大きさの隣接領域に注目し、前記隣接領域に含まれる目印を前記注目目印に隣接する隣接目印として抽出し、前記隣接目印の測定位置を取得する工程と、d)前記注目目印を含むとともに前記他方の方向において前記対象目印群の全長に亘って延びる注目対象目印列において、前記c)工程にて測定位置が取得された前記隣接目印を新たな注目目印として
、前記新たな注目目印から前記縦方向および前記横方向の前記他方の方向に前記所定の距離だけ離れた位置である新たな隣接中心位置を中心とする前記所定の大きさの新たな隣接領域に注目し、前記新たな隣接領域に含まれる目印を前記新たな注目目印に隣接する新たな隣接目印として抽出し、前記新たな隣接目印の測定位置を取得することを繰り返し、前記注目対象目印列の全対象目印の測定位置を取得する工程と、e)前記測定画像上の全対象目印の測定位置が取得されるまで、前記対象目印群から既に測定位置が取得された対象目印列を除いた未取得対象目印群のうち、前記一方の方向において最も端に位置する一の対象目印である次の注目目印の測定位置を取得し、前記次の注目目印について前記c)工程および前記d)工程を行って前記次の注目目印を含む次の注目対象目印列の全対象目印の測定位置の取得を繰り返す工程と、f)前記e)工程にて取得された前記測定画像上の前記全対象目印の前記測定位置を前記対象目印群の前記設計位置に対応付け、対応する測定位置と設計位置との差に基づいて、描画データの補正に利用される補正情報を生成する工程とを備える。
【0015】
請求項8に記載の発明は、基板上に画像を描画する描画方法であって、請求項5ないし7のいずれかに記載の補正情報生成方法により補正情報を取得する工程と、前記補正情報を利用して基板に描画する画像の描画データを補正する工程と、補正された描画データに基づいて変調された光を基板上にて走査する工程とを備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、目印のペアリング処理を容易かつ適切に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る描画装置である直描装置1の概略構成を示す図である。直描装置1は、レジスト等の感光材料の層である感光層が形成された基板9の上面に光を照射して基板9上にパターンの画像を描画する装置である。基板9は、半導体基板、プリント配線基板、カラーフィルタ用基板、液晶表示装置、有機EL表示装置、プラズマ表示装置等のフラットパネル表示装置用ガラス基板、記録ディスク用基板等の様々な基板であってよい。
【0019】
直描装置1は、ステージ11、ステージ移動機構12、光源部13、光学ヘッド14、搬送ロボット15、カセット載置部16、基台17、カバー18、制御部19等を有する。カバー18は、基台17の上方を覆い、基板9が処理される処理空間を形成する。処理空間内には、ステージ11、ステージ移動機構12、光源部13、光学ヘッド14および搬送ロボット15が配置される。光源部13は処理空間外に配置されてもよい。直描装置1には、図示省略のアライメントユニットも設けられる。
【0020】
ステージ移動機構12は、基台17上に配置される。ステージ移動機構12は、Y方向移動機構121と、X方向移動機構122と、回転機構123とを含む。ステージ11は、その上面に基板9を水平姿勢にて保持する。ステージ移動機構12は、ステージ11と共に基板9を移動する移動機構である。回転機構123は、ステージ11を上下方向であるZ方向を向く中心軸を中心に回転する。X方向移動機構122は、回転機構123およびステージ11を、副走査方向であるX方向に移動する。X方向は、Z方向に垂直な水平方向である。Y方向移動機構121は、X方向移動機構122、回転機構123およびステージ11を、主走査方向であるY方向に移動する。Y方向は、Z方向およびX方向に垂直な水平方向である。
【0021】
Y方向移動機構121は、リニアモータと、ガイドレール212とを有し、リニアモータによりX方向移動機構122をガイドレール212に沿って移動する。X方向移動機構122も、リニアモータ221と、ガイドレール222とを有し、リニアモータ221により回転機構123をガイドレール222に沿って移動する。
【0022】
光源部13は、基台17に固定された支柱131により支持される。光学ヘッド14は、光源部13に接続される。光学ヘッド14の数は2以上であってもよく、この場合、例えば、光学ヘッド14はX方向に配列される。光源部13は、レーザ駆動部と、レーザ発振器と、光学系とを含む。光源部13にて生成された光ビームは光学ヘッド14へと導かれる。
【0023】
光学ヘッド14は、光源部13からの光を変調する光変調部である空間光変調器141を含む。空間光変調器141は、例えば、GLV(登録商標)(Grating Light Valve)である。空間光変調器141は、DMD(Digital Mirror Device)等であってもよい。光学ヘッド14は、光源部13からの光ビームを光束断面が線状である線状光に変換して空間光変調器141へと導く光学系と、空間光変調器141にて空間変調された光ビームを基板9へと導く光学系とをさらに含む。
【0024】
未処理の基板9は、カセット161に収納された状態でカセット載置部16に載置される。基板9は搬送ロボット15によりカバー18の開口を介してカセット161から取り出され、ステージ11上に載置される。そして、制御部19によりアライメントユニットが制御され、基板9のXY方向の位置および回転位置が調整される。
【0025】
ステージ11はY方向移動機構121によりY方向に移動し、並行して光学ヘッド14から空間変調された光ビームが基板9に向けて出射され、基板9にパターンが描画される。Y方向の移動が完了すると、X方向移動機構122によりステージ11はX方向にステップ移動し、Y方向移動機構121より前回とは逆の方向に移動しつつ描画が行われる。上記動作を繰り返して基板9上の描画すべき領域全体に描画が行われると、搬送ロボット15により基板9はステージ11からカセット161へと搬送される。
【0026】
直描装置1では、ステージ移動機構12は、空間光変調器141により変調された光を基板9上にて走査する走査機構である。なお、当該走査機構として、固定されたステージ11上において光学ヘッド14をX方向およびY方向に移動する機構が設けられてもよい。直描装置1は、基板9の上面91を撮像する撮像部21をさらに備える。撮像部21は、例えば、光学ヘッド14に取り付けられる。
【0027】
図2は、基板9の上面91を示す平面図である。基板9は、略円板状の半導体基板上に複数の半導体チップ92をマウントし、樹脂により当該複数の半導体チップ92をモールドしたもの(いわゆる、モールド基板)である。各半導体チップ92は、平面視において略矩形状である。
図2に示す例では、各半導体チップ92の左上の角部に目印93が設けられる。目印93は、例えば、各半導体チップ92の上面に設けられたアライメントマークである。目印93は、半導体チップ92の上面に設けられたパターンの一部等であってもよい。
図2では、目印93を黒丸にて示すが、目印93の形状は様々に変更されてよい。また、半導体チップ92の数および配置、並びに、目印93の数および配置も様々に変更されてよい。
【0028】
複数の目印93は、基板9上において
図2中の横方向(X方向)および縦方向(Y方向)に、格子状に配置される。以下の説明では、X方向およびY方向を、単に「横方向」および「縦方向」とも呼ぶ。また、後述するように、目印93は位置測定の対象となるため、以下の説明では「対象目印93」と呼ぶ。さらに、基板9上の複数の対象目印93をまとめて「対象目印群94」と呼ぶ。
図2に示す例では、対象目印群94の外形、すなわち、対象目印群94の外縁に位置する複数の対象目印93を直線によりつないだ形状は、略矩形状である。なお、対象目印群94の外形は、略矩形状には限定されず、様々に変更されてよい。
【0029】
直描装置1では、基板9上の目印93の位置情報に基づいて、制御部19により基板9に描画する画像の描画データが補正され、補正済みの描画データに基づいて、複数の半導体チップ92上にパターンが描画される。描画データの補正については後述する。基板9では、複数の半導体チップ92の上面が、それぞれにパターンが描画される複数のパターン描画領域である。
【0030】
図3は、制御部19の機能を示すブロック図である。
図3では、制御部19に接続される直描装置1の構成の一部を併せて示す。制御部19は、各種演算処理を行うCPUと、基本プログラムを記憶するROMと、各種情報を記憶するRAMとを含む一般的なコンピュータシステムの構成となっている。制御部19の機能は専用の電気的回路により実現されてもよく、部分的に専用の電気的回路が用いられてもよい。
【0031】
図3に示すように、制御部19は、補正情報生成装置31と、描画データ補正部32とを備える。補正情報生成装置31は、設計位置記憶部311と、測定位置取得部312と、繰り返し制御部313と、補正情報生成部314とを備える。補正情報生成装置31は、基板9上の目印93の位置情報に基づいて、基板9に描画する画像の描画データの補正に利用される補正情報を生成する。描画データ補正部32は、補正情報生成装置31により生成された補正情報を利用して、基板9に描画する画像の描画データを補正する。
【0032】
次に、直描装置1による基板9上への画像の描画の流れを、
図4を参照しつつ説明する。直描装置1では、まず、基板9上において縦方向および横方向に格子状に配置された複数の対象目印93である対象目印群94の設計位置が、補正情報生成装置31の設計位置記憶部311により記憶されることにより準備される(ステップS11)。対象目印群94の設計位置は、例えば、基板9上に描画される予定の画像の設計データであるCADデータから抽出され、設計位置記憶部311に記憶される。
【0033】
当該設計データでは、対象目印群94の複数の対象目印93の設計位置は、縦方向および横方向に沿って等間隔にて配列されている。以下の説明では、縦方向または横方向において隣接する各2つの対象目印93間の距離を「目印間距離」という。縦方向の目印間距離と横方向の目印間距離とは同じであってもよく、異なっていてもよい。
図2に示す例では、縦方向の目印間距離と横方向の目印間距離とは同じである。目印間距離は、例えば、約2mmである。
【0034】
続いて、撮像部21により、ステージ11上の基板9の上面91が撮像され、基板9の画像(以下、「測定画像」という。)が取得される。基板9の測定画像は、基板9上の対象目印群94を撮影した画像である。撮像部21により取得された測定画像は、制御部19の測定位置取得部312へと送られる。
【0035】
測定位置取得部312では、測定画像において、一の対象目印93である注目目印の位置が取得される(ステップS12)。以下の説明では、測定画像上における目印の位置を「測定位置」という。注目目印として、例えば、測定画像中の対象目印群94のうち、縦方向および横方向の一方の方向において最も端に位置する一の対象目印93が抽出される。
図2に示す例では、対象目印群94のうち最も(−X)側の対象目印93が注目目印として抽出され、当該注目目印の測定位置が取得される。
図2では、注目目印である対象目印93を二点鎖線の円にて囲む。
【0036】
続いて、注目目印から縦方向または横方向に上述の目印間距離だけ離れた位置である隣接中心位置が求められ、当該隣接中心位置を中心とする所定の大きさの隣接領域95が注目される。そして、隣接領域95に含まれる対象目印93を注目目印に隣接する隣接目印として抽出し、測定画像における隣接目印の測定位置が取得される(ステップS13)。
図2では、上述の注目目印から縦方向((−Y)側)に目印間距離だけ離れた隣接中心位置を中心とする隣接領域95を二点鎖線にて描く。
図2に示す例では、隣接領域95は、縦方向および横方向に略平行な辺により構成される略矩形状である。隣接領域95は、例えば、1辺が約200μmの略正方形である。
【0037】
次に、繰り返し制御部313により測定位置取得部312が制御されることにより、ステップS13にて測定位置が取得された隣接目印が新たな注目目印とされる(ステップS14)。そして、ステップS13に戻り、当該新たな注目目印に隣接する新たな隣接目印の測定位置の取得が繰り返される(ステップS15,S13)。具体的には、新たな注目目印から縦方向または横方向に上述の目印間距離だけ離れた位置である新たな隣接中心位置が求められ、当該新たな隣接中心位置を中心とする所定の大きさの新たな隣接領域95が注目される。そして、当該新たな隣接領域95に含まれる対象目印93を新たな注目目印に隣接する新たな隣接目印として抽出し、測定画像における新たな隣接目印の測定位置が取得される。繰り返し制御部313では、複数の対象目印93の注目目印とされた順序(以下、「注目順序」という。)が記憶される。
【0038】
ステップS13〜S15の繰り返しでは、例えば、最初の注目目印から略(−Y)方向に並ぶ複数の対象目印93が順に隣接目印とされて測定位置が取得される。注目目印の(−Y)側の隣接領域95に対象目印93が存在しない場合、当該注目目印の(+X)側の隣接領域95が注目され、当該隣接領域95の対象目印93が隣接目印とされて測定位置が取得された後、新たな注目目印とされる。そして、新たな当該注目目印から略(+Y)方向に並ぶ複数の対象目印93が順に隣接目印とされて測定位置が取得される。また、注目目印の(+Y)側の隣接領域95に対象目印93が存在しない場合も同様に、当該注目目印の(+X)側の隣接領域95が注目され、当該隣接領域95の対象目印93が隣接目印とされて測定位置が取得された後、新たな注目目印とされる。
【0039】
その後、新たな当該注目目印から略(−Y)方向に並ぶ複数の対象目印93が順に隣接目印とされて測定位置が取得される。この場合、
図5に示すように、対象目印群94において、それぞれが縦方向に延びる対象目印93の列である複数の対象目印列96に対して、(−X)側から(+X)方向に向かって順に対象目印93の測定位置の取得が行われる。
図5では、各対象目印列96を二点鎖線にて囲む。
図5に示す例では、対象目印群94は、それぞれが縦方向において対象目印群94の全長に亘って延びるとともに、横方向に沿って配列される複数の対象目印列96の集合である。補正情報生成装置31では、測定画像上の全対象目印93の測定位置が取得されるまで、すなわち、次の隣接目印が存在しなくなるまで、上述のステップS13〜S15が繰り返される。
【0040】
なお、対象目印列96は、横方向に延びる対象目印93の列であってもよい。この場合、対象目印群94は、それぞれが横方向において対象目印群94の全長に亘って延びるとともに、縦方向に沿って配列される複数の対象目印列96の集合である。補正情報生成装置31では、上記と同様に、測定画像上の全対象目印93の測定位置が取得されるまで、上述のステップS13〜S15が繰り返されることにより、複数の対象目印列96に対して、例えば、(+Y)側から(−Y)方向に向かって順に対象目印93の測定位置の取得が行われる。
【0041】
換言すれば、補正情報生成装置31では、対象目印群94のうち縦方向および横方向の一方の方向において最も端に位置する一の対象目印が注目目印とされる。そして、繰り返し制御部313により測定位置取得部312が制御されることにより、対象目印群94(すなわち、それぞれが縦方向および横方向のうち他方の方向において対象目印群94の全長に亘って延びる複数の対象目印列96の集合)において、注目目印を含む対象目印列96の測定位置が最初に取得される。その後、既に測定位置が取得された対象目印列96と上述の一方の方向において隣接する対象目印列96の測定位置が順に取得される。
【0042】
測定画像上の全対象目印93の測定位置が取得されると、補正情報生成部314により、当該全対象目印93のそれぞれの測定位置と、対象目印群94の設計位置とが対応付けられる。対象目印群94の測定位置と設計位置との対応付け(すなわち、ペアリング処理)は、例えば、最初に測定位置が取得された最も(−X)側の対象目印列96の測定位置を、設計データにおいて最も(−X)側に位置する対象目印列の設計位置に対応付けた後、残りの対象目印列96を列毎に設計データの対象目印列に対応付けることにより行われる。
【0043】
そして、対象目印群94の各対象目印93について、対応する測定位置と設計位置との差に基づいて、描画データの補正に利用される補正情報が生成される(ステップS16)。具体的には、各対象目印93の測定位置の設計位置からのずれが、各対象目印93に対応する半導体チップ92の設計位置からの位置ずれとして取得され、基板9上の全ての半導体チップ92の位置ずれをそれぞれ補正する補正情報が生成される。
【0044】
上述のように補正情報が取得されると、描画データ補正部32により、当該補正情報を利用して基板9に描画する予定の画像の描画データが補正される(ステップS17)。具体的には、描画データに含まれる各半導体チップ92に描画される予定のパターンの位置が、各半導体チップ92の設計位置からの位置ずれを示す補正情報に基づいて補正される。そして、補正された描画データに基づいて、空間光変調器141およびステージ移動機構12が制御されることにより、変調された光が基板上にて走査される。これにより、描画データに含まれる各半導体チップ92用のパターンが、対応する各半導体チップ92上に、半導体チップ92の位置ずれを考慮した上で正確に描画される(ステップS18)。
【0045】
以上に説明したように、補正情報生成装置31は、設計位置記憶部311と、測定位置取得部312と、繰り返し制御部313と、補正情報生成部314とを備える。設計位置記憶部311は、基板9上において縦方向および横方向に格子状に配置された複数の対象目印93である対象目印群94の設計位置を記憶する。測定位置取得部312は、対象目印群94を撮像した画像である測定画像において、一の対象目印93である注目目印の測定位置を取得する。そして、当該注目目印から縦方向または横方向に所定の距離(目印間距離)だけ離れた位置である隣接中心位置を中心とする所定の大きさの隣接領域95に注目し、当該隣接領域95に含まれる対象目印93を注目目印に隣接する隣接目印として抽出して当該隣接目印の測定位置を取得する。
【0046】
繰り返し制御部313は、測定位置取得部312を制御することにより、測定画像上の全対象目印93の測定位置が取得されるまで、隣接目印を新たな注目目印として、新たな注目目印に隣接する新たな隣接目印の測定位置の取得を繰り返す。補正情報生成部314は、測定画像上の全対象目印93の測定位置を対象目印群94の設計位置に対応付け、対応する測定位置と設計位置との差に基づいて、描画データの補正に利用される補正情報を生成する。
【0047】
このように、補正情報生成装置31では、既に取得された対象目印93の測定位置を利用して、当該対象目印93に縦方向または横方向に隣接する他の対象目印93の測定位置を順次取得することにより、対象目印群94の各対象目印93の測定位置を精度良く取得することができる。これにより、対象目印93のペアリング処理を容易かつ適切に行うことができる。その結果、基板9に描画する画像の描画データの補正に利用される補正情報を容易かつ高精度に生成することができる。
【0048】
補正情報生成装置31では、ステップS13〜S15における対象目印93の測定位置の取得、および、ステップS16におけるペアリング処理は、対象目印列96毎に交互に行われてもよい。すなわち、最初に測定位置が取得された最も(−X)側の対象目印列96の測定位置が取得された後、次の対象目印列96((−X)側から2番目の対象目印列96)の測定位置を取得するよりも前に、最初の対象目印列96の測定位置と設計位置との対応付けが行われる。そして、新たな対象目印列96の測定位置が取得される毎に、当該新たな対象目印列96の測定位置と設計位置との対応付けが行われる。これにより、(−X)側から2番目以降の対象目印列96のペアリング処理の際に、最初の対象目印列96のペアリング処理の結果を利用することができるため、上記2番目以降の対象目印列96のペアリング処理を容易に行うことができる。
【0049】
上述のように、直描装置1は、補正情報生成装置31と、光源部13と、描画データ補正部32と、空間光変調器141と、ステージ移動機構12とを備える。描画データ補正部32は、補正情報生成装置31により生成された上述の補正情報を利用して、基板9に描画する画像の描画データを補正する。空間光変調器141は、描画データ補正部32により補正された描画データに基づいて、光源部13からの光を変調する光変調部である。ステージ移動機構12は、空間光変調器141により変調された光を基板9上にて走査する走査機構である。直描装置1では、基板9上の複数の対象目印93の位置に基づいて、基板9上の複数のパターン描画領域への高精度な描画を実現することができる。
【0050】
補正情報生成装置31による複数の対象目印93の測定位置の取得順序は、様々に変更されてよい。例えば、測定位置取得部312により、上記と同様に、対象目印群94のうち縦方向および横方向の一方の方向において最も端に位置する一の対象目印93が注目目印とされる。続いて、繰り返し制御部313により測定位置取得部312が制御されることにより、対象目印群94(すなわち、それぞれが縦方向および横方向のうち他方の方向において対象目印群94の全長に亘って延びる複数の対象目印列96の集合)において、注目目印を含む対象目印列96の測定位置が最初に取得される。なお、注目目印は、注目目印を含む対象目印列96において必ずしも端部に位置する必要はなく、当該対象目印列96の中央部に位置する場合もある。
【0051】
その後、最初に測定位置が取得された対象目印列96の各対象目印93について、各対象目印93の測定位置から(+X)側に目印間距離だけ離れた隣接中心位置を中心とする隣接領域95が注目される。そして、最初の対象目印列96の複数の対象目印93に上記一方の方向にそれぞれ隣接する複数の隣接領域95において、例えば、(+Y)側から(−Y)側に向かって各隣接領域95の対象目印93の測定位置が順に取得される。これにより、(−X)側から2番目の対象目印列96の全対象目印93の測定位置が取得される。その後、既に測定位置が取得された対象目印列96と上述の一方の方向において隣接する対象目印列96の測定位置が順に取得される。
【0052】
このように、補正情報生成装置31では、既に測定位置が取得された対象目印列96の各対象目印93の測定位置を利用して、上記一方の方向において隣接する対象目印列96の各対象目印93の測定位置を容易に取得することができる。
【0053】
また、この場合も、ステップS13〜S15における対象目印93の測定位置の取得、および、ステップS16におけるペアリング処理は、対象目印列96毎に交互に行われてもよい。すなわち、最初に測定位置が取得された最も(−X)側の対象目印列96の測定位置が取得された後、次の対象目印列96((−X)側から2番目の対象目印列96)の測定位置を取得するよりも前に、最初の対象目印列96の測定位置と設計位置との対応付けが行われる。そして、新たな対象目印列96の測定位置が取得される毎に、当該新たな対象目印列96の測定位置と設計位置との対応付けが行われる。これにより、(−X)側から2番目以降の対象目印列96のペアリング処理の際に、最初の対象目印列96のペアリング処理の結果を利用することができるため、上記2番目以降の対象目印列96のペアリング処理を容易に行うことができる。
【0054】
上述の対象目印93の測定位置の取得では、最初の注目目印は、測定画像中の対象目印群94のうち縦方向および横方向の一方の方向において最も端に位置する一の対象目印93である必要は必ずしもない。例えば、対象目印群94のうち任意の一の対象目印93が注目目印として選択され、当該注目目印の(+X)側、(−X)側、(+Y)側および(−Y)側の隣接領域95が順に注目され、各隣接領域95の対象目印93が隣接目印とされて測定位置が取得されてもよい。そして、測定位置が取得された隣接目印を新たな注目目印として、当該注目目印に隣接する新たな隣接目印のうち、測定位置の取得が行われていない隣接目印の測定位置の取得が繰り返される。なお、新たな注目目印に隣接する全ての隣接目印の測定位置が取得済みである場合、上述の注目順序を遡り、新たな注目目印が選択されて隣接目印の測定位置の取得が繰り返される。注目順序を遡って選択される新たな注目目印は、測定位置が取得済みの対象目印93であり、かつ、測定位置が取得されていない対象目印93と縦方向または横方向に隣接する対象目印93である。
【0055】
この場合も、測定画像上の全対象目印93の測定位置が取得されるまで、上述のステップS13〜S15が繰り返される。測定画像上の全対象目印93の測定位置が取得されると、補正情報生成部314により、当該全対象目印93のそれぞれの測定位置と、対象目印群94の設計位置とが対応付けられる。対象目印群94の測定位置と設計位置との対応付けは、例えば、略矩形状である対象目印群94の各角部に位置する対象目印93の測定位置を、設計データにおいて当該各角部に位置する対象目印の設計位置に対応付けることにより行われる。そして、対象目印群94の各対象目印93について、対応する測定位置と設計位置との差に基づいて、描画データの補正に利用される補正情報が生成される。これにより、上述と同様に、対象目印93のペアリング処理を容易かつ適切に行うことができ、その結果、描画データの補正に利用される補正情報を容易かつ高精度に生成することができる。
【0056】
図6は、直描装置1の制御部19の他の好ましい例を示す図である。
図6に示す制御部19では、補正情報生成装置31aが、設計位置記憶部311、測定位置取得部312、繰り返し制御部313および補正情報生成部314に加えて、対象目印列取得部315をさらに備える。
【0057】
図7は、補正情報生成装置31aを備える直描装置1による画像の描画の流れを示す図である。当該直描装置1では、まず、
図4に示すステップS11と同様に、基板9上において縦方向および横方向に格子状に配置された複数の対象目印93である対象目印群94の設計位置が、補正情報生成装置31の設計位置記憶部311により記憶されることにより準備される(ステップS21)。
【0058】
続いて、撮像部21により、基板9上の対象目印群94を撮影した測定画像が取得され、制御部19の測定位置取得部312へと送られる。測定位置取得部312では、一の対象目印93である注目目印が選択され、当該注目目印の測定画像上の位置である測定位置が取得される(ステップS22)。ステップS22では、測定画像中の対象目印群94のうち、縦方向および横方向の一方の方向において最も端に位置する一の対象目印93が、注目目印として抽出されて測定位置が取得される。例えば、
図2にて二点鎖線の円にて囲むように、対象目印群94のうち最も(−X)側の対象目印93が注目目印として抽出され、当該注目目印の測定位置が取得される。
【0059】
次に、注目目印から縦方向および横方向のうち他方の方向に上述の目印間距離だけ離れた位置である隣接中心位置が求められ、当該隣接中心位置を中心とする所定の大きさの隣接領域95が注目される。例えば、
図2にて二点鎖線にて示すように、上述の注目目印から縦方向((−Y)側)に目印間距離だけ離れた隣接中心位置を中心とする隣接領域95が注目される。そして、隣接領域95に含まれる対象目印93を注目目印に隣接する隣接目印として抽出し、測定画像における隣接目印の測定位置が取得される。
【0060】
その後、対象目印列取得部315により、注目目印を含むとともに上述の他方の方向において対象目印群94の全長に亘って延びる注目対象目印列が抽出される。例えば、
図5において横方向(X方向)に並ぶ複数の対象目印列96のうち、最も(−X)側の対象目印列96が注目対象目印列として抽出される。さらに、対象目印列取得部315により測定位置取得部312が制御されることにより、当該注目対象目印列において、上記隣接目印を新たな注目目印として、当該新たな注目目印に上述の他方の方向に隣接する新たな隣接目印の測定位置の取得が繰り返される。これにより、注目対象目印列の全対象目印93の測定位置が取得される(ステップS23)。
【0061】
ステップS23が終了すると、繰り返し制御部313により、既に測定位置が取得された対象目印列96が、対象目印群94から除かれる。以下の説明では、対象目印群94から既に測定位置が取得された対象目印列96を除いたものを、「未取得対象目印群」という。未取得対象目印群が存在する場合(ステップS24)、繰り返し制御部313により対象目印列取得部315が制御されることにより、ステップS22に戻り、未取得対象目印群のうち、上述の一方の方向において最も端に位置する一の対象目印93である次の注目目印が選択され、当該次の注目目印の測定位置が取得される(ステップS22)。そして、当該次の注目目印を含む次の注目対象目印列の全対象目印93の測定位置が取得される(ステップS23)。
【0062】
補正情報生成装置31aでは、測定画像上の全対象目印93の測定位置が取得されるまで、すなわち、未取得対象目印群が存在しなくなるまで、上述のステップS22〜S24が繰り返される。
【0063】
測定画像上の全対象目印93の測定位置が取得されると、補正情報生成部314により、当該全対象目印93のそれぞれの測定位置と、対象目印群94の設計位置とが対応付けられる(すなわち、ペアリング処理が行われる。)。当該ペアリング処理は、例えば、最初に測定位置が取得された最も(−X)側の対象目印列96の測定位置を、設計データにおいて最も(−X)側に位置する対象目印列の設計位置に対応付けた後、残りの対象目印列96を列毎に設計データの対象目印列に対応付けることにより行われる。そして、対象目印群94の各対象目印93について、対応する測定位置と設計位置との差に基づいて、描画データの補正に利用される補正情報が生成される(ステップS25)。
【0064】
このように補正情報が取得されると、描画データ補正部32により、当該補正情報を利用して基板9に描画する予定の画像の描画データが補正される(ステップS26)。そして、補正された描画データに基づいて、空間光変調器141およびステージ移動機構12が制御されることにより、変調された光が基板上にて走査される。これにより、描画データに含まれる各半導体チップ92用のパターンが、対応する各半導体チップ92上に、半導体チップ92の位置ずれを考慮した上で正確に描画される(ステップS27)。
【0065】
以上に説明したように、補正情報生成装置31aでは、複数の対象目印93の測定位置を対象目印列96毎に取得することにより、対象目印93のペアリング処理を容易かつ適切に行うことができる。その結果、基板9に描画する画像の描画データの補正に利用される補正情報を容易かつ高精度に生成することができる。また、補正情報生成装置31aを備える直描装置1では、基板9上の複数の対象目印93の位置に基づいて、基板9上の複数のパターン描画領域への高精度な描画を実現することができる。
【0066】
補正情報生成装置31aでは、ステップS22〜S24における対象目印列96の対象目印93の測定位置の取得、および、ステップS25におけるペアリング処理は、対象目印列96毎に交互に行われてもよい。すなわち、最初に測定位置が取得された最も(−X)側の対象目印列96の測定位置が取得された後、次の対象目印列96((−X)側から2番目の対象目印列96)の測定位置を取得するよりも前に、最初の対象目印列96の測定位置と設計位置との対応付けが行われる。そして、新たな対象目印列96の測定位置が取得される毎に、当該新たな対象目印列96の測定位置と設計位置との対応付けが行われる。これにより、対象目印列96のペアリング処理を容易に行うことができる。
【0067】
上述の補正情報生成装置31,31aおよび直描装置1では、様々な変更が可能である。
【0068】
例えば、直描装置1では、撮像部21が省略されてもよい。この場合、例えば、直描装置1以外の装置にて撮影された基板9上の対象目印群94の画像(測定画像)が、補正情報生成装置31,31aに入力され、測定位置取得部312により受け付けられる。
【0069】
基板9上の各半導体チップ92には、2つ以上の目印が設けられてもよい。例えば、各半導体チップ92の上面の左上の角部と右下の角部とに目印が設けられる。この場合、まず、複数の半導体チップ92の左上の角部に配置される複数の目印をそれぞれ対象目印93として、上述の対象目印93の測定位置の取得と同様の手法にて、当該左上の複数の対象目印93の測定位置が取得される。その後、複数の半導体チップ92の右下の角部に配置される複数の目印をそれぞれ対象目印93として、上述の対象目印93の測定位置の取得と同様の手法にて、当該右下の複数の対象目印93の測定位置が取得される。そして、各半導体チップ92の左上の角部および右下の角部に配置された対象目印93の測定位置と設計位置との差が求められ、当該差に基づいて補正情報が生成される。
【0070】
あるいは、まず、複数の半導体チップ92の左上の角部に配置される複数の目印をそれぞれ対象目印93として、上述の対象目印93の測定位置の取得と同様の手法にて、当該左上の複数の対象目印93の測定位置が取得される。そして、各半導体チップ92において、左上の角部に配置された対象目印93から、右下方向に所定の距離だけ離れた隣接中心位置を中心とする隣接領域が注目され、当該隣接領域内の目印(すなわち、右下の角部に配置された目印)の測定位置が取得される。その後、各半導体チップ92の左上の角部に配置された対象目印93および右下の角部に配置された目印の測定位置と設計位置との差が求められ、当該差に基づいて補正情報が生成される。
【0071】
図3に示す設計位置記憶部311、測定位置取得部312、繰り返し制御部313および補正情報生成部314を備える補正情報生成装置31は、基板9上の目印の位置情報に基づいて基板9に描画する画像の描画データの補正に利用される補正情報を生成する装置(例えば、上述のようなコンピュータシステム)として、単独で使用されてもよい。また、
図6に示す設計位置記憶部311、測定位置取得部312、繰り返し制御部313、補正情報生成部314および対象目印列取得部315を備える補正情報生成装置31aは、基板9上の目印の位置情報に基づいて基板9に描画する画像の描画データの補正に利用される補正情報を生成する装置(例えば、上述のようなコンピュータシステム)として、単独で使用されてもよい。あるいは、補正情報生成装置31,31aは、直描装置1以外の装置と共に使用されてもよい。
【0072】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。