(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アモルファスシリコン層の下に、平面視的に前記アモルファスシリコン層と同一形状の第2の高融点金属膜を設けたことを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置。
前記半導体集積回路装置は、少なくとも2層以上の金属配線層から構成され、前記導電体は前記金属配線層のうちの最上層からなり、前記最上層の金属配線層上にはさらに保護膜が設けられていること特徴とする請求項1または2記載の半導体集積回路装置。
前記保護膜は、シリコン酸化膜と、前記シリコン酸化膜の上に形成されたシリコン窒化膜とからなり、前記ヒューズ素子上には前記シリコン窒化膜を除去した開口部が設けられていることを特徴とする請求項3記載の半導体集積回路装置。
前記最上層の金属配線層を、前記ヒューズ素子以外の半導体集積回路装置内の配線及びボンディングパッドに使用することを特徴とする請求項3記載の半導体集積回路装置。
前記アモルファスシリコン層の厚さを150Å以上1000Å以下の範囲とすることを特徴とする請求項10乃至14のいずれか1項に記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の分圧回路に用いられる抵抗素子には、単結晶シリコン半導体基板に半導体基板と逆導電型の不純物を注入した拡散抵抗や、不純物を注入した多結晶シリコンからなる抵抗などが用いられる。分圧回路の設計においてこのような抵抗体を複数使用する場合、その長さ・幅・抵抗率は全て同一に設定する。そうする事で形状を決定するエッチング加工プロセス時の形状ばらつきや、不純物注入ばらつきをそれぞれの抵抗素子が等しく受ける事になり、抵抗素子の絶対値はばらついたとしても、抵抗素子同士の抵抗比率を一定に保つ事が出来るためである。
【0003】
この一定形状・一定抵抗率に基づく一定の抵抗値をもつ抵抗素子を分圧回路内で使用する場合、
図2の201から204の抵抗群のように、単位抵抗素子200を直列接続や並列接続することで様々な抵抗値を実現している。この単位抵抗素子200は先に述べたように、同一形状・同一抵抗率の抵抗素子なので、この抵抗比率の高い単位抵抗素子からなる抵抗群の抵抗比も高精度に保つことができる。
【0004】
また201から204の抵抗群に対しては並列に、例えば多結晶シリコンからなるヒューズ301から304を設置し、外部からレーザー照射によって切断できるようにしている。そしてこのレーザー照射によるヒューズのカット・未カットに応じ、109端子Aから110端子Bの間の抵抗値を必要に応じ変えることができるようにしている。そして110端子Bから111端子Cの間に形成している固定抵抗との分圧比を110端子Bから出力している。
【0005】
従来のレーザートリミングに使用されるヒューズ301から304の構造を、
図3を基に説明する。
図3(1)は、
図2のヒューズ301から304を横に並べて平面的に示したものである。個々のヒューズ素子は、中央の線幅を両端部よりも細くしたレーザーカット用の領域と、両端部でコンタクトホール7を介し、金属配線8によって内部回路に接続している配線接続のための領域を有している。またレーザートリミングによりヒューズ素子をカットする領域は、レーザーヒューズカット用開口部10を設けている。
【0006】
図3(2)は
図3(1)のA−A部の断面を表したものである。半導体基板1上に形成した素子分離用のLOCOS絶縁膜13上に、MOSトランジスタのゲート電極と同一の層を用いた2000Åから4000Åの厚さの多結晶シリコン5でレーザーカット用のヒューズ素子を形成している。このときこの断面図で示すように、レーザーヒューズカット用開口部10においては、ヒューズ直上の絶縁膜をドライエッチング処理することで膜厚を低減し、ヒューズ溶融のためにレーザーのエネルギーを効率よく伝える構造としている。このヒューズ上の絶縁膜の、ドライエッチング後の残膜厚は、レーザー加工に適した所望の膜厚としている。
【0007】
ここで使用しているヒューズ材料は、MOSトランジスタのゲート電極を兼ねる多結晶シリコン5なので、金属配線層8が1層しかない半導体製造プロセスの場合、このヒューズ素子上には、BPSG(Boron Phospho Silicate Glass)などからなる1層目の金属配線下の平坦化絶縁膜とシリコン窒化膜からなる最終保護膜しか形成されていない。しかもこのシリコン窒化膜は半導体集積回路の外部への端子取り出しのためのパッド開口部処理時に同時にエッチング除去していたのでヒューズ上には1μm程度の厚さのBPSG膜しか存在していない。
【0008】
しかし2層以上の金属配線を有する半導体製造プロセスとなると、
図3(2)で示すようにBPSG膜16上に、さらに金属配線層間を絶縁するための、主にシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜22が積層されることになる。これが1層あたりおよそ1μm程度の膜厚とするとヒューズ上の絶縁膜の厚さは、配線積層層数が多いほどそれまでの金属配線1層プロセスの時に比べて増加し、数μmのシリコン酸化膜の厚さに容易に達することになる。さらに最終保護膜が、最上層のシリコン窒化膜に加え、下層配線金属との応力緩和層となるシリコン酸化膜を採用した2層膜となると、さらにヒューズ上のシリコン酸化膜厚が増加してしまう。
【0009】
このようにヒューズ上のシリコン酸化膜厚が厚くなると、ヒューズカット時のレーザーエネルギーが効率よくヒューズ切断のために消費されず、切断不良を起こす危険がある。そこで、
図3(2)の断面図で示すように、最上層のシリコン窒化膜に加え、その下のシリコン酸化膜もドライエッチング技術で膜厚を低減し、レーザーカットにおける切断不良を回避するのが一般的である。
【0010】
このような多結晶シリコンからなるヒューズの形成方法及びヒューズ上の絶縁膜加工方法については、例えば特許文献1に開示されている。
しかし、従来半導体集積回路に使用されるレーザーカット用ヒューズの加工には以下のような困難があった。
【0011】
まず、MOSトランジスタのゲート電極と兼用する多結晶シリコンを利用したヒューズ素子においては、半導体製造プロセスの微細化と、それに伴う配線積層数増加の進展により、半導体集積回路表面から多結晶シリコンヒューズ素子までに存在する絶縁体膜厚が厚くなり、半導体集積回路の特性調整のためのヒューズカットのような、外部からのレーザー照射によるヒューズ切断が困難であった。
【0012】
また、この多結晶シリコンからなるヒューズ素子へのレーザーの到達を容易にするために、多結晶シリコンヒューズ素子上の絶縁膜をフォトマスク工程及びドライエッチング工程を追加することで、所定量の絶縁膜をエッチング除去し残膜厚を所定の厚さに調整する方法については、ドライエッチングのウェハー面内ばらつきやウェハー間ばらつき、さらには積層するそれぞれの層間絶縁膜自体の膜厚ばらつきのために、絶縁膜の残膜厚のばらつきが従来よりも大きくなった。一般に、レーザーによるヒューズカットにおいては、ヒューズ素子上の絶縁膜厚が厚すぎるとエネルギーが効率よく伝わらずにヒューズ切れ残りが発生し、薄すぎるとレーザーのヒューズ素子下への透過により下地基板へダメージを与えたり、ヒューズそのものも熱の発散のために溶融したまま昇華しないで再付着したりといったヒューズ加工性の悪化というトレードオフが存在するため、絶縁膜厚に最適膜厚範囲が存在する。しかし上述のようなヒューズ上の絶縁膜厚ばらつきは、その最適膜厚範囲を越える場合があり、レーザー加工性を安定させる事が困難であった。
【0013】
さらに、層間絶縁膜の積層膜数が多いほどそれに応じて増える層間絶縁膜同士の界面において、照射レーザーの反射が発生し、かつその反射度合いが界面の状態により変動するので、これがヒューズ素子に到達するレーザーエネルギーと、それによる加工の不安定さを助長していた。
【0014】
また、このヒューズ上の絶縁膜を除去するときのエッチングマスクについても、被エッチング膜とエッチングマスクとのエッチング選択性の確保が難しく、エッチング量が多い場合にエッチングマスクが消失し下地にエッチングダメージを発生させる場合があった。この問題は特許文献1で提案されているエッチング時のストッパー膜を採用した場合も同様に存在する。
【0015】
加えて、この多結晶シリコン層は一般に500℃から700℃の高温で行うLPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)法を採用して形成しているので、この多結晶シリコン層からなるヒューズ素子を、融点の低い金属配線や有機膜を使用する層間絶縁膜形成後に形成し、ヒューズ素子上の堆積絶縁膜厚を低減する方法も採用できなかった。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、レーザートリミングのためのヒューズ回路を有する半導体集積回路装置であって、ヒューズ素子上の絶縁膜厚の安定と、レーザーカットの容易なヒューズ素子材料の採用とを両立させた、レーザーカット加工性に関する従来の困難を解決することが可能なヒューズ構造を有する半導体集積回路装置およびその製造方法を提案するものである。
以下に、図面を用いてそれぞれの実施例について説明する。
【実施例1】
【0025】
図1は本発明の第1の実施例を表す模式平面図及び模式断面図であり、3層金属配線プロセスを用いた例を示している。まず
図1(1)においてはヒューズ素子に関し、従来のLPCVD法による多結晶シリコン層に替えて、スパッタリング法によるアモルファスシリコン層17を採用している。そのヒューズ素子の図上での上下両端に、内部回路へつながる2層目の金属配線11へ接続するための、2つの導電体を形成している3層目の金属配線14及び3層目の金属配線14と2層目の金属配線11の間をつなぐビアホール15を備えている。このアモルファスシリコン層17は、2つの導電体を形成している3層目の金属配線14とビアホール15を平面的に充分オーバーラップするようにレイアウトしている。ここで図示はしないが、第1、第2及び第3層目の金属配線は、一般的な微細加工用の半導体製造プロセスを使用するものであり、例えば金属配線に使用する導電体の金属は、SiやCuなどの添加物を含んだAlやCuなどを用い、その導電体の底面には例えば、TiやTiNなどの高融点金属からなるバリアメタルを配し、またその導電体の上面には、TiNなどの反射防止膜を積層している。
図1(2)において、本発明に関係の深い3層目の金属配線14の反射防止膜23を図示している。高融点金属はTiあるいはTiNに限られるものではなく、他のTi化合物でも良い。
【0026】
図1(2)は
図1(1)のヒューズ素子301の切断線A−Aにおける断面図である。本実施例においては、ヒューズ素子301は2層目の金属配線を覆っている層間絶縁膜22の上に設けられている。アモルファスシリコン層17の上には、2層の保護膜であるシリコン酸化膜24とシリコン窒化膜25を積層している。この例ではアモルファスシリコン層の形成は最終層の配線金属形成のタイミングで行っているが、特に最終配線層の形成時に限定するものではなく、最終配線層より下層の金属配線形成のタイミングあっても構わない。
【0027】
また、
図1(2)における本発明の構造では、ヒューズ素子を構成するアモルファスシリコン層17の両端を、3層目の金属配線14からなる2つの導電体の側面部及び上面部に接するように形成し、ヒューズ素子と配線の接触面積を大きく取り、安定的な接触抵抗を得る構造としている。
【0028】
さらにその3層目の金属配線パターンの直下に2層目の金属配線11との接続を得るためのビアホール15を形成しており、そこからビアホール内のタングステンのような埋め込み金属などを通して2層目の金属配線11へ電気的に接続し、そこから内部回路へ配線している。
【0029】
本発明では、配線層形成工程の前に行う従来例の多結晶シリコン層の作製と異なり、第1層目の配線層以降の層の金属配線形成プロセスでヒューズ素子を作製するために、500℃以上の高温処理を免れないLPCVD法に替わり、シリコンターゲット材を用いたスパッタリング法を採用している。その形成温度は200℃以下とすることにより、既に形成を終えている配線各層や層間絶縁膜にダメージを与えることはなく、多層の金属配線層プロセスのどの配線形成タイミングにおいても使用することができる、という製造工程自由度における利点がある。
【0030】
また、スパッタリング法はCVD法と異なり薄い膜の堆積に有利であり、1000Å以下の薄膜堆積は容易である。他方、500℃以下の低温処理で行うことができ、量産に適した製造方法としてプラズマCVD法などが挙げられるが、1000Å以下の膜の形成は安定性に懸念がある。スパッタリング法を使用しヒューズ膜を、より薄膜化することは、レーザーによる溶断エネルギーを低減することで、周囲の素子や下地へのダメージを抑制でき、平面方向や垂直方向のレーザーダメージの備えるための寸法マージンを縮減させることで、半導体集積回路の縮小に伴う低コスト化に寄与できる。
【0031】
但し、一般にアモルファスシリコン層の厚さを150Å未満とすると、後の最終保護膜成膜のプラズマCVD工程など、400℃程度の熱処理時にアモルファスシリコン層が下地のAlに拡散し、ヒューズ接続部のAlとアモルファスシリコン層との間の接触抵抗の高抵抗化が顕著となる。ここで、
図1においては3層目の配線14上にTiNなどの高融点金属からなる反射防止膜23を残す構成としているので、Al配線の上面でのアモルファスシリコン層の拡散は問題とはならない。一方、Al配線の側面については、Al配線とアモルファスシリコン層が直接接触しているものの、Al配線上面と異なりドライエッチング加工時の副生成物である酸素や炭素が付着しておりAlへの拡散は抑制されている。以上の構造により本発明で使用するアモルファスシリコン層は、10%程度の膜厚ばらつきを考えても、150Å以上の狙い厚さを設定することで、金属配線との安定的な接触抵抗を得ることが可能である。
【0032】
さらに、通常スパッタリング法においては、絶縁物のターゲット材を半導体基板上にスパッタリング形成する場合、その絶縁物の電位を制御することが難しいので、本発明のようなアモルファスシリコンをターゲット材としたスパッタリングを行う場合は、ターゲット材のシリコンにリンやホウ素などの不純物を添加し不純物濃度を高め、抵抗率を下げている。そのため例えば0.01Ω・cm以下の抵抗率のターゲット材を一般に使用しているが、これを利用しヒューズ素子のための導電体としての役割を担わせている。この場合、薄膜化することで単位面積あたりのシート抵抗が無視できなくなる場合は、ヒューズ素子の長さや幅の調整で所望のヒューズ抵抗値を実現させる。
【0033】
また、ヒューズ抵抗の低減に関しては、不純物を含まない抵抗率の高いシリコン薄膜を形成した後に、不純物をイオン注入法などで注入し低抵抗率のシリコン薄膜を実現する方法も挙げられるが、その不純物の活性化のために充分な熱量の印加を行う必要があり、Al系の配線層や層間絶縁膜のダメージを回避することが出来ない。そのため、本発明のような高不純物濃度・低抵抗率のターゲットを用意しスパッタリング形成する以外の方法で、金属配線や層間絶縁膜形成後にシリコン系材料の低抵抗のヒューズ素子を作製することは困難である。
【0034】
また、
図1(2)においては従来例で設置していたレーザーカット用開口部は特に設けていない。その理由は先に述べたように、ヒューズ素子として使用するアモルファスシリコン層を最上層金属配線層と同一タイミングで形成しているため、直上に余分な配線間層間絶縁膜がなく、最終保護膜でこのヒューズをレーザーカットするのに充分な膜厚に設定できているからである。そのためシリコン酸化膜24とシリコン窒化膜25の膜形成ばらつきは依然として存在するものの、これはレーザーカット加工性に問題がなかった従来の1層金属配線プロセスの場合と同等であり、一方で開口のためのドライエッチングばらつきに起因するヒューズ上絶縁膜厚ばらつきは存在しないため、安定したレーザー加工を実現することが出来る。加えて従来存在していたレーザーカット開口パターンとレーザー照射スポットの位置ばらつきマージンや、レーザーカット開口部と金属配線との位置合わせマージンなどのレイアウト寸法マージンを縮小することができるため、ヒューズ素子部分の所要面積縮小に寄与できる。
【0035】
さらに、レーザーカット用開口部が存在すると、その部分の耐湿性に優れたシリコン窒化膜が消失するので、そこからシリコン酸化膜を通して半導体集積回路内部に水分が浸入する余地が残り、配線腐食や特性変動などの長期信頼性劣化の可能性が存在するが、本発明の第1の実施例では、ヒューズ素子のレーザーカット時に形成するシリコン窒化膜のレーザー径の大きさの穴のみが開口部として残存するのみなので、長期信頼性の影響を最小化できる、という利点もある。
【0036】
また、この例ではヒューズ素子の配線に、3層金属配線の半導体製造プロセスにおいて、3層目の金属配線と2層目の金属配線を使用しているが、2層配線プロセスの場合は2層目の金属配線と1層目の金属配線を利用しヒューズ素子とその配線を形成することで同様の効果を得ることができる。また、1層金属配線の半導体製造プロセスにおいては、図示しないが1層目の金属配線とシリコン基板上の高濃度拡散配線を使用することで、同様の効果を得ることが出来る。このように本発明は、1層以上の様々な配線構成の半導体製造プロセスにおいて応用することができ、半導体製造プロセス選択上の高い自由度を備えていると言える。
【0037】
以上説明したように、本発明の第1の実施例は、従来に比べヒューズ素子のレーザーカット加工の安定性を高め、歩留まり低下や長期信頼性不良を最小化できる、という品質の高さとともにヒューズ素子やその周辺に必要とされる所要面積が少ない安価な半導体集積回路を提供できるという特徴を有している。
【実施例2】
【0038】
図4は本発明の第2の実施例を表す模式平面図及び模式断面図であり、同じく3層金属配線プロセスを用いた例を示している。本実施例では、第1の実施例と異なり、
図4(1)のようにレーザーヒューズカット予定領域にレーザーヒューズカット開口部10を設け、
図4(1)のヒューズ素子301の切断線A−Aにおける断面図である
図4(2)に示すように、ヒューズ素子直上の最終保護膜であるシリコン窒化膜をドライエッチング法により除去している。
【0039】
主にシリコン窒化膜を含む最終保護膜は、半導体集積回路装置を製造する半導体工場や半導体プロセスの特徴、さらには使用している材料・条件・熱処理などによってその膜厚が変わることがある。例えば、大電流を流すために最上層の金属配線層の厚さを厚くしている場合などは、その最上層の金属配線層と接する最終保護膜との応力バランスを調整するために、最終保護膜の厚さを、より厚く設定する場合がある。そして本発明の第1の実施例のようにヒューズ素子上の最終保護膜をそのまま残した構造で、その最終保護膜の厚膜化のためヒューズカットのレーザーエネルギーを充分にヒューズ素子に伝達し得ない場合は、第2の実施例のように2層の保護膜のうちの上層保護膜であるシリコン窒化膜を除去し、レーザー加工性を確保する方法が好ましい。この場合、2層保護膜のうち最上層シリコン窒化膜のドライエッチング時に、下地のシリコン酸化膜とのエッチング選択性を10:1以上の比とすることで、ドライエッチング時の下地シリコン酸化膜の膜減りばらつきを充分小さくすることは容易であり、従来例のようなシリコン酸化膜の残厚ばらつきの増大によるレーザー加工性の悪化が顕在化することはない。
また、従来例も同様ではあるが、レーザーカット開口部10を設けることで、最終保護膜であるシリコン窒化膜がなくなり長期信頼性劣化の可能性がでてくる。
【0040】
例えば、一般にヒューズ素子はレーザーカット後に開口部内でその断面を露出することになるが、このヒューズ素子に数10V以上の高電圧が印加されたまま、高温でイオンなどの電界質を含んだ水分にさらされるような状態に陥ると、電気的なエネルギーを受けてレーザー切断面において化学反応が促進され、シリコンが水分中の酸素と結合してシリコン酸化膜に変質し膨張する。その際、その膨張応力が吸収できない場合、ヒューズ素子周囲に亀裂や破断が発生することで水分の内部への侵入を加速させ、内部へ侵食が進行する、という現象が発生する場合がある。しかし本発明で使用しているヒューズ素子は、従来のゲート電極と兼用していた2000Åから4000Åの多結晶シリコンよりも膜厚が薄く、スパッタリング法により150Åから1000Åの厚さに設定しており、ヒューズ切断面の面積を従来の1/4以下としているので、化学反応が発生する切断面積の縮小とそれによる応力発生の度合いを抑制できており、内部への腐食進行を低減できている、という従来例に対する利点がある。
【0041】
すなわち以上説明したように、本発明の第2の実施例は、最終保護膜にレーザーカット用開口部を形成することで、最終保護膜のシリコン窒化膜が厚い場合でも安定したヒューズ素子のレーザーカット加工性を維持することができ、従来方法より長期信頼性不良を低減できる、という特徴を有している。
【実施例3】
【0042】
図5は本発明の第3の実施例を表す模式平面図及び模式断面図であり、同じく3層金属配線プロセスを用いた例を示している。
図1の第1の実施例との違いは、アモルファスシリコン層17の下に第2の高融点金属膜18を積層して設けている点である。この2つの積層膜は同じマスクパターンを用いて一括ドライエッチング加工形成しているため平面視的に同一形状となっており、
図5(1)の平面図では特に相違点はない。
【0043】
また
図5(1)の切断線A−Aにおける断面である
図5(2)に示すように、この高融点金属膜18は、ヒューズ端部の2つの導電体を形成している金属配線層14及び同じく高融点金属からなる上層の反射防止膜23と接触しており、接触抵抗の低減に寄与している。特にAlからなる金属配線層14の側面で懸念されたアモルファスシリコン層の熱処理によるAlへの拡散を、上面の反射防止膜23で行ったと同様、抑制する効果があるので、アモルファスシリコン層17の薄膜化に対する制約を逃れることができている。
【0044】
第1及び第2の実施例ではヒューズ素子をアモルファスシリコン層のみで形成していたが、このアモルファスシリコン層を薄膜化することによる抵抗値上昇が無視できない場合、あるいはこのヒューズ素子のカット/未カットによる抵抗値の差に敏感な半導体集積回路装置に採用している場合に、アモルファスシリコン層17の下に例えばTiNなどの高融点金属膜を設置することで大幅にヒューズ素子の抵抗値を低減させている。このアモルファスシリコン層もTiN層も金属配線の反射防止膜として一般に使用する材料であり、この層を追加設定することで金属配線やその周辺素子などに弊害・副作用が生じることはなく、レーザーカットの加工性が損なわれることもない。従来、TiNのみでヒューズ素子を構成する場合は、TiNの融点の高さと膜の薄さがレーザーカット加工の不安定性を招く傾向があったが、本発明の2層構造の採用により、上層のアモルファスシリコン層がレーザーのエネルギーを吸収、蓄積し、発熱することで、直下のTiNの切断を従来に比べより効率的に行えるという利点がある。このようにすることでヒューズ素子材料に高融点金属を採用しても、レーザーカットの安定性を損なわずに、高融点金属の長所を享受できる。
【0045】
以上説明したように、本発明の第3の実施例は、低抵抗なヒューズ素子を実現しながら、従来に比べヒューズ素子のレーザーカット加工の安定性を高め、信頼性不良を最小化できる、という品質の高さとともにヒューズ素子やその周辺に必要とされる所要面積が少ない安価な半導体集積回路を提供できるという特徴を有している。
【実施例4】
【0046】
図6は本発明の第4の実施例を表す模式平面図及び模式断面図であり、同じく3層金属配線プロセスを用いた例を示している。本実施例では、第3の実施例に加え、
図6(1)に示すようにレーザーヒューズカット予定領域にレーザーヒューズカット開口部10を設け、
図6(1)のヒューズ素子301の切断線A−Aにおける断面図である
図6(2)に示すように、ヒューズ直上の最終保護膜であるシリコン窒化膜のみをドライエッチング法により除去している。
【0047】
その目的と効果は第2の実施例と同じで、最終保護膜のシリコン窒化膜25が厚く、ヒューズカット時のレーザーエネルギー充分にヒューズに伝達し得ない場合を想定した形態であり、この形態を第3の実施例に適用したものである。
【0048】
このような構成を取る事により、本発明の第4の実施例は、最終保護膜にレーザーカット用開口部を形成することで、最終保護膜のシリコン窒化膜が厚い場合でも安定したヒューズ素子のレーザーカット加工性を維持することができ、従来方法より長期信頼性不良を低減できる、という特徴を有している。
【実施例5】
【0049】
図13は
図1により示した本発明の第1の実施例を、半導体集積回路装置内のヒューズ素子の周辺にまで拡張して適用した第5の実施例を表す模式断面図であり、同じく3層金属配線プロセスを用いた例を示している。
【0050】
この図中の301はこれまで説明した本発明の第1の実施例のヒューズ素子を示しており、それに加え外部端子との電気的接続を担うボンディングパッド19と、内部回路の一例としてNMOSトランジスタ401とその周辺配線の様子を追加して示している。
【0051】
まず、第1の実施例を適用したアモルファスシリコン17で構成し、そのヒューズ素子の両端に配した3層目のAlなどの金属配線14及びTiNなどの高融点金属からなる反射防止膜23との積層膜から、ビアホール15を通じ、2層目の金属配線11によって内部回路に接続している(図示せず)。
【0052】
次に、内部回路の一例として挙げているNMOSトランジスタ401は、N型ソース/ドレイン領域12とゲート絶縁膜9、ゲート電極6からなり、コンタクトホール7、1層目の金属配線8、1層目と2層目の金属配線を接続する層間絶縁膜22中のビアホール15、2層目の金属配線11、2層目と3層目の金属配線を接続する層間絶縁膜22中のビアホール15、3層目の金属配線である内部回路用微細金属配線21を通じて他の素子や回路との電気的接続を行っている。
【0053】
ここで層間絶縁膜22は、一般的な半導体プロセスで使用するもので、主にシリコン酸化膜からなり、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)膜やSOG(Spin On Glass)膜を利用しエッチバック法やCMP(Chemical Mechanical Polishing)法などによる平坦化技術を施すことで、表面平坦性を保っている。
【0054】
また第1の金属配線と第2の金属配線の構造及び形成方法については、同じく一般的な微細加工用の半導体製造プロセスを使用する。例えばその金属配線に使用する導電体の金属は、SiやCuなどの添加物を含んだAlや、Cuそのものなどを用いている。また、その導電体の底面には例えば、TiやTiNなどの高融点金属からなるバリアメタルを配し、下層の金属やシリコン基板との接触性を高めると同時に配線の長期信頼性を向上させている。またその導電体の上面には、フォトリソグラフィ加工の際に用いる光の、導電体表面における反射を抑制するための、TiNなどの高融点金属による反射防止膜を積層する。すなわち適用する半導体製造プロセスの微細ルールに基づいた一般的な配線材料及びその積層構造を採用するが、ここでは本発明と関わりなく一般的な技術を使用するのでこれらの詳細を省き、簡略化して図示している。
【0055】
ただこの内部回路の配線に用いる微細ルールを適用した第3の金属配線である内部回路用微細金属配線21については、導電体の金属及びそのバリアメタルは同様に一般的な構造及び製造プロセスで作製するものであって、その上層には反射防止膜を設けて第3の金属配線加工形成時に利用するものの、最終的には
図13に示すように、ヒューズ素子301の両端部の第3の金属配線とは異なり、反射防止膜を除去している。この状況は、ヒューズ素子301の両端電極に使用する第3の金属配線以外の全ての第3の金属配線において適用されていることが第5の実施例の特徴である。ただ反射防止膜は最終的に除去されているものの、必要とされるフォトリソグラフィ加工時には設置しているので特に製造上問題とはなることはない。
【0056】
一般に、金属配線を加工するときに利用する金属配線上の反射防止膜は、その導電体であるAlやCuからなる金属膜を堆積した直後にその金属上に続けて積層し、その両方の堆積層を一括してフォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術で加工するものである。そのときの露光の際、反射防止膜は、導電体である金属での光の反射に伴う意図せぬ箇所への光の入射とそれによるパターン変形・切断を防止する役割を担う。
【0057】
そのためそのような製造方法であれば、エッチング加工後に反射防止膜と導電体は常に一体として存在することになる。但し本発明ではその後のヒューズ素子の加工においてヒューズ素子部分以外の反射防止膜を同時に除去しているため
図13のような構造となっている。
【0058】
また、ヒューズ素子の製作方法としては、ヒューズ素子と第3の金属配線との間に層間絶縁膜を設け、ビアホールなどで両者を接続する方法も可能であり、その場合は全ての第3の金属配線上に反射防止膜が残る構造となるが、本発明では第3の金属配線層の加工形成後、そのままヒューズ素子の形成を行うことで、層間絶縁膜の積層とビアホールの形成工程を省けるように設定した。ヒューズ素子以外の第3の金属配線層上に反射防止膜が存在しない理由の1つは、以上のような製造上の理由によるものである。
【0059】
図13において、半導体集積回路内の電気的接続を半導体チップの外部に取り出すためのボンディングパッド19は、ボンディングワイヤの接続用に、同じく最上層金属配線である3層目の金属配線を配し、その直上の最終保護膜を構成するシリコン酸化膜24とシリコン窒化膜25を開口させている。ここでは、3層目の金属配線からなるボンディングパッドから先の内部回路へ接続する配線接続構造については、本発明と関わりなく一般的な技術を使用するのでこれらの詳細を省き、簡略化して図示している。
【0060】
ボンディングパッド19に用いる3層目の金属配線についても、内部回路用微細金属配線として用いる3層目の金属配線21と同様に、TiNなどの反射防止膜を除去しているが、これは従来に比べ以下に述べる利点を有している。
【0061】
従来の製造工程上、ボンディングパッドの形成において反射防止膜を積層して加工形成した場合であっても、ボンディングパッド部の最終保護膜開口のためのドライエッチング時に開口面に露出する反射防止膜を同時に除去し、その後のテストプローブの接触性やボンディングワイヤの接着性を向上させる。ただそれでも、最終保護膜開口部周囲の最終保護膜下の金属層の上には反射防止膜が残存し、最終保護膜開口部断面から反射防止膜の断面が露出する状態になる。一般に、Ti系の膜は熱や水分などで酸化しやすく、露出したTi系の反射防止膜に例えば長時間ダイシングの際の水流を接触させると、Tiが酸化・膨張し最終保護膜を持ち上げることで、内部の水分侵入を促進させ、金属配線腐食や特性変動を誘起する場合が稀にある。
【0062】
本発明の第5の実施例においては、ヒューズ素子部分以外の第3の金属配線上に反射防止膜を残さない構成としており、ボンディングパッド部の反射防止膜も同様に除去しているので、そのような品質不良や長期信頼性不良を防止する利点を有している。
【0063】
以上説明したように本発明の第5の実施例は、長期信頼性に優れ、追加の層間絶縁膜の形成及びその加工工程が不要の製造コストを抑制したヒューズ素子及びそのヒューズ素子を含む半導体集積回路装置を提供できるという特徴を有している。
【実施例6】
【0064】
図14は
図4により示した本発明の第2の実施例を、半導体集積回路内のヒューズ素子の周辺にまで拡張して適用した第6の実施例を表す模式断面図であり、同じく3層金属配線プロセスを用いた例を示している。
【0065】
ここでは第5の実施例と同様に、NMOSトランジスタ401及びその周辺配線と、ヒューズ素子301と、ボンディングパッド19を示しているが、NMOSトランジスタ401とボンディングパッド19及び、ヒューズ素子そのものの構造は第5の実施例と同じである。第6の実施例ではシリコン酸化膜24とシリコン窒化膜25からなる2層の最終保護膜において、ボンディングパッド部19では2層ともドライエッチング処理により開口し、ヒューズ素子上の最終保護膜はシリコン窒化膜のみ開口している。第2の実施例において説明したように、製造上の理由等により最終保護膜の厚さが厚くなることでヒューズカット時のレーザーが透過しづらくなり、ヒューズ素子のレーザー加工性が損なわれる場合は、このように最終保護膜のヒューズ開口用フォトマスクを、ボンディングパッド開口マスクとは別に用意し、加工することで実現する。
【0066】
以上説明したような本発明の第6の実施例により、ヒューズカットのレーザー透過に対し最終保護膜が厚い場合も、安定したヒューズカット加工性が得られ、長期信頼性に優れた半導体集積回路装置を実現できる。
【実施例7】
【0067】
図7は
図5により示した本発明の第3の実施例を、半導体集積回路装置内のヒューズ素子の周辺にまで拡張して適用した第7の実施例を表す模式断面図であり、同じく3層金属配線プロセスを用いた例を示している。
【0068】
ここでは第5の実施例と同様に、NMOSトランジスタ401及びその周辺配線と、ヒューズ素子301と、ボンディングパッド19を示しているが、NMOSトランジスタ401とボンディングパッド19は第5の実施例と同様であるものの、ヒューズ素子301は第3の実施例を適用したアモルファスシリコン17とTiNなどの高融点金属膜18の積層膜で構成し、そのヒューズ素子の両端に配した3層目のAlなどの金属配線14及びTiNなどの高融点金属からなる反射防止膜23の積層膜から、ビアホール15を通じ、2層目の金属配線11によって内部回路に接続している。
【0069】
第3の金属配線については実施例5と同様に、ヒューズ素子301の両端部の金属配線上にのみ反射防止膜を積層するが、ボンディングパッド19や、NMOSトランジスタ401を含む内部回路の配線上の反射防止膜については除去している。
そして最上層のシリコン酸化膜24及びシリコン窒化膜25からなる最終保護膜については、外部への端子取り出しのためにボンディングパッド19上のみ開口している。
【0070】
以上説明したように本発明の第7の実施例は、長期信頼性に優れ、追加の層間絶縁膜の形成及びその加工工程が不要の製造コストを抑制した低抵抗のヒューズ素子及びそのヒューズ素子を含む半導体集積回路装置を提供できるという特徴を有している。
【実施例8】
【0071】
図8は
図6により示した本発明の第4の実施例を、半導体集積回路内のヒューズ素子の周辺にまで拡張して適用した第8の実施例を表す模式断面図であり、同じく3層金属配線プロセスを用いた例を示している。
【0072】
ここでは第7の実施例と同様に、NMOSトランジスタ401及びその周辺配線と、ヒューズ素子301と、ボンディングパッド19を示しているが、NMOSトランジスタ401とボンディングパッド19及び、ヒューズ素子そのものの構造は第7の実施例と同じである。第8の実施例ではシリコン酸化膜24とシリコン窒化膜25からなる2層の最終保護膜において、ボンディングパッド部19では2層ともドライエッチング処理により開口し、ヒューズ素子上の最終保護膜はシリコン窒化膜のみ開口している。第4の実施例において説明したように、製造上の理由等により最終保護膜の厚さが厚くなることでヒューズカット時のレーザーが透過しづらくなり、ヒューズ素子のレーザー加工性が損なわれる場合は、このように最終保護膜のヒューズ開口マスクを、ボンディングパッド開口マスクとは別に用意し、加工することで実現する。
【0073】
以上説明したような本発明の第8の実施例により、ヒューズカットのレーザー透過に対し最終保護膜が厚い場合も、安定したヒューズカット加工性が得られ、低抵抗のヒューズ素子を有する長期信頼性に優れた半導体集積回路装置を実現できる。
【実施例9】
【0074】
以下では第9の実施例として、
図15、16を用い、本発明の第5の実施例で示した半導体集積回路装置の製造方法を説明する。
まず、半導体基板1上に、MOSトランジスタを作製するために、LOCOS絶縁膜13などの素子分離領域、ゲート絶縁膜9、ゲート電極6、ソース/ドレイン領域12などを含む工程を行う。ついで、BPSG膜16などの平坦絶縁膜の形成、BPSG膜中のコンタクトホール7の形成、1層目の金属配線8の形成、金属配線8上の層間絶縁膜22の形成、1層目と2層目の金属配線を接続するための層間絶縁膜22中のビアホール15の形成、2層目の金属配線11の形成、2層目の金属配線11上の層間絶縁膜22の形成を行う(
図15(1))。
【0075】
ここで、第1の金属配線と第2の金属配線の構造及び形成方法については、導電体の金属として、SiやCuなどの添加物を含んだAlや、Cuそのものなどを用い、またその導電体の底面には例えば、TiやTiNなどの高融点金属からなるバリアメタルを配し、その導電体の上面には、TiNなどの高融点金属からなる反射防止膜を積層するが、詳細は省略する。すなわち以上述べた金属配線を含めた製造工程は一般的な方法を採用しており、特殊な製造工程に限定するものではなく、図示も簡略化している。
【0076】
次に、2層目と3層目の金属配線を接続するための層間絶縁膜22中のビアホール15の形成、3層目の金属配線14の形成を行う(
図15(2))。
ここでも第3の金属配線構造の詳細は一般的な方法を採用しているが、特に本発明において不可欠である、TiNなどの高融点金属からなる反射防止膜23は図示しており、第3の金属配線の加工終了時点では全ての第3の金属配線層上に反射防止膜23が積層されていることを表している。
【0077】
次に本発明において特徴的な、アモルファスシリコン層17を半導体基板上全面にスパッタリング法にて積層している(
図15(3))。
次に、フォトレジスト20を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いてヒューズ素子形成予定領域だけにフォトレジストを残し、他の領域のフォトレジストを除去する(
図16(1))。
【0078】
次に、フォトレジスト20をマスクとして、ヒューズ素子部分以外のアモルファスシリコン層17をドライエッチング法にて除去する。この際、ヒューズ素子以外の3層目の金属配線上に残されていたTiNなどの高融点金属も同一マスクで同時に除去する。このようにして3層目の金属配線上の反射防止膜は、ヒューズ素子の両端の配線接続部分のみ残存する。
【0079】
ついで、最終保護膜としてシリコン酸化膜24、シリコン窒化膜25を順次積層する(
図16(2))。
最後に、外部端子との電気的接続を担うボンディングパッド19上の最終保護膜であるシリコン窒化膜とシリコン酸化膜を順次ドライエッチングし、開口部を形成する(
図16(3))。
【0080】
以上説明したように、本発明は最上層金属膜加工後にヒューズ素子形成工程を追加する製造方法を採用しおり、ヒューズ素子自体も特殊な膜を使用しておらず、様々な半導体製造プロセスへ適用することができる、という柔軟性を備えている。
【実施例10】
【0081】
以下では第10の実施例として、
図17、18を用い、本発明の第6の実施例の製造方法を説明する。ここで、第6の実施例の第5の実施例に対する構造的な相違点は、最終保護膜の開口部の部分である。従って、半導体基板1上の第2の金属配線11上の層間絶縁膜22までの形成工程(
図17(1))、反射防止膜23を用いた第3の金属配線14の形成工程(
図17(2))、ヒューズ素子用のアモルファスシリコン層17の堆積工程(
図17(3))、ヒューズ素子加工のためのレジストパターニング工程(
図18(1))と、そのエッチング加工工程及び、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜からなる最終保護膜の堆積工程については第5の実施例の製造方法と同様である。
【0082】
次の最終保護膜の加工では、最初に、シリコン窒化膜の上にパターニングしたレジストを20形成する。レジスト20はヒューズ素子領域上とボンディングパッド領域上において部分的に開口したパターンである。このレジスト20をマスクとしてシリコン窒化膜25を選択的にエッチング除去することで、ヒューズ素子領域にレーザーヒューズカット用開口部10とボンディングパッド19領域に開口部を同時に形成する(
図18(2))。
さらに、別のフォトレジストと別のフォトマスクを用い、ボンディングパッド19上のシリコン酸化膜のみをエッチング除去する(
図18(3))。
【0083】
この最終保護膜の加工については、シリコン窒化膜加工用の第1のフォトレジストの塗布、シリコン窒化膜上の第1のフォトレジストの開口、シリコン窒化膜のエッチング除去を行った後に、第1のフォトレジストを除去し、さらに第2のフォトレジストの塗布、シリコン酸化膜上の第2のフォトレジストの開口、シリコン酸化膜のエッチング除去、第2のフォトレジストの除去、という第1の加工法を採用することで実現できる。
【0084】
または、最終保護膜の第2の加工法としては、第1のフォトレジストの塗布、シリコン窒化膜上の第1のフォトレジストの開口、シリコン窒化膜のエッチング除去という工程を経た後に、第1のフォトレジストを除去せずに、第2のフォトレジストの塗布、シリコン酸化膜上の第2のフォトレジストの開口、シリコン酸化膜の除去、第1及び第2のフォトレジストの除去、という方法を採用してもよい。最終保護膜の第2の加工法の利点は、第1及び第2のフォトレジストを最後に一度に除去することによる製造工程の削減効果もあるが、ボンディングパッド開口部のエッジのシリコン窒化膜へのダメージを除去する、という効果も併せ持つ。
【0085】
最終保護膜の第1の加工法における第2のフォトレジスト開口においては、既に行ったシリコン窒化膜の開口部よりも広く開口することにより、第2のフォトレジスト開口の位置ずれによるボンディングパッド開口部のシリコン酸化膜残渣の発生を抑制する方法をとる。そして露出したシリコン窒化膜開口部をマスクとしてシリコン酸化膜をエッチング除去するが、その第2のフォトレジスト開口時に露出するボンディングパッド部のシリコン窒化膜に対し、シリコン酸化膜エッチングのダメージが入ることが避けられない。この第1の方法をとることにより、ボンディングパッド部エッジでの水分進入の促進などによる長期信頼性不良が懸念される場合は、最終保護膜に対し第2の加工法を採用することでその懸念を払拭することが出来る。
【0086】
最終保護膜の第2の加工法においては、シリコン窒化膜のエッチング後にそのまま第2のフォトレジストを覆い、同じくシリコン窒化膜開口部よりも広く第2のフォトレジストを開口するが、その際、下地の第1のフォトレジストは先のシリコン窒化膜のプラズマエッチング処理で硬化してそのまま残るので、次のシリコン酸化膜エッチング時には、この硬化した第1のフォトレジストをそのまま開口マスクに利用でき、下地のシリコン窒化膜へのエッチングダメージを抑制することができる。
【0087】
もし、エッチングに利用した第1のフォトレジストの硬化が十分でなく、フォトレジストの溶媒に対して易溶であれば、第2のフォトレジスト塗布前にUVキュア処理を行うと良い。UVキュア処理によってレジストの内部まで硬化が進み、難溶性の性状となり、第2のフォトレジストの溶媒によって第1のフォトレジストのパターンが崩れる懸念がなくなる。また、後続の第1および第2のフォトレジスト除去も容易になるという効果もある。
【0088】
以上説明した方法を採用することにより本発明は、ボンディングパッド開口部の反射防止膜を除去し、さらにボンディングパッド開口部エッジのエッチングダメージを回避することで、長期信頼性に優れ、ヒューズ素子のレーザーカット性を向上させた製造方法を提供できる。
【実施例11】
【0089】
以下では第11の実施例として、
図9、10を用い、本発明の第7の実施例の製造方法を説明する。ここで、第7の実施例は、第5の実施例に使用しているヒューズ素子を、第3の実施例に従い、アモルファスシリコン層と高融点金属膜との積層構造にした場合の製造方法である。
【0090】
従って、半導体基板1上の第2の金属配線11上の層間絶縁膜22までの形成工程(
図9(1))、反射防止膜23を用いた第3の金属配線14の形成工程(
図9(2))までは同一の製造工程を経ることになる。
【0091】
次に、TiNなどからなる高融点金属膜18、続いてアモルファスシリコン層17をともに半導体基板上全面にスパッタリング法にて積層する(
図9(3))。
次に、ヒューズ素子加工のためのレジストパターニング工程(
図10(1))を行ったのち、同一フォトレジストをマスクとして、アモルファスシリコン層17と高融点金属膜18をエッチング加工する。その際に、ヒューズ素子以外の領域の第3の金属配線上の反射防止膜も、併せて同一フォトレジストマスクでエッチング除去する。
【0092】
その後、シリコン酸化膜24及びシリコン窒化膜25からなる最終保護膜の堆積工程(
図10(2))を経て、ボンディングパッド19上の最終保護膜を除去する(
図10(3))ことについては第5の実施例の製造方法と同様である。
【実施例12】
【0093】
以下では第12の実施例として、
図11、12を用い、本発明の第8の実施例の製造方法を説明する。ここで、第8の実施例の第7の実施例に対する構造的な相違点は、最終保護膜の開口部の部分である。従って、半導体基板1上の第2の金属配線11上の層間絶縁膜22までの形成工程(
図11(1))、反射防止膜23を用いた第3の金属配線14の形成工程(
図11(2))、ヒューズ素子用の高融点金属膜18及びアモルファスシリコン層17の堆積工程(
図11(3))、ヒューズ素子加工のためのレジストパターニング工程(
図12(1))と、そのエッチング加工工程及び、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜からなる最終保護膜の堆積工程については第7の実施例の製造方法と同様である。
【0094】
次の最終保護膜の加工については、最初にヒューズ素子上とボンディングパッド上の最終保護膜のうち、上層のシリコン窒化膜25を、同一フォトレジストを用いてエッチング除去し、レーザーヒューズカット用開口部10とボンディングパッド19上の開口部を形成する(
図12(2))。
さらに別のフォトレジストと別のフォトマスクを用い、ボンディングパッド19上のシリコン酸化膜のみをエッチング除去する(
図12(3))。
【0095】
このとき、最終保護膜に対するさらに詳細な加工方法は、第6の実施例の製造方法の説明において述べたように、第1のフォトレジストを除去した後に第2のフォトレジストを使ってシリコン酸化膜をエッチング除去する第1の加工法と、第1のフォトレジストを残したまま第2のフォトレジストを使ってシリコン酸化膜をエッチング除去する第2の加工法があり、そのどちらを採用しても構わない。
以上の説明において、高融点金属はTiあるいはTiNに限られるものではなく、他のTi化合物でも良い。
【0096】
以上のような構造及び製造方法の本発明は、これまで述べたような降圧型シリーズレギュレータや電圧検出器に限らず、ヒューズカットを行って半導体集積回路の性能を調整する全ての製品へ応用できる。そのため、パワーマネジメントIC以外への用途へも本発明が適用できることはいうまでもない。